説明

エネルギ貯蔵

【課題】安価で効率が良く、比較的小型であり環境に影響を及ぼさないエネルギ貯蔵のための装置を提供することにある。
【解決手段】エネルギを貯蔵するための装置(10)には、気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段(24)と、圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段(25)と、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための第1熱貯蔵手段(50)と、第1熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段(28)と、膨張チャンバ手段に受け入れた気体を膨張させるための膨張ピストン手段(29)と、膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための第2熱貯蔵手段(60)と、が含まれる。装置(10)が用いるサイクルには、2つの異なる段が有り、これらは、分割して別個の装置にしてもよく、組み合わせて1つの装置にしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、エネルギ貯蔵のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のエネルギ貯蔵技法は、費用がかかるか、蓄積/放出効率が悪いか、あるいは、使う化学物質の種類や土地利用の様式により環境に望ましくない結果をもたらすかのいずれかである。
【0003】
現在利用可能で化学物質を用いない貯蔵技法は、揚水式貯蔵、フライホイール貯蔵、及び圧縮空気エネルギ貯蔵(CAES)である。これらの技法には、全て何らかの長所と短所がある。
【0004】
揚水式:何らかの地質学的準備が必要であり、また、貯蔵容量が限定される。貯蔵量を増やすには、単位貯蔵動力当り大面積の土地を必要とする。
フライホイール:蓄積/放出効率は良いが、単位質量当りの動力貯蔵量が限られており、また、高価である。
【0005】
圧縮空気エネルギ貯蔵:CAESの主な欠点は、その地質学的構造への依存である。適切な地下空洞が無いと、この貯蔵方法の利用可能性は、実質的に制限される。しかしながら、それが適する場所の場合、大量のエネルギを長期間貯蔵するための実行可能な選択肢を提供し得る。圧縮空気を人工の圧力容器に貯蔵する場合、通常分厚い壁が必要なことから、問題が多い。これは、人工的に作った圧力容器を用いると規模の経済性がないことを意味する。更に、蓄積/放出効率が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、従来技術に伴う問題の幾つかを解決又は少なくとも軽減するエネルギ貯蔵方法の改善が望まれている。特に、現在の技法の代案として、安価で効率が良く、比較的小型であり環境に影響を及ぼさない代案を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複合型高温・低温貯蔵器を用いたエネルギ貯蔵
本発明の第1態様に基づき、エネルギを貯蔵するための装置を提供する。本装置には、気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段と、圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段と、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための第1熱貯蔵手段と、第1熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段と、膨張チャンバ手段に受け入れた気体を膨張させるための膨張ピストン手段と、膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための第2熱貯蔵手段と、が含まれる。
【0008】
このようにエネルギ貯蔵装置を提供するが、この装置内には、第1及び第2熱貯蔵手段が熱ポンプサイクル内に置かれ、蓄積中、それぞれ蓄熱及び蓄冷する。そして、エネルギは、放出モードにおいて、次の段階を経て回収可能である。即ち、冷却された第2熱貯蔵手段に気体を通す段階と、第2熱貯蔵手段によって冷却された気体を圧縮する段階と、加熱された第1熱貯蔵手段の作用を受けることによって、冷却された圧縮気体を加熱する段階と、生成手段に仕事を行なうことによって、その加熱された気体を膨張させる段階と、により回収可能である。
【0009】
気体は、周辺の大気であってよい。有利なことに、大気を作動流体手段として用いることは、環境汚染の恐れがある冷却剤を用いる必要がないことを意味する。他の選択肢として、気体は、窒素又は希ガス(例えば、アルゴン又はヘリウム)であってよい。
【0010】
系の基準圧力(例えば、第2熱貯蔵手段の圧力)は、大気圧より低い圧力から大気圧より高い圧力まで変えることができる。系の基準圧力が大気圧より高い場合、ピーク圧力は、温度が設定範囲にある間、上昇し、圧縮及び膨張ピストン手段は、小型になる。貯蔵容器は、高い圧力を取り扱うためには、高価になるというトレードオフがある。逆に、系の圧力が大気圧より低い場合、圧縮及び膨張ピストン手段のサイズ増大に対して、ピーク圧力は、低くなり、貯蔵容器は、より安価になる。
【0011】
圧縮は、実質的に等エントロピ、即ち、断熱であり得る。気体から第1熱貯蔵手段への伝熱は、実質的に等圧であり得る。膨張は、実質的に等エントロピ、即ち、断熱であり得る。第2熱貯蔵手段から気体への伝熱は、実質的に等圧であり得る。実際には、完全な等エントロピ過程を実現することは、過程における不可逆性及び過程中の伝熱が発生するため、不可能である。従って、留意点として、過程が、等エントロピと称される場合、ほぼ又は実質的な等エントロピを意味すると理解すべきである。
【0012】
有利なことに、往復ピストン圧縮機/膨張機を用いると、従来の空力回転圧縮機/膨張機を凌いで効率を大幅に改善し得る。
第1及び第2熱貯蔵手段の内の少なくとも1つには、気体を受け入れるためのチャンバ及びチャンバに収納された粒状物質(例えば、粒状物質床)を含んでよい。粒状物質には、通気性構造を形成するために(例えば、ランダムに)詰め込んだ固体粒子及び/又は繊維を含み得る。固体粒子及び/又は繊維は、熱慣性が小さいものがよい。例えば、固体粒子及び/又は繊維は、金属性でよい。他の実施形態では、固体粒子及び/又は繊維は、鉱物又はセラミックを含み得る。例えば、固体粒子は、砂利を含んでよい。
【0013】
装置には、更に、第1及び第2熱貯蔵手段に貯蔵したエネルギを回収するための生成手段を含み得る。生成手段は、圧縮ピストン手段及び膨張ピストン手段の内の一方又は双方に結合し得る。圧縮ピストン手段及び膨張ピストン手段の内の一方又は双方は、放出時、逆に動作するように構成可能であってよい(例えば、放出時、膨張ピストン手段は、冷却された気体を圧縮するように構成可能であってよく、また、圧縮ピストン手段は、加熱された気体を膨張させるように構成可能であってよい)。
【0014】
エネルギ緩衝装置
本発明の第2態様に基づき、機械的動力を入力装置から出力装置に伝達するための装置を提供する。本装置には、エネルギ貯蔵部と熱機関部が含まれる。エネルギ貯蔵部には、気体を受け入れるための第1圧縮チャンバ手段と、第1圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための第1圧縮ピストン手段と、第1圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための第1熱貯蔵手段と、第1熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための第1膨張チャンバ手段と、第1膨張チャンバ手段に受け入れた気体を膨張させるための第1膨張ピストン手段と、第1膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための第2熱貯蔵手段とが含まれる。熱機関部には、第2熱貯蔵手段及び第1熱貯蔵手段と流体で連通する第2圧縮チャンバ手段と、第2圧縮チャンバ手段に受け入れた気体を圧縮して第1熱貯蔵チャンバ手段へ移送するための第2圧縮ピストン手段と、第1熱貯蔵手段及び第2熱貯蔵手段と流体で連通する第2膨張チャンバ手段と、第2膨張チャンバに受け入れた第1熱貯蔵手段からの気体を膨張させるための第2膨張ピストン手段と、が含まれる。
【0015】
このようにして、熱動力伝達系を提供するが、この系では、系から出力される動力が、供給される動力より少ない場合、第1動作モードでエネルギを「バッファ」に貯蔵することができ、また、系から要求される動力が、供給される動力のそれを上回った場合、第2動作モードでエネルギを自動的に回収する。第1と第2の動作モード間の変更は、自動的に行い得る。例えば、装置は、入出力動力の不均衡に自動的に反応するように構成し得る。供給される動力と使われる動力が平衡している場合、本系統は、第1及び第2熱貯蔵手段を自動的に迂回する。
【0016】
気体は、周辺の大気であってよい。
