説明

エアフィルター用非ハロゲンおよび非リン難燃性濾材並びにその製造方法

【課題】通気抵抗などのフィルター基本性能の劣化を防ぐとともに、臭素、塩素等のハロゲンおよびリン化合物を全く含有しない濾材とその製造を提供すること。
【解決手段】スルファミン酸グアニジンを濾材重量比で10〜40%含有するエアフィルター用難燃性濾材であり、また、難燃剤を含む不織布をシート化して難燃性濾材を製造する方法であって、少なくとも次の工程を経て難燃性濾材を製造するエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
仕込み工程:主体繊維を水中で分散させる工程。
抄紙工程:分散した繊維を一定濃度に希釈し、湿式法により不織布を形成する工程。
含浸工程:バインダーと難燃剤を水溶性として、含浸法にて上記不織布に付着させる工程。
乾燥工程:150℃〜200℃の温度で乾燥する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲンおよびリンを含まないエアフィルター用難燃性濾材とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
難燃剤は、大別すると臭素系難燃剤、塩素系難燃剤・リン系難燃剤・無機系難燃剤が良く知られている。
【0003】
従来、一般に使用される難燃性濾材は、経済的に難燃性を発現できることから難燃剤として臭素系や塩素系などのハロゲン系難燃剤が使用されてきた。ところが、近年になりハロゲン系化合物は焼却等によりダイオキシンなどの有害物質が発生することが知られてきたため、これらの化合物を使用禁止にする方向で世界的に進んできている。例えば、欧州における電気、電子機器ではRoHS指令が2006年7月施行予定であり、臭素系難燃剤であるPBDE(ポリブロモジフェニルエーテル)の使用が禁止される。
【0004】
そのため、難燃剤に非ハロゲン化合物を使用する要望がユーザーから出てきている。
【0005】
また、車載用に関してはヨーロッパなどでハロゲン系化合物の使用を禁止する方向で動いているため部品の非ハロゲン化が進められており、非ハロゲンフィルターの要望が多い。
【0006】
そのため、ハロゲン系難燃剤の代替として、リン系難燃剤を使用する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0007】
しかし、リン系難燃剤の中にはリン酸トリス(ジメチルフェニル)のようなPRTR1(Pollutant Release and Transfer Register 第1種化学物質指定物)に指定されている物質などもあり、化学物質過敏症との関連が報告されている。また、H16年4月より第5次水質総量規制でリンも規制対象に加えられ、全リンの測定が義務化された。そのため、リン成分を除去する処理方法などの特許も多く見られる(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
このようなことから、リンを使用した難燃剤も、環境に配慮しているとは言い難い。
【0009】
また、リンを含むと加工において、剛軟度が低下する傾向がありプリーツ加工が難しい等の欠点もある。
【0010】
これとは別に、既存の濾材とエレクトレット濾材の間に難燃剤を含有することでフィルターに難燃性を持たせる方法も知られている(特許文献4参照)。
【0011】
しかし、この方法では、濾材と濾材の間に難燃剤入りの薬剤を散布するため、その分通気抵抗を増加させてしまい、フィルターの重要な性能である圧力損失の増加を引き起こしてしまう。また、ここでいう難燃濾材は、難燃性が得られれば何でもよく、ハロゲンやリンなど環境に良くない成分が入る可能性もあり環境に配慮されたものとは言い難い。
【特許文献1】特開2000−328418号公報
【特許文献2】特開2000−126523号公報
【特許文献3】特開2004−049971号公報
【特許文献4】特開2002−292214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記したような点に鑑み、本発明は、通気抵抗などのフィルター基本性能の劣化を防ぐとともに、臭素、塩素等のハロゲンおよびリン化合物を全く含有しない濾材とその製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究の結果、以下の(1) または(2) 記載の本発明のエアフィルター用難燃性濾材を完成するに至った。
(1)スルファミン酸グアニジンを濾材重量比10〜40%含有することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
(2)スルファミン酸グアニジンを濾材重量比12〜20%含有することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
