説明

インドリルマレイミド誘導体

【課題】インドリルマレイミド誘導体、それらの製造法およびそれらを含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】Tリンパ球および/またはPKC、またはGSK−3βを介する障害または疾患の処置または予防に有用な、式(I)


で示される化合物を提供する。具体例としては3−(1H−インドール−3−イル)−4−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−ピロール−2,5−ジオンが示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドリルマレイミド誘導体、それらの製造法およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
より具体的には、本発明は、式I
【化1】

[式中、
は、H;C1−4アルキル;またはOH、NH、NHC1−4アルキルまたはN(ジ−C1−4アルキル)により置換されたC1−4アルキルであり;
は、H;ハロゲン;C1−6アルキル;またはC1−6アルコキシであり、そして、
Rは、式(a)または(b)
【化2】

〔式中、
およびRはそれぞれ、ヘテロ環基であるか;または式(α)
−X−R−Y (α)
{式中、Xは、直接結合、O、SまたはNR11であり、ここでR11は、HまたはC1−4アルキルであり、
は、C1−4アルキレンであるか、または1個のCHをCRにより置換されているC1−4アルキレンであり、ここでRおよびRのうち1個はHであり、他はCHであるか、RおよびRはそれぞれ、CHであるか、またはRおよびRは、一緒になって−CH−CH−を形成しており、
Yは、末端の炭素原子と結合し、そしてOH、−NR1213から選択され、ここでR12およびR13は、それぞれ独立してH、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキル、C2−6アルケニル、または要すれば、OH、ハロゲン、C1−4アルコキシまたは−NR1415で末端の炭素原子を置換されていてよいC1−4アルキルであり、ここでR14およびR15は、それぞれ独立してH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、アリール−C1−4アルキルであり、またはR12およびR13は、それが結合する窒素原子と一緒にヘテロ環基を形成する}
で示される基であり;そして、
およびRは、それぞれ独立してH;ハロゲン;C1−4アルキル;C1−4アルコキシ;CF;ニトリル;ニトロまたはアミノである〕
で示される基である]
で示される化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
アルキルまたは、例えば、アルコキシの任意のアルキル部分は、直鎖または分岐であり得る。ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIであり得、好ましくはFまたはClである。任意のアリールは、フェニルまたはナフチルであり得、好ましくはフェニルである。ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5員から8員の芳香族環、例えばピリジルまたはピリミジルであり得る。
【0004】
またはRで示されるヘテロ環基とは、好ましくはN、OおよびSから選択され、要すれば置換されていて良い、1個または2個のヘテロ原子を含む3員から8員、好ましくは5員から8員の飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環を意味する。
【0005】
Yで示されるヘテロ環基とは、ヘテロ原子として窒素、および、要すれば、好ましくはN、OおよびSから選択され、要すれば置換されていて良い第二のヘテロ原子を含む、3員から8員、好ましくは5員から8員の飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環を意味する。
【0006】
、RまたはYの適当な例としては、例えば、ピリジル、例えば3−または4−ピリジル、ピペリジル、例えばピペリジン−1−イル、3−または4−ピペリジル、ホモピペリジル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピロリル、ピロリジニルまたはモルホリン−4−イルが含まれ、要すれば、例えば一置換または複数置換されていて良い。ヘテロ環基が置換されている場合、それは、1個またはそれ以上の環炭素原子、および/または存すれば環窒素原子にあってよい。環炭素原子の置換基の例としては、例えばC1−4アルキル、例えばCH;要すればさらにC1−4アルキルにより置換されていてよいC3−6シクロアルキル、例えばシクロプロピル;
【化3】

[式中、pは、1、2または3、好ましくは1である];
CF;ハロゲン;NH;−CH−NR1617(ここでR16およびR17は、それぞれ独立にH、C1−4アルキルであるか、またはR16およびR17は、それらが結合する窒素原子と一緒にヘテロ環基またはヘテロアリールを形成している);−CH−OH;−CH−O−C1−4アルキル;−CH−ハロゲン;または−CH−CH−ハロゲンが含まれる。環窒素原子の置換基の例としては、例えば、C1−6アルキル;アシル、例えばR’−CO(ここで、R’は、H、C1−6アルキルまたはフェニルであり、要すればC1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはアミノ、例えばホルミルにより置換されていて良い);C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル;フェニル;フェニル−C1−4アルキル、例えばベンジル;ヘテロ環基、例えば上記のような、例えば1個または2個の窒素原子を含む芳香族ヘテロ環基;または式(β)
−R18−Y’ (β)
[式中、R18は、Oを挿入されたC1−4アルキレンまたはC2−4アルキレンであり、Y’は、OH、NH、NH(C1−4アルキル)またはN(C1−4アルキル)である]
で示される基がある。Oを挿入されたC2−4アルキレンとは、例えば−CH−CH−O−CH−CH−であり得る。
【0007】
環窒素における置換基がヘテロ環基である場合、それは、好ましくはN、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5員または6員の飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環であり得る。例としては、例えば3−または4−ピリジル、ピペリジル、例えばピペリジン−1−イル、3−または4−ピペリジル、ホモピペリジル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピリミジニル、モルホリン−4−イル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピロリルまたはピロリジニルが含まれる。
【0008】
、RまたはYで示されるヘテロ環基のさらなる例としては、例えば、式(γ)
【化4】

