説明

エアゾール容器用の連続噴射装置

【課題】押圧体の押圧のみの単純な操作で、連続噴射を可能にするとともに、この連続噴射を繰り返し行うことを可能とする。また、使用者の所望の量を一度に連続噴射可能とする。
【解決手段】エアゾール容器1の上端に固定した外筒10と、ステム4に連通路を介して接続するノズル18を形成したノズル体17と、ノズル体17と外筒10に対して回動可能に配置した回動体21と、下方に押圧することにより、エアゾール内容物を噴射可能とした押圧体31とから構成する。そして、外筒10に第1傾斜面14及び第2傾斜面15を連続して設けた受刃13を、挿入間隔12を介して環状に複数個形成し、回動体21には、嵌合片30を突設し、押圧体31には送り刃34を設けて、押圧体31の押圧及び押圧の解除ごとに嵌合片30を同一方向に位置移動可能なものとし、エアゾール内容物の連続噴射及び連続噴射の停止を繰り返し可能としたことを特徴とするエアゾール容器用の連続噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、殺虫剤などのエアゾール内容物を継続的に噴射するためのエアゾール容器用の連続噴射装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−302175号公報
【特許文献2】特開2002−68344号公報
【0003】
エアゾール内容物の継続噴射を行う場合、エアゾール容器に組み付けた押圧体を手動で押圧し、押圧している時間だけエアゾール内容物を噴射することによって継続噴射を行うものが知られている。また、このように手動で押圧動作を継続しなくても、特許文献1及び2に示す如く、1回の動作でエアゾール容器のステムを継続的に押圧する機構を介して、エアゾール内容物を外部に連続的に噴射可能とする連続噴射装置が従来より知られている。
【0004】
特許文献1に記載の連続噴射装置は、エアゾール容器の上端に連続噴射を可能とするための連続噴射機構及び押圧体を設けて、この連続噴射機構を操作するとともに押圧体を押圧することにより、バルブ機構の開弁状態を保ち、連続噴射を行うものである。また、特許文献2に記載の連続噴射装置は、エアゾール容器の上端に、エアゾール内容物を一時的に収納する収納室を備えた押圧体を設け、この押圧体を押圧することによりバルブ機構を開弁して収納室内にエアゾール内容物を収納した後、収納室内のエアゾール内容物のみを外部に連続噴射可能としたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の連続噴射装置は、一度連続噴射を開始すると、エアゾール容器内のエアゾール内容物が全量外部に噴射されるまで連続噴射を継続するものであるため、途中で連続噴射を停止することができないものであった。そのため、任意の必要量のみを繰り返し連続噴射を行うことができず、用途が限られたものとなっていた。また、連続噴射を開始するために、押圧体の押圧のみならず、連続噴射機構を操作する必要があるため、使用時の扱いが煩雑なものとなっていた。
【0006】
また、特許文献2に記載の連続噴射装置は、収納室内に収納されたエアゾール内容物のみ外部に連続噴射可能としたものであるため、一度に連続噴射可能なエアゾール内容物の噴射量が限られ任意量の噴射ができないものであった。
【0007】
本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、エアゾール容器に設けた押圧体の押圧のみの単純な操作で、手指等により押圧状態を継続することなく連続噴射を可能にしようとするものである。また、連続噴射開始後、押圧体の押圧を任意に解除して連続噴射を停止可能とするとともに、押圧体の押圧及び押圧の解除を繰り返し可能なものとすることにより、連続噴射を繰り返し行うことを可能にしようとするものである。