説明

エアロゾルを保持するためのフィルタを有する通気バイアル・アダプタ

通気バイアル・アダプタは、通気アームに取り付けられたフィルタを有する。通気アームは、エアロゾル化した薬剤がバイアルから出るのを抑制し、バイアル内での薬剤の再構成中に細菌及び他の汚染物質がバイアルに入るのを抑制する少なくとも2つのフィルタ材を備える。フィルタ材は、均圧化のために空気がバイアルの外部の大気へと通過できるようにする。他の態様では、第3のフィルタ材がアダプタの通気口に使用されて、気体がアダプタを通って両方向に通過できるようにする一方で、大気中の細菌及び粒子状物質が第2のフィルタ装置に到達するのを阻止する。第1のフィルタは疎水性であり、非分散液体が第2のフィルタに到達するのを阻止する一方で、気体中に分散した液体を誘導する。第2のフィルタは、気体中に分散した液体を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、バイアル(ガラス瓶)と他の薬液容器の間の薬液の移動に使用される形式のバイアル・アダプタに関し、より詳細には、細胞毒性薬剤の安全な再構成及びバイアルからの抜き取りに有用な通気バイアル・アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物バイアルなどの容器に流体を注入したり、そうした容器から流体を除去したりするためのアクセス・ポートは周知であり、広範に使用されている。薬物バイアルの従来のシールは、一般に、ブチル・ゴムなどエラストマー材料で形成された貫通可能なゴム栓であり、バイアルの開口部内に配置される。クロージャ(密閉具)は、通常は金属で形成され、ゴム栓及びバイアルのフランジを覆うようにクリンプされて、栓をバイアルの開口部内の定位置に確実に保持する。クロージャは「仕上寸法」として知られる外寸を有する。尖ったカニューレがゴム栓を通して挿入され、カニューレの遠位の開放端がゴム栓を通過するように位置付けられ、バイアルの内部と流体連通するようになされる。化学療法又は核医学で使用されるものなど、薬剤によっては、ゴム栓が比較的厚く作成されて、漏れに対する保護が強化される。
【0003】
バイアル・アダプタは、栓の貫通に使用される尖ったカニューレを取り付け、カニューレをバイアルの内部に十分深く移動させて、バイアルと別の流体容器の連結装置又は流体誘導装置との流体連通を確立することができる点で有用であることが判明している。例えば、アダプタは、尖ったカニューレの反対側に雌ルアー・フィッティングを備えて、シリンジ(注射器)の雄ルアーを受けることができる。従って「アダプタ」は、バイアルをシリンジに適合させ、又は尖ったカニューレをシリンジの雄ルアーに適合させるものである。
【0004】
幾つかの適用例では、アダプタをバイアルに取り付け、又は固定して、バイアルと他の装置との流体連通が行われる間、アダプタを定位置に保持する手段を提供して、アダプタがバイアルから不慮に分離されないようにすることが有用であることも判明している。例えば、アダプタは、バイアルのネック又はフランジと係合し、アダプタをバイアル上で定位置に保持するアームを有することができる。他の手段は、バイアル・クロージャの外側の周囲に嵌合し、バイアルのフランジの下面のクリンプされた保持キャップの下でバイアル・クロージャにスナップ嵌めされる円形スロット付きハウジングを備え、それによってバイアル・ネック・フランジ及びクロージャの下面が把持される。円形ハウジングは、通常、バイアル開口部のフランジの下に配置された複数のつめ又は他の保持装置を有し、それによってアダプタがバイアルから外れるのを妨げる。
【0005】
また、幾つかの適用例では、アダプタ内に配置された弁を有し、それが閉鎖システムになることが有用であることも判明している。弁付きアダプタは、例えば弁がシリンジによって故意に開放されるまで、流体がアダプタを通ってバイアルから漏れることなく、尖ったカニューレがバイアルの内容物と係合することができるようにする。次いで、第2の流体装置が用意されると、第2の流体装置をアダプタに連結して、弁を開放又は作動させることによって、バイアルと第2の流体装置の間を流体が流れることができるようにする。
【0006】
ガラス又は高分子材料で作成されたバイアルは、バイアルの壁が折りたたみ不可能であり、薬液が抜き取られるときにバイアル内に部分的真空が形成されるのを防ぐための空気入口が必要である。こうした部分的真空は流体をバイアルから抜き出すのを妨げる。通常、こうしたバイアルに使用されるアダプタは、薬剤流体用管腔と通気管腔の両方をその中に含む尖ったカニューレを有する。通気流体管腔は、流体がバイアルに加えられるとき、又はバイアルから抜き取られるときに均圧化し、こうした流体の動きが平滑になるようにする。
【0007】
多くの薬剤が調製され、貯蔵され、乾燥又は凍結乾燥された形でガラス製バイアルに供給される。こうした薬剤は、使用時に希釈液を加えることによって再構成しなければならない。希釈液を乾燥又は凍結乾燥薬剤に加える多様な方法が長年にわたり使用されている。一般に使用されている一方法は、瓶又はシリンジに入れられた希釈液を尖ったカニューレを有するバイアル・アダプタに連結するバイアル・アダプタ技法である。希釈液容器に連結した後、尖ったカニューレがバイアルのクロージャ及びゴム隔壁を通して突き刺され、希釈液がバイアル内にある乾燥又は凍結乾燥薬剤に流される。再構成後、通常は液体がバイアルから静脈液剤瓶、若しくはシリンジ、又は他の容器内に抜き取られて、静脈内(「IV」)投与セット又は他の手段によって患者に投与される。
