説明

ウェブの搬送方法及びその装置、並びに溶液製膜方法及びその設備

【課題】渡り部において、できるだけ小さな張力で、湿潤フィルムの搬送の安定化を図る。
【解決手段】渡り部50には支持ローラ52が設けられる。支持ローラ52により搬送路100が形成される。搬送路100の下側には、湿潤フィルム44へ気体を供給する気流調節部101が設けられる。気流調節部101は、搬送路100に向かう気体を搬送方向上流側から搬送方向下流側へ流す。気流調節部101は、搬送路100に向けて気体を送り出す気体供給機102と、気体を吸引する気体吸引機103とを有する。気体供給機102及び気体吸引機103は、搬送方向において支持ローラ52の間に設けられる。気体吸引機103は、気体供給機102よりも搬送方向下流側に設けられる。気体供給機102は、気体を送り出す開口部102xを有する。気体吸引機103は、気体を吸引する開口部103xを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブの搬送方法及びその装置、並びに溶液製膜方法及びその設備に関する。
【背景技術】
【0002】
光透過性を有するポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学フィルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フィルムは、写真感光用フィルムをはじめとして、液晶表示装置の構成部材である偏光子の保護フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムに用いられている。
【0003】
フィルムの主な製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、溶融したポリマーを押出機で押し出してフィルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、厚みを調整することが難しく、また、フィルム上に細かいスジができるために、光学フィルムを製造することが困難である。
【0004】
一方、溶液製膜方法は、ポリマーと溶剤とを含むポリマー溶液(以下、ドープと称する)を流し、支持体上に流延膜を形成する。次に、搬送可能な状態となった流延膜を支持体から剥がして湿潤フィルムとする。その後、湿潤フィルムから溶剤を蒸発させる乾燥処理が行われる。この乾燥処理により、湿潤フィルムからフィルムを得ることができる。
【0005】
溶液製膜方法は、溶融押出方法と比べて、フィルムの厚みの調節が容易、フィルム表面の状態を良好なものにすることが容易である。更に、溶液製膜方法は、含有異物の少ないフィルムを得ることができる。こうした経緯から、光学フィルムは、主に溶液製膜方法で製造されている。
【0006】
溶液製膜方法において、流延膜を搬送可能な状態にさせる方法として、支持体上の流延膜から溶剤を蒸発させて、流延膜の残留溶媒量を所定の範囲になるまで低下させる方法(以下、乾燥法と称する)と、流延膜を冷却して、流延膜をゲル化させる方法(以下、冷却ゲル化法と称する)とが知られている(例えば、特許文献1)。冷却ゲル化法は、乾燥法に比べて短時間で流延膜を搬送可能な状態にさせることが容易であることから、フィルムの大量生産には、冷却ゲル化法が適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−221833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
溶液製膜方法において、支持体と乾燥処理を行う乾燥室との間の渡り部では、湿潤フィルムを支持する支持ローラが配される。そして、支持ローラにより、支持体から剥ぎ取られた湿潤フィルムが乾燥室へ搬送される。支持体から剥ぎ取られた湿潤フィルムは、搬送が可能であるものの、未だ大量の溶剤が含まれている。このため、搬送のために湿潤フィルムに付与される張力(以下、搬送張力と称する)によって、湿潤フィルムに含まれるポリマー分子が配向してしまう。ポリマー分子の配向は、最終製品であるフィルムの光学特性に影響を与える。この結果、所望の光学特性を有するフィルムを製造する上で、ポリマー分子の配向は障害となる場合がある。
【0009】
更に、フィルム中のポリマー分子の配向の傾向が高くなるにつれて、機械特性が低下する。この結果、フィルムを切断する工程において、フィルムの切断面に裂け目が生じてしまう。このように、裂け目が生じてしまったフィルムは、液晶表示装置用の光学フィルムとして用いることができない。その結果、新たなフィルムについて再び切断を行なわなければならない。
