説明

インプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造装置および製造方法

【課題】真空チャンバーおよび後面支持体吸着方式によるプリンティング用スタンプの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】真空発生装置に連結され開閉される空間からなる真空チャンバー10と、前記真空チャンバー10の下部に位置し上面にモールドパターンを有するマスターモールド20と、前記真空チャンバーの上部に上下移動可能に位置し、後面支持体を脱/付着する後面支持体付着用チャック30と、(a)前記真空チャンバー10内を前記真空発生装置によって真空状態にし、(b)前記後面支持体付着用チャック30に後面支持体を付着した状態で前記付着用チャック30を下に移動するようにして前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着し、(c)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記後面支持体付着用チャック30から後面支持体を脱着した状態で前記付着用チャックを上に移動する制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造装置および製造方法に関する。より詳しく言えば、プリンティングリソグラフィ方法によるパターン形成時に使用されるスタンプを製造するための装置および方法に関し、プリンティング工程に使用されるスタンプの製造方法および製造装置の改善によって優れた性能のスタンプ製造が可能となり、プリンティング工程による微細パターン形成時にさらに優れた微細パターンを形成することができると共に、工程の簡素化による製造単価の低減および生産性の向上を実現することができるプリンティング用スタンプの製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、情報保存、小型センサー、光結晶および光学素子、微細電子機械素子、表示素子、ディスプレイ、および半導体に適用される微細パターン形成工程は、光を利用して微細パターンを形成するフォトリソグラフィ(photolithography)工程を利用する。しかし、LCD(液晶ディスプレイ)基板の大型化、パターンサイズの微細化、各分野の価格競争力が激しくなるにつれ、革新的な新たな概念のリソグラフィ工程の必要性が増してきた。つまり、既存のフォトリソグラフィ工程は、パターンを形成する度に露光、露光後ベーク、現像、現像後ベーク、エッチング工程、洗浄工程などを行わなければならないため工程時間が長くなり、数回のフォト工程を繰り返さなければならないため、生産性が低下するという問題点があった。また、パターンの超微細化が進むと露光装備のような高価な装備を切り替えなければならないので投資費用が増し、高解像度のマスクの価格も急騰し効率性が落ち、この問題点は結局原価上昇を引き起こす他の要因となっていた。
【0003】
したがって、このような問題を解決する方法として、インプリントおよびロール−プリントリソグラフィ法が提案された。まず、インプリントリソグラフィは、ナノスケールを刻印するために米国プリンストン大学のステファン・チョウ(Stephen chou)等によって最初に発明された方法であって、相対的に強度が強い無機物または高分子の表面に必要とする形状を予め作成して、これを他の物質の上に判を押すようにして微細パターンを形成する。具体的には、所望の微細パターンを予め形成した無機物または高分子スタンプを用いて金属膜または有機膜の上にコーティングされた硬化性組成物に合着し、熱硬化または光硬化させてパターンを形成する工法であって、既存のフォトリソグラフィ法に比べて工程単純化および微細パターン形成に有利な点を有している。このようなインプリントリソグラフィにおいて従来のマスクの役割を果たすものがスタンプである。インプリント工程でスタンプの役割はインプリント工程技術の核心と言える部分であって、所望の形態のパターン形成のためには基本的に所望の形態のスタンプが製造されてこそインプリント工程の遂行によるパターン形成が可能になる。
【0004】
また、ロール−プリントは既存の印刷技術を一層進歩させた技術であって、パターンが刻印されたロールによるプリンティング法と、パターンのないロールにパターンが刻印された基板を利用して微細パターンを形成する方法がある。このようなロール-プリンティング方法にもそれぞれの材料を次の工程に伝写するためのスタンプが使用される。ロール-プリンティング法でもインプリント工程のように優れたスタンプの製造が前提となって優れた性能のパターン形成が可能になる。
【0005】
このような、インプリントおよびロール−プリントリソグラフィ工程は、フォトリソグラフィに比べて工程が単純になり、高価な工程である露光工程が不要となるので、装備が簡単になる。また、工程数の減少によりクリーンルーム空間が画期的、革新的に減少し、既存の工程に比べて低価な装備で微細パターンの実現が可能になるので、優れた価格競争力を有することができ、将来のパターニング技術の代案的な方法において重要な核心技術として提示されている。
【0006】
