説明

ウイルス阻害剤

一般式(A)(式中、点線、X、YおよびR〜Rは明細書において定義したとおりである)を有するピロロ[2,3−c]ピリジンまたはピロロ[3,2−c]ピリジン化合物。この化合物はウイルス感染症の予防または治療に有用である。本発明はさらに、ウイルス感染症の予防または治療における式(A)の化合物の使用に関する。これらはHCVを阻害し、BVDV、HCVおよびコクサッキーウイルス感染症に対しても活性であると考えられる。本発明の化合物は、これらのウイルスおよび他のレトロウイルスまたはレンチウイルス感染症の治療用医薬の製造において有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この本出願は、2006年12月14日に出願された、仮出願第60/874,797号(これは、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は一連の新規ピロロ[2,3−c]ピリジンおよびピロロ[3,2−c]ピリジン、これらを調製するためのプロセス、ウイルス感染症、特にフラビウイルス科に属するウイルス感染症、さらに好ましくはC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療または予防するためのこれらの使用およびウイルス感染症を治療または予防するための医薬を製造するためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
世界保健機構は全世界で1億7千万人の人々(世界人口の3%)がHCVに慢性的に感染していると推定している。これらの慢性保菌者は肝硬変および/または肝臓癌を発症する恐れがある。10から20年の追跡研究では、患者の20〜30%で肝硬変を発症し、その1〜5%は今後10年間に肝臓癌を発症する可能性がある。今日利用可能な唯一の治療選択肢はインターフェロンα−2(またはそのペグ化形)を単独またはリバビリンと組み合わせて使用することである。しかし、持続的な反応は患者の約40%でしか観察されず、治療は重篤な副作用を伴う。したがってHCV感染症を治療するためにHCVの複製の有効かつ選択的阻害剤が緊急に必要とされている。さらに、HCV複製の特異的阻害剤の研究は、細胞培養物においてHCVを(効率よく)繁殖させることは不可能であるという事実により阻まれている。HCVおよびペスチウイルスは同じウイルス科に属し、多くの共通点(ゲノムの構成、類似の遺伝子産物および複製サイクル)があるので、ペスチウイルスはHCVのモデルおよび代わりとして採用されてきた。例えば、BVDVはC型肝炎ウイルス(HCV)と密接に関連し、HCV感染症の医薬開発において代理ウイルスとして用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの重要な薬理学的価値を考慮して、抗ウイルス活性、場合によってC型肝炎ウイルスをはじめとするフラビウイルス科に属するウイルス、およびピコルナウイルス科に属するウイルスに対して選択的活性を有する薬が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はピロロ[2,3−c]ピリジンおよびピロロ[3,2−c]ピリジンの、抗ウイルス化合物として、さらに詳細にはHCVに対して活性な化合物としての使用に関し、この化合物は一般式(A):
【0006】
【化1】