【0010】
こうした経緯から、支持体から剥ぎ取られた湿潤フィルムを搬送する際には、搬送張力をできるだけ小さくすることが望まれる。
【0011】
ところで、渡り部では、支持ローラの間において湿潤フィルムが自重で伸びることを防ぐために、上向きの風を湿潤フィルムの下面へあてる必要がある。しかしながら、このような上向きの風をあてながら湿潤フィルムを搬送する場合において、湿潤フィルムの搬送張力が小さくなると、湿潤フィルム、特にその耳部がばたついてしまう。そして、渡り部において湿潤フィルムがばたついてしまうと、支持体から剥ぎ取った湿潤フィルムを乾燥室まで安定して搬送することが困難となる。加えて、渡り部において湿潤フィルムがばたつくと、フィルムの平滑性が低下してしまうこと、キズがついてしまうことや、ポリマー分子の配向にムラが生じること等、様々な問題が生じる。
【0012】
したがって、渡り部において、湿潤フィルム内のポリマー分子の配向の防止と、湿潤フィルムのばたつき防止とを両立することが困難であった。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するものであり、ウェブの搬送方法及びその装置、並びに溶液製膜方法及びその設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のウェブの搬送装置は、ウェブを長手方向へ搬送するウェブの搬送装置において、前記ウェブの下面を支持する第1支持ローラと、この第1支持ローラよりも搬送方向下流側に設けられ、前記ウェブの下面を支持する第2支持ローラと、前記第1支持ローラ及び前記第2支持ローラによって形成される前記ウェブの搬送路の下側では、前記ウェブに向かう気体を前記搬送方向と平行に上流側から下流側に向かって流す気流調節手段とを有することを特徴とする。
【0015】
前記気流調節手段は、前記気体を前記ウェブへ供給する気体供給手段と、前記気体供給手段及び前記第2支持ローラとの間に設けられ、前記気体供給手段によって供給された前記気体を吸引する気体吸引手段とを備えることが好ましい。また、前記ウェブを速度V1で搬送する第1搬送部と、この第1搬送部よりも搬送方向下流側に設けられ、前記ウェブを速度V2で搬送する第2搬送部とを有し、V2/V1の値は1.00より大きく1.20以下であることが好ましい。更に、前記ウェブは、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムであることが好ましい。
【0016】
本発明の溶液製膜設備は、前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープからなる流延膜を支持体に形成する膜形成装置と、前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取装置と、前記湿潤フィルムから前記溶剤を蒸発させる乾燥装置とを有し、前記剥取装置及び前記乾燥装置の間には、上記ウェブの搬送装置が設けられることを特徴とする。
【0017】
前記膜形成装置は、前記流延膜が搬送可能な状態となるまで、前記支持体上の前記流延膜を冷却する冷却装置を備えることが好ましい。
【0018】
本発明は、ウェブの下面を支持する支持ローラを用いて、前記ウェブを長手方向へ搬送するウェブの搬送方法において、第1支持ローラ及び第2支持ローラによって形成される前記ウェブの搬送路よりも下側では、前記ウェブに向かう前記気体を前記搬送方向と平行に上流側から下流側に向かって流す気流調節工程を有することを特徴とする。
【0019】
前記気流調節工程では、前記気体を前記ウェブへ供給する気体供給工程と、前記供給された気体を前記搬送方向の下流側から吸引する気体吸引工程とを行うことが好ましい。また、前記ウェブを速度V1で搬送する第1搬送工程は前記気流調節工程の前に行われ、前記ウェブを速度V2で搬送する第2搬送工程は前記気流調節工程の後に行われ、V2/V1の値は1.00より大きく1.20以下であることが好ましい。更に、前記ウェブは、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムであることが好ましい。
【0020】
本発明の溶液製膜方法は、前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープからなる流延膜を支持体に形成する膜形成工程と、前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取工程と、前記湿潤フィルムから前記溶剤を蒸発させる乾燥工程とを有し、前記剥取工程及び前記乾燥工程の間では、上記ウェブの搬送方法を行うことを特徴とする。