【0014】
また、かかる本発明のエアフィルター用難燃性濾材において、好ましくは、以下の(3) 〜(6) の構成を有するものである。
(3)難燃性濾材が、ハロゲンおよびリンを含まない不織布からなることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
(4)難燃性濾材が、湿式不織布からなるものであることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
(5)難燃性濾材が、エレクトレット濾材と積層して使用されることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
(6)難燃性濾材に、撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは/および抗アレルゲンの付加機能を付けたことを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
(7)該難燃性濾材を使用するフィルター形状が、プリーツ状のものであることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
【0015】
また、本発明のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法は、以下の構成からなるものである。
(8)難燃剤を含む不織布をシート化して難燃性濾材を製造する方法であって、少なくとも次の工程を経て難燃性濾材を製造することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
仕込み工程:主体繊維を水中で分散させる工程。
抄紙工程:分散した繊維を一定濃度に希釈し、湿式法により不織布を形成する工程。
含浸工程:バインダーと難燃剤を水溶性として含浸法にて上記不織布に付着させる工程。
乾燥工程:150℃〜200℃の温度で乾燥する工程。
【0016】
また、かかる本発明のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法において、好ましくは、以下の(9) 〜(12) の構成を有するものである。
(9)含浸工程のバインダーが少なくとも2種類以上用いられることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
(10)含浸工程における含浸法として、シート化した不織布にバインダーをスプレーにて散布する方法及びシート化した不織布をバインダー液に含浸する方法のいずれか1つもしくはこれらの組み合わせで含浸することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
(11)含浸工程中に、撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは/および抗アレルゲンなどを付与することによって付加機能を加えることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
(12)乾燥工程後の不織布に、撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは/および抗アレルゲン機能を付与することによって付加機能を加えることを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、エアフィルター用難燃性濾材の中にハロゲンおよびリン系化合物を使用することがないため、ハロゲンやリンを使用した濾材に比べ環境に優しい。
【0018】
また、難燃性は、難燃性規格であるFMVSS 502の自消性を有し、フィルター材として充分な難燃性を有する。
【0019】
また、難燃剤を不織布の層間に付与する方法と異なり、不織布製造の中で付与するために、生産効率が高く、かつ、難燃剤の後加工による圧力損失の増加を防ぐことができる。
【0020】
また、製造方法として抄紙法を採用することにより、水溶液として難燃剤を取り扱うことができ、乾式方法に比べてフィルター濾材の目付や厚みが均一に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のエアフィルター用難燃性濾材とその製造方法について、最良の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
本発明に関わる難燃剤は、無機系難燃剤スルファミン酸グアニジンである。
【0023】
無機系難燃剤は、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン系、シリコーン系またはホスファゼン系化合物などが知られている。このような無機系難燃剤のうち、グアニジン系化合物であるスルファミン酸グアニジンは、水溶性であるため水溶液として繊維へ含浸でき、繊維との相性が良く、ハロゲンやリン元素を含んでいなく、排水などの環境負荷が少ないために好ましい。
