説明

エアレイド吸収コアを形成するための装置および方法

本発明は、第1および第2のマット形成ホイール(1,2)を有するエアレイド吸収コアを形成するための装置に関するものである。本発明によれば、それぞれのホイール(1,2)上に形成されたコア要素がホイール間のニップを通過するときに第3のウェブと当接するよう配置された各ホイール(1,2)の周面の上へ外装材からなる第1および第2のウェブ(9,10)を設けるための手段と、第1および第2のマット形成ホイール間のニップへと外装材の第3のウェブ(11)を提供するための手段と、第3のウェブの両面に粘着性被覆を付加するための手段と、第1および第2のコア要素を含むコア要素の輪郭の外側に配置された第3のウェブの位置を互い押圧し、それによって、外装材の中にエアレイド吸収コアを被包するための手段と、が提供される。また、本発明は、エアレイド吸収コアを形成するための方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレイド吸収コアを形成するための装置に関するものであり、この装置は、その周面に沿ってそれぞれ少なくとも一つの型を有する第1および第2のマット形成ホイールと、各マット形成ホイール上の型に対して空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段と、各マット形成ホイール上の型の経路の一部の間で個々の型内に形成されたコア要素を保持するための吸引手段と、第1のマット形成ホイール上のコア要素と第2のマット形成ホイール上のコア要素とを重ね合わせるための手段と、を備えており、また本発明はそうした装置を使用する方法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの装置は多層吸収コアを形成するために使用されており、この層の少なくとも一つは、高い吸収性を有する材料、好ましくはいわゆる超吸収体(SAP)の離散粒子を含んでおり、それ自身の重量の数倍の量の液体を吸収することができるものである。この層内の繊維は、好ましくはセルロースでありかつパルプ繊維を離解することによって製造される。さらに、他のタイプの繊維を使用することもできる。さまざまな層内の繊維は、同じものであっても、もしくは異なるものであってもよい。
【0003】
本発明に基づく装置は、吸収用品、例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン、失禁プロテクターなどの生理用用品を製造するための生産ラインに配置されるものである。したがって、そうした装置が、特にそうした生産ラインの長手方向において、多くの空間を占めないことが重要となっている。また、今日のそうした生産速度の生産速度は高く、一分間当たり約600コアとなっており、そのため、本発明はさらに生産速度を高めることを実現することを目的とする。そうした高速状態において、形成されるコア要素内の離散粒子に作用する遠心力は非常に大きく、ゆえに、そうしたコア要素からその粒子が損失されてしまうという問題が存在する。相対的に高価な粒子材料の損失によって費用がかさむことの他に、損失された粒子が生産ラインにおける構成要素または装置の上に落下し、その機能または環境を阻害するように作用するおそれがある。そのため、何らかの方法で損失された粒子を処理しなければならない。したがって、粒子の損失を可能な限り低く保つことが要求されている。
【0004】
他の問題として、冒頭で述べたタイプの装置のマット形成ホイール上に形成されたコア要素を所望の相互関係となるよう互いに重ね合わせることを確実にすることが挙げられる。もし、例えば重ね合わせられたコア要素の前縁が互いに合わせられる場合、そのずれは、視覚的に非常に明確になり、そしてさらに製品の機能を損ねるように働くこととなる。例えば製品が重ね合わせられるコアにおいて、コア要素が重ね合わせられる位置で一致するかまたはあらかじめ決められた互いの関係を有するようになることが望まれる開口などを含む場合、その開口のずれが製品の機能に好ましくない効果をもたらすこととなる。
【0005】
冒頭で述べた装置に関するさらなる問題として、型の上へエアレイされる離散粒子が型を損傷するか、もしくは型内の開口を遮断するかまたは詰まらせる恐れがあることが挙げられる。そうした遮断および詰まりは、型内にエアレイされる材料を不均一にさせ、そして結果的に、製品の吸収特性を損なうように作用するようになる。
【0006】
特許文献1に開示されている装置においては、ティッシュのウェブが、マット形成ホイール上に巻きつけられ、そしてホイールの周面上の型の壁に対して引っ張られている。その後、離散粒子の層が型内にエアレイされ、そして離散粒子と混合するよう空気混入繊維が離散粒子の層の中へ引き込まれる。この文献の図3には、二つのマット形成ホイールを有する装置が開示されている。エアレイド生地は、ティッシュのウェブに対して設けられた各マット形成ホイールから供給され、そして続いて付加された生地とともに二つのティッシュウェブは互いに重ね合わせられる。ウェブに付加された生地は、吸引手段によってその上にある生地が影響されない状態で、比較的長い距離を移動させられるものであり、そのため移動中に粒子が生地から落下する可能性が高くなっている。さらに、そうした構造体を用いることで、互いに重ね合わせられるときに、ウェブに付加された生地の相対位置の精度を高めることが困難になるであろう。
