ウェザーストリップ及びその取付方法
【課題】相手取付面に対して容易に取り付けを行なえるようにして、作業者の取付作業負担の軽減を図ることのできるウェザーストリップ及びその取付方法を提供する。
【解決手段】取付基部5に接着面9を設け、接着面9に両面テープ10を取り付ける。取付基部5を両面テープ10を介して車体パネル7に接着固定する。取付基部5の接着面の背部側に中空部11を設け、取付基部5のうちの接着面9と中空部11の間の領域を、取付基部5の他の部位に比較して軟質な部材から成る接着壁12とする。中空部11にエアを導入し、接着壁12を外側に変形させて両面テープ10を車体パネル7に圧着させる。
【解決手段】取付基部5に接着面9を設け、接着面9に両面テープ10を取り付ける。取付基部5を両面テープ10を介して車体パネル7に接着固定する。取付基部5の接着面の背部側に中空部11を設け、取付基部5のうちの接着面9と中空部11の間の領域を、取付基部5の他の部位に比較して軟質な部材から成る接着壁12とする。中空部11にエアを導入し、接着壁12を外側に変形させて両面テープ10を車体パネル7に圧着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の開口部とドア等の開閉体の間をシールするウェザーストリップ及びその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドア回り等をシールするウェザーストリップとして、ウェザーストリップの取付基部に両面テープを取り付け、両面テープの他面側をドア側の取付面に接着するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3977622号公報
【特許文献2】特開2001−341587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のウェザーストリップにおいては、取付基部を相手取付面に取り付けるに際して、ローラー圧着治具を用いて両面テープの他面を相手取付面に圧着しなければならないため、ウェザーストリップが長尺な部材であることとも相俟って、作業者の取付作業負担が大きくなる。
【0005】
そこでこの発明は、相手取付面に対して容易に取り付けを行なえるようにして、作業者の取付作業負担の軽減を図ることのできるウェザーストリップ及びその取付方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、車体開口部(例えば、後述の実施形態における開口部2)とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体(例えば、後述の実施形態におけるテールゲート1)との間をシールするウェザーストリップ(例えば、後述の実施形態におけるウェザーストリップ4)であって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部(例えば、後述の実施形態における取付基部5)を備え、前記取付基部が接着部材(例えば、後述の実施形態における両面テープ10)によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、前記取付基部の接着面(例えば、後述の実施形態における接着面9)の背部側に中空部(例えば、後述の実施形態における中空部11)が設けられるとともに、前記取付基部のうちの前記接着面と前記中空部の間の領域が、前記取付基部の他の部位に比較して軟質な部材から成る接着壁(例えば、後述の実施形態における接着壁12)とされていることを特徴とする。
中空部に外部からエアを導入すると、軟質な部材から成る接着壁が外側に膨らむように変形し、接着面に設けられた接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に押し付けられるようになる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウェザーストリップにおいて、車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップであって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部を備え、前記取付基部が接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、前記取付基部の接着面の背部側にエア導入用の中空部が設けられていることを特徴とする。
中空部に外部からエアを導入すると、接着面が背部側の中空部で押されて外側に膨出し、接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に押し付けられるようになる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のウェザーストリップにおいて、前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部(例えば、後述の実施形態における中空シール部6)を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁(例えば、後述の実施形態における隔離壁13)が設けられていることを特徴とする。
この場合、中空シール部と、取付時にエアが導入される中空部が隔離壁によって隔離されるため、中空シール部と中空部の気密性能を異ならせることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェザーストリップにおいて、前記接着面の両側に第2の接着面(例えば、後述の実施形態における第2の接着面16)が設けられ、この第2の接着面に前記接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材(例えば、後述の実施形態における両面テープ17)が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする。
ウェザーストリップを取り付ける場合には、最初に、接着面よりも外側に突出する第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に当接し、このときウェザーストリップが車体開口部と開閉体のいずれか一方に対して第2の接着部材で仮止めされる。この状態で中空部にエアが導入されると、接着壁が第2の接着部材によって両側を車体開口部と開閉体のいずれか一方に拘束された状態で相手部材方向に膨出するようになる。この結果、接着壁上の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けられるようになる。また、中空部からエアを排出すると、接着壁の変形が戻ることによって第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられることとなる。この結果、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けられるようになる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のウェザーストリップにおいて、前記第2の接着部材はシール部材によって構成されていることを特徴とする。
中空部からエアを排出することによって第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられると、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方とウェザーストリップの間を有効にシールするようになる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェザーストリップにおいて、前記中空部の内面は、前記接着壁以外の部分が前記接着壁に比較して硬質な材料によって形成されていることを特徴とする。
中空部の接着壁以外の部分が弾性変形しにくくなるため、中空部に導入されたエアの圧力が接着壁以外の部分に逃げ難くなる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着によって取り付ける取付方法であって、前記ウェザーストリップの接着面の背部側に中空部を設け、この中空部に外部からエアを導入することで前記接着面を前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に押圧すること特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のウェザーストリップの取付方法において、前記ウェザーストリップは、前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載のウェザーストリップの取付方法において、前記接着面の両側に第2の接着面が設けられ、この第2の接着面に前記接着面に取り付けられる接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載のウェザーストリップの取付方法において、前記ウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めし、その後、前記開閉体を閉じた状態で前記中空部にエアを導入することを特徴とする。
