エアゾール噴射装置及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタン
【課題】エアゾール内容物を要部に的確にして無駄なく噴射することができるボタン及びエアゾール噴射装置を提供すること。
【解決手段】エアゾール容器2の上端部に設けられ且つエアゾール容器2の軸方向に延出するバルブステム3の上端からエアゾール容器2内のエアゾール内容物を噴出させるためにバルブステム3の上端部に、自身のボタン基端部が取り付けられたボタン4を備えるエアゾール噴射装置1である。ボタン4は、エアゾール内容物を案内するためにボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、長尺パイプ5(6)を着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部をボタン先端部に有し、且つエアゾール容器2の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部11をボタン側部に有する。
【解決手段】エアゾール容器2の上端部に設けられ且つエアゾール容器2の軸方向に延出するバルブステム3の上端からエアゾール容器2内のエアゾール内容物を噴出させるためにバルブステム3の上端部に、自身のボタン基端部が取り付けられたボタン4を備えるエアゾール噴射装置1である。ボタン4は、エアゾール内容物を案内するためにボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、長尺パイプ5(6)を着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部をボタン先端部に有し、且つエアゾール容器2の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部11をボタン側部に有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に収納されたエアゾール内容物(例えば、有害動物忌避剤と、ウレタンプレポリマー等といった発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物)を噴射するために用いられるエアゾール噴射装置、及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物には、有害動物である、鼠、蛇等や、害虫である、ダニ、ゴキブリ、白アリ等が侵入し、断熱材や、その他の建材または電線やガス管等が齧られて被害を受け、建造物の耐久性が悪化したり、停電や火災を起こしたりする虞がある。
【0003】
このような有害生物を駆除するためのエアゾール噴射装置としては、図13に示すように、混合室101と、この混合室101に連通するノズル102と、を備えたエアゾール噴射装置100が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に開示されたエアゾール噴射装置100では、主剤と硬化剤とがホース103,104を通じて混合室101内に送給され、この混合室101内で、混合用羽根105を介して主剤と硬化剤とが混合されて混合液が生成される。そして、混合室101に連通されている噴出管106から混合液が噴射される。
【0005】
このエアゾール噴射装置100は、混合室101に送給される圧縮気体の圧力が低下した場合に、ノズル102の接続管107にコンプレッサーのホース108を接続して、コンプレッサーからエアを送給することで、噴射管106の先端に負圧を発生させ、混合液を混合室101から吸い出してノズル102の先端から噴出させるようにしている。
【0006】
【特許文献1】実開平1−101655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1に開示されたエアゾール噴射装置100においては、鼠、蛇等の有害動物や、ダニ、ゴキブリ、白アリ等の害虫等の侵入を許す穴を塞ぐ場合に、それらの侵入を許す出入口の周囲に上述の混合液を噴射するに際し、ノズル102がその出入口に届かない場合があった。
【0008】
このため、前述の出入口から離れた場所で噴射することになって、混合液が、その出入口に効率よく噴射されず、該出入口を塞ぐのに、多くの混合液を要することになって無駄を生ずる虞がある。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアゾール内容物を所望の箇所に的確且つ無駄なく噴射することができるエアゾール噴射装置、及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) エアゾール内容物を内部に収納したエアゾール容器と、
前記エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムと、
当該バルブステムの先端部から前記エアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部が取り付けられたボタンと、
前記ボタンに取り付けられる長尺パイプと、
を備えたエアゾール噴射装置であって、
前記ボタンは、前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、前記長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするエアゾール噴射装置。
(2) 前記バルブステムの内径と前記長尺パイプの内径との比は、当該バルブステムの内径を1とした場合に当該長尺パイプの内径が0.5以上になるように設定されている
ことを特徴とする上記(1)のエアゾール噴射装置。
(3) 前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部の先端部が、当該エアゾール容器の前記端部に対し斜め上方に位置するように設けられている
ことを特徴とする上記(1)又は(2)のエアゾール噴射装置。
(4) 前記エアゾール容器内のエアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物であり、
前記長尺パイプは、有害動物の侵入を許す穴を塞ぐために、当該穴に向けられて用いられ、そして
前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部が操作されることにより、前記エアゾール組成物が空気中に噴射されて硬化することで、前記有害動物忌避剤を含有した硬質発泡体が形成され、当該硬質発泡体により前記穴が塞がれる
ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つのエアゾール噴射装置。
(5) エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムの先端部から、当該エアゾール容器の内部に収納されるエアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部の所で取り付け可能なボタンであって、
前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするボタン。
【0011】
上記(1)の構成によれば、ボタンのパイプ嵌合部に嵌合された長尺パイプの先端部を、有害動物(害虫も含む)の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部をエアゾール容器に向けて操作することにより、エアゾール内容物をその出入口の周囲、即ち所望の箇所に集中的に噴射することができる。なお、このとき、長尺パイプとして大径の長尺パイプを用いれば、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。一方、長尺パイプとして小径の長尺パイプを用いれば、比較的小さい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。
加えて、レバー部がエアゾール容器の側部まで延出形成され且つ用事時にバルブステムを全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力でバルブステムを十分に作動させることができ、所望の噴射量を確実に得ることができる。このため、効率の良い噴射を行うことができる。
