説明

インホイールモータユニットの冷却構造

【課題】異種材料間の熱結合部分を無くして放熱効率が向上するインホイールモータユニットの冷却構造を提供する。
【解決手段】ロードホイール21の内方領域に装備されたモータユニット1に熱伝導部材100を設け、この熱伝導部材100に下方に向けて延在する延長部100aを形成している。車両走行時に延長部100aに走行風が当たるため、延長部100aが放熱部材として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪のロードホイールに装備されたインホイールモータユニットの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等では、車輪のロードホイール内にモータユニットを装備して、モータの駆動力を車輪に直接伝達するようにしたものがある。モータユニットはモータおよびインバータ等から構成される。
【0003】
モータユニットは、走行時の負荷によってモータが発熱されるため、この発生熱を冷却する必要があり、例えば、特許文献1にはモータの冷却構造が提案されている。
【0004】
この冷却構造は、モータで発生した熱を、冷媒およびヒートシンク以外にパワーケーブルにも伝熱し、このパワーケーブルから放熱することで冷却効率を向上させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−278277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来のモータの冷却構造は、最終的にパワーケーブルに伝熱された熱を放熱するには、金属(銅)製の導線からこの導線の被覆材を介して外気に放熱されることになる。つまり、熱源であるモータから放熱部であるパワーケーブルまでの間に、冷媒とヒートシンク、ヒートシンクとパワーケーブルの導線、この導線とパワーケーブルの被覆材といった異種材料間の熱結合部分が多く存在することになる。
【0007】
このため、それらの異種材料間の熱結合部分を介して伝熱される毎に熱抵抗が上昇してしまい、モータからパワーケーブルの被覆材までの伝熱効率が低下して、結果的にモータの発生熱を効率良く放熱できないという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて、異種材料間の熱結合部分を無くして放熱効率を向上できるインホイールモータユニットの冷却構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインホイールモータユニットの冷却構造にあっては、少なくともモータを備えたインホイールモータユニットをロードホイールの内方領域に配置し、前記インホイールモータユニットにシート状の熱伝導部材を設け、該熱伝導部材に、少なくとも一部を外方に向けて延設した延長部を形成することにより、この延長部を放熱部材として活用することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インホイールモータユニットに設けた熱伝導部材に延長部を形成した。従って、前記延長部は、車両走行時に走行風が当たる放熱部材としての作用を有するため、インホイールモータユニットで発生した熱を効率的に放熱して冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す第1の実施形態の正面断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す第2の実施形態の正面断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す第3の実施形態の正面断面図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施形態を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す第4の実施形態の正面断面図である。
【図9】図9は、本発明の第5の実施形態を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す第5の実施形態の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1および図2は、本発明にかかるインホイールモータユニット(以下、モータユニットと称す)1の冷却構造の第1の実施形態を示す。このモータユニット1は、車輪2のロードホイール21の内方領域に装備されて、この車輪2を駆動するようになっている。
【0014】
モータユニット1は、モータ11と、このモータ11の駆動用電流を直流から交流に変換するインバータ12と、モータ11の出力回転を減速して車輪2に伝達する減速機13とを備えている。モータユニット1は、ロードホイール21の内方領域に配置されて、ハブ3を回転自在に支持する車軸4側に取り付けられる。なお、ロードホイール21の内方領域とは、ロードホイール21の内方部分を回転軸方向(車幅方向内側)に投影させた範囲を意味し、ロードホイール21の車幅方向内側(図2中左側)の端部からモータユニット1が突出されていてもよい。
【0015】
