説明

ウエハ型の被処理物を一時保管するための装置および方法

【課題】複数のウエハ型被処理物を一時保管するための装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明は複数のウエハ型被処理物17を一時保管するための装置に関し、この装置は、フレーム1と、少なくとも2つの搬送要素3とを備え、搬送要素は、各々、フレームに接続された上側と下側の偏向装置5の周りを垂直方向に循環し、被処理物17を水平方向に載せるための等間隔の複数の支持領域4を有し、各搬送要素3の偏向装置5のうち少なくとも一方が駆動され、搬送要素3間に空きスペースがある。装置はさらに上側の偏向装置5間の搬入位置33を備える。搬入位置で、各被処理物17を対応する支持領域4上に配置できる。装置はさらに、搬入位置33の下方の、水平搬送装置7、8、9を含む静止取出し装置を備え、静止取出し装置の第1の端部は、搬送要素3間の空きスペース内にある。本発明はまた、上記装置を用いる、複数のウエハ型被処理物17の一時保管方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の主題
本発明は、複数のウエハ型の被処理物を、個別に垂直方向に積重ねて、これら被処理物が互いに接触しない状態で、一時保管するための装置および方法に関する。この装置は、フレームと、垂直方向に循環するとともに、等間隔で設けられ被処理物を水平方向に載せるための複数の支持領域を有する、少なくとも2つの搬送要素と、搬入位置と、静止取出し装置とを含む。
【背景技術】
【0002】
先行技術
現代の産業界におけるさまざまな製品には、非常に精密に処理されたウエハ型の被処理物の形態の、半完成品が必要である。これらはたとえば、コンピュータ用の磁気大容量記憶装置(ハードディスク)を製造するための基板としての、ガラスまたはアルミニウムからなる環状のウエハ、光学ガラス、光学的目的のための高レベル基準面(いわゆる「フラット」)、太陽電池を製造するための多結晶半導体ウエハなどである。特に要求が厳しいのは、電子工学、超小型電子工学、および超小型電子機械工学に関連する機能部品の出発材料としての単結晶半導体ウエハである。
【0003】
半導体ウエハは、連続する複数の処理工程によって製造される。これら工程は一般的に次のグループに分類できる。
【0004】
(a)通常は単結晶の半導体ロッドの製造
(b)ロッドをスライスして個別のウエハにする
(c)機械的処理
(d)化学的処理
(e)化学機械的処理
(f)適宜、層状構造体をさらに製造する
半導体ウエハの製造において好都合でありしたがって頻繁に使用されるのは、具体的にはグループ(b)から(f)に属するプロセスであり、これらグループでは、複数の半導体ウエハが1つの装置の中で同時に処理される。この処理形態はグループ処理またはバッチプロセスと呼ばれる。グループ(b)に属するバッチプロセスは、たとえばマルチワイヤスライス(multi-wire slicing)(MWS)を含み、グループ(c)に属するものは、遊星歯車機構の運動の特徴を利用したラップ仕上げまたは研削を含み、グループ(d)に属するものは、槽の中でのエッチングまたは化学的洗浄を含み、グループ(e)に属するものは、たとえばシリカゾルを用いた両面研磨(double-sided polishing)(DSP)を含む。
【0005】
上記バッチプロセスすべてに共通するのは、1つの処理サイクルの最後に、処理済みの複数の半導体ウエハが、次の処理のために、同時にまたは短時間で得られる点である。したがって、枚葉式ウエハ処理または連続処理方法と異なり、バッチプロセスの特徴は、材料の流れが一時的に不均一となる点にある。
【0006】
半導体ウエハは、次の処理の前に洗浄することにより、MWSもしくはラップ仕上げ処理後の半導体ウエハに付着しているラップ仕上げ剤、またはDSP後に付着している研磨剤、または研削処理後に付着している研削スラリーを、除去する必要がある。好ましくは、半導体ウエハがまだ濡れているのであれば、先に行なわれたラップ仕上げ、研削、または研磨処理の直後に洗浄を行なう。なぜなら、ラップ仕上げまたは研磨剤または研削スラリーは、一旦乾燥すると非常に強固に表面に付着するかまたはこの表面にダメージを与えることさえあるからである。
【0007】
先行技術は、各々が、存在する汚染物質の種類および得ようとする清潔度に適した、多数の洗浄方法を開示している。これら方法は、複数の半導体ウエハを1つの洗浄装置内で同時に洗浄するバッチ洗浄方法と、半導体ウエハを個別に順番に、周期的に1つずつ、または、連続洗浄方法の場合は途切れなく洗浄する、枚葉式ウエハ洗浄方法にさらに分類される。
【0008】
米国特許第6,423,149号BAには、例として、互いに対向する円筒形のスポンジの対を複数含む洗浄装置について記載されており、スポンジはその長手方向の軸を中心として回転し、コンベヤベルトを用いて、スポンジとスポンジとの間を半導体ウエハが途切れなく移動し通過するように、半導体ウエハを個別に順番に案内する。スポンジと半導体ウエハの表面が互いに接触しながら相対的に移動するようにし、洗浄液を供給することによって、半導体ウエハの両面を同時に洗浄する(途切れなく通過させる枚葉式ウエハ洗浄方法)。
【0009】
この種の洗浄方法は特に高性能であることがわかっている。しかしながら、こういった方法は常に、個々の半導体ウエハを周期的にまたは途切れなく通過させることによって機能する。なぜなら、洗浄しようとする各半導体ウエハの各表面を完全に洗浄ツールで拭うようにしなければならないからである。これはバッチ洗浄方法では不可能である。
【0010】
結果として生じる問題は、多くの場合、バッチプロセスでの処理後にひと固まりで得られた半導体ウエハは、別々にした上で、洗浄のために、順番に周期的にまたは途切れなく通過させる必要があるという点である。
【0011】
さらに、たとえば、バッチプロセスによって処理された後の半導体ウエハを搬出し手動で次の洗浄のために送り出す設備のオペレータが、自身が搬出するペースを洗浄のスループットに合わせることは、経済的に望ましくない。なぜなら、これによって、待ち時間が生じ、作業員にかかる費用が増加し、処理量が減少し、品質が低下するからである。品質の低下は、たとえば、DSPの場合、半導体ウエハの表面に付着した研磨剤がそのまま乾燥すると生じる可能性がある。
【0012】
加えて、多くの場合、半導体ウエハは、バッチプロセスから取出した直後に洗浄のために送り出す必要がある。これは、たとえば半導体ウエハ上に留まっている、バッチプロセスの化学的に活性の処理液の残りによって、酸化または初期エッチングが生じて半導体ウエハの特性が変化することを回避するためであり、手動で搬送する場合は、たとえば人間工学性および作業の安全性を向上させるためであり、かつ、不注意な取扱の結果として半導体ウエハにダメージを与える危険性、予期せぬ回転の結果として半導体ウエハの表側と裏側が入れ替わる危険性、または搬送経路上でバッチプロセスから取出した半導体ウエハの順序が入れ替わる危険性を、最小にするためである。
【0013】
結局、たとえば異なる複数のバッチ処理装置からの半導体ウエハが混ざり合うことを回避するためには、各バッチ処理装置に洗浄装置を1つだけ割り当てることが望ましいことが多く、洗浄装置は非常に小型で場所を取らないように実現できることが望ましいことが多い。これは、洗浄装置を既存のバッチ処理装置に組込む際に、たとえば、長時間のバッチ処理作業の妨げにならないように、またはバッチ処理装置の配置を変更しなくてもよいようにするためである。
【0014】
先行技術は、複数のウエハ型の被処理物を、個別に順番に、または同時に収容し、再び放出することができる装置を開示している。こういった装置は「一時保管装置」、「一時保管器」などと呼ばれる。半導体ウエハの場合、これら一時的な保管装置または積重ね装置(stacking device)は「ウエハストッカー(wafer stocker)」と呼ばれる。
【0015】
特開2006−032528Aには、たとえば、4対の一続きの(閉じた)チェーンを含む装置が記載されている。そのうち、各対における2本のチェーンはスプロケットによって互いに接続されている。2対の第1のチェーンはそれぞれ、2つの偏向ローラ対によって、閉じた内側リングの形態で、案内される。残りの2対のチェーンはそれぞれ、4つの偏向ローラ対によって、2対の第1のチェーン(内側リング)のうち一方と同心で、第1のチェーンの対の周りに、同じように閉じた外側リングの形態で、案内される。これにより、2対の内側チェーンおよび外側チェーンが、それぞれ互いに対向する。この場合、各チェーン対の一方の2分の1に相当するすべてのチェーンが共通する第1の面にあり、各チェーン対の他方の2分の1に相当するチェーンが、上記第1の面に対して平行である第2の面にある。さらに、すべてのチェーン対のすべてのスプロケットも互いに平行である。
