説明

ウオッシャノズル

【課題】 液体の噴射量を増加させることができると共に、液体による洗浄性を向上させることができるウオッシャノズルを提供する。
【解決手段】 液体噴射口に洗浄液Sを噴射させるノズル体12を保持したノズルハウジング11に一対の係止部15,15を突設し、この一対の係止部15,15を被取付体30に形成した取付孔31に取り付け、ノズルハウジング11に形成した液体供給流路13に洗浄液Sを圧送すると共に、該洗浄液Sをノズル体12から噴射するようにしたウオッシャノズル10において、ノズルハウジング11に形成した液体供給流路13を、メイン液体供給流路13Aと、このメイン液体供給流路13Aの中央から放射状に延びる3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cとで形成し、この3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cの先端に液体噴射口11a,11b,11cをそれぞれ形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスに洗浄液等の液体を噴射させるウオッシャノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のウオッシャノズルとして、図9に示すものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このウオッシャノズル1は、図9に示すように、液体噴射口2aから洗浄液を噴射させるノズル体3を保持したノズルハウジング2を有している。このノズルハウジング2の底面2bには下方に延びるように筒部4を一体形成してある。この筒部4には液体噴射口2aに連通する液体供給口4aを形成してある。また、筒部4の略中央の両側には一対の係止突部5,5を略V字状に一体形成してある。
【0004】
この一対の係止突部5,5のL字溝状に切り欠かれた各先端5aは、車体パネル8の外側より該車体パネル8に形成した取付孔9に係止、離脱自在になっている。そして、この係止時に、ノズルハウジング2の底面2bと一対の係止突部5,5の各先端5aとの間でダンパシート6を介して車体パネル8を挾持することにより、車体パネル8にウオッシャノズル1が外側から取り付けられるようになっている。
【0005】
【特許文献1】実開平3−78665号公報
【0006】
【特許文献2】実開昭61−129660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のウオッシャノズル1では、ノズルハウジング2に液体噴射口2aが一箇所しか設けられていないため、洗浄液の噴射量(吐出量)が少なく、洗浄性が悪かった。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、液体の噴射量を増加させることができると共に、液体による洗浄性を向上させることができるウオッシャノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、液体噴射口に液体を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングに一対の係止部を突設し、この一対の係止部を被取付体に形成した取付孔に係止、離脱自在に取り付け、前記ノズルハウジングに形成した液体供給流路に前記液体を圧送すると共に、該液体を前記ノズル体から噴射するようにしたウオッシャノズルにおいて、前記ノズルハウジングに前記液体噴射口を複数設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のウオッシャノズルであって、前記液体供給流路を、メイン液体供給流路と、このメイン液体供給流路の所定位置から放射状に延びる複数のサブ液体供給流路とで形成し、この複数のサブ液体供給流路の先端に前記液体噴射口をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1記載のウオッシャノズルであって、前記液体供給流路を、メイン液体供給流路と、このメイン液体供給流路の中央から放射状に延びる3つのサブ液体供給流路とで形成し、この3つのサブ液体供給流路の先端に前記液体噴射口をそれぞれ形成すると共に、該各液体噴射口に球面状凹部をそれぞれ形成し、この各球面状凹部に前記ノズル体を摺動自在に保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ノズルハウジングに液体噴射口を複数設けたことにより、液体の噴射量を増加させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、液体供給流路を、メイン液体供給流路と、このメイン液体供給流路の所定位置から放射状に延びる複数のサブ液体供給流路とで形成し、この複数のサブ液体供給流路の先端に液体噴射口をそれぞれ形成したことにより、複数の液体噴射口に液体をスムーズに供給することができると共に、液体の噴射量を増加させることができる。