説明

ウレイド構造を有するウラシル化合物又はその塩

【課題】優れたdUTPase阻害活性を有し、例えば抗腫瘍薬、及び抗腫瘍薬の効果増強剤等として有用な化合物の提供。
【解決手段】一般式(I)


(式中、Xは、酸素原子若しくはビニル基に置換されていてもよいC2〜4アルキレン基、2価の芳香族炭化水素基、又は2価の不飽和複素環基を示し、YはCH又はNを示し、R1及びR2は、同一又は相異なって、水素原子、C1〜6アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、芳香族炭化水素基又は不飽和複素環基を示し、R3は水素原子又は芳香族炭化水素基を示し、R4は水素原子又はハロゲン原子を示す。)で表されるウラシル化合物又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたヒトデオキシウリジントリホスファターゼ阻害活性を有し、デオキシウリジントリホスファターゼに関連する疾患、例えば抗腫瘍薬、抗腫瘍薬の効果増強剤等として有用な新規ウラシル化合物又はその塩に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デオキシウリジントリホスファターゼ(以下、dUTPase(EC3.6.1.23)ともいう。)は、予防的なDNA修復酵素である。天然型核酸トリリン酸体の中でデオキシウリジントリホスフェート(以下、dUTP)のみを特異的に認識し、デオキシウリジンモノホスフェート(以下、dUMP)とピロリン酸に分解する酵素であり(非特許文献1)、(1)細胞内のdUTPプールの量を下げることで、チミンの代わりにウラシルがDNA中へと誤って組み込まれるのを避ける、(2)DNA中にチミンを供給するための重要なde novo経路を担うチミジル酸合成酵素の基質dUMPを供給する(非特許文献2)、という2つの反応を担っていると考えられている。
【0003】
dUTPaseは原核生物、真核生物両方で細胞の生存に必須であることが知られている。従って、本酵素は抗癌剤(非特許文献3)、抗マラリア薬(特許文献1及び非特許文献4)、抗結核薬(非特許文献5)、抗ピロリ菌薬(特許文献2)、トリパノソーマやリーシュマニアなどの抗寄生虫薬(非特許文献6)、及びヒト単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、Epstein−Barrウイルスのようなヘルペスウイルス(非特許文献7)やワクシニアウイルス(非特許文献8)などの抗ウイルス薬の標的と成り得ることが示唆されている。
【0004】
以上のように、dUTPaseは各種疾患に対する治療剤の標的として注目されており、dUTPase阻害剤についても広く研究されている。
dUTPase阻害剤としては、例えば、トリリン酸ミミック型低分子化合物(例えば、特許文献3、非特許文献9など)、5’−O−置換フェニル−デオキシウリジン化合物(非特許文献10)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/065689号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2003/089461号パンフレット
【特許文献3】国際公開第1995/15332号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Structure,4,1077−1092(1996)
【非特許文献2】Acta Biochim.Pol.,44,159−171(1997)
【非特許文献3】Curr.Protein Pept.Sci.,2,361−370(2001)
【非特許文献4】Structure,13,329−338(2005)
【非特許文献5】J.Mol.Biol.,341,503−517(2004)
【非特許文献6】Bioorg.Med.Chem.Lett.,16,3809−3812(2006)
【非特許文献7】Curr.Protein Pept.Sci.,2,3711−380(2001)
【非特許文献8】Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr,63,571−580(2007)
【非特許文献9】Mol.Pharmacol.,29,288−292(1986)
【非特許文献10】Nucleosides Nucleotides & Nucleic acids,20,1691−1704(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらはいずれもヒトdUTPaseに対する阻害活性が十分ではなく、医薬品として用いられる化合物ではない。
従って、本発明の課題は、優れたdUTPase阻害活性を有し、例えば抗腫瘍薬、抗腫瘍薬の効果増強剤等として有用な化合物又はその塩を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ウラシル環N−1位にウレイド構造を有するウラシル化合物又はその塩が、優れたdUTPase阻害活性を有し、例えば抗腫瘍薬、抗腫瘍薬の効果増強剤等として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、下記一般式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、
Xは、構成するメチレン基が、酸素原子若しくはビニル基に置換されていてもよいC2〜4アルキレン基、2価の芳香族炭化水素基、又は2価の不飽和複素環基を示し、
YはCH又はNを示し、
1及びR2は、同一又は相異なって、水素原子、C1〜6アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい不飽和複素環基を示し、
3は水素原子又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、
4は水素原子又はハロゲン原子を示す。)
で表されるウラシル化合物又はその塩を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、式(I)で表されるウラシル化合物又はその塩を含有する医薬組成物を提供するものである。
また、本発明は、式(I)で表されるウラシル化合物又はその塩を含有するヒトdUTPase阻害剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の新規ウラシル化合物又はその塩は、優れたdUTPase阻害活性を有し、dUTPaseに関連する疾患、例えば抗腫瘍薬、抗腫瘍薬の効果増強剤等として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の新規ウラシル化合物は、前記一般式(I)で表され、ウラシル環N−1位にウレイド構造を有するという特徴を有する。
国際公開2005065689号公報(特許文献1)には、ウラシル環N−1位置換基の末端として、トリチル基、トリフェニルシリル基等の置換基(−E(R6)(R7)(R8)基)を有するウラシル化合物が開示され、dUTPase阻害活性を示し、抗マラリア薬として有用であることが記載されている。しかしながら、本発明化合物の有するウレイド結合を有する化合物は開示されていない。また後述の試験例で示すように、ウラシル環N−1位置換基の末端としてトリチル基を有する化合物は、ヒトdUTPase阻害活性を殆ど示さなかった。
【0015】
本願明細書において、「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基、ナフチル基が例示され、dUTPase阻害活性の点で、フェニル基がより好ましい。
【0016】
また、「不飽和複素環基」としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のいずれかの原子を1個又は2個有する単環性又は二環性の不飽和複素環基が好ましく、例えばイミダゾリル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、メチレンジオキシフェニル基、エチレンジオキシフェニル基、ベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリル基等が挙げられる。このうち、窒素原子を1個有する5員〜7員の不飽和複素環基が好ましく、dUTPase阻害活性の点で、ピリジル基がより好ましい。
【0017】
前記の芳香族炭化水素基、不飽和複素環基に置換し得る基(置換基)としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲノアルコキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルキル−アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル-アルキルチオ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、シクロアルキル−アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、オキソ基、飽和若しくは不飽和複素環基、芳香族炭化水素基、飽和複素環オキシ基等が挙げられ、前記置換基が存在する場合、その個数は典型的には1〜3個である。
【0018】
前記の置換基において、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記の置換基において、アルキル基、ハロゲノアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基又はこれらのアルキル基に前記のハロゲン原子が置換した基を示し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0019】
前記の置換基において、シクロアルキル基としては、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記の置換基において、シクロアルキル-アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルで置換された炭素数1〜6のアルキル基であり、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が挙げられる。
【0020】
