説明

インドリン誘導体

本発明は、新規インドリン誘導体、それらの製造方法、および、薬物への、特に、心血管障害、特に異脂肪血症、動脈硬化症および冠動脈心疾患の予防および/または処置用のPPARデルタを活性化する強力な化合物の形態での、それらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、新規インドリン誘導体、それらの製造方法、および医薬における、特に、心血管障害の、特に異脂肪血症、動脈硬化症および冠動脈心疾患の予防および/または処置用の強力なPPAR−デルタ−活性化化合物としての、それらの使用に関する。
【0002】
多数の功を奏する治療にも関わらず、冠動脈心疾患(CHD)は、深刻な公衆衛生問題のままである。HMG−CoAリダクダーゼを阻害するスタチン類による処置は、非常に首尾良くLDLコレステロール血漿濃度を下げ、リスクのある患者の死亡率の有意な減少をもたらしている;しかしながら、好ましくないHDL/LDLコレステロール比および/または高トリグリセリド血症を有する患者を治療するための確かな処置戦略は、今日まで依然として利用不可能である。
【0003】
現在、これらのリスク群の患者にとって、フィブラート類が唯一の治療選択肢である。それらは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−アルファの弱いアゴニストとして作用する(Nature 1990, 347, 645-50)。今までに承認されたフィブラート類の欠点は、それらの受容体との相互作用が弱いものでしかなく、高い日用量を必要とし、かなりの副作用を引き起こすことである。
【0004】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−デルタ(Mol. Endocrinol. 1992, 6, 1634-41)について、動物モデルにおける最初の薬理的知見は、強力なPPAR−デルタ−アゴニストが、同様にHDL/LDLコレステロール比および高トリグリセリド血症の改善を導き得ることを示している。
【0005】
本発明の目的は、PPAR−デルタ調節因子としての使用に適する新規化合物を提供することであった。
【0006】
炎症性障害の処置用のホスホリパーゼ阻害剤としてのインドリン誘導体は、WO99/43672、WO99/43654およびWO99/43651に記載されている。
【0007】
本発明は、一般式(I)
【化1】

式中、
は、フェニルを表すか、または、N、Oおよび/またはSからなる群から2個までのヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールを表し、これらの基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルにより置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルスルホニル、(C−C)−アルカノイル、(C−C)−アルコキシカルボニル、カルボキシル、アミノ、(C−C)−アシルアミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される1個ないし3個の同一かまたは異なる置換基により各々置換されていてもよく、
およびRは、同一かまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルを表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3員ないし7員のスピロ結合したシクロアルキル環を形成し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
およびRは、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシまたはハロゲンを表し、
およびRは、同一かまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルを表し、
10は、水素を表すか、または、対応するカルボン酸に分解され得る加水分解可能な基を表し、
Xは、O、SまたはN−R11を表し、かつ、Yは、結合を表すか、または、
Xは、結合を表し、かつ、Yは、O、SまたはN−R11を表し、
ここで、R11は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルカノイルを表す、
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を提供する。
【0008】
本発明に関し、R10の定義において、加水分解可能な基は、特に体内で、−C(O)OR10基を対応するカルボン酸(R10=水素)に変換させる基を意味する。そのような基は、例えば、そして好ましくは:ベンジル、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、それらは各々ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノまたは(C−C)−アルカノイルオキシからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または多置換されていることもあるか、または、特に(C−C)−アルキルであり、これは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノまたは(C−C)−アルカノイルオキシからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または多置換されていることもある。
【0009】
本発明に関し、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびtert−ブチル。
【0010】
本発明に関し、(C−C)−シクロアルキルは、3個ないし8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル基を表す。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル。
【0011】
本発明に関し、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびtert−ブトキシ。
【0012】
本発明に関し、(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基であって、カルボニル基を介して結合している基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニル基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル。
【0013】
本発明に関し、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノおよび(C−C)アルコキシカルボニルアミノは、アルコキシ基に各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有し、カルボニル基を介して結合している直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルアミノ基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−プロポキシカルボニルアミノおよびtert−ブトキシカルボニルアミノ。
【0014】
本発明に関し、(C−C)−アルカノイルおよび(C−C)−アルカノイルは、1位に二重結合した酸素原子を有し、1位を介して結合している、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルカノイル基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、i−ブチリル、ピバロイルおよびn−ヘキサノイル。
【0015】
本発明に関し、(C−C)−アルカノイルオキシおよび(C−C)−アルカノイルオキシは、1位に二重結合した酸素原子を有し、1位でさらなる酸素原子を介して結合している、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す。1個ないし4個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基が好ましい。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:アセトキシ、プロピオンオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、ピバロイルオキシ、n−ヘキサノイルオキシ。
【0016】
本発明に関し、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノ基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびtert−ブチルアミノ。
【0017】
本発明に関し、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノ基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0018】
本発明に関し、(C−C)−アシルアミノは、1個ないし6個の炭素原子を有し、カルボニル基を介して結合している直鎖または分枝鎖のアルカノイル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、1個または2個の炭素原子を有するアシルアミノ基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、n−ブチルアミドおよびピバロイルアミド。
【0019】
本発明に関し、(C−C)−アルキルスルホニルは、1個ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニル基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニル基である。以下の基は、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニルおよびn−ヘキシルスルホニル。
【0020】
本発明に関し、N、OおよびSからなる群から2個までの同一かまたは異なるヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールは、環の炭素原子を介して、または、適するならばヘテロ芳香族の環の窒素原子を介して結合している、単環式芳香族性複素環(ヘテロ芳香族)を表す。以下の基は、例として言及し得る:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニル。2個までの窒素原子を有する5員または6員のヘテロアリール基、例えば、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルが好ましい。
【0021】
本発明に関し、ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。好ましいのは、塩素またはフッ素である。
【0022】
置換パターン次第で、本発明の化合物は、像と鏡像のような(エナンチオマー)、または像と鏡像のようではない(ジアステレオマー)、立体異性体で存在できる。本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの両者、およびそれらの各々の混合物に関する。ラセミ体は、ジアステレオマーのように、既知のやり方で立体異性的に均一な成分に分離できる。
さらに、ある種の化合物は、互変体で存在できる。これは当業者に知られており、そのような化合物は、同様に本発明の範囲に含まれる。
【0023】
本発明の化合物は、塩として存在することもできる。本発明に関し、好ましいのは、生理的に許容し得る塩である。
生理的に許容し得る塩は、本発明の化合物の無機または有機酸との塩であり得る。好ましいのは、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸もしくは硫酸などの無機酸との塩、または、例えば酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸またはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸もしくはナフタレンジスルホン酸などの有機カルボン酸またはスルホン酸との塩である。
【0024】
生理的に許容し得る塩は、本発明の化合物の塩基との塩、例えば金属またはアンモニウム塩などであってもよい。好ましい例は、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩またはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩またはカルシウム塩)、およびまたアンモニアまたは有機アミン(例えば、エチルアミン、ジ−もしくはトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジ−もしくはトリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジヒドロアビエチルアミン、1−エフェンアミン(ephenamine)、メチルピペリジン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンまたは2−フェニルエチルアミン)から誘導されるアンモニウム塩である。
【0025】
本発明の化合物は、それらの溶媒和物の形態、特にそれらの水和物の形態でも存在できる。
【0026】
好ましいのは、式中、
が、フェニルを表し、これは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルにより置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルカノイル、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
およびRが、同一かまたは異なり、(C−C)−アルキルを表すか、それらが結合している炭素原子と一緒になって4員ないし6員のスピロ結合したシクロアルキル環を形成し、
が、水素を表し、
およびRが、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、フッ素または塩素を表し、
およびRが、相互に独立して、水素またはメチルを表し、
10が、水素を表し、
Xが、OまたはSを表し、かつ、Yが、結合を表すか、または、
Xが、結合を表し、かつ、Yが、OまたはSを表す、
一般式(I)の化合物である。
【0027】
特に好ましいのは、式中、
が、フェニルを表し、これは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ジメチルアミノまたはジエチルアミノにより置換されていてもよく、
およびRが、各々メチルを表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロ結合したシクロペンタンまたはシクロヘキサン環を形成し、
が、水素を表し、
およびRが、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
が、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、フッ素または塩素を表し、
およびRが、各場合で水素を表し、
10が、水素を表し、
XがOを表し、かつ、Yが結合を表すか、または、
Xが結合を表し、かつ、YがOを表す、
一般式(I)の化合物である。
【0028】
上記の一般的または好ましい基の定義は、式(I)の最終生成物、および、対応して、各場合で製造に必要とされる出発物質および中間体の、両方に適用される。
基の各々の組合せまたは好ましい組合せで示す個々の基の定義は、各々で示す基の組合せから独立して、任意の他の組合せの基の定義によっても置き換えられる。
ことさら特に好ましいのは、上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せである。
【0029】
特に重要なのは、式(I−A)
【化2】

