説明

インテグリン標的化剤およびそれらを用いるinvivoおよびinvitroでの画像化方法

本発明は、造影剤および/または治療用作用剤として使用可能な、インテグリンを標的する作用剤のファミリを提供するものである。この作用剤を使用して、被検体における血管新生、炎症または他の生理学的プロセスを画像化することが可能である。一態様では、インテグリン標的化剤は、(a)アルキルがアリール部分またはヘテロアリール部分で置換された、アルキル置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分(ITM)と、(b)任意にリンカー(L)部分によって、インテグリン標的化部分と化学結合されたレポーターと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年3月14日に出願された係属中の米国仮特許出願第61/036,495号(その内容全体を援用する)の優先権ならびに利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
特定疾患での分子の終点を評価するための現行の手法では通常、組織および血液のサンプリングや外科手術を必要とし、実験動物の場合は、異なる時点での屠殺が必要になる。非侵襲におけるイメージングが改善されているにもかかわらず、さらに感度が高く特異的な造影剤および方法が緊急に必要とされている。特定の分子標的および/または経路全体を可視化可能なイメージング技術があれば、多くの異なる疾患状態に対する治療的介入の治療有効性を診断および評価する我々の能力が、大幅に高まるであろう。最新のイメージング技術は、主に解剖学的または生理学的情報(磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波など)を伝えるものである。光学イメージングや新たな分子イメージングプローブなどのさらに新しいモダリティに、疾患を検出し、治療し、監視する方法を大幅に変える可能性がある。
【0003】
分子イメージングは、イメージング構造または生理の従来の構造を超越するイメージング科学の新分野であり、現行の研究調査や臨床業務を大幅に変える可能性を秘めている。分子イメージングの一般的なパラダイムでは、特定の疾患状態を示す具体的な標的の有無またはレベルによって、特定の遺伝子、タンパク質、受容体または細胞機能を選択的に標的する「分子」プローブまたは作用剤の使用を伴う。
【0004】
特に、光学イメージングは、これを研究調査と臨床状況の両方において強力な分子イメージング法にするいくつかの利点を提供するものである。具体的には、光学イメージングは、迅速かつ安全で、コスト効率がよく、極めて感度の高いものとなり得る。走査時間は数秒から数分前後であり、電離放射線を必要とせず、イメージングシステムが比較的簡単に使えるものとなり得る。また、光学プローブを、in vivoでの報告プロファイルを変えて分子的および機能的な情報をリアルタイムで提供できる動的な分子造影剤として設計可能である。in vivoで侵入度と感度を最大にするためには、生物系におけるほとんどの光学イメージングでの選択肢は赤および近赤外線(NIR)のスペクトル領域(600〜900nm)であるが、可視領域における他の波長も使用可能である。NIR波長範囲では、ヘモグロビンまたは水などの生理学的に豊富な吸収剤による吸収が最小限になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インテグリンは、細胞外マトリックス(ECM)と結合する細胞表面にあるヘテロ二量体の膜受容体である。リガンドが細胞の外と係合すると、このクラスの接着受容体が二量体サブユニットの単一の膜貫通ヘリックスによって細胞内でシグナルを伝達するが、これは細胞の増殖、生存、分化、アポトーシスといった多岐にわたる生物学的結果を媒介し得るものである。インテグリンは、細胞サイクルならびに、細胞運動性および形態を調節する。ECMへの結合だけでなく、インテグリンは細胞を他の細胞と結び付ける橋渡しの役割も担っている。
【0006】
構造的には、インテグリンはアルファ(α)鎖サブユニットとベータ(β)鎖サブユニットを含むヘテロ二量体タンパク質である。各サブユニットタイプには複数の形態が存在(α鎖には18種類、β鎖には8種類が考えられる)し、ヘテロ二量体インテグリンが会合する際に多様性を生みやすくなっている。さらに、サブユニットによってはスプライス変異が存在し、さらに大きな生物学的機能性や複雑性につながっている。インテグリンは、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8、α1β1、α2β1、α3β1、α3β6、α4β1、α4β7、α5β1、α6β4、α7β1、α8β1、α9β1、α10β1、αLβ2、αMβ2、αXβ2、αIIbβ3を含み、最近になってβ1と対合するαサブユニットが発見された。これらのインテグリンのうち、以下のインテグリンαv、α5β1、αIIbβ3は、細胞外マトリックス(ECM)のタンパク質におけるアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列を認識する。ビトロネクチン受容体、αvβ3、αvβ5およびフィブロネクチン受容体α5β1として知られるαサブユニット関連インテグリンは、この特定のトリアミノ酸部分によって腫瘍細胞の遊走および接着を調節する(Albeldaら、CANCER RES. 1990、5:6757〜6764;GladsonおよびCheresh、J. CLIN. INVEST. 1991、88:1924〜1932;Lafrenieら、EUR. J. CANCER、1994、30: 2151〜2158)。
【0007】
血管新生は、新しい血管の形成であり、成長と発達、組織修復、腫瘍の増殖に必要である。インテグリンαvβ3、αvβ5およびフィブロネクチン受容体は、血管新生において鍵になる役割を果たすことが知られている。たとえば、インテグリンαvβ3は、新血管新生の際に活性化された内皮細胞で高度に発現されるのに対し、すでにできあがった血管にはほとんど存在しない。この接着受容体αvβ3は、新たな脈管構造の成長を検出するための魅力的な標的となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特定のインテグリン、特に、αβインテグリンを選択的に標的および結合し、in vitroおよびin vivoにおける多岐にわたる用途で使用可能な作用剤を提供するものである。また、本発明は、MRIまたは集学的造影剤(たとえば、光学イメージングおよび磁気共鳴映像法)として使用可能な蛍光特性および/または磁気特性(たとえば、常磁性または超常磁性)を持ち得るインテグリン標的化剤を提供するものである。また、本発明は、独立および組み合わせで、ともに放射性医薬品、核造影剤または集学的造影剤(たとえば、光学イメージングおよび核イメージング)として使用可能な診断用および/または治療用放射性金属を、単独または他の造影剤に加えて含み得るインテグリン標的化剤を提供するものである。
【0009】
インテグリン標的化剤は、動物および/または人間の被検体などの被検体への投与に適した医薬組成物に処方可能である。医薬組成物は、インテグリン作用剤のうちの1種類以上と、1種類以上の安定剤とを、生理学的に許容可能なキャリア中に含み得る。
【0010】
一態様では、インテグリン標的化剤は、(a)アルキルがアリール部分またはヘテロアリール部分で置換された、アルキル置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分(ITM)と、(b)任意にリンカー(L)部分によって、インテグリン標的化部分と化学結合されたレポーターと、を含む。アルキルは、置換または未置換の単環または二環ヘテロアリール部分またはアリール部分で置換可能である。
【0011】
インテグリン標的化部分は、たとえば、各々がイメージングレポーターと化学結合された1つ乃至5つのインテグリン標的化部分(たとえば、2つ乃至5つ、3つ乃至5つまたは4つ乃至5つのインテグリン標的化部分)を含み得る。作用剤は、各々イメージングレポーターと化学結合された複数のインテグリン標的化部分を含み得る。
【0012】
レポーターは、たとえば、フルオロフォアレポーター、蛍光色素レポーター、光学レポーター、磁気レポーター、放射標識、X線レポーター、超音波イメージングレポーターまたはナノ粒子ベースのレポーターまたはこれらの組み合わせであってもよい。インテグリン作用剤は、インテグリン標的化部分、レポーターまたは任意のリンカーと化学結合された生物学的修飾物質をさらに含み得る。
【0013】
もうひとつの態様では、本発明は、式Iで表されるインテグリン標的化剤を提供するものである。
【0014】
((ITM−L)−L−IR)−BM (I)
式中、
ITMは、置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分を表し、
Lは、それぞれについて独立に、結合またはリンカー部分を表し、
IRは、イメージングレポーターを表し、
mは1〜500の整数を表し、nは0〜500の整数を表し、qは1〜500の整数を表し、gは0〜500の整数を表し、
BMは、生物学的修飾物質を表す。
【0015】
mは1〜5の整数であってもよく、nは0〜5の整数であってもよく、qは1〜4の整数であってもよいおよび/またはgは0〜3の整数であってもよいことは、理解できよう。特定の実施形態では、nが0、gが0である。特定の実施形態では、qが1である。特定の他の実施形態では、mが1または2であってもよい。
【0016】
また、本発明は、本明細書に記載のインテグリン標的化剤を用いるin vitroおよびin vivoでのイメージング方法を提供するものである。in vivoでの光学イメージングに関して、代表的な方法は、(a)1種類以上の蛍光色素を含む本発明による上記のインテグリン標的化剤のうちの1種類以上を被検体に投与し、(b)被検体内で作用剤を分散させ、(c)少なくとも1種の蛍光色素で吸収可能な波長の光に被検体を曝露し、(d)インテグリン作用剤によって放射されるシグナルを検出することを含む。作用剤によって放射されるシグナルは、断層画像などの画像を構成するのに使用可能である。さらに、上記のステップをあらかじめ定められた間隔で繰り返すことが可能であり、これによって被検体を経時的に評価できることは理解できよう。
【0017】
インテグリン標的化剤を使用して、被検体における炎症などの血管新生(新たな血管の形成)または他の生理学的プロセスを測定することが可能である。代表的な一方法は、(a)上記のインテグリン標的化剤のうちの1種類以上を被検体に投与し、(b)作用剤の存在を検出することで、被検体における新たな血管の形成を表す画像を生成することを含む。
【0018】
上記の方法それぞれにおいて、被検体は、哺乳動物(人間など)などの脊椎動物であってもよい。また、被検体は、実験室での研究調査に用いられる非脊椎動物(線虫(C.elegans)、ショウジョウバエ、あるいは別のモデル研究生物など)であってもよい。
【0019】
また、インテグリン標的化剤を、たとえば任意にインテグリン標的化剤をin vivoまたはin vitroでのイメージング方法に用いるための指示書を含むキットなどのキットに取り入れることも可能である。このキットは、任意に、緩衝剤および他の処方剤などのインテグリン標的化剤の使用を助ける成分を含むものであってもよい。あるいは、キットは、被検体に対するインテグリン標的化剤の投与および/または検出を助ける医療装置を含むものであってもよい。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面、詳細な説明、特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】代表的な化合物であるE−6(図1A)およびE−7(図1B)の投与24時間後の時点での両側腫瘍の平面画像を示す。
【図2】約2nmol用量(図2A)および約4nmol用量(図2B)の化合物E−6を投与した24時間後の腫瘍の蛍光分子断層両側画像を示す。
【図3】HEK293−αβ細胞に対する化合物E−6の結合を示し、図3Aは化合物E−6と一緒に4℃(図3A)、細胞マスクおよびDAPIを用いて化合物E−6と一緒に4℃(図3B)、親化合物DAPIを用いて化合物E−6と一緒に4℃(図3C)または親化合物DAPIを用いて化合物E−6と一緒に37℃(図3D)でインキュベートしたHEK293−αβ細胞の画像である。
【図4】HEK293−αβ細胞での代表的な化合物E−6の解離(図4A)と平衡(図4B)結合定数を表すグラフを示す。
【図5】マウスにおける化合物E−6の薬物動態および体内分布を示す。図5Aは、マウスにおける化合物E−6の経時的な濃度を示すグラフであり、図5Bは化合物E−6投与後の体組織での蛍光分布を示す棒グラフである。
【図6】化合物E−6(図6A)、化合物E−6および親化合物(図6B)ならびに、VivoTag s750(図6C)と一緒にインキュベーション後の内皮細胞(HUVEC)から得た蛍光画像と、化合物E−6(図6D)、親化合物を用いる化合物E−6(図6E)、VivoTag s750(図6F)と一緒にインキュベーション後の腫瘍細胞(A673)から得た蛍光画像を示す。
【図7】化合物E−6、親化合物および化合物E−6またはVivoTag s680(遊離染料)投与後のA673担腫瘍マウスからの検出蛍光(単位はピコモル)を示す棒グラフである。
【図8】Avastinまたはリン酸緩衝生理食塩水(ビヒクル)での処理後に化合物E−6またはProSenseのいずれかを注射したA673担腫瘍マウスからの腫瘍蛍光の定量結果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ある程度は、安定かつ生分解性であり、なおかつ多岐にわたるin vivoおよびin vitroでのアッセイおよび画像形成用途ならびに、多岐にわたる治療用途に使用できるインテグリン標的化剤を生成可能であるという発見に基づくものである。
【0023】
インテグリン標的化剤は、少なくとも1つのインテグリン標的化部分(ITM)と、レポーターと、任意にイメージングレポーター(IR)とを含み、ITMの1つ以上の分子がレポーターの1つ以上の分子と化学結合されている。任意に、1つ以上のリンカー(L)部分を使用して、ITMをレポーターに化学結合させることが可能である。特定の実施形態では、ITMは、置換または未置換のテトラヒドロナフチリジン部分を含む分子であり、レポーターは蛍光色素分子である。特定の実施形態では、本発明の作用剤は、血管新生時に上方制御されたインテグリンと結合する。
【0024】
ITMは、αvインテグリン;たとえば、αvβ5および/またはαvβ3インテグリンに対する親和性を持ち得る。一実施形態では、ITMは、αvβ3インテグリンに対する親和性を有する。本明細書で使用する場合、「インテグリン標的化部分」または「ITM」という用語は、インテグリンと特異的に結合および/またはインテグリンがその天然のリガンドに結合するのを妨害する部分を意味するものと理解される。ITMとインテグリンとの間の結合は、共有結合であっても非共有結合(たとえば、静電相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合、双極子相互作用など)であってもよい。たとえば、ITMとインテグリンとの間の結合は非共有結合である。
【0025】
「イメージングレポーター」または「IR」は、イメージングにおいてコントラストまたはシグナルを得るのに用いられ、イメージング技術によって検出可能な好適な分子、化学物質または物質であればどのようなものであってもよい。特定の実施形態では、イメージングレポーターは、1種類以上のフルオロフォア、フォトルミネセンスナノ粒子、放射性同位元素、超常磁性作用剤、X線コントラスト剤、および超音波作用剤を含む。イメージングレポーターは、光力学療法で用いられるポルフィリンおよび/または放射線療法で用いられる放射性核種などの治療用レポーターを含むものであってもよいことは理解できよう。
【0026】
「親和性」という用語は、本明細書で使用する場合、インテグリン標的化剤が好ましくはインテグリンと結合および/またはインテグリンによって保持される機能を意味するものと理解される。
【0027】
本明細書で使用する場合、「化学結合」という表現は、組み合わせられた凝集体を1つの単位として機能させられるだけの強さの原子間引力によって接続されることを意味するものと理解される。これには、共有結合、非共有結合(イオン結合など)、金属結合、架橋結合などの化学結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本明細書で使用する場合、「官能基」という用語は、もうひとつの分子でさらに修飾または誘導体化が可能な反応性官能基を意味するものと理解される。たとえば、反応性官能基は、アミン、カルボン酸、カルボン酸エステル、ハロゲン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、イソニトリル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、マレイミド、アジド、アルキン、テトラゾリル、ホスホネート、アルケン、ニトロ,およびニトロソであってもよい。
【0029】
本明細書で使用する場合、「生物学的修飾物質」または「BM」は、限定することなく、非BM修飾インテグリン作用剤との比較で、投与用の媒質に対する作用剤の水溶性または分散性を増す、結合特異性を高める、免疫原性または毒性を抑える、あるいは薬物動態プロファイルを修飾するなど、インテグリン作用剤の生物学的特性を変えるのに使用可能な部分を意味するものと理解される。
【0030】
「アルキル」という用語は、従来技術において認識されており、直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基をはじめとする飽和脂肪族基を含む。さらに、「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、炭化水素骨格の1以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を示す「置換アルキル」を含む。このような置換基としては、たとえば、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートまたはチオフォルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族または芳香族複素環部分があげられる。炭化水素鎖上で置換される部分が必要に応じてそれ自体が置換されていてもよいことは、当業者であれば理解できよう。たとえば、置換アルキルの置換基として、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)、シリル基ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、エステルを含む)、−CNなどの置換または未置換の形態があげられる。
【0031】
「アリール」という用語は、従来技術において認識されており、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどの0〜4個のヘテロ原子を含むものであってもよい、5員環、6員環および7員環の単環芳香族基を示す。環構造にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「ヘテロアリール」または「芳香族複素環」と呼ばれることもある。芳香環は、1以上の環位置で、たとえばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族または芳香族複素環部分、−CF、−CNなどの上述したような置換基で置換されていてもよい。「アリール」という用語は、2個以上の炭素が2つの隣接する環(これらの環は「縮合環」である)に共通する2個以上の環式環を有する多環の環系も含み、環のうちの少なくとも1つが芳香族であり、たとえば、他の環式環が、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルであってもよい。
【0032】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤がアルキル置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分を含み、この場合のアルキルは、アリールまたはヘテロアリール部分(置換または未置換のアリールなど)ならびに、イメージングレポーター(たとえば、結合によって、あるいはリンカー部分を介してなどで、インテグリン標的化部分と化学結合された1種類以上の蛍光色素)で置換可能である。
【0033】
インテグリン標的化剤は、各々イメージングレポーターに化学結合された1種類以上のインテグリン標的化部分を含むものであってもよく、たとえば、1つ乃至5つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のインテグリン標的化部分を含み得る。代表的なインテグリン標的作用剤は、
式Iで表され、
((ITM−L)−L−IR)−BM (I)
式中、
ITMは、たとえば7−アルキル−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分などのアルキル置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分といった置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分を表し、
Lは、それぞれについて独立に、結合またはリンカー部分を表し、
IRは、イメージングレポーターを表し、
mは1〜500の整数を表し、nは0〜500の整数を表し、qは1〜500の整数を表し、gは0〜500の整数を表し、
BMは、生物学的修飾物質を表す。
【0034】
特定の実施形態では、mが、1、2、3、4または5などの1〜5の整数であり得る。整数nは、いくつかの実施形態では、1、2、3、4または5などの1〜5の整数であり得る。特定の実施形態では、整数qが、1、2、3または4などの1〜4の整数であり得る。特定の実施形態では、gが、0、1、2または3などの0〜3の整数であり得る。特定の実施形態では、gが0であり、nが0であり、qが1であり、mが1または2である。
【0035】
本明細書に開示のインテグリン標的化剤は、その立体異性体またはその立体異性体の混合物あるいは、その薬学的に許容される塩の形態も含むことは、理解できよう。
【0036】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤は、インテグリン標的化部分、リンカーおよび/またはイメージングレポーターまたはこれらの任意の組み合わせと独立に化学結合された、1種類以上の生物学的修飾物質をさらに含む。インテグリン標的化部分、イメージングレポーター、リンカーおよび生物学的修飾物質それぞれの特徴の詳細については、後述する。
【0037】
I.インテグリン標的化部分
本発明を実施するにあたって有用な特定の代表的なインテグリン標的化部分が、米国特許第6,048,861号明細書、同第6,784,190号明細書、および同第6,017,926号明細書;米国特許出願第2002/0040030号明細書;欧州特許出願第1040111号明細書;国際公開第99/31061号パンフレットおよび同第02/22616号パンフレット(いずれもその内容全体を本明細書に援用する)に記載されている。
【0038】
インテグリン標的化部分が、7−アルキル−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分などのアルキル置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分といった置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含む場合、ナフチリジンおよび/またはアルキルは、任意に、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシなどの1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、インテグリン標的化部分が、式II
【0040】
【化1】