このようなインプリントおよびロール−プリントリソグラフィ法は今後FED(Field Emission Display)、OLED(ElectroLuminescent)、PDP(Plasma Display Panel)、太陽電池(Solar cell)装置にも適用可能であり、これによって各応用分野でも製造工程が単純になり、反復印刷後にもパターンの精密度が確保されると予想される。
【0007】
ここで、前記インプリントおよびロール−プリントリソグラフィ法では、既存のフォトリソグラフィでパターンを形成する時に使用される高解像度のマスクの代わりに、スタンプを作成した後にプリンティング工程によって微細パターンを形成することができる。このようなプリンティング法に使用されるスタンプは多様な方法で製造することができる。しかし、既存のスタンプ製造方法は工程が複雑であって生産性が劣り、スタンプの平坦度、トータルピッチなどスタンプの物性実現が円滑でなく、プリンティング工程時におけるパターン形成に多くの制約があった。
【0008】
そのため、このような従来の問題点を解決する新たな形態のインプリントおよびロール−プリント用スタンプの製造方法および製造装置の開発が切望されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来技術の問題点を解決するために、本発明はインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用パターン形成に使用されるスタンプを製造する方法および装置を提供するものであって、本発明によって半導体、LCD、PDP、OLED、太陽電池産業でのプリンティングリソグラフィによるパターン形成工程で使用されるスタンプを提供することにより、スタンプ性能向上、工程改善、製造単価改善を達成することをその目的とする。また、本発明によるスタンプを利用したプリンティング工程を実施することによってさらに優れたパターン形成を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、
真空発生装置に連結されて開閉される空間からなる真空チャンバーと、
前記真空チャンバーの下部に位置し、上面にモールドパターンを有するマスターモールドと、
前記真空チャンバーの上部に上下移動可能に位置し、後面支持体を脱/付着する後面支持体付着用チャックと、
(a)前記真空チャンバー内を前記真空発生装置によって真空状態にし、(b)前記後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着した状態で前記付着用チャックを下に移動するようにして前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着し、(c)前記真空状態または前記真空を除去した状態で、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着した状態で前記付着用チャックを上に移動するようにする制御部とを含むことを特徴とするインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、
(a)真空チャンバーの下部に位置し上面にモールドパターンを有するマスターモールドの上面にスタンプ材料を塗布し、前記真空チャンバーの上部に位置する後面支持体を脱/付着する後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着する工程と、
(b)真空チャンバー内を真空発生装置によって真空状態にする工程と、
(c)前記後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着した状態で前記付着用チャックを下に移動するようにして、前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着する工程と、
(d)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着した状態で前記付着用チャックを上に移動するようにする工程とを含むことを特徴とするインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造装置および製造方法によれば、既存のプリンティング用スタンプに比べて平坦度、パターン形状の優秀性、トータルピッチなどの優れた物性を有するスタンプを製造することができると共に、プリンティング工程時にパターン不良の発生を最少化し、収率改善、工程の効率性を向上させることができるインプリントおよびロール−プリントスタンプの製造方法および製造装置を提供することができ、これによって多様なプリンティング工程に対する安定したスタンプ供給によって優れたプリンティング工程を行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置に関する実施例をそれぞれ模式的に示した図面である。
【図2】本発明のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置に関する一実施例の作動例を模式的に示した図面である。
【図3】本発明のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置に関する他の実施例の作動例を模式的に示した図面である。
【図4】本発明のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置に関する他の実施例の作動例を模式的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