(式中:
点線は少なくとも3個、場合によっては4個の二重結合を表すが、2個の二重結合は互いに隣接しないとする;
Aは−N=またはCR26であるが、1つのAはCR26である;
は水素、アリール、ヘテロ環、C−C10アルコキシ、C−C10チオアルキル、C−C10アルキル−アミノ、C−C10ジアルキル−アミノ、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、およびC4−10シクロアルキニルから選択され、それぞれは場合によっては1〜3個のRで置換されている;
Yは単結合、O、S(O)、NR11、C1−10アルキレン、C2−10アルケニレン、またはC2−10アルキニレンから選択され、ここで各アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンの1〜3個の−C(H)=、−C(≡)または−CH−基は場合によっては、−O−、=O、−OR27、−S−、=S、−SR27、−NR27、−N(R27(ここでR27は独立して水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、またはC2−18アルキニルである)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基で独立して置換されている;
ただし、YRは水素またはC1−6アルキルではないとする;
およびRは水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−NR、ハロアルキルオキシ、ハロアルキル、−C(=O)R、−C(=S)R、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、C1−18ヒドロキシアルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルオキシ、C3−10シクロアルキルチオ、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキニル、またはヘテロ環から独立して選択される;
Xは存在しないか、または水素、C−C10アルキレン、C2−10アルケニレンもしくはC2−10アルキニレンから選択され、ここで各アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンの1〜3個の−C(H)=、−C(≡)または−CH−基は場合によって−O−、=O、−OR27、−S−、=S、−SR27、−NR27、−N(R27(ここでR27は独立して水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、またはC2−18アルキニルであるが、このようなヘテロ原子はピリジン環中のNと隣接しないとする)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基で独立して置換されている;
mは0〜2の任意の整数である;
は存在しないか、または水素、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール−N(R10)−、もしくは芳香族ヘテロ環から選択され、ここでそれぞれの前記置換基は場合によって1個以上のR17で置換されているが、シクロアルケニルについて、二重結合は窒素と隣接しないとする;
は水素;C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−NR、ハロアルキルオキシ、ハロアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=S)R、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、C1−18ヒドロキシアルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルオキシ、C3−10シクロアルキルチオ、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、またはヘテロ環から選択される;
は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、C1−18アルキルスルホキシド、C1−18アルキルスルホン、C1−18ハロ−アルキル、C2−18ハロ−アルケニル、C2−18ハロ−アルキニル、C1−18ハロ−アルコキシ、C1−18ハロ−アルキルチオ、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、ハロゲン、OH、CN、シアノアルキル、−CO18、NO、−NR、C1−18ハロアルキル、C(=O)R18、C(=S)R18、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリール(C1−18)アルキル、アリール(C1−18)アルキルオキシ、アリール(C1−18)アルキルチオ、ヘテロ環およびC1−18ヒドロキシアルキルから選択され、ここでそれぞれは場合によって1〜3個のR19で置換されている;
およびRは水素、C1−18アルキル、C1−18アルケニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、ヘテロ環、−C(=O)R12;−C(=S)R12、そのカルボキシル基により結合したアミノ酸残基から独立して選択されるか、またはRおよびRは窒素と一緒になってヘテロ環を形成する;
およびR18は水素、OH、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、C1−18アルコキシ、−NR1516、アリール、アミノ酸のアミノ基により結合したアミノ酸残基、CHOCH(=O)R9a、またはCHOC(=O)OR9a(ここでR9aはC−C12アルキル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリールまたはC−C20アルアルキルである)から独立して選択される;
10およびR11は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、アリール、−C(=O)R12、ヘテロ環、またはアミノ酸残基からなる群から独立して選択される;
12は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、またはアミノ酸残基からなる群から選択される;
15およびR16は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、またはアミノ酸残基からなる群から独立して選択される;
17は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、C1−18アルキルスルホキシド、C1−18アルキルスルホン、C1−18ハロゲン化アルキル、C2−18ハロゲン化アルケニル、C2−18ハロゲン化アルキニル、C1−18ハロゲン化アルコキシ、C1−18ハロゲン化アルキルチオ、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、ハロゲン、OH、CN、COH、CO18、NO、NR、ハロアルキル、C(=O)R18、C(=S)R18、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルチオ、ヘテロ環、C1−18ヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、ここで前記アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルチオ、ヘテロ環、またはC1−18ヒドロキシアルキルのそれぞれは、場合によって1つ以上のR19で置換されている;
19は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C2−18アルケニルオキシ、C2−18アルキニルオキシ、C1−18アルキルチオ、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、C4−10シクロアルキニル、ハロゲン、−OH、−CN、シアノアルキル、−NO、−NR2021、C1−18ハロアルキル、C1−18ハロアルキルオキシ、−C(=O)R18、−C(=O)OR18、−OアルケニルC(=O)OR18、−OアルキルC(=O)NR2021、−OアルキルOC(=O)R18、−C(=S)R18、SH、−C(=O)N(C1−6アルキル)、−N(H)S(O)(O)(C1−6アルキル)、アリール、ヘテロ環、C1−18アルキルスルホン、アリールスルホキシド、アリールスルホンアミド、アリール(C1−18)アルキルオキシ、アリールオキシ、アリール(C1−18アルキル)オキシ、アリールチオ、アリール(C1−18)アルキルチオ、またはアリール(C1−18)アルキルから選択され、ここで、それぞれは場合によって1〜3個の=O、NR2021、CN、C1−18アルコキシ、ヘテロ環、C1−18ハロアルキル、ヘテロ環アルキル、アルキルによりR17に結合したヘテロ環、アルコキシアルコキシまたはハロゲンで置換されている;
20およびR21は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、−C(=O)R12、または−C(=S)R12から独立して選択される;
26は水素、C1−18アルキル、C3−10シクロアルキル、アリール、ヘテロ環から独立して選択され、ここで、それぞれは場合によって1〜3個のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ、CHOH、ベンジルオキシ、およびOHで独立して置換されている)
ならびにこれらの塩、互変異性体、立体異性体、および溶媒和物に対応する。
【0007】
本発明はさらに、ウイルス感染症の予防または治療における式(A)の化合物の使用に関する。これらはHCVを阻害し、BVDV、HCVおよびコクサッキーウイルス感染症に対しても活性であると考えられる。本発明の化合物は、これらのウイルスおよび他のレトロウイルスまたはレンチウイルス感染症の治療用医薬の製造において有用である。したがって、これらの化合物は薬学的に望ましい毒性、バイオアベイラビリティーならびに動物、哺乳動物、およびヒトにおけるウイルス感染症の治療および予防、さらに詳細にはHCVウイルス感染症の治療および予防に有用であるようにする他の薬理学的特性を有する抗ウイルス化合物の新しい有効な種類である。
【0008】
本発明はかかる化合物の調製法およびこれらを含む医薬組成物にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩としては、適切な塩基、例えばアルカリ金属(例えばナトリウム)、アルカリ土類(例えばマグネシウム)、アンモニウムおよびNX4+(ここで、XはC−Cアルキルである)由来の塩が挙げられる。水素原子またはアミノ基の生理学的に許容される塩としては、有機カルボン酸、例えば酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸およびコハク酸;有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸;ならびに無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸の塩が挙げられる。ヒドロキシ基を含む化合物の生理学的に許容される塩は、前記化合物のアニオンを好適なカチオン、例えばNaおよびNX4+(ここで、Xは典型的にはHまたはC−Cアルキル基から独立して選択される)と組み合わせて含む。しかし、生理学的に許容されない酸または塩基の塩も、例えば生理学的に許容される化合物の調製または精製において用いることができる。全ての塩は、生理学的に許容される酸または塩基由来であるか、そうでないかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0010】
式(A)における二重結合は任意の結合として図示されている。式(A)の化合物のピロロピリジンコア環構造は3個または場合によっては4個の二重結合を有する。これらの結合について可能な全ての互変異性体はこの図により表されることが意図されている。当業者には理解されるように、これらの結合の安定な位置はこれらの数ならびに核上の他の置換基の位置および同一性に依存するであろう。
【0011】
「アルキル」は1〜18個の炭素原子を含む直鎖、第2、第3または環状炭化水素である。非環式アルキルは典型的には1〜6個の炭素原子を含む。シクロアルキルは通常3〜6個の炭素原子を含み、1または2個の環からなる。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−メチル−1−プロピル(i−Bu)、2−ブチル(s−Bu)2−メチル−2−プロピル(t−Bu)、1−ペンチル(n−ペンチル)、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど、または7〜10個の炭素原子を有するC7−10多環式飽和炭化水素ラジカル、例えばノルボルニル、フェンチル、トリメチルトリシクロヘプチルまたはアダマンチルが挙げられる。
【0012】