[式中、
環Dは、5員、6員または7員の飽和、不飽和または芳香族環であり;
は、−N=、−C=または−CH−であり;
は、−N=、−NR−、−CR’=または−CHR’−であり、ここでRは、環窒素原子について上記の置換基であり、R’は、環炭素原子について上記の置換基であり;
およびC間の結合は、飽和であるか、または不飽和であり;
およびCは、それぞれ独立して、要すれば、環炭素原子について上記のものから選択される1個または2個の置換基により置換されていて良い炭素原子であり;そして、
およびX間の線、およびCおよびX間の線はそれぞれ、5員、6員または7員の環Dを得るために必要な炭素原子数を示す]
で示される基が含まれ、故に、Yが式(γ)の基である場合、XおよびXのうち少なくとも1個が−N=である。
【0009】
好ましい式(γ)の基は、環Dが、1,4−ピペラジニル環を形成し、要すれば、記載のとおりC−および/またはN−置換されていて良いものである。
【0010】
式(γ)の基の典型的な例としては、例えば3−または4−ピリジル;ピペリジン−1−イル;1−N−(C1−4アルキル)−または−(ω−ヒドロキシ−C1−4アルキル)−3−ピペリジル;モルホリン−4−イル;イミダゾリル;ピロリジニル;1−ピペラジニル;2−C1−4アルキル−または−C3−6シクロアルキル−1−ピペラジニル;3−C1−4アルキル−または−C3−6シクロアルキル−1−ピペラジニル;2,2−または3,5−または2,5−または2,6−ジ(C1−4アルキル)−1−ピペラジニル;3,4,5−トリ−(C1−4アルキル)−1−ピペラジニル;4−N−(C1−4アルキル)−または−(ω−ヒドロキシ−C1−4アルキル)−または−(ω−ジメチルアミノ−C1−4アルキル)−1−ピペラジニル;4−N−ピリジン−4−イル−1−ピペラジニル;4−N−フェニル−または−C3−6シクロアルキル−1−ピペラジニル;4−N−(C1−4アルキル)−または−(ω−ヒドロキシ−C1−4アルキル)−3−C1−4アルキル−または−3,3−ジ(C1−4アルキル)−1−ピペラジニル;4−N−(1−C1−4アルキル−C3−6シクロアルキル)−1−ピペラジニル;4−N−ホルミル−1−ピペラジニル;4−N−ピリミジン−2−イル−1−ピペラジニル;または4−N−C1−4アルキル−1−ホモピペラジニルがある。
【0011】
式(b)の基にて、Rは、好ましくは式(α)の基であり、ここでXは直接結合であり、Rは−CH−である。好ましくは、Yは−NR1213である。好ましくは、R12およびR13はそれぞれ、それが結合する窒素原子と一緒にヘテロ環基を形成する以外の意義を有する。
が置換C1−4アルキルである場合、置換基は、好ましくは末端の炭素原子に存する。
【0012】
式Iの化合物にて、以下の、個別のまたは下位の組合せのいずれかの意義が好ましい:
1. Rは、H、メチル、エチルまたはイソプロピルであり;
2. Rは、H、Cl、メチルまたはエチルであり;
3. Rは、ヘテロ環基、例えばピペラジニルであり、要すれば、環窒素または環炭素にて置換されていて良く、例えば4−メチル−ピペラジン−1−イル、または4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクト−7−イルであるか;または式(α)の基であり、ここで、Xは直接結合であり、RはCHであり、Yは−NR1213であり、ここでR12およびR13は、それぞれ独立してH、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、C2−6アルケニル、または要すれば、末端の炭素原子にてOH、ハロゲンで置換されていてよいC1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはNR1415、ここでR14およびR15は、それぞれ独立してHまたはC1−4アルキルであり;またはR12およびR13は、それが結合する窒素原子と一緒にヘテロ環基、例えばピペラジニルを形成し;または
4. Rおよび/またはRは、H;CH;Cl、F;CF;ニトロまたはニトリルである。
【0013】
式Iの化合物は、遊離型または塩形態、例えば、有機酸または無機酸、例えば塩酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸との付加塩で存在し得る。
【発明の効果】
【0014】
式Iの化合物は、光学異性体、ラセミ体またはジアステレオマーの形態で存し得ることが認識されよう。例えば、ピペラジニル残基の3位にある置換基を担持する環炭素原子は、不斉炭素であり、D配置またはL配置をとり得る。本発明はすべてのエナンチオマーおよびその混合物を包含することが理解される。上記のような不斉炭素原子を示す出発物質に関しても、同様の見解が適用される。
【0015】
本発明はまた、式Iの化合物を製造する方法を含み、それは、式II
【化5】

[式中、RおよびRは上記に定義のとおりである]
で示される化合物と、式III
R−CH−CO−NH (III)
[式中、Rは上記に定義のとおりである]
で示される化合物を反応させる工程を含み、
そして、必要であれば、適当な、遊離型で得られた式Iの結果化合物を塩形態に変換する工程またはその逆工程を含む。
【0016】
前記方法は、例えばWO02/38561またはWO03/08259で開示のような、強塩基、例えばt−BuOKの存在下に都合良く実行され得る。
式IIおよびIIIの化合物を、例えばWO02/38561に開示のような公知の方法により製造することができる。
【0017】
出発物質の製造について特に記載しない限り、前記化合物は、公知であるかまたは当技術分野にて公知または以下に記載の方法と類似の方法で製造され得る。
以下の実施例は、本発明の具体例である。
RT = 室温
DMF = ジメチルホルムアミド
THF = テトラヒドロフラン
FCC = フラッシュカラムクロマトグラフィー
TLC = 薄層クロマトグラフィー
DBU = 1,8−ジアザビシクロ[5,4.0]ウンデク−7−エン
EtOAc = 酢酸エチル
【実施例】
【0018】
実施例1:
3−(1H−インドール−3−イル)−4−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−ピロール−2,5−ジオン
【化6】