【0008】
こうした再構成では、通気バイアル・アダプタが使用されて、上記で論じたバイアル内の部分的真空又は高圧の問題が全て回避される。これらは、ときに均圧バイアル・アダプタとして知られている。しかし、幾つかの通気バイアル・アダプタでは、この技法は不十分である。なぜなら、バイアル・アダプタにフィルタが存在しない場合、再構成した薬液の引き抜き中に、乾燥又は凍結乾燥材料と希釈液の両方が周囲の空中浮遊細菌汚染に曝される恐れがあるからである。
【0009】
化学療法液又は核医薬品など幾つかの薬液の再構成工程中に、バイアル内のエアロゾル又は液滴の形成からもたらされる周囲空気の汚染が回避されることも望ましい。本明細書で使用される際、エアロゾルは、空気など気体中に固体又は液体粒子が懸濁されたものである。希釈液のバイアルへの注入中には汚染の可能性があり、これは、バイアルの閉鎖空間により多くの材料が加えられるためであり、従って、バイアルから等しい量の空気を外に流すようにアダプタを通気して、添加物のための空間を生成しなければならない。このバイアルから除去する空気を外部の大気に流し出す場合、特に、細胞毒薬、化学療法薬、麻酔薬、同位元素を含む媒体(media containing isotopes)、及び多様な種類のアレルギー誘発物質で空気が汚染されている場合、こうした汚染が、とりわけ、それらに曝される職員のアレルギー反応の形で問題を引き起こす恐れがある。
【0010】
再構成中に液体材料のエアロゾルが周囲大気に出るのを防止するように設計された折りたたみ不可能な容器で使用される通気バイアル・アダプタを提供することも望ましい。処置を行なう人が、薬剤との接触、特にエアロゾル化した薬剤の吸入を回避することが望ましい。十分な通気及び濾過を有するバイアル・アダプタがこうしたエアロゾル化を回避するために必要である。
【0011】
従来の通気バイアル・アダプタでは、尖ったカニューレ内の通気管腔は、薬剤の抜き取り又は吸入中に粒子状物質又は細菌がバイアル内に入るのを阻止するフィルタに通じる。フィルタは外部の大気への通気も阻止する。従来技術の装置の欠点は、薬剤のエアロゾルを保持する能力が限られていることである。通常のアダプタは、約0.2ミクロンの孔径を有するように形成された膜フィルタを使用している。多くの薬剤のエアロゾルはこうしたフィルタを通過することが知られている。
【0012】
従って、当業者が認識しているように、バイアルの再構成された内容物の抜き取り中に細菌及び他の汚染物質がバイアルの内容物に到達するのを阻止するためのフィルタを有し、エアロゾル化され再構成されたバイアルの内容物がバイアルから周囲環境に逃げないようにエアロゾル保持能力が向上された均圧バイアル・アダプタが必要とされている。本発明は上記その他の必要を満たすものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、簡潔且つ一般的に言えば、バイアルの薬剤のエアロゾルの流れがバイアルから出て周囲大気に入るのを阻止するためのフィルタが設けられた剛性バイアル内での薬剤の再構成に使用されるシステム及び方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
より詳細な態様によれば、バイアルの開口部上に配置された貫通可能なシールを有するバイアルにアクセスする際にエアロゾルを保持するための通気バイアル・アダプタであって、薬剤用管腔及び通気管腔を有し、バイアルのシールを貫通するための比較的尖った先端部を有するカニューレと、カニューレの薬剤用管腔と流体連通しており、液体をバイアル内に導入すること及びバイアルから除去することができるように構成された薬剤用ポート、並びにカニューレの通気管腔と流体連通しており、濾過された空気がバイアルの外部の大気に出入りすることができるようにして、液体がバイアルに導入されるとき及びバイアルから除去されるときに、バイアル内の空気圧を外部の大気と均圧化することができるように構成された通気ポートを有する本体部分と、カニューレの通気管腔と通気ポートの間に配置され、気体中に分散した液体の通過を可能にする一方で非分散液体を封じ込めるように構成された第1のフィルタ装置と、第1のフィルタ装置と通気ポートの間に配置され、気体中に分散した液体を吸収するように構成された第2のフィルタ装置とを備える通気バイアル・アダプタが提供される。
【0015】
さらなるより詳細な態様では、第1のフィルタ装置が第1の孔径を有する孔を含み、第2のフィルタ装置が第1の孔径と異なる第2の孔径を有する孔を含む。第1のフィルタは疎水性であり、液体が第1のフィルタを通過するのを阻止するように選択された孔径を有して、第1のフィルタが第2のフィルタを濡らすのを阻止する。第2のフィルタ装置は液体粒子を吸収するように構成された乾燥剤を含む。第2のフィルタ装置は液体粒子を捕捉する径の孔を有する分子ふるいを備える。第2のフィルタ装置が極性分子を吸着するように適合された極性表面を有する孔を含む、請求項1に記載のバイアル・アダプタ。
【0016】
さらに詳細な態様では、バイアル・アダプタは、第2のフィルタ装置と通気ポートの間に配置され、細菌の通過を抑制するように構成された第3のフィルタ装置をさらに備える。
【0017】