また、連続噴射開始後、2回目の押圧体の押圧及び押圧の解除を行うまで連続噴射を継続可能とすることにより、一度に連続噴射可能なエアゾール内容物の噴射量が限られることなく、使用者の所望の量を連続噴射可能にしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エアゾール容器の上端に固定し、中央に貫通口を開口した外筒と、この外筒の貫通口内に配置し、ステムに連通路を介して接続するノズルを形成したノズル体と、このノズル体を、中央に形成した挿通孔内に摺動可能に挿通し、ノズル体との間に介装した押圧発条により上部方向に押圧付勢されながら、ノズル体と外筒に対して回動可能に配置した回動体と、この回動体及びノズル体を内部に挿通するとともに、ノズルと連通する噴射口を形成して、外筒の貫通口内に上下摺動可能に配置し、下方に押圧することにより、回動体及びノズル体を介してステムを押圧し、エアゾール容器内に配置したバルブ機構を開弁して、エアゾール容器内に収納したエアゾール内容物を噴射可能とした筒形の押圧体とから構成したものであって、外筒の内面には、下端を片流れのテーパー部とした第1傾斜面及び第2傾斜面を連続して設けた受刃を、挿入間隔を介して環状に複数個形成し、回動体の下方外周には、挿入間隔内に挿入可能な嵌合片を押圧体側に突設し、押圧体の下端には、下端面をテーパー部として形成した送り刃を設けて、この送り刃の下端面に臨ませて上記の嵌合片を配置し、1回目の押圧体の押圧により、回動体の嵌合片を送り刃によって受刃の下端よりも下方に押し下げるとともに、ステムを押圧してエアゾール内容物の噴射を開始し、1回目の押圧体の押圧を解除することにより、嵌合片を受刃の第1傾斜面上に配置し、引き続きバルブ機構の開弁状態を保ってエアゾール内容物の連続噴射を可能なものとするとともに、2回目の押圧体の押圧により、第1傾斜面上に位置する嵌合片を受刃の下端よりも下方に押し下げ、2回目の押圧体の押圧を解除すると、嵌合片が送り刃の下端面及び受刃の第2傾斜面に沿って挿入間隔内に移動することにより、ステムの押圧が解除してバルブ機構を閉止し、上記エアゾール内容物の連続噴射を停止可能なものとしながら、押圧体の押圧及び押圧の解除ごとに嵌合片を同一方向に位置移動可能なものとし、エアゾール内容物の連続噴射及び連続噴射の停止を繰り返し可能としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、エアゾール容器に設けた押圧体を押圧することによりエアゾール内容物の噴射を開始するとともに、この押圧を解除しても引き続き連続噴射を継続可能としているため、押圧体の押圧及び押圧の解除のみの単純な操作で、エアゾール内容物の連続噴射を可能なものとしている。また、連続噴射を行った後、再度押圧体の押圧及び押圧の解除を行うことにより、連続噴射を任意に停止可能なものとするとともに、連続噴射の停止後に2回目の押圧体の押圧及び押圧の解除を行うことにより、再び連続噴射を開始可能とし、連続噴射及び連続噴射の停止を繰り返し可能なものとしている。
【0010】
また、連続噴射開始後は、再び押圧体の押圧及び押圧の解除を行うまで連続噴射を継続可能なものとしているため、エアゾール内容物の噴射量が限られることなく、使用者にとって所望の量を一度に連続噴射可能なものとしている。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図1〜9に於いて説明すれば、(1)はエアゾール容器で、このエアゾール容器(1)の内部には、図2に示す如く、上端をマウンテンカップ(2)に固定したバルブ機構(3)を配置している。そして、このバルブ機構(3)内に配置したステム(4)を、マウンテンカップ(2)の内面に配置したステムガスケット(5)に貫通させて、ステム(4)の非押圧時にはオリフィス(6)をステムガスケット(5)の内周端面により閉止するとともに、ステム(4)の押圧時にはオリフィス(6)をハウジング(7)内に移動して配置するようにしている。また、このオリフィス(6)は、ステム(4)の上端から形成したエアゾール内容物の連通路(8)に連通している。
【0012】
なお、本実施例では上記の如く形成されたバルブ機構(3)を使用しているが、ステム(4)の押圧によってエアゾール内容物を外部に噴射することができるものであれば、特にその構成を限定するものではない。また、上記の如きバルブ機構(3)を内部に設けたエアゾール容器(1)の上端には、円筒形に形成した外筒(10)を固定配置している。
【0013】
