ウッドデッキおよびその施工方法ならびにその方法に用いる固定具
【課題】 ウッドデッキの施工後に、簡単な作業によって特定のデッキ部材を根太材から取り外し、取り付けすることを可能とすることを目的とする。
【解決手段】 底面21の幅が上面22の幅より短いデッキ部材を使用し、デッキ部材の側面の長手方向に設けられたスリット部に、長手方向と垂直になるように固定具のつば部61を配置しビス5で固定具を固定することにより、デッキ部材を根太材4に固定させる。この状態から、ビス5を緩め固定具のつば部61を90度回転させると、固定具のつば部61の短手方向の幅が隣合うデッキ部材の底面の幅W2より短いため、デッキ部材を係止固定するものはなくデッキ部材を自由に取り外すことができる。再度取り付ける場合は、固定具のつば部61を90度回転させ、ボルトで固定具を固定することによって、デッキ部材を根太材4に取り付けることができる。
【解決手段】 底面21の幅が上面22の幅より短いデッキ部材を使用し、デッキ部材の側面の長手方向に設けられたスリット部に、長手方向と垂直になるように固定具のつば部61を配置しビス5で固定具を固定することにより、デッキ部材を根太材4に固定させる。この状態から、ビス5を緩め固定具のつば部61を90度回転させると、固定具のつば部61の短手方向の幅が隣合うデッキ部材の底面の幅W2より短いため、デッキ部材を係止固定するものはなくデッキ部材を自由に取り外すことができる。再度取り付ける場合は、固定具のつば部61を90度回転させ、ボルトで固定具を固定することによって、デッキ部材を根太材4に取り付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ部材の取り外しが容易になるように工夫されたウッドデッキおよびその施工方法ならびにその方法に用いる固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年オープンスペースとして、屋外に設置されるウッドデッキの需要は毎年着実に増加している。その中でも、木材のメンテナンスが不要なこと及び腐らないというメリットから、樹脂と木粉の合成木材(以下、合成木材という。)を用いたウッドデッキの需要が拡大している。
【0003】
しかし、合成木材のデッキは強度がなく温度による伸び縮みが激しいという欠点がある。
また、強度を高めるために中を空洞にしているため、ビス打ちの加減が難しく、無理に上
から固定すると床板がめくれ上がったりする欠点がある。
【0004】
これらの課題を解決すべく、合成木材のデッキ部材を用いたウッドデッキは、デッキ部材の側面を固定金具でとめる方法が主流となっている。
しかしながら、この方法は固定金具が一枚のデッキ部材だけでなく、隣接するデッキ部材も同時に固定しているために、デッキ部材をメンテナンス等で取り替える場合や、デッキ部材とデッキ部材の間から物を落とした場合など、デッキ部材の一部を取り外したい場合でも、すべてのデッキ部材を取り外す必要がありこのことが課題となっていた。
【0005】
このような状況の下、これらの課題を解決すべくいくつかの施工方法や固定具が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−314038号公報
【特許文献2】特開2003−27719号公報
【特許文献3】特開2005−83015号公報
【特許文献4】特開2006−207363号公報
【0007】
特許文献1の開示技術は、図10に示すように、根太Aの上部に複数のデッキ部材Bを隣り合うように載せて固定具CとボルトDによって固定する。この場合、図11に示すように、ボルトDを外すことにより固定具が解除されデッキ部材Bを単体で外すことはできるが、再度取り付けを行う場合、固定具Cを隣合うデッキ部材Bの間に水平に設置する必要があるため非常に困難な作業となる。
【0008】
特許文献2の開示技術は、図12に示すように二個組み合わせて一対となる金属金具のつば部E1を隣合うデッキ部材の溝に振り分けて装着し、金属金具の底部E2を根太材の溝Fに挿入することにより、デッキ部材を固定する。この場合、デッキ部材を根太材から取り外したり、取り付けたりすることは理論上可能であるが、実現するには作業は困難になる。
【0009】
特許文献3の開示技術は、図13に示すように、デッキ材固定用ベースGと、そのベースに着脱自在で隣合うデッキ部材の端部を固定するクリップHからなる。デッキ材固定用ベースGはボルトIによって根太材に固定され、クリップHはデッキ材固定用ベースGに摺動可能な被係合部H1と隣合うデッキ部材を固定するつば部H2からなる。
図14は根太材とデッキ部材が固定具で固定されたウッドデッキの断面図である。
この場合、デッキ部材を単体で取り付け、取り外しする場合はデッキ部材を長手方向にスライドして移動させる必要があり、面倒である上に取り外しのために広い作業空間が必要になり、設置される場所が限定されてしまう。
【0010】
特許文献4の開示技術は、図15に示すように、側面にスリットを有するデッキ部材JをC形チャネル部Kを有する根太材LにボルトMで固定する。この場合、ボルトMを根太材Lから外すことによって、デッキ部材Jを単体では外すことはできるが、再度取り付ける場合、ボルトの位置決めをする必要があり作業工数がかかるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明では、デッキ部材のメンテンスを行う場合、必要なデッキ部材のみを容易に取り外しすることができ、さらに再度容易に取り付けることもでき、実用性に非常に優れたウッドデッキおよびその施工方法ならびにその方法に用いる固定具を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキであって、前記デッキ部材は、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短く、前記固定具は、土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部からなり、前記土台及び前記つば部を貫通する貫通孔を有しており、前記ビスは、前記貫通孔に挿通されて前記根太材に挿入されており、前記つば部は、平面視における一方向の長さが、これと直角をなす他方向の長さよりも短くされるとともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行となった時にその係止固定を解除することを特徴とするウッドデッキに関する。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項1に記載のウッドデッキに関する。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のウッドデッキに関する。
【0015】