ウェザーストリップが車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めされた状態で、開閉体が閉じられると、ウェザーストリップが車体開口部と開閉体によって押さえ込まれる。これにより、ウェザーストリップの位置ずれが防止されるとともに、中空部の接着壁以外の部分の変形が抑制される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、中空部へのエアの導入によって軟質な部材から成る接着壁を外側に膨出させ、それによって接着面に設けられた接着部材を車体開口部と開閉部材のいずれか一方に押し付けることができるため、ローラー圧着治具を用いることなくウェザーストリップを車体開口部と開閉部材のいずれか一方に容易に取り付けることができる。したがって、この発明によれば、作業者の取付作業負担を軽減することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、中空部へのエアの導入によって接着壁を外側に膨出させ、それによって接着面に設けられた接着部材を車体開口部と開閉部材のいずれか一方に押し付けることができるため、ローラー圧着治具を用いることなくウェザーストリップを車体開口部と開閉部材のいずれか一方に容易に取り付けることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、中空シール部と中空部が隔離壁によって隔離されるため、中空シール部に、シールに必要な変形容易な特性(内圧を逃がし易い特性)を持たせ、かつ中空部に接着時に必要となる高い気密性を持たせることができる。したがって、この発明によれば、シール部分と接着に関与する部分の相反する要求を同時に満たすことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、接着面よりも外側に突出する第2の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に先に当接させて、ウェザーストリップを仮止めすることができるとともに、その状態で中空部にエアを導入することにより、両側を第2の接着部材で拘束した状態で接着壁を膨出させて中央の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けることができる。したがって、この発明によれば、仮止めによって作業の容易化を図ることができるとともに、接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けてより確実な接着を実現することができる。
また、この発明によれば、中空部からエアを排出したときに、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられるため、接着部材の両側の第2の接着部材をも車体開口部と開閉体のいずれか一方に対して確実に接着することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、中空部からエアを排出したときに、シール部材から成る第2の接着部材が車体開口部と開閉部材のいずれか一方に密着状態で押圧されるため、車体開口部と開閉体のいずれか一方とウェザーストリップの間を密閉状態にし、取付基部側のシール性能を高めることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、中空部の接着壁以外の部分が硬質な材料によって形成されるため、中空部に導入されるエアの圧力をロスなく接着壁に作用させることができる。したがって、この発明によれば、導入エア量の増大を招くことなく、接着部材を車体開口部と開閉部材のいずれか一方により強固に押圧することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、ウェザーストリップの接着面の背部側に中空部を設け、この中空部に外部からエアを導入して、エアの圧力によって接着面を車体開口部と開閉体のいずれか一方に押圧するため、ローラー圧着治具を用いることなくウェザーストリップを車体開口部と開閉部材のいずれか一方に容易に取り付けることができる。したがって、この発明によれば、作業者の取付作業負担を軽減することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、中空シール部と中空部が隔離壁によって隔離されるため、中空シール部に、シールに必要な変形容易な特性(内圧を逃がし易い特性)を持たせ、かつ中空部に接着時に必要となる高い気密性を持たせることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、接着面よりも外側に突出する第2の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に先に当接させて、ウェザーストリップを仮止めすることができるとともに、その状態で中空部にエアを導入することにより、両側を第2の接着部材で拘束した状態で接着壁を膨出させて中央の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けることができる。したがって、この発明によれば、仮止めによって作業の容易化を図ることができるとともに、接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けてより確実な接着を実現することができる。
また、この発明によれば、中空部からエアを排出したときに、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられるため、接着部材の両側の第2の接着部材をも車体開口部と開閉体のいずれか一方に対して確実に接着することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、ウェザーストリップを車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めした後に、開閉体を閉じた状態で中空部にエアを導入するため、ウェザーストリップの位置ずれを防止することができるとともに、中空部に導入されるエアの圧力を接着壁に集中させ、接着部材を強固に車体開口部と開閉体のいずれか一方に容易に、かつ確実に圧着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップが取り付けられる車両後部の斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの図1のA−A断面に対応する断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの一部を破断した斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの製造工程を説明するための図3に対応する分解斜視図である。
【図5】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの取り付けられた車両の図1のB−B断面に対応する断面図である。
【図6】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの取付工程を説明するための図5のC部に対応する断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態のウェザーストリップの図1のA−A断面に対応する断面図である。
【図8】この発明の第3の実施形態のウェザーストリップの図1のA−A断面に対応する断面図である。
【図9】この発明の第1の実施形態の変形例を示す図6と同様の断面図である。
【図10】この発明の第1の実施形態の別の変形例を示す図6と同様の断面図である。
【図11】この発明の第1の実施形態のさらに別の変形例を示す図6と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を一部省略するものとする。
最初に、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、車体後部に跳ね上げ式のテールゲート1(開閉体)を備えた車両を示すものである。この車両の車体後部には開口部2(車体開口部)が設けられ、その開口部2の上部にテールゲート1が開閉可能に取り付けられるとともに、テールゲート1の両側部と開口部2の間に一対のガス圧式のダンパー3,3が設けられている。また、開口部2の周域にはウェザーストリップ4が取り付けられ、テールゲート1の閉時に、テールゲート1と開口部2の間がこのウェザーストリップ4によってシールされるようになっている。
【0028】
図2は、図1のA−A部分に対応するウェザーストリップ4の断面を示すものである。ウェザーストリップ4は、同図に示すように車体側の開口部2の周縁に主に接着によって取り付けられる取付基部5と、テールゲート1の閉時に、テールゲート1の周縁部の裏面が密接する中空シール部6と、を備えている。なお、同図中7aは、車体後部面に対して奥行き方向(車体前方)に窪んだ車体パネル7の凹壁であり、7bは、凹壁7aから開口部2の内側方向に垂立する車体パネル7の取付フランジである。また、8は、荷室フロア側の室内トリムである。
【0029】
取付基部5は、車体パネル7の凹壁7aと取付フランジ7bの後部面とに跨って支持固定され、取付フランジ7bの後部面に当接する部分の中央領域(図中上下方向の中央)が接着面9とされている。この接着面9には、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)から成る両面テープ10(接着部材)の一面が固定され、両面テープ10の他面が取付フランジ7bの後部面に接着されるようになっている。なお、EPDMは、シール性の高い材料であり、接着部分からの水漏れ等を有効に防止することができる。
【0030】