(式中、Arは芳香族または部分芳香族部分であり、アリールまたはヘテロアリールであり、
R’はHまたはアルキルであり、
aは、0、1、2または3から選択される整数を表す)
およびその塩で表される。式IIおよび本明細書に記載の他の構造、波線が交差する結合は、インテグリン標的化分子をインテグリン標的化剤の残りの部分に対して共有結合的にカップリングする結合を表す。
【0041】
特定の実施形態では、Arは、H、ハロ、アルコキシ、アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から各々独立に選択される1、2または3つの部分で置換されていてもよい単環または二環のヘテロアリールあるいは、単環または二環のアリールである。他の実施形態では、R’がHである。
【0042】
特定の実施形態では、インテグリン標的化部分が式IIAで表され、
【0043】
【化2】

式中、R’、Arおよびaは、上記式IIにおいて示したとおりである。
【0044】
Arは、
【0045】
【化3】

からなる群から選択可能である。
【0046】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤の創製に使用可能なインテグリン標的化部分が式IIIで表され、
【0047】
【化4】

式中、Rは、インテグリン標的化部分を、リンカー、イメージングレポーターまたは生物学的修飾物質に対して独立に化学結合可能な化学的官能基を提供する。
【0048】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤の創製に使用可能なインテグリン標的化部分が式IVで表され、
【0049】
【化5】

式中、NHまたはNH−は、たとえば、インテグリン標的化部分を、リンカー、イメージングレポーターまたは生物学的修飾物質に対して独立に化学結合可能な官能基を提供する。
【0050】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤の創製に使用可能なインテグリン標的化部分が式Vで表され、
【0051】
【化6】

式中、Rは式IIIのように上記にて定義されたとおりであり、Arは、上記式IIにおいて定義されたとおりである。
【0052】
特定の実施形態では、式VのArが、
【0053】
【化7】

からなる群から選択される。
【0054】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤の創製に使用可能なインテグリン標的化部分が式VIで表され、
【0055】
【化8】

式中、Rは、インテグリン標的化部分を、リンカー、イメージングレポーターまたは生物学的修飾物質に対して独立に化学結合する官能基を提供するものである。
【0056】
特定の実施形態では、インテグリン標的化剤の創製に使用可能なインテグリン標的化部分が式VIIで表される。
【0057】
【化9】

II.イメージングレポーター
多岐にわたる異なるイメージングレポーター、たとえば、蛍光および非蛍光レポーターを使用して、本発明のインテグリン標的化剤を創製することが可能である旨は理解できよう。
【0058】
(a)蛍光レポーター
特定の実施形態では、イメージングレポーターがフルオロフォア分子である。本明細書で使用する場合、「フルオロフォア」という用語は、蛍光色素、蛍光色素消光分子、有機または無機染料、金属キレートまたは蛍光酵素基質(プロテアーゼ活性化可能な酵素基質を含む)を意味するものと理解される。
【0059】
特定の実施形態では、インテグリン造影剤が蛍光色素を含む。特定の実施形態では、蛍光色素が、吸収極大および発光極大が約600〜約1200nm、一層好ましくは約600nm〜約900nmにある遠赤および近赤外線蛍光色素(NIRF)である。励起波長および発光波長が他のスペクトルにある蛍光色素の使用も、本発明の組成物および方法において採用できることは自明であろう。代表的な蛍光色素として、カルボシアニン蛍光色素およびインドシアニン蛍光色素があげられるが、これに限定されるものではない。
【0060】
代表的な近赤外線蛍光色素は、好ましくは吸光係数が水性媒体での蛍光色素分子1つあたり少なくとも50,000M−1cm−1である。近赤外線蛍光色素は、好ましくは(1)高い量子収率(すなわち、水性媒体での量子収率が5%を上回る)、(2)狭い励起/発光スペクトル、スペクトル的に離れた吸収スペクトルおよび発光スペクトル(すなわち、励起極大と発光極大が少なくとも15nm離れている)、(3)高い化学的安定性および光安定性、(4)無毒性、(5)良好な生体適合性、生分解性および排泄性、(6)in vivoおよび人間での用途に必要な大きな量(すなわち、グラム台やキログラム台の量)での商業化の可能性および拡張可能な製造も有する。
【0061】
特定のカルボシアニンまたはポリメチン蛍光染料を使用して、本発明のインテグリン作用剤を生成することが可能であり、これにはたとえば、米国特許第6,747,159号明細書、同第6,448,008号明細書、同第6,136,612号明細書、同第4,981,977号明細書、同第5,268,486号明細書、同第5,569,587号明細書、同第5,569,766号明細書、同第5,486,616号明細書、同第5,627,027号明細書、同第5,808,044号明細書、同第5,877,310号明細書、同第6,002,003号明細書、同第6,004,536号明細書、同第6,008,373号明細書、同第6,043,025号明細書、同第6,127,134号明細書、同第6,130,094号明細書、同第6,133,445号明細書、国際公開第97/40104号パンフレット、同第99/51702号パンフレット、同第01/21624号パンフレット、欧州特許出願公開第1 065 250 A1号ならびに、Tetrahedron Letters 41、9185〜88(2000)に記載されているものなどを含み得る。
【0062】
さまざまな蛍光色素が市販されており、本発明のインテグリン造影剤の構成に使用可能である。代表的な蛍光色素としては、たとえば、Cy5.5、Cy5およびCy7(GE Healthcare);AlexaFlour660、AlexaFlour680、AlexaFluor750およびAlexaFluor790(Invitrogen);VivoTag680、VivoTag−S680およびVivoTag−S750(VisEn Medical);Dy677、Dy682、Dy752およびDy780(Dyomics);DyLight547、DyLight647(Pierce);HiLyte Fluor 647、HiLyte Fluor 680およびHiLyte Fluor 750(AnaSpec);IRDye 800CW、IRDye 800RSおよびIRDye 700DX(Li−Cor);ADS780WS、ADS830WSおよびADS832WS(American Dye Source)、Kodak X−SIGHT 650、Kodak X−SIGHT 691、Kodak X−SIGHT 751(Carestream Health)があげられる。
【0063】
表1は、本発明を実施するにあたって有用な多数の代表的な蛍光色素をそのスペクトル特性とともにあげておく。
【0064】
【表1】

一実施形態では、代表的な蛍光色素が式VIII
【0065】
【化10】

あるいはその塩で表され、式中、
Xは、C(CH)(CH)、O、SおよびSeからなる群から独立に選択され、
およびYは、H、C〜C20脂肪族基、−OR*、N(Rまたは−SR*で置換されたC〜C20脂肪族基からなる群から独立に選択され、
Wは、ベンゾ縮合環、ナフト縮合環またはピリド縮合環を表し、
は、(CHCH、(CHSOおよび(CHSOHからなる群から選択され、式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数であり、
は、(CHCH、(CHSOおよび(CHSOHからなる群から選択され、式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数であり、
およびRは独立に、H、カルボキシレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分およびスルホネート部分からなる群から選択され、
Qは、カルボキシル基で置換されたヘテロアリール環またはカルボニル基で置換された6員環のヘテロアリール環からなる群から選択される。
【0066】
Qは、(i)カルボキシル官能化複素環、(ii)カルボキシル官能化窒素含有複素環、(iii)ピリジン、ピリミドン、ピラジン、ピリダジンなどの6員環のカルボキシル官能化窒素含有複素環、(iv)ピリジンなどの6員環のカルボキシル官能化窒素含有複素環、(v)ピリジンなどの6員環のカルボニル官能化窒素含有複素環、(vi)イソニコチン酸およびピコリン酸ならびに、
【0067】
【化11】

(式中、カルボキシル基は、求核試薬と反応できるエステル、活性化エステルまたはハロゲン化カルボニルの形であってもよく、たとえば、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−ヒドロキシサクシニミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾール、およびCO−Op−ニトロフェニルであり得る)から選択される群からなる群から選択される。
【0068】
もうひとつの実施形態では、代表的な蛍光色素が式IX
【0069】
【化12】

あるいはその塩で表され、式中、
およびXは、C(CH)(CH)、O、SおよびSeからなる群から独立に選択され、
およびKは、H、C〜C20脂肪族基、−OR*、N(Rまたは−SR*で置換されたC〜C20脂肪族基からなる群から独立に選択されるか、あるいは、KおよびKが一緒になって、置換または未置換の炭素環または複素環の一部であり、
およびYは各々独立に、ベンゾ縮合環、ナフタ縮合環またはピリド縮合環であり、
は、1、2または3であり、
、R11およびR12は独立に、H、F、Br、Cl、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリールオキシ、窒素含有複素環、窒素含有芳香族複素環、スルホネート、イミニウムイオンであるか、あるいは、隣接する任意の2つのR12置換基とR11置換基またはR置換基とR11置換基が、組み合わせで、4員環、5員環または6員環の置換または未置換の炭素環式環、置換または未置換の非芳香族炭素環式環または置換または未置換の炭素環式アリール環を形成し、炭素環式環は各々独立に、C〜Cアルキル、ハロゲンまたはOR*またはSR*で1回以上置換されていてもよく、
およびR13は、xが0〜6から選択される整数の場合は(CHCHであるか、nが2〜6から選択される整数の場合はRおよびR13が独立に(CHSOまたは(CHSOHであり、
、RおよびRは独立に、H、カルボキシレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分およびスルホネート部分からなる群から選択され、
は、置換または未置換のC〜C20脂肪族基、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアルキルアリールからなる群から選択され、Rは、ハロゲン、OR*、N(RまたはSR*で置換されていてもよく、Qが存在しない場合、カルボニル基、置換または未置換のC〜Cアルキル基(この場合、アルキル基のメチレン基のうち0〜2個が、NH、OまたはSで置き換えられている)であるか、置換または未置換のC〜C炭素環式環、非芳香族炭素環式環、複素環または非芳香族複素環(この場合、複素環が1〜2個のヘテロ原子を含む)であるか、あるいは、
が、Qがカルボニルの場合はHであり、
は、H、置換または未置換のC〜C20脂肪族基、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアルキルアリールからなる群から選択され、この場合のRは、ハロゲン、OR*、N(RまたはSR*で置換されていてもよいか、あるいは、
およびRが一緒になって、ハロゲン、OR*、N(RまたはSR*で置換されていてもよい4員環、5員環、6員環または7員環の複素環または非芳香族複素環を形成し、あるいは、
NR、QおよびCHRが一緒になって、置換または未置換のまたは複素環系または非芳香族複素環系を形成し、環は1または2個のヘテロ原子を含み、環は−OR*、N(Rまたは−SR*で置換されていてもよく、
Wは、存在しないか、あるいは、−SONR−Q−CHR−、−O−、−COO−および−CONH−からなる群から選択される基であり、
h=0〜70;k=0または1;d=0〜12;m=0〜12;p=0〜12であり、
Zは、N、OまたはS求核試薬官能基であるかこれを含有し、あるいは、N、OまたはS求核試薬と反応できる官能基であるかこれを含有し、
R*は各々独立に、−HまたはC1〜20アルキルである。
【0070】
本発明のインテグリン作用剤の合成において使用可能な代表的なフルオロフォアとしては、たとえば、表2にあげたものがある。
【0071】
【表2−1】