本発明はインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置に関し、真空発生装置2に連結されて開閉される空間からなる真空チャンバー10と、前記真空チャンバー10の下部に位置し、上面にモールドパターンを有するマスターモールド20と、前記真空チャンバー10の上部に上下移動可能に位置し、後面支持体(B)を脱/付着する後面支持体付着用チャック(chuck)30と、(a)前記真空チャンバー10内を前記真空発生装置2によって真空状態にし、(b)前記後面支持体付着用チャック30に後面支持体(B)を付着した状態で前記付着用チャック30を下に移動するようにして、前記マスターモールド20の上面に形成されたスタンプ(S)に前記後面支持体(B)を付着し、(c)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記後面支持体付着用チャック30から後面支持体(B)を脱着した状態で前記付着用チャック30を上に移動するようにする制御部を含んで構成される。
【0015】
すなわち、これに関する具体的例は図1に示すように、ロータリーポンプ、拡散ポンプ、またはこれらの組み合わせなどからなる通常の真空発生装置と連結され、図1の(a)(開放口を閉じるドアは図示せず)に示すように、後面支持体およびスタンプ形成のための材料の出入が可能な開閉口を有するか、または図1(b)に示すように、チャンバー自体が上下に分離/結合されて開閉される空間を有し、前記空間が閉鎖された場合に前記真空発生装置の運転によって密閉空間を真空状態にする真空チャンバーを有する。
【0016】
また、前記真空チャンバーの下部には、図1にその具体的例を示すように、上面にモールドパターンを有するマスターモールド20が結合し、前記真空チャンバーの上部には、スタンプの後面に結合する後面支持体を脱/付着する後面支持体付着用チャック30が結合する。ここで、前記後面支持体付着用チャックは真空チャンバーに対して上下移動可能に結合して、後述する制御部の制御によって上下移動する。
【0017】
前記マスターモールド20は上面にモールドパターンを有する一体型モールドであってもよく、図示するように、マスタージグ(jig)の上に所定のパターンが形成されているか、または所望の形態の形状が形成されたマスター(master)を設置した組立体形態で構成することもできる。
【0018】
前記後面支持体付着用チャック30は、スタンプに結合して支持体の役割を果たす後面支持体を脱着および付着するチャックであって、脱付着方法によって多様なチャックがこれに該当し、好ましくは静電気を利用して脱付着する静電チャックまたは真空吸着方式を利用して脱付着する接着チャックが後面支持体に対する付加的応力発生が少ないためこれに適用され、さらに好ましくは後面支持体に対する付加的応力発生が最少化される静電チャック(electrostatic chuck)を用いることが良い。
【0019】
このような真空チャンバー、マスターモールド、付着用チャックは制御部によって(a)前記真空チャンバー内を前記真空発生装置によって真空状態にし、(b)前記後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着した状態で前記付着用チャックを下に移動するようにして、前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着し、(c)前記真空状態または前記真空を除去した状態で、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着した状態で前記付着用チャックを上に移動するようにする動作を行う。これに関する具体的な例は図2及び図3に示す。
【0020】
すなわち、真空チャンバー、マスターモールド、付着用チャックが備えられた製造装置において、マスターモールドと付着用チャックのそれぞれにスタンプ(S)および後面支持体(B)を形成し、真空チャンバーを閉じて密閉空間を形成した後、真空発生装置を稼動して前記真空チャンバー内を真空状態にし、前記後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着した状態で前記付着用チャックを下に移動するようにして前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着する。次に、(i)前記真空状態をそのまま維持した状態で、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着し、前記付着用チャックのみを上に移動するようにするか、または(ii)前記真空を解除してチャンバーを常圧状態にした後に、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着し、前記付着用チャックのみを上に移動するようにする。
【0021】
これによって真空状態で後面支持体に加えられる応力を最少化して後面支持体とスタンプを結合することができるので、これらの間の結合が、均等に、そして付加的な応力発生を少なくしながら残留応力を発生せずに行われるようにして、平坦度、パターン形状の保存性、トータルピッチなどの物性を優れたものに維持することができる。
【0022】