2−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−アセトアミド(60mg、0.132mmol)および(1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸メチルエステル(40mg、0.199mmol)を無水THFと2回共沸し、その後、無水THF(2ml)中に溶解する。1.0M KOtBuのTHF溶液(0.73ml)を、室温で2分かけて滴下添加する。反応混合物を、1時間50℃に温め、その後TLC分析により、出発物質の完全な変換が示される。反応を水(5ml)の添加によりクエンチする。混合物をEtOAcで希釈し、飽和NHCl水溶液で2回洗浄する。水層をEtOAcで2回逆抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させる。残渣をFCC(EtOAc/AcOH/HO、800:55:45〜750:83:68〜700:110:90〜600:150:150)で精製し、その酢酸塩として表題化合物を得る。MeOH/トルエンで共沸後、産物をその酢酸−メタノール複合体として得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 2.10 (s, 3H), 2.10−2.22 (m, 4H), 3.47−3.52 (m, 4H), 6.58 (d, J=8.9 Hz, 1H), 6.73−6.76 (m, 1H), 7.02 (d, J=10.0 Hz, 1H), 7.04−7.08 (m, 1H), 7.40 (d, J=9.4 Hz, 1H), 7.84 (d, J=10.0, 1H), 8.03 (s, 1H); ES−MS: 456.5 [M+H].
【0019】
出発物質として用いる2−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−アセトアミドを、以下のように製造することができる:
a) (6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルおよび(6−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステル
1,1,1,3,3,3−ヘキサメチル−ジシラザン(33.4ml、154mmol)をトルエン(180ml)に溶解する。溶液を、3サイクルの短い高真空により脱気し、その後アルゴンでパージングする。溶液を−78℃に冷却後、n−BuLi(1.6Mのヘキサン溶液96ml、154mmol)を、20分間滴下添加する。懸濁液を、−78℃で15分間、および室温で15分間撹拌し、その後、澄明な黄色溶液を得る。パラジウム(0)ジベンジリデンアセトン複合体(1.69g、1.85mmol)および(2’−ジシクロヘキシルホスファニル−ビフェニル−2−イル)−ジメチル−アミン(1.53g、3.88mmol)を、2つ目のフラスコ中アルゴン雰囲気下に置く。室温にて、リチウム・ヘキサメチルジシラジドのトルエン溶液を、パラジウム(0)複合体−リガンド混合物を含むフラスコにカニューレを通して入れ、室温で10分間撹拌する。−10℃に冷却後、酢酸tert−ブチルエステル(19.0ml、142mmol)を、5分間滴下添加する。−10℃で10分間撹拌後、2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン(13.3g、61.58mmol)を一度に添加する。穏やかに加熱して、抽出物の添加後3分以内に反応混合物を20℃に温める。その後、反応温度を、徐々に約50℃まで上げる。15分後、TLC分析により、出発物質である2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジンの完全な消費が示される。反応を、水(100ml)の添加によりクエンチし、10分間撹拌する。EtOAc(250ml)を加え、濁った懸濁液をセライトのパッドでろ過する。有機層を水で2回洗浄し(逆抽出)、NaSOで乾燥し濃縮する。FCC(トルエン/EtOAc、100:0、99:1、98:2、97:3、96:4および8:2)により精製し、位置異性体である(6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルおよび(6−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルの1:2.5混合物を10.15g(56%)得る。
(6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルの分析データ:1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.56 (s, 9H), 3.89 (s, 2H), 7.47 (d, J= 8.9 Hz, 1H), 8.04 (d, J=8.9 Hz, 1H); ES−MS: 296.3 [M+H].
【0020】
b) (6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸エチルエステル
(6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルおよび(6−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルの1:2.5混合物(半粗製物;10.15g、34.33mmol)を、0℃で前もってHClガスで飽和させたEtOH(100ml)に溶解する。溶液を90℃に加熱する。90℃で30分後、TLC分析により、出発物質の完全な変換が示される。溶媒を完全に蒸発させる。粗反応産物をEtOAcに溶解し、濃NaHCO溶液で一回洗浄し、HOで一回洗浄する(EtOAcで逆抽出)。有機層をNaSOで乾燥し濃縮する。FCC(ヘキサン/EtOAc、100:0、97:3、95:5、9:1、85:15、8:2から7:3)による入念な精製により、2つの位置異性体化合物である(6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸tert−ブチルエステルおよび(6−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸エチルエステルを分離する。
(6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸エチルエステルの分析データ:1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.28 (t, J=6.7 Hz, 3H), 3.95 (s, 2H), 4.12 (q, J=6.7 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.85 (d, J=8.9 Hz, 1H); ES−MS: 268.2 [M+H].
【0021】
c) [6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−酢酸エチルエステル
(6−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−酢酸エチルエステル(700mg、2.62mmol)、酢酸パラジウム(II)(47mg、0.21mmol)およびrac−2,2’−ビス−ジフェニルホスファニル−[1,1’]ビナフタレン(65mg、0.10mmol)を、高真空下にて60℃で15分間乾燥したナトリウムtert−ブトキシド(277mg、2.88mmol)に加える。この混合物を、ジオキサン(9ml、高真空下で3回脱気し、アルゴンでパージした)に懸濁し、そしてN−メチルピペラジン(288mg、2.88mmol)を添加する。この懸濁液を含むフラスコを、前もって加熱した油浴(85℃)中に浸す。85℃で15分後、TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物を室温に冷却し、濃NHCl水溶液(100ml)とEtOAc(100ml)の混合物に撹拌しながら注ぐ。水層をEtOAcで抽出する。その後、有機層を濃NHCl溶液で1回洗浄し、NaSOで乾燥し濃縮する。FCC(CHCl/MeOH、100:0〜98:2〜97:3〜96:4〜95:5〜8:2)による精製により、表題化合物を得る。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.30 (t, J=7.8 Hz, 3H), 2.35 (s, 3H), 2.50−2.57 (m, 4H), 3.32−3.39 (m, 4H), 3.76 (s, 2H), 4.20 (q, J=7.8 Hz, 2H), 6.90 (d, J=8.9 Hz, 1H), 7.79 (d, =8.9 Hz, 1H); ES−MS: 332.5 [M+H].
【0022】
d) [6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−酢酸エチルエステル(493mg、1.49mmol)およびホルムアミド(224mg、4.98mmol)を、アルゴン雰囲気下にDMF(2.5ml)に溶解する。溶液を105℃まで加熱し、NaOMe(5.4MのMeOH溶液0.28ml、1.49mmol)を30分間滴下添加する。105℃でさらに10分後、TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈し、CHClで抽出する。有機層をNaSOで乾燥する。溶媒を除去し、高真空下で乾燥して粗産物を得、それをFCC(EtOAc/AcOH/HO、700:110.90〜650:130:120〜600:150:150〜500:200:200)で精製し、その酢酸塩として表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 2.20 (s , 3H), 2.34−2.38 (m, 4H), 3.55 (s, 2H), 3.55−3.58 (m, 4H), 6.78 (d, J=10.6 Hz, 1H), 6.92 (br s, 1H), 7.32 (br s, 1H), 7.71 (d, J=10.6 Hz, 1H); ES−MS: 303.5 [M+H].
【0023】
実施例1の方法に従い、ただし、適当な出発物質を用いて、式A
【化7】

[式中、R、R、RおよびRからRは、以下の表1に記載のとおりである]
で示される化合物を得ることができる。
【表1】

【0024】
実施例29:
3−(5−クロロ−2−ジメチルアミノメチル−1H−インドール−4−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン
【化8】

