説明

エアジェットスピニング法における一定の接合材料

本発明は、繊維束(2)を延伸するためのドラフト機構(1)を始動する方法に関する。このためにドラフト機構(1)は、少なくとも1つの前方のローラ対(3)と、ニップライン(5)を有する後方のローラ対(4)とを備えており、この場合ドラフト機構(1)を始動するために繊維束端部(6)が提供されるようになっている。本発明によれば、ドラフト機構(1)の始動時に、前方のローラ対(3)の回転数経過および後方のローラ対(4)の回転数経過において加速からの進入過程が終了していて、はじめて繊維束端部(6)が後方のローラ対(4)のニップライン(5)に進入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項3の上位概念に記載の形式の、ドラフト機構を始動する方法、請求項11の上位概念に記載の形式の、繊維機械のドラフト機構のための制御装置、ならびに請求項12に記載の形式の、制御装置を備えた繊維機械に関する。
【0002】
背景技術
ドラフト機構を始動する方法は繊維技術で公知である。このような方法については、欧州特許第1219737号明細書、欧州特許第807700号明細書および欧州特許第1375709号明細書に記載されている。本発明は、前掲の明細書から判るように、とりわけエアジェットスピニングマシンに属するドラフト機構を始動するのに適している。エアジェットスピニングマシンでは、繊維束は、単数または複数の空気流によって紡績されて、糸が形成される。
【0003】
しかしながらドラフト機構を始動する公知の方法には欠点が存在する。このことは、とりわけエアジェットスピニング機械に属するドラフト機構、またはエアジェットスピニング法に従って作動する紡績ユニットに延伸された繊維をガイドするドラフト機構に当てはまる。ドラフト機構を始動する公知の方法に関する欠点によれば、接合部の品質が常に満足できるものとはならない。接合部とは、糸内部の「継ぎ目(Nahtstelle)」と解され、そこでは糸がたとえば生産中断後に再び接合されるか、または繋がれる。一般的に接合部は、存在する糸端部に、または糸端部の周りに、別の繊維が紡績されて形成される。接合部は、糸端部と追加的にこれに紡績された新たな繊維との間の実際の重畳領域を成す。多くの場合接合部は、実際には所望されない厚い箇所を成す。理想的には、接合部または接合箇所は、残りの糸とは異ならないようにするのが望ましく、このことはとりわけ強度および繊維質量に関して当てはまる。理想的な状態を得ようとするために、前掲の文献に様々な思想が開示されている。たとえば接合の行われる繊維端部が先細にされ、かつ/またはドラフト機構が重畳領域で後続の定常運転状態よりも僅かな繊維しか搬送しないようになっている。これにもかかわらず公知の装置では、依然として、本発明で解消されるような別の問題が生じる。
【0004】
ドラフト機構の始動時に、ひいては所属のローラ対の始動もしくは加速時に、接合速度への回転数経過の振動過程が生じる、ということが認められた。停止状態から適当な接合速度もしくは接合回転数にローラ対を加速することによってもたらされる(図2および後述の実施例の説明参照)振動過程(上下振動)によって、接合回転数に最初に到達する際に、ローラ対の一定でない回転数がもたらされ、ひいてはドラフト機構のローラ対の間で一定でない回転数特性がもたらされる。通常ドラフト機構において、接合過程は、運転速度にローラ対が加速される間か、または規定の接合速度に到達した直後に始まる。換言すると、接合部の形成に際して、接合速度への加速時におけるローラ対の振動過程は従来全く考慮されなかった。したがって従来接合部は、ドラフト機構の、延伸を及ぼす両方のローラ対の間の一定でない回転数もしくは一定でない回転特性で生じた。したがってローラ対の上下振動によって、繊維束の、不正確でばらつきのある延伸が生じる。ばらついて延伸された繊維束が糸端部と纏められると、これによって接合部が形成されるが、接合部も質量変動を有している。その結果として接合部の重畳領域において、多くの場合許容できない薄い箇所に続いて許容できない厚い箇所が生じる。反対の場合、重畳領域に薄い箇所が生じるか、もしくは接合が完全に失敗する。
【0005】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような形式の、繊維束を延伸するためのドラフト機構を始動する方法を改良して、接合部における質量変動の低減されるかもしくは最小化されるようなものを提供することである。またさらなる課題は、繊維束が当初から正確な延伸特性で延伸されるような、ドラフト機構を始動する方法を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1および請求項3の特徴部に記載した方法によって解決される。
【0007】
本発明による方法の有利な作用について、以下に図1および図2につき説明する。