【0016】
平坦な被処理物、たとえばフラットパネルディスプレイ用のガラスプレートは、各被処理物が4つのスプロケットによって支えられるように、スプロケット上に配置できる。すべての偏向ローラを同期駆動することにより、スプロケットネットワークの高さを調整して、複数の被処理物を互いに接触させることなく積重ねることができる。この場合、被処理物は、搬送ローラによって搬入位置まで水平状態で案内され、すべての偏向ローラを同期駆動することにより、被処理物の下に位置するスプロケットと接触し、後者によって、スプロケット間の1つの距離分だけ上に運ばれる。次の被処理物を、上記のようにして次のスプロケットに送り込み、これを繰返すと、最終的に、このようにして供給された被処理物すべてが積重ねられたもの(スタック(stack))が形成される。搬出も、搬入と同様、被処理物を、搬入位置と同一の搬出位置まで下向きに前進移動させ、搬送ローラによって装置の外に搬送することによって、行なわれる。搬入と搬出は、同一方向に、対向する2つの同心チェーンリング対機構それぞれで、進行する。
【0017】
特開2006−032528Aの一時保管装置の構造では、スタックに最後に導入された被処理物が再び前記スタックから最初に取出される(「後入れ先出し(last in first out)」の原理、LIFO)。よって、搬入の際に被処理物を供給した順序は、搬出の際には逆になる。加えて、一度につき1つの被処理物しか、搬入または搬出できない。このため、特に、前のバッチ処理プロセスから短時間で複数の半導体ウエハを収容し、同時に、これら半導体ウエハを再び、個別に順番に、次の洗浄に合わせて、かつ、スタックに取込んだ順序で取出す(「先入れ先出し(first in first out)」の原理、FIFO)ことは、不可能である。
【0018】
加えて、特開2006−032528Aに記載の一時保管装置の場合、手動で、たとえば、前のバッチ処理プロセスの終了後に取出した設備のオペレータが、素早く順番にかつ処理装置からの順序を保ちながら、半導体ウエハを直接高速で搬入することもできない。その理由は、搬入が、搬送ローラによって、スプロケットの間を通して行なわれるからである。この際の移動は、半導体ウエハを搬入するために少なくともその直径に対応する距離だけ動かさなければならないので、比較的低速でしか行なうことができず、したがって、速度を限定する工程となる。その上、被処理物を、動いている搬送ローラ上に置かなければならず、これは必然的に搬送ローラと被処理物との間の望ましくない摩擦につながるであろう。
【0019】
加えて、横方向に搬入するには、このような装置のためのさらなる空間が必要であり、その結果、この装置を、半導体ウエハを供給する処理装置に簡単に装着することができない、または、必要に応じて、一般的には処理装置を別の場所に移し配置し直すことなく前記処理装置に容易に組込むことができない。多くの場合、処理装置を別の場所に移すことは全く不可能でさえある。なぜなら、現代の製造シーケンスでは、一般的に、複数の異なる処理装置が、小さな間隔で、または予め定められた建築物の送電網上に設置されているからであり、その配置は、その後、長期的に処理シーケンス全体を乱すことなくまたは恒久的に変えることなく、それ以上変更することができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第6,423,149号
【特許文献2】特開2006−032528号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
課題
結果として、本発明が取組んだ課題は、バッチ処理後に、複数の半導体ウエハを正しい順序でかつ空間を節約するやり方で一時保管し、これら半導体ウエハを、実際、半導体ウエハを一時保管装置に供給している間に、または、最後の半導体ウエハを供給した直後に、たとえば連続洗浄という次の枚葉式ウエハ処理に、この連続洗浄に必要な周期的タイミングで、かつ、元の順序を保って、供給することを可能にする、装置および方法を特定することである。加えて、この装置は、手動で素早くかつ簡単な移動によって搬入することが可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
解決策
この課題は、以下の装置によって解決される。この装置は、複数のウエハ型の被処理物を一時保管するための装置であって、
‐フレームと、
‐少なくとも2つの搬送要素とを備え、搬送要素は、各々、フレームに接続された上側および下側の偏向装置の周りを垂直方向に循環し、等間隔で設けられ被処理物を水平方向に載せるための複数の支持領域を有し、各搬送要素の偏向装置のうち少なくとも一方が駆動され、搬送要素間には空きスペースがあり、
‐上側の偏向装置間の搬入位置を備え、この搬入位置で、各被処理物を対応する支持領域上に配置することができ、
‐搬入位置の下方の、水平搬送装置を含む静止取出し装置を備え、静止取出し装置の第1の端部は、搬送要素間の空きスペース内にある。
【0023】
同様に、この課題は、以下の方法によって解決される。この方法は、n個のウエハ型の被処理物を個別に、上記装置に、隣接する被処理物に接触しない状態で積重ねて、一時保管するための方法であって、nは1よりも大きい整数であり、この方法は、下記の順序の、
(a)被処理物を搬入位置に挿入するステップと、
(b)搬送要素を同期させて回すことにより、被処理物を、フレームに対し、支持領域間の垂直方向の1距離分だけ、被処理物に対して垂直に、搬入位置から下向きに前進移動させ、これにより搬入位置が再び空になるようにするステップと、
(c)n個の被処理物すべてが挿入されて、積重ねて配置され個々にそれぞれの支持領域上で支持されているn個の被処理物からなるスタックが形成されるまで、ステップ(a)および(b)を繰返すステップとを含む。
【0024】
好ましくは、この方法はさらに、下記の順序の、
(d)上記スタックを、最も下にある被処理物が取出し装置の上で支持されるようになるまで、一回につき支持領域間の垂直方向の1距離分だけ、垂直方向下向きに移動させるステップと、
(e)上記最も下にある被処理物を、取出し装置を水平方向に移動させることによって上記スタックから取出すステップと、
(f)n個の被処理物すべてがこのスタックから取出されるまで、ステップ(d)および(e)を繰返すステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従う一時保管装置の実施の形態の正面図である。
【図2A】本発明に従う装置が第1の動作状態にある実施の形態の側面図である。
【図2B】本発明に従う一時保管装置が第2の動作状態にある実施の形態の側面図である。
【図3A】本発明に従う一時保管装置の実施の形態の平面図である。
【図3B】半導体ウエハ取出し中の、本発明に従う一時保管装置の実施の形態の平面図である。
【図3C】チェーンとしての垂直搬送要素の実施の形態の側面図である。
【図4】本発明に従う方法の第1の実施の形態に関するフローチャートである(一時保管装置の搬入および搬出を同時に行なう)。
【図5】本発明に従う方法の第2の実施の形態に関するフローチャートである(一時保管装置の搬入および搬出を順次行なう)。
【図6】本発明に従う一時保管装置を、ロボットアームによってトレイに導入する洗浄装置の完成品に組込む、第1の実施の形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
以下、本発明に従う装置について、図1〜図3を参照しながら説明する。この本発明に従う装置を、以降略して「一時保管装置」とも呼ぶ。
【0027】
図1は、フレーム1と、垂直方向に循環する複数の搬送要素3(本明細書では「垂直搬送要素」とも呼ぶ)とを含む装置の一部を正面から見たものを示している。フレーム1は、開放されていても、一部閉じた筐体として実現されてもよい。垂直搬送要素3は、支持領域4を有し、偏向装置5を介して閉じたリングとして動く。
【0028】
垂直搬送要素3は、少なくとも1方向において可撓性を有している必要があり、かつ、偏向装置5によって偏向させることができる。同時に、垂直搬送要素の長手方向における膨張は回避しなければならない。一例として、ベルト、ストリップまたはチェーンを垂直搬送要素3として使用できる。特に、歯付ベルトを垂直搬送要素として使用することができ、その歯の部分が支持領域を形成する。