式中、
は、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルにより置換されているフェニルを表し、
およびRは、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
は、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、フッ素または塩素を表し、
XはOを表し、かつ、Yは結合を表すか、または、
Xは結合を表し、かつ、YはOを表し、
そして、Yを介して結合している基は、置換基Xに対してフェニル環のパラ−またはメタ−位(式(I−A)中に印をつけた)に位置する、
の化合物である。
【0030】
さらに、我々は、本発明の一般式(I)または(I−A)の化合物の製造方法を見出した。その方法は、式(II)
【化3】

(式中、R、R、RおよびRは、各々上記定義の通りである)
の化合物を、
[A]不活性溶媒中、縮合剤の存在下、そして適するならば補助塩基の存在下、式(III)
【化4】

(式中、X、Y、R、RおよびRは、各々上記定義の通りであり、そして、Tは、ベンジルまたは(C−C)−アルキルを表す)
の化合物とカップリングし、式(IV)
【化5】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、X、YおよびTは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、
それを、式(I)または(I−A)中のRおよびRが水素を表すならば、不活性溶媒中、適する還元剤の存在下、さらに式(V)
【化6】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、X、YおよびTは、各々上記定義の通りである)
の化合物に変換し、
次いで、式(IV)または(V)の化合物を、酸もしくは塩基を用いて、または、Tがベンジルを表すならば、水素化分解的に、対応する式(VI)
【化7】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、各々上記定義の通りである)
のカルボン酸に変換するか、
または、
[B]式(I)または(I−A)において、Xが結合を表し、かつ、YがO、SまたはN−R11を表す場合、最初に、不活性溶媒中、縮合剤の存在下、適するならば補助塩基の存在下、式(VII)
【化8】

(式中、Rは、上記定義の通りであり、Zは、O、SまたはN−R11を表し、R11は、上記定義の通りである)
の化合物とカップリングして、式(VIII)
【化9】

(式中、R、R、R、R、RおよびZは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、
次いで、これを、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(IX)
【化10】

(式中、R、RおよびTは、各々上記定義の通りであり、そして、Qは、適する脱離基、例えば、ハロゲン、メシレートまたはトシレートを表す)
の化合物と反応させ、式(X)
【化11】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、TおよびZは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、
それを、式(I)または(I−A)中のRおよびRが水素を表すならば、不活性溶媒中、適する還元剤の存在下、さらに式(XI)
【化12】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、TおよびZは、各々上記定義の通りである)
の化合物に変換し、
次いで、式(X)または(XI)の化合物を、酸もしくは塩基を用いて、または、Tがベンジルを表すならば、水素化分解的に、対応する式(XII)
【化13】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびZは、各々上記定義の通りである)
のカルボン酸に変換し、
式(VI)または(XII)のカルボン酸を、適するならば、既知のエステル化法を使用して、さらに式(I)または(I−A)の化合物に改変し、
得られる式(VI)、(XII)、(I)または(I−A)の化合物を、適するならば、対応する(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を使用して、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する、
を特徴とする。
【0031】
工程(II)+(III)→(IV)または(II)+(VII)→(VIII)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンもしくはクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、または、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリルもしくはアセトンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンまたはジメチルホルムアミドである。
【0032】
工程(II)+(III)→(IV)または(II)+(VII)→(VIII)のアミド形成に適する縮合剤は、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)などのカルボジイミド類、または、N,N'−カルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化合物、または、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム3−スルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、または、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、プロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリドまたはベンゾトリアゾリルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、または、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)であり、適するならば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドなどのさらなる補助剤と組み合わされており、適する塩基は、例えば炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムもしくは重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、または、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジンもしくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基である。好ましいのは、EDCを使用することである。
【0033】
工程(II)+(III)→(IV)または(II)+(VII)→(VIII)は、一般的に、0℃ないし+100℃、好ましくは0℃ないし+40℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0034】
工程(IV)→(V)または(X)→(XI)に適する還元剤は、例えば、テトラヒドロフランまたはジメチルスルフィドなどとの複合体を含む、ボランまたはジボランなどの水素化ホウ素、あるいは、触媒としてのカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)ヒドリドの存在下のジフェニルシランである[R. Kuwano, M. Takahashi, Y. Ito, Tetrahedron Lett. 1998, 39, 1017-1020 参照]。
【0035】
工程(IV)→(V)または(X)→(XI)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、または、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、テトラヒドロフランである。
【0036】
この反応は、一般的に、−20℃ないし+80℃、好ましくは0℃ないし+40℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0037】
工程(VIII)+(IX)→(X)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、または、アセトン、2−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルもしくはN−メチルピロリジノンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドまたはアセトンである。
【0038】
工程(VIII)+(IX)→(X)に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、またはピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンもしくはN−メチルピペリジンなどの有機アミンが含まれる。好ましいのは、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムである。
【0039】
ここで、塩基は、式(VIII)の化合物1モルにつき、1ないし5、好ましくは1ないし2モルの量で用いる。
【0040】
この反応は、一般的に、−20℃ないし+150℃、好ましくは0℃ないし+80℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0041】
工程(IV)/(V)→(VI)または(X)/(XI)→(XII)のための不活性溶媒は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンもしくはトリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、または、ニトロメタン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリジノンもしくは水などの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。塩基性エステル加水分解の場合、好ましいのは、メタノールもしくはエタノールなどのアルコール類、およびそれらのテトラヒドロフランとの混合物であり、酸性エステル切断の場合、好ましいのはジクロロメタンである。
【0042】
工程(IV)/(V)→(VI)または(X)/(XI)→(XII)に適する塩基は、常套の無機塩基である。これらには、好ましくは、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、または、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩が含まれる。特に好ましいのは、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムである。
ここで、塩基は、式(IV)、(V)、(X)または(XI)の化合物1モルをベースとして、1ないし5、好ましくは1ないし3モルの量で用いる。
【0043】
工程(IV)/(V)→(VI)または(X)/(XI)→(XII)に適する酸は、例えば塩酸もしくは硫酸などの常套の無機酸、または、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸、または、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸である。
【0044】
この反応は、一般的に、−20℃ないし+100℃、好ましくは0℃ないし+30℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0045】
式(II)の化合物は、文献から分かる方法と同様に、式(XIII)
【化14】

(式中、Aは、塩素または臭素を表す)
の化合物を、酸またはルイス酸の存在下、適するならば不活性溶媒中、式(XIV)
【化15】

(式中、R、RおよびRは、各々上記定義の通りである)
の化合物と反応させ、(XIV)中のRおよびRが両方とも水素ではない場合、式(XV)の化合物を得るか、または、(XIV)中のRが水素である場合、式(XVI)の化合物を得、
【化16】

(式中、AおよびRは、各々上記定義の通りである)
次いで、式(XV)または(XVI)の化合物を、例えば水素化ホウ素ナトリウムもしくはシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの、水素化ホウ素、アルミニウムまたはケイ素を利用して、または、例えば、レニーニッケルなどの適する触媒の存在下での水素化により還元し、式(XVII)
【化17】

(式中、A、R、RおよびRは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得[工程(XIII)+(XIV)→(XV)→(XVII)について、例えば、P.E. Maligres, I. Houpis, K. Rossen, A. Molina, J. Sager, V. Upadhyay, K.M. Wells, R.A. Reamer, J.E. Lynch, D. Askin, R.P. Volante, P.J. Reider, Tetrahedron 1997, 53, 10983-10992 参照]、次いで、式(XVII)の化合物を、文献から分かる方法により、式(XVIII)
【化18】

(式中、A、R、RおよびRは、各々上記定義の通りであり、PGは、適するアミノ保護基、好ましくは4−ニトロフェニルスルホニルを表す)
の化合物に変換し、次いで、これらをカップリング反応で式(XIX)
【化19】

(式中、Rは、上記定義の通りであり、R12は、水素もしくはメチルを表すか、または、両方の基は一緒になってCHCH−またはC(CH−C(CH−架橋を形成する)
の化合物と、不活性溶媒中、適するパラジウム触媒および塩基の存在下で反応させ、式(XX)
【化20】

