説明

エアゾール供給容器内の圧力を制御する装置

推進物質によって圧力容器(A)の内容物に作動圧力を付与する作動圧力付与装置であって、作動圧力付与装置には圧力容器(A)とガス供給装置(B)とが設けられており、ガス供給装置(B)は圧力制御装置(2)及び推進物質を貯蔵するための高圧圧力室を含み、ガス供給装置(B)には高圧圧力室(3)より圧力制御装置へ推進物質を供給すべく高圧圧力室と圧力制御装置とを接続する供給通路が設けられており、更に圧力制御装置は推進物質によって圧力容器の内容物に付与される作動圧力を、基準圧力を基準にして制御するよう構成された作動圧力付与装置であり、ガス供給装置には更に可動部材(5)が設けれ、可動部材は少なくとも制御位置と中立位置とに移動可能であり、可動部材は制御位置にあるときには作動圧力の制御を行い得るよう供給通路を開き、中立位置にあるときには供給通路を遮断する作動圧力付与装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進物質によって圧力容器の内容物に作動圧力を付与する作動圧力付与装置であって、作動圧力付与装置には圧力容器とガス供給装置とが設けられており、ガス供給装置は圧力制御装置及び推進物質を貯蔵するための高圧圧力室を含み、ガス供給装置には高圧圧力室より圧力制御装置へ推進物質を供給すべく高圧圧力室と圧力制御装置とを接続する供給通路が設けられており、更に圧力制御装置は推進物質によって圧力容器の内容物に付与される作動圧力を、基準圧力を基準にして制御するよう構成された作動圧力付与装置に係る。
【背景技術】
【0002】
かかる作動圧力付与装置自体は公知である。一般に、公知の作動圧力付与装置は、内部に内容物を有する圧力容器が製造された直後に推進物質によって圧力容器の内容物に作動圧力を付与するよう構成されている。しかし作動圧力が付与された後、圧力容器の内容物が作動圧力によって圧力容器外へ排出されるまでの時間は長い。事実、内部に内容物を有する製品としての圧力容器は、その製品が使用される前に、取引され、輸送され、保管され、販売される。例えば推進物質が圧力容器の構成材料中に拡散することに起因して、最初に付与された作動圧力が作動圧力の付与の時点と製品の使用時点との間の期間中に低下することを防止するためには、圧力容器の構成材料は非常に高い品質のものでなければならない。従って必要な圧力容器の構成材料は高価な品質のものになる。更に作動圧力が圧力容器の内容物及び圧力容器の内壁に長期間作用することにより、圧力容器の内容物及び圧力容器の両方に悪影響が及ぶ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述の問題の少なくとも一つを解消する作動圧力付与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的は、ガス供給装置に更に可動部材が設けれ、可動部材は少なくとも制御位置と中立位置とに移動可能であり、可動部材は制御位置にあるときには作動圧力の制御を行い得るよう供給通路を開き、中立位置にあるときには作動圧力の制御が不可能になるよう供給通路を遮断することを特徴とする本発明の作動圧力付与装置によって達成される。
【0005】
使用に際しては、可動部材が中立位置に移動されると、高圧圧力室内に推進物質を比較的高い圧力にて導入することができる。可動部材は高圧圧力室と圧力制御装置との間に設けられた供給通路を遮断する。任意の時点に於いて可動部材を制御位置へ移動させることができる。可動部材が制御位置へ移動されると、高圧圧力室と圧力制御装置との間に設けられた供給通路が開かれ、推進物質は高圧圧力室より圧力制御装置へ流動することができる。高圧圧力室内の圧力が比較的高いので、推進物質の少なくとも一部が高圧圧力室より供給通路を経て圧力制御装置へ流れ、圧力制御装置は圧力容器の内容物に付与される作動圧力を制御する。前述の如く、使用者は圧力容器の内容物に対し作動圧力を付与する時点を自由に決定することができる。このことは、例えば圧力容器の内容物を使用する直前に作動圧力が付与されてよいことを意味する。本発明の作動圧力付与装置に於いては、内部に内容物を有する圧力容器が製造される時点より圧力容器の内容物に対し作動圧力が付与される必要がないので、圧力容器の内容物や圧力容器に作動圧力が作用することによる悪影響を少なくとも部分的に排除することができる。また圧力容器の構成材料に対する要件を緩和することができる。
