説明

ウェブサービス監視システム

【課題】ウェブサービスの監視精度の向上と、ウェブサービスのサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができ、ウェブサービスの監視に適したウェブサービス監視システムを提供する。
【解決手段】ウェブページのそれぞれの監視ルールを記憶した監視ルール記憶部101と、ウェブページのそれぞれの監視ルールにしたがって、サーバ装置3のウェブサービス毎の稼動状態を監視する稼動監視部104と、稼動監視部104がアクセスURLを用いてサーバ装置3にアクセスした際に発生した障害の履歴である第1の障害履歴情報を記憶した障害履歴記憶部106と、監視ルールを第1の障害履歴情報に基づいて設定するための設定ルールを記憶した設定ルール記憶部102と、設定ルールにしたがって監視ルールを設定する監視ルール設定部103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブサービス監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムの利用頻度または負荷に応じて、コンピュータシステムに対する監視タイミングまたは監視内容を動的に変更するコンピュータシステムの監視システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
コンピュータシステムの監視システムは、例えば、インターネットを介してサービス提供を行うウェブサービスを監視するウェブサービス監視システムを構成する。このようなウェブサービス監視システムは、ウェブサービスにおいて、サービス障害を発生させず、連続稼動を可能にするため、ウェブサービスを監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−325126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のウェブサービス監視システムは、監視内容、監視周期等を運用者が設定しており、この設定内容は、システムの運用に応じた調整が必要であった。
【0006】
しかしながら、監視周期が短過ぎる場合、監視頻度が高くなるため、ウェブサービスを構成するアプリケーションやハードウェアの負荷が上昇するという問題が発生していた。また、監視頻度が必要以上に高くなったり、ウェブサービスを提供するサーバ装置が増えて監視項目が多くなると、監視システム側の負荷が高まり、正常に監視できないという問題や、監視のための運用コストが増大するという問題が発生していた。
【0007】
逆に、監視項目を減らしたり、監視周期を長くして監視頻度を下げると、サービス障害の発見が困難になるという問題や、サービス障害の発生から検知するまでの時間がかかりすぎるという問題が発生していた。
【0008】
このような従来のウェブサービス監視システムでは、運用者が監視内容、監視周期等を適切に設定するまでに、システムを長期間に亘って運用しながら、運用者の判断による調整が必要であった。したがって、ウェブサービスの監視精度の向上と、ウェブサービスのサービス品質の向上および運用コストの低減との両立が難しかった。
【0009】
また、従来のコンピュータシステムの監視システムは、コンピュータシステムの利用頻度として、セッション数または特定プログラムの実行回数を検出している。さらに、コンピュータシステムの負荷として、CPU使用率、ディスクI/O回数、スワップイン・アウト回数、プロセス数、CPUキャッシュのヒット率、ディスクキャッシュのヒット率、システムバスのデータ転送量を検出している。そして、これらの検出したコンピュータシステムの利用頻度または負荷に応じて、コンピュータシステムに対する監視タイミングまたは監視内容を動的に変更している。
【0010】
しかしながら、このような従来のコンピュータシステムの監視システムを用いてウェブサービスを監視する場合、ウェブサービスの監視に適した監視システムを構築するための具体的な構成、動作については開示されていなかった。
【0011】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェブサービスの監視精度の向上と、ウェブサービスのサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができ、ウェブサービスの監視に適したウェブサービス監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のウェブサービス監視システムは、ウェブクライアント端末からアクセスURLを用いたアクセスがあった場合に、ウェブサービスを構成する1または複数のウェブページから、このアクセスURLのウェブページを前記ウェブクライアント端末へ提供するサーバ装置を監視するウェブサービス監視システムであって、前記ウェブサービスの監視ルールを記憶した監視ルール記憶部と、前記ウェブサービスの前記監視ルールにしたがって、前記サーバ装置の稼動状態を監視する稼動監視部と、前記ウェブサービスの利用履歴に関する情報であるサービス利用情報を記憶する利用情報記憶部と、前記監視ルールを前記サービス利用情報に基づいて設定するための設定ルールを記憶した設定ルール記憶部と、前記設定ルールにしたがって前記監視ルールを設定する監視ルール設定部とを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明において、前記監視ルールは、前記稼動監視部が前記サーバ装置の稼動状態を監視する監視周期を、前記ウェブサービスのそれぞれに対応して規定しており、前記稼動監視部は、前記アクセスURLを用いて、このアクセスURLに対応するウェブサービスの前記監視周期で前記サーバ装置にアクセスすることによって、前記サーバ装置の稼動状態を監視し、前記利用情報記憶部は、前記稼動監視部が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした際に発生した障害の履歴である第1の障害履歴情報を記憶し、前記設定ルールは、前記第1の障害履歴情報に基づいて導出される前記障害の発生頻度が高い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を短くし、前記障害の発生頻度が低い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を長くすることを規定していることが好ましい。
【0014】
この発明において、前記監視ルールは、前記稼動監視部が前記サーバ装置の稼動状態を監視する監視周期を、前記ウェブサービスのそれぞれに対応して規定しており、前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報を記憶し、前記設定ルールは、前記アクセス履歴情報に基づいて導出される前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が高い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を短くし、前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が低い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を長くすることを規定していることが好ましい。
