説明

エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法及びこれを用いたエネルギー貯蔵装置

【課題】低抵抗のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法及びこれを用いたエネルギー貯蔵装置を提供する。
【解決手段】本発明は、低抵抗エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法及びこれを用いたエネルギー貯蔵装置に関する。具体的には、デンドライトが形成された金属膜に電極物質を接触させてエネルギー貯蔵装置用電極を製造し、そのエネルギー貯蔵装置用電極を用いてエネルギー貯蔵装置を製造する。本発明によるエネルギー貯蔵装置用電極は低抵抗という特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法及びこれを用いたエネルギー貯蔵装置に関し、より具体的には低抵抗特性を有するエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法及びこれを用いたエネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品機能の高級化、電気自動車、家庭及び産業用電子機器への安定的な電力供給の為、電気二重層キャパシタ(EDLC、 Electric Double Layer Capacitor)が主に使用されている。
【0003】
電気二重層キャパシタとは固体と電解質間の界面に形成される電気二重層で発生する静電荷現象を利用し電気エネルギーを蓄積するコンデンサーである。
【0004】
電気二重層キャパシタは、高密度エネルギーの急速充電及び放電の特性を有するため、移動通信機器やノートパソコン等を含む携帯用電子製品の補助電源または主電源として幅広く利用されている。
【0005】
電気二重層キャパシタは、(1)過充電/過放電を起こさないため、電気回路が単純化され、製品の価格を引き下げる要因を提供し、(2)電圧から残留量把握が可能であり、(3)広範囲の耐久温度特性(−30〜90℃)を示し、(4)環境にやさしい材料で構成されている等、コンデンサや二次電池にはない利点を持っている。
【0006】
電子製品の小型化傾向に応えるため、それらの製品に搭載される各種電子部品の小型化、チップ化が必須的に要求されており、チップタイプ(chip−type)とコインタイプ(coin−type)を含む広い応用分野で電気二重層キャパシタの使用を拡大するためには、高エネルギー密度及び低等価直列抵抗(ESR、 Equivalent Series Resistance)を具現しなければならない。
【0007】
一般的に中大型の製品の場合、高容量化を通じた低い等価直列抵抗(ESR)の具現が可能であるが、サイズに制限がある小型製品の場合は、サイズを減らすことによって接触抵抗が増加する。従って、電極の構造及び厚さ等を変更することで容量を低下させながら低い等価直列抵抗(ESR)を具現することが一般的である。
【0008】
また、電極が厚い場合は、接着性を増加させるためにバインダーの量を増加させるべきであるが、そうすると抵抗が増加するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第1999−0008070号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2003−0050066公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、低抵抗を有するエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法及びこれを用いたエネルギー貯蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態として、一面にデンドライトが形成された金属膜と、上記金属膜の一面に接触する電極物質とを含むエネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0012】
また、上記金属膜は銅またはアルミニウムで形成される、エネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0013】
また、上記電極物質は活物質と導電材を含む、エネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0014】
また、上記電極物質はバインダーをさらに含む、エネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0015】
また、上記活物質は、粉末活性炭素、炭素ナノチューブ、グラファイト、蒸気成長炭素繊維、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の高分子を炭化し製造する炭素ナノファイバー及び活性炭素ナノ繊維で構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つのエネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0016】
また、上記導電材はカーボンブラックである、エネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0017】
また、上記バインダーは、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン及びゴム系のスチレンブタジエンゴムで構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つのエネルギー貯蔵装置用電極を提供する。
