説明

インダゾール誘導体およびそれを含む医薬組成物

式(I)の化合物、またはその医薬的に許容され得る塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ(ここで、m、k、B、R、RおよびRは、本明細書で定義されるものである)並びにそれを含む組成物。また、式(I)の化合物の製造方法と、患者における、p38により媒介される障害を処置するためのその使用方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダゾール誘導体、その製造方法、それを含む医薬製剤、およびその使用法に関する。
【0002】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAP)は、二重リン酸化により、その基質を活性化する、プロリン指向性セリン/スレオニンキナーゼに属する。該キナーゼは、栄養ストレスおよび浸透圧ストレス、UV光、成長因子、エンドトキシン並びに炎症性サイトカインを含む、様々なシグナルにより活性化される。MAPキナーゼの中の1つの群は、様々なアイソフォーム(例えば、p38α、p39β、p38γおよびp38δ)を含むp38キナーゼ群である。p38キナーゼは、転写因子並びに他のキナーゼのリン酸化および活性化に関与し、物理的および化学的ストレス、プロ炎症性サイトカイン並びに細菌性リポ多糖により活性化される。
【0003】
より重要なことには、p38リン酸化産物は、炎症性サイトカイン(TNFおよびIL−1を含む)およびシクロオキシゲナーゼ−2の産生を媒介することが示された。これらの各サイトカインは、数多くの疾患状態および容態に関与している。例えば、TNF−αは、主に活性化される単球およびマクロファージにより産生されるサイトカインである。その過剰または調節されていない産生は、関節リウマチの病因において、原因的役割を果たすことにより関与している。より近年では、TNFの産生阻害は、炎症、炎症性腸疾患、多発性硬化症および喘息の処置において広範な適用があることが示されている。
【0004】
TNFは、また、とりわけ、ウイルス感染、例えばHIV、インフルエンザウイルス、およびヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス−7(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)を含む)、仮性狂犬病、および鼻気管支炎にも関与している。
【0005】
同様に、IL−1も、活性化された単球およびマクロファージにより産生され、関節リウマチ、発熱および骨吸収低下を含む、多くの病態生理学的応答において役割を果たしている。
【0006】
さらに、p38のかかわり合いは、発作、アルツハイマー病、骨関節炎、肺損傷、敗血症性ショック、脈官形成(angiogenesis)、皮膚炎、乾癬およびアトピー性皮膚炎にも関係している。J.Exp.Opin.Ther.Patents、2000、10(1)。
【0007】
p38キナーゼの阻害によるこれらのサイトカインの阻害は、これらの多くの疾患状態を制御し、減少しおよび緩和する上で有益である。
【0008】
本発明は、式I
【化5】


