説明

エアゾール式噴射器用の操作ボタン、エアゾール式噴射装置、およびエアゾール式噴射器

【課題】廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを容易に取り外すことができるようにする。
【解決手段】操作ボタン18のボタン本体20には、内部の噴出通路20dを挟む外周両面に平面部20fを平行に形成するとともに、その平面部20fの上を横方向に突出して平面部20fの上に指掛け段部20gを形成してなる。また、ボタン本体20の外周中段に上向き段部20hを形成し、その上向き段部20hに、各々平面部20fに隣接して上下に貫通するツール挿入用孔20iを形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボタン本体の中心に下向きにステム嵌合穴を設けるとともに、外向きに開口してノズル嵌合穴を設け、そのノズル嵌合穴にノズル部材をはめ付けて、そのノズル部材の噴口とステム嵌合穴とを連通する噴出通路を内部に形成してなるエアゾール式噴射器用の操作ボタンに関する。および、そのような操作ボタンをバルブステムに、そのバルブステムの先端を前記ステム嵌合穴にはめ込むことにより取り付けてなるエアゾール式噴射装置に関する。および、そのようなエアゾール式噴射装置を容器に取り付けてなる、脱臭用、殺虫用等のエアゾール式噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール式噴射器の中には、容器から上向きに突出するバルブステムに操作ボタンを取り付け、その操作ボタンを押し下げ操作することにより容器の内容物をバルブステムから吐出して操作ボタンのボタン本体の噴出通路を通して操作ボタンに取り付けるノズル部材の噴口から噴射するものがある。
【0003】
操作ボタンは、例えば図5に示すように、ボタン本体1の外周中段に上向き段部2を形成し、頂面にローレット付き指当て部3を設けるとともに、外周両側に平面部4を形成し、ノズル嵌合孔に圧入して、噴口5を有するノズル部材6を保持していた。
【0004】
ところで、この種のエアゾール式噴射装置では、廃棄時に、ガス抜きを行うときとか、分別を行うときとかなどに、平面部4に指を当ててつまんで、バルブステムから、図5に示すような操作ボタンを取り外す必要があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−219283号公報
【特許文献2】特開2004−114017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなときに指が滑るなどして、バルブステムから操作ボタンがなかなか外れずに、手間を要することがあった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを容易に取り外すことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成すべく、ボタン本体の中心に下向きにステム嵌合穴を設けるとともに、例えばボタン本体の外周面に開口して横向きにノズル嵌合穴を設け、そのノズル嵌合穴にノズル部材をはめ付けて、そのノズル部材の噴口とステム嵌合穴とを連通する噴出通路を内部に形成してなるエアゾール式噴射器用の操作ボタンにおいて、
この発明の第1の態様は、噴出通路を挟む外周両側に平面部を形成するとともに、その平面部の上に突出して指掛け段部を形成してなるものである。そして、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを取り外すとき、平面部に指を当ててつまみ、指掛け段部に指を掛けて引き上げる。
【0009】
この発明の第2の態様は、ボタン本体の外周中段に上向き段部を形成し、その上向き段部にツール挿入用孔を形成してなるものである。そして、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを取り外すとき、ツール挿入用孔に、ドライバ等のツールを挿入して、てこの働きを利用するなどして操作ボタンを外す。
【0010】
この発明の第3の態様は、噴出通路を挟む外周両側に平面部を形成するとともに、その平面部の上に突出して指掛け段部を形成し、かつボタン本体の外周中段に上向き段部を形成し、その上向き段部にツール挿入用孔を形成してなるものである。そして、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを取り外すとき、平面部に指を当ててつまみ、指掛け段部に指を掛けて引き上げ、またはツール挿入用孔に、ドライバ等のツールを挿入して、てこの働きを利用するなどして操作ボタンを外す。
【0011】
この発明の第4の態様は、上記第1〜3の態様の操作ボタンをバルブステムに、そのバルブステムの先端をステム嵌合穴にはめ込むことにより取り付けてなることを特徴とする、エアゾール式噴射装置である。