【0015】
この発明において、前記監視ルールは、前記稼動監視部による監視対象を規定しており、前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした際に発生した障害の履歴である第2の障害履歴情報を記憶し、前記設定ルールは、前記第2の障害履歴情報に基づいて導出される前記障害の発生頻度が高い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を増やし、前記障害の発生頻度が低い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を減らすことを規定していることが好ましい。
【0016】
この発明において、前記監視ルールは、前記稼動監視部による監視対象を規定しており、前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報を記憶し、前記設定ルールは、前記アクセス履歴情報に基づいて導出される前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が高い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を増やし、前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が低い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を減らすことを規定していることが好ましい。
【0017】
この発明において、前記設定ルールは、ウェブサービスのユーザ登録を行う登録用ウェブページを提供するための前記アクセスURLへの前記アクセス頻度が高い場合、前記登録用ウェブページを格納したデータベースを前記監視対象に設定することを規定していることが好ましい。
【0018】
この発明において、前記設定ルールは、画像をアップロードするウェブページを提供するための前記アクセスURLへの前記アクセス頻度が高い場合、アップロードされた前記画像を格納するメモリ容量を前記監視対象に設定することを規定していることが好ましい。
【0019】
この発明において、前記監視ルールは、前記稼動監視部による監視対象を規定しており、前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報を記憶し、前記監視ルール設定部は、前記アクセス履歴情報に基づいて、将来における前記ウェブクライアント端末のアクセス頻度の変動を前記ウェブサービス毎に予測し、前記設定ルールは、前記アクセス頻度の予測値が閾値を上回る前記ウェブサービスに対応する前記監視対象を、このアクセス頻度の予測値が閾値を上回る時刻以前に前記稼動監視部の監視対象に追加することを規定していることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明では、ウェブサービスの監視精度の向上と、ウェブサービスのサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができ、ウェブサービスの監視に適したウェブサービス監視システムを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】同上のサービス監視ルールを示すテーブル図である。
【図3】同上の第1の障害履歴情報を示すテーブル図である。
【図4】同上のアクセス履歴情報を示すテーブル図である。
【図5】同上の監視周期設定処理を示すフローチャートである。
【図6】(a)(b)同上の基本監視周期によるアクセスタイミングを示す図である。
【図7】同上の補正係数のデータを示すテーブル図である。
【図8】同上の監視周期の決定動作を示すテーブル図である。
【図9】(a)(b)同上の監視周期を示す図である。
【図10】実施形態2の構成を示すブロック図である。
【図11】同上のサービス監視ルールを示すテーブル図である。
【図12】同上のサブシステム監視ルールを示すテーブル図である。
【図13】同上の監視対象実行キューを示すテーブル図である。
【図14】同上のスケジュール設定処理を示すフローチャートである。
【図15】同上のスケジュール設定ルールを示すテーブル図である。
【図16】同上のアクセス履歴情報を示すテーブル図である。
【図17】同上の補正後の監視対象実行キューを示すテーブル図である。
【図18】実施形態3の構成を示すブロック図である。
【図19】同上のサービス監視ルールを示すテーブル図である。
【図20】同上のサブシステム監視ルールを示すテーブル図である。
【図21】同上のアクセス集中を考慮した監視対象の設定処理を示すフローチャートである。
【図22】同上のアクセス集中度判断ルールを示すテーブル図である。
【図23】同上のアクセス頻度を示すグラフ図である。
【図24】同上の補正後の監視対象実行キューを示すテーブル図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1に示す本実施形態のウェブサービス監視システムは、ウェブサービス監視装置1が、1乃至複数のサーバ装置3を監視する(図1では、3台のサーバ装置3を設ける)。
【0024】
サーバ装置3は、ルータ等のネットワーク装置4を介して、インターネット等の外部ネットワークNT1に接続し、ネットワークNT1に接続したウェブクライアント端末5との間で通信を行う。ウェブクライアント端末5は、ウェブブラウザを搭載したパーソナルコンピュータ、携帯電話、インターネット対応テレビ等で構成され、アクセスURLを用いてサーバ装置3にアクセスする。
【0025】
サーバ装置3は、ウェブサーバ31、データベース32、ファイル管理部33、アプリケーション部34を備える。
【0026】
データベース32は、ウェブサービスを構成する1または複数のウェブページを格納しており、ウェブページのそれぞれには、アクセスURL(Uniform Resource Locator)が割り付けられている。ファイル管理部33は、ウェブページのファイル管理を行うとともに、画像等を格納するメモリも具備している。アプリケーション部34は、ウェブサービスを提供するためのアプリケーションソフトを格納しており、ウェブクライアント端末5のウェブブラウザ上の操作によって、アプリケーションソフトを実行する。なお、1台のサーバ装置3は、1つのウェブサービスを提供する機能を有するものとする。
【0027】
そして、ウェブサーバ部31は、ウェブクライアント端末5からアクセスURLを用いたアクセスがあった場合に、このアクセスURLに対応したウェブページをウェブクライアント端末5へ提供する。ウェブクライアント端末5は、このウェブページを画面上に表示し、各種ウェブサービスを受けることができる。
【0028】
次に、ウェブサービス管理装置1は、監視ルール記憶部101、設定ルール記憶部102、監視ルール設定部103、稼動監視部104、障害記録部105、障害履歴記憶部106、障害通報部107を備える。そして、ウェブサービス管理装置1は、監視ルール記憶部101に格納している監視ルールにしたがって、ウェブサービスを提供するサーバ装置3の稼動状態を監視する。
【0029】