他の態様によれば、バイアルの開口部上に配置された貫通可能なシールを有するバイアルにアクセスする際にエアロゾルを保持するための通気バイアル・アダプタであって、バイアルと係合して、バイアル・アダプタをバイアルにしっかり取り付けるように構成された可撓性取付装置と、取付装置上のカニューレであって、バイアルのシールを貫通するように構成された尖った先端部、尖った先端部に隣接する通気開口部、スロット、及びスロット上の薬剤用開口部を有し、通気開口部が、カニューレを通って延びる通気管腔に通じ、薬剤用開口部が、カニューレを通って延びる薬剤用管腔に通じる、カニューレと、カニューレの薬剤用管腔と流体連通している弁を有する本体部分であって、弁が閉鎖位置に付勢され、弁が開放位置に作動されると液体がバイアルに導入されること及びバイアルから除去されることができるように構成される本体部分と、第1の開口部及び第2の開口部を有する細長いフィルタ・チャンバであって、第1の開口部がカニューレの通気管腔と流体連通しており、第1のフィルタ装置及び第2のフィルタ装置を備え、第1のフィルタ装置が第1の開口部と第2のフィルタ装置の間に配置され、気体中に分散した液体が第2のフィルタへと通過できるようにする一方で非分散液体を封じ込めるように構成され、第2のフィルタ装置が第1のフィルタ装置と第2の開口部の間に配置され、気体中に分散した液体を吸収するように構成される、細長いフィルタ・チャンバとを備える通気バイアル・アダプタが提供される。
【0018】
より詳細な態様では、第1のフィルタ装置が第1の孔径を有する孔を含み、第2のフィルタ装置が第1の孔径と異なる第2の孔径を有する孔を含む。第1のフィルタは疎水性であり、液体が第1のフィルタを通過するのを阻止するように選択された孔径を有して、第1のフィルタが第2のフィルタを濡らすのを阻止する。第2のフィルタ装置は液体粒子を吸収するように構成された乾燥剤を含む。第2のフィルタ装置は液体粒子を捕捉する径の孔を有する分子ふるいを備える。第2のフィルタ装置は極性分子を吸着するように適合された極性表面を有する孔を含む。フィルタ装置はさらに、第2のフィルタ装置とフィルタ・チャンバの第2の開口部の間に配置され、細菌の通過を阻止するように構成された第3のフィルタ装置を備える。
【0019】
本発明の方法の態様によれば、バイアルの開口部上に配置された貫通可能なシールを有するバイアルにアクセスする際にエアロゾルを保持する方法であって、互いに分離した薬剤用管腔及び通気管腔を有する尖ったカニューレでバイアルのシールを貫通すること、非分散液体をカニューレの薬剤用管腔を通してバイアル内に誘導すること、気体をバイアルの外に、通気管腔を通り、通気管腔と流体連通している通気ポートを通ってバイアルの外部の大気へと誘導すること、非分散液体が通気管腔を通過して外部の大気へと出るのを第1のフィルタ装置で阻止すること、気体中に分散した液体を第1のフィルタ装置に通すこと、及び気体中に分散した液体を第1のフィルタ装置と通気ポートの間に配置された第2のフィルタ装置で吸収することを含む方法が提供される。
【0020】
より詳細な方法の態様では、気体中に分散した液体を第1のフィルタ装置に通す段階が、分散した液体を第1の孔径を有する第1のフィルタ装置の孔を通過させることを含み、気体中に分散した液体を第2のフィルタ装置で吸収する段階が、分散した液体を第1の孔径よりも小さい第2の孔径を有する第2のフィルタ装置の孔で吸収することを含む。非分散液体が通気管腔を通って外部の大気に出るのを阻止する段階は、非分散液体の通過を疎水性材料で阻止することを含む。非分散液体の通過を阻止する段階は、液体の通過を阻止するように選択された孔径を有するフィルタ材料で非分散液体の通過を阻止することを含む。気体中に分散した液体を吸収する段階は、分散した液体を乾燥剤で吸収することを含む。気体中に分散した液体を吸収する段階は、分子ふるいの孔で液体粒子を捕捉することを含む。気体中に分散した液体を吸収する段階は、極性表面を有する孔で極性分子を吸着することを含む。
【0021】
さらに別の方法の態様では、この方法は、バイアルの外部の大気から細菌が通気管腔に通過するのを阻止することを含む。細菌が通気管腔に通過するのを阻止する段階は、多孔性材料の薄膜を含む。
【0022】
本発明の上記その他の態様、特徴、及び利点は、本発明の原理を一例として示す添付の図面と併せ見れば、好ましい実施例の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アダプタに別の薬液容器を連結できるようにする薬剤用ポートを形成する無針弁コネクタの角度から通気バイアル・アダプタを示す斜視図であって、スロット付きバイアル・コネクタ・ハウジング、側部通気用アーム、及びバイアルの内容物の再構成中及びその後の抜き取り中に剛性壁付きバイアル内の均圧化に使用されるフィルタも示す図である。
【図2】バイアルの開口部分の上方に位置付けられた図1のバイアル・アダプタを示す側面図であって、バイアルの隔壁を貫通するための比較的尖った先端部を有するカニューレを示し、スロット付きコネクタ・ハウジングがバイアル・フランジに取り付けられると、それによってバイアルで再構成中且つ抜き取り中にバイアル・アダプタがバイアルにしっかり固定されるのを示す図である。
【図3】尖ったカニューレを通って延びる薬剤用管腔及びハウジングの本体部分を示し、尖ったカニューレ及び本体部分を通る通気管腔の限られた範囲の図を示す、約45度回転させた図1及び2のバイアル・アダプタを示す断面斜視図である。