前記の置換基において、アラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜14の芳香族炭化水素基で置換された炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示し、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0021】
前記の置換基において、アルケニル基としては、炭素−炭素二重結合を含む、好ましくは炭素数2〜6の炭化水素基を示し、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
【0022】
前記の置換基において、アルコキシ基、ハロゲノアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルコキシ基、又はこれらのアルコキシ基に前記のハロゲン原子が置換した基を示し、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、2−メチル−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、ペンタン−2−イルオキシ基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、パーフルオロエトキシ基、3−フルオロ−2−(フルオロメチル)−プロポキシ基、1,3−ジフルオロプロパン−2−イルオキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロポキシ基等が挙げられる。
【0023】
前記の置換基において、シクロアルコキシ基としては、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルコキシ基であり、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
前記の置換基において、シクロアルキル−アルコキシ基としては、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルで置換された炭素数1〜6のアルコキシ基であり、シクロプロピルメトキシ基、シクロプロピルエトキシ基、シクロブチルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基等が挙げられる。
前記の置換基において、アラルキルオキシ基としては、好ましくは、前記のアラルキル基を有するオキシ基を示し、ベンジルオキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルプロポキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基等が挙げられる。
前記の置換基において、アルキルチオ基としては、好ましくは、前記の炭素数1〜6のアルキル基を有するチオ基を示し、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基等が挙げられる。
前記の置換基において、シクロアルキル−アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルで置換された炭素数1〜6のアルキルチオ基であり、シクロプロピルメチルチオ基、シクロプロピルエチルチオ基、シクロブチルメチルチオ基、シクロペンチルメチルチオ基等が挙げられる。
【0024】
前記の置換基において、モノ又はジアルキルアミノ基としては、前記のアルキル基によりモノ置換又はジ置換されたアミノ基を示し、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等が挙げられる。
前記の置換基において、シクロアルキル−アルキルアミノ基としては、前記のシクロアルキル基で置換されたアルキルアミノ基を示し、シクロプロピルメチルアミノ基、シクロブチルメチルアミノ基、シクロペンチルメチルアミノ基等が挙げられる。
前記の置換基において、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基などの直鎖又は分枝を有する炭素数1〜6のアシル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記の置換基において、アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基などの直鎖又は分枝を有する炭素数1〜6のアシルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記の置換基において、飽和若しくは不飽和複素環基としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のいずれかの原子を、好ましくは1個又は2個有する単環性又は二環性の飽和又は不飽和複素環基を示し、例えばピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ヘキサメチレンイミノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ホモピペリジニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピリル基、イミダゾリル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、メチレンジオキシフェニル基、エチレンジオキシフェニル基、ベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリル基等が挙げられる。
【0026】
前記の置換基において、芳香族炭化水素基としては、好ましくは炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示し、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記の置換基において、飽和複素環オキシ基としては、前記の飽和複素環基を有するオキシ基を示し、テトラヒドロフリルオキシ基、テトラヒドロピリルオキシ基が挙げられる。
【0027】
一般式(I)においてXは、構成するメチレン基が、酸素原子若しくはビニル基に置換されていてもよいC2〜4アルキレン基、2価の芳香族炭化水素基、又は2価の不飽和複素環基を示す。
【0028】
X中、「構成するメチレン基が、酸素原子若しくはビニル基に置換されていてもよいC2〜4アルキレン基」としては、−(CH2n−、−O(CH2n-1−、−CH=CH(CH2n-1−(ここで、nは2〜4の数を示す)が挙げられ、−OCH2CH2CH2−、−CH=CHCH2CH2−、エチレン基が好ましい。
X中、「2価の芳香族炭化水素基」としては、前記の芳香族炭化水素基の2価の基が例示されるが、フェニレン基が好ましい。
X中、「2価の不飽和複素環基」としては、前記の不飽和複素環基の2価の基が例示されるが、ピリジンジイル基が好ましい。
【0029】
Xとしては、dUTPase阻害活性の点で、−OCH2CH2CH2−、−CH=CHCH2CH2−、エチレン基、フェニレン基、ピリジンジイル基が好ましい例示として挙げられ、特にフェニレン基が好ましい。
【0030】
一般式(I)においてYは、CH又はNを示し、CHがより好ましい。
一般式(I)中、R1及びR2は、同一又は相異なって、水素原子、C1〜6アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい不飽和複素環基を示す。
【0031】
1及びR2中、「C1〜6アルキル基」としては、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
1及びR2中、「C3〜6シクロアルキル基」としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、シクロプロピル基が好ましい。
【0032】
1及びR2中、「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」の「芳香族炭化水素基」としては、前記の芳香族炭化水素基が例示されるが、フェニル基が好ましい。
1及びR2中、「置換基を有していてもよい不飽和複素環基」の「不飽和複素環基」としては、前記の不飽和複素環基が例示されるが、ピリジル基が好ましい。
一般式(I)中、R1、R2の「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」、「置換基を有していてもよい不飽和複素環基」の「置換基」としては、前記の置換基が挙げられ、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子、フッ素原子がより好ましい。また置換基の数は1個が好ましい。
【0033】
一般式(I)中、R3は、水素原子又は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。
3中、「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」の「芳香族炭化水素基」としては、前記の芳香族炭化水素基が例示されるが、フェニル基が好ましい。
3中、「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」、「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」の「置換基」としては、前記の「置換基」が挙げられるが、無置換が好ましい。
【0034】
一般式(I)中、R4は、水素原子、又はハロゲン原子を示す。
4中、「ハロゲン原子」としては、前記のハロゲン原子が例示され、dUTPase阻害活性の点で、塩素原子、フッ素原子が好ましい。
【0035】
本発明化合物の塩としては、薬学的に許容される塩であればよく、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、グルタミン酸などの有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの無機塩基や、メチルアミン、エチルアミン、メグルミン、エタノールアミンなどの有機塩基、又はリジン、アルギニン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。また、本発明化合物には光学異性体や水和物が含まれる。
【0036】
本発明のウラシルN−1位化合物は、下記反応工程式に従い製造することが出来る。
【0037】
【化2】