【0006】
また可動部材を中立位置に戻すことにより、作動圧力の制御を解除することができる。可動部材が中立位置に戻されると、圧力容器の内容物の一部が流出しても、圧力容器の内容物に対する作動圧力は推進物質により維持されない。他の一つの利点は、作動圧力が低下しても、高粘性の内容物が圧力容器より例えば閉ざされていない流出孔を経て容易には流出しないということである。
【0007】
本発明による作動圧力付与装置の一つの特定の実施例は、可動部材が更に充填位置へ移動することができ、可動部材は充填位置にあるときには高圧圧力室に推進物質を充填し得るよう高圧圧力室と作動圧力付与装置の入口とを連通接続し、更に可動部材は充填位置にあるときには供給通路を遮断する。
【0008】
かかる作動圧力付与装置に於いては、作動圧力付与装置の製造段階に於いて高圧圧力室に推進物質が充填される必要がない。作動圧力付与装置の製造後の或る段階に於いて、例えば高圧圧力室と作動圧力付与装置の入口との連通接続部に供給容器を接続することにより、推進物質が供給容器より高圧圧力室に充填されてよい。更に使用中に必要になれば、高圧圧力室に推進物質を補充することができる。
【0009】
可動部材は制御位置にあるときには上記連通接続部を遮断することが好ましい。このことにより、供給容器が圧力制御装置と直接接続された状態になることが防止される。
【0010】
更に可動部材は中立位置にあるときにも上記連通接続部を遮断することが好ましい。このことは、供給通路及び上記連通接続部の両者が遮断されるよう可動部材を位置決めすることができることを意味する。またこのことは、高圧圧力室に推進物質が充填されたり補充されたりする必要がない期間であって、圧力容器の内容物に対し作動圧力が維持される必要がない期間に於いて好ましい。かかる期間は例えば保管や輸送の期間である。
【0011】
可動部材は軸線方向に移動可能な棒体を含んでいることが好ましい。棒体は第一及び第二の端部を有し、棒体の第一の端部は中立位置に於いては供給通路を閉ざす。更に中立位置に於いては、実質的に軸線方向に平行に延在する棒体の第一の端部の外周面が、実質的に軸線方向に平行に延在する供給通路の内壁面に接触し、これにより供給通路を閉ざすことが好ましい。このことにより、供給通路及び棒体の第一の端部の所定の寸法が作動圧力付与装置の使用期間中に実質的に一定の寸法に維持される。供給通路の削禍や及び棒体の第一の端部の摩耗は殆ど発生せず、従って供給通路の遮断状態は実質的に一定の品質に維持される。そのため可動部材が中立位置にあるときの供給通路に対する棒体の位置関係は作動圧力付与装置の使用期間中に殆ど変化せず、従って供給通路の寸法が変化したり供給通路の遮断が可動部材の正確な位置に依存する場合に比して、作動圧力付与装置の使用に際し可動部材を中立位置及び充填位置に容易に位置決めすることができる。例えば作動圧力付与装置の使用中に摩耗やへこみなどに起因して供給通路の寸法が変化しても、可動部材の位置が正確に同一の位置である必要がない。
【0012】
本発明は更に上述の如き作動圧力付与装置に使用されるガス供給装置に係る。
これより図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による作動圧力付与装置の第一の実施例を示している。
【図2】本発明による作動圧力付与装置の第二の実施例を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は推進物質(propellant、すなわち噴射剤)によって圧力容器の内容物に作動圧力を付与する作動圧力付与装置1を示している。この目的で、作動圧力付与装置1には圧力容器Aとガス供給装置Bとが設けられ、ガス供給装置Bは圧力制御装置2及び推進物質を貯蔵するための高圧圧力室3を含んでいる。ガス供給装置Bには推進物質が高圧圧力室3より圧力制御装置2へ流れることができるよう高圧圧力室3と圧力制御装置2とを接続する供給通路4が設けられている。供給通路4は多くの場合予め形成された供給通路、即ち作動圧力付与装置が最初に使用される前に既に存在する供給通路である。更に圧力制御装置2は推進物質によって圧力容器Aの内容物に付与される作動圧力を、基準圧力を基準にして制御するよう構成されている。これについては後に更に詳細に説明する。ガス供給装置Bには更に可動部材5が設けれ、可動部材5は少なくとも制御位置と中立位置とに移動可能である。