説明

ウェブシステムに対する負荷テストの管理方法及び管理装置

【課題】テスト協力者が予め各テストの実行期間を認識した上で、テスト参加を決定することができるウェブシステムに対する負荷テストの管理方法を、提供する。
【解決手段】テスト管理サーバ3は、各ユーザ端末1に対して、テスト実行期間を提示した負荷テストの告知情報を送信する。ユーザ端末1は、ツールバープログラム18に従って、当該告知情報をディスプレイ16上に表示する。表示されている負荷テストをユーザが選択して参加申し込みをすると、テスト管理サーバ3は、参加申込をユーザのIDをテスト登録者管理データベース38に登録する。テスト管理サーバ3は、各負荷テストのテスト実行期間に至ると、テスト負荷登録データベース37に登録されているURLを記述したテストスケジュールファイルを、登録されているユーザが操作するユーザ端末1へ送信する。ユーザ端末1は、テストスケジュールが指定したURLへメッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを通じて受信したユーザ端末からのリクエストメッセージに応じて処理を実行するウェブシステムに対して行う負荷テストを、管理するための管理方法及び管理装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークは、何らかのサービスを提供する多数のサーバとサービスを要求する多数のユーザ端末とを蜘蛛の巣状に接続するネットワークシステムである。そして、サービス提供を行うサーバは、各ユーザ端末からのリクエストメッセージを受信することにより、当該リクエストメッセージに従った処理を実行して、その処理結果をリクエスト元端末へ応答する。かかるサーバによる処理は、ユーザ端末からのリクエストメッセージ毎に実行されるが、同時に実行可能な処理の個数はサーバの処理能力に依存する。その為、多数のユーザ端末からのリクエストメッセージが一度に集中した場合には、サーバに対する処理負荷がサーバの処理能力を超えてしまい、サーバの処理速度が極端に低下したり、サーバがシステムダウンを起こしてしまう等の障害が生じ得る。また、多数のリクエストメッセージが一つの通信経路に集中して、その通信容量を超えてしまうと、通信経路が輻輳を起こしてしまう等の障害が生じ得る。そこで、ネットワーク上で新規のサービスを開始する際には、サービス開始に先立って、当該サービスを提供するサーバに対して、ネットワークを通じて多数(サービスの仕様において想定された最大アクセス数を十分上回る数)のダミーのリクエストメッセージを実際に送信することにより、障害の発生の有無をテストする必要がある。
【0003】
従来、かかるテスト(以下、「負荷テスト」という)は、負荷テストサービスを提供するサーバ(以下、「負荷テストサーバ」という)によって内部的ないし論理的に生成された多数の仮想クライアントが多数のリクエストメッセージを同時にテスト対象のサーバ(以下、「テスト対象サーバ」という)へ送信するものとして実行されていたが、負荷テストへの協力者を公募し、多数の協力者が夫々所有する端末から実際にリクエストメッセージをテスト対象サーバに対して自動送信させる提案も存在していた(特許文献1)。
【0004】
上記特許文献記載の方式によると、テスト対象サーバのアドレス及びテスト実行期間の指定情報は、協力者が任意に覗くことができない様に暗号化されたファイル(接続先情報ファイル)に書き込まれた状態で、協力者の端末に提供される。そして、当該接続先情報ファイルには、多数の負荷テストにつき、夫々のアドレス及びテスト実行期間の指定情報が、書き込まれている。そして、端末にインストールされた自動接続プログラムが、接続先情報ファイルを読み込んで、当該ファイルに列挙されたアドレスに対して、各アドレスに対応付けられた実行期間中に、リクエストメッセージを自動的に送信するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−132532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、協力者としては、如何なる数のテストが如何なるタイミングで実行されるのかの予定を知ることができないので、自己の端末使用の都合に鑑みて、負荷テストへの参加を躊躇してしまうこともあり得る。
【0007】
そこで、本発明の課題は、協力者が予め各テストの実行期間を認識した上で、テスト参加を決定することができるウェブシステムに対する負荷テストの管理方法及び管理装置を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、サーバ(テスト管理装置)が、各負荷テストにつきその識別情報,上記リクエストメッセージの宛先情報及びテスト実行期間が相互に対応付けて登録された第1データベースを参照し、テスト実行期間を提示した各負荷テストの告知情報を端末へ送信する。すると、負荷テストの告知情報を受信した端末は、告知情報に含まれる各負荷テストのテスト実行期間を操作者に提示し、操作者が、入力装置を用いて各負荷テストのうち何れかを特定すると、特定した負荷テストの識別情報を含む参加申込情報をサーバ(テスト管理装置)へ送信する。すると、参加申込情報を受信したサーバ(テスト管理装置)は、第1データベースを参照し、参加申込情報に含まれる負荷テストの識別情報に対応した宛先情報及びテスト実行期間を指定したスケジュール情報を、参加申込情報を送信した端末へ送信する。すると、スケジュール情報を受信した端末は、スケジュール情報により指定されたテスト実行期間に、同スケジュール情報により指定された宛先情報を含むリクエストメッセージを送信する。
【0009】
以上のように構成されることから、端末の操作者に対しては、負荷テストの告知情報を受信した端末によって、負荷テストの実行期間が提示される。従って、端末の操作者は、提示されたテスト実行期間を目安に、各負荷テストに対して参加申込をするかどうかを決定することができる。その結果、操作者が参加申込をすることを決定した負荷テストを入力装置を用いて特定すると、特定した負荷テストの識別情報を含む参加申込情報がサーバ(テスト管理装置)へ送信されるので、サーバ(テスト管理装置)は、参加申込情報を送信してきた端末に対してのみ、参加申込情報に識別情報が含まれた負荷テストについてのスケジュール情報を送信する。その結果、操作者が参加を望まない負荷テストに関して、端末がリクエストメッセージを送信することが防止される。
【発明の効果】
【0010】
従って、本発明によれば、操作者は、予め各テストの実行期間を認識した上で、テスト参加を決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるウェブシステムに対する負荷テストの管理方法が実施されたネットワークの概略構成を示すブロック図
【図2】ユーザデータベースのデータ構造を示す表
【図3】テスト負荷登録データベースのデータ構造を示す表
【図4】テスト登録者管理データベースのデータ構造を示す表
【図5】テスト登録時における負荷管理システムの処理内容を示すフローチャート
【図6】負荷テストツールバープログラムによる処理内容を示すフローチャート
【図7】負荷テストツールバープログラムによる処理内容を示すフローチャート
【図8】ユーザ端末からのアクセス時における負荷管理システムの処理内容を示すフローチャート
