説明

ウォブル信号生成回路及びウォブル信号生成方法

【課題】データ記録時の書き込み時間およびデータ未記録領域が存在するディスクの読出し時間を短縮するウォブル信号生成回路及びウォブル信号生成方法を提供すること
【解決手段】本発明にかかるウォブル信号生成回路は、光ディスクのデータ未記録領域から読み出される第1のウォブル信号に利得を与える可変ゲインアンプ5と、光ディスクのデータ未記録領域から読み出される第1のウォブル信号と異なる位相を有する第2のウォブル信号に利得を与える可変ゲインアンプ6と、可変ゲインアンプ5により利得を与えられた第1のウォブル信号と可変ゲインアンプ6により利得を与えられた第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御するゲイン制御回路18とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウォブル信号生成回路及びウォブル信号生成方法に関し、特に利得制御を用いたウォブル信号の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽や映像分野において大規模かつ高倍速化が要求されるDVD(Digital Versatile Disk)やブルーレイディスク等の記録再生可能な光ディスク装置の普及に伴い、記録時における書き込み時間を短縮する要求が高まっている。特にDVDやブルーレイディスク等の光ディスクにおいて、データ未記録状態のディスクやデータ未記録領域が多いディスクにおいては、データ未記録領域からデータ記録領域に突入した際の無駄なアクセス時間(読み出し時間)を減らすことが記録及び読み込み時間の短縮に大きな効果があることが知られている。
【0003】
光ディスクへのデータの記録方式としてウォブルグルーブ方式がある。光ディスクの表面にはグルーブと定義される溝部分と、ランドと定義される溝と溝の間の凸部分が存在する。ランドは一定の周期でうねるように設けられており、このうねりをウォブルと定義する。このウォブルから生成されるウォブル信号を読み取ることにより、正確なデータ記録位置を算出することができる。また、データはグルーブに記録される。その他の光ディスクへのデータの記録方式としてウォブルランドグルーブ方式等もあり、この方式は、グルーブの他に、ランドにもデータを記録する方式である。
【0004】
このような方式において、正確にデータを読み取るために、ウォブル信号の生成が重要となる。以下に、特許文献1に記載されているウォブル信号の生成の原理について図5を用いて説明する。
【0005】
データ記録済みの光ディスクの再生を行う場合、理想的には図5に示したように、ディスク面から光130が光検出器131の分割部分A、B、C及びDに対してそれぞれ均等に反射する。この時ディスク回転方向に沿って配置された分割部分A及びDが生成するA+D信号(以下、「S1信号」とする)と分割部分B及びCが生成するB+C信号(以下「S2信号」とする)における、これら信号に含まれるRF信号成分は同位相で同振幅となる。また、S1信号及びS2信号に含まれるウォブル信号は逆位相で同振幅となる。従って光ディスク信号であるS1信号からS2信号を減算することにより、これら信号に含まれるRF信号成分が相殺され、ウォブル信号成分のみを含む(A+D)−(B+C)信号を取り出すことができる。
【0006】
次に、特許文献2に記載されているウォブル信号生成回路の構成について図6を用いて説明する。ウォブル信号生成回路には、光ディスク信号であるS1信号およびS2信号が入力される。S1信号およびS2信号について、それぞれ、2系統の独立した低域通過フィルタで構成された記録パルス除去フィルタ(以下、「LPF(Low Pass Filter)」とする)50および51でフィルタリング処理を行う。さらに、高域通過フィルタで構成された偏芯成分除去フィルタ(以下、「HPF(High Pass Filter)」とする)52および53でフィルタリング処理を行う。フィルタリング処理されたS1信号及びS2信号に対して、可変ゲインアンプ(以下、「VGA(Variable Gain Amplifier)」とする)54および55で利得を与え、その後、減算器56で光ディスク信号S1から光ディスク信号S2を減算する処理を行う。
【0007】
光検出器の取り付け精度などが原因で、光ディスク信号S1およびS2の振幅は互いに異なる場合がある。この場合、VGA54および55それぞれの出力信号WGAおよびWGBの振幅もまた互いに異なることとなる。そのため、減算器56の出力信号WDFにはRF信号成分が残留することとなる。そこで、帯域通過フィルタ(以下、BPF「(Band Pass Filter)」とする)57で出力信号WDFに残留するRF信号成分を除去してウォブル信号S3を抽出する。その後、ウォブル信号S3は、2値化回路58によって二値化される。
【0008】