【図4】図3の回転と反対方向に約20度回転させた図1及び2で示したバイアル・アダプタを示す断面斜視図であり、尖ったカニューレ及び本体部分を通って延びる通気管腔を示し、通気アーム、並びに、第1の開口部、第2の開口部、第1と第2の開口部の間に配置された第1のフィルタ装置、及び第1のフィルタ装置と第2の開口部の間に配置された第2のフィルタ装置を有する通気アームに取り付けられたフィルタ装置を断面図で示す図である。
【図5】通気及び薬剤用管腔の開口部を明らかにするカニューレの尖った先端部を平面図で示す、図1及び4のバイアル・アダプタを示す底面図である。
【図6】薬剤及び通気管腔の位置、並びにそれぞれの断面形状を示す他に、本体部分の通気アーム内のチャンバの内部形状を示す、図1から4のバイアル・アダプタの本体部分を示す断面図である。
【図7】カニューレの尖った先端部及びカニューレの通気開口部を示す側面図である。
【図8】カニューレの尖った先端部及びカニューレの通気開口部を示す、90度回転させた側面図である。
【図9】カニューレの尖った先端部及び薬剤用開口部のための開放チャネル又はスロットを示す図である。
【図10】第1の開口部、第2の開口部、第1のフィルタ装置、第2のフィルタ装置、及び第3のフィルタ装置を有し、第2のフィルタ装置が第1と第2のフィルタ装置の間に配置されたフィルタ・チャンバを示す、フィルタ装置の第2の実施例を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、より詳細な図面を参照すると、図1及び2に、本発明の態様によるバイアル・アダプタ20の一実施例が示されている。図面では、同様の参照番号は図の中の同様又は対応する装置を指す。バイアル・アダプタは、本体部分22、スロット付きバイアル取付ハウジング24、この実施例では本体部分の長手方向軸27に対して90度に形成された通気アーム26、フィルタ装置28、内部弁32を有する無針弁コネクタ30、雄コネクタに結合するための外部ねじ山33、雌ルアー連結ポート34、及びシールされたバイアルの隔壁を貫通するための尖ったカニューレ44を備える。無針弁コネクタ30は多様な形態をとることができる。一形態は、ALARIS Products division of Cardinal Health、San Diego、CaliforniaからのSmartSite弁コネクタである。こうしたコネクタの構造及び動作の詳細が、参照により本明細書に採用する、Leinsingの米国特許第5,676,346号に記載されている。
【0025】
図2をより詳細に参照すると、バイアル110の一部も示されている。このバイアルは、それぞれ流体がバイアルに導入され、又は流体がバイアルから抜き取られるときに拡張したり折りたたまれたりしない剛性壁112を備える。バイアルは、バイアルの内部チャンバ118へのアクセスを可能にする開口部116を有するバイアル・フランジ114を備える。この図では、バイアルの開口部がバイアル・フランジの一部を覆う隔壁フランジ122を備える隔壁120でシールされる。隔壁を定位置に固定するのはクリンプされたクロージャ124である。クロージャ124はバイアル・フランジの上部上の隔壁を覆うように形成され、バイアル・フランジの外面126の周囲に延び、バイアル・フランジの下面128にクリンプされて、隔壁を定位置にしっかり保持してバイアルの開口部をシールする。クロージャはポート130を含み、ポート130を通して尖ったカニューレを押し込み、バイアルの内部チャンバと流体連通させることができる。図2の場合、バイアル110の上方に位置付けられたバイアル・アダプタ20の尖ったカニューレ44を使用することができる。図2は原寸に比例していないが、バイアル取付ハウジング24は、カニューレがバイアル内部チャンバ118内に延びて流体連通する間、バイアル・フランジ114上に嵌合する大きさであることを留意されたい。スロット36は、ハウジングが外向きに屈曲できるようにし、それによってバイアル・フランジ及びクロージャ124を受けるように拡張することができるようにする。バイアルに連結するためのスロット付きハウジング24のさらなる詳細は、参照により本明細書に採用する、Leinsingの米国特許第6,875,205号を参照されたい。
【0026】
断面図で示した図3の実施例では、無針コネクタ30は、ばねセクション39に取り付けられたピストン・ヘッド38を有するエラストマーの弾性ピストン37を備える。ばねセクションは、ピストン・ヘッドを図3で示した閉鎖構成に付勢する。ピストン・ヘッドは自然開孔35を含み、自然開孔35は、ピストン・ヘッドが本体22の比較的大きい径56セクション内に押し込められると、自然に開口し、又は自動的に開口する。また、この作用により、ピストンのばねセクションが圧縮され、孔が閉鎖する閉鎖位置にピストン・ヘッドを戻すエネルギーが蓄積される。
【0027】