【0072】
【表2−2】

特定の実施形態では、1種類以上の蛍光色素分子をインテグリン標的化部分と化学結合させ、蛍光インテグリン標的化剤を創製することが可能である。
【0073】
イメージングレポーターが蛍光色素分子の場合、インテグリン作用剤の吸光係数は、経路長1cmの細胞での吸収極大での染料の吸光度(たとえばVivoTag 680であれば約670nm)と粒子濃度との比として式ε=A/clを用いて求められ、ここで、Aは吸光度であり、cはモル濃度であり、lは経路長(単位はcm)である。
【0074】
インテグリン造影剤をナノ粒子(たとえば、ケイ素含有ナノ粒子)と結合させ、蛍光または発光ナノ粒子を生成可能であることは理解できよう。結晶性ケイ素(ケイ素の複数または単一の結晶として)、多孔性ケイ素または非晶質ケイ素またはこれらの形態の組み合わせの凝集体でナノ粒子を形成可能である。好ましい蛍光ケイ素ナノ粒子は直径約0.5nm〜約25nm、一層好ましくは約2nm〜約10nmである。ナノ粒子の大きさについては、レーザ光散乱または原子間力顕微鏡または他の好適な技術で求めればよい。
【0075】
蛍光ケイ素ナノ粒子は、励起スペクトルおよび発光スペクトルが200nm〜2000nmであればよいが、好ましい蛍光ケイ素ナノ粒子は励起極大および発光極大が約400nm〜約1200nm(好ましくは500nm〜900nm、たとえば、500nm〜600nm、600nm〜700nm、700nm〜800nmまたは800nm〜900nm)である。好ましい蛍光ケイ素ナノ粒子は、水性媒体での吸光係数が少なくとも50,000M−1cm−1である。励起極大および発光極大が400nm〜1200nmの蛍光ケイ素ナノ粒子が好ましいとはいえ、励起波長および発光波長が他のスペクトルにある蛍光ケイ素ナノ粒子の使用も、本発明の組成物および方法において採用できることは自明であろう。たとえば、特定の実施形態では、粒子の励起波長が300〜350nmの範囲、発光波長が400〜450nmの範囲にあればよい。
【0076】
また、蛍光ケイ素ナノ粒子は、以下の特性を持つこともある:(1)高い量子収率(すなわち、水性媒体での量子収率が5%を上回る)、(2)狭い発光スペクトル(すなわち、75nm未満;一層好ましくは50nm未満)、(3)スペクトル的に離れた吸収スペクトルおよび発光スペクトル(すなわち、20nmより大きく離れている;一層好ましくは50nmより大きく離れている)、(3)高い化学的安定性および光安定性(すなわち、光に曝露された後も発光特性を保持)、(4)生体適合性または一層生体適合性にすることが可能である、(5)イメージングプロトコールに有用な用量で細胞または被検体に対して無毒または最小限の毒性(たとえば、LD50または刺激研究あるいは、従来技術において周知の他の同様の方法で測定した場合)および/または(6)in vivoおよび人間での用途に必要な大きな量(すなわち、グラム台やキログラム台の量)での商業化の可能性および拡張可能な製造を有する。
【0077】
他の代表的なフルオロフォアは、蛍光であってin vitroおよびin vivoでの多岐にわたる用途に使用可能な金属酸化物ナノ粒子を含む。一実施形態では、インテグリン標的化部分を、以下の特徴のうち1つ以上を持つ蛍光金属酸化物ナノ粒子とコンジュゲートさせる。(1)複数の蛍光色素を付着させることで、大きな吸光係数(1,000,000M−1cm−1を超える)を達成するのに適したポリマーコーティング、(2)粒子1個あたり約10〜約300の蛍光色素を付着させるのに適した非架橋ポリマーコーティング、(3)蛍光色素の量子収率を有意に損なわない(同じ条件で試験した場合に、ナノ粒子が実質的に同数の遊離蛍光色素から生成される蛍光シグナルの少なくとも50%を保持するなど)方法で複数の蛍光色素を付着させるのに適したポリマーコーティング、(4)生物学的特性を保持したまま生体分子を効率的に化学結合して、分子造影剤を得られる可能性があるポリマーコーティング。蛍光金属酸化物ナノ粒子は、インテグリン標的化剤の他の元素に対する化学結合の前後のどちらでもin vitroにて極めて安定した分子造影剤であるが、in vivoでは依然として不安定および/または分解性である。
【0078】
インテグリン標的化部分は、アミンT2 MP EviTags(Evident Technologies)またはQdot Nanocrystals(Invitrogen)などの蛍光量子ドットと結合可能である。通常、蛍光量子ドットは、半導体材料(カドミウムおよびセレン、硫化物またはテルルを含有するもの;硫化亜鉛、インジウム−アンチモン、セレン化鉛、ガリウムヒ素、シリカまたはormosil(これらの蛍光作用剤の特性を改善するよう硫化亜鉛でコーティングされている)を含むがこれに限定されるものではない、いくつかの原子を含むナノ結晶である。
【0079】
さらに、インテグリン標的化部分は、光力学療法を誘発できる分子とコンジュゲート可能である。これには、Photofrin、Lutrin、Antrin、アミノレブリン酸、ヒペリシン、ベンゾポルフィリン誘導体、およびセレクトポルフィリンなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0080】
特定の実施形態では、1種類以上の異なるフルオロフォア分子を、切断可能な(たとえば、酵素的に切断可能な)オリゴペプチドと共有結合的に結合するか、あるいは実質的に同様の2種類のフルオロフォアを、タンパク質分解性切断部位などの切断部位によって分離される蛍光クエンチ許容位置でオリゴペプチドに共有結合的に結合し、本発明の造影剤を生成することが可能である。
【0081】
特定の実施形態では、クエンチャーを用いて、オリゴペプチドと共有結合的に結合されたフルオロフォアからの蛍光シグナルをクエンチする。たとえば、作用剤が活性化されていない状態にあるため、造影剤が活性化されるまでシグナルをほとんど示さないか全く示さない場合に、造影剤のフルオロフォアの蛍光をクエンチャーがクエンチするように作用剤を設計することが可能である。クエンチャーは、フルオロフォアに対して適切に配置されると(すなわち、蛍光クエンチ許容位置で)、フルオロフォアからの発光シグナルをクエンチできる非蛍光作用剤であってもよいことは理解できよう。上記のフルオロフォアの中には、2種類のフルオロフォアが蛍光クエンチ相互作用許容位置に位置すると、もうひとつの離れたフルオロフォアの蛍光シグナルをクエンチするよう作用できるものがあることも理解できよう。
【0082】
多数のクエンチャーが入手可能かつ当業者間で周知であり、4−{[4−(ジメチルアミノ)−フェニル]−アゾ}−安息香酸(DABCYL)、QSY(登録商標)−7(9−[2−[(4−カルボキシ−1−ピペリジニル)スルホニル]フェニル]−3,6−ビス(メチルフェニルアミノ)−キサンチリウムクロリド)(Molecular Probes,Inc.、OR)、QSY(登録商標)−33(Molecular Probes,Inc.、OR)、ATTO612Q、ATTO580Q(ATTO−TEC、ドイツ);Black Hole Quenchers(登録商標)(Bioresearch Technologies、Novato、CA)、QXL(商標)680 Acid(AnaSpec、San Jose CA)ならびに、Cy5およびCy5.5(2−[5−[3−[6−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−6−オキソヘキシル]−1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−6,8−ジスルホ−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン]−1,3−ペンタジエニル]−3−エチル−1,1−ジメチル−6,8−ジスルホ−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩など)(Schobel、Bioconjugate 10:1107、1999)などの蛍光フルオロフォアがあげられるが、これに限定されるものではない。たとえば、作用剤の蛍光をクエンチするためのさまざまな溶媒を使用するなど、他のクエンチング戦略を使用することも可能である。
【0083】
他のフルオロフォアの発光をクエンチ可能な代表的なフルオロフォアを表3に示す。
【0084】
【表3】