取付基部5の接着面9の背部側には長手方向に連続する中空部11が設けられている。中空部11を構成する接着面9側の壁は接着壁12とされ、中空シール部6側の壁は中空部11と中空シール部6の間を隔離する隔離壁13とされている。また、中空部11を構成する凹壁7a側の壁は車体パネル7の凹壁7aに当接する支持ブロック14とされている。なお、この支持ブロック14には、ウェザーストリップ4の回転方向の倒れを防止する倒れ防止リップ14aが設けられている。また、取付基部5の支持ブロック14と対面する側の壁には、車体パネル7の取付フランジ7bの上部を跨いで車室内側に延出するカバーリップ15が設けられている。
【0031】
ここで、ウェザーストリップ4はその断面の全域が一様なゴム材料で形成されているのではなく、取付基部5の大半の部分が剛性の高いソリッドゴムによって形成され、中空シール部6の全域と取付基部5の一部が取付基部5のソリッドゴムに比較して軟質なスポンジゴムによって形成されている。この実施形態の場合、取付基部5のうちの接着壁12と、倒れ防止リップ14aと、カバーリップ15の先端側の一部の領域がスポンジゴムによって形成され、取付基部5の残余の領域がソリッドゴムによって形成されている。特に、接着壁12は中空部11に臨む面から接着面に亘る全領域がスポンジゴムによって形成されている。
なお、倒れ防止リップ14aは、ウェザーストリップ4の取付後に車体パネル7の凹壁7aに密接することによって取付フランジ7bを回り込む水滴の進入を防止し、カバーリップ15の先端部は室内トリム8の上面に密接することによって同トリム8の端末部を覆い隠している。
【0032】
また、取付基部5のうちの、取付フランジ7bの後部面に臨む側の面はほぼ面一に形成され、前記接着壁12の両側(図2中の上下)のソリッドゴム部分には、接着面9と面一な第2の接着面16,16が設けられている。そして、これらの第2の接着面16には、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)から成る両面テープ17(第2の接着部材)の一面が固定されている。各両面テーム17は、中央の両面テープ10に比較して肉厚に形成され、各両面テープ17の他面が取付フランジ7bの後部面に接着されるようになっている。
【0033】
ところで、ウェザーストリップ4は長手方向の両端部が相互に接合されて全体が環状を呈するように形成されているが、製造に際しては、図3,図4に示すように、所定長さに造形された押出し成形品4Aの両端部が、別工程で造形された型成形品4Bを介して相互に接続されている。
なお、図3は、押出し成形品4Aの両端部が短尺な型成形品4Bを介して接合された状態を示し、図4は、押出し成形品4Aと型成形品4Bが接合される前の状態を示している。押出し成形品4Aの両端部は、型成形品4Bを間に挟み込んだ状態において加硫接着によって型成形品4Bに固定されている。また、型成形品4Bは成形の関係上、全域が一様なソリッドゴムによって形成されている。
【0034】
型成形品4Bの断面は、基本的に押出し成形品4Aの断面とほぼ同様に形成されているが、取付基部5の支持ブロック14部分に、倒れ防止リップ14aよりも車外側に位置される外面と中空部11の内部を連通するエア導入孔18が形成されている。このエア導入孔18は、取付基部5を車体パネル7に接着するときに、中空部11内に外部からエアを導入するのに用いられる。なお、エア導入孔18は、押出し成形部4Aに設けることも可能であるが、この実施形態のように型成形部4Bに設けた場合には、寸法管理や加工自体が容易になる。つまり、押出し成形部4Aにエア導入孔18を設ける場合には、押出し成形の後に孔あけ加工を行わなければならなくなるが、型成形部4Bにエア導入孔18を設ける場合には、型成形と同時にエア導入孔18を成形することができる。
【0035】
図5は、ウェザーストリップ4を車体パネル7に取り付ける際に、エア導入孔18を通して中空部11内にエアを導入している様子を示すものである。
同図では、エア供給装置の注入ノズル19をエア導入孔18に挿入している。このとき、エア供給装置のエア供給チューブ20は、車体の開口部2とテールゲート1の隙間を通して車外側に引き出されている。なお、同図中21は、車体側のバンパフェイシアであり、22は、テールゲート1のロアガーニッシュである。
【0036】
図6は、ウェザーストリップ4のエア導入孔18に注入ノズル19を挿入する工程を示すものである。同図に示すように、エア導入孔18の直径は、注入ノズル19の直径よりも予め小さく形成されており、注入ノズル19の挿入時にエア導入孔18をゴムの弾性を利用して押し開き、注入ノズル19の先端部を中空部11内に挿入する。このようにエア導入孔18の直径を注入ノズル19の直径よりも小さくすることにより、エアの導入時にはエア導入孔18の周囲からのエア漏れを防止することができるとともに、エア導入孔18から注入ノズル19を引き抜くときには中空部11内のエアを緩やかに外部に排出することができる。
【0037】
また、このウェザーストリップ4においては、前述のように車体パネル7への取付時にエア導入孔18を通して中空部11内にエアを導入し、それによって中空部11の内圧を高める。このため、中空部11を取り囲む壁部はほぼ気密にされている。これに対し、中空シール部6は、テールゲート1が閉じられたときに、テールゲート1の裏面に追従してある程度柔軟に撓み変形する必要から、隔離壁13以外の部分に複数のエア抜き孔(図示せず)が設けられている。
【0038】
ウェザーストリップ4を車体パネル7に取り付ける場合には、ウェザーストリップ4の取付基部5に予め両面テープ10,17,17の一面を接着固定しておき、この状態から接着壁12の両側の肉厚の厚い両面テープ17,17の他面を車体パネル7の取付フランジ7bの後部面に仮止め接着する。
【0039】
次に、この状態からウェザーストリップ4の型成形部4Bに形成されているエア導入孔18にエア供給装置の注入ノズル19を挿入し、その状態からテールゲート1を閉操作して、図5に示すようにテールゲート1の裏面で中空シール部6を押圧する。テールゲート1はこの状態において図示しないロック機構によって車体側にロックされる。
【0040】
こうしてテールゲート1が閉じられると、ウェザーストリップ4の取付基部5が中空シール部6を介して取付フランジ7bの後部面に押し付けられ、その結果、取付基部5の位置ずれが防止されるとともに、隔離壁13の両縁部分の変形が抑制されるようになる。したがって、この状態から中空部11に高圧のエアが導入されれば、エアの圧力が接着壁12方向に集中し易くなる。
なお、この状態では接着壁12の両側の両面テープ17,17が中央の両面テープ10よりも突出しているため、中央の両面テープ10は取付フランジ7bの裏面に圧着されていない。
また、中空シール部6と中空部11の間を仕切る隔離壁13は、テールゲート1が閉じられて中空シール部6のテールゲート1側の壁が変形したときに、そのテールゲート1側の壁と干渉することのない形状とされている。このため、テールゲート1が閉じられるときに隔離壁13の反力がテールゲート1に直接作用せず、テールゲート1の閉操作が阻害されることがない。
【0041】
つづいて、この状態から注入ノズル19を通して中空部11内に高圧のエアを導入する。こうして、中空部11内に高圧のエアが導入されると、取付基部5のスポンジゴム製の接着壁12が取付フランジ7b方向に膨出変形し(図2中の仮想線参照。)、このとき接着壁12に取り付けられている両面テープ10の他面が取付フランジ7bの後部面に強固に押し付けられる。この結果、接着壁12が両面テープ10を介して取付フランジ7bに強固に接着固定されるようになる。
【0042】
この後、中空部11に対するエアの供給を停止し、テールゲート1を開いて注入ノズル19をエア導入孔18から取り外す。
こうして、エア導入孔18から注入ノズル19が取り外されると、中空部11内の高圧エアがエア導入孔18を通して外部に排出され、それに伴って取付基部5の接着壁12が初期形状に戻されようとする。このとき、接着壁12は両面テープ10を介して取付フランジ7bに接着固定されているため、取付基部5の内部には、接着壁12の両縁部を取付フランジ7b方向に押圧するような応力が作用し、両側の両面テープ17,17が取付フランジ7bに強固に押し付けられるようになる。したがって、最終的には、取付基部5が中央の両面テープ10と両側の両面テープ17,17を介して取付フランジ7bに強固に接着固定される。
【0043】
以上のように、このウェザーストリップ4においては、エアの導入が可能な中空部11と、中空部11に臨むスポンジゴム製の(軟質材料から成る)接着壁12が設けられているため、接着壁12に両面テープ10を取り付けた状態で中空部11に高圧のエアを導入するだけで、ローラー圧着治具等を用いることなく、取付フランジ7bに対して容易に、かつ強固に取り付けることができる。したがって、このウェザーストリップ4を採用することにより、作業者の取付作業負担を軽減することができる。
【0044】
また、このウェザーストリップ4においては、車体パネル7への取付時に高圧エアが導入される中空部11と、テールゲート1の閉時にテールゲート1の裏面に追従して変形する中空シール部6が隔離壁13によって完全に隔離されているため、中空部11と中空シール部6の特性を異ならせ、各部に適した特性を持たせることができる。すなわち、例えば、この実施形態のように中空部11側の気密性を高めるとともに、中空シール部6側のエア排出性を良好にすることにより、中空シール部6のテールゲート1に対する追従性(シール性)を損なうことなく、中空部11に導入するエアによって両面テープ10を確実に車体パネル7に圧着することができる。
【0045】