可動部材は制御位置にあるときには作動圧力の制御を行い得るよう供給通路4を開く。また可動部材は中立位置にあるときには作動圧力の制御が不可能になるよう供給通路を遮断する。図1に示された実施例に於いては、可動部材5は上記目的で軸線方向に移動可能な棒体6を含んでいる。棒体6は第一の端部7を有している。棒体6が中立位置にあるときには、第一の端部7は供給通路4を閉ざす。より詳細には、棒体6が中立位置にあるときには、実質的に軸線方向に平行に延在する棒体の第一の端部7の外周面が、実質的に軸線方向に平行に延在する供給通路の内壁面に接触し、これにより供給通路を閉ざす。外周面及び内壁面はそれぞれ円筒形をなしていることが好ましい。図1に於いては、可動部材5は中立位置にて図示されている。図示の実施例に於いては、ガス供給装置Bには更に高圧圧力室3内に配置されたハウジング8が設けられている。可動部材5の一部はハウジング8により囲繞されている。棒体6には更に第二の端部9が設けられている。作動圧力付与装置1には更に高圧圧力室3と作動圧力付与装置の周囲空間Oとの間に位置する通路10が設けられており、通路10は高圧圧力室3と周囲空間Oとを連通接続することができる。制御位置及び中立位置に於いては、棒体6の第二の端部9は通路10内に延在し、これにより通路10を閉ざす。棒体の第二の端部9には引っ張り要素11が設けられており、引っ張り要素11によって可動部材5、6を制御位置へ移動させることができる。
【0015】
作動圧力付与装置は以下の如く作動する。開始段階に於いては、可動部材5、6は図1に示されている如く中立位置に位置する。棒体6の第一の端部7は供給通路4を閉ざしている。使用時には高圧の推進物質が高圧圧力室3に充填される。図示の状態に於いては、推進物質は供給通路4を経て圧力制御装置2へ流れることができない。従って圧力制御装置2(その作動については後に更に説明する)は、推進物質によって圧力容器の内容物に付与される作動圧力を制御することができない。換言すれば、中立位置に於いては、圧力容器の内容物に作動圧力を付与するよう高圧圧力室3より圧力容器Aに推進物質を供給することができない。よって作動圧力を制御することは不可能である。
【0016】
推進物質によって圧力容器の内容物に作動圧力が付与される必要があるときには、可動部材は制御位置へ移動される。かかる目的で、引っ張り要素11が矢印Rの方向へ引っ張られる。制御位置に於いては、作動圧力を制御することができるよう、可動部材5、6は供給通路4を開く。換言すれば、高圧圧力室3内に収容された推進物質が供給通路4を経て圧力制御装置2へ流れることができる。圧力制御装置2はWO99/62791に記載されており、この文献の図1に詳細に図示されており、この文献の図1の説明に詳細に記載されている。従ってこれ以降、圧力制御装置2を簡単に説明する。圧力制御装置は、予め設定された基準圧力を基準にして、推進物質によって圧力容器の内容物に付与される作動圧力を制御するよう構成されている。作動圧力は実質的に一定に維持される圧力である。かかる目的で、圧力制御装置2には基準圧力室16が設けられており、基準圧力室16には基準圧力が得られるよう例えばガスが封入される。更に圧力制御装置2には基準圧力室16に対し相対的に移動可能な封止部材17が設けられており、封止部材17はこの実施例に於いてはプランジャとして設計されている。プランジャ17には基準圧力室16内に封入されたガスを基準圧力に維持するためのシールリング18が設けられている。圧力制御装置2には更に円筒形のキャップ19が設けられており、キャップ19はプランジャ17と共働して基準圧力室16を画定している。プランジャとキャップ19を閉ざす封止部材22との間には空間21が形成されており、キャップ19には圧力容器Aの入口孔13と空間21とをガスの流通可能に接続するための貫通孔20が設けられている。貫通孔20と圧力容器Aとをガスの流通可能に接続すべく、圧力制御装置2の一部は円筒体42内に配置されており、円筒体42の一端は圧力容器Aとガス供給装置Bとの間に配置された隔壁Sと一体に接続されており、円筒体42の他端は封止部材22により閉ざされている。隔壁Sには入口孔13が設けられており、入口孔13はガス供給装置に近い側に於いては円筒体42内まで延在し、ガス供給装置より遠い側に於いては圧力容器A内まで延在している。