【0021】
前記膜形成工程では、前記流延膜が搬送可能な状態となるまで、前記支持体上の前記流延膜を冷却することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ウェブの下面を支持する第1支持ローラ及び第2支持ローラによって形成されるウェブの搬送路であって、ウェブの搬送路よりも下側では、前記ウェブに向かう前記気体を搬送方向と平行に上流側から下流側に向かって流すため、ウェブの近傍、特に両端近傍において圧力差が生じにくくなる結果、渡り部におけるウェブの安定搬送が可能となる。したがって、本発明によれば、小さい張力での搬送が可能となる結果、ポリマー分子の配向に起因する問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】溶液製膜設備の概要を示す説明図である。
【図2】流延室、ピンテンタ、及びこれらの間の渡り部の概要を示す側面図である。
【図3】渡り部に並べられた2つのローラの概要を示す側面図である。
【図4】渡り部に並べられた2つのローラの概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(溶液製膜方法)
図1に示すように、溶液製膜設備10は、流延室12とピンテンタ13と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。流延室12には、流延ダイ21、流延ドラム22、減圧チャンバ23、及び剥取ローラ24が設けられる。
【0025】
流延ダイ21は、ポリマーと溶剤とを含むドープ28を流出するものであり、ドープ28が流出するスリット出口は、流延ダイ21の先端に設けられる。流延ドラム22は、流延ダイ21の下方に位置し、軸方向が水平となるように配される。そして、流延ドラム22は、周面22aがスリット出口と近接するように配される。更に、流延ドラム22は、軸を中心に回転自在となっている。制御部(図示しない)の制御の下、駆動装置(図示しない)により、流延ドラム22が回転すると、流延ドラム22の周面22aはA方向へ所定の速度で走行する。流延ダイ21のスリット出口から流出したドープ28は、周面22a上で延ばされる結果、帯状の流延膜40を形成する。流延ダイ21及び流延ドラム22は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有する点から、SUS316製であることがより好ましい。
【0026】
図1に示すように、流延ドラム22には温調装置43が接続される。温調装置43は、伝熱媒体の温度を調節する温度調節部を内蔵する。温調装置43は、温度調節部及び流延ドラム22内に設けられる流路との間で、所望の温度に調節された伝熱媒体を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延ドラム22の周面22aの温度を所望の温度に保つことができる。また、図示は省略するが、流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤を凝縮する凝縮装置、凝縮した溶剤を回収する回収装置を設けることにより、流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤の濃度を一定の範囲に保つことができる。
【0027】
減圧チャンバ23は、流延ダイ21よりもA方向の上流側に配置される。制御部の制御の下、減圧チャンバ23は、ドープ28によってスリット出口から周面22aにかけて形成される流延ビードの上流側の気体を吸引する。これにより、流延ビードの上流側の圧力が流延ビードの下流側の圧力よりも低い状態をつくることができる。流延ビードの上流側及び下流側の圧力差は、10Pa以上2000Pa以下であることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、剥取ローラ24は、流延ダイ21よりもA方向の下流側に配される。剥取ローラ24は、周面22a上に形成された流延膜40を剥ぎ取って、湿潤フィルム44として、流延室12の下流側へ案内する。
【0029】
剥取ローラ24よりもA方向上流側にはラビリンスシール45aが設けられ、剥取ローラ24よりもA方向下流側にラビリンスシール45bが設けられる。ラビリンスシール45a、45bは、流延室12の内壁面から、流延ドラム22の周面22aに向かって伸びるように形成される。ラビリンスシール45a、45bの先端は、周面22aに近接するため、溶剤が流延室12の外部へ漏れることを防ぐことができる。
【0030】