【0008】
図1には、典型的なドラフト機構1を示しており、ドラフト機構1において本発明による方法が認められる。ドラフト機構1は、前方(上流側)のローラ対3と、ニッププライン5を有する後方(下流側)のローラ対4とを備えている。ドラフト機構1は、さらに別のローラ対7を備えていてよい。ドラフト機構1は、繊維束2を延伸(ドラフト)するのに役立つ。このためにローラ対3,4は、それぞれ異なる速度もしくは周速度で回転する。したがって前方のローラ対3および後方のローラ対4は、ドラフト機構1のいわゆる主延伸域8を成す。ローラ対7とローラ対3との間でも延伸を行うことができる(いわゆる予備延伸)。一般的にドラフト機構は、図1に示したように、前方のローラ対3にエプロン20を備えており、エプロン20は、延伸しようとする繊維束2をガイドするのに役立つ。エプロン20は、本発明にとって重要ではなく、また必ずしも設ける必要はない。定常運転では、繊維束2は、ローラ対7(設けられている場合)を通走し、かつとりわけローラ対3,4を通走する。この場合繊維束2は延伸されて、後方のローラ対4のニップライン5において、もしくはニップライン5の下流側でドラフト機構1から離間する。延伸された繊維束は、次いで多くの場合同じ形式で処理される(たとえば紡績ユニットにおいて、これに関しては図4参照)。何らかの理由で生産が中断されるか、もしくは概してドラフト機構1を再び運転する必要がある場合、繊維束2は、再びドラフト機構1に導入するか、または少なくとも正しく位置決めしなければならない。したがって繊維束端部6の位置は、特に重要な役割を担うようになる。ここでは本発明にとって、ドラフト機構1が追加的なローラ対7を備えているか、またはさらに別のローラ対を備えているかは重要でない。通常生産中断時に、ドラフト機構1のローラ対は順次停止されるので、繊維束2はニップライン5で切断される。このために前方のローラ対3は後方のローラ対4よりも早期に停止される。これによって繊維束端部6は、ニップライン5の直前に位置するようになる。これに関しては、たとえば前掲欧州特許第1375709号明細書を参照されたい。
【0009】
ドラフト機構1が再び運転されると、原則として、前方のローラ対3が再び運転されるまえに、先ず後方のローラ対4が回転し始める。したがって後方のローラ対4の始動と前方のローラ対3の始動との間の時間間隔は十分な程度となっており、前方のローラ対3が運転されるまえに、ローラ対4の回転数経過で、加速からの振動過程が終了される。繊維束端部6が後方のローラ対4のニップライン5の直前に存在するので、繊維束2の延伸は、前方のローラ対3の始動直後に行われる。前方のローラ対3は、始動後に、さらに接合速度または運転速度に加速する必要があるので、ここでも所望の接合回転数への振動が生じる。これによって繊維束2の、繊維束端部6に直に続く領域では変動した延伸が行われ、したがってこの領域では不都合な質量変動が存在する。接合部を形成するのに繊維束2の「始端領域」が用いられると、当然のこととして接合部は不都合な質量変動を有することとなる。
【0010】
このような質量変動の発生は、図2から良好に看取することができる。図2には、特に後方のローラ対4の回転数経過U4(t)と前方のローラ対3の回転数経過U3(t)とを示した。時点t=0で後方のローラ対4が始動される。これに関して前述のローラ対4は、時間間隔th,4の間、ローラ対4が接合回転数UA,4(たとえば〜5mm/msec)に達するまで加速される。ローラの加速度は極めて大きくなっている。なぜならばそうでない場合糸端部10は、許容範囲を超えて長く選択しなければならないからである。したがって加速(Hochfahren)は数ミリ秒の間で行われる。物理的な理由から、ローラ対にとって、一定ではあるが極めて高い加速度の場合において所望の回転数の到達時に急激に加速を中断することは不可能であるので、特定の時間間隔tEV4の間振動過程が生じる。前方のローラ対3にも同じことが当てはまる(時間間隔tEV3の間の振動過程)。振動過程がどの程度長く続いて、上下振動がどの程度の大きさであるかに関しては、駆動されるローラ対の物理的特性ならびに駆動装置、調整装置および制御装置に依存している。適当な調整装置および駆動装置を使用することによって、時間間隔tEVは最小限に抑えることができる。しかしながらこれはローラ対の高い加速度に基づいて完全には回避することができない。
【0011】
