説明

インモールド用転写フィルム

【課題】被転写体に対する印刷インク層の転写性の向上を容易に図ることのできる高性能のインモールド用転写フィルムを提供する。
【解決手段】基材2と剥離層3との界面における接着力をF1とし、剥離層3と印刷インク層4との界面における接着力をF2とし、印刷インク層4と被転写体との界面における接着力をF3とし、剥離層3の凝集力をF4とし、印刷インク層4の凝集力をF5としたときに、F2>F1、F3>F2、F3>F1、F3>F1+F4+F5を満足するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インモールド用転写フィルムに係り、特に、少量多品種に好適なインモールド用転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷を施したインモールド用転写フィルム(シート)を射出成形に用いる金型の内部に挟み込むことで、射出成形による被転写体となる成形品の形成と同時に、金型内で成形品の表面に模様や文字などの種々の画像の転写(加飾)を行なうインモールド成形が知られている。
【0003】
このようなインモールド成形に用いられるインモールド用転写フィルムの一種として、基材の一面に剥離層が形成されており、この剥離層の表面に、熱転写プリンタにより熱転写されたインクによる印刷インク層が形成されているものが、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷方法や蒸着など、版を用いて印刷インク層を形成する場合に比べて少量多品種生産に好適であるなどの理由により提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図2は、インモールド成形の概略を工程順に説明する説明図であり、インモールド成形は、図2(a)に示すように、1対の金型101A、101Bの相互間が開いた型開状態とし、金型101(符号101は、1対の金型101A、101Bを総称する。)の相互間の所定に位置にインモールド用転写フィルム102をセットする。この時、インモールド用転写フィルム102は、基材102aに形成されている印刷インク層102bをキャビティ101c(図2(b))に充填される材料側に向けて配置される。
【0005】
ついで、図2(b)に示すように、金型101の型締めを行って金型101が閉じた型閉状態とする。この時、金型101にインモールド用転写フィルム102の所定の部分が挟み込まれる。
【0006】
ついで、図2(c)に示すように、閉状態とされた金型101のキャビティ101cに材料103を射出し、その後、金型101に射出された材料103を冷却して固化して被転写体としての成形品104を得る。この時、キャビティ101cに射出された材料は、キャビティ101cに配置されているインモールド用転写フィルム102の印刷インク層102bを覆うように充填される。また、材料に接触した印刷インク層102bは、材料の熱と圧力(射出圧)を受けて成形品104の表面に接着(熱転写)される。
【0007】
ついで、図2(d)に示すように、金型101を型開状態として成形品104を金型101のキャビティ101cから脱型する。この時、印刷インク層102bのうちの成形品104に接着した部分は、インモールド用転写フィルム102の基材102aから剥離される。
【0008】
このように、インモールド成形においては、成形品104への画像である印刷インク層102aの転写による印刷(加飾)が成形と同時に行われるようになっている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−127596号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年においては金型技術およびコンピュータデザインの高性能化が進んでおり、インモールド用転写フィルム102においても被転写体104に転写する画像としての印刷インク層102aの形状追従性や意匠性などの向上が求められている。
【0011】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、被転写体に転写する画像としての印刷インク層の形状追従性や意匠性などの向上を容易に図ることのできる高性能のインモールド用転写フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するため、本発明に係るインモールド用転写フィルムの特徴は、フィルム状に形成されている基材の一面に剥離層が形成されており、前記剥離層の表面には熱転写プリンタにより熱転写されたインクによる印刷インク層が形成されており、インモールド成形により、被転写体となる成形品の形成と、前記成形品の表面に対する前記印刷インク層の熱転写による印刷とを同時に行うことができるように形成されているインモールド用転写フィルムであって、前記基材と前記剥離層との界面における接着力をF1とし、前記剥離層と前記印刷インク層との界面における接着力をF2とし、前記印刷インク層と前記被転写体との界面における接着力をF3とし、前記剥離層の凝集力をF4とし、前記印刷インク層の凝集力をF5としたときに、F2>F1、F3>F2、F3>F1、F3>F1+F4+F5を満足するように形成されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、インモールド成形により基材と剥離層との界面で確実かつ容易に剥離を行うことができる。その結果、成形品に転写する印刷インク層の転写性の向上による高性能化を容易に図ることができる。
【0013】