本実施形態では、モータユニット1においては、モータ11の車幅方向内側にインバータ12が同軸状に配置され、かつ、モータ11の車幅方向外側に減速機13が配置される。従って、インバータ12は、モータユニット1における最も車幅方向内側に配置されている。そして、モータハウジング11aとインバータハウジング12a、およびモータハウジング11aと減速機ハウジング13aがそれぞれ結合されて、モータ11、インバータ12および減速機13が一体化されてモータユニット1を構成している。
【0016】
車輪2は、ロードホイール21およびタイヤ22を備え、ロードホイール21の外周部に設けられたリム21aの外周にタイヤ22が嵌着されている。そして、リム21aの内周部に繋がるディスク部21bの中心部がハブ3に締結されることにより、車輪2は車軸4に回転自在に取り付けられる。車軸4はサスペンション5によって支持されており、このサスペンション5および車輪2によって車体が懸架される。
【0017】
ハブ3にはブレーキロータ6(図2参照)が固定され、このブレーキロータ6にはキャリパ61(図1参照)が取り付けられ、制動時にはキャリパ61のブレーキパッド(図示省略)がブレーキロータ6の両面を挟み込んで摩擦抵抗を発生させるようになっている。
【0018】
サスペンション5は、本実施形態ではストラット型のフロントサスペンションが示されており、このサスペンション5は、サスペンションメンバとしてのトランスバースリンク51およびストラット52を備えている。ストラット52は、ショックアブソーバを内蔵した外筒下端にステアリングナックル41(図1参照)を固定し、そして、トランスバースリンク51の車幅方向外側の先端にボールジョイント42で結合されている。
【0019】
トランスバースリンク51は、車幅方向内側端部がゴムブッシュ53によって車体側メンバに連結支持される。なお、ステアリングナックル41は、前述した車軸4と一体となってナックルスピンドルを構成している。また、ステアリングナックル41にはステアリングロッド7が連結されて、このステアリングロッド7の左右移動でナックルスピンドルをキングピン軸廻りに回動させて車輪2が操舵される。
【0020】
ここで、本実施形態では、前記モータユニット1にシート状の熱伝導部材100を設け、該熱伝導部材100の下部(少なくとも一部)を下方(外方)に向けて延設した延長部100aを形成している。ロードホイール21の内方領域に配置されたモータユニット1は、ほぼホイールセンター部分に位置しており、このホイールセンターの下部に配置された延長部100aは、上部よりも走行風の風速が大きくなる領域である。これにより、風速が大きくなる方向に向けて熱伝導部材100が延在されることになる。
【0021】
このとき、熱伝導部材100は、モータユニット1の最も車幅方向内側に位置するインバータ12における車幅方向内側の端面12Eから延設されている。具体的には、熱伝導部材100は、インバータハウジング12aの車幅方向内側の端面12Eの全面に当接した状態でボルトを介して一体的に結合され、インバータハウジング12aから下方に向けて延長部100aが延在している。
【0022】
また、熱伝導部材100の前後幅は、図1に示すように、インバータハウジング12aの端面12Eよりも大きく形成されている。このため、熱伝導部材100の前後は、インバータハウジング12aの端面12Eの前側方向および後側方向に突出している。また、インバータハウジング12aの端面12Eの上端よりも上方に延設され、端面12Eの下端よりも下方に延設されている。このように、熱伝導部材100は、インバータハウジング12aの端面12Eよりも十分に広い面積に形成されている。
【0023】
更に、熱伝導部材100は、放熱性の良い可撓性材料によって形成され、特に、本実施形態では熱伝導部材100がグラファイトシートによって形成されている。このグラファイトシートは、適度な可撓性を有すると共に、放熱性に優れている。グラファイトシートは、例えば軽金属のアルミニウムよりも放熱性能が優れている。
【0024】
従って、本実施形態のモータユニット1では、モータ11が駆動される際に熱が発生するが、特に、高速走行や急坂走行等による高負荷時には熱の発生量が大きい。このように発生した熱は、モータハウジング11aからインバータハウジング12aおよび減速機ハウジング13aへと伝熱され、結果的にモータユニット1全体から熱を発することになる。
【0025】
そして、モータユニット1で発生した熱は、インバータ12の端面12Eにボルトを介して締結した熱伝導部材100に伝熱され、この熱伝導部材100の延長部100aに伝導された熱は、車両走行時に車体下部を通過する走行風と熱交換することによって放熱される。
【0026】
以上説明したように、第1の実施形態のモータユニット1の冷却構造によれば、モータユニット1に取り付けた熱伝導部材100の一部を、このモータユニット1よりも下方に向けて延設させて延長部100aを形成している。このように、熱伝導部材100の延長部100aを下方へ延在させたことにより、熱伝導部材100の放熱面積を拡大することができる。
【0027】
また、モータユニット1よりも下方となる車体下部は、車両走行時の走行風の風速が大きくなる領域であるため、熱伝導部材100の延長部100aは、冷却風となる走行風が多く当たることになる。従って、熱伝導部材100の放熱面積が拡大され、かつ、走行風が多く当たることにより、モータユニット1の冷却性能がより向上する。