図3は、以下の図4、5、及び10でさらに詳細に記載するフィルタ装置28も斜視図で示している。フィルタ装置は、本体部材22の側部通気アーム26上に嵌合するフィルタ・ステム40、及び本体部材の長手方向軸27から角度を付けるように方向付けられた細長いフィルタ・チャンバ42を有する。本体の側部通気アームは、図で示したものと異なる角度でもよく、側部アームへのフィルタ装置の連結を図で示したもの以外の構成にしてもよい。図3で示したように、弁32はカニューレ44と流体連通しており、カニューレ44はバイアル取付ハウジング24内の長手方向軸27に沿うように方向付けられる。カニューレは、上記のようにハウジングがバイアル上に押し付けられたときに、バイアル110(図2)の内部空間118に入る。この実施例では、流体を弁32に誘導し、弁がこの開放位置にあるときに薬剤の許容流量を可能にするための開放チャネル又はスロット48がカニューレに形成される。
【0028】
図3の断面斜視図では、尖ったカニューレ44の薬剤用開口部50がカニューレに形成された開放チャネル又はスロット48に隣接するように配置される。薬剤用開口部は、尖ったカニューレ44及び本体部分22を通って延びる薬剤用管腔52の一部である。薬剤用管腔は弁32と流体連通している。弁は本体部分に形成された拡大された円筒形空洞56に隣接する。この空洞内に、ピストン38の一端を保持するための円形溝58が形成される。図3には、バイアル・フランジ114(図2)の下側を把持してバイアル・アダプタ20をバイアル110に対してしっかり保持するためのつめの形態のアンカー装置60も示されている。
【0029】
図3の断面図で、カニューレ44内の薬剤用開口部50及び薬剤用管腔52をさらに詳しく調べることができる。薬剤用開口部がカニューレの長手方向軸27に対して概ね垂直であるのを見ることができる。開口部50に十分な流体を出入りさせて、十分な薬剤の流量を得ることができるようにするため、開放チャネル又はスロット48が、尖った先端部46から薬剤用開口部50までカニューレの側面に形成され、より多くの流体が薬剤用開口部を通って流れることができるようになされる。
【0030】
図に完全に示されていないが、通気管腔62を見ることができる。この実施例では、通気管腔は薬剤用管腔52から分離されている。この実施例では、カニューレ44の通気管腔開口部66がカニューレの尖った先端部46に見える。
【0031】
図4は、バイアル・アダプタ20を通る通気管腔62の経路をよりはっきりと表す図である。この実施例では、通気システムを明瞭に示すために、ピストン及び弁が取り除かれている。この実施例では、無針コネクタ30用の取付構造部63(図示せず)は本体部分22の一部を形成する。本体部分22は、通気アーム26内の比較的大きい通気空洞70に通じる直角の通気管腔部分64を備える。フィルタ装置28は、通気アーム上にしっかりと取り付けられて、バイアル・アダプタの通気経路を通って移動する流体が全てフィルタ装置によって濾過されなければならないようにする。フィルタ装置の構造及び動作を以下にさらに詳細に記載する。
【0032】
この実施例のバイアル取付ハウジング24の構造のさらに詳細な説明を続けると、図5は、図をはっきりと見やすくするためにフィルタ装置28が取り除かれた状態の、図1〜4のバイアル・アダプタの底面を示す平面図である。ハウジングの半径方向の中心線72及び74に関して、通気開口部66及び薬剤用開口部50がカニューレ44上に示されている。薬剤用開口部及び通気開口部は共通の中心線72上に存在する。中心線72と74の交点は、2つの中心線によって画定される平面に対して垂直に延びる長手方向軸27(図1及び2)の位置を示す。薬剤用開口部が長手方向軸27上に存在することを留意されたいが、他の実施例ではそうでなくてもよい。
【0033】
図6は、薬剤用管腔52及び通気管腔62の一部を示す断面図である。通気アーム26内に配置された直角の通気管腔部分64及び通気空洞70も見ることができる。この図は、中心線72及び74も示している。この実施例では、薬剤用管腔52の断面形状が円形であり、長手方向軸27上に配置されているが、軸に心合わせされていないことを留意されたい。一方、通気管腔62の断面形状は、全般的に、4つの側面を有する多角形であり、その1つが薬剤用管腔に向き合い、全般的に凹面であり、その反対側が薬剤管腔から離れるように向き合い、凸面である。当業者には明らかなように、通気管腔及び薬剤用管腔の他の形状及び配置も可能である。
【0034】
図7、8、及び9は、カニューレの開口部の構成を見ることができるように、薬剤52及び通気62の2つの管腔、並びに比較的尖った先端部46を有するカニューレ44の一実施例を示す側面図である。図7及び8は、各図の間で90度回転させた通気開口部66を示す。通気開口部は通気管腔62に通じ、通気管腔62は、図8に破線で示したように、開放チャネル又はスロット48に隣接して延びる。図9は、別の90度回転させた、図7から180度回転させたカニューレを示す図であり、薬剤用管腔52上の薬剤用開口部50に流体を出入りさせるための、カニューレの側面に形成された開放チャネル又はスロット48をはっきり見ることができるようになされている。開口部、スロット及びチャネルの他の形状、方向付け、及び配置が当業者には明らかであろう。
【0035】
次に図4に戻ると、フィルタ装置28のフィルタ・チャンバ42は第1の開口部76及び第2の開口部78を含む。第2の開口部は使用中にバイアル・アダプタ20に固定されたバイアルの外部の周囲大気への通気ポートとして働く。第1の開口部は通気アーム26の通気空洞70に隣接し、カニューレ44の通気管腔62と流体連通している。
【0036】