【0007】
特許文献2には、クレーム1のプリアンブルと同様の装置が開示されている。このような装置において、生地を形成するために、繊維材料のみが第1のマット形成ホイール上の型内にエアレイされており、その上で、第1の生地が依然としてその型内にある間に、繊維材料とSAPの離散粒子とからなされる第2の生地が第2のマット形成ホイールから移送される。続いて、繊維材料からなる第3の層が、第1の二つの生地の複合材の上にエアレイされる。第2の生地を第1の生地の上へ移送する間中、第2の生地の一部はその両側において、常に自由大気にさらされている。そのため、SAP−粒子が第2の生地の露出部分から落下する可能性があり、それは、特に、その密度が高くかつマット形成ホイールの速度が高い場合に高くなる。第2の生地を第1の生地の上へ移送した後、その上にエアレイされた第3の層が、第2の生地からのSAP−粒子の落下を防ぐこととなる。超吸収体の位置の精度は、その上の第2の生地が移送される間に、その型内に保持されている第1の生地によって向上されるが、第2の生地は第1の生地の上へ重ね合わせられる前に自由大気内で動かなければならなくなるため、実際は低減されている。さらに、第2のマット形成ホイールにおいて、型の中にエアレイされた離散粒子がその型の底部における開口部を遮断するかもしくは詰まらせることを防ぐ手段が設けられていない。
【0008】
オムツなどの生理用吸収用品は、多くの場合、さまざまなサイズで提供される。そうしたさまざまなサイズの「同じ」吸収用品のためのコアを、冒頭で記述した装置などの同一の装置から形成する場合には、マット形成ホイール上の型を変更する必要がある。これは、時間のかかる処理であり、また、問題となるサイズには使用されないさまざまな型を保管しておく必要があり、そのため、製造処理、特に小さな製品群に関してコスト効率が低下してしまう。
【0009】
さらに、そうしたオムツには、繊維材料の中に混合された多量のSAP−粒子(50%以上)を備えたコア要素を有しているという利点がある。しかし、このようにコア要素内に多量のSAP−粒子を有することには、コア要素の強度を低減させてしまうという問題が生じる。そうした要素は、形成時または移送時に、SAP−粒子の損失を引き起こすこともある。
【0010】
SAP−粒子が損失される可能性および形成されたコアが移送および運搬時に損なわれる可能性があるため、かつ多量のSAP−粒子を有することでコア要素の強度が低減させられるために、例えばマット形成ホイールなどのそうしたコアを形成するための装置は生理用用品を生産するためのライン内に配置されており、そうすることによって、コアの形成とさらなる処理との間におけるホイール上に形成されたコア要素の移送は非常に短くなる。マット形成ホイールは大きな構成要素であるため、使用可能な空間をできるかぎり有効に使用できるよう、これらの構成要素を生産ライン内の他の構成要素から距離をおいて配置できる場合に、これは利点となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 958 081号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 082 081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、冒頭で記述した装置において、他方へのコア要素の移送の精度を向上させること、エアレイされる離散粒子が型を損傷することおよび/または詰まらせることを防ぐこと、ならびに形成されたコア要素からの離散粒子の過剰な損失を防ぐことである。さらに、さまざまなサイズの同様の製品を製造する際に、型を変更することを必要としないようにすることも本発明の目的である。本発明のさらなる目的として、コア要素において高密度のSAP−粒子を使用可能にすることであり、かつSAP−粒子が損失されるかまたは移送によって損傷されることのないよう移送できるよう、形成されたコアの強度を高めることである。また、本願発明の目的は、生理用吸収用品を製造するための生産ラインにおける装置に要する空間を著しく増大させることなく、これを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、エアレイド吸収コアを形成するための装置であって、第1および第2のマット形成ホイールであって、それぞれがその周面に沿って少なくとも一つの型を有する第1および第2のマット形成ホイールと、それぞれのマット形成ホイール上の型に対して、空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段と、それぞれのマット形成ホイール上の型の経路の一部の途中で、個々の型内の、形成されたコア要素を保持する吸引手段と、