この外筒(10)は、図1及び図2に示す如く、中央に貫通口(11)を開口するとともに、貫通口(11)の内周軸方向には、挿入間隔(12)を介して複数の受刃(13)を一定間隔で環状に形成している。この受刃(13)は、図1に示す如く、下端に片流れのテーパー部とした第1傾斜面(14)及び第2傾斜面(15)を、軸方向に鉛直な鉛直壁(16)を介して連続して設けている。また、この第1傾斜面(14)及び第2傾斜面(15)は全て同一方向に傾斜している。
【0014】
また、図2に示す如く、上記外筒(10)の貫通口(11)内には、ノズル体(17)を配置している。このノズル体(17)は、ステム(4)の上端に連続して設けており、このノズル体(17)のノズル(18)をステム(4)の連通路(8)に連通している。そのため、ステム(4)を押圧することによりバルブ機構(3)を開弁し、エアゾール容器(1)に収納したエアゾール内容物を、ノズル体(17)の先端に形成したノズル口(20)から外方に噴射可能なものとしている。また、図1に示す如く、このノズル体(17)の先端側を、軸方向と垂直に折曲している。
【0015】
また、上記ノズル体(17)は、回動体(21)の中央に形成した挿通孔(22)内に、上下に摺動可能に配置している。上記ノズル体(17)は、先端側を軸方向と垂直に折曲しているため、このままでは回動体(21)の挿通孔(22)からノズル体(17)の先端側を挿通して外方に突出させることが困難となる。
【0016】
そこで、本実施例では図2に示す如く、上記ノズル体(17)を上下に分割して別体に形成し、ノズル体(17)の下側の部分に回動体(21)を組み付けた後、ノズル体(17)の上側の部分を組み付けることにより、回動体(21)の挿通孔(22)内にノズル体(17)を容易に組み付け可能なものとしている。また、ノズル体(17)の下端に設けた基盤(23)と回動体(21)の上壁(24)との間には、図2に示す如く、押圧発条(25)を介装して回動体(21)を上方に押圧付勢している。
【0017】
また、この回動体(21)の下端外周には、図1に示す如く円周方向に嵌合段部(26)を突出形成し、この嵌合段部(26)の上端には、V字型のテーパー部に形成した嵌合刃(27)を連続的に形成している。また、この嵌合段部(26)の外周には、上端を片流れのテーパー面(28)とした嵌合片(30)を嵌合刃(27)に連続して等間隔に3箇所突出形成しており、全てのテーパー面(28)が同じ方向に傾斜している。
【0018】
尚、上記嵌合片(30)のテーパー面(28)は、外筒(10)の第1傾斜面(14)及び第2傾斜面(15)とは逆方向に傾斜して形成している。また、嵌合片(30)は、外筒(10)の挿入間隔(12)内に挿入可能となるよう形成されており、突出形成長さは、図2に示す如く、組み付け時に外筒(10)の挿入間隔(12)内に到達する長さとしている。
【0019】
また、上記回動体(21)の外周には、エアゾール容器(1)内のバルブ機構(3)を押圧開弁するための押圧体(31)を設けている。この押圧体(31)は、円筒状に形成し、内部に上記回動体(21)及びノズル体(17)を収納するとともに、下端側を外筒(10)内に配置して、外筒(10)に対して上下に摺動可能となるよう組み付けられている。
【0020】
また、上記押圧体(31)の側面には、軸方向に長尺な楕円形状の噴射口(32)を形成している。この噴射口(32)は、ノズル体(17)のノズル口(20)に臨ませて配置することにより、ノズル体(17)のノズル(18)と連通した状態となっている。また、この押圧体(31)の下端には、下端面(33)をV字型のテーパー部に形成した送り刃(34)を形成しており、この送り刃(34)を回動体(21)の嵌合刃(27)及び嵌合片(30)と嵌合可能なものとしている。
【0021】
また、この押圧体(31)の下端外周には、図1に示す如く、外筒(10)の挿入間隔(12)内に挿入可能なガイド片(35)を、等間隔に3箇所、外筒(10)方向に突出形成している。そのため、押圧体(31)を押圧した際に、押圧体(31)は上下方向には摺動可能となるが、円周方向には回動不能となる。そのため、押圧体(31)を円滑に押圧することが可能となるとともに、押圧時に噴射口(32)を円周方向にずらすことなく、常にノズル体(17)のノズル口(20)に臨ませた位置に保つことができる。