監視ルール記憶部101は、稼動監視部104がサーバ装置3の稼動状態を監視する際にしたがうルールである監視ルールを記憶している。本実施形態の監視ルール記憶部101は、監視項目記憶部101aで構成されており、監視項目記憶部101aは、監視ルールの1つであるサービス監視ルールを格納している。図2は、サービス監視ルールのテーブル構造を示し、「監視名」、「監視操作」、「正常判断条件」、「基本監視周期」、「監視周期」の各項目からなる。
【0030】
「監視名」は、監視対象となるウェブサービス(ウェブサービス1,ウェブサービス2,...)およびウェブページ(ログインページ,ログアウトページ,...)である。
【0031】
「監視操作」は、稼動監視部104が、サーバ装置3の稼動状態を監視する手順であり、ここでは、監視対象となるウェブサービスのウェブページのアクセスURLを用いてサーバ装置3にアクセスし、サーバ装置3からウェブページ(コンテンツ)を取得することが規定されている。
【0032】
「正常判断条件」は、稼動監視部104が、「監視操作」に規定されている操作を行った結果に基づいて、サーバ装置3が正常であると判断するための判断基準である。図2では、「監視操作」に規定されているアクセスURLにアクセスした結果、監視サーバ3から返信された応答コードが「200」(正常コード)であり、且つ取得したウェブページがアクセスURLにて指定されたHTML(HyperText Markup Language)文書であれば、サーバ装置3が正常であると判断する。
【0033】
「基本監視周期」は、稼動監視部104が用いる監視周期のデフォルト値に相当する基本監視周期が規定されている。
【0034】
「監視周期」は、稼動監視部104が用いる監視周期の設定値が規定されている。このサービス監視ルールの「監視周期」は、監視ルール設定部103を構成する監視周期決定部103aによって設定される。
【0035】
なお、上記「基本監視周期」、「監視周期」はウェブサービス毎に設定されている。
【0036】
そして、稼動監視部104は、アクセスURLを用いて、このアクセスURLの監視周期でサーバ装置3にアクセスすることによって、サーバ装置3の稼動状態を監視する。稼動監視部104からアクセスされたサーバ装置3のウェブサーバ31は、アクセスURLに対応するウェブサービスの稼動状態に応じた返答を行う。具体的に、ウェブサーバ31は、正常時において、HTMLで作成したウェブページを応答コード「200」(正常コード)とともに稼動監視部104へ返信する。一方、ウェブサーバ31は、異常時において、異常内容に応じた応答コード(異常コード)を稼動監視部104へ返信する。または、ウェブサーバ31は、異常時において、応答コードの返信を行わないようにしてもよい。
【0037】
稼動監視部104は、アクセスURLにて指定されたウェブページを正常コードとともに受信した場合、監視対象のアクセスURLに対応するウェブサービスは正常であると判断する。また、稼動監視部104は、異常コードを受信した場合(または応答コードの返信がない場合)、監視対象のアクセスURLに対応するウェブサービスは障害が発生していると判断する。この障害は、ウェブサーバ3を構成するハードウェア、ソフトウェアの障害である。
【0038】
障害記録部105は、稼動監視部104から得られた障害に関する情報(第1の障害履歴情報)を障害履歴記憶部106に記録する。図3は、第1の障害履歴情報の構成例であり、「サービス名」、「障害履歴」、「停止時間」、「稼働率(月間)」の各情報で構成されている。すなわち、各ウェブサービスにおいて、どの時間帯にどのような障害が発生し、サービスがどの位停止したかを記録している。また、これらの情報より計算された月間の稼働率も記録されている。稼働率は、稼働率=(停止時間(分)/43200(分))*100で求められる。なお、43200は、1ヶ月(30日)を分に換算した値である。また、障害記録部105は、本発明の利用情報記憶部に相当する。
【0039】
障害通報部107は、ウェブサービスの障害発生時に、ユーザへ障害発生の旨を報知する。障害通報部107は、警報音、警報表示等で障害発生を報知する構成や、ネットワーク等の通信経路を経由して、予め決められた通知先へ障害発生を通知する構成等を備える。
【0040】
また、ウェブ監視装置1とサーバ装置3との間にはアクセス履歴記憶部6が設けられている。アクセス履歴記憶部6は、ウェブクライアント端末5がサーバ装置3にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報をサーバ装置3から取得し、格納している。なお、アクセス履歴記憶部6は、本発明の利用情報記憶部に相当する。
【0041】
アクセス履歴情報は、図4に示すように、各ウェブサービスにおいて、どの時間帯、どのウェブページにウェブクライアント端末5のアクセスがあったかが記録されており、「アクセス日時」、「アクセス対象ページ」の各項目で構成される。
【0042】
そして、稼動監視部104の監視周期は、監視周期決定部103aによって、図5のフローチャートにしたがって設定される。
【0043】
監視周期の設定処理を開始した監視周期決定部103aは、まず、監視項目記憶部101aのサービス監視ルールを取得する(S1)。初期状態において、サービス監視ルールの「監視周期」の項目にはデータが格納されていない。さらに、監視周期決定部103aは、アクセス履歴記憶部6から、各アクセスURLのアクセス履歴情報を取得する(S2)。
【0044】
次に、監視周期決定部103aは、アクセス履歴情報に一定回数以上のアクセス履歴が蓄積されているか否かをウェブサービス毎に判定する(S3)。ウェブサービスの稼動期間が短く、所定回数以上のアクセス履歴がアクセス履歴情報に格納されていないウェブサービスに対して、監視周期決定部103aは、サービス監視ルールの「基本監視周期」を用いる(S4)。そして、監視周期決定部103aは、稼動監視部104に対して、基本監視周期で監視要求を出力する(S11)。この監視要求には、サービス監視ルールの「監視操作」「正常判断条件」の各情報も含まれる。
【0045】
監視要求を受信した稼動監視部104は、基本監視周期毎に監視操作を行う。すなわち、稼動監視部104は、基本監視周期毎に、監視対象となるウェブサービスのウェブページのアクセスURLを用いてサーバ装置3にアクセスする。そして、サーバ装置3からの応答コードを「正常判断条件」と比較することによって、ウェブサービスの正常/障害発生の判断を行う。図6(a)(b)に、各ウェブサービスの基本監視周期(例えば、5分周期)によるアクセスタイミングを示す。
【0046】
そして、ウェブサービスの稼動期間が長くなり、ステップS3において、所定回数以上のアクセス履歴がアクセス履歴情報に格納された場合、監視周期決定部103aは、監視周期の算出処理を開始する(S5)。監視周期の算出処理を開始した監視周期決定部103aは、設定ルール記憶部102から設定ルールを取得する。
【0047】
本実施形態の設定ルール記憶部102は、周期設定ルール記憶部102aで構成されており、周期設定ルール記憶部102aに周期設定ルール1,2が格納されている。ステップS5において、監視周期決定部103aは、周期設定ルール記憶部102aから周期設定ルール1を取得する(S6)。周期設定ルール1は、下記(1)式で表される。
【0048】
仮監視周期=平均アクセス周期/3 ……… (1)