【図9】ユーザ端末からのアクセス時における負荷管理システムの処理内容を示すフローチャート
【図10】周期的に実行される負荷管理システムの処理内容を示すフローチャート
【図11】テスト対象装置の処理内容を示すフローチャート
【図12】負荷テストツールバーの画面イメージを示す図
【図13】アップデート許可画面を示す図
【図14】負荷テストエントリ画面を示す図
【図15】テストスケジュールファイルのデータ構造を示す表
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明によるウェブシステムに対する負荷テストの管理方法及び管理装置の実施の形態を、説明する。
<システム構成>
図1は、かかる負荷テストの管理方法に関与する装置群のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、当該負荷テストの管理方法に関与する装置には、複数台(図1では、簡略化のために一台のみ表示)のユーザ端末1,複数台のテスト対象装置2(図1では、簡略化のために一台のみ表示),及び、一台のテスト管理サーバ3が、含まれる。これらユーザ端末1,テスト対象装置2及びテスト管理サーバ3は、インターネットNを通じて相互に接続されており、相互に通信可能とされている。
【0014】
ユーザ端末1は、個々のユーザに所有ないし占有されている、インターネット接続機能を備えた一般的なパーソナルコンピュータである。従って、ユーザ端末1は、バスBを通じて相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)10,ハードディスク11,
リムーバブルディスク13,通信装置14,RAM(Random Access Memory)15,ディスプレイ16及び入力装置17を備えている。
【0015】
これらのうち、CPU10は、このユーザ端末1全体の制御を行う中央処理装置である。
【0016】
また、RAM15は、CPU10が各種処理を実行するに際しての作業領域が展開される主記憶装置である。
【0017】
また、通信装置14は、インターネットNとのインタフェースであり、インターネットNに繋がる通信媒体の種類に依り、モデム,ネットワークカード及びルータ,等が用いられる。
【0018】
また、リムーバブルディスク13は、フレキシブルディスク等の磁気ディスク及びフレキシブルディスクドライブ,DVDディスク,CD−ROM等の光学ディスク及び光学ディスクドライブ,若しくは、メモリカード及びカードスロットである。
【0019】
また、ハードディスク11は、CPU10によって読み出されて実行される各種プログラム及び各種データを格納している記憶装置である。ハードディスク11に格納され且つCPU10によってRAM15上に読み出されて実行される各種プログラムには、一般に流通しているブラウザプログラム19の他、ユーザ端末1が負荷テストを実行するための負荷テストツールバープログラム18が、含まれている。負荷テストツールバープログラム18は、ブラウザプログラム19の機能に従って通信装置14及びインターネットNを通じてテスト管理サーバ2からダウンロードされ、若しくは、リムーバブルディスク13に格納された形態で配布されて、ハードディスク11におけるスタートアップフォルダにインストールされる。従って、ユーザ端末1に主電源が投入されると、ツールバープログラム19が自動的に起動されて、図12に示すようなツールバーをディスプレイ16上の片隅に表示するとともに、ユーザ端末1がシャットオフされるまで実行され続ける。なお、負荷テストツールバープログラム18は、テスト管理者により随時アップデートされ、最新のアップデートを反映したアップデート用モジュール33は、インターネットNを通じてテスト管理サーバ1からダウンロード可能となっている。そして、ダウンロードされたアップデート用モジュール33により、ユーザ端末1のハードディスク11にインスト
ールされた負荷テストツールバープログラム18が更新されることにより、ユーザ端末1上においても、負荷テストツールバープログラム18のアップデートが完遂されるのである。
【0020】
また、ディスプレイ16は、CPU10による処理結果である画面を表示する。
【0021】
また、入力装置17は、操作者によって操作されることにより、CPU10に対して各種コマンドを入力する装置であり、具体的には、キーボードや、マウス,タッチパネル等のポインティングデバイスである。
【0022】
以上により、ユーザ端末1は、宛先情報及びテスト実行期間を指定したスケジュール情報を受信すると当該スケジュール情報により指定されたテスト実行期間に当該スケジュール情報により指定された宛先情報を含むリクエストメッセージを送信する端末に、相当する。
【0023】
テスト対象装置2は、ウェブサービスの提供者によって運用されるウェブサーバ装置であり、運用後においては、何れかの端末1から送信されてきたHTTPリクエストメッセージに応じて、当該HTTPリクエストメッセージの内容に応じた各種処理を実行して、その実行結果をメッセージ送信元端末1に応答する。従って、テスト対象装置2は、互いにバスBによって接続されたCPU20,通信装置24,RAM25及びハードディスク21を、ハードウェア構成として有している。
【0024】
これらのうち、CPU20は、当該テスト対象装置2全体の制御を行う中央処理装置(コンピュータ)である。また、RAM25は、CPU20が各種処理を実行するに際しての作業領域が展開される主記憶装置である。また、通信装置24は、インターネットNとのインタフェースである。
【0025】
ハードディスク21は、CPU20によって読み出されて実行される各種プログラム及び各種データを格納している記憶装置である。
【0026】
このハードディスク21が格納してCPU20によってRAM25上に読み出される各種プログラムには、上述した各種処理を実行するためのプログラム(WWWサーバプログラム,及び、幾つかのCGIプログラムないしサーブレット及びバーチャルマシン等のアプリケーションプログラム)が、含まれている。これらプログラムのうち、負荷テスト対象のサービスを提供するためのプログラムがテスト対象システムプログラム22であり、当該テスト対象システムプログラム22を実行しているテスト対象装置2が「テスト対象システム(2,22)」である。さらに、ハードディスク21に格納されている各種プログラムには、負荷テストの実行結果を記録するための負荷受付システムプログラム23が含まれている。当該負荷受付システムプログラム23を実行しているテスト対象装置2が「負荷受付システム(2,23)」である。
【0027】
テスト管理サーバ3は、テスト対象装置2の運用者に対して負荷テストの代行サービスを提供する業者(以下、「テスト管理者」という)によって運用される負荷テスト管理装置としてのウェブサーバ装置である。従って、テスト管理サーバ3は、互いにバスBによって接続されたCPU30,通信装置34,RAM35及びハードディスク31を、ハードウェア構成として有している。
【0028】
これらのうち、CPU30は、当該テスト管理サーバ3全体の制御を行う中央処理装置(コンピュータ)である。また、RAM35は、CPU50が各種処理を実行するに際しての作業領域が展開される主記憶装置である。また、通信装置34は、インターネットN
とのインタフェースである。
【0029】