このような実施形態では、2種類のフルオロフォアまたはフルオロフォアとクエンチャーを、蛍光クエンチ相互作用許容位置にて元のままの造影剤内に配置する。言葉をかえると、第2のフルオロフォア(またはクエンチャー)が第1のフルオロフォアからのシグナルをクエンチするように、第1のフルオロフォアを元のままの造影剤において第2のフルオロフォア(またはクエンチャー)のすぐそばに配置し、これらが互いに光化学的に相互作用できるようにする。フルオロフォアが2種類ある造影剤の場合、一方のフルオロフォアが好ましくは他方のフルオロフォアをクエンチする。クエンチの原理については、米国特許第6,592,847号明細書を参照のこと。
【0085】
(b)非蛍光レポーター
「非蛍光レポーター」という用語は、本明細書で使用する場合、蛍光ではないがイメージングにおいてコントラストまたはシグナルを得る目的で使用可能であり、なおかつ非蛍光イメージング技術で検出可能な化学部分を示す。特定の実施形態では、他の非蛍光レポーターを、イメージング部分と化学結合可能であり、あるいは本発明の造影剤と同時またはこれと連続して被検体に投与可能である。このようなレポーターとしては、フォトルミネセンスナノ粒子、放射性同位元素、超常磁性作用剤、X線コントラスト剤、および超音波作用剤があげられる。また、レポーターには、ポルフィリン、Photofrin(登録商標)、Lutrin(登録商標)、Antrin(登録商標)、アミノレブリン酸、ヒペリシン、光力学療法で用いられているベンゾポルフィリン誘導体、放射線療法用の放射性核種などの治療用レポーターを含むことがある。
【0086】
(i)放射性レポーター
作用剤は、1種類以上の放射性標識を含み得る。銅、ガリウム、インジウム、テクネチウム、イットリウム、およびルテチウムなどの金属の放射性同位元素形態を、金属造影剤に化学結合することが可能であり、核イメージングまたは治療用途に使用可能である。代表的な放射性標識としては、99mTc、111In、64Cu、67Ga、186Re、188Re、153Sm、177Lu、および67Cuがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0087】
他の代表的な標識としては、たとえば、123I、124I、125I、11C、3N、15O、および18Fがあげられる。他の代表的な標識は、たとえば、186Re、188Re、153Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、212Bi、103Pd、109Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、165Dy、166Dy、67Cu、105Rh、111Ag、および192Irをはじめとする治療用放射性医薬品であってもよい。
【0088】
診断用および治療用放射性医薬品のキレーターまたは結合部分も企図されており、造影剤と化学的に会合可能である。代表的なキレーターを選択して、99mTc、111In、64Cu、および67Gaなどの画像化可能なγ光線またはポジトロン発光を有する放射性同位元素との安定した複合体を形成可能である。代表的なキレーターとして、ジアミンジチオール、モノアミン−モノアミドジチオール、トリアミド−モノチオール、モノアミン−ジアミド−モノチオール、ジアミンジオキシム、およびヒドラジンがあげられる。キレーターは通常、ドナー原子が窒素、酸素および硫黄から選択された四座であり、たとえば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、(DO3A)、2−ベンジル−DOTA、α−(2−フェネチル)1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−酢酸−4,7,10−トリス(メチル酢)酸、2−ベンジル−シクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2−ベンジル−6−メチル−DTPA、6,6”−ビス[N,N,N”,N”−テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)−4’−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−2,2’:6’,2”−ターピリジンなどの環式および非環式ポリアミノカルボキシレートを含むものであってもよい。
【0089】
(ii)磁気レポーター
他の代表的なレポーターは、磁気共鳴造影剤用のキレート剤を含み得る。このようなキレーターは、たとえば、作用剤に対して化学結合可能なポリアミン−ポリカルボキシレートキレーターまたはイミノ酢酸キレーターを含み得る。
【0090】
磁気共鳴造影剤用のキレーターを選択して、Gd(III)、Dy(III)、Fe(III)、およびMn(II)などの常磁性金属イオンとの安定した複合体を形成可能であり、これはDTPA、DOTA、DO3A、2−ベンジル−DOTA、α−(2−フェネチル)1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−酢酸−4,7,10−トリス(メチル酢)酸、2−ベンジル−シクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2−ベンジル−6−メチル−DTPA、および6,6”−ビス[N,N,N”,N”−テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)−4’−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−2,2’:6’,2”−ターピリジンなどの環式および非環式ポリアミノカルボキシレートから選択される。
【0091】
一実施形態では、インテグリン作用剤が、(a)非蛍光または(b)蛍光のいずれかの超常磁性金属酸化物ナノ粒子とコンジュゲートされ、in vitroおよびin vivoにおける多岐にわたる用途で使用可能である。磁気特性も有する蛍光金属酸化物ナノ粒子をMRIに使用して、集学的造影剤を得ることも可能である。
【0092】
特定の実施形態では、造影剤が以下の特徴のうち1つ以上を有する蛍光および/または非蛍光の超常磁性金属酸化物ナノ粒子を含み得る。(1)複数の作用剤を付着させるのに適したポリマーコーティング、(2)粒子1個あたり約10〜約300の作用剤を付着させるのに適した非架橋ポリマーコーティング、(3)生物学的特性を保持したまま作用剤を効率的に化学結合して、分子造影剤を得られる可能性があるポリマーコーティング。作用剤修飾金属酸化物ナノ粒子は、作用剤の化学結合前後のどちらでもin vitroにて極めて安定した分子造影剤であるが、in vivoでは依然として不安定および/または分解性である。
【0093】
インテグリン作用剤コンジュゲート金属酸化物ナノ粒子については、たとえば、動物および/または人間の被検体などの被検体への投与に適した医薬組成物に処方可能である。
【0094】
(iii)超音波レポーター
超音波イメージングの場合、イメージングレポーターは、Levovist、AlbunexまたはEchovistなどの気体で満たした気泡あるいは、金属イオンの原子番号が21〜29、42、44または57〜83の粒子または金属キレートを含み得る。このような化合物の例が、Tylerら、ULTRASONIC IMAGING、3、pp.323〜29(1981)およびSwanson、「Enhancement Agents for Ultrasound: Fundamentals」 PHARMACEUTICALS IN MEDICAL IMAGING、pp.682〜87(1990)に記載されている。
【0095】
(iv)X線レポーター
代表的なレポーターは、原子番号57〜83の重金属イオンのヨウ素化有機分子またはキレートを含み得る。このような化合物の例が、Sovak編、「Radiocontrast Agents」 SPRINGER−VERLAG、pp.23〜125(1984)および米国特許第4,647,447号明細書に記載されている。
【0096】
III.リンカー
リンカーまたはスペーサー部分を使用して、1種類以上のイメージングレポーターおよび/またはインテグリン標的化部分および/または生物学的修飾物質を化学結合し、本発明のインテグリン作用剤を生成することが可能である。有用なリンカー部分としては、天然と非天然の両方のアミノ酸および核酸、ペプチドならびに、アミノエチルマレイミドなどの合成リンカー分子があげられる。リンカーがペプチドである場合、このペプチドは、任意に、酵素などの多岐にわたる作用剤で切断可能なタンパク質分解性切断部位を含むものであってもよい。
【0097】
特定のリンカーに対する構造的、大きさまたは内容の特別な制限が存在しないことは、理解できよう。リンカーは、たとえば、多様なアーキテクチャの分子の会合を可能にするマレイミド、ジチオピリジル、チオール、アジド、アルケンまたはアルキンなどの多岐にわたる官能基を含み得る。
【0098】
リンカーは、同種官能化リンカーまたは異種官能化リンカーである。たとえば、アミン(NH)官能化部分を、アミノ基と反応するよう設計された二官能性架橋剤と反応させることが可能である。リンカーの形成を容易にし得る、あるいは、たとえばフルオロフォアと酵素的に切断可能なオリゴペプチドとの共有結合リンケージを容易にし得る特に有用なコンジュゲーション試薬は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルおよび/またはマレイミドを含み得る。NHSエステルは、たとえばペプチドまたはフルオロフォアのアミン基と反応できる。マレイミドは、別の分子のスルフヒドリル基と反応できる。他の特に有用なリンカー部分に、N−サクシニミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、長鎖−SPDP、マレイミド安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、サクシニミジルトランス−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、サクシニミジルヨードアセテート(SIA)などの二官能性架橋剤がある。
【0099】
特定の実施形態では、リンカーが存在する場合に、このリンカーはジアミンの誘導体であってもよい。ジアミン部分または誘導体は、任意に、カルボン酸で誘導体化することで、分子を化学的に結合するためのさまざまな長さと化学のリンカーアームを提供できるものである。ジアミンの非限定的な例としては、エチレンジアミン(EDA)、プロピレンジアミン、スペルミジン、スペルミン、ヘキサンジアミン、およびジアミン−アミノ酸(ホモリジン、リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸、ジアミノプロピオン酸など)があげられる。他の実施形態では、造影剤の部分をジカルボン酸、たとえば、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸またはアジピン酸と化学結合可能である。一実施形態では、リンカーがアミノエチルマレイミドである。
【0100】
特定の実施形態では、アジド−アセチレンHuisgen[3+2]環付加にて置換アルキンと反応できるアジド部分からリンカーを形成可能である。特定の実施形態では、アジドまたはアルキンリンカーが、ポリエチレングリコール(PEG)部分をたとえば酵素的に切断可能なオリゴペプチドに結合可能である。他の企図されるリンカーとして、プロパルギルグリシン、ペンタノイル、ペンチン酸、プロパルギル酸、および/またはプロパルギルアミン部分があげられる。
【0101】
特定の実施形態では、アミノ官能化イメージング標的化部分のアミン基と反応するイメージングレポーターの反応性NHSエステル基を用いてイメージングレポーターをインテグリン標的化部分に対して直接的に化学結合する。他の特定の実施形態では、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3,−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジサクシニミジルカーボネート(DSC)などの従来技術において周知の作用剤を活性化することで、イメージングレポーターのカルボン酸基をin situにて活性化可能である。他の実施形態では、スルフヒドリルまたはチオール基を含有するイメージングレポーターを、スルフヒドリル(チオール)基と反応可能な第2の部分を有する二官能性架橋剤を介してイメージング標的化部分に化学結合可能である。このような架橋剤としては、たとえば、上述したように、SPDP、長鎖−SPDP、SIA、MBS、SMCCならびに、従来技術において周知の他のものがあげられる。
【0102】
有用なリンカー部分としては、天然および非天然の両方のアミノ酸、オリゴペプチド(直鎖状または環状オリゴペプチドなど)、核酸があげられる。リンカーは、ペプチドまたはペプチド部分であってもよく、任意に、対象部位でのpHの変化によって切断可能なエステルリンケージなどのタンパク質分解性または非タンパク質分解性の切断部位を含む。
【0103】
本明細書で使用する場合、「酵素的に切断可能なオリゴペプチド」という表現は、酵素的に切断可能なペプチド結合によって結合された2個以上のアミノ酸を含むペプチドを意味するものと理解される。また、擬ペプチドまたはペプチド模倣物を含む部分も含まれる。切断可能なペプチド基質の例を、米国特許第7,439,319号明細書に見いだすことが可能である。
【0104】
「アミノ酸」という用語は、本明細書で使用する場合、塩基性アミノ基と酸性カルボキシル基の両方を含有する有機化合物を意味するものと理解される。この用語に含まれるのは、天然アミノ酸(L−アミノ酸など)、修飾アミノ酸および普通ではないアミノ酸(D−アミノ酸など)ならびに、遊離形態または組み合わされた形態で生物学的に生じることが知られているが、通常はタンパク質に生じないアミノ酸がある。天然アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、チロシン、トリプトファン、プロリン、およびバリンがあげられるが、これに限定されるものではない。他のアミノ酸としては、アルギノコハク酸、シトルリン、システインスルフィン酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、カルニチン、セレノシステイン、セレノメチオニン、3−モノヨードチロシン、3,5−ジヨードチロシン、3,5,5’−トリヨードチロニン、および3,3’,5,5’−テトラヨードチロニンがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0105】
本発明を実施するにあたって使用可能な修飾アミノ酸または普通ではないアミノ酸としては、D−アミノ酸、ヒドロキシリジン、デヒドロアラニン、ピロリジン、2−アミノイソ酪酸、γアミノ酪酸、5−ヒドロキシトリプトファン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、4−ヒドロキシプロリン、N−Cbz−保護アミノ酸、2,4−ジアミノ酪酸、ホモアルギニン、ノルロイシン、N−メチルアミノ酪酸、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、β−フェニルプロリン、tert−ロイシン、4−アミノシクロヘキシルアラニン、N−メチル−ノルロイシン、3,4−デヒドロプロリン、N,N−ジメチルアミノグリシン、N−メチルアミノグリシン、4−アミノピペリジン−4−カルボン酸、6−アミノカプロン酸、trans−4−(アミノメチル)−シクロヘキサンカルボン酸、2−、3−および4−(アミノメチル)−安息香酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、および2−ベンジル−5−アミノペンタン酸があげられるが、これに限定されるものではない。
【0106】
本明細書で使用する場合、「擬ペプチド」または「ペプチド模倣物」は、たとえば、アミドリンケージ(擬ペプチド結合)を介する以外の結合基を使用および/または非アミノ酸置換基および/または修飾アミノ酸残基を使用することで、アミノ酸残基またはペプチドの構造を模倣する化合物である。「擬ペプチド残基」は、ペプチドに存在する擬ペプチドまたはペプチド模倣物の一部を意味する。「擬ペプチド結合」という用語は、正常なアミドリンケージに代えてまたはその代用として使用してもよいペプチド結合アイソスターを含む。代替またはアミド「等価物」リンケージは、アミド結合の空間的要件を模倣し、酵素分解に対して分子を安定させなければならない、ペプチドまたはタンパク質には通常見られない原子の組み合わせから形成される。本明細書では、従来から用いられている以下の3文字でのアミノ酸略記を使用する。Ala=アラニン;Aca=アミノカプロン酸、Ahx=6−アミノヘキサン酸、Arg=アルギニン;Asn=アスパラギン;Asp=アスパラギン酸;Cha=シクロヘキシルアラニン;Cit=シトルリン;Cys=システイン;Dap=ジアミノプロピオン酸;Gln=グルタミン;Glu=グルタミン酸;Gly=グリシン;His=ヒスチジン;Ile=イソロイシン;Leu=ロイシン;Lys=リジン;Met=メチオニン;Nal=ナフチルアラニン;Nle=ノルロイシン;Orn=オルニチン;Phe=フェニルアラニン;Phg=フェニルグリシン;Pro=プロリン;Sar=サルコシン;Ser=セリン;Thi=チエニルアラニン;Thr=スレオニン;Trp=トリプトファン;Tyr=チロシン;Val=バリン。D−という接頭辞を使用する場合、そのアミノ酸のD−異性体を示す。たとえば、D−リジンはD−Lysと表記される。
【0107】
ペプチドは、溶液相化学または固体相化学のいずれか一方または両方の組み合わせを用いて合成可能である(Albericio、Curr. Opinion. Cell Biol.、8、211〜221(2004)、M. Bodansky、Peptide Chemistry: A Practical Textbook、Springer−Verlag; N.L. Benoiton、Chemistry of Peptide Synthesis、2005、CRC Press)。
【0108】
本発明の作用剤の調製には、選択的または直交性アミン保護基が必要なこともある。本明細書で使用する場合、「アミン保護基」という用語は、アミン基の保護に対して有機合成の従来技術において周知の基を意味する。このようなアミン保護基としては、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」 John Wiley & Sons、New York(1981)および「The Peptides:Analysis、Synthesis、Biology、Vol. 3、Academic Press、New York(1981)に列挙されているものがあげられる。従来技術において周知のどのようなアミン保護基でも使用可能である。アミン保護基の例としては、1)ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリル、p−トルエンスルホニルなどのアシルタイプ、2)ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)および置換ベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニル)−1−メチルエトキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの芳香族カルバメートタイプ、3)tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニルなどの脂肪族カルバメートタイプ、4)シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニルなどの環状アルキルカルバメートタイプ、5)トリフェニルメチルおよびベンジルなどのアルキルタイプ、6)トリメチルシランなどのトリアルキルシラン、7)フェニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイルなどのチオール含有タイプがあげられるが、これに限定されるものではない。また、「アミン保護基」という用語に含まれるのは、アジドベンゾイル、p−ベンゾイルベンゾイル、o−ベンジルベンゾイル、p−アセチルベンゾイル、ダンシル、グリシル−p−ベンゾイルベンゾイル、フェニルベンゾイル、m−ベンゾイルベンゾイル、ベンゾイルベンゾイルなどのアシル基である。
【0109】
特定の実施形態では、酵素的に切断可能なオリゴペプチドが、オリゴ−L−アルギニン、オリゴ−L−リジン、オリゴ−L−アスパラギン酸またはオリゴ−L−グルタミン酸を含み得る。
【0110】
酵素的に切断可能なオリゴペプチドは、ヒドロラーゼ、エラスターゼ、カテプシン、マトリックスメタロプロテアーゼ、ペプチダーゼ、エキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、リアーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼ、ホスファターゼ、ホスホジエステラーゼ、スルファターゼ、セリンプロテアーゼ、スブチリシン、キモトリプシン、トリプシン、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、カルパイン、パパイン、カスパーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、ペプシン、キモシン、グルタミン酸プロテアーゼ、レニン、レダクターゼならびに、寄生虫、ウイルス、および細菌の酵素から選択される少なくとも1種類の酵素によって切断可能である。
【0111】
IV.生物学的修飾物質
意図した用途に応じて、インテグリン作用剤は、インテグリン作用剤の生物学的特性を変えることのできる1種類以上の生物学的修飾物質を含み得る。たとえば、生物学的修飾物質は、未修飾のインテグリンリガンドと比較して、インテグリン作用剤を、投与用の媒質に対する水溶性および分散性がさらに高く、結合特異性が高く、免疫原性が低く、毒性が低く、非特異的結合が少ないものとし、体内分布および薬物動態を変化させることが可能である。
【0112】
たとえば、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)またはポリペプチドの取り込みは、インテグリン作用剤のin vivoでの薬力学および血液クリアランス速度を改変するよう機能することがある。他の生物学的修飾物質を選択し、筋肉または肝臓などのバックグラウンド組織および/または血液からのインテグリン作用剤のクリアランスを加速し、これによってバックグラウンドの干渉を抑えつつ画像品質を改善することが可能である。さらに、生物学的修飾物質を使用して、肝臓経由ではなく腎臓経由など、特定の排出経路が優先されるようにすることも可能である。生物学的修飾物質は、医薬組成物におけるプローブ形成の一助となり得るものであり、あるいは、インテグリン作用剤のシグナル報告特性を変化させるまたは保存するのに使用してもよい。特に、インテグリン標的化剤に対するポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体の化学結合は、血中滞留時間を延ばす(循環を延ばす)とともに、免疫原性を下げる可能性がある。
【0113】
代表的な生物学的修飾物質としては、ポリエチレングリコール(PEG)およびその誘導体(たとえば、アルコキシポリエチレングリコール(たとえば、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコールなど)、分岐鎖ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリリジンとメトキシポリエチレングリコールのグラフトコポリマー、アミノ酸、ペプチド、脂質、脂肪酸、パルミテート、リン脂質、リン脂質−PEGコンジュゲート、炭水化物(デキストラン、アミノ−デキストラン、カルボキシメチル−デキストランなど)、酸化鉄ナノ粒子、スルホネート、ポリスルホネート、システイン酸、ナフチルアラニン、フェニルアラニン、および3,3−ジフェニルプロピルアミンがあげられる。
【0114】
通常、生物学的修飾物質の分子量が、約5kDa〜約40kDaなど、約10kDa〜約35kDaなど、さらに約15kDa〜30kDaなど、約2kDa〜約50kDa未満であればよい。もうひとつの実施形態では、生物学的修飾物質の分子量が、約5kDa〜約40kDaなど、約5kDa〜約35kDaなど、約5kDa〜約30kDaなど、約5kDa〜約25kDaなど、約5kDa〜約20kDaなど、約5kDa〜約15kDaなど、さらに約5kDa〜10kDaなど、約5kDa〜約45kDaであればよい。もうひとつの実施形態では、生物学的修飾物質の分子量が、約2kDa〜約45kDaなど、約2kDa〜約40kDaなど、約2kDa〜約35kDaなど、約2kDa〜約30kDaなど、約2kDa〜約25kDaなど、約2kDa〜約10kDaなど、さらに約2kDa〜5kDaなど、約2kDa〜50kDa未満であればよい。
【0115】
上述したような特定の実施形態では、生物学的修飾物質が、分子量がたとえば、約0.5kDa〜約50kDa、約5kDa〜約35kDaまたは約10kDa〜約30kDaのPEG部分であってもよい。あるいは、PEGが、約1100ダルトンなどの別々の分子量で官能化されたdPEGであってもよい。
【0116】
特定の実施形態では、PEGが、メトキシPEG(5000)−サクシニミジルプロピオネート(mPEG−SPA)、メトキシPEG(5000)−サクシニミジルスクシネート(mPEG−SS)である。このようなPEGはNektar TherapeuticsまたはSunBiowestまたはLaysanBioまたはNOFから市販されている。
【0117】
カルボキシル官能基を介してPEG部分をインテグリン作用剤の反応性アミンにコンジュゲート可能である。あるいは、チオール反応性架橋剤を用いて、PEGのチオール基と反応させることで、PEG修飾物質をインテグリン作用剤にコンジュゲート可能である。
【0118】
一実施形態では、PEGは、分岐鎖であってもよいし、JenKem USAまたはNOFから入手可能なようなY字形であってもよく、あるいはコーム形または2個以上のPEGをグルタミン酸などの小さな分子にカップリングして合成されたものであってもよい。
【0119】
PEGのオメガ位がヒドロキシル基またはメトキシ基を含むこともあれば、PEGがオメガ位にアミノ基を含有することもある。このようなアミノ基は、多岐にわたる作用剤にカップリング可能なものである。本発明のもうひとつの実施形態では、生物学的修飾物質がペグ化ポリ−L−リジンまたはペグ化ポリ−D−リジンであっても構わない。
【0120】
他の実施形態では、生物学的修飾物質がポリビニルピロリドン(PVP)−タイプのポリマーであり得る。生物学的修飾物質は、官能化ポリビニルピロリドン、たとえば、(ポリマー源から得られるような)ポリマーの一方(または両方)の端またはポリマー鎖内でカルボキシまたはアミン官能化可能である。
【0121】
あるいは、生物学的修飾物質は、ポリN−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)または官能化HPMA(アミン、カルボキシなど)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)または官能化ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含み得る。
【0122】
生物学的修飾物質は、ペンチノイルなどの直鎖または分岐鎖のアシル基;スクシニルなどの酸性基;メチル、エチル、プロピルなどの低級アルキル基;カルボキシエチルなどのカルボキシアルキル基;トリフルオロメチルなどのハロアルキル基などを含み得る。
【0123】
通常、生物学的修飾物質を含めても、インテグリン作用剤の親和性および/または結合特性に悪影響がおよばないようにすべきである。
【0124】
V.代表的なインテグリン標的化剤および製剤
従来技術において周知の標準的な化学を用いて、上述したインテグリン結合部分、イメージングレポーター、生物学的修飾物質およびリンカーのうちの1種類以上を用いて、有用なインテグリン標的化剤を創製可能である。特定の用途に応じて、インテグリン作用剤は水溶性または水分散性(すなわち、水性媒体または生理学的媒体の溶液に対して十分に可溶または懸濁可能)でなければならない。インテグリン作用剤のin vivoでの半減期は、少なくとも約10分、一層好ましくは30分から数時間になるように設計可能なものである。この作用剤のin vivoでの半減期は、好ましくは、良好な組織曝露および結合を達成できるだけの十分な時間(たとえば、少なくとも約30分間)である。一実施形態では、インテグリン作用剤が、水性媒体に対して水溶性または分散性であり、生体適合性すなわち、たとえばLD50が体重1kgあたり約50mgを超えるなど、無毒である。インテグリン作用剤は、好ましくは望ましくない光毒性を持たないおよび/または低血清タンパク質結合親和性を示さないものである。
【0125】
本明細書に開示の造影剤は、動物および/または人間などの被検体への投与に適した医薬組成物に処方可能なものである。医薬組成物は、1種類以上の造影剤と、1種類以上の賦形剤、たとえば安定剤とを、生理学的に関連するキャリアに含み得る。
【0126】
in vivoでの用途については、本発明の組成物を動物または人間などの被検体への投与に適した製剤で提供可能である。したがって、この製剤は、作用剤を所望の形態および/または投与用量に適した生理学的に関連するキャリアと一緒に含む。「生理学的に関連したキャリア」という表現は、作用剤が分散され、溶解され、懸濁され、混合され、生理学的に許容可能すなわち、過度な不快感または刺激または毒性なしに被検体の身体、その体内、その体表面に投与可能なキャリアを意味するものと理解される。好ましいキャリアは、流体、好ましくは液体、一層好ましくは水溶液である。しかしながら、固体製剤、局所製剤、吸入製剤、点眼製剤および経皮製剤用のキャリアも本発明の範囲に包含されるものである。
【0127】
作用剤を経口または非経口的に投与可能なことも企図される。非経口投与の場合、作用剤を、静脈内、筋肉内、皮膚、経皮、皮下、経直腸、経鼻、経膣および経眼投与可能である。よって、組成物はたとえば、固体錠剤、カプセル、ピル、凍結乾燥粉末を含む粉末、コロイド懸濁液、ミクロスフェア、リポソーム顆粒、懸濁液、エマルション、溶液、ハイドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、石膏、灌注溶液、水薬、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸薬、注射可能薬、インプラント、スプレーまたはエアロゾルの形を取り得る。この医薬組成物は、従来の製剤実務どおりに処方可能である(たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2000、編A.R. Germaro、Lippincott Williams & Wilkins、PhiladelphiaおよびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、編J. SwarbrickおよびJ. C. Boylan、1988〜1999、Marcel Dekker、New Yorkを参照のこと)。
【0128】
作用剤の製剤、投与モードの選択、被検体に投与される作用剤の投与量、作用剤の投与とイメージングとの間のタイミングが、当業者のレベル内であることは理解できよう。
【0129】
VI.用途
インテグリン標的化剤を多岐にわたるイメージングおよび治療用途で使用可能である旨は、理解できよう。
【0130】
(a)イメージング方法
本発明は、本明細書に開示の造影剤を用いるin vitroおよびin vivoでのイメージング方法を提供するものである。光学イメージング技術の概要については、たとえば、Alfanoら、ANN. NY ACAD. SCI. 820:248〜270(1997);Weissleder、NATURE BIOTECHNOLOGY 19、316〜317(2001);Ntziachristosら、EUR. RADIOL. 13:195〜208(2003);Gravesら、CURR. MOL. MED. 4:419〜430(2004);Citrinら、EXPERT REV. ANTICANCER THER. 4:857〜864(2004);Ntziachristos、ANN. REV. BIOMED. ENG. 8:1〜33(2006);Kooら、CELL ONCOL. 28:127〜139(2006);Raoら、CURR. OPIN. BIOTECHNOL. 18:17〜25(2007)を参照のこと。
【0131】
光学イメージングは、装置を使用しない直接的な可視化から、さまざまなスコープ、カテーテル、光学イメージング機器(断層提示用のコンピュータベースのハードウェアなど)などの装置を用いるものまで、あらゆる方法を含む。造影剤は、内視鏡検査;蛍光内視鏡検査;ルミネセンスイメージング;時間分解透過イメージング;透過イメージング;非線形顕微鏡法;共焦点イメージング;音弾性光学イメージング;光音響イメージング;反射分光測定;分光測定;コヒーレンスインターフェロメトリー;インターフェロメトリー;光学コヒーレンス断層撮影;拡散光学断層撮影および蛍光による分子断層撮影(連続波、タイムドメイン周波数ドメインシステムおよび初期フォトン)ならびに、光散乱、吸収、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収率,およびクエンチングの測定を含むがこれに限定されるものではない、光学イメージングモダリティおよび測定技術で有用である。
【0132】
本発明を実施するにあたって有用なイメージングシステムは一般に、(1)造影剤の励起を誘導するための適切な光源、(2)フルオロフォア励起に用いる光からの発光を分離または区別するためのシステム、(3)検出システムという3つの基本構成要素を含む。検出システムは、手持ち式であってもよいし、術中顕微鏡などの他の有用なイメージング装置に組み込まれたものであってもよい。代表的な検出システムとして、内視鏡、カテーテル、断層システム、手持ち式イメージングシステムまたは術中顕微鏡があげられる。
【0133】
好ましくは、光源は単色光(または実質的に単色光)の光を出力する。光源は、適宜フィルタされた白色光すなわち、広帯域の源からの帯域通過光であってもよい。たとえば、150ワットのハロゲンランプからの光を、Omega Optical(Brattleboro、VT)から市販されている適当な帯域通過フィルタに通すことが可能である。システム次第では、光源がレーザであっても構わない。たとえば、Boasら、PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 91:4887〜4891、1994;Ntziachristosら、PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 97:2767〜2772、2000;Alexander、J. CLIN. LASER MED. SURG. 9:416〜418、1991を参照のこと。イメージング用レーザについての情報は、たとえば、Imaging Diagnostic Systems,Inc.、Plantation、FLおよび他のソースに見いだすことが可能である。高域通過または帯域通過フィルタを使用して、光学発光を励起光と分離することが可能である。好適な高域通過または帯域通過フィルタは、Omega Optical、Burlington、VTから市販されている。
【0134】
通常、光検出システムは、集光/画像形成要素と光/シグナル検出/画像記録要素とを含むものとして観察される。光検出システムは、両方の要素を取り入れた一体型の装置単体であってもよいが、集光/画像形成要素と光検出/画像記録要素を別々に論じる。
【0135】
特に有用な集光/画像形成要素は内視鏡である。腹膜(Gahlenら、J. PHOTOCHEM. PHOTOBIOL. B 52:131〜135、1999)、卵巣癌(Majorら、Gynecol. Oncol. 66:122〜132、1997)、結腸および直腸(Mycekら、GASTROINTEST. ENDOSC. 48:390〜394、1998;Steppら、ENDOSCOPY 30:379〜386、1998)、胆管(Izuishiら、HEPATOGASTROENTEROLOGY 46:804〜807、1999)、胃(Abeら、ENDOSCOPY 32:281〜286、2000)、膀胱(Kriegmairら、UROL. INT. 63:27〜31、1999;Riedlら、J. ENDOUROL. 13:755〜759、1999)、肺(Hirsch ら、CLIN CANCER RES 7:5〜220、2001)、脳(Ward、J. LASER APPL. 10:224〜228、1998)、食道、頭部および頸部領域をはじめとするさまざまな組織および臓器のin vivo光学イメージングに用いられてきた内視鏡装置および技術を、本発明の実施にあたって用いることが可能である。
【0136】
他のタイプの集光成分に、光ファイバー装置をはじめとするカテーテルベースの装置がある。このような装置は、血管内イメージングに特に適している。たとえば、Tearneyら、SCIENCE 276:2037〜2039、1997;CIRCULATION 94:3013、1996を参照のこと。
【0137】
位相配列技術(Boasら、PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 91:4887〜4891、1994;Chance、ANN. NY ACAD. SCI. 838:29〜45、1998)、光学断層撮影(Chengら、OPTICS EXPRESS 3:118〜123、1998;Siegelら、OPTICS EXPRESS 4:287〜298、1999)、生体内顕微鏡法(Dellianら、BR. J. CANCER 82:1513〜1518、2000;Monskyら、CANCER RES. 59:4129〜4135、1999;Fukumuraら、CELL 94:715〜725、1998)、共焦点イメージング(Korlachら、PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 96:8461〜8466、1999;Rajadhyakshaら、J. INVEST. DERMATOL. 104:946〜952、1995;Gonzalezら、J. MED. 30:337〜356、1999)、蛍光分子断層撮影(FMT)(Nziachristosら、NATURE MEDICINE 8:757〜760、2002;米国特許第6,615,063号明細書、国際公開第03/102558号パンフレット、同第03/079015号パンフレット)をはじめとするさらに他のイメージング技術を本発明の造影剤と一緒に用いることも可能である。同様に、たとえば、(1)IVIS(登録商標)イメージングシステム:100シリーズ、200シリーズ(Xenogen、Alameda、CA)、(2)SPECTRUMおよびLUMINA(Xenogen、Alameda、CA)、(3)SoftScan(登録商標)またはeXplore Optix(商標)(GE Healthcare、英国)、(4)Maestro(商標)およびNuance(商標)−2 Systems(CRi、Woburn、MA)、(5)Carestream Molecular Imaging、Rochester、NY(旧Kodak Molecular Imaging Systems)からのImage Station In−Vivo FX、(6)OV100、IV100(オリンパス株式会社、日本)、(7)Cellvizio Mauna Kea Technologies、フランス)、(8)] NanoSPECT/CTまたはHiSPECT(Bioscan、Washington、DC)、(9)CTLM(登録商標)またはLILA(商標)(Imaging Diagnostic Systems、Plantation、FL)、(10)DYNOT(商標)(NIRx Medical Technologies、Glen Head、NY)、(11)Berthold Technologies、ドイツによるNightOWL Imaging Systemsなどの多岐にわたるイメージングシステムで、造影剤を使用可能である。
【0138】
電荷結合装置(CCD)システムまたは写真フィルムなどの多岐にわたる光検出/画像記録要素を、このようなシステムに使用可能である。光検出/画像記録の選択肢は、使用する集光/画像形成要素のタイプを含む要因に左右される。しかしながら、好適な要素の選択、これを光学イメージングシステムでの組み立て、システムの操作については、当業者の範囲内であることは理解できよう。
【0139】
磁気特性を有する作用剤の場合、本発明を実施するにあたって従来技術において周知のMRIイメージングを適用することも可能である。MRI技術の概要については、Westbrook、HANDBOOK OF MRI TECHNIQUE、第2版、1999、Blackwell Scienceを参照のこと。たとえば光学イメージングおよび磁気共鳴映像法によって得られた画像を互いに同時登録または融合させて、画像化対象とした項目についての別の情報を得られる可能性もある。さらに、集学的イメージングシステム(すなわち、光学イメージングシステムとMRイメージングシステムとの組み合わせ)を使用して、合成光学MR画像を生成することも可能である。
【0140】
また、他のイメージング組成物および方法に本発明の組成物および方法を使用することも可能である。たとえば、本発明の作用剤を、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、MRイメージング、超音波、ポジトロン発光断層撮影(PET)、単一光子コンピュータ断層撮影(SPECT)などの他のイメージングモダリティで画像化することが可能である。
【0141】
また、本発明の組成物および方法を他のイメージング組成物および方法と併用することも可能である。たとえば、本発明の作用剤を、単独あるいは、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、MRイメージング、超音波、ポジトロン発光断層撮影(PET)、単一光子コンピュータ断層撮影(SPECT)などの他の伝統的なイメージングモダリティとの組み合わせで、光学イメージングプロトコールによって画像化することが可能である。たとえば、本発明の組成物および方法をCTまたはMRIと併用し、たとえば、別のイメージングモダリティで生成された画像の同時登録によって、解剖学的情報と分子的情報の両方を同時に得ることが可能である。また、本発明の組成物および方法は、X線、CT、PET、超音波、SPECTおよび他の光学およびMRコントラスト剤との併用が可能なものであり、あるいは、本発明の作用剤が、ヨウ素、ガドリニウム原子および放射性アイソトープ(CT、PET、SPECT、MRイメージングモダリティを光学イメージングと併用して検出可能)などの造影剤を含むものであってもよい。造影剤を作用剤と結合または作用剤に取り込むことも可能である。
【0142】
(i)In Vivoイメージング法
光学in vivoイメージングに関して、このような方法は、(a)本明細書に記載のインテグリン作用剤1種類以上を被検体に投与し、(b)作用剤が被検体で分散できるだけの十分な時間を取り、(c)インテグリン作用剤によって発光するシグナルを検出することを含む。作用剤によって放射されるシグナルを使用して、断層画像などの画像を構成することが可能である。上記のステップをあらかじめ定められた時間間隔で繰り返すことで、被検体においてインテグリン作用剤の放射シグナルを経時的に評価できるようにすることも可能である。
【0143】
もうひとつのin vivoイメージング方法では、この方法が、(a)蛍光色素を含有するインテグリン作用剤1種類以上を被検体に投与するステップと、(b)インテグリン作用剤が被検体で分散できるだけの十分な時間を取るステップと、(c)蛍光色素が吸収可能な波長の光に被検体を曝露するステップと、(d)インテグリン作用剤によって放射されるシグナルを検出するステップと、を含む。上記のステップをあらかじめ定められた時間間隔で繰り返すことで、被検体においてインテグリン作用剤の放射シグナルを経時的に評価できるようにすることも可能である。照射ステップおよび/または検出ステップ(それぞれステップ(c)および(d))については、内視鏡、カテーテル、断層システム、平面システム、手持ち式イメージングシステム、ゴーグルまたは術中顕微鏡を用いて実施可能である。
【0144】
これらのステップの前または途中で、検出システムを被検体(たとえば、動物または人間)の周囲または付近に配置して、被検体から放射されるシグナルを検出することが可能である。放射シグナルを処理し、断層画像などの画像を構成することが可能である。また、処理後のシグナルを、単独または融合(合成)画像として、画像として表示することが可能である。
【0145】
また、インテグリン作用剤を含む1つ、2つ、さらに多くの分子イメージングプローブを同時に選択的に検出および画像化するin vivoイメージング方法を実施することが可能である。このような方法では、たとえば、上述したステップ(a)において、シグナル特性を互いに区別できる2つ以上のイメージングプローブを、同時または逐次的に被検体に投与する。この場合、分子イメージングプローブの少なくとも一方がインテグリン作用剤である。複数のプローブを用いることで、複数の生物学的プロセス、機能または標的を記録できる。
【0146】
被検体は、哺乳動物(人間など)などの脊椎動物であってもよい。また、被検体は、実験室での研究調査に用いられる非脊椎動物(線虫(C.elegans)、ショウジョウバエ、あるいは別のモデル研究生物など)であってもよい。
【0147】
このようなin vivoイメージング方法によって得られる情報、たとえば、放射シグナルの有無またはレベルを使用して、被検体における疾患を検出および/または監視することが可能である。代表的な疾患として、限定することなく、自己免疫疾患、骨疾患、癌、心血管疾患、環境疾患、皮膚疾患、免疫疾患、遺伝性疾患、感染症、代謝疾患、神経変性疾患、眼疾患、呼吸器疾患があげられる。また、in vivoイメージングを使用して、造影剤を用いることによる化合物または治療法の効果を評価することも可能である。この場合、当該化合物または治療法での治療の前後に被検体を画像化し、対応するシグナル/画像を比較する。
【0148】
インテグリン標的化剤は、インテグリン作用剤で標識した細胞をレシピエントに投与するin vivoイメージング方法でも使用可能である。細胞は、in vivoまたはex vivoのいずれかにおいてインテグリン作用剤で標識可能である。ex vivoの方法では、細胞を被検体または別のソース(別の被検体、細胞培養など)から直接誘導する。インテグリン作用剤を細胞と混合して細胞を効果的に標識するとともに、得られた標識細胞をステップ(a)の被検体に対して被検体に投与することも可能である。次に、上述したようにしてステップ(b)〜(d)を続ける。この方法は、T細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、幹細胞をはじめとする特定の細胞タイプならびに、他の細胞タイプの輸送および局在化の監視に使用可能である。特に、この方法を使用して、細胞ベースの治療法を監視してもよい。
【0149】
インテグリン標的化剤の製剤、投与モードの選択肢、被検体に投与されるインテグリン作用剤の投与量、インテグリン標的化剤の投与とイメージングとの間のタイミングは当業者のレベルの範囲内であることは、理解できよう。
【0150】
上記の方法を使用して、被検体におけるインテグリン作用剤の経時的な局在化を追跡あるいは、被検体におけるインテグリン作用剤の経時的な代謝および/または排泄の変化または変動を評価することをはじめとする多数の兆候を判断することが可能である。この方法はまた、有効性、最適なタイミング、最適な投与レベル(個々の患者または被検体に対するものを含む)、併用療法の相乗効果の判断を含むがこれに限定されるものではない、このような治療法によって調節される分子イベントや生物学的経路を画像化することで、当該疾患の治療法のフォローに使用可能である。
【0151】
本発明の方法および組成物は、関節炎、癌、特に結腸ポリープあるいは、不安定プラーク(vulnerable plaque)または不安定プラーク(unstable plaque)などの疾患領域を内科医または外科医が識別および特徴化し、脳外科などにおいて通常の手術用顕微鏡を使用すると検出が困難な腫瘍辺縁を検出するなど、疾患組織と正常組織を区別するのを助ける目的、病変が癌性で除去すべきであるか非癌性でそのまま残すかを判断することなどによる治療的介入または外科的介入について説明するのを助ける目的、あるいは、術中リンパ節ステージングなどの疾患の外科的ステージング、センチネルリンパ節マッピングまたは術中出血評価において、使用可能である。
【0152】
本発明の方法および組成物を使用して、疾患、特に早期疾患の局在化、疾患または疾患関連症状の重症度の検出、特徴化および/または判断、疾患のステージングおよび/または疾患の監視をすることも可能である。放射シグナルの有無またはレベルが、疾患状態を示す指標となり得る。
【0153】
また、本発明の方法および組成物を使用して、外科手術ならびに、細胞ベースの治療法を含む薬物療法を監視することなどのさまざまな治療的介入を監視および/またはガイドすることも可能である。また、疾患または疾患症状の予後に本発明の方法を使用することも可能である。
【0154】
上記の各々に関して、検出または監視可能(治療法の前、途中または後)な疾患または疾患症状の例として、炎症(関節リウマチなど、たとえば関節炎によって生じる炎症)、癌(結腸直腸、卵巣、肺、乳、前立腺、子宮頚部、精巣、皮膚、脳、胃腸、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、白血病、口、食道、骨など)、心血管疾患(アテローム性動脈硬化症および血管の炎症症状、虚血、脳卒中、血栓症、播種性血管内凝固など)、皮膚疾患(カポジ肉腫、乾癬、アレルギー性皮膚炎など)、眼疾患(黄斑変性症、糖尿病性網膜症など)、感染症(後天性免疫不全症候群、マラリア、シャガス病、住血吸虫症をはじめとする細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生虫感染など)、免疫疾患(自己免疫疾患、リンパ腫、多発性硬化症、関節リウマチ、真性糖尿病、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、グレーブス病など)、中枢神経系疾患(パーキンソン病またはアルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病などの神経変性疾患など)、遺伝性疾患、代謝疾患、環境疾患(鉛、水銀、放射線中毒、皮膚癌など)、骨関連疾患(骨粗鬆症、原発性骨腫瘍、骨転移癌、骨関節炎など)、神経変性疾患、手術関連の合併症(移植片拒絶、臓器拒絶、創傷治癒の変化、線維症または外科的インプラントに関連する他の合併症など)があげられる。
【0155】
したがって、本明細書に記載の方法および組成物を使用して、たとえば、腫瘍細胞の存在および/または局在化、アテローム性動脈硬化症または関節炎などにおける活性化マクロファージの存在をはじめとする炎症の存在および/または局在化、冠動脈および末梢血管における急性閉塞(すなわち不安定プラーク(vulnerable plaque))の危険性のある部分、拡大する動脈瘤の領域、頸動脈における不安定プラーク(unstable plaque)、虚血部分を含む血管疾患の存在および局在化を判断することが可能である。また、細胞死、傷害、アポトーシス、壊死、低酸素および血管新生の識別と評価に本発明の方法および組成物を使用することも可能である。また、特に薬物または薬物状分子が蛍光プローブに化学的に付着している場合に、薬物送達用および薬物送達の監視目的で、この方法および組成物を使用することも可能である。代表的な薬物分子として、Photofrin、Lutrin、Antrin、アミノレブリン酸、ヒペリシン、ベンゾポルフィリン誘導体、ポルフィリンを含むがこれに限定されるものではない、化学療法剤および細胞分裂阻害剤剤ならびに光線力学療法剤があげられる。
【0156】
また、本明細書に記載の方法および組成物を使用して、被検体における血管新生(新たな血管の形成)を画像化することが可能である。この方法は、血管新生のイメージングを容易にできるだけの量の本明細書に記載のインテグリン作用剤を1種類以上、被検体(たとえば人間または動物)に投与することを含む。作用剤を動物に分散または画像化対象部分に分散させられるだけの十分な時間、作用剤の存在および/または量を判断する。その後、この作用剤の存在および/または量を使用して、被検体における新たな血管の形成を示す断層画像などの画像を生成する。
【0157】
(ii)In Vitroイメージング方法
in vitroイメージングに関しては、多岐にわたるin vitroアッセイに造影剤を使用することが可能である。たとえば、代表的なin vitroイメージング方法は、(a)生物学的試料などの試料を本明細書に記載のインテグリン作用剤のうちの1種類以上と接触させ、(b)作用剤を試料中の生物学的標的と相互作用させ、(c)任意に、未結合の作用剤を除去し、(d)作用剤から放射されるシグナルを検出することで、生物学的標識によって作用剤が活性化されているか生物学的標識に結合したかを判断することを含む。インテグリン作用剤が蛍光色素を含む場合、ステップ(d)は、蛍光色素によって吸収可能な波長の光を試料に照射して、放射シグナルを生成することをさらに含む。
【0158】
作用剤を設計し、合成し、任意に処方した後、当業者がin vitroにて試験して、その生物学的特性と性能特性を評価することが可能である。たとえば、培養で増殖される異なるタイプの細胞を使用して、作用剤の生物学的特性および性能特性を評価することが可能である。作用剤の細胞取り込み、結合または細胞の局在化を評価するには、蛍光顕微鏡法、FACS解析、免疫組織化学、免疫沈降、in situハイブリダイゼーション、Forster共鳴エネルギー移動(FRET)または蛍光共鳴エネルギー移動などをはじめとする従来技術において周知の技術を使用すればよい。一例として、作用剤を一定の時間にわたって試料と接触させた後、洗浄して遊離作用剤を除去する。その後、蛍光作用剤の光学特性に合った適当なフィルタを取り付けた蛍光顕微鏡などの適当な検出装置を用いて、試料を見ることが可能である。培養またはシンチレーションカウント時の細胞の蛍光顕微鏡観察も、取り込みおよび結合が起こったか否かを判断するための便利な手段のひとつである。組織、組織切片ならびに、cytospin試料などの他のタイプの試料を同様に使用して、作用剤の生物学的特性および性能特性を評価することも可能である。他の検出方法として、フローサイトメトリー、免疫アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、マイクロアレイ分析があげられるが、これに限定されるものではなく、本発明を実施するにあたって使用可能である。
【0159】
(b)治療用途
放射標識および/または薬物分子を含有する作用剤など、本明細書に記載のインテグリン標的化剤のいくつかを使用して、症候を寛解または特定の疾患または機能障害を治療することが可能である。この方法は、(a)被検体で治療効果を発揮できるだけの量の本明細書に記載の作用剤を1種類以上、被検体に投与し、(b)作用剤が被検体で分散あるいは、そうでなければ治療対象となる被検体の領域で局在できるだけの時間を与えた後、(c)治療用作用剤に応じて、任意に作用剤を活性化して治療効果を発揮させることを含む。たとえば、治療用作用剤が放射標識である場合、以後の活性化は必要ない。しかしながら、治療用作用剤が光力学療法で用いられる染料などの光反応性作用剤である場合、作用剤を活性化させる波長の光に作用剤を曝露することで、作用剤を活性化すればよい。結果として、作用剤を用いて、癌、免疫不全、炎症性疾患、血管障害などの対象症状を治療することができる。さらに、作用剤を用いて、被検体の対象領域での血管新生を防止、寛解または逆行させることも可能である。
【0160】
ここで、以下の実施例を参照して本発明について説明する。これらの実施例は例示目的で取り上げたものにすぎず、本発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0161】
実施例
以下の非限定的な実施例は、代表的なインテグリン標的化剤の合成について示すものである。本発明の材料の調製に使用できる主な材料および方法に関しては、下記にてさらに説明する。化学物質および溶媒(試薬グレード)はいずれも、市販されているものをそれ以上精製することなく使用した。HPLC分析:Waters 2695システムにて、Phenomenexフェニル−ヘキシルカラム(3μ、100×4.6mm)またはC18カラム(5μ、250×4.6mm)のいずれかを用いて、流量1mL/分で分析用RP HPLCを実施した。A(10mM酢酸トリエチルアミン、pH=7、+5%アセトニトリル)とB(アセトニトリル)の線形勾配を使用した。一般に、勾配は10〜40%のBで開始され、10〜20分でBが50〜90%まで変化する。254nmおよび675nmでクロマトグラムを監視した。VarianシステムでPhenomenex C18カラム(250×10mm)を使用し、4.7mL/分で同様の勾配を分析ランとして用いて分取HPLCを実施した。
【0162】
実施例1:イメージング標的化部分化合物6の合成
【0163】
【化13】

