説明

エアゾール容器用全量噴射機構および、この全量噴射機構を備えたエアゾール製品

【課題】全量噴射される内容物の粒子径を細かくして、室内などの隙間部分などにも内容物が効率的に入り込めるようにし、また、利用者の顔面被曝の防止化を図る。
【解決手段】噴射用パイプ4は静止モードでは略直線状になっている。アクチュエータ10がカバー体9に係合された図示の作動モードでは、バルブ作用部が開いて容器内容物がパイプ4に流入する。この流入にともない、可撓性のパイプ4が変形して擂鉢状面部分6dにガイドされながら連続回転し、パイプ先端から内容物が広範囲の空間域に細かな粒子状態で噴射される。また、静止モードのパイプ4の直線状方向(円筒部6aの軸方向)を鉛直方向Bからずらして、作動モード開始時の利用者の顔面被曝を防いでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品に用いられる全量噴射機構などに関し、特に内容物の噴射部として作用する可撓性の筒状出力部および、当該筒状出力部を囲む形の擂鉢状コーン部を設け、内容物が噴射される作動モードにおいては、当該筒状出力部が当該擂鉢状コーン部の内面に沿って回転するタイプの全量噴射機構に関する。
【0002】
本明細書では「内容物」の語を、アクチュエータを操作してバルブが開くことにより容器内部の噴射剤の作用で外部空間に噴射される対象物を示す意で用いる。すなわち、容器内部には各種ガスの噴射剤と、噴射剤の作用で加圧状態にある例えば殺虫剤などの内容物と、が収納されている。
【0003】
例えば、エアゾール容器から殺虫剤などを噴射して室内のゴキブリを駆除する場合など、容器出力部から噴射される殺虫剤が室内に広くいきわたることが望ましく、本発明はこのような要望に応えるものである。
【0004】
なお、本発明は、殺虫剤の用途に限られず、殺菌剤,消毒剤,消臭剤,芳香剤,洗浄剤、清掃剤,帯電防止剤や防カビ剤などの各種内容物の全量噴射に適用可能である。
【背景技術】
【0005】
従来、エアゾール製品の全量噴射機構に関して、その噴射域を広範囲化し、さらには室内の隅々に内容物を均一に噴射するための機構が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
この全量噴射機構の場合、
・外部空間への内容物噴射部として、中央ノズルと、当該中央ノズルの周りの周囲ノズルとを設け、
・中央ノズルの開口面積や、中央ノズルの開口面積と各周囲ノズルの合計開口面積との比などを所定範囲に設定する、
などの構造形態になっている。
【特許文献1】特開2002−204990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の中央ノズルおよび周囲ノズルを備えた全量噴射機構はエアゾール製品の内容物を広範囲に噴霧できるという利便性を備えたものである。
【0008】
これに対し本発明の全量噴射機構は、可撓性の筒状部材からなる内容物出力部を擂鉢状コーン部の内側に直線態様で設けておき、この筒状のいわば通路域にエアゾール製品の内容物が連続して流入すると当該筒状部材が当該擂鉢状コーン部の内面に案内されながら回転し続ける、ことに着目したものである。
【0009】
すなわちエアゾール製品の全量噴射機構の内容物出力部を固定的に複数設けるのではなく、擂鉢状コーン部の内面に沿う形で可撓性の筒状部材を回転させながらその出力口から内容物を広範囲にわたって噴射するタイプの全量噴射機構を新たに提供し、これによりエアゾール製品の全量噴射技術の改善化を図るとともに、内容物が噴射される空間域の一層の広範囲化を図ることを目的とする。
【0010】
また、静止モードにおける筒状の内容物出力部を、鉛直方向からずれた斜め態様で設定して当該筒状部材の回転開始時などに内容物が作動モードの設定操作を行なった利用者の方に噴射されにくいようにし、これにより全量噴射操作に際しての利用者に対する安全性の向上を図ることを目的とする。
【0011】
また、後述の試験結果でも明示されるように、回転噴射の作用により内容物の粒子径を従来の固定噴射の場合よりも細かくして、室内の隅々まで内容物が効率的に到達するようにし、これにより噴射された内容物の効能の向上化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)エアゾール容器(例えば後述の容器本体1)に収納された内容物の噴射動作についてのバルブ作用を呈する、ステム(例えば後述のステム3)を作動モード位置に移動させる操作部(例えば後述のアクチュエータ10)と、
前記操作部を作動モード設定操作状態に係止して保持するための操作保持部(例えば後述の天井面段部9c)と、