さらに、このウェザーストリップ4においては、取付基部5の接着面9の両側に接着面9と面一な第2の接着面16,16が設けられ、その第2の接着面16,16が中央の両面テープ10よりも肉厚の厚い両面テープ17,17を介して車体パネル7に接着固定されるため、車体パネル7への取付時に、エアの導入前に両側の両面テープ17,17を車体パネル7に先に当接させて仮止めすることができるとともに、その状態で中空部11にエアを導入することによって両側を押さえ込んだ状態で中央の両面テープ10を車体パネル7に強固に押し付けることができる。
また、このウェザーストリップ4では、中空部11からエアを排出したときに、取付基部5内の応力によって両側の両面テープ17,17が車体パネル7に押し付けられるため、両側の両面テープ17,17も車体パネル7に強固に固定することができる。
なお、この実施形態においては、接着面9の両側に接着面9と面一な第2の接着面16,16を設け、この第2の接着面16,16に中央の両面テープ10よりも肉厚な両面テープ17,17を取り付けたが、第2の接着面16,16は必ずしも中央の接着面と面一である必要はなく、第2の接着面16,16に取り付けた両面テープ17,17の車体パネル7側の面が、中央の両面テープ10の車体パネル7側の面よりも外側に突出していれば良い。
【0046】
また、この実施形態の場合、接着壁12の両側の両面テープ17,17がシール性の高い材料によって形成されているため、両面テープ17,17が最終的に車体パネル7に押圧状態で固定されたときに、車体パネル7とウェザーストリップ4の間を確実に密閉し、取付基部5側からの水滴の進入を確実に阻止することができる。
【0047】
図7は、この発明の第2の実施形態のウェザーストリップ104の図1のA−A断面に対応する断面図である。
このウェザーストリップ104は、基本的な構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、エアの導入される中空部11を取り囲む壁のうちの、接着壁12以外のすべての部分がソリッドゴム(接着壁12に比較して硬質な材料)で形成されている点が異なっている。
【0048】
このウェザーストリップ104は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、接着壁12以外の中空部11の壁がすべてソリッドゴムによって形成されているため、中空部11にエアを導入したときに接着壁12以外の壁が撓み変形しにくくなり、その分、導入されるエアの圧力をロスなく接着壁12に作用させることが可能になる。したがって、このウェザーストリップ104においては、導入エア量の増大を招くことなく、両面テープ10を車体パネルに強固に押圧することができる。
【0049】
図8は、この発明の第3の実施形態のウェザーストリップ204の図1のA−A断面に対応する断面図である。
このウェザーストリップ204は、第1の実施形態のウェザーストリップ4の隔離壁13を取り払い、中空部211を中空シール部6と一体化したものである。このウェザーストリップ204の場合、中空シール部6と一体の中空部211にエアを導入することによって接着壁12を外側に変形させ、接着壁12の外側の両面テープ10を車体パネルに対して押圧する。
【0050】
この実施形態のウェザーストリップ204は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるが、中空部211を中空シール部6と一体化して隔離壁を廃止したことから、ウェザーストリップ204の基本断面形状を簡素化することができる。したがって、押出し成形装置の口金形状を簡素化し、装置の製造コストを低減することができる。
【0051】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、テールゲートと車体の開口部の間をシールするウェザーストリップについて説明したが、この発明に係るウェザーストリップはテールゲート部分に限らず、車体の側部ドアやトランクリッド等、車体の開口部を開閉する開閉体部分であれば他の部分にも適用が可能である。また、上記の実施形態は、ウェザーストリップを車体パネル側に取り付けたものであるが、ウェザーストリップはテールゲート等の開閉体側に取り付けるようにしても良い。
【0052】
さらに、上記の実施形態においては、接着壁を軟質部材であるスポンジゴムによって形成したが、中空部の内面を形成している取付基部の他の部位よりも接着壁の肉厚を薄くする等によって接着壁を変形容易な構造としても良い。この場合、ウェザーストリップの断面の全域を一様なゴム部材で形成するようにしても良い。このとき、ウェザーストリップの材質はスポンジゴムであることが好ましい。
【0053】
また、第1の実施形態においては、図6に示すように、取付基部5に設けるエア導入孔18の直径を注入ノズル19の直径よりも予め小さく形成しておき、注入ノズル19の挿入時にゴムの弾性によってエア導入孔18を押し開き、注入ノズル19を抜き取ることによって中空部11内のガスを外部に排出するようにしているが、図9に示すように取付基部5に内外を貫通するスリット318を予め形成しておき、エアの導入時には、注入ノズル19をスリット318を押し広げて中空部11内に挿入し、導入後には、注入ノズル19を抜き取ることによって中空部11内のガスの圧力によってスリット318が閉塞されるようにしても良い。この場合には、中空部11に導入されたエアは内部に保持される。
【0054】
さらに、図10に示すように、取付基部5の車外側の壁に注入ノズル19の直径とほぼ同幅のガイド溝418aを形成し、ガイド溝418aの底部に中空部11内に連通するスリット418bを形成し、これらのガイド溝418aとスリット418bによってエア導入部418を構成するようにしても良い。この場合には、ガイド溝418aによって肉薄になった取付基部5の中空部11側の壁が、中空部11内のガス圧で撓んでスリット418bを閉塞する。
また、図11に示すように、さらに取付基部5のスリット418bに臨む壁30,30をスリット418bを中心として中空部11側に膨出させ、中空ノズル19を抜き取ったときに、膨出した壁30,30がガス圧を受けて撓むことでスリット418bがより閉塞され易くするようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1…テールゲート(開閉体)
2…開口部(車体開口部)
4,104,204…ウェザーストリップ
5…取付基部
6…中空シール部
9…接着面
10…接着テープ(接着部材)
11,211…中空部
12…接着壁
13…隔離壁
16…第2の接着面
17…両面テープ(第2の接着部材)
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の開口部とドア等の開閉体の間をシールするウェザーストリップ及びその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドア回り等をシールするウェザーストリップとして、ウェザーストリップの取付基部に両面テープを取り付け、両面テープの他面側をドア側の取付面に接着するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3977622号公報
【特許文献2】特開2001−341587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のウェザーストリップにおいては、取付基部を相手取付面に取り付けるに際して、ローラー圧着治具を用いて両面テープの他面を相手取付面に圧着しなければならないため、ウェザーストリップが長尺な部材であることとも相俟って、作業者の取付作業負担が大きくなる。
【0005】
そこでこの発明は、相手取付面に対して容易に取り付けを行なえるようにして、作業者の取付作業負担の軽減を図ることのできるウェザーストリップ及びその取付方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、車体開口部(例えば、後述の実施形態における開口部2)とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体(例えば、後述の実施形態におけるテールゲート1)との間をシールするウェザーストリップ(例えば、後述の実施形態におけるウェザーストリップ4)であって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部(例えば、後述の実施形態における取付基部5)を備え、前記取付基部が接着部材(例えば、後述の実施形態における両面テープ10)によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、前記取付基部の接着面(例えば、後述の実施形態における接着面9)の背部側に中空部(例えば、後述の実施形態における中空部11)が設けられるとともに、前記取付基部のうちの前記接着面と前記中空部の間の領域が、前記取付基部の他の部位に比較して軟質な部材から成る接着壁(例えば、後述の実施形態における接着壁12)とされていることを特徴とする。
中空部に外部からエアを導入すると、軟質な部材から成る接着壁が外側に膨らむように変形し、接着面に設けられた接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に押し付けられるようになる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウェザーストリップにおいて、車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップであって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部を備え、前記取付基部が接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、前記取付基部の接着面の背部側にエア導入用の中空部が設けられていることを特徴とする。