(式中、PG、R、R、RおよびRは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得[例えば, W. Hahnfeld, M. Jung, Pharmacie 1994, 49, 18-20; idem, Liebigs Ann. Chem. 1994, 59-64 参照]、最後に保護基PGを文献から分かる方法により除去し、式(II)の化合物を得る。
【0046】
工程(XIII)+(XIV)→(XV)または(XVI)のための不活性溶媒は、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンもしくはトリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類、または、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、または、アセトニトリルもしくは水などの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。溶媒の非存在下で反応を実行することも可能である。Rが水素を表す場合、反応は、好ましくは、溶媒の非存在下で実行し、生成物(XVI)を得、RおよびRが両方とも水素ではない場合、反応は、好ましくはトルエンとアセトニトリルの混合物中で実行し、生成物(XV)を得る。
【0047】
工程(XIII)+(XIV)→(XV)または(XVI)に適する酸は、常套の無機または有機酸である。これらには、好ましくは、塩酸、硫酸もしくはリン酸、または、蟻酸、酢酸もしくはトリフルオロ酢酸などのカルボン酸、または、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸 もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸が含まれる。あるいは、常套のルイス酸、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウムまたは塩化亜鉛も適する。ここで、酸は、式(XIII)の化合物1モルをベースとして、1ないし10モルの量で用いる。Rが水素を表す場合、反応は、好ましくは、塩化亜鉛1ないし2モルを使用して実行し、生成物(XVI)を得、RおよびRが両方とも水素ではない場合、反応は、好ましくは、トリフルオロ酢酸2ないし5モルを使用して実行し、生成物(XV)を得る。
【0048】
この反応は、一般的に、0℃ないし+250℃の温度範囲で実行する。Rが水素を表す場合、反応は、好ましくは+130℃ないし+200℃の温度範囲で実行し、生成物(XVI)を得、RおよびRが両方とも水素ではない場合、反応は、好ましくは0℃ないし+50℃の温度範囲で実行し、生成物(XV)を得る。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0049】
工程(XV)または(XVI)→(XVII)に適する還元剤は、例えばボラン、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムまたはトリエチルシランなどの水素化ホウ素、水素化アルミニウムまたは水素化ケイ素、適するならば、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、三塩化アルミニウムまたは三フッ化ホウ素などの酸またはルイス酸の存在下であり、または、例えばパラジウム/炭素、酸化白金またはレニーニッケルなどの適する触媒の存在下での水素による水素化である。式(XVI)の化合物の場合、好ましいのは、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元である;式(XV)の化合物の場合、好ましいのは、水素化ホウ素ナトリウムを使用することである。
【0050】
工程(XV)または(XVI)→(XVII)に適する溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類、または、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、または、アセトニトリル、酢酸もしくは水などの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。式(XVI)の化合物の還元のために、好ましいのは、酢酸を使用することであり、その大過剰量が、酸として還元剤に添加され、同時に溶媒として働く。一般式(XV)の化合物の還元のために、好ましいのは、1:1ないし1:10の比のメタノールおよびトルエン/アセトニトリルの混合物を使用することである[反応(XIII)→(XV)から、トリフルオロ酢酸2ないし5モルを添加する]。
【0051】
この反応は、一般的に、−20℃ないし+100℃、好ましくは−10℃ないし+50℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0052】
工程(XVIII)+(XIX)→(XX)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルもしくは水などの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、トルエン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。
【0053】
工程(XVIII)+(XIX)→(XX)に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩、または、ピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンもしくはN−メチルピペリジンなどの有機アミンが含まれる。特に好ましいのは、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムまたはリン酸カリウムである。
ここで、塩基は、式(XVIII)の化合物1モルをベースとして、1ないし5、好ましくは2ないし3モルの量で用いる。
【0054】
工程(XVIII)+(XIX)→(XX)に適するパラジウム触媒は、好ましくは、パラジウム(0)またはパラジウム(II)化合物であり、それらは、例えば[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドもしくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のように予め形成されて使用されるか、または、例えばビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)などの適するパラジウム供給源および適するホスフィン配位子からその場で生成できるものである。
【0055】
この反応は、一般的に、0℃ないし+150℃、好ましくは+20℃ないし+120℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0056】
式(III)の化合物は、文献から分かる方法と同様に製造でき、例えば、式(XXI)
【化21】

(式中、RおよびZは、各々上記定義の通りであり、Tは、ベンジルまたは(C−C)−アルキルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(XXII)
【化22】

(式中、Qは、上記定義の通りであり、Tは、ベンジルまたは(C−C)−アルキルを表すが、その特定の意味は、Tのものと異なる)
の化合物と反応させて、式(XXIII)
【化23】

(式中、R、Z、TおよびTは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、次いで、場合により、これらを、制御された化学選択的反応条件下で、酸または塩基を用いて、または、TもしくはTがベンジルを表すならば、また水素化分解的に、各々対応する式(XXIV)または(XXV)
【化24】

【化25】

(式中、R、ZおよびTまたはTは、各々上記定義の通りである)
のカルボン酸に変換することによる。
【0057】
工程(XXI)+(XXII)→(XXIII)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、または、アセトン、2−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルもしくはN−メチルピロリジノンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドまたはアセトンである。
【0058】
工程(XXI)+(XXII)→(XXIII)に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、または、ピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンもしくはN−メチルピペリジンなどの有機アミンである。好ましいのは、炭酸カリウムもしくは水素化ナトリウムである。
ここで、塩基は、式(XXI)の化合物1モルをベースとして、1ないし5、好ましくは1ないし2モルの量で用いる。
【0059】
この反応は、一般的に、−20℃ないし+150℃、好ましくは0℃ないし+80℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0060】
工程(XXIII)→(XXIV)または(XXV)のための不活性溶媒は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンもしくはトリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルもしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンもしくは鉱油画分などの炭化水素、またはニトロメタン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリジノンもしくは水などの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。塩基性エステル加水分解の場合、好ましいのは、メタノールまたはエタノールなどのアルコールおよびそれらのテトラヒドロフランとの混合物であり、酸性エステル切断の場合、好ましいのは、ジクロロメタンである。
【0061】
工程(XXIII)→(XXIV)または(XXV)に適する塩基は、常套の無機塩基である。これらには、好ましくは、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、または、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩が含まれる。特に好ましいのは、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムである。
ここで、塩基は、式(XXIII)の化合物1モルをベースとして、1ないし5、好ましくは1ないし3モルの量で用いる。
【0062】
工程(XXIII)→(XXIV)または(XXV)に適する酸は、例えば塩酸もしくは硫酸などの常套の無機酸、または、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸、または、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸である。
【0063】
この反応は、一般的に、−20℃ないし+100℃、好ましくは0℃ないし+30℃の温度範囲で実行する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる(例えば0.5ないし5バール)。一般に、この反応は大気圧下で実行する。
【0064】
式(VII)、(IX)、(XIII)、(XIV)、(XIX)、(XXI)および(XXII)の化合物は、購入できるか、文献から分かるか、または、文献から分かる方法と同様に製造できる。
【0065】
本発明の方法は、下記の反応スキーム1ないし3で例示説明できる:
スキーム1
【化26】

a)トリフルオロ酢酸、35−40℃;b)NaBH、メタノール、−10℃;c)EtN、cat.DMAP、ジクロロメタン、RT;d)Pd(PPh触媒、KCO、トルエン、110℃;e)NaOH、チオ酢酸、DMF、45℃。
【0066】
スキーム2
【化27】

a)EDC、1,2−ジクロロエタン、RT;b)KCO、Br−CH−COOT、DMF、50℃;c)NaOH、EtOH(T=MeまたはEt)、または、TFA、CHCl(T=Bu)、RT;d)Rh(PPh(CO)H、PhSiH、THF、RT。
【0067】
スキーム3
【化28】