【0018】
本発明の他の実施形態で、デンドライトが形成された金属膜を準備する第1段階と、上記デンドライトが形成された金属膜に電極物質のスラリーを塗布する第2段階とを含むエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0019】
また、上記金属膜は銅またはアルミニウムで形成される、エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0020】
また、上記電極物質は活物質と導電材を含む、エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0021】
また、上記電極物質はバインダーをさらに含む、エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0022】
また、上記第2段階は、上記電極物質のスラリーで電極物質シートを形成する段階と、上記電極物質シートを上記デンドライトが形成された金属膜に付着する段階と、で代替されたエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0023】
また、上記活物質は、粉末活性炭素、炭素ナノチューブ、グラファイト、蒸気成長炭素繊維、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデンのような高分子を炭化し製造する炭素ナノファイバー及び活性炭素ナノ繊維で構成されるグループの中から選ばれた一つのエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0024】
また、上記導電材はカーボンブラックである、エネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0025】
なお、上記バインダーは、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン及びゴム系のスチレン・ブタジエンゴムで構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つのエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態で、対向するように離隔して配置された第1及び第2電極と、上記第1及び第2電極の間に位置し第1及び第2電極を分離する隔離膜とを含み、上記第1及び第2電極のうち少なくともいずれか一つは一面にデンドライトが形成された金属膜及び上記金属膜の一面に接触する電極物質を含むエネルギー貯蔵装置用電極であるエネルギー貯蔵装置を提供する。
【0027】
また、上記金属膜は銅またはアルミニウムで形成される、エネルギー貯蔵装置を提供する。
【0028】
また、上記電極物質は活物質及び導電材を含む、エネルギー貯蔵装置を提供する。
【0029】
また、上記電極物質はバインダーをさらに含む、エネルギー貯蔵装置を提供する。
【0030】
また、上記の活物質は、粉末活性炭素、炭素ナノチューブ、グラファイト、蒸気成長炭素繊維、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の高分子を炭化し製造する炭素ナノファイバー及び活性炭素ナノ繊維で構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つのエネルギー貯蔵装置を提供する。
【0031】
また、上記導電材はカーボンブラックである、エネルギー貯蔵装置を提供する。
【0032】
また、上記バインダーは、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン及びゴム系のスチレン・ブタジエンゴムで構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つのエネルギー貯蔵装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態である電気二重層キャパシタの構造を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によってデンドライトが形成された金属膜の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるエネルギー貯蔵装置用電極の製造工程フロー図である。
【図4】本発明の一実施形態である電気二重層キャパシタの充電及び放電の原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な形に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるわけではない。また、本発明の実施形態は、該当業界で平均的な知識を有する者に、本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0035】
本発明の一実施形態であるエネルギー貯蔵装置用電極は、一面にデンドライト(dendrite)が形成された金属膜及び上記金属膜の一面に接触する電極物質を含んでいる。
【0036】
エネルギー貯蔵装置には、コンデンサ、二次電池、電気二重層キャパシタ等があり、エネルギー貯蔵装置用電極とは、上記エネルギー蓄積装置で電極として使用することができる電極をいう。上記エネルギー貯蔵装置の電気二重層キャパシタを例に本実施形態について説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態である電気二重層キャパシタの構造を表した概略図である。