フィルタ・チャンバ42は、通気管腔62の内径よりも実質的に大きい内径を有し、それによってより大きい濾過面積及び流量が可能になる。第1及び第2の開口部76及び78は間隙80によって分離され、間隙80内に第1のフィルタ装置82及び第2のフィルタ装置84が含まれる。第1のフィルタ装置は第1の開口部76と第2のフィルタ装置の間に配置され、第2のフィルタ装置は第1のフィルタ装置と第2の開口部78の間に配置される。
【0037】
この実施例では、第1のフィルタ装置82の外周がフィルタ・チャンバ42の内側円筒形壁86に取り付けられて、流体が第1のフィルタ装置の外周の周りを通過することができないようになされる。本明細書で使用されるように、用語「流体」は常識的に使用されるため、液体と気体の両方を指す。しかし、第1のフィルタ装置は、気体中に分散した液体粒子を含む気体が第1のフィルタ装置を両方向に通過することができるように構成される。第1のフィルタ装置はさらに、非分散液体、すなわち気体中に小さい粒子として分散されない液体の通過を阻止するように構成される。空気中に懸濁される液滴の形のエアロゾル化された薬剤は、第1のフィルタ装置を通過することができるが、第1のフィルタ装置は液薬の比較的大きい液滴又は塊が第1のフィルタ装置を通過するのを阻止する。
【0038】
好ましくは、第1のフィルタ装置82は液体吸収に対する耐性があり、又は疎水性であり、液体で簡単に目詰まりするのを防ぐものである。さらに、第1のフィルタ装置は、周囲大気中の細菌又は他の微生物が第1の開口部76を通過し通気管腔62内に入るのを阻止するように構成されることが好ましいが、これは必須ではない。第1のフィルタ装置は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び他のビニル・ポリマーなど(これに限らない)、多孔性材料の薄膜又はパッドでもよい。
【0039】
この実施例では、第1のフィルタ装置82は少なくとも0.2ミクロンの比較的小さい孔径を有することが好ましい。第1のフィルタ要素の孔径が約0・2ミクロンでは、気体中に分散されたより多くの液体が阻止されるが、取り付けられたバイアル内部の空気圧と周囲の空気圧の均圧化の速度が下がる恐れがある。約3ミクロンまでの比較的大きい孔径を使用すると、均圧化の速度を上げながら、比較的大きいサイズの細菌、液滴、及び他の粒子を阻止することができる。小さい孔径と組み合わせて疎水性障壁を提供する第1のフィルタの構成は、第2のフィルタが濡れるのを防止するものである。第1のフィルタ装置を通って流れる粒子は、以下に詳細に記載するように、第2のフィルタ装置84によって保持される。
【0040】
第2のフィルタ装置84は、第1のフィルタ装置82を通過する気体中に分散した液体粒子がフィルタ装置82の第2の開口部78の外に排出されるのを阻止するように構成される。分散した液体粒子を保持するため、第2のフィルタ装置は、第1のフィルタ装置の孔よりも小さい径を有する孔を含むことが好ましい。第2のフィルタ装置は、2つ以上の孔径を有して、多様な粒径を有する薬剤のエアロゾルが第2のフィルタ装置によって保持されるようにすることができる。第2のフィルタ装置の孔を、取り付けられたバイアル内の薬剤が抜き取られるときに、第2の開口部78内に吸い込まれる周囲空気中の細菌及び粒子状物質を捕捉する孔径にすることもできる。
【0041】
第2のフィルタ装置84は、取り付けられたバイアルから来るエアロゾルの粒子を保持、吸収、結合、又は捕捉する乾燥剤の粒子、ペレット、又はビーズ、或いは分子ふるい材料を含むことができる。第2のフィルタ装置用の材料には、シリカゲルなど高多孔性非晶質酸化ケイ素、ゼオライトなどアルミノケイ酸塩、又はその組み合わせが含まれるが、これらには限定されない。有利なことに、ゼオライトは、水又は他の液体の分子など不均一な電子密度分布の極性分子を選択的に吸着する極性表面を有する多孔性構造を有する。乾燥剤又は分子ふるい材料がフィルタ・チャンバ42内に配置され、又は詰め込まれて、薬剤の液体粒子を吸着して保持する屈曲した経路と表面の網が形成されることが好ましい。
【0042】
図10には、第3のフィルタ装置88を有するフィルタ装置28の第2の実施例が示されている。この実施例では、第3のフィルタ装置は、第2のフィルタ装置84とフィルタ・チャンバ42の第2の開口部78の間に配置され、通気開口部78とも呼ばれる第2の開口部はバイアル・アダプタ20を取り囲む周囲環境に露出されている。第3のフィルタ装置の外周はフィルタ・チャンバ42の内側円筒形壁86に取り付けられて、流体が第3のフィルタ装置の外周の周りを通過することができないようになされる。第3のフィルタ装置は、気体が第3のフィルタ装置を両方向に通過することができるようにするが、バイアル・アダプタ20を取り囲む周囲大気中の細菌及び粒子状物質が通気開口部78から第2のフィルタ装置84に到達するのを阻止し、又は少なくとも抑制するように構成される。第2のフィルタ装置は外部の汚染物質から保護されているため、第2のフィルタ装置には薬剤の液体粒子を吸収するためのより多くの孔を使用することができる。
【0043】
第3のフィルタ装置88は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び他のビニル・ポリマーなど(これらに限らない)、多孔性材料の薄膜又はパッドでもよい。第3のフィルタ装置は厚さ及び材料のタイプが第1のフィルタ装置82と同一でもよい。しかし、第3のフィルタ装置は比較的小さい孔を目詰まりさせる可能性がある薬剤の液体粒子に曝されないため、第3のフィルタ装置は第1のフィルタ装置よりも小さい孔径を有することができる。