(1)式で表される周期設定ルール1は、アクセス履歴情報に基づいて導出されるウェブクライアント端末5からのアクセス頻度が高いウェブサービスに対応する仮監視周期を短くしている。また、ウェブクライアント端末5からのアクセス頻度が低いウェブサービスに対応する仮監視周期を長くしている。
【0049】
まず、監視周期決定部103aは、アクセス履歴記憶部6に格納しているアクセス履歴情報に基づいて、ウェブクライアント端末5がサーバ装置3にアクセスした平均アクセス周期をウェブサービス毎に算出する。そして、監視周期決定部103aは、上記(1)式を用いて、平均アクセス周期を3で除し、ウェブサービス毎の仮監視周期を求める(S7)。この仮監視周期は、平均アクセス周期の間に、監視が2回実行される程度に設定されている。なお、ウェブクライアント端末5によるアクセスが頻繁に発生する場合、仮監視周期が短くなって監視が過負荷になる虞がある。そこで、仮監視周期の最短周期を例えば1分に予め設定しておき、上記(1)式で算出された仮監視周期が1分以下になる場合、仮監視周期を1分に設定する。
【0050】
次に、監視周期決定部103aは、ウェブサービス毎の障害の発生頻度として、障害履歴記憶部106に格納している第1の障害履歴情報から月間の稼働率のデータを取得する(S8)。そして、監視周期決定部103aは、ウェブサーバ3を構成するハードウェア、ソフトウェアの品質を考慮し、稼働率が高い場合は監視周期を長くする。一方、ウェブサーバ3を構成するハードウェア、ソフトウェアの信頼性が低く、稼働率が低い場合は監視周期を短くする。
【0051】
具体的に、監視周期決定部103aは、周期設定ルール記憶部102aから周期設定ルール2を取得する(S9)。周期設定ルール2は、下記(2)式で表され、仮監視周期に補正係数を乗じて、ウェブサーバ3を構成するハードウェア、ソフトウェアの信頼性に応じた監視周期を算出する(S10)。
【0052】
監視周期=仮監視周期×補正係数 ……… (2)
ここで、周期設定ルール記憶部102aには、図7に示す補正係数のデータも格納されている。稼働率が99.99%以上(月間の上限停止時間:4分)の場合、安定度が非常に高いと判断し、補正係数を3に設定する。稼働率が99.90%以上、99.99%未満(月間の上限停止時間:44分)の場合、安定度が高いと判断し、補正係数を1.5に設定する。稼働率が99.50%以上、99.90%未満(月間の上限停止時間:223分)の場合、安定度が中であると判断し、補正係数を1.0に設定する。稼働率が99.00%以上、99.50%未満(月間の上限停止時間:446分)の場合、安定度が低いと判断し、補正係数を0.5に設定する。稼働率が99.00%未満の場合、安定度が非常に低いと判断し、補正係数を0.3に設定する。すなわち、稼働率が高いほど、仮監視周期に乗じる補正係数は大きくなり、補正後の監視周期は長くなる。一方、稼働率が低いほど、仮監視周期に乗じる補正係数は小さくなり、補正後の監視周期は短くなる。
【0053】
すなわち、(2)式で表される周期設定ルール2は、第1の障害履歴情報に基づいて導出される障害の発生頻度が高いウェブサービスに対応する監視周期を短くしている。また、障害の発生頻度が低いウェブサービスに対応する前記監視周期を長くしている。
【0054】
このように、監視周期決定部103aは図8に示すように、周期設定ルール1を用いて、ウェブサービス毎に、平均アクセス周期から仮監視周期を求める。さらに監視周期決定部103aは、周期設定ルール2を用いて、稼働率に基づく補正係数を用いて仮監視周期を補正し、監視周期を求める。監視周期決定部103aは、この監視周期をサービス監視ルール(図2参照)に設定するとともに、この監視周期で稼動監視部104へ監視要求を出力する(S11)。そして、監視要求を受信した稼動監視部104は、監視対象のそれぞれに対して、その監視周期毎に監視を行う。
【0055】
図9(a)は、ウェブクライアント端末5からサーバ装置3へのアクセスACが疎である場合に設定される監視周期T11を示し、図9(b)は、ウェブクライアント端末5からサーバ装置3へのアクセスACが密である場合に設定される監視周期T12を示す。この場合、監視周期T11は、監視周期T12より長くなる。
【0056】
このように、ウェブクライアント端末5のアクセス頻度と、障害の発生頻度(ウェブサービスを構成するハードウェア、ソフトウェアの信頼性)とに基づいて、ウェブサービスの監視周期を自動的に最適化している。
【0057】
したがって、監視周期が過度に短くなって、監視頻度が必要以上に多くなることが抑制される。而して、ウェブクライアント端末5のアクセス頻度が非常に低いにも関わらず、監視負荷が必要以上に増大したり、監視のための運用コストが必要以上に増大するという問題が解消される。また、監視周期が過度に長くなって、監視頻度が過度に少なくなることも抑制されるので、障害の発見が困難になったり、障害の発生から検知するまでの時間がかかりすぎて、正常に監視できないという問題も解消される。
【0058】
したがって、ウェブサービスの監視精度の向上と、ウェブサービスのサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができ、ウェブサービスの監視に適したウェブサービス監視システムを提供することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、1つのサーバ装置3に1つのウェブサービスが登録される例を示しているが、サーバ装置3に用いるオペレーションシステムのマルチタスク機能により、1つのサーバ装置3に複数のウェブサービスが実装される場合がある。このような場合であっても、本手法は適用可能であり、本実施形態と同様に動作して、同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施形態2)
図10に示す本実施形態のウェブサービス監視システムにおいて、ウェブサービス監視装置1の監視ルール記憶部101は、監視項目記憶部101aおよび実行キュー記憶部101bで構成される。また、設定ルール記憶部102は、周期設定ルール記憶部102aおよびスケジュール設定ルール記憶部102bで構成される。また、監視ルール設定部103は、監視周期決定部103aおよびスケジュール最適化部103bで構成される。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0061】
本実施形態の稼動監視は、稼動監視部104がアクセスURLにアクセスしてサーバ装置3の動作を確認するサービス監視と、サーバ装置3を構成するソフトウェア、ハードウェアを稼動監視部104が個別に監視するサブシステム監視とで構成される。
【0062】
本実施形態の監視項目記憶部101aは、サービス監視に用いる監視ルールとして図11のサービス監視ルールを記憶し、サブシステム監視に用いる監視ルールとして図12のサブシステム監視ルールを記憶している。
【0063】
図11は、サービス監視ルールを規定したテーブルを示し、「監視名」、「サービス名」、「監視操作」、「正常判断条件」、「基本監視周期」、「監視周期」の各項目からなる。
【0064】
「監視名」は、監視対象となるウェブページ(ログインページ,ログアウトページ,...)であり、「サービス名」は、監視対象となるウェブサービス(ウェブサービス1,ウェブサービス2,...)である。他の項目は、実施形態1と同様であり(図2参照)、説明は省略する。
【0065】