ドラフト機構の始動時に延伸された繊維束の始端領域で前述の作用による質量変動が発生しないようにするために、本発明によれば、繊維束端部(要するに繊維束の先端部分)は、両方のローラ対が加速からの適当な振動過程を終了して、はじめて第2のローラ対のニップラインに供給される。この時点は図2にtEVEで記載した。この時点で、両方のローラ対は、一定の接合回転数に達する(図示したように)か、または少なくとも振動過程を終了する。本発明によれば、早くとも時点tEVEで繊維束の延伸が再開され、また換言すると、早くとも時点tEVEで、繊維束端部は第2のローラ対のニップラインに進入して、ひいては延伸してよい。ドラフト機構の始動は、調和された延伸と共に、糸端部との接合過程を含んでいるので、接合過程tKの開始時点は、時点tEVE以前に位置してはならない。したがって時点tEVEは、接合過程を開始するのに最も早い時点である。接合過程が行われると、接合過程は数ミリ秒続き(時間間隔tAE参照、たとえば〜8msec)、時点tEで終了される。時点tEにおける接合過程に続いて、ドラフト機構は、再び定常運転可能である。有利には接合過程は、一定の接合回転数UA,4もしくは接合回転数UA,3で行われ、この場合接合の行われたあとで、両方のローラ対は同期的かつゆっくりと、つまり上方振動なしに、その都度の運転回転数UB,3および運転回転数UB,4に加速することができる。したがって接合をほぼ運転回転数で行うことも考えられるので、接合回転数UA,3および接合回転数UA,4は、既にドラフト機構の定常運転に関する運転回転数を成す。接合回転数とは異なる運転回転数へのローラの同期的な加速は、図2において鎖線で示した。
【0012】
本発明による方法に関して、従属請求項にみられる様々な有利な実施例が存在する。
【0013】
以下に、別の図面に基づいて本発明の思想もしくは作用形式に関して本発明を説明する。ここで付記しておくと、本発明もしくは本発明の思想は、図示の実施例に制限されるものではない。
【0014】
図3には、接合過程の行われるドラフト機構を示した。ここではドラフト機構を始動するために本発明による方法が用いられる。接合過程を行うために、先ず存在する糸端部10は、実際の紡績方向とは逆向きに紡績ユニット12を介して引っ張られる。紡績ユニット12はドラフト機構の下流側に配置されている。糸端部10は同様に後方のローラ対4のニップライン5を通ってガイドされて、規定の長さに切断され、始動に関して適当に位置決めされる。ドラフト機構の始動に際して、図2に示したように、先ず後方のローラ対4が回転される。これに次いで前方のローラ対3が運転される。また両方のローラ対を同時に運転することも考えられる(本発明による方法で可能な実施例に相当する)。ドラフト機構を始動するまえに、繊維束端部6は、図示したように、後方のローラ対4のニップライン5に対して規定の間隔で配置される。この間隔は、少なくとも繊維束端部6がニップライン5に到達すると、両方のローラ対3,4が回転数経過で加速からの振動過程を終了する大きさである。既に説明したように接合が行われると、糸端部10の一部と図示の繊維束2の前方領域の一部とが重畳する。この重畳領域は、後続の紡績ユニット12で紡績され、実際の接合部が形成される。
【0015】
図4には、本発明の方法によって運転されるドラフト機構と、後続の紡績ユニット12とを図示した。図面には、ドラフト機構1および紡績ユニット12は定常運転状態で示した。図1〜図3に示した構成部材に相当する個々の構成部材は、同じ符号で示した。後方のローラ対4のローラ16は、予備延伸された繊維束11を紡績ユニット12に搬送する。紡績ユニット12は、有利には繊維束11を様々な紡績法に従って紡績することができる。図面には、エアジェットスピニング法に従って作動する(いわゆるボルテックス−エアジェットスピニング法)紡績ユニット12を示した。このために紡績ユニット12は、渦流チャンバ14と、渦流チャンバ14内に設けられたスピンドル15とを備えている。スピンドル15は、厳密にいえば、有利には回動しない紡績ノズルである。渦流チャンバ14には、ノズルによって空気渦流が形成され、空気渦流は、スピンドル15の開口部における予備紡績された繊維束11の繊維の紡績をもたらす。これによって製作される糸13は、適当に延伸され、かつ巻取装置に巻き取られる(図示せず)。図面から判るように、ドラフト機構1は、追加的にローラ対7を備えており、ローラ対7は、ローラ対3と共に予備延伸域9を形成する。再度はっきり述べておくと、本発明によるドラフト機構を始動する方法は、ここで示したエアジェットスピニング法のような特定の紡績法に制限されるものでもなく、別のローラ対7の使用に制限されるものでもない。
【0016】
図5には、本発明による制御装置19を示した。制御装置19は、本発明による方法に基づいてドラフト機構1を運転する。このために後方のローラ対4は独自の駆動装置18を備えており、同様に前方の駆動装置3も独自の駆動装置17を備えている。ドラフト機構1は、図示したように、さらに別のローラ対7を備えており、ローラ対7はローラ対3と共に予備紡績域を形成するので、ローラ対7はローラ対3の駆動装置17を介して駆動することもできる(または追加的な独自の駆動装置を備えている)。本発明による制御装置19は、本発明による方法に応じてドラフト機構の始動に際して駆動装置17,18を制御する。制御装置19は、繊維機械の適当な別の監視装置および制御装置と接続することができる(繊維機械全体については図示していない)。
