説明

ウェハの電気特性検査方法

【課題】薄板化したウェハに対して、ハンドリングミスを起こすことなく安定的に支持・搬送して、デバイスの電気特性試験を容易・確実に行えるようにする。
【解決手段】ウェハ73の表面に粘着テープ72を貼り付け、ダイシングフレーム71にウェハ73を保持したまま、ダイシングフレーム71を搬送可能な状態に形成する。この場合、粘着テープ72は、ウェハ73のパターン形成面74側に貼り付けられ、ウェハ73の外縁部が残存するように剥離して、パターン形成面74を露出させる。また、粘着テープ72には、剥離用のプリカットライン75が形成されており、プリカットライン75に沿って粘着テープ72を簡単に剥離できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハの電気特性検査方法に関するものであり、特に、薄く形成されたウェハの取り扱いを容易にするウェハの電気特性検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、IC、LSI等のデバイスが表面側に複数形成されたウェハは、ダイシング装置等を用いて個々のデバイスに分割されて、各種電子機器に組み込まれる。そして、電子機器の小型・軽量化を図るべく、分割前のウェハはその裏面を切削することにより、例えば100μm〜50μm程度の厚みになるように形成される。
【0003】
このように、研削によりウェハの厚みが薄くなると、ウェハの剛性がなくなるため、その後の工程での取り扱いが困難となる。例えばプローブテストのために、ウェハの裏面に金、銀、チタン等からなる金属膜を被覆することが困難となり、その後のデバイスの電気特性試験も困難となる。かかる問題を解決すべく、ウェハの表面に支持体を接着させた状態で、ウェハの裏面の研削を行う方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
【0004】
又、ウェハの外周余剰領域にシリコン、ガラス等の硬質材(保護部材)を貼着して、ウェハの剛性を補強する方法も提案されている。即ち、ウェハの外周余剰領域に接着剤を介して硬質材を貼着し、この硬質材側を研削装置のチャックテーブルにて保持してウェハの裏面を切削し、該ウェハの裏面に膜を形成したのち、ウェハのデバイス領域を露出させるべく、硬質材を切削ブレードで切断して、デバイスの電気的テストを行う方法も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−22634号公報
【特許文献2】特開2003―209083号公報
【特許文献3】特許第4462997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2記載の技術は、ウェハの表面全域に支持体を接着するので、後工程で支持体を剥離する必要がある上に、剥離した後に、表面に形成されたデバイスに接着剤が残存し、接着剤を完全に取り除くために煩雑な作業を要し、ウェハの取り扱いが非常に困難となる。
【0007】
又、特許文献3記載の技術は、ウェハの外縁部はガラス等の硬質材により剛性が補強される。しかし、硬質部材の切削工程に多くの時間を要するため生産性が低下するうえに、切削後にテープを転写する際に、ハンドリングミスを起こし易い欠点がある。さらに、ウェハの外周部より切り屑の効率的な除去排出が困難になり、切り屑や脱粒したダイヤモンド砥粒による突発性のスクラッチが生じやすい。
【0008】
さらに、ストレスリリーフがスピンエッチングの場合、ケミカル(液体)がウェハの外周部にたまりやすく、ユニフォーミティに影響する。そして、ダイシング工程前にウェハの外周部を取り除く工程が必要になり、外周部のデバイスを破棄するため収率が悪化するうえに、ウェハが反転してフレームマウントの搬送に不具合が生じる恐れがある。また、ウェハの表面保護テープの剥離工程では、中空部を有する特殊なクランプが必要になる。
【0009】
そもそも、薄板化して剛性を無くしたウェハは、ウェハの全体形状が変形して反るため、工程間の搬送及びチャックテーブルへの載置が困難なる。この対応手段として、搬送ハンドリングに吸盤を使用してウェハを吸着する方式、或いは、ウェハ上からエアーを吹き付けてチャックテーブルにウェハを吸着させる方式が採用されている。しかし、この方式によれば、安定したウェハの搬送手段等とはなり得えない。即ち、外縁部のない薄板状のウェハは皺になり易いため、取り扱いが困難になるばかりか、安定した電気特性検査が行い難い。
【0010】
また、薄板状のウェハの平坦性が失われ、とくに小型カップホイールの曲率に応じてウェハの凹凸形状がより大きくなる。この場合、ホイール1回転あたりのダイヤモンド砥石の接触時間が長くなるので、ダイヤモンド砥石の寿命が短くなる。
【0011】