請求項4に係る発明は、所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキの施工方法であって、前記デッキ部材として、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短いデッキ部材を用意し、前記固定具として、土台部と該土台部の上部に設けられたつば部からなり、これらの土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、前記つば部の平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短い固定具を用意し、前記つば部を前記スリット内に配置して、前記ビスを前記貫通孔に挿通して前記根太材に挿入する際に、該つば部の該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなすようにしてデッキ部材を係止固定するウッドデッキの施工方法に関する。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項4に記載のウッドデッキの施工方法に関する。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項5に記載のウッドデッキの施工方法に関する。
【0018】
請求項7に係る発明は、側面の長手方向にスリットを有し底面の幅が上面の幅よりも短いデッキ部材を根太材の上部に固定するために用いられる固定具であって、土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部と、前記土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、前記つば部は、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短くされるともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行になった時に係止固定を解除することを特徴とする固定具に関する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、デッキ部材は側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短く、固定具は、土台部と該土台部の上部に設けられてスリット部内に配置されるつば部からなり、これらの土台及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、ビスは貫通孔に挿通されて根太材に挿入されており、つば部は、平面視における一方向の長さが、これと直角をなす他方向の長さよりも短くされるとともに、該一方向がデッキ部材の長手方向と直角をなす時にデッキ部材を係止固定し、平行となった時にその係止固定を解除するウッドデッキであることにより、固定具を根太材から抜き取ることなく、そのつば部を90度回転させるだけで、必要なデッキ部材のみを、容易に取り外し取り付けることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、根太材が上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することにより、根太材にビス止めのための下穴を開ける必要がなくなりウッドデッキの組立ての作業効率を上げることができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、根太材の上面の長手方向のスリットに樹脂を充填することにより、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、またビスがスリット方向にずれることも防止でき、ビスによる固定強度を向上させることができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキの施工方法であって、デッキ部材として、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短いデッキ部材を用意し、固定具として、土台部と該土台部の上部に設けられたつば部からなり、これらの土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短い固定具を用意し、つば部をスリット内に配置して、ビスを貫通孔に挿入する際に、該つば部の該一方向がデッキ部材の長手方向と直角をなすようにしてデッキ部材を係止固定することにより、固定具を根太材から抜き取ることなしで、容易にデッキ部材を取り付け、取り外しすることができるウッドデッキが得られる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、根太材が上面の長手方向にビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することにより、根太材にビス止めのための下穴を開ける必要がなくなりウッドデッキ組立の作業効率を上げることができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、根太材の上面の長手方向のスリットに樹脂を充填することにより、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、デッキ部材の腐食を防ぐことができる。またビスがスリット方向にずれることも防止でき、ビスによる固定強度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明によれば、固定具は土台部と該土台部の上部に設けられてスリット部内に配置されるつば部と、土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、つば部は、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短くされるともに、該一方向がデッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行になった時に係止固定を解除することにより、この固定具を用いて根太材に固定されたデッキ部材を根太材から取り外す作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。
図1は、本発明に係るウッドデッキの一例を示す斜視図である。
図2は、本発明に係るデッキ部材の斜視図である。
図3は、本発明に係るウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
図4は、本発明に係るウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
図5は、本発明に係る固定具の斜視図である。