パートA:化合物2の調製
化合物1(690mg、1.57mmol)を含有する20mLのエタノール溶液に塩化チオニル(1.3g、10.9mmol)を加えた。添加後、この溶液を40〜45℃で攪拌し、反応をHPLCで監視した。反応終了(約45分)後、溶液を油になるまで濃縮し、酢酸エチル(30mL)と水(20mL)を加えた。混合物をpH約8になるまで固体の重炭酸ナトリウムで中和した。相分離後、水性層を2×15mLの酢酸エチルで抽出した。混合酢酸エチル溶液を2×10mLの飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体を濾別し、濾液を濃縮して、820mg(111%質量収支)のエステル2を油として得た。
【0164】
パートB:化合物3の調製
エステル2(820mg、1.57mmol理論)を4mLの酢酸に溶解させた後、臭素(296mg、1.85mmol)を加えた。HPLC分析によって、約10分後に反応が完了したことが明らかになった。この溶液を酢酸エチル(30mL)と水(20mL)で希釈した。混合物をpH約7になるまで重炭酸ナトリウムで中和した。相分離後、水性層を20mLの酢酸エチルで抽出した。混合酢酸エチルを2×20mLの飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、化合物9をオフホワイトの固体(908mg、118%質量収支)として得た。
【0165】
パートC:化合物4の調製
化合物9(908mg、1.57mmol理論)をジメチルアセトアミド(4mL)中にてシアン化亜鉛(380mg、3.2mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(365mg、0.31mmol)と混合し、得られた混合物を真空/窒素で4回パージした。この混合物を約120℃で20時間加熱し、HPLCで>97%転化したことが示された。約20℃まで冷却後、30mLの酢酸エチルを加えた。固体を濾過し、2×25mLの酢酸エチルで洗浄した。混合酢酸エチル溶液を2×20mLの水と20mLの飽和ブラインで洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、溶液を油になるまで濃縮した。残渣を10mLの酢酸エチルに溶解させ、酢酸エチル(v/v)中8%メタノールで溶出されるシリカゲルカラム(70mL総容積)で単離した。適切な画分を組み合わせ、乾燥するまで濃縮して、シアノ−エステル4をワックス状の固体(510mg、66%全体)として得た。
【0166】
パートD:化合物5の調製
シアノエステル4(170mg、0.345mmol)をメタノール(3mL)に溶解させ、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を加えた。この溶液を、HPLCで4の加水分解終了が示されるまで20℃で熟成させた(同じくシアノ酸中間体に加水分解されるメチルエステルの形成も観察した)。この溶液を乾燥するまで濃縮し、残渣をアンモニア/メタノール溶液(3.5M、10mL)に溶解させた。得られた溶液を圧力管にてラネーニッケル(約100mg、添加前にメタノールで3回洗浄)に加えた。ギ酸アンモニウム(120mg、1.9mmol)を混合物に加え、続いてこれをHPLCでシアノ酸中間体の転化完了が示される(約20時間)まで20℃で強く攪拌(攪拌子)した。上清を除去し、触媒を4×10mLのメタノールで洗浄した。混合メタノール溶液を乾燥するまで濃縮した。固体を10mLの30/70メタノール/水(v/v)に溶解させ、イオン交換カラム(Dowex(登録商標)50WX8−200、総容積5mL)に仕込んで、ニッケルイオンを除去した。pHが約6になるまで樹脂を水洗し、30/70メタノール/水にて1Mのアンモニアで溶出させた。適切な画分を組み合わせ、蒸発させて、部分アンモニウム塩として存在し得るアミノ酸5(110mg)を得た。C2432とした場合のMALDI−MS計算値468.6、実測値469.7。
【0167】
パートE:イメージング標的化部分化合物6の調製
粗アミノ酸5(90mg、0.185mmol、アンモニウム塩として)を10mLの1:1メタノール/水に溶解させた後、重炭酸ナトリウム(16mg、0.185mmol)を加えた。得られた溶液を乾燥するまで蒸発させ、ナトリウム塩6(97mg、0.20mmol)をオフホワイトの固体として得た。
【0168】
実施例2:化合物12の合成
【0169】
【化14】

