説明

インドール誘導体、その製造法、およびそれを含有する薬学的組成物

式(I)[式中、R1は、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基であり、R2およびR3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5〜8員環の複素環を形成し、そしてnは、2〜6である]で示される化合物。医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規インドール化合物、その製造法、およびそれを含有する薬学的組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、新規であり、メラトニン作動性レセプターとの関係で非常に関心が持たれる薬理学的特性を有する。
【0003】
最近の10年間に、無数の研究によって、非常に多くの生理病理学的現象、および概日リズムの制御にメラトニン(N−アセチル−5−メトキシトリプタミン)が果たす重要な役割が立証されているが、メラトニンは、それが急速に代謝されるという事実のために、半減期がかなり短い。そのため、より代謝的に安定であり、アゴニストまたはアンタゴニスト特性を有し、かつその治療効果がこのホルモン自体のそれに優ることが期待され得るメラトニン類縁体を、臨床医に提供する可能性に多大な関心が存在する。
【0004】
概日リズム障害[J. Neurosurg., 1985, 63, pp.321-341]および睡眠障害[Psychopharmacology, 1990, 100, pp.222-226]に関するその有益な作用に加えて、メラトニン作動系のリガンドは、中枢神経系に関して価値ある薬理学的特性、特に抗不安作用および抗精神病作用[Neuropharmacology of Pineal Secretions, 1990, 8(3-4), pp.264-272]、ならびに鎮痛作用[Pharmacopsychiat., 1987, 20, pp.222-223]や、パーキンソン病[J. Neurosurg., 1985, 63, pp.321-341]およびアルツハイマー病[Brain Research, 1990, 528, pp.170-174]の処置のための作用も有する。これらの化合物は、特定の癌[Melatonin - Clinical Perspectives, Oxford Univ. Press, 1988, pp.164-165]、排卵[Science, 1987, 227, pp.714-720]、糖尿病[Clinical Endocrinol., 1986, 24, pp.359-364]に関して、および肥満症[Int. J. Eating Disorders, 1996, 20(4), pp.443-446]の処置にも活性を立証している。
【0005】
これらの様々な効果は、特異的なメラトニンレセプターの媒介を通じて発揮される。分子生物学の研究によって、このホルモンに結合することができる数多くのレセプターサブタイプの存在が立証されている[Trends Pharmacol. Sci., 1995, 16, p.50;WO 97.04094]。哺乳動物を含む、様々な種において、これらのレセプターの一部が見出され、特徴付けられることが可能になっている。これらのレセプターの生理学的機能をより充分に理解することができるには、入手できる選択的リガンドを有することが非常に好都合である。その上、そのような化合物は、これらのレセプターの一つまたはもう一つと選択的に作用し合うことによって、医師にとっては、そのいくつかを上に列挙した、メラトニン作動系に関連する病態の処置における優れた医薬となり得る。
【0006】
新規であることに加え、本発明の化合物は、メラトニンレセプターに対する非常に強力な親和性を示す。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、より具体的には、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
1は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C3〜C8シクロアルキル基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいC3〜C8シクロアルキル−C1〜C6アルキル基を表し、
2およびR3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5〜8員環を有する複素環を形成し、そして
nは、2、3、4、5または6を表して、
そのように定義される5〜8員環を有する複素環は、追加のヘテロ原子を含まず、同一または異なる1〜3個の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ、OH、カルボキシ、アミノ(1または2個の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で場合により置換されている)基、またはハロゲン原子で場合により置換されていてもよい]
で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基とのその付加塩に関するものである。
【0010】
薬学的に許容され得る酸のうちでは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸、シュウ酸等を、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。
【0011】
薬学的に許容され得る塩基のうちでは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、t−ブチルアミン等を、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。
【0012】
本発明の好適な化合物は、nが2または3、より好ましくは2のものである。
【0013】
1は、たとえばメチル、エチルまたはプロピル基のような、アルキル基が好ましい。
【0014】
好適なR2およびR3基は、それらを担持する窒素原子と一緒になってピペリジニル基を形成するものである。
【0015】
本発明は、さらに具体的には、下記の化合物:
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミド、
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)プロパンアミド、
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)ブタンアミド、および
N−(2−{5−[3−(1−ピペリジニル)プロポキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)ブタンアミド
に関するものである。
【0016】
本発明の好適化合物の鏡像異性体、ジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る酸または塩基との付加塩は、本発明の不可欠の部分を形成する。
【0017】
本発明は、式(I)の化合物を製造する方法であって、出発材料として、式(II):
【0018】
【化2】