第1のマット形成ホイール上のコア要素と第2のマット形成ホイール上のコア要素とを互いに重ね合わせるための手段と、を備えており、さらに、第1および第2のマット形成ホイールの周面の上に外装材の第1および第2のウェブを設けるための手段であって、それぞれのマット形成ホイール内部の吸引手段が、ウェブ状の材料を、吸引手段を通過する型の底部に対して当接するよう引っ張るようになっている手段と、第1および第2のマット形成ホイール間のニップの中へ、その少なくとも一方の側に接着剤を備えた外装材の第3のウェブを提供するための手段と、第3のウェブの少なくとも一方に粘着性被覆を設ける手段と、を備えており、マット形成ホイールは、第1および第2のマット形成ホイール間のニップを通過するとき、それぞれの第1および第2のマット形成ホイール上の、形成されたコア要素が第3のウェブに当接するように配置されており、それによって、エアレイドコア要素は、外装材の中に少なくとも部分的に被包されるようになっている装置によって実現される。
【0014】
好ましい実施形態において、ニップの通過後、第1および第2のコア要素を含むコア要素の輪郭の外側に配置された三つの層の一部を共に押圧するための手段が設けられている。また、重ね合わせられた第1および第2のコア要素と、中間にある第3のウェブと、第1および第2のウェブとからなるユニットを、第1および第2のマット形成ホイール間のニップ通過後に、一対のローラーを通過させるための手段を、設けることができる。好ましくは、ローラーは、輪郭取りされかつホイール間のニップに近接する第1および第2のマット形成ホイール間の領域に配置されている。
【0015】
代替例として、ホイール間のニップを通過した後、第1および第2のマット形成ホイールのうちの一方から他方へ、第1および第2のウェブのうちの一つを移送するための手段を設けることができ、かつ三つのウェブと、第1もしくは第2のマット形成ホイールにおいてともに運搬され重ね合わせられたコア要素とからなるユニットを、加圧デバイスへと移送するための手段を設けることができる。
【0016】
第2のマット形成ホイールと関連付けられた、少なくともエアレイ手段は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を備えていてもよい。
【0017】
マット形成ホイールの型は、マット形成ホイールの少なくとも周方向において異なるサイズを有していてもよく、かつ第1のマット形成ホイール上の型は、第2のマット形成ホイール上の型よりも大きなものであってもよい。
【0018】
本願発明は、エアレイド吸収コアを形成する方法に関するものであり、この方法は、以下の工程、すなわち、第1および第2のマット形成ホイール上の型に対して空気混入繊維材料をエアレイすることによって第1および第2のコア要素を形成する工程であって、第1および第2のマット形成ホイールは、それぞれ、その周面に沿って少なくとも一つの型を有するものである工程と、第1のマット形成ホイール上のコア要素と、第2のマット形成ホイール上のコア要素とを、互いに重ね合わせる工程と、型内に空気混入繊維材料と付加的な離散粒子との混合物をエアレイする前に、それぞれ、第1および第2のマット形成ホイールの周面に対して、外装材の第1および第2のウェブを設ける工程と、少なくとも一方の側に粘着性被覆を供えた外装材の第3のウェブを、第1および第2のマット形成ホイールとの間のニップを通過させる工程と、それぞれの第1および第2のマット形成ホイール上における形成されたコア要素が、第1および第2のマット形成ホイール間のニップの通過時に、第3のウェブに対して当接するように、マット形成ホイールを位置させる工程であって、これによって、エアレイドコア要素は、少なくとも部分的に外装材内に被包される工程と、を含む。
【0019】
好ましい実施形態において、第1および第2のコア要素を含むコア要素の輪郭の外側に配置された三つの層の一部をともに押圧するための手段が設けられる。ある代替例において、重ね合わせられた第1および第2のコア要素と、中間にある第3のウェブと、第1および第2のウェブとからなるユニットを、第1および第2のマット形成ホイール間のニップの通過後に、一対のローラーを通過させるための手段が設けられており、コア要素は、ニップを通過した直後に、その個々の型から引き出される。有利なことに、輪郭取りされたローラーが設けられ、かつローラーは、ホイール間のニップに近接する第1および第2のマット形成ホイールの間の領域に配置される。
【0020】
他の代替例において、ホイール間のニップの通過後、第1および第2のマット形成ホイールのうちの一方から、第1および第2のウェブのうちの一つを、他方へと移送させ、かつ三つのウェブと、第1もしくは第2のマット形成ホイール上のともに運搬され重ね合わせられるコア要素とからなるユニットを、加圧デバイスへと移送させる。
【0021】