「アルケニル」は1〜3個の二重結合および3〜18個の炭素原子を含む直鎖、第2、第3、または環状炭化水素基である。非環式部分は典型的には1〜3個の炭素原子を含み、各環状部分は通常3〜6個の炭素原子を含む。例としては、これらに限定されないが、エチレンまたはビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、シクロペンテニル(−C)、5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、1−シクロヘキシ−1−エニル、1−シクロヘキシ−2−エニル、および1−シクロヘキシ−3−エニルが挙げられる。二重結合は場合によってシスおよびトランス構造である。
【0013】
「アルキニル」は1から3個の三重結合および3〜18個の炭素原子を含む直鎖、第2、第3または環状炭化水素基である。例としては、これらに限定されないが、−C≡CH、−CHC≡CH、−CHC≡C−シクロヘキシル、または−CH−シクロヘプチニルが挙げられる。
【0014】
アルキル、アルケニルおよびアルキニル基に関連して用いられる「−エン」という接尾語は、少なくとも2つの置換部位を有するこのような基を意味する。このような多価炭化水素ラジカルとしては、これらに限定されないがメチレン(−CH−)、1,2−エチレン(−CHCH−)、1,3−プロピレン(−CHCHCH−)、1,4−ブチレン(−CHCHCHCH−)、1,2−エチレン(−CH=CH−)、C□C−、プロパルギル(−CHC□C−)、および4−ペンチニル(−CHCHCHC□CH−)が挙げられる。
【0015】
「アリール」は、1つ以上の環、一般的に1、2または3個の環を含み、それぞれの環において4〜6個の炭素原子、通常5または6個の炭素原子を含む芳香族炭化水素を意味する。
【0016】
「アリールアルキル」、「アリールアルケニル」および「アリールアルキニル」はそれぞれ、水素原子の1つ、典型的には末端またはsp3炭素原子がアリールラジカルで置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルラジカルを意味する。典型的なアリールアルキル基としては、これらに限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられる。
【0017】
上述のように、炭素環は場合によって単環または多環系として見られる。通常、式(A)の化合物の炭化水素は単環である。単環式炭素環は一般的に3〜6個の環原子を有し、さらに典型的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配列された典型的には7〜12個の環原子、またはビシクロ[5,6]または[6,6]系として配列された9または10個の環原子を有する。
【0018】
炭素原子の数が炭化水素について明示されていないならば、典型的には炭素原子の数は1〜18の範囲である。ただし、炭素の数は不飽和炭化水素については典型的には2〜18の範囲であり、アリールについては6〜10の範囲である。
【0019】
「ヘテロ環式」または「ヘテロ環」とは、O、NまたはSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む任意の4、5、6、7、8または9員単環または縮合環系を意味する。ヘテロ環は場合によっては全体的に芳香族であるか、全体的に飽和であるか、または1つ以上の環内不飽和部位、典型的には二重結合を含む。複数のヘテロ環(その1つ以上がヘテロ原子を含む)は架橋しているかまたはスピロである。一般的に、ヘテロ環は芳香族であり、通常単環である。5または6員環を有するヘテロ環が典型的である。通常、ヘテロ環は1または2個の酸素原子と1または2個のN原子を含むか、またはN原子を含まない。5または6個の環原子および1〜3個のN原子を有するヘテロ環も有用である。単環が典型的な選択肢である。ヘテロ環の例としては、オキサザシクロアルキル、モルホリニル、ジオキサシクロアルキル、チアシクロアルケニル、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソチアゾレジニル、イソキサゾリル、オキサゾリニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリルおよびイサチノイルが挙げられる。好適なヘテロ環は、Rigaudyら、Nomenclature of Organic Chemistry,Sections A−H(1979) at pp.53−76およびFletcherら、Nomenclature of Organic Compounds,Adv.Chem.Ser.126(1974),at pp.49−64に例示されている。
【0020】
本発明の残りの化合物に対して結合点を提供するヘテロ環上の位置は重要ではないが、当業者は化合物の安定性および/または合成の容易さについて最適である置換部位を認識するであろう。炭素結合ヘテロ環は、典型的にはピリジンの2、3、4、5、または6位、ピリダジンの3、4、5、または6位、ピリミジンの2、4、5、または6位、ピラジンの2、3、5、または6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4、または5位、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2、4、または5位、イソキサゾール、ピラゾール、またはイソチアゾールの3、4、または5位、アジリジンの2または3位、アゼチジンの2、3、または4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、または8位、イソキノリンの1、3、4、5、6、7、または8位で結合する。さらに典型的には、炭素結合ヘテロ環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが挙げられる。
【0021】
窒素含有ヘテロ環は窒素または炭素、典型的には炭素原子で結合する。これらとしては、例えば、アジリジンの1位、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、1−ピペリジニル、2−ピロリン、3−ピロリン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、9−カルバゾール、4−モルホリン、9−アルファまたはβ−カルボリン、2−イソインドール、2−ピラゾリンおよび3−ピラゾリン、同様にアゼチジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、ピラゾリン、インドリン、イミダゾール、イミダゾリジン、1H−インダゾールおよびイソインドリンが挙げられる。これらおよび他のN含有ヘテロ環は当業者に周知であり、これらの結合部位は任意である。
【0022】
硫黄含有ヘテロ環は炭素または硫黄により結合する。これらは、−S(=O)(=O)などの酸化状態を包含する。一般的に、これらはN含有ヘテロ環と同様に式(A)の化合物において結合する。
【0023】
「アルコキシ」、「シクロアルコキシ」、「アリールオキシ」、「アリールアルキルオキシ」、「オキシヘテロ環」、「チオアルキル」、「チオシクロアルキル」、「アリールチオ」、および「アリールアルキルチオ」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアリールアルキルがそれぞれ酸素原子または硫黄原子と単結合により結合している置換基、例えばこれらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、チオエチル、チオメチル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、メルカプトベンジル等を意味する。
【0024】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される任意の原子を意味し、典型的にはフッ素または塩素である。
【0025】
本発明の化合物における1よい多い部位で見られる任意の置換基表示は独立して選択されるべきである。
【0026】
ある基が「1つ以上」の別の基で置換されていると記載されている場合、これは典型的には1〜3個の置換基、通常1、2、または3個の置換基を意味する。
【0027】
当業者等は、本発明の化合物がとりわけこれらの環境のpHに応じて多くの様々なプロトン化状態で存在し得ることも認識するであろう。本明細書に記載する構造式は化合物をいくつかの起こり得るプロトン化状態のうちの1つだけで図示しているが、これらの構造は単に例示的であり、本発明は特定のプロトン化状態に限定されるのではなく、化合物のすべてのプロトン化形態が本発明の範囲内に含まれると理解される。
【0028】
アミノ酸
「アミノ酸」は化学式HN−CHR28−COOH(式中、R28は天然に存在するかまたは既知合成アミノ酸の側基である)を有する分子由来のラジカルである。アミノ酸は場合によって、1つ以上のカルボキシル基またはアミノ基で(これらの基が側鎖上にあるか、または本発明の化合物の残りにアミノ酸を結合させた後の末端基であるかどうかに関わらず)典型的には1〜8個の炭素原子を有する炭化水素により置換されている。
【0029】
場合によって、アミノ酸残基は疎水性残基、例えばモノ−またはジ−アルキルまたはアリールアミノ酸、シクロアルキルアミノ酸などである。場合によって、残基はスルフヒドリルまたはグアニジノ置換基を含まない。
【0030】
天然に存在するアミノ酸残基は、植物、動物、または微生物、特にこれらのタンパク質において天然に見いだされる残基である。ポリペプチドは最も典型的にはこのような天然に存在するアミノ酸残基から実質的に構成される。これらのアミノ酸はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、アスパラギン、グルタミンおよびヒドロキシプロリンである。さらに、非天然アミノ酸、例えば、バラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニンも含まれる。
【0031】
一般的に、親分子中の任意の部位のうちの1つだけがアミノ酸で置換されているが、アミノ酸を1より多い許容される部位で導入することは本発明の範囲内に含まれる。一般的に、アミノ酸のα−アミノまたはα−カルボキシル基は分子の残りに結合する。すなわち、アミノ酸側鎖におけるカルボキシル基またはアミノ基は親化合物とアミド結合を形成するために用いられない(ただし、これらの基は複合体の合成中に保護する必要はない)。
【0032】
アミノ酸エステルは場合によってin vivoまたはin vitroで酸性(pH<3)または塩基性(pH>10)条件下で加水分解可能である。場合によって、これらはヒトの胃腸管中で実質的に安定であるが、血液中または細胞内環境において加水分解される。
【0033】
28は通常C−Cアルキルあるいはアミノ、カルボキシル、アミド、カルボキシル(ならびに前述のエステル)、ヒドロキシル、C−Cアリール、グアニジニル、イミダゾリル、インドリル、スルフヒドリル、スルホキシド、および/またはアルキルホスフェートで置換されたC−Cアルキルである。またR28は窒素であり、アミノ酸α−アミノと一緒になってプロリン残基を形成する。しかし、R28は一般的に、前記開示の天然に存在するアミノ酸の側基、例えばH、−CH、−CH(CH、−CH−CH(CH、−CHCH−CH−CH、−CH−C、−CHCH−S−CH、−CHOH、−CH(OH)−CH、−CH−SH、−CH−COH、−CH−CO−NH、−CH−CH−CO−NH、−CHCOOH、−CH−CH−COOH、−(CH−NHおよび−(CH−NH−C(NH)−NHである。R28としては、1−グアニジノプロプ−3−イル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、イミダゾール−4−イル、インドール−3−イル、メトキシフェニルおよびエトキシフェニルも挙げられる。
【0034】
具体例
は一般的に1、2、または3個のRで置換されたアリールまたは芳香族ヘテロ環であり、ここでRは一般的にハロゲン、C1−18アルコキシ、またはC1−18ハロアルキルである。Rにおいて用いられるヘテロ環または本明細書における任意の他の置換基は環中に5または6個の環原子および1、2および/または3個のN、OまたはS原子、典型的には1、2、もしくは3個のN、1個のNおよび1個のO、または1もしくは2個のNおよび1個のS原子を有する。通常、Rは1または2個のハロゲン、通常はフッ素で置換されたフェニルである。
【0035】
Yは一般的に単結合、O、C1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C2−6アルキニレンまたは1〜3個、通常1個の、O、SまたはNR11から選択されるヘテロ原子を含む前記基の1つである。例としては、−O(CH1−5−、−(CH1−4−O−(CH1−4−、−S−(CH1−5−、−(CH1−4−S−(CH1−4−、−NR11−(CH1−5−、−(CH1−4−NR11−(CH1−4またはC3−10シクロアルキリデンが挙げられる。典型的には、Yは−OCH−、−CHO−、C1−2アルキレン、C2−3アルケニレン、C2−3アルキニレン、Oまたは結合である。最も典型的にはYは結合である。
【0036】