(式中、
は、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
mは、0〜4であり;
は、水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキルまたは−C(=O)−Rであり、ここで、Rは、水素、C〜Cアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
kは、0または1であり;
Bは、O、S(O)、CH(OR)、NRまたはC(=O)であり、ここで、jは、0、1または2であり;Rは、水素またはC〜Cアルキルであり、Rは、水素、C〜Cアルキル、−C(=O)−Rまたは−SOであり、ここで、Rは、C〜Cアルキル、アリールまたはアラルキルであり;Rは、C〜Cアルキルである)
で示される化合物またはその医薬的に許容され得る塩、その溶媒和物もしくはそのプロドラッグを提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、1種類以上の式Iの化合物と、その医薬的に許容され得る担体、希釈剤、および/または賦形剤を含む、医薬製剤を提供する。
【0010】
本発明の化合物は、プロテインキナーゼの阻害剤であり、インビボで、p38に対して効果的な活性を示す。それらは、サイクリン依存性キナーゼおよびチロシンキナーゼに(relative to)、p38キナーゼに対して選択的である。それ故、本発明の化合物は、TNFおよびIL−1などのプロ炎症性(pro-inflammatory)サイトカインにより媒介される疾患の処置に使用できる。したがって、本発明の別の態様は、p38により媒介される疾病または容態を処置する方法を提供し、この方法では、1種類以上の式Iの化合物の、治療的有効量が患者に投与される。
【0011】
本開示で引用する全ての刊行物は、参照することによりその全体を本明細書に取り込む。
【0012】
特記しない限り、明細書および特許請求の範囲を含む、本出願で使用される以下の語句は、下に示す定義を有する。明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「a」、「an」および「the」は、内容から明らかに違うと判断されない限り、複数の意味を有することが特筆されなければならない。
【0013】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子の、直鎖飽和一価炭化水素部分(moiety)、または、3〜6個の炭素原子の、分岐飽和一価炭化水素部分、例えば、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルなどを意味する。
【0014】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の、直鎖飽和二価炭化水素部分、または、3〜6個の炭素原子の、分岐飽和二価炭化水素部分、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
【0015】
「アルコキシ」は、式−ORの部分を意味し、ここで、Rは、本明細書で定義するアルキル部分である。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどを含むが、これに限定されない。
【0016】
「アルコキシアルキル」は、式Ra’−O−Rb’−の部分を意味し、ここで、Ra’は、C〜Cアルキルであり、Rb’は、本明細書で定義するアルキレンである。例示的なアルコキシアルキル基は、例えば、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、および1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルを含む。
【0017】
「アルキルスルホニルアルキル」は、式Ra’−SO−Rb’−の部分を意味し、ここで、Ra’は、C〜Cアルキルであり、Rb’は、本明細書で定義するアルキレンである。例示的なアルキルスルホニルアルキルは、例えば、3−メタンスルホニルプロピル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホニルプロピルなどを含む。
【0018】
「アミノ」は、−NR’R基を意味し、ここで、R’およびRは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルである。
【0019】
「アリール」は、1個以上、好ましくは1、2または3個の置換基(その各々は、好ましくは、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ−C〜Cアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アシル、ヘテロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアラルキル、及び場合により置換されているヘテロアラルキルからなる群より選択される)により場合により置換されている、一価単環または二環芳香族炭化水素部分を意味する。特に好ましいアリール置換基は、ハロゲン化物である。より特定すると、アリールなる語句は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどを含み、その各々は置換されていても置換されていなくてもよいが、これに限定されない。
【0020】
「アラルキル」は、式Ar−R−の部分を意味し、ここで、Arは、場合により置換されているアリールであり、Rは、本明細書で定義されるアルキレンである。
【0021】
「置換アラルキル」または「場合により置換されているアラルキル」は、アリール部分が、それぞれ、置換されているかまたは場合により置換されている、アラルキルを意味する。
【0022】
「シクロアルキル」は、3〜7個の環炭素の飽和一価環式炭化水素部分、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、4−メチル−シクロヘキシルなどを意味する。シクロアルキルは、1個以上の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基により場合により置換されていてもよい。好ましくは、シクロアルキル置換基は、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ−C〜Cアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、アミノ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、ヘテロアルキル、アシル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択される。
【0023】
「シクロアルキルアルキル」は、式R−R−の部分を意味し、ここで、Rは、シクロアルキルであり、Rは、本明細書で定義されるアルキレンである。
【0024】
「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲン化物」は、本明細書において、交換可能に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。好ましいハロゲン化物は、フルオロおよびクロロであり、フルオロが特に好ましいハロゲン化物である。
【0025】
「ハロアルキル」は、1個以上の、同一または異なるハロ原子により置換されるC〜Cアルキル、例えば、−CHCl、−CF、−CHCF、−CHCClなどを意味する。
【0026】
「ヘテロアルキル」は、1個以上、好ましくは1、2または3個の水素原子が、−OR、−NR(ここで、RおよびRが、両方共独立して、C〜Cアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルである場合には、nは0または1であり、そうではない場合には、nは0である)および−S(O)(ここで、nは0〜2の整数である)からなる群より、独立して選択される置換基で置換されている、本明細書で定義するアルキル部分を意味し、ヘテロアルキル部分の付着点は、炭素原子を通してであると理解し、ここで、Rは、水素、アシル、アルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;RおよびRは、互いに独立して、水素、アシル、アルコキシカルボニル、C〜Cアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、C〜Cアルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノ−もしくはジ−C〜Cアルキルアミノスルホニル、アミノ−C〜Cアルキル、モノ−もしくはジ−C〜Cアルキルアミノ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ−C〜Cアルキル、アルコキシ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ−C〜Cアルキルスルホニルまたはアルコキシ−C〜Cアルキルスルホニルであり;nが0である場合、Rは、水素、C〜Cアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアリールであり、nが1または2である場合、Rは、C〜Cアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、または場合により置換されているフェニルである。代表例は、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピルなどを含むが、これに限定されない。したがって、ヒドロキシ−C〜Cアルキルおよびアルコキシ−C〜Cアルキルは、ヘテロアルキルの部分集合である。
【0027】
「ヘテロアリール」は、N、O、またはS(好ましくはNまたはO)から選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含む、少なくとも1個の芳香族環を有し、残りの環原子はCである、5〜12個の環原子の一価単環または二環残基を意味し、ヘテロアリール部分の付着点は、芳香族環上にあると理解する。ヘテロアリール環は、1個以上の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基で、独立して、場合により置換されており、その置換基の各々は、独立して、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ニトロおよびシアノから選択される。より特定すると、ヘテロアリールなる語句は、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、テトラヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾキサゾリル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリルまたはベンゾチエニル、イミダゾ[1,2−a]−ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、およびその誘導体を含むが、これに限定されない。
【0028】
「ヘテロアリールアルキル」は、式Ar−R−の部分を意味し、ここで、Arは、ヘテロアリールであり、Rは、本明細書で定義するアルキレンである。
【0029】
「ヘテロシクリル」は、1または2個の環原子が、N、O、またはS(O)(ここでnは0〜2の整数である)、好ましくはNまたはOから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、1または2個のC原子が場合によりカルボニル基により置換されていてもよい、3〜8個の環原子の、飽和または不飽和非芳香族環部分を意味する。ヘテロシクリル環は、1つ以上、好ましくは1、2、または3個の置換基で、独立して、場合により置換されていてもよく、その置換基の各々は、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ−C〜Cアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、シアノ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、アラルキル、−(X)−C(O)R(ここで、Xは、OまたはNRであり、nは0または1であり、Rは水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ(nが0の場合)、アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、または場合により置換されているフェニルであり、Rは、HまたはC〜Cアルキルである)、−アルキレン−C(O)−R(ここで、Rは、C〜Cアルキル、−OR、またはNRであり、Rは、水素、C〜Cアルキル、またはハロ−C〜Cアルキルであり、RおよびRは、独立して、水素またはC〜Cアルキルである)、および−S(O)(ここで、nは0〜2の整数であり、nが0である場合、Rは、水素、C〜Cアルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、nが1または2である場合、Rは、C〜Cアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノ−C〜Cアルキルアミノまたはジ−C〜Cアルキルアミノである)から独立して選択される。ヘテロシクリル置換基の特に好ましい群は、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、ヒドロキシ−C〜Cアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、アラルキル、並びに−S(O)を含む。特に、ヘテロシクリルなる語句は、テトラヒドロフラニル、ピリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジノ、N−メチルピペリジン−3−イル、ピペラジノ、N−メチルピロリジン−3−イル、3−ピロリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、4−(1,1−ジオキソ−テトラヒドロ−2H−チオピラニル)、ピロリニル、イミダゾリニル、N−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル、およびその誘導体などを含み、その各々は場合により置換されていてもよいが、これに限定されない。
【0030】
「ヒドロキシアルキル」は、ヘテロアルキルの部分集合を意味し、特に、1個以上、好ましくは1、2または3個のヒドロキシ基で置換されている、本明細書で定義されるアルキル残基を意味し、ただし、同じ炭素原子が、1個以上のヒドロキシ基を有さない。代表例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを含むが、これに限定されない。
【0031】
「ヒドロキシシクロアルキル」は、本明細書で定義されるシクロアルキル部分の部分集合を意味し、シクロアルキル部分中の1個以上、好ましくは1、2または3個の水素原子が、ヒドロキシ置換基で置換されている、本明細書で定義されるシクロアルキル部分を意味する。代表例は、2−、3−、または4−ヒドロキシシクロヘキシルなどを含むが、これに限定されない。
【0032】