図6は、本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
図7は、本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
図8は、本発明に係るスリットの入った根太材の斜視図である。
図9は、本発明に係るスリットの入った根太材に樹脂を充填した斜視図である。
【0027】
まず、本発明に係るウッドデッキの基本構成から説明する。
ウッドデッキは図1に示すように、地面上に設置された束石1と、この束石1の上に立設された束3と、束3の上部に架設された根太材4と、根太材4の上部に固定されたデッキ部材2から構成されており、デッキ部材2は等間隔に配置された根太材4に対して直角に交差するように並設されている。
一般的に、隣り合うデッキ部材2の固定方式として、デッキ部材2の側面を固定具などで固定する横止め式と、床板の上からビスで固定する上止め式があるが、本発明では横止め式を採用する。
【0028】
次に、本発明に係るウッドデッキの具体的な構成について説明する。
本発明では、デッキ部材2として図2に示すように底面21の幅が上面22の幅より短いタイプのデッキ部材2を使用する。デッキ部材2は、側面に長手方向のスリット部25を有し、スリット部の底面23は、後述する固定具6のつば部61が係止できる程度に十分な長さである。
例えば、デッキ部材2の底面21の幅は135mm、上面22の幅は145mm、スリット部24の幅は15mmに設定される。
【0029】
複数のデッキ部材2を根太材4の上部に並べて配置するとき、隣合うデッキ部材2の隙間(上面間の隙間)は4〜5mmが好ましく、デッキ部材2の素材は樹脂と木粉などを混合させた合成木材が好ましい。
【0030】
固定具6は、図5に示すように平面視楕円状のつば部61とその下方に設けられた円柱状の土台部62が別体に形成されており、後述するビスを緩めることにより、つば部61を水平面内で回転させることができる。またつば部61と土台部62はビス5を通すための上下方向の貫通孔63を有している。つば部の長手方向の幅6Aは、隣り合う2つのデッキ部材2のスリット間の幅W1よりも短く、且つ底面の隙間W2よりも長い。また短手方向の幅6Bは、W2より短い。(図3参照)土台部62の底面の直径は、隣り合うデッキ部材2の底面の隙間W2とほぼ等しく、高さはデッキ部材2の下部の高さHとほぼ等しい。
【0031】
図3は、デッキ部材2が固定具6により根太材4に固定されている状態を示している。
固定具6のつば部61が、デッキ部材2のスリット部25の長手方向に直角な状態で配置され、ビス5のねじ部が貫通孔63を通って、根太材4に挿入されることにより、デッキ部材2が根太材4に対して固定されている。図4は、固定具6のつば部61を図3の状態から水平面内で90度回転させた状態を示した図である。この状態では、固定具6のつば部61の短手方向の幅6Bが、隣合うデッキ部材2の底面の隙間よりも短いため、デッキ部材2を係止固定するものがなく、デッキ部材2の固定が解除され、根太材4から自由に取り外すことが可能になる。
【0032】
つまり並設された多数のデッキ部材2からひとつのデッキ部材2を取り外す場合は、ビス5を緩めて取り外したいデッキ部材2の左右の固定具6のつば部61を90度回転させればよい。再度、取り外したデッキ部材2を取り付ける場合は、固定具6のつば部61を90度回転させ、ビス5を締め付けてつば部の回転を防ぐ。
【0033】
根太材4の特質は、木材でも金属でもよいが、金属を使用する場合は、図8に示すように、上面の幅の中央に、長手方向のスリット部41を有する根太材4を用いることが好ましい。このような根太材4はアルミニウムの押出成形により容易に製作することができる。スリット部41の幅4Aは、ビス5のねじ部の直径よりも短い。本発明では、このように根太材4にスリット部41を設けることで、根太材4にビス5を打ち込むための下穴をあけることなく根太材4にビス5を挿入することができるため、施工効率を高めることができる。
【0034】
さらに根太材4のスリット41に、図9に示すように樹脂42を充填すると、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、デッキ部材2の腐食を防止することができる。またビス5がスリット方向にずれることも防止でき、ビス5による固定強度を向上させることができる。具体的には充填される樹脂42は、シリコン系軟質樹脂などが好ましい。
【0035】
別の実施例として、図6、図7のような固定具を使用してもよい。
図6に示す固定具6は平面視楕円状のつば部61と、直方体の土台部62が別体に形成されており、ビスを緩めることにより、つば部61を水平面内で回転させることができる。図6に示す固定具6の土台部61の横幅は、隣り合うデッキ部材2の底面の隙間W2とほぼ等しく、土台部61の高さはデッキ部材の下部の高さHとほぼ等しい。
図7に示す固定具6は、つば部61と円柱状の土台部62が一体になっており、分離することができず、ビスを緩めることにより、つば部61と固定具62が一体となった固定具6を水平面内で回転させることができる。図7に示す固定具のつば部61の底面から土台部62の底面までの高さは、デッキ部材の下部の高さHとほぼ等しい。
【0036】
また図6、図7に示す固定具も図5のものと同様に、つば部の長手方向の幅6Aは、隣り合う2つのデッキ部材2のスリット間の幅W1よりも短く、且つ底面の隙間W2よりも長く、短手方向の幅6Bは底面の隙間W2より短い。またつば部61と土台部62にビス5を通す貫通孔63を有している。
【0037】
次に本発明に係るウッドデッキの施工方法について説明する。
施工に際して、必要数量のデッキ部材2、根太材4、束3、固定具6、及びビス5などを用意する。最初に、地面に束石1を設置し、その上に束3を立設し、束3の上部に複数の根太材4を所定間隔に架設する。根太材4は住宅や施設に備えるベランダやテラスなどの施工面に直接配置してもよい。
【0038】
次に、設置された根太材4の上に複数のデッキ部材2を根太材4に対して直角に交差するように配置する。このとき、隣り合うデッキ部材2の上面同士の間には、4〜5mm程度の隙間をあけておくとよい。
次いで、固定具6とビス5を用いてデッキ部材2を根太材4に対して固定する。このとき、図3に示すように固定具6のつば部61が、デッキ部材2の長手方向のスリット部25と直角をなすように、固定具6を配置する。
【0039】
そして、デッキ部材2を固定具6の貫通孔63にビス5を通し、ドライバでビス5を根太材4に固定する。
これによって、固定具6のつば部61の平面視における一方向の長さが、デッキ部材2の長手方向と直角をなすことにより、固定具6のつば部61が係止の役割を果たすため、デッキ部材2が根太材4に対して固定される。
【0040】
以上の動作を繰り返して複数のデッキ部材2を根太材4に対して並べて固定することによって、本実施形態に係る施工方法によるウッドデッキ1が得られる。