前記ステムの下流側に取り付けられて外部空間に噴射される内容物が通過する可撓性の筒状出力部(例えば後述のパイプ4)と、
前記筒状出力部の周りを離間した状態で取り囲み、かつ、作動モードにおいては当該筒状出力部が変形した状態で連続回転する際のガイド面として作用する擂鉢状コーン部(例えば後述の擂鉢状面部分6d)と、
を備えた形のエアゾール容器用全量噴射機構を用いる。
(2)上記(1)において、
前記筒状出力部として、
エアゾール容器に取り付けられて使用される際の作動モード設定操作時に、鉛直方向からずれた形の斜め状態になるものを用いる。
(3)上記(1)において、
前記ガイド面として、
円錐台状の内周面からなり、静止モードの前記筒状出力部における広がり角度が30度から90度の範囲に設定されたものを用いる。
【0013】
このような構成からなるエアゾール容器用全量噴射機構および、当該全量噴射機構を備えたエアゾール製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、このように擂鉢状コーン部に沿う形で可撓性の筒状部材を回転させながらその出力口から内容物を広範囲にわたって噴射するタイプの全量噴射機構を用いているので、エアゾール製品の新たな全量噴射技術を開示するとともに、内容物が噴射される空間域の一層の広範囲化を図ることができる。
【0015】
また、筒状部材からなる内容物出力部の静止モードにおける直線形状を垂直方向からずれた態様で設定して当該筒状部材の回転開始時などに内容物が作動モードの設定操作を行なった利用者の方に噴射されにくいようにしているので、全量噴射操作にともなう利用者に対する安全性の向上を図ることができる。
【0016】
また、回転噴射にともなう内容物の粒子径を従来の固定噴射の場合よりも細かくして、室内の隅々まで内容物が効率的に到達するようにしているので、噴射内容物の効能の向上化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1乃至図3を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0018】
なお、上述のように本発明は殺虫剤用途のみを対象とするものではないが、以下の記載では、内容物として殺虫剤を含むエアゾール製品について具体的に説明する。
【0019】
ここで、
図1は、内容物噴射用パイプ(筒状出力部)のパイプキャップおよび容器全体に対するトップキャップを取り付けた静止モードを示し、
図2は、トップキャップおよびパイプキャップを取り外してからアクチュエータ(操作部)をカバー体に押圧保持させた作動モード(全量噴射モード)を示し、
図3は、ゴキブリを対象とした本発明の全量噴射機構の試験の概略図を示している。
【0020】
なお、以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば環凹状部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば容器本体1)の一部であることを示している。
【0021】
図1および図2において、
1は内容物および噴射剤を収納したエアゾール製品の容器本体,
1aは後述のカバー体9の膨出域9bと強く係合する開口部外側の環凹状部,
2は容器本体1の開口部に取り付けられたマウンティングキャップ,
3はマウンティングキャップ2と一体のハウジング(図示省略)に設けられて周知の噴射弁および筒状通路部分を備えたステム,
4はステム3の下流側に設けられて内容物噴射用通路および外部空間への噴射口を備えた変形可能な可撓性のパイプ,
5はパイプ4の先端部分に取り付けられた筒状の錘,
6はパイプ4の回転動作を案内する機能を備えたコーン部材,
6aは基部側(ステム側)の円筒部,
6bは当該円筒部の先端側に形成された環状凹部,
6cは当該円筒部の基部側内周面に複数形成されて後述のアクチュエータ10(環凸状部分10c)と強く嵌合するための環凹状部分,
6dはパイプ4の回転動作案内面として作用する擂鉢状面部分(=円錐台状の内周面),
7はパイプ4の先端側外周面と錘5の内周面との間に介される錘固定用の上側ブッシュ,
8は着脱自在な形でコーン部材6の環状凹部6bに取り付けられるパイプキャップ,
9は容器本体1に取り付けられたままで作動モード設定操作の際にも取り外されることがないカバー体,
9aは当該カバー体の天井面に形成された略環状の垂下部,
9bは当該垂下部の下端側内周面に形成されて容器本体1(マウンティングキャップ2の外端部下側)の環凹状部1aと強く係合する膨出域,