「脱離基」は、合成有機化学で慣用的に伴う意味を有し、すなわち、求核試薬で置換されることのできる原子または基であり、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、およびヨード)、アルカンスルホニルオキシ、アレンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば、2,4−ジニトロフェノキシ)、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシアミノなどを含む。
【0033】
「場合により置換されているフェニル」は、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ−C〜Cアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、およびアシルからなる群より選択される、1個以上の置換基、好ましくは1または2個の置換基で、独立して、場合により置換されている、フェニル環を意味する。
【0034】
「医薬的に許容され得る賦形剤」は、一般的に、安全で、無毒性で、生物学的にも別の点でも望ましい医薬組成物を製造する上で、有用である賦形剤を意味し、獣医学的使用並びにヒトの医薬使用にも許容され得る賦形剤を含む。明細書および特許請求の範囲で使用される「医薬的に許容され得る賦形剤」は、1種類の賦形剤および2種類以上のこのような賦形剤の両方を含む。
【0035】
化合物の「医薬的に許容され得る塩」は、医薬的に許容され得、親化合物の望ましい薬理活性を保有する、塩を意味する。このような塩は、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成されるか;または、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニル−プロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸と形成される、酸付加塩;あるいは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンにより置換されている場合;もしくは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基と配位している場合に形成される、塩を含む。
【0036】
「プロ−ドラッグ」および「プロドラッグ」なる語句は、本明細書において、交換可能に使用され、このようなプロドラッグを哺乳動物被験者に投与した場合に、インビボで、式Iに記載の活性親薬物を放出する、あらゆる化合物を意味する。式Iの化合物のプロドラッグは、インビボで、修飾を切断することにより親化合物が放出されるように、式Iの化合物に存在する1個以上の官能基を修飾することにより製造される。プロドラッグは、式Iの化合物中のヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシまたはカルボニル基が、インビボで切断されて、遊離ヒドロキシル、アミノ、またはスルフヒドリル基を、それぞれ、生じる任意の基に結合している、式Iの化合物を含む。プロドラッグの例は、式Iの化合物中のヒドロキシ官能基の、エステル(例えば、アセテート、ジ−C〜Cアルキルアミノアセテート、ホルメート、ホスフェート、スルフェート、およびベンゾエート誘導体)およびカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル基(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基の、N−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、ケトンおよびアルデヒド官能基の、オキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステルなどを含むが、これに限定されない。Bundegaard、「プロドラッグの設計(Design of Prodrug)」、p1-92、Elesevier、ニューヨーク−オックスフォード(1985)を参照されたい。
【0037】
「保護基」は、分子中の反応性基に付着すると、その反応性をマスクし、減少しまたは妨げる、原子団を意味する。保護基の例は、GreenおよびWuts、Protective Groups in Organic Chemistry、(Wiley第2版、1991)並びにHarrisonおよびHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods、Vols.1-8(John Wiley and Sons、1971-1996)に見い出すことができる。代表的なアミノ保護基は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などを含む。代表的なヒドロキシ保護基は、ヒドロキシ基が、アシル化またはアルキル化されているもの、例えば、ベンジル、およびトリチルエーテル並びにC〜Cアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリ−C〜Cアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルを含む。
【0038】
疾病の「処置(treating)」または「処置(treatment)」は、(1)疾病を予防すること、すなわち、疾病にさらされ得るかまたは疾病の病因のなり得るが、未だに疾病の症状を経験または呈していない哺乳動物において、疾病の臨床症状が発症しないようにすること;(2)疾病を抑止すること、すなわち、疾病もしくはその臨床症状の発症を停止または低減すること;あるいは(3)疾病を軽減すること、すなわち、疾病もしくはその臨床症状の減退を引き起こすことを含む。
【0039】
「治療的有効量」は、疾病の処置のために哺乳動物に投与した場合に、疾病のためのこのような処置を行なうのに十分な化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、該化合物、疾病およびその重症度並びに処置する哺乳動物の年齢、体重などに応じて変化する。
【0040】
本明細書で使用される「上記に定義するもの」および「本明細書で定義するもの」なる語句は、本明細書において、交換的に使用され、変数について言及している場合、変数の広範な定義、並びに、存在する場合、好ましい、より好ましいおよび最も好ましい定義を参照により取り込む。
【0041】
「モジュレーター」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用には、本明細書で定義する、アゴニスト、アンタゴニストなどを含むが、これに限定されない。
【0042】
「選択自由の」または「場合により」は、その後に記載される事象または環境が起こっても良いが起こる必要はないことを意味し、この記載は、事象または環境が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。
【0043】
「疾病状態」は、任意の疾病、容態、症状、または徴候を意味する。
【0044】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、溶媒が、記載されている反応条件下で不活性であることを意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン(又はジクロロメタン)、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどを含む。特記しない限り、本発明の反応で使用される溶媒は、不活性溶媒である。
【0045】
「溶媒和物」は、化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含む、溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、一定モル比の結晶固体状態の溶媒分子を補足し、溶媒和物を形成する傾向がある。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコレートである。水和物は、1つ以上の水分子と、物質の1つとの組合せにより形成され、ここで、水は、HOとしてその分子状態を保持し、このような組合せにより1種類以上の水和物を形成できる。
【0046】
「被験者」は、哺乳動物および非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、ヒト:非ヒト霊長類、例えば、チンパンジーおよび他の類人猿およびサル種;家畜動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタ;家庭内動物、例えば、ウサギ、イヌ、およびネコ;げっ歯類を含む実験動物、例えば、ラット、マウス、およびモルモットなどを含む、哺乳動物綱の任意のメンバーを意味するが、これに限定されない。非哺乳動物の例は、鳥類などを含むが、これに限定されない。「被験者」なる語句は、特定の年齢または性別を示さない。
【0047】
「上記で定義されるもの」および「本明細書で定義されるもの」なる語句は、変数について言及している場合、変数の広範な定義、並びに、存在する場合、好ましい、より好ましい、および最も好ましい定義を参照により取り込む。
【0048】
「処理」、「接触」および「反応」なる語句は、化学反応について言及している場合、示されるおよび/または所望の生成物を生成する適切な条件下で、2種類以上の試薬を添加または混合することを意味する。示されるおよび/または所望の生成物を生じる反応は、最初に添加した2種類の試薬の組合せから必ずしも直接得られる必要はなく、すなわち、示されるおよび/または所望の生成物の形成を最終的にもたらす、混合物中で生成される、1種類以上の中間体が存在していてもよいことを理解すべきである。
【0049】
一般的に、本出願で使用した命名法は、IUPAC体系的命名法の作成のための、Beilstein InstituteコンピューターシステムであるAUTONOM(登録商標)v.4.0に基づいている。本明細書で示される化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2.を使用して調製された。本明細書の構造中の炭素、酸素、または窒素原子上に出現する、全てのふさがっていない結合価(open valency)は、水素の存在を示す。
【0050】
本発明の実施形態において、R、R、R、R、R、RまたはRのいずれかがC〜Cアルキルであるかまたはアルキル部分を含む場合、このようなアルキルは、好ましくは、低級アルキル、すなわちC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキルである。
【0051】
多くの実施形態において、kは0である。
【0052】
特定の実施形態において、kは1であり、BはNRである。
【0053】
特定の実施形態において、Rは、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているチエニル、または場合により置換されているピリジルである。特定の実施形態において、Rは、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているチエニル、場合により置換されているピリジル、場合により置換されているインドリル、場合により置換されているベンゾチエニル、または場合により置換されているベンゾフラニルである。好ましくは、Rは、2−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−ベンジルオキシフェニル、3−ベンジルオキシフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アミノフェニル、4−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、ピリジ−3−イル、4−(ピリジ−2−イル)フェニル、3−イソプロポキシフェニル、3,5−ジメチルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、3−モルホリノフェニル、4−モルホリノフェニル、3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、N−メチル−N−(2−メトキシエチル)−フェニル、または2,4−ジフルオロフェニル、4−イソプロピルオキシフェニル、3−(2−ピリジン−2−イル−エトキシ)−フェニル、チエニ−2−イル、ベンゾチオフェン−3−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、フラン−2−イル、ベンゾフラン−4−イル、インドール−3−イル、3−クロロ−4−プロポキシフェニル、ビフェニル、ピリジン−3−イル−フェニル、および3,4,5−トリメトキシフェニルである。Rがヘテロシクリルである実施形態において、Rは、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1,1−ジオキシチオモルホリニル、または1,1−ジオキシテトラヒドロチオフラニルであってもよい。
【0054】
特定の実施形態において、Rは、場合により置換されているフェニル、例えば、2−ハロフェニルまたは2,4−ジハロフェニルである。より特定すると、Rは、2,4−ジフルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、フェニル、2−クロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−ジクロロフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、メチル、イソプロピル、シクロヘキシル、および2,4−ジフルオロベンジルであってもよい。より好ましいものは、2−ハロフェニルおよび2,4−ジハロフェニルであり、最も好ましいものは2−フルオロフェニルである。
【0055】
本発明の化合物は、非溶媒和形並びに溶媒和形(水和形を含む)で存在することができる。一般的に、溶媒和形(水和形を含む)は、非溶媒和形に等価であり、本発明の範囲内に包含されるものとする。上記した化合物に加えて、本発明の化合物は、全ての互変異性体形を含む。さらに、本発明は、また、プロドラッグ形の化合物と共に、該化合物の全ての医薬的に許容され得る塩および全ての立体異性体(純粋なキラル形またはラセミ混合物または他の形態の混合物)を含む。
【0056】
式Iの化合物は、医薬的に許容され得る酸付加塩をさらに形成できる。これらの全ての形態は、本発明の範囲内である。
【0057】
式Iの化合物の医薬的に許容され得る酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リンなどの無機酸から得られる塩、並びに、脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの有機酸から得られる塩を含む。したがって、このような塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などを含む。また、アルギン酸塩などおよびグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩などの、アミノ酸の塩も考えられる[例えば、Bergeら、J.of Phamaceutical Science 66:1-19(1977)参照]。
【0058】
塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を、十分な量の所望の酸と接触させて、慣用的な方法で塩を製造することにより製造できる。遊離塩基形態は、塩形態を塩基と接触させ、遊離塩基を慣用的な方法で単離することにより再生できる。遊離塩基形態は、極性溶媒中の溶解度などの、特定の物理的性質において、幾分そのそれぞれの塩形態とは異なるが、他の点では、この塩は、本発明の目的において、そのそれぞれの遊離塩基と等価である。
【0059】
kが0である特定の実施形態において、本発明の化合物は、式II
【化6】