パートA:化合物8の調製
化合物7(764mg、2.0mmol)の20mLのエタノール溶液に塩化チオニル(1.2g、10mmol)をゆっくりと加えた。添加後、この溶液を40〜45℃で攪拌し、反応をHPLCで監視した。反応終了(約3時間)後、溶液を油になるまで濃縮し、酢酸エチル20mL)と水(10mL)を加えた。混合物をpH約8になるまで固体の重炭酸ナトリウムで中和した。相分離後、水性層を20mLの酢酸エチルで抽出した。混合酢酸エチル溶液を2×10mLの飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。固体を濾別し、濾液を濃縮して、762mg(1.86mmol、93%)の化合物8を油として得た。
【0170】
パートB:化合物9の調製
エステル8(762mg、1.86mmol)を3.5mLの酢酸に溶解させた後、臭素(340mg、2.1mmol)を加えた。HPLC分析によって、20分後に反応が完了したことが明らかになった。この溶液を酢酸エチル(30mL)と水(25mL)で希釈した。混合物をpH約7になるまで重炭酸ナトリウムで中和した。相分離後、水性層を20mLの酢酸エチルで抽出した。混合酢酸エチルを2×15mLの飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、化合物9を油(854mg、94%)として得た。これは、放置すると固化した。C2433BrNとした場合のMALDI−MS計算値489.5、実測値491.8。
【0171】
パートC:化合物10の調製
化合物9(854mg、1.7mmol)をジメチルアセトアミド(5mL)中にてシアン化亜鉛(590mg、5.0mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(570mg、0.49mmol)と混合し、得られた混合物を真空/窒素で4回パージした。この混合物を約110℃で18時間加熱し、HPLCで>99%転化したことが示された。約20℃まで冷却後、酢酸エチル(30mL)を加えた。固体を濾過により収集し、2×25mLの酢酸エチルで洗浄した。混合酢酸エチル溶液を2×20mLの水と20mLのブラインで洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、溶液を油になるまで濃縮した。残渣を10mLの酢酸エチルに溶解させ、酢酸エチル(v/v)中3%メタノールで溶出されるシリカゲルカラム(70mL総容積)で単離した。適切な画分を組み合わせ、乾燥するまで濃縮して、シアノエステル10を固体(710mg、93%)として得た。C2533とした場合のMALDI−MS計算値435.6、実測値438.9。
【0172】
パートD:化合物11の調製
シアノエステル10(200mg、0.46mmol)をメタノール(7mL)に溶解させ、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(3mL)を加えた。この溶液を、HPLCでエステルの加水分解終了が示されるまで20℃で熟成させた(同じくシアノ酸中間体に加水分解されるメチルエステルの形成も観察した)。この溶液を乾燥するまで濃縮し、残渣をアンモニア/メタノール溶液(3.5M、15mL)に溶解させた。得られた溶液を圧力管にてラネーニッケル(約150mg、添加前にメタノールで3回洗浄)に加えた。この混合物に、ギ酸アンモニウム(200mg、3.2mmol)を加えた。この混合物をHPLCでシアノ酸中間体の転化完了が示される(約20時間)まで20℃で強く攪拌(攪拌子)した。上清を除去し、触媒を4×10mLのメタノールで洗浄した。混合メタノール溶液を乾燥するまで濃縮した。固体を10mLの30/70メタノール/水(v/v)に溶解させ、イオン交換カラム(Dowex(登録商標)50WX8−200、総容積5mL)に仕込んで、ニッケルイオンを除去した。pHが約6になるまで樹脂を水洗し、30/70メタノール/水にて1Mのアンモニアで溶出させた。適切な画分を組み合わせ、蒸発させて、部分アンモニウム塩として存在し得るアミノ酸11(143mg)を得た。C2333とした場合のLC/MS計算値411.5、実測値410(負のモード)。
【0173】
パートE:化合物12の調製
粗アミノ酸11(130mg、0.30mmol、アンモニウム塩として)を20mLの1:1メタノール/水に溶解させた後、重炭酸ナトリウム(25mg、0.3mmol)を加えた。得られた溶液を乾燥するまで蒸発させ、ナトリウム塩12(103mg、0.23mmol)をオフホワイトの固体として得た。
【0174】
実施例3:造影剤E−3の調製
【0175】
【化15】

化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、フルオロフォアC1(表2参照、1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に青色の固体として単離した。C688119とした場合のMALDI−MS計算値1487、実測値1489。
【0176】
実施例4:造影剤E−4の調製
【0177】
【化16】

化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、フルオロフォアA1の活性エステル(表2参照、1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に青色の固体として単離した。C75861012とした場合のMALDI−MS計算値1382、実測値1385。
【0178】
実施例5:造影剤E−5の調製
【0179】
【化17】

化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、蛍光色素E1の活性エステル(表2参照、1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に青色の固体として単離した。C73821018とした場合のMALDI−MS計算値1514、実測値1518。
【0180】
実施例6:造影剤E−6の調製
【0181】
【化18】

化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、フルオロフォアC1(表2参照、1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に青色の固体として単離した。C678217とした場合のMALDI−MS計算値1430、実測値1434。
【0182】
実施例7:造影剤E−7の調製
【0183】
【化19】

12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、フルオロフォアE1の活性エステル(表2参照、1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後にE−7を青色の固体として単離した。C728316とした場合のMALDI−MS計算値1457、実測値1460。
実施例8:造影剤E−8の調製
化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、AlexaFluor750 NHSエステル(1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−8を青緑色の固体として単離した。MALDI−MS計算値1278、実測値1279。
【0184】
実施例9:造影剤E−9の調製
【0185】
【化20】

化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、フルオロフォアB1(表2参照、1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させた。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄した(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−9を青緑色の固体として単離した。C618014とした場合のLC/MS計算値1276.5、実測値1276(−veモード)。
【0186】
実施例10:造影剤E−10の調製
【0187】
【化21】

トリエチルアミンの存在下でのフルオロフォアC1(表2参照)とL−システイン酸(Csa)との反応によって、分取HPLC精製後に式C1−Csaの化合物を生成し、これをDMSO中にてDSC/DMAPでN−ヒドロキシスクシンイミドエステルに変換した。NHSエステルをMTBEで沈殿させた。得られたNHSエステルと化合物12との反応によって化合物E−10を生成し、これを分取HPLCで精製して単離した。C7087とした場合のLC/MS計算値1581.5、実測値1580.9(−veモード)。
【0188】
実施例11:造影剤E−11の調製
【0189】
【化22】

パートA。インテグリンイメージング部分化合物13の調製。
【0190】
【化23】

2mLのメタノールに懸濁させた化合物12のナトリウム塩(55mg、0.12mmol)に、塩化チオニル(50μL、81.5mg、0.68mmol)をゆっくりと加えた。まず固体が溶解され、沈殿が形成された。約20℃で30分間熟成した後、HPLCで開始材料の転化終了が示された。この混合物を濃縮し、エステル13をHCl塩(60mg)として得た。
【0191】
パートB。化合物15の調製。
【0192】
【化24】

Fmoc−Lys−OH(368mg、1.0mmol)を9mLの1:2水/アセトニトリルに入れたスラリーに、N−エチルモルホリン(0.35mL、318mg、2.77mmol)を加えた。次に、無水コハク酸(125mg、1.25mmol)を加えた。固体をゆっくりと溶解させ、約20℃で18時間後にHPLCで反応終了が示された。溶液を油になるまで濃縮し、2mLの水で希釈した。HCl水溶液(2N、3mL)添加時に生成物が沈殿した。固体を濾過により回収し、3×5mLの水で洗浄した。固体を一定重量になるまで風乾して、FmocLys(Suc)14をオフホワイトの固体(462mg)として得た。C2528NaOとした場合のMALDI−MS計算値491.2、実測値490.4。
【0193】
化合物14(100mg、0.21mmol)を5mLのアセトニトリルに入れた溶液に、ジエチルアミン(1.5mL、1.1g、15mmol)を加えた。微粉スラリーを形成し、4時間後にHPLCで反応終了が示された。この混合物を固体まで濃縮し、3×3mLのMTBEで洗浄した。トリエチルアミン(0.15mL)をメタノール(5mL)に入れたものとトリエチルアミン(0.2mL)を8mLの1:1アセトニトリル/メタノールに入れたもので固体を2回フラッシュした。一定重量まで乾燥後、化合物15をオフホワイトの固体として得た(48mg)。
パートC。造影剤化合物E−11の調製
トリエチルアミンの存在下でのフルオロフォアC1(表2参照)と化合物15との反応によって、分取HPLC精製後にジカルボン酸C1−15を青色の固体として生成した。
【0194】
546720とした場合のMALDI−MS計算値1265、実測値1267。HBTU/トリエチルアミンによるC1−15とメチルエステル13とのカップリングで、分取HPLC精製後に(ジ)メチルエステルコンジュゲートを青色の固体として生成した。C1021331522とした場合のMALDI−MS計算値2080、実測値2082。メチルエステルをNaOH(1:1 MeOH/水中0.1N、20℃で3時間)加水分解し、分取HPLCでプローブを精製して、E−11を得た。C1001291522とした場合のMALDI−MS計算値2052、実測値2055。
【0195】
実施例12:化合物12(E−12)のDOTAコンジュゲートの調製と111In標識化
【0196】
【化25】

化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、DOTAサクシニミジルエステル(Macrocyclics、TX)(1〜1.5μmol)を加えた。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄する(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−12を固体として単離する。約50μLの111InCl(0.05M HCl中約100mCi/mL)を等量の新たに調製した1.0M酢酸アンモニウムと組み合わせた後、0.25mLの水に溶解させた0.1〜1mgのE−12を加える。室温にて30分間反応を進行させる。生成物をHPLCで分析する。
【0197】
実施例13:化合物6(E−13)のDOTAコンジュゲートの調製と111In標識化
【0198】
【化26】

化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、DOTAサクシニミジルエステル(Macrocyclics、TX)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄する(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−13を固体として単離する。約50μLの111InCl(0.05M HCl中約100mCi/mL)を等量の新たに調製した1.0M酢酸アンモニウムと組み合わせた後、0.25mLの水に溶解させた0.1〜1mgの試薬E−13を加える。室温にて30分間反応を進行させる。生成物をHPLCで分析する。
【0199】
実施例14:化合物12(E−14)のHynicコンジュゲートの調製と99mTc標識化
【0200】
【化27】