a)KCO、DMF、50℃;b)NaOH、EtOH(T=MeまたはEt、TBu)、または、TFA、CHCl(TBu、T=MeまたはEt)、RT;c)NaOH、EtOH(T=MeまたはEt、TBu)、または、TFA、CHCl(TBu、T=MeまたはEt)、RT;d)式(IIa)の化合物[スキーム1]、EDC、1,2−ジクロロエタン、RT;e)NaOH、EtOH(TまたはT=MeまたはEt)、または、TFA、CHCl(TまたはTBu)、RT;f)Rh(PPh(CO)H、PhSiH、THF、RT;g)NaOH、EtOH(TまたはT=MeまたはEt)、または、TFA、CHCl(TまたはTBu)、RT。
【0068】
本発明の式(I)および(I−A)の化合物は、驚くべき、有用な薬理活性のスペクトルを有し、従って、多用途の医薬として使用できる。特に、それらは、冠動脈心疾患の処置に、心筋梗塞の予防に、そして冠動脈形成術またはステント術後の再狭窄の処置に適する。本発明の式(I)および(I−A)の化合物は、好ましくは、動脈硬化症および高コレステロール血症の処置に、病的に低いHDLレベルの上昇に、そして高いトリグリセリドおよびLDLレベルの低下に適する。加えて、それらは、肥満症、糖尿病の処置に、代謝症候群(グルコース不耐性、高インシュリン血症、異脂肪血症およびインシュリン抵抗性による高血圧)、肝線維症および癌の処置に使用できる。
【0069】
新規活性化合物は、単独で、または、必要であれば、好ましくはCETP阻害剤、抗糖尿病剤、抗酸化剤、細胞分裂阻害剤、カルシウムアンタゴニスト、降圧剤、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺模倣物(thyroid mimetic)、HMG−CoAリダクダーゼ阻害剤、HMG−CoAリダクダーゼ発現阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、灌流促進剤、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、アルドラーゼリダクダーゼ阻害剤、フィブラート類、ナイアシン、食欲低下剤、リパーゼ阻害剤およびPPAR−αおよび/またはPPAR−γアゴニストの群からの他の活性化合物と組み合わせて、投与できる。
【0070】
本発明の化合物の活性は、例えば、インビトロで実験の部に記載のトランス活性化アッセイにより調べることができる。
本発明の化合物のインビボでの活性は、例えば、実験の部に記載の試験により調べることができる。
【0071】
一般式(I)および(I−A)の化合物の投与に適する投与形態は、全ての常套の投与形態、即ち、経口、非経腸、吸入、鼻腔、舌下、直腸、例えば経皮などの外用、または例えばインプラントもしくはステントの場合のような局所である。非経腸投与の場合、静脈内、筋肉内および皮下投与、例えば皮下デポーとして、に特に言及しなければならない。好ましいのは、経口または非経腸投与である。ことさら特に好ましいのは、経口投与である。
【0072】
ここで、活性化合物は、単独で、または、製剤の形態で、投与できる。経口投与に適する製剤は、なかんずく、錠剤、カプセル剤、ペレット剤、糖衣錠剤、丸剤、顆粒剤、固体および液体エアゾル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤および液剤である。ここで、活性化合物は、治療効果が得られるような量で存在しなければならない。一般に、活性化合物は、0.1ないし100重量%、特に0.5ないし90重量%、好ましくは5ないし80重量%の濃度で存在できる。特に、活性化合物の濃度は、0.5−90重量%であるべきである。即ち、活性化合物は、上述の用量範囲に達するのに十分な量で存在すべきである。
【0073】
そのために、活性化合物は、それ自体既知のやり方で常套の製剤に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に許容し得る担体、補助剤、溶媒、賦形剤、乳化剤および/または分散剤を使用して実行する。
【0074】
言及し得る補助剤は、例えば:水、非毒性の有機溶媒、例えば、パラフィン、植物油(例えばゴマ油)、アルコール類(例えばエタノール、グリセロール)、グリコール類(例えばポリエチレングリコール)、固体担体、例えば天然または合成土壌鉱物(ground mineral)(例えばタルクまたはケイ酸塩)、糖(例えばラクトース)、乳化剤、分散剤(例えばポリビニルピロリドン)および潤滑剤(glidant)(例えば硫酸マグネシウム)である。
【0075】
経口投与の場合、錠剤は、当然、スターチ、ゼラチンなどの添加物と一緒に、クエン酸ナトリウムなどの添加物も含有し得る。経口投与用の水性製剤は、さらに、風味改良剤または着色剤を含み得る。
【0076】
経口投与の場合、24時間につき、0.001ないし5mg/体重kg、好ましくは0.005ないし3mg/体重kgの用量を投与するのが好ましい。
【0077】
下記の実施例は、本発明を例示説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例では、割合は、特記しない限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度は、各場合で体積をベースとする。
【0078】
A.実施例
略号:
【表1】

【0079】
HPLCおよびLC/MSの方法:
方法1:
器具:HPLC Agilent Series 1100 を有する Micromass Platform LCZ;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE, 50 mm x 2.0 mm, 3 μm;移動相A:水1l+50%強度蟻酸1ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度蟻酸1ml;勾配:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→4.5分10%A;オーブン:55℃;流速:0.8ml/分;UV検出:208−400nm。
【0080】
方法2:
器具: DAD 検出を有するHP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;移動相A:HClO5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;勾配:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分90%B;流速:0.75ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0081】
方法3:
器具:DAD 検出を有するHP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;移動相A:HClO5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;勾配:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B;流速:0.75ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0082】
方法4:
器具:DAD 検出を有するHP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 125 mm x 2 mm, 3.5 μm; 移動相A:PICB7−ヘプタンスルホン酸 (Watersより、art. no. WAT084282)、移動相B:アセトニトリル;勾配:0分2%B→1分2%B→9分90%B→13分90%B;流速:2ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0083】
方法5:
MS−器具:Micromass ZQ;HPLC−器具:Waters Alliance 2790;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE, 50 mm x 2 mm, 3.0 μm;移動相A:水+50%強度蟻酸500μl/l、移動相B:アセトニトリル+50%強度蟻酸500μl/l;勾配:0.0分5%B→2.0分40%B→4.5分90%B→5.5分90%B;オーブン:45℃;流速:0.0分0.75ml/分→4.5分0.75ml/分→5.5分1.25ml/分;UV検出:210nm。
【0084】
方法6:
器具:HPLC Agilent series 1100 を有する Micromass Quattro LCZ;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE, 50 mm x 2.0 mm, 3 μm;移動相A:水1l+50%強度蟻酸1ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度蟻酸1ml;勾配:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→4.5分10%A;オーブン:55℃;流速:0.8ml/分;UV検出:208−400nm。
【0085】
出発物質:
実施例1A
5−ブロモ−3,3−ジメチルインドリン
【化29】

トルエン/アセトニトリル(49:1)の混合物45mlに、5分間アルゴンをフラッシュし、次いで、4−ブロモフェニルヒドラジン3.00g(16.0mmol)を添加する。次いで、トリフルオロ酢酸3.71ml(48.1mmol)をゆっくりと添加し、温度が確実に35℃を超えないようにする。次いで、温度を35℃で維持し、2時間かけて、トルエン/アセトニトリル(49:1)4ml中のイソブチルアルデヒド1.05g(14.6mmol)の溶液を、ゆっくりと滴下して添加する。混合物を35℃で4時間、室温で2時間撹拌する。次いで、混合物を−10℃に冷却し、メタノール4.0mlを添加し、固体の水素化ホウ素ナトリウム819mg(21.7mmol)を少しずつ30分間かけて添加する。添加中に、温度は−2℃を超えてはならない。添加終了後、混合物を0℃で1時間撹拌する。6重量%強度のアンモニア水溶液150mlを添加し、次いで、相を分離し、各々1.5mlのアセトニトリルおよびメタノールを有機相に添加する。次いで、有機相を15%強度塩化ナトリウム水溶液150mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。混合物をシリカゲル100gを通して濾過し、各回200mlのジエチルエーテルで2回洗浄する。有機濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲル100gでクロマトグラフィーする。最初に、シクロヘキサンを使用して副生成物を溶離し、次いで、シクロヘキサン/ジエチルエーテル(20:1)の混合物を使用して、所望の生成物を溶離する。
収量:1.78g(理論値の54%)
(石油エーテル/酢酸エチル5:1)=0.47
UV[nm]=200、268、276
MS(ESIpos):m/z=226[M+H]
H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 1.20 (s, 6H), 3.18 (d, 2H), 5.66 (br. s, 1H), 6.42 (d, 1H), 7.02 (dd, 1H), 7.10 (d, 1H).
【0086】
実施例2A
5−ブロモ−3,3−ジメチル−1−(4−ニトロベンゼン)スルホニルインドリン
【化30】

5−10℃で、ジクロロメタン150ml中の4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド17.50g(78.94mmol)の溶液を、ジクロロメタン100ml中の5−ブロモ−3,3−ジメチルインドリン17.00g(75.18mmol)、DMAP0.46g(3.76mmol)およびトリエチルアミン21ml(15.22g、150.4mmol)の溶液に滴下して添加する。次いで、混合物を室温で終夜撹拌する。2N水性塩酸を反応混合物に添加し、相を分離し、有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、所望の生成物31g(理論値の98%)を得る。
HPLC(方法1):R=4.1分
MS(DCI):m/z=428[M+NH
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.14 (s, 6H), 3.68 (s, 2H), 7.15 (d, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.51 (d, 1H), 8.00 (d, 2H), 8.32 (d, 2H).
【0087】
実施例3A
3,3−ジメチル−1−(4−ニトロベンゼン)スルホニル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン
【化31】

