説明

インフルエンザウィルスでの感染の治療のための剤

本発明は、ウィルス感染、特に、流行性感冒感染症を引き起こすインフルエンザウィルスでの感染の予防及び/又は治療のための剤に関する。本発明の主題は、有効物質として、ユビキチン−プロテアソーム系の阻害剤、特にプロテアソーム阻害剤を含有する剤である。本発明は更に、プロテアソーム阻害剤の、全身的なまた同様に局所的な、有利には空気による投与に関する。本発明により使用される、プロテアソーム阻害剤の作用物質は、少なくとも1種の更なる抗ウィルス作用のある物質を用いて、インフルエンザウィルス感染の予防及び/又は治療のために使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、ウィルス感染、特に、流行性感冒感染症を引き起こすインフルエンザウィルスでの感染の予防及び/又は治療のための剤に関する。本発明の主題は、ユビキチン−プロテアソーム系の有効な阻害剤として、特にプロテアソーム阻害剤を含有する剤である。本発明は更に、プロテアソーム阻害剤の全身的なまた同様に局所的な、有利に空気による(aerogen)投与に関する。本発明により使用される、プロテアソーム阻害剤の有効物質は、少なくとも1種の更なる抗ウィルス作用のある物質と一緒に、インフルエンザウィルス感染の予防及び/又は治療のために使用されることができる。
【0002】
1.公知技術の特徴
1.1 動物及びヒト中でのインフルエンザウィルス感染
インフルエンザウィルス、ウィルス流行性感冒の病原体での感染は、ヒト及び動物のための重要な健康の脅威を意味し、かつ、毎年、多数の犠牲者のみならず、全体経済的にも、場合によっては、疾病に条件付けられた労働無能力性により巨大なコスト因子をも引き起こす。しかしながら、毎年生じる流行病の他に、インフルエンザははるかにずっと心配な次元をも有し、というのは、インフルエンザは、過去常に世界的な爆発、いわゆる汎流行を生じるからであり、これは数百万人の死者を生じる。数年来観察された、高度に病原性の、サブタイプH5N1のトリインフルエンザウィルスの発生が、直接的に、近い将来の新規の汎流行の危険性を説明し、これに対しては現在有効な接種物質が存在しない。
【0003】
インフルエンザウィルスは、オルソミクソウィルスのファミリーに属し、かつ、ネガティブ鎖の配向の断片化されたゲノムを有し、これは少なくとも11つのウィルスタンパク質をコードする(Lamb及びKrug, Fields, Virology, Philadelphia: Lippincott-Raven Publishers, 1353-1395,1996)。核タンパク質(NP)及びマトリックスタンパク質(M)の分子的及び血清学的な特性に基づき、タイプA、B及びCにインフルエンザウィルスは分類される。タイプAのウィルスは、ヒト及び幾つかの動物種のために最大の病原可能性を有する(Webster et al., Microbiol Rev, 56, 152-79, 1992)。
【0004】
インフルエンザAウィルス粒子は9つの構造タンパク質及び脂質被覆からなり、この被覆は宿主細胞由来である。ウィルスRNAセグメント1〜3は、RNA依存性RNAポリメラーゼ複合体(RDRP)の成分、PB1、PB2及びPAをコードし、リボ核タンパク質複合体と関連して、これらの成分はウィルスゲノムの転写及び増幅を触媒作用する。ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)は、ウィルスの表面の糖タンパク質であり、これらはvRNAセグメント4及び6により形成される。現在は、16個の異なるHA−及び9個の異なるNAサブタイプが公知であり、これに基づいてインフルエンザウィルスAは相違するカテゴリーに区分けされる。
【0005】
HAタイプ、H1、H2及びH3、及び、NAタイプ、N1及びN2を有するウィルスは、人間中で流行性に作用する(Lamb 及び Krug, Fields, Virology, Philadelphia: LippincottRaven Publishers, 1353-1395,1996)。セグメント5は、核タンパク質(NP)をコードし、これはリボ核タンパク質複合体の主成分である。両者の最小のvRNAセグメントはそのつど2つのタンパク質をコードする。vRNAセグメント7はマトリックスタンパク質M1及びM2タンパク質をコードする。M1タンパク質は、脂質二重膜の内側と会合し、かつ、内側からウィルス殻をはがす。M2は、第3の膜貫通成分であり、これはpH依存性のイオンチャネルとして機能する。セグメント8の配列は、核輸出タンパク質NS/NEP及び唯一の非構造タンパク質NS1のための情報を有する。最近、11番目のインフルエンザAウィルスタンパク質が同定された(Chen et al., 実施例の後の文献リスト)。これはPB1−F2タンパク質であり、これはオープンな、PB1遺伝子断片の、1ヌクレオチドだけずらされた読み取り枠により形成される。
【0006】
PB1−F2は、ミトコンドリア性タンパク質であり、これは制御された細胞死、アポトーシスの誘導を増強することができる。RNAウィルスの撲滅の問題は、ウィルスポリメラーゼの高いエラー率により引き起こされる、ウィルスの変化可能性であり、これは、適した接種物質の製造もまた同様に抗ウィルス物質の開発も極めて困難にする。
【0007】
ウィルスの機能に対して直接的に指向された抗ウィルス物質の適用が、突然変異に条件づけられて、極めて迅速に、耐性のある変異体の選択を生じることが示された。このための一例は、抗インフルエンザ剤、アマンタジン及びその誘導体であり、これはウィルスの膜貫通タンパク質に対して指向され、かつ、少ない経過内で既に、耐性のある変異体の形成を生じる。
【0008】
インフルエンザ感染のための新規治療剤はまた、これはインフルエンザ−ウィルス表面タンパク質ノイラミニダーゼを阻害し、かつ、市販名RELANZA又はTAMIFLUのもとでGlaxo Wellcome又はRocheによりドイツ国で販売されているが、既に耐性のある変異体を患者中で生じる(Gubareva et al J Infect Dis 178,1257-1262,1998)。現在ヒト中で見出されるH5N1トリインフルエンザ−ウィルスでも、既に、TAMIFLUに対する耐性が生じる(Qui et al. Nature 437,1108, 2005)。これらの治療剤中でつながれた希望は、これらの理由からも満たされることができなかった。
【0009】
その大抵は小さなゲノム、従って、複製に必要な機能のための限定されたコード容量のために、全てのウィルスが強力な程度でその宿主細胞の機能に依存している。このような細胞機能に対する影響力の作用(これは、ウィルスの複製のために必要である)を介して、感染された細胞中のウィルス複製に不利に影響を及ぼすことが可能である(Ludwig et al., Trends Mol. Med. 9, 46-51, 2003)。この際、ウィルスのためには、適合によりこの欠失する細胞機能を置き換える手段は存在しない。突然変異による選択ストレス前の回避はここでは可能でない。これはインフルエンザAの例では、細胞のキナーゼ及びメチルトランスフェラーゼに対して比較的非特異的な抑制物質を用いてのみでなく(Scholtissek und Muller, Arch Virol 119,111-118,1991)、選択的にウィルスにより必要とされるシグナル経路を攻撃するキナーゼ阻害剤を用いても示されることができる(Ludwig et al., FEBS Lett 561, 37-43, 2004)。
【0010】
1.2 ユビキチン/プロテアソーム系(UPS)の機能
プロテアソームは、全ての真核生物の細胞核及びサイトゾル中の主たるタンパク質分解成分である。これは多触媒酵素複合体であり、これは全体の細胞タンパク質の約1%を構成する。プロテアソームは、細胞代謝の多岐の機能において重要な役割を果たす。この主たる機能は、所望されない、非機能性タンパク質のタンパク質分解である。更なる機能は、主要組織適合性クラスI分子のためのペプチドリガンド産生による、T細胞により媒介された免疫応答のための、細胞の又はウィルスのタンパク質のプロテアソームによる分解を有する(概要についてはRock 及び Goldberg, 1999)。プロテアソーム標的は通常は、分解のための、ユビキチン(Ub)のオリゴマーの形態の縫いつけによりマーキングされる。Ubは、高度に保存された、76アミノ酸長さのタンパク質であり、これは、標的タンパク質に共役的に連結される。このユビキチン化は、それ自体可逆的であり、かつ、Ub分子は、多数のUbヒドロラーゼにより、標的分子から再度除去されることができる。標的タンパク質のユビキチン化とプロテアソームのタンパク質分解との間の関連は一般的には、ユビキチン/プロテアソーム系(UPS)と呼ばれる(概要に関しては、Rock及びGoldberg, 1999; Hershko及びCiechanover, 1998を参照のこと)。
【0011】
26Sプロテアソームは、2.5MDaの大きさの多酵素複合体であり、これは約31サブユニットからなる。このプロテアソーム複合体のタンパク質分解活性は、円柱形状の700kDaの大きさであって、かつ、4つの相互に重なり合って存在する環からなるコア構造、20Sプロテアソームにより実現される。20Sプロテアソームは、14個の同一でないタンパク質からなる複合体化された多酵素複合体を形成し、これは2つのα−及び2つのβ−環中でαββα順列で配置されている。この20Sプロテアソームの基質特異性は、3つの本質的な活性を含む:トリプシン−、キモトリプシン−及びポストグルタミル−ペプチド加水分解性(PGPH)−又はカスパーゼ類似活性、これは、β−サブユニットZ、Y及びZ中に配置されている。20Sプロテアソームは、in vitroで変性されたタンパク質を、そのポリユビキチン化とは独立して分解する。これに対して、20Sプロテアソームのin vivo酵素活性は、19S調節性サブユニットの付加により制御され、これは一緒になって活性のある26Sプロテアソーム粒子を形成する。19S調節性サブユニットは、ポリ−ユビキチン化したタンパク質の認識の際に並びに標的タンパク質のアンフォールディングの際に関与する。26Sプロテアソームの活性はATP依存性であり、かつ、ポリユビキチン化タンパク質のみをほとんど分解する(概要については、Hershko及びCiechanover, 1998を参照のこと)。