そこで、薄板化したウェハに対して、ハンドリングミスを起こすことなく安定的に支持・搬送して、デバイスの電気特性試験を容易に行えるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、表面に回路パターンが形成され、且つ、裏面を研削して薄板化して成るウェハの電気特性検査方法において、薄板化したウェハの表面全域に粘着テープを貼り付けてフレームに該ウェハをマウントする工程と、該ウェハの外縁部内側に沿って前記粘着テープを環状にカットして剥離することで、該ウェハ中央部のパターン形成面を露出させる工程と、露出したパターン形成面にプローブを接触させて該ウェハの電気特性検査を行う工程とを含み、前記ウェハの外縁部に前記粘着テープを貼り付けた状態で、該ウェハを後工程へ搬送できるようにしたことを特徴とするウェハの電気特性検査方法を提供する。
【0013】
すなわち、本発明は、回路パターンが形成されたウェハの表面に粘着テープを貼り付けて、フレームにウェハを一体化させる。そして、ウェハ中央部を含む外縁部内側に沿って粘着テープを環状にカット・剥離し、ウェハとフレームを一体化したまま搬送可能な状態に形成し、露出したパターン形成面をプロービングして、ウェハの電気特性検査を行えるようにしたものである。
【0014】
この方法によれば、ウェハの外縁部に粘着テープを貼り付けてフレームに保持された状態にして、フレームとともにウェハの搬送を行う。よって、ウェハの外縁部は粘着テープで補強されているので、薄板状のウェハであっても該ウェハは高い剛性を有する。その結果、搬送等の際にウェハに反り変形が生ずることを防止でき、ウェハ中央部の露出面をプロービングして、ウェハの電気特性検査を安定的に行うことができる。
【0015】
請求項2記載の発明では、上記電気特性検査はウェハのダイシング工程の前に行い、ウェハの外縁部に上記粘着テープを貼り付けた状態のまま該ウェハをダイシング工程に搬送し、該ウェハの裏面にダイシングテープを貼り付けて、該ウェハのダイシング加工を行うことを特徴とする請求項1記載のウェハの電気特性検査方法を提供する。
【0016】
この方法によれば、電気特性検査後のウェハは、その外縁部に粘着テープを貼り付けた状態のままダイシング工程に搬送される。そして、ウェハの裏面にダイシングテープを貼り付けて、該ウェハのダイシング加工が実施される。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記粘着テープには剥離用のプリカットラインが施されていることを特徴とする請求項1記載のウェハの電気特性検査方法を提供する。
【0018】
この方法によれば、粘着テープには、ウェハ中央部のパターン形成面を露出させるべく、剥離用のプリカットラインが予め施されている。依って、プリカットラインに沿って粘着テープを剥離するのみで、ウェハ中央部のパターン形成面が露出する。
【0019】
請求項4記載の発明は、上記ウェハには電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載のウェハの電気特性検査方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、ウェハの裏面に電極が形成されているので、ウェハは所要の固定力でチャックテーブルに設置される。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明は、ウェハの外縁部を粘着テープで補強支持して、ウェハの剛性を高めるので、ウェハが皺にならず、また、粘着テープの中央部を剥がすだけで、ウェハ中央部のパターン形成面が露出して、ウェハの電気特性検査を容易確実に実行できる。更に、剛性の高いウェハが得られることにより、ウェハの反り変形などを防げるばかりか、搬送及びチャックテーブルへのウェハの載置が容易になり、搬送ハンドリング時における吸盤の使用、或いは、チャック時におけるウェハへのエアー吹き付けも不要になり、ウェ−ハを安定して搬送することができる。
【0022】
請求項2記載の発明は、ウェハの外縁部に粘着テープを貼り付けた状態で、ダイシングフレームにマウントして、ウェハのダイシング加工を行うので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ウェハの平坦度を安定して維持しつつ、ダイシング加工を容易迅速に実施でき、ダイシング加工の精度を向上させることができる。
【0023】
請求項3記載の発明は、プリカットラインに沿って粘着テープを剥離するのみで、ウェハ中央部のパターン形成面が露出するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ウェハのパターン形成面を容易迅速に露出させることができる。
【0024】
