説明

インプリント用の転写フィルムの製造方法、及びインプリント用の転写フィルム

【課題】従来の塗布工程とインプリント工程の両立という技術的困難性を緩和し、且つ低粘度で流動性の高い塗布液を用いても幅方向の広がりを防止する。
【解決手段】微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムの製造方法であって、基材フィルム2の一方の面上に、未硬化で液状の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂薄膜層11を形成し、カバーフィルム6を貼合した後、パターン露光を施し、硬化性樹脂硬化部12を設けることで幅方向のみならず加工流れ方向の塗膜流動も抑制することができ、より高い塗膜厚みの均一性を確保した状態でロール体に巻き取ってインプリント用の転写フィルム10を製造する。更には、枚葉で供給されるインプリント用の転写フィルムの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムの製造方法、及びインプリント用の転写フィルムに関するものである。
なお、本明細書での微細なパターンとは、微細凸凹形状からなる細線パターン及び図形パターンにおいて、1つの細線幅及び図形寸法が、約数十nm〜約数百μm程度のパターンを指す。
【背景技術】
【0002】
インプリントは、安価に超微細凹凸形状加工が可能な技術として、近年半導体デバイス、フラットパネルディスプレイ等の光学フィルム部材、記録メディア、バイオ・医療関連など様々な分野での応用展開が試みられている。特に微細凹凸形状を持つフィルム状部材を連続的に製造する方法として、従来から下記のような方法が知られている(特許文献1〜4参照)。
【0003】
特許文献1には、(1)カチオン重合反応性とラジカル重合反応性とを兼ね備えた樹脂組成物からなる被膜を支持体上に形成する工程、(2)前記被膜にナノスタンパを用いてパターンを転写する工程、及び(3)パターンが転写された被膜を硬化させて微細構造物を得る工程を含む微細構造物の製造方法が開示されている。
特許文献2には、インプリントモールドの凹凸形状を被転写体に転写するパターン形成方法において、前記被転写体上に複数箇所に光硬化性樹脂を滴下する工程と、前記インプリントモールドを被転写体上の光硬化性樹脂に押し付け、該光硬化性樹脂を押し広げてインプリントモールド内の凹部内に該光硬化性樹脂を充填する工程と、前記光硬化性樹脂を硬化させる工程と、前記インプリントモールドを前記光硬化性樹脂から離す工程と、を有し、前記インプリントモールドとして、形状,間隔の何れが異なる複数の凹凸パターンが形成されたパターン形成領域を有し、凹部の開口面積又は体積がほぼ一定であるモールドを用いることを特徴とするパターン形成方法が開示されている。
特許文献3には、被転写体とスタンパとを接触させて前記スタンパの表面形状を前記被転写体に転写するインプリント装置において、前記被転写体と前記スタンパとを、間隔をあけて保持する保持手段と、前記被転写体と前記スタンパとが配置されたチャンバを減圧する減圧手段と、前記被転写体と前記スタンパとの相対位置を合わせる位置合わせ手段と、を備えることを特徴とするインプリント装置が開示されている。なお、被転写体上には、光硬化性樹脂(被加工材料)が均一に点在するように塗布されている。
特許文献4には、基材と前記基材上に形成された被転写樹脂層とを有する被転写体を、円柱型のローラーの表面に沿わせ、前記ローラーを回転させながら、前記被転写樹脂層とナノ凹凸パターンを有する平板型モールドとを密着させる密着工程と、前記被転写樹脂層と前記平板型モールドとが密着している状態で、前記被転写樹脂層を固化する固化工程と、を有することを特徴とするパターン形成体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−266608号公報
【特許文献2】特開2009−006619号公報
【特許文献3】特開2008−012858号公報
【特許文献4】特開2007−335647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1〜4に記載の製造方法は、紫外線硬化樹脂の塗布から微細凹凸形状転写の工程(インプリント工程)において、塗布膜には微細凹凸形状を精度良く転写させるため樹脂の粘度を下げて流動性を持たせてあることから、塗布膜の両端部では樹脂が幅方向へ流れが広がり、厚みの均一性を一定に保つことが困難であった。
【0006】
また、低粘度で流動性の高い塗布液の塗布方法としてスピンコート法、ディスペンス法、スリットコート法、スプレーコート法、ローラーコート法、またはインクジェット法などの公知の方法が用いられているが、均一に塗布するためには操作に熟練した技術を必要としている。このため、低粘度で流動性の高い紫外線硬化樹脂の塗布装置と、インプリントのための型押し装置(スタンパ)とを両方同時に、運転操作するには、技術的な困難さがあり、尚且つ両方の装置を連動させて連続的に凹凸パターンを製造するものであるため、両方の製造装置のいずれかに不具合があれば製造工程が停止してしまうという問題があった。
【0007】
更に、塗布工程とインプリント工程が続いていることから、塗布膜単体での検査・評価が十分に行えず、例えば塗布膜に異物などが混入した場合、前記異物はそのままインプリント工程に持ち込まれることとなり、形状転写の不良や、最悪の場合スタンパ自身を傷付けてしまう不具合が生じる。スタンパが傷付いた場合、そのスタンパは微細凹凸形状を安定して形成することが不可能となるため、スタンパの交換が必要となるが、スタンパは非常に高価であり、その製造も容易ではないため、使用者にとってコスト面、及び時間的な面で大きな損失となる。
【0008】
すなわち本発明の目的は、従来の塗布工程とインプリント工程の両立という技術的困難性を緩和し、且つ低粘度で流動性の高い塗布液を用いても幅方向の広がりを防止する、インプリント用の転写フィルムの製造方法、及びインプリント用の転写フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では上記問題点を解決するために、低粘度で流動性の高い液状の硬化性樹脂の塗布工程と、インプリント工程とを分割し、硬化性樹脂の塗布膜としての検査・評価を十分に行なうことで上記不具合の発生を防止し、且つインプリント装置の運転操作者が、低粘度で流動性の高い硬化性樹脂の塗布装置の運転に習熟しないでも、インプリントができるように転写フィルムを用いる。また、前記転写フィルムには、低粘度で流動性の高い硬化性樹脂を用いても幅方向への広がりを防止し、且つ均一な塗布膜厚みを保持できるよう構造的特徴を持たせる。
【0010】
請求項1に係る発明は、微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムの製造方法であって、少なくとも下記の(1)〜(3)の工程:(1)長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する合成樹脂フィルムからなり、一方の面にエネルギー線を遮蔽する遮蔽パターンを形成した、長尺のマスク付カバーフィルムを準備する工程、(2)長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、未硬化で液状の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂薄膜層を形成する工程、(3)前記硬化性樹脂薄膜層の上に前記マスク付カバーフィルムを貼り合せ、前記マスク付カバーフィルム側からエネルギー線を照射して、前記マスク付カバーフィルムの前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成する工程、を含むことを特徴とするインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記遮蔽パターンの形成は、前記エネルギー線を遮蔽する機能を有する塗料またはインキを印刷する方法、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう剥離(リフトオフ)法により形成する方法、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、前記エネルギー線を遮蔽する機能を有する樹脂シートまたは金属箔を貼り合せた後にフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、のいずれかの方法によるものであることを特徴とする請求項1に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