【0029】
垂直搬送要素3の数は、一時保管装置が収容する被処理物の大きさおよび形状に応じて選択される。垂直搬送要素の配置、したがって支持領域の配置は、被処理物をしっかりと支えることができるように行なわなければならない。一例として、直方体を想定したとしてその垂直方向の4辺に沿った4つの垂直搬送要素として配置することが可能である。この配置は、特に矩形の被処理物に適している。平行に延在する3つの垂直搬送要素として配置することも可能である。これら垂直搬送要素のうち2つが対向し、これらの支持領域が、被処理物を、対向する2つの側で支える。第3の垂直搬送要素は、第1の2つの垂直搬送要素に対して直角をなす。その支持領域は被処理物を第3の側で支える。第4の側は、被処理物17をスタックから取出すことができるように、空いたままである。2つの垂直搬送要素を対向させこれらの支持領域の幅を広くして、支持領域が被処理物を対向する側でしっかりと支えるようにし、第3の搬送要素を省くことも考えられる。
【0030】
たとえば単結晶半導体ウエハといった丸い被処理物の場合、図3(A)および図3(B)に示される実施の形態が特に好ましい。この実施の形態は、上記のように、直方体を想定した場合に垂直方向の辺に沿って延在する4つの垂直搬送要素3を提供する。しかしながら、この場合、これら垂直搬送要素3のうち2つはそれぞれ、関連するこれら2つの垂直搬送要素3を接続する共通の支持領域4を有する。この支持領域4は好ましくは、窪み65を有する接続ウエブの形態のセンタリング装置20とともに実現される。上記窪みの形状は、被処理物17の形状に適合するようにされ、したがって、この窪みは、被処理物17を横方向に案内する役目を果たすとともに、設備のオペレータまたはオートメーションによって被処理物を位置的に正確に挿入し易くする。
【0031】
偏向装置5はフレーム1に固定される。ベルトまたはストリップが垂直搬送要素3として使用される場合、ローラが偏向装置として適切である。垂直搬送要素3がチェーン(特に接合部で接続して形成されたチェーン)の場合、好ましくは歯車が偏向装置5として使用される。
【0032】
垂直搬送要素3は、同時にかつ同じように(同期して)、支持領域4間の距離を複数分、移動6することができる。支持領域4間の距離および偏向装置5の直径は、好ましくは、最も上にある支持領域53aおよび53bが、次の支持領域54aおよび54bが上側の偏向装置5に対して垂直であるときに、正確に平行になるように定められる。
【0033】
垂直搬送要素3間または垂直搬送要素を案内する垂直搬送要素の偏向装置5間の距離は、正確に1つの被処理物17(たとえば1つの半導体ウエハ)がこれらの間にスペースを有する距離である。
【0034】
新たに挿入される被処理物17のための搬入位置33(図1および図2参照)は、上側の偏向装置5間に位置し、その範囲は、被処理物17を載せる最も上にある水平方向の支持領域53aおよび53bと、好ましくは、被処理物17を水平方向に案内する最も上にある垂直方向の支持領域54aおよび54bとによって、定められる。
【0035】
一時保管装置は、搬入位置33の下方に、静止取出し装置を有する。この装置によって、被処理物を、一時保管装置から搬出するために、被処理物17のスタックの最も下の位置から抜取ることができる。この取出し装置は、実質的に、水平方向の搬送装置で構成されている。この水平方向の搬送装置は、垂直搬送要素3間のスペース内に、スタックを相応に降下させたときにスタックの最も下の被処理物と接触することができかつ前記被処理物を支持し一時保管装置から搬出することができる程度まで、突出するように、配置される。図1および図2は一例として、偏向ローラ7と、搬送ベルト8と、スピンドル9とから形成された水平搬送装置を示している。しかしながら、水平搬送装置はコンベヤベルトまたはローラコンベヤであってもよい。
【0036】
図2(A)は、図1に示した装置を、図1には示されていないさらなる構成要素とともに、横方向から見た全体図として示している。垂直搬送要素3各々の循環移動6は、いずれの場合も、少なくとも1つの駆動された偏向装置によって可能となる。この偏向装置は、下側の偏向装置5であっても上側の偏向装置5であってもよい。図2(A)に示される実施の形態では、垂直搬送要素はベルトであり、偏向装置5は偏向ローラであり、下側の偏向ローラ5が駆動される。いずれの場合でも、下側の偏向ローラ5のうち2つが共通軸12上にあるので、駆動装置11によって回転運動13を生じさせることができる。他の2つの下側偏向ローラ5は別の軸12の上に載置されており、この軸は、図2(A)に示されている軸12の後ろにあるので隠れている。これら2つの軸12は、共通の駆動装置11によってまたは別々の2つの駆動装置11によって適切に力が伝達されて駆動される。各軸12は、ベルト3のための偏向ローラ5を、回転13によって駆動することによって、ベルト3を、支持領域4間の距離の倍数単位で、下向きに調整することができる。結果として、被処理物17で形成されたスタックを、ベルト3によって、フレーム1に対して下向きに移動させることができる。
【0037】
フレーム1は、本発明の第1の実施の形態では、取出し装置に対して垂直方向に移動することができ、第2の実施の形態では、静止している、すなわち取出し装置に対して移動することができない。
【0038】
図2(A)は、垂直方向に移動可能なフレーム1を有する、本発明に従う一時保管装置の第1の実施の形態を示す。フレーム1の垂直方向の移動2は、駆動装置34によって生まれる。好ましくは、駆動装置34は、軸15を駆動して回転運動16を生じさせ、軸15は、フレーム1に嵌められたねじ切りされたブッシュ10と係合するねじ切りされたロッドとして実現される。結果として、フレーム1の垂直方向の移動2は、軸15が回転することによってもたらされる。一例として、フレーム1に嵌められたガイドブッシュ18が示されている。ガイドブッシュ18は、一時保管装置全体の基礎の枠組み(図示せず)に固定接続された(同様に一例として示されている)ガイドロッド71を案内する。フレーム1の垂直方向の移動2が生じると、ガイドブッシュ18がガイドロッド71上を摺動する。その結果、フレームは、水平方向に回転することなく垂直方向2にのみ、遊びがほとんどない状態で移動する。(他の構成要素をより明確に示すために、ガイドブッシュ18およびガイドロッド71は、図1、図2(A)、および図2(B)において点線で示している。)この種の高さ調整は、実現するのが容易であり、したがって好ましい。しかしながら、他の種類の高さ調整も可能である。たとえば、歯車を介して駆動される1つもしくは複数のチェーンによって、または、空気圧リフト装置によって、高さ調整を行なうことも可能である。
【0039】
図2(B)は、図2(A)に対応する側面図を示しているが、フレーム1を、図2(A)よりも下方に移動させているので、スタックの最も下にある被処理物が、取出し装置の搬送ベルト8上に位置し、偏向ローラ9の回転14によって、スタック内の被処理物を案内するベルト3の隣接する2つの支持領域4間のスロットから抜取られ、このスタックから取出される(搬出動作)。
【0040】
図3(A)および図3(B)は、一時保管装置の平面図を示す。正確には、図3(A)では、積重ねられた被処理物17はすべて、スタック内で適所19で垂直方向に積重ねられた状態のままであり(図2(A)の側面図に対応)、図3(B)では、搬出位置20において、ベルト3の支持領域4間のスロットから、最も下の被処理物17が既に半分抜取られている(図2(B)の側面図に対応)。矢印37は、スタックからの取出し中の、搬送ベルト8上にある被処理物の移動を示している。
【0041】
図3(A)および図3(B)はさらに、一例として4つのガイドブッシュ18を示している。これらガイドブッシュ18を通して、それぞれに垂直方向に嵌められたガイドロッド71が案内される。使用するガイドロッド71は、4つより多くすることも少なくすることも可能である。
【0042】
図1〜図3(B)に示される実施の形態は、本発明が取組む課題を、総合的にかつ十分なやり方で解決する。しかしながら、これら実施の形態は、特定の用途では限界がある。たとえば、被処理物17を載せる支持領域4間の距離を小さくすることによって一時保管装置を望ましい小型の構造にするためには、偏向ローラ5を非常に小さいものにする必要がある。そうすると、たとえば歯付ベルトとして実現された垂直搬送要素3の場合は、大きな破壊角度(fracture angle)につながる可能性があり、このために歯付ベルトの摩耗が大きくなる可能性がある。最も上の支持領域53a、53bが、被処理物を適所33(図1および図2(A))で収容するために水平方向に置かれている状態で、垂直搬送要素3の移動方向6においてこれら支持領域53a、53bの次の支持領域54a、54bを、概ね垂直方向にすることによって、被処理物を搬入位置33に挿入する際の邪魔にならないようにする必要がある。この挿入は、本発明では上から行なわれる。