【0012】
1.3 プロテアソーム阻害剤
様々な物質クラスが、プロテアソーム阻害剤として公知である。これは、一方では化学的に修飾されたペプチドアルデヒド、例えばトリペプチドアルデヒドN−カルボベンゾキシル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシナール(zLLL、MG132とも呼ばれる)並びに有効なホウ酸誘導体MG232である。zLLLに類似して、修飾されたペプチドの更なるクラス、ペプチド−ビニル−スルホンが、プロテアソーム阻害剤として記載される(概要については、Elliott 及びRoss, 2001を参照のこと)。天然に存在する物質は、ラクタシスチン(LC)(Fenteany et al, 1995)であり、これはストレプトマイシンから、並びにエポキソマイシンであり、これはアクチノマイシンから獲得される(Meng et al., 1999a,b)。LCは、高度に特異的な、不可逆的に作用するプロテアソーム阻害剤であり、これは主としてキモトリプシン、及び、26Sプロテアソーム粒子のトリプシン類似の活性を遮断する(Fenteany et al., 1995)。LCは、ペプチド基本構造を有さないが、γ−ラクタム環、システイン及びヒドロキシ−ブチル−基からなる。LC自体では、プロテアソームを阻害しない。更にN−アセチル−システイン−残基の水溶液中で加水分解される。この結果は、クラストラクタシステインβ−ラクトンの形成であり、これは、細胞膜を貫通することができる。細胞取り込み後に、β−ラクトン環の求核性攻撃及び、引き続く、β−サブユニットのトレオニン−1−ヒドロキシル−基のトランスエステル化を生じる(Fenteany et al, 1995)。
【0013】
特異性及び有効性に関しては、エポキソマイシンが全ての公知の天然のプロテアソーム阻害剤のうちこれまでに最も有効である(Meng et al., 1999;a, b)。更なるかつ極めて能力のある、合成のプロテアソーム阻害剤のクラスは、ホウ酸−ペプチド−誘導体であり、特に、化合物ピラノジル−フェニル−ロイシニル(Leuzinyl)−ホウ酸(「PS341」、との名称を有する)である。PS−341は、生理学的な条件下で極めて安定であり、かつ、静脈内適用後に、生物学的に利用可能(bioverfuegbar)である(Adams 及び Stein, 1996; Adams et al., 1999, US 1,448,012TWOl)。
【0014】
1.4 プロテアソーム阻害剤の臨床的適用
主たる細胞プロテアーゼとしてのプロテアソーム活性の抑制は、細胞サイクル、転写、この全体の細胞タンパク質分解並びにMHC−I抗原プロセッシングの制御において変更を生じる可能性がある(概要については、Ciechanover et al., 2000を参照のこと)。従って、プロテアソームの全ての酵素活性の持続的な阻害は、細胞の生存、従って全体的な生物の生存と調和しない。特定の、可逆的に作用するプロテアソーム阻害剤はしかしながら、選択的に、26Sプロテアソームの個々のタンパク質分解活性を阻害し、この際、他の細胞プロテアーゼに影響を及ぼすことがない。プロテアソーム阻害剤を用いた第1の臨床試験(Adams et al., 1999)は、この物質クラスが、多岐にわたる適用基礎を有する医薬品として巨大な可能性を有することを明らかする(概要については、Elliot 及び Ross, 2001を参照のこと)。新規の治療原則としてのプロテアソーム阻害剤の意味合いは、過去数年においてますます注目を受け、特に、癌及び炎症性疾患の治療の際にますます注目を受ける(概要については、Elliot及びRoss, 2001を参照のこと)。会社「Millennium Inc.」(Cambridge, MA, USA)は、炎症抑制性の、免疫制御性の及び抗腫瘍性の治療のためにプロテアソーム阻害剤、特に、ジペプチドのホウ酸誘導体を開発し、この際特に化合物PS341を開発した(Adams et al., 1999)。
【0015】
ウィルス感染を遮断するとの目的でもってプロテアソーム抑制剤を使用することは既に記載されている。特に、Schubert et al. (2000 a, b) は、プロテアソーム阻害剤が、HIV−1及びHIV−2のアセンブリー化、放出及びタンパク分解による成熟を遮断することを示した。この効果は、HIVプロテアーゼによるGagポリタンパク質のタンパク質分解プロセッシングの特異的な遮断に基づき、この際、プロテアソーム阻害剤は、このウィルスプロテアーゼの酵素活性自体に影響を及ぼすことはない。UPSとの更なる関連は、ラウス肉腫ウィルスRSV(Patnaik et al, 2000);サル免疫不全ウィルスSIV(Strack et al., 2000)及びエボラウィルス(Harty et al., 2000)の出芽のためにも報告されている。後者の場合には(Harty et al., 2000)、細胞のユビキチンリガーゼが、エボラマトリックスタンパク質と相互作用することが示された。
【0016】
1.5 特許文献におけるプロテアソーム阻害剤
プロテアソーム阻害剤及びその医薬的使用は、数々の特許公報又は特許出願中での主題である。US特許公報5,780,454 A (Adams et al.) においては、ホウ酸−及びエステル化合物、その合成及びプロテアソーム阻害剤としての使用が記載されている。プロテアソーム阻害剤の機構としては、細胞中でのNF−κBの抑制が挙げられている。
【0017】
国際特許出願WO 98/10779は、寄生体感染の治療のためのプロテアソーム阻害剤の使用が主題である。
【0018】
刊行物WO 99/15183中では、自己免疫疾患の治療のためにプロテアソーム阻害剤が使用される。この際、NFκβ媒介した、HIV−1LTR−プロモーターの活性化の際のUPSの役割、及び、細胞核中での転写プロセスが重要であり、これはしかしながらHIVの複製のためには必須でない。プロテアソーム阻害剤が、HIVの複製を遮断できることは示されていない。NFκβ経路はこのために確かに適していない。
【0019】
更なる医薬適用は、繊維症疾患の治療(US 2005/222043 A)、臓器移植拒絶及び敗血性ショックの妨げ(EP 0967976 A)、血管狭窄の治療(WO02/060341 A)又は内皮性機能不良の治療(WO2004/012732 A)である。
【0020】
心臓適応症の際のプロテアソーム阻害剤の使用も言及される(DE 10040742 A)。
【0021】
ウィルス感染の治療のためのプロテアソーム阻害剤の使用は、特許出願EP 1430903 A1 = US2004/0106539A1の主題である。レトロウィルスの放出、成熟及び複製の抑制のための剤としてのプロテアソーム阻害剤の使用は記載されている。ヒトの免疫疾患(HIV)の例では、プロテアソーム阻害剤は、Gagタンパク質のプロセッシングもまた同様にウィルス粒子の放出も並びにこの放出されたウィルス粒子の感染性及び従ってウィルス複製を遮断することが示される。適用領域は、他の抗レトロウィルス医薬品とも組み合わせた、免疫疾患を引き起こすレンチウィルスでの感染の際の動物及びヒトでの抗レトロウィルス療法及び予防、特にAIDS又はHIV誘導された痴呆での抗レトロウィルス療法及び予防である。
【0022】
特許出願EP 1326632 A1中には、肝炎ウィルス感染、及び、これと関連する肝障害及び疾患の治療、療法及び阻害のための剤が挙げられている。肝炎ウィルスの放出、成熟及び複製の抑制のために使用される剤は医薬調製物中に、有効成分として、26Sプロテアソームを細胞中で抑制する点で共通である物質クラスを含有する。ここには、特にプロテアソーム阻害剤が属し、前記剤は、ユビキチン/プロテアソーム経路に影響を及ぼし、特に、26S及び20Sプロテアソーム複合体の酵素活性に影響を及ぼす。この発明の適用は、肝炎感染の抗ウィルス療法、特に急性かつ慢性のHBV−及びHCV感染、及びこれと関連した肝臓癌腫の、確立並びに保持の妨げにある。
【0023】
フラビウィルスのウィルス感染の治療、療法及び阻害のためにもプロテアソーム阻害剤は使用される(WO2003/084551 A1)。フラビウィルスの放出、成熟及び複製の抑制のために使用される剤は、医薬調製物中で、有効成分として、26Sプロテアソームを細胞中で阻害する点で共通である物質クラスを含有する。
【0024】
ウィルス感染、特にSARS(severe acute respiratory Syndrome)を引き起こすコロナウィルスでの感染の治療のためにも、プロテアソーム阻害剤が提案される(DE 10361945 A1)。
【0025】
インフルエンザウィルスの複製のためのユビキチン−プロテアソーム経路の重要性又はインフルエンザウィルスでの感染の予防及び/又は治療のためのプロテアソーム阻害剤の使用すらも、これまでには示されていない。
【0026】
ドイツ国特許出願DE 103 00222 A1中には、IAV複製の抑制のための有効物質の使用が記載され、これは、NF−κβ−シグナル伝達経路の成分のみを阻害する。複数の比較的特異的に作用するNF−κβ阻害剤の他に、可能性のある作用物質としてこの発明の記載においては、同様に、プロテアソーム阻害剤が言及されるが、このための十分な詳細又はそれぞれの実験データを示していない。それどころか、プロテアソーム阻害剤は同様にNF−κβ−シグナル伝達経路に影響を及ぼすことが単に推定される。DE 103 00222 A1中に記載された発明中にある決定的な欠点は、NFκβ活性化に対して、プロテアソーム阻害剤の作用に関する検査が、インフルエンザウィルスでの抗ウィルス作用との関連においてこれまでに不利に進行するとの事実である。従って、少なくとも1種のプロテアソーム阻害剤及び/又は少なくとも1種のUPSの阻害剤を含有し、かつ、IAV感染の治療のために適している、医薬的に有効な組成物を製造することが可能であることが示されることができなかった。インフルエンザウィルスに関するプロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性作用は、DE 103 00222 A1中に記載された発明中に示されていない。対照的に、この発明の説明中に含有される結果は、NFκβ−活性化に対するプロテアソーム阻害剤の有効性が、高い用量のプロテアソーム阻害剤を必要とすることを示し、この用量はin vivoで標準的な適用によっては達成可能でなく、かつ、更に、既に臨床的に適用されているプロテアソーム阻害剤の公知の副作用の毒性のために、この濃度範囲では、医薬的に支持可能でない。従って、DE 103 00222 A1は、プロテアソーム阻害剤が、インフルエンザウィルスに対する抗ウィルス性に作用する医薬組成物の製造のために適していることを教示しない。