2−(5−クロロ−2−ジメチルアミノメチル−1H−インドール−4−イル)−アセトアミド(50mg、0.19mmol)および(1H−インドール−3−イル)−オキソ−酢酸メチルエステル(57mg、0.28mmol)を、アルゴン雰囲気下で3mlの無水THFに溶解する。モレキュラー・シーブ(3Å、100mg)を添加する。1.0M KOtBuのTHF溶液(0.57ml)を、1分間かけて室温で滴下添加する。1時間後、TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH4Cl溶液で2回洗浄し、飽和NaCl溶液で1回洗浄する。水層を、EtOAcで逆抽出する。合わせた有機層を、NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発し、定量的収率で粗4−(5−クロロ−2−ジメチルアミノメチル−1H−インドール−4−イル)−3−ヒドロキシ−3−(1H−インドール−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオンを得る。この産物を、アルゴン雰囲気下で無水DMF(4ml)に溶解し、DBU(141μl、0.94mmol)を室温で添加する。その後、反応フラスコを、前もって120℃に加熱しておいた油浴中に10分間浸す。TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaCl溶液で洗浄する。有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を蒸発する。残渣を、FCC(EtOAc/AcOH/HO、700:110:90)により精製し、その酢酸塩として表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 1.96 (s, 6H), 3.30−3.42 (m, 2H), 5.86 (s, 1H), 6.38 (d,J=8.4 Hz, 1H), 6.51 (t, J=8.4 Hz, 1H), 6.94 (t, J=8.4 Hz, 1H), 7.29 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.32 (d, 8.4 Hz, 1H), 7.39 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 11.3 (s, 1H), 12.0 (br s, 2H); ES−MS: 419.1 [M+H].
【0025】
出発物質として用いる2−(5−クロロ−2−ジメチルアミノメチル−1H−インドール−4−イル)−アセトアミドを、以下のように製造することができる:
a) 5−クロロ−2−メチル−4−ニトロ−1H−インドール
4−クロロ−3−ニトロアニリン(10.0g、57.9mmol)をDMSO(130ml)中に溶解する。アセトン(8.52ml、115.9mmol)およびカリウムtert−ブチレート(13.0g、115.9mmol)を添加する。温度を、氷浴を用いて30℃より低く維持する。室温で90分後、TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物に水を注ぎ、2MのHCl水溶液で酸性化し、その後、EtOAcで抽出する。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。FCC(CHCl)により精製し、わずかに褐色がかった固体を得、それはH−NMR分析により、所望の表題化合物と対応する脱塩素化誘導体の約1:1混合物である。分取HPLCによる入念な精製により、表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ2.50 (s, 3H), 6.40 (s, 1H), 7.26 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.61 (d, J=9.0 Hz, 1H), 11.8 (s, 1H); ES−MS: 209 [M−H].
【0026】
b) 5−クロロ−2−メチル−4−ニトロ−インドール−1−カルボン酸メチルエステル
5−クロロ−2−メチル−4−ニトロ−1H−インドール(1.62g、7.69mmol)を、アルゴン雰囲気下で無水DMF(30ml)に溶解する。NaH懸濁液(鉱油中60%、369mg、9.22mmol)の添加後、混合物を、室温で1時間撹拌する。クロロギ酸メチル(0.72ml、9.22mmol)を、10分間でゆっくり添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌し、黄色がかった懸濁液を形成する。ろ過および乾燥後、表題化合物を純粋な形態で得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 2.53 (s, 3H), 4.06 (s, 3H), 6.71 (s, 1H), 7.57 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 8.30 (d, J=9.0 Hz, 1H); ES−MS: 268 [M+H].
【0027】
c) 4−アミノ−5−クロロ−2−メチル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル
5−クロロ−2−メチル−4−ニトロ−インドール−1−カルボン酸メチルエステル(2.1g、7.81mmol)を、エタノール(40ml)および氷酢酸(40ml)に溶解する。鉄粉(1.74g、31.26mmol、濃HSOで前もって活性化し、その後水で洗浄した)を添加し、反応混合物を90分間85℃に加熱する。反応混合物に水を注ぎ、30分間室温で撹拌後、わずかに褐色がかった沈殿が形成され、それをろ取する。水で洗浄後、乾燥し、表題化合物を純粋な形態で得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz, 120 ℃) δ 2.51 (s, 3H), 4.05 (s, 3H), 5.0−5.2 (br s, 2H), 6.66 (s, 1H), 7.05 (d, J=9 Hz, 1H), 7.31 (d, J=9 Hz, 1H); ES−MS: 238 [M+H].
【0028】
d) 4−ブロモ−5−クロロ−2−メチル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル
4−アミノ−5−クロロ−2−メチル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル(2.04g、8.54mmol)を、4.8%のHBr水溶液(75ml)に懸濁する。0℃に冷却後、亜硝酸ナトリウム(1.23g、17.94mmol)の水溶液(30ml)を、20分間ゆっくり添加する。0℃で30分後、臭化銅(I)(25.1g、175mmol)の48%HBr/HO溶液(75ml)をゆっくり添加し、その間温度を5℃より低く維持する。全て添加後、懸濁液を室温で2時間撹拌し、その後5分間85℃で撹拌する。室温に冷却後、混合物をCHCl/MeOH(95:5、800ml)で抽出する。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。FCC(ヘキサン/EtOAc、4:1)による精製で、表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 2.61 (s, 3H), 4.03 (s, 3H), 6.56 (s, 3H), 7.46 (d, J=9 Hz, 1H), 8.05 (d, J=9 Hz, 1H); ES−MS: 303 [M+H].
【0029】
e) 5−クロロ−4−エトキシカルボニルメチル−2−メチル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル
4−ブロモ−5−クロロ−2−メチル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル(1.99g、6.57mmol)およびトリブチルスタンナニル−酢酸エチルエステル(3.22g、8.55mmol)を、アルゴン雰囲気下で無水DMF(55ml)に溶解する。臭化亜鉛(II)(1.92g、8.55mmol)およびジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(0)(1.03g、1.31mmol)を添加する。反応混合物を、18時間80℃に加熱する。TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物を室温に冷却し、飽和NHCl水溶液に注ぐ。EtOAc(30ml)の添加後、混合物をセライトのパッドによりろ過する。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。残渣をFCC(ヘキサン/EtOAc、4:1)により精製し、未だ錫残渣の混入している所望の化合物を得る。混合物を、1M NaOH/EtOAcの1:1混合物(全200ml)に溶解し、室温で18時間撹拌する。有機層を分け、濃NaCl水溶液で1回洗浄し、その後NaSOで乾燥する。濃縮して固体残渣を得、それをFCC(ヘキサン/EtOac、4:1)により精製して、未だわずかに混入物質のある所望の化合物を得る。さらなる自動化分取HPLCシステム(Gilson HPLC、Xterra 5ミクロン、勾配10%から100%MeCN水溶液、30分)での精製により、純粋な表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 1.20 (t, J=6.6 Hz, 3H), 2.59 (s, 3H), 4.01 (s, 2H), 4.03 (s, 3H), 4.11 (q, J=6.6 Hz, 2H), 6.68 (s, 1H), 7.32 (d, J=9 Hz, 1H), 7.96 (d, J=9 Hz, 1H); ES−MS: 332.1 [M+Na].
【0030】
f) 5−クロロ−4−エトキシカルボニルメチル−2−ホルミル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル
5−クロロ−4−エトキシカルボニルメチル−2−メチル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル(398mg、1.28mmol)を、アルゴン雰囲気下でジオキサン(18ml)に溶解する。亜セレン酸(331mg、2.56mmol)を添加し、そして反応混合物を18時間で100℃に加熱する。TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物をEtOAcで希釈し、水に注ぐ。有機層を、飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。固体の残渣を、FCC(ヘキサン/EtOAc、2:1)により精製し、表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 1.20 (t, J=6.6 Hz, 3H), 4.09 (s, 3H), 4.12 (q, J=6.6 Hz, 2H), 4.19 (s, 2H), 7.64 (d, J=10.8, 1H), 8.09 (d, J=10.8, 1H), 10.32 (s, 1H); ES−MS: 346.1.1 [M+Na].
【0031】
g) (5−クロロ−2−ジメチルアミノメチル−1H−インドール−4−イル)−酢酸エチルエステル
5−クロロ−4−エトキシカルボニルメチル−2−ホルミル−インドール−1−カルボン酸メチルエステル(350mg、1.08mmol)を、アルゴン雰囲気下で無水THF(10ml)に溶解し、ジメチルアミン(290μlの5.6M EtOH溶液、1.62mmol)を室温で添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。その後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(82mg、1.29mmol)の酢酸(310μl、5.40mmol)含有メタノール溶液(3ml)を、添加する。室温で3時間、撹拌し続ける。TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物をEtOAcで希釈し、水に注ぐ。pHを、飽和NaHCO水溶液の添加によりアルカリ性にする。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を濃NaCl水溶液で1回洗浄する。NaSOで乾燥後、溶媒を除去し、残渣をFCC(CHCl/EtOH/NH水溶液、90:9:1)で精製し、表題化合物を得る。
1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ 1.19 (t, J=6.6 Hz, 3H), 2.20 (s, 6H), 3.55 (s, 2H), 3.97 (s, 2H), 4.11 (q, J=6.6 Hz, 2H), 6.38 (s, 1H), 7.08 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.26 (d, J=9.0 Hz, 1H), 11.2 (br s, 1H); ES−MS: 293.2 [M+H].
【0032】
h) (5−クロロ−2−ジメチルアミノメチル−1H−インドール−4−イル)−酢酸エチルエステル(187mg、0.63mmol)およびホルムアミド(84μl、2.12mmol)を、アルゴン雰囲気下で無水DMF(1.5ml)に溶解する。溶液を105℃まで加熱し、NaOMe(5.4M MeOH溶液118μl、0.63mmol)を10分間滴下添加する。105℃で1時間後、TLC分析により、出発物質の完全な消費が示される。反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈し、1MのNaHSO水溶液の添加によりpH値を7に合わせる。混合物を濃縮し、固体の残渣をFCC(CHCl/EtOH/NH水溶液、70:27:3)により精製し、表題化合物を得る。
ES−MS: 266.7 [M+H].
【0033】
実施例29の方法に従い、ただし、適当な出発物質を用いて、式B
【化9】