次に、出力信号WDFに残留するRF信号成分の除去について説明する。まず、出力信号WDFに含まれるRF信号のみを取り出すために、高域通過フィルタで構成されたウォブル信号除去フィルタ(HPF)60でウォブル信号を除去した出力信号WDH1を生成し、位相比較回路63に出力する。同様に、出力信号WGAについても、高域通過フィルタで構成されたウォブル信号除去フィルタ(HPF)61でウォブル信号を除去した出力信号WGGを生成し、比較器62に出力する。比較器62は、基準電圧Vrefに対して出力信号WGGを二値化した出力信号WDH2を生成し、位相比較回路63に出力する。位相比較回路63は、出力信号WDH1と出力信号WDH2とで位相比較を行い、かつ出力信号WDH1の振幅を検出し、その結果である出力信号WSAを出力する。そして、低域通過フィルタ(LPF)64は、出力信号WSAを整流して、直流電圧の出力信号WSLを出力する。
【0009】
図7は、位相比較回路63による位相比較および振幅検出の概要を説明するためのグラフである。出力信号WDH1と出力信号WDH2との位相関係は、出力信号WGAと出力信号WGBとの信号振幅の大きさで決まる。すなわち、図7(a)に示したように、出力信号WGA>出力信号WGBのとき、出力信号WDH1と出力信号WDH2とは同位相となる。位相比較回路63は、基準電圧Vrefに対して正側に整流された出力信号WSAを出力する。この結果、出力信号WSLは、基準電圧Vrefに対して正の電圧となる。
【0010】
一方、図7(b)に示したように、信号WGA<信号WGBのとき、信号WDH1と信号WDH2とは逆位相であり、位相比較回路63は、基準電圧Vrefに対して負側に整流された出力信号WSAを出力する。この結果、出力信号WSLは、基準電圧Vrefに対して負の電圧となる。
【0011】
図6に戻り、比較器65は、基準電圧Vrefに対して出力信号WSLを二値化した出力信号WCPを出力する。チャージポンプ66は、基準電圧Vrefに対する出力信号WCPの値の正負に応じて、容量素子67に対して電流を流し込むまたは引き込む。これにより容量素子67に生じるゲインコントロール電圧WGCを、VGA55にフィードバックし、VGA55が光ディスク信号S2に与える利得を制御する。
【0012】
図8は、VGA55へのフィードバック制御の概要を示すグラフである。図8(a)に示したように、出力信号WGA>出力信号WGBのとき、信号WSLの電圧は基準電圧Vrefよりも高くなる。このとき、チャージポンプ66は容量素子67に電流を流し込む方向に動作する。この結果、容量素子67のゲインコントロール電圧WGCは、時間経過に伴い上昇する。これに対応して、VGA55の利得が上がり、出力信号WGBの振幅が次第に大きくなる。出力信号WGBの振幅増幅は、出力信号WSLが基準電圧Vrefに到達するまで続く。
【0013】
一方、図8(b)に示したように、出力信号WGA<出力信号WGBのとき、出力信号WSLの電圧は基準電圧Vrefよりも低くなる。このとき、チャージポンプ66は容量素子67から電流を引き込む方向に動作する。この結果、容量素子67のゲインコントロール電圧WGCは、時間経過に伴い降下する。これに対応して、VGA6の利得が下がり、出力信号WGBの振幅が次第に小さくなる。出力信号WGBの振幅減衰は、出力信号WSLが基準電圧Vrefに到達するまで続く。上記のフィードバック制御により、出力信号WSLが基準電圧Vrefと等しくされる。すなわち、出力信号WGAおよび出力WGBに残留するRF信号成分の振幅が等しくされる。これにより、出力信号WDFに残留するRF信号成分をほぼゼロにまで除去することができる。
【0014】
また、ウォブル検波回路59を設け、抽出したウォブル信号S3の振幅を検出させ、その検出結果に応じてVGA54をフィードバック制御する。これにより、ウォブル信号S3の振幅を一定に保つことができ、低ジッタのクロックを得ることができる。
【0015】
また、追記型または書き換え可能な光ディスクにおいてデータが記録されていないデータ未記録領域を再生する場合、光ディスクから読み取られた光ディスク信号にはRF信号が含まれない。この場合、RF信号と比較して振幅の小さいウォブル信号に基づいて、WDH2信号を生成するため、図7に示した出力信号WDH2が不安定となり、回路に不正な過渡応答が生じるおそれがある。そのため、データ未記録領域の再生時には、VGA54およびVGA55の利得を所定値に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平8−194969号公報
【特許文献2】特開2005−196846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1及び特許文献2で説明した技術には、データ未記録領域からデータ記録領域に突入時、または、データ未記録ディスク挿入時にウォブル信号が安定せず、データを読むまでに時間がかかるという問題がある。