【0043】
これに代えて、特に小型の設計にしなくてもよく、垂直搬送要素3間の距離を幾分大きくしてもよい。これにより、フレーム1全体の高さが幾分高くなる。これは、全体としては一時保管装置の機能を損なわないものの、搬入を手動で行なう場合は、人間工学という点から、かつ搬入の失敗の可能性をできる限り低くするためには、フレームの構造高さはできるだけ低いことが好ましい。一群の被処理物の搬入中にフレームが周期的に前進する結果として、搬入位置は、設備のオペレータにとって、積重ねられた半導体ウエハと半導体ウエハの間の距離だけ変位し、積重ねる密度が特に高い場合(構造高さが特に小さい筐体の場合)は、この搬入位置の変位が特に小さく、これが好ましい。
【0044】
一時保管装置の搬入は、たとえばロボットアームによって自動で行なうこともできる。このロボットアームは、半導体ウエハを、前の材料処理装置から取出し、一時保管装置の搬入位置33に置く。この場合も、一時保管装置の筐体1の構造高さは特に低いことが好ましい。なぜなら、その結果移動距離が小さくなることにより、相応に、より小型で、より位置的に正確で、より高速で、より費用効果の高いロボットが得られるからである。このために、図3(C)は垂直搬送要素3の特に好ましい実施の形態の詳細図を示しており、この実施の形態では、互いに上下に位置することになる被処理物17間の距離が特に小さく、したがって、一時保管装置のフレーム1の構造高さが特に低い。垂直搬送要素3は、接合部によって接続されたチェーンリンク70と、支持領域4とを含む、チェーンとして実現されている。好ましくは接合部で接続して形成されたチェーン(ボルト、ブッシュ、またはローラチェーン)が使用され、特に好ましいのはローラチェーンであり、ローラチェーンの場合、2つのチェーンリンク70間の接合部は、第1のチェーンリンクに接続されブッシュを通して第2のチェーンリンクに繋がるボルトから、形成される。スリーブは、中空のチェーンローラ69によって囲まれる。このチェーンは、チェーンローラ69間の空間と係合する歯部67を有する偏向ローラ5の周りを循環する。その結果、偏向ローラ5の周りにおけるチェーンの循環6は、スリップすることなく行なわれ、チェーンの移動は、たとえば偏向ローラ5のステッパモータ駆動装置によって、正確に、再現できるように行なわれる。
【0045】
この実施の形態において、支持領域4は、好ましくは各々、支持領域4から垂直方向に突出する少なくとも1つのカム66を含み、上記接合部を中心として回転可能な状態で、チェーンに接続されている。図示の例示としての実施の形態では、チェーンの接合部を中心とした支持領域4の回転または傾斜移動68は、時計回り方向においてはカム66がチェーンリンク70に当接することによって制限され、反時計回り方向においては支持領域4が隣の支持領域4のカム66に当接することによって制限される。偏向ローラ5の周りでのチェーンの循環6中、支持領域4は、チェーンが上向きに移動している間は、自身の重みで、反時計回り方向に止まるまで、傾斜する。支持領域が上向きに搬送され偏向ローラ5を超えてその重心が自身の回転軸(チェーンの接合部の軸)の右側に位置するようになって初めて、支持領域4は、そのカム66がチェーンリンク70に当たって止まるまで、時計回りに傾斜する。この場合、カム66は、支持領域4が時計回り方向において止まったときにチェーンから正確に水平方向に突出するように、大きさが定められて支持領域4に配置される。
【0046】
被処理物17が一時保管装置に挿入される搬入位置33において、支持領域53aはそのために水平方向に位置しているが、チェーンの循環方向6において支持領域53aに続く支持領域54aは、その次の支持領域に対し、反時計回り方向に完全に傾斜して当接している。
【0047】
可動支持領域4とカム66とを有するチェーンとしての垂直搬送要素3のこの実施の形態では、たとえ偏向ローラ5が比較的大きく、チェーンリンク70が比較的短く、または支持領域4の幅が特に大きくても、常に搬入位置33にアクセスできる。結果として、被処理物17を、間隔を特に小さくして、すなわち積重ね密度を高くして、積重ねることができ、これにより、一時保管装置の構造高さを特に低くできるという利点が得られる。
【0048】
特に好ましくは、支持領域4は、この場合もセンタリング装置20を有し、被処理物(たとえば半導体ウエハ)17をセンタリングし案内する窪み65を含み、このため、特に簡単な「自主発見(self-finding)」による搬入が可能である。
【0049】
以下、本発明に従う方法についてフローチャート(図4および図5)を参照しながらより詳細に説明する。この場合、n個の被処理物を、本発明に従う一時保管装置内に、隣り合う半導体ウエハが接触しないように下から上まで垂直方向に積重ねてスタックを形成し、再び、このスタックから、挿入した順序で(「先入れ先出し」、FIFO)下から上まで取出す。これらn個の被処理物は、たとえば、先に行なわれたバッチ処理からのものであり、比較的短時間でその処理装置から搬出され本発明に従う一時保管装置に送られたものである。
【0050】
図4は、この方法の第1の実施の形態を示しており、前のプロセスから被処理物が与えられる第1のサイクルにおいて、被処理物のスタックが形成され、それと同時に、すなわちスタックの形成中に、このスタックは再び、被処理物を次のプロセス(たとえば洗浄)に送ることを意図する第2のサイクルで、下から解体される。この場合、(スタックに送る)第1のサイクルを、(スタックから取出す)第2のサイクルよりも高速で行なうことにより、スタックの形成および解体プロセスの間、被処理物が常にスタックの中にあり結果として第2のサイクルにおける取出し中に待ち時間が発生しないようにする。
【0051】
この方法の説明に必要な装置の特徴は、図1〜図3に示されている。この方法の第1の実施の形態では、本発明に従う一時保管装置の第1の実施の形態が使用され、フレーム1は、取出し装置に対して垂直方向に移動できる。ステップ(d)に従うスタックの垂直方向の移動は、フレームが取出し装置に対して垂直方向に移動することによって行なわれる。
【0052】
この方法は、たとえば、設備のオペレータが装置上の開始ボタンを押すことによって、または、前の処理プロセスの搬出オートメーションが積重ね装置に対して被処理物の供給の開始(39)を知らせることによって、開始される(38)。たとえば反射光バリヤであるセンサが、新たな被処理物17が搬入位置33に置かれているか否か確認する(41)。新たな被処理物が置かれていない限り、質問41は待ちループ46にある。被処理物が置かれるや否や(この方法のステップ(a))、フレーム1全体を、1位置分(すなわち隣り合う2つの支持領域4の間の距離に対応する距離)だけ上に移動させ(42)、垂直搬送要素3(フローチャートでは「歯付ベルト」として示される)を1位置分だけ下に移動させる(43;この方法のステップ(b))。移動42および43は、この順序で1つずつ行なってもよく、または同期して行なってもよい。これにより、被処理物17が既に取出し装置上(例えば搬送ベルト8上)の搬出位置20にあったとしても、被処理物が破損する搬出位置20よりも下の位置まで移動することはない。しかしながら、同時に、既に形成されている被処理物のスタックを、フレーム1内で1位置分だけ下に移動させる。フレーム1したがって搬入位置33は、ステップ42、43の後、前よりも1位置分だけ高い場所にある。
【0053】
ステップ42および43の後に、最も下の被処理物が搬出位置20にあれば、この被処理物は取出し装置(たとえば搬送ベルト8)によって搬出される(44;ステップ(e))。ステップ42および43の後に搬出位置20に被処理物がなければ、何も起こらず、取出し装置は薄い空気を掴むことになる。質問は不要である。この時点で、新たな被処理物が既に搬入位置33にある可能性がある。この装置を制御することにより、ステップ41〜ステップ44から形成される部分フロー(点線45)が可能になる。このように、同時に、新たな被処理物を上からスタックに追加しスタックの下から取出すことができる。
【0054】
