説明

ウッディータイプの付香成分

本発明は、3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルまたは3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル誘導体の付香成分としての使用、ならびに前記化合物を含有する組成物または物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。より具体的には、本発明は、3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルまたは3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル誘導体の付香成分としての使用に関する。本発明は、前記化合物を含有する組成物または物品に関する。
【0002】
背景技術
我々が知る限り、式(I)の化合物のうち、2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールのみが知られている。前記化合物は、複数の文献中で、化学中間体として言及されている(たとえばUS4491537)。
【0003】
しかし、これらの従来技術の文献は式(I)の化合物の感覚受容性の特性、または前記化合物を香料分野で使用することについて報告も示唆もしていない。さらに、従来技術は、単に反応媒体であり、かつ付香組成物ではあり得ない公知の化合物の組成物に言及している。
【0004】
発明の開示
意外なことに我々は、式
【化1】

[式中、点線は単結合または二重結合を表し、
1は、C1〜C4のアルキル基またはアルケニル基を表し、
2は、メチル基またはエチル基を表し、かつ
3は、水素原子を表すか、またはメチル基、ホルミル基またはアセチル基を表す]の化合物が、立体異性体の任意の形またはこれらの混合物の形で、付香成分として、たとえばウッディーなタイプの匂いのノートを付与するために使用できることを見いだした。
【0005】
式(I)の化合物は、異性体またはその混合物のいずれかの形であってよく、かつ特にエンド異性体またはエキソ異性体の形で、またはこれらの混合物の形であってよい。
【0006】
本発明の特別な実施態様によれば、式
【化2】

[式中、R1は、C1〜C4のアルキル基またはアルケニル基を表し、かつR2は、メチル基またはエチル基を表す]の化合物が特に有利である。
【0007】
とりわけ、その異性体またはこれらの混合物のいずれかの形の式
【化3】

の2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールが、そのパチュリーのノートのために調香師により特に有利であると評価される。2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2エキソ−イル)−2−プロパノールおよび2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2エンド−イル)−2−プロパノールの組成物の形であり、該組成物においてエンド異性体が組成物の少なくとも50質量%である式(III)の化合物もまた挙げることができる。
【0008】
式(I)の化合物の中で、特に、および非限定的な例として、2つの立体異性体エキソ/エンド≒30/70の混合物の形での2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールを挙げることができる。この化合物は、ウッディーなパチュリーの匂いを有し、樟脳の、フルーティーかつマリーゴールドのノートを備えている。全体的な匂いは、パチュリー精油のトップノートを強く想起させる。パチュリーの匂いを有する従来技術による化合物と比較して、2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールは、調香師により、最も自然な官能特性を有していると評価された。
【0009】
本発明による化合物のその他の例は、2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−2−プロパノールまたは2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2エンド−イル)−2−ペンタノールであり、これらはウッディー・ドライなタイプの匂いを有している。
【0010】
本発明による化合物のもう1つの例は、2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−ブタノールであり、かつ特にわずかな樟脳のボトムノートを有しニース・パインおよびボルネオールのノートにより特徴付けられるそのエキソ異性体である。
【0011】
さらに2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−ヘキサノールは、上記のそのプロパノール同族体と同様に、ウッディーな匂いおよびパチュリーのノートを有しているが、しかしその低級同族体からは、グリーンなノートをも有していることによって区別される。
【0012】
最後に、ボルネオール、グリーンおよびわずかにファッティなタイプの匂いのノートを有する2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−ペンテン−2−オールを挙げることができる。
【0013】