また、これに加え、図2〜図3にその具体例を示すように(図2及び3では符号を省酪しているが、図に描かれている図1と同一の要素については図1の記載と同一の符号が適用される。)、本発明のスタンプ製造装置は前記マスターモールド20を加熱する加熱装置40a、または前記マスターモールド20の上部に位置して、前記マスターモールド20に紫外線を含む多様な波長帯の光を照射する光照射装置40bからなる硬化装置40aまたは40bをさらに含んで(図示するように2つをすべて構成することもできる)、前記スタンプおよび後面支持体の付着後にこれらの間に結合がなされるようにする。このために前記制御部は、前記(c)工程後に、(d)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記硬化装置40aまたは40bを作動して、スタンプ(S)と後面支持体(B)の間の結合体を硬化する制御工程をさらに含むことができる。前記硬化工程は前記真空チャンバーの真空を維持した状態で行うこともでき、真空状態を解除した後に行うこともできる。これに関する具体的な例は図2〜図3にそれぞれ示すとおりである。
【0023】
また、前述のように、前記真空チャンバーは好ましくは図1の(b)および図3にその具体例を示すように、真空チャンバー10の上部4と下部6を上下にそれぞれ分離して開閉することが好ましい。これによって、図3に示すように、後面支持体の付着用チャックに対するローディング、スタンプの形成、硬化工程の光照射側面で各工程を容易に遂行することができる利点がある。また、前述のように、前記後面支持体付着用チャックは静電チャックでこれを構成することが、チャッキング(chucking)とデチャッキング(dechucking)時に応力発生を最少化し、真空チャンバーの駆動とチャックの駆動の間に駆動方式が相違するために互いの間の干渉を減らすことができるので好ましい。
【0024】
また、前記のように真空チャンバー10を上部4と下部6が上下にそれぞれ分離されて開閉される構造を有する場合、図4にその具体例を示すように(図4では符号を省酪しているが、図に描かれている図1と同一の要素については図1の記載と同一の符号が適用される。)、前記真空チャンバー10の上部4または下部6は直線運動ガイド8に結合されて上部4と下部6が分離された場合に相手に対して直線的に移動可能に構成することができる。これによって、装置全体の自動化が可能となる。また、前記真空チャンバー10の上部4および下部6をすべて直線運動ガイド8にそれぞれ結合して、これらを移動することもできる。
【0025】
その他、本発明はインプリント(imprint:特に後面支持体がガラスなどの柔軟性が劣る物質である場合)またはロール−プリント(roll-print:特に後面支持体が樹脂フィルムなどの柔軟性の高い物質である場合)リソグラフィ用スタンプ製造方法を提供する。これは(a)真空チャンバー10の下部に位置し上面にモールドパターンを有するマスターモールド20の上面にスタンプ材料を塗布し、前記真空チャンバー10の上部に位置する後面支持体(B)を脱/付着する後面支持体付着用チャック30に後面支持体(B)を付着する工程と、(b)真空チャンバー10内を真空発生装置20によって真空状態にする工程と、(c)前記後面支持体付着用チャック30に後面支持体(B)を付着した状態で前記付着用チャック30を下に移動するようにして前記マスターモールド20の上面に形成されたスタンプ(S)に前記後面支持体(B)を付着する工程と、(d)前記真空状態または前記真空を除去した状態で、前記後面支持体付着用チャック30から後面支持体(B)を脱着した状態で前記付着用チャック30を上に移動するようにする工程を含む。
【0026】
すなわち、本発明によるスタンプ製造方法は、静電チャックまたは接着チャックなどの付着用チャックによって後面支持体をローディングし、所望の形状が形成されたマスクをジグを用いて真空チャンバーに設置してマスターモールドを準備し、前記マスターモールドのマスクにスタンプ材料を塗布した後に真空チャンバー内で真空合着工程を実施し、これに追加してさらに、熱硬化または光硬化またはこれらの組み合わせによる硬化工程を実施し、前記製造されたスタンプ(後面支持体が結合された)をマスクおよびジグからなるマスターモールドから分離する工程を設けることができる。
【0027】
好ましくは、前述のように、前記(d)工程後に、(e)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記後面支持体が付着したスタンプ結合体を硬化する工程をさらに含むことができ、前記硬化は光硬化または熱硬化またはこれらを組み合わせて行うことができ、前記後面支持体付着用チャックとしては前述のように静電チャックまたは接着チャック用いることができる。
【0028】
より詳細には、図3に示すように、スタンプがインプリントおよびロール−プリントリソグラフィ用スタンプとして機能するためにスタンプの収縮および歪みを防止すると共に、スタンプを支持してスタンプとしての機能を可能にするための後面支持体(B)を静電チャックまたは接着チャック30などを用いて上部真空チャンバー4に配置する。この時静電チャック、接着チャック30に、後面支持体(B)を支持するために静電気または真空をかけると、さらに好ましく後面支持体(B)が支持され、スタンプ形成工程を良好に行うことができる。
【0029】