図1に示すように、流延室12の下流には、ピンテンタ13、乾燥室15、冷却室16、及び巻取室17が順に設置されている。流延室12とピンテンタ13との間の渡り部50には、湿潤フィルム44を支持する支持ローラ52が複数並べられている。支持ローラ52は、図示しないモータにより、軸を中心に回転する。支持ローラ52は、流延室12から送り出された湿潤フィルム44を支持して、ピンテンタ13へ案内する。なお、図では、渡り部50に2つの支持ローラ52を並べた場合をしているが、本発明はこれに限られず、渡り部50に3つ以上の支持ローラ52を並べてもよい。
【0031】
図2に示すように、ピンテンタ13は、湿潤フィルム44の幅方向の両端を貫通して保持する複数のピン60を有する環状の保持部材61と、保持装置61を循環走行させるプーリ62と、ピンプレートにより保持される湿潤フィルム44に乾燥風を供給する乾燥風供給機(図示しない)とを有する。ピンテンタ13の入り口には、湿潤フィルム44の幅方向の両端をピン60に噛み込ませるブラシ65が設けられる。また、ブラシ65よりも搬送方向上流側に、湿潤フィルム44の幅方向の両端に冷却風を供給する冷風供給機66を設けてもよい。ブラシ65の押し付けによって、ピン60が湿潤フィルム44の幅方向の両端を貫通する。そして、ピン60により両端を保持された湿潤フィルム44は、保持部材61の循環走行により、搬送される。乾燥風との接触により、湿潤フィルム44から溶剤が蒸発する結果、湿潤フィルム44からフィルム70(図1参照)を得ることができる。
【0032】
ピンテンタ13と乾燥室15との間には耳切装置75が設けられている。耳切装置75に送り出されたフィルム70の幅方向の両端は、ピン60によって形成された貫通痕が形成される。耳切装置75は、この貫通痕を有する両端部分を切り離す。この切り離された部分は、送風によりカットブロワ(図示しない)及びクラッシャ(図示しない)へ順次に送られて、細かく切断され、ドープ等の原料として再利用される。
【0033】
乾燥室15には、多数のローラ81が設けられており、これらにフィルム70が巻き掛けられて搬送される。乾燥室15内の雰囲気の温度や湿度などは、図示しない空調機により調節されている。乾燥室15ではフィルム70の乾燥処理が行われる。乾燥室15には吸着回収装置83が接続される。吸着回収装置83は、フィルム70から蒸発した溶剤を吸着により回収する。
【0034】
冷却室16は、フィルム70の温度が略室温となるまで、フィルム70を冷却する。冷却室16及び巻取室17の間では、上流側から順に、除電バー91、ナーリング付与ローラ92、及び耳切装置93が設けられる。除電バー91は、冷却室16から送り出され、帯電したフィルム70から電気を除く除電処理を行う。ナーリング付与ローラ92は、フィルム70の幅方向両端に巻き取り用のナーリングを付与する。耳切装置93は、切断後のフィルム70の幅方向両端にナーリングが残るように、フィルム70の幅方向両端を切断する。
【0035】
巻取室17には、プレスローラ96と巻き芯97を有する巻取機98とが設置されており、巻取室17に送られたフィルム70は、プレスローラ96によって押し付けられながら巻き芯97に巻き取られ、ロール状となる。
【0036】
図3及び図4に示すように、支持ローラ52により、渡り部50には湿潤フィルム44の搬送路100が形成される。搬送路100の下側には、湿潤フィルム44近傍の気流を調節する気流調節部101が設けられる。
【0037】
気流調節部101は、搬送路100に向かう風400を搬送方向上流側から搬送方向下流側へ流すものであり、搬送路100に向けて気体を送り出す気体供給機102と、気体を吸引する気体吸引機103とを有する。気体供給機102及び気体吸引機103は、搬送方向において1対の支持ローラ52の間に設けられ、気体吸引機103は、気体供給機102よりも搬送方向下流側に設けられる。
【0038】
気体供給機102は、気体を送り出す開口部102xを有し、図示しない制御部の制御の下、所定の気体を開口部102xから送り出す。気体吸引機103は、気体を吸引する開口部103xを有し、図示しない制御部の制御の下、開口部103xから気体を吸引する。
【0039】
湿潤フィルム44の長手方向における開口部102xの長さLa2は、0.5mm以上50mm以下であることが好ましい。湿潤フィルム44の幅方向における開口部102xの長さLb2は、湿潤フィルム44の幅Wfよりも長いことが好ましい。Lb2/Wfの値は1.3以下であることが好ましい。湿潤フィルム44の長手方向における開口部103xの長さLa3は、0.5mm以上50mm以下であることが好ましい。湿潤フィルム44の幅方向における開口部103xの長さLb3は、湿潤フィルム44の幅よりも長いことが好ましい。Lb3/Wfの値は1.3以下であることが好ましい。開口部102xと開口部103xとの間隔CL1は5mm以上300mm以下であることが好ましい。
