説明

インナーシールの取付構造

【課題】内装トリム部品のウエストフランジ部に取り付けられるインナーシールの取付構造であって、インナーシールのガタツキを解消するとともに、取付作業性を向上させる。
【解決手段】ドアトリム10のウエストフランジ部20に対して、ドアインナーシール30のシール本体31の他方面(トリム取付面)31bの上下端をウエストフランジ部20と0当たりとなるように調整するとともに、クリップ条片33の基部周りにおいて、シール本体31とウエストフランジ部20との間にクリアランスCLを設定する。そして、このクリアランスCLを利用して、クリップ条片33を挿入孔21内にオーバーストローク分挿入した後、クリップ条片33が基位置に戻り、アンカー爪332がウエストフランジ部20の裏面と0当たりとなることで、ガタツキの発生を皆無とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の側壁パネルの室内面側に装着されるドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等の内装トリム部品に固定されるインナーシールの取付構造に係り、特に、インナーシールを確実かつ安定して取り付けることができ、ウインドウガラスの円滑な昇降操作が期待できるとともに、走行中の振動等により不快音が発生することがないインナーシールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ドアパネルの室内面側には、図9に示すドアトリム1が装着されており、ドアトリム1の上縁部分におけるドアウインドウガラスWのシール機能としては、図10に示すように、ドアトリム1の上端縁に下方向に延在するウエストフランジ部2が設けられ、このウエストフランジ部2にドアインナーシール3が取り付けられている。
【0003】
ところで、最近では、ドアインナーシール3の取付作業を簡単に実施できるように、差し込み方式のドアインナーシール3が多用される傾向にある。この差し込み方式のドアインナーシール3は、図10に示すように、プレート状のシール本体3aのドアウインドウガラスWに対向する面側にシールリップ3bが一体化されているとともに、ウエストフランジ部2に対向する面側には、上下二列にクリップ条片4、フック条片5が突設形成されている。そして、クリップ条片4並びにフック条片5をウエストフランジ部2における挿入孔2a,2b内に差し込み固着する簡単な差し込み操作でドアインナーシール3をドアトリム1のウエストフランジ部2に取り付けるようにしている。従来のドアインナーシール3の差し込み方式を採用した取付構造としては、特許文献1に詳細に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−176010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、差し込み方式を採用したドアインナーシール3の取付構造においては、ドアトリム1のウエストフランジ部2の上側の挿入孔2aに対してドアインナーシール3のクリップ条片4を差し込み、下側の挿入孔2bに対してドアインナーシール3のフック条片5を係着しているが、特に、クリップ条片4については、先端に抜け止め機能並びにシール機能を付与するために、アンカー爪4aが形成されている。
【0006】
そして、このアンカー爪4aが挿入孔2aの縁部を乗り越えて原形に復するまでクリップ条片4を深く挿入する、いわゆるオーバーストローク分挿入を行なう必要があることから、クリップ条片4の長さを長く設定している。その結果、図11に示すように、クリップ条片4を取り付けた後は、アンカー爪4aの先端とウエストフランジ部2の裏面との間には、0.5mm程度の隙間(図11中符号dで示す)が必然的に生じているのが実情である。そのため、ドアインナーシール3にガタツキ不良が生じ易く、円滑なドアウインドウガラスWの昇降操作性を確保することが難しいとともに、走行中の振動等により不快音が発生する等の不具合が従来から指摘されている。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ドアインナーシールの取付構造に代表されるインナーシールの取付構造であって、ウエストフランジ部の挿入孔にインナーシールのクリップ条片を差し込む差し込み方式を採用したインナーシールの取付構造において、インナーシールを確実に取り付けることができるとともに、クリップ条片先端のアンカー爪とウエストフランジ部との間の隙間をなくすことでガタツキを解消でき、ウインドウガラスの昇降操作が円滑に行なえるとともに、走行中の不快音の発生を皆無としたインナーシールの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