アルゴン気流を、トルエン500ml中の5−ブロモ−3,3−ジメチル−1−(4−ニトロベンゼン)スルホニルインドリン31.00g(75.38mmol)、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸21.47g(113.06mmol)および炭酸カリウム15.63g(113.06mmol)の懸濁液に15分間通す。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.72g(1.51mmol)を添加し、反応混合物を還流下で終夜加熱する。冷却後、混合物をシリカゲル60約1000mlを通して濾過し、次いで、カラムをシクロヘキサン約1.5lおよびジクロロメタン2lで洗浄する。ジクロロメタン画分の溶媒を減圧下で除去し、所望の生成物30g(理論値の84%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.71分
MS(DCI):m/z=494[M+NH
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.21 (s, 6H), 3.72 (s, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.47 (dd, 1H), 7.60 (d, 2H), 7.68 (d, 2H), 7.70 (d, 1H), 8.06 (d, 2H), 8.32 (d, 2H).
【0088】
実施例4A
3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン
【化32】

室温で、チオ酢酸27.2ml(28.9g、314.0mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド300ml中の3,3−ジメチル−1−(4−ニトロベンゼン)スルホニル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン68g(142.7mmol)および水酸化ナトリウム25.1g(627.9mmol)の混合物に、撹拌しながら迅速に滴下して添加する。次いで、反応混合物を45℃で5時間撹拌し、冷却後、酢酸エチル1lを添加し、有機相を飽和炭酸ナトリウム溶液で2回、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下で除去し、得られる粗生成物を、1kgのシリカゲル60で精製する(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル7:1)。溶出液を濃縮し、得られる残渣を結晶化する。これにより、所望の生成物27.1g(理論値の61%)を得る。
HPLC(方法3):R=4.46分
MS(ESIpos):m/z=292[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.37 (s, 6H), 3.40 (s, 2H), 6.70 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.30 (dd, 1H), 7.62 (s, 4H).
【0089】
実施例5A
エチル[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]アセテート
【化33】

炭酸カリウム3.39g(24.526mmol)を、DMF75ml中のエチル(3−エトキシ−4−ヒドロキシフェニル)アセテート5.0g(22.3mmol)の溶液に添加し、次いで、混合物を50℃で1時間撹拌する。次いで、tert−ブチルブロモアセテート3.62ml(24.53mmol)を添加し、反応混合物を50℃で終夜撹拌する。反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル150mlに取り、各回75mlの水で3回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。これにより、所望の生成物7.5g(理論値の99.4%)を得る。
HPLC(方法3):R=4.96分
MS(DCI):m/z=356[M+NH
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.22 (t, 3H), 1.42 (t, 3H), 1.48 (s, 9H), 3.5 (s, 2H), 4.12 (tt, 4H), 4.55 (s, 2H), 6.75 (d, 2H), 6.85 (s, 1H).
【0090】
実施例6A
[2−エトキシ−4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)フェノキシ]酢酸
【化34】

RTで、トリフルオロ酢酸7.7ml(100.0mmol)を、ジクロロメタン25ml中のエチル[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]アセテート3.38g(10.0mmol)の溶液に添加し、反応が完了するまで、混合物をRTで撹拌する。減圧下で、溶媒を反応混合物から除去し、次いで、残渣を酢酸エチル100mlに取り、水50mlで2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で、溶媒をなくす。シリカゲルで精製し(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)、所望の生成物2.54g(理論値の89%)を得る。
HPLC(方法3):R=3.89分
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, 3H), 1.48 (t, 3H), 3.55 (s, 2H), 4.15 (m, 4H), 4.65 (s, 2H), 6.88 (m, 3H), 7.65 (br. s, 1H).
【0091】
実施例7A
[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]酢酸
【化35】

RTで、1M水性水酸化ナトリウム溶液11ml(11.0mmol)を、エタノール50ml中のエチル[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニルアセテート3.384g(10.0mmol)の溶液に添加する。反応が完了するまで、次いで、混合物をRTで撹拌する。当量の塩酸を添加し、エタノールを減圧下で留去し、水性残渣を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。シリカゲル(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)で精製を実行する。これにより、所望の生成物451mg(理論値の96%)を得る。
HPLC(方法4):R=3.06分
MS(DCI):m/z=328[M+NH
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.4 (t, 3H), 1.5 (s, 9H), 3.55 (s, 2H), 4.1 (q, 2H), 4.55 (s, 2H), 6.78 (s, 2H), 6.85 (s, 1H).
【0092】
実施例8A
エチル[3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)フェニル]アセテート
【化36】

炭酸カリウム3.040g(22.0mmol)を、DMF25ml中のエチル(3−ヒドロキシフェニル)アセテート3.604g(20.0mmol)の溶液に添加し、混合物を50℃で1時間撹拌する。次いで、tert−ブチルブロモアセテート3.248ml(22.0mmol)を添加し、混合物の50℃での撹拌を終夜継続する。反応終了後、溶媒を減圧下で留去する。粗生成物を酢酸エチル100mlに取り、各回50mlの水で3回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。これにより、所望の生成物5.6g(理論値の95%)を得る。
HPLC(方法3):R=4.75分
MS(DCI):m/z=312[M+NH
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, 3H), 1.5 (s, 9H), 3.55 (s, 2H), 4.15 (q, 2H), 4.5 (s, 2H), 6.82 (m, 3H), 7.25 (m, 1H).
【0093】
実施例9A
[3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)フェノキシ]酢酸
【化37】

エチル[3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)フェニル]アセテート2.7g(9.173mmol)を、ジクロロメタン25mlに溶解し、トリフルオロ酢酸7.07ml(91.73mmol)をRTで添加し、反応が完了するまで混合物をRTで撹拌する。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を酢酸エチル100mlに取り、各回50mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。粗生成物をシリカゲルで精製し(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)、所望の生成物2g(理論値の91%)を得る。
HPLC(方法3):R=3.89分
MS(DCI):m/z=256[M+NH
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, 3H), 3.58 (s, 2H), 4.15 (q, 2H), 4.68 (s, 2H), 6.88 (m, 3H), 7.25 (t, 2H).
【0094】
実施例10A
エチル[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−フルオロフェニル]アセテート
【化38】

RTで、炭酸カリウム844mg(6.11mmol)を、DMF10ml中のエチル(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)アセテート1.1g(5.55mmol)の溶液に添加し、懸濁液を50℃で1時間撹拌する。次いで、tert−ブチルブロモアセテート0.90ml(6.11mmol)を添加し、混合物の50℃での撹拌を、終夜継続する。反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を酢酸エチル100mlに取り、各回50mlの水で3回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。これにより、所望の生成物1.7g(理論値の98%)を得る。
HPLC(方法3):R=4.93分
MS(DCI):m/z=330[M+NH
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, 3H), 1.48 (s, 9H), 3.5 (s, 2H), 4.15 (q, 2H), 4.58 (s, 2H), 6.95 (m, 3H).
【0095】
実施例11A
[4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−フルオロフェノキシ]酢酸
【化39】

トリフルオロ酢酸1.97ml(2.15mmol)を、ジクロロメタン5ml中のエチル[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−フルオロフェニル]アセテート800mg(0.215mmol)の溶液に添加し、反応が完了するまで、混合物をRTで撹拌する。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル50mlに取り、各回20mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルで精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)。所望の生成物590mg(理論値の89%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.17分
MS(DCI):m/z=501[M+NH
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 1.35 (s, 6H), 2.0 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 6.85 (m, 3H), 7.25 (t, 1H), 7.6 (m, 2H), 7.8 (dd, 4H), 8.15 (d, 1H), 13.0 (br. s, 1H).
【0096】
実施例12A
2−クロロ−4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)フェノール
【化40】

0℃で、N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩287.6mg(1.5mmol)を、1,2−ジクロロエタン2ml中の3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン218.5mg(0.75mmol)および3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル酢酸209.9mg(1.13mmol)の溶液に添加し、次いで、混合物をRTで終夜撹拌する。最初に、反応混合物をシリカゲル(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)を通して濾過する。生成物画分を濃縮し、次いで、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水、勾配30:70→90:10)による入念な精製に付す。これにより、所望の生成物195mg(理論値の56%)を得る。
HPLC(方法5):R=3.39分
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.4 (s, 6H), 2.05 (s, 2H), 3.62 (br. s, 2H), 3.85 (br. s, 2H), 5.5 (s, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.3 (d, 1H).
【0097】
実施例13A
4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メトキシフェノール
【化41】

0℃で、N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩287.6mg(1.5mmol)を、1,2−ジクロロエタン2ml中の3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン218.5mg(0.75mmol)および4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸204.9mg(1.3mmol)の溶液に添加し、次いで、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をシリカゲルで直接精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)。これにより、所望の生成物280mg(理論値の82%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.28分
MS(DCI):m/z=473[M+NH
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.35 (s, 6H), 3.75 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 3.9 (s, 3H), 5.55 (s, 1H), 6.75 (d, 1H), 6.85 (m, 2H), 7.32 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.3 (d, 1H).
【0098】
実施例
実施例1
エチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]アセテート
【化42】