【0038】
〔式中、Ra、Rb、Rc、Rdは同一又は相異なって、水素原子、ヒドロキシル基が保護されている炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜6のアルキル基、置換基としてハロゲン原子、芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基が保護されている炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のいずれかの置換基を有していても良い芳香族炭化水素基若しくは不飽和複素環基のいずれかを示し、Reは直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜6のアルキル基を示し、Lgはハロゲン原子、フェノキシ基等の脱離基を示し、Pgはヒドロキシル基の保護基を示し、MOMはメトキシメチル基を示す。R1、R2、R3、R4、X及びYは前記と同義(但し、RaがR2で、且つRbがR3及びR4が結合する芳香族炭化水素基若しくは不飽和複素環基を示す場合には、RcはR1を、又RdはX−CH2−OPg若しくはX−CO2eをそれぞれ示し、RcがR2で、且つRdがR3及びR4が結合する芳香族炭化水素基若しくは不飽和複素環基を示す場合には、RaはR1を、又RbはX−CH2−OPg若しくはX−CO2eをそれぞれ示す。)。〕
【0039】
[A−1]
本工程では、容易に入手可能な一般式(1)で表されるアミン化合物とトリホスゲン又はフェノキシカルボニルクロリドを塩基存在下反応させることで、一般式(2)で表される化合物を製造できる。
用いる反応溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下THF)、ジオキサン、アセトン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMA)、ジメチルスルホキシド(以下DMSO)、トルエン等が例示され、好ましくはトルエン又はTHFである。
用いる塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基やトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機アミン類が例示され、好ましくはトリエチルアミンである。その当量数は0.8〜10当量であり、好ましくは1.0〜5.0当量である。
トリホスゲン又はフェノキシカルボニルクロリドの当量数は0.1〜10当量であり、好ましくは0.2〜5.0当量である。反応温度は−78〜150℃であり 、好ましくは−40〜100℃である。反応時間は0.01〜24時間であり、好ましくは0.1〜12時間である。
【0040】
[A−2]
本工程では、一般式(2)で表される化合物と容易に入手可能な一般式(3)で表されるアミン化合物を塩基存在下反応させることで、一般式(4)で表される化合物を製造できる。
用いる反応溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、アセトン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、DMF、DMA、DMSO、トルエン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル等が例示され、好ましくはアセトニトリル、THF、酢酸n−プロピルである。
用いる塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基やトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機アミン類、及びn−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキサメチルジシラザンリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機リチウム化合物が例示され、好ましくはトリエチルアミン又はn−ブチルリチウムである。その当量数は0.8〜10当量であり、好ましくは0.9〜5.0当量である。
一般式(3)で表されるアミン化合物の当量数は0.1〜10当量であり、好ましくは0.2〜5.0当量である。反応温度は−78〜150℃であり、好ましくは−40〜130℃である。反応時間は0.01〜24時間であり、好ましくは0.1〜12時間である。
【0041】
[A−3]
(a)一般式(4)で表される化合物が一般式(5)で表される化合物の場合。
本工程では、一般式(5)で表される化合物のヒドロキシル基の保護基を通常公知の条件で除去することで、前記一般式(7)で表される化合物を製造できる。
なお、R1、R2のいずれかが水素原子の場合には、予めウレイド部NH基を通常公知の方法で適切に保護した後、ヒドロキシル基の保護基を除去する必要がある。
また、本工程では、一般式(5)で表される化合物のヒドロキシル基の保護基を除去することで生じたアルコール化合物を、通常公知の酸化剤と反応させてアルデヒド体へと変換した後、Horner−Wadsworth−Emmons試薬と反応させて不飽和エステル体を経由し、さらに通常公知の還元剤、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウム(以下DIBAL)と反応させることにより一般式(7)で表される化合物を製造することもできる。
【0042】
酸化剤との反応に用いる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン(以下DCE)、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等が例示され、好ましくはトルエンである。
用いる酸化剤としては、無水クロム酸、ピリジン及び無水酢酸の複合試薬、ピリジウムクロロクロメート、ピリジウムジクロメート等のクロム系酸化剤、Dess−Martin試薬等の高原子価ヨウ素酸化剤、DMSOと無水酢酸、塩化オキザリル、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCC)、又は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下EDC・HCl)とを組み合わせて用いるDMSO系酸化剤、酸化マンガン(IV)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラ
ジカルが例示され、好ましくはDMSOとEDC・HClとを組み合わせて用いるDMSO系酸化剤である。EDC・HClの当量数は、0.8〜30当量であり、好ましくは1.0〜20当量である。反応温度は−20〜150℃であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は、0.1〜24時間であり、好ましくは0.2〜12時間である。
【0043】
Horner−Wadsworth−Emmons試薬との反応に用いる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、ジグライム、ジメトキシエタン、DMSO等が例示され、好ましくはTHFである。
Horner−Wadsworth−Emmons試薬はメチルジエチルホスホノアセテートを、例えば水素化ナトリウム、ナトリウムアミド,リチウムジイソプロピルアミド ,ナトリウムメトキシドなどの塩基で処理し調製する。塩基の当量数は0.1〜10当量であり、好ましくは0.8〜2.0当量である。反応温度は−20℃〜100℃であり、好ましくは0〜70℃である。反応時間は0.05〜12時間であり、好ましくは0.1〜2.0時間である。
Horner−Wadsworth−Emmons試薬の当量数は0.1〜10当量、好ましくは0.3〜5.0当量である。反応温度は0℃〜150℃であり、好ましくは10℃〜100℃である。反応時間は0.05〜12時間であり、好ましくは0.1〜4.0時間である。
【0044】
DIBALとの反応に用いる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、ジグライム、ジメトキシエタン、DMSO等が例示され、好ましくはTHF又はトルエンである。DIBALの当量数は0.1〜10当量、好ましくは0.3〜2.0当量である。反応温度は−100℃〜150℃であり、好ましくは−78℃〜50℃である。反応時間は0.05〜12時間であり、好ましくは0.1〜4.0時間である。
【0045】
(b)一般式(4)で表される化合物が一般式(6)で表される化合物の場合。
本工程では、一般式(6)で表される化合物を通常公知の還元剤と反応させることで、前記一般式(7)で表される化合物を製造できる。
用いる反応溶媒としては、用いる還元反応の種類によって異なるがメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等が例示され、好ましくはTHFである。
用いる還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム(以下LAH)、水素化ジエトキシアルミニウムリチウム、水素化トリエトキシアルミニウムリチウム、水素化トリ−tert−ブトキシアルミニウムリチウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウム塩化マグネシウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム又はパラジウム/炭素、水酸化パラジウム、白金のような触媒を用いた接触還元が例示され、好ましくは水素化ホウ素リチウムである。その当量数は、0.5〜5.0当量であり、好ましくは0.8〜3.0当量である。反応温度は0℃〜溶媒の沸点温度であり、好ましくは20〜100℃である。反応時間は、0.1〜120時間であり、好ましくは0.2〜72時間である。
なお、R1、R2のいずれかが水素原子の場合には、予めウレイド部NH基を通常公知の方法で適切に保護した後、還元剤と反応させる必要がある。
【0046】
【化3】

