説明

エタノール生成のための好熱性微生物

好熱性微生物は増大されたエタノール生成を許容するよう改善され、ここで第一の改変はラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化であり、及び第二の改変はピルベートデヒドロゲナーゼ遺伝子をアップレギュレートする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は細菌発酵の生成物としてのエタノールの生成に関する。詳細には、本発明は好熱性細菌によるエタノール生成に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細菌代謝は細菌種及び環境条件に因りさまざまな異なる機構をとおして起こりうる。全ての病原体を含む有機栄養(従属栄養)細菌は有機化合物の酸化からエネルギーを得、炭水化物(特にグルコース)、脂質及びタンパク質は最も一般に酸化される化合物である。細菌によるこれらの有機化合物の生物学的酸化は化学エネルギー源としてのATPの合成をもたらす。上記プロセスはまた生合成反応のために細菌細胞により必要とされるより単純な有機化合物(前駆分子)の生成をも許容する。細菌が好適な基質を代謝する一般的なプロセスは、グルコースをATPの生成を伴ってピルベートに変換する一連の反応である解糖である。代謝エネルギーの生成におけるピルベートの運命は微生物及び環境条件に因り変化する。ピルベートの3の主な反応がある。
【0003】
第一に、好気条件下で、多くの微生物はクエン酸サイクル及びピルベートデヒドロゲナーゼ(PDH)により触媒されるピルベートのアセチルコエンザイムAへの変換を用いてエネルギーを生成するであろう。
【0004】
第二に、嫌気条件下で、いくつかのエタノール生成生物はピルベートデカルボキシラーゼ(PDC)により触媒されるピルベートのアセトアルデヒドへの脱炭酸及び続くアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)により触媒されるNADHによるアセトアルデヒドのエタノールへの還元によりアルコール発酵を行いうる。
【0005】
第三のプロセスはラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)による触媒をとおして起こるピルベートのラクテートへの変換である。
【0006】
天然に嫌気発酵を行う微生物を用いて又はピルベートデカルボキシラーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を組み込む組換え微生物の使用をとおしてエタノール生成のために微生物を用いることにおいて多くの興味がある。これらの微生物を用いることによるエタノール生成においていくつかの成功があるが、発酵はしばしば特に微生物が低レベルのエタノール耐性しか有しない場合、高濃度のエタノールにより妥協される。
好熱性細菌はエタノール生成に提案されており、及びそれらの使用は発酵が生成されたエタノールが50℃超の温度で蒸気として除去されることを許容する高温で行われうるという利点を有する;これはまた発酵が高い糖濃度を用いて行われることをも許容する。しかしながら、効率的にエタノールを生成しうる好適な好熱性細菌を発見することは問題が多い。
【0007】
WO88/09309は好熱性Bacillus株LLD−Rを用いたエタノール生成を開示する。LLD−Rは培養物から自然発生的に生じた胞子形成欠損株であり、及びそこでldh遺伝子は自然発生的な突然変異により又は化学的突然変異誘発により不活性化されている。上記株はしかしながら以下に示されるように不安定である。
【0008】
WO01/49865はエタノール生成のための、ピルベートデカルボキシラーゼをコードする異種の遺伝子で形質転換された及びネイティブのアルコールデヒドロゲナーゼ機能を有するグラム陽性細菌を開示する。上記細菌は好熱性Bacillusであり、及び上記細菌はトランスポゾン挿入を用いたラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化により改変されうる。WO01/49865中で開示される細菌は全てBacillus株LLD−Rに由来する。株LN及びTNは株LLD−Rの改善された誘導体として開示される。しかしながら、全ての株はプラスミド形質転換を妨げるHaeIII型制限酵素システムを含み、及びそれゆえ非メチル化DNA内の形質転換を妨げる。
【0009】
WO01/85966は制限酵素問題を克服するin vivoメチル化により調製される微生物を開示する。これは株LLD−R、LN及びTNへのHaemophilus aegyptiusからのHaeIIIメチルトランスフェラーゼでの形質転換を必要とする。しかしながら、株LLD−R、LN及びTNは不安定な変異体であり、及び特に低pHで及び高い糖濃度でラクテート生成野生型株に自発的に戻る。これはエタノールからラクテートへの発酵生成物変化をもたらし、上記株をエタノール生成には不適当にする。
【0010】
WO02/29030は、株LLD−R及びその誘導体がldh遺伝子のコード領域中に天然の挿入エレメント(IE)を含むことを開示する。これのldh遺伝子への(及びldh遺伝子からの)転位及び続く遺伝子不活性化は不安定であり、回復をもたらす。このことへの提案された解決法はプラスミドDNAをIE配列に統合することであった。
【0011】
それゆえ、本分野において、エタノール生成のための微生物の作出は研究室で作出された化学的突然変異Bacillus微生物を改変すること、これらをin vivoメチル化手順で処理すること及びプラスミドDNAをIE配列に統合するために上記微生物をさらに改変することに頼る。上記手順は複雑で、不確定であり、及びまたどのように上記株が使用されうるかという調節の問題もある。
それゆえ、エタノール生成のための改善された微生物について要求がある。
【発明の概要】
【0012】
発明の要約
本発明の第一の局面にしたがって、好熱性微生物は増大されたエタノール生成を許容するよう改変され、ここで第一の改変はラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化であり、及び第二の改変はピルベートデヒドロゲナーゼ遺伝子をアップレギュレートする。
本発明に係る微生物は野生型に比較して増大されたエタノール生成を示す。
本発明の第二の局面にしたがって、エタノールの生成方法はC3、C5又はC6糖の存在下の好適な条件下で上記に提供される定義にしたがう微生物を培養することを含む。
図面の説明
本発明は付属の図面を引用して示され、ここで:
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は解糖の代謝経路を略図で示す;
【図2】図2はPDH複合体の遺伝子を示す;
【図3】図3はPDHの標的化アップレギュレーションのためのプロモーター置換構築物の概略図である;
【図4】図4はダブル−クロスオーバーのアップレギュレートされたPDH変異体のためのプロモーター置換構築物の概略図である;
【図5】図5は安定なPFL−ネガティブ変異体を作出するために意図されるノックアウト構築物の概略図である、及び
【図6】図6は本発明に係る変異体微生物で生成される高いエタノール生成のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の説明
本発明はラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を破壊するための及びPDH遺伝子をアップレギュレートするための好熱性微生物の改変に基づく。
ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化することはピルベートのラクテートへの分解を妨げることを助け、及びそれゆえピルベートデカルボキシラーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼを用いたピルベートのエタノールへの分解を(適切な条件下で)促進する。ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子が遺伝子内の又は遺伝子の欠失により破壊される場合、それは好ましい。
【0015】
PDH遺伝子をアップレギュレートすることはピルベートのアセチルCoAへの変換を促進し、アセチルCoAはその後適切な条件下でアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いてアセトアルデヒド及び最後にはエタノールを生成するために使用されうる。PDHをアップレギュレートするさらなる利点はグルコース取り込み及び解糖に対して阻害効果を有するピルベート値が減少されることである。これはエタノール生成をさらに促進する。
【0016】
上記微生物はどんな好熱性微生物でもありうるが、上記微生物がBacillus sppのものである場合それは好ましい。詳細には、上記微生物がGeobacillus種の野生型微生物、詳細にはGeobacillus thermoglucosidasiusである場合それは好ましい。
【0017】
好ましい態様において、改変のために選択される微生物は「野生型」であると言われる、すなわち、それらは研究室で作出された変異体ではない。上記微生物は好熱性細菌を含むと期待される環境サンプルから単離されうる。単離された野生型微生物はエタノールを生成する能力を有するであろうが、改変されない場合、ラクテートが主要な発酵生成物であるようである。上記単離物はまた高温でヘキソース及び/又はペントース糖、及びそれらのオリゴマー上で生育するそれらの能力について選択される。
【0018】
本発明に係る微生物が、上記微生物が発酵プロセスにおいて使用されることを許容するいくつかの所望の特性を有することは好ましい。上記微生物は好ましくは制限酵素システムを有しないべきであり、それによりin vivoメチル化の必要性を避ける。さらに、上記微生物は少なくとも3%エタノールまで安定であるべきであり、及び基質としてセロビオース及びデンプンを含むC3、C5及びC6糖(又はそれらのオリゴマー)を利用する能力を有するべきである。上記微生物が高い頻度で形質転換可能である場合それは好ましい。さらに、上記微生物は0.3h-1以上の希釈速度を支持するような連続培養物における成長速度を有するべきである(典型的に0.3OD600)。
【0019】
上記微生物は好熱性であろう、及び40℃〜85℃の温度範囲で生育するであろう。好ましくは、上記微生物は50℃〜70℃の温度範囲内で生育するであろう。さらに、上記微生物がpH7.2以下、詳細にはpH6.9〜pH4.5の条件下で生育することが所望される。
【0020】
上記微生物は胞子形成体でありうる又は胞子形成をしない。上記発酵プロセスの成功は必ずしも上記微生物の胞子形成する能力によらないが、上記微生物を上記発酵プロセスの終わりに動物フィードストックとして使用することが所望されるとき、いくつかの状況下では胞子形成体を有することが好まれうる。これは動物フィードストックとして使用されるとき優れた免疫刺激を提供する胞子形成体の能力のためである。胞子形成微生物はまた発酵中に沈殿する能力をも有し、及びそれゆえ遠心分離の必要性なしに単離されうる。したがって、上記微生物は複雑な又は高価な分離手順の必要性なしに動物フィードストック中で使用されうる。
【0021】
ラクテートデヒドロゲナーゼについての核酸配列は今や既知である。この配列を用いて、当業者は異なる機構をとおして上記遺伝子の不活性化を達成するようラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子を標的化することが可能である。上記ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子がトランスポゾンの挿入により又は好ましくは上記遺伝子配列若しくは上記遺伝子配列の一部の欠失により不活性化される場合それは好ましい。欠失はトランスポゾン不活性化が使用されるときしばしば経験される上記遺伝子配列の再活性化の困難さを避けるので、欠失は好ましい。好ましい態様において、上記ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子はプラスミド及び上記微生物の染色体の間で天然の相同組換え又は統合を達成する温度感受性プラスミド(PCT/GB06/01586中に開示されるプラスミドpUB190−ldh)の統合により不活性化される。染色体統合体は抗生剤(例えば、カナマイシン)に対するそれらの抵抗性に基づいて選択されうる。ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子への統合はシングルクロスオーバー組換え事件により又はダブル(又はそれより多い)クロスオーバー組換え事件により起こりうる。ダブルクロスオーバー事件がLDH遺伝子(又はその部分)及びはじめの統合体、すなわち温度感受性プラスミドを除去するよう行われることは好ましい。このようにして、上記変異体微生物はどんな異種のDNAをも含まないであろう、及びそれゆえGMO規定にしたがって遺伝的に改変された生物(GMO)として分類されないであろう。
【0022】
上記第二の改変はPDHをアップレギュレートすることである。PDHは3のユニット−E1:ピルベートデカルボキシラーゼ(EC 1.2.4.1であり、EC 4.1.1.1ではない)、E2:ヂヒドロリポアミドトランスアセチラーゼ、及びE3:ヂヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼを含む、大きな酵素複合体である。上記複合体はNAD、FAD、コエンザイムAリポ酸及びチアミンピロリン酸(TPP)を含むいくつかの共同因子を必要とする。E1ユニットはα及びβサブユニットのヘテロダイマーであるので、4の遺伝子が上記複合体をコードし、及びしばしばpdhA、pdhB、pdhC及びpdhD(それぞれE1α、E1β、E2及びE3)として記述される。PDHのE1ユニットは、PDC EC 4.1.1.1がTPPを必要とし、及び同様の脱炭酸反応を触媒するのと同様にTPPを必要とするが、(他の酵素ユニットが有する)コエンザイムA及びリポ酸の存在下では生成物はアセトアルデヒドではなくアセチルCoAである。しかしながら、E1ユニットのPDC活性は、それがPDH中の他のユニットと複合体化されていないとき計測されている(Lessard & Perham; The Journal of Biological Chemistry;1994,269:14,10378−10383;Tomar et alApplied Microbiology and Biotechnology; 2003,62,76−82; Frank et alScience; 2004, 306: Oct 29,872−876,補足データ)。したがって、アセトアルデヒドがアセチルCoA以上に生成されるように、EC 1.2.4.1のPDC活性はPDHのアップレギュレーションにより高められうる。高められたPDH活性はまたピルベートボトルネック(渋滞)を除去し、副生成物としてのより少ないアセテート及びフォルメートを伴ってより多くのエタノールが生成されることを許容すると考えられる。
【0023】
この終わりに、PDH遺伝子及び周囲の配列を標準の「ゲノムウォーキング」技術を用いて単離した。約8.8kbのDNAを単離し、シークエンスし、及び図2及び表1中に示される以下の遺伝子を含むことを発見した。
【0024】
【表1】

