説明

エチレンテトラフルオロエチレン(メタ)アクリレート共重合体

以下の重量パーセンテージで共重合したモノマー:
(a)式(I):
2n+1(CH[(CFCF(CHCH−L−C(O)−C(R)=CH (I)
[式中、Rは、H、Cl、F又はCHであり、Lは、O、S、NH、S−(CHO、S−(CHNH、OC(O)NH−CHCHO、NHC(O)NHCHCHO、S−(CHOC(O)NHCHCHO、又はS(CHNHC(O)NHCHCHOであり、
添え字nは1〜約6の整数であり、添え字xは1〜約6の整数であり、添え字y、zおよびmはそれぞれ独立して1、2又は3、又はこれらの混合であり、添え字rは、1〜約10であり、
フルオロカーボン−炭化水素鎖セグメント(L−C(O)−C(R)=CHを除く式(I))中の総炭素数は、約8〜約22である]
のモノマー又はモノマーの混合物、約20%〜約95%、および
(b)
(i)炭素数約6〜約18の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は
(ii)式(II)
(RN−R−O−C(O)−C(R)=CH (II)
[式中、Rは、H、Cl、F又はCHであり、
各Rは、独立してC〜Cアルキルであり、
は、2価の直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている]
のモノマー、又は
(iii)これらの混合物
の少なくとも1つ、約5%〜約80%、
を含む、共重合体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に表面特性を付与するのに有用なフッ素化共重合体を含む組成物に関する。共重合体は、フッ素化(メタ)アクリレートおよび他のコモノマーを含むモノマーの共重合から誘導される。
【背景技術】
【0002】
様々なフッ素化組成物が、基材に表面効果を付与する処理剤として有用であることが知られている。
【0003】
このような処理剤に関して、Hondaらは、Macromolecules,2005,38,5699−5705で、炭素原子数が8以上のパーフルオロアルキル鎖では、パーフルオロアルキル基の配向は平行な配置に維持されるが、炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキル鎖では再配向が起こることを示している。このような再配向により、後退接触角などの表面特性が低下する。
【0004】
係属中の特許出願である米国特許出願公開第2008/0202384A1号明細書(整理番号CH3097)は、フッ化ビニリデンとエチレン連結基に結合した2〜6個の炭素原子を有し、非フッ素化アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび/又はある一定のアミノ(メタ)アクリレートと共重合したフルオロアルコールから誘導された共重合体組成物を開示している。
【0005】
これらの製品に対する顧客の要求は絶えず変化しており、新規で費用効果が高く環境にやさしい化学的中間体や化学製品が引き続き必要とされている。特に、高価なフルオロカーボン部分の幾つかが比較的安価で比較的フッ素効率の高い部分で置換された、基材に顕著な表面効果を付与するフルオロケミカルが更に必要とされている。本発明は、このような組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:
(a)式(I)、
2n+1(CH[(CFCF(CHCH−L−C(O)−C(R)=CH (I)
[式中、
Rは、H、Cl、F又はCHであり、
Lは、O、S、NH、S−(CHO、S−(CHNH、OC(O)NH−CHCHO、NHC(O)NHCHCHO、S−(CHOC(O)NHCHCHO、又はS(CHNHC(O)NHCHCHOであり、
添え字nは1〜約6の整数であり、添え字xは1〜約6の整数であり、添え字y、zおよびmはそれぞれ独立して1、2又は3、又はこれらの混合であり、添え字rは、1〜約10であり、
フルオロカーボン−炭化水素鎖セグメント(L−C(O)−C(R)=CH2を除く式(I))中の総炭素数は、約8〜約22である]
のモノマー又はモノマーの混合物、約20%〜約95%、および
(b)
(i)炭素数約6〜約18の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は
(ii)式(II)
(RN−R−O−C(O)−C(R)=CH (II)
[式中、
Rは、H、Cl、F又はCHであり、
各Rは、独立してC〜Cアルキルであり、
は、2価の直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている(salinized)]、
のモノマー、又は
(iii)これらの混合物、
の少なくとも1つ、約5%〜約80%、
を含む共重合体組成物を含む。
【0007】
本発明は、更に、基材を上記に開示した本発明の共重合体組成物と接触させる工程を含む、撥油性、撥水性、耐染み性、耐汚性、ウィッキング、および染み除去性を付与するための基材の処理方法を含む。
【0008】
本発明は、更に、前述の本発明の共重合体組成物を接触させた基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、商標は全て大文字で示す。
【0010】
「(メタ)アクリレート」の用語は、特に他の記載がない限り、メタクリル酸とアクリル酸のエステルを包含する。本明細書では、「フッ素化アクリレート」および「フッ素化チオアクリレート」の用語は、式(I)(式中、Rは、特に他に定義されない限り、H、Cl、F、およびCHからなる群から選択される)の化合物を指す。
【0011】
本発明は、処理基材に顕著な撥水性、撥油性、耐染み性、耐汚性、染み除去性、およびウィッキングを付与する共重合体組成物を含み、共重合体は、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有する。共重合体は、上記で定義した式(I)の成分(a)、および、上記で定義した少なくとも1種類の成分(b)(i)、(b)(ii)又はこれらの混合物を含む。共重合体は更に、任意に、下記の他の実施形態で定義される少なくとも1種類の追加のモノマー(c)、モノマー(d)、モノマー(e)、又はこのような追加のモノマーの任意の混合物を含む。
【0012】
方法、組成物および基材を含む本発明の全ての実施形態において、好ましい共重合体は、上記の式(I)(式中、RはH又はCHであり、LはOであり、添え字nは2〜4の整数であり、添え字xは2であり、添え字y、zおよびmはそれぞれ独立して1又は2、又はこれらの混合である)のモノマーを含む。式(I)(式中、添え字nは2〜3の整数であり、添え字y、zおよびmは1である)のモノマーを含む共重合体がより好ましく、nが2のものが更により好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態は、以下の重量パーセンテージで共重合したモノマー:上記で定義した式(I)のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、好ましくは約40%〜約95%からなる成分(a)、および、炭素数約6〜約18の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーの1種類以上の成分約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%からなる成分(b)(i)を含む共重合体組成物である。より好ましくは、共重合体組成物は、成分(a)、即ち、式(I)のモノマー約50重量%〜約85重量%、より好ましくは約60重量%〜約85重量%を含む。好ましくは、成分(b)(i)アルキルメタクリレートの割合は、約15重量%〜約30重量%である。好ましいアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、ステアリル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0014】
本発明の別の実施形態は、以下の重量パーセンテージで共重合したモノマー:上記で定義した式(I)のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、好ましくは約40%〜約95%からなる成分(a)、および、上記で定義した式(II)の1種類以上のモノマー約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%からなる成分(b)(ii)を含む共重合体組成物である。好ましくは、成分(a)は、約50重量%〜約85重量%存在し、成分(b)(ii)は約10重量%〜約40重量%存在する。式(II)の好ましいモノマーとしては、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、および3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0015】
「窒素は、約40%〜100%塩様になっている」の用語は、モノマー(II)の窒素原子がプロトン化された若しくはアルキル化された形態で、又は、部分的にプロトン化された若しくは部分的にアルキル化された形態で存在することを意味する。これは、モノマーの重合前、重合中、又は重合後に達成することができる。式(II)の窒素が塩様になること(salinization)によって、それから誘導されるポリマーに有用な水分散性が付与される。部分的に又は完全に塩様になっている式(II)のモノマーを含むコポリマーを提供する簡便且つ好ましい手法は、重合させてコポリマー組成物を提供した後、酸水溶液でコポリマーを分散させることを含む。このような酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、又は乳酸がある。好ましくは酢酸を使用し、好ましくは窒素を完全に塩様にする。コポリマー中に存在するモノマー(II)の当量を基準にして約1〜約2当量の酸を使用することによって、完全に塩様にすることができる。
【0016】
本発明の別の実施形態は、次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:前述の式(I)のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、好ましくは約40%〜約95%からなる成分(a);および、それぞれ前述した(b)(i)アルキル(メタ)アクリレートと(b)(ii)式(II)のモノマーの混合物約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%からなる成分(b)を含むコポリマー組成物である。
【0017】
本発明の別の実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、且つ次の重量パーセンテージで共重合した少なくとも1つの追加のモノマー:
(c)塩化ビニリデン、塩化ビニル、又は酢酸ビニル、又はこれらの混合物約1%〜約35%、又は
(d)スチレン、メチル置換されたスチレン、クロロメチル置換されたスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、および式(III)の化合物:
(OCHCHO−C(O)−C(R)=CH (III)
(式中、
qは2〜約10であり、
は、H、C〜Cアルキル、又はCH=C(R)C(O)−O−であり、
Rは、H、Cl、F又はCHである)
からなる群から選択される少なくとも1種類のモノマー約0.5%〜約25%、又は
(e)式(IV):
【0018】
【化1】