上記のとおり、本発明は、式(I)の化合物の付香成分としての使用に関する。換言すれば、本発明は付香組成物または付香される物品の匂いの特性を付与、強化、改善または変性する方法に関し、この方法は、前記組成物または物品に、有効量で少なくとも1の式(I)の化合物を添加することからなる。「式(I)の化合物の使用」とは、ここでは香料産業において活性成分として有利に使用することができる化合物(I)を含有する任意の組成物の使用でもあると理解すべきである。
【0014】
前記の組成物は、実際に付香成分として有利に使用することができ、本発明の対象でもある。
【0015】
従って本発明のもう1つの対象は、
i)付香成分として、上記の少なくとも1の本発明による化合物、
ii)香料キャリアおよび香料ベースからなる群から選択される少なくとも1の成分、および
iii)場合により少なくとも1の香料補助剤
を含有する付香組成物である。
【0016】
「香料キャリア」とはここでは香料の観点から実質的に中立的である、つまり付香成分の官能特性を顕著に変えることがない材料を意味する。前記キャリアは液状であっても固体であってもよい。
【0017】
液状のキャリアとして、非限定的な例として、乳化系、つまり溶剤および界面活性剤系、または香料において通常使用される溶剤を挙げることができる。香料において通常使用される溶剤の性質および種類の詳細な記載は、包括的なものとはなりえない。しかし、非限定的な例として、たとえばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノールまたはエチルシトレートのような溶剤を挙げることができ、これらは最も一般的に使用されている。
【0018】
固体のキャリアとして、非限定的な例として、吸収性ゴムまたはポリマー、またはカプセル化材料を挙げることができる。このような材料の例は、たとえば壁を形成する材料および可塑化材料、たとえば単糖類、二糖類または三糖類、中性もしくは変性されたデンプン、ヒドロコロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質もしくはペクチン、または参考文献、たとえばH.Scherz、ヒドロコロイド(Hydrokolloids):食料品中の安定剤、増粘剤および添加剤、食料品の化学(Lebensmittelchemie)シリーズ第2巻、Behr’s Verlag GmbH&Co.出版、ハンブルク、1996年に挙げられる材料のような材料を含んでいてよい。カプセル化は、当業者に周知の技術であり、たとえば噴霧乾燥、凝集化、または押出成形のような、またはコアセルベーションもしくは錯体コアセルベーション技術を含む被覆カプセル化からなる技術を使用して実施することができる。
【0019】
一般論として、「香料ベース」とはここでは少なくとも1の付香補助成分を含有する組成物を意味する。
【0020】
前記の付香補助成分は、式(I)の成分ではない。さらに。「付香補助成分」とは、ここでは付香調製物または組成物中で使用されて心地よい効果を付与する化合物を意味する。換言すれば、このような補助成分は付香成分であるとみなされうるが、当業者によれば単に匂いを有しているのみではなく、組成物の匂いを肯定的に、または快適に付与または変性することができる付香成分であると考えられている。
【0021】
ベース中に存在する付香補助成分の性質および種類は、ここでより詳細な記載は不要であり、そのような記載はいずれにしても包括的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、かつ意図される使用または適用および所望の官能効果によりこれらの成分を選択することができる。一般的な名称では、これらの付香補助成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素もしくは硫黄の複素環式化合物および精油として分類される化学クラスに属し、かつ前記付香補助成分は、天然に由来するものであっても、合成に由来するものであってもよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、S.Arctander、香料およびフレーバーの化学(Perfume and Flavor Chemicals)、1969年、(USA、New Jersey、Montclair)のような参考文献またはその最新版、あるいは類似の性質のその他の文献、ならびに香料の分野における豊富な特許文献に列挙されている。前記補助成分は、制御された方法で、種々のタイプの付香化合物を放出することで知られている化合物であってもよいと理解される。
【0022】
特に、本発明による化合物、特に2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールおよび(5RS,6RS)−2,6,10,10−テトラメチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−6−オールを、たとえば同量で含有する本発明による組成物は、これらの2種類の別々の成分よりも、より自然で、長続きするパチュリーのノートを付与する相乗効果の存在に基づいて、特に調香師から有利であるとの評価を受けている。
【0023】
香料キャリアと香料ベースとの両方を含有する組成物に関して、前記で特定したもの以外のその他の適切な香料キャリアは、エタノール、水/エノタール混合物、リモネンまたはその他のテルペン、イソパラフィン、たとえば商標名Isopar(登録商標)(Exxon Chemical社製)で知られているもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、たとえば商標名Dowanol(登録商標)(Dow Chemical Company社製)で知られているものであってもよい。