【0024】
本発明の濾材は、エアフィルター用途に用いるためフィルター材としての通気性を損なわないために、圧力損失が小さいこと、風圧に対し十分な強度を有し、プリーツなどの形状に加工した場合、その形状を維持して形状変化による圧力損失の上昇を抑制できる剛性を有すること、プリーツ等の形状に成形する際の加工性に優れることなどが要求される。
【0025】
このような濾材としては、織布、不織布、フィルム割線、ネットまたは紙などが挙げられるが、濾材自体にダスト保持量やプリーツ加工性を持たせるために不織布の形態が望ましい。
【0026】
不織布としては、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、ウォータジェットパンチ式乾式不織布、メルトブロー式乾式不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布等などが考えられるが、難燃剤が水溶性なことから、抄紙法による湿式不織布が好ましい。
【0027】
スルファミン酸グアニジンの量は、難燃剤の量が少ないと、濾材の難燃性が得られなく、多すぎると繊維量が減少してしまうために濾材の基本性能である通気量や寿命が低下してしまう。また、難燃剤の量が多いと、不織布の引張強度と硬さ(剛軟度)が低下する。そのため、スルファミン酸グアニジンの量は、濾材の重量比対比で10〜40%であることが重要であり、さらに好ましくは12%〜20%である。また、難燃性濾材の下流側にエレクトレット濾材を積層することは、フィルター形態にしたときに粒径0.3μmの粒子等に対し捕集効率が非エレクトレット濾材に対し高くなるので、大気塵などの微粒子を捕集することが必要な領域においては好ましい。
【0028】
また、濾材に、撥水剤・香料・脱臭剤・抗菌剤・抗ウイルス剤・抗アレルゲン剤などを一種または複数種付与することによって付加価値・付加機能をつけることも可能である。
【0029】
フィルター形態としては、プリーツ、ハニカムまたは3次元網状態などがあるが、花粉やほこりなどの100μm以下の微粒子を捕捉することが主であるエアフィルターにおいてはプリーツ形態が好ましい。
【0030】
以下、本発明のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法について、好ましい実施の形態について各工程別に詳細に説明する。
1.仕込み工程
叩解したパルプ、ポリエステル繊維とビニロン繊維などの各主体繊維をあらかじめ分散剤及び分散助剤で調整した水中に投入し、一定時間撹拌して均一になるように分散させる工程である。
【0031】
仕込み工程に使用する主体繊維は、ビニロンやポリエステルなどの合成繊維が好ましいが、ハロゲンおよびリンを含有しない天然繊維や他の合成繊維を使用してもよく、これらの混合でももちろん構わない。仕込み工程では、仕込み量や白水量、分散時間などを管理することによって均一に分散することができる。
2.抄紙工程
水中に均一分散させた繊維を一定濃度に調整し、傾斜ワイヤー、円網上等で脱水してウエブを形成する工程である。
【0032】
抄紙工程では、抄紙機の速度や繊維量、白水量を管理することによって均一なウエブを得ることができ、抄紙速度を変えることによって必要な目付のウエブを製造できる。エアフィルター用難燃性濾材の目付としては、10〜200g/m2 程度のものが好ましく、さらに好ましくは30〜100g/m2 である。あまりに目付が少ないとフィルター寿命が得られないし、厚みが薄いために剛軟度が得られず、プリーツ加工が難しくなる。逆に、目付が高くなると通気抵抗が高くなり、厚みが増えるためにプリーツ化した後に構造圧損が大きくなる欠点が生じる。
3.含浸工程
スルファミン酸グアニジンと、バインダー用のアクリル樹脂、エポキシ樹脂などを一定濃度に調合した水溶液を希釈して、抄紙工程で得られたウエブに均一に塗布する工程である。
【0033】
鋭意研究の結果、水溶性のバインダーとスルファミン酸グアニジンを調合することにより水溶液中でスルファミン酸グアニジンを不織布へ含浸し難燃性濾材の製造方法を見いだした。
【0034】
塗布した水溶液は、規定量以上に付着しているため余分な樹脂を吸引により取り除き付着量を調整する。
【0035】
シート化した不織布にバインダー用の樹脂と難燃剤を水溶液で含浸させる方法は、スプレーにて散布する方法とシート化した不織布を水溶液に含浸させる方法があるが、このいずれの方法を使用しても構わないし、これらの組み合わせでもよい。より均一に塗布するためには含浸方法を用いるのがよい。バインダーとして用いる樹脂は、用途に応じて多様ななものを適宜に用いることができるが、例えば、アクリル樹脂等汎用の樹脂の中でハロゲンおよびリンを含まない水溶性の材料を用いるのがよい。また、アクリル樹脂だけでは不織布の剛軟度がでないため、エポキシ樹脂などを混ぜることにより不織布の剛軟度を上げることができることを見い出した。
