説明

エアバッグモジュール

車両用のエアバッグモジュールが、車両の乗員による使用のための第1の収納室と、展開前の第1の畳まれたエアバッグを収納するための第2の収納室とを備えている。単一の一体型のカバーが、これらの収納室を覆っている。カバーは、エアバッグモジュールが車両に組み込まれるときに、車両の計器パネルへと一体的に組み付けられるように構成されている。カバーは、前記第1の収納室への第1の開口を覆う手動操作可能な第1の扉を備えており、この第1の扉が、開放位置にあるときに前記第1の収納室へのアクセスを可能にする。カバーは、第2の扉を備えており、この第2の扉が、前記第1のエアバッグの展開時に開いてカバーに第2の開口を生じさせ、前記第1のエアバッグの車両内への展開を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年9月17日付の米国特許仮出願第61/097,785号、2008年11月26日付の米国特許仮出願第61/118,120号、及び2009年3月31日付の米国特許出願第12/385,149号の優先権を主張する。上記の各出願は、その全体が、ここでの言及によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、広くには、展開時(例えば、動的な車両の衝撃の際)に乗員の保護を提供する車両用エアバッグの分野に関する。具体的には、本発明は、車両の乗員による使用のための第1の収納室と、頭部又は胴体を保護するためのエアバッグを収納するための第2の収納室と、すべての収納室を覆って1つの一体のエアバッグモジュールを形成するカバーと、を備えているエアバッグモジュールに関する。より具体的には、本発明は、車両の製造者によって自動車(motor vehicle)へと組み込まれる1つのユニットへと一体化された頭部及び胴体を保護するためのエアバッグ、膝を保護するためのエアバッグ、及びグローブボックスに関する。
【背景技術】
【0003】
エアバッグが、車両の動的な衝撃の出来事(車両に配置されたセンサを作動させ、エアバッグの展開を開始させる)の際に乗員を負傷から保護するために、車両に配置されている。エアバッグを、典型的には爆発性の装薬を収容しているインフレータ(例えば、火工品装置)を使用することによって、エアバッグのクッションにガスを急激に進入させることで、展開及び膨張させることができる。乗員の胴体及び膝用のエアバッグは、典型的には、乗員のダッシュボードの区画に収納され、乗員のダッシュボードの区画から展開される。乗員の胴体及び膝用のエアバッグは、典型的には、必要とされる収納空間を最小限にすべくエアバッグをコンパクトにするために、折り曲げ及び丸めのプロセスによって荷造りされる。車両の動的な衝撃の出来事において、乗員の胴体用のエアバッグが、典型的にはダッシュボードの上部(すなわち、グローブボックスの上方)から実質的に後方かつ上方に展開して、乗員の胴体及び頭部を保護する一方で、膝用のエアバッグは、典型的にはダッシュボードの下部(すなわち、グローブボックスの下方)から実質的に後方かつ下方に展開して、乗員の膝及び脚を保護する。
【0004】
乗員の胴体用のエアバッグと、グローブ・ボックス・アセンブリと、乗員の膝用のエアバッグとを備える車両を、これら3つが別個独立のアセンブリとして組み立て及び出荷され、別個独立に車両へと組み込まれるように構成することが知られている。また、グローブボックスを、典型的には展開するエアバッグの前縁へと飾り板を組み合わせることによって、膝保護装置を備えるように構成することも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グローブボックスを乗員の膝及び胴体の両方を保護するための保護装置に一体化させてなる1つのアセンブリを受け取って組み付けることが、車両の製造者にとって好都合であると考えられる。このアセンブリの一体化は、構成部品の個数が少なくなり、一体化されたアセンブリを車両へと組み付けるために必要な作業が少なくなることで、顧客にとって組み立ての労苦、時間、及びコストの削減をもたらす。さらに、この一体化は、一体化されたアセンブリにおける構成部品の数を少なくし、結果的として、収容に必要な空間を減らし、システム及び車両の質量を小さくし、コストを削減する。