ハードディスク31は、CPU30によって読み出されて実行される各種プログラム及び各種データを格納している記憶装置である。
【0030】
ハードディスク31が格納してCPU30によってRAM32上に読み出されて実行される各種プログラムには、上述した負荷テストの代行サービスを実行するためのプログラム(wwwサーバプログラム、及び、幾つかのCGIプログラムないしサーブレット及びバーチャルマシン等のアプリケーションプログラムからなる負荷管理システムプログラム36)が、含まれている。当該負荷管理システムプログラム36を実行しているテスト管理サーバ3が、「負荷管理システム(3,36)」である。また、ハードディスク31が可能している各種データには、テスト負荷登録データベース37,テスト登録者管理データベース38,及び、ユーザデータベース39が、含まれている。
【0031】
図2に示すように、ユーザデータベース39は、当該テスト管理サーバ3の運用者との間で負荷テストの協力者として登録された各ユーザ毎にその個人情報を登録するレコードを有しており、各レコードは、夫々、一意のユーザID,本名を示す氏名,現在のセッションにおいて用いられたクッキー,IPアドレス(固定アドレス又はレンタルアドレス),及び、インセンティブの給付先に関する情報(例えば、クレジットカード番号,景品交換用若しくは商品割引用のポイント,等)を夫々格納する各フィールドから、構成されている。なお、或るユーザに付与されたクッキー又はIPアドレスが更新されると、当該ユーザに対応したレコードにおけるクッキー及びIPアドレスが、夫々、最新のものに上書きされて更新される。
【0032】
図3に示すように、テスト負荷登録データベース37は、テスト対象装置2の運用者によりテスト管理者に対して管理依頼された負荷テスト毎にその詳細情報を登録するレコードを有しており、各レコードは、夫々、負荷テストを一意に識別するための識別情報である「テストID」,負荷テストにおいてテスト対象システム(2,22)に対して掛けるべき「負荷(単位:qps[秒当りのクエリー数])」,当該負荷テストのためにユーザ端末1がリクエストメッセージを送信すべきテスト対象システム(2,22)の宛先情報である「URL」,負荷テストが実行される「テスト実行期間」,テスト協力者に対して当該テストへの参加を募集する「受付期間」,及び,当該負荷テストの実行に必要なユーザ(登録者)数の範囲を示す「登録者数レンジ」を夫々格納する各フィールドから、構成されている。従って、当該テスト負荷登録データベース37が、各負荷テストにつきその識別情報,リクエストメッセージの宛先情報及びテスト実行期間が相互に対応付けて登録された第1データベースに、相当する。
【0033】
なお、テスト対象装置2の運用者のテスト管理者に対する負荷テストの請負契約の申込みは、オンライン又はオフラインでなされる。このようにして負荷テストの請負契約の申込みを行ったテスト対象装置2の運用者を、「テスト依頼者」という。この申込みに際して、テスト依頼者は、上述した情報のうちURL,負荷の値,及びテスト実行期間を特定して、テスト代行者に対して通知する。他方、テストID,受付期間及び登録者数レンジについては、負荷管理システム(3,36)が自働生成する。
【0034】
図4に示すように、テスト登録者管理データベース38は、テスト管理システム(3,36)が実行する負荷テスト,及び、各テストに参加することが正式に若しくは補欠として認められた各ユーザ(テスト登録者)の組合せに対応したレコードを有しており、各レコードは、夫々、負荷テストの識別情報である「テストID」,「負荷」,及び「テスト実行期間」,テスト登録者の個人識別情報である「ユーザID」,並びに、正式に登録を認められたか補欠であるかの「種別」を夫々格納する各フィールドから、構成されている
。従って、当該テスト登録者管理データベース38が、参加申込情報を送信した端末に対応した個人識別情報及び同参加申込情報に含まれる負荷テストの識別情報が相互に対応付けて登録された第2データベースに、相当する。
【0035】
さらに、テスト管理者が負荷テストツールバープログラム18のアップデートを行った場合には、当該アップデートをユーザ端末1上の負荷テストツールバープログラム18に反映させるためのアップデート用モジュール33が、テスト管理者によって、ハードディスク31に格納され、ユーザ端末1によるダウンロード要求に備えられる。
<処理フロー>
以下、負荷テストの実行に関して各装置1,2,3が夫々プログラム(負荷テストツールバープログラム18,テスト対象システムプログラム22,負荷受付システムプログラム23,負荷管理システムプログラム36)に従って実行する処理を、図5乃至図10のフローチャートに従って説明する。
[負荷テスト登録時の処理]
図5は、テスト依頼者とテスト管理者との間で個々の負荷テストの代行についての契約(請負契約)が締結された後に負荷管理システム(3,36)が実行する当該負荷テストのテスト負荷登録データベース37への登録処理を示すフローチャートである。
【0036】
この処理を開始して最初のS001では、負荷管理システム(3,36)は、テスト依頼者から指定された(入力された,若しくは、受信した)登録対象負荷テストにおけるURL及び負荷の値に基づき、必要な登録者数のレンジを決定する。具体的には、負荷管理システム(3,36)は、上記URLに基づいて、負荷テストにおいて実行される処理タイプを(ア)閲覧系,(イ)検索系,(ウ)登録系の何れかに分類する。そして、負荷管理システム(3,36)は、分類された処理タイプ毎に登録者一人当たりの負荷の下限値及び上限値を決定する。即ち、処理タイプが閲覧系であれば下限値を1qps,上限値を5qpsと決定し、処理タイプが検索系であれば下限値を1qps,上限値を3qpsと決定し、処理タイプが登録系であれば下限値を1qps,上限値を2qpsと決定する。このように処理タイプに依り登録者一人当たりの負荷の範囲を相違させるのは、通信負荷(qps)が同じであっても、処理タイプの相違に依って処理負荷に相違があることに拠る。その上で、負荷管理システム(3,36)は、テスト依頼者から指定された負荷の値を上記登録者一人当たりの負荷の下限値及び上限値により夫々除することにより、必要な登録者数の上限値及び下限値を決定するのである。例えば、指定された負荷の値が50qpsであり、指定されたURLが検索系であった場合、必要な登録者数の下限値は17人であり上限値は50人となるので、必要な登録者数レンジは、17〜50人と決定される。
【0037】
次のS002では、負荷管理システム(3,36)は、登録対象負荷テストの受付期間を決定する。具体的には、テスト依頼者から受け取った(入力された,若しくは、受信した)テスト実行期間に先立つ所定期間を、受付期間として決定する。
【0038】
次のS003では、負荷管理システム(3,36)は、登録対象負荷テストのテストIDを生成した上で、テスト依頼者から受け取った(入力された,若しくは、受信した)登録対象負荷テストにおける負荷の値,URL,テスト実行期間,並びに、S001にて決定した登録者数レンジ,S002にて決定した受け付け期間を格納した新規レコードを、テスト負荷登録データベース37に追加する。S003を完了すると、負荷管理システム(3,36)は、当該負荷テスト登録時の処理を、全て終了する。
[負荷テストへのユーザの参加登録時の処理]