【0025】
推定プロモーター領域は図2(矢印)中に示される−1はpdhAの開始から上流であり、及び推定第二プロモーターはpdhCの前方である。PDHクラスター中の第二プロモーターの以前の例はBacillus subtilisについて報告されたが(Gao et alJournal of Bacteriology, 2002, 184:10, 2780−2788)、ほとんどの示されたPDH遺伝子クラスターは上記クラスターの上流にただ一つのプロモーターを有する(Neveling et alBiochimica Acta; 1998 1385, 367−372)。上記アップレギュレーションは本分野において知られる技術を用いて行われうる。詳細には、アップレギュレーションはPDH複合体の上流の好適なプロモーター又はエンハンサー配列を導入することにより行われうる。
【0026】
上記酵素複合体は好気及び嫌気条件下の両方ではたらくことが知られるが(Carisson et alInfection and Immunity; 1985, 49:3, 674−678)、それは一般的には好気性酵素であると考えられ(Ch 15; Principles of Biochemistry; Lehninger, Nelson & Cox; 2nd Ed, Worth Publishers, New York, 1993, p447)、ピルベートフォルメートリアーゼ(PFL)はその嫌気性相対物である。両方の酵素は解糖において形成されたピルベートをアセチルCoAに変換してTCAサイクルに供給するが、上記サイクルは完全に好気条件下でのみはたらく。しかしながら、嫌気条件を使用することが所望されるので、嫌気条件においてはたらくプロモーターは本発明における使用のために好ましい。したがって、嫌気条件下ではたらくと考えられる酵素のためのプロモーター−例はLDHプロモーター(G. stearothermophilius NCA1503、DSM13240及びATCC14579からのP ldh)及びフェレドキシンプロモーター(G. stearothermophilius DSM13240からのP ferrA)である−を同定し、単離し及びpdhAの開始からすぐ上流の適切な部位に安定に統合した。使用される株及びPDH複合体に挿入されるプロモーターは表2中に示される。ほとんどの例において、上記プロモーターはPDH発現における10倍増大、グルコース消費における増大、ピルベートをごくわずかな値まで減少させること及びエタノール生成における〜50%増大を作出する。おもしろいことに、アセテート値は同じままであり、エタノール生成を好むエタノール:アセテート比率における増大をもたらした。
【0027】
【表2】