質量の軽減は、車両の製造者を後押しする原動力でありつづけてきたが、燃料効率のニーズが増大を続けるにつれて、ますます重要になってきている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示される実施形態によれば、車両用のエアバッグモジュールが、車両の乗員による使用のための第1の収納室(first storage compartment)と、展開前の第1の畳まれたエアバッグ(first folded airbag)を収納するための第2の収納室(second storage compartment)とを備えている。単一の一体型のカバー(single integrated cover)が、これらの収納室を覆っている。カバーは、エアバッグモジュールが車両に組み込まれるときに、車両の計器パネルへと一体的に組み付けられるように構成されている。カバーは、前記第1の収納室への第1の開口を覆う手動操作可能な第1の扉を備えており、この第1の扉が、開放位置(open position)にあるときに前記第1の収納室へのアクセスを可能にする。カバーは、第2の扉を備えており、この第2の扉が、前記第1のエアバッグの展開時に開いてカバーに第2の開口を生じさせ、前記第1のエアバッグの車両内への展開を許容する。
【0007】
開示される別の実施形態によれば、自動車が、車両の乗員を収容するための助手席と、計器パネルとを備えている。エアバッグモジュールが、計器パネルに組み込まれる。エアバッグモジュールは、車両の乗員による使用のための第1の収納室と、展開前の第1の畳まれたエアバッグを収納するための第2の収納室とを備えている。単一の一体型のカバーが、これらの収納室を覆う。カバーは、エアバッグモジュールが車両に組み込まれるときに、車両の計器パネルへと一体的に組み付けられるように構成されている。カバーは、前記第1の収納室への第1の開口を覆う手動操作可能な第1の扉を備えており、この第1の扉が、開放位置にあるときに前記第1の収納室へのアクセスを可能にする。カバーは、第2の扉を備えており、この第2の扉が、前記第1のエアバッグの展開時に開いて前記カバーに第2の開口を生じさせ、前記第1のエアバッグの車両内への展開を許容する。
【0008】
開示される他の実施形態によれば、車両用のグローブボックス一体型エアバッグモジュールが、車両の計器パネルに組み込まれるように構成されたグローブボックスと、第1及び第2のエアバッグ室と、第1及び第2のインフレータとを備えている。グローブボックスは、収納室及び扉を備えており、車両の乗員が前記収納室へとアクセスすべくグローブボックスの前記扉を開くことができるように構成されている。第1のエアバッグ室が第1のエアバッグを収容し、第2のエアバッグ室が第2のエアバッグを収容する。第1及び第2のインフレータは、それぞれ前記第1及び第2のエアバッグのための膨張ガスをもたらすように構成されている。単一の一体型のカバーが、グローブボックス並びに第1及び第2のエアバッグ室を覆う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】エアバッグモジュールを備える自動車の典型的な実施形態の斜視図である。
【0010】
【図2】エアバッグモジュールを備える典型的な自動車の内部の客室の斜視図である。
【0011】
【図3a】畳まれた(未展開の)状態のエアバッグモジュールを示している典型的な実施形態による図2の内部の客室の車両横断断面図である。
【0012】
【図3b】畳まれていない(展開後の)状態のエアバッグモジュールを示している典型的な実施形態による図2の内部の客室の車両横断断面図である。
【0013】
【図4】畳まれた(未展開の)状態で示されているエアバッグモジュールの典型的な実施形態の車両横断断面図である。
【0014】
【図5】畳まれた(未展開の)状態で示されているエアバッグモジュールの別の典型的な実施形態の車両横断断面図である。
【0015】
【図6】畳まれた(未展開の)状態で示されているエアバッグの別の典型的な実施形態の車両横断断面図である。
【0016】
【図7】図3a〜6の実施形態のいずれかにおいて利用することができる中間取り付けの乗員用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【0017】
【図8】畳まれた状態で示されている図7の中間取り付けの乗員用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【0018】