【0040】
次に、本発明の作用について説明する。図1に示すように、図示しないポンプにより、ドープ28は流延ダイ21へ送られる。流延ダイ21に設けられた温調機により、ドープ28の温度は、30℃以上35℃以下の範囲で略一定に調節される。
【0041】
温調装置43は、流延ドラム22の周面22aの温度が、−20℃以上20℃以下の範囲で略一定になるように調節する。流延ドラム22は、軸を中心に回転する。これにより、周面22aはA方向へ走行する。周面22aの走行速度は、20m/分以上200m/分以下であることが好ましく、70m/分以上150m/分以下であることがより好ましい。
【0042】
流延ダイ21は、スリット出口からドープ28を流延ドラム22の周面22aに向けて流出する。流出したドープ28により、周面22a上には帯状の流延膜40が形成する。流延ドラム22は、流延膜40は搬送可能な状態となるまで、流延膜40を冷却する。流延ドラム22による冷却により、流延膜40をなすドープ28は、ゲル状となる結果、流延膜40は搬送可能な状態となる。その後、剥取ローラ24は、搬送可能となった流延膜40を、流延ドラム22から湿潤フィルム44として剥ぎ取り、渡り部50を介して、ピンテンタ13へ案内する。
【0043】
ここで、ゲル化とは、コロイド溶液がジェリー状に固化した状態の他、ドープの流動性が失われた状態を含む。なお、「ドープの流動性が失われた」とは、溶質が高分子の場合において、溶剤が溶質の分子鎖の中で保持された状態で流動性を失い、結果的に溶液の流動性が失われた状態と、溶質が低分子の場合において、溶剤の分子と溶質の分子との相互作用により、結果的に溶液の流動性が失われた状態とを含む。
【0044】
剥ぎ取り時の流延膜40の残留溶剤量は、200重量%以上300重量%以下であることが好ましい。なお、本発明では、流延膜40や各フィルム中に残留する溶剤量を乾量基準で示したものを残留溶剤量とする。また、その測定方法は、対象のフィルムからサンプルを採取し、このサンプルの重量をx、サンプルを乾燥した後の重量をyとするとき、{(x−y)/y}×100で算出する。
【0045】
図2に示すように、ピンテンタ13は、湿潤フィルム44の両端を保持するピン60を走行させることにより、湿潤フィルム44を搬送する。更に、ピンテンタ13は、湿潤フィルム44に乾燥風をあてて、湿潤フィルム44から溶剤を蒸発させる。この結果、湿潤フィルム44からフィルム70を得ることができる。耳切装置75は、ピンテンタ13から送り出されたフィルム70の両端を切断する。
【0046】
両端が切り離されたフィルム70は、乾燥室15及び冷却室16を順次通過し、各室において所定の処理が施される。冷却室16から送り出されたフィルム70には、除電バー91による除電処理、ナーリング付与ローラ92によるナーリング付与処理、耳切装置93による耳切処理が順次施される。巻取室17に送られたフィルム70は、プレスローラ96によって押し付けられながら巻き芯97に巻き取られ、ロール状となる。
【0047】
図2に示すように、渡り部50において、支持ローラ52により支持される湿潤フィルム44は、所定の搬送張力により、流延室12からピンテンタ13に向けて搬送される。
【0048】
図3に示すように、気体供給機102は、開口部102xから湿潤フィルム44に向けて気体を送り出す。これにより、自重による湿潤フィルム44のたるみを防ぐことができる。なお、送り出された気体との接触により、湿潤フィルム44の冷却や、湿潤フィルムから溶剤の蒸発を行っても良いし、湿潤フィルム44の冷却及び溶剤の蒸発の両方を行っても良い。
【0049】
ここで、湿潤フィルム44の搬送路100の下側において、湿潤フィルム44の搬送方向と交差する方向へ風400が流れてしまうと、湿潤フィルム44の両表面における圧力差が生じる結果、湿潤フィルム44がばたついてしまう。この圧力差は、湿潤フィルム44の両端近傍において顕著である。
【0050】
そこで、本発明では、気体吸引機103を用いて気体を吸引する。気体の吸引により、湿潤フィルム44の搬送路100の下側では、搬送方向と平行に上流側から下流側に向かって風400が流れる。この結果、湿潤フィルム44において圧力差が生じにくくなるため、湿潤フィルム44の搬送の安定化を図ることができる。
【0051】
したがって、本発明によれば、低い搬送張力でも、湿潤フィルム44の搬送の安定化を図ることが可能となる結果、搬送張力に起因するポリマー分子の配向を抑え、ひいては、ポリマー分子の配向に起因する光学フィルムの光学特性や機械特性の問題を改善することができる。