貫通孔20は一方の側に於いては円筒体42内まで延在し、他方の側に於いては空間21内まで延在している。更に封止部材22には圧力制御通路23が設けられており、圧力制御通路23内にはプランジャ17の軸部24が密に嵌合する状態にて挿通されている。プランジャ17の軸部24には高圧圧力室3と空間21とをガスの流通が可能に接続するための環状溝25が設けられている。プランジャ17の軸部24は、空間21と高圧圧力室3とがガスの流通が可能に接続されるよう、圧力制御通路23内にて矢印Rの方向に移動可能である。この接続が行われるときには、シールリング26が環状溝25内に入り、これによりシールリング26と軸部24との間の流体通路が開かれた状態にされる。プランジャ17は、空間21と高圧圧力室3との間のガスの流通な接続が解除された状態に戻されるよう、矢印aの方向へ移動可能である。図1に於いては、シールリング26が軸部24の円筒状の壁に当接しているので、上記連通接続部は閉ざされている。空間21と高圧圧力室3との間のガスの流通が可能な接続はシールリング26に対する軸部24の位置関係によって決定される。従って空間21と高圧圧力室3との間の連通接続部の遮断は圧力制御通路23内に配置されたシールリング26により行われる。使用時には、基準圧力室16内の基準圧力は圧力容器Aの内容物に対し作用する作動圧力よりも僅かに低いよう選定される。
【0017】
圧力制御装置2は以下の如く制御する。圧力容器A内の圧力が基準圧力室16内の基準圧力よりも低いときには、空間21の圧力も基準圧力室16内の基準圧力よりも低い。従ってプランジャ17は、少なくとも基準圧力室16内の基準圧力が空間21の圧力よりも高いときには、矢印Rの方向へ移動する。表面27に作用する高圧圧力室3内の圧力は高いが、表面27は非常に狭いので、この圧力はプランジャ17の位置決めに殆ど寄与しない。前述の如く、軸部24を有するプランジャ17が矢印Rの方向へ移動すると、空間21と高圧圧力室3とが圧力制御通路23内にて環状溝25を通ってガスの流通が可能になるよう接続される。高圧圧力室内に充填された推進物質はこの連通接続部を経て空間21へ流れる。推進物質はキャップ19に設けられた貫通孔20及び入口孔13を経て圧力容器Aへ流れる。圧力容器A内の圧力が基準圧力室16内の基準圧力よりも僅かに高いときには、プランジャ17は矢印aの方向へ移動する。従ってシールリング26と軸部24とが当接することにより、空間21と高圧圧力室3との間の連通接続部が遮断される。従って圧力容器A内の圧力は基準圧力室16内の基準圧力よりも僅かに高い。この状況に於いてはハンドル11を矢印aの方向へ引っ張ることにより、可動部材5、6を中立位置へ再度移動させることができる。棒体6の第一の端部7は再度供給通路4内に突出し、これにより供給通路4が閉ざされる。例えば使用者によって内容物の一部が圧力容器より排出され、圧力容器内の圧力が低下しても、圧力容器内の作動圧力を制御することができない。換言すれば、可動部材が中立位置にある場合には、圧力容器が開けられても作動圧力を制御することができない。使用者が圧力容器Aを閉じた後に圧力容器Aの残りの内容物に作動圧力を付与したい場合には、使用者はハンドル11を矢印Rの方向へ引っ張ることにより可動部材を制御位置へ移動させなければならない。そうすると棒体6はその軸線方向に沿って矢印Rの方向へ移動し、これにより供給通路4が開かれる。従って推進物質が高圧圧力室3より供給通路4を経て圧力制御装置2へ流れることができるようになる。そして圧力制御装置2は上述の要領にて圧力容器Aの内容物に作用する作動圧力を制御することができるようになる。
【0018】
図1に示された実施例に於いては、可動部材5、6は制御位置に固定可能である。かかる目的で、棒体6にはその第一の端部と第二の端部9との間に位置する棒体の一部に第一の固定装置51が設けられている。また高圧圧力室3には第二の固定装置52が設けられている。第一の固定装置51及び第二の固定装置52は互いに共働して可動部材5、6を制御位置に固定することができる。第一の固定装置51は、棒体6に対し突出する例えば可撓性を有する部分53を含んでいる。第二の固定装置52は、棒体6が制御位置に位置決めされると、可撓性を有する部分53がリング54と棒体6との間に挟まれて棒体6が固定されるよう、棒体6の外周面の周りに配置されたリング54を含んでいる。図示の第一の固定装置51は、棒体6が制御位置へ移動する際にまくれ上がり、リング54と棒体6の外周面との間に挟まれた状態にて固定される。しかし例えば棒体6が制御位置へ移動される際に或る程度へこむよう構成された第一の固定装置が使用されてもよい。かくして設計された棒体6を矢印aの方向へ押すことにより棒体6が制御位置へ移動されると、第一の固定装置51の可撓性を有する部分53は棒体6の外周面とリング54との間に挟まれた状態より解放される。