[式中、R、RおよびRは、表2に記載のとおりである]
で示される化合物を製造することができる。
【表2】

【0034】
実施例29の方法に従い、ただし、適当な出発物質を用いて、式C
【化10】

[式中、R、R、R、RおよびRは、表3に記載のとおりである]
で示される化合物を製造することができる。
【表3】

【0035】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物は、様々な生理学的特性、例えば、インビトロ試験およびインビボ試験で示されるような、例えば、プロテインキナーゼC(PKC)、例えば、α、β、δ、ε、ηまたはθなどのPKCイソフォームの活性の阻害、例えば、T細胞のサイトカイン、例えばIL−2に対する増殖性応答の阻害をすることによる、T細胞またはサイトカイン、例えばIL−2生産の阻害による、T細胞活性化および増殖の阻害を示し、故に、治療に適応される。
【0036】
A. インビトロ
1. プロテインキナーゼC検定
式Iの化合物を、公開された方法(D. Geiges et al. Biochem. Pharmacol. 1997;53:865−875)により、異なるPKCイソフォームに対するそれらの活性について試験する。前記検定を、Sigmacote(Sigma SL-2)で前もってシリコン処理した96ウェルのポリプロピレン製マイクロタイタープレート(Costar 3794)中で行う。反応混合物(50μl)には、10μlの関連PKCアイソザイムと一緒に、25μlの試験化合物ならびに、20mM Tris緩衝液、pH7.4+0.1%BSA中、200μg/mlの硫酸プロタミン、10mM Mg(NO、10μM ATP(Boehringer 519987)および3750Bq 33P−ATP(Hartmann Analytic SFC301、110TBq/mmol)を含む15μlの混合溶液が含まれる。マイクロタイタープレート振とうインキュベーター(Biolabo Scientific Instruments)中にて32℃で15分間、インキュベーションを行う。反応を、10μlの0.5M NaEDTA、pH7.4の添加により停止する。50μlの混合物を、予め湿らせたリン酸セルロース・ペーパー(Whatmann 3698-915)上に、軽い圧力下でピペッティングする。取り込まれていないATPを、100μlの2回蒸留した水で洗い流す。前記ペーパーを、15分間0.5%HPO中2回洗浄し、次にEtOHで5分間洗浄する。その後、前記ペーパーを乾燥し、omnifilter(Packard 6005219)に置き、10μl/ウェルのMicroscint−O(Packard 6013611)と重ね合わせ、その後Topcount放射活性測定器(Packard)で測定する。IC50測定を、上記の方法に従い、1−1000μMの範囲の濃度でのインヒビターの段階希釈でインキュベートすることにより定期的に行う。IC50値を、S字状曲線フィットによりグラフから測定する。
【0037】
2. プロテインキナーゼCθ検定
ヒト組換えPKCθを、上記の検定条件下で用いる。本検定にて、式Iの化合物は、IC501μMでPKCθを阻害する。例えば、実施例1の化合物は、5.4nMのIC50でPKCθを阻害し、実施例10の化合物は5.8nMのIC50で、そして実施例41の化合物は、PKCθを9.3nMのIC50で阻害する。
【0038】
3. プロテインキナーゼCα検定
ヒト組換えPKCαを、Oxford Biomedical Researchから入手し、上記セクションA.1に記載のような検定条件下で用いる。本検定にて、式Iの化合物は、IC501μMでPKCαを阻害する。本検定にて、実施例1の化合物は、2.9nMのIC50でPKCαを阻害し、実施例39の化合物は、6.3nMのIC50でPKCαを阻害し、そして実施例41の化合物は、7.5nMのIC50でPKCαを阻害する。
【0039】
4. プロテインキナーゼCβ1検定
ヒト組換えPKCβ1を、Oxford Biomedical Researchから入手し、上記セクションA.1に記載のような検定条件下で用いる。本検定にて、式Iの化合物は、IC501μMでPKCβ1を阻害する。例えば、実施例1の化合物は、5.9nMのIC50でPKCβ1を阻害し、実施例39の化合物は、13.2nMのIC50でPKCβ1を阻害し、そして実施例41の化合物は、14.9nMのIC50でPKCβ1を阻害する。
【0040】
5. プロテインキナーゼCδ検定
ヒト組換えPKCδを、Oxford Biomedical Researchから入手し、上記セクションA.1に記載のような検定条件下で用いる。本検定にて、式Iの化合物は、IC501μMでPKCδを阻害する。例えば、実施例1の化合物は、21.0nMのIC50でPKCδを阻害し、そして実施例41の化合物は、29.5nMのIC50でPKCδを阻害する。
【0041】
6. プロテインキナーゼCε検定
ヒト組換えPKCεを、Oxford Biomedical Researchから入手し、上記セクションA.1に記載のような検定条件下で用いる。本検定にて、式Iの化合物は、IC501μMでPKCεを阻害する。例えば、実施例1の化合物は、14.7nMのIC50でPKCδを阻害し、そして実施例41の化合物は、7.6nMのIC50でPKCδを阻害する。
【0042】
7. プロテインキナーゼCη検定
ヒト組換えPKCηを、PanVeraから入手し、上記セクションA.1に記載のような検定条件下で用いる。本検定にて、式Iの化合物は、IC501μMでPKCηを阻害する。例えば、実施例1の化合物は、15.3nMのIC50でPKCηを阻害し、実施例41の化合物は、15.0nMのIC50でPKCηを阻害する。
【0043】
8. CD28共刺激検定
本検定は、Baumann GらのTransplant. Proc. 1992;24:43−8に記載のような、ルシフェラーゼ遺伝子により置換されているβ−ガラクトシダーゼ・レポーター遺伝子である、ヒトインターロイキン−2・プロモーター/レポーター遺伝子構築物で形質転換したJurkat細胞を用いて行う(de Wet J., et al., Mol. Cell Biol. 1987, 7(2), 725−737)。細胞を、固相結合抗体またはフォルボール・ミリスチン酸・酢酸(PMA)およびCa++イオノホア・イオノマイシンで以下のように刺激する。抗体を介した刺激について、マイクロライトTM1マイクロタイタープレート(Dynatech)を、1ウェル当たり55μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の3μg/mlヤギ抗−マウスIgG Fc抗体(Jackson)で室温にて3時間コーティングする。プレートを、PBS(300μl/ウェル)中2%ウシ血清アルブミン(BSA)と共に室温で2時間インキュベートすることにより抗体を除去した後、ブロッキングする。1ウェル当たり300μlのPBSで3回洗浄後、50μlの2%BSA/PBS中、10ng/mlの抗T細胞受容体抗体(WT31, Becton & Dickinson)および300ng/ml抗CD28抗体(15E8)を、刺激抗体として添加し、4℃で一晩インキュベートする。
【0044】
最後に、前記プレートを、1ウェル当たり300μlのPBSで3回洗浄する。デュプリケイトの検定媒体(50μM 2−メルカプトエタノール、100単位/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシンを包含するRPMI1640/10%ウシ胎児血清(FCS))中、試験化合物の7個の3倍連続希釈物を、分離プレート中に調製し、形質転換したJurkat細胞(クローンK22290_H23)と混合し、5%CO中37℃で30分間インキュベートする。その後、1×10細胞を包含する100μlの本混合物を、抗体でコートした検定プレートに移す。並行して、100μlを、40ng/ml PMAおよび2μM イオノマイシンと共にインキュベートする。5%CO中37℃で5.5時間インキュベート後、ルシフェラーゼのレベルを、バイオルミネッセンス測定器で測定する。プレートを、500gで10分間遠心し、上清を軽く叩いて(flicking)除去する。25mM Tris−リン酸塩、pH7.8、2mM DTT、2mM 1.2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N−テトラ酢酸、10%(v/v)グリセロールおよび1%(v/v)トリトンX−100を含む溶解緩衝液を、添加する(20μl/ウェル)。プレートを、一定の振とう下に室温で10分間インキュベートする。ルシフェラーゼ活性を、20mM トリシン、1.07mM(MgCOMg(OH)×5HO、2.67mM MgSO、0.1mM EDTA、33.3mM DTT、270μM コエンザイムA、470μM ルシフェリン(Chemie Brunschwig AG)、530μM ATP、pH7.8を包含するルシフェラーゼ反応緩衝液を1ウェル当たり50μl自動的に添加後、バイオルミネッセンス・リーダー(Labsystem, Helsinki, Finland)で測定する。時間差は、0.5秒であり、全測定時間は、1秒または2秒である。低い対照値は、抗T細胞受容体刺激した細胞またはPMA刺激した細胞からの光の単位であり、高い対照値は、試験試料を含まない抗T細胞受容体/抗−CD28−またはPMA/イオノマイシン−刺激した細胞からのものである。低い対照値を、すべての値から差し引く。試験化合物の存在で得られる阻害を、高い対照の阻害の割合として測定する。50%阻害(IC50)を生じる試験化合物の濃度を、用量反応曲線から決定する。本方法にて、式Iの化合物は、IC501μMで抗T細胞受容体/抗CD28およびPMA/イオノマイシン刺激したJurkat細胞を阻害する。