これにより、液体による洗浄性を向上させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、液体供給流路を、メイン液体供給流路と、このメイン液体供給流路の中央から放射状に延びる3つのサブ液体供給流路とで形成し、この3つのサブ液体供給流路の先端に液体噴射口をそれぞれ形成すると共に、該各液体噴射口に球面状凹部をそれぞれ形成し、この各球面状凹部にノズル体を摺動自在に保持したことにより、3つの液体噴射口に液体をスムーズに供給することができると共に、液体の噴射量を増加させることができる。これにより、液体による洗浄性をより一段と向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態のウオッシャノズルを示す正面図、図2は同ウオッシャノズルの背面図、図3は同ウオッシャノズルの平面図、図4は同ウオッシャノズルの底面図、図5は同ウオッシャノズルを前方から見た斜視図、図6は同ウオッシャノズルを後方から見た斜視図、図7は同ウオッシャノズルの要部を断面で示す説明図、図8は図7中X−X線に沿う断面図である。
【0017】
図1〜図8に示すように、ウオッシャノズル10はポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂製のノズルハウジング11を備えている。このノズルハウジング11は3つの液体噴射口11a,11b,11cに球面状凹部11dをそれぞれ形成してあり、この各球面状凹部11dに洗浄液(液体)Sを噴射させる合成樹脂製のノズル体12を摺動自在に保持してある。さらに、図7に示すように、ノズルハウジング11の各液体噴射口11a,11b,11cとノズル体12の液体用流路12a及び円筒状の液体供給口11eとは液体供給流路13でそれぞれ連通されている。
【0018】
この液体供給流路13は、メイン液体供給流路13Aと、このメイン液体供給流路13Aの中央から放射状に延びる3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cとで形成されている。そして、この3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cの先端に各液体噴射口11a,11b,11cをそれぞれ形成してある。この各液体噴射口11a,11b,11cは、ノズルハウジング11の前面11fの中央の平坦面と両側の傾斜面にそれぞれ略等距離隔てて円形凹状に形成してある。また、各液体噴射口11a,11b,11cの奥には球面状凹部11dをそれぞれ形成し、この各球面状凹部11dにノズル体12を摺動自在に保持してある。尚、ノズルハウジング11に対するノズル体12の液体用流路12aの傾き、即ち、ノズル体12の液体用流路12aから噴射される洗浄液Sの噴射方向は調整できるようになっている。
【0019】
また、図1,図2に示すように、ノズルハウジング11の底面11gには一対の固定支持部14,14を下方に四角柱状に一体突出形成してある。この各固定支持部14の下端外側には斜め上方に延びて弾性変形する係止爪(係止部)15を一体突出形成してある。この一対の係止爪15,15の各先端は各固定支持部14側に略く字状に折れ曲がっており、その各先端の外面は係止面15aになっている。そして、図2に示すように、各係止爪15の先端の係止面15aは車体パネル(被取付体)30の外側より該車体パネル30に形成した取付孔31に係止、離脱自在に取り付けられるようになっている。
【0020】
さらに、図2〜図8に示すように、ノズルハウジング11の略円筒状の液体供給口11e内には円筒状のニップル16を嵌合してある。このニップル16の上部の上面には、円環状の突起部16aが形成されている。逆止弁20は、ニップル16の円環状の突起部16aに当接、離反されるゴム製で円盤皿状のパッキン21と、このパッキン21を保持する合成樹脂製で略円筒状のガイド22と、このガイド22と液体供給口11e内の奥の底面との間に介在されてガイド22とパッキン21を円環状の突起部16a側に付勢させて、常時は該パッキン21を該突起部16aに圧接するコイルスプリング(付勢手段)23とで構成されている。また、図8に示すように、ニップル16の先端部16bには供給チューブ17を連結してある。この供給チューブ17は、図1〜図3に示すノズルハウジング11の枠状の把持部11hに把持されて図示しない供給ポンプの吐出側に接続されていて、該供給ポンプが作動すると、洗浄液タンクから圧送される洗浄液Sにより、逆止弁20のガイド22とパッキン21は、コイルスプリング23の付勢力に抗して円環状の突起部16aから離れる方向に移動され、洗浄液Sは供給チューブ17及びニップル16を介してノズルハウジング11の液体供給流路13に圧送されるようになっている。