【0044】
理解されるように、本発明は、薬剤のバイアルにアクセスする際に薬剤のエアロゾルを保持するものである。希釈液がバイアルに加えられて、乾燥又は凍結乾燥された形の薬剤が再構成される場合に、薬剤の粒子が周囲大気を汚染することなく、バイアル内の空気が加えられた希釈液によって変位され、排出される。薬剤がバイアルから抜き取られ、又は吸引されると、周囲大気からの空気がフィルタ装置を通ってバイアル内部に吸い込まれ、それによって、空気中の細菌及び粒子状物質がバイアル内部を汚染することなく、バイアルの空気圧と周囲大気が均圧化される。
【0045】
本発明を幾つかの好ましい実施例に関して記載したが、当業者には明らかな他の実施例も本発明の範囲内にある。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の参照のみにより規定されるものとする。変形形態を記載し図で示したが、理解されるように、こうした変形形態は本発明の単なる例であり、決して限定的なものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルの開口部上に配置された貫通可能なシールを有するバイアルにアクセスする際にエアロゾルを保持するための通気バイアル・アダプタであって、
薬剤用管腔及び通気管腔を有し、前記バイアルの前記シールを貫通するための比較的尖った先端部を有するカニューレと、
前記カニューレの前記薬剤用管腔と流体連通しており、液体を前記バイアル内に導入すること及び前記バイアルから除去することができるように構成された薬剤用ポート、並びに
前記カニューレの前記通気管腔と流体連通しており、濾過された空気が前記バイアルの外部の大気に出入りすることができるようにして、液体が前記バイアルに導入されるとき及び前記バイアルから除去されるときに、前記バイアル内の空気圧を外部の大気と均圧化することができるように構成された通気ポートを有する本体部分と、
前記カニューレの前記通気管腔と前記通気ポートの間に配置され、気体中に分散した液体の通過を可能にする一方で非分散液体を封じ込めるように構成された第1のフィルタ装置と、
前記第1のフィルタ装置と前記通気ポートの間に配置され、気体中に分散した液体を吸収するように構成された第2のフィルタ装置とを備える通気バイアル・アダプタ。
【請求項2】
前記第1のフィルタ装置が第1の孔径を有する孔を含み、前記第2のフィルタ装置が前記第1の孔径と異なる第2の孔径を有する孔を含む、請求項1に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項3】
前記第1のフィルタが疎水性であり、液体が前記第1のフィルタを通過するのを阻止するように選択された孔径を有して、前記第1のフィルタが前記第2のフィルタを濡らすのを阻止する、請求項2に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項4】
前記第2のフィルタ装置が液体粒子を吸収するように構成された乾燥剤を含む、請求項1に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項5】
前記第2のフィルタ装置が液体粒子を捕捉する径の孔を有する分子ふるいを備える、請求項1に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項6】
前記第2のフィルタ装置が極性分子を吸着するように適合された極性表面を有する孔を含む、請求項1に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項7】
前記第2のフィルタ装置と前記通気ポートの間に配置され、細菌の通過を抑制するように構成された第3のフィルタ装置をさらに備える、請求項1に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項8】
バイアルの開口部上に配置された貫通可能なシールを有するバイアルにアクセスする際にエアロゾルを保持するための通気バイアル・アダプタであって、
前記バイアルと係合して前記バイアル・アダプタを前記バイアルにしっかり取り付けるように構成された可撓性取付装置と、
前記取付装置上のカニューレであって、前記バイアルの前記シールを貫通するように構成された尖った先端部、前記尖った先端部に隣接する通気開口部、スロット、及び前記スロット上の薬剤用開口部を有し、前記通気開口部が、前記カニューレを通って延びる通気管腔に通じ、前記薬剤用開口部が、前記カニューレを通って延びる薬剤用管腔に通じる、カニューレと、
前記カニューレの前記薬剤用管腔と流体連通している弁を有する本体部分であって、前記弁が閉鎖位置に付勢され、前記弁が開放位置に作動されると液体が前記バイアルに導入されること及び前記バイアルから除去されることができるように構成された本体部分と、
第1の開口部及び第2の開口部を有する細長いフィルタ・チャンバであって、前記第1の開口部が前記カニューレの前記通気管腔と流体連通しており、第1のフィルタ装置及び第2のフィルタ装置を備え、前記第1のフィルタ装置が前記第1の開口部と前記第2のフィルタ装置の間に配置され、気体中に分散した液体が前記第2のフィルタ装置へと通過できるようにする一方で非分散液体を封じ込めるように構成され、前記第2のフィルタ装置が前記第1のフィルタ装置と前記第2の開口部の間に配置され、気体中に分散した液体を吸収するように構成される、細長いフィルタ・チャンバとを備える通気バイアル・アダプタ。