【0024】
一般論として、「香料添加剤」とは、ここでは付加的に追加の利点、たとえば色、特に耐光性、化学的安定性等を付与することができる成分を意味する。香料ベースにおいて通常使用される添加剤の性質および種類の詳細な記載は、包括的なものとはなり得ないが、しかしこのような成分は、当業者に周知であることを言及しておかなくてはならない。
【0025】
少なくとも1の式(I)の化合物および少なくとも1の香料キャリアを含有する本発明による組成物は、少なくとも1の式(I)の化合物、少なくとも1の香料キャリア、少なくとも1の香料ベースおよび場合により少なくとも1の香料添加剤を含有する付香組成物とならんで、本発明の特別な実施態様である。
【0026】
ここで、上記の組成物において、1以上の式(I)の化合物を含有することは、調香師が本発明の種々の化合物の匂いの調性を有するアコード、香水を調製することができ、ひいては彼らの仕事に取っての新たなツールを生み出すために、重要であることに言及することは有用である。
【0027】
ここではまた、その他の指示または記載がない限り、たとえば適切な精製を行うことなく、本発明による化合物が出発材料、中間体または最終生成物として関与する化学合成から直接に得られる任意の混合物は、本発明による付香組成物としてみなされえないとも理解されるべきである。
【0028】
さらに、本発明による化合物は、前記化合物(I)が添加される消費製品の匂いを肯定的に付与または変性するために、現代の香料の全ての分野において有利に使用することができる。従って、
i)付香成分として、上記の少なくとも1の式(I)の化合物、および
ii)消費製品ベース
を含む、付香された物品もまた本発明の対象である。
【0029】
明瞭性のために、ここで「消費製品ベース」とは、付香成分と相容性である消費製品を意味することに言及しておかなくてはならない。換言すれば、本発明による付香された物品は、機能的な調製物、ならびに場合により付加的に有利な添加剤を含んでおり、消費製品、たとえば洗剤またはエアーフレッシュナーに相応し、かつ嗅覚的に有効量の少なくとも1の本発明による化合物を含有する。
【0030】
消費製品の成分の性質および種類は、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、これはいずれにしても包括的なものとはならず、当業者は自身の一般的な知識および前記製品の性質および所望の効果に基づいてこれらを選択することができる。
【0031】
適切な消費製品の例は、固体洗剤または液体洗剤、および繊維柔軟剤、ならびに香料において慣用のその他の全ての物品、つまり香水、コロンまたはアフターシェーブローション、付香されたセッケン、シャワー用またはバス用ソルト、ムース、オイルまたはジェル、衛生用品またはヘアケア製品、たとえばシャンプー、ボディケア製品、消臭剤または制汗剤、エアーフレッシュナーおよび化粧品である。洗剤として、食器洗いのため、または家庭用または工業用の使用のために意図された、種々の表面の洗浄のための、たとえばテキスタイル、食器または硬質表面処理のために意図された洗剤組成物またはクリーニング製品のような意図された適用が存在する。その他の付香された製品は、ファブリックリフレッシュナー、アイロン水、紙、拭き取りクロスまたは漂白剤である。
【0032】
上記の消費製品ベースのいくつかは、本発明による化合物に関して攻撃的な媒体でありうるので、本発明による化合物をたとえばカプセル化によって、早すぎる分解から保護する必要があり得る。
【0033】
本発明による化合物を種々の前記の物品または組成物へ配合することができる比率は、広い値の範囲で変動することができる。これらの値は、付香される物品の性質および所望の官能効果、ならびに本発明による化合物を、当該分野で通常使用される付香補助成分、溶剤または添加剤と混合する場合に任意のベース中の補助添加剤の性質に依存する。
【0034】
たとえば付香組成物の場合、一般的な濃度は、本発明による化合物が配合される組成物の質量に対して、本発明による化合物を0.001〜30質量%の範囲、またはそれ以上である。これより低い濃度、たとえば0.1質量%〜15質量%のオーダーの濃度は、これらの化合物を付香される物品へ配合する場合に使用することができ、この場合、パーセントの記載は物品の質量に対するものである。
【0035】
本発明による化合物は、文献に基づいて合成することができ、特に2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールのエキソおよびエンド異性体の両方は、Vathke−Ernst H.等のChem. Ber.(114)、1981年、第1464頁の記載に基づいて、相応するグリニャール試薬を2−アセチル−3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンに添加することにより得られる(T.Willhalm等のHelv.Chim.Acta、1967年、第826頁を参照のこと)。
【0036】
ところで以下の実施例により本発明をさらに詳細に記載するが、この場合、略号は通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で記載されている。NMRスペクトルデータは、(その他の記載がなければ)1Hおよび13Cに関して360MHzまたは400MHzの装置中、CDCl3中で記録したものであり、ケミカルシフトδは、標準としてTMSに対するppmで示されており、結合定数Jは、Hzで表されている。