【0019】
図1に例として図示された実施例に於いては、可動部材6は更に高圧圧力室3を推進物質にて充填すべく充填位置へ移動することができる。充填位置に於いては、可動部材5は高圧圧力室3を推進物質にて充填し得るよう高圧圧力室3と作動圧力付与装置の周囲空間Oとを連通接続する。また充填位置に於いては、可動部材は更に供給通路4を遮断する。この例のガス供給装置Bには可動部材が充填位置に留まることを防止するばね63が設けられている。可動部材5を制御位置より充填位置へ移動させるために、ばね63のばね力に抗して棒体6の第二の端部9が矢印aの方向へ押圧される。充填の目的で、この例の棒体6には通路60が設けられており、通路60は棒体6の表面にて第二の端部9に隣接する第一の位置61より通路60を経て棒体6の外周面にて第一の端部7の側に位置する第二の位置62まで延在している。第一の位置61と第二の位置62との間の距離は、棒体6が充填位置へ移動されると、第一の位置が高圧圧力室3外に位置し且つ第二の位置が高圧圧力室3内に位置するような距離である。更にこの距離は、棒体6が中立位置又は制御位置へ移動されると、第一の位置及び第二の位置が高圧圧力室3外に位置するような距離である。換言すれば、棒体6が充填位置へ移動されると、通路60は高圧圧力室3を推進物質にて充填し得るよう高圧圧力室3と作動圧力付与装置の入口Iとを連通接続する。使用時には、一般に、高圧圧力室3を推進物質にて充填すべく、図には示されていない供給容器が通路60に接続される。ハウジング8の内部は常に高圧圧力室3と連通している。このことにより、充填位置に於いて高圧圧力室3を推進物質にて充填することができる。かかる実施例に於いては、可動部材5、6は制御位置にあるときには高圧圧力室3と作動圧力付与装置の入口Iとの間の連通接続部を遮断する。前述の如く、可動部材6は制御位置にあるときには供給通路4を開く。可動部材6は充填位置にあるときには高圧圧力室3と作動圧力付与装置の入口Iとを連通接続し、供給通路4を遮断する。図1に示された棒体6の中立位置に於いては、供給通路4が遮断されると共に、高圧圧力室3と入口Iとの間の連通接続部も遮断される。
【0020】
ばね63及び可動部材5、6の少なくとも一部はハウジング8により囲繞されている。前述のリング54はハウジング8内に受け入れられている。ばね63は棒体6の周りに延在し、ハウジング8の内側には円筒部Kが設けられており、ばね63は円筒部Kに当接している。更にハウジング8には第一の孔O.1及び第二の孔O.2が設けられている。棒体6の第一の端部7は第一の孔O.1内に延在している。第二の孔O.2は通路10と連通している。更に棒体6には、棒体がハウジング8内に閉じ込められるよう、第一の端部7と第二の端部9との間に太い部分Dが設けられている。太い部分Dは第一の孔O.1にも第二の孔O.2にも密に嵌合しない太さである。供給通路4には適当なシールリング4.1が設けられている。また通路10にはシールリング10.1が設けられている。
【0021】
作動圧力付与装置は二つの部分よりなっていてよい。第一の部分は圧力容器Aを含み、第二の部分はガス供給装置Bを含んでいる。図1に示されている如く、第一及び第二の部分は互いに一体的に接続されていてよい。但し圧力制御装置を備えたガス供給装置Bとは別体のものとして圧力容器Aが販売されてもよい。かかる作動圧力付与装置の実施例に於いては、第一の部分は第二の部分と接続可能である。また圧力容器Aは例えば1回のみ使用されるよう設計されてもよいのに対し、ガス供給装置Bは何度も使用されるよう設計される。その場合にも第一及び第二の部分は取り外し可能に互いに接続可能である。
【0022】