第1及び第2圧縮ピストン手段によって行われる圧縮は、実質的に等エントロピ、即ち、断熱であり得る。気体から第1熱貯蔵手段への伝熱は、実質的に等圧であり得る。第1及び第2膨張ピストン手段によって行われる膨張は、実質的に等エントロピ、即ち、断熱であり得る。第2熱貯蔵手段から気体への伝熱は、実質的に等圧であり得る。
【0017】
第1及び第2熱貯蔵手段の内の少なくとも1つには、気体を受け入れるためのチャンバ及びチャンバに収納された粒状物質(例えば、粒状物質床)を含んでよい。粒状物質には、通気性構造を形成するために(例えば、ランダムに)詰め込んだ固体粒子及び/又は繊維を含んでよい。固体粒子及び/又は繊維は、熱慣性が小さいものがよい。例えば、固体粒子及び/又は繊維は、金属性であり得る。他の実施形態では、固体粒子及び/又は繊維は、鉱物又はセラミックを含み得る。例えば、固体粒子は、砂利を含んでよい。
【0018】
高温貯蔵サイクルのみを用いるエネルギ貯蔵器
本発明の第3態様に基づき、エネルギを貯蔵するための装置を提供する。本装置には、気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段と、圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段と、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための熱貯蔵手段と、熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段と、膨張チャンバ手段に受け入れた気体を膨張させるための膨張ピストン手段と、膨張ピストン手段によって膨張した気体に(例えば、大気から)熱エネルギを伝達するための熱交換手段と、が含まれる。
【0019】
このように、本発明の第1態様である複合サイクルの内の高温貯蔵サイクルに基づき、疑似等温膨張を用いるエネルギ貯蔵装置を提供する。エネルギは、この後、放出モードでサイクルを逆転することによって回収可能である。
【0020】
気体は、周辺の大気であってよい。
圧縮は、実質的に等エントロピ、即ち、断熱であり得る。気体から熱貯蔵手段への伝熱は、実質的に等圧であり得る。膨張は、実質的に等温であり得る。例えば、膨張ピストン手段には、複数の膨張段を直列に含んでよく、各段には、それに対応したそれぞれの熱交換器を備え得る。
【0021】
熱交換手段は、膨張時、膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するように構成し得る。このように、疑似等温膨張を実現するために多段膨張段を提供する。
【0022】
一実施形態では、熱交換手段は、膨張ピストン手段によって実施される別々の膨張ステップ間の1つ又は複数の段において、膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するように構成される。例えば、膨張チャンバ手段には、直列接続した複数の膨張チャンバを含むことができ、各膨張チャンバは、それぞれの膨張ピストン手段及びそれに対応する熱交換手段を有する。各膨張チャンバは、その列でその先行する膨張チャンバより体積が小さくてもよい。
【0023】
本装置には、更に、膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するために熱交換手段に熱結合された蓄冷手段を含み得る。例えば、直列接続した複数の膨張チャンバを含む膨張チャンバ手段の場合、複数の膨張チャンバのそれぞれの各熱交換手段は、単一の蓄冷手段に熱結合し得る。このように、蓄冷手段に貯蔵する温度が高くなる点を除き、本発明の第1実施形態と同様な可逆サイクルを行うための装置を提供する。
【0024】
熱貯蔵手段には、気体を受け入れるためのチャンバ、及びチャンバに収納された粒状物質(例えば、粒状物質床)を含み得る。粒状物質には、通気性構造を形成するために(例えば、ランダムに)詰め込んだ固体粒子及び/又は繊維を含み得る。固体粒子及び/又は繊維は、熱慣性が小さいものがよい。例えば、固体粒子及び/又は繊維は、金属性であり得る。他の実施形態では、固体粒子及び/又は繊維は、鉱物又はセラミックを含み得る。例えば、固体粒子には、砂利を含み得る。
【0025】
装置には、更に、熱貯蔵手段に貯蔵したエネルギを回収するための生成手段を含み得る。生成手段は、圧縮ピストン手段及び膨張ピストン手段の内の一方又は双方に結合し得る。圧縮ピストン手段及び膨張ピストン手段の内の一方又は双方は、放出時、逆に動作するように構成可能であってよい(例えば、放出時、膨張ピストン手段は、気体を圧縮するように構成可能であってよく、また、圧縮ピストン手段は、加熱した気体を膨張させ得るように構成可能であってよい)。
【0026】
低温貯蔵サイクルを用いるエネルギ貯蔵器
本発明の第4態様に基づき、エネルギを貯蔵するための装置を提供する。本装置には、気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段と、圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段と、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体を(例えば、熱エネルギを雰囲気に伝達することによって)冷却するための熱交換手段と、熱交換手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段と、膨張チャンバ手段に受け入れた気体を膨張させるための膨張ピストン手段と、膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための熱貯蔵手段と、が含まれる。
【0027】
このように、本発明の第1態様である複合サイクルの内の低温貯蔵サイクルに基づき、疑似等温圧縮を用いるエネルギ貯蔵装置を提供する。エネルギは、この後、放出モードにおいて、次の段階を経て回収可能である。即ち、冷却された熱貯蔵手段に気体を通す段階と、熱貯蔵手段によって冷却された気体を圧縮する段階と、生成手段に仕事を行うことによって、加熱した気体を膨張させる段階と、により回収可能である。
【0028】
気体は、周辺の大気であってよい。
圧縮は、実質的に等温であり得る。例えば、圧縮ピストン手段は、複数の圧縮段を直列に含むことができ、各段は、それに対応するそれぞれの熱交換器を有する。気体から熱貯蔵手段への伝熱は、実質的に等圧であり得る。膨張は、実質的に等エントロピ、即ち、断熱であり得る。
【0029】
熱交換手段は、圧縮時、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体を冷却するように構成し得る。このように、疑似等温圧縮を実現するために多段圧縮段を提供する。
一実施形態では、熱交換手段は、圧縮ピストン手段によって実施される別々の圧縮ステップ間の1つ又は複数の段において、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体を冷却するように構成される。例えば、圧縮チャンバ手段は、直列接続した複数の圧縮チャンバを含むことができ、各圧縮チャンバは、それぞれの圧縮ピストン手段及びそれに対応する熱交換手段を有する。各圧縮チャンバは、その列の先行する圧縮チャンバより体積が大きくてもよい。
【0030】
本装置には、更に、圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するために熱交換手段に熱結合された蓄熱手段を含み得る。例えば、直列接続した複数の圧縮チャンバを含む圧縮チャンバ手段の場合、複数の圧縮チャンバのそれぞれの各熱交換手段は、単一の蓄熱手段へ熱結合し得る。このように、蓄熱手段に貯蔵する温度が低い点を除き、本発明の第1実施形態と同様な可逆サイクルを行うための装置を提供する。
【0031】
熱貯蔵手段には、気体を受け入れるためのチャンバ、及びチャンバに収納された粒状物質(例えば、粒状物質床)を含み得る。粒状物質には、通気性構造を形成するために(例えば、ランダムに)詰め込んだ固体粒子及び/又は繊維を含み得る。固体粒子及び/又は繊維は、熱慣性が小さいものがよい。例えば、固体粒子及び/又は繊維は、金属性であり得る。他の実施形態では、固体粒子は、鉱物又はセラミックを含み得る。例えば、固体粒子は、砂利を含み得る。
【0032】
本装置には、更に、熱貯蔵手段に貯蔵したエネルギを回収するための生成手段を含み得る。生成手段は、圧縮ピストン手段及び膨張ピストン手段の内の一方又は双方に結合し得る。圧縮ピストン手段及び膨張ピストン手段の内の一方又は双方は、放出時、逆に動作するように構成可能であってよい(例えば、放出時、膨張ピストン手段は、冷却した気体を圧縮するように構成可能であってよく、また、圧縮ピストン手段は、加熱した気体を膨張させ得るように構成可能であってよい)。
【0033】
次に、本発明の実施形態について、添付図面を参照して一例として述べる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1態様によるエネルギ貯蔵装置の概略説明図。
【図2】図1の装置の放出時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図3】図1の装置の蓄積時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図4】本発明の第2態様によるエネルギ貯蔵用装置を組み込んだ伝達装置の概略説明図。