【0047】
〔式中、R1、R2、R3、R4、X及びYは前記と同義。Bzはベンゾイル基を示す。〕
【0048】
[B−1]
本工程では、文献(J.Med.Chem.,50,6032−6038(2007))記載の方法に準じて得られる3−ベンゾイルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(8)と、一般式(7)で表されるアルコール化合物を光延反応で縮合した後、通常公知の方法により脱ベンゾイル化、及び必要に応じて通常公知の方法によりウレイド部NH基の保護基を除去することで、一般式(I)で表される化合物を製造できる。
光延反応に用いる反応溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ジクロロメタン、DCE、ベンゼン、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、アセトン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、DMF等が例示され、好ましくはTHFである。
光延反応に用いられる試薬としては、通常光延反応に用いることができる試薬であれば特に制限はないがジエチルアゾジカルボキシレート(以下DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(以下DIAD)のようなジ低級アルキルアゾジカルボキシレート、又は1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンのようなアゾジカルボニル等のアゾ化合物とトリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン又はトリ−n−ブチルホスフィンのようなトリ低級アルキルホスフィン等の組み合わせである。好ましくDIAD、トリフェニルホスフィンの組み合わせである。
一般式(7)、ジ低級アルキルアゾジカルボキシレート、トリアリールホスフィンの当量数は、それぞれ0.8〜5.0当量であり、好ましくは1.0〜2.0当量である。反応温度は−20℃〜120℃であり、好ましくは0〜60℃である。反応時間は0.01〜24時間であり、好ましくは0.1〜6.0時間である。
【0049】
【化4】

【0050】
〔式中、R1、R2、R3、R4、X及びYは前記と同義。X=−O−CH2−X’−を示す。〕
【0051】
[C−1]
本工程では、一般式(7)で表されるアルコール化合物を通常公知の方法でクロロメチルメチルエーテルと反応させることで、一般式(9)で表される化合物を製造できる。
【0052】
[C−2]
本工程では、一般式(9)で表される化合物を、ルイス酸処理した後、ヨウ素存在下、文献(Nucleosides & Nucleotides,4,565−585(1985))記載の方法で得られる2,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ピリミジンと反応させることで、一般式(I)で表される化合物を製造できる。
ルイス酸処理に用いる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、DCE、トルエン、キシレン等が例示され、好ましくはジクロロメタンである。ルイス酸としては三塩化ホウ素(以下、BCl3)、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素等が例示され、好ましくはBCl3である。その当量数は0.01〜10当量であり、好ましくは0.2〜0.5当量である。反応温度は−20〜100℃であり、好ましくは0〜50℃である。反応時間は0.1〜24時間であり、好ましくは0.5〜5.0時間である。
2,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ピリミジンと反応させる際の溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に制限はないが、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、DCE、トルエン、キシレン等が例示され、好ましくはDCEである。2,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ピリミジンの当量数は0.8〜10当量であり、好ましくは0.9〜5.0当量である。ヨウ素の当量数は0.001〜1.0当量であり、好ましくは0.05〜0.5当量である。反応温度は20〜150℃であり、好ましくは50〜100℃である。反応時間は0.1〜120時間であり、好ましくは0.5〜100時間である。
【0053】
このように製造された本発明化合物及び合成中間体は、通常、公知の分離精製手段例えば、再結晶、晶出、蒸留、カラムクロマトグラフィー等により単離し、精製することができる。本発明化合物及び合成中間体は、通常、公知の方法でその薬理学的に許容される塩の形成が可能であり、また、相互に変換可能である。
【0054】
後述の実施例に示すとおり、本発明のウラシル化合物又はその塩は、優れたdUTPase阻害活性を有するため、抗腫瘍薬に代表される医薬品として有用である。
本発明のウラシル化合物又はその塩を医薬組成物に含有せしめる場合、必要に応じて薬学的担体と配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能であり、該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等が挙げられるが、経口剤が好ましい。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
【0055】
薬学的担体は、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
【0056】
経口用固形製剤を調製する場合は、本発明化合物に賦形剤、必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。
【0057】
賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0058】
結合剤としては、水、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、α−デンプン液、ゼラチン液、D−マンニトール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0059】
崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
矯味・矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0060】
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味・矯臭剤としては、前記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム等が、安定剤としては、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。必要により、腸溶性コーティング又は、効果の持続を目的として、経口製剤に公知の方法により、コーティングを施すこともできる。このようなコーティング剤にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、Tween80(登録商標)等が挙げられる。
【0061】
注射剤を調製する場合は、本発明化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。この場合のpH調節剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖、D−マンニトール、グリセリン等が挙げられる。
【0062】
坐剤を調製する場合は、本発明化合物に当業界において公知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド等を、さらに必要に応じてTween80(登録商標)のような界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。
【0063】
軟膏剤を調製する場合は、本発明化合物に通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製剤化される。基剤としては、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が挙げられる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
【0064】
貼付剤を調製する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム或いは発泡体シートが適当である。
【0065】
前記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明化合物の量は、これを適用すべき患者の症状により、或いはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では約0.05〜1000mg、注射剤では約0.01〜500mg、坐剤では約1〜1000mg程度である。
また、前記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、通常成人(体重50kg)1日あたり約0.05〜5000mg程度であり、0.1〜1000mgが好ましく、これを1日1回又は2〜3回程度に分けて投与するのが好ましい。
本発明化合物を含有する薬剤を投与することにより治療できる疾病としては、悪性腫瘍、マラリア、結核等が挙げられ、例えば悪性腫瘍の場合、頭頚部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍等が挙げられる。また、抗ピロリ菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬としても使用できる。
【実施例】
【0066】
以下に参考例、実施例、及び試験例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に制限されるものではない。
【0067】
参考例1
1−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0068】
【化5】