【0028】
好ましい態様において、第三の改変はPDC活性を高めるために導入される。これはE2(EC2.3.1.12)を不活性化することにより行われうる。不活性化はLDHの不活性化と同様の様式で、ただしE2遺伝子を破壊の標的として行われうる。
【0029】
さらなる態様において、本発明に係る微生物は、ピルベートフォルメートリアーゼ遺伝子を不活性化し、それによりピルベートのアセチルCoA及びフォルメートへの変換を妨げる/減少させるさらなる改変を含む。ピルベートフォルメートリアーゼ(PFL)はピルベートデヒドロゲナーゼ(PDH)の「嫌気性相対物」であり、及びピルベートをアセチルCoA及びフォルメートに変換する(図1を参照のこと)。アセチルCoAはアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AcHD)を介してエタノールに変換されうる一方で、フォルメートはエタノール生成生物における成長を阻害する可能性を有する所望されない副生成物である。
【0030】
PFLをエタノール生成に向かう代謝の流れを促進するために及びエタノール合成への残りの経路の酸化還元バランスを改善するためにノックアウトの標的として選択した。追加の利点はフォルメート生成の消去である。PFL活性は変えられた表現型の持続のための抗生物質選択に頼らない変異体を作出するために(以下に示される)LDHノックアウトのための同じプロトコールを用いて不活性化されうる。この態様において、嫌気条件下でエタノール生成が増大されるように、上記微生物がラクテートデヒドロゲナーゼ不活性化及びピルベートデヒドロゲナーゼのアップレギュレーションの両方を含むことは好ましい。
【0031】
PFL遺伝子はLDHの不活性化について開示される技術を用いて不活性化されうる。トランスポゾン挿入が使用されうる又は遺伝子欠失(又は部分的な遺伝子欠失)が使用されうる。遺伝子欠失(又は部分欠失)が使用されることは好ましい。
【0032】
さらなる好ましい態様において、上記微生物はまた異種のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子をも含むであろう。この異種の遺伝子の発現はエタノールが主たる発酵生成物であるように代謝を向けなおす酵素の作出をもたらす。上記遺伝子はzymomonas mobilisを含むzymomonas種を含む、典型的に嫌気性発酵を行う微生物から得られうる。
【0033】
上記遺伝子の調製及び微生物への組み込みの方法は、例えば、Ingram etal, Biotech & BioEng, 1998; 58(2+3):204−214及びUS 5916787中で知られ、それぞれの内容を本明細書中に援用する。上記遺伝子は、当業者により理解されるであろうように、プラスミド中に導入され又は染色体に統合されうる。
【0034】
本発明に係る微生物は選択される好熱性微生物に因り、慣習的な培養条件下で培養されうる。基質、温度、pH及び他の生育条件の選択は既知の培養必要条件に基づいて選択されうる、例えば、それぞれの内容を本明細書中に援用する、WO01/49865及びWO01/85966を参照のこと。
本発明はここで以下の実施例において、付属の図面を引用して、例示のためにのみ示されるであろう。
【実施例】
【0035】
LDH遺伝子の不活性化
実施例1:安定なLDH変異体の作出
策を遺伝子置換及び以下の2のアプローチによりGeobacillus thermoglucodasius NCIMB 11955中のLDH遺伝子の安定な変異を作出するよう設計した。
アプローチ1において、LDHコード配列の中央に近い2の存在する独特の制限酵素部位を欠失を作出するために活用した。単一のラージPCR産物を入手可能なLDH配列のほとんどを含むゲノムDNAから作出し、及びpUC19(New England Biolabs)のマルチプルクローニング部位中のSmaI部位にクローニングした。上記pUC19クローンをその後BstEII及びBsrGIで連続して消化し、及びKlenow消化後に再ライゲートし、BstEII及びBsrGIの間のLDH遺伝子における内部欠失を作出した。
【0036】
アプローチ2において、LDH遺伝子を、LDH配列の中央における欠失の作出を伴って、2のPCR産物がpUC190中で共にライゲートされることを許容するように以下のオリゴプライマーでNotI部位を導入して、2のPCR産物としてクローニングした。
内部欠失を有する、それぞれのアプローチから生ずるLDH遺伝子を3の可能性のあるデリバリーシステム:pUB190、pNW33N及びTMO19にサブクローニングした。
表3は欠失アプローチ2に使用されるPCRプライマーを示す。
【0037】
【表3】