図12は、サブシステム監視ルールを規定したテーブルを示し、「監視名」、「監視操作」、「正常判断条件」、「基本監視周期」、「監視周期」の各項目からなる。
【0066】
「監視名」は、ウェブサーバ3の監視対象となるハードウェアおよびソフトウェアを示す。
【0067】
「監視操作」は、稼動監視部104が、監視対象の稼動状態を監視する手順であり、ここでは、監視対象のハードウェア、ソフトウェアに応じた監視手順が規定されている。
【0068】
「正常判断条件」は、稼動監視部104が、「監視操作」に規定されている操作を行った結果に基づいて、監視対象のハードウェア、ソフトウェアが正常であると判断するための判断基準である。ここでは、監視対象のハードウェア、ソフトウェアに応じた正常判断基準が規定されている。
【0069】
「基本監視周期」は、稼動監視部104が用いる監視周期のデフォルト値に相当する基本監視周期が規定されている。
【0070】
「監視周期」は、稼動監視部104が用いる監視周期の設定値が規定されている。このサブシステム監視ルールの「監視周期」は、監視周期決定部103aによって設定される。
【0071】
監視周期決定部103aは、ウェブクライアント端末5のアクセス頻度、および障害の発生頻度に基づいて、サービス監視ルールの「監視周期」を設定する(図5のフローチャート参照)。さらに、監視周期決定部103aは、障害の発生頻度に基づいて、サブシステム監視ルールの「監視周期」を設定する。
【0072】
そして、実行キュー記憶部101bは、監視項目記憶部101aに記憶しているサービス監視ルールおよびサブシステム監視ルールに基づいて、実行すべき監視対象を、その監視周期に基づいて時系列に沿って格納した監視対象実行キューを記憶している。
【0073】
図13は、実行キュー記憶部101bが記憶した監視対象実行キュー(待ち行列)を示し、「実行予定時刻」、「監視種別」、「監視名」、「対象サービス」、「監視操作」の各項目からなる実行待ちリストを構成する。
【0074】
「実行予定時刻」は、監視対象毎の実行予定時刻であり、「監視種別」は、サービス監視ルールに基づく監視(図11参照)、サブシステム監視ルールに基づく監視(図12参照)のいずれであるかを規定している。
【0075】
「監視名」は、サービス監視ルールに基づく監視の場合、監視対象となるウェブページ(ログインページ,ログアウトページ,...)が規定される。また、サブシステム監視ルールに基づく監視の場合、ウェブサーバ3の監視対象となるハードウェアおよびソフトウェアが規定される。
【0076】
「対象サービス」は、監視対象となるウェブサービスが規定され、「監視操作」は、稼動監視部104が監視対象の稼動状態を監視する手順が規定される。
【0077】
そして、本実施形態のウェブサービス監視システムでは、監視周期決定部103aによって監視周期が設定されて実行予定時刻が決まった監視対象が、実行キュー記憶部101bに時系列に沿って登録されている(監視対象実行キュー)。そして、実行キュー記憶部101bに登録された監視対象実行キューに対し、スケジュール最適化部103bがスケジュール設定ルール記憶部102bのスケジュール設定ルールに基づいて監視対象の追加/削除を行う。その後、スケジュール最適化部103bは、稼動監視部104に対して、実施予定時刻に到達した監視対象の監視要求を送信する。稼動監視部104は、監視要求に基づき、実施予定時刻に到達した監視対象に対して監視を行う。
【0078】
図14は、本実施形態における監視対象のスケジュール設定処理を示すフローチャートである。
【0079】
まず、監視周期決定部103aによって監視周期が設定されて実行予定時刻が決まった図13の監視対象実行キューが、実行キュー記憶部101bに登録されているものとする。
【0080】
スケジュール最適化部103bは、スケジュール設定ルール記憶部102bに記憶しているスケジュール設定ルールを取得する(S21)。図15は、スケジュール設定ルールを規定したテーブルを示し、「アクセスURL」、「応答コード」、「ログ調査時間幅」、「アクセス頻度」、「監視スケジュール調整ルール」の各項目からなる。このようなスケジュール設定ルールは、各アクセスURLへのアクセス時に返信された応答コード、各アクセスURLへのアクセス頻度に応じて、監視対象を追加/削除するルールが定義されている。
【0081】
「アクセスURL」は、ウェブサービスを構成するログインページ、アップロードページ、支払いページ、会員登録ページ等のアクセスURLが規定されている。
【0082】
「応答コード」は、ウェブクライアント端末5が各アクセスURLにアクセスした際に、ウェブサーバ3から返信された応答コードの種類を示す。アクセスに対するウェブサーバ3の稼動状態が正常な場合、応答コード「200」(正常コード)がウェブクライアント端末5に返信される。アクセスに対するウェブサーバ3の稼動状態に障害が発生した場合、応答コード「200」以外がウェブクライアント端末5に返信される。そして、「応答コード」の項目は、「ログ調査時間幅」に規定されたログ調査期間内に返信された応答コードが全て「200」である場合と、「ログ調査時間幅」に規定されたログ調査期間内に返信された応答コードに「200」以外が含まれる場合とに分けられている。
【0083】
「ログ調査時間幅」は、上述の「応答コード」のログ調査期間が規定されている。
【0084】
「アクセス頻度」は、「ログ調査時間幅」に規定された期間内に、ウェブクライアント端末5から各アクセスURLにアクセスしたアクセス頻度であり、1分あたりのアクセス回数の平均値で規定されている。
【0085】
「監視スケジュール調整ルール」は、「アクセスURL」、「応答コード」、「ログ調査時間幅」、「アクセス頻度」の条件毎に、監視対象の追加/削除を行うルールが、サービス監視、サブシステム監視のそれぞれに対応して規定されている。図15中の「+」は、該当する監視対象を監視対象実行キューに追加することを示し、「−」は、該当する監視対象を監視対象実行キューから削除することを示す。なお、サービス監視に対応する監視対象は、「ログインページ監視」、「アップロードページ監視」、「支払いページ監視」、「会員登録ページ監視」等である。サブシステム監視に対応する監視対象は、「データベース監視」、「ファイル管理部監視」等である。
【0086】
例えば、ウェブサービスのユーザ登録を行うウェブページである会員登録用ページへのアクセスが多い場合(アクセス頻度が30以上)は、会員登録処理の増大に影響を受けやすいサーバ装置3のデータベース32を監視対象に追加している。一方、会員登録用ページへのアクセスが少ない場合(アクセス頻度が30未満)は、サーバ装置3のデータベース32を監視対象から削除している。このように、会員登録用ページへのアクセス数に応じて、データベース32を監視対象に追加/削除しているので、会員登録ページの監視精度の向上と、会員登録ページによるサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができる。
【0087】