次に、マスタージグ(jig)の上に所定のパターンが形成されているか、または所望の形状が形成されたマスター(master)を設置してマスターモールドを準備する。この時、マスタージグに真空をかけることによってマスターが安定してマスタージグに設置され、設けられたマスターはスタンプ形成およびスタンプ物性にも良い影響を与える。そして、スタンプ材料をマスターの上に形成した後に下部真空チャンバー6の上に設置する。または、下部真空チャンバー6にマスタージグおよびマスターからなるマスターモールドを設置した後に、スタンプ材料を形成することもできる。
【0030】
上記の工程を行った後に上部真空チャンバー4および下部真空チャンバー6を閉じた状態で真空ポンプを用いて真空状態にする。この時の真空度は常圧で1×10-4Torrまで可能であり、さらに好ましくは1×10Torr〜1×10-2Torrである。所望の真空度に到達したら、チャック30を下降して下部真空チャンバー6上に形成されたスタンプ材料(S)との合着工程を実施する。チャック30により合着した後、図3に示すように真空を維持した状態でチャックの上昇工程を行うこともでき、または真空ポンプを停止して真空チャンバー内の真空度を常圧に戻した後に、チャック30を上昇させることもできる。この時、チャック30は後面支持体(B)を付着している静電気や接着力などを完全に除去した後にチャック30のみを上昇させなければならず、空気や窒素をブローイングすることによってさらに良好に分離することもできる。
【0031】
最後に、上部真空チャンバー4を除去または移動した後に、露光器およびUVランプからなる光照射装置40b、ヒーターからなる加熱装置40aなどを用いて硬化工程を実施する。硬化工程を実施した後に、マスタージグおよびマスターからなるマスターモールドから分離することによってインプリントおよびロール−プリントリソグラフィ用スタンプを製造することができる。
【0032】
前記の工程を実施した後に製造されたインプリントおよびロール−プリントリソグラフィ用スタンプは、スタンプ材料の平坦度、トータルピッチ(total pitch)、優れたパターン形状の形成などによってプリンティングリソグラフィ工程遂行時にパターンの歪曲なしにパターンを形成すると共に、パターン欠陥を減少させることができるので、プリンティング工程遂行能力を向上させることができる。
【0033】
本発明で製造されたスタンプはプリンティングリソグラフィ工程によるパターン形成を実施することによってスタンプの評価を実施することができ、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、光学顕微鏡(Optical Microscope)、原子顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)などによってこれを確認できる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0035】
実施例1:
まず、LCD用ガラス(B)を準備した。そのガラスを静電チャック30を用いて上部真空チャンバー4に装着した。さらに5〜20mの多様なパターンが刻まれているマスターを準備した。そのマスターを下部真空チャンバー6に設けられたマスタージグに設置してマスターモールド20を準備した。その後ダウコーニング社製のシリコン弾性重合体であるシルガード184A(商品名;sylgard 184A)および硬化剤であるシルガード184B(商品名;sylgard 184B)をそれぞれ10:1の比率で十分に混合し、50m厚のマスターの上に塗布した。その後真空チャンバー10を閉じ、真空ポンプを用いてチャンバー内を真空状態にした。真空チャンバー内の真空度が1.0Torrになったら、静電チャック30を下降して合着工程を実施した。静電チャック30を用いて合着を実施した後に真空ポンプを停止して真空チャンバー内の真空度を常圧状態にした。常圧状態になったら、静電チャック30の作動(チャッキング)を解除して静電チャック30のみを上昇した後に上部真空チャンバー4を上昇させてチャンバーを開放させた。その後ヒーター40aを80℃で1時間加熱して熱硬化を実施した。または、上部真空チャンバー4を閉じたままヒーター40aを80℃で1時間加熱して熱硬化を実施することもできる。最後に、形成されたスタンプをマスターモールド20から分離しインプリント用スタンプを製造した。
【0036】
実施例2:
スタンプ材料として光硬化型材料を使用し、UV光硬化を実施することによってインプリント用スタンプを製造することを除いては、実施例1と同一の工程を実施してインプリント用スタンプを製造した。
【0037】
実施例3:
後面支持体(B)としてPETフィルムを使用して工程を実施することによってロール−プリント用スタンプを製造することを除いては、実施例1と同一の工程を実施してロール−プリント用スタンプを製造した。
【0038】
実施例4:
後面支持体を(B)としてPETフィルムを使用し、スタンプ材料として光硬化型材料を使用することによってロール−プリント用スタンプを製造することを除いては、実施例1と同一の工程を実施してロール−プリント用スタンプを製造した。
【0039】
前記のように製造されたスタンプはパターニング工程を実施することによって評価を実施することができる。プリンティング用材料を用いてプリンティング工程を実施した後に、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、光学顕微鏡(Optical Microscope)などによって、形成されたスタンプおよびパターン形状などを確認し、既存のものに比べて優れたパターン形状および物性を有することを確認することができる。