【図5】本発明の第3態様によるエネルギ貯蔵装置の第1実施形態の概略説明図。
【図6】本発明の第4態様によるエネルギ貯蔵装置の第1実施形態の概略説明図。
【図7】図5の装置の蓄積時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図8】図5の装置の放出時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図9】図6の装置の蓄積時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図10】図6の装置の放出時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図11】図5の装置のエネルギ損失を示すP‐V図。
【図12】図6の装置のエネルギ損失を示すP‐V図。
【図13】加熱時の図6の装置の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図14】加熱に起因する付加エネルギ利得を示すP‐V図。
【図15】本発明の第3態様によるエネルギ貯蔵装置の第2実施形態の概略説明図。
【図16】本発明の第4態様によるエネルギ貯蔵装置の第2実施形態の概略説明図。
【図17】図15の装置の放出時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【図18】図16の装置の放出時の通常サイクルを模式化したP‐V図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、熱ポンプ/エンジンサイクル内に熱的貯蔵手段を挿入した構成を示す。用いられるサイクルには、2つの異なる段が有り、これらの段は、分割して別個の装置又は組み合わせて1つの装置にできる。
【0036】
高温貯蔵器のみ(図5)
図5は、圧縮機を用いて、この場合、往復装置を用いて、作動流体(例えば、空気)を実質的に等エントロピ圧縮するように構成され温度及び圧力を上昇させる装置を示す。作動流体は、更に、粒状の熱貯蔵媒体(例えば、砂利又は金属粒)を通過し、そこで、冷却され周囲温度付近まで戻される。そして、作動流体は、大気温度まで等温膨張する。これは、多段膨張機(この場合もまた、往復型)及び中間冷却器(加温器)を用いて行う。
【0037】
詳細に以下に述べるように、エネルギを回収するには、単にサイクルを逆にする。
等温膨張及び圧縮が完全であれば、蓄積及び放出では、エネルギ損失は起こらない。しかしながら、実際には、一連の圧縮機/膨張機により、中間冷却/加温が発生する。PVチャートを参照すると、このことで回収不可能な損失が系中に直ちに生じることが分かる。設置した段が少なければ少ないほど、損失は大きくなる。設置する段が増えるほど、設備は複雑になり、また高価になる。
【0038】
貯蔵器のエネルギ密度は、温度の関数であり、これは、圧力に比例する関数でもある。圧力容器の負荷の限界は、壁材の引っ張り強度(温度が高くなると低下する)に直接関係する。圧力容器には、加圧された流体を閉じ込めるために単位面積当り或る量の材料が必要である。管の面積が二倍になると、壁の材料の量は、二倍になる。その結果、通常の圧力貯蔵器は、非圧力貯蔵器よりも常にコストがかかり、また、規模の経済性が存在しない。
【0039】
低温貯蔵器のみ(図6)
図6は、圧縮機を用いて、この場合、往復装置を用いて、作動流体(例えば、空気)を実質的に等温圧縮して作動流体の圧力を上昇させるように構成された装置を示す。圧縮に続き、作動流体を実質的に等エントロピ膨張させて温度を周囲温度より低下させ、また、圧力を大気圧に戻す。そして、作動流体は、粒状の熱貯蔵媒体(例えば、砂利又は金属粒)を通過し、そこで、加温され周囲温度付近まで戻される。等温圧縮は、多段圧縮機及び中間冷却器を用いて実現する。
【0040】
詳細に以下に述べるように、エネルギを回収するには、単にサイクルを逆にする。
等温圧縮及び膨張が完全であれば、蓄積及び放出では、エネルギ損失は起こらない。しかしながら、実際には、一連の圧縮機/膨張機が中間冷却/加温を伴う。これにより、回収不可能な損失が系に直ちに生じることがpVチャート上で分かる。存在する段が少なければ少ないほど、損失は大きくなる。存在する段が増えるほど、設備は、複雑になりまた高価になる。
【0041】
他の供給源(発電所等)からの廃熱や太陽からの低度の熱は、プロセスのエネルギ回収フェーズの間に回収したエネルギを増大させるために用い得る。この「エネルギ増大」の恩恵は、本プロセスの等温圧縮/膨張段によって生じる損失に勝る。
【0042】
高温・低温貯蔵器複合型(図1)
図1は、圧縮機を用いて、この場合、往復装置を用いて、実質的に等エントロピの圧縮を採用し作動流体(例えば、空気)の温度及び圧力を引き上げる複合サイクル用の装置を示す。作動流体は、更に、粒状熱貯蔵媒体(砂利又は金属粒が可能)を通過し、そこで冷却される。そして、膨張されて冷却され、また圧力が下げられた後、他の粒状貯蔵器を通過して、そこで、加温されて周囲温度に戻され、そして、ステップ1に戻る。
【0043】
放出のために、作動流体は、第2熱貯蔵器を通過して2に至り、圧縮されて3に至り、第1熱貯蔵器を介して昇温して4に至り、膨張して1に戻る。
この装置は、自動的に、あらゆる等温圧縮又は膨張が不要という利点を有する。これは、高温のみ又は低温のみの装置の蓄積/放出に付随する必然的な損失を回避し得ることを意味する。この装置は、本質的に効率が高い方である。
【0044】
サイクル解析
機械エネルギ/サイクル:(蓄積)
等エントロピ圧縮:
4→2=pγ(V1−γ−V1−γ)/(1−γ)
2から3への冷却:
2→3=p(V−V
上式において、
=V(p/p−1/γ
=V(T/T1/(1−γ)
=T(V/V1−γ
≒T
3から4への膨張:
3→4=pγ(Vγ−1−Vγ−1)/(1−γ)
上式において、
=Vγ(p/p−1/γ
4から1への加温:
4→1=p(V−V
1サイクル当りに関わる流体の量:
M=pV/RT(状態方程式)
貯蔵される熱エネルギ:
T(2→3)=M・C(T−T
T(1→4)=M・C(T−T
熱的貯蔵量に対する機械的貯蔵量の割合
=(E1→2+E2→3+E3→4+E4→1)/(ET(2→3)+ET(1→4)
このサイクルは理論的に可逆であるため、高い効率を達成できる。
【0045】
概念の利用方法
図4に示す装置は、エネルギ入力部が出力部の動きから完全に独立するように、2つの熱動力機械をエネルギ貯蔵器で連結している。これにより、本装置は、大量のエネルギを貯蔵する能力を備えた熱動力伝達装置の一形態に変わる。
【0046】
図示した実施形態では、全ての配管は、基準点を維持するために露出すべきTa管を除き、高度に断熱しなければならない。
この構成では、供給される動力が取り出される動力に等しい場合、貯蔵体は自動的に迂回され、何らかの不均衡が起これば、バッファへ且つバッファからエネルギが途切れることなく自動的に伝達される。
【0047】
鍵となる原理は、エネルギ付加又は取出しが、単に入力装置及び出力装置を通過する相対的な気体流量の関数であることである。これらが等しい場合、エネルギは、貯蔵器を出入りせず、入力流の方が大きい場合、エネルギは、貯蔵され、出力流の方が大きい場合、エネルギは、貯蔵器を出ていく。
【0048】
系のエントロピが全体的に上昇するのを避けるために、少なくとも1つの雰囲気流を冷却しなければならない。これは、第2熱貯蔵器のTa(周囲)端を大気に開放して、その時、低温側を雰囲気圧にすることによって実現できる。装置全体が高い圧力で動く場合、装置は、小型化でき、このことは、輸送分野においてハイブリッド車両等に適用し得る。
【0049】
エネルギを大量に貯蔵する場合、雰囲気圧で貯蔵することが望ましく、これは、機械からの加圧流を貯蔵体端にある熱交換器に通し、そして、これらの熱交換器を介して、雰囲気圧の空気を貯蔵器を通して送ることによって実現できる。
【0050】
熱交換器及び非圧力貯蔵器を用いる場合、各伝達段に対応する温度低下が起こる可能性がある。例えば、空気は、500℃で高温圧縮機を出ることがある。この空気は、熱交換器を通り、約450℃で非圧力高温貯蔵器に入り得る。この系を逆にした場合、空気温度は、約400℃までしか加熱されない。この状況では、電気又はガス等、何らかの外部熱源により非圧力貯蔵器の熱を補うことが、有益であり得る。
【0051】
この熱は高温で付加されることから、貯蔵器のエネルギ密度及び放出時に回収可能なエネルギを増やすという点で、大きな恩恵がある。例えば、与えられた例では、貯蔵器は、550℃まで加熱され、また、放出サイクル時の戻り空気流は、その元の温度である500℃まで再加熱し得る。
【0052】
更に、この加熱は、貯蔵器が長期間放出されないままである場合、その温度を維持するために用い得る。これは、特に、UPS、即ち、予備電源用途に応用される。
大容量圧力貯蔵器は、貯蔵体を地中の非常に深い所に置くことによって実現でき、例えば、古い鉱山を利用し得る。この時、上方の大地の質量は、貯蔵器内の気体の高圧力と平衡をとるために用い得る。
【0053】
熱ポンプ/エンジンサイクルに挿入可能な追加サイクル
低温貯蔵器のみ
エネルギ入力