(IV)
(式中、Rは、H、Cl、F又はCHである)
の少なくとも1種類のモノマー約0.5%〜約10%、又は
(f)(c)、(d)および(e)のいずれかの組み合わせ、
を更に含む、コポリマー組成物を含む。
【0019】
従って、モノマー(a)および(b)は、1)モノマー(c)、2)モノマー(d)、3)モノマー(e)、4)モノマー(c)および(d)、5)モノマー(d)および(e)、6)モノマー(c)および(e)、又は7)モノマー(c)、(d)および(e)と共重合する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態は、前述の成分(a)、および前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、共重合した追加のモノマーが塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、又はこれらの混合物約1重量%〜約35重量%として定義される成分(c)である、コポリマー組成物を含む。好ましい組成物は、成分(a)、成分(b)(i)、および成分(c)約10%〜約30%を含み、最も好ましくはモノマー(c)は塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、又はこれらの混合物である。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態は、上記で定義した成分(a)、上記で定義した成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、追加のモノマーが、スチレン、メチル置換されたスチレン、クロロメチル置換されたスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート、および上記で定義した式(III)の化合物からなる群から選択される1種類以上のモノマー約0.5%〜約25%(重量に基づく)として定義された成分(d)である共重合体組成物を含む。これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、および式(III)の化合物(式中、qは4〜10であり、Rは水素である)が最も好ましい。好ましい成分(d)は、共重合体配合物の約3%〜約10%(重量に基づく)を構成する。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、追加のモノマーがそれぞれ前述した成分(c)および成分(d)であるコポリマー組成物を含む。好ましい組成物は、成分(a)、成分(b)(i)、成分(c)、および成分(d)を含む。成分(d)について前述したのと同じ選択がこの実施形態でも適用可能である。
【0023】
本発明の別の実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物、任意に前述の成分(c)を含み、前述の式(IV)の1つ以上のモノマー約0.5%〜約10%である成分(e)を更に含むコポリマー組成物を含む。好ましくは成分(e)は、重量を基準にして、コポリマー配合物の約0.5%〜約3%を構成する。
【0024】
本発明の実施形態の全てにおいて、共重合してコポリマーを形成するモノマーの重量パーセンテージは、1)それぞれの重量パーセンテージが上記に開示された範囲内にあり、2)モノマーの重量パーセンテージの合計が100%になるように選択される。従って、任意のモノマー(c)、(d)および/又は(e)が存在するとき、モノマー(a)および/又は(b)の量(重量パーセント)は、任意のモノマーの存在に適応するようにそれぞれについて記載された範囲内で調整されなければならない。例えば、モノマー(c)が5%存在し、モノマー(d)が18%存在し、モノマー(e)が7%存在する場合、モノマー(a)プラス(b)プラス(c)プラス(d)プラス(e)の合計が100%になるように、モノマー(a)とモノマー(b)の量は、合計、[100%−(5%+18%+7%)]=70%となるように選択される。
【0025】
乳化重合を使用して、本発明のコポリマー組成物を調製することができる。攪拌機と、仕込んだものを加熱および冷却するための外部手段とを取り付けた反応器内で重合を行う。5重量%〜50重量%のエマルション濃度が得られるように、一緒に重合するモノマーを、好適な界面活性剤および任意に有機溶媒を含有する水溶液中に乳化させる。典型的には、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの揮発性モノマーは、反応器に直接添加され、予備乳化されない。温度を約40℃〜約70℃まで上昇させて、添加されるラジカル開始剤の存在下で重合を行う。好適な開始剤は、一般に知られているエチレン性不飽和化合物の重合開始剤のいずれかである。このような一般に使用される開始剤としては、2,2’−アゾジ−イソブチルアミジン二塩酸塩、2,2’−アゾジイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩および2,2’アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が挙げられる。添加される開始剤の濃度は、通常、重合するモノマーの重量を基準にして、0.1〜約2重量%である。得られるポリマーの分子量を制御するために、重合中、任意に、炭素原子数4〜約18のアルキルチオールなどの連鎖移動剤が少量存在する。
【0026】
この重合に使用される界面活性剤は、水性エマルションの調製に一般に使用されるカチオン性、アニオン性、非イオン性、および両性界面活性剤のいずれかである。好適なカチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、およびエトキシ化アルキルアミン塩などが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤の好ましい例は、Akzo Nobel(Chicago, Ill)から入手可能なETHOQUAD18/25などの15モルのエチレンオキサイドを有する炭素数18のアルキルアミンなどのエトキシ化アルキルアンモニウム塩のクロライド塩である。本明細書で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイドと炭素原子数12〜18の脂肪アルコール、炭素数12〜18の脂肪酸、アルキル基の炭素原子数が8〜18のアルキルフェノール、炭素原子数12〜18のアルキルチオール、および炭素原子数12〜18のアルキルアミンの縮合物が挙げられる。カチオン性界面活性剤と組み合わせて使用する場合、好適な非イオン性界面活性剤の好ましい例は、Stepan Company(Northfield, Ill)から入手可能なMERPOL SEなどのエトキシ化トリデシルアルコール界面活性剤である。本明細書で使用される好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルカルボン酸およびその塩、アルキル水素サルフェートおよびその塩、アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルエトキシサルフェートおよびその塩、αオレフィンスルホネート、およびアルキルアミドアルキレンスルホネートなどが挙げられる。アルキル基の炭素原子数が8〜18のものが一般に好ましい。Witco Corporation(Greenwich, CT)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤などの、アルキル基の炭素数が平均約12であるアルキル硫酸ナトリウム塩がとりわけ好ましい。
【0027】
あるいは、好適な有機溶媒中での溶液重合を使用して本発明のコポリマー組成物を調製することができる。重合に使用できる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)などケトン;例えば、イソプロパノールなどのアルコール;例えば、酢酸ブチルなどのエステル;および、例えば、メチルt−ブチルエーテルなどのエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。一緒に重合するモノマーを溶媒と一緒に前述の反応器に仕込む。典型的には、有機溶媒又は有機溶媒の混合物中の総モノマー濃度は約20重量%〜約70重量%であってもよい。温度を約60℃〜約90℃まで上昇させて、モノマーの総重量に対して0.1〜2.0%の割合で使用される少なくとも1つの開始剤の存在下で重合を行う。溶液中で重合を行うのに有用な開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイドおよびラウリルパーオキサイドなどの過酸化物;並びに、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。分子量を制御するために、任意に、前述のアルキルチオールなどの連鎖移動剤を使用することができる。
【0028】
本発明の組成物を形成するのに有用な、式(I)のフッ素化アクリレートおよびフッ素化チオアクリレートは、米国特許第3,282,905号明細書および欧州特許第1632542A1号明細書に記載の手順を使用して、対応するフッ素化アルコールおよびフッ素化チオールから、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、又は2−フルオロアクリル酸と一緒にエステル化することによって調製される。あるいは、式(I)のアクリレートおよびメタクリレートエステルは、米国特許第3,890,376号明細書に開示される手順に従って、対応する硝酸エステルから製造することができる。式(II)のアルキル(メタ)アクリレートおよびアミノ(メタ)アクリレートは、Aldrich Chemical Company(Milwaukee, WI)から市販されている。
【0029】
式(I)のフッ素化アクリレートの生成に有用なフッ素化アルコールおよびチオールとしては、式(V):
2n+1(CH[(CFCF(CHCH−XH (V)
(式中、
XはO又はSであり、
添え字nは1〜約6の整数であり、添え字xは1〜約6の整数であり、添え字y、zおよびmはそれぞれ独立して1、2又は3、又はこれらの混合であり、
式(V)のフルオロカーボン−炭化水素鎖セグメント中の総炭素数は、約8〜約22である)
のものが挙げられる。
【0030】
式C2n+1(CH[(CFCF(CHCHOH(式中、m、n、x、yおよびzは上記で定義した通りである)のアルコールは、オレウム処理および加水分解を使用してオリゴマーアイオダイドから調製される。60℃で1.5時間オレウム(15%SO)と反応させた後、氷冷した希KSO溶液を使用して加水分解し、その後、100℃に30分間加熱することによって満足な結果が得られることが分かったが、他の反応条件を使用してもよい。室温に冷却した後、固体が沈殿する。その後、液体をデカントし、固体をエーテルに溶解させ、飽和NaCl水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、減圧乾燥する。他の精製法を使用してもよい。
【0031】
あるいは、アルコールは、オリゴマーアイオダイドをN−メチルホルムアミドと共に約150℃に加熱し、19時間維持することによって調製してもよい。反応混合物を水で洗浄し、残留物を得る。この残留物とエタノールおよび濃塩酸の混合物を2.5時間穏やかに(浴温約85℃で)還流させる。反応混合物を水で洗浄し、ジクロロメタンで希釈し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。ジクロロメタン溶液を濃縮し、減圧蒸留し、アルコールを得る。任意に、N−メチルホルムアミドの代わりに、N,N−ジメチルホルムアミドを使用してもよい。他の精製法を使用してもよい。
【0032】
式(V)のチオールは、J.Fluorine Chemistry,104,2 173−183(2000)に記載の方法に従って、様々な試薬で処理することにより、オリゴマーアイオダイドから得ることができる。一例は、オリゴマーアイオダイドをチオ酢酸ナトリウムと反応させた後、水酸化ナトリウムで加水分解することである。あるいは、式(V)のチオールは、文献の方法(Rondestvedt,C.S.,Jr.;Thayer,G.L.,Jr.J.Org.Chem.1977,42,2680)に従って、チオ尿素と反応させた後、チオウロニウム塩を加水分解することによって調製される。オリゴマーアイオダイドをチオ尿素と共にエタノール中で36時間還流し、水酸化ナトリウムを使用して加水分解し、対応するオリゴマーチオールを得る。
【0033】
これらの式(V)のアルコールおよびチオールは、オリゴマーアイオダイドから誘導される。このアイオダイドは、テトラフルオロエチレンとエチレンの混合物でフルオロアルキルアイオダイドをオリゴマー化し、フッ素化オリゴマーエチレン−テトラフルオロエチレンアイオダイドを生成することによって得られる。このオリゴマー化およびその後の反応の生成物は、式:
2n+1(CH[(CFCF(CHCHG (VI)
[式中、
Gは、アイオダイド(I);ヒドロキシル(OH);アクリレート(OC(O)CH=CH);メタクリレート(OC(O)CCH=CH);クロロアクリレート(OC(O)CCl=CH);アミン(NRH);アジド(N);イソシアネート(NCO);チオール又はチオール誘導体SQ(式中、Q=H、アルキル、(CHOH、又は(CHNH、(CHOC(O)C(Me)=CH、(CHNHC(O)C(Me)=CH、(CHNHC(O)NHCHCHO、又は(CHOC(O)NHCHCHO);チオシアネート(SCN);カルボン酸(COOH);スルホン酸(SOH);アクリルアミド(NHCOCH=CH);メタクリルアミド(NHCOC(CH)=CH);又はウレタン(メタ)アクリレート基[OC(O)NHCHCHOC(O)C(CH)=CH]および[OC(O)NHCHCHOC(O)C(CH)=CH]であり、
添え字nは1〜約6、好ましくは約2〜約4、最も好ましくは2であり;添え字xは1〜約6、好ましくは1又は2、最も好ましくは2であり;添え字y、zおよびmは独立して1、2又は3、又はこれらの組み合わせであり;好ましくは、yおよびzはそれぞれ1であり、mは1又は2であり;添え字rは1〜約10であり、
フルオロカーボン−炭化水素鎖(Gを除く式VI)中の総炭素数は、約8〜約22である]
で表される組成物中に含まれる。
【0034】
式(VI)の好ましい実施形態としては、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−G−オクタン、又は1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−G−デカン、又はこれらの混合物(式中、Gは上記で定義した通りである)が挙げられる。
【0035】
このオリゴマー化反応の初期生成物は、類縁のオリゴマーの混合物である。このような反応の性質のため、得られる主オリゴマーの他に、鎖長が僅かに長い又は短い他のオリゴマーも存在する。また、エチレンとテトラフルオロエチレンが交互になっておらず、期待される交互配列から逸脱するオリゴマーも少量存在する。上記の式(IV)は、オリゴマー化反応からの元のオリゴマー混合物、並びにそのアルコール誘導体、(メタ)アクリレート誘導体およびチオアクリレート誘導体だけでなく、これらの混合物の精製された形態又は部分的に精製された形態も、また各混合物の個々の成分も含むことが意図されている。
【0036】
必要に応じて、溶解度、融点、蒸気圧、および他の特徴の差により、この混合物中の主な化学物質を個々の成分に分離することができる。例えば、以下の実施例に示すように、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランに対するこのような成分の相対的溶解度は、このような精製に有用であることが分かった。当業者によって容易に決定される他の溶媒および方法を使用してもよい。最も簡単な精製を超えるものは全く必要でないと思われる。最終的に誘導される誘導体生成物に転化されるとき、これらのオリゴマーは全て、主オリゴマーに類似の特性を示し、最終製品に有用な追加分(additions)であると考えられる。
【0037】
この反応にテロゲンとして有用なフルオロアルキルアイオダイドとしては、C2n+1CHCHI、C2n+1CHIおよびC2n+1I(式中、nは1〜6の整数である)が挙げられる。好ましくは、nは2〜4であり、より好ましくは2である。最も好ましいフルオロアルキルアイオダイドは、パーフルオロエチルエチルアイオダイドである。
【0038】
式C2n+1(CH[(CFCF(CHCHI(式中、m、n、x、yおよびzは前述の通りである)のアイオダイドは、好ましくは、エチレンとテトラフルオロエチレンの混合物を使用して、C2n+1I、C2n+1CHI又はC2n+1Iをオリゴマー化することにより調製される。反応は、室温〜150℃の任意の温度で適したラジカル開始剤を用いて、好ましくは、40〜100℃の温度でその範囲で10時間の半減期を有する開始剤を用いて実施することができる。出発物質の供給比、即ち、C2n+1I、C2n+1CHI又はC2n+1Iのモル数対エチレンとテトラフルオロエチレンを合わせたモル数を使用して、反応の転化率を制御することができる。このモル比は、約1:3〜約20:1である。エチレン対テトラフルオロエチレンのモル比は、約1:10〜約10:1、好ましくは約3:7〜約7:3、最も好ましくは約4:6〜約6:4である。
【0039】
本発明は、更に、基材を前述の本発明のコポリマー組成物と接触させる工程を含む、撥油性、撥水性、耐汚性、耐染み性、染み除去性およびウィッキングを付与するための基材の処理方法を含む。本発明の組成物は、基材に直接塗布される。組成物は単独で塗布されるか、又は、希薄な非フッ素化ポリマーと、又は他の処理剤若しくは仕上げ剤と混合して塗付される。組成物は、製造施設で、小売業者のところで、又は、取り付けおよび使用の前に、又は消費者のところで塗布することができる。
【0040】
基材の製造中に、本発明のコポリマー組成物を添加剤として使用することができる。それは製造中の任意の好適な時点で添加される。例えば、紙の場合、コポリマーは、サイズプレスで製紙用パルプに添加される。好ましくは、本発明の組成物を、組成物の乾燥固形分と乾燥紙繊維を基準にして、約0.3重量%〜約0.5重量%、製紙用パルプに添加する。
【0041】