請求項3に係る発明は、前記遮蔽パターンの形状は、前記マスク付カバーフィルムの長手方向に離間して複数配置された不連続パターン、もしくは前記マスク付カバーフィルムの長手方向に連続した連続パターンのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
請求項4に係る発明は、前記マスク付カバーフィルムにおいて、前記硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理がなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
請求項5に係る発明は、更に、前記マスク付カバーフィルムの前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成した後、硬化性樹脂を硬化させた部分において、該転写フィルムを長手方向に沿って切断するスリット工程、及び/又は該転写フィルムを横幅方向に沿って切断して行なう枚葉化工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
【0012】
請求項6に係る発明は、微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムの製造方法であって、少なくとも下記の(1)〜(2)の工程:(1)長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、未硬化で液状の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂薄膜層を形成する工程、(2)前記硬化性樹脂薄膜層の上に長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する合成樹脂フィルムからなるカバーフィルムを貼り合せ、エネルギー線を遮蔽する遮蔽パターンを形成した連続露光装置を用いてエネルギー線を照射し、前記連続露光装置の前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成する工程、を含むことを特徴とするインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記連続露光装置は、エネルギー線を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられた遮蔽パターン部分と、前記円筒ドラム内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた透明基材に対して円筒ドラムの内側からエネルギー線を照射する装置であることを特徴とする請求項6に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
請求項8に係る発明は、前記遮蔽パターンの形状は、前記円筒ドラムの円周方向に離間して複数配置された不連続パターン、もしくは前記円筒ドラムの円周方向に連続した連続パターンのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
請求項9に係る発明は、更に、前記連続露光装置の前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成した後、硬化性樹脂を硬化させた部分において、該転写フィルムを長手方向に沿って切断するスリット工程、及び/又は該転写フィルムを横幅方向に沿って切断して行なう枚葉化工程を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
請求項10に係る発明は、前記カバーフィルムにおいて、前記硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理がなされていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法である。
【0014】
請求項11に係る発明は、微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムであって、透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、部分的に硬化された硬化性樹脂組成物の部分と未硬化の硬化性樹脂組成物の部分からなる硬化性樹脂薄膜層が形成されてなり、エネルギー線を遮蔽するパターンが形成された透明性を有する合成樹脂フィルムからなるマスク付カバーフィルムが積層されてなることを特徴とするインプリント用の転写フィルムである。
【0015】
請求項12に係る発明は、微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムであって、透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、エネルギー線を遮蔽するパターンが形成された連続露光装置により、部分的に硬化された硬化性樹脂組成物の部分と未硬化の硬化性樹脂組成物の部分からなる硬化性樹脂薄膜層が形成されてなり、透明性を有する合成樹脂フィルムからなるカバーフィルムが積層されてなることを特徴とするインプリント用の転写フィルムである。
【0016】
請求項13に係る発明は、ロール状で供給されるインプリント用の転写フィルムであることを特徴とする請求項11または12に記載のインプリント用の転写フィルムである。
請求項14に係る発明は、長さ1〜10000mの長尺状であって、ロール体に巻かれていることを特徴とする請求項13に記載のインプリント用の転写フィルムである。
請求項15に係る発明は、枚葉で供給されるインプリント用の転写フィルムであることを特徴とする請求項11または12に記載のインプリント用の転写フィルムである。
請求項16に係る発明は、光学機能フィルム、半導体素子、精密機械部材、磁気記録媒体部材からなる群のいずれか一つを製造するのに用いられるものであることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムである。
請求項17に係る発明は、前記基材フィルムには、インプリント装置のスタンパに位置合わせするための合せマークが2次元配置されてなることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムである。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明によれば、インプリント装置の運転操作者が、低粘度で流動性の高い硬化性樹脂の塗布装置の運転に習熟しないでも、インプリントができるように転写フィルムを供給することができる。また、硬化性樹脂薄膜層の段階で検査・評価を行えることから、インプリント工程への異物等の混入を事前にある程度抑制することができるため、高価なスタンパが傷付くリスクを低減できる。更に、硬化性樹脂薄膜層内に部分的に形成された非流動性のパターン硬化部位による堰の効果により、低粘度で流動性の高い硬化性樹脂の広がりを防止し、硬化性樹脂薄膜層の厚みを均一に保つことができる。