【0019】
で示される化合物を用いて、これを、式R1COCl[式中、R1は、式(I)について定義されたとおりである]で示される酸塩化物、または対応する対称無水物と縮合させて、式(III):
【0020】
【化3】

【0021】
[式中、R1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これに、塩基性溶媒中で塩化トシルを作用させ、式(IV):
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、R1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを脱メチル化の条件下に置いて、式(V):
【0024】
【化5】

【0025】
[式中、R1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを、式(VI):
【0026】
【化6】

【0027】
[式中、R2、R3およびnは、式(I)について定義されたとおりである]
で示される化合物と縮合させて、式(VII):
【0028】
【化7】

【0029】
[式中、R1、R2、R3およびnは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これにマグネシウムを作用させ、式(I)の化合物を得て、これを、慣用の分離手法に従って精製してもよく、所望であれば、薬学的に許容され得る酸または塩基との付加塩へと転換し、そしてその鏡像異性体を、慣用の分離手法に従ってキラルカラムで分離してもよいことを特徴とする方法にも関するものである。
【0030】
本発明の化合物の薬理学的研究から、それらは、非毒性であり、メラトニンレセプターに対して高い選択的親和性を有し、そして中枢神経系に関する実質的な活性を有することが立証され、特に睡眠障害に関する治療作用、抗うつ作用、抗不安作用、抗精神病作用、鎮痛作用、および微小循環に関する作用も明らかにされて、本発明の生成物が、ストレス、睡眠障害、不安、季節性情動障害または大うつ病、心血管系病態、消化系病態、時差ぼけによる不眠症および疲労、統合失調症、パニック発作、憂うつ症、食欲障害、肥満症、不眠症、精神異常、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老人性認知症、正常または病的な加齢に付随する様々な障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病の処置、ならびに脳循環障害に役立つことが確証されるのを可能にしている。活性のもう一つの分野では、本発明の生成物は、性機能不全の処置に用いることができ、排卵抑制および免疫調整特性を有し、そして癌の処置に用いるのに役立つと思われる。
【0031】
この化合物は、好ましくは、大うつ病、季節性情動障害、睡眠障害、心血管系病態、消化系病態、時差ぼけによる不眠症および疲労、食欲障害、ならびに肥満症の処置に用いられる。
【0032】
例として、この化合物は、大うつ病、季節性情動障害および睡眠障害の処置に用いられる。
【0033】
本発明は、式(I)の少なくとも一つの化合物をそれ自体でか、または薬学的に許容され得る一つ以上の賦形剤と併せて含む、薬学的組成物にも関するものである。
【0034】
本発明の薬学的組成物のうちでも、より具体的には、経口、非経口、経鼻、経皮、直腸、舌下、眼内または呼吸器投与に適切であるもの、特に錠剤または糖衣錠、舌下錠、サシェー剤、パケット(paquet)、カプセル剤、グロセット(glossette)、トローチ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏、経皮ゲル、および飲用または注射用アンプル剤を列挙し得る。
【0035】
投与量は、患者の性別、年齢および体重、投与経路、治療適応症または関係する任意の処置の性質にも応じて変化し、1回またはそれ以上の投与で24時間あたり0.01mg〜1gの範囲にわたる。
【0036】
以下の実施例は、本発明を例示するが、どのようにしてもそれを限定しない。
【0037】
[実施例1]
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミド
工程A:5−メトキシ−3−[2−ニトロエテニル]−1H−インドール
アルゴン下で、5−メトキシ−1H−インドール−3−カルボアルデヒド3.59gおよび酢酸アンモニウム3.95gをニトロメタン150mlに溶解し、80℃で2時間30分加熱した。周囲温度に復帰させ、反応混合物を酢酸エチルに溶解した。有機相を、飽和炭酸ナトリウム水溶液、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過かつ蒸発させた後、標記化合物を橙色固体の形態で得た。
融点:151〜152℃
【0038】
工程B:2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)エチルアミン
アルゴン下で、工程Aで得た化合物4.48gのテトラヒドロフラン100ml中の溶液を、水素化アルミニウムリチウム7.80gのテトラヒドロフラン100ml中の溶液に滴加した。周囲温度で20時間撹拌した。0℃に冷却し、水で加水分解した。反応混合物を、セライトで濾過し、酢酸エチルで抽出した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過かつ蒸発させた。得られた化合物を褐色固体の形態で単離した。
融点:101〜102℃
【0039】
工程C:N−[2−(5―メトキシ−1H−インドール−3−イル)エチル]アセトアミド
アルゴン下で、工程Bで得た化合物3.13gを、トリエチルアミン2.30mlの存在下で、テトラヒドロフラン100mlに溶解した。0℃で無水酢酸2.17mlを滴加し、反応を周囲温度で21時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残渣を酢酸エチルに溶解した。有機相を、飽和炭酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過かつ蒸発させた。酢酸エチルを溶離剤として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、化合物を精製した。標記化合物を白色固体の形態で得た。
融点:110〜111℃
【0040】
工程D:N−(2−{5−メトキシ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミド
窒素下で、工程Cで得た化合物0.81gをジメチルホルムアミド10mlに溶解した。0℃で、水素化ナトリウム0.21gを少しずつ加え、反応を0℃で30分間撹拌した。0℃で、塩化トシル1gを加え、反応を周囲温度で24時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を、飽和炭酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過かつ蒸発させた。ジクロロメタン/エタノール19/1混合物を溶離剤として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、化合物を精製した。蒸発、およびジイソプロピルエーテルからの再結晶の後、標記生成物を白色固体の形態で得た。
融点:132〜133℃
【0041】
工程E:N−(2−{5−ヒドロキシ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミド
窒素下で、工程Dで得た化合物0.40gをジクロロメタン10mlに溶解し、ジクロロメタン中の三臭化ホウ素溶液(1M)3.1mlを0℃で滴加した。反応を周囲温度で4時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈した。有機相を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過かつ蒸発させた。標記化合物を白色固体の形態で単離した。
融点:173〜174℃
【0042】