、車両の側壁パネルの室内面側に装着される内装トリムのウエスト部に沿ってウエストフランジ部が設けられており、ウインドウガラスと摺接するインナーシールを上記ウエストフランジ部に取り付けるインナーシールの取付構造において、前記ウエストフランジ部に、上下二列に車両の長手方向に沿って延びる挿入孔が開設されているとともに、前記インナーシールのシール本体のトリム取付面には、上記挿入孔に対応して上下二列の差し込み条片が設けられており、この差し込み条片の少なくとも一方側は、先端に抜け止め機能を備えたアンカー爪を有するクリップ条片から構成され、かつ前記クリップ条片の基部周りにおいて、シール本体のトリム取付面とウエストフランジ部との間にクリアランスが設定されており、上記ウエストフランジ部にインナーシールをシール本体の上下端を0当たりポイントを基に当接させた状態で上記クリアランスを利用してシール本体を変形させ、クリップ条片をウエストフランジ部の挿入孔内にオーバーストローク分挿入させることで、クリップ条片先端のアンカー爪を拡開させ、その後、シール本体が原形に復帰する時、アンカー爪の端末が0当たりポイントを介してウエストフランジ部の裏面に係着することにより、インナーシールは、ウエストフランジ部の表裏面に対して0当たりポイントで堅固に固着されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、インナーシールの取付対象としては、車両の側壁パネルの室内面側に装着される内装トリム部品、例えば、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等に適用できる。また、インナーシールは、従来の金属芯金をインサートした構造ではなく、合成樹脂材だけを使用した芯金レス構造であり、内装トリム部品のウエストフランジ部に取り付けるプレート状のシール本体の一方面(ドアウインドウガラス対向面)には、シールリップが付設されており、シール本体の他方面(トリム取付面)には、ウエストフランジ部の挿入孔に装着するための差し込み条片が設けられている。差し込み条片は、上下二列に設けられているが、差し込み条片の少なくとも一方側をクリップ条片で構成している。クリップ条片には、ベースとなる脚片の先端に抜け止め機能、シール機能を有するアンカー爪が一体化されている。
【0010】
更に、本発明に係るインナーシールの取付構造は、インナーシールにおけるシール本体の取付面の上下端末は、内装トリム部品におけるウエストフランジ部に0当たりで接触するように調整されているが、クリップ条片の基部周りとウエストフランジ部との間に1mm程度のクリアランスが設定されていることが必要である。このクリアランスについては、ウエストフランジ部の取付面に凹凸形状を設定するか、あるいはインナーシールのシール本体におけるクリップ条片の基部周りを肉抜きすることで確保される。
【0011】
以上の構成から明らかなように、インナーシールの上下端末とウエストフランジ部とが0当たりに調整される一方、クリップ条片先端のアンカー爪とウエスト部とについても0当たりとなるため、ウエストフランジ部に対してインナーシールが確実に固定されており、インナーシールにガタツキが生じることがない。また、インナーシールをウエストフランジ部に取り付けるには、ウエストフランジ部とクリップ条片の基部周りとの間にクリアランスが設定されているため、クリップ条片の基部がトリム部品側に近接するようにシール本体を撓ませることで、クリップ条片の挿入孔内へのオーバーストローク操作が簡単に行なえ、クリップ条片先端のアンカー爪が確実にウエストフランジ部の挿入孔から抜けきり、拡開することで、アンカー爪が確実にウエストフランジ部裏面に係着する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した通り、本発明に係るインナーシールの取付構造は、インナーシールにおけるシール本体の上下端末は、ウエストフランジ部に0当たりとなるように調整されているとともに、インナーシールのクリップ条片の基部とウエストフランジ部との間には、クリップ条片を挿入孔内に挿入する際のオーバーストローク分を確保するためのクリアランスが設定されているため、このクリアランスを利用すれば、クリップ条片をオーバーストローク操作できることから、クリップ条片先端のアンカー爪をウエストフランジ部に確実に係止することができる。
【0013】
従って、インナーシール本体の上下端末がウエストフランジ部と0当たりするとともに、クリップ条片先端のアンカー爪がウエストフランジ部の裏面に0当たりすることになり、インナーシールの安定した取り付けが可能となり、ガタツキが生じることがないため、ウインドウガラスの昇降操作時における円滑な操作性が期待できるとともに、走行中の振動等により不快音等が生じることがない。