また、画像をアップロードするウェブページであるアップロードページへのアクセスが多い場合(アクセス頻度が60以上)は、アップロード処理の増大に影響を受けやすいサーバ装置3のファイル管理部33を監視対象に追加している。一方、アップロードページへのアクセスが少ない場合(アクセス頻度が60未満)は、サーバ装置3のファイル管理部33を監視対象から削除している。ファイル管理部33は、アップロードされた画像を記憶するメモリを具備しており、このメモリ容量が監視対象になる。したがって、アップロードページへのアクセス数に応じて、ファイル管理部33を監視対象に追加/削除しているので、アップロードページの監視精度の向上と、アップロードページによるサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができる。
【0088】
次に、スケジュール最適化部103bは、ウェブクライアント端末5がサーバ装置3にアクセスした履歴である各アクセスURLのアクセス履歴情報を、アクセス履歴記憶部6から取得する(S22)。この取得したアクセス履歴情報は、図16に示すように、「アクセス日時」、「アクセス対象ページ」、「応答コード」の各項目で構成されている。そして、各ウェブサービスにおいて、どの時間帯、どのウェブページにウェブクライアント端末5のアクセスがあったかが記録されている。さらに、ウェブクライアント端末5のウェブページへのアクセスに対して返信された応答コードの種類も記録されている。すなわち、アクセス履歴記憶部6に格納しているアクセス履歴情報は、ウェブクライアント端末5がアクセスURLを用いてサーバ装置3にアクセスした際に発生した障害の履歴である第2の障害履歴情報を含んでいる。
【0089】
そして、スケジュール最適化部103bは、アクセス履歴情報に基づいて、各ウェブページへのアクセスに対して返信された応答コードに「200」(正常コード)以外が含まれているか否かを判定する(S23)。この判定処理は、スケジュール設定ルール記憶部102bに記憶しているスケジュール設定ルールにおいて、各ウェブページ(アクセスURL)の「ログ調査時間幅」に規定されたログ調査期間内のアクセスを対象にして行われる。
【0090】
スケジュール最適化部103bは、応答コード「200」のみが返信されているウェブページについて、スケジュール設定ルールに規定されている「アクセス頻度」のデータを得て(S24)、アクセス頻度の条件が設定されているか否かを判定する(S25)。
【0091】
スケジュール設定ルールにアクセス頻度の条件が設定されている場合、スケジュール最適化部103bは、アクセス履歴情報に基づいて、各ウェブページ(アクセスURL)の「ログ調査時間幅」における実際のアクセス頻度を導出する(S26)。そして、この導出した実際のアクセス頻度を、スケジュール設定ルールに規定されているアクセス頻度の条件と比較する(S27)。
【0092】
スケジュール最適化部103bは、実際のアクセス頻度がアクセス頻度の条件以上である場合、スケジュール設定ルール(図15のアップロードページ、支払いページ、会員登録ページを参照)に基づいて、監視対象の追加/削除を行う(S28)。
【0093】
また、スケジュール最適化部103bは、実際のアクセス頻度がアクセス頻度の条件未満である場合、スケジュール設定ルール(図15のアップロードページ、支払いページ、会員登録ページ参照)に基づいて、監視対象の削除を行う(S29)。
【0094】
また、ステップS23において、各ウェブページへのアクセスに対して返信された応答コードに「200」(正常コード)以外が含まれている場合、スケジュール最適化部103bは、スケジュール設定ルール(図15のログインページ、アップロードページ、支払いページ、会員登録ページ参照)に基づいて、監視対象の追加を行う(S30)。
【0095】
また、ステップS25において、スケジュール設定ルールにアクセス頻度の条件が設定されていない場合、スケジュール最適化部103bは、スケジュール設定ルール(図15のログインページ参照)に基づいて、監視対象の削除を行う(S31)。
【0096】
例えば、実行キュー記憶部101bに図13の監視対象実行キューが格納されているものとする。
【0097】
そして、ウェブサービス1では、ウェブクライアント端末5からアップロードページへのアクセスが大量に実行されており、アクセス頻度が60を超えていたとする。この場合、スケジュール最適化部103bは、図15に示すスケジュール設定ルールにしたがい、ウェブサービス1に対して、サブシステム監視のデータベース監視とファイル管理部監視を監視対象実行キューに追加する。
【0098】
さらに、ウェブサービス3では、ウェブクライアント端末5からログインページへのアクセスがあり、「ログ調査時間幅」に規定された期間内に返信された応答コードが全て「200」であるとする。この場合、スケジュール最適化部103bは、図15に示すスケジュール設定ルールにしたがい、ウェブサービス3のログインページ監視、データベース監視を削除する。
【0099】
而して、スケジュール最適化部103bは、実行キュー記憶部101bに格納している図13の監視対象実行キューに対して、ウェブサービス1のデータベース監視、ファイル管理部監視の追加、ウェブサービス3のログインページ監視、データベース監視の削除を反映する。その結果、図17に示す監視対象実行キューに修正される。
【0100】
そして、スケジュール最適化部103bは、修正後の監視対象実行キュー(図17参照)を参照し、実行予定時刻に達した監視対象の監視要求を稼動監視部104へ出力する。稼動監視部104は、監視要求に基づいて、実施予定時刻に到達した監視対象に対して、監視対象実行キューに設定された監視を行う。
【0101】
このように、スケジュール最適化部103bは、アクセスURLへのアクセスに対して返信される応答コードに「200」(正常コード)以外が含まれている場合は、障害の発生頻度が高いと判断して、該当のアクセスURLの監視対象を増やす。一方、アクセスURLへのアクセスに対して返信される応答コードに「200」(正常コード)以外が含まれていない場合は、障害の発生頻度が低いと判断して、該当のアクセスURLの監視対象を減らす。また、スケジュール最適化部103bは、アクセス頻度が高いアクセスURLに対応する監視対象を、アクセス頻度が低いアクセスURLに対応する監視対象に比べて多くしている。したがって、ウェブサービスの監視精度の向上と、ウェブサービスのサービス品質の向上および運用コストの低減とを両立させることができる。
【0102】
なお、本実施形態では、各ウェブページ(アクセスURL)のアクセス頻度に基づいて監視対象実行キューを修正しているが、各ウェブページにおけるデータ転送サイズ、登録会員数等に基づいて、監視対象実行キューを修正する構成であってもよい。
【0103】
(実施形態3)
図18に示す本実施形態のウェブサービス監視システムにおいて、ウェブサービス監視装置1の設定ルール記憶部102は、周期設定ルール記憶部102aおよびアクセス集中判断ルール記憶部102cで構成される。なお、実施形態2と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0104】
本実施形態の監視項目記憶部101aは、サービス監視に用いる監視ルールとして図19のサービス監視ルールを記憶し、サブシステム監視に用いる監視ルールとして図20のサブシステム監視ルールを記憶している。
【0105】
図19は、サービス監視ルールを規定したテーブルを示し、実施形態2と同様の「監視名」、「サービス名」、「監視操作」、「正常判断条件」、「基本監視周期」、「監視周期」の各項目に加えて、「アクセス集中対応可否」の項目を設けている。
【0106】