【0027】
国際公開刊行物WO 00/33654 A1は、HIV−1プロテアーゼ阻害剤、リロナビアの、プロテアソーム阻害剤としての使用を記載する。このプロテアーゼ阻害剤は、約10μgの濃度においてプロテアソームに対して非特異的な作用を有し、これは、特異的なプロテアソーム阻害剤の有効濃度よりも100000倍より低い。更に、この極めて高い濃度は生理学的に達成可能でない。その上、リトナビア(Ritonavir)(例えばこれは、高用量で、抗レトロウィルス療法(HAART)の際に、HIV感染の際に投与される)によるこのようなUPSの永久的な抑制が、極めて毒性のある副作用を、26Sプロテアソームの永久的な停止のために、生じるものであろうとの論理的な結論が生じる。これはこれまでには、リトナビアで処置された患者全てのためには記載されていない。同様に、公開公報WO 00/33654 A1中には、純粋に理論的、かつ、証明が不適当でもある仮定のために、このような作用をカバーすることができるそれぞれの実験データが欠失する。無論、リトナビアは、HIVプロテアーゼ阻害剤として、HIV活性を抑制するが、しかしながらこれはプロテアソームに対する非特異的な作用を介して生じず、というのもこれは選択的に、治療的に適用可能な濃度において排他的及び選択的にHIVプロテアーゼを阻害するからである。リトナビアは、治療的に達成可能でない高い濃度においてのみ26Sプロテアソームを遮断し、かつこれは、リトナビアのみならず、他のこれまでの公知のHIVプロテアーゼ阻害剤でも生じることができない。結局、このUPSに対するリトナビアの奇異な作用はin vitroでのみ示されている。純粋に理論的に、WO 00/33654 A1中では、インフルエンザウィルスが言及され、但しこの言及は、免疫状態の改善に関連において、特にCD4+T細胞の活性に関してのみ行われる。インフルエンザウィルスに対する直接的な抗ウィルス作用は、言及されていない。更にこの刊行物は、プロテアソーム阻害剤を、インフルエンザウィルスの治療のための、医薬的に有効な組成物の製造のための、抗ウィルス作用のある剤として使用することができることを教示しない。
【0028】
特許出願WO 03/064453 A2の主題は、いわゆるトロイ阻害剤(trojanische Inhibitor)であり、これはプロテアソーム阻害剤及びトロイペプチドからなる。これらは、インフルエンザウィルスの治療のためにも使用されることができる。しかしながらこの刊行物中では、このトロイ阻害剤を用いて実際に抗ウィルス作用がインフルエンザウィルスに対して達成可能であることのための実験的な証明が欠失する。更に、この刊行物からは、このトロイ阻害剤の場合によっては起こりえる有効性が、26Sプロテアソームの特異的な阻害に本当に帰するべきであることを取り出すことができない。更には、特異的な有効性が、トロイ成分を用いてこのプロテアソーム阻害剤が標的細胞上にもたらされることによってのみ達成されることが取り出されるべきであり、その際ここでも具体的な証拠が欠失する。
【0029】
刊行物WO 03/064453 A2は、即ち、プロテアソーム阻害剤が、インフルエンザウィルスの治療のために使用できることを教示しない。
【0030】
ユビキチン−リガーゼ阻害剤は、 刊行物WO 2005/007141 A2の主題である。神経学的な障害の治療のために使用されることができる抗ウィルス成分、抗癌剤及び化合物がこの中に記載される。インフルエンザウィルスは言及されない。更に、この刊行物中にも他の公開公報中にも、ユビキチン−リガーゼがインフルエンザウィルスの複製を邪魔することの証拠が存在しない。
【0031】
まとめると、全てのこれまでの、プロテアソーム阻害剤の使用の際に、インフルエンザウィルス感染に対するこの作用、そして、インフルエンザ感染の治療のためのこの治療的な使用もまた記載されていないことを確認することができる。同様に、これまでには、インフルエンザウィルス感染の治療のためのプロテアソーム阻害剤の作用は議論されていない。更に、プロテアソーム阻害剤が、インフルエンザウィルスのアセンブリー化及び放出を遮断するかどうかはこれまでに試験されていない。同様に、これまでには、インフルエンザウィルス感染とUPSとの間での関連は全く指摘されていない。この点では、同様に、細胞ユビキチンリガーゼの阻害剤のまた同様にユビキチン−ヒドロラーゼの使用もまた完全に新規である。
【0032】
2.本発明の本質
本発明の基礎となる課題は、インフルエンザウィルスでの感染の治療に適した剤を提供することであり、この際、特に、動物及びヒト中でのインフルエンザウィルスに対する抗ウィルス作用を発揮するような物質を提供することである。この課題は、−この特許請求項の特徴に応じて−UPSの阻害剤の使用により解決される。特にこの際、プロテアソーム阻害剤もまた同様にユビキチンリガーゼ阻害剤又はユビキチンヒドロラーゼも適用される。
【0033】
本発明により、インフルエンザウィルス感染の治療のための抗ウィルス作用を有する剤が開発され、これは有効な成分としてプロテアソーム阻害剤もまた同様にユビキチンリガーゼ又はユビキチンヒドロラーゼ阻害剤も医薬調製物中に含有する。本発明による新規の種類の剤は、インフルエンザウィルス、特にインフルエンザAウィルスでの感染の予防及び/又は療法に適する。
【0034】
本発明の本質は、特許請求の範囲から明らかである。
【0035】
更に、本発明により使用される剤は、オルトミクソウィルスでの感染の予防及び/又は治療、療法及び阻害のために使用されることができる。この剤の適用が、感染伝搬及び従って、疾病進行の阻害を、in vivoで、動物モデル中で、生じることが示される。この剤は従って、動物及び人間中でのインフルエンザウィルスでの感染の確立を妨げるか又は既に確立された感染を治癒することができる。
【0036】
前記課題は、インフルエンザウィルス、特にIAVの放出、成熟及び複製の阻害のために適した医薬調製物を用いることにより解決された。
【0037】
この調製物は、有効成分として少なくとも1種のプロテアソーム阻害剤を含有することにより特徴付けられる。更に、この医薬品は、UPSの他の成分を含有することができる。これは、ユビキチンリガーゼ及び/又はユビキチンヒドロラーゼ、即ち、タンパク質のユビキチン化を制御する酵素に関する。前記課題は、一方ではプロテアソーム阻害剤の組み合わせにより及び他方ではユビキチン−リガーゼ及び/又はユビキチン−ヒドロラーゼにより解決された。本発明の有利な一実施態様において、同様に、高い膜透過性並びに宿主細胞の26Sプロテアソームのための高い特異性により特徴付けられる純粋なプロテアソーム阻害剤が使用される。
【0038】
本発明の有利な一実施態様によれば、特に、IAV感染した細胞中では抗ウィルス作用が作動されることができる。これは、一方では、インフルエンザウィルスに感染した細胞中でのアポトーシスの誘導、そして従って、生物中での感染した細胞の有利な死に関する。同時に、インフルエンザウィルスのアセンブリー化及び成熟の阻害により、感染性のウィルス粒子の放出及び産生が障害される。この作用の全体において、ウィルス複製の遮断及び生物中でのウィルス産生性細胞の除去により、治療効果がもたらされることができる。
【0039】
本発明の更なる実施態様において、古典的なプロテアソーム阻害剤は、インフルエンザウィルスでの感染の撲滅のために使用されるものである。このためには、特に、26Sプロテアソームのβ−サブユニットの触媒活性のあるヒドロキシル−トレオニン基のみと相互作用し、かつ、従って、特異的にプロテアソームのみを遮断する阻害剤が使用される。この開発の更なる実質的な成分及び意外な効果は、このUPSの遮断が有利には、インフルエンザウィルス感染した細胞の死(アポトーシス)を誘導する、との観察である。
【0040】
本発明の課題は、少なくとも1種のプロテアソーム阻害剤及び/又は少なくとも1種のユビキチン−リガーゼ又はユビキチンヒドロラーゼの阻害剤の使用により解決される。ウィルス感染の治療のための剤が本発明により開発され、これは、医薬的な調製物中でUPSの阻害剤を1つの有効成分として含有し、従ってインフルエンザウィルスの阻害を生じる。本発明の有利な一実施態様によれば、プロテアソーム阻害剤として、UPSの活性を阻害、制御又はこれ以外の方法で影響を及ぼす物質が使用される。
【0041】
プロテアソーム阻害剤として、特別に、完全な26Sプロテアソーム複合体の及びその遊離の、調節性のサブユニットとアセンブリー化していない20Sの触媒活性のあるプロテアソーム構造の酵素活性に影響を及ぼす物質が使用されることも可能である。この阻害剤は、1つ又は複数、又は全ての、3つの主たる、プロテアソームのタンパク質分解活性(トリプシン−、キモトリプシン−及びポストグルタミル−ペプチド加水分解性活性)を、26S−、また20S−プロテアソーム複合体の内部で阻害することができる。
【0042】
本発明の変形は、プロテアソーム阻害剤として、高級真核生物の細胞により取り込まれ、かつ、細胞取り込み後に、26Sプロテアソームの触媒性のβ−サブユニットと相互作用し、かつ従って、この全ての又は個々の、プロテアソーム複合体のタンパク質分解活性を不可逆的に又は可逆的に遮断する物質を使用することにある。
【0043】