マット形成ホイールの型は、マット形成ホイールの少なくとも周方向において異なるサイズを与えられるものであってもよく、かつ第1のマット形成ホイール上の型は、第2のマット形成ホイール上の型よりも大きなサイズを与えられるものであってもよい。空気混入繊維材料と離散粒子との混合物は、第1および第2のマット形成ホイールの両方の型に対しても供給することは可能であり、かつ不織布を、外装材の三つのウェブのための材料として選択することが好ましい。
【0022】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい実施形態に基づくエアレイド吸収コアを形成するための装置の概略側面図である。
【図2】第2の実施形態を図1と同様に示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、エアレイド吸収コアを形成するための装置の第1の好ましい実施形態を概略的に示す。この装置は、二つのフォーメーションドラム、すなわちマット形成ホイールを備えており、第1のホイール1および第2のホイール2のそれぞれが、その周面上に一連の型を有している。型底部すなわちスクリーンは、ワイヤメッシュまたは有孔スチールシートから形成可能なものである。フォーメーションチャンバーすなわちフード3,4は、二つのマット形成ホイール1,2の周面に結合されている。第1のマット形成ホイールのフード3に対向して、フード3とボックス5との間を通過する型の中へ空気混入パルプもしくはパルプとSAP−粒子との混合物を引き込むために、ホイール1の内部に吸引ボックス5が配置されている。同様に、第2のマット形成ホイール2のフードと協働する吸引ボックス6がホイール2の内側に配置されている。また、この装置は、パルプ繊維を離解するためのミル(例えばハンマーミル)と、繊維または繊維/SAP移送用のパイプと、各フード3,4に対して繊維または繊維/SAPを移送するためのファンとを備えている。これらの構成要素は当該技術分野において公知となっているため、これ以上詳しくは説明しない。本発明を理解するために、エア繊維と使用可能なSAP−粒子との均質な混合物が、装置使用時にフードの中に存在することを説明する必要がある。上述したように、各フード3,4はそれぞれの吸引ボックス5,6と協働するものであり、それは、個々のマット形成ホイールの内側に配置されかつ固定されている。それぞれのホイールの周面上の型が、ホイール回転中に、フードとそれと関連付けられた吸引ボックスとの間を通過する際に、フード内の空気混入材料が型の中に引き込まれ、そしてその中に配置される。マット形成ホイール1,2において、それぞれの吸引ボックス7,8は、個々の型においてその型の中に形成されたコア要素を保持するため、かつ形成されたコア要素の形状を保つために設けられている。外装材のウェブ9,10、例えば不織布は、矢印A1、A2によって示す各マット形成ホイール1,2の回転方向に見られるように、それぞれのフード3,4の上流で個々のマット形成ホイール1,2の周面に対して設けられる。そうしたウェブが、個々の型5,6上を通過するとき、型の底部に当接するよう、吸引力によってそのウェブが型の中に引っ張られることとなる。
【0025】
マット形成ホイール1,2は、その間に設けられるニップが少なくとも6mmとなるように、隣り合わせで配置されている。「ニップ」という語は、ホイール1,2の周縁が互いに最も近接するポイントを意味する。
【0026】
外装材の第3のウェブは、ホイール1,2の間のニップを通過させられる。このウェブは、適切な方法、例えば図1に概略的に示す接着剤塗布器によって、その片側もしくは両側が粘着性被覆でコーティングされるものである。接着剤は、ウェブの面積の10%以上が被覆されるよう、その表面全体にわたってウェブの上にスプレーされることが好ましい。
【0027】
もちろん、他の方法で接着剤を付加することも可能であり、例として、水によって活性化させられる接着剤もしくは室温では非粘着性を有するが熱によって活性化させられる接着剤であらかじめウェブを被覆することが挙げられる。
【0028】
図1に基づく装置において、第2のマット形成ホイール2上に形成された第2のコア要素は、第1のマット形成ホイール1上に形成された第1のコア要素の上へ第1のウェブとともに移送され、そして、重ね合わせられた第1および第2のコア要素を備える複合コアが、移送ローラー13と協働する二つのローラー14,15からなる加圧デバイス12へと供給されるまで、このウェブによってその上に保持されるものであり、これについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0029】
加圧後、複合コアは、切断デバイス16を通過させられ、そして続いて、本発明に基づく装置の一部である、吸収用品を生産するためのラインへと供給される前に加速デバイス17へと移送される。
【0030】
以下、図1に示す装置を使用する方法について説明する。
【0031】