9cは垂下部9aの内周面側のリブ状部間に形成され、作動モード設定操作にともなって後述のアクチュエータ10の凸状保持部10eが係合する天井面段部,
9dはヒンジ作用を呈する薄肉部分,
10はカバー体9の薄肉部分9dから連続するヒンジ態様で形成された回動可能なアクチュエータ(操作部),
10aは当該アクチュエータの作動モード設定操作にともないステム3の上端部分と係合して当該ステムを作動モード位置に移動させる筒状垂下部,
10bは当該筒状垂下部から連続する態様で形成されてパイプ4の基部側を保持する筒状起立部,
10cは当該筒状起立部の外周面に複数形成されてコーン部材6と強く嵌合するための環凸状部分,
10dは利用者が押圧する傾斜態様の操作面,
10eは当該操作面の下側に延びる垂下部外周面に形成されて当該アクチュエータの押圧回動操作によりカバー体9の凹状部9cと係合する作動モード設定用の凸状保持部,
11はパイプ4の基部側外周面と筒状起立部10bの内周面との間に介されるパイプ固定用の下側ブッシュ,
12は着脱自在な態様でカバー体9の外周面部分に取り付けられるトップキャップ,
Aは擂鉢状面部分6dのコーン角度(図1参照),
Bは鉛直方向、すなわち、通常、全量噴射のエアゾール容器が置かれる床面などに垂直な方向(図2参照),
Cは作動モードでの円筒部6aの鉛直方向Bに対する傾斜角度(図2参照),
Lはパイプ4のアクチュエータ側固定端部分からの長さ(図1参照),
をそれぞれ示している。
【0022】
ここで、容器本体1やマウンティングキャップ2は、例えばブリキ,アルミなどの金属製のものである。
ステム3,パイプ4,錘5,コーン部材6,上側ブッシュ7,パイプキャップ8,カバー体9,アクチュエータ10,下側ブッシュ11およびトップキャップ12は、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0023】
図1の静止モードでは、トップキャップ12およびパイプキャップ8がそれぞれカバー体9およびコーン部材6に取り付けられている。そしてアクチュエータ10は図示のような初期状態位置、すなわち薄肉部分9dのいわば隣接域がカバー体上面からこれと同じ高さで連続する直平面状態の位置にある。
【0024】
このときステム3は周知のコイルスプリング(図示省略)などの弾性作用で上方向に付勢され、当該ステムの噴射弁は閉じており、容器本体1に収納されている内容物がパイプ4に流入することはない。
【0025】
全量噴射の作動モードに設定する際は、図2に示すように、トップキャップ12およびパイプキャップ8をそれぞれカバー体9およびコーン部材6から取り外した上で、アクチュエータ10の操作面10dを足や手などで下方に押圧して、当該アクチュエータの凸状保持部10eをカバー体9の凹状部9cに係合させる。
【0026】
操作面10dの下方への押圧にともなって、アクチュエータ10はカバー体9との境界(薄肉部分9d)を軸にして図示時計方向に回動する。
【0027】
この回動の途中でアクチュエータ10の筒状垂下部10aがステム3の上端部分と係合し、当該ステムを下方に移動させる。
【0028】
このステム10の移動の結果、例えばステムガスケットとステム孔部とからなる周知の噴射弁が開状態となって、容器本体1の内容物はステム3を経てパイプ4に流入する。
【0029】
ここで、内容物が流入した可撓性のパイプ4は、図2に示すようにコーン部材6の擂鉢状面部分6dに案内されながら連続回転する。
【0030】
このパイプ4の連続回転により、内容物はパイプ4の先端開口部から外部空間の広範囲にわたって噴射される。
【0031】
以下、本発明の全量噴射機構(回転タイプ)と、従来の全量噴射機構(固定タイプ)を備えたエアゾール製品を用いた場合の、ゴキブリに対する効力試験について説明する。
【0032】
図3に基づいて試験条件を説明すると、試験室13は、縦3.6m,横3.6m,高さ2.7mからなる密閉空間であり、その床面中央部に試験対象のエアゾール製品16を置き、また、床面対角線上の隅部分には2個のスリットボックス14を置いた。
【0033】
スリットボックス14は一辺が300mmの立方体からなり、それぞれ図3で示した位置に2個のスリット14a(幅10mm,高さ100mm)が形成されている。
【0034】
そして、スリットボックス14の底面には二個のカップ15(上底径130mm,下底径100mm,高さ100mm)が置かれている。
【0035】
カップ15にはそれぞれ抵抗性チャバネゴキブリ10頭を入れ、試験室13の全体では計40頭とした。
【0036】