周囲温度及び雰囲気圧での気体の等温圧縮(気体の圧力が上昇)、等エントロピ膨張させ大気圧に戻す(気体を周囲温度より低く冷却)、等圧加熱して周囲温度に戻す(熱を貯蔵器から気体に伝達)。このサイクルは、理論的に可逆である。しかしながら、この等温圧縮は、各段後の冷却により、等温というよりもほぼ等エントロピである一連の圧縮からなることがある。これにより、このサイクルは、貯蔵器全体が雰囲気圧であるという非常に大きなコスト面の利点があるが、複合型高温・低温貯蔵器よりも本質的に効率が低い。更に、等温圧縮又は膨張と呼ぶ場合、これは、できるだけ等温に近いという意味であって、多数の圧縮又は膨張段を伴い得ることに留意されたい。
【0054】
エネルギ出力
雰囲気圧及び周囲温度で蓄積した空気は、第2熱貯蔵器を通って送られ冷却される。そして、等エントロピ圧縮され、その温度が周囲温度(少なくとも、その付近)に上昇し、その圧力は、この時、高い。そして、各段の間に熱交換器を有する多段膨張機において、膨張し加熱され雰囲気圧及び周囲温度になる。
【0055】
回収段において低度の熱を付加する低温貯蔵器
ここでは、直前の低温のみのサイクルを取り上げ、エネルギ回収プロセスを強化するために用い得る低度形態の熱とそれとを組み合わせる。この低度の熱は、発電所又は太陽熱集積器から得ることができる。
【0056】
エネルギ入力
周囲温度及び雰囲気圧の気体の等温圧縮(気体の圧力が上昇)、気体を周囲温度まで等圧冷却、等エントロピ膨張させて大気圧に戻す(気体を周囲温度より低く冷却)、等圧加熱して周囲温度に戻す(熱を貯蔵器から気体に伝達)。このサイクルは、理論的に可逆である。しかしながら、この等温圧縮は、各段後に冷却を行う一連の等エントロピ圧縮からなることがある。
【0057】
エネルギ出力
低レベルの熱が、「周囲温度プラス」と呼ばれる周囲温度を超える温度で供給される。
雰囲気圧及び周囲温度で蓄積した空気は、第2熱貯蔵器を通って送られ冷却される。そして、等エントロピ圧縮され、その温度が周囲温度(少なくとも、その付近)に上昇し、その圧力は、この時、高い。そして、この空気は、例えば、発電所からの「周囲温度プラス」の熱水等の対向流と共に熱交換器を通過する。この水は、空気がほぼ「周囲温度プラス」になるまで加熱されるにつれて、冷却される。この時点で、空気は、等エントロピ膨張して周囲温度及び雰囲気圧(又はその付近)に戻される。
【0058】
図面の詳細な説明
図1
図1は、エネルギ貯蔵系統10を示す。エネルギ貯蔵系統10には、圧縮手段21、膨張手段22、及び動力入出力手段40を含む圧縮/膨張手段20と、第1熱貯蔵手段50と、第2熱貯蔵手段60と、高圧伝達手段70及び71と、低圧伝達手段80及び81と、が含まれる。この図において、圧縮/膨張手段20は、単一のユニットとして示す。
【0059】
圧縮手段21は、低圧吸気手段23、圧縮チャンバ24、圧縮ピストン手段25、及び高圧排気手段26を含む。本例において、圧縮手段21は、サイクルの放出フェーズでは、逆に動き、膨張手段として動作するように構成される。他に放出フェーズにおいて膨張を実現する2つの選択肢がある。(1)圧縮手段21を気体の圧縮のためだけに用い、また、膨張手段22を気体の膨張のためだけに用いるように、系が逆転した時、流れを切り換える。しかしながら、これは、シリンダの大きさ順の並びが不適切であるという不利な点を有する。(2)別個の圧縮機/膨張機をサイクルの放出部分用に設けて、流れは適切に切り換える。
【0060】
膨張手段22は、高圧吸気手段27、膨張チャンバ28、膨張ピストン手段29、及び低圧排気手段30を含む。本例では、膨張手段22は、サイクルの放出フェーズにおいて逆に動き、圧縮手段として動作するように構成される。他に放出フェーズにおいて膨張を実現する2つのやり方がある。(1)圧縮手段21を気体の圧縮のためだけに用い、膨張手段22を気体の膨張のためだけに用いるように、系が逆転した時、流れを切り換える。しかしながら、これは、シリンダの大きさ順の並びが不適切であるという不利な点を有する。(2)別個の圧縮機/膨張機をサイクルの放出部分用に設けて、流れは適切に切り換える。
【0061】
動力入出力手段40は、エネルギ供給源/要求元41からの機械的接続路と、圧縮機用の駆動機構42と、膨張機用の駆動機構43と、を含む。エネルギ供給源/要求元41は、動力入力モードで用いる場合、エネルギ供給源であり、動力出力モードで用いる場合、エネルギ要求元である。
【0062】
第1熱貯蔵手段50は、高圧に適した第1断熱圧力容器51、高圧吸気/排気口52、第1熱貯蔵材53、及び高圧吸気/排気口54を含む。
第2熱貯蔵手段60は、低圧に適した第2断熱圧力容器61、低圧吸気/排気口62、第2熱貯蔵材63、及び低圧吸気/排気口64を含む。
【0063】
系統10に蓄積する場合、低圧伝達手段80中の低圧気体が、低圧吸気手段23を介して圧縮手段21に入り、そして、圧縮チャンバ24に入る。気体が圧縮チャンバ24に入ると、低圧吸気手段23は、密閉され、そして、圧縮ピストン手段25が、駆動機構42によって作動する。圧縮チャンバ24に収容されている気体が、圧縮ピストン手段25によってほぼ高圧伝達手段70内のレベルまで圧縮されると、気体は、高圧排気手段26を開くことによって高圧伝達手段70へ送られる。
【0064】
気体は、高圧伝達手段70によって第1熱貯蔵手段50へ送られる。気体は、高圧吸気/排気手段52を通って第1熱貯蔵手段50に入り、第1断熱圧力容器51内に密封された第1熱貯蔵材53中を通過する。気体は、第1熱貯蔵材53を通過する際、熱エネルギを第1熱貯蔵材53に伝達し、そして、高圧吸気/排気手段54を通って第1熱貯蔵手段50を出る。次に、気体は、高圧伝達手段71を通過し、高圧吸気手段27を通って膨張手段22に入る。
【0065】
高圧気体は、高圧吸気手段27を介して膨張手段22に入ると、膨張チャンバ28に入る。気体が膨張チャンバ28に入ると、高圧吸気手段27は、密閉され、そして、膨張ピストン手段29が、駆動機構43によって作動する。膨張チャンバ28に収容されている気体が膨張ピストン手段29によって、ほぼ低圧伝達手段81のレベルまで膨張すると、気体は、低圧排気手段30を開くことによって低圧伝達手段81に送られる。
【0066】
気体は、低圧伝達手段81によって第2熱貯蔵手段60へ送られる。気体は、低圧吸気/排気手段62を通って第2熱貯蔵手段60に入り、第2断熱圧力容器61内に密封した第2熱貯蔵材63を通過する。気体は、第2熱貯蔵材63を通過する際、第2熱貯蔵材63から熱エネルギを受け取り、そして、低圧吸気/排気手段64を通って第2熱貯蔵手段60を出る。次に、気体は、低圧伝達手段80を通過し、そして、低圧吸気手段23を通って圧縮手段21に入る。
【0067】
このプロセスは、第1及び第2熱貯蔵手段50、60に完全に蓄積されるまで実行され、その後は、系にそれ以上のエネルギを貯蔵できない。系から放出するには、プロセスを逆転し、圧縮手段21を膨張機として動作させ、また、膨張手段22を圧縮機として動作させる。系内の流れは、逆転し、系から放出を行うと、系全体の温度は、ほぼ開始時の温度に戻る。
【0068】
気体が空気であり、低圧を大気圧に設定する場合、通気孔90又は91を低圧伝達手段80内に配置することがある。通気孔90により、周辺の空気は、必要に応じて系に出入りして、系のエントロピ増大を防止する。気体が空気でない及び/又は低圧が大気圧でない場合、通気孔91は、熱交換器93によって安定した温度に保ち得る気体溜め92に至る。熱交換器を用いない及び/又は気体を雰囲気に排出しない場合、系のエントロピ(従って、温度)は、継続的に増大する。
【0069】
図2・・・図1の系からの放出
図2は、放出フェーズにおけるエネルギ貯蔵器10の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。直線部分180’は、気体流が第2熱貯蔵手段60を通過する際の、本例では、周囲温度及び雰囲気圧からの等圧冷却を表す。図の左側の曲線170’は、膨張手段22における等エントロピ圧縮を表す。直線部分160’は、流れが第1熱貯蔵手段50を通過する際の等圧加熱を表す。また、図の右側の曲線150’は、圧縮手段21中の気体の等エントロピ膨張を表す。回収可能な仕事は、線の内側の陰影を付けた面積に等しい。もちろん、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの幾つかの相違点を呈すると考えられる。更に、既に言及したように、サイクルの低圧部分は、大気圧より高くても低くてもよく、気体は、空気である必要はなく、また、低い(Tl)温度も、周囲温度より高く設定しても低く設定してもよい。
【0070】
図3・・・図1の系への蓄積
図3は、蓄積フェーズにおけるエネルギ貯蔵器10の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図の右側の曲線150は、本例では、周囲温度及び雰囲気圧からの、圧縮手段21における気体流の等エントロピ圧縮を表す。直線部分160は、流れが第1熱貯蔵手段50を通過する際の等圧冷却を表す。図の左側の曲線170は、膨張手段22において大気圧へ戻る等エントロピ膨張を表す。また、直線部分180は、流れが第2熱貯蔵手段60を通過する際に周囲温度へ戻る等圧加熱を表す。なされた仕事、従って、貯蔵した機械的仕事は、線の内側の陰影を付けた面積に等しい。もちろん、この場合も、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの幾つかの相違点を呈すると考えられる。更に、既に言及したように、サイクルの低圧部分は、大気圧より高くても低くてもよく、気体は、空気である必要はなく、低い(Tl)温度も、周囲温度より高く設定しても低く設定してもよい。
