説明

エアーシリンダ

【課題】非接触型のエアーシリンダにおいて、ピストンがシリンダに接触せずに摺動できるエアーシリンダを提供する。
【解決手段】ピストン14の外周部に複数に吹き出し孔32を設け、この吹き出し孔32から、加圧室に送り込まれた加圧空気を吹き出し、シリンダ12の内周面とピストン14の外周面とを非接触状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ内周部とピストンの外周部とを非接触に配置したエアーシリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピストンが、シリンダ内部において加圧空気によって摺動するエアーシリンダにおいては、ピストンがシリンダと接触する接触型と、シリンダとピストンが接触しない非接触型とがある。
【0003】
接触型のエアーシリンダにおいては、通常ピストンの外周部にパッキングが配され、このパッキングの部分がシリンダ内周部と接触しつつピストンが移動する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−272506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、非接触型のエアーシリンダにおいては、非接触状態を保つ機構がなく、通常の使用状態ではシリンダとピストンの一部が接触してしまう可能性がある。そのため、ピストンの摺動抵抗の増加や直接の接触によりエアーシリンダが破損してしまう可能性があるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、非接触型のエアーシリンダにおいて、ピストンがシリンダに接触せずに摺動できるエアーシリンダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シリンダ内周部とピストンの外周部とを非接触に配置したエアーシリンダにおいて、前記ピストンを移動させる加圧空気を送り込むために、前記シリンダ内部に配された加圧室と、前記ピストンの外周部に複数設けられた吹き出し孔と、前記吹き出し孔と前記加圧室とを連結する連結通路と、を有することを特徴とするエアーシリンダである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加圧空気をピストンの外周部から吹き出すことにより、ピストンが摺動してもシリンダの外周部と接触することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例のエアーシリンダ10について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施例1のエアーシリンダ10について図1〜図4に基づいて説明する。
【0010】
(1)エアーシリンダ10の構造
エアーシリンダ10は、金属製の筒状のシリンダ12内部を、円柱状のピストン14が摺動するものであり、ピストン14には、棒状のロッド16が取り付けられている。このロッド16は、シリンダ12の図1における上部にある貫通孔18を貫通して外部に突出し、このロッド16の先端に摺動させたい対象物が連結される。
【0011】
シリンダ12の下面には、ピストン14を摺動させるための加圧空気を送り込む送り込み口20が開口している。この送り込み口20からピストン14の下面までの空間が、加圧室22である。
【0012】
ピストン14は、シリンダ12の内周面とは非接触状態に保つために一定の隙間が保持されている。ピストン14は、図2に示すように中心部にロッド16の下端部が螺合され、ナット24で固定されている。図1に示すように、ロッド16の下面から軸方向に第1連結通路26が開口し、さらに、図2に示すように、ロッド16の外周部に通じる第2連結通路28が第1連結通路26から連続して複数個設けられている。
【0013】
ピストン14は、この第2連結通路28が開口した位置に取り付けられるものであり、ピストン14の内周部分には、円形の第3連結通路30が設けられ、この第3連結通路30から等分に8つの方向に吹き出し孔32が設けられ、ピストン14の外周面に開口している。これら吹き出し孔32の先端部分のピストン14の外周部には、空気が吹き出し易いようにするために座グリ34が形成されている。ロッド16とピストン14との間には、パッキング36が設けられている。
【0014】
シリンダ12の貫通孔18の内周面には、図4に示すように8つの第2吹き出し孔38が設けられ、シリンダ12内部にあるリング状のリング孔40に連結されている。そして、このリング孔40に加圧空気を送り込むための第2送り込み口42が、リング孔40に開口している。
【0015】
シリンダ12の上部近傍には、加圧空気を排出するための排出口44が、形成されている。
【0016】
(2)エアーシリンダ10の動作状態
次に、図1に基づいてエアーシリンダ10の動作状態について説明する。
【0017】
送り込み口20と第2送り込み口42から、それぞれ加圧空気をシリンダ12内部に送り込む。