【0052】
気体供給機102が送り出す気体の温度は、−5℃以上80℃以下であることが好ましく、30℃以上60℃以下であることがより好ましい。気体供給機102が送り出す気体の風速は、搬送路100において、自重による湿潤フィルム44のたるみ等を防止できる程度のものであれば良く、例えば、2m/秒以上20m/秒以下であることが好ましく、3m/秒以上7m/秒以下であることがより好ましい。また、気体として、空気の他、窒素や希ガスなどの不活性ガスを用いることが好ましい。
【0053】
渡り部50における湿潤フィルム44の搬送張力は、搬送方向に並ぶ1対の支持ローラ52の周速度比Vr1(=V2/V1)によって調節することができる。ここで、V1は、上流側に設けられる支持ローラ52の周速度であり、V2は、下流側に設けられる支持ローラ52の周速度である。周速度比Vr1は、1.00より大きく1.20以下であることが好ましく、1.005以上1.10以下であることがより好ましい。
【0054】
上記実施形態では、気体供給機102と気体吸引機103との間に、気流調節部101を1つ設けたが、本発明はこれに限られず、気流調節部101を複数設けてもよい。気流調節部101を複数設ける場合には、気流調節部101を搬送方向に並べることが好ましい。
【0055】
気体供給機102と気体吸引機103との間に整流板を設けてもよい。整流板は、湿潤フィルム44の搬送方向に沿って設けられ、湿潤フィルム44に対して起立する姿勢で配される。整流版を複数設ける場合には、湿潤フィルム44の幅方向に並べればよい。
【0056】
湿潤フィルム44の搬送によって、湿潤フィルム44の近傍に生じる同伴風が、湿潤フィルム44と支持ローラ52との隙間へ入り込んでしまうと、湿潤フィルム44の搬送の安定化を図ることが困難となる。そこで、このような場合には、支持ローラ52の搬送方向上流側を減圧してもよい。この減圧により、湿潤フィルム44と支持ローラ52との隙間への同伴風の入り込みを防ぐことが可能となるため、湿潤フィルム44の搬送の安定化を図ることができる。
【0057】
搬送張力に起因するポリマー分子の配向により、得られる光学フィルムの光学特性や機械特性が低下してしまう場合もある。このような場合、従来では、このポリマー分子の配向による光学特性や機械特性の低下分を補うために、クリップテンタを用いて、搬送方向と直交する方向へフィルム70を延伸する方法が採用されている。この延伸により、フィルム70の幅はW0からW1となる。本発明では、搬送張力に起因するポリマー分子の配向の抑制が可能となるため、延伸工程における拡幅率(=W1/W0)を小さくする、又は、延伸工程を省略することができる。
【0058】
耳切装置75と乾燥室15との間に、フィルム70の幅をW0からW1にする延伸処理を行うクリップテンタを用いてもよい。クリップテンタは、フィルム70の幅方向の両端を把持する多数のクリップを有し、このクリップが延伸軌道上を移動する。クリップにより両端を把持されたフィルム70は、クリップの延伸軌道上の移動により、幅方向へ延伸される。また、クリップテンタは、フィルム70に対し熱風を送る。フィルム70と熱風との接触により、フィルム70の温度の調節、及びフィルム70からの溶剤の蒸発を行うことができる。
【0059】
また、クリップテンタの下流側に、耳切装置75を設けることが好ましい。なお、クリップテンタ及び耳切装置75を、乾燥室15及び冷却室16の間に設けてもよい。
【0060】
上記実施形態では、溶液製膜設備10にクリップテンタ及び耳切装置75を設けて、フィルム70に延伸処理を施したが、本発明はこれに限られない。例えば、巻き芯97に巻き取られたロール状のフィルム70を、クリップテンタに導入し、フィルム70に延伸処理を施してもよい。
【0061】
上記実施形態では、ドライブローラを支持ローラ52として用いたが、本発明はこれに限られず、フリーローラを支持ローラ52として用いてもよい。また、支持ローラ52として、ドライブローラとフリーローラとを併用してもよい。なお、支持ローラ52を省略しても良い。ここで、全ての支持ローラ52がフリーローラである場合や、支持ローラ52を省略した場合においても、ピンテンタ13における搬送速度をV2として前述の速度比Vr1を調節する、流延ドラム22または剥取ローラ24の周速度をV1として前述の速度比Vr1を調節する、又はこれらの組み合わせにより、渡り部50における湿潤フィルム44の搬送張力を調節することができる。
【0062】