【0018】
請求項1に係る発明によれば、硬化性樹脂薄膜層内をパターン硬化させることで、その間の流動性部位と連続する位置に非流動性部位を形成でき、堰としての機能を有するため、硬化性樹脂薄膜層の幅方向の広がりを防止できる。また、カバーフィルムを貼り合わせてエネルギー線を照射することで、酸素阻害を起こすような硬化性樹脂を用いても、酸素阻害による硬化不良を防止し、硬化を十分に行なうことができる。加えてカバーフィルムを貼合したまま転写フィルム製品とすることで、次工程までの期間中、硬化性樹脂薄膜層の表面に異物等が付着することを防止できるため、製品のクリーン度をより高く保つことができる。
【0019】
請求項2または3に係る発明によれば、遮蔽パターンの形成方法または形状は必要とする遮蔽性能、コスト、カバーフィルムとの相性等を満たす方法であれば、上記種々の方法を自由に選択できる。
請求項4に係る発明によれば、カバーフィルムの硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理を施すことで、カバーフィルムを硬化性樹脂薄膜層から剥離する際、硬化性樹脂薄膜層の表面が荒れることによる厚みの不均一化を防止できる。
請求項5に係る発明によれば、1本の基材フィルムを多面取りにより複数本の転写フィルムに分けることで、生産性を向上することができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、円筒ドラムに遮蔽パターンを形成することで、長さ1〜10000mの長尺のカバーフィルムに対して遮蔽パターンを形成する工程を省略することができる。
【0021】
請求項7または8に係る発明によれば、必要とするエネルギー線の透過性能、コスト等を満たす方法であれば、上記種々の方法を自由に選択できる。また、遮蔽パターンの形状は必要とする遮蔽性能、コスト、カバーフィルムとの相性等を満たす方法であれば、上記種々の方法を自由に選択できる。
請求項9に係る発明によれば、1本の基材フィルムを多面取りにより複数本の転写フィルムに分けることで、生産性を向上することができる。
請求項10に係る発明によれば、カバーフィルムの硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理を施すことで、カバーフィルムを硬化性樹脂薄膜層から剥離する際、硬化性樹脂薄膜層の表面が荒れることによる厚みの不均一化を防止できる。
請求項11〜17に係る発明によれば、インプリント装置の運転操作者が、低粘度で流動性の高い硬化性樹脂の塗布装置の運転に習熟しないでも、インプリントができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態による製造方法の代表例を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態による製造方法により製造した転写フィルムの一例を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図3】第1の実施形態による製造方法により製造した転写フィルムの別の一例を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図4】第1の実施形態による製造方法により製造した転写フィルムの別の一例を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図5】第1の実施形態において、枚葉化工程を行なう製造方法の一例を示す概略図である。
【図6】第1の実施形態において多面取りに用いるカバーフィルムの一例を示す概略図である。
【図7】第1の実施形態において多面取りに用いるカバーフィルムの別の一例を示す概略図である。
【図8】第1の実施形態において多面取りに用いるカバーフィルムの別の一例を示す概略図である。
【図9】第1の実施形態において、さらに紫外線吸収フィルムの積層工程を加えた製造方法の代表例を示す概略図である。
【図10】第2の実施形態による製造方法の代表例を示す概略図である。
【図11】第2の実施形態で用いる円筒ドラムの一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
【図12】第2の実施形態で用いる円筒ドラムの別の一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
【図13】第2の実施形態で用いる円筒ドラムの別の一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
【図14】第2の実施形態による製造方法により製造した転写フィルムの一例を示す断面図である。
【図15】本発明により製造される転写フィルムへインプリントを施す工程の代表例を示す概略図である。
【図16】従来のインプリント製品製造工程の代表例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における、インプリント用の転写フィルムの製造装置、及び製造工程の概要を示すものである。すなわち透明基材2を製造装置に供給する基材供給部1と、前記透明基材2に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布装置3と、硬化性樹脂組成物中に有機溶媒等が含まれる場合、それを揮発除去する乾燥装置4と、マスク付カバーフィルム6を供給するカバーフィルム供給部5と、前記マスク付カバーフィルム6を紫外線硬化性樹脂組成物の塗布面に貼合するニップロール7と、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化装置としての紫外線照射装置8と、加工されたインプリント用転写フィルムを巻き取る巻取り部9とから構成される製造装置を用いてロール状転写フィルムが製造される。
【0024】
基材供給部1はロール状に透明基材2が巻き取られたロール体と、そのロール体を保持する軸等により構成される。
【0025】
ここで透明基材2に用いられる材質は、耐熱性、及び紫外線硬化性樹脂組成物の硬化を阻害する350nm〜400nm近傍の紫外線領域に散乱・吸収が小さいものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリアクリル酸塩、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ナイロン、ポリイミド、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレンやポリトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、セロファン、セルロース系フィルムなどを挙げることができる。これら材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に前記基材のうち、耐熱性、紫外線透過性、及び価格の面から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0026】
また、前記透明基材2の塗布面側、もしくは両面に易接着処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理などの表面処理がなされていることが好ましい。これらの表面処理は、予め透明基材2に施しておくことが好ましい。また、基材供給部1から透明基材2を繰り出して塗布装置3で硬化性樹脂組成物を塗布するまでの間にこれらの表面処理を施すこともできる。
【0027】
なお、透明基材2の厚みは16μm〜200μmを有することが好ましく、50μm〜150μmを有することが更に好ましい。透明基材2の厚みが薄過ぎるとハンドリング性が悪く、また、透明基材2の厚みが厚過ぎると、コスト面、ハンドリング性で不利である。