【0028】
このとき、熱伝導部材100はモータユニット1に直接に当接されて、冷媒などの異種の熱伝達媒体を介在させていないため、低い熱抵抗で発生熱をモータユニット1から熱伝導部材100に移動させることができる。これにより、熱抵抗の上昇を抑え、かつ、熱伝導部材100での放熱効果を高めることができる。
【0029】
更に、前述したように熱伝導部材100の放熱面積が拡大されたことにより、高熱の拡散効果を高めてヒートスポットを抑制でき、ひいては、モータユニット1の冷却を促進することができる。
【0030】
更にまた、本実施形態によれば、熱伝導部材100を可撓性材料によって形成した。このため、車両走行時に熱伝導部材100が走行風で煽られて近傍の車両部品に当たった場合でも、熱伝導部材100の損傷を好適に抑制することができる。
【0031】
特に、本実施形態では、熱伝導部材100を放熱性と可撓性に優れたグラファイトシートで形成したので、前述した可撓性による効果を発揮しつつモータユニット1の冷却効果を高めることができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、熱伝導部材100を、モータユニット1の最も車幅方向内側に配置されたインバータ12の端面12Eから下方に向けて延設してあるので、熱伝導部材100を、車体下部を通過する風速が大きい走行風に効率良く接触させることができる。これにより、熱伝導部材100の放熱性能が向上されてモータユニット1の冷却効率をより高めることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、車輪2が、ストラット型のフロントサスペンションに支持される前輪の場合に例を取って説明した。しかし、後輪であってもよく、また、ストラット型以外のサスペンション構造であっても本発明を適用することができる。
【0034】
[第2の実施形態]
図3および図4は、本発明の第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0035】
本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、下方に向けて延在させた熱伝導部材200の延長部200aの先端部201を、モータユニット1よりも下方に位置する足回り部品であるサスペンション5に接続したことにある。
【0036】
具体的には、図3,4に示すように、熱伝導部材200の下部に形成した延長部200aの下端部を車幅方向内側に屈曲させて先端部201を形成し、この先端部201の前後面を下方に折り曲げて屈曲部201aを形成している。そして、サスペンションとしてのトランスバースリンク51に、熱伝導部材200の先端部201および屈曲部201aを巻き付けている。
【0037】
このとき、屈曲部201aをトランスバースリンク51に巻き付けた熱伝導部材200の先端部201は、易締結部材としてのクリップ110によってトランスバースリンク51にワンタッチで締結される。先端部201およびトランスバースリンク51のクリップ110を取り付ける箇所には、予め取付孔が形成されており、その取付孔にクリップ110を挿入するのみでワンタッチでの締結が可能となっている。
【0038】
また、本実施形態にあっても、熱伝導部材100は、可撓性材料であるグラファイトシートで形成されている。
【0039】
この第2の実施形態のモータユニット1の冷却構造によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。また、それに加えて、熱伝導部材200の先端部201を、足回り部品であるサスペンション5のトランスバースリンク51に接続してある。このトランスバースリンク51は、モータユニット1よりも下方に位置しており、走行時は常に風速の大きい走行風が当たっている。
【0040】
従って、下方への延在によって放熱面積が拡大されている熱伝導部材200は、先端部201を介してトランスバースリンク51にも効率良く放熱でき、ひいては、モータユニット1の冷却性能を更に高めることができる。
【0041】
また、熱伝導部材200は、サスペンション5のトランスバースリンク51に直接に接続されることにより、低い熱抵抗で熱を移動させることができる。これにより、熱抵抗の上昇を抑えてトランスバースリンク51での放熱効果を高めることができる。勿論、この場合にも高熱拡散によりヒートスポットも抑制できる。
【0042】
更に、本実施形態によれば、サスペンション5のトランスバースリンク51に接続した熱伝導部材200の先端部201に屈曲部201aを設けて、これらの先端部201と屈曲部201aをトランスバースリンク51の表面に巻き付けてある。これにより、熱伝導部材200は、走行風が多く当たるトランスバースリンク51の表面に効率良く放熱できるため、モータユニット1の冷却性能を更に向上できる。
【0043】
更にまた、本実施形態によれば、熱伝導部材200の先端部201は、易締結部材であるクリップ110によってトランスバースリンク51にワンタッチで締結できるので、熱伝導部材200の組み付けを容易に行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態では、熱伝導部材200の先端部201の接続は、サスペンション5のトランスバースリンク51以外の他の足回り部品であっても同様の効果を望むことができる。例えば、リーフスプリング、トレーリング型のサスペンションアームまたはウイッシュボーン型のAアーム、更にはステアリングナックル41等のステアリング構造部であってもよい。このことは、以下に述べる第3から第5の実施形態にあっても同様とする。