本発明の更なる変形として特異的なプロテアソーム阻害剤としての、細胞取り込み後に、26Sプロテアソームの個々の酵素活性を選択的に遮断し、かつ、更に、プロテアソームの特定のアセンブリー化形態、例えばイムノプロテアソームをも選択的に阻害する物質が使用される。このイムノプロテアソームは、再アセンブリー化により、26Sプロテアソームの特殊な形態として、特にインターフェロン処理による刺激後に形成される。このイムノプロテアソームは、IAV感染に対する反応としても形成されることができる。この点で、IAV感染の際に、イムノプロテアソームの特別な阻害が、プロテアソーム阻害剤による抗ウィルス作用の特別な一実施態様である。本発明によれば従って、選択的にイムノプロテアソームを阻害する物質も使用される。
【0044】
本発明の更なる一形態として、ユビキチン−コンジュゲートする及び/又はユビキチン−加水分解する酵素の活性を阻害する剤が使用される。これには、ユビキチン−モノ−また同様にポリ−ユビキチンとしての−と相互作用する細胞因子が属する。ポリユビキチン化は一般的には、26S−プロテアソームによるタンパク質分解のための認識シグナルとして進行し、そして、ユビキチン化経路への作用は同様に、プロテアソームの活性により制御されることができる。
【0045】
本発明により、プロテアソーム阻害剤として、様々な形態でin vivoで経口で細胞特異性を有する変更有り又は無しでカプセル化された形態で、静脈内、筋肉内、皮下に、吸入により、アエロゾル形態で、又は他の方法で投与され、特定の適用−及び用量規定の適用のために、特定の細胞及び器官のために少ない細胞毒性及び/又は高い選択性を有し、副作用を全く又はほとんど引き起こさず、比較的高い代謝半減時間及び比較的少ないクリアランス速度を生物中で有する物質も使用される。
DE 103 00222 A1中に記載される解決策に対する本発明の決定的な違いは、本発明により、IAV複製に対するプロテアソーム阻害剤の特異的な作用が、NF−κBシグナル伝達経路を包含せず、完全に他の細胞経路を包含し、即ち、IAV感染の際の、感染性の子孫ウィルスの放出に対するユビキチン−プロテアソーム経路(UPS)に関することが示されることができたことにある。また初めて、実験的に及びin vivoで、IAV感染に対するプロテアソーム阻害剤の抗ウィルス作用が実証されることもできた。従って、本発明においては、プロテアソーム阻害剤は、同様に、NF−κβ−シグナル伝達経路に影響を及ぼすことが誤りであることが証明されることができた。本発明による結果(実施例参照のこと)は、明らかに、プロテアソーム阻害剤のin vivoで有効な抗ウィルス性の濃度では明白かつ顕著に、NFκβ−経路が影響を及ぼされないことを示す。
【0046】
プロテアソーム阻害剤としては、更に、天然の形態において微生物又は他の天然の供給源から単離されるか、天然の物質からの化学的な修飾により生じるか、又は完全に合成により製造されるか、又は遺伝子療法的方法によりin vivoで合成されるか又は遺伝子技術的な方法によりin vitroで又は微生物中で製造される物質が使用される。これには、次の物質が属する:
a)天然に存在するプロテアソーム抑制剤:
−エポキソマイシン(Epoxomycin)及びエポネマイシン、
−アクラシノマイシンA(アクラルビシンとも呼ばれる)
−ラクタシスチン及びその化学的に修飾された変異体、特に細胞膜透過性変異体「クラストラクタシステインβ−ラクトン」
b)合成により製造されたもの:
−修飾されたペプチドアルデヒド、例えばN−カルボベンゾキシ−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシナール(MG132又はzLLLとも呼ばれる)、そのホウ酸誘導体、MG232;N−カルボベンゾキシ−Leu−Leu−Nva−H(MG115と呼ばれる;N−アセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ノルロイシナール(LLnLと呼ばれる)、N−カルボベンゾキシ−Ile−Glu(OBut)−Ala−Leu−H(PSIとも呼ばれる);
−次のものを有するペプチド、C末端エポキシケトン(エポキソマイシン/Epoxomicin又はエポネマイシン)、ビニルスルホン(例えばカルボベンゾキシ−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシンビニルスルホン又は4−ヒドロキシ−5−ヨード−3−ニトロフェニルアセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシンビニル−スルホン、NLVSとも呼ばれる)、グリオキサール−又はホウ酸−残基(例えばピラジル−CONH(CHPhe)CONH(CHイソブチル)B(OH)2)、「PS−431」とも呼ばれる、又は、ベンゾイル(Bz)−Phe−boroLeu、フェナセチル−Leu−Leu−boroLeu、Cbz−Phe−boroLeu):ピナコールエステル、例えばベンジルオキシカルボニル(Cbz)−Leu−Leu−boroLeu−ピナコール−エステル;
−及び
−特に適した化合物として、C末端のエポキシケトン構造を有するペプチド及びペプチド誘導体が使用され、これには、例えばエポキソマイシン(分子式:C288647)及びエポネマイシン(分子式:C203626)が属する;
−特定の、ジペプチジル−ホウ酸−誘導体、特に、化合物PS−296(8−キノリル−スルホニル−CONH−(CH−ナフチル)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2);化合物303(NH2(CH−ナフチル)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2);化合物PS−321(モルホリン−CONH−(CH−ナフチル)−CONH−(CH−フェニルアラニン)−B(OH)2);PS−334 (CH3−NH−(CH−ナフチル−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2);化合物PS−325(2−キノール−CONH−(CH−ホモ−フェニルアラニン)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2);化合物PS−352(フェニルアラニン−CH2−CH2−CONH−(CH−フェニルアラニン)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2);化合物PS−383(ピリジル−CONH−(CHpF−フェニルアラニン)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2。ここには、Adams et al.(1999)中に既に記載されている全ての化合物が属する。特に適した化合物として、エポキソマイシン及びエポネマイシンの他にペプチジル−ホウ酸−誘導体が明らかとなった。このプロテアソーム阻害剤は、極めて有力であり、極めて特異的に、プロテアソームを遮断し、他の細胞内プロテアーゼは遮断せず、かつ従って、極めて良好に副作用を有しない。
【0047】
プロテアーゼ阻害剤を用いて、本発明により、意外にも次の効果を有する剤が提供される:
−インフルエンザウィルスの複製の遮断により、感染性の子孫ウィルスの産生を損ない、かつ従って、この伝播が損なわれ、生物中でのインフルエンザウィルス感染を妨げる;
−感染性のインフルエンザウィルスの、感染した細胞からの放出を遮断する;
−急性なインフルエンザウィルス感染の伝播を制限する;
−ウィルス血症(Viraemie)を、インフルエンザウィルスでの新規感染でもまた同様に再感染性のRE感染でも抑制し、かつ、ウィルス除去の成功率を、類似の又は他の作用を有する固有の免疫系及び/又は公知の剤により高める。
【0048】
本発明の特徴部は、特許請求の範囲の要素及び発明の詳細な説明から明らかであり、その際、個々のまた同様に複数の特徴部は、組み合わせの形態で有利な実施態様を提示し、この実施態様については本刊行物でもって保護される。本発明はまた、公知及び新規の要素、一方ではプロテアソーム阻害剤及びUb−リガーゼ、並びに他方ではUb−ヒドロラーゼの組み合わせた使用にもある。
【0049】
本発明により、プロテアソーム阻害剤が、次の場合に使用される;
−ヒト及び動物の、インフルエンザウィルス及び類似のネガティブ鎖RNAウィルスにより引き起こされる、流行性感冒感染及び類似の疾患の治療の際に、
−ユビキチン/プロテアソーム経路に影響を及ぼすか、阻害するか又は制御するための剤として、
−完全な26Sプロテアソーム複合体及びその遊離の、調節性のサブユニットとアセンブリー化していない20Sの触媒活性のあるプロテアソーム構造の酵素活性に影響を及ぼすための剤として、かつ、イムノプロテアーゼの選択的な阻害のために。
本発明により使用される、UPSの阻害剤は更に以下にの用途に使用される;
−疾病発生を妨げるため、及び、既に感染したヒトの生物中での、感染の伝播の減少のため
−感染性の生物学的な試料、感染したヒト又はその近傍との直接的な接触後の、全身的なインフルエンザウィルスの確立の予防のため。
【0050】
本発明により使用されるUPSの阻害剤は、全身的にまた同様に局所的に、有利には空気により投与されることができる。本発明により使用される、プロテアソーム阻害剤の有効物質は、少なくとも1種の更なる抗ウィルス作用物質と一緒に、インフルエンザウィルス感染の予防及び/又は治療のために使用されることができる。
【0051】
本発明は、実施例をもとにより詳細に説明されるが、この際この実施例に限定されるべきでない。
【0052】
実施例
実施例1:プロテアソーム阻害剤は、マウスのエアロゾル処理後に毒性のある副作用を示さない
プロテアソーム阻害剤が、エアロゾルとしてのマウスのための適用後に毒性であるかを試験するために、6匹のマウスを毎日3回5日間、500nMのプロテアソーム阻害剤で処置する:このために、2mlのプロテアソーム阻害剤(500nM)を、噴霧装置(PARI(R))を用いて噴霧した。この処理期間は、そのつど10分間であった。この処理を、9:00、12:00及び15:00時に行った。対照として、プロテアソーム阻害剤の溶媒(DMSO/H2O)で処理されている6匹のマウスを用いた。体温の測定及び身体の活動性のために、このマウスにMini−Senderを埋め込んだ。マウスがいるカゴは受信プレートの上にある。この受信器は、シグナルをコンピューターに導き、このコンピューターは特殊なソフトウェアを用いてこのデータを評価する。