工程F:N−(2−{1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミド
工程Eで得た化合物0.36gをジメチルホルムアミド10mlに溶解し、重炭酸カリウム0.40gおよび塩酸1−(2−クロロエチル)ピペリジン0.20gを加え、反応を80℃で48時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過かつ蒸発させた。標記化合物を褐色固体の形態で得た。
融点:65〜66℃
【0043】
工程G:N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミド
工程Fで得た化合物0.66gをメタノール15mlに溶解し、マグネシウム0.51gを加え、反応を周囲温度で20時間撹拌した。水で加水分解し、酢酸エチルで抽出した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過かつ蒸発させた。ジクロロメタン/エタノール19/1混合物を溶離剤として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、化合物を精製した。標記生成物を白色のペーストの形態で単離した。
MS、m/z=331(M+1)
【0044】
[実施例2]
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)プロパンアミド
手順は、実施例1のとおりであるが、工程Cで、無水酢酸をプロパン酸無水物に置き換えた。標記生成物を褐色のペーストの形態で得た。
MS、m/z=345(M+1)
【0045】
[実施例3]
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)ブタンアミド
手順は、実施例1のとおりであるが、工程Cで、無水酢酸をブタン酸無水物に置き換えた。標記生成物を、褐色のペーストの形態で得て、次いで再結晶させた。
融点:113〜114℃
MS、m/z=359(M+1)
【0046】
[実施例4]
N−(2−{5−[3−(1−ピペリジニル)プロポキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)ブタンアミド
手順は、実施例1のとおりであるが、工程Cで、無水酢酸をブタン酸無水物に置き換え、工程Fで、塩酸1−(2−クロロエチル)ピペリジンを1−(3−クロロプロピル)ピペリジンに置き換えた。標記生成物を褐色のペーストの形態で得た。
【0047】
薬理学的研究
【0048】
[実施例A]
急性毒性の研究
8匹のマウス(26±2g)をそれぞれ含む群に経口投与した後に、急性毒性を評価した。動物を、第1日の間は規則的な間隔で、また投与後2週間は毎日観察した。LD50(動物の50%の死亡を生起する用量)を評価し、本発明の化合物の低い毒性を立証した。
【0049】
[実施例B]
強制水泳試験
本発明の化合物を、行動モデル、すなわち強制水泳試験で試験した。
【0050】
装置は、水を満たしたプレキシガラス製の円筒で構成した。6分間の1試行について、動物を個々に試験した。各試験の開始時に、動物を円筒の中央に入れた。不動で費やされた時間を記録した。各動物は、もがくのを止め、水の表面で動かずにいて、その頭部を水上に保たせる運動のみをするにすぎないときに、不動であると判定した。
【0051】
試験開始40分前の投与により、本発明の化合物は、不動で費やされる時間を有意に短縮して、その抗うつ活性を立証した。
【0052】
[実施例C]
メラトニンMT1およびMT2レセプター結合の研究
2−[125I]ヨードメラトニンを対照放射性リガンドとして用いて、MT1またはMT2レセプター結合の実験を実施した。残存放射能を、液体シンチレーションカウンターを用いて決定した。
【0053】
次いで、様々な試験化合物を用いて、競合結合の実験を三回実施した。各化合物について、ある範囲の異なる濃度を試験した。この結果は、試験化合物の結合親和性(Ki)を決定するのを可能にした。
【0054】
本発明の化合物は、Ki値が1μM未満であった。例として、実施例3の化合物は、Ki(MT1)が11nMであり、Ki(MT2)が19nMであった。
【0055】
[実施例D]
ラットの運動活性の概日リズムに対する本発明の化合物の作用
昼/夜交代による、生理学、生化学および行動学上の概日リズムの主な同調へのメラトニンの関与は、メラトニン作動性リガンドの探求に用いるための薬理学的モデルの確立を可能にした。
【0056】
数多くのパラメーター、および特に、内在性概日時計の活性の信頼できる指標である運動活性の概日リズムに対する、化合物の効果を試験した。
【0057】
この研究では、特定の実験的モデル、すなわち一時的隔離(恒久的暗黒)に置かれたラットに対するそのような化合物の効果を評価した。
【0058】
実験プロトコル
月齢1ヶ月のオスのラットを、研究室に到着後直ちに、24時間につき12時間の明の光周期(LD12:12)に付した。2〜3週間適応させた後、運動活性の段階を探知し、こうして昼夜リズム(LD)または概日リズム(DD)を測定するために、記録装置系に接続された輪を取り付けたケージにラットを入れた。
【0059】
記録されたリズムが、LD12:12の光周期による安定した同調を示したならば直ちに、ラットを恒久的暗黒(DD)に置いた。
【0060】
2〜3週間後、自由継続リズム(内在性のそれを反映するリズム)が明確に確立されたときに、試験しようとする化合物の日次投与量をラットに与えた。
【0061】
観察は、活性のリズムの視覚化によって実施した:
・照明のリズムによる活性のリズムの同調、
・恒久的暗黒におけるリズム同調の消失、
・化合物の日次投与による同調;一過性または持続的効果。
【0062】
ソフトウエアパッケージが以下を可能にした:
・活性の持続期間および強度、自由継続状態、および処置中の動物のリズムの期間を測定すること、
・存在する場合の、概日および非概日(たとえば超日)要素の存在をスペクトル解析によって立証すること。
【0063】
結果
本発明の化合物は、明らかに、メラトニン作動系を介しての概日リズムに対する強力な作用を有すると思われる。
【0064】
[実施例E]
明/暗ケージ試験
化合物の抗不安活性の立証をを可能にする行動学的モデル、すなわち明/暗ケージ試験で、本発明の化合物を試験した。
【0065】
装置は、プレキシガラスで覆われた二つのポリビニル箱から構成される。一方の箱は、暗黒にさせた。他方の箱の上方にランプを設置して、箱の中央で約4,000luxの光度を生じさせた。不透明なプラスチックのトンネルが、暗の箱から明の箱を分離した。5分間の試行について、動物を個々に試験した。各試行の間に、各箱の床を洗浄した。各試験の開始時に、マウスを、トンネル内に暗箱に向けて置いた。暗箱内への最初の進入後に、照明された箱の中でマウスが費やした時間、およびトンネルを通過した回数を記録した。
【0066】
試験開始の30分前に化合物を投与した後、本発明の化合物は、照明されたケージ内での消費時間、およびトンネル通過回数を有意に増加させたが、これは、本発明の化合物の抗不安活性を立証するものである。
【0067】
[実施例F]
薬学的組成物:錠剤
それぞれN−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)ブタンアミド(実施例3)5mgの用量を含有する1,000錠
......................................5g
コムギデンプン..............................20g
トウモロコシデンプン...........................20g
乳糖...................................30g
ステアリン酸マグネシウム..........................2g
シリカ...................................1g
ヒドロキシプロピルセルロース........................2g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化8】