【0021】
以上実施形態のウオッシャノズル10によれば、図7に示すように、合成樹脂製のノズルハウジング11の前面11fの中央の平坦面と両側の傾斜面に略等距離隔てて3つの液体噴射口11a,11b,11cをそれぞれ形成し、かつ、ノズルハウジング11の中央に形成した液体供給流路13を、メイン液体供給流路13Aと、このメイン液体供給流路13Aの中央から放射状に延びる3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cとで形成し、この3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cの先端に液体噴射口11a,11b,11cをそれぞれ形成すると共に、該各液体噴射口11a,11b,11cに球面状凹部11dをそれぞれ形成し、この各球面状凹部11dに合成樹脂製のノズル体12を摺動自在に保持したことにより、3つの液体噴射口11a,11b,11cに洗浄液Sをスムーズに供給することができると共に、従来のものに比べて、洗浄液Sの噴射量(吐出量)を増加させることができる。これにより、洗浄液Sによる洗浄性をより一段と向上させることができる。
【0022】
また、図3〜図6及び図8に示すように、ノズルハウジング11の液体供給流路13を成すメイン液体供給流路13Aと3つのサブ液体供給流路13a,13b,13cとの周りの肉厚を肉盗みして薄くなるように形成したことにより、ウオッシャノズル10全体の軽量化をより一段と図ることができる。
【0023】
尚、前記実施形態によれば、ウオッシャノズルを自動車の車体パネルに取り付ける場合について説明したが、その取付対象は自動車の車体パネルに限られるものではなく、ウインドガラスやカウルカバー等の他の被取付体にウオッシャノズルを取り付けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のウオッシャノズルを示す正面図である。
【図2】上記ウオッシャノズルの背面図である。
【図3】上記ウオッシャノズルの平面図である。
【図4】上記ウオッシャノズルの底面図である。
【図5】上記ウオッシャノズルを前方から見た斜視図である。
【図6】上記ウオッシャノズルを後方から見た斜視図である。
【図7】上記ウオッシャノズルの要部を断面で示す説明図である。
【図8】図7中X−X線に沿う断面図である。
【図9】従来のウオッシャノズルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 ウオッシャノズル
11 ノズルハウジング
11a,11b,11c 液体噴射口
11d 球面状凹部
12 ノズル体
13 液体供給流路
13A メイン液体供給流路
13a,13b,13c サブ液体供給流路
15,15 一対の係止爪(係止部)
30 車体パネル(被取付体)
31 取付孔
S 洗浄液(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射口に液体を噴射させるノズル体を保持したノズルハウジングに一対の係止部を突設し、この一対の係止部を被取付体に形成した取付孔に係止、離脱自在に取り付け、前記ノズルハウジングに形成した液体供給流路に前記液体を圧送すると共に、該液体を前記ノズル体から噴射するようにしたウオッシャノズルにおいて、
前記ノズルハウジングに前記液体噴射口を複数設けたことを特徴とするウオッシャノズル。
【請求項2】
請求項1記載のウオッシャノズルであって、
前記液体供給流路を、メイン液体供給流路と、このメイン液体供給流路の所定位置から放射状に延びる複数のサブ液体供給流路とで形成し、この複数のサブ液体供給流路の先端に前記液体噴射口をそれぞれ形成したことを特徴とするウオッシャノズル。
【請求項3】
請求項1記載のウオッシャノズルであって、
前記液体供給流路を、メイン液体供給流路と、このメイン液体供給流路の中央から放射状に延びる3つのサブ液体供給流路とで形成し、この3つのサブ液体供給流路の先端に前記液体噴射口をそれぞれ形成すると共に、該各液体噴射口に球面状凹部をそれぞれ形成し、この各球面状凹部に前記ノズル体を摺動自在に保持したことを特徴とするウオッシャノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−264514(P2006−264514A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85915(P2005−85915)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000181251)自動車電機工業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】