【0038】
表4は上記デリバリーベクターの特性を列挙する。
【0039】
【表4】

【0040】
アプローチ1:ゲノムDNAの調製
ゲノムDNAをPCRのテンプレートとして使用するために11955から調製した。11955の20mL一晩培養(TGP媒質、52℃)からの細胞を遠心分離(4000rpm、20分間)により回収した。上記細胞ペレットを2.5mgリソザイム及び50μLのリボヌクレアーゼA(1mg/mL)を含む5mL STE緩衝液(0.3Mスクロース、25mM Tris−HCl、25mM EDTA、pH8)中に再懸濁した。これを30℃で1時間インキュベートし、その後5mgプロテイナーゼK及び50μLの10% SDSを添加し、続いて37℃でさらに1時間インキュベートした。溶解された培養物をその後等体積のフェノール:クロロフォルム(1:1)、続いてクロロフォルムで連続して抽出し、その後イソプロパノールで沈殿させた。70%氷冷エタノールで2回洗浄した後、上記DNAペレットを0.5mL TE緩衝液中に再溶解した。
【0041】
アプローチ2:LDH欠失構築物の作出
PCRをRobocycler Gradient 96(Stratagene)を用いて行い、及び反応条件は以下のとおりであった:サイクル1−95℃で5分間の変性、47℃で1分間のアニーリング、72℃で2分間の伸長、サイクル2〜30−95℃で1分間の変性、47℃で1分間のアニーリング、72℃で2分間の伸長、及び72℃で5分間の最後のインキュベーション。使用された酵素はPfuポリメラーゼ(Promega)及びTaqポリメラーゼ(New England Biolabs、NEB)の等しい混合物であった。使用された緩衝液及びdNTPsは製造業者の教示(Pfu、Promega)にしたがった。使用されたDNAテンプレートは上記で調製された11955ゲノムDNAであり、及び生ずるPCR産物は製造業者の教示にしたがってアガロースゲル電気泳動、続いてゲル抽出キット(QIAquick Gel extraction kit、 Qiagen)を用いた上記ゲルからの溶離を介して精製された。上記精製されたPCR産物をSmaIで事前に消化されたpUC19(NEB)中にライゲートし、上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてEscherichia coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、及び制限酵素分析により特徴付けた。
【0042】
(プライマー3及び4を用いて作出された、断片の3’末端に導入された新規PstI部位及び5’末端に導入されたNotI部位を伴う)pUC19に挿入された断片2を伴うプラスミド(pTMO02)をNotI及びPstIで消化した。生ずる断片(約0.4kb)を、NotI及びPstIで消化された(プライマー対1及び2で作出された)断片1を有するpUC19プラスミド(pTMO01)中にライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。前のように、アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、及び上記挿入物の向きを確立するために制限酵素分析により特徴付けた。
【0043】
所望の構築物に期待される制限酵素パターンを有するプラスミド(pTMO03)を同定し、及びM13mp18後退及び前進プライマーを用いたシークエンスにより実証した。
変異されたLDH遺伝子断片をHindIII及びEcoRIでの消化によりpTMO03から切り取り、及び前のようにアガロースゲル電気泳動をとおして精製した。上記断片をKlenowポリメラーゼ(NEB、製造業者の教示にしたがって)で処理して、XbaIで消化され及びKlenowポリメラーゼで処理されたpUB190中へのライゲーションのためにブラントエンドを作出した。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli SCS110(Stratagene)を形質転換するために使用した。前のように、アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、及び制限酵素分析により特徴付けた。所望の構築物に期待される制限酵素パターンを有するプラスミド(pTMO14、pUB190骨組に基づく)を同定し、及び以下に示されるプロトコールを用いたエレクトロポーレーションによりNCIMB11955を形質転換するために使用した。
【0044】
Geobacillus thermoglucosidasius NCIMB 11955のためのエレクトロポーレーションプロトコール
11955の凍結ストックをTGP媒質中の一晩培養物を生育し(55℃で250rpmで振騰される、250mL円錐フラスコ中で50mL体積、OD600〜2)、等体積の20%グリセロールを添加し、1mL等分に分け、及び−80℃で凍結管中で貯蔵することにより作出した。1mLのこのストックを250ml円錐フラスコ中の50mLの事前に温められたTGPを接種するために使用し、それを1.4のOD600が達成されるまでインキュベート(55℃、250rpm)した。
【0045】
上記フラスコを氷上で10分間冷却し、その後上記培養物を50mL Falcon管中で4℃で4000rpmで20分間遠心分離した。上記ペレットを50mLの氷冷エレクトロポーレーション媒質中に再懸濁し、及び遠心分離(4,000rpm、20分間)した。3回のさらなる洗浄をこのように(1×25mL及び2×10mL)行い、その後上記ペレットを1.5mLの氷冷エレクトロポーレーション媒質中に再懸濁し、60μL等分に分け、及び将来の使用のために−80℃で0.5mLエッペンドルフ管中で貯蔵した(又は即座に使用した)。
【0046】
エレクトロポーレーションのために、水中の1〜2μLのDNAを氷上で維持されるエッペンドルフ管中の60μLのエレクトロコンピーテント細胞に添加し、及びおだやかに混合した。この懸濁物を事前に冷却されたエレクトロポーレーションキュベット(1mmギャップ)に移し、及び2500V、10μFキャパシタンス及び600Ωレジスタンスでエレクトロポーレートした。パルスの直後に、1mLの事前に温められたTGPを添加し、混合し、及び上記懸濁物をスクリュートップ管に移し、及び振騰温浴中で52℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、上記懸濁物を直接プレートにまいた(例えば、2×0.5mL)又は遠心分離し(4,000rpm、20分間)、200μL〜500μL TGP中に再懸濁し、及び適切な抗生物質を含むTGPアガー上に広げ、及び52℃で一晩生育させた。抗生物質抵抗性形質転換体は24時間後に観察された。
【0047】
【表5】