化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、ヒドラジンニコチン酸サクシニミジルエステル(SoluLink、CA)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄する(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−14(適切な塩形態)を固体として単離する。
【0201】
99mTc標識化には、以下のプロトコールに従うことが可能である。70mgのトリシンを1.0mLの水に入れた溶液に、0.05mLの1.0N NaOHを加え、pHを7まで上昇させる。次に、0.1〜1.0mLの99mTcOの生理食塩水溶液(10〜100mCi)を加え、続いて10μgの化合物E−14を100μLの0.1N HClと100μgのSnClに溶解させる。0.1N HClに溶解された2HO。室温にて45分間反応を進行させる。生成物をHPLCで分析する。
【0202】
実施例15:化合物6(E−15)のHynicコンジュゲートの調製と99mTc標識化
【0203】
【化28】

化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、ヒドラジンニコチン酸サクシニミジルエステル(SoluLink、CA)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄する(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−15(適切な塩形態)を固体として単離する。
【0204】
以下のプロトコールで、99mTc標識化を達成可能である。70mgのトリシンを1.0mLの水に入れた溶液に、0.05mLの1.0N NaOHを加え、pHを7まで上昇させる。次に、0.1〜1.0mLの99mTcOの生理食塩水溶液(10〜100mCi)を加え、続いて10μgの化合物E15を100μLの0.1N HClと100μgのSnClに溶解させる。0.1N HClに溶解された2HO。室温にて45分間反応を進行させる。生成物をHPLCで分析する。
【0205】
実施例16:化合物12(E−16)のDTPAコンジュゲートの調製と111In標識化
【0206】
【化29】

化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、DTPA二無水物(Aldrich)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄する(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−16を固体として単離する。約50μLの111InCl(0.05M HCl中約100mCi/mL)を等量の新たに調製した1.0M酢酸アンモニウムと組み合わせた後、0.25mLの水に溶解させた0.1〜1mgの化合物E−16を加える。室温にて30分間反応を進行させる。生成物をHPLCで分析する。
【0207】
実施例17:化合物6(E−17)のDTPAコンジュゲートの調製と111In標識化
【0208】
【化30】

化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、DTPA二無水物(Aldrich)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。1:1酢酸エチル/ヘキサン(約10mL)を添加して生成物を沈殿させ、MTBEで洗浄する(2×5mL)。固体を水に溶解し、分取HPLCで精製し、分取HPLC画分の蒸発後に化合物E−17を固体として単離しする。約50μLの111InCl(0.05M HCl中約100mCi/mL)を等量の新たに調製した1.0M酢酸アンモニウムと組み合わせた後、0.25mLの水に溶解させた0.1〜1mgの化合物E−17を加える。室温にて30分間反応を進行させる。生成物をHPLCで分析する。
【0209】
実施例18:化合物12(E−18)のBolton−Hunterコンジュゲートの調製
化合物12(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、125I Bolton−Hunter試薬(Perkin Elmer/NEN)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。生成物を分取HPLCで精製し、E−18をHPLC画分として単離する。
【0210】
実施例19:化合物6(E−19)のBolton−Hunterコンジュゲートの調製
化合物6(約3mg)とN−エチルモルホリン(10μL)とをDMSO(0.7mL)に入れた溶液に、125I Bolton−Hunter試薬(Perkin Elmer/NEN)(1〜1.5μmol)を加える。この溶液を20℃で1〜2時間熟成させる。生成物を分取HPLCで精製し、化合物E−19をHPLC画分として単離する。
【0211】
実施例20:化合物12(E−20)を用いる代表的な蛍光金属酸化物ナノ粒子の合成
【0212】
【化31】

アミン官能化蛍光酸化鉄ナノ粒子(2.5mg/mLの鉄600μL)を、100μLのDMSO中にて0.1MのHEPES(pH7)50μLおよび4mgのサクシニミジルピリジンジチオプロピオネート(SPDP)と組み合わせ、室温にて5時間回転させる。0.1MのHEPES(pH7.0)で溶出させるゲル濾過によって粒子を未反応のSPDPから分離する。メルカプトプロピオン酸(1mg)で変性させた化合物12を100μLのDMSOに溶解させ、SPDPコンジュゲート粒子に加え、室温で3時間反応させて化合物E−20のナノ粒子を生成する。得られたナノ粒子(E−20)を、1×PBSを溶離液として用いるゲル濾過で精製する。
【0213】
実施例21:化合物12にコンジュゲートしたDOTAのガドリニウム複合体の調製
実施例12のコンジュゲートのガドリニウム複合体を以下の手順で調製する。3〜3.5mgのコンジュゲートを2mLの1M 酢酸アンモニウム緩衝剤(pH7.0)に溶解させ、1当量のGd(NO溶液(0.02M水溶液)を加える。反応混合物を100℃で30分間加熱し、生成物を分取HPLCで単離する。複合体を含む画分を凍結乾燥させる。複合体のアイデンティティを質量分光測定で確認する。
【0214】
実施例22:インテグリン造影剤(化合物E−21)にカップリングされた酵素的に切断可能なオリゴペプチドの合成
【0215】
【化32】

ペプチド[H]−His−Gly−Pro−Asn−Lys−[OH](配列番号1)(Tufts University Core Facility、0.45μmol)とフルオロフォアC1(表2参照、1.0μmol)とを、1μLのN−メチルモルホリン(NMM)および0.25mgのN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)とともに100μLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中にて組み合わせた。この溶液を、光を遮った回転子に配置し、室温で16時間回転した。1.5mLのメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)を添加して二重標識ペプチドを沈殿させた後、遠心分離して上清をデカントした。固体ペプチドを真空下で軽く乾燥させ、200μLの0.1M重炭酸ナトリウムに溶解させ、HPLCで精製し、LC−MSでキャラクタライズした。
【0216】
化合物12(24mg、55μmol)を1mLのメタノールに溶解させた後、25μLのSOClを加えた。この溶液を回転子に配置し、室温で1時間回転した。溶媒を真空下で蒸発させた。固体生成物を2mLのメタノールに再溶解させ、真空下で2回蒸発させた後、2mLの1:1メタノール/アセトニトリルに溶解させ、真空下で蒸発させて化合物12のメチルエステルを得た。
【0217】
次に、化合物12のメチルエステル(0.8mg、2μmol)を1μLのN−メチルモルホリン(NMM)とともに100μLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中にて標識ペプチド(3.9mg、0.75μmol)と組み合わせた。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC、0.17mg、0.9μmol)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、0.17mg、1.2μmol)を加え、この溶液を、光を遮った回転子に配置し、室温で16時間回転した。1.5mLのMTBEを添加して生成物を沈殿させ、遠心分離と上清のデカントによって単離した。固体ペプチドを真空下で軽く乾燥させた。エステルを加水分解するには、固体を300μLの0.1M水酸化ナトリウムに溶解させ、光を遮った回転子に1時間配置した。ペプチドをHPLCで精製し、LCMSでキャラクタライズした。
【0218】
実施例23:代表的な造影剤E−6およびE−7を用いる腫瘍のイメージング
この実施例は、本発明の化合物を使用して腫瘍をin vivoにて画像化できることを示すものである。この実験では、6〜8週齢のNU/NUマウス(Charles River Laboratory、Wilmington、MA)に2×106 4T−1細胞を、それぞれの乳房脂肪体の両側にて皮下(s.c.)注射した。腫瘍がおおむね3×3mmのサイズに達したら(細胞注射後7日前後)、マウスに各インテグリン作用剤4nmoleを100μL容量で尾静脈から静脈内(i.v.)注射した(5マウス/プローブ+2マウス/対照としてプローブなし)。注射の24時間後に蛍光分子断層撮影システム(VisEn Medical、Bedford、MA)を用いてイメージングを実施した。E−6およびE−7を用いる画像の例を、腫瘍を効果的に画像化可能であることを示す図1および図2に示す。
【0219】
実施例24:ビトロネクチンに対する細胞付着の阻害
この実施例は、本発明の化合物が、in vitroにてαβ、αβおよびαIIbβよりもインテグリンαβに対して選択性であることを示すものである。この実験では、αβ(HEK293−αβ細胞)を安定的にトランスフェクトした人間の胚腎臓(HEK293)細胞をトリプシン−EDTAで剥離し、無血清MEMで4回洗浄した。ビトロネクチンをコーティングしたマイクロタイターウェルに細胞(25,000個/ウェル)を加え、加湿したインキュベータにて濃度を高めた化合物E−6または未標識の親化合物(E−6の阻害剤として)の存在下または非存在下で、37℃で2時間付着させた。非付着細胞を静かに洗浄して取り除いた。同様の実験を、αβ、αIIbβまたはαβを安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞でも実施した。Vmaxプレートリーダー(Molecular Devices、Menlo Park、CA)でヘキソサミニダーゼ酵素活性の比色検出によって付着細胞を定量化した。アッセイした細胞株ごとに標準曲線を用いて付着細胞数を定量化し、3重の試料の平均値として表した。結果を表4にまとめておく。
【0220】
【表4】

表4は、各実験のIC50値を示し、化合物E−6がαIIbβおよびαβよりもαβインテグリンに強い親和性を呈する一方で、αβに対しては特異的結合が検出されなかったことが分かる。親化合物と比較して、E−6(i)はαβに対して親和性が5分の1になり、(ii)αβに対して親和性が25分の1になり、(iii)αIIbβとの結合時には高めの力価を保持し、(iv)αβにはあまり親和性を示さない。
【0221】
実施例25:HEK293−αβ細胞に対する化合物E−6の結合
この実施例は、αβに対するE−6の親和性を示すものである。ヒトαβを安定的に発現しているHEK293細胞を用いる細胞結合アッセイを実施した。
【0222】
αβ(HEK293−αβ細胞)を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞を、アッセイ前日にポリ−L−リジンコートLab−Tek IIチャンバースライド(Nunc、Rochester、NY)に蒔いた。細胞をまずDAPI(10μg/ml)とともに3時間インキュベートした後、5分間CellMask(Invitrogen、Carlsbad、CA)染色した。次に、細胞をPBSで2×洗浄し、E−6(5%血清含有PBS中200nM)と一緒に4℃または37℃で30分間インキュベートした。競合研究のために、E−6インキュベーションの前に細胞を親化合物(200μM)と一緒に1時間インキュベートした。Leica SP5共焦点系(Leica、Wetzlar、ドイツ)にて共焦点顕微鏡法を実施した。
【0223】
図3は、化合物E−6が細胞表面の受容体と結合し、この結合を親化合物で防止できることを示す。これは、化合物E−6がインテグリン依存性に細胞と結合することを実証するものである。化合物E−6とCellMask膜マーカーの同時局在化によって、表面膜での蓄積が示される。受容体のリサイクリング(エンドサイトーシス)は、37℃ではE−6内部移行につながるが、4℃ではつながらない。
【0224】
実施例26:化合物E−6の平衡結合および解離測定
平衡結合および解離測定のために、HEK293−αβ細胞(1×10)を、「フローサイトメトリー緩衝剤」(145nM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl,および10mM HEPES、pH7.4)にて0、3.12、6.25、12.5、20、25、40、50、80、100および200nMの化合物E−6と一緒に4℃で30分間インキュベートした。HEK293−αβ細胞のインテグリンに結合したプローブの量をフローサイトメトリー(FACSCalibur、BD Biosciences、CA)で求めた。FlowJoソフトウェアを用いてデータを分析し、SigmaPLot 10ソフトウェアを用いてK値を算出した。koffを求めるために、HEK293−αβ細胞(1×10)を100nMのE−6と一緒に4℃で30分間インキュベートした後、10mMの親化合物を含有するPBSに標識細胞を移した。未標識の化合物との混合前ならびに、混合1時間後、1.5時間後、2.5時間後、3.5時間後、4.5時間後、5.5時間後、24時間後に、HEK293−αβ細胞のインテグリンに結合したプローブの量をフローサイトメトリー(FACSCalibur、BD Biosciences、CA)で求めた。FlowJoソフトウェアを用いてデータを分析し、SigmaPLot 10ソフトウェアを用いてkoff値およびt1/2値を算出した。結果を図4Aおよび図4Bにまとめておく。
【0225】
図4Aは、解離速度定数koff=1.08×10−4−1(t1/2=107分)で表される速度で、E−6がαβ受容体から解離することを示す。図4Bは、4.2±0.6nM(単結合部位モデルを使用)の見かけ上の平衡結合定数(K)の値を示す。Mn2+イオンによって促進されたαβインテグリンの活性コンホメーションが、腫瘍細胞および新たな血管細胞の表面に存在する。Mn2+の存在下または非存在下での結合等温線は実用上は同一であることから、化合物E−6がインテグリンの活性形態と結合することが実証された。これは、化合物E−6がインテグリン発現細胞を結合する機能をさらに裏付けるものである。
【0226】
実施例27:マウスにおける化合物E−6の薬物動態と体内分布
この実施例は、マウスにおける化合物E−6の薬物動態と体内分布を示すものである。
【0227】
24匹のメスの繁殖退役BALB/cマウス(Charles River Laboratories、Wilmington、MA)に化合物E−6(PBS中2nmole)をボーラス静脈内(i.v.)注射した。それぞれのマウスから(二酸化炭素窒息後に)心臓穿刺によって末梢血試料を採取した。各時点で3匹のマウスをサンプリングした。遠心分離によって血漿を収集し、DMSOで1:2に希釈し、蛍光プレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて蛍光を読み取った。周知の濃度のE−6で生成した標準曲線(図5A)にデータを正規化した。血漿中の化合物E−6の濃度依存性を、計算で求めたt(1)1/2=6分およびt(2)1/2=210分で2つのコンパートメントモデルにフィットさせた。ここで、t(1)1/2は循環からのすみやかなフリーE−6クリアリングを表し、t(2)1/2は結合E−6のクリアランスに対応する。
【0228】
体内分布の研究では、6〜8週齢のメスのNU/NUマウス(Charles River Laboratory、Wilmington、MA)にA673細胞(5×10)を第1の乳房脂肪体で皮下(s.c.)注射した。腫瘍が所望の体積に達したら(式 体積mm=(長さ×幅)/2を用いてノギスで測定)、マウスに化合物E−6(2nmole)をi.v.注射した。24時間後にマウスを二酸化炭素窒息で屠殺し、特定の組織を除去し、生理食塩水ですすぎ、乾燥ブロットし、VisEnのFMT2500で反射モードを用いて画像化した。FMTソフトウェアを用いて各臓器の周囲に着目領域(ROI)を描き、臓器ごとの平均蛍光(カウント数/エネルギーとして記録)を求め、100%とする腫瘍の平均蛍光に正規化した。結果を図5Bにまとめておく。同図は、蛍光が組織の広範囲にわたって分布し、最高濃度が腫瘍に認められ、肝臓、小腸、皮膚と続くことを示している。
【0229】
実施例28:In Vitroでの内皮およびA673腫瘍細胞によるE−6の結合
この実施例は、化合物E6が内皮細胞およびA673腫瘍細胞と結合することを示すものである。
【0230】
HUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)とヒト横紋筋肉腫A673腫瘍細胞を用いて細胞結合アッセイを実施した。HUVECまたはA673(50,000細胞)(ATCC、Manassas、VA)を8ウェルのLab−Tekチャンバースライド(Nalge−Nunc International、Naperville、IL)に播種し、5%COを含有する加湿雰囲気下にて37℃で一晩放置して接着させた。翌日、化合物E−6または遊離染料(20nM)を含有する新鮮な完全培地に培地を交換し、37℃で30分間インキュベートし、PBSで2×洗浄し、パラホルムアルデヒドを用いて4℃で30分間固定した。E−6添加前に親化合物(200nM)と一緒に細胞を5分間予備インキュベートすることで、競合研究を実施した。顕微鏡のスライドガラス上の細胞を遮光して風乾した。スライドガラスにProLong(登録商標) Gold Antifade Reagent with DAPI(Molecular Probes、Eugene、OR)を載せ、遮光して室温で一晩硬化させた。蛍光顕微鏡法(Zeiss、Thornwood、NY)を用いて核染色(DAPI)と蛍光シグナルの合成画像を集めた。
【0231】
E−6で標識したHUVECおよびA673細胞(それぞれ図6Aおよび図6D)の両方で有意な蛍光シグナルが観察された。HUVEC細胞およびA673細胞(それぞれ図6Bおよび図6E)から観察される蛍光強度は、遮断用量の親化合物の存在下で低くなった。さらに、遊離染料(E−6の合成で用いたものと同じ染料)のみ(それぞれ図6Cおよび図6F)を用いてインキュベートしたHUVEC細胞およびA673細胞では少ない蛍光が検出されるか、蛍光が検出されなかった。これらの結果から、化合物E−6がインテグリン発現腫瘍および内皮細胞と特異的に結合することが実証される。
【0232】
実施例29:A673担腫瘍マウスにおけるE−6シグナルのIn vivoイメージングおよび定量化
この実施例は、担腫瘍マウスにおけるE−6シグナルのイメージングおよび定量化を示すものである。6〜8週齢のメスのNU/NUマウス(Charles River Laboratory、Wilmington、MA)にA673細胞(5×10)を第1の乳房脂肪体で皮下(s.c.)注射した。腫瘍が所望の体積に達したら(式 体積mm=(長さ×幅)/2を用いてノギスで測定)、過剰な競合親化合物(100nmole)の存在下または非存在下で、マウスに化合物E−6(2nmole)をi.v.注射した。対照マウスには遊離染料を注射した。in vivoイメージング用に、マウスをガス麻酔(イソフルラン/酸素混合物)で麻酔し、VisEnのFMT2500システムイメージングチャンバに1度に1匹ずつ載せて画像化した。
【0233】
蛍光は腫瘍で容易に検出された。未標識の親化合物は腫瘍におけるE−6シグナルの総量を効果的に低減する。同じイメージング条件下で、遊離染料を注射したマウスの腫瘍では検出可能な蛍光は観察されなかった。
【0234】
各腫瘍を囲む三次元ROIを描いて蛍光シグナルを定量化した。図7に示すように、E−6蛍光の総量が、化合物E−6を注射したマウスの腫瘍に比して、親化合物(67%まで、p=0.011)または染料のみ(p=0.00038)を与えたマウスの腫瘍で有意に減少した。これらの結果は、インテグリン検知作用剤(E−6)をin vivoで用いることの標的化特異性を実証するものである。
【0235】
実施例30:A673担腫瘍マウスで抗血管新生Avastin治療がインテグリンおよびカテプシンBシグナルに対しておよぼす効果
この実施例は、A673担腫瘍マウスで抗血管新生治療がインテグリンおよびカテプシンBシグナルに対しておよぼす効果を示すものである。
【0236】
腫瘍が所望の体積に達したらA673担腫瘍マウスを無作為化し、E−6(2nmole)または遊離染料(2nmole)のいずれかをi.v.注射した。競合研究のために、化合物E−6(2nmole)の5分後、マウスに親化合物(100nmole)を注射した。治療法の研究用に、マウスを2mg/kgのAvastin(ベバシズマブ、Genentech、CA)またはビヒクル(PBS)のいずれかで2×週間腹腔内(i.p.)治療し、最終容積200μlのPBS中各々2nmoleの化合物E−6およびProSense(ProSense750、VisEn Medical、Bedford、MA)での治療開始の7日後に注射した。ProSenseは、ペプチド足場に結合された蛍光色素を含むプロテアーゼ活性化可能な蛍光作用剤である。カテプシンB活性(ならびに、これより程度は少ないながらカテプシンK、L、S)による足場のタンパク質分解切断で、蛍光色素が放出され、広範な蛍光(脱クエンチによる)が得られる。作用剤投与の24時間後に、FMT2500を用いてイメージングを実施した。化合物E−6およびProSenseでの蛍光シグナルの特異的局在化が同じ動物に認められる。レーザの波長については、動物に投与する蛍光作用剤の吸収スペクトルに相当する680nmまたは750nmで選択し、スペクトル的に異なる2種類の作用剤での同時イメージングおよび定量化を可能にした。
【0237】
Avastin治療後、腫瘍の化合物E−6によって生成されるシグナルが、ProSenseによって生成されるシグナルよりも多くの量で低減されたことから、E−6およびProSenseの異なる作用モードが実証された(図8)。
【0238】
援用
本明細書で引用した刊行物、特許、特許出願はいずれも、あらゆる目的でそれぞれを個別に記載した場合と同程度に、その内容全体を本明細書に明示的に援用するものである。
【0239】
等価物
本発明の主旨または本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の具体的な形態で実施してもよい。したがって、上記の実施形態は、あらゆる観点から本明細書に記載の本発明を限定するものではなく例示的なものとみなされる。よって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の等価物の意味および範囲に含まれるあらゆる変更は、そこに包含されることを想定している。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図6F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルキルがアリール部分またはヘテロアリール部分で置換された、アルキル置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分(ITM)と、
(b)任意にリンカー(L)部分によって、インテグリン標的化部分と化学結合されたレポーターと、
を含む、インテグリン標的化剤。
【請求項2】
作用剤が、各々イメージングレポーターと化学結合された複数のインテグリン標的化部分を含む、請求項1に記載の作用剤。
【請求項3】
各々イメージングレポーターと化学結合された1つ乃至5つのインテグリン標的化部分を含む、請求項1に記載の作用剤。
【請求項4】
各々イメージングレポーターと化学結合された2つ乃至5つの標的化部分を含む、請求項3に記載の作用剤。
【請求項5】
レポーターが、フルオロフォア、蛍光色素、光学レポーター、磁気レポーター、放射標識、X線レポーター、超音波イメージングレポーターまたはナノ粒子レポーターである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項6】
アルキルが、置換または未置換の単環または二環ヘテロアリール部分で置換されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項7】
インテグリン標的化部分、レポーターまたは任意のリンカーと化学結合された生物学的修飾物質をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項8】
式Iで表されるインテグリン標的化剤であって、
((ITM-L)−L−IR)−BM (I)
式中、
ITMは、置換テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン部分を含むインテグリン標的化部分を表し、
Lは、それぞれについて独立に、結合またはリンカー部分を表し、
IRは、イメージングレポーターを表し、
mは1〜500の整数を表し、nは0〜500の整数を表し、qは1〜500の整数を表し、gは0〜500の整数を表し、
BMは、生物学的修飾物質を表す、インテグリン標的化剤。
【請求項9】
mが1〜5の整数であり、nが0〜5の整数であり、qが1〜4の整数であり、gが0〜3の整数である、請求項8に記載の作用剤。
【請求項10】
nが0であり、gが0である、請求項8または9に記載の作用剤。
【請求項11】
qが1である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項12】
mが2である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項13】
mが1である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項14】
ITMが式II
【化33】