0℃で、N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩131.6mg(0.687mmol)を、1,2−ジクロロエタン2ml中の3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン100mg(0.343mmol)および[2−エトキシ−4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)フェノキシ]酢酸145.4mg(0.515mmol)の溶液に添加し、次いで、反応混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をシリカゲルで直接精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル3:1)。これにより、所望の生成物161mg(理論値の84%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.68分
MS(ESIpos):m/z=556[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.45 (s, 12H), 3.5 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.15 (m, 4H), 4.8 (s, 2H), 6.78 (d, 1H), 6.85 (s, 1H), 6.95 (d, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.28 (br. d, 1H).
【0099】
実施例2
tert−ブチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)−2−エトキシフェノキシ]アセテート
【化43】

0℃で、N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩159.9mg(1.03mmol)を、1,2−ジクロロエタン2ml中の3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン150mg(0.515mmol)および[4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]酢酸239.7mg(0.772mmol)の溶液に添加し、次いで、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をシリカゲルで直接精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)。これにより、所望の生成物279mg(理論値の93%)を得る。
HPLC(方法6):R=4.82分
MS(ESIpos):m/z=584[M+H]
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.35 (s, 6H), 1.4 (t, 3H), 1.45 (s, 9H), 3.72 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 4.1 (q, 2H), 4.55 (s, 2H), 6.8 (s, 2H), 6.9 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.32 (d, 1H).
【0100】
実施例3
エチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)−3−フルオロフェニル]アセテート
【化44】

0℃で、N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩131.6mg(0.687mmol)を、1,2−ジクロロエタン2ml中の3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン100mg(0.343mmol)および[4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2−フルオロフェノキシ]酢酸131.9mg(0.515mmol)の溶液に添加し、次いで、混合物をRTで終夜撹拌する。混合物をシリカゲルで直接精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル3:1)。これにより、所望の生成物166mg(理論値の91%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.64分
MS(ESIpos):m/z=530[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, 3H), 1.42 (s, 6H), 3.52 (s, 2H), 3.98 (s, 2H), 4.15 (q, 2H), 4.82 (s, 2H), 7.05 (m, 3H), 7.35 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.28 (d, 1H).
【0101】
実施例4
エチル[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)フェニル]アセテート
【化45】

0℃で、N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩131.6mg(0.687mmol)を、1,2−ジクロロエタン2ml中の3,3−ジメチル−5−(4−トリフルオロメチル)フェニルインドリン100mg(0.343mmol)および[3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)フェノキシ]酢酸122.7mg(0.515mmol)の溶液に添加し、次いで、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をシリカゲルで直接精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル3:1)。これにより、所望の生成物171mg(理論値の97%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.63分
MS(ESIpos):m/z=512[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.35 (t, 3H), 1.42 (s, 6H), 3.55 (s, 2H), 3.95 (s, 2H), 4.15 (q, 2H), 4.78 (s, 2H), 6.92 (m, 4H), 7.35 (s, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.28 (d, 1H).
【0102】
実施例5
[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)−2−エトキシフェノキシ]酢酸
【化46】

RTで、トリフルオロ酢酸0.154ml(2.005mmol)を、ジクロロメタン3ml中のtert−ブチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)−2−エトキシフェノキシ]アセテート117mg(0.20mmol)の溶液に添加し、反応が完了するまで混合物を撹拌する。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルで精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル3:1、1:1)。これにより、所望の生成物75mg(理論値の70%)を得る。
HPLC(方法3):R=5.20分
MS(ESI):m/z=528[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.32 (t, 3H), 1.35 (s, 6H), 3.8 (s, 2H), 3.98 (s, 2H), 4.05 (q, 2H), 4.65 (s, 2H), 6.78 (m, 2H), 6.92 (s, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.85 (dd, 4H), 8.12 (d, 1H), 12.88 (br. s, 1H).
【0103】
実施例6
[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エチル)−2−メトキシフェノキシ]酢酸
【化47】

RTで、トリフルオロ酢酸0.022ml(0.288mmol)を、ジクロロメタン0.5ml中のtert−ブチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エチル)−2−メトキシフェノキシ]アセテート16mg(0.029mmol)の溶液に添加し、次いで、反応が完了するまで混合物を撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカゲル(移動相:ジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール10:1)で精製する。これにより、所望の生成物13mg(理論値の90%)を得る。
MS(ESI):m/z=500[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.32 (s, 6H), 2.85 (t, 2H), 3.2 (s, 2H), 3.38 (t, 2H), 3.88 (s, 3H), 4.6 (s, 2H), 6.48 (d, 1H), 6.8 (s, 2H), 6.9 (d, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.6 (s, 4H).
【0104】
実施例7
tert−ブチル[2−クロロ−4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)フェノキシ]アセテート
【化48】

炭酸カリウム30mg(0.217mmol)を、DMF2ml中の2−クロロ−4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)フェノール100mg(0.217mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで1時間撹拌する。次いで、tert−ブチルブロモアセテート0.035ml(0.239mmol)を添加する。混合物を最初にRTで3時間、次いで50℃で終夜撹拌する。反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を酢酸エチル30mlに取り、各々15mlの水で2回、飽和炭酸カリウム溶液で1回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。これにより、所望の生成物117mg(理論値の93%)を得る。
MS(ESI):m/z=575[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.38 (s, 6H), 1.5 (s, 9H), 3.75 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 4.58 (s, 2H), 6.82 (d, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 7.48 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.3 (d, 1H).
【0105】
実施例8
tert−ブチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メトキシフェノキシ]アセテート
【化49】

炭酸カリウム30.343mg(0.22mmol)を、DMF2ml中の4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メトキシフェノール100mg(0.22mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで1時間撹拌する。次いで、tert−ブチルブロモアセテート0.036ml(0.242mmol)を添加する。次いで、混合物を最初にRTで3時間、次いでさらに50℃で終夜撹拌する。反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物を酢酸エチル30mlに取り、各々15mlの水で2回、飽和炭酸カリウム溶液で1回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカゲルで精製し(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル3:1)、所望の生成物111mg(理論値の88%)を得る。
HPLC(方法2):R=5.62分
MS(ESI):m/z=514[M+H]
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ = 1.35 (s, 6H), 1.45 (s, 9H), 3.75 (s, 2H), 3.88 (s, 2H), 3.9 (s, 3H), 4.55 (s, 2H), 6.78 (s, 2H), 6.9 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68 (s, 4H), 8.3 (d, 1H).
【0106】
実施例9
[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]酢酸
【化50】

RTで、1M水性水酸化ナトリウム溶液0.257ml(0.257mmol)を、エタノール5ml中のエチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)−3−エトキシフェニル]アセテート130mg(0.234mmol)の溶液に添加し、次いで、反応が完了するまで混合物をRTで撹拌する。次いで、1N塩酸0.3mlを添加し、エタノールを減圧下で留去する。白色沈殿が得られる。それを吸引濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物117mg(理論値の94%)を得る。
HPLC(方法3):R=5.2分
MS(ESI):m/z=528[M+H]
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 1.35 (t, 3H), 1.4 (s, 6H), 3.5 (s, 2H), 4.0 (s, 2H), 4.05 (q, 2H), 4.95 (s, 2H), 6.75 (d, 1H), 6.9 (s, 2H), 7.6 (d, 1H), 7.7 (s, 1H), 7.85 (dd, 4H), 8.12 (d, 1H), 12.25 (br. s, 1H).
【0107】
実施例10
[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)フェニル]酢酸
【化51】

RTで、1M水性水酸化ナトリウム溶液0.187ml(0.187mmol)を、エタノール5ml中のエチル[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)フェニル]アセテート87mg(0.17mmol)の溶液に添加し、反応が完了するまで混合物をRTで撹拌する。次いで、1N塩酸0.25mlを添加し、エタノールを減圧下で留去する。白色沈殿を得る。それを吸引濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させる。これにより、所望の生成物75mg(理論値の91%)を得る。
HPLC(方法3):R=5.16分
MS(ESI):m/z=484[M+H]
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 1.4 (s, 6H), 3.55 (s, 2H), 4.0 (s, 2H), 4.95 (s, 2H), 6.88 (d, 1H), 6.92 (s, 2H), 7.25 (t, 1H), 7.6 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.85 (dd, 4H), 8.12 (d, 1H), 12.35 (br. s, 1H).
【0108】
実施例11
エチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エトキシ)−3−フルオロフェニル]アセテート
【化52】