(式中、A、R、R、mおよびRは、上記に定義する通りである)
により示されてもよい。
【0060】
式IIの特定の実施形態において、RおよびRは、両方共、場合により置換されているフェニルであってもよく、よって本発明の化合物は、式III
【化7】


(式中、
pおよびqは、各々独立して、0〜4であり;
各Rは、独立して、ハロ、C〜Cアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、またはシアノであり;
各Rは、独立して、ハロ、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、シアノ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキルまたは−C(=O)−Rであり、ここで、Rは、C〜Cアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
mおよびRは、本明細書で定義する通りである)
である。
【0061】
が水素である、式IIIの特定の実施形態において、本発明の化合物は、式IV
【化8】


(式中、p、q、RおよびRは、本明細書で定義される通りである)
により示されていてもよい。
【0062】
本発明に記載の代表的な化合物を、以下の表1に示す。
【0063】
【表1】



【0064】
本発明の化合物は、以下に示され、記載される例示的な合成反応スキームに描かれる様々な方法により製造することができる。
【0065】
これらの化合物の製造に使用される出発原料および試薬は、一般的に、アルドリッチケミカル社などの業者から入手するか、あるいは、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York、1991、Volumes1-15;Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、Elsevier Science Publishers、1989、Volumes1-5および補刊;並びにOrganic Reactions、Wiley&Sons:New York、1991、Volumes1-40などの文献に示されている手順にしたがって、当業者に既知の方法により製造される。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成できる、いくつかの方法の単なる例示であり、これらの合成反応スキームに様々な改変がされ得、該改変が、本出願に含まれる開示を参照すれば、当業者に示唆されるであろう。
【0066】
合成反応スキームの出発原料および中間体は、所望であれば、ろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含むが、これに限定されない慣用的な技術を使用して単離および精製される。このような原料は、物理定数およびスペクトルデータを含む慣用的な手段を使用して特徴づけることができる。
【0067】
特記しない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは、不活性雰囲気下で、大気圧で、約−78℃〜約150℃の反応温度範囲で、より好ましくは、約0℃〜約125℃、最も好ましくは及び簡便には、ほぼ室温(または周囲)温度(RT)で、例えば、約20℃で行なう。
【0068】
本発明のピラゾロピリミジン化合物を製造する具体的な方法の1つを、以下のスキームIに示し、ここでは、PGは、保護基である。
【化9】