【図9】図3a〜6の実施形態のいずれかにおいて利用することができる上部取り付けの乗員用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【0019】
【図10】図9に示した上部取り付けの乗員用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【0020】
【図11】それぞれを図3a〜6の実施形態のいずれかにおいて利用することができる未展開の上部取り付けの乗員用エアバッグの実施例及びグローブボックス扉に取り付けられた未展開の膝用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【0021】
【図12】それぞれを図3a〜6の実施形態のいずれかにおいて利用することができる展開後の上部取り付けの乗員用エアバッグの実施例及びグローブボックス扉に取り付けられた展開後の膝用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【0022】
【図13】それぞれを図3a〜6の実施形態のいずれかにおいて利用することができる未展開の上部取り付けの乗員用エアバッグの第2の実施例及びグローブボックス扉に取り付けられた未展開の膝用エアバッグの実施例の車両横断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
広く図面を参照すると、車両10の典型的な実施形態が、ダッシュボードアセンブリ20と、助手席22と、車両横断梁24と、フロントガラス28とを備えている。ダッシュボードアセンブリ20の典型的な実施形態は、ダッシュボード25及びエアバッグモジュール30を備えている。エアバッグモジュール30の典型的な実施形態は、グローブボックスと、胴体用エアバッグ32を第1のエアバッグ収納室31に備えている乗員保護アセンブリとを、一体化させて備えている。胴体用エアバッグ32は、乗員の頭部及び胴体を保護するように膨張する。さらに、エアバッグモジュール30は、膝用エアバッグ34を第2のエアバッグ収納室33に備えている。膝用エアバッグは、乗員26の膝及び脚を保護するように膨張する。さらに、エアバッグモジュール30は、最終ユーザに便利な収納を提供するためのグローブ・ボックス・アセンブリ40を備えている。最後に、エアバッグモジュール30は、カバー51を有するハウジング50を備えている。ハウジング50は、エアバッグモジュール30の構成部品を一体に接続し、エアバッグモジュール30に構造的な剛性をもたらすとともに、車両10への取り付けのための機構をもたらしている。エアバッグモジュール30は、車両の製造場所において1つのユニットとして組み付けることができ、従って車両10への組み付けに要する労苦を軽減するより効率的かつ一般的な構造部品を利用することによって、質量及び全体サイズの削減を達成している。
【0024】
他の典型的な実施形態によれば、エアバッグモジュール30が、エアバッグ32及び34を膨張させるための少なくとも1つのインフレータ36を備えている。別の典型的な実施形態によれば、エアバッグモジュール30が、2つのインフレータ36a及び36bを備えている。インフレータ36aが、第1のエアバッグ収納室31に収納された胴体用のエアバッグ32を膨張させる。インフレータ36bが、第2のエアバッグ収納室33に収納された膝用のエアバッグ34を膨張させる。
【0025】
典型的な実施形態によれば、グローブボックスの扉46が、乗員の膝及び脚を保護するための膝用エアバッグ34と、膝用エアバッグ34を膨張させるためのインフレータ36bとを含むことができる。
【0026】
図1を参照すると、車両10の典型的な実施形態が示されており、ダッシュボードアセンブリ20を備えている。車両10は、典型的なセダンとして図示されているが、エアバッグモジュール30は、任意の種類の乗用車並びに乗客を座らせることができる他の移動車両において利用可能である。
【0027】
図2を参照すると、車両10の客室が図示されており、ダッシュボードアセンブリ20及び助手席22を含んでいる。ダッシュボードアセンブリ20は、ダッシュボード25と、車両10の独特な収納の要件に適合するように構成されたエアバッグモジュール30とを備えている。エアバッグモジュール30を、さまざまな収納の要件において使用されるように柔軟に構成することができ、車両の製造者の個別のニーズを満足させるように仕立てることが可能である。
