エアバッグ
【課題】縫製の容易なエアバッグを提供する。
【解決手段】エアバッグは、第1壁ピース(12)、第2壁ピース(14)、及び第3壁ピースを含み、第1壁ピース(12)は、全体に三角形の第1区分(24)並びに湾曲した外輪郭(32)を持つ隣接した第2の区分(28)を有する。第2壁ピース(14)は、第1壁ピース(12)の第1区分(24)と合同の第1区分(26)並びに湾曲した外輪郭(36)を持つ隣接した第2区分(34)を有する。第3壁ピースは、第1壁ピース(12)の第2区分(28)と合同の第1区分並びに第2壁ピース(14)の第2区分(34)と合同の隣接した第2区分を含む。第3壁ピースは第1及び第2壁ピースのそれぞれと平らに重ねた態様で縫い付けられる。
【解決手段】エアバッグは、第1壁ピース(12)、第2壁ピース(14)、及び第3壁ピースを含み、第1壁ピース(12)は、全体に三角形の第1区分(24)並びに湾曲した外輪郭(32)を持つ隣接した第2の区分(28)を有する。第2壁ピース(14)は、第1壁ピース(12)の第1区分(24)と合同の第1区分(26)並びに湾曲した外輪郭(36)を持つ隣接した第2区分(34)を有する。第3壁ピースは、第1壁ピース(12)の第2区分(28)と合同の第1区分並びに第2壁ピース(14)の第2区分(34)と合同の隣接した第2区分を含む。第3壁ピースは第1及び第2壁ピースのそれぞれと平らに重ねた態様で縫い付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグの縫製は、エアバッグの製造において最も労働集約的であり、及びかくして最も費用がかかる生産工程の一つである。特に、膨張状態において立体的形状を獲得するエアバッグの場合には、これらのエアバッグの外エンベロープが互いに完全に平らに縫い合わせた2枚の壁ピースだけでできているのでないため、多くの場合、継ぎ目を互いに縫い合わせなければならず、そのため、壁ピースをテーブルの上で平らに拡げることができなかった。この種の組み立ては、壁ピースを自動手順で縫うことができないため、というよりはむしろ手で縫わなければならないため、厄介であり且つ費用が掛かる。この理由により、立体的エアバッグについても、基板上に平らに置いた壁ピースについて、いわゆる「平面的縫い目」、即ち平らな基板上で完全に縫うことができる縫い目を使用して全ての縫い目形成手順を行うことができる、壁ピースを形成する努力が払われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、平縫い目(flat seam)によって壁ピースを縫い合わせることができ、そのため壁ピースを自動手順で縫うことができるエアバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のため、本発明は、第1壁ピース、第2壁ピース、及び第3壁ピースを含み、第1壁ピースは、全体に三角形の第1区分並びに湾曲した外輪郭を持つ隣接した第2区分を有し、第2壁ピースは、第1壁ピースの第1区分と合同の第1区分並びに湾曲した外輪郭を持つ隣接した第2区分を有し、第3壁ピースは、第1壁ピースの第2区分と合同の第1区分並びに第2壁ピースの第2区分と合同の隣接した第2区分を含む、エアバッグを提供する。エアバッグは、拡げられた状態において、はっきりとした立体的形状を持たなければならず、そのため、先ず第1に、拘束されるべき車輛乗員は、頭部及び上体に対し、及び可能であれば膝及び大腿に対し、拘束効果を提供する最大可能な表面積に面し、第2に、拘束経路を長くできる大きな深さを形成する。このようなはっきりとした立体的形状は、第1壁ピースがダッシュボードから上方に延び、これと隣接して第3壁ピースが車輛乗員に面する側で前方及び後方に向かって延び、最後に、第2壁ピースがダッシュボードまで後方に延びる、本発明によって達成される。壁ピースの湾曲した区分を変化させることができるため、ダッシュボードから上方及び/又はダッシュボードまで後方への延長部は、車輛の種類に応じて変化させることができる。第1及び第2の壁ピースの湾曲区分が第3壁ピースの夫々の区分と合同であるため、第3壁ピースを第1及び第2の壁ピースを第3壁ピースの外周に沿った周方向平継ぎ目形式縫い付けることができ、その結果、自動縫製手順が可能である。
【0005】
好ましくは、第1壁ピースの第2区分は、直線状部分を有し、第3壁ピースの第1区分は対応する直線状部分を有する。これらの直線状部分により、エアバッグの切断屑の量が減少する。
【0006】