【0028】
塗布装置3は、透明基材2上に硬化性樹脂組成物を均質に供給して塗布する手段を備えるものであればどういった装置でも良いが、連続的に硬化性樹脂組成物を透明基材2上に供給して塗布できるよう、硬化性樹脂組成物を貯蔵するタンク、送液ポンプ、配管、異物除去フィルター、コーターヘッドからなる構成を持つ装置が好ましい(図示なし)。コーターヘッドは、例えばダイコーターなどが好適である。
塗布装置3により、透明基材2の片面に硬化性樹脂薄膜層(塗布膜)が形成される。塗布装置3で塗布した直後の硬化性樹脂組成物は、未硬化でかつ液状であり、塗布に適した流動性を有する。
【0029】
硬化性樹脂組成物は、インプリントに際して用いる硬化手段に応じて、紫外線硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物等を適宜選択して用いることができる。
硬化性樹脂組成物は、紫外線、電子線、熱線等のエネルギー線により重合する重合性化合物を含有する。
例えば、300nm〜400nmの範囲内の紫外線に対して硬化性を有する紫外線硬化性樹脂材料としては、重合性化合物(A)、光重合開始剤(B)及び離型剤(C)を含有するものが好ましい。
重合性化合物(A)としては、例えば、アクリル単量体、ウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレートのモノマーやオリゴマーを用いることができる。また、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布液中には、反応希釈剤、光重合開始剤などを添加することが好ましい。
【0030】
アクリル単量体としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択できるものであり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類が用いられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0031】
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート。
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタアエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート。
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のその他の(メタ)アクリレート。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。具体的な商品名としては、ビームセット371(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
これらアクリル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンイソシアネートなどのポリイソシアネート類と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させることで得られる。また、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオール類と、前記イソシアネート類を反応させた、ポリマーもしくはオリゴマーと、ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させることで、多種多様なウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0033】
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加物の末端グリシジルエーテル、フルオレンエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂類と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得ることができる。
【0034】
光重合開始剤(B)としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
チオキサントン系光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。
【0035】
紫外線硬化性樹脂材料中の重合開始剤の含有量は、重合性化合物の100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。重合開始剤の含有量が0.001質量部以上であれば、重合性化合物を短時間に重合でき、10質量部以下であれば、重合開始剤の残渣が硬化物中に残存しにくい。
【0036】
離型剤(C)としては、より離型性に優れる硬化物が得られることから、含フッ素界面活性剤を含むことが好ましい。さらには、フッ素含有量が10〜70質量%の含フッ素界面活性剤がより好ましく、フッ素含有量が10〜40質量%の含フッ素界面活性剤が特に好ましい。含フッ素界面活性剤は、水溶性であっても油溶性であってもよい。
含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤、カチオン性含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン性含フッ素界面活性剤のいずれであってもよい。これらの中でも、硬化性樹脂材料における相溶性と、その硬化物における分散性が良好であることから、ノニオン性含フッ素界面活性剤が特に好ましい。
【0037】
アニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸塩、ポリフルオロアルキル燐酸エステル、またはポリフルオロアルキルスルホン酸塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−111(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−143(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120、メガファックR−30(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
カチオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸のトリメチルアンモニウム塩、またはポリフルオロアルキルスルホン酸アミドのトリメチルアンモニウム塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−121(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−134(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−150(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
両性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルベタインが好ましい。両性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−132(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFX−172(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
ノニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルアミンオキサイド、またはポリフルオロアルキル・アルキレンオキサイド付加物が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−145(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンS−393(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−20(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−170(商品名、スリーエム社製)、フロラードFC−430(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−141(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
【0038】
紫外線硬化性樹脂組成物材料中の含フッ素界面活性剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂組成物の全体を100質量%とした際の0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。含フッ素界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であれば、離型性に優れた硬化物を確実に形成でき、10質量%以下であれば、紫外線硬化性樹脂材料を容易に調製できる。
【0039】
本発明の転写フィルムが、紫外線等を用いた光ナノインプリント法に用いられる場合には硬化性樹脂材料として放射線硬化性樹脂が用いられる。また、熱ナノインプリント法に用いられる場合には硬化性樹脂材料として熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。
熱ナノインプリント法における硬化性樹脂材料として、熱可塑性樹脂を用いる場合には、被転写材料である熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上まで加熱し、軟化させた後、微細なパターンが形成されたスタンパを押し付け、冷却することで微細パターンが転写されるので、転写する際の加熱温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂が好ましい。また、熱ナノインプリント法における硬化性樹脂材料として、熱硬化性樹脂を用いる場合には、被転写材料である熱硬化性樹脂としては、熱ナノインプリント法に対する適合性の点から、微細凹凸形状を圧縮成形等で転写する際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
【0040】
なお、硬化性樹脂組成物の塗布膜厚みは、3〜50μmの間にあることが好ましく、更に好ましくは15〜35μmである。
塗布膜が薄すぎると、形状転写性が悪くなり、また、塗布膜が厚過ぎるとコスト面やロール体での経時安定性の点で不利である。
【0041】
乾燥装置4は、透明基材2上に形成された硬化性樹脂組成物の塗布膜を加熱する手段と、乾燥装置内に空気を送る手段と、乾燥装置内の空気を排気する手段を備えている。
乾燥装置4は、硬化性樹脂組成物を硬化させる目的のものではなく、塗布膜は乾燥後もある程度の流動性を有し、液状ないしゲル状となっている。
【0042】
カバーフィルム供給部5は、マスク付カバーフィルム6が巻き取られたロール体と、そのロール体を保持する軸等から構成される。
【0043】
ニップロール7は、紫外線硬化性樹脂組成物の塗布膜が形成された透明基材2と、マスク付カバーフィルム6を挟み込む1対のロールからなり、両者を貼合する装置である。貼合のための加圧手段を備えることが好ましく、また、フィルムに対して均一な圧力をかけ易いよう、少なくとも一方のロールがゴム製であることが好ましい。
【0044】
マスク付カバーフィルム6は、図2に示すように、エネルギー線を遮蔽(遮光)する遮蔽パターン(遮光パターン)6aと、エネルギー線(紫外線)を透過する透過パターン6bを有する。すなわち、エネルギー線を透過可能な透明基材の片面または両面に遮蔽パターン6aを形成し、遮蔽パターン6aが形成されていない部分(透過部分)6bは、エネルギー線を透過するように構成する。
このように、紫外線硬化性樹脂の上をマスク付カバーフィルム6で覆って大気との接触を断った密閉状態で紫外線を照射することにより、酸素阻害を起こすような硬化性樹脂を用いても、酸素阻害による硬化不良を防止し、紫外線硬化性樹脂の硬化を十分に行なうことができる。
【0045】
マスク付カバーフィルム6の基材に用いられる材質は、耐熱性、及び紫外線硬化性樹脂組成物の硬化を阻害する350nm〜400nm近傍の紫外線領域に散乱・吸収が小さいものが好ましく、上記の透明基材2に用いられる材質として例示したものから選択することができる。マスク付カバーフィルム6の基材に用いられる材質は、透明基材2に用いられる材質と同じでも異なっても良い。特に、耐熱性、紫外線透過性、及び価格の面から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0046】
また、マスク付カバーフィルム6の硬化性樹脂薄膜層11との貼合面に剥離処理がなされていることが好ましい。カバーフィルムの硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理を施すことで、カバーフィルムを硬化性樹脂薄膜層から剥離する際、硬化性樹脂薄膜層の表面が荒れることによる厚みの不均一化を防止できる。
剥離処理には、例えばシリコーン系やフッ素系の剥離剤の塗布等が挙げられる。
【0047】
遮蔽パターンの形成は、エネルギー線を遮蔽する機能を有する塗料またはインキを印刷する方法、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう剥離(リフトオフ)法により形成する方法、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、前記エネルギー線を遮蔽する機能を有する樹脂シートまたは金属箔を貼り合せた後にフォトリソ法によりエッチングして形成する方法等が挙げられる。
【0048】
図3に示すように、未硬化の硬化性樹脂薄膜層11の上にマスク付カバーフィルム6を貼り合せ、マスク付カバーフィルム6側から紫外線を照射し、マスク付カバーフィルム6の遮蔽パターン(遮蔽部分)6aが形成されていない部分(透過部分)6bにおいて紫外線を透過させて、硬化性樹脂硬化部12を形成する。
【0049】
本形態例において、硬化させるパターンは図2に示すように円形に限らず、図3に示すように多角形や、図4に示すようにストライプ状に硬化するよう遮光パターニングされたカバーフィルムを用いることも可能であり、遮光パターン形状は転写フィルムロールの用途等に応じて自由に選択することができる。
このようにパターン露光を施すことで図4のような連続パターンでは幅方向、図2、3のような不連続な遮蔽パターン6aでは、硬化性樹脂硬化部12が格子状となるため、幅方向のみならず加工流れ方向の塗膜流動も抑制することができ、より優れた塗膜厚みの均一性を確保することができる。
不連続な遮蔽パターン6aの形状は、周囲が透過部分6bに囲まれる閉じた平面形状であれば特に限定されるものではなく、円形や多角形のほか、楕円形など各種形状とすることが可能である。
連続した遮蔽パターン6aの形状は、図4の例では、遮蔽パターン6aは長手方向にわたって均一幅であるが、遮蔽パターン6aの幅が周期的、段階的あるいは連続的に変化する連続パターンとすることも可能である。
【0050】