[式中、
1は、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基、直鎖もしくは分枝鎖C3〜C8シクロアルキル基、またはアルキル部分が直鎖もしくは分枝鎖状であってもよいC3〜C8シクロアルキル−C1〜C6アルキル基を表し、
2およびR3は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5〜8員環の複素環を形成し、そして
nは、2、3、4、5または6を表して、
そのように定義される5〜8員環の複素環は、追加のヘテロ原子を含まず、同一または異なる1〜3個の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルコキシ、OH、カルボキシ、アミノ(1または2個の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C6アルキル基で場合により置換されている)基、またはハロゲン原子で場合により置換されていてもよい]
で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容され得る酸または塩基の付加塩。
【請求項2】
nが2を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、および薬学的に許容され得る塩基の付加塩。
【請求項3】
1がアルキル基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、および薬学的に許容され得る塩基の付加塩。
【請求項4】
2およびR3が、それらを担持する窒素原子と一緒になってピペリジニル基を形成する、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、および薬学的に許容され得る塩基の付加塩。
【請求項5】
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)アセトアミドである、請求項1記載の式(I)の化合物、および薬学的に許容され得る酸または塩基の付加塩。
【請求項6】
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)プロパンアミドである、請求項1記載の式(I)の化合物、および薬学的に許容され得る酸または塩基の付加塩。
【請求項7】
N−(2−{5−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−1H−インドール−3−イル}エチル)ブタンアミドである、請求項1記載の式(I)の化合物、および薬学的に許容され得る酸または塩基の付加塩。
【請求項8】
請求項1記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、出発材料として、式(II):
【化9】