図2は圧力容器Aと接続可能なガス供給装置Bを示している。図2に於いては、同一の符号は図1に示された実施例の記述に於いて説明された部材と同一の部材を示している。この実施例に於いては、作動圧力付与装置は二つの部分よりなっている。第一の部分は図2には示されていない圧力容器Aを含み、第二の部分は図2に示されたガス供給装置Bを含んでいる。またこの実施例に於いては、第一及び第二の部分は取り外し可能に互いに接続可能である。従って第二の部分、即ちガス供給装置Bが第一の圧力容器に使用され、次いで第二の圧力容器に使用され、更に再度第一の圧力容器に使用されてよい。この実施例の高圧圧力室3は高圧の推進物質にて充填される。図2に示された実施例の作動は図1に示された実施例の作動にほぼ対応している。図2に示されたガス供給装置Bの幾つかの特徴について説明する。この実施例に於いては、ガス供給装置Bは高圧圧力室3外に配置された圧力制御装置2を含んでいる。高圧圧力室3は全周に亘り一定の断面形状を有する容器Vを含み、容器Vは推進物質が圧力制御装置2の方向に容器Vの壁(太線のハッチングが施されている)を経て拡散することを防止する。
【0023】
図2に示された実施例に於いては、圧力制御装置2は容器Vの外壁Wの円筒形の窪み部Cに受け入れられている。圧力制御装置2は円筒形の窪み部Cの第一の端部C.1に配置されたキャップ19を含んでおり、キャップ19により窪み部Cが閉ざされている。キャップ19には容器Vの方向に延在する円筒体80が設けられている。円筒体80内にはプランジャ17が配置されている。キャップ19と円筒体80とプランジャ17との間の空間は基準圧力室1を郭定している。この実施例に於いては、キャップ19は窪み部Cを閉ざす。円筒体80はその外周面の全体が円筒形の窪み部Cの円筒形の内壁面に当接している訳ではない。即ち円筒体80の外壁面と円筒形の窪み部Cの内壁面との間には溝81が存在する。更に円筒体80は円筒形の窪み部Cの第二の端部C.2に位置する底壁C2より隔置された位置まで延在している。底壁C2には圧力制御通路23が設けられており、圧力制御通路23は図1に示された圧力制御通路23と同様、可動部材6が制御位置へ移動されると、空間21と高圧圧力室3とを連通接続する。
【0024】
キャップ19には窪み(図示せず)が設けられており、この窪みは溝81に連通する位置より流出孔13までキャップに沿って延在している。従って空間21及び流出孔13はガスの流通可能に連通している。
【0025】
可動部材5が矢印aの方向へ移動されることにより、可動部材は中立位置へ移動され、圧力制御装置2と高圧圧力室3との連通が遮断される。図2に於いては、可動部材5は制御位置にあり、高圧圧力室3と圧力制御通路23の端部23.1とが連通接続されている。
【0026】
作動圧力付与装置は内部に推進物質を有する供給容器を含んでいてもよい。その場合には供給容器は充填位置に移動可能な可動部材5、6の高圧圧力室3外に位置する部分に接続されてよい。従って供給容器は入口Iに接続される。
【0027】
圧力容器には、例えば圧力制御装置の孔13とは反対側に位置する出口孔(図示せず)を経て圧力容器Aより加圧された状態にて排出される内容物が充填される。かくして圧力容器Aは例えば内容物として粘性液体を内部に有していてよい。粘性液体として例えばセメントがある。セメントの例としてシリコーンセメントやアクリルセメントがある。例えば図2に示されている如きガス供給装置Bはシリコーンペーストガン内に配置されてよい。
【0028】
本発明は図示の例示的実施例に限定されるものではない。可動部材5は高圧圧力室の壁の一部を含んでいてもよい。ガス供給装置Bは、例えば充填位置に於いて棒体が供給容器の出口によって押圧されることによりその全体が高圧圧力室内に入り、通路10を閉ざさなくなって、第二の連通接続部が形成されるよう、設計されてもよい。ばね及びハウジングはばねが解放されると可動部材を中立位置に維持するよう構成されてもよい。その場合には可撓性を有する部分53がばねとして機能するよう設計されてよい。
【0029】
可動部材の固定は一時的に行われることが好ましい。しかし可動部材が1回のみ固定される実施例及び可動部材が無限回数固定される実施例の何れも可能であり、これらの何れも本発明に属するものである。
【0030】
使用者がロック装置を手によって操作することができるよう、可動部材が取り得る一つ又は全ての位置に可動部材を固定するロック装置が高圧圧力室外に配置されてもよい。その場合には使用者が可動部材の位置を見ることができるようになっていてよい。
【0031】