(式中、Arはアリールまたはヘテロアリールを表し、
R’はHまたはアルキルであり、
aは、0、1、2または3から選択される整数を表す)
およびその塩で表される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項15】
Arが、H、ハロ、アルコキシ、アルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から各々独立に選択される1、2または3つの部分で置換されていてもよい単環または二環のヘテロアリールである、請求項14に記載の作用剤。
【請求項16】
Arが、H、ハロ、アルコキシ、アルキル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から各々独立に選択される1、2または3つの部分で置換されていてもよい単環または二環のアリールである、請求項14に記載の作用剤。
【請求項17】
R’がHである、請求項14〜16のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項18】
Arが、
【化34】

からなる群から選択される、請求項14または17に記載の作用剤。
【請求項19】
aが1である、請求項14〜18のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項20】
ITMが式IIAで表され、
【化35】

式中、Ar、R’およびaは上記式IIにおいて定義したとおりである、請求項8〜19のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項21】
ITMが式III
【化36】

およびその塩で表される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項22】
ITMが式IV
【化37】

(式中、Arはアリールまたはヘテロアリールであり、
R’はHまたはアルキルである)
およびその塩で表される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項23】
Arが、
【化38】

からなる群から選択される、請求項22に記載の作用剤。
【請求項24】
ITMが式IVAで表され、
【化39】

式中、Arは式IVに記載したように定義される、請求項22または23に記載の作用剤。
【請求項25】
ITMが式V
【化40】

で表される化合物およびその塩である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項26】
レポーターまたはIRが、遠赤または近赤外線蛍光色素である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項27】
レポーターまたはIRがカルボシアニン蛍光色素である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項28】
レポーターまたはIRがインドシアニン蛍光色素である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項29】
レポーターまたはIRが式VIII
【化41】

またはその塩で表され、式中、
Xはそれぞれについて独立に、C(CH)(CH)、O、SおよびSeからなる群から選択され、
およびYは独立に、H、C〜C20脂肪族基(−OR*、N(Rまたは−SR*で置換されていてもよい)からなる群から選択され、式中、R*はHまたはアルキルであり、
Wは、ベンゾ縮合環、ナフト縮合環またはピリド縮合環を表し、
は、(CHCH、(CHSOおよび(CHSOHからなる群から選択され、式中、xは0〜6から選択される整数であり、yは2〜6から選択される整数であり、
は、(CHCH、(CHSOおよび(CHSOHからなる群から選択され、式中、xは0〜6から選択される整数であり、yは2〜6から選択される整数であり、
およびRは各々、それぞれについて独立に、H、カルボキシレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分およびスルホネート部分からなる群から選択され、
Qは、カルボキシル基で置換されたヘテロアリール環またはカルボニル基で置換された6員環のヘテロアリール環からなる群から選択される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項30】
レポーターまたはIRが、式IX
【化42】

で表される蛍光色素またはその塩であり、式中、
およびXは各々、それぞれについて独立に、C(CH)(CH)、O、SおよびSeからなる群から選択され、
およびKは、H、−OR*、N(Rまたは−SR*で置換されていてもよいC〜C20脂肪族基からなる群から独立に選択されるか、あるいは、KおよびKが一緒になって、置換または未置換の炭素環または複素環の一部を形成し、式中、R*はHまたはアルキルであり、
およびYは各々独立に、ベンゾ縮合環、ナフタ縮合環またはピリド縮合環であり、
は、1、2または3であり、
、R11およびR12は、H、F、Br、Cl、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アリールオキシ、窒素含有複素環、窒素含有芳香族複素環、スルホネート、イミニウムイオンからなる群から独立に選択されるか、あるいは、隣接する任意の2つのR12置換基とR11置換基またはR置換基とR11置換基が、組み合わせで、4員環、5員環または6員環の置換または未置換の炭素環式環、置換または未置換の非芳香族炭素環式環または置換または未置換の炭素環式アリール環を形成し、炭素環式環は各々独立に、C〜Cアルキル、ハロゲンまたはOR*またはSR*で1回以上置換されていてもよく、
およびR13は、xが0〜6から選択される整数の場合は(CHCHであるか、nが2〜6から選択される整数の場合はRおよびR13が独立に(CHSOまたは(CHSOHであり、
、RおよびRは、H、カルボキシレート、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分およびスルホネート部分からなる群から独立に選択され、
Qは、存在しないか、カルボニル部分または置換または未置換のC〜Cアルキル基から選択される(この場合、アルキル基のメチレン基のうちの0〜2個が、NH、OまたはSで置き換え可能である)か、置換または未置換のC〜C炭素環式環、非芳香族炭素環式環、複素環または非芳香族複素環(この場合、複素環が1〜2個のヘテロ原子を含む)であり、
は、H、置換または未置換のC〜C20脂肪族基、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアルキルアリールからなる群から選択され、Rは、ハロゲン、OR*、N(RまたはSR*で置換可能であり、
は、H、置換または未置換のC〜C20脂肪族基、置換または未置換のアリール、置換または未置換のアルキルアリールからなる群から選択され、この場合のRは、ハロゲン、OR*、N(RまたはSR*で置換されていてもよいか、あるいは、
およびRが一緒になって、ハロゲン、OR*、N(RまたはSR*で置換されていてもよい4員環、5員環、6員環または7員環の複素環または非芳香族複素環を形成し、あるいは、
NR、QおよびCHRが一緒になって、置換または未置換のまたは複素環系または非芳香族複素環系を形成し、環は1または2個のヘテロ原子を含み、環は−OR*、N(Rまたは−SR*で置換されていてもよく、
Wは、存在しないか、あるいは、−SONR−Q−CHR−、−O−、−COO−および−CONH−からなる群から選択される基であり、
h=0〜70;k=0または1;d=0〜12;m=0〜12;p=0〜12であり、
Zは、N、OまたはS求核試薬官能基部分であるか、N、OまたはS求核試薬と反応できる官能基であり、
R*は各々独立に、−HまたはC1〜20アルキルである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項31】
レポーターまたはIRが、銅、ガリウム、インジウム、テクネチウム、イットリウムおよびルテチウムからなる群から選択される放射性同位元素金属を含む放射標識である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項32】
放射性同位元素金属が、99mTc、111In、64Cu、67Ga、186Re、188Re、153Sm、177Luおよび67Cuを含む群から選択される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項33】
放射標識が治療用放射性医薬品を含む、請求項31〜32のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項34】
治療用放射性医薬品が、186Re、188Re、153Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、212Bi、103Pd、109Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、165Dy、166Dy、67Cu、105Rh、111Agおよび192Irからなる群から選択される放射性同位元素金属である、請求項33に記載の作用剤。
【請求項35】
レポーターまたはIRが、Gd(III)、Dy(III)、Fe(III)、Mn(II)および金属酸化物ナノ粒子を含む群から選択される磁気レポーターである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項36】
レポーターまたはIRがX線コントラスト剤である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項37】
Lが、アミド、アミノ−ポリエチレングリコール−カルボン酸、アミノ−ポリエチレングリコールアジド、ジアミノPEG、システイン酸、グルタミン酸、アミノカプロン酸、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、スペルミジン、スペルミン、ヘキサンジアミン、ジアミン−アミノ酸(ホモリジン、リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸およびジアミノプロピオン酸など)、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸またはアジピン酸からなる群から選択される部分を含む、請求項1〜36のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項38】
Lが、約2〜15のアミノ酸を含む酵素的に切断可能なオリゴペプチドを含む、請求項1〜36のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項39】
Lが、酵素的に切断可能な結合を含み、1つのIRが酵素的に切断可能な結合の片側に位置するオリゴペプチド配列と共有結合的に結合され、1つのIRが酵素的に切断可能な結合の他方側に位置するオリゴペプチド配列と共有結合的に結合されている、請求項38に記載の作用剤。
【請求項40】
作用剤が、互いにクエンチする少なくとも2種類の蛍光色素あるいは、各々作用剤の蛍光クエンチ許容部位に局在する蛍光色素およびクエンチャーを含み、オリゴペプチドの切断が少なくとも一方の蛍光色素の脱クエンチにつながる、請求項38に記載の作用剤。
【請求項41】
生物学的修飾物質(BM)が、PEG、リン脂質、アミノ酸、ペプチド、リン脂質PEG、炭水化物、スルホネート、ポリスルホネート、グルタミン酸、システイン酸、ナフチルアラニン、フェニルアラニン、ジフェニルプロピルアミン、4,4−ジフェニルシクロヘキサノール、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、アルギニン、リジン、ホモリジン、ロイシンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7〜40のいずれか1項に記載の作用剤。
【請求項42】
【化43】

【化44】

およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択されるインテグリン造影剤。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか1項に記載の作用剤と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、被検体への投与に適した薬学的に許容される組成物。
【請求項44】
(a)請求項1〜43のいずれか1項に記載の作用剤を被検体に投与し、
(b)作用剤を被検体で分散させ、
(c)作用剤によって放出されるシグナルを検出することを含む、in vivoイメージング方法。
【請求項45】
(a)蛍光色素を含む請求項1〜43のいずれか1項に記載の作用剤を被検体に投与し、
(b)作用剤を被検体で分散させ、
(c)蛍光色素が吸収可能な波長の光に被検体を曝露し、
(d)作用剤によって放出されるシグナルを検出することを含む、in vivo光学イメージング方法。
【請求項46】
作用剤によって放出されるシグナルを使用して画像を構成する、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
画像が断層画像である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(a)〜(c)をあらかじめ定められた時間間隔で繰り返すことで、被検体においてインテグリン作用剤の放射シグナルを経時的に評価できるようにする、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(a)〜(d)をあらかじめ定められた時間間隔で繰り返すことで、被検体においてインテグリン作用剤の放射シグナルを経時的に評価できるようにする、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
被検体が動物または人間である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(a)において、シグナル特性を互いに区別できる2つ以上のイメージングプローブを被検体に投与し、イメージングプローブの少なくとも一方がインテグリン結合作用剤である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項52】
内視鏡、カテーテル、断層システム、手持ち式光学イメージングシステムまたは術中顕微鏡を用いて照射ステップおよび検出ステップを実施する、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
放射シグナルの有無またはレベルが疾患状態を示す、請求項44または45に記載の方法。
【請求項54】
この方法を疾患の検出および/または監視に使用する、請求項44または45に記載の方法。
【請求項55】
疾患が、骨疾患、癌、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、心虚血、心筋再灌流傷害、環境疾患、皮膚疾患、免疫疾患、遺伝性疾患、感染症、炎症疾患、代謝疾患、神経変性疾患、眼疾患および呼吸器疾患からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ステップ(a)において、インテグリン結合作用剤で標識した細胞を被検体に投与する、請求項44または45に記載の方法。
【請求項57】
インテグリン結合作用剤によって放射されるシグナルを用いて、細胞の輸送と局在化を監視する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
被検体における血管新生をイメージングする方法であって、
(a)請求項1〜43のいずれか1項に記載の作用剤を被検体に投与するステップと、
(b)作用剤の存在を検出することで、被検体における新たな血管の形成を表す画像を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項59】
請求項1〜43のいずれか1項に記載の作用剤を全身または局所的に被検体に投与することを含む、被検体における疾患を治療する方法であって、作用剤が、疾患部分において局在化し、実効線量の放射線を送達する放射標識を含む、方法。
【請求項60】
(a)請求項1〜43のいずれか1項に記載の作用剤を試料と接触させ、
(b)試料中に生物学的標的が存在する場合、作用剤がこれと結合できるようにし、
(c)任意に、未結合の作用剤を除去し、
(d)作用剤から放射されるシグナルを検出することで、作用剤が活性化されているか生物学的標識に結合したかを判断することを含む、in vitroイメージング方法。
【請求項61】
試料が生物学的試料である、請求項60に記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−519348(P2011−519348A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550892(P2010−550892)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/037114
【国際公開番号】WO2009/114776
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(508064849)ビセン メディカル, インコーポレイテッド (7)
【出願人】(505441661)メルク アンド カンパニー, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】