マット形成ホイール1が矢印A1の方向に回転する場合、それによって、型はフード3と吸引ボックス5との間を連続的に通過させられる。フード3は、吸引力によって第1のマット形成ホイール上の型の中へ引き込まれかつその中に配置されるパルプ繊維とSAP−粒子との混合物を供給することが好ましい。このようにして、その型の中に第1のコア要素が形成される。マット形成ホイール2が矢印A2の方向に回転する場合、それによって、型がフード4と吸引ボックス6との間を連続的に通過させられる。このように経過する間に、パルプ繊維とSAP−粒子との混合物が第2のホイールにおける型の中にエアレイされる。パルプとSAP−粒子とからなる層は、5mmの厚さを有している。この層内のSAP−粒子の密度は、第1のマット形成ホイール1においてエアレイされた第1のコア要素において約10〜30wt%となっているSAP−粒子の密度よりも高く、約50〜70wt%である。第1および第2のホイールにおける型の底部に最も近接する不織布の層9,10は、SAP−粒子が型底部における孔を遮断しかつ詰まらせ、それによってエアレイされる材料の不均一な拡散をもたらす不均一な空気の拡散が生じること、およびそれらの底部が損傷されることを防ぐ機能を有している。驚くべきことに、パルプとSAP−粒子との混合物におけるSAP−粒子が型底部の材料を磨耗し得ることが判明している。また、これらのウェブは、第1および第2のコア要素がその型から引き出された後、ホイール1から加圧デバイス12へと複合コア要素を移送する間、それぞれの型内で形成されたコア要素からSAP−粒子が損失されることを防ぐ機能も有している。
【0032】
ホイール1,2における型は、その中に形成されるコア要素よりも浅くなっている。コア要素がエアレイされることによって各型内に形成された後、コア要素は、マット形成ホイール1,2間のニップに到達するまで、それぞれ、吸引ボックス7,8によってその各型内に保持される。
【0033】
ニップは、コア要素の外側(すなわち各型底部とは反対の側)がニップにおいて互いに当接するような寸法となされることが好ましい。言い換えれば、ニップは、二つのコア要素が一緒になる「結合ポイント」を構成する。ニップは、一般的に、互いに重なり合うコア要素の一部が結合ポイントにおいてわずかに重なり合うような寸法とされることが好ましい。各マット形成ホイール1,2における吸引ボックス7,8は、結合ポイントにおいて終端をなしている。ニップにおいて、ウェブ10はマット形成ホイール2を離れ、そしてマット形成ホイール1の周面に対して、その表面上で移動するコア要素の上部に付加される。ウェブ10がマット形成ホイール2上の型を離れるために、さらにウェブ10は、それとともに型内に形成されたコア要素を引き出し、そのため、このコア要素は、マット形成ホイール2からマット形成ホイール1への移送中にそれによって支持される。ニップの構成および型の「オーバーフィル」によって、ホイール1,2のうちの一方においてコア要素が重なり合うポイントはすべて、依然としてその型内に保持されているかもしくは他のホイール上のコア要素に重なり合う直前まで、ニップにおいて他方のホイール上のコア要素の外側に当接するようになる。したがって、厳密に調整されかつ正確なコア要素の重ね合わせが実現される。
【0034】
第2のマット形成ホイール2における型内に形成されたコア要素の強さは、そのSAP−粒子の含有率が高いため、連続的な移送および運搬中にその結合性が確実となるほど十分に高いものではなくなる恐れがある。ただし、図1を参照して説明した装置において、第2のマット形成ホイール上のコア要素は、ホイール1,2間のニップにおいて第3のウェブが接着剤で取り付けられるために補強される。図1からわかるように、このウェブは、各ホイール上のコア要素同士の間を通過させられるものであり、そのため、これらのコア要素がニップにおいて互いに当接するよう押圧されるため、いずれのコア要素においても互いに当接されるよう押圧されることとなる。したがって、ニップを離れる複合コアは、外装材の二つの層(すなわち9,10,11)の間に完全に被包される二つの重ね合わせられたコア要素を有しており、それによって、中間にある第3の層11は、両方のコア要素に共通するものとなる。
【0035】
第2のマット形成ホイール2上のコア要素が、第1のホイール上のコア要素の上へホイール1に対してウェブ10,11とともに移送された後、さらに、これらのウェブ10,11は、移送中に、このコア要素からSAP−粒子が損失されることを防ぐこととなる。
【0036】
その後、二つに重ね合わせられたコア要素からなる複合コアと、二つの外側ウェブ9,10と、中間ウェブ1とは、ホイール1の周面上において移送され、そして続いて複合コアの二工程加圧を実現する二つの加圧ローラー14,15のための台(anvil)として働く移送ローラー13へと移送される。続いて、加圧されたコアは、回転切断デバイス16を通過し、ここで、個々のコアが三つのウェブ9,10,11によって互いに保持される複合コアの列からなる複合ユニットから切断され、そして個々のコアは加速器17へと移送されるようになっており、それは、使い捨て生理用吸収用品の生産ラインにおける他の構成要素(例えば、そうした用品の外側外装シートの一つを構成する液体不透過性材料からなるウェブ上にコア)へと個々のコアを送出する。
【0037】