【0041】
この場合、ウッドデッキの端側から1つのデッキ部材2を根太材4の上に直角に交差するように配置し、固定具6とビス5で固定するという動作を、すべてのデッキ部材2が根太材4の上に固定されるまで繰り返してもよいし、ウッドデッキの端側から1つのデッキ部材2を根太材4の上に配置し、固定具6とビス5で仮止めする動作を、すべてのデッキ部材2が根太材4の上に仮止めされるまで繰返してから、仮止めされた全ての固定具6をビス5で固定させてもよい。通常は前者の方法を用いるが、後者の方法の場合、全てのデッキ部材2を配置した後に、デッキ部材2の出入り調整を行なうことができるというメリットがある。
【0042】
このようにして得られたウッドデッキによれば、デッキの汚れや破損のため、部分的にデッキ部材2を交換したい場合は、交換したいデッキ部材2の左右の隙間から、ドライバを差込み、ビス5を緩め、固定具6のつば部61を90度回転させることによって、デッキ部材2の係止は解除され、容易にデッキ部材2を取り外すことができる。再度デッキ部材2を取り付ける場合は、取り付けるデッキ部材2を、取り外したデッキ部材2の位置に配置し、固定具を90度回転させて、隣り合うデッキ部材2の隙間から、ドライバを差し込みビス5で固定具6を締め付けて固定させる。
【0043】
ここで図8に示すように、上面に長手方向のスリット部41を設けた根太材4を使用すれば、ビス5の下穴を開ける必要がなく、作業効率が向上する。
さらに、図9に示すように根太材4のスリット部41に樹脂を充填させておけば、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、デッキ部材2の腐食を防止することができる。 またビス5がスリット方向にずれることも防止でき、ビス5による固定強度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、施工後にデッキ部材を部分的に取り外し、取り付けすることが容易なウッドデッキである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るウッドデッキの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るデッキ部材の斜視図である。
【図3】本発明に係るウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【図4】本発明に係るウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
【図5】本発明に係る固定具の斜視図である。
【図6】本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
【図7】本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
【図8】本発明に係るスリットの入った根太材の斜視図である。
【図9】本発明に係るスリットの入った根太材に樹脂を充填した斜視図である。
【図10】従来のウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【図11】従来のウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
【図12】従来のウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
【図13】従来の固定金具の斜視図である。
【図14】従来のウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【図15】従来のウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 デッキ部材
21 デッキ部材底面
22 デッキ部材上面
23 デッキ部材スリット部底面
25 デッキ部材スリット部
4 根太材
41 根太材スリット部
6 固定具
61 固定具つば部
62 固定具土台部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ部材の取り外しが容易になるように工夫されたウッドデッキおよびその施工方法ならびにその方法に用いる固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年オープンスペースとして、屋外に設置されるウッドデッキの需要は毎年着実に増加している。その中でも、木材のメンテナンスが不要なこと及び腐らないというメリットから、樹脂と木粉の合成木材(以下、合成木材という。)を用いたウッドデッキの需要が拡大している。
【0003】
しかし、合成木材のデッキは強度がなく温度による伸び縮みが激しいという欠点がある。
また、強度を高めるために中を空洞にしているため、ビス打ちの加減が難しく、無理に上
から固定すると床板がめくれ上がったりする欠点がある。
【0004】
これらの課題を解決すべく、合成木材のデッキ部材を用いたウッドデッキは、デッキ部材の側面を固定金具でとめる方法が主流となっている。
しかしながら、この方法は固定金具が一枚のデッキ部材だけでなく、隣接するデッキ部材も同時に固定しているために、デッキ部材をメンテナンス等で取り替える場合や、デッキ部材とデッキ部材の間から物を落とした場合など、デッキ部材の一部を取り外したい場合でも、すべてのデッキ部材を取り外す必要がありこのことが課題となっていた。
【0005】
このような状況の下、これらの課題を解決すべくいくつかの施工方法や固定具が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−314038号公報
【特許文献2】特開2003−27719号公報
【特許文献3】特開2005−83015号公報
【特許文献4】特開2006−207363号公報
【0007】
特許文献1の開示技術は、図10に示すように、根太Aの上部に複数のデッキ部材Bを隣り合うように載せて固定具CとボルトDによって固定する。この場合、図11に示すように、ボルトDを外すことにより固定具が解除されデッキ部材Bを単体で外すことはできるが、再度取り付けを行う場合、固定具Cを隣合うデッキ部材Bの間に水平に設置する必要があるため非常に困難な作業となる。
【0008】
特許文献2の開示技術は、図12に示すように二個組み合わせて一対となる金属金具のつば部E1を隣合うデッキ部材の溝に振り分けて装着し、金属金具の底部E2を根太材の溝Fに挿入することにより、デッキ部材を固定する。この場合、デッキ部材を根太材から取り外したり、取り付けたりすることは理論上可能であるが、実現するには作業は困難になる。
【0009】