【0040】
以上で説明した本発明は前述の実施例および添付図面によって限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で該当技術分野の当業者が多様に修正および変更させたものも本発明の範囲内に含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
2 真空発生装置
4 真空チャンバーの上部
6 真空チャンバーの下部
8 直線運動ガイド
10 真空チャンバー
20 マスターモールド
30 後面支持体付着用チャック
40a 加熱装置(硬化装置)
40b 光照射装置(硬化装置)
B 後面支持体
S スタンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空発生装置に連結されて開閉される空間からなる真空チャンバーと、
前記真空チャンバーの下部に位置し、上面にモールドパターンを有するマスターモールドと、
前記真空チャンバーの上部に上下移動可能に位置し、後面支持体を脱/付着する後面支持体付着用チャックと、
(a)前記真空チャンバー内を前記真空発生装置によって真空状態にし、(b)前記後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着した状態で前記付着用チャックを下に移動するようにして前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着し、(c)前記真空状態または前記真空を除去した状態で、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着した状態で前記付着用チャックを上に移動するようにする制御部とを含むことを特徴とするインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置。
【請求項2】
前記マスターモールドを加熱する加熱装置、または前記マスターモールド上部に位置し、前記マスターモールドに光を照射する光照射装置からなる硬化装置をさらに含み、前記制御部が、さらに(d)前記真空状態または前記真空を除去した状態で、前記硬化装置を作動してスタンプおよび後面支持体の結合体を硬化する制御過程を含む請求項1に記載のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置。
【請求項3】
前記真空チャンバーが、上部と下部が上下にそれぞれ分離されて開閉され、前記後面支持体付着用チャックが、静電チャックまたは接着チャックである請求項1または請求項2に記載のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置。
【請求項4】
前記真空チャンバーの上部または下部は直線運動ガイドに結合されて、上部と下部が分離された場合に相手に対して直線的に移動する請求項3に記載のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造装置。
【請求項5】
(a)真空チャンバーの下部に位置し上面にモールドパターンを有するマスターモールドの上面にスタンプ材料を塗布し、前記真空チャンバーの上部に位置する後面支持体を脱/付着する後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着する工程と、
(b)真空チャンバー内を真空発生装置によって真空状態にする工程と、
(c)前記後面支持体付着用チャックに後面支持体を付着した状態で前記付着用チャックを下に移動するようにして、前記マスターモールドの上面に形成されたスタンプに前記後面支持体を付着する工程と、
(d)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記後面支持体付着用チャックから後面支持体を脱着した状態で前記付着用チャックを上に移動する工程とを含むことを特徴とするインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造方法。
【請求項6】
さらに(e)前記真空状態または前記真空を解除した状態で、前記後面支持体が付着されたスタンプ結合体を硬化する工程を含む請求項5に記載のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造方法。
【請求項7】
前記硬化が、光硬化または熱硬化である請求項6に記載のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプの製造方法。
【請求項8】
前記後面支持体付着用チャックが、静電チャックまたは接着チャックである請求項5に記載のインプリントまたはロール−プリントリソグラフィ用スタンプ製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−885(P2011−885A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137821(P2010−137821)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】