【0069】
容易に入手可能なジフェニルアミン(423mg)をトルエン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(697μL)、トリホスゲン(274mg)を加え50℃で1時間撹拌した。反応液を放冷後、不溶物を濾去し、トルエン(10mL×4)で洗浄した後、合一した濾液を濃縮することでジフェニルカルバミッククロリド(550mg)を粗生成物として得た。
容易に入手可能なメチル 4−(メチルアミノ)ベンゾエート(496mg)をテトラヒドフラン(以下THF,10mL)に溶解し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.73M,1.15mL)を−78℃で5分かけてゆっくり加え、−78℃で1.5時間撹拌した。反応液にジフェニルカルバミッククロリド(550mg)のトルエン(5.0 mL)溶液を−78℃で加え、室温で4時間撹拌した。反応液に水(5.0mL)、飽和食塩水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(228mg)の内、一部(210mg)をTHF(3.0mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウムのTHF溶液(3.0M,0.33mL)を加え50℃で20時間撹拌した。反応液を放冷後、水(3.0mL)、飽和食塩水(5.0mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(5.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(174mg)を無色固体として得た。
【0070】
参考例2
5−フルオロビフェニル−2−アミンの合成
【0071】
【化6】

【0072】
容易に入手可能な2−ブロモ−4−フルオロアニリン(600mg)、フェニルボロン酸(500mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(365 mg)及び炭酸カリウム(1.75g)をトルエン(20mL)、水(10mL)、エタノール(5.0mL)に溶解し、100℃で12時間撹拌した。反応液を放冷後、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を水(20mL)、及び飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(560mg)を淡黄色油状物質として得た。
【0073】
参考例3
5−クロロビフェニル−2−アミンの合成
【0074】
【化7】

【0075】
容易に入手可能な2−ブロモ−4−クロロアニリン(652mg)から、参考例2の方法に準じて合成することで標記化合物(610mg)を淡黄色油状物質として得た。
【0076】
参考例4
N−メチルビフェニル−2−アミンの合成
【0077】
【化8】

【0078】
容易に入手可能な2−アミノビフェニル(500mg)、ピリジン(364μL)をトルエン(10mL)に溶解し、0℃でクロロギ酸メチル(344μL)を加え室温で2時間撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を水(10mL)、及び飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することでメチル ビフェニル−2−イルカーバメート(520mg)を得た。
水素化アルミニウムリチウム(以下LAH)のTHF溶液(2.4M,2.86mL)をTHF(4.0mL)に溶解し、メチル ビフェニル−2−イルカーバメート(520mg)のTHF溶液(4.0mL)を0℃で滴下し、80℃で12時間撹拌した。反応液を0℃に冷却後、水(2.0mL)をゆっくり加え、生じた不溶物を濾去し、THF(20mL)で洗浄した後、合一した濾液を濃縮することで、標記化合物(430mg)を無色油状物質として得た。
【0079】
以下の参考例5〜6は参考例2〜3により得られたアミンから、参考例4の方法に準じて合成した。結果を以下の表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
参考例7
1−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−メチル−3,3−ジ(ピリジン−2−イル)ウレアの合成
【0082】
【化9】

【0083】
容易に入手可能なメチル 4−(メチルアミノ)ベンゾエート(413mg)をトルエン(12mL)に溶解し、トリエチルアミン(697μL)、トリホスゲン(274mg)を加え0℃で10分、続いて室温で15分撹拌した。不溶物を濾去し、トルエン(10mL×4)で洗浄した後、合一した濾液を濃縮することでメチル 4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ベンゾエート(560mg)を粗生成物として得た。
容易に入手可能な2,2’−ジピリジルアミン(514mg)をTHF(10mL)に溶解し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.73M,1.10mL)を0℃で5分かけてゆっくり加え、室温で45分撹拌した。反応液を0℃に冷却後、メチル 4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ベンゾエート(560mg)のTHF(9.0mL)懸濁液を加え、室温で1.5時間、続いて50℃で30分撹拌した。反応液を放冷後、水(15mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(2%メタノール/酢酸エチル)で精製した。得られた化合物(622mg)の内、一部(599mg)をTHF(12mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウムのTHF溶液(3.0M,1.0mL)を加え50℃で14時間撹拌した。反応液を放冷後、水(5.0mL)、飽和食塩水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(3%メタノール/クロロホルム)で精製することで標記化合物(428mg)を淡黄色固体として得た。
【0084】
以下の参考例8〜12は、参考例4〜6のアミン又は文献公知のアミン、及び容易に入手可能なメチル 4−(メチルアミノ)ベンゾエートから、参考例7の方法に準じて合成した。結果を以下の表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
なお参考例11で用いたアミンは文献(J.Med.Chem.,47,6128−6136,(2004))、参考例12で用いたアミンは文献(Organic Letters,6,4671−4674,(2004))記載の方法により各々合成した。
【0087】
参考例13
1−(5−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0088】
【化10】