上記(2)の構成によれば、バルブステムの内径と長尺パイプの内径との比は、バルブステムの内径を1とした場合に長尺パイプの内径が0.5以上の範囲内になるように設定されているので、バルブステム内及び長尺パイプ内における、エアゾール内容物の硬化の進行を抑制することができ、詰まり等を生ずることなく、効率の良い噴射を長期的に行うことができる。なお、これらパイプ内に離型剤を予め処理するのがよい。なお、このときには、これらパイプ内面に離型剤を処理するのが良い。
上記(3)の構成によれば、エアゾール容器のバルブステムが下方に向けられた状態で、レバー部の先端部が、このエアゾール容器の端部に対し斜め上方に位置するように設けられているので、例えば、バルブステムが下方に向けられて使用される場合等、使用者は、エアゾール容器、即ちエアゾール噴射装置の本体を把持しながら、レバー部の操作を行うことができる。このため、効率の良い噴射を行うことができると共に使い勝手を高めることができる。
上記(4)の構成によれば、エアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物であって、エアゾール容器の下方に配置された長尺パイプの先端部を、有害動物の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部をエアゾール容器に向けて操作することにより、有害動物の侵入を許す出入口の周囲にエアゾール組成物が付着し、これが硬化して、有害動物忌避剤を含有した硬質発泡体が形成され、この硬質発泡体によって出入口が塞がれる。
上記(5)の構成によれば、ボタンのパイプ嵌合部に嵌合された長尺パイプの先端部を、有害動物(害虫も含む)の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部をエアゾール容器に向けて操作することにより、エアゾール内容物を、その出入口の周囲、即ち所望の箇所に集中的に噴射することができる。なお、このとき、長尺パイプとして大径の長尺パイプを用いれば、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。一方、長尺パイプとして小径の長尺パイプを用いれば、比較的小さい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。
加えて、レバー部がエアゾール容器の側部まで延出形成されて且つ用事時にバルブステムを全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力でバルブステムを十分に作動させることができ、所望の噴射量を確実に得ることができる。このため、効率の良い噴射を行うことができる。
【0012】
ここで、本発明において、前述の噴射剤としては、圧縮ガス、液化ガスの何れでもよい。圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、等が挙げられる。また、液化ガスとしては、液化石油ガス、ジメチルエーテル、プロパン、ブタン、液化CO2、液化N2、等が挙げられる。また、噴射剤として圧縮ガスと液化ガスとの混合ガスを用いてもよい。配合量は、エアゾール容器内のエアゾール内容物をエアゾール噴射装置から噴射可能である配合量であればよく、5重量部〜90重量部の範囲で本発明の実施を妨げない範囲であればよい。
【0013】
また、本発明において、エアゾール容器内のエアゾール内容物としては、上述の噴射剤に加え、動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、を含むエアゾール組成物を挙げることができるが、更に必要により各種溶媒や添加剤等を含むものであってもよい。このエアゾール組成物として例えば、発泡ポリウレタンエアゾール組成物を用いることができる。発泡ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂のもつ優れた耐摩耗性、耐薬品性、密着性などに加え、弾性に富み、断熱性、遮音性などの点で優れ、工場やビルの断熱材などとして広く用いられている。この発泡ポリウレタン樹脂としては、大別して、一成分硬化型のものとニ成分硬化型のものとがあり、これらの具体例を述べると、プレポリマーを用いる一成分硬化型と、ポリオールとポリイソシアナートとのニ成分硬化型と、が挙げられる。例えば、プレポリマーを用いる一成分硬化型の場合、エアゾール容器内に収容される一液型の発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、基本的に、硬質発泡体用原料としてウレタンプレポリマーと、噴射剤とを含み、エアゾール噴射装置から噴射され硬化することでポリウレタン発泡体を形成する。
【0014】
従って、本発明において、エアゾール組成物に用いる硬質発泡体用原料としては、一液型或いは二液型の、硬質発泡ポリマー、硬質発泡プレポリマー、硬質発泡モノマー、等が挙げられる。なお、一液型のものの方が使い勝手の点で優れているので好ましい。また、配合量は、5重量部〜90重量部の範囲で本発明の実施を妨げない範囲であればよい。なお、ここでいう「硬質」とは、形成された発泡体をカッター等の鋭利な刃物で加工面と水平若しくは垂直に切ることができる程度の硬さをいう。そして、硬質発泡体用原料(換言すれば、硬質発泡樹脂用原料)の代表的なものが、上述のウレタンプレポリマーである。例えば、ウレタンプレポリマー:40〜99重量部と、液化ガス及び圧縮ガスのうち少なくとも一方からなる噴射剤:1〜60重量部と、から好適な発泡ポリウレタンエアゾール組成物を得ることができる。なお、必要に応じて溶媒を配合しても良い。
【0015】
また、溶媒としては、一般的には、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、グリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン、灯油等が使用できる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
また、有害動物忌避剤を、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂により包囲し、マイクロカプセル化したものを、発泡体内に散在するように混入してもよい。このようにすると、有害動物忌避効果の持続性が増す。
【0017】
本発明において有害動物忌避剤としては、とうがらし粉末、カプサイシン類(例えば、ノルジヒドロカプサイシンI、ジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンI、ノルジヒドロカプサイシンII、ホモジヒドロカプサイシンII、カプサイシン、ホモカプサイシンI、ホモカプサイシンII等)、粉末ふのり、テルピネオール、カンファ、ワサビ、アリルイソチオシアネート、チモール、ローズマリーエキス等が挙げられる。
【0018】
カプサイシン類は、白アリや他の害虫に対しても忌避効果がある。
【0019】
また、本発明のエアゾール噴射装置を用いた有害動物の忌避方法において用いる有害動物忌避剤含有硬質発泡ウレタン樹脂の適用量は、ウレタン樹脂中の有害動物忌避成分の含有量、適用方法、適用場所等に応じて適宜決定すればよく、特に制限されないが、通常、鼠の出入口の穴径cm2当たりの適用量が0.05g、好ましくは0.1g〜0.5g、この場合の有害動物忌避成分の有効成分量が1mg〜50mgとなる量を目安とすればよい。
【0020】
また、本発明において、忌避の対象とする有害動物としては、特に限定されないが、例えば、鼠、鼬、土竜等を挙げることができる。また、害虫としては、ゴキブリ、シロアリ、アリ等のほふく害虫、ムカデ、ゲジ等のほふく害虫、ハチ、アブ等の穴に入り易い害虫等を挙げることができる(これらも有害動物である。)。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エアゾール内容物を所望の箇所に的確且つ無駄なく噴射することができるエアゾール噴射装置、及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るエアゾール噴射装置、及びこのエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図12は本発明に係るエアゾール噴射装置及びボタンの一実施形態を示すものであり、図1は本発明の一実施形態に係るエアゾール噴射装置及びボタンの前方斜め上から視た外観斜視図であり、図2は図1のボタンの単体正面図であり、図3は図2のボタンの縦断面図であり、図4は図2のボタンの底面図である。
【0023】