【0012】
この発明の第5の態様は、この第4の態様のエアゾール式噴射装置を容器に取り付けてなることを特徴とする、エアゾール式噴射器である。
【発明の効果】
【0013】
この発明の第1の態様によれば、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを取り外すとき、平面部に指を当ててつまみ、指掛け段部に指を掛けて引き上げるので、操作ボタンを滑らないようにしっかりとつまんで操作ボタンに十分に力を掛けて容易に外すことができる。
【0014】
この発明の第2の態様によれば、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを取り外すとき、ツール挿入用孔にツールを挿入して、てこの働きを利用するなどして、操作ボタンを容易に外すことができる。
【0015】
この発明の第3の態様によれば、廃棄時等に、バルブステムから操作ボタンを取り外すとき、外周両側の平面部に指を当ててつまみ、指掛け段部に指を掛けて引き上げ、操作ボタンを滑らないようにしっかりとつまんで操作ボタンに十分に力を掛け、またはツール挿入用孔にツールを挿入して、てこの働きを利用するなどして、操作ボタンを容易に外すことができる。
【0016】
この発明の第4の態様によれば、バルブステムから操作ボタンを容易に外すことができるエアゾール式噴射装置を提供することができる。
【0017】
この発明の第5の態様によれば、バルブステムから操作ボタンを容易に外すことができるエアゾール式噴射器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、容器にエアゾール式噴射装置を取り付けてなるエアゾール式噴射器の外観を示す。
【0019】
図中符号10は、容器である。容器10は、例えばステンレス材料やアルミニウム材料を用いてつくり、図示省略するが、内部に噴射剤とともに、脱臭剤、殺虫剤、化粧液等の内容物を収納する。口部には、マウンテンカップを被せて外周を巻き締め、エアゾール式噴射装置12を取り付けてなる。
【0020】
図2には、図1に示すエアゾール式噴射器の要部従断面を示す。
エアゾール式噴射装置12には、中間に段部13aを有する縦筒状のハウジング13を設ける。ハウジング13下方の小径部13b内には、下端部を容器10の底部近くまでのばすパイプ14の上端部を圧入する。ハウジング13上方の大径部13c内には、スプリング15を入れて段部13a上に載せてから、バルブステム16の下部を挿入してスプリング15上に乗せてなる。
【0021】
バルブステム16は、首部16aに、内部流路16bと外部とを連通する連通孔16cをあけるとともに、その首部16aのまわりに、環板状のパッキン17の中心孔縁をはめ付けて連通孔16cを塞いでなる。
【0022】
そして、そのバルブステム16を、ハウジング13に対して出し入れ自在に設け、マウンテンカップ11の中心孔に貫挿する。マウンテンカップ11は、ハウジング13の上部に抱き付かせてそのハウジング13とともに、それで保持するパイプ14、スプリング15、バルブステム16、パッキン17等を保持する。
【0023】
マウンテンカップ11の中心から上向きに突出するバルブステム16は、上端に操作ボタン18を取り付ける。操作ボタン18は、ボタン本体20の中心に下向きにステム嵌合穴20aを設けるとともに、ボタン本体20の外周面に開口して横向きにノズル嵌合穴20bを設ける。ノズル嵌合穴20bの中心には、開口に向けて突出するようにセンターポスト20cを形成する。そして、そのノズル嵌合穴20bにノズル部材22をはめ付けてなる。
【0024】
ノズル部材22は、センターポスト20cの頂面と対向する内面にスクリュ22aを形成してなり、中心に噴口22bをあけてなる。そして、そのノズル部材22の横向きの噴口22aとステム嵌合穴20aとを連通する噴出通路20dを、ノズル部材22の内部に形成してなる。
【0025】
いま、このエアゾール式噴射器を使用するときは、容器10を持って操作ボタン18の頂面のローレット付き指当て部20eに指を当て、操作ボタン18を押し込む。すると、バルブステム16を押し下げてパッキン17を変形し、容器10の内容物を噴射材の圧力で連通孔16cからバルブステム16の内部流路16bに入れ、そのバルブステム16内を通して吐出して操作ボタン18の噴出通路20dに入れ、その噴出通路20dを通してノズル部材22のスクリュ22aで霧状として噴口22bから外部へと噴射することができる。
【0026】
ところで、図3には図1および図2に示す操作ボタン18を斜め上から見て示し、図4(A)には正面から見て、(B)には真上から見て、(C)には右側面からそれぞれ見て示す。
【0027】