次に、図6及び図7に示す負荷テストツールバープログラム18に基づくユーザ端末1の処理フローチャートの一部,並びに、図8及び図9に示す負荷管理システム(3,36)の処理フローチャートに基づいて、負荷テストへの協力者(参加者)を公募し、応募し
てきたユーザを登録者としてテスト登録者管理データベース38に登録するための処理を、説明する。
【0039】
図6及び図7に示すように、ツールバープログラム19を実行しているユーザ端末1(CPU10)は、S101〜S105のループ処理を繰り返し実行する。即ち、ユーザ端末1は、S101においてテスト管理サーバ(負荷管理システム)3にアクセスして、新規の情報を要求するHTTPリクエストメッセージ(情報要求メッセージ)を送信する。そして、ユーザ端末1は、S102において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3からアップデート案内情報を受信したか否かをチェックし、受信していなければ、S103において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3から負荷テストの告知情報を受信したか否かをチェックし、受信していなければ、S104において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3から最終確認情報を受信したか否かをチェックし、受信していなければ、S105において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3から起動確認要求を受信したか否かをチェックする。
【0040】
他方、ユーザ端末1からアクセスされて新規情報要求のHTTPリクエストメッセージを受信する毎に、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、図8及び図9の処理を実行する。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、スタート後最初のS201において、ハードディスク31にアップデートモジュール33が存在しているかどうかをチェックする。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、ハードディスク31にアップデートモジュール33が存在していなければ、処理を直ちにS205へ進める。これに対して、アップデートモジュール33が存在している場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S202において、アップデート案内情報を格納したレスポンスメッセージを、アクセス元ユーザ端末1へ応答する。その後、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S203において、アクセス元ユーザ端末1が、所定時間内にアップデート要求のHTTPリクエストメッセージ(S107)を送信して来るのを、待つ。
【0041】
図6のS102において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3からアップデート案内情報(S202)を受信したと判断した場合には、ユーザ端末1は、処理をS106へ進める。S106では、ユーザ端末1は、ディスプレイ16上に図13に示すアップデート許可画面を表示して、入力装置17を用いたユーザによる入力内容をチェックする。即ち、当該アップデート許可画面には、アップデートの許可に対応した「YES」ボタン41と「NO」ボタン42とが含まれている。ユーザ端末1は、「YES」ボタン41が入力装置17(ポインティングデバイス)によりクリックされた場合には、アップデートが許可されたと認識して、処理をS107へ進め、「NO」ボタン42がクリックされた場合には、アップデートが拒絶されたと判断して、処理をS108へ進める。S107では、ユーザ端末1は、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3に対してアップデート要求のHTTPリクエストメッセージを送信する。
【0042】
図8のS203において、アクセス元ユーザ端末1からのアップデート要求のHTTPリクエストメッセージ(S107)を受信したと判断した場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S204において、ハードディスク31内のアップデート用モジュール33を格納したレスポンスメッセージを、アクセス元ユーザ端末1へ応答する。S204の完了後、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS205へ進める。
【0043】
これに対して、アップデートが拒絶された場合には、ユーザ端末1は、図6のS108において、S101の場合と同様にサーバにアクセスし、S109において、S102の場合と同様にアップデート案内情報(S202)を受信したか否かを、チェックする。そ
して、ユーザ端末は、新たなアップデート案内情報を受信しない限り、処理をS108に戻す。これは、最新のツールバー18を用いたテスト参加のみを許容する趣旨である。そして、新たなアップデート案内情報を受信すると(S109:Yes)、ユーザ端末1は、処理をS106に戻し、新たなアップデートを許可するか否かのチェックを行う。
【0044】
上述のようにしてアップデートが拒絶された場合には、ユーザ端末1からテスト管理サーバ(負荷管理システム)3へアップデート要求(S107)は送信されない。従って、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S203において、アップデート要求のHTTPリクエストメッセージが所定時間受信されないことをもって、処理をタイムアウト終了させる。
【0045】
図8のS205では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト負荷登録データベース7を参照して、受付期間に入った負荷テストが存在するか否かをチェックする。そして、未だ受付期間に入った負荷テストが存在しなければ、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS215へ進める。これに対して、受付期間に入った負荷テストが一つ以上存在する場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S206において、現在受付期間に入っている全負荷テストについて、負荷テスト告知情報を生成し、アクセス元ユーザ端末1へ送信する。即ち、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト負荷登録データベース37を参照し、現在時刻が受付期間に含まれている全レコードを読み出し、読み出した全レコード中の「テストID」フィールド,「テスト実行期間」フィールド,及び「受付期間」フィールドの値を格納したレスポンスメッセージを、テスト実行期間に先立って、アクセス元ユーザ端末1へ応答する。S206を完了すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S207において、ユーザ端末1から参加申込みのHTTPリクエストメッセージ(S111)が送信されて来るのを待つ。