また、図5は図2のボタンの先端部分の拡大図であり、図6は図3のボタンの基端部分の拡大図であり、図7は図3のボタンの中間部分の拡大図であり、図8は図3のボタンに大径のパイプを取り付けた断面図である。
【0024】
また、図9は図1のエアゾール噴射装置のバルブステム周りの断面図であり、図10は図3のボタンに小径のパイプを取り付けた断面図であり、図11は図1のエアゾール噴射装置の使用方法を説明する前方斜め上から視た外観斜視図であり、図12は図10のエアゾール噴射装置における作動時のバルブステムの動きを説明する縦断面図である。
なお、今回開示される実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
本発明の一実施形態に係るエアゾール噴射装置1は、エアゾール容器2と、バルブステム3と、ボタン4と、大径長尺パイプ5{又は小径長尺パイプ6(図10参照)}と、を備えて構成される。
【0026】
図1に示すように、エアゾール噴射装置1は、そのエアゾール容器2内に、エアゾール内容物として、有害動物忌避剤とウレタンプレポリマー(即ち、硬質発泡体用原料)とが配合された原液と液状の噴射剤(即ち、噴射液)とを含む一液型の発泡ポリウレタンエアゾール組成物が収容されており、バルブステム3が、エアゾール容器2の上端部(端部)に設けられていてエアゾール容器2の軸方向に延出している。また、バルブステム3は、横方向に傾けられることで開成される傾倒型として構成されている。
なお、本実施形態のエアゾール容器2内には、エアゾール内容物に一液型の発泡ポリウレタンエアゾール組成物が用いられているので、攪拌玉(不図示)が省略されているが、エアゾール内容物に二液型のエアゾール組成物を用いる場合にはエアゾール容器2内に攪拌玉を設けることが望ましい。
【0027】
また、エアゾール噴射装置1では、ボタン4が、バルブステム3の上端部(先端部)からエアゾール容器2内のエアゾール内容物を噴出させるためにバルブステム3の上端部に、自身のボタン基端部の所で取り付けられている。そして、ボタン4に大径長尺パイプ5が取り付けられている。
【0028】
このボタン4は、図2、図3、及び図4に示すように、バルブステム3の上端部から噴射されるエアゾール内容物を案内するためにボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されており、中央に配置された胴部7と、胴部7の上方に連通接続された屈曲部8と、屈曲部8の上方に連通接続されたパイプ嵌合部9と、バルブステム3がねじ込まれる部分として胴部7の下方に配置されたバルブステム螺挿部10と、バルブステム螺挿部10の側部に配置されたレバー部11と、を有している。このように、ボタン4は、そのボタン先端部にパイプ嵌合部9を、そしてボタン基端部にバルブステム螺挿部10を備える。なお、ボタン4は、比較的硬質の樹脂材料により成型されている。
なお、前述の屈曲部8の「屈曲」とは、図示したものに限らず、湾曲、波形状等の形状を含むことができる。
【0029】
このボタン4において、パイプ嵌合部9の外径寸法が、例えば5.0mm〜7mm若しくは6.0mm〜8.0mm、また、バルブステム螺挿部10の内径寸法が、例えば4.5mm〜7.5mm若しくは5.0mm〜8.0mmになるように設けられる。
【0030】
図3に示すように、レバー部11は、ボタン4の中心軸線C1から60度〜65度の角度θ1をもって傾いて形成されており、その太さ寸法が、例えば5.0mm〜20.0mm、その長さ寸法が、例えば70.0mm〜120.0mmになるように設けられているとよく、また、ボタン4の中心軸線C1とレバー部11の先端との離間距離が50mm〜75mmに設定されているとよい。
【0031】
このように設定されることにより、レバー部11は、用事時にバルブステム3が全開した状態が得られる立体形状を有する。加えて、エアゾール容器2のバルブステム3が下方に向けられた状態で、レバー部11の先端部が、エアゾール容器2の端部に対し斜め上方に位置するように設けられる(例えば、図11を参照)。
【0032】
図5に示すように、パイプ嵌合部9の外周面には、雄ねじ部12が形成されている。
【0033】
図6に示すように、バルブステム螺挿部10の内周面には、雌ねじ部13が形成されている。胴部7は、上部の内径寸法が、例えば4.0mm〜6.0mmであり、長さ寸法が、例えば10.0mm〜30.0mmであり、下部の内径寸法が、例えば5.0mm〜7.0mmであり、長さ寸法が、例えば24.0mm〜30.0mmである。
【0034】
図7に示すように、屈曲部8は、上部の内径寸法が、例えば3.3mm〜5.3mmであり、下部の内径寸法が、例えば2.5mm〜4.5mmである。
【0035】
図8に示すように、ボタン4のパイプ嵌合部9に大径長尺パイプ5が着脱自在に取り付けられる。大径長尺パイプ5は、パイプ嵌合部9の雄ねじ部12がねじ込まれる基端部を持っている(より詳細には、大径長尺パイプ5は、雄ねじ部12に沿って回転されながら、基端部が雄ねじ部12に被さる。)。この大径長尺パイプ5は、例えば2.0mm〜10.0mmの内径寸法を有して、5.0cm〜30.0cmの長さ寸法を有する。大径長尺パイプ5は、その先端が噴射口14になっている。噴射口14の形状は、円形に限らず、楕円形、スリット付等、有害動物の侵入を許す出入口の形状に合わせて適宜選択される。大径長尺パイプ5は、反ねじ込み方向に回されることで、パイプ嵌合部9から簡単に取り外される。
【0036】
図9に示すように、ボタン4は、そのバルブステム螺挿部10の所でバルブステム3に取り付けられる。バルブステム3は、ボタン4のバルブステム螺挿部10にねじ込まれる雄ねじ部15を有し、マウンテンキャップ16のバルブ装着部17にホルダとしても機能するシールゴム18を介して取り付けられている。
なお、マウンテンキャップ16は、エアゾール内容物の安定性を高めるために設けられたものである。
【0037】
シールゴム18は、所定の弾性を有した、例えばゴム材により成形されており、このため、バルブステム3は、シールゴム18の弾性により、エアゾール容器2の軸方向に起立する中立位置に常時位置されている。そして、バルブステム3の下方端部には、その一端面でシールゴム18と係合するフランジ部20が連結されて設けられている。また、このフランジ部20の連結周縁部にはエアゾール内容物を導き入れるため、4箇所の連通孔19がそれぞれ所定の間隔を有して設けられている。
このように構成されたエアゾール噴射装置1においては、用事後のバブルステム3内に残ったエアゾール内容物(即ち、残液)は、エアゾール容器2を正立させてガスのみを噴射することにより、このバブルステム3内から容易に除去される。即ち、本実施形態のエアゾール噴射装置1によれば、バブルステム3内の残液の硬化を容易に防止することができる。
【0038】
また、バルブステム3は、その内径寸法D1と大径長尺パイプ5の内径寸法D2との比は、バルブステム3の内径寸法D1を1とした場合に、大径長尺パイプ5の内径寸法D2が0.5以上になるように設定されている。
【0039】
図10に示すように、ボタン4のパイプ嵌合部9には、大径長尺パイプ5に代えて、小径長尺パイプ6が着脱自在に取り付けられ得る。小径長尺パイプ6は、パイプ嵌合部9の内周部に差し込まれるように、例えば4.0mm〜6.0mmの外径寸法を有して、例えば5.0cm〜30.0cmの長さ寸法を有する。なお、小径長尺パイプ6は、引き抜くことで、パイプ嵌合部9から簡単に取り外される。この場合においても、小径長尺パイプ6の内径寸法D3も、バルブステム3の内径寸法D1を1とした場合に、0.5以上になるように設定されている。
【0040】
次に、図11、図12を参照して、エアゾール噴射装置10の使用方法について説明する。
【0041】
まず、エアゾール噴射装置10を手にもってよく振る。これにより、エアゾール容器2内の原液と噴射剤とが攪拌され混合される。なお、エアゾール容器2内に攪拌玉(不図示)が収容されている場合には、当該攪拌玉が、原液と噴射剤とを攪拌して混合されるように作用する。
【0042】
そして、図11に示すように、大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)が下にくるように、即ち、エアゾール容器2のバルブステム3が下方に向くように、エアゾール噴射装置10(図1参照)の上下を逆さまにしてエアゾール容器2を手の親指と人差し指とで挟み持ち、残りの3本の指をレバー部11に引っ掛ける。
【0043】
そして、大径長尺パイプ5の噴射口14を、有害動物(害虫も含む)の侵入を許す出入口に差し込んでから、レバー部11をエアゾール容器2に向けて引き操作する。
【0044】