【0022】
上記の如く構成したものにおいて、エアゾール内容物の連続噴射を行う場合について以下に説明する。押圧体(31)の非押圧状態においては、図2に示す如く、ステムガスケット(5)の内周端面によりオリフィス(6)が閉止され、バルブ機構(3)は閉弁した状態となっている。また、図6に示す如く、回動体(21)の嵌合片(30)は、外筒(10)の挿入間隔(12)内で、押圧体(31)の送り刃(34)の進行方向に向かって上方に傾斜した上方傾斜面(36)上に位置している。また、回動体(21)の嵌合刃(27)と送り刃(34)とは完全には嵌合せずに、嵌合刃(27)の上端面(37)の一部のみが送り刃(34)の上方傾斜面(36)に当接しているため、嵌合刃(27)と送り刃(34)の間に隙間が生じた状態となっている。この状態から、以下に示す如く1回目の押圧体(31)の押圧を開始する。
【0023】
まず、押圧体(31)を押圧発条(25)の付勢力に抗して下方に押圧すると、この押圧体(31)の下端に設けた送り刃(34)が下方に移動する。そのため、非押圧時では押圧体(31)の送り刃(34)の上方傾斜面(36)上に位置していた回動体(21)の嵌合片(30)は、図7に示す如く、挿入間隔(12)内で送り刃(34)と共に下方に移動する。
【0024】
また、この押圧体(31)の押圧により、図3に示す如く、回動体(21)を介してノズル体(17)が下方に移動するため、ノズル体(17)に接続したステム(4)がハウジング(7)内のステム発条(38)の付勢力に抗して下方に押し下げられる。そのため、非押圧時には閉止していたオリフィス(6)も下方に移動して、ハウジング(7)内に配置される。
【0025】
これにより、ハウジング(7)内のエアゾール内容物がオリフィス(6)及びステム(4)の連通路(8)を介してノズル体(17)のノズル口(20)から外方に噴射される。ここで、回動体(21)とノズル体(17)の間に介装した押圧発条(25)の付勢力は、ハウジング(7)内に装着したステム発条(38)の付勢力よりも強いため、ステム発条(38)の付勢力に抗してステム(4)を下方に押圧することができるが、ステム発条(38)が下方への押圧により圧縮しきるまでは、押圧発条(25)の付勢力に抗して回動体(21)を下方に押圧することはできないものとなっている。
【0026】
そして、上記の如くステム発条(38)が圧縮しきるまで押圧体(31)を押圧した状態から、更に押圧体(31)を押圧発条(25)の付勢力に抗して押圧すると、図4に示す如く、ノズル体(17)は、バルブ機構(3)を開弁状態に保ちながらマウンテンカップ(2)の中央に位置する突出部(40)の上面(41)よりも上方に保たれる一方、回動体(21)は、その内径をマウンテンカップ(2)の突出部(40)の外径よりも大径に形成しているため、突出部(40)の上面(41)よりも更に下方に移動する。
【0027】
このように、ノズル体(17)が突出部(40)の上方に止まるとともに、押圧体(31)は更に下方に移動することとなるが、押圧体(31)に設けた噴射口(32)は軸方向に長尺に形成しているため、図4に示す如く、押圧体(31)の噴射口(32)とノズル体(17)のノズル口(20)は常に連通した状態を保っている。
【0028】
また、この更なる押圧体(31)の押圧により、外筒(10)の挿入間隔(12)内で下方に移動していた嵌合片(30)が、受刃(13)の下端よりも更に下方に移動して挿入間隔(12)内から抜け出る。これと同時に、嵌合片(30)は送り刃(34)の上方傾斜面(36)上に移動し、押圧発条(25)の付勢力によりこの上方傾斜面(36)に沿って進行方向である円周方向に移動し、図8に示す如く、この上方傾斜面(36)に隣接し、進行方向に向かって下方に傾斜した下方傾斜面(42)に当接して停止する。
【0029】
また、上記の如き嵌合片(30)の進行方向への移動とともに、嵌合刃(27)も送り刃(34)の上方傾斜面(36)上を同一方向に移動し、嵌合片(30)が送り刃(34)の隣接する下方傾斜面(42)に当接するまで移動した時点で、嵌合刃(27)の全ての上端面(37)が送り刃(34)の下端面(33)に当接するため、嵌合刃(27)と送り刃(34)は完全に嵌合した状態となる。このように、回動体(21)の外周に嵌合刃(27)を設け、嵌合片(30)の移動とともに嵌合刃(27)を送り刃(34)に沿って移動させることより、回動体(21)の進行方向への回動を円滑かつ確実なものとしている。