【0046】
図6のS103において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3から負荷テスト告知情報(S206)を受信したと判断した場合には、ユーザ端末1は、処理をS110へ進める。S110では、ユーザ端末1は、受信した負荷テスト告知情報に基づいて、ディスプレイ16上に、図14に示す負荷テストエントリ画面を表示する。この負荷テストエントリ画面には、各負荷テストに行を対応させ、「テスト」フィールドの値,「受付期間」フィールドの値,「テスト実行期間」フィールドの値,エントリ用のチェックボックス,及び「種別」(但し、当該処理の実行時点では空欄)に各列を夫々対応させた表43と「OK」ボタン44とが、含まれている。即ち、ユーザ端末1は、告知情報に含まれる各負荷テストのテスト実行期間をユーザに提示する。そして、ユーザ端末1は、ユーザが入力装置17(ポインティングデバイス)を用いて何れかの負荷テストに対応したチェックボックスにチェックを付した状態で「OK」ボタン44をクリックすると、ユーザが何れかの負荷テストに参加する意思であるとして、処理をS111へ進める。これに対して、何れのチェックボックスにもチェックが付されていない状態で「OK」ボタン44がクリックされた場合,若しく、何ら入力がないまま一定時間が経過した場合には、ユーザ端末1は、ユーザが何れの負荷テストにも参加する意思がないとして、処理をS104へ進める。
【0047】
S111では、ユーザ端末1は、チェックが付された全チェックボックスに対応した各負荷テストのテストIDを格納した参加申込メッセージを、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3へ送信する。即ち、ユーザ端末1は、ユーザが入力装置17を用いて特定した負荷テストの識別情報を含む参加申込情報をテスト管理サーバ(負荷管理システム)3へ送信する。その後、ユーザ端末1は、S112において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3からの応答メッセージ(S214)を待つ。
【0048】
図8のS207において、一定時間以上ユーザ端末1からの参加申込メッセージ(S111)が受信されない場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、タイムアウトにより、処理をS215へ進める。これに対して、一定時間内にユーザ端末1からの参加申込メッセージ(S111)を受信すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS207からS208へ進める。
【0049】
S208では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、参加申込メッセージ(S111)に含まれるクッキー又は送信元IPアドレスに基づいてユーザデータベース39を検索して、アクセス元ユーザ端末1を操作しているユーザのユーザIDを読み出す。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S207にて受信した参加申込みメッセージに含まれる各テストID毎に、当該テストID,上記ユーザID,当該テストIDに基づきテスト負荷登録データベース37から読み出したテスト実行期間を含む新規レコード(但し、この処理時点では「種別」フィールド,及び「負荷」フィールドは空欄である)を、テスト登録者管理データベース38に格納する。
【0050】
次のS209では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S208にてテスト登録者管理データベース38に登録した全新規レコード中のテストIDのうちの一つを特定する。
【0051】
次のS210では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S209にて特定したテストIDを含む全レコード数(登録者数)が、当該テストIDについてテスト負荷登録データベース37に登録されている登録者数レンジの上限を超えたか否かをチェックする。そして、未だ前者が後者を超えていない場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S211において、当該テストIDを含む新規レコード中の「種別」フィールドに、“正式”なる値を登録する。これに対して、登録者数が上限を超えた場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S212において、当該テストIDを含む新規レコード中の「種別」フィールドに、“補欠”なる値を登録する。S211又はS212を完了すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S213において、S208にてテスト登録者管理データベース38に登録した全新規レコード中のテストIDについてS210〜S212の処理を終了したかどうかをチェックする。そして、未だ全新規レコード中のテストIDについてS210〜S212の処理を終了していない場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS209へ戻す。これに対して、既に全新規レコード中のテストIDについてS210〜S212の処理を終了した場合には、S214にて、S208にてテスト登録者管理データベース38に登録した全新規レコード中のテストID毎に、S211又はS212にて登録した「種別」フィールドの値を格納した受付応答メッセージを、アクセス元ユーザ端末1へ応答する。S214を完了すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS215へ進める。
【0052】
図6のS112において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3からの受付応答メッセージ(S214)を受信すると、ユーザ端末1は、S113において、S112にて受信した応答メッセージに含まれる各テストIDについての「種別」の値を、負荷エントリ画面(図14)中の表43における「種別」欄に、夫々、表示する。S113を完了すると、ユーザ端末1は、処理をS014へ進める。
【0053】
図9のS215では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、情報要求メッセージ(S111)に含まれるクッキー又は送信元IPアドレスに基づいてユーザデータベース39を検索して、アクセス元ユーザ端末1を操作しているユーザのユーザIDを読み出す。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、読み出したユーザIDに対応した全テストIDを、テスト登録者管理データベース38から読み出す。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト負荷登録データベース37を参照して、読
み出した全テストIDに対応した負荷テストのうちに、受付期間を満了した負荷テストが存在するか否かを、チェックする。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、受付期間を満了した負荷テストが存在しなければ全処理を終了するが、受付期間を満了した負荷テストが一つ以上存在する場合には処理をS216へ進める。