図から判るとおり、操作ボタン18のボタン本体20には、内部の上述した噴出通路20dを挟む外周両面に平面部20fをほぼ平行に形成するとともに、その平面部20fの上を横方向に突出して平面部20fの上に指掛け段部20gを形成してなる。また、ボタン本体20の外周中段に上向き段部20hを形成し、その上向き段部20hに、各々平面部20fに隣接して上下に貫通するツール挿入用孔20iをあけてなる。
【0028】
そして、廃棄時等に、バルブステム16から操作ボタン18を取り外すときは、平面部20fに指を当ててつまみ、指掛け段部20gに指を掛けて引き上げ、操作ボタン18を滑らないようにしっかりとつまみ、またはドライバ等のツールが手元にあるときにはそれをツール挿入用孔20iに挿入して先端を例えばマウンテンカップに当て、てこの働きを利用するなどして、操作ボタン18を容易に外すことができる。
【0029】
この例では、操作ボタン18のボタン本体20に、指掛け段部20gを形成するとともに、ツール挿入用孔20iを設けたが、指掛け段部20gとツール挿入用孔20iのいずれか一方だけを設けるようにしもよい。ツール挿入用孔20iを設ける場合には、平面部20fは、必ずしも設けなくてもよいが、平面部20fを形成した方が、ツール挿入用孔20iを大きくすることができ、またボタン本体20の外周側面が邪魔にならずにツール操作を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】容器にエアゾール式噴射装置を取り付けてなるエアゾール式噴射器の外観図である。
【図2】図1に示すエアゾール式噴射器の要部従断面図である。
【図3】そのエアゾール式噴射器で用いる操作ボタンの斜視図である。
【図4】(A)は操作ボタンの正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。
【図5】従来のエアゾール式噴射器で用いる操作ボタンの斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
10 容器
16 バルブステム
18 操作ボタン
20 ボタン本体
20a ステム嵌合穴
20b ノズル嵌合穴
20d 噴出通路
20f 平面部
20g 指掛け段部
20h 上向き段部
20i ツール挿入用孔
22 ノズル部材
22b 噴口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン本体の中心に下向きにステム嵌合穴を設けるとともに、外向きに開口してノズル嵌合穴を設け、そのノズル嵌合穴にノズル部材をはめ付けて、そのノズル部材の噴口と前記ステム嵌合穴とを連通する噴出通路を内部に形成してなるエアゾール式噴射器用の操作ボタンにおいて、
前記噴出通路を挟む外周両側に平面部を形成するとともに、その平面部の上に突出して指掛け段部を形成してなることを特徴とするエアゾール式噴射器用の操作ボタン。
【請求項2】
ボタン本体の中心に下向きにステム嵌合穴を設けるとともに、外向きに開口してノズル嵌合穴を設け、そのノズル嵌合穴にノズル部材をはめ付けて、そのノズル部材の噴口と前記ステム嵌合穴とを連通する噴出通路を内部に形成してなるエアゾール式噴出器用の操作ボタンにおいて、
前記ボタン本体の外周中段に上向き段部を形成し、その上向き段部にツール挿入用孔を形成してなることを特徴とするエアゾール式噴射器の操作ボタン。
【請求項3】
ボタン本体の中心に下向きにステム嵌合穴を設けるとともに、外向きに開口してノズル嵌合穴を設け、そのノズル嵌合穴にノズル部材をはめ付けて、そのノズル部材の噴口と前記ステム嵌合穴とを連通する噴出通路を内部に形成してなるエアゾール式噴射器用の操作ボタンにおいて、
前記噴出通路を挟む外周両側に平面部を形成するとともに、その平面部の上に突出して指掛け段部を形成し、
かつ前記ボタン本体の外周中段に上向き段部を形成し、その上向き段部にツール挿入用孔を形成してなることを特徴とするエアゾール式噴射器用の操作ボタン。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1に記載の操作ボタンをバルブステムに、そのバルブステムの先端を前記ステム嵌合穴にはめ込むことにより取り付けてなることを特徴とする、エアゾール式噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエアゾール式噴射装置を容器に取り付けてなることを特徴とする、エアゾール式噴射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−254754(P2008−254754A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97030(P2007−97030)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】