第1壁ピースの第2区分の高さは、第2壁ピースの第2区分よりも大きい。その結果、車輛乗員に対して可変の傾斜したインパクト面が提供される。
一実施例によれば、第1及び第2の壁ピースの第2区分はノッチを有し、第3壁ピースの第1及び第2の区分は対応するノッチを有し、これらを互いに関して接合でき、かくして不適正に組み立てることが不可能である。
【0007】
第1壁ピース及び第2壁ピースは、特に、互いに一部品をなして形成されており、そのため、個々のピースの数が少ない2ピースエアバッグが得られる。更に、これらのピースは、不適正に組み立てることを不可能にするため、非対称である。
【0008】
好ましくは、第1及び第2の壁ピースは、連続した縫い目によって第3壁ピースに縫い付けられる。この縫い目は自動手順で製造できる。これは、対費用効果に優れた方法である。
【0009】
好ましくは、第2区分から遠ざかる方向に向いた第1及び第2の壁ピースの第1区分の先端部を切除し、開口部を形成する。従って、後に切断によって開口部を形成する必要がない。
【0010】
壁ピースは例えばポリアミドでできている。この材料は、十分な可撓性を備えているため、及び任意の周知の折り畳み方法で使用できるため、エアバッグで既に使用されている。
【0011】
好ましくは、熱保護体は全体に台形形状を有する。台形形状であるため、熱保護体を漏斗状に折り畳むことができ、そのため、エアバッグを膨張したとき、壁ピースと重なり、これらの壁ピースを流出ガスの熱から保護する。
【0012】
一実施例によれば、熱保護体は開口部を形成する凹所を有し、後に切断によって開口部を形成する必要がない。
熱保護体の縫い目は、好ましくは、膨張領域外側に配置される。従って、特に熱の影響を受け易い縫い目は、熱的負荷に露呈されない。
【0013】
熱保護体は、例えば、コーティングが施されたポリプロピレン等の布であってもよい。同様に、高強度で耐熱性のポリアミドを使用してもよい。
追加の特徴及び利点は、従属項から明らかになるであろう。
【0014】
次に、本発明を、添付図面に示す好ましい実施例を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、第1壁ピース12、第2壁ピース14、及び第3壁ピース16を含むエアバッグ10を示す。壁ピース12、14、16はポリプロピレン製である。エアバッグ10は、この図では、設置されたガス発生器が示されていない状態で示してある。
【0016】
図1で見た下縁には開口部18(図2参照)が設けられており、ガス発生器を設置する前に、この開口部を通してガス変向器19が延びる。ガス発生器を所定位置に置いた後、ガス変向器をガス発生器とともにエアバッグ10内に入れる。この態様は、ガス発生器がガス変向器によって取り囲まれるようになす如きものである。第2壁ピース14には、ガスを流出させることができる出口開口部22が設けられている。参照番号20を付した外保護カバーは、塵埃や水分がハウジング(ここには図示していない)に入らないようにするのに役立つ。
【0017】
図2は、互いに一部品で形成された第1及び第2の壁ピース12、14を示す。同様に、第1壁ピース12及び第2壁ピース14の各々が単一のピースでできており、何らかの他の方法で線Fに沿って互いに縫い合わせられ又は接合されていてもよい。
【0018】
以下の説明を簡単にするため、壁ピース12、14、16を仮想的区分に分割する。
第1壁ピース12及び第2壁ピース14は全体に三角形の第1区分24、26を含む。これらの区分は、合同であるように形成されている。第1壁ピース12は第1区分24と隣接して第2区分28を有する。この区分は、高さH1に対して線対称であり、二つの直線状部分30及び湾曲した外輪郭32を含む。
【0019】
第2壁ピース14は、同様に、湾曲した外輪郭36を持ち且つ高さH2に対して線対称な第2区分34を有する。
出口開口部22は、第2壁ピース14に配置されており、詳しくは一部が第1区分26に配置されており、一部が第2区分34に配置されている。
【0020】
第1壁ピース12の第2区分28から遠ざかる方向に向いた壁の先端部及び第2壁ピース14の第2区分34から遠ざかる方向に向いた壁の先端部は、開口部18を形成するように切除してある。開口部18の領域には、点火器(ここには図示していない)を受け入れてこれと接触するのに役立つ区分38が設けられている。図示の縫い目レイアウトは、技術的な、縫製と関連した理由でこのようになっている。
【0021】