次の質問59(「フレーム1は最も下の位置?」)の答えが否定である間は、フレーム1は、被処理物17の搬出44(ステップ(e))後、その都度さらなる位置まで下に移動し(47;ステップ(d))、さらなる被処理物17が搬出される(44;ステップ(e)の繰返し)。この場合、新たな被処理物のための搬入位置33は空いたままであり、さらなる被処理物をスタックに同時に追加するために使用できる(ステップ(a))。加えて、スタックを既に形成している垂直搬送要素3は、スタックに対しては下向きに移動しないので、既にスタック内にある被処理物と新たに加えられた被処理物との間に隙間は生じない。
【0055】
ループ47は、フレームが最終的に最も下の位置に達するまで繰返される。この場合、スタックの搬出は完了しており、搬入および搬出動作全体が、たとえば、設備のオペレータがボタンを押すことによって、または、前の処理の搬出オートメーションからの通知によって停止され、このことが、さらなる被処理物がそれ以上スタックに追加されないよう、制御装置に伝えられる(新たな被処理物が搬入されなくなるのを待つ中断のためのループ45およびループ46)。このようにして、搬入、積重ね、および搬出の動作全体が終了する(49)。
【0056】
図5は、この方法の第2の実施の形態を示しており、最初に、前の処理からのn個の被処理物すべてからスタックを完成し、その時点で初めて、被処理物を再び、前のスタック形成の順序で、下から上までスタックから取出す。
【0057】
この方法の説明に必要な装置の特徴は、図1〜図3に示されている。この方法の第2の実施の形態の場合、任意で、本発明に従う一時保管装置の第1の実施の形態を使用することが可能であり、この場合フレーム1は取出し装置7、8、9に対して垂直方向に移動可能である。または、静止フレームを備えた一時保管装置の第2の実施の形態を使用することが可能である。いずれの場合でも、第2の実施の形態に従う方法を実行するときには、フレームは取出し装置に対して移動しない。ステップ(d)に従うスタックの垂直方向の移動は、垂直搬送装置を同期させて回すことによってスタックをフレームに対して下向きに移動させることによって、行なわれる。
【0058】
本発明に従う装置のフレーム1は、継続して最も上の位置(図2(A)参照)にあり、この方法の実施の形態では移動しない。搬入位置33と、この実施の形態ではスタックからの被処理物の取出しはここでしか行なわれない最も下の位置との間における、垂直搬送要素3の支持領域4間の空いている隙間の数は、少なくとも、被処理物を取出した、前の処理ステップの、バッチサイズに等しい。直径300mmの半導体ウエハのPPG、ラップ仕上げまたはDSPの場合、市場における従来の適切な処理装置のバッチサイズは、たとえば、一回の処理工程当たり15または20の半導体ウエハである。
【0059】
この方法は、たとえば、設備のオペレータが装置上の開始ボタンを押すことによって、または、搬出オートメーションが積重ね装置に対して被処理物の供給の開始(39)を知らせることによって、開始される(38)。たとえば反射光バリヤであるセンサが、新たな被処理物17が搬入位置33に置かれているか否か確認する(41)。新たな被処理物が置かれていない限り、質問41は待ちループ46にある。ウエハが置かれるや否や(この方法のステップ(a))、垂直搬送要素3(フローチャートでは「歯付ベルト」として示される)がさらに同期して1位置分だけ下に移動する(43;ステップ(b))。設備のオペレータまたは搬出オートメーションが、搬入の完了(48)を知らせない限り、前の処理からのバッチの被処理物すべてが、徐々に、質問41(センサ)がなされ垂直搬送要素3が1位置分だけ下に移動する(43)ことによって、積重ねられてゆく。この場合、分岐50によって、ループ64は、バッチがn個の被処理物で構成されている場合はn回繰返される。最後の被処理物が挿入された後、設備のオペレータまたはオートメーションが、本発明に従う装置に対して、搬入の終了(48)を知らせる。したがって、一時保管装置では、収容された被処理物の数(バッチサイズn)が把握されている。
【0060】
センサが、スタックの中で最も下にある被処理物が取出し装置(フローチャートでは「搬出器」と呼ばれる)と接触しているか否か確認する(40)。その場合、この被処理物が搬出される(44;ステップ(e))。そうでなければ、垂直搬送要素、したがって被処理物のスタックが、さらに1位置分だけ下に移動し(43;ステップ(d))、再び、被処理物が取出し装置に接触しているか否かという質問がなされる(40)。このループは最大n回繰返され(51)、その後、挿入された被処理物はすべて明らかに搬出済であるので、搬出プロセスは自主的に終了する。
【0061】
本発明に従う装置および本発明に従う方法の上記2つの実施の形態の利点は、バッチ処理からの被処理物を、第1の(特に高速であるが不連続の)サイクルで積重ねることができ、かつ、この積重ねで形成されたスタックから再び、被処理物をたとえば次の洗浄またはその他の連続処理に送ることを意図する、第2の(特に低速の)サイクルで、正しい順序(FIFO)で取出すことができる点である。あるスタック内でその間に一時保管する被処理物を積重ねることは、特にスペースの節約になりかつ高速(さらなる被処理物をスタックに導入する際またはこのスタックから取出す際の移動距離が短い)であり、したがって、前の処理の装置に容易に組込むことができる。特に、本発明では、特開2006−032528Aにおいてスタックに送り込むために必要な水平搬送システムは不要である。その結果、本発明に従う装置は、スペースをさらに節約する。加えて、本発明では、スプロケットの間を通して被処理物を水平方向に一時保管装置に搬送することは不要である。手動を含めて、直接スタックを搬入し、続いてフレームに対してスタックを1位置分だけ下向きに搬送することは、非常に高速であり、手動で搬入する場合は、配置を間違う可能性が非常に低く、特に人間工学に基づいている。加えて、スタックを1位置分だけ下向きに素早く移動させるしたがって搬入位置を素早く開放するので、特開2006−032528Aの装置の場合には起こり得る、間違って被処理物の上に被処理物が載る危険性はない。
【0062】
第1の実施の形態、すなわち、被処理物が前のプロセスから与えられる第1のサイクルにおいてスタックを形成し、同時に、次の処理(例えば洗浄)のために第2のサイクルにおいて再び正しい順序で取出す、第1の実施の形態の特徴は、垂直搬送要素およびフレームがどちらも移動する点にある。第2の実施の形態、すなわち、最初に前の処理工程からの被処理物すべてから完全なスタックを形成し、その後、これら被処理物を再び、正しい順序で順番に搬出する第2の実施の形態の特徴は、垂直搬送要素3のみが移動する点にある。したがって、フレーム1はその位置で固定されていてもよく、結果として図2の駆動装置34、ねじ切りされたロッド15、およびねじ切りされたスリーブ10は、不要である。このため、第2の実施の形態に必要な装置は、第1の実施の形態に必要な装置と比較すると、非常に簡単に構成される。可動部がより少なく、制御がより簡単である。
【0063】
第1の実施の形態が特に高速である理由は、スタックの搬入および搬出を同時に行なうからであり、結果としてスタック内には最小数の被処理物しかない。この被処理物の数は、前の処理のバッチサイズと、搬入サイクルタイムと搬出サイクルタイムの違いのみによって決まる。本発明に従う方法は、好ましくは複数の被処理物を短期間でまたは同時に与える前のバッチ処理方法とともに使用され好ましくは連続方法において一般的にはサイクル速度が比較的遅い洗浄がその後に行なわれるので、いずれの場合でも、スタック内には常に十分な数の被処理物があり待ち時間が生じることはない。
【0064】
図3(A)から図3(C)に示されるように支持領域に被処理物を受けることができる窪みがあれば、スタックに被処理物を送っている間、横方向の案内が得られる。これは、特開2006−032528Aにはない。
【0065】
実際、バッチ処理方法は、この処理方法において搬入できる数よりも少数の被処理物に対して実施されることがよくある。一例として、前の処理プロセスで被処理物が既にダメージを受けているかまたは規定に従って正しく処理されていないために抜取られている場合がある。その後、被処理物を、一続きの処理全体の間、グループ単位で簡単に追跡できるようにするには、上記のようにしてバッチ内で個別に生じた被処理物の抜け跡を、抜け跡が生じる度に次のグループからの次の被処理物で埋めること(「併合」)はしない。なぜなら、そうすれば個々の被処理物のグループ内の関係が変化するからである。
【0066】