【0089】
容易に入手可能なメチル 6−アミノピリジン−3−カルボキシレート(700mg)をTHF(30mL)に溶解し、LAHのTHF溶液(2.0M,5.0mL)に0℃でゆっくり加え0℃で20分、続いて室温で1時間撹拌した。反応液を0℃に冷却後、水(2.0mL)を3分かけてゆっくり加え、室温で5分撹拌した。不溶物を濾去し、33%メタノール/THF(30mL×7)で洗浄した後、合一した濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(6%メタノール/クロロホルム)で精製した。得られた化合物(500mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF,10mL)に溶解し、イミダゾール(545mg)、t−ブチルジフェニルクロロシラン(1.28mL)を加え室温で12時間撹拌した。反応液に水(30mL)を加え、酢酸エチル(30mL)で抽出した。有機層を5%食塩水(20mL×2)、水(20mL)、及び飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(984mg)の内、一部(720mg)をTHF(12mL)に溶解し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.73M,950μL)を0℃で2分かけてゆっくり加え、室温で30分撹拌した。反応液を0℃に冷却後、ヨードメタン(161μL)のTHF(1.0mL)溶液を2分かけてゆっくり加え、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和食塩水(5.0mL)、水(5.0mL)を加え酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(257mg)の内、一部(249mg)をTHFに溶解し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.73M,266μL)を0℃で2分かけてゆっくり加え、室温で25分撹拌した。反応液を0℃に冷却後、参考例1の方法に準じて合成したジフェニルカルバミッククロリド(180mg)のTHF(4.0mL)溶液を加え、室温で30分、続いて50℃で30分撹拌した。反応液を放冷後、飽和食塩水(5.0mL)、水(3.0mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(5.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(206mg)をTHF(2.0mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(1.0M,1.0mL)を加え50℃で1時間撹拌した。反応液を放冷後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することで標記化合物(86mg)を無色固体として得た。
【0090】
参考例14
3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−N−メチルプロパン−1−アミンの合成
【0091】
【化11】

【0092】
容易に入手可能な3−(メチルアミノ)−1−プロパノール(2.84mL)をDMF(60mL)に溶解し、イミダゾール(4.08g)、t−ブチルジフェニルクロロシラン(8.48mL)を加え室温で14時間撹拌した。反応液に水(150mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を水(100mL×2)、及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(6.66g)を無色油状物質として得た。
【0093】
参考例15
1−(3−ヒドロキシプロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0094】
【化12】

【0095】
参考例14により得られた3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−N−メチルプロパン−1−アミン(990mg)をアセトニトリル(8.0mL)に溶解し、トリエチルアミン及び参考例1の方法に準じて合成したジフェニルカルバミッククロリド(554mg)加え、50℃で3時間撹拌した。反応液を放冷後、水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(33%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(1.30g)の内、一部(1.20g)をTHF(10mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(1.0M,3.5mL)を加え50℃で1時間撹拌した。反応液を放冷後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(595mg)を無色油状物質として得た。
【0096】
参考例16
1−(ビフェニル−2−イル)−3−(3−ヒドロキシプロピル)−1,3−ジメチルウレアの合成
【0097】
【化13】

【0098】
参考例4により得られたN−メチルビフェニル−2−アミン(500mg)から参考例15の方法に準じて合成することで、標記化合物(550mg)を無色油状物質として得た。
【0099】
参考例17
(E)−1−(5−ヒドロキシペント−3−エニル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0100】
【化14】

【0101】
参考例15により得られた1−(3−ヒドロキシプロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア(500mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下EDC・HCl,1.01g)をトルエン(3.0mL)、ジメチルスルホキシド(以下DMSO,4.6mL)に溶解し、ピリジン(123μL)、トリフルオロ酢酸(61μL)を加え、室温で30分撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を水(10mL)、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで1−メチル−1−(3−オキソプロピル)−3,3−ジフェニルウレア(460mg)を粗生成物として得た。
メチル ジエチルホスホノアセテート(330μL)をTHF(4.0mL)に溶解し、0℃で水素化ナトリウム(55%,78mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に1−メチル−1−(3−オキソプロピル)−3,3−ジフェニルウレア(460mg)のTHF溶液(4.0mL)を0℃で滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を水(5.0mL)、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(270mg)をTHF(2.0mL)に溶解し、0℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(以下DIBAL)のヘキサン溶液(1.0M,1.72mL)を滴下し、0℃で2時間撹拌した。反応液に0℃で水(1.0mL)、次いで塩酸(1.0M,5.0mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(5.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(70%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(30mg)を無色油状物質として得た。
【0102】
参考例18
(E)−1−(ビフェニル−2−イル)−3−(5−ヒドロキシペント−3−エニル)−1,3−ジメチルウレアの合成
【0103】
【化15】

【0104】
参考例16により得られた1−(ビフェニル−2−イル)−3−(3−ヒドロキシプロピル)−1,3−ジメチルウレア(220mg)から参考例17の方法に準じて合成することで、標記化合物(58mg)を無色油状物質として得た。
【0105】
参考例19
tert−ブチル ジフェニルカルバモイル(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)カーバメートの合成
【0106】
【化16】

【0107】
容易に入手可能なメチル 4−アミノベンゾエート(378mg)をトルエン(10 mL)に懸濁し、トリエチルアミン(697μL)、トリホスゲン(274mg)を0℃で加え0℃で20分撹拌した。不溶物を濾去し、トルエン(10mL×4)で洗浄した後、合一した濾液を濃縮することでメチル 4−(クロロカルボニルアミノ)ベンゾエート(525mg)を粗生成物として得た。
容易に入手可能なジフェニルアミン(508mg)をTHF(10mL)に溶解し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.73M,1.10mL)を0℃で5分かけてゆっくり加え、0℃で30分撹拌した。反応液にメチル 4−(クロロカルボニルアミノ)ベンゾエート(525mg)のTHF(10mL)溶液を0℃で加え、室温で15時間撹拌した。反応液に水(10mL)、飽和食塩水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(235mg)の内、一部(224mg)をジクロロメタン(6.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(181μL)、4−ジメチルアミノピリジン(16mg)、二炭酸−ジ−tert−ブチル(213mg)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(262mg)をTHF(3.0mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウムのTHF溶液(3.0M,0.33mL)を加え50℃で20時間撹拌した。反応液を放冷後、水(3.0mL)、飽和食塩水(5.0mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(5.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(136mg)を泡状物質として得た。
【0108】
参考例20
tert−ブチル(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)(メチル)カルバモイル(フェニル)カーバメートの合成
【0109】
【化17】

【0110】
容易に入手可能なアニリン(273μL)をアセトニトリル(8.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(627μL)、及び参考例7の方法に準じて合成したメチル 4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ベンゾエート(562mg)のトルエン(8.0mL)溶液を室温で加え、50℃で9時間撹拌した。反応液を放冷後、水(10mL)、飽和食塩水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(675mg)の内、一部(340mg)をジクロロメタン(12mL)に溶解し、トリエチルアミン(335μL)、4−ジメチルアミノピリジン(29mg)、二炭酸−ジ−tert−ブチル(393mg)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(40mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(488mg)の内、一部(470mg)をTHF(6.0mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウムのTHF溶液(3.0M,0.69mL)を加え50℃で20時間撹拌した。反応液を放冷後、水(5.0mL)、飽和食塩水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(241mg)を無色油状物質として得た。
【0111】
参考例21
3−(ビフェニル−2−イル)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−1−メチルウレアの合成
【0112】
【化18】