第2壁ピース14が直線状部分を備えておらず、外輪郭36の湾曲(曲率)が第1壁ピース12の外輪郭の湾曲(曲率)よりも小さいので、第2壁ピースの高さH2が第1壁ピース12の高さH1よりも小さくなり、その結果これらの壁ピースが互いに縫い合わされており且つエアバッグ10が膨張したとき、車輛乗員に対して傾斜したインパクト表面が提供される。
【0022】
図3は、第1区分40及び第2区分42を持つ第3壁ピース16を示す。第3壁ピース16の第1区分40が第1壁ピース12の第2区分28と合同であり、第3壁ピース16の第2区分42は第2壁ピース14の第2区分34と合同である。更に、第3壁ピース16の第2区分42は、縫製手順中に役立つタング(突片)44を有する。
【0023】
第1壁ピース12の第2区分28、第2壁ピース14の第2区分34、並びに第3壁ピース16の第1及び第2の区分40、42にはノッチ46が設けられており、これらのノッチは、縫製手順中に対応する区分のノッチ46と整合し、かくして不適正組み立てを不可能にする。
【0024】
図4は、全体に台形形状の熱保護体48を示す。熱保護体48は一部品であり、コーティングを施した布である。この布は、ここでは、壁ピース12、14、16と同様にポリプロピレン製である。同様に、熱保護体48はポリアミド製であってもよい。
【0025】
熱保護体48は、開口部18を形成する全体に矩形の凹所50を上縁よりも長い下縁(上下は図4で見た場合)に有する。凹所50及び/又は開口部18は、第1及び第2の壁ピース12、14と同様に、区分38を有する。
【0026】
図4で見た下隅部には二つの出口開口部22が設けられている。これらの出口開口部は、熱保護体48を第1及び第2の壁ピース12、14とともに互いに折り畳んだ後、第2壁ピース14の出口開口部22と整合する。
【0027】
図5は、エアバッグ10を形成するための第1縫製工程を示す。一部品で形成された第1及び第2の壁ピース12、14を平らに拡げ、熱保護体48及び保護カバー20を前記ピースと平らに重ねる。図5において水平方向である縫い目により、熱保護体48を第1壁ピース12に縫い付ける。区分38における縫い目が熱保護体48と第1壁ピース12との間、又は保護カバー20と熱保護体48と第2壁ピース14との間に別の連結部を形成する。これと同時に、ガス発生器から流出するガス流を逸らすガス変向器19もまた縫い付けられる。
【0028】
図6は、エアバッグ10を製造するための第2縫製工程を示す。先ず最初に第2壁ピース14を線F(図2参照)に沿って折り畳み、第1壁ピース12上に重ね、第1及び第2の壁ピース12、14の全体に三角形の合同に形成された第1区分24、26の横縁部を互いに重ねる。このプロセスでは、内部熱保護体48の出口開口部22(両方)が第2壁ピース14の出口開口部22と整合するように内部熱保護体48を同時に折り畳む。熱保護体48は、折り畳み後に漏斗形状であり、二つの折り目線を有する。熱保護体48及び第2壁ピース14によって形成された出口開口部22を縫合する。保護カバー20を熱保護体48及び第2壁ピース14に縫い付ける。
【0029】
図7は、エアバッグ10を製造するための第3縫製工程を示す。タング44がディフューザー20の方向に突出するように第3壁ピースを第2壁ピース14に対して平らに重ねる。縫製手順を第3壁ピースのタング44のところで開始する。縫製手順は一つの工程で行うことができ、平らな継ぎ目(即ち縫い目)しか必要とされないため、自動化できる。縫い目の経路を図7に矢印で示す。始点には参照符号Sが付してあり、縫い目の終端部には参照符号Eが付してある。
【0030】
縫製中、第3壁ピース16のノッチ46が第1及び第2の壁ピース12、14のノッチと重なるように第3壁ピース16のノッチ46を整合する。このようにして、先ず最初に第3壁ピース16を、互いに平らに重ねた第2壁ピース14の第2区分34に縫い付ける。壁ピースを引っ繰り返した後、第3壁ピース16を第1壁ピース12の第2区分28に平らに縫うことができ、その後、第1及び第2の壁ピース12、14の全体に三角形の第1区分24、26の側部に沿って平らに縫うことができる。このプロセスでは、縫い目の始部を再び縫い重ねることにより、縫い目の始部Sのところに二重の縫い目を形成する。
【0031】
完成したエアバッグ10を図1に示す。
ガス発生器の設置後、及びガス発生器をガス変向器とともにエアバッグ10に入れた後、拘束装置の機能は以下の通りである。
【0032】
ガス発生器を賦勢すると、ガスがガス変向器19によって逸らされる。漏斗状熱保護体48は、ガスの流入時に第1及び第2の壁ピース12、14に対してもたれかかるようになっており、かくして壁ピース12、14、16を熱応力から保護する。熱保護体48を第1壁ピース12に接合する縫い目は、ガス発生器の流出領域の外側にあり、そのためこの縫い目には熱応力が加わらない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるエアバッグの側面図である。