上述したように、マット形成ホイール1,2の間のニップを離れた重ね合わせられたコア要素は、それぞれ、ウェブ9,11および10,11の二つの不織材料のウェブによって、おのおの被包される。これは、ホイール1,2の一方におけるコア要素は、他のホイールにおけるコア要素の一部によって支持されるその前部を有する必要がなく、その前部は、一方のホイール上のコア要素を他方のホイールの周面に対して移送する間、能動的にガイドする当該二つのウェブの間に支持されることで十分であるということを意味する。
【0038】
したがって、上述した装置によって、互いに正確にオーバーラップし、重ね合わせられるよう関連付けられる二つのコア要素からなるコアを製造することができる。もちろん、互いにオーバーラップせず、同一空間にともに設けられるコア要素によるコアを製造することもできる。そうした装置によって、コア要素同士の間での重なりを変更させることによって、さまざまなサイズを有するコアを製造することが可能となる。
【0039】
もちろん、そうした装置は、コア要素同士の間に形成された重なりを調整するための手段、すなわち、一方のマット形成ホイール上の型の前縁がニップを通過する時刻を、他方のマット形成ホイール上の型の前縁がニップを通過する時期に対して制御するための、マット形成ホイールの同期状態を変更するための手段を有していなければならない。重なりを容易に調節する方法として、一方のマット形成ホイールが他方のホイールよりも先にその回転を始めるよう、マット形成ホイールの回転開始を変更することが挙げられる。もちろん、他の方法として、一方のホイールの角変位を他方に対して手動で調節することが挙げられる。
【0040】
図示した実施形態に基づく装置は、一分間当たり600コア以上という非常に高い速度での吸収コアの製造を可能にする。
【0041】
図2には、装置の第2の実施形態を示す。この実施形態と、図1を参照して説明した実施形態とは、主に重ね合わせられたコア要素が二つのマット形成ホイール間のニップの通過後、直にその個々の型から引き出されているという点において異なっている。第2の実施形態における装置において、図1に示す装置における構成要素と同じ構成要素は、プライム記号を付加して同じ参照数字で示す。
【0042】
図2からわかるように、一対のローラー18が、マット形成ホイール1’,2’の間に、これらの二つのホイールの間のニップのすぐ下に設けられている。ウェブ9’,10’,11’と、ウェブ9’,10’の間に保持されかつ中間ウェブ11’に対して取り付けられた重ね合わせコアの列とが、一対のローラー18を通過する。一対のローラー18は、ウェブ11の反対側において粘着性被覆に対してウェブ9’,10’を押圧することによって、互いに重ね合わせられたコア要素の輪郭の外側に延在するウェブ9’,10’,11’の一部を能動的に取り付けるよう機能する。このローラーは、輪郭取りされていてもよいが、接着剤でウェブを互いへと取り付けることによって、ウェブを密接に封止することによって被包を実現する前に、コア要素を加圧するためのものではない。連続的な複合コアの列は全体的にかつ密接に被包されており、したがって、複合コアの列は、中間ウェブ材料によってともに保持されるように形成される。そうした構成によって、コア要素が損傷されるかまたはSAP−粒子が損失される恐れがないように複合コアを所望したように移送することが可能となる。それゆえ、第2の実施形態に基づく装置を何らかの方法で生理用用品を生産するためのラインに配置することができるようになり、そうしたラインにおいて使用可能な空間を最適に使用できるようになる。
【0043】
本発明に基づくSAP−粒子の含有率が高いコア要素を備えた複合コアを形成する方法および使用される装置は、公知の方法および装置に対して多くの利点を提供する。二つのマット形成ホイール間のニップを離れる、全体的に被包されている複合コアを有することによって、SAP−粒子が損失される可能性が大幅に低減される。形成された複合コアの被包および移送に使用されるウェブは、個々の型(この型によって、一般的にそれを目的として使用されていたブローイングデバイスが型遅れとなる)からコアを引き出すためにも使用されており、かつ型の底部に対して設けられるウェブは、さらに、当該型を詰まりおよび損傷から保護する。中間ウェブは、接着剤が一方のウェブの上にではなく中間ウェブに対して直接的に塗布されているために、コア要素を補強しかつ加圧中に接着剤の漏れの可能性を低減させる。そうした漏れは、加圧デバイスの機能を損ねるように働くようになる。第2の実施形態からわかるように、生理用吸収用品を生産するためのラインにおける他の構成要素に対して、一対のマット形成ホイールを何らかの方法で配置することができる。
【0044】
上記実施形態に基づく装置は、もちろん、本発明の範囲から逸脱することのない多様な態様に変更することができる。コア要素の寸法は、上述した寸法以外にもさまざまにすることができる。不織布以外の他のタイプの外装材も使用することができ(???)、かつ第1のマット形成ホイール上のコア要素は、SAP−粒子を含んでいなくともよい。マット形成ホイールに関連付けられるエアレイするためのデバイスを、一つ以上とすることもできる。さまざまなエアレイデバイスにおいて、異なる繊維を使用することができ、かつ吸収用品を生産するための生産ラインへと製造されたコアを送出するための切断デバイスおよび加速器は、そうした生産ラインにおいて使用される他のタイプのそうした装置であってもよい。このように、本発明は、特許請求の範囲の記載のみにしか限定されないものである。