【0113】
容易に入手可能な2−アミノビフェニル(500mg)、トリエチルアミン(626μL)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、0℃でクロロギ酸フェニル(451μL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、クロロホルム(10mL)で抽出した。有機層を塩酸(1.0M,5.0mL)、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた化合物(600mg)の内、一部(286mg)、参考例14で得られた3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)−N−メチルプロパン−1−アミン(215mg)及びトリエチルアミン(143μL)を酢酸n−プロピル(3.0mL)に溶解し、60℃で8時間撹拌した。反応液を放冷後、水(5.0mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(33%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(280mg)をTHF(2.0mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液(1.0M,3.5mL)を加え50℃で1時間撹拌した。反応液を放冷後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(80%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(140mg)を無色油状物質として得た。
【0114】
参考例22
1−(3−(メトキシメトキシ)プロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0115】
【化19】

【0116】
参考例15により得られた1−(3−ヒドロキシプロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア(227mg)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(418μL)、クロロメチルメチルエーテル(122μL)を加え室温で3.5時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製することで標記化合物(238mg)を無色油状物質として得た。
【0117】
以下の参考例23〜24は参考例16又は参考例21で得られたアルコールから、参考例22の方法に準じて合成した。結果を以下の表3に示す。
【0118】
【表3】

【0119】
参考例25
1−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−1,3−ジメチル−3−フェニルウレアの合成
【0120】
【化20】

【0121】
容易に入手可能なメチル 4−(メチルアミノ)ベンゾエート(400mg)をトルエン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(671μL)、トリホスゲン(266mg)を加え50℃で1時間撹拌した。反応液を放冷後、不溶物を濾去し、トルエン(10mL×4)で洗浄した後、合一した濾液を濃縮することでメチル 4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ベンゾエートを粗生成物として得た。
容易に入手可能なN−メチルアニリン(393μL)をアセトニトリル(5.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(671μL)を加えた。反応液にメチル 4−(クロロカルボニル(メチル)アミノ)ベンゾエートのトルエン(5.0mL)溶液を0℃で加え、50℃で12時間撹拌した。反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(33%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物(370mg)をTHF(3.0mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウムのTHF溶液(2.0M,1.2mL)を加え50℃で12時間撹拌した。反応液を放冷後、水(3.0mL)、飽和塩化アンモニウム水溶液(5.0mL)をゆっくり加え、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を塩酸(1.0M,5.0mL)、次いで飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで標記化合物(300mg)を無色油状物質として得た。
以下の参考例26〜28は容易入手可能な各アミンから、参考例25の方法に準じて合成した。結果を以下の表4に示す。
【0122】
【表4】

【0123】
なお、参考例28で用いた原料アミンは、文献(Synlett.,14,2139−2142,(2003))記載の方法により合成した。
【0124】
実施例1
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0125】
【化21】

【0126】
参考例1により得られた1−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア(159mg)をTHF(4.5mL)に溶解し、トリフェニルホスフィン(164mg)、文献(J.Med.Chem.,50,6032−6038(2007))記載の方法で得られた3−ベンゾイルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(114mg)を加え室温で5分撹拌した。反応液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(以下DIAD)のトルエン溶液(1.9M,330μL)をゆっくり滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物をメチルアミンのメタノール溶液(40%,4.0mL)に溶解し、室温で30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィールカラムクロマトグラフィー(2%メタノール/クロロホルム)で精製することで標記化合物(80mg,収率39%)を無色泡状物質として得た。
【0127】
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):3.15(3H,s),4.69(2H,s),5.59(1H,d,J=7.9Hz),6.77−6.82(4H,m),6.91−7.16(10H,m),7.59(1H,d,J=7.9Hz),11.24(1H,brs)
【0128】
実施例2〜実施例15
以下の化合物は各々参考例で得られた化合物から、実施例1の方法に準じて合成した。結果を以下の表5〜表9に示す。
【0129】
実施例2
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1−メチル−3,3−ジ(ピリジン−2−イル)ウレア
実施例3
1−(5−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ピリジン−2−イル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア
実施例4
1−(3−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)プロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア
実施例5
1−(ビフェニル−2−イル)−3−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1,3−ジメチルウレア
実施例6
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−3−(5−フルオロビフェニル−2−イル)−1,3−ジメチルウレア
実施例7
1−(5−クロロビフェニル−2−イル)−3−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1,3−ジメチルウレア
実施例8
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−1−メチルウレア
実施例9
1,1−ビス(4−クロロフェニル)−3−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−3−メチルウレア
実施例10
(E)−1−(5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)ペント−3−エニル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア
実施例11
(E)−1−(ビフェニル−2−イル)−3−(5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)ペント−3−エニル)−1,3−ジメチルウレア
実施例12
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1,3−ジメチル−3−フェニルウレア
実施例13
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジメチルウレア
実施例14
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−3−エチル−1−メチル−3−フェニルウレア
実施例15
1−シクロプロピル−3−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−3−メチル−1−フェニルウレア
【0130】
【表5】

【0131】
【表6】

【0132】
【表7】

【0133】
【表8】

【0134】
【表9】

【0135】
実施例16
3−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1,1−ジフェニルウレアの合成
【0136】
【化22】

【0137】
参考例19により得られたtert−ブチル ジフェニルカルバモイル(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)カーバメート(128mg)をTHF(3.0mL)に溶解し、トリフェニルホスフィン(106mg)、文献(J.Med.Chem.,50,6032−6038(2007))記載の方法で得られた3−ベンゾイルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(74mg)を加え室温で5分撹拌した。反応液にDIADのトルエン溶液(1.9M,212μL)をゆっくり滴下し、室温で30分撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた化合物をメチルアミンのメタノール溶液(40%,2.0mL)に溶解し、室温で20分間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をメタノール(5.0mL×1)、続いてトルエン(5.0mL×1)で共沸した。残渣を塩酸−ジオキサン溶液(4.0M,2.0mL)に溶解し、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をトルエン(5.0mL×2)で共沸した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1.5%メタノール/クロロホルム)で精製することで標記化合物(112mg,収率88%)を得た。
【0138】
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):4.77(2H,s),5.56(1H,d,J=7.9Hz),7.15−7.24(8H,m),7.33−7.41(6H,m),7.71(1H,d,J=7.9Hz),8.45(1H,brs),11.28(1H,brs)
【0139】
実施例17
1−(4−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)フェニル)−1−メチル−3−フェニルウレアの合成
【0140】
【化23】