【0037】
実施例
例1
1−(3,3−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−エタノンの製造は、そのエンド異性体またはエキソ異性体への分離と同様に、従来技術に記載されている。以下の実験の部では、最終化合物の所望の比率に依存して前記のケトンを種々のエキソ/エンド比で使用した。
【0038】
式(I)の化合物の合成:一般的な手順
1−(3,3−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−エタノン(10g)を、1.2当量の塩化メチルマグネシウム(THF中の3M溶液)へ、または塩化エチルマグネシウム(THF中2.8Mの溶液)へ、または塩化アリルマグネシウム(THF中2Mの溶液)へ、0℃で30分にわたり滴加した。0℃で1時間、および室温で一夜攪拌した後に、該溶液を0℃に冷却し、かつNH4Clの溶液で加水分解した。水相をエーテルで3回洗浄した。合したエーテル相を水で洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、かつ溶剤を蒸発させた。次いで粗生成物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:シクロヘキサン/AcOEt=2/98)。
【0039】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−2−プロパノール−エキソ/エンド=70/30の混合物として単離
MS:182(1);167(5);164(8);149(30);124(37);121(48);109(28);93(20);81(32);67(31);59(100)(両方の異性体に関して同一)
13C−NMR(エキソ):41.0(d);43.0(s);50.4(d);65.1(d);74.1(s)
13C−NMR(エンド):38.0(s);41.6(d);51.0(d);59.0(d);74.0(s)。
【0040】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノール−エキソ/エンド=30/70の混合物として単離
エンド
13C−NMR:24.9(q);30.0(q);31.9(q);33.8(q);42.7(s);46.8(d);47.7(t);56.0(d);60.5(d);73.2(s);133.6(d);138.7(d)
1H−NMR:1.10(s、3H);1.26(s、3H);1.28(s、6H);1.33(d、J=9Hz、1H);1.40(s、OH);1.62(d、J=9Hz、1H);1.85(d、J=3Hz、1H);2.29(m、1H);2.93(m、1H);6.23(dd、J1=7Hz、J2=3Hz、1H);6.29(dd、J1=7Hz、J2=3Hz、1H)。
【0041】
エキソ
13C−NMR:27.0(q);29.5(q);30.1(q);31.6(q);40.1(s);46.0(d);47.0(t);55.6(d);60.7(d);73.6(s);135.5(d);138.4(d)
1H−NMR:0.94(s、3H);1.12(d、J=1Hz、1H);1.27(d、J=9Hz、1H);1.32(s、3H);1.33(s、3H);1.34(s、3H);1.40(s、OH);1.80(d、J=9Hz、1H);2.26(m、1H);2.69(m、1H);6.09(dd、J1=7Hz、J2=3Hz、1H);6.23(dd、J1=7Hz、J2=3Hz、1H)。
【0042】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2エキソ−イル)−2−ブタノール−1のエキソ異性体として単離
MS:194(1);176(3);161(4);147(4);133(5);110(70);99(100);95(66);66(32)
13C−NMR:8.3(q);24.7(q);27.3(q);31.5(q);35.8(t);39.9(s);45.2(d);47.0(t);56.0(d);58.6(d);75.3(s);135.5(d);138.6(d)
1H−NMR:0.90(t、J=7Hz、3H);0.95(s、3H);1.10(s、1H);1.24(s、3H);1.32(s、3H);1.32(m、1H);1.62(m、2H);1.81(d、J=7Hz、1H);2.25(s、1H);2.76(s、1H);6.10(m、1H);6.24(m、1H)。
【0043】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−ブタノール−2の異性体の混合物として単離
MS:194(1);176(3);161(4);147(4);133(5);110(70);99(100);95(66);66(32)(両方の異性体に関して同一)
13C−NMR(異性体A):8.0(q);75.0(s);135.6(d);138.3(d)
13C−NMR(異性体B):8.7(q);75.6(s);135.4(d);139.1(d)
1H−NMR(異性体A):2.24(s、1H);2.90(s、1H);6.09(m、1H);6.30(m、1H)
1H−NMR(異性体B):2.28(s、1H);2.60(s、1H);6.22(m、2H)。