本発明は、ドープを流す際に、2種類以上のドープを同時に流して、個々のドープからなる層を複数有する流延膜(以下、積層流延膜と称する)を形成する同時積層共流延、または、複数のドープを逐次流して、積層流延膜を形成する逐次積層共流延を行うことができる。なお、両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチポケット型の流延ダイを用いてもよい。
【0063】
上記実施形態では、回転する流延ドラム22の周面22aに流延膜40を形成したが、本発明はこれに限られず、循環走行する流延バンド上に流延膜40を形成してもよい。
【0064】
上記実施形態では、流延膜40が搬送可能な状態となるまで、流延膜40を冷却したが、本発明はこれに限られず、流延膜40が搬送可能な状態となるまで、流延膜40から溶剤を蒸発しても良い。なお、この場合において、剥ぎ取り時の流延膜40の残留溶剤量は、30重量%以上120重量%以下であることが好ましい。
【0065】
上記実施形態では、溶液製膜方法によって形成される湿潤フィルムの搬送に本発明を用いたが、本発明はこれに限られず、ウェブの搬送に用いることができる。ウェブとしては、特に限定されないが、例えば、溶融製膜方法によって形成されるウェブの搬送に用いても良い。
【0066】
(ポリマー)
上記実施形態では、ポリマーフィルムの原料となるポリマーは、特に限定されず、例えば、セルロースアシレートや環状ポリオレフィン等がある。
【0067】
(セルロースアシレート)
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、トリアセチルセルロース(TAC)の90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.0
【0068】
アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
【0069】
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター,パルプのどちらから得られたものでも良い。
【0070】
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル、ブタノイルである。
【0071】
(溶剤)
ドープを調製する溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶剤に溶解または分散して得られるポリマー溶液,分散液を意味している。
【0072】
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。ポリマーの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0073】
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶剤組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。
【0074】
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
【0075】
(フィルム)
フィルム70の厚みは20μm以上100μm以下であることが好ましい。フィルム70の幅は600mm以上であることが好ましく、1400mm以上2500mm以下であることがより好ましい。また、フィルム70の幅が2500mmより大きい場合にも、本発明の効果を得ることができる。フィルム70の面内レターデーションReは80nm以下であることが好ましい。フィルム70の厚み方向レターデーションRthは250nm以下であることが好ましい。
【0076】
(面内レターデーションReの測定方法)
サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21ADH 王子計測(株))にて589.3nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より次式に従い算出した。
Re=|nX−nY|×d
nXは、X方向の屈折率,nYはY方向の屈折率,dはフィルムの厚み(膜厚)を表す。
【0077】
(厚み方向レターデーションRthの測定方法)
サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21ADH 王子計測(株))にて589.3nmにおける垂直方向から測定した値と、フィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値とから下記式に従い算出した。