請求項4記載の発明は、ウェハ裏面は所要の固定力でチャックテーブルに設置されるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、安定したプローブテストを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係る加工順序を説明する工程図。
【図2】本発明に係る加工システムの構成例を示す説明図。
【図3】本発明に係るポリッシュグラインダ及びハンドリングシステムの具体的な構成例を示す全体説明図。
【図4】図3のハンドリングシステムのハンドリングフロー図。
【図5】本発明に係る粘着テープを貼り付けたフレームを示す平面図。
【図6】図5の正面図。
【図7】図6の粘着テープの剥離工程を示す正面図。
【図8】図5の粘着テープを剥離した後の状態を説明する平面図。
【図9】図5の粘着テープを剥離した後の状態を説明する正面図。
【図10】図6の粘着テープの別の形態の剥離工程を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、裏面研削により薄板化したウェハを安定的に支持・搬送し、デバイスの電気特性試験を容易迅速に実施するという目的を達成するために、表面に回路パターンが形成され、且つ、裏面を研削して薄板化して成るウェハの電気特性検査方法において、薄板化したウェハの表面に粘着テープを貼り付けてフレームに該ウェハをマウントする工程と、該ウェハの外縁部内側に沿って前記粘着テープを環状にカットして剥離することで、該ウェハ中央部のパターン形成面を露出させる工程と、露出したパターン形成面にプローブを接触させて該ウェハの電気特性検査を行う工程とを含み、前記ウェハの外縁部に前記粘着テープを貼り付けた状態で、該ウェハが一体化された前記フレームを次工程に搬送できるようにしたことによって実現した。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の好適な一実施例について説明する。本実施例に係る半導体製造システムは、図1に示すように、前工程である回路パターン形成工程(デバイス形成工程)1、ウェハの薄板化処理(バックグラインド/ポリッシュ(BG/PG))工程2、粘着テープ貼付工程(フレームマウント工程)3、パターン形成面露出工程4、プローブテスト工程(電気特性検査工程)5、ダイシング工程6及び組立工程7を含む。
【0028】
回路パターン形成工程1では、ウェハの表面に回路パターンを形成し、薄板化処理工程2では、ウェハの裏面を研削して該ウェハを薄板化する。薄板化したウェハにはバックサイドメタライズ加工などの裏面処理を施すことができる。
【0029】
そして、粘着テープ貼付工程3では、薄板化したウェハの表面全域に粘着テープを貼り付けて、該ウェハを支持用のフレームに一体化させ、パターン形成面露出工程4では、ウェハの外縁部内側に沿って粘着テープを環状にカットして剥離し、ウェハ中央部のパターン形成面を露出させる。
【0030】
この後、プローブテスト工程4では、露出したウェハ中央部のパターン形成面にプローブを接触させて、ウェハの電気特性検査を行なう。そして、ウェハは外縁部に粘着テープを貼り付けたままダイシング工程6に搬送して、ウェハのダイシング加工を実行してチップを製作し、その後、後工程である組立工程7では、チップを組み立てて半導体製品を得る。
【0031】
図2は、本実施例に係る半導体デバイスの製造システムを示す。図示のように、本システムは、ウェハ上にデバイスを形成する前工程装置群21と、表面に保護テープが貼り付けられたウェハの裏面を切削・研磨して薄板化するポリッシュグラインダ(ウェハ処理装置)22と、テスタとプローバとレーザ照射器を組み合わせたプローブテスト装置23と、ダイボンダやワイヤボンダなどを組み合わせた組立装置24とを有する。
【0032】
なお、プローブテスト装置23は、ウェハが一体化されたフレームフレームを保持するチャックと、プローブを有するプローブカードと、パフォーマンスボードと、テストヘッドを回転させる機構と、チャックを移動させる移動機構などを備えている。
【0033】
図3は、本システムに係るポリッシュグラインダ22及びハンドリングシステム26の具体的な構成例を示す。ポリッシュグラインダ22は、四つのチャック部42a〜42dを備え、インデックス回転用の回転テーブル43と、チャック部42a〜42dを洗浄する洗浄ユニット44と、ウェハ30を搬送するロボット45とを含んでいる。
【0034】
さらに、ポリッシュグラインダ22には粗研削ユニット31、仕上研削ユニット32および研磨ユニット33が回転テーブル43の回転方向Aに沿って順番に配置されている。なお、粗研削ユニット31は粗研削砥石(図示しない)によりウェハ30の裏面を粗研削し、仕上研削ユニット32は仕上研削砥石(図示しない)によりウェハ30の裏面を仕上研削する。同様に、研磨ユニット33はウェハ30の裏面を研磨する。
【0035】
また、図示しないが、ポリッシュグラインダ22は、研磨後のウェハ30の搬送又は洗浄を行うための搬送ユニット、クリーニング装置、スピンナー洗浄機及びカセットを具備する。