【符号の説明】
【0045】
1,1’ 第1のマット形成ホイール
2,2’ 第2のマット形成ホイール
3,3’,4,4’ フード
5,5’,6,6’ 吸引ボックス
7,7’,8,8’ 吸引手段
9,9’ 第1のウェブ
10,10’ 第2のウェブ
11,11’ 第3のウェブ
12 加圧デバイス
13 移送ローラー
14,15 ローラー
16,16’ 切断デバイス
17 加速デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアレイド吸収コアを形成するための装置であって、
前記装置は、
第1および第2のマット形成ホイール(1,2)であって、それぞれが、その周面に沿って少なくとも一つの型を有する前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)と、
それぞれの前記マット形成ホイール上の型に対して、空気混入繊維材料を供給するためのエアレイ手段(3,5および4,6)と、
それぞれの前記マット形成ホイール上の前記型の経路の一部の途中で、個々の前記型内の、形成された前記コア要素を保持する吸引手段(7,8)と、
前記第1のマット形成ホイール上のコア要素と前記第2のマット形成ホイール上のコア要素とを互いに重ね合わせるための手段と、
を具備してなり、
前記装置は、さらに、
前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)の周面の上に外装材(9,10)の第1および第2のウェブを設けるための手段であって、それぞれの前記マット形成ホイール内部の吸引手段(5,6)が、前記ウェブ状の材料を、前記吸引手段を通過する型の底部に対して当接するよう引っ張るようになっている手段と、
前記第1および第2のマット形成ホイール間のニップの中へ、その少なくとも一方の側に接着剤を備えた外装材の第3のウェブ(11)を提供するための手段と、
前記第3のウェブの少なくとも一方に粘着性被覆を設ける手段と、
を具備してなり、
前記マット形成ホイール(1,2)は、前記第1および第2のマット形成ホイール間のニップを通過するとき、それぞれの前記第1および第2のマット形成ホイール上の、形成された前記コア要素が前記第3のウェブ(11)に当接するように配置されており、それによって、前記エアレイドコア要素は、外装材の中に少なくとも部分的に被包されるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ニップの通過後、前記第1および第2のコア要素を含む前記コア要素の輪郭の外側に配置された三つの層(9,10,11;9’,10’,11’)の一部を共に押圧するための手段(13,14;18)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
重ね合わせられた前記第1および第2のコア要素と、中間にある前記第3のウェブ(11’)と、第1および第2のウェブ(9’,10’)とからなるユニットを、前記第1および第2のマット形成ホイール(1’,2’)間の前記ニップ通過後に、一対のローラー(18)を通過させるための手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ローラー(18)は、輪郭取りされかつ前記ホイール間の前記ニップに近接する前記第1および第2のマット形成ホイール(1’,2’)間の領域に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ホイール間の前記ニップの通過後、第1および第2のマット形成ホイール(1,2)のうちの一方から他方へ、前記第1および第2のウェブ(9,10)のうちの一つを移送するための手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記三つのウェブ(9,10,11)と、前記第1もしくは第2のマット形成ホイールにおいてともに運搬され重ね合わせられた前記コア要素とからなる前記ユニットを、加圧デバイス(12)へと移送するための手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のマット形成ホイール(2)と関連付けられた、少なくとも前記エアレイ手段(4,6)は、空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給するための手段を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記マット形成ホイール(1,2)の前記型は、前記マット形成ホイールの少なくとも周方向において異なるサイズを有しており、かつ前記第1のマット形成ホイール上の前記型は、前記第2のマット形成ホイール上の前記型よりも大きなものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