【0036】
含浸方法は、スプレー法であれば、スプレー量と含浸させるウエブの速度などを管理する。調合した液への含浸では液の濃度や含浸時間などを管理することによって、均一に不織布に調合した液を付着させることができる。また、乾燥工程前にバインダーと同時もしくはほぼ同時に難燃剤を付与することによって、バインダーが乾燥する前に難燃剤が不織布に付着しバインダーの乾燥で難燃剤を固着させることができるため、難燃剤の付与は乾燥工程前が好ましい。また、難燃剤の付与を不織布濾材そのものにしたことにより、濾材の通気抵抗の増加を抑制し難燃性エアフィルター濾材を製造できる。
【0037】
また、この工程中もしくはほぼ同時に、撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは抗アレルゲン剤などを付与することによって、濾材へ付加価値を付けることもできる。撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは抗アレルゲン剤などは乾燥工程後の不織布へ後加工しても構わない。
4.乾燥工程
バインダーを塗布した不織布を熱風型ドライヤーの中を通すことによって、乾燥硬化させる工程であり、乾燥温度は、100〜230℃が好ましい。さらに好ましくは、150〜200℃である。230℃以上になるとスルファミン酸グアニジンが分解するため、少なくとそれ以下の温度で乾燥することが好ましい。
5.巻き取り工程
巻き取り工程は、バインダーを乾燥硬化させた不織布を一定長さに巻き取る工程である。
6.仕上げ工程
仕上げ工程は、製品の規格幅と長さに巻き取って、包装する工程である。
【0038】
上記において、不織布の製造法は、湿式法と呼ばれる製造方法である。この湿式の不織布製造法は、乾式の不織布製造法に比べると、濾材の目付や厚みの均一性が高く、バインダーが一定量塗布でき、生産速度も速くできることなどから品質や生産性にメリットがある。
【0039】
また、乾式不織布製造と違い、繊維に捲縮がかからないためにヤング率の高い繊維も使用できること、薄物の不織布の製造が可能であることなど大きな利点がある。
【実施例】
【0040】
LBKP、ポリエステル(株式会社クラレ製)、ビニロン(株式会社クラレ製)を分散剤及び分散助剤で調整した水中で均一分散させ箱形抄紙機でシート化した。
【0041】
一方、難燃剤としてスルファミン酸グアニジンとアクリル樹脂、エポキシ樹脂を固形分比で40/40/20で混合したバインダーを重量比で40%、スルファミン酸グアニジンが重量比で16%になるように含浸法でシートに付着し、150℃で5分間乾燥して不織布を得た。
【0042】
比較例1
LBKP、ポリエステル(株式会社クラレ製)、ビニロン(株式会社クラレ製)を分散剤及び分散助剤で調整した水中で均一分散させ箱形抄紙機でシート化した。
【0043】
一方、難燃剤としてスルファミン酸グアニジンとアクリル樹脂、エポキシ樹脂を固形分比で40/40/20で混合したバインダーを重量比で12.5%、スルファミン酸グアニジンが重量比で5%になるように含浸法でシートに付着し、150℃で5分間乾燥して不織布を得た。
【0044】
比較例2
LBKP(天然パルプ)、ポリエステル(株式会社クラレ製)、ビニロン(株式会社クラレ製)を分散剤及び分散助剤で調整した水中で均一分散させ箱形抄紙機でシート化した。一方、難燃剤としてスルファミン酸グアニジンとアクリルバインダー、エポキシバインダーを固形分比で80/10/10で混合したバインダーを重量比60%、スルファミン酸グアニジンが重量比で48%になるように含浸法でシートに付着し、150℃で5分間乾燥して不織布を得た。
【0045】
比較例3
LBKP、ポリエステル(株式会社クラレ製)、ビニロン(株式会社クラレ製)を分散剤及び分散助剤で調整した水中で均一分散させ箱形抄紙機でシート化した。一方、難燃剤としてリン酸グアニジン(三和ケミカル製、品番「AP−303」)とアクリル樹脂、エポキシバ樹脂を40/40/20で混合したバインダーを重量比で40%、リン酸グアニジンが重量比で16%になるように含浸法でシートに付着し、150℃で5分間乾燥して不織布を得た。
【0046】
これらの各種濾材の難燃性能や物理特性について、評価した結果を表1に示した。
【表1】

【0047】
引張強度は、幅25mm、長さ280mmのサンプルをチャック間180mm、引張速度100mm/minの条件で引張試験機を用いて測定した。n数は5として、その平均値を結果として用いた。
【0048】
剛軟度は、幅25mm、長さ90mmのサンプルを、ガーレ式剛軟度試験機を用いて測定した。n数は5として、その平均値を結果として用いた。
【0049】