図12に示すように、レバー部11がバルブステム3を全開させる状態が得られる立体形状を有するので、レバー部11がエアゾール容器2の側部に近づくように操作されることで、シールゴム18に抗してバルブステム3が傾動し、これにより、エアゾール容器2内のエアゾール内容物が連通孔19からバルブステム3内を通って、ボタン4内から大径長尺パイプ5内に送給され、噴射口14(図1等参照)から、有害動物の侵入を許す出入口の周囲に噴射される。
【0045】
このとき、大径長尺パイプ5が大径であるために、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量でもって出入口を塞ぐ。
【0046】
また、レバー部11がエアゾール容器2の側部まで延出形成され且つ用事時にバルブステム3を全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力で、且つエアゾール容器2に接触しない範囲で、バルブステム3を十分に作動させることができる。このため、所望の噴射量を確実に得ることができ、効率の良い噴射が行われる。
【0047】
噴射が終了した後に、レバー部11から指が離されることで、付勢ばね19により、バルブステム3がエアゾール容器2の軸方向に起立する中立位置に復帰する。
【0048】
そして、不使用の期間が経過した際等、バルブステム3内及び大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)内で、噴射されずに残留しているエアゾール内容物(即ち、残液)の硬化が進行する場合があるが、バルブステム3の内径寸法D1と、大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)の内径寸法D2と、の割合が、(1):(0.5以上)に設定されているので、バルブステム3内及び大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)内における、エアゾール内容物の硬化の進行を抑制することができ、詰まり等を生ずることなく、効率の良い噴射を長期的に行うことができる。なお、このときには、これらパイプ5,6内面に離型剤を処理するのが良い。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、ボタン4のパイプ嵌合部9に嵌合された大径長尺パイプ5又は小径長尺パイプ6の噴射口14を、有害動物(害虫を含む)の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部11をエアゾール容器2に近づけるように引き操作することにより、エアゾール内容物を、その出入口の周囲、即ち所望の箇所に集中的に噴射させることができる。
なお、このとき、大径長尺パイプ5を用いれば、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。これとは異なり、小径長尺パイプ6を用いれば、比較的小さい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。
加えて、レバー部11がエアゾール容器2の側部まで延出形成され且つ用事時にバルブステム3を全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力でバルブステム3を十分に作動させることができ、所望の噴射量を確実に得ることができる。このため、効率の良い噴射を行うことができる。
【0050】
さらに、バルブステム3の内径寸法D1と、大径長尺パイプ5及び小径長尺パイプ6の内径寸法D2,D3と、の比は、バルブステム3の内径寸法D1を1とした場合に、内径寸法D2,D3が0.5以上になるように設定されているので、バルブステム3内及び長尺パイプ5,6内における、エアゾール内容物の硬化の進行を抑制することができ、詰まり等を生ずることなく、効率の良い噴射を長期的に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、エアゾール容器2のバルブステム3が下方に向けられた状態で、レバー部11の先端部が、エアゾール容器2の端部に対し斜め上方に位置するように設けられているので、使用者は、エアゾール容器2を把持しながら、レバー部11の操作を行うことができる。このため、効率の良い噴射を行うことができると共に使い勝手を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、エアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、ウレタンプレポリマーと、噴射剤と、を含む発泡ポリウレタンエアゾール組成物であり、長尺パイプ5,6の噴射口14を、有害動物の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部11をエアゾール容器2に向けて操作することにより、有害動物の侵入を許す出入口の周囲に、有害動物忌避剤を含有した硬質のポリウレタン発泡体が付着し、これが硬化するとともに当該出入口を塞ぐ。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、エアゾール噴射装置1のマウンテンキャップ16を利用して、キャップを被せて密封するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るエアゾール噴射装置及びボタンの前方斜め上から視た外観斜視図である。
【図2】図1のボタンの単体正面図である。
【図3】図2のボタンの縦断面図である。
【図4】図2のボタンの底面図である。
【図5】図2のボタンの先端部分の拡大図である。
【図6】図3のボタンの基端部分の拡大図である。
【図7】図3のボタンの中間部分の拡大図中間部分の拡大図である。
【図8】図3のボタンに大径のパイプを取り付けた断面図である。
【図9】図1のエアゾール噴射装置のバルブステム周りの断面図である。
【図10】図3のボタンに小径のパイプを取り付けた断面図である。
【図11】図1のエアゾール噴射装置の使用方法を説明する前方斜め上から視た外観斜視図である。
【図12】図10のエアゾール噴射装置における作動時のバルブステムの動きを説明する縦断面図である。
【図13】従来のエアゾール噴射装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 エアゾール噴射装置
2 エアゾール容器
3 バルブステム
4 ボタン
5 大径長尺パイプ(長尺パイプ)
6 小径長尺パイプ(長尺パイプ)
9 パイプ嵌合部
11 レバー部
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に収納されたエアゾール内容物(例えば、有害動物忌避剤と、ウレタンプレポリマー等といった発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物)を噴射するために用いられるエアゾール噴射装置、及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物には、有害動物である、鼠、蛇等や、害虫である、ダニ、ゴキブリ、白アリ等が侵入し、断熱材や、その他の建材または電線やガス管等が齧られて被害を受け、建造物の耐久性が悪化したり、停電や火災を起こしたりする虞がある。
【0003】
このような有害生物を駆除するためのエアゾール噴射装置としては、図13に示すように、混合室101と、この混合室101に連通するノズル102と、を備えたエアゾール噴射装置100が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に開示されたエアゾール噴射装置100では、主剤と硬化剤とがホース103,104を通じて混合室101内に送給され、この混合室101内で、混合用羽根105を介して主剤と硬化剤とが混合されて混合液が生成される。そして、混合室101に連通されている噴出管106から混合液が噴射される。
【0005】
このエアゾール噴射装置100は、混合室101に送給される圧縮気体の圧力が低下した場合に、ノズル102の接続管107にコンプレッサーのホース108を接続して、コンプレッサーからエアを送給することで、噴射管106の先端に負圧を発生させ、混合液を混合室101から吸い出してノズル102の先端から噴出させるようにしている。
【0006】