【0028】
図3aを参照すると、図2の車両10の客室の断面が示されている。フロントガラス28の下方かつ後方に位置するダッシュボードアセンブリ20が、エアバッグモジュール30のグローブボックス一体型乗員保護アセンブリの実施形態を備えることができる。グローブボックス一体型乗員保護アセンブリが、展開時まで第1のエアバッグ収納室31に折り畳んで収納しておくことができる胴体用エアバッグ32を含んでいる。さらに、アセンブリは、展開時まで第2のエアバッグ収納室33に折り畳んで収納される膝用エアバッグ34を含んでいる。少なくとも1つのインフレータ36を、エアバッグ32及び34を膨張させるために設けることができる。さらに、アセンブリは、ユーザに便利な収納を提供するためのグローブ・ボックス・アセンブリ40を備えている。グローブ・ボックス・アセンブリ40は、グローブボックス収納室42と、グローブボックス扉又はフェイシア46とを備えている。グローブボックス収納室42を、顧客の収納のニーズに合致するように構成することができ、或いは他の有用な特徴を備えるように構成することができる。グローブボックス扉46を、従来からの手段によってグローブ・ボックス・アセンブリ40へと枢動可能に接続されるように構成することができる。また、グローブボックス扉46は、伝統的な有用性を提供するために、開放ハンドル及びロック機構を備えることができる。グローブボックス一体型乗員保護アセンブリは、ハウジング50をさらに備えている。ハウジング50は、ダッシュボードアセンブリ20に一体的に組み込まれるように構成されたカバー51を備えている。カバー51は、開口を通じて第1のエアバッグ収納室31へのアクセスを提供するための第1のエアバッグ扉54を備えている。さらに、カバー51は、グローブボックス扉46と、開口を通じて第2のエアバッグ収納室33へのアクセスを提供するための第2のエアバッグ扉56とを備えている。エアバッグ扉54及び56は、展開時にそれぞれのエアバッグをカバー51から飛び出させることができるようにするための従来からの方法(例えば、ヒンジ)を有するように構成されている。エアバッグ扉54及び56を、乗員26の保護を最大にするための適切な展開の軌道を可能にするために、展開されるそれぞれのエアバッグの前方にとどまるように構成してもよい。典型的な実施形態によれば、グローブボックス一体型乗員保護アセンブリを、エアバッグの展開時にグローブボックス一体型乗員保護アセンブリ(integrated glove box and occupant protection assemby)に構造的な支持をもたらす車両横断梁24へと、従来からの手段(例えば、固定具)によって接続されるように構成することができる。
【0029】
図3bを参照すると、図2の車両10の客室の断面図が示されている。図3bは、図3aに示されているエアバッグモジュール30が畳まれた状態又は未展開状態にある一方で、図3bに示されているエアバッグモジュール30が畳まれていない状態又は展開状態にある点を除き、図3aと同様である。車両10の動的な衝撃の出来事の際に、センサが関連のデータをコントローラへともたらし、コントローラが、典型的には爆発性の装薬(例えば、火工品装置)によってガスを発生させるようにインフレータ36の膨張を指示する。ガスが、インフレータ36から胴体用エアバッグ32及び膝用エアバッグ34の折り畳まれたクッションへと放たれ、エアバッグを広げて、第1及び第2のエアバッグ扉54及び56を押し開くことによってエアバッグモジュール30を飛び出させる。胴体用エアバッグ32は、乗員26の頭部及び胴体を車両10の上部の構成部品(例えば、ダッシュボード25、フロントガラス28、など)との衝突から保護するように膨張する。膝用エアバッグ34は、乗員26の膝及び脚を車両の下部の構成部品との衝突から保護するとともに、乗員26がダッシュボードアセンブリ20の下方へと滑り込むことがないように膨張する。
【0030】
図3a及び3bの典型的な実施形態によれば、胴体用エアバッグ32を、グローブボックス収納室42の上方に設定することができ、乗員の頭部及び胴体を保護すべく実質的に後方かつ上方の方向に展開又は膨張するように構成することができる。この構成においては、第1のエアバッグ収納室31が、グローブボックス収納室42と共通の壁(common wall)を共有する。膝用エアバッグ34を、グローブボックス収納室42の下方に設定することができ、乗員26の膝及び脚を保護すべく実質的に後方かつ下方の方向に展開又は膨張するように構成することができる。この構成においては、第2のエアバッグ収納室33が、グローブボックス収納室42と共通の壁を共有する。