一般的に、YRはH、非置換C3−10シクロアルキルまたはC−Cアルキルのうちのいずれか1つでない。典型的にはYRはハロまたはハロメチル置換(典型的にはトリハロメチル)フェニルである。これらの置換基は通常オルトまたはメタ位にあり、通常、これらのうちの1または2つが存在する。
【0037】
Xは通常アルキレン、アルキニレン、またはアルケニレン、典型的にはアルケニレンである。これらの炭化水素は場合によって鎖内ヘテロ原子、典型的にはOまたはSを有していてもよい。例としては、−CH−、−CH(CH)−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH、−(CH2−4−O−(CH2−4−、−(CH2−4−S−(CH2−4−、−(CH2−4−NR10−(CH2−4−、C3−10シクロアルキリデン、C2−6アルケニレン(例えば−CH=CH−CH−)およびC2−6アルキニレンが挙げられる。通常、Xは1〜3個の炭素、最も一般的にはメチレンである。
【0038】
は一般的にアリールまたはヘテロ環、典型的には芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環は一般的に1、2、または3個のN、S、またはO原子を環中に含み、通常、環炭素原子を介してXと結合し、典型的には4〜6個、通常は5個の全環原子を含む。Rアリールまたはヘテロ環は一般的に1、2または3個、通常1個のR17で置換されている。Rは場合によってインドリルでない。Rは典型的には表1に示すヘテロ環、例えばオキサゾリルなどである。Rは一般的に環炭素原子によりXと結合する。これは通常、環炭素原子を介してもR17と同様に結合するが、環が3個のN原子を含む場合は環窒素により結合することもできる。通常、R17はXの遠位にある。すなわちこれら2つの基はRの実質的に反対側に位置する。
【0039】
がR17で置換されている場合、R17は典型的には1、2、または3個のR19でさらに置換されたアリールまたはヘテロ環である。
【0040】
17は典型的には、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、ハロゲン、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリールアルキル;アリールアルキルオキシ(場合によってベンジルオキシ);アリールアルキルチオ(場合によってベンジルチオ);ヘテロ環;C1−18ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるが、典型的にはアリールまたはヘテロ環(通常、芳香族)であり、前記アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルチオ、またはヘテロ環のそれぞれが場合により1つ以上のR19で置換されている。ここではアリールは典型的には5または6個の環原子を含む。R17は一般的にXの遠位に位置する。場合によって、R17はC(O)R18でない。
【0041】
およびR18は典型的にはH、OHまたはアルキルである。R18は場合によってNR1516ではない。
【0042】
は典型的にはHである。
【0043】
は一般的にはハロゲンである。場合によって、RはC(O)R18ではない。
【0044】
、R、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R20、R21、R23およびR24は典型的には独立してH、ハロ、またはC1−18アルキルである。
【0045】
12およびR22は典型的には独立してOHまたはアルキルである。
【0046】
19は通常H;C1−18アルキル;C2−18アルケニル;C2−18アルキニル;C1−18アルコキシ;アルケニルオキシ;アルキニルオキシ;C1−18アルキルチオ;C3−10シクロアルキル;C4−10シクロアルケニル;C4−10シクロアルキニル;ハロゲン;OH;CN;シアノアルキル;NO;NR2021;ハロアルキル;ハロアルキルオキシ;C(=O)R18;C(=O)OR18;OアルケニルC(=O)OR18;−OアルキルC(=O)NR2021;アリール;ヘテロ環;−OアルキルOC(=O)R18;C(=O)N(C1−6アルキル)、N(H)S(O)(O)(C1−6アルキル);アリールアルキルオキシ;アリールオキシ;アリールアルキルオキシ;またはアリールアルキルであり;そのそれぞれは置換されていないか、または1つ以上の=O;NR2021;CN;アルコキシ;ヘテロ環;ハロアルキル置換またはアルキル置換ヘテロ環;R17とアルキルにより結合したヘテロ環;アルコキシアルコキシまたはハロゲンで置換されている。ここで置換基としてのR18は一般的にHではない。R19は典型的には独立してハロゲン、N(R2021)、アルコキシまたはハロ置換アルキルもしくはアルコキシである。R19は通常R17と結合した炭素に対してパラおよび/またはオルト位にある。
【0047】
26は典型的にはシクロペンチル、シクロヘキシルまたは水素である。
【0048】
置換基を場合によって結合つきまたは結合なしで図示する。結合の表示に関係なく、置換基が多価(言及される構造におけるその位置基準で)であるならば、ありとあらゆる置換基の配置が対象とされる。
【0049】
ハロアルキルまたはハロアルキルオキシは典型的には−CFまたは−OCFである。
【0050】
式(A)は任意の単結合または二重結合を示す。結合は、式(A)の核の芳香族性が保存されるように存在すると理解される。すなわち式がすべての可能な互変異性体を包含することが意図される。
【0051】
出願者らが特定の置換基部位について「一般的」、「典型的」、または「通常」と言及する(または所定の置換基部位についての基の副選択を別の方法で表示する)場合、選択された部位は列挙された特性を有するが、残りの置換基部位は式(A)について前述したすべての選択肢を保持する個々の化合物または化合物亜属を明確に教唆すると解釈されるべきである。副選択とは、結合または副結合においてこの副選択を有するすべての化合物を、単独および/または式(A)について前述した残りの置換基のすべての範囲と合わせて明確に開示すると見なされるべきである。例えば、前記置換基XおよびY副選択の開示は、(a)Xがメチレンであり、Yが結合であり、他の基が式(A)において記載したとおりである亜属、(b)Xがメチレンであり、他の基すべて(Yを含む)が式(A)において記載したとおりである亜属、ならびに(c)Yが結合であり、他の基すべて(Xを含む)が式(A)において記載したとおりである亜属の開示である。別の一例として、Rに関する前記詳説は少なくとも、R以外のすべての基が式(A)において前記のとおりであり、Rが1個のR17、2個のR17または3個のR17で置換されたアリールである(これらのうちのいずれかは1、2または3個のR19基のいずれかで置換されている)式(A)の化合物、およびヘテロ環または特定の亜属もしくは特定のヘテロ環のいずれかと同じ選択肢の教唆であると解釈されるべきである。この表現法は、様々な亜属について一般的なバックグラウンド基の不必要および/または過度に冗長な詳説を本出願ではすることなく、亜属を立証するために採用される。
【0052】
本明細書において用いられる「プロドラッグ」という用語は、生物学的系に投与されると、自発的化学反応、酵素触媒性化学反応、光分解、および/または代謝化学反応の結果として医薬品原体原体、すなわち活性成分を生成する任意の化合物を意味する。プロドラッグはしたがって治療上活性な化合物の共有結合的に修飾された類似体または潜在形である。
【0053】
プロドラッグ
本発明におけるある化合物は、適切に選択された官能基で置換された場合にプロドラッグとして作用できる。これらは代謝中に、全身的に、細胞の内部で、加水分解によるか、酵素的切断、または他のプロセスにより活性な阻害化合物から分離される不安定な官能基である(Bundgaard,Hans,“Design and Application of Prodrugs” in Textbook of Drug Design and Development(1991),P.Krogsgaard−Larsen and H.Bundgaard,Eds.Harwood Academic Publishers,pp.113−191)。これらのプロドラッグ部分は溶解度、吸収および親油性を向上させて、薬剤送達、バイオアベイラビリティーおよび有効性を最適化する働きをすることができる。「プロドラッグ」はこのように治療上活性な化合物の共有結合的に修飾された類似体である。プロドラッグ部分はもちろんそれ自体で治療上活性であり得る。
【0054】
プロドラッグ部分の例としては、カルボン酸(−COH)の加水分解感受性もしくはレイビルエステル(−COR’)または本発明のイミダゾ[4,5−c]ピリジン化合物と結合する酸性プロトンを有する他の官能基が挙げられる。このような加水分解感受性またはレイビルエステルのR’基としては:(i)アシルオキシメチルエステル−CHOC(=O)R9a;および(ii)アシルオキシメチルカーボネート−CHOC(=O)OR9a(ここで、R9aはC−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−C20アリールまたはC−C20置換アリールである)が挙げられる。アシルオキシアルキルエステルの近接した変異体、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル(カーボネート)も本発明の化合物中のプロドラッグ部分として経口バイオアベイラビリティーを向上させることができる。アシルオキシメチルエステルR基の一例は、ピバロイルオキシメトキシ(POM)−CHOC(=O)C(CHである。アシルオキシメチルカーボネートプロドラッグ部分の一例は、ピバロイルオキシメチルカーボネート(POC)−CHOC(=O)OC(CHである。プロドラッグ官能基として作用できる切断可能な部分は、場合によって本発明の化合物上の任意の許容される部位、例えばRおよびその置換基のいずれかで結合することができる。
【0055】
有用性
本発明の化合物、またはこれらの化合物からin vivoで産生される代謝物は多くの用途を有する。これらはその他の分野のうちで免疫学、クロマトグラフィー、診断および治療において有用である。
【0056】
式(A)の化合物はポリペプチド、化合物、または免疫学的に認識されるエピトープ(抗体結合部位)を保持するこれらの代謝産物に対して特異的に結合できる抗体を惹起する試薬として、免疫原性ポリペプチドと結合する。これらの免疫原性組成物は、したがって診断、品質管理などにおいて、または式(A)の化合物もしくはこれらの新規代謝産物の分析において使用される抗体の調製における中間体として有用である。これらの化合物は、未修飾結合タンパク質と交差反応する免疫反応を刺激するハプテン部位として作用する点で、それ以外の方法では非免疫原性であるポリペプチドに対する抗体を生成させるために有用である。
【0057】
式(A)の化合物と、免疫原性ポリペプチド、例えばアルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニンとの複合体は一般的に免疫源として有用である。ポリペプチドはアミノ酸について表示されたのと同じ部位で結合する。前述の代謝産物は本発明の化合物と実質的な程度の免疫学的交差反応性を保持し得る。したがって、本発明の抗体は、保護化合物と結合することなく本発明の未保護化合物と結合することができる。別法として、代謝産物は、本発明の保護化合物および/または代謝産物(本発明の保護化合物と結合することなく)と結合することができるか、またはいずれか1つまたは3つ全部と特異的に結合できる。抗体は望ましくは天然に存在する物質と実質的に交差反応しない。実質的な交差反応性は、分析結果を妨害するために十分な特定の検体についての特定の分析条件下での反応性である。
【0058】
本発明の免疫原は、免疫原性物質と結合した所望のエピトープを提示する本発明の化合物を含む。本発明の文脈内で、このような結合とは、免疫原性複合体(適用可能な場合)もしくは非共有結合物質の混合物、または前記の組み合わせを形成する共有結合を意味する。免疫原性物質としては、アジュバント、例えばフロインドのアジュバント、免疫原性タンパク質、例えばウイルス、細菌、酵母、植物性および動物性ポリペプチド、特にキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたは大豆トリプシン阻害物質、および免疫原性多糖類が挙げられる。典型的には、所望のエピトープの構造を有する化合物は、多官能性(通常二官能性)架橋剤の使用により免疫原性ポリペプチドまたは多糖類と共有結合している。ハプテン免疫原の製造法はそれ自体確立されており、架橋に利用可能な前駆体または加水分解産物上の官能基および免疫原性物質と対照的に問題のエピトープに対して特異的な抗体を産生する可能性を考慮して、これまでハプテンを免疫原性ポリペプチドなどに結合させるために使用されていた方法がここでも好適に用いられる。
【0059】
典型的には、ポリペプチドは認識されるエピトープから離れた本発明の化合物上の部位と結合する。
【0060】
複合体は通常の方法で調製される。例えば、架橋剤N−ヒドロキシスクシンイミド、無水コハク酸またはalkN=C=Nalkは本発明の複合体の調製に有用である。複合体は、結合または1〜100、典型的には1〜25、さらに典型的には1〜10個の炭素原子を有する連結基により免疫原性物質に結合された本発明の化合物を含む。複合体を出発物質および副生成物からクロマトグラフィーなどを用いて分離し、次いで保存するために滅菌濾過し、バイアルに入れる。
【0061】
動物を、典型的には通常の方法で調製された免疫原性複合体または誘導体および抗血清またはモノクローナル抗体に対して免疫する。
【0062】
本発明の化合物は親和性吸収マトリックスの調製においてリンカー、スペーサーまたは親和性(典型的には疎水性)部分として有用である。化合物の基の性質に応じて、本発明の化合物を場合によって不溶性マトリックスと共有結合させ、アフィニティークロマトグラフィー分離に用いる。例えば、ペンダントアリール基を有する化合物は疎水性アフィニティーカラムの調製に有用である。
【0063】
これらはまた、プロセス制御用の固定化酵素の調製において、またはイムノアッセイ試薬の調製において、リンカーおよびスペーサーとして有用である。本発明における化合物は、所望の物質を架橋するための部位として好適な官能基を含む。例えば、アフィニティー試薬、例えば、ホルモン、ペプチド、抗体、薬物などを不溶性物質と結合させるのが慣例的である。これらの固定化試薬は、製造された製剤、診断試料および他の不純混合物由来のアフィニティー試薬の結合パートナーを吸収するための既知方法で用いられる。同様に、固定化酵素は、酵素を簡単に回復して触媒変換を実施するために用いられる。二官能性化合物は通常、診断試薬中の検出可能な基に検体を結合させるために用いられる。
【0064】
本発明の化合物を診断目的で検出可能な部分、例えばビオチン、放射性同位体、酵素などで標識する。式(A)の化合物の標識を行うための好適な技法は周知であり、本明細書全体を考慮すると当業者には明らかであろう。例えば、標識に好適な1つの部位はR17またはR19である。
【0065】
しかし、さらに典型的には、本発明の化合物は黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、B型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、古典的な豚コレラウイルスまたはボーダー病ウイルスなどのウイルス感染症、さらに詳細にはフラビウイルスまたはピコルナウイルス感染症、特にHCVおよびBVDVの治療または予防に用いられる。
【0066】
本発明の治療化合物は対象哺乳動物(ヒトを包含する)に当該技術分野において周知の任意の手段により、即ち、経口、鼻内、皮下、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内、非経口またはカテーテル法により投与される。化合物の治療上有効量は、フラビウイルスまたはピコルナウイルス成長を阻害する量である。さらに好ましくは、式(A)の化合物の、フラビウイルスもしくはピコルナウイルスの複製を阻害する量またはフラビウイルスもしくはピコルナウイルス酵素を阻害する量である。これは、約1μg/mlから100mg/mlの間、場合によっては10mg/mlの血漿レベルを保証する量に対応すると考えられる。これは場合によっては、ヒトの体重1kgあたり、1日につき、0.001mgから60mgの範囲、好ましくは0.01mgから10mg、好ましくは0.1mgから1mgの範囲の投与量の投与により達成される。これらは本発明の化合物の最適用量を決定するための出発点である。実際の量はとりわけ化合物のバイオアベイラビリティー、プロドラッグ官能基を含むかどうか、対象におけるその代謝および分布、ならびにその効力をはじめとする当業者に既知の多くの因子に依存する。臨床設定において適切な投薬を決定することが典型的には必要であり、これは十分に当業者の技術範囲内である。本発明の化合物の治療上有効な量を、場合によっては治療される病状、患者の状態および本発明の化合物の性質に応じて、1日につきいくつかのサブユニットに分割するか、または毎日もしくは1日以上の間隔で投与する。
【0067】
当該技術分野において慣例的であるように、個々の薬物間の相互作用の定量化を分析することにより、Chou等によりAdv.Enzyme Reg.(1984)22:27に記載されている50%効果原則またはこれらに限定されないが、Elion等によりJ.Biol.Chem.(1954)208:477−488およびBaba等によりAntimicrob.Agents Chemother.(1984)25:515−517にすでに記載されているようなアイソボログラム法などの試験を用い、部分阻害濃度を計算するためにEC50を用いて分析することにより、薬物組み合わせにおける相乗効果を評価することができる。
【0068】
併用抗ウイルス組成物中に含めるためか、または本発明の化合物を用いた治療過程において同時投与するために好適な抗ウイルス剤は、例えば、インターフェロンアルファ、リバビリン、EP1162196、WO03/010141、WO03/007945およびWO03/010140の開示の範囲内に含まれる化合物、WO00/204425、および他これらの特許ファミリー内の他の特許または特許出願の開示の範囲内に含まれる化合物を、当業者が容易に決定できるように、本発明の化合物の1〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、さらに好ましくは5〜95重量%の量で含む。このような同時投与される薬剤は本発明の化合物と同じ投与形態に配合する必要はない。これらは場合によって、式(A)の化合物を用いた治療過程とともに、治療の過程において対象に単に投与される。
【0069】
本発明はさらに、例えばBVDVの治療において、前記定義の少なくとも1つの活性成分を獣医学的担体とともに含む獣医学的組成物も提供する。獣医学的担体は、組成物を投与する目的に関して有用な物質であり、それ以外では獣医学技術において不活性または許容でき、本発明の化合物と適合性の賦形剤である。これらの獣医学的組成物は、経口、非経口または任意の他の所望の経路により投与することができる。
【0070】