【0014】
更に、本発明に係るインナーシールの取付構造は、クリップ条片基部周りとウエストフランジ部との間に設定したクリアランスを有効に利用することで、クリップ条片の確実な係着が可能となるため、インナーシールの良好な取付作業性が期待できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るインナーシールの取付構造を適用したドアトリムを示す正面図である。
【図2】本発明に係るインナーシールの取付構造の一実施例であるドアインナーシールの取付構造を示す断面図である。
【図3】図2に示すドアインナーシールの取付構造におけるドアトリムのウエストフランジ部を示す斜視図である。
【図4】図3に示すウエストフランジ部を拡大して示す斜視図である。
【図5】図4に示すウエストフランジ部に取り付けるドアインナーシールを示す斜視図である。
【図6】図2に示すドアインナーシールの取付構造におけるドアインナーシールの取付前の状態を示す説明図である。
【図7】図2に示すドアインナーシールの取付構造におけるクリップ条片の挿入孔内へのオーバーストローク操作時の状態を示す説明図である。
【図8】図2に示すドアインナーシールの取付構造の変形例を示す断面図である。
【図9】従来のドアトリムを示す正面図である。
【図10】従来のドアインナーシールの取付構造を示す断面図である。
【図11】従来のドアインナーシールの取付構造における不具合点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るインナーシールの取付構造について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例】
【0017】
図1乃至図8は本発明の一実施例であり、本発明構造をドアインナーシールの取付構造に適用したもので、図1はドアインナーシールの取付対象としてのドアトリムを示す正面図、図2はドアインナーシールの取付構造を示す断面図、図3,図4はドアトリムにおけるウエストフランジ部を示す各斜視図、図5はドアインナーシールを示す斜視図、図6,図7はドアインナーシールの取付態様を示す各説明図、図8はドアインナーシールの取付構造の変形例を示す断面図である。
【0018】
図1において、自動車用ドアトリム10は、所望の曲面形状に成形されて、図示しないドアパネルの室内面側に装着される。このドアトリム10の構成については、本発明の要部ではないためここでは簡単に説明する。上記ドアトリム10の中央部には、室内面側に膨出するアームレスト11が形成されており、このアームレスト11にプルハンドル12やスイッチユニットパネル13が取り付けられている。また、アームレスト11の上方位置にはインサイドハンドルユニット14が取り付けられているとともに、アームレスト11の下部には、ドアポケット15が設けられている。更に、上記ドアポケット15のフロント側には、スピーカグリル16がドアトリム10と一体又は別体に設けられている。
【0019】
ところで、ドアトリム10には、ドアウインドウガラスWのシール機能を果たすために、図2に示すように、ウエスト部10aから下方向に延在するウエストフランジ部20が形成されており、このウエストフランジ部20にドアウインドウガラスWを摺接シールするドアインナーシール30が取付固定されている。図2はドアインナーシール30の取付構造を示し、図3,図4はウエストフランジ部20を示す斜視図、図5はドアインナーシール30を示す斜視図である。
【0020】
図面において、ドアトリム10は、汎用の熱可塑性樹脂をモールドプレス成形、あるいは射出成形することにより所望の曲面形状に成形されている。使用する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。
【0021】
まず始めに、ドアトリム10におけるウエストフランジ部20の構成について、図2,図3,図4を基に説明する。ドアトリム10のウエスト部10aには先端が下方に向けて延在するように、ウエストフランジ部20が車両の長手方向に沿って断続して設けられている。そして、このウエストフランジ部20は、後述するドアインナーシール30を取り付けるための挿入孔21,22が上下二列でかつ車両の長手方向に沿って延びる横長状に開設されているとともに、挿入孔21,22の上方には、ドアインナーシール30の上端側と当接するように、凸条23が突設形成されている。また、上下二列の挿入孔21,22のうち、下側の挿入孔22については、ドアインナーシール30の取付面の下端末とウエストフランジ部20とが当接するように、上縁22aに対して下縁22bが外側に向けて一段高く設定されている。
【0022】