本発明の組成物は、一般に、刷毛、スプレー、ローラー、ドクターブレード、ワイプ、液浸、浸漬法、発泡、液体注入、およびキャスティングを含む従来の手段で基材を組成物と接触させることによって硬質表面基材に塗付されるが、これらに限定されない。任意に、2つ以上の被膜を特に多孔質表面に塗布することができる。本発明の組成物は、石、タイル、および他の硬質表面に使用されるとき、固形分を基準にして組成物を約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1.0重量%〜約10重量%、最も好ましくは約2.0重量%〜約5.0重量%有する塗布溶液が得られるように、典型的には水で希釈される。基材に塗布される時の塗布量は、半多孔質基材(例えば、石灰石)では一平方メートル当たり塗布溶液約100g(g/m)であり、多孔質基材(例えば、サルティヨ(Saltillo))では約200g/mである。好ましくは、塗布の結果、固形分約0.1g/m〜約2.0g/mが表面に塗布される。
【0042】
本発明の組成物は、一般に、不織布、布帛、およびカーペットなどの繊維基材に水性エマルション、分散体、又は溶液として、スプレー、浸漬、パディング、又は他の周知の方法で塗付される。本発明のコポリマーは、一般に、完全に配合されたエマルションの重量を基準にして、約5g/L〜約100g/L、好ましくは約10g/L〜約50g/Lの濃度になるように水で希釈される。例えば、スクイズロールで余分な液体を除去した後、処置された布帛を乾燥させ、次いで、例えば、110℃〜190℃に、少なくとも30秒間、典型的には約60〜約180秒間、加熱することによって硬化させる。このように硬化させることによって、はじく性質と耐久性が向上する。これらの硬化条件は典型的なものであり、市販の装置にはこれらの範囲外で運転され得る。
【0043】
本発明の組成物をそのようなものとして、又は他の1種類以上の仕上剤又は1種類以上の表面処理剤と組み合わせて基材と接触させる。本発明の組成物は、任意に、ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔らかさ、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピリング性、防染み性、染み除去性、防汚性、汚れ除去性、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、日焼け防止、および類似の効果などの追加の表面効果を達成するために、処理剤又は仕上剤などの追加の成分を更に含む。特に、繊維基材では、合成布帛又は木綿布帛などのテキスタイルを処理するとき、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能なALKANOL 6112などの湿潤剤を使用してもよい。木綿又は綿混の布帛を処理するとき、Omnova Solutions(Chester,SC)から入手可能なPERMAFRESH EFCなどの防皺性樹脂を使用してもよい。
【0044】
また、界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックス増量剤(extender)、および当業者に既知の他の添加剤などの、一般にこのような処理剤又は仕上剤と一緒に使用される他の添加剤が存在してもよい。好適な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤が挙げられる。Witco Corporation(Greenwich, CT)からDUPONOL WAQEとして入手可能なラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤が好ましい。このような仕上剤又は処理剤の例としては、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、および汚防剤(anti−stains)等が挙げられる。
【0045】
任意に、耐久性を更に促進するブロックイソシアネートを本発明のフッ素化ポリマーに(即ち、ブレンドされたイソシアネートとして)添加してもよい。適したブロックイソシアネートの一例は、Ciba Specialty Chemicals(High Point NJ)から入手可能なHYDROPHOBAL HYDROPHOBOL XANである。他の市販のブロックイソシアネートも本明細書で使用するのに適している。ブレンドされたイソシアネートとして添加されるとき、約20重量%以下の量を添加する。利点の何らかの組み合わせを得るために、任意に、塗布組成物中に非フッ素化増量剤組成物を含むことができる。このような増量剤組成物の例としては、米国特許第7,344,758号明細書に開示されているものがある。
【0046】
本発明は、更に、前述の本発明の組成物を接触させた基材を含む。本発明に有用な基材としては、硬質表面基材と繊維基材が挙げられる。本発明の組成物を接触させた好ましい基材のフッ素含有量は、約0.05重量%〜約0.5重量%である。
【0047】
硬質表面基材としては、ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、無釉タイル、レンガ、多孔質粘土、および表面多孔性を有する他の様々な基材などの多孔質および非多孔質の鉱物表面が挙げられる。このような基材の具体例としては、無釉コンクリート、レンガ、タイル、石(花こう岩、石灰石、および大理石を含む)、グラウト、モルタル、彫像用材、モニュメント、テラゾーなどの複合材料、および、石膏ボードで製造されたものを含む壁および天井パネルが挙げられる。
【0048】
繊維基材としては、テキスタイル、不織布、布帛、布帛ブレンド、カーペット、木材、紙、および皮革が挙げられる。テキスタイルおよび布帛は、以下に限定されないが、ポリアミド−6,6(PA−66)、ポリアミド−6(PA−6)、およびポリアミド−6,10(PA−610)を含むポリアミド;以下に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むポリエステル;レーヨン;木綿;ウール;シルク;麻;およびこれらの組み合わせを含む。不織材料は、ガラス、紙、酢酸セルロースおよび硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン(結合したポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)を含む)、およびこれらの組み合わせの繊維を含む。具体的な不織布としては、例えば、TYVEK(フラッシュ紡糸PE繊維)、SONTARA(ポリエステル不織布)およびXAVAN(PP不織布)などのPEおよびPPを含むポリオレフィン、SUPREL、米国特許第6,548,431号明細書、米国特許第6,797,655号明細書および米国特許第6,831,025号明細書に記載されているものなどの、芯鞘2成分溶融紡糸繊維およびサイドバイサイド2成分メルトブロー繊維の複数の層を含むスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド(SMS)不織布複合シート(そのような不織布は全てE.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington, DEの商標品である);米国特許第5,885,909号明細書に記載されているものなどの芯鞘2成分溶融紡糸繊維を含む不織布複合シート;PPスパンボンド−PPメルトブロー−PPスパンボンド積層体などの、当該技術分野で既知の他の多層SMS不織布;当該技術分野で既知の、および米国特許第3,338,825号明細書、米国特許第3,253,978号明細書、およびその中に引用されている参考文献に記載されているガラス繊維不織布媒体;並びにKOLON(スパンボンドポリエステル、Korea Vilene(Seoul, South Korea)の商標品である)が挙げられる。不織布材料としては、乾式(カード又はエアレイ)、湿式、スパンボンド、およびメルトブローを含むウェブ形成処理で形成されたものが挙げられる。不織ウェブは、樹脂で結合されていても、熱融着、溶剤接着、ニードルパンチ、スパンレース、又はステッチボンドが施されていてもよい。前述の2成分溶融紡糸繊維は、PEの鞘とポリエステルの芯を有してもよい。多層からなる複合シートを使用する場合、2成分メルトブロー繊維はポリエチレン成分とポリエステル成分を有し、その長さに沿ってサイドバイサイド配列されていてもよい。典型的には、サイドバイサイドおよび芯鞘2成分繊維は、多層配置中の別々の層である。
【0049】
本発明を実施するのに好ましい繊維基材としては、木綿、レーヨン、シルク、ウール、麻、ポリエステル、スパンデックス、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリアミド、アラミド、およびこれらのブレンド又は組み合わせからなる群から選択される1つ以上の材料が挙げられる。好ましい不織布は、紙、酢酸セルロースおよび硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、およびこれらの組み合わせを含む。最も好ましい不織布は、結合したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの組み合わせである。
【0050】
本発明の組成物および方法は、処理基材に耐久性のある撥水性、撥油性、耐汚性、染み除去性、およびウィキングの1つ以上を付与するのに有用である。本発明の組成物は、6個以下のフッ素化炭素原子を含有する比較的短鎖のパーフルオロアルキル基の使用を可能にし、処理面の保護におけるフッ素効率を向上させる。本発明は、また、環境影響が最小限である共重合体の使用を可能にする。
【0051】
材料、塗布方法、および試験方法
本明細書の実施例では、以下の材料、基材への共重合体の塗布方法、および試験方法を使用した。
【0052】
基材への塗布方法
テキスタイル布帛(A):本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーエマルションを、約2g/LのALKANOL 6112(E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能)を含有する脱イオン水で希釈し、パディングおよび乾燥後の布帛で目的のフッ素付着量(重量による)を達成するのに使用される処理浴を調製した。パディング法で処理浴を布帛に塗布したが、パディング法では、水と処理化合物を含有する槽に約2秒間布帛を通過させ、2本のローラー間に圧力を加えて通して、テキスタイル布帛100g当たり浴約60g〜150gのウェットピックアップを達成した。布帛を約160℃の温度にして乾燥し、その温度で3分間維持した。
【0053】
テキスタイル(B):以下の方法を使用して、本発明のフッ素化(メタ)アクリレート溶液でテキスタイル布帛を処理した。2000mg/kgのフッ素を含有するように、共重合体のテトラヒドロフラン溶液を調製した。共重合体溶液を基材に浸潤するまでピペットで移すことによって、溶液を布帛基材に塗布した。塗布後、基材を空気中で乾燥し、約150℃で約2分間硬化させた。撥油性および撥水性の測定を行う前に、基材を室温に冷却した。
【0054】
不織布:約2g/LのALKANOL 6112(E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能)を含有する脱イオン水で希釈した本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーエマルションを含有する浴配合物を用いたパディング浸漬法を使用して不織布を処理し、パディングおよび乾燥後に布帛で目的のフッ素付着量(重量による)を達成した。不織布のウェットピックアップ%は約80%〜110%であった。分散体の塗布後、処理された不織布をオーブン中で、不織布が250°F(120℃)に達し、その温度を3分間保つまで、乾燥、硬化させた。ASTM D1776に従って、試験前に最低4時間、処理された布帛を調整した。
【0055】
カーペット:WB Bottle Supply Co.,Inc.(Milwaukee,WI)製のトリガ噴霧器(trigger sprayer)を使用して、784cmのカーペットサンプル(約28cm又は11インチ四方)を水10gで湿らせた。次いで、トリガ噴霧器を使用して、本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーエマルションと水100gの混合物を22g、又は、カーペットの面重量(face weight)に基づいて約25%のウェットピックアップでカーペットサンプルに噴霧した。カーペット繊維パイル1g当たりのフッ素のμgである目標フッ素濃度によって、カーペットにスプレー塗布される水性混合物中の本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーエマルションの濃度が決定された。カーペットの表面パイルを小さいローラー(幅7cm)で転圧し、部分フッ素化ウレタンポリマー分散体コーティングをカーペットタイル全体に機械的に広げた。カーペットサンプルを65℃のオーブンで20分間乾燥した後、150℃の第2のオーブンに入れ、3分間硬化させた。評価を行う前に、カーペットを冷却し、約22℃、相対湿度75%で少なくとも4時間調整した。
【0056】
タイル:サルティヨ(Saltillo)(ユーロベージュ(Euro Beige))サンプルの12インチ四方(30.5cm)の正方形のタイルを洗浄して塵埃や汚れを取り除き、完全に、典型的には少なくとも24時間乾燥した。本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーと酢酸ブチルを混合し、フッ素約0.8重量%の濃度にすることによって溶液を調製した。1/2インチ(1.3cm)の塗料刷毛を使用して試料の各基材表面に溶液を塗布し、タイル1平方メートル当たり共重合体200gを達成した。次いで、表面を周囲温度、約20℃〜25℃で終夜乾燥した。
【0057】
皮革:本発明のフッ素化メタクリレート共重合体を酢酸ブチルとヘプタン約1:1の重量比の混合物に溶解し、溶液中フッ素が0.4重量%となるようにした。溶液2gを4”×4”(10cm四方)のなめした牛革サンプルにスプレー塗布し、周囲条件で24時間乾燥した。
【0058】
紙:ウォーターリーフペーパーを本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーエマルションと水からなる溶液に浸漬した後、圧搾ロール間に通して、ウェットピックアップ約150重量%を達成し、その後、紙が90秒間少なくとも150℃の温度に達するまで乾燥/硬化させた後、終夜室温に冷却した。紙1g当たりのフッ素のμgである目標フッ素濃度によって、水性パッド浴混合物中の本発明のフッ素化(メタ)アクリレートポリマーエマルションの濃度が決定された。
【0059】
試験方法
試験方法1−布帛のウィッキング試験
ウィッキング試験のため、脱イオン水を5滴布帛サンプル上の生地の異なる領域に付けた。布帛に完全に吸収されるのにかかる時間(単位、秒)を測定した。水滴が180秒以内に吸収されなかった場合、180+の値を記録した。ウィッキング時間は、親水性又は疎水性の指標である。ウィッキング時間が短いほど親水性が高いことを示し、ウィッキング時間が長いほど疎水性が高いことを示す。
【0060】
試験方法2−布帛の染み除去性試験
染み除去性試験は、AATCC Test Method 130−1995に準拠した。鉱油又はコーン油を5滴、1枚の吸取紙上の各布帛サンプルの中心に付けた。1枚のグラシン紙(秤量紙)をその染みの上に被せ、5ポンドの重りをグラシン紙の上に載せた。60秒後、重りとグラシン紙を取り除いた。油染みの周囲に4つの赤い点が付いた。布帛サンプルを、多量(Large load)、温水(Warm)(100°F、38℃)/冷水(Cold)、すすぎ1回(One rinse)、念入り(Ultra Clean)(設定12)、および普通(Normal)(速/遅)の設定のKenmore洗濯機に入れた。AATCC WOB洗剤100gと、バラスト布を含む生地4lbs.を洗濯機に加えた。洗濯後、布帛サンプルを高設定のKenmore乾燥機に45分間入れた。それぞれ標準染み1〜5と同等の染みと同等の染み除去性複製等級(Stain Release Replica Grades)1〜5に基づいて布帛サンプルを評価した。等級5は、完全な染み除去(最良)を表し、等級1は実質的に染みが除去されていないこと(最低)を表す。
【0061】
試験方法3−撥水性試験
AATCC標準試験方法第193−2004、およびTEFLON Global Specifications and Quality Control Tests information packetに概要が記載されているDuPont Technical Laboratory Methodに従って、基材(テキスタイル布帛、皮革、カーペットなど)の撥水性を測定した。この試験は、水性液体による濡れに対する基材の耐性を測定する。様々な表面張力を有する水−アルコール混合物の液滴を基材につけて、表面の濡れの程度を視覚的に測定する。
【0062】
撥水性試験液の組成を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
試験液1を3滴、基材につける。10秒後、真空吸引を使用して液滴を除去する。液体の浸透又は部分的吸収が観察されない(基材に濡れて色の濃くなった斑点が現れない)場合、試験液2で試験を繰り返す。液体の浸透が観察される(基材に濡れて色の濃くなった斑点が現れる)まで、試験液3および順次それより大きい試験液番号で試験を繰り返す。試験結果は、基材に浸透しない最も大きい試験液番号である。スコアが高いほど撥水性が大きいことを示す。
【0065】
試験方法4−撥油性試験
次のように実施されるAATCC標準試験方法第118の変更を使用して、基材(テキスタイル布帛、皮革、カーペットなど)の撥油性を試験した。基材を23℃+相対湿度20%と、65℃+相対湿度10%で最低2時間維持する。次いで、下記の表2に示す一連の有機液体を基材に1滴ずつつける。最も小さい番号の試験液(撥油性評価番号1)で始めて、3つの場所にそれぞれ1滴(直径約5mm又は体積0.05mL)、少なくとも5mm離してつける。液滴を30秒間観察する。この時間の終わりに、3滴のうち2滴がまだ球状の形状であり、液滴の周囲にウィッキングが起こっていない場合、次の最も大きい番号の液体を3滴、隣接する部位につけ、同様に30秒間観察する。試験液の1つで3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持できないという結果になるまで、又は濡れ若しくはウィッキングが起こるまで、この手順を繰り返す。
【0066】
撥油性評価は、3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持し、30秒間ウィッキングが起こらない最も大きい番号の試験液である。スコアが高いほど撥油性が大きいことを示す。
【0067】
【表2】