【0018】
データ未記録領域でVGA54およびVGA55の振幅を検出する手段がないためVGA54およびVGA55のゲインを固定ゲインに設定することしかできない。そのため、VGA54およびVGA55のデータ未記録領域とデータ記録領域でのゲイン差により過渡応答が発生するためである。
【0019】
データ未記録領域ではRF信号が存在しないため、図7の出力信号WDH1、出力信号WGGが基準電圧Vref固定になり、図7に示すような出力信号WDH1、出力信号WDH2の信号が生成できず、位相比較回路63が正常動作できない。
【0020】
特許文献1及び2のウォブル信号生成回路では、データ未記録領域時はVGA54およびVGA55のゲインを所定値(固定ゲイン)に設定する必要がある。また、前記ゲイン設定値は、光検出器等の設置に伴うバラツキを考慮されていない理想的な信号が入ってくることを想定して決められており、VGA54およびVGA55を同一ゲインに設定する。しかし、光検出器から入力される信号は、理想入力振幅を100%とした場合に50%〜200%程度ばらつくことがある。そのため、VGA54およびVGA55を同一ゲインに設定しても、出力信号WGA、出力信号WGBはほとんど同じ振幅にならない。
【0021】
また、光検出器から入力される信号の振幅がS1信号とS2信号でばらついている場合は、データ記録領域では出力信号WGAと出力信号WGBの振幅レベルをあわせるようなゲインになっている。そのため、VGA5およびVGA6に設定されるゲインも異なる。さらに、データ未記録領域でのVGA54およびVGA55のゲインとデータ記録領域でのVGA54およびVGA55のゲインは異なる。このため、データ未記録領域からデータ記録領域に突入した場合は、出力信号WGAおよび出力信号WGBに過渡応答が発生し、データ未記録領域のVGAゲインとデータ記録領域のVGAゲイン差が大きい場合、過渡応答時間が長くなり、ウォブル信号が安定しない区間が発生し、データを読み込む時間が遅くなる。
【0022】
図9は、従来のデータ未記録領域からデータ記録領域突入時のタイミング図である。条件として、光検出器からの入力信号がばらつきにより、理想入力振幅に対しS1信号の振幅が大きく、S2信号の振幅が小さい。さらに、データ未記録領域時のVGA54およびVGA55の設定ゲインをG1、データ記録領域時のVGA54のゲインをG2、 データ記録領域時のVGA55のゲインをG3とする。
【0023】
データ未記録領域からデータ記録領域に突入した場合は、VGA54のゲインがG1>G2のため、VGA54の出力振幅がクランプする区間が発生する。前記クランプ区間は、ウォブル信号が潰れているためにウォブル信号が存在しない。VGA55の出力振幅は、VGA55のゲインがG1<G3のため、出力振幅が小さくなり、小さな振幅のウォブル信号しか得られない。そのため、VGA54およびVGA55のゲインがそれぞれG2、G3に達するまでウォブル振幅が安定せずウォブル信号の不安定区間T2が存在する。
【0024】
次に、光検出器からの入力信号がばらつき、S1、S2とも小さい場合について説明する。条件としては、図9においてVGA54の出力振幅はVGA55の出力振幅と同振幅で、VGA55の出力と位相が逆相であり、データ記録領域時のVGA54のゲインはVGA55のデータ記録領域時のゲインと同じゲインであるG3と想定する。
【0025】
T1までのデータ未記録領域では、VGA5およびVGA6の出力振幅がともに小さいため、ウォブル信号の目標振幅値Vwに対しウォブル振幅が小さくなる。また、データ未記録領域からデータ記録領域に突入後もVGA54およびVGA55のゲインがG3に達するまでの区間は、ウォブル信号が小さいため、T1+T2の区間ウォブル振幅が小さく、ウォブル信号が不安定な区間が存在し、前記区間では2値化回路9後のウォブル用PLLがロックするのに時間がかかり、最悪はロックできず読み込みエラーやディスク判別エラーになるためである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の実施の態様にかかるウォブル信号生成回路は、光ディスクのデータ未記録領域から読み出される第1のウォブル信号に利得を与える第1のゲインアンプと、光ディスクのデータ未記録領域から読み出される前記第1のウォブル信号と異なる位相を有する第2のウォブル信号に利得を与える第2のゲインアンプと、前記第1のゲインアンプにより利得を与えられた第1のウォブル信号と前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御する制御手段とを備えるものである。
【0027】
また、本発明の第2の実施の態様にかかるウォブル信号生成方法は、光ディスクのデータ未記録領域から読み出される第1のウォブル信号に利得を与え、前記第1のウォブル信号と逆の位相を有する第2のウォブル信号に利得を与え、前記利得を与えられた第1のウォブル信号と前記利得を与えられた第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御することである。