本発明に従う方法の2つの実施の形態はいずれも、欠けた被処理物によって生じた抜け跡を、被処理物自身と同じように、グループ内における正しい順序および位置を保って引継ぐことができるように、少し変形してもよい。このためには、図4および図5に記載のシーケンスを変更して、設備のオペレータが、抜け跡が生じたことを、この抜け跡に対応する搬入の時点で、たとえばボタンを押すことによって一時保管装置の制御装置に伝えるようにする。第1の実施の形態(図4)の場合は、フレームを1位置分だけ上に移動させ(43)、垂直搬送要素を1位置分だけ下に移動させる(43)ことによって、スタック内の対応する場所に空きが生じるようにする。搬出(44)中、この空きが検出されその情報が、たとえば次の洗浄プロセスに引継がれ、この洗浄プロセスでも、グループ内の対応する位置に空きを生じさせる。第2の実施の形態(図5)の場合は、垂直搬送要素を1位置分だけ下向きに移動させ(43)、上記のように、抜け跡を、同様にしてスタック内に生じさせ、グループ内の正しい位置を保って次の処理に引継ぐことができる。
【0067】
これに代えて、必要であれば、いずれの実施の形態でも、個々の半導体ウエハが欠けていても、各位置毎にスタックの抜け跡を設備のオペレータが埋める「併合する」ことも可能である。この場合、前記オペレータは、1つのグループの終了時に、「搬入終了」(48)を知らせることによって積層作業を終わらせ、その結果、半導体ウエハが欠けていたとしてグループ内に空いた位置があったとすればそれをグループの最後にずらしてもよく(グループ単位でウエハの割当てを維持)、または、前記オペレータが、併合に従って、すなわち空いた位置をグループの最後にずらし次のグループからの半導体ウエハで埋めて補充してもよい(グループ単位でのウエハの割当てではなく、グループ間でのさらなる処理)。しかしながらいずれの場合でも、ここでは、スタックの形成および解体のプロセス全体の間、すべての被処理物の相対的順序は全体としてさらに維持される(FIFOの原理)。
【0068】
以下、本発明の、連続方法における洗浄の前の一時保管として特に好ましい用途について、図6を参照しながら説明する。この説明は、半導体ウエハの例に基づいて行なわれる。しかしながら、この方法は、バッチ処理後に連続方法において洗浄される他の被処理物に応用することもできる。
【0069】
この用途では、被処理物は各々さらに、ステップ(e)の後、下記特定された順序の、
(g)被処理物を洗浄装置を通して搬送し、被処理物を個々に連続方法において洗浄するステップと、
(i)被処理物を個々に、仕分け装置によって、洗浄装置を通過した順序で、仕分けてカセットに入れるステップとを経る。
【0070】
この場合、前のバッチ処理方法からの供給を受ける第1のサイクルにおいて、半導体ウエハ17が順に、典型的には短時間で、設備のオペレータによって手動で、または搬出オートメーションによって自動的に、本発明に従う一時保管装置に挿入され、積重ねられる。この積重ねによって形成されたスタックの中で最も下にある半導体ウエハ17が、その都度、スタックから、取出し装置(図6は一例としてローラ7、搬送ベルト8およびスピンドル9から形成された取出し装置を示している)によって、正しい順序(FIFO)で、正確には、本発明の方法の第1の実施の形態に従うとスタックのさらなる搬入と同時に、または、本発明の方法の第2の実施の形態に従うと積重ねるプロセスが完了した後に、取出される。
【0071】
半導体ウエハ17は次に、1つずつ、洗浄モジュールを通過する速度によって決まる第2のサイクルで、さらなる搬送部35に送られる。この搬送部の搬送ベルトは、取出し装置の搬送ベルト8と同じ速度で動く。図6が示す一時保管装置には、支持領域4を有するベルト3があり、かつ、最も下の半導体ウエハが取出し装置上の搬出位置にある状態の、半導体ウエハ17のスタックがある。この状態は、本発明に従う方法の第1の実施の形態の典型的な状態である。前の半導体ウエハ52は既に搬送部35上にあり、その前のウエハ(60)は既に洗浄モジュール21にあり、その前のウエハ(61)は既にカセット29へのトレイ導入装置26にある。
【0072】
この洗浄装置および洗浄方法自体は本発明の主題ではない。以下では、ブラシ、ロールまたはスポンジを使用する連続洗浄を、例示としての洗浄ステップとして説明している。しかしながら、本発明は、上記の材料を取出す前処理(MWS、ラップ仕上げ、PPG、DSP)のための、周知のすべての連続するまたは周期的な枚葉式洗浄方法に応用できる。
【0073】
好ましくは、前処理グループの半導体ウエハ‐適切であれば「併合」の場合は複数のグループの半導体ウエハであることもある‐は、洗浄が行なわれた後、正しい順序で、乾燥状態で、保管または搬送カセット(トレイとも呼ぶ)に送られることが意図されている。清潔で乾燥した半導体ウエハが必要である。これは、たとえば、満杯のカセットを取出し、前の処理方法の制御にとって重要なパラメータに関して1以上のグループの1以上の半導体ウエハを測定する測定装置に与えることができるようにするためである。この場合、洗浄および乾燥を十分速い速度で行なうことにより、少なくとも1つの半導体ウエハを、前の処理の次の工程が終了する前に、既に測定しておくことができるようにして、適切であれば設備のオペレータが、たとえばウエハの平坦性などを改善するために、現在の工程の設定の修正、たとえば一回の工程にかかる時間の修正(半導体ウエハの最終的な厚みの修正)やその他のパラメータの修正を、まだ行なえるようにすることが特に好ましい。
【0074】
好ましくは、前処理の修正のための測定値は、適切であれば少なくとも前々回の前処理工程をまだ修正できるタイミングで提供する。以下において、搬出、洗浄およびトレイ導入速度に関する例をさらに示す。
【0075】
正確に前々回の前処理工程に関する測定データを与えることは、具体的な事例では特に有利である可能性さえある。なぜなら、ラップ仕上げ、PPGまたは両面研磨といったバッチ処理方法は、工程毎に交互に使用されるプロセスパラメータを用いて行なわれることが多いからである。一例として、すべての駆動速度の符号を、工程毎に交互に用いることによって、連続する処理工程それぞれのプロセスの運動力学的特徴がまさに鏡のように互いを反映するようにすることが多い。結果として、被処理物は常に同じように処理されるが、表側と裏側が入れ替えられる。運動力学的に鏡のように互いを反映するまたは全く異なるパラメータ(異なる回転速度、圧力など)を常時交互に用いることは、もしその結果、一定した動作条件の場合は一般的に避けることができないラップ板、研磨パッドまたは研削パッドの不均一な摩耗を遅らせることによって作業ディスクまたは作業領域の目標とする形状を再構築するのに必要な洗浄作業をまれにしか行なわなくてもよいようにできるのであれば、特に好都合となる可能性もある。しかしながら、これらの場合すべてにおいて、偶数番目の処理工程は常に全く同じであり奇数番目の処理工程は常に全く同じである。したがって、いずれの場合でも、測定後、先行する工程の前の工程の規定に従って訂正を行なうことは、特に好都合である。
【0076】
図6において一例として示されている洗浄モジュール21は、ブラシ、ロールまたはスポンジ洗浄のための先行技術から周知の構成要素等の構成要素:上側の搬送ローラ22aおよび下側の搬送ローラ22bで構成された対向する搬送ローラ対22と、上側の洗浄ローラ24aおよび下側の洗浄ローラ24bで構成された洗浄ローラ対24とを含む。
【0077】
搬送ローラ22および洗浄ローラ24は、種類(硬さ、長さ、弾力性)およびその毛の密度のみが実質的に異なる。搬送ローラの毛23は、より堅く、寸法はより正確で、半導体ウエハを、所望の移動方向に、回転62a(上側の搬送ローラ22a)および回転62b(下側の搬送ローラ22b)によって搬送する。洗浄ローラの毛25は、より軟らかく、より密度が高く、好ましくは、どちらの場合も半導体ウエハ60の移動方向に抗して回転する(63a、63b)ことにより、半導体ウエハ61の表面の速度に対して逆向きの速度を有する。洗浄ローラ24は、半導体ウエハの移動方向に垂直なラインに沿って半導体ウエハの直径全体にわたって半導体ウエハに接触するような、毛25の長さを有し、そうなるように、その軸を半導体ウエハの移動方向に垂直にして配置される。半導体ウエハが洗浄装置を通過することにより、半導体ウエハの表面全体を、表側および裏側を同時に、反対方向に回転する洗浄ローラ24によって拭うことによって洗浄する。
【0078】
洗浄剤56は、装置55(計量装置)によって洗浄ローラ24に供給される。代表的な用途として、半導体ウエハに対して行なわれる前のPPG処理の場合、洗浄液56は、好ましくは界面活性剤の水溶液からなり、特に好ましくは純水からなる。
【0079】