【0068】
試験方法5−カーペット汚れ促進試験(Accelerated Carpet Soiling Test)
ドラムミル(ローラー上の)を使用し、カーペットサンプルに合成汚れを回転付着させた。合成汚れは、AATCC Test Method 123−2000,Section 8に記載のように調製した。汚れでコーティングされたビーズは次のように調製した。合成汚れ3gと清浄なナイロン樹脂ビーズ(SURLYNアイオノマー樹脂ビーズ、直径1/8〜3/16インチ(0.32〜0.48cm))1リットルを清浄な空のキャニスタに入れた。SURLYNは、E.I.du Pont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)から入手可能なエチレン/メタクリル酸共重合体である。キャニスタの蓋を閉じ、ダクトテープで密封し、キャニスタをローラー上で5分間回転させた。汚れでコーティングされたビーズをキャニスタから取り出した。
【0069】
ドラムに挿入するカーペットサンプルは、次のように調製した。使用したカーペット材料は、業務用のタフテッドループパイル28oz/yd(0.95kg/m)で、淡黄色に染色されたものであり、Invista Laboratories(Dalton,GA)から入手可能であった。これらの試験では、全カーペットサンプルサイズは8×25インチ(20.3×63.5cm)であった。1つの試験サンプルと1つの対照サンプルを同時に試験した。全てのサンプルのカーペットパイルを同じ方向になるように置いた。各カーペットサンプルの短辺を機械方向に(タフト列に関して)切断した。強力接着テープをカーペット片の裏側に付け、それらを一緒に保持した。カーペットサンプルを、タフトがドラムの中心を向くようにして清浄な空のドラムミルに入れた。カーペットを剛性のワイヤでドラムミル内の所定の位置に保持した。汚れでコーティングされた樹脂ビーズ250ccとボールベアリング(直径5/16インチ、0.79cm)250ccをドラムミルに入れた。ドラムミルの蓋を閉じ、ダクトテープで密封した。ドラムをローラー上で2分半、105rpmで回転させた。ローラーを停止させ、ドラムミルの方向を逆にした。ドラムをローラー上で更に2分半、105rpmで回転させた。カーペットサンプルを取り出し、余分な汚れを取り除くため均一に真空吸引した。汚れでコーティングされたビーズを廃棄した。元の汚れていないカーペットと比較した、汚れたカーペットのΔE色差を試験品と対照品について測定した。各カーペットの色測定を、汚れ促進試験の後のカーペットで行った。各対照サンプルおよび試験サンプルについて、カーペットの色を測定し、サンプルを汚し、汚れたカーペットの色を測定した。ΔEは、汚れたサンプルと汚れていないサンプルの色の差であり、正の数として表される。Minolta Chroma Meter CR−310を使用して、各品で色差を測定した。カーペットサンプルの5つの異なる領域で色を読み取り、平均ΔEを記録した。各試験品の対照カーペットは、試験品と同じ色および構造であった。対照カーペットは、全くフルオロケミカルで処理されていなかった。耐汚性および/又は汚れ除去性を含むカーペットに対する表面効果を、防止された汚れのパーセンテージで測定する。ドラム汚れ後の防止された汚れのパーセンテージを「未処理より清浄である%」として、次の計算で算出した:
未処理より清浄である%=
[(汚れた未処理のカーペットのΔE)−(汚れた処理済カーペットのΔE)]×100%/(汚れた未処理のカーペットのΔE)
【0070】
この値を使用することにより、異なるカーペットの色および構造に対して補正がなされ、データセット間の有意味な比較が可能である。パーセンテージが高いほど、耐汚性が優れていることを示す。
【0071】
試験方法6−テキスタイルの洗濯耐久性
テキスタイル試験の国際規格の洗濯方法に従って、テキスタイル布帛サンプルを洗濯した。布帛サンプルを水平ドラム、フロントロードタイプ(タイプA、WASICATOR Fom 71MP−Lab)の自動洗濯機にバラスト布と一緒に投入し、全乾燥投入量を4ポンドとした。市販の洗剤(AATCC 1993標準洗剤WOB)を加え、温水(105°F、41℃)を高水量で、15分の通常の洗濯サイクルを行った後、13分のすすぎを2回行い、その後、2分脱水するように洗濯機をプログラムした。サンプルとバラスト布を指定された回数、洗濯した(5HWは5回洗濯、20HWは20回洗濯など)。洗濯後、サンプルを高設定のKenmore乾燥機に45分間入れた。規定の回数、洗濯サイクルを行った後、撥水撥油性又は染み除去性試験を前述のように繰り返した。
【0072】
試験方法7−水による浸透(スプレー衝撃試験)
不織布の水の浸透に関するINDA標準試験方法(スプレー衝撃試験)80.3−92を使用して、不織布の水による浸透を試験した。この方法は、衝撃による水の浸透に対する不織布の耐性を測定し、それを使用して、不織布の推定防雨性(probable rain penetration resistance)を予測することができる。不織布は、予め重量を測定した1枚の吸収性吸取紙(US Federal Specification NNN−P−035に適合、AATCC(Research Triangle Park, NC27709)から入手可能)を被覆する保護バリアとして使用された。スプレーノズルを通して、スプレーノズルの24インチ(60.7cm)下に中心がくるように配置された45度傾斜したサンプルに規定量の脱イオン水(500mL、27±1℃)を重力供給した。スプレー手順前後の不織布の重量の差は、不織布バリアを通過する水の量の尺度である。差が大きいほど通過した水が多い、即ち、布帛の撥水性が低い。従って、数値が小さいほど、水スプレーに対するバリア性が優れており、撥水性が優れていることを示す。
【0073】
試験方法8−タイルでの耐染み性の測定
タイルの表面に次の染み:1)ベーコンの油脂、2)サラダドレッシング、3)ケチャップ、4)レモンジュース、5)キャノーラ油、および6)モーター油を付けて、直径約1インチ(2.5cm)の染みを作ったが、これらの染みは少なくとも1インチ(2.5cm)離した。24時間後、染みをタイル表面から吸取紙で吸い取った又は軽く擦り取った。タイルの表面を水および1%の石鹸液で洗浄し、硬い剛毛ブラシを使用してタイルを10サイクル往復して擦った。次いで、タイルを水で洗浄し、評価する前に24時間乾燥した。清浄にした後にタイル表面に残存する染みを次のように0〜4のスケールで視覚的に評価した:0=染みなし;1=非常に薄い染み;2=薄い染み;3=中程度の染み;および4=濃い染み。染み評価値が低いほど防汚性が優れていることを示し、0は防汚性が最も優れている、即ち、染みが存在しないことを示す。
【0074】
試験方法9−紙の撥油性
TAPPI557方法に従い、異なる濃度のひまし油、トルエン、およびn−ヘプタンを有するキット試験の16の溶液を使用して、紙の撥油性を試験した。溶液は様々な撥油性処理レベルに区別され、従って、それを使用して各キット試験値を対応付けることができるが、これは本質的に表面張力の関数であり、溶液1の34.5ダイン/cmから溶液12の22ダイン/cmまで、溶液16の20.3ダイン/cmまでの範囲である。動物性油脂又は植物性油脂の表面張力は24ダイン/cm以上であり、キット試験値約7に相当する。次の手順で、キット試験値を紙に対応付けた。紙サンプルを清浄で平坦な黒色の表面に置き、その上に溶液1を1滴、22mm(8.4インチ)の高さから滴下する。液滴を15秒間紙と接触させた後、清浄な吸取紙で除去し、液滴下の紙の表面を調べた。液滴下の紙の表面の色が濃く見えない場合、例えば、輪(halo)が観察されない場合、色の濃い輪の存在が観察されるまで、表面張力のより小さい(即ち、KIT値のより高い)溶液を使用して試験を繰り返した。試験値が大きいほど、紙サンプルの撥油性が高いことを示す。
【0075】
試験方法10−テキスタイル布帛でのスプレー撥水性
スプレー試験法を使用して、撥水性を更に試験することができる。次のように実施されるAATCC標準試験法第22−1996に従って、処理された布帛サンプルの撥水性を試験した。前述のようにポリマーの水性分散体で処理された布帛サンプルを、23℃+相対湿度20%と、65℃+相対湿度10%で最低2時間調整する。布帛に皺がないように、布帛サンプルをプラスチック/金属の刺繍枠にしっかりと固定する。布帛が上向きになるように、枠を試験スタンド上に置く。次いで、試験漏斗に80±2°Fの(27±1℃)の水250mLを注ぎ、布帛表面に水をスプレーする。水が漏斗を通過した後、布帛を下向きにして、枠を固い物体の縁に当てて叩き、180度回転させて再度叩いた。しみのついた又は濡れた表面を、AATCC Technical Manualに見られるAATCC規格と比較する。表面が濡れているほど、数値が低く、撥水性が劣っている。100は、濡れていないことを示し、90は僅かな濡れ(3つの小さいしみ)を示し、80はスプレー箇所の幾つか(10)のしみによって表される濡れを示し、70は布帛上面の部分的な濡れを示し、50は布帛上面全体の濡れを示し、0は布帛下面と上面の完全な濡れを示す。数値が高いほど、撥水性が大きいことを示す。
【0076】
試験方法11−接触角測定
ポリマーの1重量%テトラヒドロフラン溶液をMYLARポリエチレンテレフタレートフィルム(DuPont Teijin Films(Hopewell,VA 23860))に浸漬塗工した。その後、接触角を測定する前に、フィルムを24時間空気乾燥又は減圧乾燥した。表面における水とヘキサデカンの両方の接触角を測定するための接触角(CA)測定は、ゴニオメータを使用して行った。DROPimage標準ソフトウェアを採用し、250μlのシリンジを有する自動分注システムを装備し、照明付き試料台アセンブリを有するRame−Hart Standard Automated Goniometer Model 200を使用した。インターフェースを介してゴニオメータカメラをコンピュータに接続し、このようにして液滴をコンピュータ画面で見ることができるようにした。ソフトウェアを使用して、コンピュータ画面上で水平軸線と交差線を両方とも独立に調整することができた。接触角を測定する前に、サンプルをサンプル台に配置し、垂直バーニヤを調節して接眼レンズの水平線(軸)がサンプルの水平面と一致するように調整し、接眼レンズに対するサンプル台の水平位置を位置決めし、サンプル界面における試験液の液滴界面領域の一面が観察されるようにした。サンプル上での試験液の接触角を測定するため、30μlのピペットチップおよび較正された量の試験液を移す自動分注システムを使用して、試験液約1滴をサンプル上に分注した。水の測定では脱イオン水を使用し、油の測定ではヘキサデカンを好適に使用した。サンプル台の調節によりサンプルを水平に調節した後、Model 200の場合、ソフトウェアで水平線および交差線を調節し、コンピュータで液滴の外観のモデル化に基づいて接触角を算出した。初期接触角は、試験液をサンプル表面に分注した直後に測定した角度である。30°超の初期接触角は、有効な撥水撥油性の指標である。液滴を表面に加えた後に(前進接触角、「Adv CA」)、又は液滴を表面から部分的に抜き取った後に(後退接触角、「Rec CA」)、接触角を測定することができる。
【0077】
材料
1)テキスタイル布帛(木綿、ポリエステル、ナイロン)は、Textile Innovators Corporation(100 Forest Street,Windsor,NC 27983)から購入した。
【0078】
2)SONTARAポリエステル−セルロース不織布(74g/m)は、DuPont(Nashville,TN)から購入した。
【0079】
3)12インチ四方(30.5cm)の無釉サルティヨ(即ち、日干ししたメキシコ粘土)タイルは、Tile Market of Delaware(Wilmington,DE)から購入した。
【0080】
4)業務用カーペットは、Invista Laboratories(Dalton,GA)製の、撚り合わされたSUPERBA熱硬化1410 Invista繊維から製造された、淡黄色に染色された28oz/yd(0.95kg/m)のタフテッドループパイルカーペットであった。
【0081】
5)なめされた牛革は、Seidel Tanning Corporation(Milwaukee,WI)から購入した。
【0082】
6)ウォーターリーフペーパー(30lb/3000ft又は15kg/288m)は、Western Michigan University paper laboratories(Kalamazoo,MI)で製造された。
【0083】
【表3】