で示される化合物を用いて、これを、式R1COCl[式中、R1は、式(I)について定義されたとおりである]で示される酸塩化物、または対応する対称無水物と縮合させて、式(III):
【化10】


[式中、R1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを、塩基性溶媒中で塩化トシルを作用させ、式(IV):
【化11】


[式中、R1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを脱メチル化の条件下に置いて、式(V):
【化12】


[式中、R1は、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これを、式(VI):
【化13】


[式中、R2、R3およびnは、式(I)について定義されたとおりである]
で示される化合物と縮合させて、式(VII):
【化14】


[式中、R1、R2、R3およびnは、上記に定義されたとおりである]
で示される化合物を得て、これにマグネシウムを作用させ、式(I)の化合物を得て、これを、慣用の分離手法に従って精製してもよく、所望であれば、薬学的に許容され得る酸または塩基との付加塩へと転換し、そしてその鏡像異性体を、慣用の分離手法に従ってキラルカラムで分離してもよいことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも一つの化合物、または薬学的に許容され得る酸もしくは塩基の付加塩を、薬学的に許容され得る一つもしくはそれ以上の賦形剤と併せて含む、薬学的組成物。
【請求項10】
メラトニン作動系の障害を処置する医薬の製造に用いるための、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
睡眠障害、ストレス、不安、大うつ病または季節性情動障害、心血管系病態、消化系病態、時差ぼけによる不眠症および疲労、統合失調症、パニック発作、憂うつ症、食欲障害、肥満症、不眠症、精神異常、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老人性認知症、正常または病的な加齢に付随する様々な障害、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、脳循環障害ならびに性機能不全の処置のための医薬、ならびに排卵抑制剤および免疫調製物質として、ならびに癌の処置の医薬の製造に用いるための、請求項9記載の薬学的組成物。

【公表番号】特表2010−506890(P2010−506890A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532844(P2009−532844)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001708
【国際公開番号】WO2008/049997
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】