【0028】
本発明では、ウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御を行うため、データ未記録領域からデータ記録領域に突入する際にも同一のゲインを設定することが可能となることから、ゲイン差により生じる過渡応答時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、データ記録時の書き込み時間およびデータ未記録領域が存在するディスクの読み出し時間を短縮するウォブル信号生成回路及びウォブル信号生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかるRECD信号の概要図である。
【図3】実施の形態1にかかるLPP信号の概要図である。
【図4】実施の形態1にかかるデータ未記録領域からデータ記録領域突入時のタイミングを示す図である。
【図5】実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路に入力される信号の概要図である。
【図6】従来のウォブル信号生成回路の構成図である。
【図7】従来の位相比較回路による位相比較方法の概要図である。
【図8】従来の可変ゲインアンプへのフィードバック制御の概要図である。
【図9】従来のデータ未記録領域からデータ記録領域突入時のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路の構成図である。ウォブル信号生成回路はLPF1、2と、HPF3、4、11、12と、VGA5、6と、減算器7、13と、BPF8と、2値化回路9と、振幅検出回路10、17と、加算器14と、セレクト回路15と、クリップ回路16と、ゲイン制御回路18と、RECD出力回路19を備えている。LPF1、2に入力されるS1信号及びS2信号は図5で説明した信号と同様である。
【0032】
ここで、第1のゲインアンプはVGA5に対応し、第2のゲインアンプはVGA6に対応し、制御手段はゲイン制御回路18に対応し、ウォブル信号除去手段は加算器14に対応し、光ディスク信号除去手段は減算器13に対応し、選択手段はセレクト回路15に対応し、判定手段はRECD出力回路19に対応し、フィルタ手段はHPF11、12に対応し、ランドプリピット除去手段はクリップ回路16に対応する。
【0033】
LPF1は、低域通過フィルタであり、特定の閾値よりも低い周波数信号のみを通過させるよう、S1信号のフィルタリングを行う。フィルタリングされた信号WLAはHPF3に出力される。LPF2も同様に、入力されたS2信号をフィルタリングし、フィルタリングした信号WLBをHPF4に出力する。
【0034】
HPF3は、高域通過フィルタであり、特定の閾値よりも高い周波数信号のみを通過させるよう、WLA信号のフィルタリングを行う。フィルタリングされたWHA信号は、VGA5に出力される。HPF4も同様に、入力されたWLB信号をフィルタリングし、フィルタリングしたWHB信号をVGA6に出力する。
【0035】
VGA5は、可変ゲインアンプであり、取得したWHA信号に利得を与える。利得とは、具体的には、WHA信号の振幅を増大させることである。WHA信号の振幅の増大幅は、ゲイン制御回路18から通知されるゲインコントロール電圧に基づいて決定される。利得を与えられたWGA信号は、減算器7及びHPF12に出力される。VGA6も同様に、取得したWHB信号に利得を与え、利得を与えられたWGB信号は減算器7及びHPF11に出力される。WHB信号の増大幅は、ゲイン制御回路18から通知されるゲインコントロール電圧に基づいて決定される。
【0036】
減算器7は、VGA5より取得したWGA信号から、VGA6より取得したWGB信号を減算する。ここで、データ記録領域においては、S1信号、S2信号ともにRF信号を含んでいる。S1信号とS2信号に含まれるRF信号は同位相であるため、S1信号に基づいて生成されているWGA信号から、S2信号に基づいて生成されているWGB信号を減算することにより、RF信号が除去されることになる。但し、S1信号とS2信号の振幅が同一でない場合は、RF信号は完全には除去されない。つまり、残留RF信号が生じる。減算器7にて生成されたWDF信号(残留RF信号を含む)は、BPF8に出力される。
【0037】
BPF8は、残留RF信号を除去すべく、フィルタ処理を行う。フィルタ処理されたS3信号は、2値化回路9及び振幅検出回路10に出力される。
【0038】