中間体およびモノマーの調製
実施例では、以下の化合物およびモノマーを使用した。
【0084】
化合物1−1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン、および
化合物2−1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカン
400mLの振盪機チューブにパーフルオロエチルエチルアイオダイド(PFEEI)(45g)とVAZO64(1g)を仕込んだ。低温真空排気した後、エチレン(6g)とテトラフルオロエチレン(25g)を添加した。得られた混合物を80℃に20時間加熱した。未反応のアイオダイドPFEEIを室温で減圧蒸留により回収した。残存する固体をCHCN(3×100mL)で抽出した。CHCN抽出物を濃縮し、減圧蒸留して、純粋なアイオダイド1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンを得た。CHCNで抽出した後に残存する固体を温テトラヒドロフランで抽出した。テトラヒドロフラン抽出物を濃縮し、乾燥して、純粋な1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカンを得た。テトラヒドロフランで抽出した後に残存する固体は、主に、C(CHCHCFCFCHCHI(主に、n=3以上のオリゴマー)のアイオダイドであったが、これは一般的な溶媒に対する溶解度が非常に低い。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンおよび1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカンのキャラクタリゼーションを行った。
【0085】
生成物1−エチレン−テトラフルオロエチレンアイオダイドの混合物
1ガロンの反応器に、パーフルオロエチルエチルアイオダイド(PFEEI)(850g)を仕込んだ。低温真空排気した後、エチレンとテトラフルオロエチレンを27:73の比で、圧力が60psig(413.7×10Pa)に達するまで添加した。次いで、反応を70℃に加熱した。圧力が160psig(1103×10Pa)に達するまで、更にエチレンとテトラフルオロエチレンを27:73の比で添加した。過酸化ラウロイル溶液(PFEEI150g中、過酸化ラウロイル4g)を1mL/分の割合で1時間添加した。気体供給比をエチレンとテトラフルオロエチレン1:1に調整し、圧力を160psig(1103×10Pa)に維持した。エチレン約67gを添加した後、エチレンとテトラフルオロエチレンの供給を両方とも停止した。反応を70℃で更に8時間加熱した。揮発性物質を減圧蒸留により室温で除去した。主成分として、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン(化合物1)と1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカン(化合物2)を約2:1の比で含有する固体生成物(773g)を得た。
【0086】
化合物3−1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン、および
化合物4−1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードテトラデカン
400mLの振盪機チューブにパーフルオロブチルエチルアイオダイド(PFBEI)(75g)とVAZO64(1.5g)を仕込んだ。低温真空排気した後、エチレン(6g)とテトラフルオロエチレン(25g)を添加した。得られた混合物を80℃に20時間加熱した。同一の実験10回分の反応混合物を合わせて、未反応のアイオダイドPFBEIを室温で減圧蒸留により回収した。残存する固体(648g)をCHCN(10×300mL)で抽出した。合わせたCHCN抽出物を濃縮し、減圧蒸留して、アイオダイド、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカンを得た。CHCNで抽出した後に残存する固体は、主に、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードテトラデカンおよびこれより分子量の大きいオリゴマーであった。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカンのキャラクタリゼーションを行った。
【0087】
化合物5−1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタン(化合物1)(136.91g、248.88mmol)とN−メチルホルムアミド(NMF)(273mL)の混合物を150℃に19時間加熱した。反応混合物を水(4×500mL)で洗浄し、残留物を得た。この残留物、エタノール(200mL)および濃塩酸(1mL)の混合物を2.5時間穏やかに還流した(浴温85℃)。反応混合物を水(200mL×2)で洗浄し、ジクロロメタン(200mL)で希釈し、硫酸ナトリウムで終夜乾燥した。溶液を濃縮し、減圧蒸留して、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール、50.8gを得た。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノールのキャラクタリゼーションを行った。
【0088】
化合物6−1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカン(化合物2、65.62g)とN−メチルホルムアミド(135mL)の混合物を150℃に4時間加熱した。反応混合物を水(約1L)で洗浄し、固体生成物を得た。この固体生成物に、エタノール(150mL)および濃塩酸(1mL)を添加し、19時間加熱還流した(約85℃)。反応混合物を水(500mL)に注ぎ、得られた固体を水(3×300mL)で洗浄し、減圧乾燥して、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(50.8g)、収率98%、融点112〜115℃を得た。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノールのキャラクタリゼーションを行った。
【0089】
生成物2−エチレン−テトラフルオロエチレンアルコールの混合物
アイオダイド(化合物1、46.5g)とN−メチルホルムアミド(NMF)(273mL)の混合物を150℃に19時間加熱した。反応混合物を水(4×500mL)で洗浄し、残留物を得た。この残留物、エタノール(200mL)および濃塩酸(1mL)の混合物を24時間穏やかに還流した(浴温85℃)。反応混合物を水(300m)に注いだ。固体を水(2×75mL)で洗浄し、減圧下(2torr)で乾燥して固体26.5gを得たが、これは主成分として化合物5(1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール)と化合物6(1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール)を含有した。
【0090】
化合物7−1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート
100mLのフラスコに1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクタノール(化合物5、24.1g)、トリエチルアミン(10.8g)およびテトラヒドロフラン(10mL)を仕込んだ。テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した塩化アクリロイル(9.7g)を約10℃で滴下した。テトラヒドロフランを更に30mL添加し、得られた混合物を室温で22時間攪拌した。反応混合物を水(150mL)に注ぎ、ジクロロメタン(300mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を水(4×100mL)で洗浄して中和し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、禁止剤(ジクロロメタンに溶解した4−メトキシフェノール(1g当たり1505μg)6.06g)を添加した。溶液を濃縮し、減圧蒸留して、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート、24.1g、15torrで沸点31〜50℃、収率84%を得た。C NMR、H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレートのキャラクタリゼーションを行った。
【0091】
化合物8−1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート
500mLのフラスコに1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデカノール(化合物6、33.9g)、トリエチルアミン(10.7g)およびテトラヒドロフラン(200mL)を仕込んだ。テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した塩化アクリロイル(9.5g)を約14℃で滴下した。得られた混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物を減圧蒸留し、溶媒を除去した。得られた残留物をエーテル(3×300mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を水(2×150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、減圧乾燥して生成物8.95gを得た。エーテル抽出した残留物をアセトン(400mL)と混合し、シリカゲルカラム(シリカゲル約300g)に通した。カラムをアセトン(2×500mL)で洗浄した。合わせたアセトン溶液を濃縮し、減圧乾燥して生成物22gを得た。合わせた収量は、8.95g+22g=31.95g、84%、融点78〜79℃であった。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレートのキャラクタリゼーションを行った。
【0092】
生成物3−エチレン−テトラフルオロエチレンアクリレートの混合物
500mLのフラスコにアルコールの混合物(生成物2、24.5g)、トリエチルアミン(9.8g)およびテトラヒドロフラン(100mL)を仕込んだ。テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した塩化アクリロイル(8.8g)を約10℃で滴下した。テトラヒドロフランを更に40mL添加し、得られた混合物を室温で15時間、30℃で2時間攪拌した。ろ過により固体を除去し、テトラヒドロフラン(50mL)で洗浄した。ろ液および洗浄液を合わせて濃縮し、残留物を得た。残留物をエーテル(600mL)と混合し、エーテルに不溶性の固体をろ過により除去した。次いで、エーテル溶液をNaHCOで洗浄してほとんど中性にした後、水(3×50mL)、NaCl(飽和)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、減圧乾燥し、主成分として化合物7(1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート)および化合物8(1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート)を含有する固体生成物19.8gを得た。
【0093】
化合物9−1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート
100mLのフラスコに1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクタノール(化合物3、2.5g)、トリエチルアミン(1.2g)およびテトラヒドロフラン(10mL)を仕込んだ。テトラヒドロフラン(6mL)に溶解した塩化メタクリロイル(1.2g)を約10℃で滴下した。テトラヒドロフランを更に30mL添加し、得られた混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を中性になるまで水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、禁止剤(4−メトキシフェノールの1505ppmジクロロメタン溶液、0.154g)を添加した。溶液を濃縮し、減圧乾燥してワックス生成物、2.86g、収率93%を得た。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルメタクリレートのキャラクタリゼーションを行った。
【0094】
化合物10−1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレート
500mLのフラスコに1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(化合物4、25.5g)、トリエチルアミン(8.0g)およびテトラヒドロフラン(170mL)を仕込んだ。混合物を50℃に加熱して固体を全て溶解させた後、約35℃に冷却する。テトラヒドロフラン(30mL)に溶解した塩化メタクリロイル(8.3g)の溶液を撹拌下(250rpm)に約35℃で2時間にわたって滴下した。次いで、反応混合物を25〜30℃で4時間、35℃で1時間攪拌した。揮発性物質を室温で減圧蒸留することにより除去し、残留物を得た。残留物を水(2×400mL)で洗浄し、減圧乾燥し、固体生成物1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレート、27.1g、収率91%、融点79〜81℃を得た。H NMRおよびF NMRにより、生成物のキャラクタリゼーションを行った。
【0095】
化合物11−1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノール、(オレウム法)
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン(化合物3、12g)とオレウム(15%SO、125mL)の混合物を60℃に2時間加熱した。60℃の浴で、内温65〜90℃で、反応混合物にNaSO溶液(水100mL中、4g)をゆっくりと添加した。得られた混合物を90℃に30分間加熱した。室温に冷却した後、固体が沈殿した。液体をデカントし、固体をエーテル(150mL)に溶解させ、NaSO(1M、20mL)、水(2×20mL)、NaCl(飽和、20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、減圧乾燥して残留物を得、これを蒸留により更に精製して、オフホワイトの固体、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノール6.2g、2torrで沸点65〜79℃を得た。MS、H NMRおよびF NMRにより、生成物のキャラクタリゼーションを行った。
【0096】
化合物11−1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノール、(NMF法)
1Lのフラスコに1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードデカン(化合物3、135.3g)とN−メチルホルムアミド(250mL)を仕込んだ。混合物を150℃に15時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、水(600mL)を添加し、数分間撹拌した。下層を分離し、水(3×800mL)で洗浄した。次いで、エタノール(290mL)および濃塩酸(約1mL)を添加した。混合物を22時間加熱還流した。蒸留によりエタノールを除去した。次いで、残留物を水(3×100mL)で洗浄した。ジクロロメタン(250mL)を添加し、得られた溶液を再度水(2×100mL)で洗浄し、その後、炭酸ナトリウム水溶液でpH約7に中和した。ジクロロメタン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、更に減圧蒸留により精製して白色の固体、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−デカノール、60.2gを得た。
【0097】
化合物12−1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルメタクリレート
100mLのフラスコに1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデカノール(化合物11、5.4g)、トリエチルアミン(1.8g)およびテトラヒドロフラン(20mL)を仕込んだ。テトラヒドロフラン(2mL)に溶解した塩化メタクリロイル(1.7g)を室温で滴下した。得られた混合物を室温で15時間攪拌した。得られた固体をろ過により除去し、エーテル(2×50mL)で洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせたものを水(2×10mL)、HCl(0.05N、10mL)、水(10mL)、NaCl(飽和、10mL)で洗浄し、濃縮し、減圧乾燥して、油状物質5.75g、収率91%を得た。H NMRおよびF NMRにより、生成物1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロデシルメタクリレートのキャラクタリゼーションを行った。MS(m/e)460(M+,15%),445(0.3%),375(0.1%),335(5.7%),277(2.4%),95(100%).
【0098】
生成物4−エチレン−テトラフルオロエチレンアミンの混合物
[F(CFCFCHCHNH
アセトニトリル(90mL)−水(34mL)に溶解したアジ化ナトリウム(2.03g)の溶液に、アイオダイドの混合物(生成物1、10g)を添加した。ガスクロマトグラフィーで反応の終了が確認されるまで、混合物を90℃で加熱した。36時間までに、アイオダイドからアジドへの完全な転化が観察された。混合物を室温に冷却し、アセトニトリルの大部分を減圧下で蒸発させた。得られたスラリーを塩化メチレン(3×60ML)で抽出した。有機層を水(2×80mL)、食塩水(1×80mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。溶媒の蒸発と減圧乾燥により、オリゴマーアジドF(CFCFCHCHが白色の固体として得られた。オリゴマーアジド、F(CFCFCHCH)N(式中、n=2、3が主成分であり、その比は約2:1であった)(2.25g)およびラネーNi(0.032g)を、エタノール(5mL)と水(5mL)の溶液に添加した。この撹拌混合物にヒドラジン水化物(0.328g)をゆっくりと添加した。添加が終了した後、混合物を徐々に60℃に加熱し、60℃で12時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却して塩化メチレン(30mL)を添加し、10分間撹拌した。得られた混合物をろ過し、水(2×20mL)および食塩水(1×20mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させた後、塩化メチレン/ヘキサンから再結晶することにより、生成物4[F(CFCFCHCHNH]を淡褐色の固体(1.9g)として得た。GC:2つの大きいピークはn=2およびn=3のアミン(約2:1の比)に対応する。
【0099】
生成物5−チオール誘導体オリゴマーアルコールの混合物
[F(CFCFCHCHSCHCHOH]
80℃に加熱したtert−ブタノール(10mL)に溶解した2−メルカプトエタノール(1.41g)および水酸化ナトリウム(0.720g)の溶液に、アイオダイドの混合物(生成物1、5g)をゆっくりと添加した。混合物を80℃で12時間加熱し、ガスクロマトグラフィーで反応の終了を確認した。混合物を室温に冷却して沈殿生成物をろ過し、繰り返し冷水で、その後、塩化メチレンとヘキサンの1:1混合物で洗浄した。気味がかった白色の固体を減圧乾燥し、アルコールをオリゴマーの混合物[F(CFCFCHCHSCHCHOH](生成物5)(3.4g)として得た。GC−MS:2つの大きいピークはn=2のアルコール[(m/e)352]およびn=3のアルコール[(m/e)480]に対応し、その比は約2:1である。
【0100】
生成物6−チオール誘導体オリゴマーアミンの混合物
[F(CFCFCHCHSCHCHNH
80℃に加熱したtert−ブタノール(10mL)に溶解した2−アミノエタンチオール(1.39g)および水酸化ナトリウム(0.720g)の溶液に、アイオダイドの混合物(生成物1、5g)をゆっくりと添加した。混合物を80℃で12時間加熱し、ガスクロマトグラフィーで反応の完了を確認した。混合物を室温に冷却して沈殿生成物をろ過し、繰り返し冷水で、その後、塩化メチレンとヘキサンの1:1混合物で洗浄した。白色の固体を減圧乾燥し、アミン[F(CFCFCHCHSCHCHNH](生成物6)をオリゴマーの混合物(3.9g)として得た。GC−MS:2つの大きいピークはn=2のアミン[(m/e)351]およびn=3のアミン[(m/e)479]に対応し、その比は約2:1である。
【0101】
生成物7
オリゴマーアクリロイルアミドの混合物[F(CFCFCHCHNHC(O)C(Me)=CH
0℃に維持された塩化メチレン(20mL)に溶解したオリゴマーアミンの混合物(生成物4)[F(CFCFCHCHNH](式中、n=2、3が主成分であり、その比は約2:1であった)(1.0g)およびトリエチルアミン(0.220g)に、塩化メチレン(10mL)に溶解した塩化メタクリロイル(0.228g)の溶液を滴下した。反応混合物を8時間室温で撹拌した。反応混合物に水(20mL)を添加し、有機層を分離して、1N HCl(2×20mL)、飽和NaHCO(2×20mL)および食塩水(1×20mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水MgSOで乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、低温の塩化メチレンとヘキサン(1:4)の混合物で固体生成物を繰り返し洗浄することにより、オリゴマーアクリルアミド[F(CFCFCHCHNHC(O)C(Me)=CH](生成物7)が白色の固体(0.7g)として生成した。
【0102】
化合物13
ウレタンアクリレート[F(CFCFCHCHOC(O)NHCHCHOC(O)C(Me)=CH
0℃に維持された塩化メチレン(20mL)に溶解した1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノール(化合物5)(1.5g)の溶液に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(0.724g)および触媒ジブチルスズジラウレート(0.01g)を添加した。混合物を室温で12時間撹拌した。減圧下で溶媒をストリッピングにより除去し、得られたゴム状の固体を低温のヘキサン−塩化メチレン混合物(4:1)で繰り返し洗浄した。次いで、生成物を減圧乾燥し、ウレタンアクリレート[F(CFCFCHCHOC(O)NHCHCHOC(O)C(Me)=CH](化合物13)を白色の固体(2.1g)として得た。
【0103】
生成物8−オリゴマー尿素アクリレートの混合物
[F(CFCFCHCHNHC(O)NHCHCHOC(O)C(Me)=CH
0℃に維持された塩化メチレン(15mL)に溶解したオリゴマーアミンの混合物(生成物4)[F(CFCFCHCHNH](式中、n=2、3が主成分であり、その比は約2:1であった)(0.5g)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(0.163g)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、低温のヘキサン−塩化メチレン混合物(3:1)で繰り返し洗浄した。次いで、生成物を減圧乾燥し、オリゴマー尿素アクリレート[F(CFCFCHCHOC(O)NHCHCHOC(O)C(Me)=CH](生成物8)を白色の固体(0.48g)として得た。
【0104】
生成物9−エチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレートの混合物
500mLのフラスコにアルコールの混合物(生成物2、24.5g)、トリエチルアミン(9.8g)およびテトラヒドロフラン(100mL)を仕込んだ。テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した塩化メタクリロイル(10.2g)を約10℃で滴下した。テトラヒドロフランを更に40mL添加し、得られた混合物を室温で約15時間、30℃で2時間攪拌した。ろ過により固体を除去し、テトラヒドロフラン(50mL)で洗浄した。ろ液および洗浄液を合わせて濃縮し、残留物を得た。残留物をエーテル(600mL)と混合し、エーテルに不溶性の固体をろ過により除去した。次いで、エーテル溶液をNaHCOで洗浄してほとんど中性にした後、水(3×50mL)、NaCl(飽和)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、減圧乾燥して固体生成物約20gを得たが、これは主成分として化合物9(1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート)および化合物10(1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレート)を含有した。
【0105】
生成物10−チオール誘導体オリゴマーアクリレートの混合物
[F(CFCFCHCHSCHCHOC(O)C(Me)=CH
0℃に維持された塩化メチレン(20mL)に溶解したオリゴマーアルコールの混合物(生成物5)[F(CFCFCHCHSCHCHOH](式中、n=2、3が主成分であり、その比は約2:1であった)(0.700g)およびトリエチルアミン(0.166g)に、塩化メチレン(10mL)に溶解した塩化メタクリロイル(0.172g)の溶液を滴下した。反応混合物を12時間室温で撹拌した。反応混合物に水(20mL)を添加し、有機層を分離し、1N HCl(2×20mL)、飽和NaHCO(2×20mL)および食塩水(1×20mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水MgSOで乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、低温の塩化メチレンとヘキサン(1:4)の混合物で固体生成物を繰り返し洗浄することにより、チオール誘導体オリゴマーアクリレート[F(CFCFCHCHSCHCHOC(O)C(Me)=CH](生成物10)を白色の固体(0.42g)として生成した。
【0106】
生成物11−チオール誘導体オリゴマーアクリロイルアミドの混合物
[F(CFCFCHCHSCHCHNHC(O)C(Me)=CH
0℃に維持された塩化メチレン(20mL)に溶解したチオール誘導体オリゴマーアミンの混合物(生成物6)[F(CFCFCHCHSCHCHNH](式中、n=2、3が主成分であり、その比は約2:1であった)(0.700g)とトリエチルアミン(0.166g)に、塩化メチレン(10mL)に溶解した塩化メタクリロイル(0.228g)の溶液を滴下した。反応混合物を8時間室温で撹拌した。反応混合物に水(20mL)を添加し、有機層を分離し、1N HCl(2×20mL)、飽和NaHCO(2×20mL)および食塩水(1×20mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水MgSOで乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、低温の塩化メチレンとヘキサン(1:4)の混合物で固体生成物を繰り返し洗浄することにより、チオール誘導体オリゴマーアクリロイルアミド[F(CFCFCHCHSCHCHNHC(O)C(Me)=CH](生成物11)が白色の固体(0.530g)として生成した。
【実施例】
【0107】
実施例1
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルメタクリレート(化合物9、2.85g)、ステアリルメタクリレート(2.87g)および4−メチル−2−ペンタノン(60mL)の混合物を76℃に加熱した。次いで、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(35mg)を反応混合物に添加した。反応混合物を76℃で22時間加熱した。ポリマー溶液が得られ、これは2.41w/w%Fを含有すると計算された。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。
【0108】
実施例2
アクリレートの混合物(生成物3、16.1g)、ステアリルメタクリレート(4.2g)、N−メチロールアクリルアミド(48重量%水溶液)(0.623g)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(98%)(0.25g)、1−ドデカンチオール(56mg)、水(37ml)、平均7つのエチレングリコール単位を有する7−EOMAポリ(エチレングリコール)メタクリレート(0.34g)、Dow Chemical Companyの系列会社であるUnion Carbide(Houston,TX)から入手可能なTERGITOL15−S−20(2.14g)、ジプロピレングリコール(2.93g)、およびETHOQUAD18/25(オクタデシルメチルポリオキシエチレン(15)アンモニウムクロライド)(0.74g)を超音波処理してエマルションを作製した。水(3.5mL)に溶解したVAZO−56WSP(0.15g)の溶液をエマルションに添加した。得られたエマルションを油浴(浴温55℃)中で21時間加熱した。反応混合物は、固体生成物である共重合体を35.9w/w%含有すると求められた。
【0109】
前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。
【0110】
実施例3
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート(化合物7、2g)、ステアリルメタクリレート(0.5g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(0.1g)および4−メチル−2−ペンタノン(10mL)の混合物を76℃に17時間加熱した。ポリマー溶液をメタノール(40mL)中に注いだ。沈殿したポリマーをメタノールで洗浄し、乾燥してポリマー(1.1g)を得たが、これは約22%のステアリルメタクリレートモノマーを含有した。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。
【0111】
実施例4
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート(化合物8、1g)、ステアリルメタクリレート(0.7g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(40mg)および4−メチル−2−ペンタノン(9mL)の混合物を40℃に1時間、および76℃に35時間加熱した。ポリマー溶液が得られ、これは5.2w/w%Fを含有すると計算された。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。
【0112】
実施例5
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルメタクリレート(化合物10、1.0g)、ステアリルメタクリレート(0.69g)、VAZO64(25mg)、およびメチルイソブチルケトン(2.47g)の混合物を65℃に15時間加熱した。室温に冷却した後、僅かに粘稠な溶液が得られた。この溶液は約12.1w/w%Fを含有した。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、この生成物ポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。
【0113】
実施例6
オリゴマーアクリロイルアミド([F(CFCFCHCHNHC(O)CMe=CH])(生成物7)(式中、n=2、3が主成分であり、その比は約2:1であった)(0.5g)、ステアリルメタクリレート(0.317g)および脱気したメチルエチルケトン(10mL)の混合物を60℃に加熱した。次いで、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(18mg)を反応混合物に添加した。得られた混合物を70℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、冷メタノール(15mL)に注いだ。溶媒をデカントした。ポリマーをメチルエチルケトン(5mL)に溶解させ、メタノール(10mL)を添加して沈殿させることにより精製し、共重合体0.302gを得た。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。不織布の塗布方法を使用して、このポリマーをMYLARポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、試験方法11に従って接触角を測定した。結果を表2に記載する。
【0114】
実施例7
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルウレタンメタクリレート[F(CFCFCHCHOC(O)NHCHCHOC(O)C(Me)=CH](化合物13)(0.1g)、ステアリルメタクリレート(0.687g)およびメチルエチルケトン(10mL)の混合物を60℃に加熱した。次いで、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(38mg)を反応混合物に添加した。得られた混合物を70℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、冷メタノール(15mL)に注いだ。溶媒をデカントした。ポリマーをメチルエチルケトン(8mL)に再溶解させ、メタノール(10mL)を添加して再沈殿させることにより精製し、共重合体0.800gを得た。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。不織布の塗布方法を使用して、このポリマーをMYLARポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、試験方法11に従って接触角を測定した。結果を表2に記載する。
【0115】
実施例8
オリゴマー尿素メタクリレート[F(CFCFCHCHNHC(O)NHCHCHOC(O)C(Me)=CH](化合物8)(0.300g)、ステアリルメタクリレート(0.146g)およびメチルエチルケトン(6mL)の混合物を60℃に加熱した。次いで、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(10mg)を反応混合物に添加した。得られた混合物を70℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、冷メタノール(10mL)に注いだ。溶媒をデカントした。ポリマーをメチルエチルケトン(6mL)に再溶解させ、メタノール(10mL)を添加して再沈殿させることにより精製し、共重合体0.179gを得た。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。不織布の塗布方法を使用して、このポリマーをMYLARポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、試験方法11に従って接触角を測定した。結果を表2に記載する。
【0116】
実施例9
オリゴマーアクリレート[F(CFCFCHCHSCHCHOC(O)C(Me)=CH](生成物10)(n=2、3が主成分であり、その比は約2:1である)(0.120g)、ステアリルメタクリレート(0.070g)および脱気したメチルエチルケトン(4mL)の混合物を60℃に加熱した。次いで、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(5mg)を反応混合物に添加した。得られた混合物を70℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、冷メタノール(6mL)に注いだ。溶媒をデカントした。ポリマーをメチルエチルケトン(3mL)に溶解させ、メタノール(6mL)を添加して沈殿させることにより精製し、共重合体0.114gを得た。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。不織布の塗布方法を使用して、このポリマーをMYLARポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、試験方法11に従って接触角を測定した。結果を表2に記載する。
【0117】
実施例10
オリゴマー尿素メタクリレート(削除されたオクタヒドロパーフルオロオクチルウレタンメタクリレート)[F(CFCFCHCHSCHCHNHC(O)C(Me)=CH](生成物11)(0.200g)、ステアリルメタクリレート(0.117g)およびメチルエチルケトン(6mL)の混合物を60℃に加熱した。次いで、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(7mg)を反応混合物に添加した。得られた混合物を70℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、冷メタノール(10mL)に注いだ。溶媒をデカントした。ポリマーをメチルエチルケトン(6mL)に再溶解させ、メタノール(10mL)を添加して再沈殿させることにより精製し、共重合体0.210gを得た。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。不織布の塗布方法を使用して、このポリマーをMYLARポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、試験方法11に従って接触角を測定した。結果を表2に記載する。
【0118】
比較例A
窒素雰囲気下で20mlのバイアル瓶にSynQuest Fluorochemicals(Alachua,FL)から入手した1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルアクリレート(2.0g)、ステアリルメタクリレート(1.2g)、テトラヒドロフラン(8mL)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(23mg)を仕込んだ。反応を60℃で21時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をメタノール(100mL)中に注いだ。沈殿したポリマーをメタノール(20ml)で洗浄し、減圧乾燥してポリマー(2.56g)を得た。前述のテキスタイル布帛(B)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して布帛の撥水性を、試験方法4を使用して撥油性を試験した。結果を表1に記載する。不織布の塗布方法を使用して、このポリマーをMYLARポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、試験方法11に従って接触角を測定した。結果を表2に記載する。
【0119】
【表4】