【0048】
シングルクロスオーバーLDHネガティブ第一統合体の選択
生物のゲノムへの統合のために使用されるプラスミド(例えば、pTMO14)は温度感受性である。pUB190に基づくノックアウトベクターは54℃でホスト内で複製することができるが、65℃超ではできない。したがって、68℃でカナマイシンの存在下で生育するために、上記ホストはゲノム内に上記プラスミドを組み込まなければならない。
【0049】
pTMO14でのG. thermoglucodasius NCIMB 11955の形質転換からのカナマイシン抵抗性コロニーを12μg/mLカナマイシンを含むTGPアガー上のシングルコロニーへのストリーキングにより精製した。この形質転換体をゲノムLDH対立遺伝子での相同組換えをしかけることにより11955中で第一統合体を作出するために使用した。これは52℃及び250rpmで250mL円錐フラスコ中で一晩50mL TGP媒質中で上記株を生育させ、上記培養物を遠心分離し(4,000rpm、20分間)、1mL TGP中に上記細胞を再懸濁し、及び68℃で一晩のインキュベーションのために12μg/mLカナマイシンを含むTGPアガープレート上に広げることにより達成された。これらの条件下で、pUB190は自主栄養プラスミドとして複製することはできない。この方法で得られたコロニーの大多数は、ラクテート生成について試験されるとき、増大されたエタノール生成を伴うLDH−表現型を与え、LDH位置での統合によるLDH変異体の作出を示す。
【0050】
ダブルクロスオーバーによる遺伝子置換LDH変異体の作出
pTMO14の推定第一統合体(TM15)を上記の形質転換から同定し、及びダブル組換え体を得るために使用した。これは54℃で8時間及び52℃で16時間を交替する、カナマイシンを含まないTGP媒質中のTM15の5の連続したサブ培養物(50mLファルコン管中の5mL、250rpm、サブ培養物間で1%移動)をとおして達成された。これらの5の継代後、生ずる培養物を連続希釈し、及び100μLサンプルをTGPプレート上に広げ、及び一晩生育させた。12μg/mLカナマイシンを含むTGPアガー上への生ずるコロニーのレプリカプレート作成をカナマイシン感受性コロニーを同定するために使用した。精製するためのアガー上のシングルコロニーへのストリーキング後、これらのカナマイシン感受性誘導体をラクテート生成について試験し、及び予想されるように、LDH+及びLDH−の混合物であることが証明された。1のLDH−誘導体、TM89をPCR及びサザンブロットによりさらに特徴付けた。
【0051】
LDH遺伝子置換の証明
ゲノムDNAをTM15(第一統合体)及びTM89(推定ダブル組換えLDH−)から調製し、及び上記に使用される条件を用いた、プライマー1及び4を用いたPCRにテンプレートとして使用した。11955からのゲノムDNAを対照として使用した。上記PCR産物(約0.8kbバンドが全ての3のテンプレートから得られた)を以前に示されるように精製し、及びサンプルをNotIで消化し、その後0.7%アガロース電気泳動ゲル上で流した。11955のPCR産物は予想されるようにNotI消化の証拠を示さず、一方TM89のPCR産物は0.4kb辺りの2のバンドを与え、変異された対立遺伝子での野生型遺伝子の置換を示した。第一統合体であるTM15のPCR産物のNotI消化は、切断されていない(0.8kb)バンドの痕跡を伴って、TM89で見られる上記2のバンドを主に与えた。これはTM15ゲノムDNAのサザンブロットで得られた結果により説明されうる。
【0052】
11955、TM15及びTM89のゲノムDNAをNotI、PstI及びNotI、及びHindIII及びNotIで消化し、及び電気泳動アガロースゲル上で流した。上記DNAを正荷電ナイロン膜(Roche)上に移し、及びDIG標識化された(DIG−labeling kit、Roche、製造業者の教示にしたがって)プライマー1及び4(表3)を用いた11955LDH遺伝子からのPCRにより作出されたプローブとハイブリダイズさせた。ハイブリダイズしているバンドを供給される検出キット(Roche)を用いて視覚化した。サザンブロットはTM15のNotI消化において約7.5kbの多く増幅されたバンド、TM15のHindIII/NotI及びPstI/NotI消化において約7.0及び0.4kbの同様に増幅されたバンドの証拠を示し、この第一統合体中のLDH位置で統合されるpTMO14の多数のタンデムコピーの統合を示した。全ての3の制限酵素消化で、TM89は、遺伝子置換と一致して、11955に比較して余分のハイブリダイズしているバンドを示す異なる制限酵素パターンの証拠を示した。
【0053】
実施例2:安定なアップレギュレートされたPDH変異体の作出
a)pdhクラスターのクローニング及びシークエンス
プライマー 5’−AYGCCCGTTTAAATGRTCGATTTCATG−3’(前進;配列ID番号31)及び5’−CGAAGTGGCTGGCAATTTGGCTT−3’(後退;配列ID番号32)を既知のBacillus及びGeobacillus PDH配列の間の配列ホモロジーに基づいて設計し、及びテンプレートとしてG. thermoglucosidasius 11955からのゲノムDNAを用いて1.8kb断片を増幅するために使用した。上記PCRを以前に示されるように行い、及び精製PCR産物をpUC19(NEB)にライゲートさせた。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、及びシークエンスした。この第一の断片をその後以下のライブラリーをスクリーニングするためにプローブとして使用した。
G. thermoglucosidasius 11955からのゲノムDNAを標準のプロトコールを用いて10の異なる制限酵素で消化した。制限酵素BglII、EcoRV、HindIII及びMfeIは2.5〜5kbの大きさのDNA断片を作出し、それらは、製造業者の教示にしたがって、コロニーのいくつかのライブラリー(pLITMUS28、New England Biolabs)を形成するためにクローニングされた。これらのライブラリーを標識化DNAプローブでスクリーニングした(DIG−labeling kit、Roche、製造業者の教示にしたがって)。
【0054】
上記プローブとハイブリダイズしたどのコロニーにおけるDNA断片も単離し、及びシークエンスした。以前に同定された1.8kb pdh領域にまたがる及びさらなる〜1.8kb分この領域から下流に伸びる3.6kb EcoRVゲノムDNA断片を含む1のクローンを同定した。上記断片はペプチドデフォルミラーゼ2(pdf2)を伴う5’領域で始まる3の完全な遺伝子をコードした。pdf2の位置づけられた下流には(B. subtilisからの推定タンパク質ykaA(BSU14570)へのホモロジーを示す)推定遺伝子をコードするオープンリーディングフレームがあり、一方下流で次のオープンリーディングフレームは1110bpの大きさであり、及びピルベートデヒドロゲナーゼA αサブユニット(pdhA(α))をコードすると考えられる。pdhA(α)遺伝子のすぐ隣に及びEcoRV断片の3’末端の向こうに伸びて、pdhA βサブユニット(pdhA(β))をコードすると考えられる遺伝子の一部が存在する。pdhA α及びβ遺伝子のタンデム配置は親密に関連した種において同定される既知のpdh遺伝子クラスターと一致する。
【0055】
このEcoRV断片を同定するために使用されるアプローチをさらなるDNA配列を単離するために繰り返した。上記EcoRV断片の3’領域に結合する前進プライマー5’−ACAAGCAAAAGAAGATATTAAAGAG−3’(配列ID番号5)及び後退プライマー5’−TTTAAGTGCTCTAGGAAAATAACAG−3’(配列ID番号6)を用いて、新規プローブ、GT−DIG2を以前のようにPCRにより作出した。そのいくつかはGTDIG−2領域のすぐ上流で切れることが示された一組の制限酵素をG. thermoglucosidasiusから単離されたゲノムDNAを消化するために使用した。
【0056】
NcoI消化に由来する断片を単離し、及び以前のようにクローニングした(pLITMUS28、New England Biolabs、製造業者の教示にしたがって)。GT−DIG2プローブでのスクリーニングに際して、EcoRV断片の下流に位置される〜6kb DNAから成るNcoI DNA断片を含むクローンを同定した。NcoI及びEcoRV断片の配列は8884bpの長さの1の連続配列(コンティグ)を形成した。シークエンス分析は、このコンティグは両側に2の推定遺伝子が位置する4の近隣の遺伝子から成るpdh遺伝子クラスターを含むことを明らかにした。上記コンティグ内にコードされる遺伝子の構成は図2中に示される。
【0057】
b)シングルクロスオーバーPDH変異体−概念の証明
G. thermoglucosidasius 11955のLDH−変異体においてPDHのアップレギュレートされた変異体を作出するために使用される策は、異種のプロモーターの容易な挿入及び続いてそれらを好適な統合ベクターに挿入することを許容する制限酵素部位が先にあるpdhAコード配列を伴うカセットを設計する及び作出するために、以前に同定されたpdhA配列の使用を含んだ。上記必要性はG. thermoglucosidasius又はG. steareothermophilusからのLDH−プロモーターの如き強い構成的プロモーターのためであった。上記アプローチは図3中に例示される。
【0058】
必要とされる変異体をホスト株への上記統合ベクターの形質転換及びカナマイシン抵抗性統合体についての選択により作出した。上記統合事件は容易に可逆であるので、上記シングルクロスオーバー変異体は抗生物質の不在下では不安定である。
【0059】
i)アップレギュレーションワークのためのベクターの開発
上記策をうまくいかせるために、新規デリバリーベクターはマルチプルクローニング部位内のNdeI制限酵素部位の使用を許容するよう構築されなければならなかった。以下の表3はpUB190で開発されたベクターを示し、及び比較する:
【0060】
【表6】