中空部に外部からエアを導入すると、接着面が背部側の中空部で押されて外側に膨出し、接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に押し付けられるようになる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のウェザーストリップにおいて、前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部(例えば、後述の実施形態における中空シール部6)を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁(例えば、後述の実施形態における隔離壁13)が設けられていることを特徴とする。
この場合、中空シール部と、取付時にエアが導入される中空部が隔離壁によって隔離されるため、中空シール部と中空部の気密性能を異ならせることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェザーストリップにおいて、前記接着面の両側に第2の接着面(例えば、後述の実施形態における第2の接着面16)が設けられ、この第2の接着面に前記接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材(例えば、後述の実施形態における両面テープ17)が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする。
ウェザーストリップを取り付ける場合には、最初に、接着面よりも外側に突出する第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に当接し、このときウェザーストリップが車体開口部と開閉体のいずれか一方に対して第2の接着部材で仮止めされる。この状態で中空部にエアが導入されると、接着壁が第2の接着部材によって両側を車体開口部と開閉体のいずれか一方に拘束された状態で相手部材方向に膨出するようになる。この結果、接着壁上の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けられるようになる。また、中空部からエアを排出すると、接着壁の変形が戻ることによって第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられることとなる。この結果、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けられるようになる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のウェザーストリップにおいて、前記第2の接着部材はシール部材によって構成されていることを特徴とする。
中空部からエアを排出することによって第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられると、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方とウェザーストリップの間を有効にシールするようになる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェザーストリップにおいて、前記中空部の内面は、前記接着壁以外の部分が前記接着壁に比較して硬質な材料によって形成されていることを特徴とする。
中空部の接着壁以外の部分が弾性変形しにくくなるため、中空部に導入されたエアの圧力が接着壁以外の部分に逃げ難くなる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着によって取り付ける取付方法であって、前記ウェザーストリップの接着面の背部側に中空部を設け、この中空部に外部からエアを導入することで前記接着面を前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に押圧すること特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のウェザーストリップの取付方法において、前記ウェザーストリップは、前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載のウェザーストリップの取付方法において、前記接着面の両側に第2の接着面が設けられ、この第2の接着面に前記接着面に取り付けられる接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載のウェザーストリップの取付方法において、前記ウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めし、その後、前記開閉体を閉じた状態で前記中空部にエアを導入することを特徴とする。
ウェザーストリップが車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めされた状態で、開閉体が閉じられると、ウェザーストリップが車体開口部と開閉体によって押さえ込まれる。これにより、ウェザーストリップの位置ずれが防止されるとともに、中空部の接着壁以外の部分の変形が抑制される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、中空部へのエアの導入によって軟質な部材から成る接着壁を外側に膨出させ、それによって接着面に設けられた接着部材を車体開口部と開閉部材のいずれか一方に押し付けることができるため、ローラー圧着治具を用いることなくウェザーストリップを車体開口部と開閉部材のいずれか一方に容易に取り付けることができる。したがって、この発明によれば、作業者の取付作業負担を軽減することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、中空部へのエアの導入によって接着壁を外側に膨出させ、それによって接着面に設けられた接着部材を車体開口部と開閉部材のいずれか一方に押し付けることができるため、ローラー圧着治具を用いることなくウェザーストリップを車体開口部と開閉部材のいずれか一方に容易に取り付けることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、中空シール部と中空部が隔離壁によって隔離されるため、中空シール部に、シールに必要な変形容易な特性(内圧を逃がし易い特性)を持たせ、かつ中空部に接着時に必要となる高い気密性を持たせることができる。したがって、この発明によれば、シール部分と接着に関与する部分の相反する要求を同時に満たすことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、接着面よりも外側に突出する第2の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に先に当接させて、ウェザーストリップを仮止めすることができるとともに、その状態で中空部にエアを導入することにより、両側を第2の接着部材で拘束した状態で接着壁を膨出させて中央の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けることができる。したがって、この発明によれば、仮止めによって作業の容易化を図ることができるとともに、接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けてより確実な接着を実現することができる。
また、この発明によれば、中空部からエアを排出したときに、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられるため、接着部材の両側の第2の接着部材をも車体開口部と開閉体のいずれか一方に対して確実に接着することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、中空部からエアを排出したときに、シール部材から成る第2の接着部材が車体開口部と開閉部材のいずれか一方に密着状態で押圧されるため、車体開口部と開閉体のいずれか一方とウェザーストリップの間を密閉状態にし、取付基部側のシール性能を高めることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、中空部の接着壁以外の部分が硬質な材料によって形成されるため、中空部に導入されるエアの圧力をロスなく接着壁に作用させることができる。したがって、この発明によれば、導入エア量の増大を招くことなく、接着部材を車体開口部と開閉部材のいずれか一方により強固に押圧することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、ウェザーストリップの接着面の背部側に中空部を設け、この中空部に外部からエアを導入して、エアの圧力によって接着面を車体開口部と開閉体のいずれか一方に押圧するため、ローラー圧着治具を用いることなくウェザーストリップを車体開口部と開閉部材のいずれか一方に容易に取り付けることができる。したがって、この発明によれば、作業者の取付作業負担を軽減することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、中空シール部と中空部が隔離壁によって隔離されるため、中空シール部に、シールに必要な変形容易な特性(内圧を逃がし易い特性)を持たせ、かつ中空部に接着時に必要となる高い気密性を持たせることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、接着面よりも外側に突出する第2の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に先に当接させて、ウェザーストリップを仮止めすることができるとともに、その状態で中空部にエアを導入することにより、両側を第2の接着部材で拘束した状態で接着壁を膨出させて中央の接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けることができる。したがって、この発明によれば、仮止めによって作業の容易化を図ることができるとともに、接着部材を車体開口部と開閉体のいずれか一方に強固に押し付けてより確実な接着を実現することができる。