更に作動圧力付与装置には、最初の使用前に破開可能であり供給通路に配置された室が設けられていてもよい。この場合の「使用」はガス供給装置より最初に作動圧力を付与することを意味する。またその場合には棒体の第一の端部には、破開可能な壁に面する壁破開装置であって、作動圧力付与装置が最初に制御位置にもたらされる前に破開可能な壁を破開する壁破開装置が設けられていてよい。破開可能な壁は、ガス供給装置が使用状態にもたらされる前の状況に於いてガス供給装置より推進物質が漏洩することを防止する追加のシール装置であってよい。また壁破開装置は尖鋭な部分を含み、破開可能な壁は尖鋭な部分によって突き刺されるよう設計されてよい。
【0032】
以上の全ての変形例は本発明の範囲内に属するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進物質によって圧力容器の内容物に作動圧力を付与する作動圧力付与装置であって、作動圧力付与装置には圧力容器とガス供給装置とが設けられており、ガス供給装置は圧力制御装置及び推進物質を貯蔵するための高圧圧力室を含み、ガス供給装置には高圧圧力室より圧力制御装置へ推進物質を供給すべく高圧圧力室と圧力制御装置とを接続する供給通路が設けられており、更に圧力制御装置は推進物質によって圧力容器の内容物に付与される作動圧力を、基準圧力を基準にして制御するよう構成された作動圧力付与装置に於いて、ガス供給装置には更に可動部材が設けれ、可動部材は少なくとも制御位置と中立位置とに移動可能であり、可動部材は制御位置にあるときには作動圧力の制御を行い得るよう供給通路を開き、中立位置にあるときには作動圧力の制御が不可能になるよう供給通路を遮断することを特徴とする作動圧力付与装置。
【請求項2】
可動部材は制御位置に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の作動圧力付与装置。
【請求項3】
可動部材は更に充填位置に移動可能であり、これにより可動部材は充填位置にあるときには高圧圧力室を推進物質にて充填し得るよう高圧圧力室と作動圧力付与装置の入口とを連通接続し、更に可動部材は充填位置にあるときには供給通路を遮断することを特徴とする請求項1又は2に記載の作動圧力付与装置。
【請求項4】
可動部材は制御位置にあるときには前記連通接続を遮断することを特徴とする請求項3に記載の作動圧力付与装置。
【請求項5】
可動部材は中立位置にあるときにも前記連通接続を遮断することを特徴とする請求項3又は4に記載の作動圧力付与装置。
【請求項6】
ガス供給装置には可動部材が充填位置に留まることを防止するばねが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項7】
可動部材は軸線方向に移動可能な棒体を含んでいることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項8】
棒体は第一の端部を含み、中立位置にあるときに於ける棒体の第一の端部は供給通路を遮断することを特徴とする請求項7に記載の作動圧力付与装置。
【請求項9】
中立位置に於いては、実質的に軸線方向に平行に延在する棒体の第一の端部の外周面が、実質的に軸線方向に平行に延在する供給通路の内壁面に接触し、これにより供給通路を閉ざすことを特徴とする請求項8に記載の作動圧力付与装置。
【請求項10】
前記外周面及び前記内壁面はそれぞれ円筒形をなしていることを特徴とする請求項9に記載の作動圧力付与装置。
【請求項11】
棒体の第一の端部は充填位置にあるときにも供給通路を閉ざすことを特徴とする請求項3及び8に記載の作動圧力付与装置。
【請求項12】
棒体には第二の端部が設けられており、作動圧力付与装置には高圧圧力室と作動圧力付与装置の入口との間に配置された通路が設けられており、該通路は高圧圧力室と前記入口とを連通接続することができ、棒体は制御位置及び中立位置にあるときにはその第二の端部が前記通路内に延在し、これにより前記通路を遮断することを特徴とする請求項3及び請求項7乃至11の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項13】
棒体には通路が設けられており、該通路は棒体の表面にて第二の端部に隣接する第一の位置より前記通路を経て棒体の外周面にて第一の端部の側に位置する第二の位置まで延在しており、第一の位置と第二の位置との間の距離は、棒体が充填位置へ移動されると、第一の位置が高圧圧力室外に位置し且つ第二の位置が高圧圧力室内に位置する距離であって、棒体が中立位置又は制御位置へ移動されると、第一の位置及び第二の位置が高圧圧力室外に位置する距離であることを特徴とする請求項11又は12に記載の作動圧力付与装置。