【特許文献1】実開平1−101655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1に開示されたエアゾール噴射装置100においては、鼠、蛇等の有害動物や、ダニ、ゴキブリ、白アリ等の害虫等の侵入を許す穴を塞ぐ場合に、それらの侵入を許す出入口の周囲に上述の混合液を噴射するに際し、ノズル102がその出入口に届かない場合があった。
【0008】
このため、前述の出入口から離れた場所で噴射することになって、混合液が、その出入口に効率よく噴射されず、該出入口を塞ぐのに、多くの混合液を要することになって無駄を生ずる虞がある。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアゾール内容物を所望の箇所に的確且つ無駄なく噴射することができるエアゾール噴射装置、及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) エアゾール内容物を内部に収納したエアゾール容器と、
前記エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムと、
当該バルブステムの先端部から前記エアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部が取り付けられたボタンと、
前記ボタンに取り付けられる長尺パイプと、
を備えたエアゾール噴射装置であって、
前記ボタンは、前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、前記長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするエアゾール噴射装置。
(2) 前記バルブステムの内径と前記長尺パイプの内径との比は、当該バルブステムの内径を1とした場合に当該長尺パイプの内径が0.5以上になるように設定されている
ことを特徴とする上記(1)のエアゾール噴射装置。
(3) 前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部の先端部が、当該エアゾール容器の前記端部に対し斜め上方に位置するように設けられている
ことを特徴とする上記(1)又は(2)のエアゾール噴射装置。
(4) 前記エアゾール容器内のエアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物であり、
前記長尺パイプは、有害動物の侵入を許す穴を塞ぐために、当該穴に向けられて用いられ、そして
前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部が操作されることにより、前記エアゾール組成物が空気中に噴射されて硬化することで、前記有害動物忌避剤を含有した硬質発泡体が形成され、当該硬質発泡体により前記穴が塞がれる
ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つのエアゾール噴射装置。
(5) エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムの先端部から、当該エアゾール容器の内部に収納されるエアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部の所で取り付け可能なボタンであって、
前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするボタン。
【0011】
上記(1)の構成によれば、ボタンのパイプ嵌合部に嵌合された長尺パイプの先端部を、有害動物(害虫も含む)の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部をエアゾール容器に向けて操作することにより、エアゾール内容物をその出入口の周囲、即ち所望の箇所に集中的に噴射することができる。なお、このとき、長尺パイプとして大径の長尺パイプを用いれば、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。一方、長尺パイプとして小径の長尺パイプを用いれば、比較的小さい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。
加えて、レバー部がエアゾール容器の側部まで延出形成され且つ用事時にバルブステムを全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力でバルブステムを十分に作動させることができ、所望の噴射量を確実に得ることができる。このため、効率の良い噴射を行うことができる。
上記(2)の構成によれば、バルブステムの内径と長尺パイプの内径との比は、バルブステムの内径を1とした場合に長尺パイプの内径が0.5以上の範囲内になるように設定されているので、バルブステム内及び長尺パイプ内における、エアゾール内容物の硬化の進行を抑制することができ、詰まり等を生ずることなく、効率の良い噴射を長期的に行うことができる。なお、これらパイプ内に離型剤を予め処理するのがよい。なお、このときには、これらパイプ内面に離型剤を処理するのが良い。
上記(3)の構成によれば、エアゾール容器のバルブステムが下方に向けられた状態で、レバー部の先端部が、このエアゾール容器の端部に対し斜め上方に位置するように設けられているので、例えば、バルブステムが下方に向けられて使用される場合等、使用者は、エアゾール容器、即ちエアゾール噴射装置の本体を把持しながら、レバー部の操作を行うことができる。このため、効率の良い噴射を行うことができると共に使い勝手を高めることができる。
上記(4)の構成によれば、エアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物であって、エアゾール容器の下方に配置された長尺パイプの先端部を、有害動物の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部をエアゾール容器に向けて操作することにより、有害動物の侵入を許す出入口の周囲にエアゾール組成物が付着し、これが硬化して、有害動物忌避剤を含有した硬質発泡体が形成され、この硬質発泡体によって出入口が塞がれる。
上記(5)の構成によれば、ボタンのパイプ嵌合部に嵌合された長尺パイプの先端部を、有害動物(害虫も含む)の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部をエアゾール容器に向けて操作することにより、エアゾール内容物を、その出入口の周囲、即ち所望の箇所に集中的に噴射することができる。なお、このとき、長尺パイプとして大径の長尺パイプを用いれば、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。一方、長尺パイプとして小径の長尺パイプを用いれば、比較的小さい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。
加えて、レバー部がエアゾール容器の側部まで延出形成されて且つ用事時にバルブステムを全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力でバルブステムを十分に作動させることができ、所望の噴射量を確実に得ることができる。このため、効率の良い噴射を行うことができる。
【0012】
ここで、本発明において、前述の噴射剤としては、圧縮ガス、液化ガスの何れでもよい。圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、等が挙げられる。また、液化ガスとしては、液化石油ガス、ジメチルエーテル、プロパン、ブタン、液化CO2、液化N2、等が挙げられる。また、噴射剤として圧縮ガスと液化ガスとの混合ガスを用いてもよい。配合量は、エアゾール容器内のエアゾール内容物をエアゾール噴射装置から噴射可能である配合量であればよく、5重量部〜90重量部の範囲で本発明の実施を妨げない範囲であればよい。
【0013】
また、本発明において、エアゾール容器内のエアゾール内容物としては、上述の噴射剤に加え、動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、を含むエアゾール組成物を挙げることができるが、更に必要により各種溶媒や添加剤等を含むものであってもよい。このエアゾール組成物として例えば、発泡ポリウレタンエアゾール組成物を用いることができる。発泡ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂のもつ優れた耐摩耗性、耐薬品性、密着性などに加え、弾性に富み、断熱性、遮音性などの点で優れ、工場やビルの断熱材などとして広く用いられている。この発泡ポリウレタン樹脂としては、大別して、一成分硬化型のものとニ成分硬化型のものとがあり、これらの具体例を述べると、プレポリマーを用いる一成分硬化型と、ポリオールとポリイソシアナートとのニ成分硬化型と、が挙げられる。例えば、プレポリマーを用いる一成分硬化型の場合、エアゾール容器内に収容される一液型の発泡ポリウレタンエアゾール組成物は、基本的に、硬質発泡体用原料としてウレタンプレポリマーと、噴射剤とを含み、エアゾール噴射装置から噴射され硬化することでポリウレタン発泡体を形成する。