RTで、ジフェニルシラン0.06ml(0.326mmol)を、THF1ml中のエチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)−3−フルオロフェニル]アセテート69mg(0.13mmol)およびカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)ヒドリド1.2mg(0.001mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲル(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:1)で精製する。生成物を次の段階に直接使用する。
【0109】
実施例12
[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エトキシ)−3−フルオロフェニル]酢酸塩酸塩
【化53】

0.1M水性水酸化ナトリウム溶液1.43ml(0.143mmol)を、エタノール2ml中のエチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エトキシ)−3−フルオロフェニル]アセテート67mg(0.13mmol)の溶液に添加し、反応が完了するまで混合物をRTで撹拌する。次いで、当量の塩酸を添加し、水相を酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカゲル60で精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)。生成物画分を減圧下で濃縮し、酢酸エチルに取り、塩化水素のジオキサン溶液を添加する。混合物を、減圧下で蒸発乾固する。これにより、所望の生成物31mg(理論値の45%)を得る。
HPLC(方法3):R=5.66分
MS(ESI):m/z=488[M+H]
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 1.28 (s, 6H), 3.35 (s, 2H), 3.49 (s, 2H), 3.95 (br. s, 3H), 4.25 (t, 2H), 6.65 (d, 1H), 7.1 (m, 3H), 7.42 (m, 2H), 7.75 (dd, 4H).
【0110】
実施例13
エチル[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エトキシ)フェニル]アセテート
【化54】

RTで、ジフェニルシラン0.068ml(0.367mmol)を、THF1ml中のエチル[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)フェニル]アセテート75mg(0.147mmol)およびカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)ヒドリド1.3mg(0.001mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲル(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:1)で精製する。生成物を直接次の段階に使用する。
【0111】
実施例14
[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エトキシ)フェニル]酢酸塩酸塩
【化55】

RTで、0.1M水性水酸化ナトリウム溶液1.62ml(0.162mmol)を、エタノール2ml中のエチル[3−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エトキシ)フェニル]アセテート73.14mg(0.147mmol)の溶液に添加し、次いで、反応が完了するまで混合物をRTで撹拌する。次いで、当量の塩酸を添加し、水相を酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカゲル60で精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)。生成物画分を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、塩化水素のジオキサン溶液を添加し、混合物をもう一度蒸発乾固し、所望の生成物30mg(理論値の40%)を得る。
HPLC(方法3):R=5.67分
MS(ESI):m/z=470[M+H]
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 1.3 (s, 6H), 3.52 (s, 2H), 3.55 (s, 2H), 3.58 (t, 2H), 4.18 (t, 2H), 6.68 (d, 1H), 6.85 (m, 3H), 7.25 (t, 1H), 7.42 (m, 2H), 7.75 (dd, 4H), 12.3 (br. s, 1H).
【0112】
実施例15
tert−ブチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エチル)−2−メトキシフェノキシ]アセテート
【化56】

RTで、ジフェニルシラン0.061ml(0.329mmol)を、THF1ml中のtert−ブチル[4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエトキシ)−2−メトキシフェノキシ]アセテート75mg(0.132mmol)およびカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)ヒドリド1.2mg(0.001mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルで予備的に精製し(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:1)、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水、勾配30:70→90:10)により入念に精製する。これにより、所望の生成物20mg(理論値の27%)を得る。
MS(ESI):m/z=555[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.35 (s, 6H), 1.45 (s, 9H), 2.88 (t, 2H), 3.22 (s, 2H), 3.4 (t, 2H), 3.88 (s, 3H), 4.55 (s, 2H), 6.52 (d, 1H), 6.75 (s, 2H), 6.8 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.62 (s, 4H).
【0113】
実施例16
tert−ブチル[2−クロロ−4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}エチル)フェノキシ]アセテート
【化57】

RTで、ジフェニルシラン0.068ml(0.366mmol)を、THF1ml中のtert−ブチル[2−クロロ−4−(2−{3,3−ジメチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル}−2−オキソエチル)フェノキシ]アセテート84mg(0.146mmol)およびカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)ヒドリド1.3mg(0.001mmol)の溶液に添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルで予備的に精製し(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:1)、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水、勾配30:70→90:10)により2回入念に精製する。これにより、所望の生成物29.5mg(理論値の36%)を得る。
MS(ESI):m/z=559[M+H]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.35 (s, 6H), 1.48 (s, 9H), 2.88 (t, 2H), 3.25 (s, 2H), 3.38 (t, 2H), 4.55 (s, 2H), 6.6 (d, 1H), 6.78 (d, 1H), 7.08 (d, 1H), 7.3 (s, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.6 (s, 4H), 7.65 (s, 1H).
【0114】
B.生理活性の評価
実施例A
細胞のトランス活性化アッセイ:
試験原理:
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPAR−デルタ)の活性化剤を同定するために、細胞アッセイを使用する。
哺乳動物の細胞は、様々な内在性核受容体を含有し、それは結果の明白な解釈を面倒にし得るので、ヒトPPARδ受容体のリガンド結合ドメインが、酵母の転写因子GAL4のDNA結合ドメインに融合されている、確立されたキメラ系を使用する。その結果のGAL4−PPARδキメラを、レポーターコンストラクトを有するCHO細胞に共形質移入し、安定に発現させる。
【0115】
クローニング:
GAL4−PPARδ発現コンストラクトは、PCRで増幅し、ベクターpcDNA3.1にクローニングしたPPARδのリガンド結合ドメイン(アミノ酸414−1326)を含有する。このベクターは、既にベクターpFC2−dbd(Stratagene)のGAL4DNA結合ドメイン(アミノ酸1−147)を含有している。チミジンキナーゼプロモーターの上流に5個のGAL4結合部位のコピーを含有するレポーターコンストラクトは、GAL4−PPARδの活性化および結合に続き、ホタルのルシフェラーゼ(フォチナス・ピラリス(Photinus pyralis))を発現する。
【0116】
トランス活性化アッセイ(ルシフェラーゼレポーター):
CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、2.5%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO)を添加したCHO−A−SFM培地(GIBCO)中、ウェル当たり2x10細胞の細胞密度で、384−ウェルプレート(Greiner)に播く。細胞を37℃で48時間培養し、次いで刺激する。このために、試験しようとする物質を上述の培地に取り、細胞に添加する。24時間の刺激時間の後、ビデオカメラを使用してルシフェラーゼ活性を測定する。測定される相対的光量単位は、物質濃度の関数として、S字状刺激曲線をもたらす。コンピュータープログラム GraphPad PRISM (Version 3.02)を使用して、EC50値を算出する。
この試験では、実施例1−16は、10nMないし10μMの範囲のEC50値を示す。
【0117】
実施例B
ヒトApoA1遺伝子(hApoA1)を形質移入されたトランスジェニックマウスの血清中のHDLコレステロール(HDL−C)濃度を高める、かつ/または、脂肪ob,obマウスの代謝症候群に効果があり、それらの血中グルコース濃度を低下させる、薬理的に活性な物質を見出すための試験の説明:
【0118】
インビボでHDL−C−増加活性を調べようとする物質を、オスのトランスジェニックhApoA1マウスに経口投与する。実験開始1日前に、一般的にはn=7−10の同数の動物の群に動物を無作為に分ける。実験中ずっと、動物は飲料水および餌を自由に摂る。1日1回、7日間にわたり物質を経口投与する。このために、試験物質を、1+1+8の比の Solutol HS 15+エタノール+塩水(0.9%)の溶液または2+8の比の Solutol HS 15+塩水(0.9%)の溶液に溶解する。溶解した物質を、胃管を使用して10ml/体重kgの量で投与する。全く同じやり方で処置し、しかし試験物質を用いずに溶媒(10ml/体重kg)のみを与えた動物は、対照群として役立つ。
【0119】
最初の物質投与に先立ち、各マウスからの血液サンプルを、後眼窩静脈叢(retroorbital venous plexus)の穿刺により採取し、ApoA1、血清コレステロール、HDL−Cおよび血清トリグリセリド(TG)を測定する(ゼロ値)。その後、胃管を使用して、初めて試験物質を動物に投与する。最後の物質投与の24時間後(即ち、処置開始8日後)、もう1つの血液サンプルを後眼窩静脈叢の穿刺により各動物から採取し、同じパラメーターを測定する。血液サンプルを遠心分離し、血清を得た後、コレステロールおよびTGを、EPOS Analyzer 5060 (Eppendorf-Geraetebau, Netheler & Hinz GmbH, Hamburg)を使用して、測光法で測定する。該測定は、市販の酵素試験(Boehringer Mannheim, Mannheim)を使用して実行する。
【0120】
HDL−Cを測定するために、非−HDL−C画分を、0.2Mグリシンバッファー(pH10)中の20%PEG8000を使用して沈殿させる。上清から、96ウェルプレート中で、市販の試薬(Ecoline 25, Merck, Darmstadt)を使用してコレステロールをUV測光法により測定する(BIO-TEK Instruments, USA)。
【0121】
ヒトマウス−ApoA1を、ポリクローナル抗−ヒト−ApoA1抗体およびモノクローナル抗−ヒト−ApoA1抗体(Biodesign International, USA)を使用して、サンドイッチELISA法で測定する。定量は、ペルオキシダーゼ−結合抗−マウス−IGG抗体(KPL, USA)およびペルオキシダーゼ基質(KPL, USA)を使用して、UV測光法(BIO-TEK Instruments, USA)により実行する。
【0122】
HDL−C濃度に対する試験物質の効果を、第1の血液サンプルについて測定された値(ゼロ値)を、第2の血液サンプルについて測定された値(処置後)から差し引くことにより決定する。1群の全てのHDL−C値の差異の平均を決定し、対照群の差異の平均と比較する。
【0123】
分散を均一性について確認した後、Student のt試験を使用して統計的評価を実行する。
処置動物のHDL−Cを、対照群のものと比較して、統計的に有意なように(p<0.05)少なくとも15%高める物質を、薬理的に有効であるとみなす。
【0124】
代謝症候群への効果について物質を調べるために、インシュリン抵抗性および高い血中グルコースレベルを有する動物を使用する。このために、C57Bl/6JLep<ob>マウスを、トランスジェニックApoA1マウスと同じプロトコールを使用して処置する。血清の脂質を上記の通りに測定する。これらの動物では、血中グルコースのパラメーターとして、血清グルコースをさらに測定する。血清グルコースは、購入できる酵素試験(Boehringer Mannheim)を使用して、EPOS Analyzer 5060(上記参照)で酵素的に測定する。
【0125】
試験物質の血中グルコース低下効果を、ある動物の第1の血液サンプルについて測定された値(ゼロ値)を、同じ動物の第2の血液サンプルについて測定された値(処置後)から差し引くことにより決定する。1群の全ての血清グルコース値の差異の平均を決定し、対照群の差異の平均と比較する。
【0126】
分散を均一性について確認した後、Student のt試験を使用して統計的評価を実行する。
処置動物の血清グルコース濃度を、対照群のものと比較して、統計的に有意なように(p<0.05)少なくとも10%低下させる物質を、薬理的に有効であるとみなす。
【0127】
C.医薬組成物の実施例
本発明の化合物は、以下のやり方で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
実施例1の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシスターチ(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germany より)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いでステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機を使用して打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠力15kNを打錠のガイドラインとして使用する。
【0128】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
実施例1の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(FMC, Pennsylvania, USAのキサンタンゴム)400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、活性化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。混合物を約6時間、Rhodigel の膨潤が完了するまで撹拌する。
【0129】
経口投与できる液剤:
組成:
実施例1の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明の化合物の単回用量100mgに相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に、撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで撹拌を継続する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