【0044】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2エキソ−イル)−4−ペンテン−2−オール−1のエキソ異性体として単離
MS:188(3);173(4);145(9);131(9);122(33);107(100);99(90);91(37);66(38)
13C−NMR:25.7(q);27.3(q);31.4(q);40.0(s);45.3(d);46.9(t);47.6(t);56.0(d);59.0(d);74;6(s);118.8(t);134.3(d);135.5(d);138.5(d)
1H−NMR:0.94(s、3H);1.10(s、1H);1.28(s、3H);1.35(m、1H);1.35(s、3H);1.50(OH);1.82(d、J=8Hz、1H);2.27(s、1H);2.39(d、J=8Hz、2H);2.81(s、1H);5.11(d、J=15Hz、1H);5.15(d、J=10Hz、1H);5.86(m、1H);6.09(m、1H);6.22(m、1H)。
【0045】
例2
付香組成物の製造
男性用オードトワレを、以下の成分を混合することにより製造した:
成分 質量部
スチラリルアセテート 20
10%*アルデヒドC10 20
50%*アルデヒドC12 5
10%*アルデヒドMNA 20
50%*ウンデシレンアルデヒド 15
メチルアントラニレート 10
アストロトン 200
ベルガモット精油 140
10%*カネレセイラン(Cannelle Ceylan)精油 20
10%*Cetalox(登録商標)1) 25
クマリン 40
ジヒドロミルセロール 40
1%*Dorinone(登録商標)2)ベータ 20
エストラゴン 5
オイゲノールF 10
10%*バイオレットリーフアブソリュート 5
10%*ガルバヌム精油 140
Habanolide(登録商標)3) 50
アイリスアブソリュート 10
Iso E Super(登録商標)4) 50
10%*イソブチルキノレイン 10
ジャスミンアブソリュート 70
Lilial(登録商標)5) 75
Lyral(登録商標)6) 150
α−イソメチルイオノン 100
50%*オークモス精油 110
ムスコン 5
オリバナム精油 20
Paradisone(登録商標)7) 15
Sandela(登録商標)8) 70
テルピネオール 75
バニリン 10
Vertofix(登録商標)9) 700
ベチバーハイチ精油 100
Wardia(登録商標)10) 75
合成イラン10) 20
2450
*ジプロピレングリコール中
1)ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン;製造元:Firmenich SA(スイス国ジュネーブ在)
2)1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン;製造元:Firmenich SA(スイス国ジュネーブ在)
3)ペンタデセノリド:製造元:Firmenich SA(スイス国ジュネーブ在)
4)1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレンイル)−1−エタノン;製造元:International Flavors&Fragrances、USA
5)3−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール;製造元:Givaudan−Roure SA、(スイス国Vernier在)
6)4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド;製造元:International Flavors&Fragrances、USA
7)(+)−メチル(1R)−シス−3−オキソ−2−ペンチル−1−シクロペンタンアセテート;製造元:Firmenich SA(スイス国ジュネーブ在)
8)2/3/4−(5,5,6−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−シクロヘキサノールおよび2−(1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−シクロヘキサノールの混合物;製造元:Givaudan−Roure SA、(スイス国Vernier在)
9)メチルセドリルケトン;製造元:International Flavors&Fragrances、USA
10)配合された香料ベース;製造元:Firmenich SA(スイス国ジュネーブ在)。
【0046】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノール50質量部を上記のオードトワレに添加することにより、このオードトワレは、明らかにルーティでウッディな、パチュリータイプのコノテーションが付与され、拡散性と暖かみが改善された。
【0047】
例3
付香組成物の製造
パチュリータイプの付香組成物を、以下の成分を混合することにより製造した:
成分 質量部
メチルジヒドロアビエテート 430
10%*アブサン 30
10%:シンナムアルデヒド 15
ボルネオール 30
1%*カモミール精油 60
カンファー 50
10%*キャロット 30
10%*Cashmeran(登録商標)1) 25
シダー精油 150
天然シベット 20
ヒノキ精油 5
サイプリオール 40
1%*エチルプラリン 10
10%*2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール 10
ガイアックウッド精油 60