前記印刷インク層が、少なくとも部分的に多層に形成されており、前記多層部分における隣位の2層の印刷インク層の界面のそれぞれの接着力が、前記F1より大きく形成されていることが好ましい。そして、このような構成を採用したことにより、被転写体にフルカラーや多色などの多種多様の印刷を行う場合であってもインモールド成形により基材と剥離層との界面での剥離を確実かつ容易に行うことができる。
【0014】
前記F1が0.02〜0.3(N/cm)であることが好ましく、また、前記剥離層および前記印刷インク層は、それぞれのガラス転移温度が50〜150℃であることが好ましい。そして、このような構成を採用したことにより、インモールド成形により基材と剥離層との界面での剥離をより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るインモールド用転写フィルムによれば、インモールド成形により基材と剥離層との界面で確実かつ容易に剥離を行うことができるので、被転写体に転写する画像としての印刷インク層の形状追従性や意匠性の向上による高性能化を容易に図ることができるなどの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0017】
図1は本発明に係るインモールド用転写フィルムの実施形態を示す模式的断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のインモールド用転写フィルム1は、所定サイズのフィルム(シート)状の基材2の上面に剥離層3が形成されており、この剥離層3の上面には、インモールド成形により被転写体としての成形品11の表面に転写される印刷インク層4が形成されている。また、本実施形態のインモールド用転写フィルム1は、インモールド成形により、基材2と剥離層3との界面で分離され、印刷インク層4および剥離層3の両者が被転写体となる成形品11に転写(熱転写)されるように構成されている。
【0019】
前記印刷インク層4としては、単層であってもよいし、図1に2点鎖線にて示すように多層であってもよい。ここで、印刷インク層4を単層とするか多層とするかは、被転写体となる成形品11に転写する画像のパターンや色およびこれらの組合せなどの必要に応じて選択すればよい。
【0020】
本実施形態のインモールド用転写フィルム1は、基材2と剥離層3との界面における接着力をF1とし、剥離層3と印刷インク層4との界面における接着力をF2とし、印刷インク層4と被転写体との界面における接着力をF3とし、剥離層3の凝集力をF4とし、印刷インク層4の凝集力をF5としたときに、F2>F1、F3>F2、F3>F1、F3>F1+F4+F5を満足するように形成されている。勿論、F2>F1、F3>F2、F3>F1、F3>F1+F4+F5のすべてを満足するように形成されている。
【0021】
前記F1としては、0.02〜0.3(mN/cm)であることが好ましく、0.05〜0.1(mN/cm)であることがより好ましい。F1がこの範囲を超えると、成形品11を金型から取り出す際に、基材2の破損やインクの凝集破壊などによる転写不良が発生する傾向があり、この範囲を下回ると、印刷インク層4が基材2から脱落する粉落ちが生じたり、基材2に積層することができない傾向があるからである。
【0022】
また、前記印刷インク層4が多層に形成されている場合には、多層部分における隣位の2層の印刷インク層4の界面のそれぞれの接着力が、前記F1より大きく形成されていることが、被転写体にフルカラーや多色などの多種多様の印刷を行う場合であっても、インモールド成形により基材2と剥離層3との界面で確実かつ容易に剥離を行うことができるという意味で肝要である。
【0023】
すなわち、図1の2点鎖線にて示すように、印刷インク層4が多層に形成されている場合には、印刷インク層4の総数を、N(但し、Nは1以上の整数である。)とし、各印刷インク層4の隣位する相互間の界面におけるそれぞれの接着力をFSn(但し、nは1以上の整数で、その最大値はN−1であり、また、剥離層3に隣位する界面のnは1とする。)としたときに、各界面のそれぞれの接着力FSnが、FSn>F1を満足するように形成されていることが肝要である。
【0024】
なお、前記F1〜F5およびFSnの単位は、mN/cmが一般的である。
【0025】
前記剥離層3および前記印刷インク層4は、それぞれのガラス転移温度が50〜150℃であることが好ましく、60〜90℃であることがより好ましい。ガラス転移温度がこの範囲を超えると成形品11との接着が弱い傾向があり、この範囲を下回ると金型のキャビティに射出された成形品11を得るための材料によって画像が変形したり、流れ易い傾向があるからである。したがって、剥離層3および前記印刷インク層4としては、熱可塑性を備え、かつ、それぞれのガラス転移温度が50〜150℃であるものが好ましい。
【0026】
前記基材2としては、常時は剥離層3を支持し、成形に耐えうる耐熱性、機械的特性(強さ)などを有するものであればよく、一般的にはポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルムなどが挙げられる。
【0027】
前記基材2の厚さとしては、基材2の耐熱性および機械的特性などがインモールド成形に適切になるように、使用する材料に応じて適宜変更することができるが、その厚さは、好ましくは、2μm以上、より好ましくは2〜100μmである。
【0028】
前記剥離層3は、熱転写プリンタによりインクリボンの剥離層形成用のインクを基材2に熱転写することにより形成されていることが、少量多品種生産に好適であるなどの理由により好ましい。
【0029】
前記剥離層3を形成するための剥離層形成用のインクとしては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂などを単独もしくは2種以上混合した熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0030】