振幅検出回路10は、取得したS3信号の出力振幅を検出する。S3信号はウォブル信号を示すものであり、ウォブル信号の振幅には、目標振幅値としてVwが設定されている。ここで、振幅検出回路10は、検出した出力振幅に関する信号WDTDをゲイン制御回路18に対して出力することにより、ゲイン制御回路18は、データ記録領域及びデータ未記録領域においてウォブル信号の振幅が目標振幅値Vwの一定値となるように、VGA5及びVGA6のゲインを制御する。
【0039】
HPF11はVGA6から取得したWGB信号をフィルタリング処理する。ここで、HPF11は、RECD信号(データ未記録領域検出信号)出力回路19から取得したRECD信号に基づいて、データ記録領域かデータ未記録領域かを判断する。
【0040】
ここで、図2を用いて、RECD信号について説明する。データを記録可能な光ディスクにおいて、RF信号が存在するデータ記録領域T1及びT3と、RF信号が存在しないデータ未記録領域T2が存在する。RECD信号は、RF信号が存在するデータ記録領域T1、T3ではハイレベルになり、RF信号が存在しないデータ未記録領域T2ではロウレベルになる信号である。RECD信号出力部19から出力されるRECD信号は、HPF11、12とセレクト回路15と、クリップ回路16に入力される。
【0041】
図1に戻り、HPF11は、RECD信号に基づいてデータ記録領域と判断した場合には、ウォブル信号を除去できる遮断周波数を設定する。ここで、ウォブル信号の周波数は記録するメディアおよび倍速毎に予め定められているものとする。データ未記録領域と判断した場合には、ウォブル信号が通過できる遮断周波数を設定する。フィルタリング処理されたWHGB信号は、減算器13又は加算器14に出力される。HPF11は、ウォブル信号が除去される遮断周波数を設定しフィルタリングしたWHGB信号を減算器13に出力し、ウォブル信号が通過される遮断周波数を設定しフィルタリングしたWHGB信号を加算器14に出力してもよい。HPF12も同様に、VGA5から取得したWGA信号をフィルタリング処理し、WHGA信号を減算器13又は加算器14に出力する。
【0042】
減算器13は、HPF12の出力信号WHGAからHPF11の出力信号WHGBを減算する。これにより、データ記録領域におけるVGA5の出力信号WGAとVGA6の出力信号WGBの振幅差分であるRF信号(以下、「残留RF信号」とする)が出力される。残留RF信号を示すWDIF信号は、セレクト回路15に出力される。
【0043】
加算器14は、HPF12の出力信号WHGAにHPF11の出力信号WHGBを加算する。S1信号とS2信号のウォブル信号は逆位相であることから、加算器14でS1信号とS2信号を加算することにより、データ未記録領域VGA5の出力信号WGAとVGA6の出力信号WGBの振幅差分のウォブル信号(以下、「残留ウォブル信号」とする)が出力される。残留ウォブル信号を示すWADD信号は、セレクト回路15に出力される。
【0044】
セレクト回路15は、RECD出力回路から取得したRECD信号に基づいて、データ記録領域かデータ未記録領域かを判断する。データ記録領域の場合、減算器13から取得したWDIF信号を選択し、データ未記録領域の場合、加算器14から取得したWADD信号を選択する。セレクト回路15は、選択した信号をSLD信号としてクリップ回路16に出力する。
【0045】
クリップ回路16は、光ディスクであるDVD−R/RWディスクに存在するLPP(Land Pre Pit)信号を除去する。LPPとは、光ディスク上に配置されているランド部分にアドレス情報を示すために設けられた途切れ部分を示す。
【0046】
クリップ回路16の動作について、図3を用いて説明する。セレクト回路15から出力されるSLO信号はウォブル信号とLPP信号を含んでいる。LPP信号はウォブル信号に対して約2〜3倍の振幅がある。そこで、クリップ回路は、LPP信号を除去するために、上限クリップ電圧VC1、下限クリップ電圧VC2を設定する。クリップ回路16に入力されたSLD信号は、クリップ電圧VC1及びVC2でクリップされることで、LPP信号を除去する。
【0047】
図1に戻り、クリップ回路16から出力される信号CLDは、振幅検出回路17に出力される。
【0048】
振幅検出回路17は、残留RF信号もしくは残留ウォブル信号の振幅を検出し、ゲイン制御回路18に検出結果を示すRDTD信号を出力する。
【0049】
ゲイン制御回路18は、取得したRDTD信号に示される残留RF信号もしくは残留ウォブル信号の振幅レベルに応じて、VGA6のゲインコントロール電圧WGCを生成し、最終的に残留RF信号もしくは残留ウォブル信号がゼロになるようにVGA6のゲインを制御する。もしくは、VGA5のゲインコントロール電圧WGDを生成し、WGC及びWGDによりVGA5及びVGA6を制御して、最終的に残留RF信号もしくは残留ウォブル信号がゼロになるようにしてもよい。さらに、振幅検出回路10から取得したWDTD信号に基づいて、S3信号の振幅を、データ記録領域及びデータ未記録領域において、目標振幅値であるVwにするようVGA5、VGA6のゲインを制御する。