図20は、サブシステム監視ルールを規定したテーブルを示し、実施形態2と同様の「監視名」、「監視操作」、「正常判断条件」、「基本監視周期」、「監視周期」の各項目に加えて、「アクセス集中対応可否」の項目を設けている。
【0107】
「アクセス集中対応可否」は、各監視対象に対して、各ウェブサービスへのアクセス集中が予測される場合に、監視対象に追加するか否かを設定している。なお、図19、図20において、「アクセス集中対応可否」の項目に「○」が設定されている監視対象を「アクセス集中監視対象」と称す。
【0108】
監視周期決定部103aは、ウェブクライアント端末5のアクセス頻度、および障害の発生頻度に基づいて、サービス監視ルールの「監視周期」を設定する(図5のフローチャート参照)。さらに、監視周期決定部103aは、障害の発生頻度に基づいて、サブシステム監視ルールの「監視周期」を設定する。
【0109】
そして、実行キュー記憶部101bは、監視ルール記憶部101に記憶しているサービス監視ルールおよびサブシステム監視ルールに基づいて、実行すべき監視対象を時系列に沿って格納した監視対象実行キューを記憶している(図13参照)。
【0110】
そして、本実施形態のウェブサービス監視システムでは、監視周期決定部103aによって監視周期が設定されて実行予定時刻が決まった監視対象が、実行キュー記憶部101bに時系列に沿って登録される(監視対象実行キュー)。そして、実行キュー記憶部101bに登録された監視対象実行キューに対し、スケジュール最適化部103bがアクセス集中判断ルール記憶部102cのアクセス集中判断ルールに基づいて、各ウェブサービスへのアクセス集中を考慮した監視対象の追加/削除を行う。その後、スケジュール最適化部103bは、稼動監視部104に対して、実施予定時刻に到達した監視対象の監視要求を送信する。稼動監視部104は、監視要求に基づいて、実施予定時刻に到達した監視対象に対して、監視対象実行キューに設定された監視を行う。
【0111】
図21は、本実施形態における各ウェブサービスへのアクセス集中を考慮した監視対象の設定処理を示すフローチャートである。
【0112】
まず、監視周期決定部103aによって監視周期が設定されて実行予定時刻が決まった監視対象実行キューが、実行キュー記憶部101bに登録されているものとする。
【0113】
スケジュール最適化部103bは、過去10分間にウェブクライアント端末5がサーバ装置3にアクセスした履歴である各アクセスURLのアクセス履歴情報を、アクセス履歴記憶部6から取得する(S41)。そして、スケジュール最適化部103bは、各アクセスURLのアクセス履歴情報から、ウェブサービス毎の過去10分間のアクセス履歴を導出する。
【0114】
そして、スケジュール最適化部103bは、アクセス集中判断ルール記憶部102cに記憶しているアクセス集中判断ルールを取得する。図22は、アクセス集中度判断ルールを示し、ウェブサービス毎のアクセス頻度(1秒あたりのアクセス回数の平均値で表され、単位はtps)に応じて、アクセス集中度が規定されている。アクセス頻度:10tps以上であれば、高頻度アクセスに分類し、アクセス頻度:1tps以上、10tps未満であれば、通常アクセスに分類し、アクセス頻度:1tps未満であれば、低頻度アクセスに分類している。
【0115】
スケジュール最適化部103bは、各ウェブサービスの過去10分間のアクセス頻度をアクセス集中判断ルールに適用して、各ウェブサービスの現在のアクセス集中度を判断する(S42)。
【0116】
そして、現在のアクセス集中度が高頻度アクセスであれば、このウェブザービスに対する本処理を終了する。
【0117】
また、現在のアクセス集中度が中頻度アクセスまたは低頻度アクセスであれば、スケジュール最適化部103bは、前日の各アクセスURLのアクセス履歴情報を、アクセス履歴記憶部6から取得する(S43)。そして、スケジュール最適化部103bは、各アクセスURLのアクセス履歴情報から、ウェブサービス毎の前日のアクセス履歴を導出する。
【0118】
次に、スケジュール最適化部103bは、各ウェブサービスの前日におけるアクセス集中度を解析する。図23は、あるウェブサービスに対する前日におけるアクセス集中度を解析したアクセス頻度グラフを示し、時間毎のアクセス頻度に応じて、高頻度アクセス期間T1、中頻度アクセス期間T2、低頻度アクセス期間T3に24時間を分類している。そして、スケジュール最適化部103bは、このアクセス頻度グラフに基づいて、各ウェブサービスの前日における高頻度アクセス期間T1の時間帯を抽出する(S44)。
【0119】
そして、スケジュール最適化部103bは、現在時刻が、各ウェブサービスの前日における高頻度アクセス期間T1の開始時刻の10分前に達したか否かを判定する(S45)。現在時刻が、各ウェブサービスの前日における高頻度アクセス期間T1の開始時刻の10分前に達した場合、スケジュール最適化部103bは、監視ルール記憶部101のサービス監視ルール、サブシステム監視ルールを参照してアクセス集中監視対象を取得する(S46)。そして、スケジュール最適化部103bは、アクセス集中監視対象を監視対象実行キューに追加する(S47)。
【0120】
例えば、前日において、12時00分からウェブサービス1の高頻度アクセス期間T1が発生したとする。この場合、スケジュール最適化部103bは、ウェブサービス1のサービス監視ルール、サブシステム監視ルールにおいて、「アクセス集中対応可否」の項目に○が設定されているアクセス集中監視対象を、本日の11時50分の監視対象に追加する。すなわち、図24に示す監視対象実行キューが作成され、実行キュー記憶部101bに格納される。図24の監視対象実行キューは、ウェブサービス1へのアクセス集中が発生するであろうと予測される12時00分の10分前(11時50分)に、ウェブサービス1のアクセス集中監視対象が設定されている。
【0121】
また、ステップS45において、現在時刻が、各ウェブサービスの前日における高頻度アクセス期間T1の開始時刻の10分前に達していないとする。この場合、スケジュール最適化部103bは、過去1時間にウェブクライアント端末5がサーバ装置3にアクセスした履歴である各アクセスURLのアクセス履歴情報を、アクセス履歴記憶部6から取得する(S48)。そして、スケジュール最適化部103bは、各アクセスURLのアクセス履歴情報から、ウェブサービス毎の過去1時間のアクセス履歴を導出する。
【0122】
次に、スケジュール最適化部103bは、過去1時間の間に高頻度アクセス期間T1が発生したか否かを判定する(S49)。過去1時間の間に高頻度アクセス期間T1が発生していた場合、スケジュール最適化部103bは、ステップS46,S47の処理を行う。過去1時間の間に高頻度アクセス期間T1が発生していない場合、スケジュール最適化部103bは、このウェブザービスに対する本処理を終了する。
【0123】
そして、スケジュール最適化部103bは、修正後の監視対象実行キュー(図24参照)を参照し、実行予定時刻に達した監視対象の監視要求を稼動監視部104へ出力する。稼動監視部104は、監視要求に基づいて、実施予定時刻に到達した監視対象に対して、監視対象実行キューに設定された監視を行う。
【0124】
なお、本実施形態では、各ウェブページ(アクセスURL)のアクセス頻度に基づいてウェブサービスのアクセス集中を判断しているが、各ウェブページにおけるデータ送信サイズ、登録会員数等に基づいて、アクセス集中を判断する構成であってもよい。