【0053】
Senderの埋め込みの後に、マウスの健康状態を5日間観察し、この後に、更なる5日間プロテアソーム阻害剤を用いた処理を行った。この処理の間には、体温(図1A)及び身体の活動性(図1B)は、プロテアソーム阻害剤で処理したマウスと溶媒で処理したマウスの間で、差を確認することができなかった。この図は、例示的に、この処理の5日目の試験値を示す。この試験は、500nMの濃度のプロテアソーム阻害剤及び5日間の処理時間で処理したマウスは、顕著な毒性作用を示さないことを示す。従って、前述の濃度のプロテアソーム阻害剤は、マウスモデル中でのインフルエンザウィルスに対する抗ウィルス活性のための試験に適している。
【0054】
実施例2:プロテアソーム阻害剤は、効率的に、濃度依存性にインフルエンザウィルス増殖を阻害し、かつ、抗ウィルス性に作用する濃度において、観察期間中に、宿主細胞に対して顕著に毒性でない
プロテアソームの阻害剤が、インフルエンザウィルスの増殖に対して負の作用を有するかどうかを試験するために、ヒトのA549−肺上皮腫瘍細胞(図2A、B)又はMadine Darby Canine Kidney(MDCKII)イヌ(Hundenieren)上皮細胞(図2C)を、プロテアソーム阻害剤を用いて記載された濃度で、1時間前インキュベーションし、次いで、トリインフルエンザウィルス株A/FPV/ブラスチラヴァ/79(H7N7)で感染させた(感染の多重度(MOI)=0.01)。比較として、未処理の、感染細胞又は溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)で処理した細胞を用いた。物質PS341(10nM及び100nM)、PS273(10nM及び100nM)、ラクタシステイン(1μM及び10μM)並びにエポキソマイシン(10nM、100nM及び1μM)を使用した。感染の開始後、そのつど8時間及び24時間(図2A)又は8時間、24時間及び36時間(図2B、C)に、このウィルス含有媒体上清を回収し、そしてこのウィルス力価をプラークアッセイ中でMDCKII細胞に対して測定した。
【0055】
この結果は、プロテアソームの全ての阻害剤は、この攻撃的なインフルエンザウィルスA/FPV/ブラスチラヴァ/79の複製を効率的にかつ濃度依存性に阻害することを示す。
【0056】
抗ウィルス作用が非直接的に、プロテアソーム阻害剤の細胞毒性効果により作動されるかどうかの問いを明らかにするために、MDCKII細胞(細胞数2×106)を、抗ウィルス性に作用する濃度の、最も効果的のある抗ウィルス作用のあるプロテアソーム阻害剤PS341、ラクタシステイン及びエポキソマイシンで処理した。対照として、強力に細胞毒性のあるアポトーシス誘導性の物質スタウロスポリン(0.3μM)を使用した。16時間及び24時間後に、付着性の、また同様に既に剥離した、死細胞を回収し、PBSで洗浄し、50μg/mlのプロピジウムヨージド(PI)で処理した。PIは、死細胞のDNA鎖中にインターカレーションする。この分析は、フローサイトメトリー(Becton Dickinson FACScan)を用いて行った。図3(A、B及びC)中にはそのつど、死細胞のパーセンテージが、未処理の対照と比較して示されている。
【0057】
プロテアソーム阻害剤が、抗ウィルス性に作用する濃度において、24時間の観察時間に、顕著な毒性作用を有しないことが示された。従って、図1中に示された、プロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性作用は、細胞に対する毒性の作用に基づくことを結論できる。
【0058】
実施例3:プロテアソーム阻害剤は、NFκβに依存しない機構でインフルエンザウィルスに対して抗ウィルス性に作用する
プロテアソーム阻害剤の抗ウィルス作用が、NFκβ−シグナル経路の抑制のためであるかどうかを試験するために、NFκβによるTNFα−誘導された活性化を、阻害性に作用するタンパク質Iκβα(κβの阻害剤)の分解に基づき、ウェスタンブロット中で、プロテアソーム阻害剤の存在及び非存在において分析した。このために、A549細胞(2×106)又はHEK293細胞(4×106)を、様々な濃度のプロテアソーム阻害剤を用いて1時間、前インキュベーションした。この後で、Iκβαの分解を誘導するために、この細胞を15分間、20mg/mlのTNFαで処理した。この細胞を引き続き、1×PBSで洗浄及び溶解した。このタンパク質濃度を、Bradford Proteinassay (Biorad)を用いて測定し、かつ、相互に比較した。このタンパク質をSDSゲル電気泳動を用いて分離し、かつ、ニトロセルロース膜上に移した。このIκβα分解を、Iκβα−特異的な抗血清(Santa Cruz Biotechnologies)及びMerrettichペルオキシダーゼに連結した二次剤(Amersham)を用いて、電気化学的ルミネッセンス反応(ECL, Amersham)を用いて可視可能にした。
【0059】
意外にも、このそのつどのプロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性に作用する濃度は、効果的に、IκβαのTNFαにより誘導された分解を阻害すること、そして従って、このNF−κβ活性化を抑制することができなかった。従って、例えばPS341(100nM)は、Iκβα−崩壊を、A549細胞中又はHEK293細胞中で抑制することはできない(図4B及びD)。にもかかわらず、PS341の同濃度は、感染したA549細胞中で、ウィルス力価(2対数段階を介して、8時間後、図2A参照)の減少を生じた。同様に、ラクタシステイン(1μM)は、ウィルス力価の減少を生じ(図2A)、これはしかしながら、Iκβα−分解を阻害するために十分に効果的でない(図4B及びD)。
【0060】
これは、プロテアソーム阻害剤が、NFκβの抑制を介した機構以外の機構を介して抗ウィルス性に作用することを一義的に裏付ける。
【0061】
実施例4:プロテアソームの薬理学的な阻害剤、MG132は、インフルエンザウィルス誘導された、アポトーシス促進性の遺伝子の発現に干渉し、かつ、このインフルエンザウィルス増殖をin vitro及びin vivoで効率的に阻害する
プロテアソーム阻害剤MG132が、インフルエンザウィルスの増殖に対して負の作用を有するかどうかを試験するために、ヒトの肺の上皮細胞系列A549を、高度に病原性のトリインフルエンザAウィルスA/FPV/ブラスチラヴァ/79(感染の多重度=1)を用いて、様々な濃度のプロテアソーム阻害剤MG132(1、5、10μM)の存在又は非存在下で感染させた。阻害剤の存在下の場合には、この細胞は物質での感染前に30分間前インキュベーションした。感染24時間後に、この細胞の上清を、感染性の子孫ウィルスの含量に関してプラークアッセイ中で試験した。結果においては、MG132の存在において、濃度依存性の、ウィルス力価の10倍までの減少が、示された(図5)。
【0062】
ウィルス力価の減少が、アポトーシス促進性のリガンドTRAIL、及びFasL/CD95Lの減少した発現を伴うかどうかを試験するために、A549肺上皮細胞系列を、記載したとおり、トリインフルエンザAウィルスA/FPV/ブラスチラヴァ/79(感染の多重度=1)を用いて、プロテアソーム阻害剤MG132(10μM)の存在又は非存在下で感染させた。感染の約24時間後に、この細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、かつ、TRAIL及びFasL/CD95Lに対する特異的な抗体でインキュベーションした。蛍光色素での抗体のカップリング後に、この発現を、フローサイトメトリー分析(FACS)にかけ、アポトーシス促進性の因子の発現を測定した。結果においては、FACSプロファイルが、顕著に減少した、ウィルスにより誘導された、FasL及びTRAILの発現を、MG132の存在下で示す(図6)。
【0063】
マウス中でのin vivo感染モデル中でのMG132の抗ウィルス活性を試験するために、C57B1/6マウス(10週齢、Eigenzucht BFAV Tuebingen)を、104の、マウス適合化された高度に病原性のトリウィルスインフルエンザAウィルスA/FPV/ブラスチラヴァ/79の感染単位で経鼻感染させ、かつ、未処置のままにするか(n=14)又は隔離カゴ中で5日間毎日2mlの噴霧化された、1mMのMG132のエアロゾルで処理した(n=8)。この処理は、毎日1回行い、1日目の感染の1時間前に開始した。このマウスの生存率を測定した。
【0064】
結果においては、感染されかつMG132処理されたマウスの、全体として顕著に高められた生存率が、処理されていない対照動物と比較して示される(図7)。
【0065】
実施例5:材料及び方法
プロテアソーム阻害剤でのマウスの処理:マウスの処理を、吸入系において行った。このために6匹のマウスを吸入管中で処理した。この6つの管は、全体の容積8.1×10-43を有する中心の円柱と連結して立っている。PARI(R) ネブライザー(エアロゾルネブライザー、Nr. 73-1963のタイプ)を、この中心の円柱に接続した。プロテアソーム阻害剤又は溶媒を、1.5バールで10分間(約2ml)、このチャンバー中に噴霧した。BALB/cマウスを毎日3回、9:00、12:00及び3:00に、5日間処理した。このマウスの一般的な健康状態を毎日2回コントロールし、かつ、この動物を1日1回体重を量った。
【0066】
マウスモニタリング:マウスの体温及び身体的な活動性のモニタリングを、Vital View(R) Software及び、ハードウェア系(Mini Mitter U.S.A.)を用いて実施した。この系は、マウスの生理学的なパラメーターを生じさせることを可能にする。このハードウェアは、トランスミッター(E-Mitter)/レシーバー系から構成されている。このE-Mitterは、この動物の体温及び身体的な活動性のデータを収集する。このデータは、5分置きに捕捉され、かつPCに転送される。ここでは、Vital View Softwareを用いたデータの評価が行われる。