また、この発明によれば、中空部からエアを排出したときに、第2の接着部材が車体開口部と開閉体のいずれか一方に相対的に押し付けられるため、接着部材の両側の第2の接着部材をも車体開口部と開閉体のいずれか一方に対して確実に接着することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、ウェザーストリップを車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めした後に、開閉体を閉じた状態で中空部にエアを導入するため、ウェザーストリップの位置ずれを防止することができるとともに、中空部に導入されるエアの圧力を接着壁に集中させ、接着部材を強固に車体開口部と開閉体のいずれか一方に容易に、かつ確実に圧着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップが取り付けられる車両後部の斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの図1のA−A断面に対応する断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの一部を破断した斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの製造工程を説明するための図3に対応する分解斜視図である。
【図5】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの取り付けられた車両の図1のB−B断面に対応する断面図である。
【図6】この発明の第1の実施形態のウェザーストリップの取付工程を説明するための図5のC部に対応する断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態のウェザーストリップの図1のA−A断面に対応する断面図である。
【図8】この発明の第3の実施形態のウェザーストリップの図1のA−A断面に対応する断面図である。
【図9】この発明の第1の実施形態の変形例を示す図6と同様の断面図である。
【図10】この発明の第1の実施形態の別の変形例を示す図6と同様の断面図である。
【図11】この発明の第1の実施形態のさらに別の変形例を示す図6と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を一部省略するものとする。
最初に、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、車体後部に跳ね上げ式のテールゲート1(開閉体)を備えた車両を示すものである。この車両の車体後部には開口部2(車体開口部)が設けられ、その開口部2の上部にテールゲート1が開閉可能に取り付けられるとともに、テールゲート1の両側部と開口部2の間に一対のガス圧式のダンパー3,3が設けられている。また、開口部2の周域にはウェザーストリップ4が取り付けられ、テールゲート1の閉時に、テールゲート1と開口部2の間がこのウェザーストリップ4によってシールされるようになっている。
【0028】
図2は、図1のA−A部分に対応するウェザーストリップ4の断面を示すものである。ウェザーストリップ4は、同図に示すように車体側の開口部2の周縁に主に接着によって取り付けられる取付基部5と、テールゲート1の閉時に、テールゲート1の周縁部の裏面が密接する中空シール部6と、を備えている。なお、同図中7aは、車体後部面に対して奥行き方向(車体前方)に窪んだ車体パネル7の凹壁であり、7bは、凹壁7aから開口部2の内側方向に垂立する車体パネル7の取付フランジである。また、8は、荷室フロア側の室内トリムである。
【0029】
取付基部5は、車体パネル7の凹壁7aと取付フランジ7bの後部面とに跨って支持固定され、取付フランジ7bの後部面に当接する部分の中央領域(図中上下方向の中央)が接着面9とされている。この接着面9には、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)から成る両面テープ10(接着部材)の一面が固定され、両面テープ10の他面が取付フランジ7bの後部面に接着されるようになっている。なお、EPDMは、シール性の高い材料であり、接着部分からの水漏れ等を有効に防止することができる。
【0030】
取付基部5の接着面9の背部側には長手方向に連続する中空部11が設けられている。中空部11を構成する接着面9側の壁は接着壁12とされ、中空シール部6側の壁は中空部11と中空シール部6の間を隔離する隔離壁13とされている。また、中空部11を構成する凹壁7a側の壁は車体パネル7の凹壁7aに当接する支持ブロック14とされている。なお、この支持ブロック14には、ウェザーストリップ4の回転方向の倒れを防止する倒れ防止リップ14aが設けられている。また、取付基部5の支持ブロック14と対面する側の壁には、車体パネル7の取付フランジ7bの上部を跨いで車室内側に延出するカバーリップ15が設けられている。
【0031】
ここで、ウェザーストリップ4はその断面の全域が一様なゴム材料で形成されているのではなく、取付基部5の大半の部分が剛性の高いソリッドゴムによって形成され、中空シール部6の全域と取付基部5の一部が取付基部5のソリッドゴムに比較して軟質なスポンジゴムによって形成されている。この実施形態の場合、取付基部5のうちの接着壁12と、倒れ防止リップ14aと、カバーリップ15の先端側の一部の領域がスポンジゴムによって形成され、取付基部5の残余の領域がソリッドゴムによって形成されている。特に、接着壁12は中空部11に臨む面から接着面に亘る全領域がスポンジゴムによって形成されている。
なお、倒れ防止リップ14aは、ウェザーストリップ4の取付後に車体パネル7の凹壁7aに密接することによって取付フランジ7bを回り込む水滴の進入を防止し、カバーリップ15の先端部は室内トリム8の上面に密接することによって同トリム8の端末部を覆い隠している。
【0032】
また、取付基部5のうちの、取付フランジ7bの後部面に臨む側の面はほぼ面一に形成され、前記接着壁12の両側(図2中の上下)のソリッドゴム部分には、接着面9と面一な第2の接着面16,16が設けられている。そして、これらの第2の接着面16には、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)から成る両面テープ17(第2の接着部材)の一面が固定されている。各両面テーム17は、中央の両面テープ10に比較して肉厚に形成され、各両面テープ17の他面が取付フランジ7bの後部面に接着されるようになっている。
【0033】
ところで、ウェザーストリップ4は長手方向の両端部が相互に接合されて全体が環状を呈するように形成されているが、製造に際しては、図3,図4に示すように、所定長さに造形された押出し成形品4Aの両端部が、別工程で造形された型成形品4Bを介して相互に接続されている。
なお、図3は、押出し成形品4Aの両端部が短尺な型成形品4Bを介して接合された状態を示し、図4は、押出し成形品4Aと型成形品4Bが接合される前の状態を示している。押出し成形品4Aの両端部は、型成形品4Bを間に挟み込んだ状態において加硫接着によって型成形品4Bに固定されている。また、型成形品4Bは成形の関係上、全域が一様なソリッドゴムによって形成されている。
【0034】
型成形品4Bの断面は、基本的に押出し成形品4Aの断面とほぼ同様に形成されているが、取付基部5の支持ブロック14部分に、倒れ防止リップ14aよりも車外側に位置される外面と中空部11の内部を連通するエア導入孔18が形成されている。このエア導入孔18は、取付基部5を車体パネル7に接着するときに、中空部11内に外部からエアを導入するのに用いられる。なお、エア導入孔18は、押出し成形部4Aに設けることも可能であるが、この実施形態のように型成形部4Bに設けた場合には、寸法管理や加工自体が容易になる。つまり、押出し成形部4Aにエア導入孔18を設ける場合には、押出し成形の後に孔あけ加工を行わなければならなくなるが、型成形部4Bにエア導入孔18を設ける場合には、型成形と同時にエア導入孔18を成形することができる。
【0035】
図5は、ウェザーストリップ4を車体パネル7に取り付ける際に、エア導入孔18を通して中空部11内にエアを導入している様子を示すものである。
同図では、エア供給装置の注入ノズル19をエア導入孔18に挿入している。このとき、エア供給装置のエア供給チューブ20は、車体の開口部2とテールゲート1の隙間を通して車外側に引き出されている。なお、同図中21は、車体側のバンパフェイシアであり、22は、テールゲート1のロアガーニッシュである。
【0036】
図6は、ウェザーストリップ4のエア導入孔18に注入ノズル19を挿入する工程を示すものである。同図に示すように、エア導入孔18の直径は、注入ノズル19の直径よりも予め小さく形成されており、注入ノズル19の挿入時にエア導入孔18をゴムの弾性を利用して押し開き、注入ノズル19の先端部を中空部11内に挿入する。このようにエア導入孔18の直径を注入ノズル19の直径よりも小さくすることにより、エアの導入時にはエア導入孔18の周囲からのエア漏れを防止することができるとともに、エア導入孔18から注入ノズル19を引き抜くときには中空部11内のエアを緩やかに外部に排出することができる。