【0071】
図4・・・エネルギ貯蔵及び伝達
図4は、エネルギ貯蔵系統10’を示す。エネルギ貯蔵系統10’には、第1圧縮手段21’及び第1膨張手段22’を含む第1圧縮/膨張手段20’と、第2膨張手段121及び第2圧縮手段122を含む第2圧縮/膨張手段120と、動力入力手段40と、動力出力手段140と、第1熱貯蔵手段50’と、第2熱貯蔵手段60’と、高圧伝達手段70’、71’、72、及び73と、低圧伝達手段80’、81’、82、及び83と、が含まれる。
【0072】
第1圧縮手段21’は、低圧吸気手段23’、第1圧縮チャンバ24’、第1圧縮ピストン手段25’、及び高圧排気手段26’を含む。
第1膨張手段22’は、高圧吸気手段27’、第1膨張チャンバ28’、第1膨張ピストン手段29’、及び低圧排気手段30’を含む。
【0073】
第2膨張手段121は、低圧排気手段123、第2膨張チャンバ124、第2膨張ピストン手段125、及び高圧吸気手段126を含む。
第2圧縮手段122は、高圧排気手段127、第2圧縮チャンバ128、第2圧縮ピストン手段129、及び低圧吸気手段130を含む。
【0074】
動力入力手段40’には、エネルギ供給源41’からの機械的接続路と、第1圧縮ピストン手段25’用の駆動機構42’と、第1膨張ピストン手段29’用の駆動機構43’と、が含まれる。
【0075】
動力出力手段140には、エネルギ要求元141からの機械的接続路と、第2膨張ピストン手段125用の駆動機構142と、及び第2圧縮ピストン手段129用の駆動機構143と、が含まれる。
【0076】
第1熱貯蔵手段50’は、高圧に適した第1断熱圧力容器51’と、高圧吸気手段52’、56と、高圧排気手段54’及び55と、高温分配チャンバ57と、第1雰囲気分配チャンバ58と、第1熱貯蔵材53’と、を含む。
【0077】
第2熱貯蔵手段60’は、低圧に適した第2断熱圧力容器61’と、低圧吸気手段62’、66と、低圧排気手段64’及び65と、低温分配チャンバ67と、第2雰囲気分配チャンバ68と、第2熱貯蔵材63’と、を含む。
【0078】
第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’に充分なエネルギが貯蔵されていると仮定すると、可能な動作モードは5つのみである。
1.蓄積のみ:エネルギが動力出力手段140によって抽出されず、エネルギが動力入力手段40’によって付加されている場合、流れは、第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’への蓄積を行う。
【0079】
2.部分的に蓄積及び部分的に直接流:動力出力手段140によって抽出されるエネルギが、動力入力手段40’によって供給されるエネルギより少ない場合、流れは、圧縮/膨張手段120の動力出力要件を満たすのに充分な量が流れるように分かれ、残りの流れが第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’への蓄積を行う。これは、(1)及び(3)の組合せとして解析し得る。
【0080】
3.直接流:動力出力手段140によって抽出されるエネルギが、動力入力手段40’によって供給されるエネルギと同じ場合、ほぼ全ての流れが、第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’を迂回して、圧縮手段21’から膨張手段121まで直接通過し、更に、膨張手段22’から圧縮手段122まで直接通過する。
【0081】
4.部分的に直接流及び部分的に放出:動力出力手段140によって抽出されるエネルギが、動力入力手段40’によって供給されるエネルギより多い場合、圧縮/膨張手段20’からの流れは、(3)の場合のように系を直接通過し、また、第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’から追加の流れが引き出される。この追加の流れは、直接流と合流し、要求される動力出力と等しくなる。これは、(3)及び(5)の組合せとして解析し得る。
【0082】
5.放出のみ:動力入力手段40’によって動力が供給されない場合、圧縮/膨張手段120を駆動する全ての動力は、第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’から引き出さなければならない。
【0083】
第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’を使い果たしている場合、利用可能なオプションは、系に何らかの蓄積が追加されるまで、(1)乃至(3)のみである。
モード(1)蓄積のみ
この状況では、入力された動力は、純粋に第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’に蓄積するために用いられている。これは、図1に示す装置への蓄積を行う状況と同じである。この構成では、動力は、入力されるだけであり、従って、第2圧縮手段121及び第2膨張手段122を通る如何なる流れも考慮する必要はない。
【0084】
使用中、低圧伝達手段80’中の低圧気体は、低圧吸気手段23’を介して第1圧縮手段21’に入り、そして、第1圧縮チャンバ24’に入る。気体が第1圧縮チャンバ24’に入ると、低圧吸気手段23’は、密閉され、そして、第1圧縮ピストン手段25’が、駆動機構42’によって作動する。圧縮チャンバ24’に収容されている気体が、圧縮ピストン手段25’によって、ほぼ高圧伝達手段70’中のレベルまで圧縮されると、気体は、高圧排気手段26’を開くことによって高圧伝達手段70’に送られる。
【0085】
気体は、高圧伝達手段70’によって高温分配チャンバ57に送られる。気体は、高圧吸気手段52’を通って高温分配チャンバ57に入る。気体は、高温分配チャンバ57を出て、第1断熱圧力容器51’内に密封された第1熱貯蔵材53’を通過する。気体は、第1熱貯蔵材53’を通過する際、熱エネルギを第1熱貯蔵材53’に伝達し、第1雰囲気分配チャンバ58に入る。そして、気体は、高圧排気手段54’を通って第1雰囲気分配チャンバ58を出る。次に、気体は、高圧伝達手段71’を通過し、高圧吸気手段27’を通って第1膨張手段22’に入る。
【0086】
高圧気体は、高圧吸気手段27’を介して第1膨張手段22’に入ると、第1膨張チャンバ28’に入る。気体が第1膨張チャンバ28’に入ると、高圧吸気手段27’は、密閉され、そして、第1膨張ピストン手段29’が、駆動機構43’によって作動する。第1膨張チャンバ28’に収容されている気体が、第1膨張ピストン手段29’によってほぼ低圧伝達手段81’中のレベルまで膨張されると、気体は、低圧排気手段30’を開くことによって低圧伝達手段81’に送られる。
【0087】
気体は、低圧伝達手段81’によって第2熱貯蔵手段60’に送られる。気体は、低圧吸気手段62’を通って低温分配チャンバ67に入り、第2断熱圧力容器61’内に密封した第2熱貯蔵材63’を通過する。気体は、第2熱貯蔵材63’を通過する際、第2熱貯蔵材63’から熱エネルギを受け取り、そして、第2雰囲気分配チャンバ68に入る。気体は、低圧排気手段64’を通って第2雰囲気分配チャンバ68を出る。次に、気体は、低圧伝達手段80’を通過し、また、低圧吸気手段23’を通って第1膨張手段21’に入る。
【0088】
気体が空気であり、また、低圧を大気圧に設定する場合、通気孔90’又は91’を低圧伝達手段80’内に配置することがある。通気孔90’により、周辺の空気は、必要に応じて系に出入りして、系のエントロピの増大を防止し得る。気体が空気でない及び/又は低圧が大気圧でない場合、通気孔91’は、熱交換器93’によって安定した温度に保ち得る気体溜め92’に至る。熱交換器を用いない及び/又は気体を雰囲気に排出しない場合、系のエントロピ(従って、温度)は、継続的に増大する。
【0089】
モード(3)直接流
この状況では、入力した動力は、第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’にはさほど流れず、動力出力部を直接駆動するために用いられる。
【0090】
使用中、低圧伝達手段80’中の低圧気体は、低圧吸気手段23’を介して第1圧縮手段21’に入り、そして、第1圧縮チャンバ24’に入る。気体が第1圧縮チャンバ24’に入ると、低圧吸気手段23’は、密閉され、そして、第1圧縮ピストン手段25’は、駆動機構42’によって作動する。圧縮チャンバ24’に収容されている気体が、圧縮ピストン手段25’によってほぼ高圧伝達手段70’中のレベルまで圧縮されると、気体は、高圧排気手段26’を開くことによって高圧伝達手段70’に送られる。
【0091】
気体は、高圧伝達手段70’によって高温分配チャンバ57に送られる。気体は、高圧吸気手段52’を通って高温分配チャンバ57に入る。気体は、高温分配チャンバ57を出て高圧排気口55を通過し、高圧伝達手段72に入る。次に、気体は、高圧伝達手段72を通過し、高圧吸気手段126を通って第2膨張手段121に入る。