【0067】
E-Mitterの埋め込みのために、このマウスは、150μlのケタミンロンパンの腹腔内(intraperentoneal)注射により麻酔処理される。マウスの腹部をカミソリで切開し、白線に沿った約1.5cmの大きさの切開を腹の開口のために行った。この後で、E-Mitterを、腹室中に配置し、傷クリップでこの開口部を閉鎖した(autoclip、9mm、Becton & Dickinson, Germany)。この動物をカゴ中に戻し、この成功した埋め込みを、Vital View Softwareを用いてコントロールした。
【0068】
細胞のウィルスによる感染:細胞を洗浄し、かつ、感染−PBS(次のものを有するPBS、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、1%のCa2+/Mg2+、0.6%のウシアルブミン35%)中で希釈したウィルス溶液中に添加した。この細胞を、記載した量のウィルスを用いて30分間37℃で、培養器中でインキュベーションし、引き続き再度洗浄し、細胞に結合していないウィルス粒子を取り除いた。
【0069】
この吸収相の後に、この細胞を、感染−媒体で覆った(1%のペニシリン/ストレプトマイシン及び1%のCa2+/Mg2+を有するMEM)。この細胞を培養器中で37℃に、この細胞収集又は上清中のこの子孫ウィルスの測定まで維持した。
【0070】
感染性の子孫ウィルスの測定のためのプラークアッセイ:ウィルス溶液中の感染性の粒子の数を測定するために、MDCKII細胞に対するプラークアッセイを実施した。細胞の感染を、それぞれ500μlの対数的に感染−PBS中で希釈された、ウィルス溶液の系列を用いて行った。培養器中での30分間の37℃でのウィルス溶液を用いたインキュベーションを行い、この後で、このウィルス溶液を取り除き、かつ、この細胞を、媒体及び寒天(27mlのddH2O、5mlの10×MEM、0.5mlのペニシリン/ストレプトマイシン、1.4mlの重炭酸ナトリウム、0.5mlの1%DEAEデキストラン、0.3mlのウシアルブミン、15mlの3%Oxoid Agar、500μlのCa2+/Mg2+)からなる混合物で覆った。この細胞を、この媒体−寒天混合物の凝固まで、室温に維持し、この後で、2〜3日間37℃で、培養器中で、溶解細胞の可視可能なプラークが形成されるまでインキュベーションした。このプラークを1mlのニュートラルレッド−PBS−溶液中で、更なる1〜2時間、培養器中で、このプラークが可視可能になるまで染色した。
【0071】
プロピジウムヨージドを用いた細胞染色:物質、プロピジウムヨージドは、死細胞の細胞膜を通じて入り込み、かつ、細胞核中のDNA中にインターカレーションする。この壊死する細胞及び死んだ細胞の数は、従って、フローサイトメーター中でのその蛍光に基づき測定される。MDCK−細胞(2×106)を、プロテアソーム阻害剤の示された濃度で処理した。毒性−対照として、MDCK細胞を、アポトーシスを作動させる物質スタウロスポリン(0.3μM)を用いて処理した。16時間又は24時間後に、この付着性の細胞並びに上清からの細胞を回収し、50μg/mlのプロピジウムヨージドで染色した。この分析を、フローサイトメトリーを用いて行った(BD FACScan)。
【0072】
SDSゲル電気泳動及びウェスタンブロット:溶解すべき細胞をまず、PBSで洗浄し、引き続き6ウェルプレートの1ウェルに対して、RIPA溶解緩衝液200μl(25mM Tirs、pH8、137mM NaCl、10%グリセロール、0.1%SDS、0.5%ナトリウムデオキシコラート DOC、1% NP40、2mM EDTA、pH8、新規にここに添加:ペファブロック(Pefablock)1:1000、アプロチニン(Aprotinin)1:1000、ロイペプチン(Leupeptin)1:1000、バナジン酸ナトリウム1:100、ベンズアミジン1:200)を供給した。この細胞を、振盪下で4℃で30分間溶解し、細胞破片をタンパク質から分離するために、引き続き14000rpmで10分間4℃で卓上遠心機中で遠心分離した。このライセート中のタンパク質濃度を、Bioradタンパク質染色溶液 (Biorad)を用いて測定し、かつ、同じタンパク質濃度に調節した。この後で、この試料に5×試料緩衝液(10%SDS、50%グリセロール、25%β−メルカプトエタノール、0.01%ブロモフェノールブルー、312mM Tris)を供給した。試料緩衝液中のこのβ−メルカプトエタノールは、ジスルフィド架橋の減少により付加的に、タンパク質の変性を配慮する。この負に荷電したタンパク質は電場中で正の電極へと進行し、その際より大きなタンパク質がより強力にゲル中にとどまらせられる。この電気泳動ゲルは、5%の収集ゲル(0.49ml Rotiphoreseゲル30、3.25ml スタッキング緩衝液(0.14M Tris、pH6.8、0.11% Temed、0.11% SDS)、45μl 10% 過硫酸アンモニウム)(この中でタンパク質が濃縮される)、かつ、10%の分離ゲル(3.375ml Rotiphoreseゲル30、2.5ml 泳動緩衝液(1.5M Tris pH9、0.4% Temed、0.4% SDS)、4.025ml Aqua bidest、200μl 10% ペルオキソ二硫酸アンモニウム)(この中で、タンパク質は、分子量に応じて分離される)からなる。
【0073】
このゲルを、2つの、注入スタンドにはめ込まれた、スペーサーにより隔てられたガラスプレート中に注入し、その際この分離ゲルを最初に注入する。これらを、完全な重合のためにイソプロパノールで覆い、引き続きAqua bidestで洗浄した。分離ゲル上に回収ゲルを注入し、試料コームを気泡無しにはめ込む。重合後に、この試料コームを取り出し、このゲルを電気泳動チャンバー中にはめ込み、これは1×SDS−PAGE緩衝液(5mM Tris、50mM、グリシン、0.02%SDS)で充填されている。変性されたタンパク質及びマーカーをこのギャップ中に充填する。このゲル泳動を、25〜40mAの一定電流で行った。
【0074】
この後で、このタンパク質を電場を用いて、このゲルから、ニトロース膜上に移した。ニトロース膜上で固定されたタンパク質は、特異的な抗体を介して検出されることができる。これらは、酵素にカップリングした二次抗体により認識され、これに基づきタンパク質は、化学発光反応により可視可能になることができる。この際、この基質であるルミノールを、この二次抗体に結合したMeerrettichペルオキシダーゼにより酸化し、これにより、このルミノールは励起された状態に移行し、かつ、光を放出し、これは、励起された状態に移行し、かつ、光を放出し、これはレントゲン膜上で可視可能にされることができる。
【0075】
分離されたタンパク質を有するSDSゲルを、注入装置から取り出し、かつ、2つのブロッティング緩衝液(3.9mM グリシン、4.8mM Tris、0.0037% SDS、10% メタノール)に浸したワットマン紙上に横たえる。この同様にブロッティング緩衝液に浸したニトロセルロース膜を、ブロッティング緩衝液で満たされた湿式ブロットチャンバー(BioRad)中にはめ込む前に、気泡無しにゲル上に置く。このタンパク質を、一定の電流400nAで50分間のうちにニトロセルロース膜上に移す。この際、このタンパク質は、カソードからアノードへと移動する。
【0076】
ブロッティング工程後に、非特異的な結合部位を、5%の粉ミルクで、1×TBST(50μM Tris、0.9% NaCl、0.05% Tween 20、pH7.6)中で、少なくとも45分間、室温で、振盪下で、膜に対するこの抗体の非特異的な結合を妨げるべくブロッキング化した。引き続き、この膜を一次抗体(ここでは、抗Iκβα、希釈1:1000、Santa Cruz Biotechnologies)を用いて、振盪下で、4℃で、一晩インキュベーションした。この膜を3回、そのつど10分間1×TBSTで、この抗体の結合していない残分を除去するために洗浄した。この後で、この膜を1〜2時間二次抗体中で室温で振盪する。
【0077】
1×TBSTを用いた新たな3回の洗浄後にこの膜を、化学発光基質(250mMルミノール、90mMクマル酸(Curmarsaeure)、1MTris/HCl、pH8.5、35% H22)の添加により、この中に含有される基質ルミノールを、この二次抗体に結合したペルオキシダーゼにより、光放出下で反応させることにより、増感化学発光(ECL=enhanced chemoluminescence)の状態にもたらした。この膜を1分間、この基質でインキュベーションし、引き続き乾燥させ、次いで、レントゲン膜カセット中に配置し、この中では、増感化学発光が、レントゲン膜に対して可視可能になっている。
【0078】
フローサイトメトリー分析:TRAIL及びFasL発現を、カップリングされた抗体を用いた細胞内蛍光染色を用いて、検出した。A549細胞を、ウィルス株A/FPV/ブラスチラヴァ/79(H7N7)(MOI=5)を用いて8時間、2μMのモネンシンの存在下で、タンパク質分泌を妨げるべく感染させた。この細胞を、従って、4%のパラホルムアルデヒドを用いて4℃で20分間固定し、かつこの後で、透過化緩衝液(0.1%サポニン/1%FBS/PBS)を用いて洗浄した。この後で、TRAIL、FasL又はアイソタイプ対照に対する一次抗体を用いたインキュベーションを行った(Becton Dickinsonの抗体)。引き続き、この細胞をビオチン−Spコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(Dianova)及びストレプトアビジン−Cy−クロム(Becton Dickinson)を用いて染色した。この蛍光を、FACScaliburのフローサイトメーター(Becton Dickinson)のFL3チャネル中で測定した。
【0079】