本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」という用語は、式(A)の化合物により形成される治療上活性な非毒性塩を意味する。このような塩は、適切なカチオン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムおよび第四アミノイオンと酸アニオン部分、典型的にはカルボン酸との組み合わせにより誘導されるものを包含する。
【0071】
本発明の化合物は、複数の正または負の電荷を有し得る。本発明の化合物の正味電荷は、正または負のいずれかである。任意の結合したカウンターイオンは典型的には、化合物を得るための合成および/または単離法により決定される。典型的なカウンターイオンとしては、これらに限定されないが、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、ハライド、アセテート、トリフルオロアセテートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。任意の結合するカウンターイオンの同一性は本発明の重要な特性ではなく、本発明は任意の種類のカウンターイオンと結合する化合物を包含すると理解される。さらに、化合物は様々な異なる形態で存在するので、本発明はカウンターイオンと結合する化合物の形態(例えば、乾燥塩)だけでなく、カウンターイオンと結合しない形態(例えば水性または有機溶液)を包含することが意図される。
【0072】
金属塩は典型的には、金属水酸化物を本発明の化合物と反応させることにより調製される。このようにして調製される金属塩の例はLi+、Na+、Ca+2およびMg+2およびK+を含む塩である。溶解度の低い金属塩は、好適な金属化合物の添加により溶解度の高い塩の溶液から沈殿させることができる。加えて、塩は、塩基性中心、典型的にはアミン、または酸性基へのある有機および無機酸の酸付加から形成することができる。このような適切な酸の例としては、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;または有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、安息香酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、サリチル酸(すなわち2−ヒドロキシ安息香酸)、p−アミノサリチル酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、コハク酸、シュウ酸およびクエン酸;有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸;ならびに無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸、C1−C6アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸などが挙げられる。好適な塩としては、メシル酸塩およびHClが挙げられる。
【0073】
本発明の化合物は、式(A)の化合物およびこれらの塩を用いて形成される溶媒和物、例えば水和物、アルコラートなどを包含する。本発明における組成物は、本発明の化合物をこれらの非イオン化、ならびに両性イオン形で含み、また水和物におけるような化学量論量の水との組み合わせを含む。
【0074】
式(A)の化合物と、1つ以上の前記アミノ酸との塩も本発明の範囲内に含まれる。アミノ酸は、典型的には塩基性または酸性基を有する側鎖を有するもの、例えばリシン、アルギニンもしくはグルタミン酸、または中性基を有する側鎖を有するもの、たとえばグリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、もしくはロイシンである。
【0075】
生理学的に許容されない酸または塩基の塩は、例えば式(A)の化合物の調製または生成において利用法を見出すこともできる。全ての塩は、生理学的に許容できる酸または塩基由来であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
異性体
本明細書において用いられる「異性体」という用語は、式(A)の化合物が有し得る互変異性体および立体異性体を含むが、位置異性体を含まないすべての可能な異性体を意味する。典型的には、本明細書において示す構造は化合物の1つの互変異性または共鳴形態のみを例示するが、対応する別の構造も想定される。特に別の定めがない限り、化合物の化学的表示はすべての可能な立体化学的異性体の混合物を示し、前記混合物はすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマー(式(A)の化合物は1つ以上のキラル中心を有し得るので)、ならびに立体化学的に純粋または濃縮された異性体を含む。さらに詳細には、不斉中心はR構造またはS構造のいずれかを有し、二重結合または三重結合は場合によってはシス構造またはトランス構造のいずれかである。
【0077】
本発明の化合物の濃縮された異性体は、化合物の他のエナンチオマーまたはジアステレオマーが実質的にない1つの異性体として定義される。特に、「立体異性体的に濃縮された」または「キラル的に濃縮された」という用語は、少なくとも約80%(すなわち、少なくとも90%の1つの異性体と、多くても10%の他の可能な異性体)、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも97%の単一立体異性体比を有する化合物に関する。「エナンチオマー的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、検出できないレベルの任意の他の異性体を含む。
【0078】
立体異性体の分離は、当業者に既知の標準的方法により行われる。その反対のエナンチオマーが実質的にない本発明の化合物の1つのエナンチオマーを、光学活性な分割剤を用いたジアステレオマーの形成などの方法により分離できる(“Stereochemistry of Carbon Compounds,”(1962)by E.L.Eliel,McGraw Hill;Lochmuller,C.H.,(1975)J.Chromatogr.,113:(3)283−302)。混合物中の異性体の分離は、次のものをはじめとする任意の好適な方法により行うことができる:(1)キラル化合物を用いたイオン性ジアステレオマー塩の形成および分別結晶化または他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬を用いたジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、および純粋なエナンチオマーへの変換、または(3)エナンチオマーはキラル条件下で直接分離できる。方法(1)では、エナンチオマー的に純粋なキラル塩基、例えばブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキニーネ、a−メチル−b−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)などと、カルボン酸およびスルホン酸などの酸性官能基を有する不斉化合物との反応により、ジアステレオマー塩を形成できる。
【0079】
ジアステレオマー塩を場合によって分別結晶化またはイオンクロマトグラフィーにより分離させる。アミノ化合物の光学異性体を分離するために、キラルカルボン酸またはスルホン酸、例えばカンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸、または乳酸を添加することにより、ジアステレオマー塩を形成できる。別法として、方法(2)により、分割される基質をキラル化合物の1つのエナンチオマーと反応させて、ジアステレオマー対を形成できる(Eliel,E.and Wilen,S.(1994).Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley & Sons,Inc.,p.322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物をエナンチオマー的に純粋なキラル誘導体化試薬、例えばメンチル誘導体と反応させ、続いてジアステレオマーを分離し、加水分解して、遊離したエナンチオマー的に濃縮されたキサンテンを得ることにより形成できる。光学純度を決定する方法は、ラセミ混合物のキラルエステル、例えばメンチルエステルまたはモシャーエステル、つまりa−メトキシ−a−(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob III.(1982)J.Org.Chem.47:4165)を調製し、2つのアトロプ異性体ジアステレオマーの存在についてNMRスペクトルを分析することを含む。順相および逆相クロマトグラフィーにしたがったアトロプ異性体ナフチルイソキノリンの分離法により、安定なジアステレオマーを分離し、単離することができる(Hoye,T.,WO96/15111)。方法(3)では、2つの不斉エナンチオマーのラセミ混合物を、キラル固定相を用いたクロマトグラフィーにより分離する。好適なキラル固定相は、例えば、多糖類、特にセルロースまたはアミロース誘導体である。市販の多糖類を主成分とするキラル固定相はChiralCel(登録商標)CA、OA、OB5、OC5、OD、OF、OG、OJおよびOK、ならびにChiralpak(登録商標)AD、AS、OP(+)およびOT(+)である。前記多糖類キラル固定相と組み合わせて使用するのに適切な溶離剤または移動相はヘキサンなどであり、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノールなどで修飾されている。(“Chiral Liquid Chromatography”(1989)W.J.Lough,Ed.Chapman and Hall,New York;Okamoto(1990).“Optical resolution of dihyropyridine enantiomers by High−performance liquid chromatography using phenylcarbamates of polysaccharides as a chiral stationary phase”,J.of Chromatogr.513:375−378)。
【0080】
代謝物
本発明はさらに、本明細書において記載される化合物のin vivo代謝産物も、かかる産物が新規であり、従来技術により自明でない限り提供する。かかる産物は、例えば主に酵素プロセスにより、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などの結果得ることができる。したがって、本発明は、本発明の化合物を哺乳動物と、その代謝産物を得るために十分な時間接触させることを含むプロセスにより産生される新規かつ自明でない化合物を包含する。かかる産物は典型的には、放射標識された(例えばC14またはH3)本発明の化合物を調製し、これを検出可能な用量(例えば約0.5mg/kg以上)で動物、例えばラット、マウス、モルモット、サル、またはヒトに非経口投与し、代謝が起こるために十分な時間(典型的には約30秒から30時間)をとり、その変換生成物を尿、血液または他の生物試料から単離することにより同定される。これらの産物は標識されているので容易に単離される(他のものは代謝物中で生存するエピトープを結合できる抗体の使用により単離される)。代謝物構造は従来の方法で、例えばMSまたはNMR分析により決定される。一般的に、代謝物の分析は、当業者に周知の慣例的な薬物代謝研究と同じ方法で行われる。変換産物は、これらが他の方法ではin vivoで見いだされない限り、それ自体の抗ウイルス活性を有していなくても、本発明の化合物の治療投薬について診断分析において有用である。
【0081】
配合物
本発明の化合物は、場合により通常の医薬担体および賦形剤と配合され、これらは通常の実務にしたがって選択される。錠剤は賦形剤、流動促進剤、フィラー、結合剤などを含む。水性配合物は、滅菌形態で調製され、経口投与以外の送達を対象とする場合は等張である。配合物は場合によって賦形剤、例えば“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(1986)に記載され、アスコルビン酸および他の酸化防止剤、キレート剤、例えばEDTA、炭水化物、例えばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などを含むものを含む。
【0082】
次に、本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、例えば前記組成物を溶解、分散、または拡散することにより治療される部位へのその適用または浸透を促進するため、および/またその有効性を損なうことなく貯蔵、輸送または取り扱いを容易にするために配合される任意の材料または物質を意味する。薬学的に許容される担体は、固体または液体または液体を形成するために圧縮された気体であってよい。すなわち、本発明の組成物は濃縮物、エマルジョン、溶液、顆粒、微粉末、スプレー、エアゾル、懸濁液、軟膏、クリーム、錠剤、ペレットまたは散剤として好適に使用できる。
【0083】
前記医薬組成物およびそれらの配合物において使用するのに好適な医薬担体は、当業者に周知であり、本発明の範囲内でのそれらの選択に対して特に制限はない。これらは、添加剤、例えば湿潤剤、分散剤、粘着剤、接着剤、乳化剤、溶媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤(例えばフェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)など(ただし、これらは薬務と一致する)、すなわち哺乳動物に対して恒久的な損傷をもたらさない担体および添加剤も含み得る。本発明の医薬組成物は、任意の既知方法、例えば活性成分を一段階または多段階手順で、選択された担体物質を用いて均一混合、コーティングおよび/または微粉砕することにより調製でき、適切ならば、他の添加剤、例えば表面活性剤を、例えば通常約1〜10gmの直径を有する微小球体の形態で得ることを考慮して、すなわち活性成分の制御放出または持続放出用マイクロカプセルを製造するために、マイクロ化によって調製することもできる。
【0084】
本発明の医薬組成物において使用される好適な表面活性剤(利尿剤または乳化剤としても知られる)は、良好な乳化、分散および/または湿潤特性を有する非イオン性、カチオン性および/またはアニオン性物質である。好適なアニオン性界面活性剤は、水溶性セッケンおよび水溶性合成表面活性剤のどちらも含む。好適なセッケンは、アルカリもしくはアルカリ土類金属塩、高級脂肪酸(C10−C22)の非置換もしくは置換アンモニウム塩、例えばオレイン酸もしくはステアリン酸、またはヤシ油もしくは牛脂油から得られる天然の脂肪酸混合物のナトリウムもしくはカリウム塩である。合成界面活性剤としては、ポリアクリル酸のナトリウムもしくはカルシウム塩;脂肪族スルホネートおよびスルフェート;スルホン化ベンズイミダゾール誘導体およびアルキルアリールスルホネートが挙げられる。脂肪族スルホネートまたはスルフェートは通常、アルカリまたはアルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩または8〜22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシルラジカルで置換されたアンモニウム塩、例えばリグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩または天然脂肪酸、硫酸もしくはスルホン酸エステルのアルカリもしくはアルカリ土類金属塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)および脂肪族アルコール/エチレンオキシド付加物のスルホン酸から得られる脂肪族アルコールスルフェートの混合物が挙げられる。好適なスルホン化ベンズイミダゾール誘導体は好ましくは8〜22個の炭素原子を含む。アルキルアリールスルホネートの例は、ドデシルベンゼンスルホン酸もしくジブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム、カルシウムもしくはアルコールアミン塩、またはナフタレン−スルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物である。対応するホスフェート、例えばリン酸エステルの塩およびp−ノニルフェノールとエチレンおよび/またはプロピレンオキシドとの付加物、またはリン脂質も好適である。この目的に適したリン脂質は、天然(動物もしくは植物細胞由来)またはセファリンもしくはレシチンタイプの合成リン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リソレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびこれらの混合物である。