例えば、実施例1の化合物は13.0nMのIC50を有し、実施例39の化合物は、46.7nMのIC50を有し、そして実施例41の化合物は28.3nMのIC50を有する。
【0045】
9. 同種混合リンパ球反応(MLR)
2方向(two-way)MLRを、標準的な方法(J. Immunol. Methods, 1973, 2, 279 and Meo T. et al., Immunological Methods, New York, Academic Press, 1979, 227−39)で行う。簡潔には、CBAマウスおよびBALB/cマウス由来の脾臓細胞(平底組織培養マイクロタイタープレート中1ウェルあたりそれぞれの系統由来の1.6×10細胞、全3.2×10)を、10%FCS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Gibco BRL, Basel, Switzerland)、50μM 2−メルカプトエタノール(Fluka, Buchs, Switzerland)および連続希釈した化合物を含むRPMI培地中でインキュベートする。試験化合物当たり7個の3倍の希釈工程をデュプリケイトで行う。インキュベーションの4日後、1μCi H−チミジンを添加する。さらに5時間インキュベーションした後、細胞を集め、取り込まれたH−チミジンを、標準的な方法により測定する。MLRのバックグラウンド値(低い対照)は、BALB/c細胞のみの増殖を示す。低い対照値を、すべての値から差し引く。試料なしの高い対照を、100%増殖とする。試料による阻害割合を測定し、50%阻害(IC50値)に必要な濃度を決定する。例えば、実施例1の化合物は、28.8nMのIC50を有し、実施例39の化合物は、285nMのIC50を有し、そして実施例41の化合物は、32.5nMのIC50を有する。
【0046】
10. GSK−3βの阻害
GSK−3β結合検定を、96ウェルのポリプロピレンプレート中50μlの反応液にて行い、本反応液は各々20mM 塩化マグネシウム、40μM ATP、2mM DTT、88.5μM ビオチン化およびリン酸化CREB−ペプチド基質(ビオチン−KRREILSRRPS(PO)YR−OH;Q. M. Wang et al., J. Biol. Chem. 269, 14566−14574, 1994)、[γ−33P]ATP(1μCi)および2μlのDMSO中試験化合物(様々な濃度)を含む。15μlのGSK−3β(様々な濃度)を添加し、混合物を、30℃で1時間インキュベートする。25μlの混合物を130μlの1.85%リン酸を含むリン酸セルロースプレートに移し、反応を停止する。膜中の遊離した放射ヌクレオチドを、真空下1.85%リン酸で洗い流す(5回)。最後の洗浄後、プレートをアダプタープレートに移し、50μlのシンチレーションカクテル(Microscint−20, Packard, カタログ番号20−133)をそれぞれのウェルに添加し、放射活性の量を上記の測定器で測定する。式Iの化合物は、本検定にて活性である。
例えば、実施例1の化合物は、18nMのIC50を有し、そして実施例41の化合物は、25nMのIC50を有する。
【0047】
B. インビボ
ラット心臓移植
次の系統の組合せを用いた:オスのLewis(RTハプロタイプ)およびBN(RTハプロタイプ)。吸入イソフルオレンを用いて、動物を麻酔する。腹部下大静脈を介して供与側ラットをヘパリン処理ながら同時に大動脈から放血した後、開胸し、すばやく心臓を冷却する。大動脈を最初の分岐から遠位で結紮して分割し、腕頭動脈を、第一の分岐で分ける。左の肺動脈を結紮し、分割し、右側は分割するが開放したままにする。すべての他の血管を自由に切開し、結紮し、分割し、そして供与側心臓を氷冷食塩水中に移す。
【0048】
受容側は、腎臓下の腹部大動脈と大静脈の解離および遮断を行うことにより調製する。移植片を、10/0モノフィラメント縫合を用いて、供与側腕頭動脈と受容側大動脈、および供与側右肺動脈から受容側大静脈の間に端側吻合で移植する。クランプを除去し、移植片を後腹部(retroabdominally)につなぎ、腹腔内容物を温かい食塩水で洗浄し、そして動物を閉じ、そして加熱ランプ下に回復させる。腹壁を介した供与側心臓の鼓動を毎日触診することにより、移植片生着率を測定する。心臓の鼓動が停止した場合、完全に拒絶されたと見なされる。1〜30mg/kg、1日2回の用量で経口的に投与される式Iの化合物で処置される動物にて、移植片生着率が増大される。
【0049】
移植片対宿主モデル
Wistar/Fラット由来の脾臓細胞(2×10)を、(Wistar/F×Fischer 344)F交配ラットの右後足フッドパッドに皮下注射する。左側フッドパッドは、処置しないままにする。前記動物を、4日間連続して試験化合物で処置する(0−3)。膝下リンパ節を7日目に除去し、そして2つの対応するリンパ節間の重量の相違を決定する。実験群のリンパ節の重量の相違と、試験化合物にて未処置のままの動物群由来の対応するリンパ節間の重量の相違を比較した結果を、リンパ節の拡張の阻害として表す(%で表す)。本検定にて、1日2回、30または10mg/kgの値の用量でそれぞれ投与した場合、実施例1または10の化合物で100%阻害される。
【0050】
故に、式Iの化合物は、Tリンパ球および/またはPKCを介する疾患または障害、例えば、臓器または組織の同種または異種移植片の急性または慢性拒絶、移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、血管閉塞などの血管外傷に起因する血管閉塞、再狭窄、肥満、X症候群、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー疾患または筋萎縮性側索硬化症などのCNS障害、癌、AIDSなどの感染症、敗血症または成人呼吸窮迫症候群、虚血/再かん流損傷、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、または外傷性ショック、例えば外傷性脳損傷などの、処置および/または予防に有用である。
【0051】
式Iの化合物はまた、T細胞を介する急性または慢性炎症性疾患もしくは障害、または自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病、およびそれらの合併症、喘息または炎症性肺損傷などの呼吸器疾患、炎症性肝臓損傷、炎症性糸球体損傷、免疫学的な障害または疾患を介する皮膚症状、炎症性および過増殖性皮膚疾患(乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、およびさらなる湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎など)、炎症性眼疾患、例えばシェーグレン症候群、角結膜炎またはブドウ膜炎、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎などの、処置および/または予防にも有用である。上記に使用に関して、必要量は、投与方法、特定の処置条件および所望の効果によりもちろん変化する。一般に、体重1kg当たり約0.1〜約100mgの日用量で、好結果が全身的に得られることが示される。大きな哺乳動物、例えばヒトにて望ましい日用量は、約0.5mgから約2000mgの範囲で、例えば、1日に4回までの分割投与または遅延形態で都合良く投与される。
【0052】
式Iの化合物を、慣用の経路、特に経腸的、例えば、錠剤またはカプセルの形状で経口的に、または例えば注射可能溶液もしくは懸濁液の形態で非経腸的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態または経鼻形態もしくは座剤で局所的に投与することができる。少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤とともに遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物を包含する医薬組成物を、薬学的に許容される担体または希釈剤と混合することによる慣用の方法で製造することができる。経口投与のための単位投与形態には、例えば、約0.1mgから約500mgの活性物質が含まれる。
【0053】
局所投与とは、例えば皮膚に対してである。局所投与のさらなる形態とは、目に対してである。
式Iの化合物を、例えば上記のように、遊離型または薬学的に許容される塩形態で投与することができる。かかる塩は、慣用の方法で製造され得、そして遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0054】