【0120】
表1のデータから、実施例1〜10は、全般的に比較例Aと同等の又は比較例Aより優れた撥水性および撥油性を付与したことが分かる。
【0121】
【表5】

【0122】
表2のデータから、水と油について、本発明の実施例は未処理のポリエチレンフィルムと比較して接触角が大きく、これは撥水撥油性が高いことを示すことが分かる。
【0123】
実施例11
冷却器、窒素導入管−排出管、撹拌機および温度プローブを備えた多口フラスコ内で、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロオクチルアクリレート(化合物7、5.0g)、アクリルアミドメチルプロピルスルホン酸(AMPS)(2.15g)、グリシジルメタクリレート(GMA)(0.10g)、ドデシルメルカプタン(0.02g)、塩化ナトリウム(0.0125g)、VAZO67(0.32g)および2−プロパノール100mLを混合した。30分間室温で撹拌して窒素パージ/注入した後、有機成分は全て溶解した。窒素ブランケット下で温度を80℃に上昇させ、80℃±5℃で16時間維持した。反応混合物のガスクロマトグラフィー分析から、モノマーが5%未満残留することが分かった。減圧蒸留により2−プロパノール約75mlを留去した。反応混合物を室温に冷却した後、脱イオン水50mLおよび炭酸水素ナトリウム0.25gを添加した。重炭酸ナトリウム水溶液でpHを約8.5に調整した。残留する2−プロパノール溶媒を減圧蒸発により除去した。更に水を加えて、アニオン性フッ素化ポリマーの水溶液を合計約100mLにした。カーペットに関して前述した塗布方法を使用して、このポリマーを業務用カーペットに塗布した。試験方法5を使用して、カーペットの耐汚性を試験した。結果を表3に記載する。テキスタイル布帛(A)の塗布方法を使用して、このポリマーを木綿布帛に塗布した。試験方法1、2および6を使用して、布帛のウィッキングおよび染み除去性および耐久性を試験した。結果を表4に記載する。
【0124】
【表6】