【0085】
好適な非イオン性界面活性剤としては、分子中に少なくとも12個の炭素原子を含むアルキルフェノール、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミンまたはアミドのポリエトキシル化およびポリプロポキシル化誘導体、アルキルアレンスルホネートおよびジアルキルスルホスクシネート、例えば脂肪族および芳香族脂環式アルコール、飽和および不飽和脂肪酸ならびにアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体が挙げられ、前記誘導体は好ましくは(脂肪族)炭化水素部分に3〜10個のグリコールエーテル基および8〜20個の炭素原子を含み、アルキルフェノールのアルキル部分に6〜18個の炭素原子を含む。さらに好適な非イオン性界面活性剤は、ポリエチレンオキシドのポリプロピレングリコール、アルキル鎖中に1〜10個の炭素原子を含むエチレンジアミノポリプロピレングリコールとの水溶性付加物であり、この付加物は20〜250個のエチレングリコールエーテル基および/または10〜100個のプロピレングリコールエーテル基を含む。かかる化合物は通常プロピレングリコール単位あたり1〜5個のエチレングリコール単位を含む。非イオン性界面活性剤の代表例は、ノニルフェノール−ポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタンの脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート)、グリセロール、ソルビタン、スクロースおよびペンタエリトリトールも好適な非イオン性界面活性剤である。
【0086】
好適なカチオン性界面活性剤としては、場合によってハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシで置換された4個の炭化水素ラジカルを有する第四アンモニウム塩、特にハライド;例えば、N置換基として少なくとも1つのC8C22アルキルラジカル(例えば、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイルなど)およびさらなる置換基として非置換またはハロゲン化低級アルキル、ベンジルおよび/またはヒドロキシ低級アルキルラジカルを含む第四アンモニウム塩が挙げられる。
【0087】
この目的に適した表面活性剤のさらに詳細な説明は、“McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual”(MC Publishing Corp.,Ridgewood,New Jersey,1981),“Tensid−Taschenbucw’,2d ed.(Hanser Verlag,Vienna,1981)および“Encyclopaedia of Surfactants,(Chemical Pulishing Co.,New York,1981)で見出すことができる。
【0088】
本発明の化合物およびこれらの生理学的に許容される塩(以下、まとめて活性成分と称する)を治療される状態に適切な任意の経路により投与することができ、好適な経路は、経口、直腸、鼻、局所(眼、口腔および舌下を包含する)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を包含する)を包含する。好適な投与経路は例えば受容者の状態とともに変化し得る。
【0089】
活性成分を単独で投与することが可能であるが、医薬配合物として提供するのが好適である。配合物は、獣医学的用途およびヒトへの使用のどちらについても、少なくとも1つの活性成分を、前述のように、その1つ以上の薬学的に許容される担体および場合によって他の治療成分とともに含む。担体は最適には本配合物の他の成分と適合性であり、その受容者に対して有害でないという意味で「許容することができる」。配合物は、経口、直腸、鼻、局所(口腔および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)投与に適したものを包含する。配合物は単位投与形態で都合良く提供することができ、調剤分野で周知の方法のいずれかにより調製できる。このような方法は、活性成分を、1つ以上の補助成分からなる担体と結合させるステップを含む。一般的に、活性成分を液体担体または微粉砕された固体担体または両者と均一かつ緊密に結合させ、次いで必要ならば生成物を成形することにより配合物を調製する。
【0090】
経口投与に好適な本発明の配合物は、カプセル、カシェ剤もしくは錠剤(それぞれは所定量の活性成分を含む)などの独立単位として;粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中溶液もしくは懸濁液として;または水中油液体エマルジョンまたは油中水液体エマルジョンとして提供することができる。活性成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとして提供することもできる。
【0091】
錠剤は、場合によって1つ以上の補助成分を用いて圧縮または成形により調製できる。圧縮錠は、好適な機械中で、粉末または顆粒などの易流動性形態の活性成分で場合によって結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、表面活性剤または分散剤と混合したものを圧縮することにより調製できる。成形錠剤は、好適な機械中、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより調製できる。錠剤は場合によってコーティングまたはスコアリングすることができ、その内部の活性成分の遅延放出または制御放出を提供するように配合することができる。眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の感染症について、配合物は場合によって、例えば0.075〜20%w/w(0.6%w/w、0.7%w/wなど0.1%w/w刻みで0.1%から20%の間の範囲で活性成分を含む)、好ましくは0.2〜15%w/w、最も好ましくは0.5〜10%w/wの量で活性成分を含む局所軟膏またはクリームとして塗布される。軟膏中に配合される場合、活性成分はパラフィン系または水混和性軟膏基剤のいずれかとともに用いることができる。別法として、活性成分はクリーム中、水中油クリーム基剤と配合することができる。所望により、クリーム基剤の水性相は、例えば少なくとも30%w/wの多価アルコール、即ち2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン、1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、およびポリエチレングリコール(PEG400を含む)ならびにこれらの混合物を含み得る。局所配合物は望ましくは、皮膚または他の患部を通して活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含み得る。かかる皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連する類似体が挙げられる。
【0092】
本発明のエマルジョンの油性相は既知成分から既知方法で構成することができる。この相は乳化剤(あるいは利尿剤として知られる)のみを含み得るが、望ましくは少なくとも1つの乳化剤と、脂肪または油あるいは脂肪および油両方との混合物を含む。場合によって、親水性乳化剤が、安定剤として作用する親油性乳化剤とともに含まれる。油および脂肪のどちらも含めることも好適である。合わせると、乳化剤は安定剤の有無にかかわらず、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスは油脂と一緒になっていわゆる乳化軟膏基剤を構成し、これはクリーム配合物の油性分散相を形成する。
【0093】
配合物に好適な油または脂肪の選択は、医薬エマルジョン配合物中で用いられる可能性が高いほとんどの油中の活性化合物の溶解度は非常に低いので、所望の化粧特性を達成することに基づく。したがって、クリームは場合によって、チューブまたは他の容器からの漏れを回避するために好適な堅さを有する、油っぽくなく、非染色性で水洗いできる製品でなければならない。直鎖もしくは分岐鎖、一塩基性もしくは二塩基性アルキルエステル、例えばジイソアジペート、イソセチルステアレート、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2−エチルヘキシルパルミテートまたはCrodamol CAPとして既知の分岐鎖エステルのブレンドを使用でき、最後の3つが好適なエステルである。これらは必要とされる特性に応じて単独または組み合わせで使用できる。別法として、高融点脂質、例えば白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンまたは他の鉱油を使用できる。
【0094】
眼への局所投与に適した配合物は、活性成分を好適な担体、特に活性成分の水性溶媒中に溶解または懸濁させた点眼剤も含む。活性成分は場合によってかかる配合物中、0.5〜20%、有利には0.5〜10%、特に約1.5%w/wの濃度で存在する。口中への局所投与に適した配合物としては、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントなどの香味基材中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基材中に活性成分を含むトローチ;ならびに好適な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が挙げられる。
【0095】
直腸投与用配合物は、例えばカカオ脂またはサリチレートを含む好適な基剤を用いて坐剤として提供することができる。担体が固体である鼻投与に適した配合物は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズ(20から500ミクロンの間で5ミクロン刻み、例えば30ミクロン、35ミクロンなどの粒子サイズを含む)を有する粗粒子を含み、これを嗅ぐ方法で、すなわち鼻に近づけて持ち上げた粉末の容器から鼻腔を通して急速に吸入することにより投与する。例えば鼻腔用スプレーまたは点鼻剤として投与するための、担体が液体である好適な配合物は、活性成分の水性または油性溶液を含む。エアゾル投与に適した配合物は、従来の方法にしたがって調製でき、他の治療剤とともに送達できる。
【0096】
膣投与に適した配合物は、活性成分に加えて、当該技術分野において適切であることが既知である担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー配合物として提供できる。
【0097】
非経口投与に適した配合物は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および配合物を対象とする受容者の血液と等張にする溶質;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含み得る水性および非水性滅菌注射液を含む。配合物は単回投与または多剤投与容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中で提供することができ、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射水を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即席の注射液および懸濁液を前述した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0098】
好適な単位投与配合物は、本明細書において前述の1日量または単位1日量以下、またはその適切な一部の活性成分を含むものである。
【0099】
問題の種類の配合物に関して言うと、本発明の配合物は、上に具体的に記載した成分だけでなく、当該技術分野で慣例的な他の薬剤を含み得、例えば、経口投与に適した配合物はは着香剤を含み得ることを理解しなければならない。
【0100】
本発明の化合物は、コポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミンなどを含む制御放出医薬配合物を提供するために使用できる。薬物放出速度および作用期間は、活性成分を、例えばポリマー物質、例えばヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメチルメタクリレートおよび他の前記ポリマーの粒子、例えばマイクロカプセル中に取り込むことによっても制御できる。かかる方法は、リポソーム、微小球体、ミクロエマルジョン、ナノ粒子、ナノカプセルなどのコロイド薬物送達系を含む。投与経路に応じて、医薬組成物は保護コーティングを必要とし得る。注射可能な用途に適した医薬形態としては、滅菌水溶液または分散液およびこれらの即席調製のための滅菌粉末が挙げられる。この目的に関する典型的な担体としては、生体適合性水性緩衝液、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
活性成分として、活性成分の放出を制御し、調節して投薬の頻度を少なくするか、または所定の本発明の化合物の薬物動態または毒性プロファイルを改善することができる、1つ以上の本発明の化合物(制御放出配合物)を考慮して。独立した単位が1つ以上の本発明の化合物を含む経口投与に応用される制御放出配合物を従来法にしたがって調製できる。
【0102】
組成物中の活性成分の作用期間を制御するために、追加の成分を含めることができる。制御放出組成物はしたがって、適切なポリマー担体、例えばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニルアセテートを選択することにより得ることができる。いくつかの活性成分を組み合わせて用いる場合、これらは治療される哺乳動物において同時にこれらの複合治療効果を直接もたらす必要はないという事実から、対応する組成物は、別個であるが隣接した保存場所または区画中に2つの成分を含む医薬キットまたはパッケージの形態であってもよい。後者に関連して、各活性成分はしたがって他の成分と異なる投与経路に適した方法で配合することができる。例えば、これらのうちの1つは経口または非経口配合物の形態であり、一方、他のものは静脈注射用アンプルまたはエアゾルの形態である。
【実施例】
【0103】
次の実施例で本発明を限定することなく説明する。パートAは化合物の調製を説明し、パートBは薬理学的実施例を表し、パートCは選択された本発明の化合物の生物学的活性を表す。
【0104】
パートA
2−(2−フルオロ−フェニル)−6−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジンの調製
【0105】
【化2】