【0036】
一方、サポートハンドリングシステム26は、その一端側エリアにおいて、ウェハ反転部51、ウェハ位置合わせアーム52、ロボット53及びフレームカセット部55が順次横方向に配設されている。
【0037】
そして、ウェハ位置合わせアーム52に対応する縦方向には、UV照射部56、剥離ユニット58及び貼り付け部59が順次設置されている。又、フレームカセット部55に対応する縦方向には、フレーム供給部60、カッター部61を備えたDC/T貼付部62が順次設置されている。
【0038】
次に、図4に基づいてサポートハンドリング処理の流れを説明する。まず、薄板化されたウェハ30は、テーブル50に仮置きした後、ウェハ反転部51でウェハ30を反転する(S11,12)。そして、ウェハ位置合わせアーム52でウェハ30の位置きめを実施してウェハアライメントを行なう(S13)。次に、UV照射部56でウェハ30に紫外線を照射した後(S14)、剥離ユニット58でウェハ30から保護テープを剥離する(S15)。
【0039】
一方、サポート用のフレーム40については、フレーム供給部60によりフレーム40を矢印方向に搬送し、カッター部61でフレーム40の位置決めを行い(S21,22,23)、フレーム40にサポートフィルム(粘着テープ)63を貼り付けた後、サポートフィルム63の不要部分を切断除去して、フレーム40を貼り付け部59に搬送する(S24,23)。
【0040】
そして、貼り付け部59では、ウェハ30にサポートフィルム63を貼り付けてフレーム40にウェハ30を一体化させ(S31)、次いで、フレームカセット部55に収納する(S32)。
【0041】
次に、本実施例に係る粘着テープ貼付工程以降の手順について説明するが、粘着テープとしては適度な導電性を有するものを使用しうる。図5及び図6は、ダイシングフレーム71に導電性の粘着テープ72を貼り付け状態を示す。この粘着テープ72は下面側に接着層が形成され、粘着テープ72の下面をシリコンウェハ73、すなわち、裏面研削により薄板化されたシリコンウェハ73のパターン形成面74全域に貼り付ける。
【0042】
これにより、ダイシングフレーム71にシリコンウェハ73が一体化される。その結果、シリコンウェハ73がダイシングフレーム71に保持固定されたまま、ダイシングフレーム71を搬送できる状態に設定する。
【0043】
前記粘着テープ72におけるシリコンウェハ73の外縁部内側に沿う対応部分には、予め円形のプリカットライン75が形成されている。従って、図7に示すように、プリカットライン75に沿って粘着テープ72をカットして剥離することで、シリコンウェハ73の外縁部のみに、粘着テープ72が円環形状を呈して残存するようになる。その結果、図8及び図9に示すように、円形のテープ剥離領域に相当するシリコンウェハ73のパターン形成面74が外部に露出する。
【0044】
上記粘着テープ72には剥離作業を容易にするために、図10に示すように、予め粘着テープ72を左右両側に分割するプリカットライン75を別途形成することもできる。この場合、図5中の想像線で示すように、プリカットライン75は、互いに左右点対称な2つの弧状部を有するように形成することができる。かかる構成により、プリカットライン75に沿って粘着テープ72を左右両側に2分割して剥離できるので、粘着テープ72の剥離作業を一層容易迅速に行うことができる。
【0045】
本実施例では、シリコンウェハ73としては裏面には電極が形成されたものにも適用可能であり、該シリコンウェハ73の裏面を所要の固定力でチャックテーブル(図示せず)に設置した状態で、シリコンウェハ73のパターン形成面74が開口した状態になる。
【0046】
シリコンウェハ73が一体化されたダイシングフレーム71は、プローブテスト装置に搬送される。そして、シリコンウェハ73のパターン形成面74にプローブ(図示せず)を接触させて、シリコンウェハ73の電気特性検査が行われる。その後、シリコンウェハ73は、粘着テープ72を貼り付けたままダイシング工程に搬送し、該シリコンウェハ73の裏面にダイシングテープを貼り付けて、該シリコンウェハ73のダイシング加工を実行して多数のチップに分割される。
【0047】
叙上の如く本発明によれば、ウェハ外縁部に粘着テープを貼り付けて、フレームに保持された状態に設定して、フレームとともにウェハの搬送を行う。よって、ウェハの外縁部は粘着テープで補強されるので、ウェ−ハを安定して支持・搬送することができる。また、ウェハは薄板状であっても高い剛性を有するため、ウェハに反りや皺を生じさせる恐れがなく、ウェハの電気特性検査を安定して容易に実施できる。また、剛性の高いウェハが簡単に得られるので、ウェハの搬送及びチャックテーブルへの載置が容易になり、吸盤やウェハへのエアー吹き付けが不要になる。
【0048】