特許文献3の開示技術は、図13に示すように、デッキ材固定用ベースGと、そのベースに着脱自在で隣合うデッキ部材の端部を固定するクリップHからなる。デッキ材固定用ベースGはボルトIによって根太材に固定され、クリップHはデッキ材固定用ベースGに摺動可能な被係合部H1と隣合うデッキ部材を固定するつば部H2からなる。
図14は根太材とデッキ部材が固定具で固定されたウッドデッキの断面図である。
この場合、デッキ部材を単体で取り付け、取り外しする場合はデッキ部材を長手方向にスライドして移動させる必要があり、面倒である上に取り外しのために広い作業空間が必要になり、設置される場所が限定されてしまう。
【0010】
特許文献4の開示技術は、図15に示すように、側面にスリットを有するデッキ部材JをC形チャネル部Kを有する根太材LにボルトMで固定する。この場合、ボルトMを根太材Lから外すことによって、デッキ部材Jを単体では外すことはできるが、再度取り付ける場合、ボルトの位置決めをする必要があり作業工数がかかるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明では、デッキ部材のメンテンスを行う場合、必要なデッキ部材のみを容易に取り外しすることができ、さらに再度容易に取り付けることもでき、実用性に非常に優れたウッドデッキおよびその施工方法ならびにその方法に用いる固定具を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキであって、前記デッキ部材は、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短く、前記固定具は、土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部からなり、前記土台及び前記つば部を貫通する貫通孔を有しており、前記ビスは、前記貫通孔に挿通されて前記根太材に挿入されており、前記つば部は、平面視における一方向の長さが、これと直角をなす他方向の長さよりも短くされるとともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行となった時にその係止固定を解除することを特徴とするウッドデッキに関する。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項1に記載のウッドデッキに関する。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のウッドデッキに関する。
【0015】
請求項4に係る発明は、所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキの施工方法であって、前記デッキ部材として、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短いデッキ部材を用意し、前記固定具として、土台部と該土台部の上部に設けられたつば部からなり、これらの土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、前記つば部の平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短い固定具を用意し、前記つば部を前記スリット内に配置して、前記ビスを前記貫通孔に挿通して前記根太材に挿入する際に、該つば部の該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなすようにしてデッキ部材を係止固定するウッドデッキの施工方法に関する。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項4に記載のウッドデッキの施工方法に関する。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項5に記載のウッドデッキの施工方法に関する。
【0018】
請求項7に係る発明は、側面の長手方向にスリットを有し底面の幅が上面の幅よりも短いデッキ部材を根太材の上部に固定するために用いられる固定具であって、土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部と、前記土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、前記つば部は、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短くされるともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行になった時に係止固定を解除することを特徴とする固定具に関する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、デッキ部材は側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短く、固定具は、土台部と該土台部の上部に設けられてスリット部内に配置されるつば部からなり、これらの土台及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、ビスは貫通孔に挿通されて根太材に挿入されており、つば部は、平面視における一方向の長さが、これと直角をなす他方向の長さよりも短くされるとともに、該一方向がデッキ部材の長手方向と直角をなす時にデッキ部材を係止固定し、平行となった時にその係止固定を解除するウッドデッキであることにより、固定具を根太材から抜き取ることなく、そのつば部を90度回転させるだけで、必要なデッキ部材のみを、容易に取り外し取り付けることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、根太材が上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することにより、根太材にビス止めのための下穴を開ける必要がなくなりウッドデッキの組立ての作業効率を上げることができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、根太材の上面の長手方向のスリットに樹脂を充填することにより、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、またビスがスリット方向にずれることも防止でき、ビスによる固定強度を向上させることができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキの施工方法であって、デッキ部材として、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短いデッキ部材を用意し、固定具として、土台部と該土台部の上部に設けられたつば部からなり、これらの土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