ガルバヌム精油 10
10%*ペルヒドロ−4α−,8αβ−ジメチル−4a−ナフタレノール 10
グルユンバルサム 200
10%*イオノンベータ 35
ラブダナム精油 10
メチルイソオイゲノール 5
10%*エチルヘプタノエート 30
4−t−ブチル−1−シクロヘキサノール 180
10%*バニリン 5
ベチバージャワ 50
1500
*ジプロプピレングリコール中
1)1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4−インデノン;製造元:International Flavors&Fragrances、USA
【0048】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノール500質量部を、上記の付香組成物に添加することにより、該付香組成物は、明らかで極めて自然なウッディー−ルーティーな(パチュリー油の)コノテーションが付与された。
【0049】
上記の付香組成物に同量の4−t−ブチル−1−シクロヘキサノール(従来技術から公知の、ウッディー−ルーティーなノートを付与することで知られた化合物)を添加することにより、香りは自然さが低下し、かつ樟脳の香りが強くなりすぎた。
【0050】
(5RS,6RS)−2,6,10,10−テトラメチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−6−オール(従来技術から公知の、ウッディー−ルーティーなノートを付与することで知られた別の化合物)を添加することによっても、自然なパチュリーのノートは低減した(か、または十分にルーティーでなくなった)。しかし、上記の付香組成物に2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノール250質量部および(5RS,6RS)−2,6,10.10−テトラメチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−6−オール250質量部を添加することにより、予想外の相乗効果が生じ、著しく自然な、かつバランスのとれたパチュリーのノートが付与された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、点線は単結合または二重結合を表し、
1は、C1〜C4のアルキル基またはアルケニル基を表し、
2は、メチル基またはエチル基を表し、かつ
3は、水素原子を表すか、またはメチル基、ホルミル基またはアセチル基を表す]の化合物の、立体異性体の任意の形またはこれらの混合物の形での、付香成分としての使用。
【請求項2】
前記化合物が、式
【化2】

[式中、R1は、C1〜C4のアルキル基またはアルケニル基を表し、かつR2は、メチル基またはエチル基を表す]の化合物であることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記化合物が、その異性体またはこれらの混合物の形の式
【化3】

の化合物であることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記化合物が、2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2エキソ−イル)−2−プロパノールおよび2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2エンド−イル)−2−プロパノールの混合物の形であり、その際、前記エンド異性体は、組成物の少なくとも50質量%であることを特徴とする、請求項3記載の使用。
【請求項5】
i)付香成分として、請求項1から4までのいずれか1項記載の少なくとも1の化合物、
ii)香料キャリアおよび香料ベースからなる群から選択される少なくとも1の成分、および
iii)場合により少なくとも1の香料補助剤
を含有する付香組成物。
【請求項6】
2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2−プロパノールおよび(5RS,6RS)−2,6,10,10−テトラメチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−6−オールを含有することを特徴とする、請求項5記載の付香組成物。
【請求項7】
i)付香成分として、請求項1から4までのいずれか1項記載の少なくとも1の化合物、および
ii)消費製品ベース
を含む、付香された物品。
【請求項8】
消費製品ベースが、固体洗剤または液体洗剤、繊維柔軟剤、香水、コロンまたはアフターシェーブローション、付香されたセッケン、シャワー用またはバス用ソルト、ムース、オイルまたはジェル、衛生用品、ヘアケア製品、シャンプー、ボディーケア製品、消臭剤または制汗剤、エアーフレッシュナー、化粧品、ファブリックリフレッシュナー、アイロン水、紙、拭き取りクロスまたは漂白剤であることを特徴とする、請求項7記載の付香された物品。

【公表番号】特表2009−500467(P2009−500467A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519021(P2008−519021)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051676
【国際公開番号】WO2007/004080
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】