次に、ウエストフランジ部20に取り付けられるドアインナーシール30の構成について、図2,図5を基に説明する。ドアインナーシール30は、形状的にはプレート状のシール本体31の一方面(ドアウインドウガラス対向面)31aに上下二列に断面木の葉状のシールリップ32が一体化されており、このシールリップ32は、ドアウインドウガラスWの昇降時には基部を基に回動動作して、ドアウインドウガラスW面を円滑にシールする機能を有する。
【0023】
更に、シール本体31の他方面(トリム取付面)31bには、ウエストフランジ部20の上下二列の挿入孔21,22にそれぞれ差し込まれる差し込み条片Aが上下二列に設けられている。この実施例では、上側の差し込み条片Aはクリップ条片33から構成し、下側の差し込み条片Aはフック条片34から構成している。更に詳しくは、クリップ条片33には、プレート状の脚片331の先端に断面矢尻状の形状をなすアンカー爪332が一体化されている。更に、脚片331の上下側面には、羽根状のシール片333が一体化されている。同様に、下側の差し込み条片Aを構成するフック条片34については、プレート状の脚片341の先端に下側の挿入孔22の縁部と係止する係止片342が一体化されている。
【0024】
上述したドアインナーシール30は、この実施例においては、硬質樹脂と軟質樹脂を使い分けた二色押出成形により図示する形状に成形されている。すなわち、シール本体31、クリップ条片33におけるシール片333を除いた部分及びフック条片34については、硬質TPO樹脂を使用するとともに、シールリップ32、クリップ条片33におけるシール片333については、軟質TPO樹脂が使用されている。
【0025】
そして、ドアトリム10におけるウエストフランジ部20にドアインナーシール30を取り付けた状態では、図2に示すように、ドアインナーシール30のシール本体31の他方面(トリム取付面)31bの上下端の0当たりポイントP1,P2において、ウエストフランジ部20と当接している。また、シール本体31の裏面に一体化したクリップ条片33については、クリップ条片33周りのシール本体31とウエストフランジ部20との間にクリアランスCLが本実施例では1mm程度設定されており、その分、クリップ条片33の先端のアンカー爪332はウエストフランジ部20面に確実に係止した状態である。このアンカー爪332の係止部位も0当たりポイントP3であるため、0当たりポイントP1,P2,P3によりドアトリム10のウエストフランジ部20に対してドアインナーシール30を確実かつ堅固に取り付けることが期待でき、従来の問題点であったガタツキを有効に解決することができる。
【0026】
従って、ドアウインドウガラスWの昇降操作時、シールリップ32とドアウインドウガラスWとの間の摺動抵抗にバラツキが生じることがないため、円滑なドアウインドウガラスWの昇降操作が期待できるとともに、走行中の振動等により不快音が発生することがない。
【0027】
次いで、図6,図7を参照しながら、ドアインナーシール30の取付形態について簡単に説明すると、ウエストフランジ部20に対してドアインナーシール30を位置決めしてウエストフランジ部20の上下の挿入孔21,22に対してそれぞれクリップ条片33、フック条片34を矢印で示すように挿入するが、この時、ドアインナーシール30におけるシール本体31の上下端に設定した0当たりポイントP1,P2は、ウエストフランジ部20の凸条23及び下側の挿入孔22の下縁22b近傍に相当するようにドアインナーシール30を位置決めさせる。
【0028】
そして、図7に示すように、ドアインナーシール30のシール本体31の上下端における0当たりポイントP1,P2においてウエストフランジ部20に当接した状態で、クリップ条片33については、挿入孔21内に挿入する。この時、両者間のクリアランスCLを利用して、シール本体31を撓ませるようにクリップ条片33の脚片331をオーバーストローク分挿入させる。このオーバーストローク操作でクリップ条片33の先端のアンカー爪332は挿入孔21から完全に抜けきり、拡開する。
【0029】
その後、ドアインナーシール30のシール本体31がフラット状に戻れば、クリップ条片33の近傍部分においては、ウエストフランジ部20とドアインナーシール30のシール本体31の他方面(トリム取付面)31bとの間にクリアランスCLが設定されるとともに、クリップ条片33の先端のアンカー爪332が0当たりポイントP3としてウエストフランジ部20と確実に係着する。その結果、ドアインナーシール30は、3箇所の0当たりポイントP1,P2,P3によりウエストフランジ部20に堅固に固着される。また、本発明のように、クリアランスCLを利用してクリップ条片33のオーバーストローク操作を行なえば、クリップ条片33の係着を確実に行なうことができ、作業性も向上する。