【0125】
この結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体はカーペットに有効な乾燥汚れに対する耐汚性(dry soil resistance)を付与することが分かる。
【0126】
【表7】

【0127】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、木綿テキスタイル布帛に有効なウィッキング(親水性)および油性染み除去性を付与したことが分かる。
【0128】
実施例12
1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート(化合物8)(2.41g)、ステアリルメタクリレート(0.631g)、ETHAL TDA−5(0.280g)、ヘキシレングリコール(6.312g)、ヒドロキシエチルエタクリレート(0.36g)、平均7つのエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレート(0.70グラム)、45重量%N−メチロールアクリルアミド(0.70g)、ドデシルメルカプタン(0.017g)、ETHOQUAD18−25(20%溶液、3.147g)、脱イオン水65.7g、および酢酸ブチル10gを混合して55℃に加熱し、超音波処理器で2回、各2分間、均一な乳白色のエマルションが得られるまで乳化させた。窒素パージ管、冷却器、オーバーヘッド撹拌機、および温度プローブを備えたフラスコにエマルションを仕込み、170rpmで撹拌し、30分間撹拌した。温度が約30℃未満に低下した時、フラスコを窒素ブランケットに切り替えて塩化ビニリデン(0.617g)を添加した。溶液を15分間撹拌した後、脱イオン水(25.0g)に溶解したVAZO−56WSP開始剤(0.035g)を添加した。混合物を50℃に30分間加熱し、8時間50℃で撹拌した。反応混合物のガスクロマトグラフィー分析から、モノマーの5%未満が残留することが分かった。エマルションを周囲温度に冷却してミルクフィルター(milk filter)を通し、固形分3.8%のエチレンテトラフルオロエチレンアクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布し、前述の塗布方法を使用して不織布に塗布した。試験方法3、4および10を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表5に記載する。試験方法3および7を使用して不織布の撥水性を試験した。結果を表6に記載する。
【0129】
【表8】

【0130】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、ナイロンテキスタイル布帛とポリエステルテキスタイル布帛に優れた撥油性、撥水性、およびスプレー撥水性を付与したことが分かる。
【0131】
【表9】