【0038】
図1を参照して説明すると、電気二重層キャパシタは、主に、第1電極60、第2電極70及び隔離膜30を含む。隔離膜30によって第1電極60と第2電極70に分離される。
【0039】
第1電極60は、金属膜10、電極物質20を含むことができ、電極物質20は、活物質21、導電材22、バインダー23を含むことができる。
【0040】
電気二重層キャパシタとは電極60と電解質(不図示)の間の界面に形成される電気二重層で発生する静電荷現象を用いて電気エネルギーを蓄積するコンデンサーである。
【0041】
上記金属膜10と電極物質20との間の接触状態に応じて、エネルギー貯蔵装置のESR(Equivalent Series Resistance)特性の変化が大きい。すなわち、金属膜10と電極物質20との間の接触面積が広いほど、ESRが小さく、エネルギー蓄積装置としてより優れた特性を発揮することができる。
【0042】
金属膜10は、充電時に外部電圧がコンデンサに印加される通路であり、放電時にキャパシタからの外部負荷の方に電荷が移動する通路である。
【0043】
金属膜10は、電極反応に関与せず電気化学的に安定し、電子伝導性に優れた金(Au)、白金(Pt)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)やアルミニウム(Al)等の金属を使用することができる。
【0044】
しかし、製造工程とコストを考慮すると、銅(Cu)やアルミニウム(Al)の、ホイル(foil)を使用することが望ましい。
【0045】
金属膜10の一面にデンドライト11が形成されることができる。
【0046】
図2に金属膜10の一面にデンドライトが形成された図を示した。図2では、デンドライトが形成された金属膜の構造を分かりやすくするためにデンドライトが一定距離を置いているように誇張して表示した。
【0047】
一般的に、金属膜10の表面を粗くしたり、または金属膜10の表面に凹凸を形成して金属膜10の表面積を増加させる。金属膜10の表面積を増加させることにより、電極20と金属膜10の接触面積を増加させるためである。
【0048】
電極物質20と金属膜10との間の接触面積が大きいほど、電極物質20と金属膜10の間の接触抵抗は減少し、また、電極物質20と金属膜10との間の付着力も増加する。
【0049】
本実施形態では、金属膜10の表面にデンドライト11を形成することにより、金属膜10の表面積を増加させることを目的とする。
【0050】
ここで、デンドライト(dendrite)とは、樹枝状の結晶をいうが、デンドライト11は一般的に金属溶融液が凝固する過程で形成されることを容易に観察することができる。
【0051】
溶融液の凝固過程では、先ず溶融液の中に結晶核が生じ、その結晶核が成長して大きな結晶になるが、結晶が成長する過程で成長速度の差によって結晶が枝状に成長するため、これをデンドライト(dendrite)という。
【0052】
デンドライト11は枝状の構造を有するため、金属膜10の表面にデンドライト11構造を形成する場合、金属膜10の表面積を増加させることができる。これによって、金属膜10と電極物質20との接触面積を大きくすることができる。
【0053】
さらには、電極物質20の製造時に電極物質の構成要素としてバインダー23を添加しないこともできる。
【0054】
バインダー23を添加する理由は、金属膜10と電極物質20との間の接着力を向上させるためであるが、デンドライト11が形成され、金属膜10の表面が枝状に絡まっていると、電極物質20がデンドライト11の枝の間に浸透するようになり、バインダー23を添加していなくても、金属膜10と電極物質20との間の接着力を維持することができるためである。
【0055】
また、電気的に不導体であるバインダー23を添加しないことで、バインダー23により誘発される抵抗成分を除去することができるので、全体的にキャパシタの抵抗を下げることができる。
【0056】
デンドライト11は、金属膜10と同じ材質で形成されることができる。つまりデンドライト11は、銅またはアルミニウムであってもよい。金属膜10の材質と同じ金属を使用しデンドライト11を形成すると、デンドライト11と金属膜10との間の連結が強固になる。
【0057】
金属膜10の表面にデンドライト11を形成した後、金属膜10と電極物質20を接触させることで、金属膜10と電極物質20との間の接触面積が増加すると次のような効果を同時に得ることができる。まず、金属膜10と電極物質20との間の付着力を大きくすることができる。次に、金属膜10と電極物質20との間の接触抵抗を小さくすることができる。
【0058】
電極とは、回路内の導体に電流を流させるか、流れ出るようにする端子のことを言い、電源から電流を流す方を陽極、電流を入れる方を陰極という。
【0059】
本実施形態での電極20は、金属膜10と電極物質20を含むことができる。電極物質20は、活物質21、導電材22及びバインダー23を含むことができる。
【0060】
電極物質20の構造及び物性に応じて、電気二重層キャパシタの蓄電容量は異なる可能性がある。すなわち、電極物質20の比表面積が大きく、活物質21自体の内部抵抗が小さく、電極物質20の密度が高ければ、電気二重層キャパシタの蓄電容量が大きい。
【0061】