【0092】
高圧気体は、高圧吸気手段126を介して第2膨張手段121に入ると、第2膨張チャンバ124に入る。気体が第2膨張チャンバ124に入ると、高圧吸気手段126は、密閉され、そして、第2膨張ピストン手段125が、駆動機構142によって作動する。第2膨張チャンバ124に収容されている気体が第2膨張ピストン手段125によってほぼ低圧伝達手段82中のレベルまで膨張されると、気体は、低圧排気手段123を開くことによって低圧伝達手段82に送られる。
【0093】
気体は、低圧伝達手段82によって第2熱貯蔵手段60’に送られる。気体は、低圧吸気手段66を通って第2雰囲気分配チャンバ68に入り、低圧排気口64’を通って直に出て行く。次に、気体は、低圧伝達手段80’を通過し、また、低圧吸気手段23’を通って第1圧縮手段21’に入る。
【0094】
更に、低圧伝達手段83中の低温低圧気体は、低圧吸気手段130を介して第2圧縮手段122に入り、また、第2圧縮チャンバ128に入る。気体が第2圧縮チャンバ128に入ると、吸気手段130は、密閉され、そして、第2圧縮ピストン手段25が、駆動機構143によって作動する。第2圧縮チャンバ128に収容されている気体が、第2圧縮ピストン手段129によってほぼ高圧伝達手段73中のレベルまで圧縮されると、気体は、高圧排気手段127を開くことによって高圧伝達手段73に送られる。高圧排気手段73に入る気体の温度は、ほぼ周囲温度になっている。
【0095】
気体は、高圧伝達手段73によって第1雰囲気分配チャンバ58に送られる。気体は、高圧吸気手段56を通って第1雰囲気分配チャンバ58に入り、高圧排気54’を通って直ちに出ていく。気体は、次に、高圧伝達手段71’を通過し、高圧吸気手段27’を通って第1膨張手段22’に入る。
【0096】
高圧吸気手段27’を介して第1膨張手段22’に入る高圧気体は、第1膨張チャンバ28’に入る。気体が第1膨張チャンバ28’に入ると、高圧吸気手段27’は、密閉され、そして、第1膨張ピストン手段29’が、駆動機構43’によって作動する。第1膨張チャンバ28’に収容されている気体が第1膨張ピストン手段29’によってほぼ低圧伝達手段81’中のレベルまで膨張されると、気体は、低圧排気手段30’を開くことによって、低圧伝達手段81’に送られる。
【0097】
気体は、低圧伝達手段81’によって第2熱貯蔵手段60’に送られる。気体は、低圧吸気手段62’を通って低温分配チャンバ67に入り、低圧排気口65を通って直ちに出ていく。気体は、次に、低圧伝達手段83を通過し、また、低圧吸気手段130を通って第2圧縮手段122に入る。
【0098】
入力動力が出力動力と等しい場合、第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’を通る流れは、最少になり、第1圧縮手段21’と第2膨張手段121との間、更に、第1膨張手段22’と第2圧縮手段122との間には、流路が、事実上、直接存在する。この「流体の伝達」におけるあらゆる損失が、廃熱として具現する可能性があり、基準温度を適正レベルに維持するために、熱交換手段94で高圧伝達手段71’を冷却しなければならないことがある。これは、以下に述べる低圧伝達手段80’上に設ける熱交換手段への追加である。
【0099】
気体が空気であり、また、低圧を大気圧に設定する場合、通気孔90’又は91’を低圧伝達手段80’内に配置することがある。通気孔90’により、周辺の空気は、必要に応じて系に出入りして、系のエントロピの増大を防止し得る。気体が空気でない及び/又は低圧が大気圧でない場合、通気孔91’は、熱交換器93’によって安定した温度に保ち得る気体溜め92’に至る。熱交換器を用いない及び/又は気体を雰囲気に排出しない場合、系のエントロピ(従って、温度)は、継続的に増大する。
【0100】
モード(5)放出のみ
この状況では、動力は、全て第1及び第2熱貯蔵手段50’及び60’から引き出される。これは、図1の装置の放出を行う状況と同じである。しかしながら、この構成では、動力は、出力されるだけであり、従って、第1圧縮手段21’及び第1膨張手段22’を通る任意の流れを考慮する必要はない。この動力を供給するのに充分なエネルギが貯蔵されていると仮定すると、次のように解析し得る。
【0101】
使用中、高圧伝達手段72中の高圧気体は、高圧吸気手段126を介して第2膨張手段121に入り、また、第2膨張チャンバ124に入る。気体が第2膨張チャンバ124に入ると、高圧吸気手段126は、密閉され、そして、第2膨張ピストン手段125が、駆動機構142によって作動する。第2膨張チャンバ124に収容されている気体が膨張ピストン手段125によってほぼ低圧伝達手段82中のレベルまで膨張すると、気体は、高圧排気手段123を開くことによって低圧伝達手段82に送られる。
【0102】
気体は、低圧伝達手段82によって第2熱貯蔵手段60’に送られる。気体は、高圧吸気手段66を通って第2雰囲気分配チャンバ68に入り、第2断熱圧力容器61’内に密封した第2熱貯蔵材63’を通過する。気体は、第2熱貯蔵材63’を通過する際、第2熱貯蔵材63’に熱エネルギを伝達し、低圧排気手段65を通って低温分配チャンバ67を出る。次に、気体は、低圧伝達手段83を通過し、低圧吸気手段130を通って第2圧縮手段122に入る。
【0103】
低圧気体は、低圧吸気手段130を介して第2圧縮手段122に入ると、第2圧縮チャンバ128に入る。気体が第2圧縮チャンバ128に入ると、低圧吸気手段130は、密閉され、そして、第2圧縮ピストン手段129が、駆動機構143によって作動する。第2圧縮チャンバ128に収容されている気体が、第2圧縮ピストン手段129によってほぼ高圧伝達手段73中のレベルまで圧縮されると、気体は、高圧排気手段127を開くことによって高圧伝達手段73に送られる。
【0104】
気体は、高圧伝達手段73によって第1熱貯蔵手段50’に送られる。気体は、高圧吸気手段56を通って第1雰囲気分配チャンバ58に入り、第1断熱圧力容器51’内に密封された第1熱貯蔵材53’を通過する。気体は、第1熱貯蔵材53’を通過する際、第1熱貯蔵材53’から熱エネルギを受け取り、高圧排気手段55を通って高温分布手段57を出る。次に、気体は、高圧伝達手段72を通過し、また、高圧吸気手段126を通って第2膨張手段121に入る。
【0105】
気体が空気であり、また、低圧を大気圧に設定する場合、通気孔90’又は91’を低圧伝達手段80’内に配置することがある。通気孔90’により、周辺の空気は、必要に応じて系に出入りして、系のエントロピの増大を防止し得る。気体が空気でない及び/又は低圧が大気圧でない場合、通気孔91’は、熱交換器93’によって安定した温度に保ち得る気体溜め92’に至る。熱交換器を用いない及び/又は気体を雰囲気に排出しない場合、系のエントロピ(従って、温度)は、継続的に増大する。
【0106】
図5
図5は、エネルギ貯蔵系統210を示す。エネルギ貯蔵系統210は、圧縮手段221、第1膨張手段222、第2膨張手段223、第3膨張手段224、第4膨張手段225、動力入出力手段241、242、243、244、245、熱貯蔵手段250、第1熱交換手段200、第2熱交換手段201、第3熱交換手段202、第4熱交換手段203、高圧伝達手段270、271、中圧伝達手段272、273、274、275、276、277、及び低圧伝達手段278、280を含む。この図では、圧縮機及び複数の膨張手段221、222、223、224、225は、別個の動力入出力手段241、242、243、244、245を有する別々のユニットとして示す。動作中、これらのユニットは、全て機械的に連結され、従って、1つの共通の動力入出力手段により動作することが望ましい場合がある。
【0107】
圧縮手段221は、圧縮手段に関して上述した方法と同様に動作する。上記例のように、圧縮手段221は、サイクルの放出フェーズにおいて、逆に動き、膨張手段として動作するように構成される。これに対する解決策として、例えば、「別個の膨張機をサイクルの放出部分用に設け、気体流は適切に切り換える」等、他の選択肢がある。
【0108】
第1乃至第4の複数の膨張手段222、223、224、225は、4段にわたって圧力を低下させる点を除き、膨張手段に関して上述した方法と同様に動作する。段の数は、変えることができるが、その数は、機械的損失及び全体的な複雑さに依存することがある。上記例のように、膨張手段222、223、224、225は、サイクルの放出フェーズにおいて逆に動き、圧縮手段として動作するように構成される。これに対する解決策として、例えば、「別個の圧縮機をサイクルの放出部分用に設け、流れは適切に切り換える」等の他の選択肢がある。
【0109】
動力入出力手段241、242、243、244、245は、動力入出力手段に関して上述した方法と同様に動作する。エネルギ供給源/要求元は、動力入力モードで用いる場合、エネルギ供給源であり、動力出力モードで用いる場合、エネルギ要求元である。
【0110】
熱貯蔵手段250は、熱貯蔵手段に関して上述した方法と同様に動作し、高圧に適した断熱圧力容器251及び熱貯蔵材253を含む。
複数の熱交換(第1乃至第4)手段200、201、202、203は、熱交換器通過時、流れが周囲温度又は基準温度に戻るように構成されている。このことは、流れの進行方向にかかわらず適用された。段の数は、膨張手段の数により変わる。