【0054】
S216では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S215にて受付期間を満了したと判定した負荷テストに対応した全テストIDのうちの一つを特定する。
【0055】
次のS217では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト登録者管理データベース38を参照して、S216にて特定されたテストIDを含む全レコード数(登録者数)が当該テストIDについてテスト負荷登録データベース37に登録されている登録者数レンジの下限を満たしているか否かを、チェックする。そして、前者が後者を満たしていれば、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S218において、ツールバーの起動時間の最終確認情報,即ち、S216にて特定されたテストIDについてテスト負荷登録データベース37に登録されているテスト実行期間を指定した最終確認情報を、アクセス元ユーザ端末1へ送信する。これに対して、前者が後者を満たしていない場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S219において、負荷テスト中止を通告する最終確認情報を、アクセス元ユーザ端末1へ送信する。S218又はS219を完了すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS220へ進める。
【0056】
S220では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S215にて受付期間を満了したと判定した負荷テストに対応した全テストIDについてS216乃至S219の処理を完了したか否かを、チェックする。そして、未だ全テストIDについてS216乃至S219の処理を完了していなければ、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS216に戻す。これに対して、全テストIDについてS216乃至S219の処理を完了した場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、全処理を終了する。
【0057】
図6のS104において、何れかの最終確認情報(S218,S219)を受信すると、ユーザ端末1は、S114において、受信した最終確認情報の内容(負荷テスト中止の旨及びツールバーの起動時間)を、ツールバー上に表示する。S114を完了すると、ユーザ端末1は、処理をS105へ進める。
[負荷テスト実行時の処理]
次に、図7に示す負荷テストツールバープログラム18に基づくユーザ端末1の処理フローチャートの残部,図10に示す負荷管理システム(3,36)の処理フローチャート,並びに、図11に示す負荷受付システム(2,23)に基づいて、負荷テストを実行するための処理を、説明する。
【0058】
図10の処理は、例えば1時間毎というように、周期的に割込みスタートする。そして、スタート後最初のS301において、テスト負荷登録データベース37を参照して、現在実行期間に入っている負荷テストが存在するか否かをチェックする。そして、未だ実行期間に入ったテストがなければ、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、全処理を終了する。これに対して、実行期間に入ったテストが存在する場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S302において、所定の一定期間(例えば10秒)内に情報要求メッセージ(S101)を送信してきた各ユーザ端末1について、情報要求メッセージに含まれるクッキー又は送信元IPアドレスに基づいてユーザデータベース39を検索して、操作しているユーザのユーザIDを読み出す。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト登録者管理データベース38を参照し、読み出したユーザIDを含むとともに、「種別」の値が“正式”であり、且つ現在テスト実行期間に入っているレコードが存在していれば、アクセス元ユーザ端末1へ起動確認要求メッセージを送
信する。
【0059】
図7のS105において起動確認要求メッセージ(S302)を受信したと判断した場合には、ユーザ端末1は、S115において、応答メッセージを、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3へ送信する。その後、ユーザ端末1は、S116において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3からテストスケジュールファイル(S305)を受信するのを待つ。
【0060】
図10の303において、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S302又はS304の完了後所定の一定時間(例えば1秒)内に受信した応答メッセージの累計数が、S301にて実行期間に入ったと判断した負荷テストについてテスト負荷登録データベース37に登録されている登録者数レンジを満たしているか否かをチェックする。そして、未だ前者が後者を満たしていない場合には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S304において、所定の一定期間(例えば1秒)内に情報要求メッセージ(S101)を送信してきた各ユーザ端末1について、情報要求メッセージに含まれるクッキー又は送信元IPアドレスに基づいてユーザデータベース39を検索して、操作しているユーザのユーザIDを読み出す。そして、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト登録者管理データベース38を参照し、読み出したユーザIDを含むとともに、「種別」の値が“補欠”であり、且つ現在テスト実行期間に入っているレコードが存在していれば、アクセス元ユーザ端末1へ接続確認要求を送信する。S304を完了すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS303へ戻す。
【0061】
以上のS303及びS304の処理を繰り返した結果、受信した応答メッセージの累計数が必要なレンジを満たしたと判断した場合(S303:Yes)、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S305において、当該負荷テストにつきテスト負荷登録データベース37に登録された負荷の値を満たすことができるように、S303にて応答が受信された全ての登録者に対して極力均等に負荷を分配して、分配された各登録者別の負荷の値をテスト登録者管理データベース38に登録する。
【0062】