【図2】エアバッグの第1及び第2の壁ピースの図である。
【図3】エアバッグの第3壁ピースの図である。
【図4】エアバッグの熱保護体の図である。
【図5】エアバッグの第1縫製工程の図である。
【図6】エアバッグの第2縫製工程の図である。
【図7】エアバッグの第3縫製工程の図である。
【符号の説明】
【0034】
10 エアバッグ
12 第1壁ピース
14 第2壁ピース
16 第3壁ピース
18 開口部
19 ガス変向器
20 外保護カバー
22 出口開口部
24、26 第1区分
28 第2区分
30 直線状部分
32 外輪郭
34 第2区分
36 外輪郭
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグの縫製は、エアバッグの製造において最も労働集約的であり、及びかくして最も費用がかかる生産工程の一つである。特に、膨張状態において立体的形状を獲得するエアバッグの場合には、これらのエアバッグの外エンベロープが互いに完全に平らに縫い合わせた2枚の壁ピースだけでできているのでないため、多くの場合、継ぎ目を互いに縫い合わせなければならず、そのため、壁ピースをテーブルの上で平らに拡げることができなかった。この種の組み立ては、壁ピースを自動手順で縫うことができないため、というよりはむしろ手で縫わなければならないため、厄介であり且つ費用が掛かる。この理由により、立体的エアバッグについても、基板上に平らに置いた壁ピースについて、いわゆる「平面的縫い目」、即ち平らな基板上で完全に縫うことができる縫い目を使用して全ての縫い目形成手順を行うことができる、壁ピースを形成する努力が払われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、平縫い目(flat seam)によって壁ピースを縫い合わせることができ、そのため壁ピースを自動手順で縫うことができるエアバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のため、本発明は、第1壁ピース、第2壁ピース、及び第3壁ピースを含み、第1壁ピースは、全体に三角形の第1区分並びに湾曲した外輪郭を持つ隣接した第2区分を有し、第2壁ピースは、第1壁ピースの第1区分と合同の第1区分並びに湾曲した外輪郭を持つ隣接した第2区分を有し、第3壁ピースは、第1壁ピースの第2区分と合同の第1区分並びに第2壁ピースの第2区分と合同の隣接した第2区分を含む、エアバッグを提供する。エアバッグは、拡げられた状態において、はっきりとした立体的形状を持たなければならず、そのため、先ず第1に、拘束されるべき車輛乗員は、頭部及び上体に対し、及び可能であれば膝及び大腿に対し、拘束効果を提供する最大可能な表面積に面し、第2に、拘束経路を長くできる大きな深さを形成する。このようなはっきりとした立体的形状は、第1壁ピースがダッシュボードから上方に延び、これと隣接して第3壁ピースが車輛乗員に面する側で前方及び後方に向かって延び、最後に、第2壁ピースがダッシュボードまで後方に延びる、本発明によって達成される。壁ピースの湾曲した区分を変化させることができるため、ダッシュボードから上方及び/又はダッシュボードまで後方への延長部は、車輛の種類に応じて変化させることができる。第1及び第2の壁ピースの湾曲区分が第3壁ピースの夫々の区分と合同であるため、第3壁ピースを第1及び第2の壁ピースを第3壁ピースの外周に沿った周方向平継ぎ目形式縫い付けることができ、その結果、自動縫製手順が可能である。
【0005】
好ましくは、第1壁ピースの第2区分は、直線状部分を有し、第3壁ピースの第1区分は対応する直線状部分を有する。これらの直線状部分により、エアバッグの切断屑の量が減少する。
【0006】
第1壁ピースの第2区分の高さは、第2壁ピースの第2区分よりも大きい。その結果、車輛乗員に対して可変の傾斜したインパクト面が提供される。
一実施例によれば、第1及び第2の壁ピースの第2区分はノッチを有し、第3壁ピースの第1及び第2の区分は対応するノッチを有し、これらを互いに関して接合でき、かくして不適正に組み立てることが不可能である。
【0007】
第1壁ピース及び第2壁ピースは、特に、互いに一部品をなして形成されており、そのため、個々のピースの数が少ない2ピースエアバッグが得られる。更に、これらのピースは、不適正に組み立てることを不可能にするため、非対称である。