【0045】
[第3の実施形態]
図5および図6は、本発明の第3の実施形態を示し、第2の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0046】
本実施形態が第2の実施形態と主に異なる点は、熱伝導部材300がモータ11とインバータ12との間に配置されたことにある。つまり、下方に向けて延在させた熱伝導部材300のモータユニット1への取付部分を、モータハウジング11aとインバータハウジング12aとの間に挟み込んで、それら両ハウジング11a、12aを結合するようになっている。
【0047】
また、本実施形態にあっても熱伝導部材300の下部に配置した延長部300aの先端部301は、延長部300aの下端部を車幅方向内側に屈曲させて形成され、先端部301の前後面を下方に折り曲げて屈曲部301aを形成している。これらの先端部301および屈曲部301aは、トランスバースリンク51に接続され、かつ、先端部301および屈曲部301aをトランスバースリンク51の表面に巻き付けてある。
【0048】
この第3の実施形態のモータユニット1の冷却構造によれば、熱伝導部材300をモータ11とインバータ12との間に挟持させてある。これにより、熱伝導部材300が電磁波シールドとなり、モータ11とインバータ12との間の相互ノイズの影響を抑制できる。また、熱伝導部材300によってモータ11とインバータ12との間の熱干渉をも抑制できるようになり、モータ11およびインバータ12の制御精度を高めることができる。
【0049】
勿論、本実施形態は第1の実施形態にも適用することができ、熱伝導部材300をインバータ12の端面12Eに設けた効果以外は、本実施形態の電磁波シールド機能を含めて、第1および第2の実施形態と同様の作用効果をそれぞれ奏することができる。
【0050】
[第4の実施形態]
図7および図8は、本発明の第4の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0051】
本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、熱伝導部材400の先端部401が、足回り部品のサスペンション5のトランスバースリンク51の上面に回転可能に支持された回転摺動部120に結合されたことにある。
【0052】
即ち、熱伝導部材400は、下部の延長部400aを含めて面方向が略前後方向に沿って配置されるが、その先端部401の前後方向略中央部が回転摺動部120に結合されている。回転摺動部120は、熱伝導性を有する細い円柱部材であり、前後方向に沿って延びている。回転摺動部120は、回転軸が上下方向に配置され、熱伝導部材400の延長部400aは、回転摺動部120をピボット点としてトランスバースリンク51との相対回転が許容される。
【0053】
また、回転摺動部120は、熱伝導部材400の先端部401と常時接触しているため、熱伝導部材400からトランスバースリンク51に熱伝導できるようになっている。
【0054】
なお、本実施形態にあっても熱伝導部材400は、可撓性材料(グラファイトシート)で形成されている。
【0055】
この第4の実施形態のモータユニット1の冷却構造によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、熱伝導部材400の先端部401を、回転摺動部120を介してトランスバースリンク51に回動可能に接続してある。これにより、車輪2が操舵されてモータユニット1とトランスバースリンク51とが相対移動された場合にも、これに追従して回転摺動部120が回転するため、熱伝導部材400の捩れを抑制できる。
【0056】
[第5の実施形態]
図9および図10は、本発明の第5の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0057】
本実施形態では、熱伝導部材500の下部に延長部500aを形成し、該延長部500aの先端を車幅方向内側に折り曲げて、足回り部品であるサスペンション5のトランスバースリンク51への接続部502を形成している。また、接続部502をトランスバースリンク51の上面51Sよりも外方に延長させて上面51Sに接続している。
【0058】
即ち、熱伝導部材100の接続部502は、熱伝導部材500の延長部500aを車幅方向内側に向けて屈曲させて略水平方向(前後および左右方向)に平坦状に延設して形成されている。そして、その先端部501の面積を、このトランスバースリンク51の熱伝導部材500が取り付けられる上面51Sよりも十分に大きく形成してある。従って、接続部502の前側、後側および車幅方向内側は、トランスバースリンク51よりも大きく形成している。
【0059】
従って、図9に示すように、熱伝導部材500をトランスバースリンク51の上面51Sにクリップ110を介して取り付ける際に、接続部502がトランスバースリンク51から前後方向および車幅方向内側にはみ出されるようになっている。
【0060】