短い固定具を用意し、つば部をスリット内に配置して、ビスを貫通孔に挿入する際に、該つば部の該一方向がデッキ部材の長手方向と直角をなすようにしてデッキ部材を係止固定することにより、固定具を根太材から抜き取ることなしで、容易にデッキ部材を取り付け、取り外しすることができるウッドデッキが得られる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、根太材が上面の長手方向にビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することにより、根太材にビス止めのための下穴を開ける必要がなくなりウッドデッキ組立の作業効率を上げることができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、根太材の上面の長手方向のスリットに樹脂を充填することにより、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、デッキ部材の腐食を防ぐことができる。またビスがスリット方向にずれることも防止でき、ビスによる固定強度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に係る発明によれば、固定具は土台部と該土台部の上部に設けられてスリット部内に配置されるつば部と、土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、つば部は、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短くされるともに、該一方向がデッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行になった時に係止固定を解除することにより、この固定具を用いて根太材に固定されたデッキ部材を根太材から取り外す作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。
図1は、本発明に係るウッドデッキの一例を示す斜視図である。
図2は、本発明に係るデッキ部材の斜視図である。
図3は、本発明に係るウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
図4は、本発明に係るウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
図5は、本発明に係る固定具の斜視図である。
図6は、本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
図7は、本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
図8は、本発明に係るスリットの入った根太材の斜視図である。
図9は、本発明に係るスリットの入った根太材に樹脂を充填した斜視図である。
【0027】
まず、本発明に係るウッドデッキの基本構成から説明する。
ウッドデッキは図1に示すように、地面上に設置された束石1と、この束石1の上に立設された束3と、束3の上部に架設された根太材4と、根太材4の上部に固定されたデッキ部材2から構成されており、デッキ部材2は等間隔に配置された根太材4に対して直角に交差するように並設されている。
一般的に、隣り合うデッキ部材2の固定方式として、デッキ部材2の側面を固定具などで固定する横止め式と、床板の上からビスで固定する上止め式があるが、本発明では横止め式を採用する。
【0028】
次に、本発明に係るウッドデッキの具体的な構成について説明する。
本発明では、デッキ部材2として図2に示すように底面21の幅が上面22の幅より短いタイプのデッキ部材2を使用する。デッキ部材2は、側面に長手方向のスリット部25を有し、スリット部の底面23は、後述する固定具6のつば部61が係止できる程度に十分な長さである。
例えば、デッキ部材2の底面21の幅は135mm、上面22の幅は145mm、スリット部24の幅は15mmに設定される。
【0029】
複数のデッキ部材2を根太材4の上部に並べて配置するとき、隣合うデッキ部材2の隙間(上面間の隙間)は4〜5mmが好ましく、デッキ部材2の素材は樹脂と木粉などを混合させた合成木材が好ましい。
【0030】
固定具6は、図5に示すように平面視楕円状のつば部61とその下方に設けられた円柱状の土台部62が別体に形成されており、後述するビスを緩めることにより、つば部61を水平面内で回転させることができる。またつば部61と土台部62はビス5を通すための上下方向の貫通孔63を有している。つば部の長手方向の幅6Aは、隣り合う2つのデッキ部材2のスリット間の幅W1よりも短く、且つ底面の隙間W2よりも長い。また短手方向の幅6Bは、W2より短い。(図3参照)土台部62の底面の直径は、隣り合うデッキ部材2の底面の隙間W2とほぼ等しく、高さはデッキ部材2の下部の高さHとほぼ等しい。
【0031】
図3は、デッキ部材2が固定具6により根太材4に固定されている状態を示している。
固定具6のつば部61が、デッキ部材2のスリット部25の長手方向に直角な状態で配置され、ビス5のねじ部が貫通孔63を通って、根太材4に挿入されることにより、デッキ部材2が根太材4に対して固定されている。図4は、固定具6のつば部61を図3の状態から水平面内で90度回転させた状態を示した図である。この状態では、固定具6のつば部61の短手方向の幅6Bが、隣合うデッキ部材2の底面の隙間よりも短いため、デッキ部材2を係止固定するものがなく、デッキ部材2の固定が解除され、根太材4から自由に取り外すことが可能になる。
【0032】
つまり並設された多数のデッキ部材2からひとつのデッキ部材2を取り外す場合は、ビス5を緩めて取り外したいデッキ部材2の左右の固定具6のつば部61を90度回転させればよい。再度、取り外したデッキ部材2を取り付ける場合は、固定具6のつば部61を90度回転させ、ビス5を締め付けてつば部の回転を防ぐ。
【0033】
根太材4の特質は、木材でも金属でもよいが、金属を使用する場合は、図8に示すように、上面の幅の中央に、長手方向のスリット部41を有する根太材4を用いることが好ましい。このような根太材4はアルミニウムの押出成形により容易に製作することができる。スリット部41の幅4Aは、ビス5のねじ部の直径よりも短い。本発明では、このように根太材4にスリット部41を設けることで、根太材4にビス5を打ち込むための下穴をあけることなく根太材4にビス5を挿入することができるため、施工効率を高めることができる。
【0034】
さらに根太材4のスリット41に、図9に示すように樹脂42を充填すると、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、デッキ部材2の腐食を防止することができる。またビス5がスリット方向にずれることも防止でき、ビス5による固定強度を向上させることができる。具体的には充填される樹脂42は、シリコン系軟質樹脂などが好ましい。