【0061】
表5.アップレギュレーションワークのために構築されたベクター
ii)pdhA骨組断片
NdeI部位の終末のATGがpdhA遺伝子の推定ATG開始コドンを示すように、以前に示されるように、pUC19にクローニングされた元の1.8kb PCR産物から得られたpdhA配列をXbaII/NdeI部位を組み込む前進プライマー5’−AATCTAGACATATGGGTGCGAAAACATCCAGATT−3’(配列ID番号7)を設計するために使用した。上記開始コドンは他のpdhA遺伝子の配置及び可能なリーディングフレームの調査により割り当てられた。
【0062】
これを、以前に示されるPCRプロトコールを用いて、pdhA(α)遺伝子の前部分を増幅するために(HindIII部位を組み込む)後退プライマー5’−CCAAGCTTTCTTTAATATCTTCTTTTGCTTG−3’(配列ID番号8)と共に使用した。約1kbのPCR産物を作出し、精製し、及びpUC19(NEB)にライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、その後pdhA断片をNdeI及びHindIIIで消化し、及び標準のプロトコールを用いてpTMO31にサブクローニングした。pTMO31における最終構築物をシークエンスにより実証し、及びpTMO46として割り当てた。
【0063】
iii)プロモーター断片及び最終デリバリー構築物の作出
上記プロモーター断片をその後KpnI/NdeI断片として−pdhA遺伝子に先行して−pTMO46構築物にクローニングした。以下のプロモーター領域をはじめの構築物のために選択した:
【0064】
【表7】

【0065】
表6.PDHアップレギュレーションにおいて使用されるプロモーター及びそれらの源
プライマーをKpnI/NdeI断片として(以前に示されるようにG. thermoglucosidasius 11955、G. stearothermophilus NCA1503、G. stearothermophilus DSM13240及びB. cereus ATCC14579から単離された)ゲノムDNAからのこれらのプロモーター領域を作出するために設計し、及びPCR産物を以前に示される成分及びプロトコールを用いて得た。上記精製PCR産物をpTMO23(NdeI部位が欠失したpUC19)にライゲートし、及び上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、その後上記プロモーター断片をKpnI及びNdeIで消化し、及び標準のプロトコールを用いてpTMO46にサブクローニングした。pTMO46における最終構築物をシークエンスにより実証し、及び表7中のプラスミドとして割り当てた。
【0066】
【表8】

【0067】
表7.PDHアップレギュレーションのためのシングルクロスオーバー構築物
iv)G. thermoglucosidasius骨組への最終構築物の統合
TM89を以前に示されるエレクトロポーレーションプロトコールを用いて上記プラスミドで形質転換した。推定統合体を以前に示されるように選択し、及びPDH活性はもちろん、ASYEグルコース媒質(嫌気条件)中でのエタノール及び有機酸生成について試験した。結果は表8中に示される。
【0068】
【表9】

【0069】
表8.ASYE(0.5%)+2%グルコース中の新規プロモーター統合体の8時間培養物についてのPDH分析
上記新規プロモーターは、この時点でTM89よりかなり高い、比較的高い値のPDH活性を与えるように見える(しかしながら、TM89について記録される低いタンパク質値はTM89がそのピーク生成点を過ぎていた可能性があることを示す)。それぞれのプロモーターの2の統合体の間の乏しい一致はこれらのプロモーターの相対的強度の比較を困難にする。
【0070】
PDH値について試験された同じ株をまた、これらの新規プロモーターのいずれかが元のプロモーターに勝る利点を提供するかどうかを確立するためのさらなる試みにおいて、増大されたグルコース値及びより低い通気でエタノール生成について試験した。結果は以下の表9中に示される:
【0071】
【表10】

【0072】
表9は2の酸素制限条件下で3%グルコース中の新規プロモーターの効率を調査した。
プロモーター置換の不安定性が上記分析において不一致を生じたので、これらのプロモーターを完全に特徴付け及び比較するためにダブル組換えを作出することが必要であることが明らかになった。安定なPDHアップレギュレーション変異はまた最終的な生物においても必要とされた。
【0073】
c)ダブルクロスオーバーPDH変異体
i)最終デリバリー構築物の作出
安定なダブルクロスオーバー統合体を、pdhA遺伝子の上流の配列が図4中に概略されるようにプロモーター断片の前に位置される、表7中のpTMO58シリーズに基づく、さらなる一連のベクターを用いて作出した。これは組換え事件におけるベクター配列の削除及びpdh遺伝子の前の置換プロモーターの安定な挿入を許容した。
例えば、G. thermoglucosidasius 11955 pdhクラスターより先にある配列の部分を、両方の端にKpnI部位を導入するために、以前に示されるようにPCRにより増幅した。この配列(1072bp)は326bpのpdf2遺伝子及び全ての介在するオープンリーディングフレーム−ykaAホモログ−を含んだが、ykaA及びpdhAの翻訳開始の間の配列を省く。上記精製PCR産物をpUC19にライゲートし、及び上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、その後上記上流断片をKpnIで消化し、及び標準のプロトコールを用いてpTMO59にサブクローニングした。最終構築物を−上記挿入物の向きを確立するために−制限酵素分析により、及びシークエンスにより実証し、及びpTMO70として割り当てた。
【0074】
ii)G. thermoglucosidasius骨組への最終構築物の統合
TM89を以前に示されるエレクトロポーレーションプロトコールを用いてpTMO70で形質転換した。推定統合体を以前に示されるように選択し、及びPDH活性はもちろん、ASYEグルコース媒質(嫌気条件)中でのエタノール及び有機酸生成について試験した。
【0075】
iii)TM89におけるP ldh(NCA1503)のダブルクロスオーバーの作出
pTMO70での形質転換からの2の主要な統合体を以前に示されるようにカナマイシンの不在下での振騰液体媒質中での連続サブ培養のために選択した。3サブ培養後、サンプルを希釈し、及びTGPアガー上にまいた。好適な数のコロニーを含むプレートをTGP+カナマイシンプレートにレプリカプレート作成し、及びカナマイシン感受性コロニーをつつき、及び精製した。これらの株をASYE(0.5%)+2%グルコース中でのエタノール生成について試験した。試験された16の推定ダブル組換え体のうち、5(TM179−TM183)が所望の表現型を与えた(その他は親TM89と同一であるように見えた)。結果は表10中に与えられる。
【0076】
【表11】