【0014】
従って、本発明において、エアゾール組成物に用いる硬質発泡体用原料としては、一液型或いは二液型の、硬質発泡ポリマー、硬質発泡プレポリマー、硬質発泡モノマー、等が挙げられる。なお、一液型のものの方が使い勝手の点で優れているので好ましい。また、配合量は、5重量部〜90重量部の範囲で本発明の実施を妨げない範囲であればよい。なお、ここでいう「硬質」とは、形成された発泡体をカッター等の鋭利な刃物で加工面と水平若しくは垂直に切ることができる程度の硬さをいう。そして、硬質発泡体用原料(換言すれば、硬質発泡樹脂用原料)の代表的なものが、上述のウレタンプレポリマーである。例えば、ウレタンプレポリマー:40〜99重量部と、液化ガス及び圧縮ガスのうち少なくとも一方からなる噴射剤:1〜60重量部と、から好適な発泡ポリウレタンエアゾール組成物を得ることができる。なお、必要に応じて溶媒を配合しても良い。
【0015】
また、溶媒としては、一般的には、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、グリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン、灯油等が使用できる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
また、有害動物忌避剤を、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂により包囲し、マイクロカプセル化したものを、発泡体内に散在するように混入してもよい。このようにすると、有害動物忌避効果の持続性が増す。
【0017】
本発明において有害動物忌避剤としては、とうがらし粉末、カプサイシン類(例えば、ノルジヒドロカプサイシンI、ジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシンI、ノルジヒドロカプサイシンII、ホモジヒドロカプサイシンII、カプサイシン、ホモカプサイシンI、ホモカプサイシンII等)、粉末ふのり、テルピネオール、カンファ、ワサビ、アリルイソチオシアネート、チモール、ローズマリーエキス等が挙げられる。
【0018】
カプサイシン類は、白アリや他の害虫に対しても忌避効果がある。
【0019】
また、本発明のエアゾール噴射装置を用いた有害動物の忌避方法において用いる有害動物忌避剤含有硬質発泡ウレタン樹脂の適用量は、ウレタン樹脂中の有害動物忌避成分の含有量、適用方法、適用場所等に応じて適宜決定すればよく、特に制限されないが、通常、鼠の出入口の穴径cm2当たりの適用量が0.05g、好ましくは0.1g〜0.5g、この場合の有害動物忌避成分の有効成分量が1mg〜50mgとなる量を目安とすればよい。
【0020】
また、本発明において、忌避の対象とする有害動物としては、特に限定されないが、例えば、鼠、鼬、土竜等を挙げることができる。また、害虫としては、ゴキブリ、シロアリ、アリ等のほふく害虫、ムカデ、ゲジ等のほふく害虫、ハチ、アブ等の穴に入り易い害虫等を挙げることができる(これらも有害動物である。)。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エアゾール内容物を所望の箇所に的確且つ無駄なく噴射することができるエアゾール噴射装置、及びエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るエアゾール噴射装置、及びこのエアゾール噴射装置に取り付けられるボタンの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図12は本発明に係るエアゾール噴射装置及びボタンの一実施形態を示すものであり、図1は本発明の一実施形態に係るエアゾール噴射装置及びボタンの前方斜め上から視た外観斜視図であり、図2は図1のボタンの単体正面図であり、図3は図2のボタンの縦断面図であり、図4は図2のボタンの底面図である。
【0023】
また、図5は図2のボタンの先端部分の拡大図であり、図6は図3のボタンの基端部分の拡大図であり、図7は図3のボタンの中間部分の拡大図であり、図8は図3のボタンに大径のパイプを取り付けた断面図である。
【0024】
また、図9は図1のエアゾール噴射装置のバルブステム周りの断面図であり、図10は図3のボタンに小径のパイプを取り付けた断面図であり、図11は図1のエアゾール噴射装置の使用方法を説明する前方斜め上から視た外観斜視図であり、図12は図10のエアゾール噴射装置における作動時のバルブステムの動きを説明する縦断面図である。
なお、今回開示される実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
本発明の一実施形態に係るエアゾール噴射装置1は、エアゾール容器2と、バルブステム3と、ボタン4と、大径長尺パイプ5{又は小径長尺パイプ6(図10参照)}と、を備えて構成される。
【0026】
図1に示すように、エアゾール噴射装置1は、そのエアゾール容器2内に、エアゾール内容物として、有害動物忌避剤とウレタンプレポリマー(即ち、硬質発泡体用原料)とが配合された原液と液状の噴射剤(即ち、噴射液)とを含む一液型の発泡ポリウレタンエアゾール組成物が収容されており、バルブステム3が、エアゾール容器2の上端部(端部)に設けられていてエアゾール容器2の軸方向に延出している。また、バルブステム3は、横方向に傾けられることで開成される傾倒型として構成されている。
なお、本実施形態のエアゾール容器2内には、エアゾール内容物に一液型の発泡ポリウレタンエアゾール組成物が用いられているので、攪拌玉(不図示)が省略されているが、エアゾール内容物に二液型のエアゾール組成物を用いる場合にはエアゾール容器2内に攪拌玉を設けることが望ましい。
【0027】
また、エアゾール噴射装置1では、ボタン4が、バルブステム3の上端部(先端部)からエアゾール容器2内のエアゾール内容物を噴出させるためにバルブステム3の上端部に、自身のボタン基端部の所で取り付けられている。そして、ボタン4に大径長尺パイプ5が取り付けられている。
【0028】
このボタン4は、図2、図3、及び図4に示すように、バルブステム3の上端部から噴射されるエアゾール内容物を案内するためにボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されており、中央に配置された胴部7と、胴部7の上方に連通接続された屈曲部8と、屈曲部8の上方に連通接続されたパイプ嵌合部9と、バルブステム3がねじ込まれる部分として胴部7の下方に配置されたバルブステム螺挿部10と、バルブステム螺挿部10の側部に配置されたレバー部11と、を有している。このように、ボタン4は、そのボタン先端部にパイプ嵌合部9を、そしてボタン基端部にバルブステム螺挿部10を備える。なお、ボタン4は、比較的硬質の樹脂材料により成型されている。
なお、前述の屈曲部8の「屈曲」とは、図示したものに限らず、湾曲、波形状等の形状を含むことができる。
【0029】
このボタン4において、パイプ嵌合部9の外径寸法が、例えば5.0mm〜7mm若しくは6.0mm〜8.0mm、また、バルブステム螺挿部10の内径寸法が、例えば4.5mm〜7.5mm若しくは5.0mm〜8.0mmになるように設けられる。
【0030】
図3に示すように、レバー部11は、ボタン4の中心軸線C1から60度〜65度の角度θ1をもって傾いて形成されており、その太さ寸法が、例えば5.0mm〜20.0mm、その長さ寸法が、例えば70.0mm〜120.0mmになるように設けられているとよく、また、ボタン4の中心軸線C1とレバー部11の先端との離間距離が50mm〜75mmに設定されているとよい。
【0031】
このように設定されることにより、レバー部11は、用事時にバルブステム3が全開した状態が得られる立体形状を有する。加えて、エアゾール容器2のバルブステム3が下方に向けられた状態で、レバー部11の先端部が、エアゾール容器2の端部に対し斜め上方に位置するように設けられる(例えば、図11を参照)。