一例として図6に示される乾燥装置57は、上側の乾燥ファン(57a)と下側の乾燥ファン(57b)とを含む。これらファンは、細い隙間として、または、半導体ウエハの移動方向に対して垂直に、一列に並べられた複数の個別のノズルとして実現されて、強い空気流58a、58bを半導体ウエハ60の両面に吹付ける。この空気流は、半導体ウエハの全体を覆い、半導体ウエハの表面の水を、吹飛ばして蒸発させることにより、半導体ウエハの表面から取り除くことができる。乾燥装置57の並びにに対して垂直方向に搬送されることによって、半導体ウエハは、その両面全体の領域が、途切れなく移動する間に乾燥する。
【0080】
前のバッチ処理プロセス(ラップ仕上げ、PPG、ペレット研削、両面研磨)による半導体ウエハの汚染の種類および程度に応じて、洗浄の種類および効力に関して異なる要求を課すことができる。一例として図6に示される洗浄モジュール21は、こういった要求を満たすためにさらなる構成要素(図示せず)によって拡張することができる。一例として、洗浄を、「濡れたまま行なう」、すなわち前のバッチ処理のラップ仕上げ剤、研磨剤、または冷却潤滑剤(PPGまたはペレット研削)によってまだ濡れている半導体ウエハを、たとえば液体を吹付ける(霧を吹く)ことによって、または水洗浄ノズル(水洗浄)によって、一時保管装置でも既に濡れている状態に保つことが、特に好都合である。具体的に言えば、汚染物質を一時的に乾燥させることは特に不都合である。なぜなら、乾燥した汚染物質は、後から除去することが、通常特に困難であるか、または全く除去できないからである。加えて、前のバッチ処理プロセスからの作業液、たとえば化学的に腐食性の研磨剤が、管理されずに乾燥すると、半導体ウエハは取り返しのつかないダメージを受ける可能性がある。
【0081】
半導体ウエハは、洗浄および乾燥後、トレイ導入搬送部27上に送られ、そこで、たとえば真空把持部28と、持ち上げて押すという動き36によってトレイを導入するための装置とを含むトレイ導入装置26によって、カセット29の中に送られる。カセット29内では、半導体ウエハはウエブ30によって互いに分離される。トレイには、正しい順序で導入される。先行技術において周知の保管および搬送カセットすべてを使用できる。
【0082】
図6に示される例においては、トレイ導入装置26は、トレイ導入搬送部27と反対側の半導体ウエハ61の表面を把持する真空把持部28によって実現される。その結果、前の半導体ウエハがまだトレイ導入装置26によってカセット29の中に搬送されている間に、次の半導体ウエハをトレイ導入搬送部27上に置くことができる。
【0083】
実施例
ある具体的な例示としての実施の形態は、図6に従って実現される、一時保管、洗浄およびトレイ導入装置を、PPG法による前処理からの半導体ウエハを洗浄するために機能させることを含むものであった。PPG処理中の正味の研削時間は約4分であった。設備のオペレータは、直径300mmの15の半導体ウエハからなる1つのPPGバッチを搬入するのに、約90秒を要し、その搬出には約120秒を要した。設備の補助的な時間(プロセスの最初と最後に上側の作業ディスクを旋回させ、上昇させて、下降させ;工程の終了後、半導体ウエハが載ったキャリアを、最初に搬入されたキャリアが工程の終了後最初に搬出位置に送られるように、配置し、工程の終了後に上側の作業ディスクに付着しているかもしれない半導体ウエハを取外す)を含めて、サイクルタイムは約9.5分であった。一時保管装置は、本発明に従う第1の方法に従って機能させた(スタックの搬入および搬出を同時に行なう)。一回のPPG工程の総搬出時間は2分であったので、設備のオペレータは平均して8秒毎に1つの半導体ウエハを一時保管装置に搬入したことになる。
【0084】
取出し装置(図1の7、8、9)は、1つの半導体ウエハを20秒毎に搬出し、両面連続ブラシ洗浄のために、2cm/sでコンベヤベルト上に送った。したがって、連続洗浄のための搬送装置は、半導体ウエハの直径の長さ分を拭うのに15秒要した。半導体ウエハと半導体ウエハの間には、拭う時間5秒に対応する平均10cmの安全距離があった。半導体ウエハの、一時保管装置からの搬出開始から、カセット29内へのトレイ導入終了まで、90秒かかった。予想通り、PPG工程からの最後の半導体ウエハが設備のオペレータによって搬入された時点で、一時保管装置内に形成された半導体ウエハのスタックは、設備のオペレータの実際の搬出速度に応じた、最大数、すなわち最大8枚の、一時保管中の半導体ウエハを含んでいた。最後の半導体ウエハは、PPG工程からの最初の半導体ウエハの一時保管装置への搬入開始から5.5分後に、取出し装置によって一時保管装置から取出され、したがって、PPG工程からの最初の半導体ウエハの一時保管装置への搬入から7分後に、カセットに配置された。設備のオペレータには、次のPPG工程のウエハを搬入しなければならなくなる前に、カセットを測定装置上に置くため(および前のPPG工程の半導体ウエハのカセットを測定装置から前もって取り除いておくため)、ならびに、前の測定に従ってPPG設備の設定変更を行なうための時間が、まだ1分残っていた((PPGサイクルタイム9.5分)−(総洗浄時間7分)−(測定装置配置時間1分)=1.5分=搬入時間)。このように、時間はさらにまだ十分残っているので、待ち時間が生じることはなく、設備のオペレータは、搬出、一時保管/洗浄/乾燥、測定、および再搬入の手順全体のサイクル全体を予め規定することができた。
【0085】
洗浄モジュール21は、上記のやり方で、図6に示されるように構成された。
図6に示される例のように、トレイ導入装置26は、半導体ウエハを上から把持する真空把持器28を備えていた。トレイ導入プロセスは約10秒続いた。この10秒のうち、トレイ導入搬送部27は持ち上げる作業の為に3秒間だけ止められた。連続する半導体ウエハと半導体ウエハとの間の時間間隔は5秒であったので(搬送速度2cm/sの場合、距離10cm)待ち時間は生じなかった。
【0086】
本発明は、大きさが一様のいかなるウエハ型被処理物の一時保管にも使用できる。これら被処理物は、たとえば、コンピュータ用の磁気大容量記憶装置(ハードディスク)を製造するための基板としての、ガラスまたはアルミニウムからなる環状のウエハ、光学ガラスおよび「フラット」、太陽電池を製造するための多結晶半導体ウエハ、ならびに、特に、電子工学、超小型電子工学、および超小型電子機械工学における用途のための出発材料としての単結晶半導体ウエハを含む。
【符号の説明】
【0087】
参照符号および略語一覧
1 フレーム
2 フレームの垂直方向の移動
3 垂直搬送要素
4 支持領域
5 垂直搬送要素のための偏向装置
6 垂直搬送要素の循環移動
7 水平搬送ベルトのための偏向ローラ
8 水平搬送ベルト
9 水平搬送ベルトのための偏向ローラのスピンドル
10 ねじ切りされたブッシュ
11 垂直搬送要素のための駆動装置
12 垂直搬送要素の駆動軸
13 垂直搬送要素の駆動軸の回転運動
14 水平搬送ベルトの循環移動
15 ねじ切りされたロッド
16 ねじ切りされたロッドの回転運動
17 被処理物
18 ガイドブッシュ(フレームの高さ調整用)
19 一時保管装置内での被処理物の位置
20 被処理物を収容するためのセンタリング装置
21 洗浄モジュール
22a、22b 搬送ローラ対
23 搬送ローラの毛
24a、24b 洗浄ローラ対
25 洗浄ローラの毛
26 トレイ導入装置
27 トレイ導入搬送部
28 真空把持部
29 カセット
30 ガイドリブ
31 カセットの垂直方向の移動
33 搬入位置
34 フレームの垂直方向の移動のための駆動装置
35 一時保管装置と洗浄モジュールとの間の搬送部
36 把持部が半導体ウエハを対象トレイに導入するために持ち上げて押す動き
37 一時保管装置からの自動取出中の被処理物の取出しのための移動
38 プロセス開始
39 入力:「搬入開始」
40 質問/分岐:「最も下の被処理物は取出し装置に接触?」
41 質問/分岐:「新たな被処理物?」
42 プロセスステップ:「フレームを1位置分上向きに移動」
43 プロセスステップ:「垂直搬送要素を1位置分下向きに移動」
44 プロセスステップ:「被処理物を搬出」
45 プロセス中断のためのオプション
46 ループ:「新たな被処理物待ち」
47 プロセスステップ:「フレームを1位置分下向きに移動」
48 入力:「搬入終了」
49 プロセス停止
50 質問/分岐:「搬入終了?」
51 質問/分岐:「このループが繰返されたのはn回未満?」
52 全体が取出し装置の水平搬送装置上にある半導体ウエハ
53a、53b さらなる被処理物を収容するための最も上にある水平姿勢の支持領域
54a、54b 支持領域53a、53bの下流にある垂直姿勢の支持領域