【0077】
表10.推定ダブルクロスオーバー変異体における代謝産物形成
d)ダブル組換え体におけるベクターからのKanR遺伝子の存在のチェック
それらの構築において使用されるベクターからのkanR遺伝子がダブル組換え株TM89及びTM180中にもはや存在しないことをチェックするために、PCR反応を図3中に示されるkanR遺伝子について設計されるプライマーを用いて行った。対照PCR反応は、TM89及びTM180においてシングルコピーで存在すると予想されるであろうpdh遺伝子及び先行する領域についてのプライマーの使用を含んだ。5の株(TM15及びLC12.1、TM89及びTM180からのシングルクロスオーバー統合体、及びTM177)からのゲノムDNAを単離し、及びテンプレートとして使用した。TM15、LC12.1及びTM177は全てカナマイシン抵抗性を示し、及びkanR遺伝子を含むベクターDNAを有すると予想されるであろう。PCR反応は以前に示される条件及び成分で行われ、及び実験の詳細は図5中に与えられる。
【0078】
結果は、シングルクロスオーバー株は全て予想されるようにkanプライマーで予想される大きさ(約0.6kb)のPCR産物を与えるが、TM89又はTM180からはkanプライマーでのPCR産物はないことを示す。これは、kanR遺伝子が予想されるように、これらのダブル組換え体において存在しないことを示す。しかしながら、pdh領域プライマーは全ての5のゲノムDNAで予想される大きさの産物を与えた。P ldh(NCA1503)置換挿入物は野生型配列より小さいので、LC12.1及びTM180ゲノムDNAは他の3の株より約0.2kb小さい産物を与える。
【0079】
実施例3:安定なPFLネガティブ変異体の作出
PFLノックアウトベクターは策2中のLDHノックアウトと全く同じ様式で構築され、及び図5中に概略される。
a)PFLノックアウトベクター構築
既知のBacillus PFL配列の間の配列ホモロジーに基づいて設計される、変性したプライマー5’−CGTGAAAACGGWGGCGTYCTTGATATGGATACA−3’(前進、配列ID番号25)、及び5’−TTCGCACCTGGWGCAAAYGGTTCTCC−3’(後退、配列ID番号26)をG. thermoglucosidasius 11955からのゲノムDNAをテンプレートとして用いて1.7kb断片を増幅するために使用した。PCRを以前に示されるように行い、及び精製PCR産物をpUC19(NEB)にライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、及びシークエンスした。生ずるプラスミドをpTMO95として割り当てた。
【0080】
第二のシリーズのPCRを断片3の3’末端及び断片4の5’末端にNotI部位を導入するためのプライマーで行った。PCR1において、プライマー5’−CCGGAATTTCACTTCCCACGGACCAGGTTA−3’(前進、配列ID番号27)及び5’−AAGCGGCCGCTATCCAAGAAGGTGGAAACGC−3’(後退、配列ID番号28)を以前に示される条件及び成分でpTMO95と混合し、及び精製PCR産物をpUC19(NEB)にライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、及びシークエンスした。生ずるプラスミドをpTMO105として割り当てた。
【0081】
PCR2において、プライマー5’−AAGCGGCCGCTGCGCGTCGAATTTGGCGATGA−3’(前進、配列ID番号29)及び5’−CCAAGCTTCCGTATACAACGTTAGACGTAA−3’(後退、配列ID番号30)を以前に示される条件及び成分でpTMO95と混合し、及び精製PCR産物をpUC19(NEB)にライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、制限酵素分析により特徴付け、及びシークエンスした。生ずるプラスミドをpTMO107として割り当てた。
【0082】
断片4を含むプラスミドpTMO107をNotI及びHindIIIで消化した。生ずる断片(622bp)を、NotI及びHindIIIで事前に消化された、断片3を含むpTMO105にライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。以前のように、アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、及び上記挿入物の向きを確立するために制限酵素分析により特徴付けた。所望の構築物に期待される制限酵素パターンを有するプラスミド(pTMO110)を同定し、及びM13mp18後退及び前進プライマーを用いたシークエンスにより実証した。
【0083】
上記変異されたPFL遺伝子断片をEcoRI及びHindIIIでの消化によりpTMO110から切り取り、及び精製断片をEcoRI及びHindIIIで事前に消化されたpTMO31とライゲートした。上記ライゲーション混合物を標準のプロトコールを用いてE. coli JM109(Stratagene)を形質転換するために使用した。アンピシリン抵抗性コロニーを選択し、及び含まれるプラスミドを単離し、及び上記挿入物の向きを確立するために制限酵素分析により特徴付けた。生ずるプラスミドをpTMO111として割り当てた。
【0084】
b)シングルクロスオーバーPFLネガティブ変異体
プラスミドpTMO111を以前に示されるようにTM89及びTM180にエレクトロポーレーションにより導入した。両方の株の形質転換体を液体培養物(2TY+kan12μg/mL)中で生育させ、及び以前に示されるように統合について選択するために68℃のTGP+kan12μg/mLアガー上に非常に高い細胞密度でまいた。
コロニーを68℃のTGP+kan12μg/mL上でのストリーキングにより精製し、及びTM89及びTM180により計測可能な値のフォルメート生成を与えることが以前に示されている条件である、15mL Falcon管中の10mLのASYE(0.5%)+2%グルコースを用いた(すなわち、低酸素条件下での)、生成試験のために2TY+kan12μg/mLシード培養物を接種するために使用した。フォルメート生成はより高い酸素値では通常見られない(表9を参照のこと)。TM89及びTM180中のpTMO111の推定統合体の試験結果は以下の表11中に示される。
【0085】
【表12】

【0086】
表11 TM89及びTM180中のpTMO111推定統合体(68℃)
TM89推定統合体の代謝プロファイル(表11)は全てこの試験におけるTM89に非常に似ているようであった。あまり生育しなかったpTMO111/TM89/1.1及びpTMO111/TM89/1.3を除外して、それらはTM89と同様の値でフォルメートを生成し(約20mM)、及び同様の値の他の代謝物及び同様の値の残留のグルコースを有した。しかしながら、TM89推定統合体はpflB位置での真の統合体ではない可能性がある。あるいは、TM89の変異体はこれらの条件下では安定でなく、及び観察された結果は、可能性としてより低い通気下での統合体のより高い不安定性を反映して、復帰突然変異体(上記プラスミドのループアウト)の選択を反映する可能性があった。
【0087】
TM89推定統合体は非常に異なるように見える。全ては、TM180対照と比較されるとき、フォルメートの生成を示さず、低アセテート及び非常に低い残留グルコースを示した。これらはおそらくpflB位置での真の統合体であり、及びそれゆえPFL生成において欠損している。
【0088】
c)安定な遺伝子置換PFLネガティブ変異体
両方の株の第一統合体(TM180及びTM89中のpTMO111)を遺伝子置換のための推定ダブルクロスオーバーを作出するために使用した。それぞれの株のいくつかの第一統合体を以前に示されるように、カナマイシンの不在下の振騰液体媒質中で連続的にサブ培養し、その後上記培養物を連続希釈し、TGP上にまき、及びKansコロニーを同定するためにkan(12μg/mL)を含むTGPにレプリカプレート作成した。
【0089】
これらのKansコロニーをフォルメート生成における減少についてスクリーニングしたとき、それぞれのホストについての4のコロニーはフォルメート生成の欠損を示した。これらの単離物の代謝プロファイルは表12中に与えられる。
【0090】
【表13】