【0017】
どのようにしてドラフト機構が予め停止されたかに応じて、ドラフト機構の始動前に繊維束端部6が後方のローラ対4のニップライン5から後退移動されることも、本願発明に含まれるものとする。このことはたとえば制御装置19および駆動装置17を用いて自動的に行うこともできる。このことはとりわけ繊維束端部6が手動によって後方のローラ対4のニップライン5から設定された間隔で分離されない場合に当てはまる。このことはとりわけ全自動式の接合法および接合装置で所望され、ここではドラフト機構1は、繊維束2が後方のローラ対4のニップライン5で分離されるように、予め停止される。要するにこの場合、ドラフト機構が再び運転できるようになるまえに、明瞭に規定された繊維束端部6が生じ、繊維束端部6は適当に位置決めするだけでよい。
【0018】
本発明は、説明した実施例および思想に制限されるものではない。むしろこのような方法は、当業者にとって、本発明による思想をできるだけ有利な形式で変化させるものとしてみなされる。したがって記載の実施例から、同様に本発明の思想を成して本明細書によって権利保護されるべき別の有利な仕様および組み合わせを簡単に派生させることができる。開示した幾つかの特徴は、明細書中に組み合わせた形で記載しており、特許請求の範囲にも組み合わせた形で記載した。したがって明細書中の個々の特徴は、本発明の思想において個別的に、または別の組み合わせた形で請求することもできるものとする。これにより本出願人は、本発明の思想を用いた別の組み合わせも留保するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】典型的なドラフト機構を示す概略図である。
【図2】質量変動を示す線図である。
【図3】ドラフト機構を示す概略図である。
【図4】ドラフト機構を示す概略図である。
【図5】ドラフト機構を示す概略図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ドラフト機構、
2 繊維束、
3 前方のローラ対、
4 後方のローラ対、
5 ニップライン、
6 繊維束端部、
7 ローラ対、
8 主延伸域、
9 予備延伸域、
10 糸端部、
11 延伸された繊維束、
12 紡績ユニット、
13 糸、
14 渦流チャンバ、
15 スピンドル、
16 後方のローラ対のローラ、
17 予備延伸域の駆動装置、
18 後方のローラ対の駆動装置、
19 制御装置、
20 エプロン、
4(t) 後方のローラ対4の回転数経過、
3(t) 前方のローラ対3の回転数経過、
A,4 後方のローラ対4に関する接合回転数、
A,3 前方のローラ対4に関する接合回転数、
s,3 前方のローラ対3の始動に関する時点、
h,3 前方のローラ対3が接合回転数UA,3に達するまでの時間間隔(加速)、
h,4 後方のローラ対4が接合回転数UA,4に達するまでの時間間隔(加速)、
E,V3 前方のローラ対3が加速からの振動過程を終了するまでの時間間隔、
E,V4 後方のローラ対4が加速からの振動過程を終了するまでの時間間隔、
K 接合過程開始時点、
E 接合過程終了時点、
AE 接合過程時間間隔、
EVE 両方のローラ対が振動過程を終了する時点、
B,4 後方のローラ対4の運転回転数、
B,3 前方のローラ対3の運転回転数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束(2)を延伸するためのドラフト機構(1)を始動する方法であって、
ドラフト機構(1)が、前方のローラ対(3)と、ニップライン(5)を有する後方のローラ対(4)とを備えるようにし、ドラフト機構(1)を始動するために繊維束端部(6)を提供する方法において、
ドラフト機構(1)を始動するまえに、繊維束端部(6)を、後方のローラ対(4)のニップライン(5)に対して設定された間隔で位置するようにし、有利には前記間隔が6mmまで、さらに有利には前記間隔が0.1mmから5mまで、特に有利には前記間隔が3mmまたは4mmであり、有利には前記間隔の位置決めを、繊維束端部(6)の切断によって行うことを特徴とする、ドラフト機構を始動する方法。
【請求項2】
繊維束(2)を延伸するためのドラフト機構(1)を始動する方法であって、
ドラフト機構(1)が、前方のローラ対(3)と、ニップライン(5)を有する後方のローラ対(4)とを備えるようにし、ドラフト機構(1)を始動するために繊維束端部(6)を提供する方法において、
ドラフト機構(1)の始動時に、前方のローラ対(3)の回転数経過および後方のローラ対(4)の回転数経過において加速からの振動過程が終了して、はじめて繊維束端部(6)が、後方のローラ対(4)のニップライン(5)に進入するようにし、
前方のローラ対(3)および後方のローラ対(4)が、後方のローラ対(4)のニップライン(5)への繊維束端部(6)の進入時に、有利には一定の回転数値を有するようにすることを特徴とする、ドラフト機構を始動する方法。