活物質21は、有効比表面積が大きい物質が好ましい。このような活物質としては、粉末活性炭素(ACP;Activated Carbon Powder)、炭素ナノチューブ(CNT;Carbon Naon Tube)、グラファイト、蒸気成長炭素繊維(VGCF;Vapor Grown Carbon Fiber)、カーボンエアロゲル(Carbon aerogel)、ポリアクリロニトリル(PAN;Polyacrylonitrile)やポリフッ化ビニリデン(PVdF;PolyVinylideneFluoride)等のような高分子を炭化して製造する炭素ナノファイバー(CNF;Carbon Nano Fiber)と活性炭素ナノ繊維(ACNF;Activated Carbon Nano Fiber)等が使用されている。
【0062】
導電材22とは、電極物質20に電気導電性を付与するために添加する物質をいう。導電材22としては、カーボンブラック(CB;Carbon Black)等を使用することができる。
【0063】
バインダー23は、活物質21との間の接着や金属膜10と電極物質20との間の結合をするために添加する物質のことをいう。
【0064】
これらのバインダー23には、CMC(carboxymethyl cellulose)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF−co−HFP;poly vinylidene fluoride−co−hexa fluoropropylene)系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;poly tetra fluoroethylene)粉末やエマルジョン及びゴム系のスチレンブタジエンゴム(SBR;styrene butadiene rubber)等があり、溶媒の種類に応じて選択的に使用することができる。
【0065】
バインダー23は、活物質21と金属膜10の間、または活物質21との間の接着特性を向上させるために使用される。しかし、バインダー23は、活物質21である炭素材料とは異なり、絶縁体であるため、含有量が増加するほど抵抗が増加する。
【0066】
また、バインダー23の含有量が多すぎると、電極物質20が脆性(brittle)を有するようになり、作業性が低下することがある。
【0067】
従って、バインダー23の含有量は少ないほど好ましい。バインダーの側面から見て、バインダーを含んでいないことが電気二重層キャパシタの特性に最も有利である。
【0068】
前述のようにデンドライト11を金属膜10の表面に形成して、電極物質20と金属膜10の間の接触面積を十分に大きくすることにより、電極物質20にはバインダー23を含ませないようにすることもできる。
【0069】
電解質(electrolyte)26は水等の溶媒に溶けてイオンに解離して電流を流す物質のことをいう。このような電解質26は、塩が溶解されている水溶液系電解質を使用することができる。
【0070】
たとえば、塩化ナトリウム水溶液、硫酸マグネシウム水溶液、硫酸カルシウム水溶液と、これらのうち2つ以上の混合物を含んでいるものを電解質26として使用することができる。
【0071】
隔離膜(seperator)30は、第1電極60と第2電極70を電気的に分離する。第1電極60と第2電極70には、それぞれ逆極性の電圧が印加されるため、第1電極60と第2電極70を電気的に分離して、ショートを防止するためである。
【0072】
このような隔離膜30としては、ポリプロピレンやテフロン等を使用することができる
【0073】
図3には、エネルギー貯蔵装置用電極の製造工程フロー図を示した。
【0074】
本発明の一実施形態であるエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法は、デンドライトが形成された金属膜を準備する第1段階と、上記デンドライトが形成された金属膜に電極物質のスラリーを塗布する第2段階を含む。
【0075】
エネルギー貯蔵装置用電極は、デンドライト11が形成された金属膜10上に電極物質のスラリーを塗布した後、乾燥して製造することができる。後述するが、電極物質の固体シートを別途製造した後、電極物質の固体シートを金属膜10に付着し、エネルギー貯蔵装置用電極を製造することもできる。
【0076】
上記金属膜は、銅またはアルミニウムで形成されることができる。
【0077】
上記電極物質は、活物質と導電材を含むことができる。
【0078】
すなわち、電極物質20の構成要素としてバインダー23が含まれず、電極物質20が活物質21及び導電材22のみで構成される場合である。
【0079】
これは、前述のように金属膜10の表面にデンドライト11を形成し、金属膜10と電極物質20の接触面積を極大化することにより、バインダー23がなくても、金属膜10と電極物質20との間の粘着力と接触抵抗の性能が低下しない場合に該当する。
【0080】
上記電極物質は、バインダーをさらに含むことができる。
【0081】
電極物質の構成要素として、活物質21、導電材22及びバインダー23を全て含んでいる場合である。ただし、この場合でも、金属膜10の表面にデンドライト11を形成することにより、バインダー23の量を大幅に削減することができ、これにより金属膜10と電極物質20との間の付着力の向上及び低抵抗を実現することができる。
【0082】
上記第2段階は、上記電極物質のスラリーで電極物質シートを形成する段階と、上記電極物質シートを上記デンドライトが形成された金属膜に付着する段階に代替することができる。
【0083】
これは、電極物質20のスラリーを使用して、電極物質のシートを別途製造し、これをデンドライト11が形成された金属膜10に接着剤等を使用して取り付けることが出来ることを意味する。
【0084】
電極物質20のシートを別途製造し、金属膜10に付着する方法は、電極物質20のスラリーをデンドライト11が形成された金属膜10上に塗布して電極60を製造する場合よりも有利である。
【0085】