【0069】
スキームI
スキームIでは、フルオロニトロトルエンaを、炭酸カリウムのような温和な塩基の存在下で、フェノールbと反応させ、フェノキシニトロトルエンcを得る。次いで、フェノキシニトロトルエンcを、接触水素化または他の還元技術を使用して還元し、フェノキシアミノトルエンdを得る。フェノキシアミノトルエンdは、亜硝酸イソアミルでの処理により環化反応を受け、フェノキシインダゾールeを形成する。フェノキシインダゾールeを、塩基性条件下で、ヨウ素に付し、フェノキシヨードインダジンfを得、これを、その後、Boc、Fmocまたは他の適切な保護スキームにより保護し、保護されるフェノキシヨードインダゾールgを得る。保護されるフェノキシヨードインダゾールgを、適切な触媒の存在下で、フェニルホウ酸hで処理し、フェノキシフェニルインダゾールiを形成し、これを脱保護し、本発明に記載のインダゾール誘導体jを得る。
【0070】
当業者は、上記スキームへの特定の修飾が考えられ、それが本発明の範囲内であると理解しているだろう。例えば、一部のステップは、特定の反応条件に適合性ではない、官能基用の保護基の使用を含む。様々なヒドロキシアリールおよびヒドロキシヘテロアリール化合物を、フェノールbの代わりに使用することができ、様々なアリールおよびヘテロアリールホウ酸を、フェニルホウ酸hの代わりに使用することができる。
【0071】
本発明の化合物を製造するための、より具体的な詳細は、以下の実施例の章に記載される。
【0072】
本発明は、少なくとも1種類の本発明の化合物、または個々の異性体、ラセミもしくは非ラセミ異性体混合物、または医薬的に許容され得る塩もしくはその溶媒和物を、少なくとも1種類の医薬的に許容され得る担体、および場合により他の治療および/または予防成分と一緒に含む、医薬組成物を含む。
【0073】
一般的に、本発明の化合物は、治療的有効量で、類似の有用性をもたらす、薬剤のための許容されるいずれかの投与形態により投与される。適切な用量範囲は、典型的には、処置される疾病の重症度、被験者の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与経路および投与形態、投与が指向される適応症、並びに担当の医療従事者の好みおよび経験のような数多くの因子に応じて、1日1〜500mg、好ましくは、1日1〜100mg、最も好ましくは1、日1〜30mgである。このような疾病を処置する当業者は、過度の実験をすることなく、個人の知識および本出願の開示に依拠して、所与の疾病のための、本発明の化合物の治療的有効量を確定することができる。
【0074】
一般的に、本発明の化合物は、経口(頬側および舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所、肺内、膣内、もしくは非経口(筋肉内、動脈内、くも膜下腔内(intrathecal)、皮下、および静脈内を含む)投与に適する製剤を含む医薬製剤として、または、吸入もしくは吹き込みによる投与に適した形態で投与される。好ましい投与様式は、一般的に、罹患度に応じて調整できる、簡便な1日量計画を使用する、経口である。
【0075】
本発明の化合物は、1種類以上の慣用的な補助剤、担体、または希釈剤と共に、医薬組成物および単位用量の形態に入れることができる。医薬組成物および単位用量形態は、付加的活性化合物または活性要素を含むまたは含まず、慣用的な比率の慣用的な成分からなっていてもよく、単位用量形態は、使用される、目的の1日量範囲に相応する、任意の適切な有効量の活性成分を含んでいてもよい。医薬組成物は、経口使用のための、固体、例えば、錠剤または充填カプセル剤、半固体剤、散剤、持続放出製剤又は液体、例えば、液剤、懸濁液剤、エマルション剤、エリキシル剤、または充填カプセル剤として;又は直腸もしくは膣内投与のための坐剤の形態で;又は、非経口使用のための、無菌注射溶液の形態で使用してもよい。したがって、錠剤1個当たり、約1mg、またはより広域には、約0.01〜約100mgの活性成分を含む製剤が、適切な、代表的な単位投与形態である。
【0076】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与形態で製剤化されていてもよい。医薬組成物および投与形態は、本発明の化合物(一つ又は複数)またはその医薬的に許容され得る塩を活性成分として含むことができる。医薬的に許容され得る担体は、固体であっても液体であってもよい。固体形態調製物は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、芳香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料として作用し得る、1種類以上の物質であってもよい。散剤では、担体は、一般的に、微粉砕活性成分との混合物である、微粉砕固体である。錠剤では、活性成分は、一般的に、適切な比率で、必要な結合能を有する担体と混合され、所望の形状およびサイズに圧縮されている。散剤および錠剤は、好ましくは、約1〜約70%の活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点蝋、ココアバターなどを含むが、これに限定されない。「調製物(preparation)」なる語句は、担体としてのカプセル化材料を有する活性化合物の製剤を包含することが意図され、担体を有するかまたは有さない活性成分がそれと関連する担体により、周囲を囲まれているカプセル剤を提供する。同様に、カシェ剤およびトローチ剤も包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤は、経口投与に適する固体形態であってもよい。
【0077】
経口投与に適する別の形態は、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性溶液剤、水性懸濁液剤を含む液体形態調製物、または、使用直前に液体形態調製物に変換されることが意図されている固体形態の調製物を含む。エマルション剤は、溶液中、例えば、プロピレングリコール水溶液中で調製しても、または、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエートもしくはアカシアのような乳化剤を含んでいてもよい。水性溶液剤は、活性成分を水に溶かし、適切な、着色剤、芳香剤、安定化剤および粘稠化剤を加えることにより製造することができる。水性懸濁液剤は、微粉砕活性成分を、天然もしくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の公知の懸濁化剤のような粘性物質と一緒に水に分散させることにより調製することができる。固体形態の調製物は、溶液剤、懸濁液剤、およびエマルション剤を含み、活性成分に加えて、着色剤、芳香剤、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、粘稠化剤(thickeners)、可溶化剤などを含んでいてもよい。
【0078】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射による投与、例えば、ボーラス注射または連続点滴)用に製剤化され得、アンプル、予め充填してある注射器、小容積輸液器または保存剤を添加してある複数回分の服用量のための容器内の単位投与形態で供し得る。該組成物は、懸濁液、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルションのような形態、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液の形態を取ることができる。油性もしくは非水性の、担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能な有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)を含み、製剤助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤もしくは懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含んでいてもよい。あるいは、該活性成分は、無菌の固体を無菌的に単離することにより得られるかまたは、使用する前に適するビヒクル(例えば、無菌で、発熱性物質を含まない水)と構成するための、溶液から凍結乾燥により得られる粉末形態であり得る。
【0079】
本発明の化合物は、表皮への局所投与のために、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤または経皮貼付剤として製剤化してもよい。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、水性または油性の基剤と共に、それに、適切な粘稠化剤および/またはゲル化剤を添加して、製剤することができる。ローション剤は、水性または油性の基剤と共に製剤化することができ、一般に、1種類以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤、または着色剤を含む。口内に局所投与するのに適する製剤は、風味を付けた基剤(通常、ショ糖およびアカシアまたはトラガカント)中に活性薬物を含有するトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアのような不活性基剤中に活性成分を含有するパステル剤;並びに、適切な液体担体中に活性成分を含有する口内洗浄薬を含む。
【0080】
本発明の化合物は、坐剤として投与するために製剤することができる。脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物のような低融点蝋を最初に融解させ、例えば、攪拌することにより、活性成分を均質に分散させる。次いで、融解している均質な混合物を好都合な寸法の型に注ぎ入れ、冷却し、凝固させる。
【0081】
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化することができる。活性成分の他に、当該技術分野において適切であることが知られている担体を含有する、膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤またはスプレー剤。
【0082】