【請求項3】
ドラフト機構(1)を始動するまえに、繊維束端部(6)を、後方のローラ対(4)のニップライン(5)に対して設定された間隔で位置するようにし、有利には前記間隔が0.1mmから5mまで、さらに有利には前記間隔が3mmまたは4mmである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
繊維束(2)を延伸するためのドラフト機構(1)を始動する方法であって、
ドラフト機構(1)が、前方のローラ対(3)と、ニップライン(5)を有する後方のローラ対(4)とを備えるようにし、ドラフト機構(1)を始動するために繊維束端部(6)を提供する方法において、
ドラフト機構(1)を始動するまえに、繊維束端部(6)を、後方のローラ対(4)のニップライン(5)に対して設定された間隔で位置するようにし、有利には前記間隔が6mmまで、さらに有利には前記間隔が0.1mmから5mまで、特に有利には前記間隔が3mmまたは4mmであり、有利には前記間隔の位置決めを、繊維束端部(6)の切断によって行うことを特徴とする、ドラフト機構を始動する方法。
【請求項5】
ドラフト機構(1)が、別の少なくとも1つのローラ対(7)を備えるようにし、前方のローラ対(3)および後方のローラ対(4)が、有利にはドラフト機構(1)の主延伸域(8)を形成するようにする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
後方のローラ対(4)が、ドラフト機構(1)の出口ローラ対を成すようにする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ドラフト機構(1)の始動後または始動時に、延伸された繊維束(2)の一部が糸端部(10)に重畳するようにし、有利にはこのために糸端部(10)が同様に後方のローラ対(4)のニップライン(5)を通走するようにする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ドラフト機構(1)が、延伸された繊維束(11)を直接的に紡績ユニット(12)に搬送するようにし、紡績ユニット(12)が、繊維束(2,11)を紡績して糸(13)を形成するようにし、有利にはドラフト機構(1)および紡績ユニット(12)が、繊維機械の精紡部の構成要素を成すようにする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
エアジェットスピニング法を用いて、紡績ユニット(12)が、繊維束(2,11)を紡績して糸(13)を形成するようにし、有利には紡績ユニット(12)が、渦流チャンバ(14)とスピンドル(15)とを備えるようにする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
後方のローラ対(4)のニップライン(5)に繊維束端部(6)が進入する際に、後方のローラ対(4)のローラ(16)が、少なくとも300m/minの速度を有するようにするか、または繊維束(11)が、後方のローラ対(4)のニップライン(5)を離間した直後に少なくとも300m/minの速度を有するようにする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
後方のローラ対(4)のニップライン(5)への繊維束端部の進入が、運転回転数値よりも低いローラ回転数値で行われるようにし、後方のローラ対(4)のニップライン(5)への繊維束(6)の進入に続いて、ローラ(3,4,16)を、運転回転数に対して同期的に加速する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
繊維機械の単数または複数のドラフト機構(1)のための制御装置において、
制御装置(19)が、単数または複数のドラフト機構を始動するために、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を行うようになっていることを特徴とする、繊維機械の単数または複数のドラフト機構のための制御装置。
【請求項13】
請求項12記載の単数または複数の制御装置(1)を備えた繊維機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−522355(P2007−522355A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551704(P2006−551704)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000045
【国際公開番号】WO2005/075721
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】