【0030】
そして、上記1回目の押圧体(31)の押圧を解除すると、回動体(21)は押圧発条(25)の付勢力に従って押圧体(31)と共に上方に移動する。そして、嵌合片(30)は、図9に示す如く、送り刃(34)の下方傾斜面(42)の直前に位置したままの状態で上方に移動し、外筒(10)の受刃(13)に当接して、この受刃(13)の第1傾斜面(14)上に移動する。そして、押圧発条(25)の付勢力により、第1傾斜面(14)に沿って上記の進行方向と同一方向に移動し、第1傾斜面(14)と第2傾斜面(15)の間に位置する鉛直壁(16)に当接する。
【0031】
この時点で、嵌合片(30)は更に進行方向への移動ができなくなるため、押圧発条(25)の付勢力に抗して第1傾斜面(14)上で鉛直壁(16)に当接した状態で停止する。この嵌合片(30)の停止により、回動体(21)は元位置まで上方に移動することができずにその場で位置固定するため、この回動体(21)の上壁(24)も位置固定し、これにより、この上壁(24)の下方に押圧発条(25)を介して配置されたノズル体(17)の基盤(23)が上方に移動不能となる。そのため、ノズル体(17)が上方に移動することができずに下方に押圧された状態のままとなる。従って、図4に示す如く、このノズル体(17)により、ステム(4)も下方に押圧されたままの状態を保ち、バルブ機構(3)が開弁状態を維持するため、エアゾール内容物が連続して噴射される。
【0032】
尚、押圧体(31)の押圧及び押圧の解除ごとに、嵌合片(30)が進行方向に位置移動するため、上記の如く回動体(21)は同一方向に回動するが、押圧体(31)はガイド片(35)により回動不能なものとなっている。従って、押圧体(31)の押圧及び押圧の解除により押圧体(31)が回動体(21)と共に回動することはなく、回動体(21)は押圧体(31)と独立して回動可能なものとなっている。
【0033】
また、上記連続噴射を停止するには、2回目の押圧体(31)の押圧及び押圧の解除を行う。まず、第2回目の押圧体(31)の押圧を行うと、上記の如く受刃(13)の第1傾斜面(14)上に配置されていた嵌合片(30)は、送り刃(34)によって受刃(13)の下端よりも更に下方に押し下げられると共に、受刃(13)の第1傾斜面(14)から送り刃(34)の上方傾斜面(36)上に移動する。そして、図8の点線で示す如く、受刃(13)の第2傾斜面(15)に対応する送り刃(34)の上方傾斜面(36)に沿って、次の下方傾斜面(42)に当接するまで進行方向に移動する。
【0034】
そして、2回目の押圧体(31)の押圧の解除を行うと、回動体(21)は押圧発条(25)の付勢力に従って押圧体(31)とともに上方に移動するため、嵌合片(30)も上方に移動して受刃(13)の第2傾斜面(15)に当接し、第2傾斜面(15)上に沿って進行方向に移動する。
【0035】
そして、図9の点線で示す如く、1回目の押圧体(31)の押圧開始前に位置していた挿入間隔(12)の隣の挿入間隔(43)内に滑り込み、この挿入間隔(43)内に位置する送り刃(34)上に配置される。そのため、回動体(21)及び押圧体(31)は、押圧発条(25)の付勢力に従って上方に移動し、元の位置に復元するとともに、図2に示す如く、バルブ体(17)も上方に移動して元の位置に復元する。
【0036】
これにより、ステム(4)はステム発条(38)の付勢力に従って元位置に復元し、オリフィス(6)が上方に移動してステムガスケット(5)の内周端面にて閉止するため、連続噴射が停止する。そして、この状態から再度押圧体(31)の押圧及び押圧の解除を行うことにより、再びエアゾール内容物の連続噴射を開始することが可能となる。
【0037】
上記の如く、押圧体(31)の押圧及び押圧の解除を行うのみで、他に特別な手続を必要とすることなく、容易にエアゾール内容物の連続噴射及び連続噴射の停止を行うことが可能となる。また、上記の如く外筒(10)に受刃(13)を環状に連続して配置するとともに、回動体(21)の嵌合片(30)を、押圧体(31)の押圧及び押圧の解除ごとに同一方向に位置移動可能なものとしているため、エアゾール内容物の連続噴射及び連続噴射の停止を何度でも繰り返し行うことが可能である。