この第4の実施形態のモータユニット1の冷却構造によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、熱伝導部材500の接続部502が、トランスバースリンク51の上面51Sからはみ出して接続されている。これにより、熱伝導部材500は、接続部502によって面積を大きく稼ぐことができるため、熱伝導部材500の放熱面積を拡大でき、ひいては、モータユニット1の冷却性能を更に向上できる。
【0061】
ところで、本発明にかかるインホイールモータユニットの冷却構造は、前述した各実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。つまり、本実施形態で示した以外の各種足回り構造や各種サスペンション構造にあっても本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、インホイールモータユニットで駆動される車両にあって、前記インホイールモータユニットの冷却構造に用いることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 インホイールモータユニット
11 モータ
12 インバータ
12E インバータの車幅方向内側の端面
2 車輪
21 ロードホイール
5 サスペンション(足回り部品)
100,200,300,400,500 熱伝導部材(グラファイトシート)
100a,200a,300a,400a,500a 延長部
201,301,401 熱伝導部材の先端部
110 クリップ(易締結部材)
120 回転摺動部
502 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともモータを備えてロードホイールの内方領域に装備され、車輪を回転駆動するインホイールモータユニットを冷却するインホイールモータユニットの冷却構造であって、
前記インホイールモータユニットにシート状の熱伝導部材を設け、該熱伝導部材の少なくとも一部を外方に向けて延設した延長部を形成したことを特徴とするインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項2】
前記延長部は、前記インホイールモータユニットよりも下方に向けて延在していることを特徴とする請求項1に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項3】
前記熱伝導部材の延長部の下部に設けた先端部を、前記インホイールモータユニットよりも下方に位置する足回り部品に接続したことを特徴とする請求項2に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、可撓性材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項5】
前記インホイールモータユニットは、最も車幅方向内側にインバータを備え、前記熱伝導部材が前記インバータの車幅方向内側の端面に当接していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項6】
前記インホイールモータユニットは、最も車幅方向内側にインバータを備え、前記熱伝導部材は、前記モータと前記インバータとの間に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項7】
前記足回り部品は、サスペンションであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項8】
前記熱伝導部材の先端部は、前記サスペンションの表面に巻き付けられた状態で接続されていることを特徴とする請求項7に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項9】
前記熱伝導部材は、前記サスペンションに容易に締結可能な易締結部材で固定されることを特徴とする請求項7または8に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項10】
前記熱伝導部材は、グラファイトシートで形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、先端部が回転摺動部を介して足回り部品に接続されていることを特徴とする請求項1〜2,4〜7,10のうちいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。
【請求項12】
前記熱伝導部材は前記サスペンションへの接続部を有し、該接続部における少なくとも前後長さが、サスペンションの上面よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項7,9,10のいずれか1項に記載のインホイールモータユニットの冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63727(P2013−63727A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204413(P2011−204413)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】