【0125】
このように、利用者からのウェブサービスへのアクセスが一定時間帯に集中する場合、過去のアクセス履歴よりアクセスが集中する時間帯を予測し、アクセス集中が発生する前に、アクセス集中監視対象の監視を実行している。したがって、監視処理を省力化しながら、障害が潜在化している可能性を解消することができる。また、アクセスが集中する時間帯から、アクセス頻度が低い時間帯に推移した後、アクセス集中監視対象を実行することで、アクセス集中したことにより発生する可能性が高くなったデータベース32やファイル管理部33の障害を早期に発見することが可能となる。
【符号の説明】
【0126】
1 ウェブサービス監視装置
101 監視ルール記憶部
101a 監視項目記憶部
102 設定ルール記憶部
102a 周期設定ルール記憶部
103 監視ルール設定部
103a 監視周期決定部
104 稼動監視部
106 障害履歴記憶部
3 サーバ装置
5 ウェブクライアント
6 アクセス履歴記億部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブクライアント端末からアクセスURLを用いたアクセスがあった場合に、ウェブサービスを構成する1または複数のウェブページから、このアクセスURLのウェブページを前記ウェブクライアント端末へ提供するサーバ装置を監視するウェブサービス監視システムであって、
前記ウェブサービスの監視ルールを記憶した監視ルール記憶部と、
前記ウェブサービスの前記監視ルールにしたがって、前記サーバ装置の稼動状態を監視する稼動監視部と、
前記ウェブサービスの利用履歴に関する情報であるサービス利用情報を記憶する利用情報記憶部と、
前記監視ルールを前記サービス利用情報に基づいて設定するための設定ルールを記憶した設定ルール記憶部と、
前記設定ルールにしたがって前記監視ルールを設定する監視ルール設定部と
を備えることを特徴とするウェブサービス監視システム。
【請求項2】
前記監視ルールは、前記稼動監視部が前記サーバ装置の稼動状態を監視する監視周期を、前記ウェブサービスのそれぞれに対応して規定しており、
前記稼動監視部は、前記アクセスURLを用いて、このアクセスURLに対応するウェブサービスの前記監視周期で前記サーバ装置にアクセスすることによって、前記サーバ装置の稼動状態を監視し、
前記利用情報記憶部は、前記稼動監視部が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした際に発生した障害の履歴である第1の障害履歴情報を記憶し、
前記設定ルールは、前記第1の障害履歴情報に基づいて導出される前記障害の発生頻度が高い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を短くし、前記障害の発生頻度が低い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を長くすることを規定している
ことを特徴とする請求項1記載のウェブサービス監視システム。
【請求項3】
前記監視ルールは、前記稼動監視部が前記サーバ装置の稼動状態を監視する監視周期を、前記ウェブサービスのそれぞれに対応して規定しており、
前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報を記憶し、
前記設定ルールは、前記アクセス履歴情報に基づいて導出される前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が高い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を短くし、前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が低い前記ウェブサービスに対応する前記監視周期を長くすることを規定している
ことを特徴とする請求項1または2記載のウェブサービス監視システム。
【請求項4】
前記監視ルールは、前記稼動監視部による監視対象を規定しており、
前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした際に発生した障害の履歴である第2の障害履歴情報を記憶し、
前記設定ルールは、前記第2の障害履歴情報に基づいて導出される前記障害の発生頻度が高い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を増やし、前記障害の発生頻度が低い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を減らすことを規定している
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のウェブサービス監視システム。
【請求項5】
前記監視ルールは、前記稼動監視部による監視対象を規定しており、
前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報を記憶し、
前記設定ルールは、前記アクセス履歴情報に基づいて導出される前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が高い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を増やし、前記ウェブクライアント端末からのアクセス頻度が低い前記アクセスURLに対応する前記監視対象を減らすことを規定している
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のウェブサービス監視システム。
【請求項6】
前記設定ルールは、ウェブサービスのユーザ登録を行う登録用ウェブページを提供するための前記アクセスURLへの前記アクセス頻度が高い場合、前記登録用ウェブページを格納したデータベースを前記監視対象に設定することを規定していることを特徴とする請求項5記載のウェブサービス監視システム。
【請求項7】
前記設定ルールは、画像をアップロードするウェブページを提供するための前記アクセスURLへの前記アクセス頻度が高い場合、アップロードされた前記画像を格納するメモリ容量を前記監視対象に設定することを規定していることを特徴とする請求項5または6記載のウェブサービス監視システム。
【請求項8】
前記監視ルールは、前記稼動監視部による監視対象を規定しており、
前記利用情報記憶部は、前記ウェブクライアント端末が前記アクセスURLを用いて前記サーバ装置にアクセスした履歴であるアクセス履歴情報を記憶し、
前記監視ルール設定部は、前記アクセス履歴情報に基づいて、将来における前記ウェブクライアント端末のアクセス頻度の変動を前記ウェブサービス毎に予測し、
前記設定ルールは、前記アクセス頻度の予測値が閾値を上回る前記ウェブサービスに対応する前記監視対象を、このアクセス頻度の予測値が閾値を上回る時刻以前に前記稼動監視部の監視対象に追加することを規定している
ことを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載のウェブサービス監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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