なお、インプリント用の転写フィルムをロール状で供給する代わりに、枚葉で供給する場合には、図2、3のような不連続パターンのマスク付カバーフィルム6を用いて遮蔽パターン6aが形成されていない部分において硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成した後、硬化性樹脂を硬化させた部分において、該転写フィルムを横幅方向に沿って切断する(切断線を符号13に示す。)ことにより行なう枚葉化工程にて、枚葉の転写フィルムを作製することができる。枚葉の転写フィルムを作製するための切断(スリット)工程は、硬化性樹脂を部分硬化させて得た長尺の転写フィルムを巻取り部9に巻き取った後、改めてロール体から繰り出し行っても良い。
あるいは、巻取り部9を省略し、図5に示すように、硬化性樹脂を部分硬化させて得た長尺の転写フィルムを巻き取ることなく、例えばカッター91により切断工程を行って枚葉の転写フィルム92を製造することもできる。このようにして得られる枚葉の転写フィルム92は、インプリントに使用される硬化性樹脂の未硬化部の周囲が、硬化性樹脂の硬化部で囲まれ、さらに硬化性樹脂が上下から基材フィルムとカバーフィルムとで挟まれるので、ロール状としなくても未硬化樹脂がはみ出すおそれがない。
【0051】
また、図6〜8に示すように、遮蔽パターン6aが形成されていない部分において硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成した後、硬化性樹脂を硬化させた部分において、該転写フィルムを長手方向に沿って切断する(切断線を符号14に示す。)スリット工程によって、同時に複数のロール体を巻き取り、生産性を向上することができる(多面取り)。多面取りでは、基材フィルム及びマスク付カバーフィルムの幅は、製品となる転写フィルムの幅の数倍(例えば、2面取りでは2倍以上、3面取りでは3倍以上)とする。
なお、多面取りと枚葉化を組み合わせ、長手方向に沿って切断した複数本の転写フィルムをそれぞれロール状に巻き取ることなく、転写フィルムの横幅方向に沿って切断して枚葉化することもできる。
【0052】
紫外線照射装置8は、紫外線を発生させる光源部と、光源で発生する熱を除去する冷却装置を備える。
光源部は、紫外線硬化性樹脂組成物を十分に硬化させる紫外線照射量を得られるものであれば高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等のランプ光源や、紫外線領域の発光ピークを持つ発光ダイオードなど自由に選択できる。
中でも紫外線硬化性樹脂組成物の硬化波長以外の波長の光を殆ど出さず、紫外線照射対象物への熱ダメージが少ない発光ダイオードタイプの光源が好適に用いられる。
【0053】
紫外線照射装置8は、透明基材2の全面に紫外線を照射して、硬化性樹脂薄膜層の選択部のみにおいて硬化性樹脂を硬化させる。これにより、図2(b)に示すように硬化性樹脂薄膜層は、未硬化部11と硬化部12を有するものとなる。なお、塗布装置3により塗布される硬化性樹脂が熱硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂である場合は、硬化装置として加熱硬化装置や電子線硬化装置を用いることができる。
操作の容易性から、紫外線硬化性樹脂と紫外線照射装置を用いることが好ましい。
【0054】
巻取り部9は、上述の硬化性樹脂薄膜層11が形成されたインプリント用転写フィルムをロール体に巻き取るための巻き取り軸と、ロール体製品の中心に来るコア材とから構成される。
本形態例で製造される転写フィルムは、コア材の周囲にインプリント用転写フィルムがマスク付カバーフィルムを貼合したままロール状に巻き取られたものであり、所望の長さの転写フィルムが巻き取られた後、巻き取り軸から取り外されて製品となる。
なお、マスク付カバーフィルムを貼合したままロール状または枚葉の製品とすることで、次工程までの期間中、硬化性樹脂薄膜層の表面に異物等が付着することを防止できるため、製品のクリーン度をより高く保つことができ、次工程の作業者が目視で硬化性樹脂薄膜層の未硬化部11と硬化部12を確認することができる。
【0055】
本形態例においては、図9に示すように、巻取り部9において、転写フィルムとともに紫外線吸収フィルム16を巻き込むことも可能である。図9では、紫外線吸収フィルム16は、紫外線吸収フィルム供給部15から供給され、ニップロール17で基材フィルム2の裏面(塗布面の反対側の面)に貼合される。これにより、基材フィルム2が紫外線透過性で、インプリント用転写フィルムをロールから繰り出した後に外部の紫外線を受けることがあっても、塗布面側はマスク付カバーフィルム6の遮蔽パターン6aによって、裏面側は紫外線吸収フィルム16によって、硬化性樹脂薄膜層の未硬化部11が外部の紫外線から確実に保護される。塗布面側のうち、マスク付カバーフィルム6の透過部分6bは紫外線透過性であるが、該透過部分6bの下の硬化性樹脂薄膜層の硬化部12はインプリントの転写に使用されないので、インプリント工程に支障を生じることはない。
【0056】
図10は、本発明の第2の実施形態における、インプリント用の転写フィルムの製造装置、及び製造工程の概要を示すものである。
図10に示す装置は、図1に示した基材供給部1、透明基材2、塗布装置3、乾燥装置4、カバーフィルム供給部5、カバーフィルム18を紫外線硬化性樹脂組成物塗布面に貼合するニップロール7に加え、エネルギー線を遮蔽(遮光)する遮蔽パターン(遮光パターン)の無いカバーフィルム18と紫外線照射装置8が組み込まれた円筒ドラム19からなる。また、図10の巻取り部9は、巻き取られるインプリント用転写フィルムに貼合されたカバーフィルムは相違するが、装置部分は図1の巻取り部9と同様である。
円筒ドラム19は、紫外線照射装置8と、それらを保持する軸等からなる連続露光装置である。
【0057】
円筒ドラム19は、図11に示すように、エネルギー線を遮蔽(遮光)する遮蔽パターン(遮光パターン)19aと、エネルギー線(紫外線)を透過する透過パターン19bを有する。すなわち、エネルギー線を透過可能な円筒ドラム19の片面または両面に遮蔽パターン19aを形成し、遮蔽パターン19aが形成されていない部分(透過部分)19bは、エネルギー線を透過するように構成する。
基材フィルム2の幅方向両端の位置を符号20で示す。円筒ドラム19の円周方向(図11(b)の展開図では左右方向)は基材フィルム2の長手方向に対応する。
円筒ドラム19は、連続的に移送される透明基材2と同じ速度で回転しているので、透明基材2の各部分が円筒ドラム19に巻き付けられた箇所において露光される間、透明基材2に対する遮蔽パターン19a及び透過パターン19bがずれることがなく、所要時間の露光を継続することが可能である。
【0058】
円筒ドラム19の基材に用いられる材質は、耐熱性、及び紫外線硬化性樹脂組成物の硬化を阻害する350nm〜400nm近傍の紫外線領域に散乱・吸収が小さいものが好適に用いられる。
【0059】
遮蔽パターンの形成は、エネルギー線を遮蔽する機能を有する塗料またはインキを印刷する方法、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう剥離(リフトオフ)法により形成する方法、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、前記エネルギー線を遮蔽する機能を有する樹脂シートまたは金属箔を貼り合せた後にフォトリソ法によりエッチングして形成する方法等が挙げられる。
【0060】
未硬化の硬化性樹脂薄膜層11の上にカバーフィルム18を貼り合せ、円筒ドラム19上を通過する際にカバーフィルム18側から紫外線を照射し、円筒ドラム19の遮蔽パターン(遮蔽部分)19aが形成されていない部分(透過部分)19bにおいて紫外線を透過させて、硬化性樹脂硬化部12を形成する。これにより、図14に示すように、遮光部分のないカバーフィルム18が、硬化性樹脂薄膜層の未硬化部11と硬化部12の上を覆った転写フィルム10を製造することができる。また、長尺のカバーフィルムに対して遮蔽パターンを形成する工程を省略することができるので、生産コストを削減することができる。