この試験では、本発明の全量噴射機構および従来の全量噴射機構のいずれにおいても、エアゾール製品16の内容物は、殺虫剤1.25g(シフェノトリン0.25g,メトキサジアゾン1.0g)をエタノールに溶解させて30mlとした原液を用い、当該原液を、噴射剤としてのジメチルエーテル70mlとともに容器本体に充填した。
【0037】
従来の全量噴射機構に係る仕様は、商品名「アースレッドノンスモーク霧タイプ」を用いた。
【0038】
本発明の全量噴射機構に係る仕様は、以下のとおりである。
・パイプ4のアクチュエータ側固定端部分からの長さL(図1参照);55mm
・パイプ4の外径;2mm,同内径(=パイプ通路部分の直径);1mm
・パイプ4の回転速度;1800rpm
・筒状の錘5;0.279g
・擂鉢状面部分6dのコーン角度A(図1参照);30度,45度,60度,75度,90度
・作動モードにおける円筒部6aの傾斜角度C(図2参照);10度,20度,25度,35度
【0039】
以上の試験条件を整え、試験室13内で、エアゾール製品16を30秒〜35秒で全量噴射させ、その後、1時間放置した。
【0040】
その間、経時的にノックダウンしたゴキブリ数を計数して、「KT50」(暴露開始後、半数のゴキブリがノックダウンするまでの時間:分)を求めた。また暴露開始から24時間後の致死数を観察して、「24h致死率」を求めた。さらにはコーン角度Aに対応する噴射粒子径をレーザ光回折式粒度測定装置で求めた。
なお試験は3回繰り返して行い、それぞれの平均値を結果とした。
【0041】
以下の表1〜表3は、本発明の全量噴射機構および従来の全量噴射機構についての試験結果データである。
【0042】
ここで、表1は、本発明の回転パイプ(30,45,60,75,90の各コーン角度A)および従来の固定パイプのそれぞれから噴射された内容物の粒子径(μm)などを示している。
【表1】

【0043】
表2は、これらの回転パイプおよび固定パイプを用いた場合の上記チャバネゴキブリに対する「KT50:分」と「24h致死率:%」とを示している。
【表2】

【0044】
表3は、コーン角度A(45度,60度)および傾斜角度C(10度,20度,25度,30度)の各組み合わせに係る全量噴射機構において、その作動モード開始時に被験者が顔に内容物を被曝する程度を示している。
【表3】

【0045】
表1で示されるように、本発明の回転パイプを用いた全量噴射機構では、内容物の粒子径が従来の固定パイプの場合に比べて細かくなっている。このことは擂鉢状面部分6dのコーン角度Aが30〜90のいずれの場合にも該当する。
【0046】
そして、表2で示されるように、カップ15のチャバネゴキブリに対する「KT50」および「24h致死率」は、30度〜90度のすべてのコーン角度Aにおいて、従来の固定パイプの全量噴射機構よりも大幅に向上している。
【0047】
これは内容物の粒子径が細かくなってスリット内へ流入する量が増加するためと考えられる。このことは、室内などの隙間部分に入り込んだチャバネゴキブリに対する殺虫効果が顕著であることを示している。
【0048】
特に、コーン角度Aが「45度〜90度」に設定された場合には、従来比で、「KT50」を少なくとも略1/3の時間に短縮し、「24h致死率」を少なくとも35%ほど高くする効果が得られる。
【0049】
この効果が得られるときの傾斜角度Cは例えば、
・20度,25度(コーン角度Aが45度の場合)
・25度,35度(コーン角度Aが60度の場合)
である。
【0050】
なお、図1,図2で例示した全量噴射機構におけるコーン角度Aは45度,傾斜角度Cは25度である。
【0051】
また、表3で示されるように、作動モード設定者の被曝防止のためには、45度のコーン角度Aには25度,35度の傾斜角度Cが適しており、同じく60度のコーン角度Aには35度の傾斜角度Cが適している。
【0052】
被曝防止の点で好ましい傾斜角度Cの範囲は、コーン角度Aが45度の場合には20度以上であり、コーン角度Aが60度の場合には25度以上である。
【0053】
本発明の全量噴射機構の基本的特徴は、内容物噴射用のパイプ4が(その内部空間を内容物が通過する)作動モードではコーン部材6の擂鉢状面部分6dに沿って連続回転することを利用して、細かな粒子径の内容物を広範囲の空間域に噴射することである。
【0054】
したがって、コーン角度Aや傾斜角度Cは、このパイプ4の連続回転が担保される範囲の値であればよく、上述した具体的角度のみに限定されるものではない。この具体的角度の間にある任意の中間値や、当該具体的角度の最小,最大の外側の値を用いるようにしてもよい。
【0055】
また、先に例示した本発明の全量噴射機構に係る仕様である、