本発明の化合物は、鼻腔内投与用に製剤化することができる。上記溶液剤または懸濁液剤を、慣用的な手段により、例えば、点滴器、ピペット、またはスプレーを用いて、鼻腔に直接適用する。該製剤は、単一用量形態または複数の用量を含む形態で供され得る。点滴器またはピペットの後者の場合、これは、適切な、所定容積の溶液剤または懸濁液剤を、患者が投与することによって達成し得る。スプレー剤の場合は、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて達成することができる。
【0083】
本発明の化合物は、特に、気道への、エーロゾル投与(鼻腔内投与を包含する)用に製剤化することができる。該化合物は、一般に、小さな粒径、例えば、5ミクロン以下の粒径を有する。このような粒径は、当該技術分野において既知の手段により、例えば、微粒化により得ることができる。該活性成分は、適切な噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素、または他の適切なガスを用いる加圧パックに入れて供される。該エーロゾルは、好都合には、レシチンのような界面活性剤も含有することができる。薬物の用量は、計量バルブで調節することができる。あるいは、該活性成分は、乾燥粉末の形態で、例えば、適切な粉末基剤(例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリジン(PVP))内の該化合物の混合粉末の形態で供され得る。該粉末状担体は、鼻腔内でゲルを形成する。該粉末組成物は、単位投与形態で、例えば、カプセルまたはカートリッジ(例えば、ゼラチン製カプセルまたはカートリッジ)またはブリスターパック中で、供給され得、そこから、吸入器を用いて該粉末を投与することができる。
【0084】
望ましい場合には、製剤は、該活性成分の持続性放出投与または制御放出投与に適合させる腸溶性コーティングを施して調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮薬物送達装置(devices)または皮下薬物送達装置中に製剤化することができる。これらの送達システムは、該化合物の持続放出が必要な場合、および、患者による治療計画のコンプライアンスが命にかかわる場合に有利である。経皮送達システムにおける化合物は、多くの場合、皮膚−接着固体支持体に付着される。対象の化合物は、浸透増強剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。持続放出送達システムは、手術または注射により、皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、該化合物を、脂質可溶性膜(例えば、シリコーンゴム)または生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸)中にカプセル化する。
【0085】
該医薬調製物は、好ましくは、単位投与形態である。そのような形態では、該調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分割される。該単位投与形態は、容器に入れられた調製物であり得、該容器は、別個の量の調製物、例えば、小包にした錠剤、カプセル剤、およびバイアル瓶またはアンプル内の散剤を含む。さらにまた、単位投与形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはトローチ剤自体であることも可能であり、または、それは、容器形態中の、これらのいずれかの適切な数であり得る。
【0086】
適切な別の医薬担体およびその製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 1995、Martin著、Mack Publishing Company、19版、Easton、Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬製剤は、下記実施例に記載されている。
【0087】
本発明の化合物は、哺乳動物による、過剰または調節されない、TNFもしくはp38キナーゼ産生により悪化または引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳動物における、任意の疾患(disorder)または疾病状態の処置に有用であるが、これに限定されない。したがって、本発明は、有効量の、本発明の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグを、必要とする被験者または患者に投与することを含む、p38により媒介される疾患を処置する方法を提供する。
【0088】
本発明の化合物は、被験者における炎症の処置に、発熱の処置のための解熱剤としての使用に有用であるが、これに限定されない。本発明の化合物は、関節リウマチ、脊椎関節症、通風関節炎、骨関節炎、全身性深在性エリテマトーデスおよび若年性関節炎、骨関節炎、通風関節炎、および他の関節炎容態を含むがが、これに限定されない、関節炎の処置に有用である。このような化合物は、成人呼吸困難症候群、肺サルコイドーシス、喘息、珪肺症、および慢性肺炎症疾患を含む、肺障害または肺炎症の処置に有用である。該化合物はまた、敗血症、敗血症ショック、グラム陰性敗血症、マラリア、髄膜炎、感染または悪性腫瘍(malignancy)に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連合併症)、肺炎、およびヘルペスウイルスを含む、ウイルス性および細菌性の感染の処置に有用である。該化合物は、また、骨吸収疾患(例えば、骨粗鬆症)、内毒素ショック、中毒性ショック症候群、再灌流傷害、自己免疫疾患(移植片対宿主反応および同種移植片拒絶を含む)、心臓血管疾患(動脈性硬化症、血栓症、うっ血性心疾患、および心臓再灌流障害を含む)、腎再灌流障害、肝疾患、腎炎、および感染による筋肉痛の処置に有用である。
【0089】
該化合物はまた、アルツハイマー病、インフルエンザ、多発性硬化症、癌、糖尿病、全身性深在性エリテマトーデス(SLE)、皮膚関連容態、例えば、乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、ケロイド形成、および瘢痕組織形成の処置に有用である。さらに、本発明の化合物は、胃腸容態、例えば、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏腸管症候群、および潰瘍性大腸炎の処置に有用である。該化合物はまた、眼疾患、例えば、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼羞明、および眼組織への急性損傷の処置に有用である。該化合物はまた、脈管形成(新形成を含む);転移;眼容態、例えば、角膜移植片拒絶、眼血管新生、網膜血管新生(損傷または感染後の血管新生を含む)、糖尿病性網膜症、水晶体線維増殖症、および血管新生緑内障;潰瘍疾患、例えば、胃潰瘍;病的であるが悪性ではない容態、例えば、血管腫(乳児血管腫を含む)、鼻上咽頭の血管線維腫および無血管性骨壊死;糖尿病性腎症および心筋症;および子宮内膜症(endometriosis)などの女性生殖系の疾患の処置に使用できる。該化合物はさらに、シクロオキシゲナーゼ−2の産生を妨げるために使用でき、鎮痛性性質を有する。それ故、式Iの化合物は、疼痛の処置に有用である。
【0090】
式Iの化合物の他の用途は、HCV、重度の喘息、乾癬、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および抗TNF化合物で処置できる他の疾病の処置を含む。
【0091】
ヒトの処置に有用であることの他に、これらの化合物は、また、哺乳動物、げっ歯類などを含む、ペット動物、珍しい動物および家畜動物の獣医学的処置に有用である。より好ましい動物は、ウマ、イヌ、およびネコを含む。
【0092】
本発明の化合物は、また、併用治療において、部分的にまたは全体的に、他の慣用的な抗炎症剤の代わりに、例えば、ステロイド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、NSAIDs、DMARDS、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTBアンタゴニスト、およびLTAヒドロラーゼ阻害剤と共に使用できる。
【0093】
本明細書に使用される「TNFにより媒介される疾患」なる語句は、TNF自体の制御により、または、IL−1、IL−6もしくはIL−8のような(これに限定されないが)別のモノカインの遊離をTNFが引き起こすことにより、TNFが役割を果たしている、いずれかのおよび全ての疾患および疾病状態を意味する。それ故、例えば、IL−1が主要な要素であり、その産生または作用がTNFに応答して、悪化されるかまたは分泌される疾病状態は、TNFにより媒介される疾患とみなされるだろう。
【0094】
本明細書に使用される「p38により媒介される疾患」なる語句は、p38が、p38自体の制御により、または、IL−1、IL−6、もしくはIL−8のような(これに限定されないが)別の因子の遊離をp38が引き起こすことにより、p38が役割を果たしている、いずれかのおよび全ての疾患および疾病状態を意味する。それ故、例えば、IL−1が主要な要素であり、その産生または作用がp38に応答して悪化されるかまたは分泌される疾病状態は、p38により媒介される疾患とみなされるだろう。
【0095】
TNF−βはTNF−α(カケクチンとしても知られる)と密接な構造相同性を有しており、各々が、類似する生物学的応答を誘発し、同じ細胞受容体に結合するから、TNF−αおよびTNF−βの両方の合成が、本発明の化合物により阻害され、したがって、本明細書では特記しない限り、まとめて「TNF」と呼ぶ。
【0096】
実施例
下記の製造例および実施例は、当業者が本発明をより明瞭に理解し実施するために示れる。それらは本発明の範囲を限定するものと捉えるべきではなく、単に、その例示および代表例である。
【0097】
特記しない限り、融点(すなわち、MP)を含む全ての温度は、摂氏(℃)である。
【0098】
実施例1:上記のスキームIの手順による、3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾールの合成
ステップ1.4−(2−フルオロ−フェノキシ)−2−ニトロトルエンの製造
【化10】