【0061】
本形態例において、円筒ドラム19における遮光パターン19aは、図11に示すように円形に限らず、図12に示すように多角形や、図13に示すようにストライプ状に硬化するよう遮光パターニングされた円筒ドラムを用いることも可能であり、遮光パターン形状は転写フィルムロールの用途等に応じて自由に選択することができる。
このようにパターン露光を施すことで図13のような連続パターンでは幅方向、図11、12のような不連続な遮蔽パターン19aでは、硬化性樹脂硬化部12が格子状となるため、幅方向のみならず加工流れ方向の塗膜流動も抑制することができ、より高い塗膜厚みの均一性を確保することができる。不連続な遮蔽パターン19aを円筒ドラム19の円周方向に配置する個数(図11、12では4個)は特に限定されず、1個でも複数個でも良い。
図13に示すように遮蔽パターン19aが連続している場合は、円筒ドラム19が回転しなくても、遮蔽パターン19a及び透過パターン19bがずれることがないので、円筒ドラム19が固定されていても構わない。
不連続な遮蔽パターン19aの形状は、周囲が透過部分19bに囲まれる閉じた平面形状であれば特に限定されるものではなく、円形や多角形のほか、楕円形など各種形状とすることが可能である。
連続した遮蔽パターン19aの形状は、図13の例では、遮蔽パターン19aは長手方向にわたって均一幅であるが、遮蔽パターン19aの幅が周期的、段階的あるいは連続的に変化する連続パターンとすることも可能である。
【0062】
また、図示はしていないが、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、紫外線吸収フィルムの積層工程、多面取りのための長手方向スリット工程や、枚葉の転写フィルム製造のための横幅方向スリット工程を行なうことができる。紫外線吸収フィルムの積層工程を行なう場合、転写フィルム10の裏面側のみならず、遮光パターンが形成されていないカバーフィルム18の上にも紫外線吸収フィルムを積層することができる。横幅方向スリット工程を行なう場合、巻取り部9を設ける代わりに、図5に示すようにカッター91等を設けて、枚葉の転写フィルム92を製造することができる。
【0063】
また、図示はしていないが、第1及び第2の実施形態において、塗布工程の前に透明基材2の塗布面の付着ゴミ、埃等を取り除くウェブクリーナーや、塗布面の外観検査をするオンライン検査装置や、製品の巻き取り工程を補助するタッチロール等が必要に応じて設置されていても良い。
本発明により提供される、ロール状で供給されるインプリント用の転写フィルムは、例えば、図15に示すような連続式のインプリント装置に適用することができる。
また、本発明により提供される、枚葉で供給されるインプリント用の転写フィルムは、例えば、特許文献3に示されているようなステップ送り方式のインプリント装置に適用することができる。
【0064】
上記実施形態により製造された、インプリント用ロール状転写フィルム10は、図15に示すようなインプリント装置により微細凹凸形状を転写することができる。
インプリント装置は、本発明により製造されたカバーフィルム6,18付きの転写フィルム10を供給するロール状転写フィルム供給部21と、カバーフィルム6,18を塗布面から剥離するバックロール22と、剥離したカバーフィルム6,18を巻き取るカバーフィルム巻取り部23と、表面に微細凹凸形状を持つ金属製の微細凹凸形状転写ロール24と、微細凹凸形状転写ロール24に転写フィルム10を押しつけるニップロール25と、バックロール26と、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させる紫外線照射装置8と、微細凹凸形状転写フィルム巻取り部27からなる。
【0065】
ロール状転写フィルム供給部21は、インプリントの原料となるカバーフィルム6,18付きの転写フィルム10が巻き取られたロール体と、このロール体を保持する軸等からなる。
剥離装置22は、カバーフィルム6,18を剥離するロールである。
カバーフィルム巻取り部23は、前記剥離装置22にて剥離したカバーフィルム6,18をロール体に巻き取るための巻き取り軸と、ロール体の中心に来るコア材とから構成される。
【0066】
微細凹凸形状転写ロール24は、最終的に形成したい微細凹凸形状とは反転した形状を有する金属製ロールである。また、微細凹凸形状転写ロール24は、形状転写後に転写フィルム10の剥離を容易にするため、剥離処理がなされているものが好適に用いられる。
【0067】
ニップロール25とバックロール26は、転写フィルム10を微細凹凸形状転写ロール24に押しつけ、微細凹凸形状転写ロール24の形状を転写フィルム10に写し取ることができるよう、加圧手段を備えている。
【0068】
紫外線照射装置8は、転写フィルム10が微細凹凸形状転写ロール24に押しつけられている間に紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、転写した微細凹凸形状を安定化させるために設けられている。
本発明の転写フィルムが熱ナノインプリント法に用いられる場合には、紫外線照射装置の代わりに加熱装置が設けられる。この場合、微細凹凸形状を圧縮成形等で転写しながら、転写フィルムの硬化性樹脂組成物を熱硬化させることで、インプリントを行なう。
【0069】
微細凹凸形状転写フィルム巻取り部27は、上述の微細凹凸形状が転写された転写フィルム10をロール体に巻き取るための巻き取り軸と、ロール体製品の中心に来るコア材とから構成される。
【0070】
図16は、従来の微細凹凸形状転写フィルムを製造するための製造工程の概略を示した図である。
透明基材2の供給部1と、塗布装置3と、乾燥装置4と、微細凹凸形状転写ロール24と、ニップロール25と、バックロール26と、微細凹凸形状転写フィルム巻取り部27から構成される。
紫外線硬化性樹脂組成物の成膜工程(塗布・乾燥工程)と、微細凹凸形状転写工程とが連続して設置されており、熟練した技術を要する成膜工程、及び微細凹凸形状転写工程を同時に行なう必要があり、技術的な難易度が非常に高いものであった。
【符号の説明】
【0071】
1…基材供給部、2…透明基材(透明性を有する基材フィルム)、3…塗布装置、4…乾燥装置、5…カバーフィルム供給部、6…マスク付カバーフィルム、6a…遮蔽パターン(遮光パターン)、6b…透過部分(透過パターン)、7…ニップロール、8…紫外線照射装置、9…転写フィルムの巻取り部、10…転写フィルム、11…硬化性樹脂薄膜層の未硬化部、12…硬化性樹脂薄膜層の硬化部、13…枚葉切断時のスリット位置、14…多面取り時のスリット位置、15…紫外線吸収フィルム供給部、16…紫外線吸収フィルム、17…ニップロール、18…カバーフィルム、19…円筒ドラム、19a…遮蔽部分(遮蔽パターン)、19b…透過部分(透過パターン)、20…基材フィルムの位置、21…ロール状転写フィルム供給部、22…剥離装置(バックロール)、23…カバーフィルム巻取り部、24…微細凹凸形状転写ロール、25…ニップロール、26…バックロール、27…インプリント製品巻取り部、91…カッター、92…枚葉の転写フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムの製造方法であって、
少なくとも下記の(1)〜(3)の工程:
(1)長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する合成樹脂フィルムからなり、一方の面にエネルギー線を遮蔽する遮蔽パターンを形成した、長尺のマスク付カバーフィルムを準備する工程、