【0111】
中圧伝達手段については、以下の通りである。272の圧力は、273の圧力に等しく(熱交換器に起因する任意の圧力差異を除く)、274、275、276、277より大きい。274の圧力は、275の圧力に等しく(熱交換器に起因する任意の圧力差異を除く)、276、277より大きい。また、276の圧力は、277の圧力に等しい(熱交換器に起因する任意の圧力差異を除く)。
【0112】
系に蓄積する場合、低圧伝達手段280中の低圧気体は、圧縮手段221に入り、ほぼ高圧伝達手段270中のレベルまで圧縮される。この圧縮は、動力入出力手段241から入力される動力を必要とする。気体は、高圧伝達手段270に送られ、そして、熱貯蔵手段250に入る。気体は、第1断熱圧力容器251内に密封した熱貯蔵材253を通過する。気体は、熱貯蔵材253を通過する際、熱貯蔵材253に熱エネルギを伝達し、そして、熱貯蔵手段250から高圧伝達手段271まで通過する。
【0113】
気体は、第1膨張手段222に入り、中圧伝達手段272の圧力まで或る程度膨張する。これにより、動力入出力手段242へ動力を出力する。そして、気体は、熱交換手段200を通過し、そこで熱エネルギを受け取り、その温度が、ほぼ周囲温度まで上がる。気体は、熱交換手段200を出て中圧伝達手段273に入る。
【0114】
気体は、第2膨張手段223に入り、中圧伝達手段274の圧力まで或る程度膨張する。これにより、動力入出力手段243に動力を出力する。そして、気体は、熱交換手段201を通過し、そこで熱エネルギを受け取り、その温度が、ほぼ周囲温度まで上がる。気体は、熱交換手段201を出て中圧伝達手段275に入る。
【0115】
気体は、第3膨張手段224に入り、中圧伝達手段276の圧力まで或る程度膨張する。これにより、動力入出力手段244へ動力を出力する。そして、気体は、熱交換手段202を通過し、そこで熱エネルギを受け取り、その温度が、ほぼ周囲温度まで上がる。気体は、熱交換手段202を出て中圧伝達手段277に入る。
【0116】
気体は、第4膨張手段224に入り、低圧伝達手段278の圧力まで或る程度膨張する。これにより、動力入出力手段245に動力を出力する。そして、気体は、熱交換手段203を通過し、そこで熱エネルギを受け取り、その温度が、ほぼ周囲温度まで上がる。気体は、熱交換手段203を出て低圧伝達手段280に入る。
【0117】
このプロセスは、熱貯蔵手段250へ完全に蓄積する(熱貯蔵材253が全て熱くなる)まで実行でき、その後は、それ以上エネルギを系に貯蔵できない。放出するには、プロセスを逆転し、圧縮手段221を膨張機として動作させ、複数の膨張手段222、223、224、225を圧縮機として動作させる。系を通る流れは、逆転し、また、一旦系が放出すると、系全体の温度は、ほぼ開始時に戻る。
【0118】
気体が空気であり、低圧を大気圧に設定する場合、通気孔290又は291を低圧伝達手段280内に配置することがある。通気孔290により、周辺の空気は、必要に応じて系に出入りして、系のエントロピの増大を防止し得る。気体が空気でない及び/又は低圧が大気圧でない場合、通気孔291は、熱交換器293によって安定した温度に保ち得る気体溜め292に至る。熱交換器を用いない及び/又は気体を雰囲気に排出しない場合、系のエントロピ(従って、温度)は、継続的に増大する。
【0119】
図7・・・図5の系への蓄積
図7は、蓄積フェーズにおけるエネルギ貯蔵器210の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図の右側の曲線151は、本例では、周囲温度及び雰囲気圧からの圧縮手段221における気体流の等エントロピ圧縮を表す。直線部分161は、流れが熱貯蔵手段250を通過する際の等圧冷却を表す。図の左側の曲線171は、膨張手段222、223、224、225において大気圧へ戻る一連の等エントロピ膨張を表す。また、直線部分181は、流れが一連の熱交換手段200、201、202、203を通過する際に周囲温度へ戻る等圧加熱を表す。膨張手段の数(本例では4つ)及び熱交換手段の数(本例では4つ)が増えれば増えるほど、膨張は、実質的に更に等温となる。蓄積中になされた仕事は、線の内側の面積に等しい。もちろん、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの更に幾つかの相違点を呈する可能性がある。
【0120】
図8・・・図5の系からの放出
図8は、放出フェーズにおけるエネルギ貯蔵器250の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図の左側の曲線171’は、大気圧から始まる膨張手段222、223、224、225における一連の等エントロピ圧縮を表す。直線部分181’は、流れが一連の熱交換手段200、201、202、203を通過する際に周囲温度へ戻る等圧冷却を表す。直線部分161’は、流れが熱貯蔵手段250を通過する際の等圧加熱を表す。図の右側の曲線151’は、本例では、圧縮手段221中の気体流の周囲温度及び雰囲気圧への等エントロピ膨張を表す。膨張手段の数(本例では4つ)及び熱交換手段の数(本例では4つ)が増えれば増えるほど、圧縮は、実質的に更に等温となる。放出中になされた仕事は、線の内側の面積に等しいが、これは、膨張及び圧縮が極めて等温に近くない限り、系への蓄積を行うために用いた仕事より少ない。もちろん、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの更に幾つかの相違点を呈する可能性がある。
【0121】
図11・・・図5の装置におけるエネルギ損失を示すP‐V図
エネルギ貯蔵の際になされた仕事と系によって回収された仕事の差は、陰影を付けた面積191に等しい。これは、他の関連要因がない限り、図1及び2に示す複合系が、常により効率的であることを示す。
【0122】
図6
図6は、エネルギ貯蔵系統310を示す。エネルギ貯蔵系統310は、第1圧縮手段321、第2圧縮手段322、第3圧縮手段323、第4圧縮手段324、膨張手段325、動力入出力手段341、342、343、344、345、熱貯蔵手段350、第1熱交換手段300、第2熱交換手段301、第3熱交換手段302、第4熱交換手段303、高圧伝達手段378、379、中圧伝達手段372、373、374、375、376、377、及び低圧伝達手段371、380を含む。この図では、圧縮機及び複数の膨張手段321、322、323、324、325は、別々の動力入出力手段341、342、343、344、345を有する別々のユニットとして示す。動作時、これらのユニットは、全て機械的に連結され、従って、1つの共通の動力入出力手段により動作することが望ましい場合がある。
【0123】
複数の圧縮手段321、322、323、324は、4段で圧力を引き上げる点を除き、圧縮手段に関して上述した方法と同様に動作する。段の数は、変更し得るが、その数は、機械的な損失及び全体的な複雑さに依存すると考えられる。上記例のように、圧縮手段321、322、323、324は、サイクルの放出フェーズにおいて逆に動き、膨張手段として動作するように構成される。これに対する解決策として、例えば、「別個の膨張機をサイクルの放出部分用に設け、気体流は適切に切り換える」等の他の選択肢がある。
【0124】
膨張手段325は、膨張手段に関して上述した方法と同様に動作する。上記例のように、膨張手段325は、サイクルの放出フェーズにおいて逆に動き、圧縮手段として動作するように構成される。これに対する解決策として、例えば、「別個の圧縮機をサイクルの放出部分用に設け、流れは適切に切り換える」等の他の選択肢がある。
【0125】
動力入出力手段341、342、343、344、345は、動力入出力手段に関して上述した方法と同様に動作する。エネルギ供給源/要求元は、動力入力モードで用いる場合、エネルギ供給源であり、動力出力モードで用いる場合、エネルギ要求元である。
【0126】
熱貯蔵手段350は、熱貯蔵手段に関して上述した方法と同様に動作し、低圧に適した断熱圧力容器351及び熱貯蔵材353を含む。
第1乃至第4の複数の熱交換手段300、301、302、303は、熱交換器通過時、流れが周囲温度又は基準温度に戻るように構成されている。このことは、流れの進行方向に係わらず適用された。段の数は、膨張手段の数により変わる。
【0127】
中圧伝達手段については、以下の通りである。372の圧力は、373の圧力に等しく(熱交換器に起因する任意の圧力差異を除く)、374、375、376、377より小さい。374の圧力は、375の圧力に等しく(熱交換器に起因する任意の圧力差異を除く)、376、377より小さい。また、376の圧力は、377の圧力に等しい(熱交換器に起因する任意の圧力差異を除く)。
【0128】
系への蓄積を行うには、低圧伝達手段371中の低圧気体は、第1圧縮手段321に入り、中圧伝達手段372中の圧力まで或る程度圧縮される。これには、動力入出力手段341からの動力の入力を必要とする。そして、気体は、熱交換手段300を通過し、そこで熱エネルギを失い、その温度は、ほぼ周囲温度まで下がる。気体は、熱交換手段300を出て中圧伝達手段373に入る。
【0129】