2−(2−フルオロ−フェニル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(50mg、0.244ミリモル)のDMF(1ml)中溶液に、10%(w/v)の水性NaOH(113μl、0.28ミリモル)を添加し、続いて4−トリフルオロメトキシベンジルクロリド(60mg、0.28ミリモル)のDMF(0.5ml)中溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。粗反応混合物を、質量に基づき収集を行う逆相HPLCにより精製した。9.2mg(8%)の2−(2−フルオロ−フェニル)−6−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジニウムトリフルオロアセテートを再精製後に得た。
【0106】
2−(2−フルオロ−フェニル)−5−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−5H−ピロロ[3,2−c]ピリジンの調製
【0107】
【化3】

2−(2−フルオロ−フェニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(50mg、0.244ミリモル)のDMF(1ml)中溶液に、10%(w/v)水性NaOH(113μl、0.28ミリモル)を添加し、続いて4−トリフルオロメトキシベンジルクロリド(60mg、0.28ミリモル)のDMF(0.5ml)中溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。粗反応混合物を質量に基づいて収集を行う逆相HPLCにより精製した。87mg(74%)の2−(2−フルオロ−フェニル)−5−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−5H−ピロロ[3,2−c]ピリジニウムトリフルオロアセテートを得た。
【0108】

2−(2−フルオロ−フェニル)−6−[3−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−5−イルメチル]−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジントリフルオロアセテートの調製
【0109】
【化4】

2−(2−フルオロ−フェニル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(50mg、0.244ミリモル)のDMF(1ml)中溶液に、10%(w/v)の水性NaOH(113μl、0.28ミリモル)を添加し、続いて5−クロロメチル−3−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール(79mg、0.28ミリモル)のDMF(0.5ml)中溶液を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。粗反応混合物を、質量に基づき収集を行う逆相HPLCにより精製した。109mg(81%)の2−(2−フルオロ−フェニル)−6−[3−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−5−イルメチル]−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジニウムトリフルオロアセテートを得た。
【0110】
2−(2−フルオロ−フェニル)−5−[3−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−5−イルメチル]−5H−ピロロ[3,2.−c]ピリジントリフルオロアセテートの調製
【0111】
【化5】

2−(2−フルオロ−フェニル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(50mg、0.244ミリモル)のDMF(1ml)中溶液に、10%(w/v)水性NaOH(113μl、0.28ミリモル)を添加し、続いて5−クロロメチル−3−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール(79mg、0.28ミリモル)のDMF(0.5ml)中溶液を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。粗反応混合物を、質量に基づき収集を行う逆相HPLCにより精製した。115mg(86%)の2−(2−フルオロ−フェニル)−5−[3−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−5−イルメチル]−5H−ピロロ[3,2−c]ピリジニウムトリフルオロアセテートを得た。
【0112】
3−シクロヘキシル−6−((3−(4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)イソキサゾール−5−イル)メチル)−2−フェニル−6H−ピロロ[2,3−c]ピリジンの調製
【0113】
【化6−1】

Tet.Lett.41:907(2000)に記載されるようにして合成したトリエチルシリルシクロヘキシルアセチレン(1.36g、6.20ミリモル)および無水DMF(62mL)中4−ヨード−ピリジン−3−イルアミン(1.62g、2.27ミリモル)に、Pd(dppf)Cl・CHCl(253mg、0.31ミリモル)を添加し、続いて無水LiCl(263mg、6.20ミリモル)およびNaCO(1.31g、12.40ミリモル)を添加した。反応混合物を100℃に24時間加熱し、その後反応をHOおよびEtOAcで希釈し、セライト上で濾過した。有機物を分離し、飽和水性NaHCOで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を除去した後、粗生成物をシリカ上カラムクロマトグラフィー(3:2酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、590mg(30%)の所望の生成物を得た。
【0114】
ビス(ピリジン)ヨードニウムテトラフルオロボレート(250mg、0.67ミリモル)を無水CHCl(4mL)中に溶解させた。この溶液に、2−(トリエチルシリル)ピロロピリジン(192mg、0.61ミリモル)のCHCl(2.7mL)中溶液を添加し、続いてトリフルオロメタンスルホン酸(183mg、1.22ミリモル)を添加した。1.5時間室温で撹拌した後、反応をHOで希釈し、有機物を分離した。有機層を水性Naの10%溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ロータリーエバポレーションにより除去した。粗物質(100mg、50%)をさらに精製せずに用いた:
【0115】
【化6−2】

【0116】
【化7−1】

DMF(15mL)中2−ブロモ−5−ニトロトルエン(500mg、2.31ミリモル)および4−クロロフェニルホウ酸(626mg、4.00ミリモル)に、NaCO(695mg、6.56ミリモル)のHO(8mL)中溶液を添加し、続いてPd(PPh(125mg、5モル%)を添加した。反応をマイクロ波反応器中、200℃で3分間加熱した。反応混合物をセライト上で濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカ上カラムクロマトグラフィー(2:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、483mg(84%)の所望の生成物を得た。
【0117】
2−(4−クロロフェニル)5−ニトロトルエン(483mg、1.95ミリモル)およびNBS(382mg、2.15ミリモル)をCCl(13mL)中で結合させた。88℃に加熱した後、AIBN(32mg、0.2ミリモル)を添加し、20時間反応させた。反応を室温に冷却し、CHClおよびHOで希釈した。有機物を分離し、飽和水性NaHCOで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を除去した後、粗物質を次の反応で直接使用した。
【0118】
DMF(3mL)中α−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)5−ニトロトルエン(297mg、0.91ミリモル)4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(167mg、0.76ミリモル)に、KCO(209mg、1.51ミリモル)を添加した。2時間室温で撹拌後、反応をHOで希釈し、EtOAcで抽出した。有機物を分離し、飽和水性NaHCOで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を除去した後、粗生成物をシリカ上カラムクロマトグラフィー(9:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、160mg(45%)の所望の生成物を得た。
【0119】
【化7−2】

【0120】
【化8−1】

DMF(0.69mL)中3−シクロヘキシル−2−ヨード−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(34mg、0.1ミリモル)および置換ボロン酸エステル(58mg、0.13ミリモル)に、NaCO(33mg、0.31ミリモル)のHO(0.35mL)中溶液を添加し、続いてPd(PPh(6mg、5モル%)を添加した。反応混合物を90℃に12時間加熱し、その後反応をC−18SPEカラム上で濾過し、MeOHでフラッシュした。溶媒の除去後、粗生成物をシリカ上カラムクロマトグラフィー(3%CHCl中MeOH)により精製して、6.1mg(11%)の標記化合物を得た。
【0121】
【化8−2】

【0122】
【化9−1】

トルエン/EtOH(1:1、1.76mL)中3−シクロヘキシル−2−ヨード−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(70mg、0.22ミリモル)およびフェニルボロン酸(31mg、0.26ミリモル)に、NaCO(68mg、0.65ミリモル)のHO(0.44mL)中溶液を添加し、続いてPd(dppf)Cl・CHCl(8.8mg、5モル%)を添加した。反応混合物を90℃に12時間加熱し、その後、反応をC−18SPEカラム上で濾過し、MeOHでフラッシュした。溶媒の除去後、粗生成物をシリカ上カラムクロマトグラフィー(4%CHCl中MeOH)により精製して、30mg(83%)の所望の生成物を得た。
【0123】
【化9−2】

【0124】
【化9−3】

DMF(326μL)中3−シクロヘキシル−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(9mg、33マイクロモル)および5−(クロロメチル)−3−(4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)イソキサゾール(11mg、39マイクロモル)に、10%水性NaOH(16mL、39マイクロモル)を添加した。12時間室温で撹拌した後、反応をトリエチルアミンで中和し、粗生成物を逆相HPLCにより精製して、4.5mg(27%)の標記化合物を得た。
【0125】
【化9−4】