【0035】
別の実施例として、図6、図7のような固定具を使用してもよい。
図6に示す固定具6は平面視楕円状のつば部61と、直方体の土台部62が別体に形成されており、ビスを緩めることにより、つば部61を水平面内で回転させることができる。図6に示す固定具6の土台部61の横幅は、隣り合うデッキ部材2の底面の隙間W2とほぼ等しく、土台部61の高さはデッキ部材の下部の高さHとほぼ等しい。
図7に示す固定具6は、つば部61と円柱状の土台部62が一体になっており、分離することができず、ビスを緩めることにより、つば部61と固定具62が一体となった固定具6を水平面内で回転させることができる。図7に示す固定具のつば部61の底面から土台部62の底面までの高さは、デッキ部材の下部の高さHとほぼ等しい。
【0036】
また図6、図7に示す固定具も図5のものと同様に、つば部の長手方向の幅6Aは、隣り合う2つのデッキ部材2のスリット間の幅W1よりも短く、且つ底面の隙間W2よりも長く、短手方向の幅6Bは底面の隙間W2より短い。またつば部61と土台部62にビス5を通す貫通孔63を有している。
【0037】
次に本発明に係るウッドデッキの施工方法について説明する。
施工に際して、必要数量のデッキ部材2、根太材4、束3、固定具6、及びビス5などを用意する。最初に、地面に束石1を設置し、その上に束3を立設し、束3の上部に複数の根太材4を所定間隔に架設する。根太材4は住宅や施設に備えるベランダやテラスなどの施工面に直接配置してもよい。
【0038】
次に、設置された根太材4の上に複数のデッキ部材2を根太材4に対して直角に交差するように配置する。このとき、隣り合うデッキ部材2の上面同士の間には、4〜5mm程度の隙間をあけておくとよい。
次いで、固定具6とビス5を用いてデッキ部材2を根太材4に対して固定する。このとき、図3に示すように固定具6のつば部61が、デッキ部材2の長手方向のスリット部25と直角をなすように、固定具6を配置する。
【0039】
そして、デッキ部材2を固定具6の貫通孔63にビス5を通し、ドライバでビス5を根太材4に固定する。
これによって、固定具6のつば部61の平面視における一方向の長さが、デッキ部材2の長手方向と直角をなすことにより、固定具6のつば部61が係止の役割を果たすため、デッキ部材2が根太材4に対して固定される。
【0040】
以上の動作を繰り返して複数のデッキ部材2を根太材4に対して並べて固定することによって、本実施形態に係る施工方法によるウッドデッキ1が得られる。
【0041】
この場合、ウッドデッキの端側から1つのデッキ部材2を根太材4の上に直角に交差するように配置し、固定具6とビス5で固定するという動作を、すべてのデッキ部材2が根太材4の上に固定されるまで繰り返してもよいし、ウッドデッキの端側から1つのデッキ部材2を根太材4の上に配置し、固定具6とビス5で仮止めする動作を、すべてのデッキ部材2が根太材4の上に仮止めされるまで繰返してから、仮止めされた全ての固定具6をビス5で固定させてもよい。通常は前者の方法を用いるが、後者の方法の場合、全てのデッキ部材2を配置した後に、デッキ部材2の出入り調整を行なうことができるというメリットがある。
【0042】
このようにして得られたウッドデッキによれば、デッキの汚れや破損のため、部分的にデッキ部材2を交換したい場合は、交換したいデッキ部材2の左右の隙間から、ドライバを差込み、ビス5を緩め、固定具6のつば部61を90度回転させることによって、デッキ部材2の係止は解除され、容易にデッキ部材2を取り外すことができる。再度デッキ部材2を取り付ける場合は、取り付けるデッキ部材2を、取り外したデッキ部材2の位置に配置し、固定具を90度回転させて、隣り合うデッキ部材2の隙間から、ドライバを差し込みビス5で固定具6を締め付けて固定させる。
【0043】
ここで図8に示すように、上面に長手方向のスリット部41を設けた根太材4を使用すれば、ビス5の下穴を開ける必要がなく、作業効率が向上する。
さらに、図9に示すように根太材4のスリット部41に樹脂を充填させておけば、スリット内に雨水が溜まるのを防ぐことができ、デッキ部材2の腐食を防止することができる。 またビス5がスリット方向にずれることも防止でき、ビス5による固定強度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、施工後にデッキ部材を部分的に取り外し、取り付けすることが容易なウッドデッキである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るウッドデッキの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るデッキ部材の斜視図である。
【図3】本発明に係るウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【図4】本発明に係るウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
【図5】本発明に係る固定具の斜視図である。
【図6】本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
【図7】本発明に係る別実施例の固定具の斜視図である。
【図8】本発明に係るスリットの入った根太材の斜視図である。
【図9】本発明に係るスリットの入った根太材に樹脂を充填した斜視図である。
【図10】従来のウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【図11】従来のウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
【図12】従来のウッドデッキの根太材からデッキ部材を取り外した状態を示す断面正面図である。
【図13】従来の固定金具の斜視図である。
【図14】従来のウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【図15】従来のウッドデッキの根太材にデッキ部材を固定した状態を示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0046】
2 デッキ部材
21 デッキ部材底面
22 デッキ部材上面
23 デッキ部材スリット部底面
25 デッキ部材スリット部
4 根太材
41 根太材スリット部
6 固定具
61 固定具つば部
62 固定具土台部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキであって、
前記デッキ部材は、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短く、