【0050】
ここで、図4を用いて、データ未記録領域からデータ記録領域突入時のタイミングとゲインコントロールについて説明する。図4において、前提とする条件は、データ未記録領域時のVGA5及びVGA6の設定ゲインをG1、データ記録領域時のVGA5のゲインをG2、データ記録領域時のVGA6のゲインをG3とする。また、ウォブル信号の振幅は、ウォブル信号の目標振幅値Vwより小さく、VGA5のゲインがG1>G2、VGA6のゲインがG1<G3の状態とする。
【0051】
ウォブル振幅は、ウォブル信号の目標振幅値Vwと不一致で、かつ、VGA5の出力振幅とVGA6の出力振幅が不一致な期間T3では、ウォブル振幅が目標振幅値Vwより小さいので、目標振幅値Vwに達するまでVGA5のゲインが上がる。VGA6のゲインは、VGA5の出力振幅>VGA6の出力振幅なので、VGA5の振幅とVGA6の振幅を同振幅にしようと動作するため、VGA6のゲインが上がる。
【0052】
期間T4では、ウォブル振幅は、ウォブル信号の目標振幅値Vwと一致したが、VGA5の出力振幅はVGA6の出力振幅よりも大きく、不一致となっている。そのため、VGA5の振幅とVGA6の振幅を同振幅にしようと動作するため、VGA6のゲインが上がる。また、VGA6のゲインがあがるとウォブル振幅は、目標設定値Vwより大きくなるため、VGA5のゲインが下がる方向に動作する。
【0053】
最終的に、VGA5のゲイン及びVGA6のゲインはVGA5出力振幅とVGA6の出力振幅が同振幅、ウォブル振幅がウォブル信号の目標振幅値Vwになるように動作し、VGA5のゲインはG2、VGA6のゲインはG3になる。
【0054】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路を用いることにより、データ未記録領域におけるウォブル信号の振幅に基づいたゲインコントロールを行うことが出来る。これにより、データ未記録領域とデータ記録領域において、同一のゲインを設定することが可能となり、ウォブル信号の振幅が不安定になる区間を短くできる。これより、データを読み込むまでの処理時間を早くすることができる。さらに、データ未記録領域とデータ記録領域において、それぞれゲインコントロールをすることにより、それぞれの領域において最適なゲインを設定することができる。
【0055】
また、本発明の実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路を用いることにより、S1信号とS2信号のウォブル信号の振幅もしくはRF信号の振幅を実質的に同一にすることで、ウォブル信号を高精度に抽出することができる。
【0056】
また、本発明の実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路を用いることにより、常にウォブル振幅を一定振幅にすることができる。これは、データ記録領域とデータ未記録領域ともにウォブル信号振幅が一定になるように、振幅検出回路10にてウォブル信号の振幅を検出し、ゲイン制御回路18によりウォブル信号が目標振幅になるようにVGA5およびVGA6のゲインを制御しているからである。
【0057】
また、本発明の実施の形態1にかかるウォブル信号生成回路を用いることにより、データ未記録領域でもウォブル振幅を目標振幅に維持でき、ウォブル信号を検出しやすくなるため、データ未記録ディスク挿入時のメディア判別処理を早くすることができる。
【0058】
(その他の実施の形態)
実施の形態1においては、データ未記録領域とデータ記録領域において、それぞれVGA5及びVGA6から出力されるWGA及びWGBのゲインを制御している。ここで、データ記録領域においては、データ未記録領域において設定したゲインを引き継いでVGA5及びVGA6に与えるゲインを設定してもよい。この場合、図1のセレクト回路15は不要となり、加算器14から出力される残留ウォルブ信号の振幅に基づいてゲイン制御回路18は、VGA5及びVGA6に与えるゲインを設定する。
【0059】
これにより、データ未記録領域からデータ記録領域へ突入する際に異なるゲインを設定することを回避することができ、データを読み込むまでの時間を短くすることができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1、2 LPF
3、4、11、12 HPF
5、6 VGA
7、13 減算器
8 BPF
9 2値化回路
10、17 振幅検出回路
14 加算器
15 セレクト回路
16 クリップ回路
18 ゲイン制御回路
19 RECD出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクのデータ未記録領域から読み出される第1のウォブル信号に利得を与える第1のゲインアンプと、