4−フルオロ−2−ニトロトルエン(25g、0.016mol)、2−フルオロフェノール(15.8mL、0.017mol)のNMP(350mL)溶液に、炭酸カリウム(22.27g、0.016mol)を加え、該混合物を160℃で48時間攪拌した。室温で冷却した後、水(350mL)を加え、該溶液を酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出液をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、残渣を、Hex:EtOAc95:5で溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、15.17gの4−(2−フルオロ−フェノキシ)−2−ニトロトルエン:MS:248(M+H)を得た。
【0099】
ステップ2.5−(2−フルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニルアミンの製造
【化11】


4−(2−フルオロ−フェノキシ)−2−ニトロトルエン(15.17g、0.061mol)およびPd/C(1.67g)のエタノール(150mL)溶液を、水素雰囲気下で、48時間攪拌し、次いで、該混合物をセライトでろ過し、ろ液を真空下で濃縮し、Hex:EtOAc9:1で溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、10.9gの5−(2−フルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニルアミン:MS:218(M+H)を得た。
【0100】
ステップ3.6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾールの製造
【化12】


5−(2−フルオロ−フェノキシ)−2−メチル−フェニルアミン(2.4g、11.04mmol)、無水酢酸(3.36g、33.12mmol)および無水酢酸カリウム(1.10g、11.16mmol)のベンゼン(36mL)懸濁液に、80℃で、30分間かけて、亜硝酸イソアミル(2.22mL、16.56mmol)を滴下し、該反応混合物をこの温度で一晩攪拌した。室温まで冷却した後、形成された沈降物をろ過し、ろ液を真空下で濃縮し、残渣を5N HCl(4.5mL)で、その後、濃HCl(2.5mL)で処理し、該混合物を55℃で2.5時間、次いで、60℃で15分間加熱した。該反応液を室温まで冷却し、ベンゼン(15mL)に抽出し、水層をNHOHで塩基性とし、EtOAc(2×25mL)に抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、残渣をHex:EtOAc7:3で溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、1.8gの6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール:MS:229(M+H)を得た。
【0101】
ステップ4.6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−1H−インダゾールの製造
【化13】


ヨウ素(1.53g、6.02mmol)および水酸化カリウムペレット(805mg、14.3mmol)を、6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール(1.35g、5.92mmol)のDMF溶液に、室温で、攪拌しながら連続的に加えた。1.5時間後、該反応液を重硫酸ナトリウム溶液に注ぎ、EtOAc(2×20mL)に抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、残渣を、Hex:EtOAc9:1で溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、1.9gの6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−1H−インダゾール:MS:355(M+H)を得た。
【0102】
ステップ5:6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化14】


6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−1H−インダゾール(1.9g、5.36mmol)、ジ−tert−ブチル−ジカーボネート(1.4g、6.43mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.26mmol)のTHF(10mL)溶液を、2.5時間、還流した。該反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮し、残渣を、Hex:EtOAc9:1のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、2.4gの6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:MS:455(M+H)を得た。
【0103】
ステップ6.3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化15】


アルゴン下で、(PhP)Pd(36mg、0.03mmol)のジオキサン(4mL)溶液に、6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(140mg、0.3mmol)を加え、該溶液を10分間攪拌し、次いで、2−クロロフェニルホウ酸(96.4mg、0.6mmol)のエタノール(1.2mL)溶液を加えた。10分後、炭酸カリウム(132mg、0.9mmol)の水(0.4mL)溶液を加え、該混合物を85℃でアルゴン下で18時間攪拌した。該混合物を室温まで冷却し、セライトでろ過し、水とEtOAcの間に分配させ、分離した有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、残渣を、Hex:EtOAc9:1で溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、90mgの3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:MS:345(M+H)を得た。
【0104】
ステップ7.3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾールの製造
【化16】


3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(90mg、0.2mmol)およびナトリウムメトキシド(22mg、0.41mmol)のメタノール(2mL)溶液を、室温で1時間攪拌し、次いで、真空下で濃縮した。残渣をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、残渣を、Hex:EtOAc4:1で溶出しながら、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、42mgの3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール:MS(M+H)=339を得た。
【0105】
実施例2:p38(MAP)キナーゼのインビトロアッセイ
本発明の化合物のインビトロでの、p38MAPキナーゼ阻害活性を、Ahnら、J.Biol.Chem.266:4220-4227(1991)に記載の方法を少し改変したものを使用して、p38キナーゼによる、γ−33P−ATPからミエリン塩基性タンパク質(MBP)へのγ−ホスフェートの転移を測定することにより決定した。
【0106】
リン酸化形態の組換えp38MAPキナーゼは、E.coliにおいて、SEK−1およびMEKKと同時に発現されおり[Khokhlatchevら、J.Biol.Chem.272:11057-11062(1997)参照]、次いで、ニッケルカラムを使用して、アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。
【0107】
リン酸化p38MAPキナーゼを、キナーゼ緩衝液(20mMの3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、pH7.2、25mMのβ−グリセロールホスフェート、5mMのエチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトール、40mMの塩化マグネシウム)中に希釈した。DMSOに溶解した試験化合物およびDMSOのみ(対照)を加え、該試料を、30℃で10分間インキュベートした。キナーゼ反応を、MBPおよびγ−33P−ATPを含む基質カクテルの添加により開始させた。30℃でさらに20分間インキュベートした後、0.75%のリン酸を添加することにより反応を停止した。次いで、リン酸化MBPを、ホスホセルロース膜(ミリポア社、MA州ベッドフォード所在)を使用して、残留γ−33P−ATPから分離し、シンチレーションカウンター(パッカード社、CT州メリデン所在)を使用して、定量した。
【0108】
上記手順を使用して、本発明の化合物は、p38MAPキナーゼ阻害剤であることが判明した。例えば、4−[6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール−3−イル]−フェノールは、0.028のp38IC50(μM)値を示した。
【0109】
実施例3:製剤
様々な経路により送達するための医薬調製物が、下記の表に示されるように製剤化される。表で使用される「活性成分」または「活性化合物」は、1種類以上の式Iの化合物を意味する。
【0110】
経口投与用の組成物
成分 wt/wt%
活性成分 20.0%
乳糖 79.5%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0111】
該成分を混合し、各々約100mgを含むカプセルに分配する。1個のカプセルは、ほぼ1日量である。
経口投与用の組成物
成分 wt/wt%
活性成分 20.0%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
クロスカルメロースナトリウム 2.0%
乳糖 76.5%
PVP(ポリビニルピロリジン) 1.0%
【0112】
該成分を合わせ、メタノールのような溶媒を使用して造粒する。次いで、該製剤を乾燥し、適切な打錠機を使用して、錠剤(約20mgの活性化合物を含有)へと成形する。
【0113】
経口投与用の組成物
成分 量
活性化合物 1.0g
フマル酸 0.5g
塩化ナトリウム 2.0g
メチルパラベン 0.15g
プロピルパラベン 0.05g
グラニュー糖 25.5g
ソルビトール(70%溶液) 12.85g
Veegum K(Vanderbilt社) 1.0g
芳香剤 0.035ml
着色剤 0.5mg
蒸留水 適量を加えて全量を100mlとする。
【0114】
該成分を混合し、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0115】
非経口製剤
成分 wt/wt%
活性成分 0.25g
塩化ナトリウム 適量を加えて等張とする。
注射用水 100ml
【0116】
活性成分を、注射用水の一部に溶かす。次いで、十分量の塩化ナトリウムを攪拌しながら加え、溶液を等張とする。溶液を、残りの注射用水で重量を増やし、0.2ミクロンのメンブランフィルターでろ過し、無菌条件下で容器に入れる。
【0117】
坐剤製剤
成分 wt/wt%
活性成分 1.0%
ポリエチレングリコール1000 74.5%
ポリエチレングリコール4000 24.5%
【0118】
該成分を一緒に融解し、蒸気浴で混合し、全量2.5gを含む型に注ぐ。
【0119】
局所製剤
成分 g
活性化合物 0.2〜2
Span 60 2
Tween60 2
鉱物油 5
ペトロラタム 10
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.05
BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール) 0.01
水 適量を加えて全量を100とする。
【0120】
水を除く全ての成分を合わせ、攪拌しながら、約60℃まで加熱する。次いで、約60℃の十分量の水を、激しく攪拌しながら加え、成分を乳化させ、次いで、水を適量加えて、約100gとする。
【0121】
鼻腔用スプレー製剤
約0.025〜0.5%の活性化合物を含む、いくつかの水性懸濁液剤を、鼻腔用スプレー製剤として製造する。該製剤は、場合により、例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロースなどの不活性成分を含む。塩酸を加えて、pHを調整してもよい。鼻腔用スプレー製剤は、典型的には、1回の作動で、約50〜100μlの製剤を送達する、鼻腔用スプレー計量ポンプにより送達され得る。典型的な投与スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0122】
本発明はその特定の実施形態を参照して記載したが、様々な変更がされ得、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、均等物が代用され得るこことを当業者は理解すべきである。さらに、特定の状況、材料、対象の組成、方法、方法のステップを本発明の目的の精神および範囲に適合させるために、多くの改変がされ得る。全てのこのような改変は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】