上記本発明に従ってさらに、以下が提供される:
1.1 かかる処置を必要とする被験者における、例えば上記などの、Tリンパ球および/またはPKCまたはGSK−3βを介する障害または疾患の予防または処置の方法であって、有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を該被験者に投与することを含む方法;
1.2 かかる処置を必要とする被験者における、例えば上記などの、急性または慢性の移植拒絶、またはT細胞を介する炎症性または自己免疫性疾患の予防または処置の方法であって、有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を該被験者に投与することを含む方法;
【0055】
2. 例えば上記1.1および1.2に記載のような方法における、医薬としての使用のための、遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物。
3. 例えば、上記1.1および1.2に記載のような方法における使用のための、遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物を薬学的に許容される希釈剤またはその担体と一緒に含む医薬組成物。
4. 上記1.1および1.2に記載のような方法における使用を目的とした医薬組成物の製造に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0056】
式Iの化合物を、例えば同種または異種移植の急性または慢性拒絶、もしくは炎症性障害または自己免疫性障害の処置または予防のため、単独の活性成分として、または免疫調節レジメンにおける他の薬剤、または他の抗炎症性剤と共に投与することができる。例えば、それらを、シクロスポリン、またはアスコマイシ、またはそれらの免疫抑制性類似体もしくは誘導体、例えばシクロスポリンA、ISA Tx247、FK−506、ABT−281、ASM 981;mTORインヒビター、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、またはラパログ、例えばAP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス7またはバイオリムス9など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキセート;促進性リンパ球ホーミング特性を有するEDG受容体アゴニスト、例えばFTY 720またはその類似体;レフルノミドまたはその類似体;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシ・スペルグアリン(deoxyspergualine)またはその類似体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはそれらのリガンド、例えばCD154に対するモノクローナル抗体;または他の免疫調節化合物、例えばCTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部を有する組換え結合分子、またはその変異体、例えば非CTLA4タンパク質配列と連結したCTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部またはその変異体、例えばCTLA4Ig(例えば、ATCC 68629に記載)またはその変異体、例えばLEA29Y、または他の接着分子インヒビター、例えばmAbsまたはLFA−1アンタゴニストを含む低分子量インヒビター、セレクチン・アンタゴニストおよびVLA−4アンタゴニストと組み合わせて使用することができる。
【0057】
式Iの化合物はまた、抗増殖性薬剤、例えば化学療法薬、例えば、これに限定されるわけでないが、アロマターゼ・インヒビター、抗エストロゲン剤、トポイソメラーゼIインヒビター、トポイソメラーゼIIインヒビター、微小管活性化剤、アルキル化剤、ヒストン脱アセチル化インヒビター、ファルネシルトランスフェラーゼ・インヒビター、COX−2インヒビター、MMPインヒビター、mTORインヒビター、抗新生物代謝拮抗剤、プラチン化合物、プロテインキナーゼ活性を減少する化合物およびさらなる抗−血管形成化合物、ゴナドレリン・アゴニスト、抗アンドロゲン、ベンガミド、ビスホスフォネート、抗増殖性抗体およびテモゾロマイドを含む癌の処置に用いられるものと共に、または糖尿病治療にて、抗糖尿病薬、インスリン分泌促進剤またはインスリン分泌エンハンサー、例えばスルホニル尿素、例えばトルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、4−クロロ−N−[(1−ピロリジニルアミノ)カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド(グリコピラミド)、グリベンクラミド(グリブリド)、グリシラジド、1−ブチル−3−メタニリル尿素、カルブタミド、グリボヌリド、グリピザイド、グリキドン、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミドまたはトリルシクラミド、経口インスリン刺激物質誘導体、例えば短期作用インスリンエンハンサー、例えばメグリチニド、レパグリニド、フェニル酢酸誘導体、例えばナテグリニド、DPP IVインヒビター、例えば1−{2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチルアミノ}アセチル−(2S)−シアノ−ピロリジンジヒドロクロライド、LAF237、GLP−1またはGLP−1アゴニスト類似体、またはインスリン・センシタイザー、例えばペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γアゴニスト(PPARγ)、例えばグリタゾン、N−(2−ベンゾイルフェニル)−L−チロシン類似体などの非−グリタゾン型、例えばGI−262570、またはオキソリジンジオン、例えばJTT501、2重PPARγ/PPARαアゴニスト、例えばDRF−554158、NC−2100またはNN−622、レチノイドX受容体アゴニストまたはレキシノイド、例えば2−[1−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−シクロプロピル]−ピリジン−5−カルボン酸、4−[(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−カルボニル]−安息香酸、9−シスレチノイン酸またはその類似体、誘導体または薬学的に許容される塩と共に投与され得る。
【0058】
上記本発明により、さらに以下の局面が提供される:
5. 治療的有効量のGSK−3β、PKCまたはT細胞活性化および増殖のインヒビター、例えば遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物と、第二の製剤物質を、例えば同時または連続的に共投与することを含む上記のような方法であって、該第二の製剤物質は、例えば上記のような免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症性剤、抗増殖性剤または抗糖尿病薬である。
【0059】
6. a)GSK−3β、PKCのインヒビター、またはT−細胞活性化および増殖のインヒビター、例えば遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物、およびb)免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症性剤、抗増殖性剤および抗糖尿病薬から選択される少なくとも1個の第二の物質、を含む治療的組合せ、例えば、キット。構成要素a)および構成要素b)は、同時にまたは連続して用いられ得る。キットには、その投与のための取扱説明書が含まれ得る。
【0060】
GSK−3β、PKCのインヒビター、またはT細胞活性化および増殖のインヒビター、例えば式Iの化合物を、例えば上記に特定したような急性または慢性の移植拒絶、または炎症性障害または自己免疫性障害の予防または処置のため、他の免疫抑制剤/免疫調節剤、抗炎症性剤、抗増殖性剤または抗糖尿病治療剤と一緒に投与する場合、共投与した免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症性剤、抗増殖性剤または抗糖尿病性化合物の投与量は、もちろん、用いた共薬剤の型、例えばステロイドまたはシクロスポリンのどちらか、用いた特定の薬剤、処置する状態などにより変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
は、H;C1−4アルキル;またはOH、NH、NHC1−4アルキルまたはN(ジ−C1−4アルキル)により置換されたC1−4アルキルであり;
は、H;ハロゲン;C1−6アルキル;またはC1−6アルコキシであり、そして、
Rは、(b)
【化2】