前記固定具は、土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部からなり、前記土台部及び前記つば部を貫通する貫通孔を有しており、
前記ビスは、前記貫通孔に挿通されて前記根太材に挿入されており、
前記つば部は、平面視における一方向の長さが、これと直角をなす他方向の長さよりも短くされるとともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行となった時にその係止固定を解除することを特徴とするウッドデッキ。
【請求項2】
前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項1に記載のウッドデッキ。
【請求項3】
前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のウッドデッキ。
【請求項4】
所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキの施工方法であって、
前記デッキ部材として、側面の長手方向にスリット部を有し、底面の幅が上面の幅より短いデッキ部材を用意し、
前記固定具として、土台部と該土台部の上部に設けられたつば部からなり、これらの土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、前記つば部の平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短い固定具を用意し、
前記つば部を前記スリット内に配置して、前記ビスを前記貫通孔に挿通して前記根太材に挿入する際に、該つば部の該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなすようにしてデッキ部材を係止固定することを特徴とするウッドデッキの施工方法。
【請求項5】
前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項4に記載のウッドデッキの施工方法。
【請求項6】
前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項5に記載のウッドデッキの施工方法。
【請求項7】
側面の長手方向にスリットを有し、底面の幅が上面の幅よりも短いデッキ部材を根太材の上部に固定するために用いられる固定具であって、
土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部と、前記土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、
前記つば部は、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短くされるともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行になった時に係止固定を解除することを特徴とする固定具。
【請求項1】
所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキであって、
前記デッキ部材は、側面の長手方向にスリット部を有し底面の幅が上面の幅より短く、
前記固定具は、土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部からなり、前記土台部及び前記つば部を貫通する貫通孔を有しており、
前記ビスは、前記貫通孔に挿通されて前記根太材に挿入されており、
前記つば部は、平面視における一方向の長さが、これと直角をなす他方向の長さよりも短くされるとともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行となった時にその係止固定を解除することを特徴とするウッドデッキ。
【請求項2】
前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項1に記載のウッドデッキ。
【請求項3】
前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のウッドデッキ。
【請求項4】
所要間隔に設置された根太材の上部に、複数のデッキ部材が直角に配置され、固定具及びビスにより固定されているウッドデッキの施工方法であって、
前記デッキ部材として、側面の長手方向にスリット部を有し、底面の幅が上面の幅より短いデッキ部材を用意し、
前記固定具として、土台部と該土台部の上部に設けられたつば部からなり、これらの土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、前記つば部の平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短い固定具を用意し、
前記つば部を前記スリット内に配置して、前記ビスを前記貫通孔に挿通して前記根太材に挿入する際に、該つば部の該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなすようにしてデッキ部材を係止固定することを特徴とするウッドデッキの施工方法。
【請求項5】
前記根太材が、上面の長手方向に前記ビスのねじ部の直径よりも狭い幅のスリットを有することを特徴とする請求項4に記載のウッドデッキの施工方法。
【請求項6】
前記根太材のスリットに樹脂が充填されていることを特徴とする請求項5に記載のウッドデッキの施工方法。
【請求項7】
側面の長手方向にスリットを有し、底面の幅が上面の幅よりも短いデッキ部材を根太材の上部に固定するために用いられる固定具であって、
土台部と該土台部の上部に設けられて前記スリット部内に配置されるつば部と、前記土台部及びつば部を貫通する貫通孔を有しており、
前記つば部は、平面視における一方向の長さがこれと直角をなす他方向の長さよりも短くされるともに、該一方向が前記デッキ部材の長手方向と直角をなす時に該デッキ部材を係止固定し、平行になった時に係止固定を解除することを特徴とする固定具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−75348(P2008−75348A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256475(P2006−256475)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(390011394)中川木材産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(390011394)中川木材産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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