【0141】
参考例20により得られたtert−ブチル (4−(ヒドロキシメチル)フェニル)(メチル)カルバモイル(フェニル)カーバメート(230mg)から、実施例16の方法に準じて合成することで標記化合物(194mg,収率86%)を泡状物質として得た。
【0142】
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):3.24(3H,s),4.86(2H,s),5.60(1H,d,J=7.7Hz),6.90−6.96(1H,m),7.17−7.24(2H,m),7.28−7.35(4H,m),7.38−7.42(2H,m),7.78(1H,d,J=7.7Hz),8.22(1H,brs),11.32(1H,brs)
【0143】
実施例18
1−(3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレアの合成
【0144】
【化24】

【0145】
参考例22により得られた1−(3−(メトキシメトキシ)プロピル)−1−メチル−3,3−ジフェニルウレア(222mg)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解し、三塩化ホウ素(以下、BCl3)のジクロロメタン溶液(1.0M,227μL)を0℃で加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を1,2−ジクロロエタン(以下DCE,1.0mL)に溶解した。
【0146】
文献(Nucleosides & Nucleotides,4,565−585(1985))記載の方法で得られた2,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ピリミジン(262mg)をDCE(2.0mL)に溶解し、残渣のDCE(2.0mL)溶液、及びヨウ素(26mg)を加え90℃で1時間加熱還流した。反応液を放冷後、水(10mL)、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(1.0mL)を加え、酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。合一した有機層を水(6.0mL)、飽和食塩水(6.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することで標記化合物(189mg,収率68%)を泡状物質として得た。
【0147】
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.60−1.70(2H,m),2.64(3H,s),3.21(2H,t,J=6.8Hz),3.41(2H,t,J=6.3Hz),5.04(2H,s),5.59(1H,d,J=7.9Hz),6.91−6.94(4H,m),7.08−7.14(2H,m),7.28−7.34(4H,m),7.66(1H,d,J=7.9Hz),11.32(1H,brs)
【0148】
実施例19〜実施例20
以下の化合物は各々参考例23〜24で得られた化合物から、実施例18の方法に準じて合成した。結果を以下の表10に示す。
【0149】
実施例19
1−(ビフェニル−2−イル)−3−(3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロピル)−1,3−ジメチルウレア
実施例20
3−(ビフェニル−2−イル)−1−(3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロピル)−1−メチルウレア
【0150】
【表10】

【0151】
比較例1
1−((2−トリチルオキシ)エトキシ)メチル)ピリミジン−2,4−(1H,3H)−ジオン
【0152】
【化25】

【0153】
国際公開WO2005−065689号(特許文献1)記載の方法で合成した。
【0154】
試験例1 ヒトdUTPase阻害作用
本発明化合物のヒトdUTPaseに対する阻害活性を、下記方法により[5−3H]デオキシウリジントリホスフェート(以下、[5−3H]dUTP)からの[5−3H]デオキシウリジンモノホスフェート(以下、[5−3H]dUMP)の生成を測定することにより求めた。
すなわち、1μM dUTP(588Bq/mLの[5−3H]dUTPを含む)0.02mL、0.2Mトリス緩衝液(pH7.4)0.05mL、16mM塩化マグネシウム0.05mL、20mM 2−メルカプトエタノール0.02mL、1%ウシ胎児血清由来アルブミン水溶液0.02mL、種々濃度の被検化合物溶液又は対照として純水0.02mL及び大腸菌を用いて発現させ精製したヒトdUTPase溶液0.02mLの計0.2mLを37℃で15分間反応させた。反応後直ちに100℃で1分間加熱して反応を停止させ、15000rpmで2分間遠心分離した。遠心分離後、得られた上清の一部(150μL)をAtlantis dC18カラム(Waters社製、4.6×250mm)を用いて高速液体クロマトグラフ(島津製作所製、Prominence)にて分析した。流速0.8mL/minで移動相A(10mMリン酸二水素カリウム(pH6.7)、10mMテトラブチルアンモニウム、0.25%メタノール)と移動相B(50mMリン酸二水素カリウム(pH6.7)、5.6mMテトラブチルアンモニウム、30%メタノール)の4:6混液から移動相Bへの30分間濃度勾配により溶離した。溶離液に1:2の比率でシンチレーター(パーキンエルマー社製、Ultima−Flo AP)を混和し、Radiomatic Flow Scintillation Analyzer(パーキンエルマー社製、525TR)にて生成した[5−3H]dUMP(RT 10.2min)の放射活性を測定した。
被検化合物の阻害活性は次式により求め、ヒトdUTPaseによって生成する[5−3H]dUMPの量を50%阻害する被検液の濃度をIC50(μM)として表11に示した。
【0155】
【数1】

【0156】
以下の表11にヒトdUTPase阻害活性データを示す。
【0157】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、
Xは、構成するメチレン基が、酸素原子若しくはビニル基に置換されていてもよいC2〜4アルキレン基、2価の芳香族炭化水素基、又は2価の不飽和複素環基を示し、
YはCH又はNを示し、
1及びR2は、同一又は相異なって、水素原子、C1〜6アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい不飽和複素環基を示し、
3は水素原子又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示し、
4は水素原子又はハロゲン原子を示す。)
で表されるウラシル化合物又はその塩。
【請求項2】
Xが、−(CH2n−、−O(CH2n-1−、−CH=CH(CH2n-1−(ここで、nは2〜4の数を示す)、フェニレン基又はピリジンジイル基である請求項1記載のウラシル化合物又はその塩。
【請求項3】
1及びR2が、同一又は相異なって、水素原子、C1〜6アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、ハロゲン原子が置換していてもよいフェニル基、又はハロゲン原子が置換していてもよいピリジル基である請求項1又は2記載のウラシル化合物又はその塩。
【請求項4】
3が、水素原子又はフェニル基である請求項1〜3のいずれか1項記載のウラシル化合物又はその塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のウラシル化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のウラシル化合物又はその塩を含有するヒトdUTPase阻害剤。

【公開番号】特開2011−111433(P2011−111433A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271705(P2009−271705)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000207827)大鵬薬品工業株式会社 (52)
【Fターム(参考)】