【0037】
また、このウェザーストリップ4においては、前述のように車体パネル7への取付時にエア導入孔18を通して中空部11内にエアを導入し、それによって中空部11の内圧を高める。このため、中空部11を取り囲む壁部はほぼ気密にされている。これに対し、中空シール部6は、テールゲート1が閉じられたときに、テールゲート1の裏面に追従してある程度柔軟に撓み変形する必要から、隔離壁13以外の部分に複数のエア抜き孔(図示せず)が設けられている。
【0038】
ウェザーストリップ4を車体パネル7に取り付ける場合には、ウェザーストリップ4の取付基部5に予め両面テープ10,17,17の一面を接着固定しておき、この状態から接着壁12の両側の肉厚の厚い両面テープ17,17の他面を車体パネル7の取付フランジ7bの後部面に仮止め接着する。
【0039】
次に、この状態からウェザーストリップ4の型成形部4Bに形成されているエア導入孔18にエア供給装置の注入ノズル19を挿入し、その状態からテールゲート1を閉操作して、図5に示すようにテールゲート1の裏面で中空シール部6を押圧する。テールゲート1はこの状態において図示しないロック機構によって車体側にロックされる。
【0040】
こうしてテールゲート1が閉じられると、ウェザーストリップ4の取付基部5が中空シール部6を介して取付フランジ7bの後部面に押し付けられ、その結果、取付基部5の位置ずれが防止されるとともに、隔離壁13の両縁部分の変形が抑制されるようになる。したがって、この状態から中空部11に高圧のエアが導入されれば、エアの圧力が接着壁12方向に集中し易くなる。
なお、この状態では接着壁12の両側の両面テープ17,17が中央の両面テープ10よりも突出しているため、中央の両面テープ10は取付フランジ7bの裏面に圧着されていない。
また、中空シール部6と中空部11の間を仕切る隔離壁13は、テールゲート1が閉じられて中空シール部6のテールゲート1側の壁が変形したときに、そのテールゲート1側の壁と干渉することのない形状とされている。このため、テールゲート1が閉じられるときに隔離壁13の反力がテールゲート1に直接作用せず、テールゲート1の閉操作が阻害されることがない。
【0041】
つづいて、この状態から注入ノズル19を通して中空部11内に高圧のエアを導入する。こうして、中空部11内に高圧のエアが導入されると、取付基部5のスポンジゴム製の接着壁12が取付フランジ7b方向に膨出変形し(図2中の仮想線参照。)、このとき接着壁12に取り付けられている両面テープ10の他面が取付フランジ7bの後部面に強固に押し付けられる。この結果、接着壁12が両面テープ10を介して取付フランジ7bに強固に接着固定されるようになる。
【0042】
この後、中空部11に対するエアの供給を停止し、テールゲート1を開いて注入ノズル19をエア導入孔18から取り外す。
こうして、エア導入孔18から注入ノズル19が取り外されると、中空部11内の高圧エアがエア導入孔18を通して外部に排出され、それに伴って取付基部5の接着壁12が初期形状に戻されようとする。このとき、接着壁12は両面テープ10を介して取付フランジ7bに接着固定されているため、取付基部5の内部には、接着壁12の両縁部を取付フランジ7b方向に押圧するような応力が作用し、両側の両面テープ17,17が取付フランジ7bに強固に押し付けられるようになる。したがって、最終的には、取付基部5が中央の両面テープ10と両側の両面テープ17,17を介して取付フランジ7bに強固に接着固定される。
【0043】
以上のように、このウェザーストリップ4においては、エアの導入が可能な中空部11と、中空部11に臨むスポンジゴム製の(軟質材料から成る)接着壁12が設けられているため、接着壁12に両面テープ10を取り付けた状態で中空部11に高圧のエアを導入するだけで、ローラー圧着治具等を用いることなく、取付フランジ7bに対して容易に、かつ強固に取り付けることができる。したがって、このウェザーストリップ4を採用することにより、作業者の取付作業負担を軽減することができる。
【0044】
また、このウェザーストリップ4においては、車体パネル7への取付時に高圧エアが導入される中空部11と、テールゲート1の閉時にテールゲート1の裏面に追従して変形する中空シール部6が隔離壁13によって完全に隔離されているため、中空部11と中空シール部6の特性を異ならせ、各部に適した特性を持たせることができる。すなわち、例えば、この実施形態のように中空部11側の気密性を高めるとともに、中空シール部6側のエア排出性を良好にすることにより、中空シール部6のテールゲート1に対する追従性(シール性)を損なうことなく、中空部11に導入するエアによって両面テープ10を確実に車体パネル7に圧着することができる。
【0045】
さらに、このウェザーストリップ4においては、取付基部5の接着面9の両側に接着面9と面一な第2の接着面16,16が設けられ、その第2の接着面16,16が中央の両面テープ10よりも肉厚の厚い両面テープ17,17を介して車体パネル7に接着固定されるため、車体パネル7への取付時に、エアの導入前に両側の両面テープ17,17を車体パネル7に先に当接させて仮止めすることができるとともに、その状態で中空部11にエアを導入することによって両側を押さえ込んだ状態で中央の両面テープ10を車体パネル7に強固に押し付けることができる。
また、このウェザーストリップ4では、中空部11からエアを排出したときに、取付基部5内の応力によって両側の両面テープ17,17が車体パネル7に押し付けられるため、両側の両面テープ17,17も車体パネル7に強固に固定することができる。
なお、この実施形態においては、接着面9の両側に接着面9と面一な第2の接着面16,16を設け、この第2の接着面16,16に中央の両面テープ10よりも肉厚な両面テープ17,17を取り付けたが、第2の接着面16,16は必ずしも中央の接着面と面一である必要はなく、第2の接着面16,16に取り付けた両面テープ17,17の車体パネル7側の面が、中央の両面テープ10の車体パネル7側の面よりも外側に突出していれば良い。
【0046】
また、この実施形態の場合、接着壁12の両側の両面テープ17,17がシール性の高い材料によって形成されているため、両面テープ17,17が最終的に車体パネル7に押圧状態で固定されたときに、車体パネル7とウェザーストリップ4の間を確実に密閉し、取付基部5側からの水滴の進入を確実に阻止することができる。
【0047】
図7は、この発明の第2の実施形態のウェザーストリップ104の図1のA−A断面に対応する断面図である。
このウェザーストリップ104は、基本的な構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、エアの導入される中空部11を取り囲む壁のうちの、接着壁12以外のすべての部分がソリッドゴム(接着壁12に比較して硬質な材料)で形成されている点が異なっている。
【0048】
このウェザーストリップ104は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、接着壁12以外の中空部11の壁がすべてソリッドゴムによって形成されているため、中空部11にエアを導入したときに接着壁12以外の壁が撓み変形しにくくなり、その分、導入されるエアの圧力をロスなく接着壁12に作用させることが可能になる。したがって、このウェザーストリップ104においては、導入エア量の増大を招くことなく、両面テープ10を車体パネルに強固に押圧することができる。
【0049】
図8は、この発明の第3の実施形態のウェザーストリップ204の図1のA−A断面に対応する断面図である。
このウェザーストリップ204は、第1の実施形態のウェザーストリップ4の隔離壁13を取り払い、中空部211を中空シール部6と一体化したものである。このウェザーストリップ204の場合、中空シール部6と一体の中空部211にエアを導入することによって接着壁12を外側に変形させ、接着壁12の外側の両面テープ10を車体パネルに対して押圧する。
【0050】
この実施形態のウェザーストリップ204は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるが、中空部211を中空シール部6と一体化して隔離壁を廃止したことから、ウェザーストリップ204の基本断面形状を簡素化することができる。したがって、押出し成形装置の口金形状を簡素化し、装置の製造コストを低減することができる。
【0051】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、テールゲートと車体の開口部の間をシールするウェザーストリップについて説明したが、この発明に係るウェザーストリップはテールゲート部分に限らず、車体の側部ドアやトランクリッド等、車体の開口部を開閉する開閉体部分であれば他の部分にも適用が可能である。また、上記の実施形態は、ウェザーストリップを車体パネル側に取り付けたものであるが、ウェザーストリップはテールゲート等の開閉体側に取り付けるようにしても良い。
【0052】
さらに、上記の実施形態においては、接着壁を軟質部材であるスポンジゴムによって形成したが、中空部の内面を形成している取付基部の他の部位よりも接着壁の肉厚を薄くする等によって接着壁を変形容易な構造としても良い。この場合、ウェザーストリップの断面の全域を一様なゴム部材で形成するようにしても良い。このとき、ウェザーストリップの材質はスポンジゴムであることが好ましい。
【0053】