【0031】
図4を参照すると、折り畳まれた(未展開の)状態にあるエアバッグモジュール30の典型的な実施形態の断面(側面)図が示されており、第1のエアバッグ収納室31に収納された胴体用エアバッグ32を含んでいる。さらに、エアバッグモジュール30は、第2のエアバッグ収納室33に収納された膝用エアバッグ34と、インフレータ36と、複数の接続部材38と、グローブ・ボックス・アセンブリ40と、ハウジング50とを備えている。典型的な実施形態によれば、グローブ・ボックス・アセンブリ40が、グローブボックス収納室42、グローブボックス枠44、及びグローブボックス扉46を備えている。グローブボックス枠44は、グローブボックス収納室42を囲むことができる一体につなぎ合わせられた複数の壁で構成され、接続部材38のうちの1つによってエアバッグを接続するための機構をさらに備えることができる。典型的な実施形態によれば、ハウジング50が、複数の固定の壁52(そのうちのいくつかが、カバー51を含んでいる)と、車両への取り付け機構58とを備えている。固定の壁52を、車両10の収容の制約に対応するように構成でき、胴体用エアバッグ32及び膝用エアバッグ34の展開時に生じる力に耐えるための構造的な支持を提供するように構成でき、インフレータ36を接続し、インフレータ36によって生成されるガスをエアバッグ32及び34へと案内するための構造を提供するように構成できる。インフレータ36は、ガスを発生させて胴体用エアバッグ32及び膝用エアバッグ34の両方へと送り込むように構成される。この実施形態は、すべての構成要素を効率的なやり方で一体化させることによって、質量、必要とされる収容サイズ、及びコストを削減する。他の有用なシステム及び特徴(例えば、ヒューズ)も、この実施形態に組み込むことが可能である。
【0032】
さらに図4を参照すると、グローブ・ボックス・アセンブリ40が、胴体用エアバッグ(PAB)32及び膝用エアバッグ(KAB)34の両方を備えるエアバッグモジュール30の本体の一部であってよいことを、当業者であれば理解できるであろう。この一体化によれば、エアバッグモジュール30が、インフレータをPAB及びKABの両方に接続する膨張ガスの通路(例えば、管、パイプ、など)であって、各々のエアバッグの個々の要件(例えば、展開の容積、体積流量、展開のタイミング、エアバッグの内圧)を満足させることによってPAB及びKABの両者の最適な性能をもたらすために、膨張ガスを分配するための最適な手段をもたらすように仕立てられた膨張ガスの通路を備えることができる。
【0033】
図5を参照すると、折り畳まれた(未展開の)状態にあるエアバッグモジュール30の別の典型的な実施形態の断面(側面)図が示されており、胴体用エアバッグ32を第1のエアバッグ収納室31に備えている。さらに、エアバッグモジュール30は、第2のエアバッグ収納室33の膝用エアバッグ34と、インフレータ36a及び36bと、複数の接続部材38と、グローブ・ボックス・アセンブリ40と、ハウジング50とを備えている。2つのインフレータ36a及び36bを、インフレータ36aがガスを発生させて胴体用エアバッグ32へと供給する一方で、インフレータ36bがガスを発生させて膝用エアバッグ34へと供給するように、構成することができる。
【0034】
図6を参照すると、折り畳まれた(未展開の)状態にあるエアバッグモジュール30の別の典型的な実施形態の断面(側面)図が示されており、胴体用エアバッグ32を第1のエアバッグ収納室31に備えている。さらに、エアバッグモジュール30は、第2のエアバッグ収納室33の膝用エアバッグ34と、インフレータ36と、複数の接続部材38と、グローブ・ボックス・アセンブリ40と、ハウジング50とを備えている。ハウジング50のカバー51を、カバー51を構成する固定の壁52の数を減らすことによって、必要とされる収容の空間が最小限になるように構成することができる。この典型的な実施形態は、一体型のアセンブリの質量、必要となる収容サイズ、及びコストを最適にする。当業者であれば、図6又は他のいずれかの図に示されているグローブ・ボックス・アセンブリ40が、胴体用エアバッグ(PAB)32及び膝用エアバッグ(KAB)34の両方を備えるエアバッグモジュール30の本体の一部であってよいことを、理解できるであろう。この一体化によれば、エアバッグモジュール30が、インフレータをPAB及びKABの両方に接続する膨張ガスの通路(例えば、管、パイプ、など)であって、各々のエアバッグの個々の要件(例えば、展開の容積、体積流量、展開のタイミング、エアバッグの内圧)を満足させることによってPAB及びKABの両者の最適な性能をもたらすために、膨張ガスを分配するための最適な手段をもたらすように仕立てられた膨張ガスの通路を備えることができる。
【0035】
図7を参照すると、中間取り付けの乗員胴体用エアバッグ32aの実施例の断面(側面)図が、畳まれていない(展開された)状態で車両のダッシュボード内に示されている。図7の中間取り付けの乗員用エアバッグを折り畳む1つの方法が、図8に示されている。中間取り付けの乗員用エアバッグ32aは、グローブボックス及び乗員膝用エアバッグと一体化させて1つのエアバッグモジュール30にすることができる図3a〜6の胴体用エアバッグ32の種類の実施例である。中間取り付けの乗員胴体用エアバッグ32bの他の実施例は、他の設計の因子に対応するように胴体用エアバッグ32の展開を調整するために、別の折り畳み方法を備えることができる。
【0036】
図9を参照すると、上部取り付けの乗員胴体用エアバッグ32bの実施例の断面(側面)図が、畳まれていない(展開された)状態で車両のダッシュボード内に示されている。図9の上部取り付けの乗員用エアバッグを折り畳む1つの方法が、図10に示されている。上部取り付けの乗員用エアバッグ32bは、グローブボックス及び乗員膝用エアバッグと一体化させて1つのエアバッグモジュール30にすることができる図3a〜6の胴体用エアバッグ32の種類の実施例である。中間取り付けの乗員胴体用エアバッグ32bの他の実施例は、他の設計の因子に対応するように胴体用エアバッグ32の展開を調整するために、別の折り畳み方法を備えることができる。
【0037】
図11を参照すると、未展開状態の上部取り付けの乗員用エアバッグ32bの実施例、及びグローブボックス扉46に取り付けられた未展開状態の膝用エアバッグ34aの実施例について、断面(側面)図が示されている。図3a〜6の第2の収納室33を、収納室33aと同様に位置させることができる。収納室33aは、グローブボックス収納室42aの内側でグローブボックス扉46aに取り付けられている。従って、膝用エアバッグ34を、膝用エアバッグ34aと同様に位置させることができる。膝用エアバッグ34aは、収納室33aに位置している。インフレータ36cが、収納室33aの内部に図示されているが、グローブボックス扉46aの外側に配置してもよく、グローブ・ボックス・アセンブリ40aの内部又は外部に配置することができる。膝用エアバッグ34aを、展開を改善し、或いは顧客のさまざまな収容の要件に対応するために、丸めることができ、畳むことができ、或いは両方を組み合わせることができる。図12を参照すると、図11の上部取り付けの乗員用エアバッグ32b及びグローブボックス扉46aに取り付けられた膝用エアバッグ34aが、展開された状態で示されている。
【0038】
図11及び12の典型的なエアバッグの配置は、収容に要する空間が削減され、質量も削減されている効率的な安全性をもたらす。グローブボックス扉46aは、乗員の膝の前方かつ近傍に位置する可能性があるため、乗員の膝の保護にとって最適な配置となるように、車両内に位置することが多い。この前方かつ近傍の位置は、車両の重大な前方衝突の際に、乗員の膝が乗員の質量の減速によって生じる力で前方へと移動し、膝用エアバッグ34aに向かって移動するため、最適となりうる。この近傍の位置によれば、エアバッグカーテンがより小さくて済み、使用される材料が少なくなり、コストが低くなるとともに、収容が小さくて済む。さらに、この位置は、最適でない配置が必要とされる場合に最適な展開を実現すべくエアバッグの展開を変更する追加の造作(例えば、テザー)を、不要にすることができる。
【0039】
図13を参照すると、展開されていない状態の上部取り付けの乗員用エアバッグ32cの第2の実施例及びグローブボックス扉46aに取り付けられた展開されていない状態の膝用エアバッグ34aの断面図が示されている。上部取り付けの乗員用エアバッグ32cは、グローブボックス及び乗員膝用エアバッグと一体化させて1つのエアバッグモジュール30にすることができる図3a〜6の胴体用エアバッグ32の種類の実施例である。
【0040】
本明細書において使用されるとき、用語「ほぼ」、「約」、「実質的」、及び同様の用語は、本明細書の開示の主題が属する技術分野の当業者による一般的かつ認められた使用に調和する幅広い意味を有するように意図されている。本明細書の開示を検討する当業者は、これらの用語が、説明及び請求される特定の特徴を、それらの特徴の範囲を提示される正確な数値範囲に限定することなく説明できるようにすることを意図していることを、理解すべきである。従って、これらの用語を、説明及び請求される主題の非実質的又は非重要な修正又は変更が添付の特許請求の範囲に記載されるとおりの本発明の技術的範囲に包含されると考えられる旨を示しているものと解釈すべきである。
【0041】
用語「例」及び「典型的」が、本明細書において種々の実施形態を説明するために使用されるとき、そのような実施形態が可能な実施形態の可能な代表例及び/又は例示である旨を示す意図であること(そのような用語が、そのような実施形態が非凡又は最高の代表例でなければならないという意図ではないこと)に、注意すべきである。
【0042】
本明細書において使用されるとき、「結合」、「接続」、などの用語は、2つの部材を直接的又は間接的に互いに結び付けることを意味する。そのような結び付けは、2つの部材又は2つの部材と何らかの追加の中間部材とが1つの単一の物体として一体的に形成されることで実現されても、2つの部材又は2つの部材と何らかの追加の中間部材とが互いに取り付けられることで実現されてもよい。
【0043】
本明細書における構成要素の位置への言及(例えば、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、など)は、あくまでも図面における種々の構成要素の向きを説明するために使用されているにすぎない。種々の構成要素の向きが、他の典型的な実施形態に応じて異なってもよく、そのような変種も、本明細書の開示に包含されるように意図されていることに、注意すべきである。
【0044】
種々の典型的な実施形態に示したとおりのエアバッグモジュールの構造及び構成が、あくまでも例示にすぎないことに注意することが重要である。少数の実施形態だけを本明細書の開示において詳しく説明したが、本明細書の開示を検討した当業者であれば、本明細書に記載の主題の新規な教示及び利点から実質的に離れることなく、多数の変更(例えば、種々の構成要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び比率、パラメータの値、取り付けの機構、材料の使用、色、向き、などの変化)が可能であることを、容易に理解できるであろう。例えば、一体に形成されるものとして示されている構成要素を、複数の部品又は構成要素で構成することができ、構成要素の位置を逆にし、或いは他のやり方で変更でき、個々の構成要素の性質又は数或いは位置を、変更又は変化させることができる。プロセス又は方法の各段階の順序又は並びを、別の実施形態に応じて変更でき、或いは並べ直すことが可能である。他の置換、修正、変更、及び省略も、本発明の技術的範囲から離れることなく、種々の典型的な実施形態の設計、動作条件、及び構成において行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のエアバッグモジュールであって、
車両の乗員による使用のための第1の収納室と、
展開前の第1の畳まれたエアバッグを収納するための第2の収納室と、
前記収納室を覆う単一の一体型のカバーと
を備え、
前記カバーが、当該エアバッグモジュールが車両に組み込まれるときに、車両の計器パネルへと一体的に組み付けられるように構成され、
前記カバーが、前記第1の収納室への第1の開口を覆う手動操作可能な第1の扉を備え、該第1の扉が、開放位置にあるときに前記第1の収納室へのアクセスを可能にし、
前記カバーが、第2の扉を備え、該第2の扉が前記第1のエアバッグの展開時に開いて前記カバーに第2の開口を形成し、前記第1のエアバッグの車両内への展開を許容するエアバッグモジュール。
【請求項2】
前記第1及び第2の収納室が、共通の壁を共有している、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項3】
前記第1のエアバッグを膨張させるためのインフレータをさらに備えている、請求項2に記載のエアバッグモジュール。
【請求項4】
展開前の第2の畳まれたエアバッグを収納するための第3の収納室をさらに備え、
前記カバーが、第3の扉を備え、該第3の扉が、前記第2のエアバッグの展開時に開いて前記カバーに第3の開口を生じさせ、前記第2のエアバッグの車両内への展開を許容する請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項5】
前記第1及び第2の収納室が、共通の壁を共有している、請求項4に記載のエアバッグモジュール。
【請求項6】
前記第1及び第3の収納室が、共通の壁を共有している、請求項5に記載のエアバッグモジュール。
【請求項7】
前記第1及び第2のエアバッグを膨張させるためのインフレータをさらに備えている、請求項6に記載のエアバッグモジュール。
【請求項8】
前記第1のエアバッグを膨張させるための第1のインフレータ及び前記第2のエアバッグを膨張させるための第2のインフレータをさらに備えている、請求項6に記載のエアバッグモジュール。
【請求項9】
前記第2の収納室が、前記第1の収納室の上方である、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項10】
前記第2の収納室が、中間取り付けの胴体用エアバッグ又は上部取り付けの胴体用エアバッグを収納している、請求項9に記載のエアバッグモジュール。
【請求項11】
展開前の第2の畳まれたエアバッグを収納するための第3の収納室をさらに備え、該第3の収納室が、前記第1の収納室の内部に位置し、
前記カバーが、第3の扉を備え、該第3の扉が、前記第2のエアバッグの展開時に開いて前記カバーに第3の開口を生じさせ、前記第2のエアバッグの車両内への展開を許容し、
前記第3の扉は、前記第1の扉に位置している請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項12】
車両の乗員を収容するための助手席と、
計器パネルと、
エアバッグモジュールと、
を備えている自動車であって、
前記エアバッグモジュールが、
車両の乗員による使用のための第1の収納室と、
展開前の第1の畳まれたエアバッグを収納するための第2の収納室と、
前記収納室を覆う単一の一体型のカバーと
を備え、
前記カバーが、当該エアバッグモジュールが車両に組み込まれるときに、車両の計器パネルへと一体的に組み付けられるように構成され、
前記カバーが、前記第1の収納室への第1の開口を覆う手動操作可能な第1の扉を備え、該第1の扉が、開放位置にあるときに前記第1の収納室へのアクセスを可能にし、
前記カバーが、第2の扉を備え、該第2の扉が、前記第1のエアバッグの展開時に開いて前記カバーに第2の開口を生じさせ、前記第1のエアバッグの車両内への展開を許容する自動車。
【請求項13】
車両用のグローブボックス一体型エアバッグモジュールであって、
車両の計器パネルに組み込まれるように構成され、収納室及び扉を備え、車両の乗員が前記収納室へとアクセスすべく前記扉を開くことができるように構成されているグローブボックスと、
第1のエアバッグを収容する第1のエアバッグ室及び第2のエアバッグを収容する第2のエアバッグ室と、
それぞれが前記第1及び第2のエアバッグのそれぞれのための膨張ガスをもたらすように構成された第1及び第2のインフレータと、
前記グローブボックス並びに前記第1及び第2のエアバッグ室を覆う単一の一体型のカバーと、
を備えているグローブボックス一体型エアバッグモジュール。
【請求項14】
第1のエアバッグ室が、前記グローブボックスの前記収納室内に位置している、請求項1に記載のグローブボックス一体型エアバッグモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−502834(P2012−502834A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527063(P2011−527063)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/057147
【国際公開番号】WO2010/033584
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506166778)ティーケー ホールディングス,インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】