【0091】
表12:TM89及びTM180における推定安定遺伝子置換PFLネガティブ変異体
TM89に基づくPFL変異体TM236及びTM237を中及び低酸素条件下で試験した。低酸素値で、これらの2の株はほとんど生育しなかった。それらは少量のグルコースのみを利用し、及びわずかな(約5mM)エタノールのみを生成した。見られた唯一の顕著な生成物はピルベート(約12mM)であり、計測可能なフォルメート又はアセテートはなかった。しかしながら、増大された酸素で、それらの代謝プロファイルはTM89により似ているように見えた。この表現型は、PDH発現が低通気/嫌気条件下では低すぎてPFLの役割を効果的に置換できないPFLノックアウトとフィットするであろう、及びTM89中のpTMO111の推定第一統合体がTM89と同様に見える、表12中の第一統合体により示される表現型を説明するであろう。これはこれらの条件下でのPFL変異体の乏しい生育を説明するであろう、及び相同組換えによる野生型への復帰への強い選択を提供する。TM89の他の推定PFLネガティブ変異体−TM244及びTM245−を異なる第一統合体から単離したが、TM36及びTM37と同様のプロファイルを有する。
【0092】
TM180に基づくPFL変異体TM240、TM241、TM242及びTM243(TM243は他の3とは異なる第一統合体からであった)は表11中のTM180に基づく第一統合体で見られたのと同様の表現型を示す(計測可能なフォルメート生成はなく、TM180と比較されるときより高いエタノール及びより低いアセテート)。それらはそれゆえ遺伝子置換からの安定なPFL変異体であると仮定される。
【0093】
d)PFL遺伝子置換の証明
上記に示される推定PFL変異体は真の遺伝子置換であったかどうかを試験するために、PCR実験を設定した。ゲノムDNAをTM236、TM241、TM242及びTM243について調製した。使用されたプライマーはノックアウト設計のためのPFL配列を提供した11955から元のPFL PCR産物を作出するために使用された、配列ID番号25及び配列ID番号26であった。PFLノックアウト構築物pTMO111において使用されたPFL配列は全てプライマー配列、配列ID番号25及び26の内側であり、上記配列はpTMO111内に含まれないことを意味する。したがって、上記ノックアウト構築物はこれらのプライマーでPCR産物を作出するはずないが、上記遺伝子置換株及び野生型株は産物を作出するはずである。
【0094】
PFLネガティブ遺伝子置換変異体からのゲノムDNAは野生型の産物より0.4kb小さい、及び新規NotI部位を有する単一のPCR産物を与えるはずである。
これらのプライマー及びゲノムDNAを用いて、対照として11955ゲノムDNA及びpTMO111プラスミドDNAを伴って、全ての4の変異体は、11955からの約1.7kb(理論上1694bp)の単一の産物と比較して、約1.3kb(理論上1342bp)の単一のPCR産物を与えたことが示された。予想されるように、pTMO111では産物は得られなかった。上記5の株からのPCR産物をゲル精製し、NotIで消化し、及びアガロース電気泳動ゲル上で流した。全ての4のPFLネガティブ変異体からのPCR産物は完全に消化され、約0.6〜0.7kb(理論上650bp及び691bp)の2の産物を与え、一方で11955の産物はNotIにより切断されなかった。この試験は決定的であるはずであり、それゆえこれらの4の株は天然のpfl遺伝子が0.4kb欠失及び新規NotI部位を含むpfl遺伝子で(相同組換えにより)置換されている真のPFL変異体であると結論付けられうる。
【0095】
キシラン発酵:
クイック及びシンプル管培養実験をオートクレーブされ及びさまざまなヘミセルラーゼで処理された商業的に入手可能なキシラン(Sigma)中でTM242で行った。私たちはHPLC分析において糖ピークの消失を観察し、及びさらなる実験において私たちはエタノール生成を観察した−このことは、上記生物が酵素処理されたヘミセルロース(商業的なリグノセルロースエタノール生成の最終的な標的)を発酵させることができる可能性を有するのみでなく、この生物はグルコース及びキシロースを分解するために最も大量の酵素及び時間を必要とする二量体−セロビオース及びキシロビオース−を利用することができることを示す。これは現行の技術を超える顕著な改善及び利点である。ヘミセルラーゼを用いたエタノール生成の結果は表13中に示される。
【0096】
【表14】

【0097】
変異体11955及びTM242をまた炭素源として異なる炭水化物を用いた嫌気発酵についても試験した。結果は表13中に示される。
【0098】
【表15】

【0099】
TM89として本明細書中に定義される微生物及びプラスミドpUB 190−ldhはそれぞれNCIMBアクセス番号41275及び41276の下に寄託されている。保管所はNCIMB Ltd, Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, AB21 9YA, United Kingdomである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増大されたエタノール生成を許容するよう改変された好熱性微生物であり、第一の改変はラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の不活性化であり、及び第二の改変はピルベートデヒドロゲナーゼ遺伝子をアップレギュレートする、好熱性微生物。
【請求項2】
上記第二の改変はピルベートデヒドロゲナーゼ遺伝子の上流の遺伝子プロモーターの挿入であり、上記プロモーターは嫌気条件下ではたらく、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
ヂヒドロリポアミドトランスアセチラーゼ遺伝子(EC 2.3.1.12)を不活性化するための第三の改変を含む、請求項1又は請求項2に記載の微生物。
【請求項4】
ピルベートフォルメートリアーゼ(PFL)遺伝子を不活性化するためのさらなる改変を含む、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項5】
上記微生物は制限酵素システムを含まない、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項6】
上記微生物はgeobacillus種である、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項7】
上記微生物はgeobacillus thermoglucosidasiusである、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項8】
上記微生物は胞子形成体である、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項9】
上記微生物は30%(w/v)までのエタノールを含む培養媒質中で安定である、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項10】
上記微生物はセロビオース、キシロビオース、及び/又はデンプン又はそれらのオリゴマーを代謝しうる、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項11】
上記微生物は高頻度で形質転換可能である、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項12】
上記微生物は40℃〜85℃、好ましくは50℃〜70℃の温度で生育する、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項13】
上記微生物は非天然pdc遺伝子を含む、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項14】
上記微生物は非天然adh遺伝子を含む、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項15】
上記天然ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子又はその一部が欠失している、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項16】
上記微生物はラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子において統合エレメントを含まない、いずれかの前記請求項に記載の微生物。
【請求項17】
C3、C5又はC6糖又はそれらのオリゴマーの存在下の好適な条件下でいずれかの前記請求項に記載の微生物を培養することを含む、エタノール製造方法。
【請求項18】
上記方法は40℃〜70℃の温度で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記温度は52℃〜65℃である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記微生物は4〜7.5のpHの培養中で維持される、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれかに記載の微生物を含む、動物飼料。
【請求項22】
不活性化されたPFL遺伝子を含む、上記LDH遺伝子は不活性化された又は野生型に比較して減少された値で発現される、及び上記PDH遺伝子は野生型を超える値で発現される、微生物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−504747(P2010−504747A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529768(P2009−529768)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003699
【国際公開番号】WO2008/038019
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(507364137)ティーエムオー リニューアブルズ リミティド (7)
【Fターム(参考)】