【0032】
図5に示すように、パイプ嵌合部9の外周面には、雄ねじ部12が形成されている。
【0033】
図6に示すように、バルブステム螺挿部10の内周面には、雌ねじ部13が形成されている。胴部7は、上部の内径寸法が、例えば4.0mm〜6.0mmであり、長さ寸法が、例えば10.0mm〜30.0mmであり、下部の内径寸法が、例えば5.0mm〜7.0mmであり、長さ寸法が、例えば24.0mm〜30.0mmである。
【0034】
図7に示すように、屈曲部8は、上部の内径寸法が、例えば3.3mm〜5.3mmであり、下部の内径寸法が、例えば2.5mm〜4.5mmである。
【0035】
図8に示すように、ボタン4のパイプ嵌合部9に大径長尺パイプ5が着脱自在に取り付けられる。大径長尺パイプ5は、パイプ嵌合部9の雄ねじ部12がねじ込まれる基端部を持っている(より詳細には、大径長尺パイプ5は、雄ねじ部12に沿って回転されながら、基端部が雄ねじ部12に被さる。)。この大径長尺パイプ5は、例えば2.0mm〜10.0mmの内径寸法を有して、5.0cm〜30.0cmの長さ寸法を有する。大径長尺パイプ5は、その先端が噴射口14になっている。噴射口14の形状は、円形に限らず、楕円形、スリット付等、有害動物の侵入を許す出入口の形状に合わせて適宜選択される。大径長尺パイプ5は、反ねじ込み方向に回されることで、パイプ嵌合部9から簡単に取り外される。
【0036】
図9に示すように、ボタン4は、そのバルブステム螺挿部10の所でバルブステム3に取り付けられる。バルブステム3は、ボタン4のバルブステム螺挿部10にねじ込まれる雄ねじ部15を有し、マウンテンキャップ16のバルブ装着部17にホルダとしても機能するシールゴム18を介して取り付けられている。
なお、マウンテンキャップ16は、エアゾール内容物の安定性を高めるために設けられたものである。
【0037】
シールゴム18は、所定の弾性を有した、例えばゴム材により成形されており、このため、バルブステム3は、シールゴム18の弾性により、エアゾール容器2の軸方向に起立する中立位置に常時位置されている。そして、バルブステム3の下方端部には、その一端面でシールゴム18と係合するフランジ部20が連結されて設けられている。また、このフランジ部20の連結周縁部にはエアゾール内容物を導き入れるため、4箇所の連通孔19がそれぞれ所定の間隔を有して設けられている。
このように構成されたエアゾール噴射装置1においては、用事後のバブルステム3内に残ったエアゾール内容物(即ち、残液)は、エアゾール容器2を正立させてガスのみを噴射することにより、このバブルステム3内から容易に除去される。即ち、本実施形態のエアゾール噴射装置1によれば、バブルステム3内の残液の硬化を容易に防止することができる。
【0038】
また、バルブステム3は、その内径寸法D1と大径長尺パイプ5の内径寸法D2との比は、バルブステム3の内径寸法D1を1とした場合に、大径長尺パイプ5の内径寸法D2が0.5以上になるように設定されている。
【0039】
図10に示すように、ボタン4のパイプ嵌合部9には、大径長尺パイプ5に代えて、小径長尺パイプ6が着脱自在に取り付けられ得る。小径長尺パイプ6は、パイプ嵌合部9の内周部に差し込まれるように、例えば4.0mm〜6.0mmの外径寸法を有して、例えば5.0cm〜30.0cmの長さ寸法を有する。なお、小径長尺パイプ6は、引き抜くことで、パイプ嵌合部9から簡単に取り外される。この場合においても、小径長尺パイプ6の内径寸法D3も、バルブステム3の内径寸法D1を1とした場合に、0.5以上になるように設定されている。
【0040】
次に、図11、図12を参照して、エアゾール噴射装置10の使用方法について説明する。
【0041】
まず、エアゾール噴射装置10を手にもってよく振る。これにより、エアゾール容器2内の原液と噴射剤とが攪拌され混合される。なお、エアゾール容器2内に攪拌玉(不図示)が収容されている場合には、当該攪拌玉が、原液と噴射剤とを攪拌して混合されるように作用する。
【0042】
そして、図11に示すように、大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)が下にくるように、即ち、エアゾール容器2のバルブステム3が下方に向くように、エアゾール噴射装置10(図1参照)の上下を逆さまにしてエアゾール容器2を手の親指と人差し指とで挟み持ち、残りの3本の指をレバー部11に引っ掛ける。
【0043】
そして、大径長尺パイプ5の噴射口14を、有害動物(害虫も含む)の侵入を許す出入口に差し込んでから、レバー部11をエアゾール容器2に向けて引き操作する。
【0044】
図12に示すように、レバー部11がバルブステム3を全開させる状態が得られる立体形状を有するので、レバー部11がエアゾール容器2の側部に近づくように操作されることで、シールゴム18に抗してバルブステム3が傾動し、これにより、エアゾール容器2内のエアゾール内容物が連通孔19からバルブステム3内を通って、ボタン4内から大径長尺パイプ5内に送給され、噴射口14(図1等参照)から、有害動物の侵入を許す出入口の周囲に噴射される。
【0045】
このとき、大径長尺パイプ5が大径であるために、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量でもって出入口を塞ぐ。
【0046】
また、レバー部11がエアゾール容器2の側部まで延出形成され且つ用事時にバルブステム3を全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力で、且つエアゾール容器2に接触しない範囲で、バルブステム3を十分に作動させることができる。このため、所望の噴射量を確実に得ることができ、効率の良い噴射が行われる。
【0047】
噴射が終了した後に、レバー部11から指が離されることで、付勢ばね19により、バルブステム3がエアゾール容器2の軸方向に起立する中立位置に復帰する。
【0048】
そして、不使用の期間が経過した際等、バルブステム3内及び大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)内で、噴射されずに残留しているエアゾール内容物(即ち、残液)の硬化が進行する場合があるが、バルブステム3の内径寸法D1と、大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)の内径寸法D2と、の割合が、(1):(0.5以上)に設定されているので、バルブステム3内及び大径長尺パイプ5(小径長尺パイプ6)内における、エアゾール内容物の硬化の進行を抑制することができ、詰まり等を生ずることなく、効率の良い噴射を長期的に行うことができる。なお、このときには、これらパイプ5,6内面に離型剤を処理するのが良い。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、ボタン4のパイプ嵌合部9に嵌合された大径長尺パイプ5又は小径長尺パイプ6の噴射口14を、有害動物(害虫を含む)の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部11をエアゾール容器2に近づけるように引き操作することにより、エアゾール内容物を、その出入口の周囲、即ち所望の箇所に集中的に噴射させることができる。
なお、このとき、大径長尺パイプ5を用いれば、比較的大きい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。これとは異なり、小径長尺パイプ6を用いれば、比較的小さい出入口に対し、その開口面積に応じた噴射量を得ることができる。
加えて、レバー部11がエアゾール容器2の側部まで延出形成され且つ用事時にバルブステム3を全開させるように形成されているので、その長さ分により小さい力でバルブステム3を十分に作動させることができ、所望の噴射量を確実に得ることができる。このため、効率の良い噴射を行うことができる。
【0050】