(式中、
は、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
mは、0〜4であり;
は、水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキルまたは−C(=O)−Rであり、ここで、Rは、水素、C〜Cアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
kは、0または1であり;
Bは、O、S(O)、CH(OR)、NRまたはC(=O)であり、ここで、jは、0、1または2であり;Rは、水素またはC〜Cアルキルであり、Rは、水素、C〜Cアルキル、−C(=O)−R、または−SOであり、ここで、Rは、C〜Cアルキル、アリールまたはアラルキルであり;Rは、C〜Cアルキルである)
で示される化合物またはその医薬的に許容され得る塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグ。
【請求項2】
kが、0である、請求項1の化合物。
【請求項3】
が、場合により置換されているフェニルである、請求項2の化合物。
【請求項4】
が、2−ハロフェニルまたは2,4−ジハロフェニルである、請求項3の化合物。
【請求項5】
が、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているチエニル、場合により置換されているピリジル、場合により置換されているインドリル、場合により置換されているベンゾチエニル、または場合により置換されているベンゾフラニルである、請求項3の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、式II
【化2】


(式中、A、R、R、mおよびRは、請求項1に定義した通りである)
で示される、請求項1の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、式III
【化3】


(式中、
pおよびqは、各々独立して、0〜4であり;
各Rは、独立して、ハロ、C〜Cアルキル、アルコキシ、ハロ−C〜Cアルキル、またはシアノであり;
各Rは、独立して、ハロ、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、シアノ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキルまたは−C(=O)−Rであり、ここで、Rは、C〜Cアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
mおよびRは、請求項7に定義した通りである)
で示される、請求項6の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、式IV
【化4】


(式中、p、q、RおよびRは、請求項8に定義した通りである)
で示される、請求項7の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−フェニル−1H−インダゾール;
3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(3−メトキシ−フェニル)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(4−メトキシ−フェニル)−1H−インダゾール;
3−(5−ブロモ−2−メトキシ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−チオフェン−3−イル−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−o−トリル−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−1H−インダゾール;
3−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(2−メトキシ−フェニル)−1H−インダゾール;
3−(2,5−ジメトキシ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
3−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
3−(2−クロロ−フェニル)−5−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール 2−オキシド;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−フラン−3−イル−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−フラン−3−イル−1H−インダゾール6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−フラン−3−イル−1H−インダゾール;
3−(3−ベンジルオキシ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
3−(3−クロロ−4−プロポキシ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(3−イソプロポキシ−フェニル)−1H−インダゾール;
3−(3,5−ジメチル−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
{4−[6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール−3−イル]−フェニル}−ジメチル−アミン;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(4−イソプロポキシ−フェニル)−1H−インダゾール;
3−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−m−トリル−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−p−トリル−1H−インダゾール;
3−(4−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
3−ビフェニル−4−イル−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(1H−インドール−3−イル)−1H−インダゾール;3−(3−クロロ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
3−(4−ブロモ−フェニル)−6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−1H−インダゾール;
6−(2−フルオロ−フェノキシ)−3−(4−ピリジン−3−イル−フェニル)−1H−インダゾール;
[6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール−3−イル]−フェニル−アミン;及び
4−[6−(2−フルオロ−フェノキシ)−1H−インダゾール−3−イル]−フェノール
から選択される、請求項1の化合物。
【請求項10】
医薬的に許容され得る賦形剤と請求項1の化合物とを含む、組成物。
【請求項11】
患者に、治療的有効量の請求項1の化合物を投与することを含む、p38により媒介される疾患の処置法。
【請求項12】
前記のp38により媒介される疾患が、関節炎、クローン病、過敏腸管症候群、成人呼吸困難症候群、または慢性閉塞性肺疾患、またはアルツハイマー病である、請求項11の方法。
【請求項13】
治療活性物質として、特に、抗炎症活性物質として使用するための、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物と治療的に不活性な担体とを含む、特に、炎症の処置に使用するための医薬組成物。
【請求項15】
炎症の処置のための請求項1に記載の化合物を含む医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項16】
本明細書で記載する発明。

【公表番号】特表2007−523937(P2007−523937A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500127(P2007−500127)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001816
【国際公開番号】WO2005/085206
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】