さらに、電気特性検査はウェハのダイシング工程の前に実行され、そして、ダイシング工程へのウェハの搬送は、ウェハの外縁部に粘着テープを貼り付けた状態のまま行える。次に、ウェハをダイシングテープでダイシングフレームにマウントして、該ウェハのダイシング加工を行う。よって、ウェハのダイシング加工を容易迅速に実施できるばかりでなく、ダイシング加工の品質精度を向上させることができる。
【0049】
また、ウェハの裏面に電極が形成されている場合、ウェハ裏面は所要の固定力でチャックテーブルに設置でき、それゆえ、安定したプローブテストを一層確実に行うことができる。
【0050】
本発明に係る粘着テープは、ウェハの中央部のパターン形成面を露出させるべく、剥離用のプリカットライン(剥離予定線)が予め施されているので、プリカットラインに沿って粘着テープを剥離することで、ウェハの中央部のパターン形成面が露出する。よって、ウェハのパターン形成面を簡単に露出させることができる。
【0051】
また、ウェハの薄板化工程とテープ貼付工程の間に、ウェハの裏面に所要の金属膜を被覆することができる。この場合は、ウェハを研削した後に、ウェハの裏面に金、銀、チタン等の金属膜を被覆する。
【0052】
本発明は、従来例に比べて、ウェハの外周部より切り屑を効率的に除去排出でき、ケミカル(液体)がウェハの外周部に溜まるおそれもなく、ユニフォーミティも向上する。しかも、ダイシング工程前にウェハの外周部を取り除く工程が不要であり、外周部のデバイスの収率が上がるうえに、ウェハのフレームマウントの搬送も安定化し、また、ウェハの表面保護テープの剥離工程では特殊なクランプが不要になる。加えて、薄板状のウェハの平坦性が確保され、ウェハの加工品質の向上に寄与することができる等の効果を奏しうる。
【0053】
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0054】
たとえば、ダイシング工程では、ブレードによるウェハの切断に限らず、レーザ光を照射した後、力を加えて切断してもよい。この場合、研磨液を使用しないので、プローバにレーザ照射機構を設けてプローバの移動ステージを利用してレーザを照射することができる。また、レーザ光を照射する方法であれば、欠けの発生を未然に低減しうる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、裏面切削して薄板化したウェハを対象とする電気特性検査方法であれば、ウェハの種類等を問わず、全て有効に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
22 ポリッシュグラインダ(ウェハ処理装置)
23 プローブテスト装置
26 サポートハンドリングシステム
30 ウェハ
51 ウェハ反転部
58 剥離ユニット
60 フレーム供給部
61 カッター部
62 DC/T貼付部
71 ダイシングフレーム
72 粘着テープ
73 シリコンウェハ
74 パターン形成面
75,76 プリカットライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に回路パターンが形成され、且つ、裏面を研削して薄板化して成るウェハの電気特性検査方法において、
薄板化したウェハの表面に粘着テープを貼り付けてフレームに該ウェハをマウントする工程と、該ウェハの外縁部内側に沿って前記粘着テープを環状にカットして剥離することで、該ウェハ中央部のパターン形成面を露出させる工程と、露出したパターン形成面にプローブを接触させて該ウェハの電気特性検査を行う工程とを含み、前記ウェハの外縁部に前記粘着テープを貼り付けた状態で、該ウェハが一体化された前記フレームを次工程に搬送できるようにしたことを特徴とするウェハの電気特性検査方法。
【請求項2】
上記電気特性検査はウェハのダイシング工程の前に行い、ウェハの外縁部に上記粘着テープを貼り付けた状態のまま該ウェハをダイシング工程に搬送し、該ウェハの裏面にダイシングテープを貼り付けて、該ウェハのダイシング加工を行うことを特徴とする請求項1記載のウェハの電気特性検査方法。
【請求項3】
上記粘着テープには剥離用のプリカットラインが施されていることを特徴とする請求項1記載のウェハの電気特性検査方法。
【請求項4】
上記ウェハには電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載のウェハの電気特性検査方法。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−21086(P2013−21086A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152361(P2011−152361)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】