【0008】
好ましくは、第1及び第2の壁ピースは、連続した縫い目によって第3壁ピースに縫い付けられる。この縫い目は自動手順で製造できる。これは、対費用効果に優れた方法である。
【0009】
好ましくは、第2区分から遠ざかる方向に向いた第1及び第2の壁ピースの第1区分の先端部を切除し、開口部を形成する。従って、後に切断によって開口部を形成する必要がない。
【0010】
壁ピースは例えばポリアミドでできている。この材料は、十分な可撓性を備えているため、及び任意の周知の折り畳み方法で使用できるため、エアバッグで既に使用されている。
【0011】
好ましくは、熱保護体は全体に台形形状を有する。台形形状であるため、熱保護体を漏斗状に折り畳むことができ、そのため、エアバッグを膨張したとき、壁ピースと重なり、これらの壁ピースを流出ガスの熱から保護する。
【0012】
一実施例によれば、熱保護体は開口部を形成する凹所を有し、後に切断によって開口部を形成する必要がない。
熱保護体の縫い目は、好ましくは、膨張領域外側に配置される。従って、特に熱の影響を受け易い縫い目は、熱的負荷に露呈されない。
【0013】
熱保護体は、例えば、コーティングが施されたポリプロピレン等の布であってもよい。同様に、高強度で耐熱性のポリアミドを使用してもよい。
追加の特徴及び利点は、従属項から明らかになるであろう。
【0014】
次に、本発明を、添付図面に示す好ましい実施例を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、第1壁ピース12、第2壁ピース14、及び第3壁ピース16を含むエアバッグ10を示す。壁ピース12、14、16はポリプロピレン製である。エアバッグ10は、この図では、設置されたガス発生器が示されていない状態で示してある。
【0016】
図1で見た下縁には開口部18(図2参照)が設けられており、ガス発生器を設置する前に、この開口部を通してガス変向器19が延びる。ガス発生器を所定位置に置いた後、ガス変向器をガス発生器とともにエアバッグ10内に入れる。この態様は、ガス発生器がガス変向器によって取り囲まれるようになす如きものである。第2壁ピース14には、ガスを流出させることができる出口開口部22が設けられている。参照番号20を付した外保護カバーは、塵埃や水分がハウジング(ここには図示していない)に入らないようにするのに役立つ。
【0017】
図2は、互いに一部品で形成された第1及び第2の壁ピース12、14を示す。同様に、第1壁ピース12及び第2壁ピース14の各々が単一のピースでできており、何らかの他の方法で線Fに沿って互いに縫い合わせられ又は接合されていてもよい。
【0018】
以下の説明を簡単にするため、壁ピース12、14、16を仮想的区分に分割する。
第1壁ピース12及び第2壁ピース14は全体に三角形の第1区分24、26を含む。これらの区分は、合同であるように形成されている。第1壁ピース12は第1区分24と隣接して第2区分28を有する。この区分は、高さH1に対して線対称であり、二つの直線状部分30及び湾曲した外輪郭32を含む。
【0019】
第2壁ピース14は、同様に、湾曲した外輪郭36を持ち且つ高さH2に対して線対称な第2区分34を有する。
出口開口部22は、第2壁ピース14に配置されており、詳しくは一部が第1区分26に配置されており、一部が第2区分34に配置されている。
【0020】
第1壁ピース12の第2区分28から遠ざかる方向に向いた壁の先端部及び第2壁ピース14の第2区分34から遠ざかる方向に向いた壁の先端部は、開口部18を形成するように切除してある。開口部18の領域には、点火器(ここには図示していない)を受け入れてこれと接触するのに役立つ区分38が設けられている。図示の縫い目レイアウトは、技術的な、縫製と関連した理由でこのようになっている。
【0021】
第2壁ピース14が直線状部分を備えておらず、外輪郭36の湾曲(曲率)が第1壁ピース12の外輪郭の湾曲(曲率)よりも小さいので、第2壁ピースの高さH2が第1壁ピース12の高さH1よりも小さくなり、その結果これらの壁ピースが互いに縫い合わされており且つエアバッグ10が膨張したとき、車輛乗員に対して傾斜したインパクト表面が提供される。
【0022】
図3は、第1区分40及び第2区分42を持つ第3壁ピース16を示す。第3壁ピース16の第1区分40が第1壁ピース12の第2区分28と合同であり、第3壁ピース16の第2区分42は第2壁ピース14の第2区分34と合同である。更に、第3壁ピース16の第2区分42は、縫製手順中に役立つタング(突片)44を有する。