さらに、バルブステム3の内径寸法D1と、大径長尺パイプ5及び小径長尺パイプ6の内径寸法D2,D3と、の比は、バルブステム3の内径寸法D1を1とした場合に、内径寸法D2,D3が0.5以上になるように設定されているので、バルブステム3内及び長尺パイプ5,6内における、エアゾール内容物の硬化の進行を抑制することができ、詰まり等を生ずることなく、効率の良い噴射を長期的に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、エアゾール容器2のバルブステム3が下方に向けられた状態で、レバー部11の先端部が、エアゾール容器2の端部に対し斜め上方に位置するように設けられているので、使用者は、エアゾール容器2を把持しながら、レバー部11の操作を行うことができる。このため、効率の良い噴射を行うことができると共に使い勝手を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、エアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、ウレタンプレポリマーと、噴射剤と、を含む発泡ポリウレタンエアゾール組成物であり、長尺パイプ5,6の噴射口14を、有害動物の侵入を許す出入口に近づけてから、レバー部11をエアゾール容器2に向けて操作することにより、有害動物の侵入を許す出入口の周囲に、有害動物忌避剤を含有した硬質のポリウレタン発泡体が付着し、これが硬化するとともに当該出入口を塞ぐ。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、エアゾール噴射装置1のマウンテンキャップ16を利用して、キャップを被せて密封するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るエアゾール噴射装置及びボタンの前方斜め上から視た外観斜視図である。
【図2】図1のボタンの単体正面図である。
【図3】図2のボタンの縦断面図である。
【図4】図2のボタンの底面図である。
【図5】図2のボタンの先端部分の拡大図である。
【図6】図3のボタンの基端部分の拡大図である。
【図7】図3のボタンの中間部分の拡大図中間部分の拡大図である。
【図8】図3のボタンに大径のパイプを取り付けた断面図である。
【図9】図1のエアゾール噴射装置のバルブステム周りの断面図である。
【図10】図3のボタンに小径のパイプを取り付けた断面図である。
【図11】図1のエアゾール噴射装置の使用方法を説明する前方斜め上から視た外観斜視図である。
【図12】図10のエアゾール噴射装置における作動時のバルブステムの動きを説明する縦断面図である。
【図13】従来のエアゾール噴射装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 エアゾール噴射装置
2 エアゾール容器
3 バルブステム
4 ボタン
5 大径長尺パイプ(長尺パイプ)
6 小径長尺パイプ(長尺パイプ)
9 パイプ嵌合部
11 レバー部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール内容物を内部に収納したエアゾール容器と、
前記エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムと、
当該バルブステムの先端部から前記エアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部が取り付けられたボタンと、
前記ボタンに取り付けられる長尺パイプと、
を備えたエアゾール噴射装置であって、
前記ボタンは、前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、前記長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするエアゾール噴射装置。
【請求項2】
前記バルブステムの内径と前記長尺パイプの内径との比は、当該バルブステムの内径を1とした場合に当該長尺パイプの内径が0.5以上になるように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項3】
前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部の先端部が、当該エアゾール容器の前記端部に対し斜め上方に位置するように設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項4】
前記エアゾール容器内のエアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物であり、
前記長尺パイプは、有害動物の侵入を許す穴を塞ぐために、当該穴に向けられて用いられ、そして
前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部が操作されることにより、前記エアゾール組成物が空気中に噴射されて硬化することで、前記有害動物忌避剤を含有した硬質発泡体が形成され、当該硬質発泡体により前記穴が塞がれる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエアゾール噴射装置。
【請求項5】
エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムの先端部から、当該エアゾール容器の内部に収納されるエアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部の所で取り付け可能なボタンであって、
前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするボタン。
【請求項1】
エアゾール内容物を内部に収納したエアゾール容器と、
前記エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムと、
当該バルブステムの先端部から前記エアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部が取り付けられたボタンと、
前記ボタンに取り付けられる長尺パイプと、
を備えたエアゾール噴射装置であって、
前記ボタンは、前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、前記長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするエアゾール噴射装置。
【請求項2】
前記バルブステムの内径と前記長尺パイプの内径との比は、当該バルブステムの内径を1とした場合に当該長尺パイプの内径が0.5以上になるように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項3】
前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部の先端部が、当該エアゾール容器の前記端部に対し斜め上方に位置するように設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項4】
前記エアゾール容器内のエアゾール内容物が、有害動物忌避剤と、硬質発泡体用原料と、噴射剤と、を含むエアゾール組成物であり、
前記長尺パイプは、有害動物の侵入を許す穴を塞ぐために、当該穴に向けられて用いられ、そして
前記エアゾール容器の前記バルブステムが下方に向けられた状態で、前記レバー部が操作されることにより、前記エアゾール組成物が空気中に噴射されて硬化することで、前記有害動物忌避剤を含有した硬質発泡体が形成され、当該硬質発泡体により前記穴が塞がれる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエアゾール噴射装置。
【請求項5】
エアゾール容器の端部に設けられ且つ当該エアゾール容器の軸方向に延出するバルブステムの先端部から、当該エアゾール容器の内部に収納されるエアゾール内容物を噴出させるために当該バルブステムの当該先端部に、自身のボタン基端部の所で取り付け可能なボタンであって、
前記バルブステムの前記先端部から噴出される前記エアゾール内容物を案内するために前記ボタン基端部からボタン先端部にわたって中空に形成されていると共に、長尺パイプを着脱自在に嵌合させるためのパイプ嵌合部を前記ボタン先端部に有し、且つ前記エアゾール容器の側部まで延出形成されて、用事時に前記バルブステムを全開させるためのレバー部をボタン側部に有する
ことを特徴とするボタン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−249026(P2009−249026A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102763(P2008−102763)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
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