【0030】
次いで、図8は本発明の変形例を示すもので、この変形例においては、ドアインナーシール30におけるシール本体31の他方面(トリム取付面)31bに肉抜き35を形成することで、クリップ条片33の基部周りにおいて、ウエストフランジ部20とドアインナーシール30のシール本体31との間にクリアランスCLが設定されている。この変形例においても、上述実施例同様、ウエストフランジ部20に対してドアインナーシール30はシール本体31の上下端末における0当たりポイントP1,P2とクリップ条片33の先端部分における0当たりポイントP3の三つの0当たりポイントで当接しているため、ドアインナーシール30はガタツクことがないとともに、クリアランスCLを使用することにより取付作業性に優れるという同様の作用効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明した実施例においては、ドアインナーシール30の上下二列の差し込み条片Aのうち、上側の差し込み条片Aについてクリップ条片33をもって構成し、下側の差し込み条片Aについてフック条片34で構成したが、上下二列の差し込み条片の双方にクリップ条片33を使用することもできる。また、上側の差し込み条片Aをフック条片34で構成し、下側の差し込み条片Aをクリップ条片33で構成することもできる。このように、差し込み条片Aの構成を変更した場合には、クリップ条片33の基部周りにおいて、ウエストフランジ部20とドアインナーシール30のシール本体31との間にクリアランスCLを設定するように構成すれば良い。
【符号の説明】
【0032】
10 自動車用ドアトリム
20 ウエストフランジ部
21,22 挿入孔
22a 上縁
22b 下縁
23 凸条
30 ドアインナーシール
31 シール本体
31a 一方面(ドアウインドウガラス対向面)
31b 他方面(トリム取付面)
32 シールリップ
33 クリップ条片
331 脚片
332 アンカー爪
333 シール片
34 フック条片
341 脚片
342 係止片
35 肉抜き
A 差し込み条片
P1,P2,P3 0当たりポイント
CL クリアランス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側壁パネルの室内面側に装着される内装トリム(10)のウエスト部(10a)に沿ってウエストフランジ部(20)が設けられており、ウインドウガラス(W)と摺接するインナーシール(30)を上記ウエストフランジ部(20)に取り付けるインナーシール(30)の取付構造において、
前記ウエストフランジ部(20)に、上下二列に車両の長手方向に沿って延びる挿入孔(21,22)が開設されているとともに、前記インナーシール(30)のシール本体(31)のトリム取付面(31b)には、上記挿入孔(21,22)に対応して上下二列の差し込み条片(A)が設けられており、この差し込み条片(A)の少なくとも一方側は、先端に抜け止め機能を備えたアンカー爪(332)を有するクリップ条片(33)から構成され、かつ前記クリップ条片(33)の基部周りにおいて、シール本体(31)のトリム取付面(31b)とウエストフランジ部(20)との間にクリアランス(CL)が設定されており、上記ウエストフランジ部(20)にインナーシール(30)をシール本体(31)の上下端を0当たりポイント(P1,P2)を基に当接させた状態で上記クリアランス(CL)を利用してシール本体(31)を変形させ、クリップ条片(33)をウエストフランジ部(20)の挿入孔(21)内にオーバーストローク分挿入させることで、クリップ条片(33)先端のアンカー爪(332)を拡開させ、その後、シール本体(31)が原形に復帰する時、アンカー爪(332)の端末が0当たりポイント(P3)を介してウエストフランジ部(20)の裏面に係着することにより、インナーシール(30)は、ウエストフランジ部(20)の表裏面に対して0当たりポイント(P1,P2,P3)で堅固に固着されていることを特徴とするインナーシールの取付構造。
【請求項2】
前記インナーシール(30)のクリップ条片(33)の基部とウエストフランジ部(20)との間のクリアランス(CL)は、ウエストフランジ部(20)の取付面側に設けた凹凸部により確保されていることを特徴とする請求項1に記載のインナーシールの取付構造。
【請求項3】
前記インナーシール(30)のクリップ条片(33)の基部とウエストフランジ部(20)の取付面との間に設けられるクリアランス(CL)は、インナーシール(30)のシール本体(31)の裏面に肉抜き(35)が設けられていることにより確保されていることを特徴とする請求項1に記載のインナーシールの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate