説明

エアバッグ用リテーナ

【課題】製造コストを抑えることができ、エアバッグの膨張を阻害しない簡素な形態でありながら、自動車内装パネルの展開部がキャビン側に飛散するのを防止することのできるエアバッグ用リテーナを提供する。
【解決手段】自動車内装パネル20の裏面に固定するための枠状の固定基部11と、固定基部11の内側の開口部を覆うように配されたドア部12と、ドア部12を回動可能な状態で固定基部11の内縁に連結するヒンジ部13とを備え、固定基部11の裏側にエアバッグ装置30を取り付けることができるようにしたエアバッグ用リテーナ10において、エアバッグ31が膨張してドア部12が回動する際にヒンジ部13が自動車内装パネル20に接触するのを防止するための保護シート14をヒンジ部13の表面に固着した。ヒンジ部13は、通常、エラストマーによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグを自動車内装パネルの裏側に支持するために自動車内装パネルの裏面に固定されるエアバッグ用リテーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車内装パネルの裏面に固定するための枠状の固定基部と、固定基部の内側の開口部を覆うように配されたドア部と、ドア部を回動可能な状態で固定基部の内縁に連結するヒンジ部とを備え、固定基部の裏側にエアバッグ装置を固定できるようにしたエアバッグ用リテーナが知られている(例えば特許文献1)。エアバッグ用リテーナが固定される自動車内装パネルには、自動車内装パネルの裏側で膨張するエアバッグをキャビン側に膨出させるための開口部(エアバッグ膨出口)が確実に形成されるように、レーザ加工や超音波加工によって脆弱部が形成される。
【0003】
この種のエアバッグ用リテーナにおいて、ドア部は、自動車内装パネルにおける展開部(自動車内装パネルの裏側で膨張するエアバッグから受ける押圧力によってキャビン側に展開する部分。エアバッグ膨出口を塞いでいた部分。)の裏面に固定される。これに対し、固定基部は、展開部の周囲の裏面に固定される。これにより、エアバッグが膨出する際に、展開部が自動車内装パネルにおける他の部分(展開部以外の部分)から完全に分離しても、展開部はヒンジ部を介して固定枠部と繋がった状態となるために、展開部がキャビン側に飛散するのを防止することができる。
【0004】
しかし、膨張するエアバッグからヒンジ部に加えられる押圧力は非常に大きいために、ヒンジ部の表面がエアバッグ膨出口のエッジに強く押し付けられて、ヒンジ部が破断するおそれがあった。特に、ヒンジ部をエラストマーによって形成した場合には、エアバッグがヒンジ部の裏面に接触することによって生じた摩擦熱でヒンジ部が加熱されて大きく伸張するので、ヒンジ部は破断しやすい状態となる。このような実状に鑑みてか、破断を防止するための工夫をヒンジ部に施すことが行われるようになっている。
【0005】
例えば、ヒンジ部の裏側を被覆材で覆って該被覆材でドア部と固定基部とを連結することが行われている。これにより、ヒンジ部で摩擦熱を生じにくくするだけでなく、ヒンジ部が万が一破断してもドア部を被覆材で支持させることが可能になる。特許文献2には、自動車内装パネルの裏面に固定する形態のものではないが、芯材の内側全面(裏面全体)に帆布を貼り合わせたエアバッグドアが記載されている。これにより、破壊された芯材がキャビン側に飛散するのを防止することができるとされている。この他、ヒンジ部に補強材を埋め込んでヒンジ部の破断強度を向上させることなども行われている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−160014号公報
【特許文献2】特開2000−219096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ヒンジ部の裏側を被覆材で覆う方法は、該被覆材がエアバッグの膨張を阻害するおそれがあり、エアバッグの展開性能を安定させる観点からは必ずしも好ましいものとはいえなかった。また、ヒンジ部の裏側を被覆材で覆う方法と、ヒンジ部に補強材を埋め込む方法とのいずれも、エアバッグ用リテーナの構造が複雑になり、製造コストが高くなるという欠点を有していた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、製造コストを著しく増大させることなく、しかもエアバッグの膨張を阻害しない簡素な形態でありながら、自動車内装パネルの展開部がキャビン側に飛散するのを防止することのできるエアバッグ用リテーナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、自動車内装パネルの裏面に固定するための枠状の固定基部と、固定基部の内側の開口部を覆うように配されたドア部と、ドア部を回動可能な状態で固定基部の内縁に連結するヒンジ部とを備え、固定基部の裏側にエアバッグ装置を取り付けることができるようにしたエアバッグ用リテーナであって、エアバッグが膨張してドア部が回動する際にヒンジ部が自動車内装パネルに接触するのを防止するための保護シートがヒンジ部の表面(自動車内装パネル側を向く面)に固着されたことを特徴とするエアバッグ用リテーナを提供することによって解決される。
【0010】
このように、保護シートをヒンジ部の裏面に固着することによって、エアバッグ膨出口のエッジからヒンジ部に押圧力が直接的に加えられないようにすることが可能になり、ヒンジ部を破断しにくくすることができるようになる。また、ヒンジ部が万が一破断した場合であっても、ヒンジ部が保護シートで連結された状態に保たれることもあるので、自動車内装パネルの展開部がキャビン側に飛散するのを防止しうる。
【0011】
保護シートの形態は、特に限定されないが、ヒンジ部の表面を長手方向に沿って被覆する帯状のものであると好ましい。これにより、ヒンジ部におけるエアバッグ膨出口のエッジに接触しうる箇所全体を保護することが可能になる。
【0012】
ヒンジ部は、その材料を特に限定されないが、通常、エラストマーによって形成される。これにより、ヒンジ部を、弾力性に優れたものとすることが可能になり、通常時には、自動車内装パネルの展開部をドア部でしっかりと支持しながらも、エアバッグの膨張時には、ドア部をキャビン側に展開させやすくすることもできるようになる。ところが、エラストマーによって形成されたヒンジ部は、自動車内装パネルの裏側で膨張するエアバッグと接触した際に生じる摩擦熱の影響によって大きく伸張する傾向にあり、破断しやすい状態となりやすい。したがって、エラストマーによって形成されたヒンジ部に本発明の構成を採用すると、本発明の意義もより深まる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によって、製造コストを著しく増大させることなく、しかもエアバッグの膨張を阻害しない簡素な形態でありながら、自動車内装パネルの展開部がキャビン側に飛散するのを防止することのできるエアバッグ用リテーナを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のエアバッグ用リテーナの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明のエアバッグ用リテーナ10の好適な実施態様を示した斜視図である。図2は、図1のエアバッグ用リテーナ10を自動車内装パネル20(インストルメントパネル)の裏面に取り付けた状態を示した断面図である。図3は、図1のエアバッグ用リテーナ10を自動車内装パネル20(インストルメントパネル)の裏面に取り付けて、エアバッグ31がキャビン側に膨出した際のエアバッグ用リテーナ10を示した断面図である。
【0015】
1.エアバッグ用リテーナの概要
本実施態様のエアバッグ用リテーナ10は、図1に示すように、自動車内装パネル20(図2を参照)の裏面に固定するための枠状の固定基部11と、固定基部11の内側の開口部を覆うように配されたドア部12と、ドア部12を回動可能な状態で固定基部11の内縁に連結するヒンジ部13とを備えたものとなっている。固定基部11には、エアバッグ装置30(図2を参照)を取り付けることができるようになっている。ヒンジ部13の表面(自動車内装パネル側を向く面)には、保護シート14が固着されている。本実施態様のエアバッグ用リテーナにおいて、ヒンジ部13は、エラストマーによって形成されたものとなっている。
【0016】
2.自動車内装パネル
本発明のエアバッグ用リテーナ10を固定する自動車内装パネル20は、自動車のキャビンの内装材として使用されるものであれば特に限定されず、インストルメントパネルやドアトリムパネルなどが例示される。なかでも、インストルメントパネルは、エアバッグ用リテーナ10を固定する自動車内装パネル20として最も一般的である。インストルメントパネルにエアバッグ用リテーナ10を固定する場合には、展開部21は、助手席に着席した乗員の上半身に対向する位置に設けられる。
【0017】
自動車内装パネル20の材料は、特に限定されないが、通常、樹脂が用いられる。樹脂製の自動車内装パネル20を大別すると、エアバッグ用リテーナ10を固定する基材層(自動車内装パネル20の裏面を形成する層)の表面がキャビン側に露出する形態のもの(表皮レスタイプ)と、前記基材層の表側に表皮層を設ける形態のもの(表皮タイプ)とがある。表皮タイプの自動車内装パネル20においては、通常、基材層と表皮層との間にフォーム層が設けられる。自動車内装パネル20の裏面にエアバッグ用リテーナ10を振動溶着する場合には、前記基材層をエアバッグ用リテーナ10の固定基部11やドア部12と同じ種類の樹脂で形成すると好ましい。
【0018】
以下においては、説明の便宜上、自動車内装パネル20が、表皮レスタイプのインストルメントパネルである場合を例に挙げて本発明のエアバッグ用リテーナ10を説明する。
【0019】
3.固定基部
エアバッグ用リテーナ10における固定基部11は、枠状のものであれば特に限定されない。本実施態様のエアバッグ用リテーナ10において、固定基部11は、図1と図2に示すように、自動車内装パネル20における展開部21の上方(自動車内装パネル20を自動車に組み付けた際に展開部21よりも上側となる部分)に固定するための上枠部11Aと、展開部21の下方(自動車内装パネル20を自動車に組み付けた際に展開部21よりも下側となる部分)に固定するための下枠部11Bと、展開部21の左方(自動車内装パネル20を自動車に組み付けた際にキャビン側から見て展開部21の左側となる部分)に固定するための左枠部11Cと、展開部21の右方(自動車内装パネル20を自動車に組み付けた際にキャビン側から見て展開部21の右側となる部分)に固定するための右枠部11Dとを備えたものとなっている。
【0020】
固定基部11は、エアバッグ装置30を直接的に取り付けることのできるものに限定されず、エアバッグ装置30を間接的に(他の部材を介して)取り付けることができるようにしたものであってもよい。本実施態様のエアバッグ用リテーナ10においては、図1と図2に示すように、固定枠部11の裏面に筒状の突出部11Eが設けられており、突出部11Eの周壁に設けられた複数の貫通孔にエアバッグ装置30を収容したエアバッグ収容器40の複数の爪部41を掛止することによって、エアバッグ装置30を固定基部11に取り付けることができるようになっている。
【0021】
固定基部11を自動車内装パネル20の裏面に固定する方法は、特に限定されず、接着剤やボルトなどを用いてもよいが、通常、振動溶着、超音波溶着、高周波溶着、レーザー溶着又は熱板溶着などによって固定される。これにより、固定基部11を作業性よく自動車内装パネル20にしっかりと固定することが可能になる。本実施態様のエアバッグ用リテーナ10は、振動溶着によって固定基部11を自動車内装パネル20の裏面に固定するようになっている。このとき、ドア部12の表面(自動車内装パネル20に接触する面)も同時に自動車内装パネル20の裏面へ振動溶着されるようになっている。
【0022】
4.ドア部
ドア部12は、自動車内装パネル20における展開部21を裏面側から支持できる形態のものであれば特に限定されないが、通常、板状に形成される。これにより、枠状の固定基部11の内側の開口部の実質的に全体をドア部12で覆うことが可能になり、自動車内装パネル20における展開部21の剛性を高める(展開部21をキャビン側から押さえても容易に凹まないようにする)ことができるようになる。また、ドア部12は、1つの部材のみで構成された(片開き式)ものであってもよいし、複数に分割された形態のものであってもよい。
【0023】
本実施態様のエアバッグ用リテーナ10において、ドア部12は、図2に示すように、エアバッグ用リテーナ10を自動車内装パネル20の裏面に固定して自動車に組み付けた際に上側に配される板状の上側ドア部12Aと、下側に配される板状の下側ドア部12Bとで構成している。上側ドア部12Aの上縁は、上側ヒンジ部13Aを介して固定枠部11における上枠部11Aの下縁に連結されており、下側ドア部12Bの下縁は、下側ヒンジ部13Bを介して固定枠部11における下枠部11Bの上縁に連結されている。このため、上側ドア部12Aは、自動車内装パネル20の裏側で膨張するエアバッグ31から押圧力を受けると、上側ヒンジ部13A付近を軸にキャビン側上方に回動するようになっている。一方、下側ドア部12Bは、自動車内装パネル20の裏側で膨張するエアバッグ31から押圧力を受けると、下側ヒンジ部13B付近を軸にキャビン側下方に回動するようになっている。
【0024】
5.ヒンジ部
ヒンジ部13(上側ヒンジ部13Aと下側ヒンジ部13B)は、ドア部12(上側ドア部12Aと下側ドア部12B)を回動可能な状態で固定基部11に連結することができる形態のものであれば特に限定されない。本実施態様のエアバッグ用リテーナ10において、ヒンジ部13は、図2に示すように、断面U字形に形成された帯状のものとなっており、長手方向に沿った溝がその表側に形成されたものとなっている。このため、ドア部12は、その表側(キャビン側)からの押圧力によっては裏側に回動しにくいが、裏側からの押圧力によっては表側に容易に回動するようになっている。
【0025】
ヒンジ部13の材料は、特に限定されないが、通常、エラストマーが選択される。エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー又はポリエステル系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが例示される。本実施態様のエアバッグ用リテーナ10においては、ヒンジ部13の材料として、柔軟性と耐侯性に優れているだけでなく、成形(特に射出成形)が容易で比較的安価なポリオレフィン系エラストマーを採用している。
【0026】
ところで、エアバッグ用リテーナ10は、別個に形成された固定基部11とドア部12とヒンジ部13とを組み合わせた形態のものであってもよいが、本実施態様のエアバッグ用リテーナ10は、固定基部11とドア部12とヒンジ部13とが射出成形で一体的に形成されたものとなっており、生産性に優れたものとなっている。固定基部11とドア部12の材料は、ヒンジ部12と同じポリオレフィン系エラストマー(熱可塑性エラストマー)となっており、固定基部11やドア部12は、自動車内装パネル20の裏面に容易に振動溶着することができるものとなっている。
【0027】
6.保護シート
ヒンジ部13の表面に固着された保護シート14は、エアバッグ31が膨張してドア部12が回動する際にヒンジ部13が自動車内装パネル20に形成されたエアバッグ膨出口のエッジに接触するのを防止するためのものとなっている。本実施態様のエアバッグ用リテーナ10において、保護シート14は、ヒンジ部13の表面を長手方向に沿って被覆する帯状のものとなっている。保護シート14の裏面は、接着剤などが塗布された粘着面となっており、ヒンジ部13に保護シート14を容易に固着することができるようになっている。
【0028】
保護シート14は、ドア部12が回動する際にヒンジ部13に生じる変形に追従できる程度の可撓性を有するシート状のものであれば特に限定されない。例えば、不織布、織布、金属フィルム、樹脂フィルム、紙などを保護シート14として用いることができる。本実施態様のエアバッグ用リテーナ12においては、ポリエステル繊維を絡ませた不織布(ポリエステル不織布)を保護シート14として用いている。ポリエステル不織布は、比較的安価に入手できるだけでなく、折り曲げ強度や引っ張り強度が高く容易に破断しないために、保護シート14として好適に用いることができる。
【0029】
保護シート14の幅(保護シート14を短手方向に亘る長さ)は、特に限定されないが、狭すぎると、エアバッグ31が膨張してドア部12が回動する際にヒンジ部13における保護シート14が固着されていない部分に自動車内装パネル10におけるエアバッグ膨出口のエッジが接触しやすくなるだけでなく、ヒンジ部13が万が一破断した場合にドア部12を保護シート14で支持できる可能性が低くなるおそれもある。保護シート14の幅は、5mm以上であると好ましく、10mm以上であるとより好ましい。一方、保護シート14の幅が広すぎると、ヒンジ部13に保護シート14を固着しにくくなるおそれがある。保護シート14の幅は、30mm以下であると好ましく、20mm以下であるとより好ましい。
【0030】
保護シート14の長さ(保護シート14を長手方向に亘る長さ)は、ヒンジ部13の寸法などによっても異なり、特に限定されない。しかし、保護シート14の幅が狭すぎると、エアバッグ31が膨張してドア部12が回動する際にヒンジ部13における保護シート14が固着されていない部分に自動車内装パネル10におけるエアバッグ膨出口のエッジが接触しやすくなるだけでなく、ヒンジ部13が万が一破断した場合にドア部12を保護シート14で支持できる可能性が低くなるおそれもある。このため、保護シート14の長さは、ヒンジ部13の幅(ヒンジ部13を左端から右端に亘る長さ)に略一致する長さに設定すると好ましい。
【0031】
保護シート14の厚さは、保護シート14の素材などによっても異なり、特に限定されない。しかし、保護シート14が薄すぎると、保護シート14の強度を高く保てなくなり、保護シート14が破断しやすくなるおそれがある。保護シート14の厚さは、0.1mm以上であると好ましく、0.3mm以上であるとより好ましい。一方、保護シート14が厚すぎると、保護シート14がヒンジ部13の動作に干渉するおそれがある。保護シート14の厚さは、3mm以下であると好ましく、1mm以下であるとより好ましい。
【0032】
ヒンジ部13が複数設けられている場合には、保護シート14は、少なくとも1つのヒンジ部13に固着されていればよい。ヒンジ部13が上側ヒンジ部13Aと下側ヒンジ部13Bとで構成されている本実施態様のエアバッグ用リテーナ10においては、上側ドア部12Aはフロントガラス側に飛散しやすく、乗員に向かって飛散しにくい傾向にあるのに対して、下側ドア部12Bは乗員に向かって飛散しやすい傾向にある。このため、本実施態様のエアバッグ用リテーナ10においては、下側ドア部12Bを支える下側ヒンジ部13Bにのみ保護テープ14を固着しているが、下側ドア部12Bと上側ドア部12Aの両方に保護シート14を固着することも好ましい。
【0033】
7.エアバッグ用リテーナの動作
本実施態様のエアバッグ用リテーナ10は、自動車内装パネル20の裏側でエアバッグ31が膨張すると、図3に示すように、ドア部12がその裏面をエアバッグ31に押圧されてキャビン側に回動するようになっている。自動車内装パネル20における展開部21は、ドア部12に支持されながらキャビン側に展開し、展開部21が展開して形成されたエアバッグ膨出口からエアバッグ31がキャビン側に膨出する。このとき、ヒンジ部13は、エアバッグ31から受ける押圧力や摩擦力によって伸張した状態で、エアバッグ膨出口のエッジに押し付けられるが、保護シート14を間に挟んでいるので、破断することなく、ドア部12を固定基部11に連結した状態に保つことができるようになっている。このため、展開部21やドア部12がキャビン側に飛散しないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のエアバッグ用リテーナの好適な実施態様を示した斜視図である。
【図2】図1のエアバッグ用リテーナを自動車内装パネル(インストルメントパネル)の裏面に取り付けた状態を示した断面図である。
【図3】図1のエアバッグ用リテーナを自動車内装パネル(インストルメントパネル)の裏面に取り付けて、エアバッグ31がキャビン側に膨出した際のエアバッグ用リテーナを示した断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 エアバッグ用リテーナ
11 固定基部
11A 上枠部
11B 下枠部
11C 左枠部
11D 右枠部
11E 突出部
12 ドア部
12A 上側ドア部
12B 下側ドア部
13 ヒンジ部
13A 上側ヒンジ部
13B 下側ヒンジ部
14 保護シート
20 自動車内装パネル
21 展開部
30 エアバッグ装置
31 エアバッグ
40 エアバッグ収容器
41 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内装パネルの裏面に固定するための枠状の固定基部と、固定基部の内側の開口部を覆うように配されたドア部と、ドア部を回動可能な状態で固定基部の内縁に連結するヒンジ部とを備え、固定基部の裏側にエアバッグ装置を取り付けることができるようにしたエアバッグ用リテーナであって、エアバッグが膨張してドア部が回動する際にヒンジ部が自動車内装パネルに接触するのを防止するための保護シートがヒンジ部の表面に固着されたことを特徴とするエアバッグ用リテーナ。
【請求項2】
保護シートがヒンジ部の表面を長手方向に沿って被覆する帯状のものである請求項1記載のエアバッグ用リテーナ。
【請求項3】
ヒンジ部がエラストマーによって形成された請求項1又は2記載のエアバッグ用リテーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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