電極物質20のスラリーを金属膜10に塗布し、電極60を製造する場合は、電極物質20のスラリーを直接扱わなければならないが、製造工程の中で電極物質20のスラリーを直接扱うことが容易でないためである。
【0086】
本実施形態において、金属膜10、活物質21、導電材22等の各構成要素に関する事項は、前述と同様である。
【0087】
本発明の一の実施形態であるエネルギー貯蔵装置は、対向するように離隔して配置された第1及び第2電極と、上記第1及び第2電極の間に位置し、第1及び第2電極を分離する隔離膜を含み、上記第1及び第2電極のうち少なくともいずれか一つは、一面にデンドライトが形成された金属膜と、上記金属膜の一面に接触する電極物質を含む。
【0088】
図1を参照すると、金属膜50と電極物質40を併せて第2電極70という。
【0089】
第1電極60と第2電極70は、電極物質30、40が対向するように離隔して配置されている。第1電極60と第2電極の間には隔離膜30が位置しており、この隔離膜によって第1電極60と第2電極70が分かれている。
【0090】
上記金属膜10は、銅またはアルミニウムで形成されることができる。
【0091】
上記電極物質20は、活物質21及び導電材22を含むことができる。
【0092】
上記電極物質20は、バインダー23を含むことができる。
【0093】
本実施形態において、活物質、導電材、バインダー等に関する事項は、前述と同様である。
【0094】
図4は、本実施形態において、電気二重層キャパシタの動作原理を示す概略図である。図4を参照して、電気二重層キャパシタの充電と放電過程について説明する。
【0095】
活物質21として活性炭24が使用されるが、活性炭24には、数多くの気孔25が形成されている。上記の気孔25には電解質26が含浸されている。
【0096】
まず、電極60、70に直流電圧をかけると(+)で分極された電極に電解質40の中の陰イオンが、(−)で分極された電極に電解質40中の陽イオンが静電気的に誘導され、各電極物質20の活物質21に吸着されることで活物質21と電解質40の界面に電気二重層が形成されるようになる。
【0097】
すなわち、微細気孔が形成されている多孔性の活性炭24に(−)をかけると電解質26から解離されて出てきた(+)イオンが活性炭24の気孔25内に入って(+)層を成して、活性炭24と電解質26との間の界面を中心にして、両方の(+)層と(-)層の電気二重層が形成される。
【0098】
上記のように、電気二重層キャパシタでは、活物質21と電解質26との間の界面で化学反応が起こるのではなく、単に物理的な反応だけが起こるだけである。この点が電気二重層キャパシタが他電池と比較して多くの利点を有することができる根源である。
【0099】
上記方式に応じて、活物質21の界面に電荷が蓄積される。特に、電極物質20は、多孔性物質で構成されており、比表面積が非常に大きいため、電荷蓄積量が非常に大きい。
【0100】
上記原理によって電気二重層には、電気エネルギーが蓄積されるが、このような過程を充電(charge)という。充電が完了すると、電気二重層キャパシタには、それ以上の電流が流れなくなる。
【0101】
次に、キャパシタの外部に第1及び第2電極60、70と負荷(不図示)を接続する回路(不図示)が形成されると、活物質21と電解質26の界面に充電されていた電荷は導線に沿って負荷に向かって移動されるようになり、活性炭24の気孔25に含浸された電解質26の中で電気二重層を形成していたイオンは気孔の外に移動するようになって電気二重層は消える。
【0102】
結局、電気二重層に貯蔵された電気エネルギーが消費され、負荷から他の形態のエネルギーに転換されのである。これを放電(discharge)という。
【0103】
放電時の電極物質20は、徐々に極性を失い、活性炭24の気孔25に吸着されていたイオンが脱着するようになる。したがって、活性炭24は表面の活性を再び回復するようになる。
【0104】
電気二重層キャパシタは、活性炭24の表面からイオンの物理的な吸脱着原理を利用するため、出力が高くて、充放電効率が高く、半永久的である。
【0105】
本発明は、上述の実施形態及び添付された図面によって限定されず、添付された請求範囲によって限定される。したがって、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を超えない範囲内で該当技術分野の通常の知識を有する者により多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0106】
10、50 金属膜
11 デンドライト
20、40 電極物質
21 活物質
22 導電材
23 バインダー
24 活性炭
25 気孔
26 電解質
30 隔離膜
60 第1電極
70 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面にデンドライトが形成された金属膜と、
前記金属膜の一面に接触する電極物質と、
を含むエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項2】
前記金属膜は銅またはアルミニウムで形成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項3】
前記電極物質は、活物質と導電材を含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項4】
前記電極材料は、バインダーを含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項5】