Rth={(nX+nY)/2−nTH}×d
nTHは厚み方向の屈折率を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを長手方向へ搬送するウェブの搬送装置において、
前記ウェブの下面を支持する第1支持ローラと、
この第1支持ローラよりも搬送方向下流側に設けられ、前記ウェブの下面を支持する第2支持ローラと、
前記第1支持ローラ及び前記第2支持ローラによって形成される前記ウェブの搬送路の下側では、前記ウェブに向かう気体を前記搬送方向と平行に上流側から下流側に向かって流す気流調節手段とを有することを特徴とするウェブの搬送装置。
【請求項2】
前記気流調節手段は、
前記気体を前記ウェブへ供給する気体供給手段と、
前記気体供給手段及び前記第2支持ローラとの間に設けられ、前記気体供給手段によって供給された前記気体を吸引する気体吸引手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のウェブの搬送装置。
【請求項3】
前記ウェブを速度V1で搬送する第1搬送部と、
この第1搬送部よりも搬送方向下流側に設けられ、前記ウェブを速度V2で搬送する第2搬送部とを有し、
V2/V1の値は1.00より大きく1.20以下であることを特徴とする請求項1または2記載のウェブの搬送装置。
【請求項4】
前記ウェブは、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムであることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載のウェブの搬送装置。
【請求項5】
前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープからなる流延膜を支持体に形成する膜形成装置と、
前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取装置と、
前記湿潤フィルムから前記溶剤を蒸発させる乾燥装置とを有し、
前記剥取装置及び前記乾燥装置の間には、請求項4記載のウェブの搬送装置が設けられることを特徴とする溶液製膜設備。
【請求項6】
前記膜形成装置は、前記流延膜が搬送可能な状態となるまで、前記支持体上の前記流延膜を冷却する冷却装置を備えることを特徴とする請求項5記載の溶液製膜設備。
【請求項7】
ウェブの下面を支持する支持ローラを用いて、前記ウェブを長手方向へ搬送するウェブの搬送方法において、
第1支持ローラ及び第2支持ローラによって形成される前記ウェブの搬送路よりも下側では、前記ウェブに向かう前記気体を前記搬送方向と平行に上流側から下流側に向かって流す気流調節工程を有することを特徴とするウェブの搬送方法。
【請求項8】
前記気流調節工程では、
前記気体を前記ウェブへ供給する気体供給工程と、
前記供給された気体を前記搬送方向の下流側から吸引する気体吸引工程とを行うことを特徴とする請求項7記載のウェブの搬送方法。
【請求項9】
前記ウェブを速度V1で搬送する第1搬送工程は前記気流調節工程の前に行われ、
前記ウェブを速度V2で搬送する第2搬送工程は前記気流調節工程の後に行われ、
V2/V1の値は1.00より大きく1.20以下であることを特徴とする請求項7または8記載のウェブの搬送方法。
【請求項10】
前記ウェブは、ポリマー及び溶剤を含む湿潤フィルムであることを特徴とする請求項7ないし9のうちいずれか1項記載のウェブの搬送方法。
【請求項11】
前記ポリマー及び前記溶剤を含むドープからなる流延膜を支持体に形成する膜形成工程と、
前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取って湿潤フィルムとする剥取工程と、
前記湿潤フィルムから前記溶剤を蒸発させる乾燥工程とを有し、
前記剥取工程及び前記乾燥工程の間では、請求項7ないし10のうちいずれか1項記載のウェブの搬送方法を行うことを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項12】
前記膜形成工程では、前記流延膜が搬送可能な状態となるまで、前記支持体上の前記流延膜を冷却することを特徴とする請求項11記載の溶液製膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178043(P2011−178043A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44918(P2010−44918)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】