〔式中、
は、ヘテロ環基であるか、または式α
−X−R−Y (α)
{式中、Xは、直接結合、O、SまたはNR11であり、ここでR11は、HまたはC1−4アルキルであり、
は、C1−4アルキレンであるか、または1個のCHをCRにより置換されているC1−4アルキレンであり、ここでRおよびRのうち1個はHであり、他はCHであるか、RおよびRはそれぞれCHであるか、またはRおよびRは、一緒になって−CH−CH−を形成しており、
Yは、末端の炭素原子と結合し、そしてOH、−NR1213から選択され、ここでR12およびR13は、それぞれ独立してH、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキル、C2−6アルケニル、または要すればOH、ハロゲン、C1−4アルコキシまたは−NR1415で末端の炭素原子を置換されていてよいC1−4アルキルであり、ここでR14およびR15は、それぞれ独立してH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、アリール−C1−4アルキルであるか、またはR12およびR13は、それらが結合する窒素原子と一緒にヘテロ環基を形成する}
で示される基であり、そして、
は、独立してH;ハロゲン;C1−4アルキル;C1−4アルコキシ;CF;ニトリル;ニトロまたはアミノである〕
で示される基である]
で示される化合物、またはその塩。
【請求項2】
が、H、メチル、エチルまたはイソプロピルである、請求項1記載の化合物、またはその塩。
【請求項3】
が、H、Cl、メチルまたはエチルである、請求項1または2記載の化合物、またはその塩。
【請求項4】
が、H;Cl、F;CF;ニトリル;ニトロまたはアミノである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物、またはその塩。
【請求項5】
式II
【化3】

[式中、RおよびRは、請求項1に定義のとおりである]
で示される化合物と、
式III
R−CH−CO−NH (III)
[式中、Rは、請求項1に定義のとおりである]
で示される化合物を反応させる工程を含み、
必要であれば、適切に、遊離型で得られた式Iの結果化合物を塩形態に変換する工程、または逆工程を含む、請求項1記載の式Iの化合物を製造する方法。
【請求項6】
医薬品として用いるための、遊離型または薬学的に許容される塩形態の請求項1〜4のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項7】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の請求項1〜4のいずれか一項記載の式Iの化合物を、薬学的に許容される希釈剤またはその担体と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項8】
Tリンパ球および/またはPKC、またはGSK−3βを介する障害または疾患の処置または予防における使用を目的とした医薬組成物の製造における使用のための、請求項1〜4のいずれか一項記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
有効量の請求項1〜4のいずれか一項記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、Tリンパ球および/またはPKC、またはGSK−3βを介する障害または疾患の予防または処置のための、医薬組成物。

【公開番号】特開2009−280592(P2009−280592A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165725(P2009−165725)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【分割の表示】特願2005−518422(P2005−518422)の分割
【原出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】