また、第1の実施形態においては、図6に示すように、取付基部5に設けるエア導入孔18の直径を注入ノズル19の直径よりも予め小さく形成しておき、注入ノズル19の挿入時にゴムの弾性によってエア導入孔18を押し開き、注入ノズル19を抜き取ることによって中空部11内のガスを外部に排出するようにしているが、図9に示すように取付基部5に内外を貫通するスリット318を予め形成しておき、エアの導入時には、注入ノズル19をスリット318を押し広げて中空部11内に挿入し、導入後には、注入ノズル19を抜き取ることによって中空部11内のガスの圧力によってスリット318が閉塞されるようにしても良い。この場合には、中空部11に導入されたエアは内部に保持される。
【0054】
さらに、図10に示すように、取付基部5の車外側の壁に注入ノズル19の直径とほぼ同幅のガイド溝418aを形成し、ガイド溝418aの底部に中空部11内に連通するスリット418bを形成し、これらのガイド溝418aとスリット418bによってエア導入部418を構成するようにしても良い。この場合には、ガイド溝418aによって肉薄になった取付基部5の中空部11側の壁が、中空部11内のガス圧で撓んでスリット418bを閉塞する。
また、図11に示すように、さらに取付基部5のスリット418bに臨む壁30,30をスリット418bを中心として中空部11側に膨出させ、中空ノズル19を抜き取ったときに、膨出した壁30,30がガス圧を受けて撓むことでスリット418bがより閉塞され易くするようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1…テールゲート(開閉体)
2…開口部(車体開口部)
4,104,204…ウェザーストリップ
5…取付基部
6…中空シール部
9…接着面
10…接着テープ(接着部材)
11,211…中空部
12…接着壁
13…隔離壁
16…第2の接着面
17…両面テープ(第2の接着部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップであって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部を備え、前記取付基部が接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、
前記取付基部の接着面の背部側に中空部が設けられるとともに、前記取付基部のうちの前記接着面と前記中空部の間の領域が、前記取付基部の他の部位に比較して軟質な部材から成る接着壁とされていることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップであって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部を備え、前記取付基部が接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、
前記取付基部の接着面の背部側にエア導入用の中空部が設けられていることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項3】
前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁が設けられていることを特徴とする請求項1また2に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記接着面の両側に第2の接着面が設けられ、
この第2の接着面に前記接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記第2の接着部材はシール部材によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載のウェザーストリップ。
【請求項6】
前記中空部の内面は、前記接着壁以外の部分が前記接着壁に比較して硬質な材料によって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェザーストリップ。
【請求項7】
車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着によって取り付ける取付方法であって、
前記ウェザーストリップの接着面の背部側に中空部を設け、
この中空部に外部からエアを導入することで前記接着面を前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に押圧すること特徴とするウェザーストリップの取付方法。
【請求項8】
前記ウェザーストリップは、前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のウェザーストリップの取付方法。
【請求項9】
前記接着面の両側に第2の接着面が設けられ、
この第2の接着面に前記接着面に取り付けられる接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする請求項7または8に記載のウェザーストリップの取付方法。
【請求項10】
前記ウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めし、その後、前記開閉体を閉じた状態で前記中空部にエアを導入することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のウェザーストリップの取付方法。
【請求項1】
車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップであって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部を備え、前記取付基部が接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、
前記取付基部の接着面の背部側に中空部が設けられるとともに、前記取付基部のうちの前記接着面と前記中空部の間の領域が、前記取付基部の他の部位に比較して軟質な部材から成る接着壁とされていることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップであって、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に取り付けられる取付基部を備え、前記取付基部が接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されるものにおいて、
前記取付基部の接着面の背部側にエア導入用の中空部が設けられていることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項3】
前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁が設けられていることを特徴とする請求項1また2に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記接着面の両側に第2の接着面が設けられ、
この第2の接着面に前記接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記第2の接着部材はシール部材によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載のウェザーストリップ。
【請求項6】
前記中空部の内面は、前記接着壁以外の部分が前記接着壁に比較して硬質な材料によって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェザーストリップ。
【請求項7】
車体開口部とこの車体開口部に開閉可能に取付けられる開閉体との間をシールするウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着によって取り付ける取付方法であって、
前記ウェザーストリップの接着面の背部側に中空部を設け、
この中空部に外部からエアを導入することで前記接着面を前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に押圧すること特徴とするウェザーストリップの取付方法。
【請求項8】
前記ウェザーストリップは、前記開閉体の閉時に前記車体開口部と開閉体のいずれか他方に密接する部位に中空シール部を備え、この中空シール部と前記中空部の間には両部分を隔離する隔離壁が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のウェザーストリップの取付方法。
【請求項9】
前記接着面の両側に第2の接着面が設けられ、
この第2の接着面に前記接着面に取り付けられる接着部材よりも外側に突出する第2の接着部材が取り付けられ、前記第2の接着面がこの第2の接着部材によって前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に接着固定されることを特徴とする請求項7または8に記載のウェザーストリップの取付方法。
【請求項10】
前記ウェザーストリップを、前記車体開口部と開閉体のいずれか一方に仮止めし、その後、前記開閉体を閉じた状態で前記中空部にエアを導入することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のウェザーストリップの取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−184644(P2010−184644A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31071(P2009−31071)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]