難燃性試験は、JIS L−1091の水平法を用いて評価した。n数は5として、その平均値が5cm以下のものを「優れている」と評価し、表1中「○」印で表記した。その平均値が5cmを越えるのものを「劣る」と評価し、表1中「×」印で表記した。
【0050】
加工性の評価は、プリーツマシンを用いた加工のし易さについて評価を行い、加工が可能で良好なプリーツ形状が保たれたものを「優れている」と評価し、表1中「○」印で表記した。該加工に問題(加工が不可能である、プリーツ形状に問題がある等)があるものを「劣る」と評価し、表1中「×」印で表記した。
【0051】
実施例と比較例1の結果から、スルファミン酸グアニジンが少ない場合には、十分な難燃性を有することができないことがわかる。
【0052】
また、比較例2からスルファミン酸グアニジンの量が多すぎると、引張強度や剛軟度が低下し、濾材の加工性が悪くなることがわかる。
【0053】
また、比較例3からリンを使った難燃剤では吸湿性が高くなり、引張強度や剛軟度が下がっていて、濾材の加工度に影響を及ぼすことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルファミン酸グアニジンを濾材重量比で10〜40%含有することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項2】
スルファミン酸グアニジンを濾材重量比12〜20%含有することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項3】
難燃性濾材が、ハロゲンおよびリンを含まない不織布からなることを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項4】
難燃性濾材が、湿式不織布からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項5】
難燃性濾材が、エレクトレット濾材と積層して使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項6】
難燃性濾材に、撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは/および抗アレルゲンの付加機能が付与されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項7】
該難燃性濾材を使用するフィルター形状が、プリーツ状のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエアフィルター用難燃性濾材。
【請求項8】
難燃剤を含む不織布をシート化して難燃性濾材を製造する方法であって、少なくとも次の工程を経て難燃性濾材を製造することを特徴とするエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
仕込み工程:主体繊維を水中で分散させる工程。
抄紙工程:分散した繊維を一定濃度に希釈し、湿式法により不織布を形成する工程。
含浸工程:バインダーと難燃剤を水溶性として、含浸法にて上記不織布に付着させる工程。
乾燥工程:150℃〜200℃の温度で乾燥する工程。
【請求項9】
含浸工程のバインダーが少なくとも2種類以上用いられることを特徴とする請求項8に記載のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
【請求項10】
含浸工程における含浸法として、シート化した不織布にバインダーをスプレーにて散布する方法及びシート化した不織布をバインダー液に含浸する方法のいずれか1つもしくはこれらの組み合わせで含浸することを特徴とする請求項8または9に記載のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
【請求項11】
含浸工程中に、撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは/および抗アレルゲンの機能を付与することにより付加機能を加えることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。
【請求項12】
乾燥工程後の不織布に撥水、香料、脱臭、抗菌、抗ウイルスまたは/および抗アレルゲンの機能を付与することにより付加機能を加えることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のエアフィルター用難燃性濾材の製造方法。

【公開番号】特開2006−136809(P2006−136809A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328468(P2004−328468)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000104009)オリベスト株式会社 (1)
【Fターム(参考)】