前記剥離層3の厚さとしては、0.5〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜3.0μmであることがより好ましい。剥離層3の厚さがこの範囲を超えると成形品11の縁から剥離層とともに転写した印刷インク層のインクがはみ出すというバリが発生する傾向があり、この範囲を下回ると基材2から剥離層3が安定して剥がれない傾向があるからである。
【0031】
前記印刷インク層4は、熱転写プリンタによりインクリボンの印刷インク層形成用のインクを剥離層3の表面に熱転写することにより形成されていることが、少量多品種生産に好適であるなどの理由により好ましい。
【0032】
なお、印刷インク層4を多層とするには、剥離層3の表面に最初のインクによる印刷インク層4が形成され、この印刷インク層4の表面に対して2番目のインクによる2層目の印刷インク層4が形成され、以下必要な層の数だけインクを重ねて多層の印刷インク層4が形成されるようになっている。
【0033】
前記印刷インク層4を形成するためのインク層形成用のインクとしては、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂などを単独もしくは混合した熱可塑性樹脂が挙げられる。このような熱可塑性樹脂には、設計コンセプトなどの必要に応じて、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックスなどの天然ワックスや、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックスを添加することができる。そして、これらで作られた熱可塑性樹脂をバインダとし、このバインダに、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などの着色剤を混合させインクとする。
【0034】
前記イエローの着色材としては、例えば、ジスアゾイエローHR、ナフトールイエローS、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3G、ハンザイエローG、ハンザイエローGR、ハンザイエローA、ハンザイエローRN、ハンザイエローR、ベンジジンイエローなどが用いられる。
【0035】
前記マゼンタの着色材としては、例えば、キナクリドンレッド、パーマネントカーミンF5B、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントカーミンFBなどが用いられる。
【0036】
前記シアンの着色材としては、例えば、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシニアニンブルー、フタロシニアニンブルー、フアストスカイブルーなどが用いられる。
【0037】
前記剥離層3および印刷インク層4としては、そのガラス転移温度が50〜150℃であることが好ましく、60〜90℃であることがより好ましい。ガラス転移温度がこの範囲を超えると成形品11との接着が弱い傾向があり、この範囲を下回ると金型のキャビティに射出された成形品11を得るための材料によって画像が変形したり、インクが流れ易い傾向があるからである。
【0038】
なお、前記印刷インク層4は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色を組み合わせて重ねることによりカラー画像を得ることができる。また、印刷インク層4としては、設計コンセプトなどの必要に応じてブラック(BK)、透明、各種のメタリック色を用いることができる。
【0039】
前記被転写体となる成形品11の材料としては、金型のキャビティに射出成形可能な材料であればよく、各種の樹脂、セラミックス、ゴムなどが挙げられる。
【0040】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0041】
本実施形態のインモールド用転写フィルム1によれば、基材2と剥離層3との界面における接着力をF1とし、剥離層3と印刷インク層4との界面における接着力をF2とし、印刷インク層4と被転写体との界面における接着力をF3とし、剥離層3の凝集力をF4とし、印刷インク層4の凝集力をF5としたときに、F2>F1、F3>F2、F3>F1、F3>F1+F4+F5を満足するように形成されているので、インモールド成形により基材2と剥離層3との界面で確実かつ容易に剥離を行うことができる。
【0042】
すなわち、インモールド成形により、剥離層3および印刷インク層4を基材2から確実に剥離(分離)して、被転写体としての成形品11の表面に確実かつ容易に熱転写することができる。
【0043】
その結果、被転写体としての成形品11に対する印刷インク層4の熱転写による転写性の向上による高性能化を容易に図ることができる。すなわち、被転写体に転写する画像としての印刷インク層4の形状追従性や意匠性の向上による高性能化を容易に図ることができる。
【0044】
また、本実施形態のインモールド用転写フィルム1によれば、印刷インク層4が、少なくとも部分的に多層に形成されており、多層部分における隣位の2層の印刷インク層4の界面のそれぞれの接着力が、前記F1より大きく形成されているので、被転写体としての成形品11の表面にフルカラーや多色などの多種多様の印刷を行う場合であってもインモールド成形により基材2と剥離層3との界面での剥離を確実かつ容易に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態のインモールド用転写フィルム1によれば、前記F1が0.02〜0.3(N/cm)とされているので、インモールド成形により基材2と剥離層3との界面での剥離をより確実に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態のインモールド用転写フィルム1によれば、剥離層3および印刷インク層4のそれぞれのガラス転移温度が50〜150℃とされているので、インモールド成形により基材2と剥離層3との界面での剥離をより確実に行うことができる。