【0023】
第1壁ピース12の第2区分28、第2壁ピース14の第2区分34、並びに第3壁ピース16の第1及び第2の区分40、42にはノッチ46が設けられており、これらのノッチは、縫製手順中に対応する区分のノッチ46と整合し、かくして不適正組み立てを不可能にする。
【0024】
図4は、全体に台形形状の熱保護体48を示す。熱保護体48は一部品であり、コーティングを施した布である。この布は、ここでは、壁ピース12、14、16と同様にポリプロピレン製である。同様に、熱保護体48はポリアミド製であってもよい。
【0025】
熱保護体48は、開口部18を形成する全体に矩形の凹所50を上縁よりも長い下縁(上下は図4で見た場合)に有する。凹所50及び/又は開口部18は、第1及び第2の壁ピース12、14と同様に、区分38を有する。
【0026】
図4で見た下隅部には二つの出口開口部22が設けられている。これらの出口開口部は、熱保護体48を第1及び第2の壁ピース12、14とともに互いに折り畳んだ後、第2壁ピース14の出口開口部22と整合する。
【0027】
図5は、エアバッグ10を形成するための第1縫製工程を示す。一部品で形成された第1及び第2の壁ピース12、14を平らに拡げ、熱保護体48及び保護カバー20を前記ピースと平らに重ねる。図5において水平方向である縫い目により、熱保護体48を第1壁ピース12に縫い付ける。区分38における縫い目が熱保護体48と第1壁ピース12との間、又は保護カバー20と熱保護体48と第2壁ピース14との間に別の連結部を形成する。これと同時に、ガス発生器から流出するガス流を逸らすガス変向器19もまた縫い付けられる。
【0028】
図6は、エアバッグ10を製造するための第2縫製工程を示す。先ず最初に第2壁ピース14を線F(図2参照)に沿って折り畳み、第1壁ピース12上に重ね、第1及び第2の壁ピース12、14の全体に三角形の合同に形成された第1区分24、26の横縁部を互いに重ねる。このプロセスでは、内部熱保護体48の出口開口部22(両方)が第2壁ピース14の出口開口部22と整合するように内部熱保護体48を同時に折り畳む。熱保護体48は、折り畳み後に漏斗形状であり、二つの折り目線を有する。熱保護体48及び第2壁ピース14によって形成された出口開口部22を縫合する。保護カバー20を熱保護体48及び第2壁ピース14に縫い付ける。
【0029】
図7は、エアバッグ10を製造するための第3縫製工程を示す。タング44がディフューザー20の方向に突出するように第3壁ピースを第2壁ピース14に対して平らに重ねる。縫製手順を第3壁ピースのタング44のところで開始する。縫製手順は一つの工程で行うことができ、平らな継ぎ目(即ち縫い目)しか必要とされないため、自動化できる。縫い目の経路を図7に矢印で示す。始点には参照符号Sが付してあり、縫い目の終端部には参照符号Eが付してある。
【0030】
縫製中、第3壁ピース16のノッチ46が第1及び第2の壁ピース12、14のノッチと重なるように第3壁ピース16のノッチ46を整合する。このようにして、先ず最初に第3壁ピース16を、互いに平らに重ねた第2壁ピース14の第2区分34に縫い付ける。壁ピースを引っ繰り返した後、第3壁ピース16を第1壁ピース12の第2区分28に平らに縫うことができ、その後、第1及び第2の壁ピース12、14の全体に三角形の第1区分24、26の側部に沿って平らに縫うことができる。このプロセスでは、縫い目の始部を再び縫い重ねることにより、縫い目の始部Sのところに二重の縫い目を形成する。
【0031】
完成したエアバッグ10を図1に示す。
ガス発生器の設置後、及びガス発生器をガス変向器とともにエアバッグ10に入れた後、拘束装置の機能は以下の通りである。
【0032】
ガス発生器を賦勢すると、ガスがガス変向器19によって逸らされる。漏斗状熱保護体48は、ガスの流入時に第1及び第2の壁ピース12、14に対してもたれかかるようになっており、かくして壁ピース12、14、16を熱応力から保護する。熱保護体48を第1壁ピース12に接合する縫い目は、ガス発生器の流出領域の外側にあり、そのためこの縫い目には熱応力が加わらない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるエアバッグの側面図である。
【図2】エアバッグの第1及び第2の壁ピースの図である。
【図3】エアバッグの第3壁ピースの図である。
【図4】エアバッグの熱保護体の図である。
【図5】エアバッグの第1縫製工程の図である。
【図6】エアバッグの第2縫製工程の図である。