55 洗浄剤を供給するための装置
56 洗浄剤
57a、57b 乾燥装置
58a、58b 乾燥空気流
59 質問「フレームは最も下の位置?」
60 洗浄モジュール内の被処理物
61 トレイ導入装置上の被処理物
62a、62b 搬送ローラの回転
63a、63b 洗浄ローラの回転
64 搬入終了までのループ
65 センタリング装置20の窪み
66 可動支持領域4の水平方向の位置合わせのためのカム
67 チェーンとしての垂直搬送要素4の実施の形態の場合の偏向装置5の歯
68 可動支持領域4の傾斜移動
69 チェーンとしての垂直搬送要素4の実施の形態の場合のチェーンの接合部
70 チェーンとしての垂直搬送要素4の実施の形態の場合のチェーンリンク
71 フレーム1の垂直方向の移動のためのガイドロッド
n バッチ内の被処理物の数
WS 被処理物(たとえば半導体ウエハ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウエハ型の被処理物(17)を一時保管するための装置であって、
フレーム(1)と、
少なくとも2つの搬送要素(3)とを備え、前記搬送要素は、各々、前記フレームに接続された上側および下側の偏向装置(5)の周りを垂直方向に循環し、等間隔で設けられ被処理物(17)を水平方向に載せるための複数の支持領域(4)を有し、各搬送要素(3)の前記偏向装置(5)のうち少なくとも一方が駆動され、前記搬送要素(3)間には空きスペースがあり、
前記上側の偏向装置(5)間の搬入位置(33)を備え、前記搬入位置で、各被処理物(17)を対応する支持領域(4)上に配置することができ、
前記搬入位置(33)の下方の、水平搬送装置(7、8、9)を含む静止取出し装置を備え、前記静止取出し装置の第1の端部は、前記搬送要素(3)間の前記空きスペース内にある、装置。
【請求項2】
前記搬送要素(3)は歯付ベルトであり、その歯は前記被処理物(17)のための前記支持領域(4)を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
4つの循環する搬送要素(3)を備え、前記4つの搬送要素(3)のうち2つは各々、共通軸(12)に固定された偏向装置(5)によって駆動され、前記2つの搬送要素(3)は各々、前記搬送要素(3)を接続する共通の支持領域(4)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記支持領域(4)は各々、前記被処理物(17)の形状に適合する窪み(65)を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記搬送要素(3)はチェーンであり、各々、接合部によって接続された複数のチェーンリンク(70)を含み、前記支持領域(4)は、前記接合部を中心として回転可能な状態で前記チェーンに接続され、カム(66)を有し、前記支持領域(4)の回転は、前記支持領域(4)の第1の端部が隣の前記支持領域(4)の前記カム(66)に当接することによって、および、前記支持領域(4)の前記カム(66)の第2の端部が前記チェーンリンク(70)に当接することによって、制限され、前記支持領域(4)は、前記チェーンが自身の重量によって前記偏向装置(5)の周りを循環する(6)際、チェーンが上向きに移動する場合は前記第1の端部が当接する状態にあり、チェーンが下向きに移動する場合は前記第2の端部が当接する状態にある、請求項3および4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記フレーム(1)は、駆動装置(34)によって、前記取出し装置(7、8、9)に対して垂直方向に移動可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記フレーム(1)は、少なくとも1つのねじ切りされたブッシュ(10)を介して、ねじ切りされたロッド(15)に接続され、前記ロッドは、前記フレーム(1)が垂直方向に移動できるよう、駆動装置(34)によって回転させることができる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フレーム(1)は静止している、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
n個のウエハ型の被処理物(17)を個別に、請求項1に記載の装置に、隣接する被処理物に接触しない状態で積重ねて、一時保管するための方法であって、nは1よりも大きい整数であり、前記方法は、下記の順序の、
(a)被処理物(17)を前記搬入位置(33)に挿入するステップと、
(b)前記搬送要素(3)を同期させて回すことにより、前記被処理物(17)を、前記フレーム(1)に対し、前記支持領域(4)間の垂直方向の1距離分だけ、前記被処理物(17)に対して垂直に、前記搬入位置(33)から下向きに前進移動させ、これにより前記搬入位置(33)が再び空になるようにするステップと、
(c)n個の被処理物(17)すべてが挿入されて、積重ねて配置され個々にそれぞれの支持領域上で支持されているn個の被処理物(17)からなるスタックが形成されるまで、ステップ(a)および(b)を繰返すステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記方法はさらに、下記の順序の、
(d)前記スタックを、最も下にある被処理物(17)が前記取出し装置(7、8、9)の上で支持されるようになるまで、一回につき前記支持領域(4)間の垂直方向の1距離分だけ、垂直方向下向きに移動させるステップと、
(e)前記最も下にある被処理物(17)を、前記取出し装置(7、8、9)を水平方向に移動させることによって前記スタックから取出す(37)ステップと、
(f)n個の被処理物(17)すべてが前記スタックから取出されるまで、ステップ(d)および(e)を繰返すステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
被処理物(17)からなるスタックが、ステップ(a)から(c)の実行によって形成されるのと同時に、1つまたは複数の被処理物(17)が再び、ステップ(d)から(f)の実行によって、挿入した順序で前記スタックから取出され、前記ステップ(d)に従う前記スタックの垂直方向の移動は、前記フレーム(1)が前記取出し装置(7、8、9)に対して垂直方向に移動することによって行なわれる、請求項6に記載の装置を用いる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)とステップ(b)との間に、前記フレーム(1)を、前記取出し装置(7、8、9)に対し、前記支持領域(4)間の垂直方向の1距離分だけ上向きに移動させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
最初にn個の被処理物(17)からなる完成したスタックを、ステップ(a)から(c)の実行によって形成し、その後、前記n個の被処理物(17)を再び、ステップ(d)から(f)の実行によって、挿入した順序で前記スタックから取出し、前記フレーム(1)は前記取出し装置(7、8、9)に対して移動せず、ステップ(d)に従う前記スタックの垂直方向の移動は、前記搬送要素(3)を同期させて回す(6)ことにより、前記スタックを前記フレーム(1)に対し下向きに移動させることによって行なわれる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記被処理物(17)各々は、ステップ(e)の後、下記の順序の、
(g)前記被処理物(17)を洗浄装置(21)を通して搬送し、前記被処理物(17)を個々に連続方法において洗浄するステップと、
(i)前記被処理物(17)を個々に、仕分け装置(26)によって、前記洗浄装置(21)を通過した順序で、仕分けてカセット(29)に入れるステップとを経る、請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(g)とステップ(i)との間にさらなるステップ(h)を行ない、前記被処理物(17)を前記さらなるステップ(h)で乾燥する、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16795(P2013−16795A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−142990(P2012−142990)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】