・パイプ4のアクチュエータ側固定端部分からの長さL(図1参照)
・パイプ4の外径および内径(=パイプ通路部分の直径)
・パイプ4の回転速度
・筒状の錘5の重さ
なども、同様に、パイプ4の連続回転が担保される範囲での任意の値をとりえる。
【0056】
なお、これら各要素の好ましい値の範囲は、
・パイプ4の長さL;30〜100mm、好ましくは40〜60mm
・パイプ4の外径;1〜5mm、好ましくは1.5〜3mm
・パイプ4の内径;0.5〜4mm、好ましくは0.5〜2.5mm
・パイプ4の回転速度;500〜3000rpm、好ましくは1000〜2000rpm
・筒状の錘5の重さ;0.1〜1.5g、好ましくは0.2〜1g
である。
【0057】
以上の実施形態ではいわゆる傾倒タイプのアクチュエータ(操作部)を用いているが、これに代えてカバー体9とは別体で、それの押圧操作により上方向への弾性付勢力に抗しながら下動する押下げタイプのアクチュエータ(操作部)を用いるようにしてもよい。
【0058】
エアゾール製品の噴射剤としては、例えば炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】内容物噴射用パイプのキャップおよび容器全体に対するトップキャップを取り付けた静止モードを示す説明図である。
【図2】トップキャップおよびパイプキャップを取り外してからアクチュエータをカバー体に押圧保持させた作動モード(全量噴射モード)を示す説明図である。
【図3】ゴキブリを対象とした本発明の全量噴射機構の試験の概略図を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1:エアゾール製品の容器本体
1a:環凹状部
2:マウンティングキャップ
3:ステム
4:パイプ
5:筒状の錘
6:コーン部材
6a:ステム側の円筒部
6b:環状凹部
6c:環凹状部分
6d:擂鉢状面部分(円錐台状の内周面)
7:上側ブッシュ
8:パイプキャップ
9:カバー体
9a:略環状の垂下部
9b:膨出域
9c:天井面段部
9d:薄肉部分
10:アクチュエータ(操作部)
10a:筒状垂下部
10b:筒状起立部
10c:環凸状部分
10d:操作面
10e:凸状保持部
11:下側ブッシュ
12:トップキャップ
13:試験室
14:スリットボックス
14a:縦方向スリット
15:カップ
16:エアゾール製品
A:擂鉢状面部分6dのコーン角度(図1参照)
B:鉛直方向(図2参照)
C:作動モードにおける鉛直方向Bからの円筒部6aの傾斜角度(図2参照)
L:パイプ4のアクチュエータ側固定端部分からの長さ(図1参照)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器に収納された内容物の噴射動作についてのバルブ作用を呈するステムを作動モード位置に移動させる操作部と、
前記操作部を作動モード設定操作状態に係止して保持するための操作保持部と、
前記ステムの下流側に取り付けられて外部空間に噴射される内容物が通過する可撓性の筒状出力部と、
前記筒状出力部の周りを離間した状態で取り囲み、かつ、作動モードにおいては当該筒状出力部が変形しながら連続回転する際のガイド面として作用する擂鉢状コーン部と、
を備えたことを特徴とするエアゾール容器用全量噴射機構。
【請求項2】
前記筒状出力部は、
エアゾール容器に取り付けられて使用される際の作動モード設定操作時に、鉛直方向からずれた形の斜め状態となるものである、
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用全量噴射機構。
【請求項3】
前記ガイド面は、
円錐台状の内周面からなり、静止モードの前記筒状出力部の両側における広がり角度が30度から90度の範囲に設定されたものである、
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用全量噴射機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のエアゾール容器用噴射機構を備え、かつ、噴射剤および内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−18316(P2010−18316A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180470(P2008−180470)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【出願人】(506186042)株式会社コペル (3)
【Fターム(参考)】