具体的には、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、当該負荷テストにつきテスト負荷登録データベース37に登録されている負荷の値を登録者数レンジの最大値にて除することにより、当該負荷テストの処理タイプに応じた一人当たりの負荷の下限を算出し、算出された負荷を、S303にて応答が受信された全ての登録者に割り当てる。次に、当該割当の結果としてテスト負荷登録データベース37に登録された負荷の値に余剰を生じた場合には、所定の順番(例えば、S303にて応答が受信された順番)に従って、各登録者に対して、余剰の負荷から所定単位づつ負荷の値を割り当てる。当該余剰負荷の割当は、剰余の負荷が無くなるまで行われる。
【0063】
例えば、テスト負荷登録データベース37に登録された負荷の値が“50qps”であり、登録者数レンジが“17〜50人”である場合、当該負荷テストの処理種別に応じた一人当たりの負荷の下限は“1qps”となる。従って、剰余の負荷の割当単位を“1qps”とした場合、S303にて応答が受信された登録者数が“50人”であれば剰余負荷を生じないが、当該登録者数が“40人”なら“10qps”の剰余負荷を生じるので、1〜10番目登録者に計“2qps”が割り当てられ、他の30名の登録者には“1qps”のみが割り当てられる。また、登録者数が“25人”なら“25qps”の剰余負荷を生じるので、全員に計“2qps”が割当てられる。また、当該登録者数が“20人”なら“30qps”の剰余負荷を生じるので、その全員に“1qps”づつ剰余負荷を割り当てても未だ“10qps”余り、よって、1〜10番目登録者に対しては2周目の剰余負荷の割当がなされ、結局、1〜10番目登録者に計“3qps”が割り当てられ、他の10名の登録者には“2qps”が割り当てられる。
【0064】
以上の負荷の割当及び登録を行った上で、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、各登録者が操作するユーザ端末1から受信した応答メッセージ(S115)に対するレスポンスとして、各登録者に割り当てられた負荷の値,テスト実行期間,テスト対象システム(2,22)のURL,並びにテストID及び当該登録者のユーザIDが記述されたテストスケジュールファイル(図15参照)を生成し、これを暗号化して、各登録者が操作するユーザ端末1に個別に送信する。即ち、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、第1データベースを参照し、参加申込情報に含まれる負荷テストの識別情報に対応した宛先情報及びテスト実行期間を指定したスケジュール情報を、ユーザ端末1へ送信する。
【0065】
S305を完了すると、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、全処理を完了する。
【0066】
図7のS116においてテストスケジュールファイル(S305)を受信したユーザ端末1は、S117において、S116にて受信したテストスケジュールファイルを復号化する。なお、テストスケジュールファイルは、最新版のツールバープログラムによってのみ復号化できるように暗号化されているので、これを受信したユーザ端末1の操作者は、テスト対象システム(2,22)のURLを盗み見ることができない。よって、公開前のテスト対象システム(2,22)のURLの秘匿性が維持される。
【0067】
次のS118では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テストスケジュールファイル中で指定された負荷(qps)に応じた頻度にて、同ファイル中で指定されたURLに対してHTTPリクエストメッセージを送信し続ける。次のS119では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、S116にて受信したテストスケジュールファイル中で指定されたテスト実行期間が満了したか否かをチェックする。そして、未だテスト実行期間が満了していなければ、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS118へ戻す。これに対して、テスト実行期間が満了した場合,若しくは、入力装置17を用いたユーザによる操作により負荷テストが強制終了された場合、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、処理をS120へ進める。S120では、テスト管理サーバ(負荷管理システム)3は、テスト対象装置2からのインセンティブ通知(S405)を待つ。
【0068】
テスト対象装置2は、テスト対象システム(2,22)として、図11のS401において、ユーザ端末1から負荷テストの為のHTTPリクエストメッセージ(S118)を受信したか否かをチェックし、何らメッセージを受信していないと、処理をそのままS403へ進め、メッセージを受信していると、S402において、当該メッセージによりリクエストされた処理を実行するとともに受信ログを録った後に、処理をS403へ進める。
【0069】
S403では、テスト対象装置2は、負荷受付システム(2,23)として、テスト対象システム(2,22)に対する負荷テストのテスト実行期間が満了したか否かをチェックし、未だテスト実行期間が満了していなければ処理をS401に戻し、テスト実行期間が満了していれば、処理をS404へ進める。
【0070】
S404では、テスト対象装置2は、負荷受付システム(2,23)として、テスト管理サーバ3との間で通信を行い、テスト登録者管理データベース38にアクセスする。そして、テスト対象装置2は、テスト登録者管理データベース38の内容と受信ログとを照合する。
【0071】
次のS405では、テスト対象装置2は、S404での照合の結果として、テスト登録者管理データベース38において予定されていた通りの負荷を送信した登録者に対して、分配された負荷に応じたインセンティブが有る旨の通知を行い、予定されていた通りの負荷を送信しなかった登録者に対して、インセンティブ無しの通知を行う。同時に、テスト対象端末2は、同じ通知をテスト管理サーバ3に対しても行って、インセンティブ有りとした登録者に対するインセンティブの付与を依頼する。S405を完了すると、テスト対象装置2は、全処理を終了する。
【0072】
図7のS120においてテスト対象装置2からインセンティブの通知(S405)を受信すると、ユーザ端末1は、S121において、S120にて受信したインセンティブの通知の内容(有り又は無し,及び、インセンティブが有る場合にはその内容)を、負荷テストツールバー上に表示する。S121を完了すると、ユーザ端末1は、処理をS101に戻す。
【0073】
以上に説明したように、本実施形態によると、負荷テストツールバープログラム18を自己の所有又は占有にかかるユーザ端末1上で実行させているとともにユーザデータベース39に登録されているユーザであっても、自動的に負荷管理システム36に登録されている全負荷テストに参加を強いられるのではなく、各負荷テストのテスト実行期間を予め認識した上で、これを考慮に容れて、各負荷テストへの参加を主体的に決定することができる(S111)。従って、各ユーザは、自己が参加する負荷テストの実行期間を知ることができるので、負荷テストの実行期間中に、確実に、自己のユーザ端末1及び負荷テストツールバープログラム18を起動させておくことができる。これにより、実際のテスト実行期間内に必要な台数のユーザ端末1が負荷テストに参加する蓋然性が高まるので、負荷テストが不成立になる可能性が減少し、負荷テストの結果についても信頼性が高まる。