パートB
抗ウイルスおよび細胞増殖抑制作用の決定法
抗HCVアッセイ/レプリコンアッセイ
Huh−5−2細胞[持続性HCVレプリコンI389luc−ubi−neo/NS3−3’/5.1;つまりホタルルシフェラーゼ−ユビキチン−ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ融合タンパク質およびEMCV−IRE性NS3−5BHCVポリプロテインを有するレプリコンを有する細胞系]を、10%ウシ胎仔血清、2mMのL−グルタミン(Life Technologies)、1×非必須アミノ酸(Life Technologies);100IU/mlのペニシリンおよび100ug/mlのストレプトマイシンおよび250ug/mgのG418(Geneticin,Life Technologies)を添加したRPMI培地(Gibco)中で培養した。細胞を、G418以外は上記と同じ成分を含む培地中、96穴View Plate(登録商標)(Packard)中、各穴あたり7000細胞の密度で播種した。細胞を24時間付着させ、増殖させた。この時点で、培地を除去し、試験化合物の連続希釈を、G418が欠失した培地中に添加した。インターフェロンアルファ2a(500IU)を正の対照として含めた。プレートをさらに37℃、5%COで72時間インキュベートした。Huh−5細胞中でのHCVレプリコンの複製の結果、細胞中でルシフェラーゼ活性が得られる。50μlの1×Glo溶解緩衝液(Promega)を15分間添加し、続いて50μlのSteady−Glo Luciferase分析試薬(Promega)を添加することによりルシフェラーゼ活性を測定する。照度計を用いてルシフェラーゼ活性を測定し、各穴中のシグナルを未処理培養物のパーセンテージとして表す。古典的な96穴細胞培養プレート(Becton−Dickinson)の穴あたり7000細胞の密度で播種されたHuh−5−2細胞の平行培養物を、Glo溶解緩衝液またはSteady−Glo Luciferase試薬を添加しない以外は同じ方法で処理する。そのかわりに、培養物の密度をMTS法(Promega)により測定する。
【0126】
TaqmanリアルタイムRT−PCRによるHCV RNAの定量分析
レプリコン細胞を96穴プレート中、穴あたり7.5×10細胞、37℃、5%COで、10%ウシ胎仔血清、1%非必須アミノ酸および1mg/mlのGeneticinを含むDulbeccoの修飾必須培地中にプレートした。24時間細胞を接着させた後、異なる希釈度の化合物を培養物に添加した。プレートを5日間インキュベートし、この時点でQiamp Rneazyi Kit(Qiagen,Hilden,Germany)を用いてRNAを抽出した。50μLのPCR反応はTaqMan EZ緩衝液(50ミリモル/LのBicine、115ミリモル/Lの酢酸カリウム、0.01ミリモル/LのEDTA、60ナノモル/Lの6−カルボキシ−X−ローダミン、および8%グリセロール、pH8.2;Perkin Elmer Corp./Applied Biosystems)、300マイクロモル/Lのデオキシアデノシン三リン酸、300マイクロモル/Lのデオキシグアノシン三リン酸、300マイクロモル/Lのデオキシシチジン三リン酸、600マイクロモル/Lのデオキシウリジン三リン酸、200マイクロモル/Lの順プライマー[5’−ccg gcT Acc Tgc ccA TTc]、200マイクロモル/Lの逆プライマー[ccA GaT cAT ccT gAT cgA cAA G]、100マイクロモル/LのTaqManプローブ[6−FAM−AcA Tcg cAT cgA gcg Agc Acg TAc−TAMRA]、3ミリモル/Lの酢酸マンガン、0.5UのAmpEraseウラシル−N−グリコシラーゼ、7.5UのrTth DNAポリメラーゼ、および10μlのRNA溶出液を含んでいた。50℃で2分間のウラシル−N−グリコシラーゼの初期活性化後、RTを60℃で30分間行い、続いてウラシル−N−グリコシラーゼを95℃で5分間不活性化した。その後のPCR増幅は、94℃で20秒間変性、アニール、62℃で1分間、ABI7700配列検出器中で伸張の40サイクルからなっていた。各PCRを行うために、負の鋳型および正の鋳型試料を使用した。サイクル閾値(Ct値)を、シグナルがベースラインを超えるPCRサイクルの数と定義し、これは正の値を規定する。Ct値が<50ならば試料は陽性と見なした。結果をゲノム当量(GE)として表す。
【0127】
パートC
選択された化合物の生物活性
本発明の代表的な化合物を表1に示す。示された化合物は活性であり、HCVレプリコンEC50値は100uMよりも低かった。
【0128】
【表1−1】

【0129】
【表1−2】

【0130】
【表1−3】

【0131】
【表1−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(A):
【化10】

(式中:
点線は少なくとも3個、場合によっては4個の二重結合を表すが、2個の二重結合は互いに隣接しないとする;
Aは−N=またはCR26であるが、1つのAはCR26である;
は水素、アリール、ヘテロ環、C−C10アルコキシ、C−C10チオアルキル、C−C10アルキル−アミノ、C−C10ジアルキル−アミノ、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、およびC4−10シクロアルキニルから選択され、それぞれは場合によって1個以上のRで置換されている;
Yは単結合、O、S(O)、NR11、C1−10アルキレン、C2−10アルケニレン、またはC2−10アルキニレンから選択され、ここで各アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンの1〜3個の−C(H)=、−C(≡)または−CH−基は場合によっては−O−、=O、−OR27、−S−、=S、−SR27、−NR27、−N(R27(ここでR27は独立して水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、またはC2−18アルキニルである)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基で独立して置換されている;
ただし、YRは水素またはC1−6アルキルではないとする;
およびRは水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−NR、ハロアルキルオキシ、ハロアルキル、−C(=O)R、−C(=S)R、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、C1−18ヒドロキシアルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルオキシ、C3−10シクロアルキルチオ、C3−10シクロアルケニル、C3−10シクロアルキニル、またはヘテロ環から独立して選択される;
Xは存在しないか、または水素、C−C10アルキレン、C2−10アルケニレンもしくはC2−10アルキニレンから選択され、ここで各アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンの1〜3個の−C(H)=、−C(≡)または−CH−基は−O−、=O、−OR27、−S−、=S、−SR27、−NR27、−N(R27(ここでR27は独立して水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、またはC2−18アルキニルである)から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基で独立して置換されている;
mは0〜2の任意の整数である;
は存在しないか、または水素、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール−N(R10)−、もしくは芳香族ヘテロ環から選択され、ここでそれぞれの該置換基は場合によって1個以上のR17で置換されているが、シクロアルケニルについて、二重結合は窒素と隣接しないとする;
は水素;C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−NR、ハロアルキルオキシ、ハロアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=S)R、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、C1−18ヒドロキシアルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルオキシ、C3−10シクロアルキルチオ、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、またはヘテロ環から選択される;
は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、C1−18アルキルスルホキシド、C1−18アルキルスルホン、C1−18ハロ−アルキル、C2−18ハロ−アルケニル、C2−18ハロ−アルキニル、C1−18ハロ−アルコキシ、C1−18ハロ−アルキルチオ、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、ハロゲン、OH、CN、シアノアルキル、−CO18、NO、−NR、C1−18ハロアルキル、C(=O)R18、C(=S)R18、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリール(C1−18)アルキル、アリール(C1−18)アルキルオキシ、アリール(C1−18)アルキルチオ、ヘテロ環およびC1−18ヒドロキシアルキルから選択され、ここでそれぞれは場合によって1〜3個のR19で置換されている;
およびRは水素、C1−18アルキル、C1−18アルケニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、ヘテロ環、−C(=O)R12;−C(=S)R12、そのカルボキシル基により結合したアミノ酸残基から独立して選択されるか、またはRおよびRは窒素と一緒になってヘテロ環を形成する;
およびR18は水素、OH、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、C1−18アルコキシ、−NR1516、アリール、アミノ酸のアミノ基により結合したアミノ酸残基、CHOCH(=O)R9a、またはCHOC(=O)OR9a(ここでR9aはC−C12アルキル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリールまたはC−C20アルアルキルである)から独立して選択される;
10およびR11は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、アリール、−C(=O)R12、ヘテロ環、またはアミノ酸残基からなる群から独立して選択される;
12は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、またはアミノ酸残基からなる群から選択される;
15およびR16は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、またはアミノ酸残基から独立して選択される;
17は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C1−18アルキルチオ、C1−18アルキルスルホキシド、C1−18アルキルスルホン、C1−18ハロゲン化アルキル、C2−18ハロゲン化アルケニル、C2−18ハロゲン化アルキニル、C1−18ハロゲン化アルコキシ、C1−18ハロゲン化アルキルチオ、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルケニル、C7−10シクロアルキニル、ハロゲン、OH、CN、COH、CO18、NO、NR、ハロアルキル、C(=O)R18、C(=S)R18、SH、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルチオ、ヘテロ環、C1−18ヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、ここで該アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルホキシド、アリールスルホン、アリールスルホンアミド、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルチオ、ヘテロ環、またはC1−18ヒドロキシアルキルのそれぞれは、場合によって1個以上のR19で置換されている;
19は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、C1−18アルコキシ、C2−18アルケニルオキシ、C2−18アルキニルオキシ、C1−18アルキルチオ、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、C4−10シクロアルキニル、ハロゲン、−OH、−CN、シアノアルキル、−NO、−NR2021、C1−18ハロアルキル、C1−18ハロアルキルオキシ、−C(=O)R18、−C(=O)OR18、−OアルケニルC(=O)OR18、−OアルキルC(=O)NR2021、−OアルキルOC(=O)R18、−C(=S)R18、SH、−C(=O)N(C1−6アルキル)、−N(H)S(O)(O)(C1−6アルキル)、アリール、ヘテロ環、C1−18アルキルスルホン、アリールスルホキシド、アリールスルホンアミド、アリール(C1−18)アルキルオキシ、アリールオキシ、アリール(C1−18アルキル)オキシ、アリールチオ、アリール(C1−18)アルキルチオ、またはアリール(C1−18)アルキルから選択され、ここで、それぞれは場合によって1〜3個の=O、NR2021、CN、C1−18アルコキシ、ヘテロ環、C1−18ハロアルキル、ヘテロ環アルキル、アルキルによりR17に結合したヘテロ環、アルコキシアルコキシまたはハロゲンで置換されている;
20およびR21は水素、C1−18アルキル、C2−18アルケニル、C2−18アルキニル、アリール、C3−10シクロアルキル、C4−10シクロアルケニル、−C(=O)R12、または−C(=S)R12から独立して選択される;
26は水素、C1−18アルキル、C3−10シクロアルキル、アリール、ヘテロ環から独立して選択され、ここでそれぞれは場合によって1〜3個のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ、CHOH、ベンジルオキシ、およびOHで独立して置換されている)
を有するピロロ[2,3−c]ピリジンまたはピロロ[3,2−c]ピリジン化合物ならびにこれらの塩、互変異性体、立体異性体、および溶媒和物。
【請求項2】
ウイルス感染症の治療または予防用医薬を調製するための、請求項1に記載のピロロ[2,3−c]ピリジンまたはピロロ[3,2−c]ピリジン化合物の使用。
【請求項3】
前記ウイルス感染症が、フラビウイルス科に属するウイルスの感染症である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記ウイルス感染症がC型肝炎ウイルスの感染症である、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
26が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yが単結合であり、Rが1〜3個のRで置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
XがC1−C3アルキルであり、Rが1または2個のR17で独立して置換されたヘテロ環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
17が1または2個のR19で独立して置換されている、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Yが結合である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が1または2個のRで独立して置換されたアリールである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
、R、およびRが水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
Xがメチレンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
が1〜3個のN、Oおよび/またはS環原子を含む5員ヘテロアリールである、請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
がイソキサゾリルまたはピリジジニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項15】
19が独立してアリールである、請求項8に記載の化合物。
【請求項16】
アリールがフェニルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
19が1または2個のRで独立して置換されている、請求項8に記載の化合物。
【請求項18】
が独立してハロまたはC1−C6ハロアルキルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
19が2個のRで置換されている、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
Xがメチルであり、Rが1個のR17で置換されたイソキサゾールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
17が1個のR19で置換されている、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
19が1または2個のRで置換されている、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
26がC3−C6シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤または担体。

【公表番号】特表2010−513286(P2010−513286A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541405(P2009−541405)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025689
【国際公開番号】WO2008/133669
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【出願人】(509006842)
【出願人】(507028664)
【Fターム(参考)】