前記活物質は、粉末活性炭素、炭素ナノチューブ、グラファイト、蒸気成長炭素繊維、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の高分子を炭化し製造する炭素ナノファイバー及び活性炭素ナノ繊維で構成されるグループの中から選ばれた一つ以上の物質で形成される、請求項3に記載のエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項6】
前記導電材はカーボンブラックである、請求項3に記載のエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項7】
前記バインダーは、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン及びゴム系のスチレンブタジエンゴムで構成されるグループの中から選ばれた一つ以上の物質で形成される、請求項4に記載のエネルギー貯蔵装置用電極。
【請求項8】
前記デンドライトが形成された金属膜を準備する第1段階と、
前記のデンドライトが形成された金属膜の電極物質スラリーを塗布する第2段階と、
を含むエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項9】
前記金属膜は銅またはアルミニウムで形成される、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項10】
前記電極材料は活物質と導電材を含むことを特徴とする請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項11】
前記電極物質は活物質と導電材を含むことを特徴とする請求項10に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項12】
前記第2段階は、
前記電極物質のスラリーで電極物質シートを形成する段階と、
前記電極物質シートを前記デンドライトが形成された金属膜に付着する段階と、
で代替された請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項13】
前記活物質は、粉末活性炭素、炭素ナノチューブ、グラファイト、蒸気成長炭素繊維、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の高分子を炭化し製造する炭素ナノファイバー及び活性炭素ナノ繊維で構成されるグループの中から選ばれた一つ以上の物質で形成される請求項10に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項14】
前記導電材はカーボンブラックである、請求項10に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項15】
前記バインダーは、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン及びゴム系のスチレンブタジエンゴムで構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つ以上の物質で形成される、請求項11に記載のエネルギー貯蔵装置用電極の製造方法。
【請求項16】
互いが対向するように離隔して配置された第1及び第2電極と、
前記第1及び第2電極の間に位置し、第1及び第2電極を分離する隔離膜と、
を含み、
前記第1及び第2電極のうち少なくともいずれか一つは、一面にデンドライトが形成された金属膜及び上記金属膜の一面に接触する電極物質を含む電極であるエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
前記金属膜は銅またはアルミニウムで形成された、請求項16に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項18】
前記電極物質は活物質及び導電材を含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項19】
前記電極物質はバインダーをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
前記の活物質は、粉末活性炭素、炭素ナノチューブ、グラファイト、蒸気成長炭素繊維、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の高分子を炭化し製造する炭素ナノファイバー及び活性炭素ナノ繊維で構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つ以上の物質で形成される、請求項18に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項21】
前記導電材はカーボンブラックである、請求項18に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項22】
前記バインダーは、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン系、フッ素系ポリテトラフルオロエチレン及びゴム系のスチレンブタジエンゴムで構成されるグループの中から選ばれたいずれか一つ以上の物質で形成される、請求項19に記載のエネルギー貯蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−129490(P2012−129490A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103435(P2011−103435)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】