【0132】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、SONTARA不織布に有効な撥水性および耐スプレー衝撃性を付与したことが分かる。
【0133】
実施例13
メタクリレートの混合物(生成物9、2.41g)、ステアリルメタクリレート(0.99g)、ETHAL TDA−5(0.28g)、ヘキシレングリコール(6.312g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(0.036g)、ポリエチレングリコールメタクリレート(BLEMMER PE−350、0.070g)、45重量%N−メチロールアクリルアミド(0.070g)、ドデシルメルカプタン(0.017g)、ETHOQUAD18−25(20%溶液、3.14g)、および脱イオン水約66gを混合して55℃に加熱し、超音波処理器で2回、各2分間、均一な乳白色のエマルションが得られるまで乳化させた。窒素パージ管、冷却器、オーバーヘッド撹拌機、および温度プローブを備えたフラスコにエマルションを仕込み、170rpmで30分間撹拌した。温度が約30℃未満に低下した時、フラスコを窒素ブランケットに切り替えて塩化ビニリデン(2.56g)を添加した。溶液を15分間撹拌した後、脱イオン水約25.0gに溶解したVAZO−56WSP開始剤(0.035g)を添加した。混合物を50℃に30分間加熱し、8時間50℃で撹拌した。反応混合物のガスクロマトグラフィー分析から、モノマーの5%未満が残留することが分かった。エマルションを周囲室温に冷却してミルクフィルターを通し、固形分4.1重量%のエチレンテトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3、4および10を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表7に記載する。前述の塗布方法を使用して、このポリマーをSONTARA不織布に塗布した。試験方法3および7を使用して不織布の撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表8に記載する。
【0134】
実施例14
メタクリレートの混合物(生成物9、2.92g)、ステアリルメタクリレート(0.73g)、および塩化ビニリデン(0g)を使用し、実施例13の方法を使用して、エチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.9重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3、4および10を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表7に記載する。前述の塗布方法を使用して、このポリマーをSONTARA不織布に塗布した。試験方法3および7を使用して不織布の撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表8に記載する。
【0135】
実施例15
メタクリレートの混合物(生成物9、2.41g)、ステアリルメタクリレート(0.99g)、および塩化ビニリデン(0.26g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.9重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3、4および10を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表7に記載する。前述の塗布方法を使用して、このポリマーをSONTARA不織布に塗布した。試験方法3および7を使用して不織布の撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表8に記載する。
【0136】
【表10】

【0137】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、ナイロンテキスタイル布帛に優れた撥水性およびスプレー撥水性を付与し、ポリエステルテキスタイル布帛に優れた撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を付与したことが分かる。
【0138】
【表11】

【0139】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、SONTARA不織布に有効な撥水性および耐スプレー衝撃性を付与したことが分かる。
【0140】
実施例16
メタクリレートの混合物(生成物9、2.92g)、ステアリルアクリレート(0.73g)、および塩化ビニリデン(0g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリアクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分4.3重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3、4および10を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表9に記載する。
【0141】
実施例17
メタクリレートの混合物(生成物9、2.92g)、ステアリルアクリレート(0.37g)、および塩化ビニリデン(0.37g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルアクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分4.1重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3、4および10を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表9に記載する。
【0142】
【表12】

【0143】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、ポリエステルテキスタイル布帛に優れた撥油性、撥水性およびスプレー撥水性を付与し、ナイロンテキスタイル布帛に良好な撥水性およびスプレー撥水性を付与したことが分かる。
【0144】
実施例18
メタクリレートの混合物(生成物9、2.92g)、ステアリルメタクリレート(0.37g)、および塩化ビニリデン(0.37g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.9重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛に塗布した。試験方法3および10を使用して、ポリエステル布帛の撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表10に記載する。
【0145】
実施例19
メタクリレートの混合物(生成物9、2.92g)、2−エチルヘキシルメタクリレート(0.73g)、および塩化ビニリデン(0g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.9重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛に塗布した。試験方法3および10を使用して、ポリエステル布帛の撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表10に記載する。
【0146】
実施例20
メタクリレートの混合物(生成物9、2.92g)、2−エチルヘキシルメタクリレート(0.37g)、および塩化ビニリデン(0.37g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.2重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛に塗布した。試験方法3および10を使用して、ポリエステル布帛の撥水性およびスプレー撥水性を試験した。結果を表10に記載する。
【0147】
【表13】

【0148】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、ポリエステルテキスタイル布帛に撥水性およびスプレー撥水性を付与したことが分かる。
【0149】
実施例21
生成物9(2.92g)、ステアリルメタクリレート(0g)、および塩化ビニリデン(0.73g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.3重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥水性を試験した。結果を表11に記載する。
【0150】
実施例22
生成物9(2.92g)、スチレン(0.37g)、および塩化ビニリデン(0.37g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/スチレン/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分2.9重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥水性を試験した。結果を表11に記載する。
【0151】
実施例23
生成物9(2.92g)、ステアリルメタクリレート(0.37g)、塩化ビニリデン(0.37g)およびエチレングリコールジメタクリレート(0.050g)を使用し、実施例13の方法を使用してエチレン−テトラフルオロエチレンメタクリレート/ステアリルメタクリレート/塩化ビニリデンの乳化共重合体を調製し、固形分3.9重量%の乳化共重合体を得た。塗布方法テキスタイル布帛(A)を使用して、このポリマーをポリエステル布帛とナイロン布帛に塗布した。試験方法3を使用して、ポリエステル布帛とナイロン布帛の撥水性を試験した。結果を表11に記載する。
【0152】
【表14】

【0153】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、ナイロンテキスタイル布帛とポリエステルテキスタイル布帛に撥水性を付与したことが分かる。
【0154】
実施例24
窒素パージ管、冷却器、オーバーヘッド撹拌機、および温度プローブを備えたフラスコ内で、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート(化合物8、2.40g)、ステアリルメタクリレート(1.09g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(0.87g)、および酢酸ブチル88gを混合して40℃に加熱し、170rpmで30分間撹拌した。フラスコを窒素ブランケットに切り替えて、100℃に加熱した。酢酸ブチル(20mL)に溶解したVAZO64(0.06g)の溶液1mLを15分おきに5時間添加した後、100℃で更に4時間加熱した。反応混合物のガスクロマトグラフィー分析から、モノマーの5%未満が残留することが分かった。前述の塗布方法を使用して、得られたエチレン−テトラフルオロエチレンアクリレート/ステアリルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体を皮革およびサルティヨタイルに塗布した。試験方法2および3を使用して、皮革の撥油性および撥水性を試験した。試験方法8を使用してタイルの耐染み性を試験した。結果を表12および13に記載する。
【0155】
【表15】

【0156】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、牛革に有効な撥水性および少なくとも少しの撥油性を付与したことが分かる。
【0157】
【表16】

【0158】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、サルティヨタイルに有効な耐染み性を付与したことが分かる。
【0159】
実施例25
窒素パージ管、冷却器、およびオーバーヘッド撹拌機を備えたフラスコ内で、1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロドデシルアクリレート(化合物8、2.70g)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(0.505g)、グリシジルメタクリレート(0.080g)、ドデシルメルカプタン(0.006g)、VAZO64(0.050g)、塩化ナトリウム(0.091g)およびイソプロピルアルコール50gを溶解するまで混合し、この系を窒素パージした後、55℃に16時間加熱した。反応混合物のガスクロマトグラフィー分析から、モノマーの5%未満が残留することが分かった。イソプロピルアルコールの大部分(約40g)をロータリーエバポレータで留去した。水(14g)および氷酢酸(0.017g)を添加して、残留するイソプロピルアルコールをロータリーエバポレータで留去し、ポリマー固形分約2.5重量%を含有する水溶液を得た。前述の塗布方法を使用してこのポリマーを紙に塗布し、試験方法9を使用して撥油性を試験した。結果を表14に記載する。
【0160】
【表17】

【0161】
これらの結果から、本発明のフッ素化メタクリレート共重合体は、少しの撥油性を付与したことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の重量パーセンテージで共重合したモノマー:
(a)式(I):
2n+1(CH[(CFCF(CHCH−L−C(O)−C(R)=CH (I)
[式中、
Rは、H、Cl、F又はCHであり、
Lは、O、S、NH、S−(CHO、S−(CHNH、OC(O)NH−CHCHO、NHC(O)NHCHCHO、S−(CHOC(O)NHCHCHO、又はS(CHNHC(O)NHCHCHOであり、
添え字nは1〜約6の整数であり、
添え字xは1〜約6の整数であり、
添え字y、zおよびmはそれぞれ独立して1、2又は3、又はこれらの混合であり、
添え字rは1〜約10であり、
フルオロカーボン−炭化水素鎖セグメント(L−C(O)−C(R)=CHを除く式(I))中の総炭素数は、約8〜約22である]
のモノマー又はモノマーの混合物、約20%〜約95%、および
(b)
(i)炭素数約6〜約18の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は
(ii)式(II)
(RN−R−O−C(O)−C(R)=CH (II)
[式中、
Rは、H、Cl、F又はCHであり、
各Rは、独立してC〜Cアルキルであり、
は、2価の直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている]、
のモノマー、又は
(iii)これらの混合物
の少なくとも1つ、約5%〜約80%、
を含む、共重合体組成物。
【請求項2】
式(I)中、LがOであり、xが2であり、yおよびzがそれぞれ1であり、mが1又は2であり、nが4又は6である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
更に、以下の重量パーセンテージで共重合した少なくとも1種類の追加のモノマー:
(c)塩化ビニリデン、塩化ビニル若しくは酢酸ビニル、若しくはこれらの混合物、約1%〜約35%、又は
(d)スチレン、メチル置換されたスチレン、クロロメチル置換されたスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート、および式(III):
(OCHCHO−C(O)−C(R)=CH (III)
(式中、
qは2〜約10であり、
は、H、C〜Cアルキル、又はCH=C(R)C(O)−O−であり、
Rは、H、Cl、F又はCHである)
の化合物からなる群から選択される少なくとも1種類のモノマー、約0.5%〜約25%、又は
(e)式(IV):
【化1】

(式中、Rは、H、Cl、F又はCHである)
の少なくとも1種類のモノマー、約0.5%〜約10%、又は
(f)これらのいずれかの組み合わせ、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
基材を請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体組成物と接触させる工程を含む、撥水性、撥油性、耐染み性、耐汚性、染み除去性、およびウィッキングを付与するために基材を処理する方法。
【請求項5】
式(I)中、LがOであり、xが2であり、yおよびzがそれぞれ1であり、mが1又は2であり、nが4又は6である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基材が、(a)テキスタイル、布帛、混紡布、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、スパンデックス、レーヨン、木綿、ウール、シルク、麻、カーペット、木材、紙、皮革、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される繊維基材;(b)ガラス、紙、酢酸セルロース、ナイトレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせの繊維からなる群から選択される不織布材料;又は(c)ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、無釉タイル、レンガ、多孔質粘土、無釉コンクリート、花こう岩、石灰石、大理石、グラウト、モルタル、彫像用材、モニュメント、テラゾーおよび石膏ボードからなる群から選択される多孔質若しくは非多孔質鉱物の硬質表面基材である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
A)ノーアイロン、簡単なアイロン掛け、収縮制御、皺なし、パーマネントプレス、水分制御、柔らかさ、強度、滑り防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピリング性、防染み性、染み除去性、防汚性、汚れ除去性、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、および日焼け防止からなる群から選択される、少なくとも1つの表面効果を付与する薬剤、又は
B)界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ブロックイソシアネート、ワックス増量剤、若しくは炭化水素増量剤、又は
C)これらの混合物、
の1つ以上の存在下で前記組成物を前記基材と接触させる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物を接触させた基材。
【請求項9】
(a)テキスタイル、布帛、混紡布、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、スパンデックス、レーヨン、木綿、ウール、シルク、麻、カーペット、木材、紙、皮革、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される繊維基材;(b)ガラス、紙、酢酸セルロース、ナイトレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせの繊維からなる群から選択される不織布材料;又は(c)ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、無釉タイル、レンガ、多孔質粘土、無釉コンクリート、花こう岩、石灰石、大理石、グラウト、モルタル、彫像用材、モニュメント、テラゾーおよび石膏ボードからなる群から選択される多孔質若しくは非多孔質鉱物の硬質表面基材である、請求項8に記載の基材。

【公表番号】特表2011−523432(P2011−523432A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510663(P2011−510663)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/044580
【国際公開番号】WO2009/143194
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】