【0018】
送り込み口20から送り込まれた加圧空気は、ピストン14を図1において上方に移動させる。また、その加圧空気の一部がロッド16の第1連結通路26から侵入し、第2連結通路28、第3連結通路30を経てピストン14の外周部にある吹き出し孔32から吹き出される。そのため、シリンダ12の内周部とピストン14の外周部とが、この加圧空気によって接触することなく軸方向に摺動することができる。この送り込まれた加圧空気は排出口44から排出される。
【0019】
また、第2送り込み口42から送り込まれた加圧空気は、リング孔40を経て第2吹き出し孔38から摺動するロッド16に吹き出される。そのため、ロッド16も貫通孔18の内周面と接触することなく軸方向に移動できる。この吹き出された加圧空気も排出口44から排出される。
【0020】
(3)効果
本実施例によれば、加圧空気によってシリンダ12とピストン14が接触することなく、また、ロッドも貫通孔18と接触することなく摺動できるため、摺動抵抗が下がり、エアーシリンダ10が破損することがない。
【実施例2】
【0021】
次に、実施例2について図5に基づいて説明する。
【0022】
本実施例のエアーシリンダ10と実施例1の相違点は、ロッド16とピストン14の構造にある。
【0023】
ピストン14は、図5に示すように下方に開口した開口部46を有している。そして、その中央部分にロッド16が螺合されている。また、ロッド16には、実施例1のような第1連結通路26、第2連結通路28は設けられていない。
【0024】
ピストン14の外周部分には、8つの吹き出し孔48が等間隔に設けられ、開口部46とピストン14の外周部とを連結している。そして、送り込み口20から加圧空気が送り込まれると、開口部46を経て8つの吹き出し孔48から加圧空気がピストン14の外周部に吹き出される。
【0025】
これにより、実施例1と同様にピストン14とシリンダ12が接触することなく、ピストン14を摺動させることができる。そのため、摺動抵抗が下がり、エアーシリンダ10が破損することがない。
【変更例】
【0026】
本発明は上記各実施例に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0027】
上記各実施例では、吹き出し孔32を等間隔に8つ設けたが、これに限らず4個、16個等等間隔に設けてもよい。
【0028】
また、上記実施例のように座グリ34がなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のエアーシリンダの縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線縦断面図である。
【図3】ピストンの側面図である。
【図4】図1におけるB−B線縦断面図である。
【図5】実施例2のエアーシリンダの一部縦断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 エアーシリンダ
12 シリンダ
14 ピストン
16 ロッド
18 貫通孔
20 送り込み口
22 加圧室
26 第1連結通路
28 第2連結通路
30 第3連結通路
32 吹き出し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内周部とピストンの外周部とを非接触に配置したエアーシリンダにおいて、
前記ピストンを移動させる加圧空気を送り込むために、前記シリンダ内部に配された加圧室と、
前記ピストンの外周部に複数設けられた吹き出し孔と、
前記吹き出し孔と前記加圧室とを連結する連結通路と、
を有することを特徴とするエアーシリンダ。
【請求項2】
前記連結通路が、前記ピストン内部と、前記ピストンのロッド内部とに設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のエアーシリンダ。
【請求項3】
前記ピストン内部が前記加圧室に対して開口した開口部を有し、
前記連結通路が、前記吹き出し孔と前記開口部とを連結する、
ことを特徴とする請求項1記載のエアーシリンダ。
【請求項4】
前記シリンダが貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を摺動する前記ピストンのロッドと、
前記貫通孔の内周部に配された複数の第2吹き出し孔と、
前記第2吹き出し孔に加圧空気を送り込むために、前記シリンダ内部に設けられた送り込み通路と、
を有することを特徴とする請求項1記載のエアーシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−139009(P2010−139009A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316948(P2008−316948)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000240341)株式会社ヒラノテクシード (58)
【Fターム(参考)】