マウスの感染及び処理:10週齢のC57B1/6マウス(Eigenzucht, FLI, Tuebingen)を、感染及び処理のために使用した。1mM MG132(Sigma)の約2mlの希釈を用いた処理を毎日1回、カゴ吸入中でのエアロゾル投与を用いて行い、ウィルス株A/FPV/ブラスチラヴァ/79(H7N7)の5×103〜104 プラーク形成性の感染単位(pfu)を用いた経鼻感染の1時間前に開始した。MG132溶液の吸入を、Maus Minivent Systems(Hugo Sachs Elektronik Harvard Apparate)を用いて行い、これは、ネブライザー(Hugo Sachs ElektronikHarvard Apparate)と連結している。
【0080】
図の説明
図1:プロテアソーム阻害剤を用いたBalb/cマウスのエアロゾル処理
毎日3回プロテアソーム阻害剤(赤)又は溶媒(黒)のいずれかで処理されたマウスの、温度(A)及び活性(B)の経過。この図は、6匹の動物の測定値の平均値を示す。全体としては、1日あたり288の測定値(5分間毎)を書き記す。
【0081】
図2:プロテアソーム阻害剤は、インフルエンザウィルスの複製を効率的に阻害する
A549細胞(2×106)(A、B)又はMDCK細胞(4×106)(C)を1時間の間、示された濃度のそれぞれのプロテアソーム阻害剤を用いて前インキュベーションした。この前インキュベーション後に、この細胞をトリインフルエンザウィルスA/FPV/ブラスチラヴァ/79(H7N7)で感染させた(感染の多重度、MOI=0.01)。8、24又は36時間後に、この媒体の上清を回収し、このウィルス力価を、MDCK細胞に対するプラークアッセイを用いて測定した。
【0082】
図3:プロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性に作用する濃度は、24時間までの観察された時間範囲では、MDCK細胞にとって毒性でない
(A、B、C)MDCK細胞(2×106)を、示された濃度のプロテアソーム阻害剤で処理した。毒性−対照として、MDCK細胞を、アポトーシス作動性の物質スタウロスポリン(0.3μM)を用いて処理した(図中の黒い棒線)。16時間又は24時間後に、付着性の細胞並びに上清からの細胞を回収し、50μg/mlのプロピジウムヨージドを用いて染色した。この分析を、フローサイトメトリー(BD FACScan)を用いて行った。この図面は、未処理の対照に比較した生細胞のパーセンテージを示す。
【0083】
図4:プロテアソーム阻害剤は、TNFα−誘導されたIκβα分解を抗ウィルス性に作用する濃度において抑制することができない
A549細胞(2×106)(A、B)又はHEK293細胞(4×106)(C、D)を1時間、示された濃度のプロテアソーム阻害剤で前インキュベーションした。前インキュベーション後に、この細胞を15分間20ng/mlの組み換えTNFαで刺激しかつ溶解した。この溶解物をSDSゲル電気泳動を用いて分離し、かつ、ニトロセルロース膜上に移した。Iκβα分解を、Iκβα−特異的なイエウサギ血清(Santa Cruz Biotechnologies)を用いて検出した。
【0084】
図5:MG132は、インフルエンザウィルス増殖を阻害する
A549細胞を、FPV(MOI=1)を用いて、MG132(10μM)の存在下で感染させた。感染24時間後に、この上清を回収し、この子孫ウィルスの力価をプラークアッセイを用いて決定した。
【0085】
図6:MG132は、TRAIL及びFasLによるウィルス誘発された誘導を阻害する
A549を、FPV(MOI=1)を用いて感染させ、そして、MG132(10μM)を用いて培地中でインキュベーションする。感染24時間後に、この細胞を4%のパラホルムアルデヒドを用いて固定し、かつ、この抗TRAIL及び抗CD95Lを染色した。
【0086】
図7:感染されたマウス中でのMG132の抗ウィルス性の作用
C57Bl/6マウスをFPV感染し、(104 pfu、経鼻)、MG132(n=8)(実線)でカゴ吸入(Kaefiginhalation)により処理するか、又は、処理しなかった(n=14)(点線)。カゴ処理のためには、この動物を、2mlの1mM MG132(Sigma)のエアロゾルを用いて5日間処理した。この処理を毎日実施し、かつ、5のための初期の感染の1時間前に開始した。対照のためには、この動物の体重を毎日測定した。FPVで感染したMG132処理及び未処理のマウスの生存曲線が示される。
【0087】
略称リスト
DNA デオキシリボ核酸(desoxyribonucleic acid)
kDa キロダルトン(分子量のための尺度)
Ki 阻害定数
LC ラクタシスチン
MDa メガダルトン
MHC 主要組織適合遺伝子複合体
NLVS プロテアソーム阻害剤 z−ロイシニル−ロイシニル−ロイシニル−ビニルスルホン(NLVS)
PGPH ポストグルタミル−ペプチド加水分解性
PI プロテアソーム阻害剤
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RNA リボ核酸(ribonucleic acid)
RSV ラウス肉腫ウィルス
RT 逆転写酵素
Ub ユビキチン
UPS ユビキチン/プロテアソーム−系
Vero細胞 ヒトの永久的に形質転換した、VEROの細胞系列
Vpr HIVタンパク質Vpr
zLLL トリペプチジルアルデヒド N−カルボベンゾキシル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシナール
【表1】

【表2】

【表3】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、プロテアソーム阻害剤を用いたBalb/cマウスのエアロゾル処理後の、温度(A)又は活動性(B)の経過を示す図である。
【図2】図2は、プロテアソーム阻害剤は、インフルエンザウィルスの複製を効率的に阻害することを示す図である。
【図3A】図3Aは、MDCK細胞プロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性に作用する濃度は、24時間までの観察された時間範囲では、MDCK細胞にとって毒性でないことを示す図である。
【図3B】図3Bは、MDCK細胞プロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性に作用する濃度は、24時間までの観察された時間範囲では、MDCK細胞にとって毒性でないことを示す図である。
【図3C】図3Cは、MDCK細胞プロテアソーム阻害剤の抗ウィルス性に作用する濃度は、24時間までの観察された時間範囲では、MDCK細胞にとって毒性でないことを示す図である。
【図4A】図4Aは、A549細胞を用いて、プロテアソーム阻害剤は、TNFα−誘導されたIκβα分解を抗ウィルス性に作用する濃度において抑制することができないことを示す図である。
【図4B】図4Bは、A549細胞を用いて、プロテアソーム阻害剤は、TNFα−誘導されたIκβα分解を抗ウィルス性に作用する濃度において抑制することができないことを示す図である。
【図4C】図4Cは、HEK293細胞を用いて、プロテアソーム阻害剤は、TNFα−誘導されたIκβα分解を抗ウィルス性に作用する濃度において抑制することができないことを示す図である。
【図4D】図4Dは、HEK293細胞を用いて、プロテアソーム阻害剤は、TNFα−誘導されたIκβα分解を抗ウィルス性に作用する濃度において抑制することができないことを示す図である。
【図5】図5は、MG132は、インフルエンザウィルス増殖を阻害することを示す図である。
【図6】図6は、MG132は、TRAIL及びFasLによるウィルス誘発された誘導を阻害することを示す図である。
【図7】図7は、感染されたマウス中でのMG132の抗ウィルス性の作用を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルソミクソウィルスでの感染のための治療のための剤であって、前記剤が有効成分としてプロテアソーム阻害剤少なくとも1種及び/又はユビキチン−プロテアソーム経路(UPS)の阻害剤少なくとも1種を医薬調製物中に含有することを特徴とする、オルソミクソウィルスでの感染のための治療のための剤。
【請求項2】
UPS阻害剤として、プロテアソーム及び/又はユビキチン−リガーゼ及び/又はユビキチン−ヒドラーゼの阻害剤を含有することを特徴とする、請求項1記載の剤。
【請求項3】
宿主細胞の26Sプロテアソームに対して高い特異性を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の剤。
【請求項4】
26Sプロテアソームのβ−サブユニットの触媒活性のあるヒドロキシル−トレオニン−基のみと相互作用し、かつ、前記プロテアソームのみを特異的に遮断することを特徴とする、請求項1又は2記載の剤。
【請求項5】
細胞取り込み後に、26Sプロテアソームの個々の酵素活性を選択的に遮断し、かつ、更に、前記プロテアソームの特定のアセンブリー化形態を選択的に阻害し、有利にはイムノプロテアソームを阻害することを特徴とする、請求項1又は2記載の剤。
【請求項6】
ユビキチン−コンジュゲートする及び/又はユビキチン−加水分解する酵素の活性を阻害することを特徴とする、請求項1又は2記載の剤。
【請求項7】
抗ウィルス剤及び/又は抗ウィルス作用を有する医薬調製物の製造のための請求項1から6までのいずれか1項記載の剤の使用であって、前記剤が、
a)インフルエンザウィルスに感染した細胞中でアポトーシスを誘導し、従って、生物中での感染した細胞の有利な死を生じる、及び
b)感染性のウィルス粒子の放出及び産生を、インフルエンザウィルスのアセンブリー化及び成熟を抑制することにより妨害する、
抗ウィルス剤及び/又は抗ウィルス作用を有する医薬調製物の製造のための請求項1から6までのいずれか1項記載の剤の使用。
【請求項8】
インフルエンザウィルスでの感染の治療のための請求項1から6までのいずれか1項記載の剤の使用。
【請求項9】
9.1 ウィルス感染を治療する
9.2 目的細胞中で、ユビキチン/プロテアソーム−経路へ影響を及ぼすかこの経路を阻害、調節又は遮断する、