エアレイド吸収コアを形成する方法であって、
前記方法は、
第1および第2のマット形成ホイール(1,2)上の型に対して空気混入繊維材料をエアレイすることによって第1および第2のコア要素を形成する工程であって、前記第1および第2のマット形成ホイールは、それぞれ、その周面に沿って少なくとも一つの型を有するものである工程と、
前記第1のマット形成ホイール上のコア要素と、前記第2のマット形成ホイール上のコア要素とを、互いに重ね合わせる工程と、
を具備し、
前記方法は、さらに、
前記型内に空気混入繊維材料と付加的な離散粒子との混合物をエアレイする前に、それぞれ、前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)の前記周面に対して、外装材(9,10)の第1および第2のウェブを設ける工程と、
少なくとも一方の側に粘着性被覆を供えた外装材(11)の第3のウェブを、前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)との間の前記ニップを通過させる工程と、
それぞれの前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)上における形成された前記コア要素が、前記第1および第2のマット形成ホイール間の前記ニップの通過時に、前記第3のウェブ(11)に対して当接するように、前記マット形成ホイールを位置させる工程であって、これによって、前記エアレイドコア要素は、少なくとも部分的に外装材内に被包される工程と、
を具備することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第1および第2のコア要素を含む前記コア要素の輪郭の外側に配置された前記三つの層(9,10,11)の一部をともに押圧するための手段が設けられることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
重ね合わせられた前記第1および第2のコア要素と、中間にある前記第3のウェブ(11’)と、前記第1および第2のウェブ(9’,10’)とからなるユニットを、前記第1および第2のマット形成ホイール(1’,2’)間の前記ニップの通過後に、一対のローラー(18)を通過させるための手段が設けられており、前記コア要素は、前記ニップを通過した直後に、その個々の型から引き出されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
輪郭取りされたローラー(18)が設けられ、かつ前記ローラー(18)は、前記ホイール間の前記ニップに近接する前記第1および第2のマット形成ホイール(1’,2’)の間の領域に配置されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ホイール間のニップの通過後、前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)のうちの一方から、前記第1および第2のウェブ(9,10)のうちの一つを、他方へと移送させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記三つのウェブ(9,10,11)と、前記第1もしくは第2のマット形成ホイール(1,2)上のともに運搬され重ね合わせられる前記コア要素とからなる前記ユニットを、加圧デバイス(12)へと移送させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マット形成ホイール(1,2)の前記型は、前記マット形成ホイールの少なくとも周方向において異なるサイズを与えられ、かつ前記第1のマット形成ホイール(1)上の前記型は、前記第2のマット形成ホイール(2)上の前記型よりも大きなサイズを与えられることを特徴とする請求項9ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1および第2のマット形成ホイール(1,2)の両方の型に対しても空気混入繊維材料と離散粒子との混合物を供給し、かつ不織布を、外装材の三つのウェブ(9,10,11)のための材料として選択することを特徴とする請求項9ないし請求項15のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−544856(P2009−544856A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520702(P2009−520702)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050269
【国際公開番号】WO2008/010754
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】