【図7】エアバッグの第3縫製工程の図である。
【符号の説明】
【0034】
10 エアバッグ
12 第1壁ピース
14 第2壁ピース
16 第3壁ピース
18 開口部
19 ガス変向器
20 外保護カバー
22 出口開口部
24、26 第1区分
28 第2区分
30 直線状部分
32 外輪郭
34 第2区分
36 外輪郭
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1壁ピース(12)、第2壁ピース(14)、及び第3壁ピース(16)を含み、前記第1壁ピース(12)は、全体に三角形の第1区分(24)並びに湾曲した外輪郭(32)を持つ隣接した第2区分(28)を有し、前記第2壁ピース(14)は、前記第1壁ピース(12)の前記第1区分(24)と合同の第1区分(26)並びに湾曲した外輪郭(36)を持つ隣接した第2区分(34)を有し、前記第3壁ピース(16)は、前記第1壁ピース(12)の前記第2区分(28)と合同の第1区分(40)並びに前記第2壁ピース(14)の前記第2区分(34)と合同の隣接した第2区分(42)を含む、エアバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアバッグにおいて、前記第1壁ピース(12)の前記第2区分(28)は、直線状部分(30)を有し、前記第3壁ピース(16)の前記第1区分(40)は対応する直線状部分を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアバッグにおいて、前記第1壁ピース(12)の前記第2区分(28)の高さHは、前記第2壁ピース(14)の前記第2区分(34)よりも大きい、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載のエアバッグにおいて、前記第1及び第2の壁ピース(12、14)の前記第2区分(28、34)はノッチ(46)を有し、前記第3壁ピース(16)の前記第1及び第2の区分(40、42)は対応するノッチ(46)を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記第1壁ピース(12)及び前記第2壁ピース(14)は、互いに一部品をなして形成されている、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記第1及び第2の壁ピース(12、14)は、連続した縫い目によって前記第3壁ピース(16)に縫い付けられる、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記第2区分(28、34)から遠ざかる方向に向いた前記第1及び第2の壁ピース(12、14)の前記第1区分(24、26)の先端部を切除し、開口部(18)を形成する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記壁ピース(12、14、16)はポリアミドでできている、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記エアバッグ(10)は一部品の熱保護体(48)を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項10】
請求項9に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)は全体に台形形状である、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)は開口部(18)を形成する凹所(50)を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項12】
請求項11に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)の縫い目は直接ガス流の外側に配置される、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項13】
請求項9乃至12のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)は、コーティングが施された布である、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項1】