式中、
は、フェニルを表すか、または、N、Oおよび/またはSからなる群から2個までのヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールを表し、これらの基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルにより置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルスルホニル、(C−C)−アルカノイル、(C−C)−アルコキシカルボニル、カルボキシル、アミノ、(C−C)−アシルアミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される1個ないし3個の同一かまたは異なる置換基により各々置換されていてもよく、
およびRは、同一かまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルを表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3員ないし7員のスピロ結合したシクロアルキル環を形成し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
およびRは、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシまたはハロゲンを表し、
およびRは、同一かまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルを表し、
10は、水素を表すか、または、対応するカルボン酸に分解され得る加水分解可能な基を表し、
Xは、O、SまたはN−R11を表し、かつ、Yは、結合を表すか、または、
Xは、結合を表し、かつ、Yは、O、SまたはN−R11を表し、
ここで、R11は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルカノイルを表す、
の化合物並びにそれらの医薬的に許容し得る塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
が、フェニルを表し、これは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルにより置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルカノイル、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
およびRが、同一かまたは異なり、(C−C)−アルキルを表すか、それらが結合している炭素原子と一緒になって4員ないし6員のスピロ結合したシクロアルキル環を形成し、
が、水素を表し、
およびRが、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、フッ素または塩素を表し、
およびRが、相互に独立して、水素またはメチルを表し、
10が、水素を表し、
Xが、OまたはSを表し、かつ、Yが、結合を表すか、または、
Xが、結合を表し、かつ、Yが、OまたはSを表す、
請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項3】
式中、
が、フェニルを表し、これは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ジメチルアミノまたはジエチルアミノにより置換されていてもよく、
およびRが、各々メチルを表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になって、スピロ結合したシクロペンタンまたはシクロヘキサン環を形成し、
が、水素を表し、
およびRが、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
が、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、フッ素または塩素を表し、
およびRが、各々水素を表し、
10が、水素を表し、
XがOを表し、かつ、Yが結合を表すか、または、
Xが結合を表し、かつ、YがOを表す、
請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項4】
式(I−A)
【化2】

式中、
は、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルにより置換されているフェニルを表し、
およびRは、水素を表すか、または、それらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、
は、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、フッ素または塩素を表し、
XはOを表し、かつ、Yは結合を表すか、または、
Xは結合を表し、かつ、YはOを表し、
そして、Yを介して結合している基は、置換基Xに対してフェニル環のパラ−またはメタ−位(式(I−A)中に印をつけた)に位置する、
の化合物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の一般式(I)または(I−A)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化3】

(式中、R、R、RおよびRは、各々上記定義の通りである)
の化合物を、
[A]不活性溶媒中、縮合剤の存在下、そして適するならば補助塩基の存在下、式(III)
【化4】

(式中、X、Y、R、RおよびRは、各々上記定義の通りであり、Tは、ベンジルまたは(C−C)−アルキルを表す)
の化合物とカップリングし、式(IV)
【化5】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、X、YおよびTは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、
それを、式(I)または(I−A)中のRおよびRが水素を表すならば、不活性溶媒中、適する還元剤の存在下、さらに式(V)
【化6】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、X、YおよびTは、各々上記定義の通りである)
の化合物に変換し、
次いで、式(IV)または(V)の化合物を、酸もしくは塩基を用いて、または、Tがベンジルを表すならば、水素化分解的に、対応する式(VI)
【化7】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、各々上記定義の通りである)
のカルボン酸に変換するか、
または、
[B]式(I)または(I−A)において、Xが結合を表し、かつ、YがO、SまたはN−R11を表す場合、最初に、不活性溶媒中、縮合剤の存在下、適するならば補助塩基の存在下、式(VII)
【化8】

(式中、Rは、上記定義の通りであり、Zは、O、SまたはN−R11を表し、R11は、上記定義の通りである)
の化合物とカップリングして、式(VIII)
【化9】

(式中、R、R、R、R、RおよびZは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、
次いで、これを、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(IX)
【化10】

(式中、R、RおよびTは、各々上記定義の通りであり、Qは、適する脱離基、例えば、ハロゲン、メシレートまたはトシレートを表す)
の化合物と反応させ、式(X)
【化11】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、TおよびZは、各々上記定義の通りである)
の化合物を得、
それを、式(I)または(I−A)中のRおよびRが水素を表すならば、不活性溶媒中、適する還元剤の存在下、さらに式(XI)
【化12】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、TおよびZは、各々上記定義の通りである)
の化合物に変換し、
次いで、式(X)または(XI)の化合物を、酸もしくは塩基を用いて、または、Tがベンジルを表すならば、水素化分解的に、対応する式(XII)
【化13】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびZは、各々上記定義の通りである)
のカルボン酸に変換し、
式(VI)または(XII)のカルボン酸を、適するならば、既知のエステル化法を使用して、さらに式(I)または(I−A)の化合物に改変し、
得られる式(VI)、(XII)、(I)または(I−A)の化合物を、適するならば、対応する(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を使用して、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する、
を特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の予防および処置用の、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)または(I−A)の化合物。
【請求項7】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)または(I−A)の化合物、および、不活性、非毒性の医薬的に適する担体、補助剤、溶媒、賦形剤、乳化剤および/または分散剤を含む、医薬。
【請求項8】
疾患の予防および/または処置のための、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)または(I−A)の化合物および医薬の使用。
【請求項9】
医薬を製造するための、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の式(I)または(I−A)の化合物の使用。
【請求項10】
卒中、動脈硬化症、冠動脈心疾患および異脂肪血症の予防および処置用、心筋梗塞の予防用、並びに冠動脈形成術またはステント術後の再狭窄の処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)または(I−A)の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)または(I−A)の化合物を生物に作用させることを特徴とする、疾患の予防および処置方法。

【公表番号】特表2007−502797(P2007−502797A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523592(P2006−523592)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009175
【国際公開番号】WO2005/019169
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】