9.3 生物中でウィルス感染の伝播を妨げる、
9.4 インフルエンザウィルスの放出、成熟及び複製を阻害する、
9.5 インフルエンザウィルス−感染した細胞のアポトーシスを誘導する、
ための請求項7又は8記載の使用。
【請求項10】
インフルエンザウィルスの放出、成熟及び複製が阻害されることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
流行性感冒及び類似の疾病、特に汎流行性及び地方病性のインフルエンザ発生をヒト及び動物で撲滅/治療するための、請求項7から9までのいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
他の既に公知の抗ウィルス医薬品、例えばリパバリン、インターロイキン、ヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、ウィルスキナーゼの抑制剤、膜融合及びウィルス侵入の抑制剤、特にインフルエンザウィルスの成分、例えばIAVのノイラミニダーゼ又はM2イオンチャネルタンパク質の抑制剤と組み合わせた、請求項11記載の使用。
【請求項13】
インフルエンザウィルスで急に感染したヒト及び動物の、疾病の発生の妨げのための及び生物中での感染の伝播を減少するための、請求項11及び12記載の使用。
【請求項14】
特定の標的細胞中でのユビキチン/プロテアーゼ経路の遮断のための請求項7から13までのいずれか1項記載の使用であって、その際、標的細胞は、インフルエンザウィルスにより攻撃された宿主細胞である、請求項7から13までのいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
細胞機構:細胞分裂、細胞サイクル、細胞分化、細胞死(アポトーシス)、細胞活性化、シグナルトランスダクション又は抗原プロセッシング、特にNF−KB活性化において目的細胞に影響を及ぼすための請求項7から14までのいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
有効成分としてプロテアソーム阻害剤少なくとも1種及び/又はユビキチン−リガーゼ及び/又はユビキチン−ヒドロラーゼ阻害剤少なくとも1種を医薬調製物中に含有することを特徴とする、インフルエンザウィルスの放出、成熟及び複製の抑制のための剤の製造のための請求項7記載の使用。
【請求項17】
流行性感冒感染の治療のための請求項16記載の使用であって、プロテアソーム阻害剤として、高級真核生物の細胞によりプロテアソーム阻害剤として取り込まれ、かつ、細胞取り込み後にプロテアソームの触媒性サブユニットと相互作用し、かつ、この際、全ての又は個々の、前記プロテアソームのタンパク質分解活性−トリプシン−、キモトリプシン−及びポストグルタミル−ペプチドを加水分解する活性−を、26S又は20Sのプロテアソーム複合体内で不可逆的に又は可逆的に遮断する物質が使用されることを特徴とする、流行性感冒感染の治療のための請求項16記載の使用。
【請求項18】
医薬調製物が、プロテアソーム阻害剤の他に、細胞のユビキチン系に影響を及ぼすか、制御するか又は抑制する他の剤も含有し、前記剤が、例えば、
18.1 ユビキチン−コンジュゲートする酵素及び/又は
18.2 ユビキチン−加水分解する酵素
18.3 ユビキチンと相互作用する細胞因子
18.4 ユビキチンと、
18.4.1 モノ−ユビキチン又は
18.4.2 ポリ−ユビキチン
として相互作用する細胞因子
の活性に影響を及ぼすか、制御するか又は抑制することを特徴とする、請求項16又は17記載の使用。
【請求項19】
プロテアソーム阻害剤として、様々な形態でin vivoで経口で細胞特異性を有する変更有り又は無しでカプセル化された形態で、静脈内、筋肉内、皮下に、吸入により、エアロゾル形態で、又は他の方法で投与され、特定の適用−及び用量規定の適用のために少ない細胞毒性を有し、副作用を全く又はほとんど引き起こさず、比較的高い代謝半減時間及び比較的少ないクリアランス速度を生物中で有する物質が使用されることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項記載の使用。
【請求項20】
プロテアソーム阻害剤として、
a)天然の形態で微生物又は他の天然源から単離されたか、又は
b)天然物質から化学的修飾により生じる、
c)完全に合成により製造される
d)遺伝子治療的方法によりin vivoで合成される
e)遺伝子技術方法によりin vitroで又は
f)微生物中で製造される、
物質が使用されることを特徴とする、請求項16から19までのいずれか1項記載の使用。
【請求項21】
以下の物質クラス:
a)天然に存在するプロテアソーム抑制剤:
−C末端エポキシケトン構造を含有するペプチド誘導体
−β−ラクトン誘導体
−アクラシノマイシンA(アクラルビシンとも呼ばれる)
−ラクタシスチン及びその化学的に修飾された変異体、例えば細胞膜透過性変異体「クラストラクタシステインβ−ラクトン」
b)合成により製造されたプロテアソーム抑制剤:
−修飾されたペプチドアルデヒド、例えばN−カルボベンゾキシ−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシナール(MG132又はzLLLとも呼ばれる)、そのホウ酸誘導体、MG232;N−カルボベンゾキシ−Leu−Leu−Nva−H(MG115と呼ばれる;N−アセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ノルロイシナール(LLnLと呼ばれる)、N−カルボベンゾキシ−Ile−Glu(OBut)−Ala−カルボベンゾキシ−Ile−Glu(OBut)−Ala−Leu−H(PSIとも呼ばれる);
c)次のものを有するペプチド、C末端にα,β−エポキシケトン構造、更にビニルスルホン、例えば
c1)カルボベンゾキシ−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシン−ビニルスルホン又は
c2)4−ヒドロキシ−5−ヨード−3−ニトロフェニルアセチル−L−ロイシニル−L−ロイシニル−L−ロイシン−ビニル−スルホン(NLVS)
d)グリオキサール−又はホウ酸残基、例えば
d1)ピラジル−CONH(CHPhe)CONH(CHイソブチル)B(OH)2)並びに
d2)ジペプチジル−ホウ酸−誘導体
又は
e)ピナコールエステル、例えばベンジルオキシカルボニル(Cbz)−Leu−Leu−boroLeu−ピナコール−エステル
に属する物質がプロテアソーム抑制剤として使用されることを特徴とする、請求項16から20までのいずれか1項記載の使用。
【請求項22】
特に適したプロテアソーム阻害剤として、エポキシケトン
22.1 エポキソマイシン(Epoxomycin、分子式:C288647)及び/又は
22.2 エポネマイシン(Eponemycin、分子式:C203625
が使用されることを特徴とする、請求項16から21までのいずれか1項記載の使用。
【請求項23】
特に適したプロテアソーム抑制剤としてPS系列から次の化合物、
23.1 PS−519、β−ラクトン−並びにラクタシステイン誘導体として、化合物1R−[1S,4R,5S]]−1−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−4−プロピル−6−オキサ−2−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3,7−ジオン−分子式C1219NO4
23.2 PS−303(NH2(CH−ナフチル)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2)及び/又は
23.3 PS−321(モルホリン−CONH−(CH−ナフチル)−CONH−(CH−フェニルアラニン)−B(OH)2);−及び/又は
23.4 PS−334(CH3−NH−(CH−ナフチル−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2)及び/又は
23.5 化合物PS−325(2−キノール−CONH−(CH−homo−フェニルアラニン)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2)及び/又は
23.6 PS−352(フェニルアラニン−CH2−CH2−CONH−(CHフェニルアラニン)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2)及び/又は
23.7 PS−383(ピリジル−CONH−(CHpF−フェニルアラニン)−CONH−(CH−イソブチル)−B(OH)2))
23.8が使用されることを特徴とする、請求項11から17までのいずれか1項記載の使用。
【請求項24】
完全な26Sプロテアソーム複合体及び遊離の、調節性のサブユニットとアセンブリー化していない20S触媒活性プロテアソーム構造の酵素活性に影響を及ぼすための剤としての、請求項16記載の使用。
【請求項25】
全身的にまた同様に局所的に、有利には空気による、UPS抑制剤の投与のための、請求項7から24までのいずれか1項記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−526824(P2009−526824A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554782(P2008−554782)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051510
【国際公開番号】WO2007/093635
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508250062)ヴィロローギク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】ViroLogik GmbH
【住所又は居所原語表記】Henkestrasse 91, D−91052 Erlangen, Germany
【Fターム(参考)】