【0047】
ここで、インモールド用転写フィルム1における基材2と剥離層3の接着力F1について詳しく説明する。
【0048】
インモールド用転写フィルム1における基材2と剥離層3の接着力F1は、剥離層3と基材2との付着力によって決定される。そこで、本発明者らは、剥離層3に、トルエン/メチルエチルケトン=50/50(質量比)、ガラス転移温度70〜80℃のポリエステル樹脂、および、ガラス転移温度50〜70℃のアクリル樹脂の3者の質量比を変えた各種混合溶液をポリエステルフィルム上にバーコーターで塗工し、F1の値を、0.01N/cm、0.02N/cm、0.10N/cm、0.2N/cm、0.30N/cm、0.40N/cm、0.5N/cmとした7種類の試料を作成した。なお、各試料のF1の値の測定は、HEIDON TYPE14:DRを用いた。
【0049】
ついで、これらの試料に、熱転写プリンターでそれぞれ同一の画像(印刷インク層4)を形成した後、ナビタスインモールディングソリューションズ社製のインモールド用転写箔送り装置を用いてインモールド成形を行い、転写状態について、成形品11に転写した画像の変形、バリおよび転写欠損という不具合の有無を目視で評価した。なお、インモールド成形条件は、金型温度=80℃、射出温度=260℃、射出圧力=120MPa、射出スピード=35mm/secで行った。また、成形品11の材料としてアクリル樹脂を使用した。
【0050】
前記F1の値が0.01N/cmの試料では、印刷インク層4が基材2から部分的に脱落するという粉落ちが発生し、インモールド用転写フィルムとして使用することできないことが判明した。
【0051】
前記F1の値が0.02、0.10、0.20、0.30N/cmの4種類の試料では、画像の変形、バリおよび転写欠損がなく、良好な転写性が得られることが判明した。
【0052】
前記F1の値が0.40N/cmの試料では、画像の変形、バリおよび転写欠損が発生し、良好な転写性を得ることができないことが判明した。
【0053】
前記F1の値が0.50N/cmの試料では、画像の変形、バリおよび転写欠損に加えて、基材2の破損が発生し、良好な転写性を得ることができないことが判明した。
【0054】
したがって、F1の値を0.02〜0.30N/cmとすることで、インモールド成形時に、基材2と剥離層3との界面で確実に分離(剥離)することができることになる。その結果、インモールド成形による成形品11への画像の変形、バリおよび転写欠損のない、画像としての印刷インク層4の転写を確実かつ容易に行うことができる。すなわち、被転写体に転写する画像の形状追従性や意匠性の向上による高性能化を容易に図ることができる。
【0055】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るインモールド用転写フィルムの実施形態を示す模式的断面図
【図2】インモールド成形の概略を工程順に説明する説明図
【符号の説明】
【0057】
1 インモールド用転写フィルム
2 基材
3 剥離層
4 印刷インク層
11 成形品
101、101A、101B 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状に形成されている基材の一面に剥離層が形成されており、前記剥離層の表面には熱転写プリンタにより熱転写されたインクによる印刷インク層が形成されており、インモールド成形により、被転写体となる成形品の形成と、前記成形品の表面に対する前記印刷インク層の熱転写による印刷とを同時に行うことができるように形成されているインモールド用転写フィルムであって、
前記基材と前記剥離層との界面における接着力をF1とし、
前記剥離層と前記印刷インク層との界面における接着力をF2とし、
前記印刷インク層と前記被転写体との界面における接着力をF3とし、
前記剥離層の凝集力をF4とし、
前記印刷インク層の凝集力をF5としたときに、
F2>F1、
F3>F2、
F3>F1、
F3>F1+F4+F5
を満足するように形成されていることを特徴とするインモールド用転写フィルム。
【請求項2】
前記印刷インク層が、少なくとも部分的に多層に形成されており、前記多層部分における隣位の2層の印刷インク層の界面のそれぞれの接着力が、前記F1より大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインモールド用転写フィルム。
【請求項3】
前記F1が、0.02〜0.3(mN/cm)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインモールド用転写フィルム。
【請求項4】
前記剥離層および前記印刷インク層のそれぞれのガラス転移温度が50〜150℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のインモールド用転写フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−126442(P2008−126442A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311663(P2006−311663)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】