光ディスクのデータ未記録領域から読み出される前記第1のウォブル信号と異なる位相を有する第2のウォブル信号に利得を与える第2のゲインアンプと、
前記第1のゲインアンプにより利得を与えられた第1のウォブル信号と前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御する制御手段とを備えるウォブル信号生成回路。
【請求項2】
前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた第2のウォブル信号を用いて、前記第1のゲインアンプにより利得を与えられた第1のウォブル信号成分を除去するウォブル信号除去手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ウォブル信号除去手段によって生成された残留ウォブル信号に基づいて、前記第1のゲインアンプにより利得を与えられた第1のウォブル信号と前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御することを特徴とする請求項1記載のウォブル信号生成回路。
【請求項3】
前記第2のウォブル信号は前記第1のウォブル信号と実質的に逆の位相を有し、
前記ウォブル信号除去手段は、前記第1のゲインアンプにより利得を与えられた第1のウォブル信号に前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた第2のウォブル信号を加算することを特徴とする請求項2記載のウォブル信号生成回路。
【請求項4】
前記第1のゲインアンプは、光ディスクのデータ記録領域から読み出される第1の光ディスク信号に利得を与え、
前記第2のゲインアンプは、前記第1のRF信号と実質的に同一の位相を有する第2の光ディスク信号に利得を与え、
前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた第2の光ディスク信号を用いて前記第1のゲインアンプにより利得を与えられた第1の光ディスク信号を除去する光ディスク信号除去手段と、
前記ウォブル信号除去手段により生成された残留ウォブル信号と前記光ディスク信号除去手段により生成された残留光ディスク信号のどちらか一方を選択する選択手段とをさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウォブル信号生成回路。
【請求項5】
光ディスクのデータ記録領域とデータ未記録領域を判定する判定手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記判定手段により、データ未記録領域と判定された場合は前記ウォブル信号除去手段により生成された残留ウォブル信号を選択し、データ記録領域と判定された場合は前記光ディスク信号除去手段により生成された残留光ディスク信号を選択することを特徴とする請求項4記載のウォブル信号生成回路。
【請求項6】
前記制御手段は、前記選択手段により選択された前記残留ウォブル信号と前記残留光ディスク信号のどちらか一方の信号に基づいて、前記第1のウォブル信号と前記第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするか又は前記第1の光ディスク信号と前記第2の光ディスク信号の振幅を実質的に同一とするように制御することを特徴とする請求項4又は5記載のウォブル信号生成回路。
【請求項7】
前記判定手段によりデータ記録領域と判定された場合は、前記第1のゲインアンプ及び前記第2のゲインアンプにより利得を与えられた光ディスク信号から、ウォブル信号を除去する遮断周波数を設定するフィルタ手段をさらに備えることを特徴とする請求項5又は6記載のウォブル信号生成回路。
【請求項8】
前記選択手段により選択された前記ウォブル信号除去手段により生成された残留ウォブル信号又は前記光ディスク信号除去手段により生成された残留光ディスク信号からランドプリピット信号を除去するランドプリピット除去手段をさらに備えることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のウォブル信号生成回路。
【請求項9】
光ディスクのデータ未記録領域から読み出される第1のウォブル信号に利得を与え、
前記第1のウォブル信号と逆の位相を有する第2のウォブル信号に利得を与え、
前記利得を与えられた第1のウォブル信号と前記利得を与えられた第2のウォブル信号の振幅を実質的に同一とするように制御するウォブル信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−238270(P2010−238270A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81672(P2009−81672)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】