(2)長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、未硬化で液状の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂薄膜層を形成する工程、
(3)前記硬化性樹脂薄膜層の上に前記マスク付カバーフィルムを貼り合せ、前記マスク付カバーフィルム側からエネルギー線を照射して、前記マスク付カバーフィルムの前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成する工程、
を含むことを特徴とするインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記遮蔽パターンの形成は、前記エネルギー線を遮蔽する機能を有する塗料またはインキを印刷する方法、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう剥離(リフトオフ)法により形成する方法、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、前記エネルギー線を遮蔽する機能を有する樹脂シートまたは金属箔を貼り合せた後にフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、のいずれかの方法によるものであることを特徴とする請求項1に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記遮蔽パターンの形状は、前記マスク付カバーフィルムの長手方向に離間して複数配置された不連続パターン、もしくは前記マスク付カバーフィルムの長手方向に連続した連続パターンのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記マスク付カバーフィルムにおいて、前記硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理がなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項5】
更に、前記マスク付カバーフィルムの前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成した後、硬化性樹脂を硬化させた部分において、該転写フィルムを長手方向に沿って切断するスリット工程、及び/又は該転写フィルムを横幅方向に沿って切断して行なう枚葉化工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項6】
微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムの製造方法であって、
少なくとも下記の(1)〜(2)の工程:
(1)長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、未硬化で液状の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂薄膜層を形成する工程、
(2)前記硬化性樹脂薄膜層の上に長さ1〜10000mの長尺の透明性を有する合成樹脂フィルムからなるカバーフィルムを貼り合せ、エネルギー線を遮蔽する遮蔽パターンを形成した連続露光装置を用いてエネルギー線を照射し、前記連続露光装置の前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成する工程、
を含むことを特徴とするインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記連続露光装置は、エネルギー線を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられた遮蔽パターン部分と、前記円筒ドラム内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた透明基材に対して円筒ドラムの内側からエネルギー線を照射する装置であることを特徴とする請求項6に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記遮蔽パターンの形状は、前記円筒ドラムの円周方向に離間して複数配置された不連続パターン、もしくは前記円筒ドラムの円周方向に連続した連続パターンのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項9】
更に、前記連続露光装置の前記遮蔽パターンが形成されていない部分において前記硬化性樹脂を硬化させた転写フィルムを形成した後、硬化性樹脂を硬化させた部分において、該転写フィルムを長手方向に沿って切断するスリット工程、及び/又は該転写フィルムを横幅方向に沿って切断して行なう枚葉化工程を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記カバーフィルムにおいて、前記硬化性樹脂薄膜層との貼合面に剥離処理がなされていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルムの製造方法。
【請求項11】
微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムであって、
透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、部分的に硬化された硬化性樹脂組成物の部分と未硬化の硬化性樹脂組成物の部分からなる硬化性樹脂薄膜層が形成されてなり、エネルギー線を遮蔽するパターンが形成された透明性を有する合成樹脂フィルムからなるマスク付カバーフィルムが積層されてなることを特徴とするインプリント用の転写フィルム。
【請求項12】
微細なパターンが形成されたスタンパと貼り合せた後、エネルギー線を照射して硬化性樹脂を硬化させてスタンパのパターンを転写するための、インプリント用の転写フィルムであって、
透明性を有する基材フィルムの一方の面上に、エネルギー線を遮蔽するパターンが形成された連続露光装置により、部分的に硬化された硬化性樹脂組成物の部分と未硬化の硬化性樹脂組成物の部分からなる硬化性樹脂薄膜層が形成されてなり、透明性を有する合成樹脂フィルムからなるカバーフィルムが積層されてなることを特徴とするインプリント用の転写フィルム。
【請求項13】
ロール状で供給されるインプリント用の転写フィルムであることを特徴とする請求項11または12に記載のインプリント用の転写フィルム。
【請求項14】
長さ1〜10000mの長尺状であって、ロール体に巻かれていることを特徴とする請求項13に記載のインプリント用の転写フィルム。
【請求項15】
枚葉で供給されるインプリント用の転写フィルムであることを特徴とする請求項11または12に記載のインプリント用の転写フィルム。
【請求項16】
光学機能フィルム、半導体素子、精密機械部材、磁気記録媒体部材からなる群のいずれか一つを製造するのに用いられるものであることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルム。
【請求項17】
前記基材フィルムには、インプリント装置のスタンパに位置合わせするための合せマークが2次元配置されてなることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のインプリント用の転写フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−225785(P2010−225785A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70591(P2009−70591)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】