【0038】
また、1回目の押圧体(31)の押圧及び押圧の解除により、エアゾール内容物の連続噴射を開始した後、2回目の押圧体(31)の押圧及び押圧の解除を行うまでこの連続噴射が継続されるため、使用者にとって所望の量のエアゾール内容物を一度に連続噴射することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図。
【図2】本発明の一実施例を示す組み付け状態の断面図。
【図3】噴射開始状態を示す断面図。
【図4】押圧体を押し切った状態を示す断面図。
【図5】連続噴射の継続状態を示す断面図。
【図6】嵌合片が送り刃上に配置された状態を示す概念図。
【図7】嵌合片が送り刃と共に下方に押し下げられた状態を示す概念図。
【図8】嵌合片が受刃の下端よりも下方に移動した状態を示す概念図。
【図9】嵌合片が受刃の第1傾斜面上に配置された状態を示す概念図。
【符号の説明】
【0040】
1 エアゾール容器
3 バルブ機構
4 ステム
8 連通路
10 外筒
11 貫通口
12 挿入間隔
13 受刃
14 第1傾斜面
15 第2傾斜面
17 ノズル体
18 ノズル
21 回動体
22 挿通孔
25 押圧発条
30 嵌合片
31 押圧体
32 噴射口
33 下端面
34 送り刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の上端に固定し、中央に貫通口を開口した外筒と、この外筒の貫通口内に配置し、ステムに連通路を介して接続するノズルを形成したノズル体と、このノズル体を、中央に形成した挿通孔内に摺動可能に挿通し、ノズル体との間に介装した押圧発条により上部方向に押圧付勢されながら、ノズル体と外筒に対して回動可能に配置した回動体と、この回動体及びノズル体を内部に挿通するとともに、ノズルと連通する噴射口を形成して、外筒の貫通口内に上下摺動可能に配置し、下方に押圧することにより、回動体及びノズル体を介してステムを押圧し、エアゾール容器内に配置したバルブ機構を開弁して、エアゾール容器内に収納したエアゾール内容物を噴射可能とした筒形の押圧体とから構成したものであって、外筒の内面には、下端を片流れのテーパー部とした第1傾斜面及び第2傾斜面を連続して設けた受刃を、挿入間隔を介して環状に複数個形成し、回動体の下方外周には、挿入間隔内に挿入可能な嵌合片を押圧体側に突設し、押圧体の下端には、下端面をテーパー部として形成した送り刃を設けて、この送り刃の下端面に臨ませて上記の嵌合片を配置し、1回目の押圧体の押圧により、回動体の嵌合片を送り刃によって受刃の下端よりも下方に押し下げるとともに、ステムを押圧してエアゾール内容物の噴射を開始し、1回目の押圧体の押圧を解除することにより、嵌合片を受刃の第1傾斜面上に配置し、引き続きバルブ機構の開弁状態を保ってエアゾール内容物の連続噴射を可能なものとするとともに、2回目の押圧体の押圧により、第1傾斜面上に位置する嵌合片を受刃の下端よりも下方に押し下げ、2回目の押圧体の押圧を解除すると、嵌合片が送り刃の下端面及び受刃の第2傾斜面に沿って挿入間隔内に移動することにより、ステムの押圧が解除してバルブ機構を閉止し、上記エアゾール内容物の連続噴射を停止可能なものとしながら、押圧体の押圧及び押圧の解除ごとに嵌合片を同一方向に位置移動可能なものとし、エアゾール内容物の連続噴射及び連続噴射の停止を繰り返し可能としたことを特徴とするエアゾール容器用の連続噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−103745(P2006−103745A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292251(P2004−292251)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000222129)東洋エアゾール工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】