第1壁ピース(12)、第2壁ピース(14)、及び第3壁ピース(16)を含み、前記第1壁ピース(12)は、全体に三角形の第1区分(24)並びに湾曲した外輪郭(32)を持つ隣接した第2区分(28)を有し、前記第2壁ピース(14)は、前記第1壁ピース(12)の前記第1区分(24)と合同の第1区分(26)並びに湾曲した外輪郭(36)を持つ隣接した第2区分(34)を有し、前記第3壁ピース(16)は、前記第1壁ピース(12)の前記第2区分(28)と合同の第1区分(40)並びに前記第2壁ピース(14)の前記第2区分(34)と合同の隣接した第2区分(42)を含む、エアバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアバッグにおいて、前記第1壁ピース(12)の前記第2区分(28)は、直線状部分(30)を有し、前記第3壁ピース(16)の前記第1区分(40)は対応する直線状部分を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアバッグにおいて、前記第1壁ピース(12)の前記第2区分(28)の高さHは、前記第2壁ピース(14)の前記第2区分(34)よりも大きい、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載のエアバッグにおいて、前記第1及び第2の壁ピース(12、14)の前記第2区分(28、34)はノッチ(46)を有し、前記第3壁ピース(16)の前記第1及び第2の区分(40、42)は対応するノッチ(46)を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記第1壁ピース(12)及び前記第2壁ピース(14)は、互いに一部品をなして形成されている、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記第1及び第2の壁ピース(12、14)は、連続した縫い目によって前記第3壁ピース(16)に縫い付けられる、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記第2区分(28、34)から遠ざかる方向に向いた前記第1及び第2の壁ピース(12、14)の前記第1区分(24、26)の先端部を切除し、開口部(18)を形成する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記壁ピース(12、14、16)はポリアミドでできている、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記エアバッグ(10)は一部品の熱保護体(48)を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項10】
請求項9に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)は全体に台形形状である、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)は開口部(18)を形成する凹所(50)を有する、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項12】
請求項11に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)の縫い目は直接ガス流の外側に配置される、ことを特徴とするエアバッグ。
【請求項13】
請求項9乃至12のうちのいずれか一項に記載のエアバッグにおいて、前記熱保護体(48)は、コーティングが施された布である、ことを特徴とするエアバッグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−8457(P2007−8457A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174775(P2006−174775)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(504122767)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ゲーエムベーハー (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(504122767)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ゲーエムベーハー (36)
【Fターム(参考)】
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