【0074】
また、本実施形態によると、最新のアップデートがなされた負荷テストツールバープログラム18のみによって負荷テストへの参加が可能になるので(S106〜S109)、負荷テストツールバープログラム18の版数の相違に因る誤動作やテスト対象システム(2,22)のURLの漏洩を、防止することができる。
【0075】
また、本実施形態によると、テスト依頼者によって指定された個々の負荷テストに必要な負荷の総量及び処理種別に応じてテスト登録者数レンジが自動的に決定される(S001)。そして、テスト参加希望者の総数が受付期間中にテスト登録者数レンジに至らなければ、負荷テストの結果に信頼性が置くことができないので、当該負荷テストは中止される(S219)。また、テスト参加に応募したユーザは先着順に正式に参加登録されるが、登録者の総数が受付期間中にテスト登録者数レンジの上限を超えると、各参加者に有意な量の負荷を分配することができなくなってしまう,若しくは、全参加者に有意な量の負荷を割り当てようとすると負荷総量が必要量を上回ってしまうので、正式な登録の受付は締め切られる(S210)。もっとも、正式に登録されたユーザがテスト実行期間中にユーザ端末1に主電源を投入して負荷テストツールバープログラム18を起動するかどうかは、ユーザの良心に任されるので、必ずしも、正式に登録された全ユーザがテスト実行期間中にユーザ端末1に主電源を投入して負荷テストツールバープログラム18を起動するとは限らず、実際に負荷テストに参加する登録者数がテスト登録者数レンジを下回ることもありえる。そのため、本実施形態では、正式な参加登録者の受付を締め切った後に参加申し込みをしたユーザは、補欠として登録され(S212)、正式に登録された全ユーザのうちテスト実行期間中にユーザ端末1に主電源を投入して負荷テストツールバープログラム18を起動した者の数がテスト登録者数レンジを下回った場合には、補欠の登録者が繰り上げられて(S304)、負荷テストに必要な数の参加者が確保されるのである(S303)。
【0076】
このようにして各負荷テストの実行期間においてユーザ端末1に主電源を投入して負荷テストツールバープログラム18を起動したことが確認されたユーザ(正式な登録者及び繰り上げられた補欠の登録者)に対しては、その人数に応じて、負荷が極力均等に分配される(S305)。その結果、様々な通信経路を経てテスト対象装置(テスト対象システム2,22)へ送信されるHTTPリクエストメッセージの量が均等化されるので、特定の通信経路にのみ負荷が集中するという弊害が防止され、よって、実際の負荷の掛かり具合に近似した負荷テストを実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1 ユーザ端末
2 テスト対象装置
3 テスト管理サーバ
10 CPU
11 ハードディスク
14 通信装置
16 ディスプレイ
17 入力装置
18 負荷テストツールバープログラム
20 CPU
21 ハードディスク
22 テスト対象システム
23 負荷受付システム
24 通信装置
30 CPU
31 ハードディスク
34 通信装置
36 負荷管理システム
37 テスト負荷登録データベース
38 テスト登録者管理データベース
39 ユーザデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて端末から受信したリクエストメッセージに応じて所定の処理を実行するウェブシステムに対して端末からリクエストメッセージを自動送信させることにより前記ウェブシステムの動作を試す負荷テストの、管理方法であって、
サーバが、各負荷テストにつきその識別情報,上記リクエストメッセージの宛先情報及びテスト実行期間が相互に対応付けて登録された第1データベースを参照し、テスト実行期間を提示した各負荷テストの告知情報を端末へ送信し、
前記負荷テストの告知情報を受信した端末が、当該告知情報に含まれる各負荷テストのテスト実行期間を操作者に提示し、当該負荷テストのうち当該操作者が入力装置を用いて特定した負荷テストの識別情報を含む参加申込情報を前記サーバへ送信し、
前記参加申込情報を受信した前記サーバが、前記第1データベースを参照し、前記参加申込情報に含まれる負荷テストの識別情報に対応した宛先情報及びテスト実行期間を指定したスケジュール情報を、前記参加申込情報を送信した端末へ送信し、
前記スケジュール情報を受信した端末が、当該スケジュール情報により指定されたテスト実行期間に、当該スケジュール情報により指定された宛先情報を含むリクエストメッセージを送信する
ことを特徴とするウェブシステムに対する負荷テストの管理方法。
【請求項2】
前記テスト管理サーバは、各負荷テストにつき、前記第1データベースに登録されているテスト実行期間に先立って、前記負荷テストの告知情報を端末へ送信する
ことを特徴とする請求項1記載のウェブシステムに対する負荷テストの管理方法。
【請求項3】
前記参加申込情報を受信した前記テスト管理サーバは、当該参加申込情報を送信した端末に対応した個人識別情報,及び当該参加申込情報に含まれる負荷テストの識別情報を、相互に対応付けて第2データベースに登録し、前記第1データベースに登録されている各負荷テストの実行期間に至ると、前記第2データベースを参照し、当該負荷テストの識別情報に対応した個人識別情報に対応した端末へ、前記スケジュール情報を送信する
ことを特徴とする請求項2記載のウェブシステムに対する負荷テストの管理方法。
【請求項4】
ネットワークを通じて端末から受信したリクエストメッセージに応じて所定の処理を実行するウェブシステムに対して端末からリクエストメッセージを自動送信させることにより前記ウェブシステムの動作を試す負荷テストの、管理装置であって、
各負荷テストにつきその識別情報,上記リクエストメッセージの宛先情報及びテスト実行期間が相互に対応付けて登録された第1データベースを記憶した記憶装置と、
ネットワークを通じて、宛先情報及びテスト実行期間を指定したスケジュール情報を受信すると当該スケジュール情報により指定されたテスト実行期間に当該スケジュール情報により指定された宛先情報を含むリクエストメッセージを送信する端末に接続された通信装置と、
前記第1データベースを参照し、テスト実行期間を提示した各負荷テストの告知情報を生成し、生成した負荷テストの告知情報を前記通信装置を通じて前記端末へ送信し、当該告知情報により告知された負荷テストのうち操作者によって特定された負荷テストの識別情報を含む参加申込情報を前記通信装置を通じて前記端末から受信すると、前記第1データベースを参照し、前記参加申込情報に含まれる負荷テストの識別情報に対応した宛先情報及びテスト実行期間を指定したスケジュール情報を前記通信装置を通じて前記端末へ送信する処理装置と
を備えたことを特徴とするウェブシステムに対する負荷テストの管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−48668(P2012−48668A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192785(P2010−192785)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(591117192)ニフティ株式会社 (144)
【Fターム(参考)】