【請求項14】
棒体にはその第一の端部と第二の端部との間に位置する棒体の一部に第一の固定装置が設けられており、高圧圧力室には第二の固定装置が設けられており、第一の固定装置及び第二の固定装置は互いに共働して可動部材を制御位置に固定することができることを特徴とする請求項12又は13に記載の作動圧力付与装置。
【請求項15】
第一の固定装置は棒体に対し突出する可撓性を有する部分を含んでおり、第二の固定装置は棒体が制御位置に位置決めされると、前記可撓性を有する部分がリングと棒体との間に挟まれて棒体が固定されるよう、棒体の外周面の周りに配置されたリングを含んでいることを特徴とする請求項14に記載の作動圧力付与装置。
【請求項16】
棒体の第二の端部には引っ張り部材が設けられており、引っ張り部材によって可動部材を制御位置へ移動させることができることを特徴とする請求項12乃至15の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項17】
棒体の第二の端部は可動部材を制御位置に移動させるべく高圧圧力室の方向へ押圧可能であることを特徴とする請求項12乃至16の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項18】
ガス供給装置には高圧圧力室内に配置されたハウジングが設けられており、可動部材の少なくとも一部はハウジングにより囲繞されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項19】
ハウジングには第一の孔及び第二の孔が設けられており、棒体の第一の端部は第一の孔内に延在しており、第二の孔は前記通路と連通していることを特徴とする請求項18に記載の作動圧力付与装置。
【請求項20】
作動圧力付与装置は二つの部分よりなり、第一の部分は圧力容器を含み、第二の部分はガス供給装置を含んでいることを特徴とする請求項1乃至19の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項21】
第一及び第二の部分は互いに一体的に接続されていることを特徴とする請求項20に記載の作動圧力付与装置。
【請求項22】
第一及び第二の部分は互いに接続可能であることを特徴とする請求項20に記載の作動圧力付与装置。
【請求項23】
第一及び第二の部分は取り外し可能に互いに接続可能であることを特徴とする請求項22に記載の作動圧力付与装置。
【請求項24】
圧力容器は粘性液体用の容器を含んでいることを特徴とする請求項1乃至23の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項25】
粘性液体はセメントを含んでいることを特徴とする請求項24に記載の作動圧力付与装置。
【請求項26】
作動圧力付与装置には、使用前に破開可能であり供給通路に配置された壁が設けられており、棒体の第一の端部には、破開可能な壁に面する壁破開装置であって、作動圧力付与装置が最初に制御位置にもたらされる前に破開可能な壁を破開する壁破開装置が設けられていることを特徴とする請求項8乃至25の何れかに記載の作動圧力付与装置。
【請求項27】
壁破開装置は尖鋭な部分を含み、破開可能な壁は尖鋭な部分によって突き刺されるよう設計されていることを特徴とする請求項26に記載の作動圧力付与装置。
【請求項28】
請求項1乃至18の何れかに記載のガス供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−519140(P2006−519140A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500312(P2006−500312)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000163
【国際公開番号】WO2004/065260
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(500548323)パッケージング テクノロジー ホールディング エス.エー. (4)
【Fターム(参考)】