【請求項9】
前記第1のフィルタ装置が第1の孔径を有する孔を含み、前記第2のフィルタ装置が前記第1の孔径と異なる第2の孔径を有する孔を含む、請求項8に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項10】
前記第1のフィルタが疎水性であり、液体が前記第1のフィルタを通過するのを阻止するように選択された孔径を有して、前記第1のフィルタが前記第2のフィルタを濡らすのを阻止する、請求項9に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項11】
前記第2のフィルタ装置が液体粒子を吸収するように構成された乾燥剤を含む、請求項8に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項12】
前記第2のフィルタ装置が液体粒子を捕捉する径の孔を有する分子ふるいを備える、請求項8に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項13】
前記第2のフィルタ装置が極性分子を吸着するように適合された極性表面を有する孔を含む、請求項8に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項14】
前記フィルタ装置が、前記第2のフィルタ装置と前記フィルタ・チャンバの前記第2の開口部の間に配置され、細菌の通過を阻止するように構成された第3のフィルタ装置をさらに備える、請求項8に記載のバイアル・アダプタ。
【請求項15】
バイアルの開口部上に配置された貫通可能なシールを有するバイアルにアクセスする際にエアロゾルを保持する方法であって、
互いに分離した薬剤用管腔及び通気管腔を有する尖ったカニューレで前記バイアルのシールを貫通すること、
非分散液体を前記カニューレの前記薬剤用管腔を通して前記バイアル内に誘導すること、
気体を前記バイアルの外に、前記通気管腔を通り、前記通気管腔と流体連通している通気ポートを通って前記バイアルの外部の大気へと誘導すること、
非分散液体が前記通気管腔を通過して外部の大気へと出るのを第1のフィルタ装置で阻止すること、
気体中に分散した液体を前記第1のフィルタ装置に通すこと、及び
気体中に分散した液体を前記第1のフィルタ装置と前記通気ポートの間に配置された第2のフィルタ装置で吸収することを含む方法。
【請求項16】
気体中に分散した液体を前記第1のフィルタ装置に通す前記段階が、前記分散した液体を第1の孔径を有する前記第1のフィルタ装置の孔に通すことを含み、
気体中に分散した液体を第2のフィルタ装置で吸収する前記段階が、前記分散した液体を前記第1の孔径よりも小さい第2の孔径を有する前記第2のフィルタ装置の孔で吸収することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
非分散液体が前記通気管腔から外部の大気に出るのを阻止する前記段階が、非分散液体の通過を疎水性材料で阻止することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
非分散液体の通過を阻止する前記段階が、液体の通過を阻止するように選択された孔径を有するフィルタ材料で非分散液体の通過を阻止することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
気体中に分散した液体を吸収する前記段階が前記分散した液体を乾燥剤で吸収することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
気体中に分散した液体を吸収する前記段階が分子ふるいの孔で液体粒子を捕捉することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
気体中に分散した液体を吸収する前記段階が極性表面を有する孔で極性分子を吸着することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記バイアルの外部の大気から細菌が前記通気管腔に通過するのを阻止することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
細菌が前記通気管腔に通過するのを阻止する前記段階が、多孔性材料の薄膜を含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−506659(P2010−506659A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533357(P2009−533357)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/022138
【国際公開番号】WO2008/048631
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(508020052)カーディナル ヘルス 303、インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】