気体は、第2圧縮手段322に入り、中圧伝達手段374中の圧力まで或る程度圧縮される。これには、動力入出力手段342からの動力の入力を必要とする。そして、気体は、熱交換手段301を通過し、そこで熱エネルギを失い、その温度は、ほぼ周囲温度まで下がる。気体は、熱交換手段301を出て中圧伝達手段375に入る。
【0130】
気体は、第3圧縮手段323に入り、中圧伝達手段376中の圧力まで或る程度圧縮される。これには、動力入出力手段343からの動力の入力を必要とする。そして、気体は、熱交換手段302を通過し、そこで熱エネルギを失い、その温度は、ほぼ周囲温度まで下がる。気体は、熱交換手段302を出て中圧伝達手段377に入る。
【0131】
気体は、第4圧縮手段324に入り、高圧伝達手段378中の圧力まで或る程度圧縮される。これには、動力入出力手段344からの動力の入力を必要とする。そして、気体は、熱交換手段303を通過し、そこで熱エネルギを失い、その温度は、ほぼ周囲温度まで下がる。気体は、熱交換手段303を出て高圧伝達手段379に入る。
【0132】
気体は、膨張手段325に入り、ほぼ低圧伝達手段380中のレベルまで膨張する。この膨張により、動力入出力手段345に動力を出力する。気体は、低圧伝達手段380に送られ、熱貯蔵手段350に入る。気体は、第1断熱圧力容器351内に密封した熱貯蔵材353を通過する。気体は、熱貯蔵材353を通過する際に熱貯蔵材353から熱エネルギを受け取り、そして、熱貯蔵手段350から低圧伝達手段371まで通過する。
【0133】
このプロセスは、熱貯蔵手段350に完全に蓄積する(熱貯蔵材353が全て冷える)まで実行でき、その後は、それ以上エネルギを系に貯蔵できない。放出するには、プロセスを逆転し、膨張手段325は、圧縮機として動作し、複数の圧縮手段321、322、323、324は、膨張機として動作する。系の流れは、逆転され、また、一旦系が放出すると、系全体の温度は、ほぼ開始時に戻る。
【0134】
気体が空気であり、低圧を大気圧に設定する場合、通気孔390又は391を低圧伝達手段380内に配置することがある。通気孔390により、周辺の空気は、必要に応じて系に出入りして、系のエントロピの増大を防止し得る。気体が空気でない及び/又は低圧が大気圧でない場合、通気孔391は、熱交換器393によって安定した温度に保ち得る気体溜め392に至る。熱交換器を用いない及び/又は気体を雰囲気に排出しない場合、系のエントロピ(従って、温度)は、継続的に増大する。
【0135】
図9・・・図6の系への蓄積
図9は、蓄積フェーズにおけるエネルギ貯蔵器310の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図の右側の曲線152は、本例では、周囲温度及び雰囲気圧からの圧縮手段321、322、323、324における気体流の一連の等エントロピ圧縮を表す。直線部分162は、流れが熱交換手段300、301、302、303を通過する際の等圧冷却を表す。図の左側の曲線172は、膨張手段325において大気圧へ戻る等エントロピ膨張を表す。また、直線部分182は、流れが熱貯蔵手段350を通過する際に周囲温度へ戻る等圧加熱を表す。圧縮手段の数(本例では4つ)及び熱交換手段の数(本例では4つ)が増えれば増えるほど、圧縮は、実質的に更に等温となる。蓄積時になされた仕事は、線の内側の面積に等しい。もちろん、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの更に幾つかの相違点を呈する可能性がある。
【0136】
図10・・・図6の系からの放出
図10は、放出フェーズにおけるエネルギ貯蔵器310の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。直線部分182’は、流れが熱貯蔵手段360を通過する際の周囲温度からの等圧冷却を表す。図の左側の曲線172は、膨張ピストン手段325における等エントロピ圧縮を表す。図の右側の曲線152は、本例では、周囲温度及び雰囲気圧への圧縮手段321、322、323、324における気体流の一連の等エントロピ膨張を表す。また、直線部分162は、流れが熱交換手段300、301、302、303を通過する際の等圧加熱を表す。圧縮手段の数(本例では4つ)及び熱交換手段の数(本例では4つ)が増えるほど、膨張は、実質的に更に等温になる。放出中になされた仕事は、線の内側の面積に等しいが、これは、膨張及び圧縮が極めて等温に近くない限り、系への蓄積を行うために用いた仕事より小さい。もちろん、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの更に幾つかの相違点を呈する可能性がある。
【0137】
図12・・・図6の装置におけるエネルギ損失を示すP‐V図
エネルギ貯蔵の際になされた仕事と系によって回収された仕事の差は、陰影を付けた面積192に等しい。これは、ほぼ等温の圧縮又は膨張を実現するか、他の関連要因がない限り、図1及び2に示す複合系が、常に最も効率的な系であることを示す。
【0138】
図13・・・放出段階で熱を追加した場合の図6の系での蓄積/放出
図13は、エネルギ貯蔵器310の、放出フェーズで熱を追加した場合の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。
【0139】
この系統への蓄積方法の説明は、図9で網羅している。
この状況における違いは、放出手順である。直線部分184’は、気体流が第2熱貯蔵手段360を通過する際の、本例では、周囲温度及び雰囲気圧からの等圧冷却を表す。図の左側の曲線174’は、膨張手段325における等エントロピ圧縮を表す。直線部分164’は、流れが追加の熱を受け取り周囲温度プラスになる際の等圧加熱を表す。また、図の右側の曲線154’は、膨張手段(前もって図示していないが、膨張手段325と同様)中の気体が大気圧へ戻る等エントロピ膨張を表す。もちろん、実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの幾つかの相違点を呈すると考えられる。
【0140】
図14・・・追加した熱に起因する追加のエネルギ利得を示すP‐V図
図14では、回収可能な仕事を陰影付き面積194として示す。また、ここから、上及び下の温度を慎重に選択すれば、回収するエネルギのレベルを増加させ、系への蓄積を行うのに必要なレベルより大きくすることが可能であることが分かる。
【0141】
図15・・・ハイブリッド型高温系
図15は、図5で既に説明したエネルギ貯蔵系統210に基づくエネルギ貯蔵系統210’を示す。エネルギ貯蔵器系統210’は、圧縮手段221’、第1膨張手段222’、第2膨張手段223’、第3膨張手段224’、第4膨張手段225’、動力入出力手段241’、242’、243’、244’、245’、熱貯蔵手段250’、第1熱交換手段200’、第2熱交換手段201’、第3熱交換手段202’、第4熱交換手段203’、高圧伝達手段270’、271’、中圧伝達手段272’、273’、274’、275’、276’、277’、及び低圧伝達手段278’、280’を含む。しかしながら、系統210とは対照的に、熱交換手段200’、201’、202’、203’は、大気にさらされず、その代わり、対向流型熱交換器401を介して、蓄冷手段400に熱結合する。
【0142】
各膨張手段222’、223’、224’、225’の膨張比が同一に保たれる場合、各最低温度が同じであることから、必要な蓄冷器は、(図示するように)一つだけである。この構成では、蓄冷手段400は、貯蔵器に温度勾配が存在するように構成され、最も高温の材料が貯蔵器の最上部にあると仮定する。蓄冷手段400は、冷水貯蔵器であってよい。
【0143】
図17・・・図15のハイブリッド型高温系からの放出
図7は、蓄積フェーズにおけるエネルギ貯蔵器210の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図7は、更に、図15に示すハイブリッド型高温系統210’への蓄積に関しても同じであるが、直線部分181は、流れが一連の熱交換手段200’、201’、202’、203’を通って蓄冷手段400から熱を受け取る際の等圧加熱を表す。気体の温度がどこまで上げられるかは、蓄冷手段400の温度及び熱交換器200’、201’、202’、203’のサイズに依存する。膨張比が高いほど、蓄冷手段400の温度は、低くなる。
【0144】
図17は、放出フェーズにおけるハイブリッド型系統210’の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図の左側の曲線171’’は、膨張手段222’、223’、224’、225’において、大気圧から始まる一連の等エントロピ圧縮を表す。直線部分181’’は、流れが、蓄冷手段400に接続した一連の熱交換手段200’、201’、202’、203’を通過する際の等圧冷却を表す。直線部分161’’は、流れが熱貯蔵手段250’を通過する際の等圧加熱を表す。また、図の右側の曲線151’’は、圧縮手段221’における気体流の、本例では、周囲温度及び雰囲気圧への等エントロピ膨張を表す。実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの更に幾つかの相違点を呈する可能性がある。
【0145】
図16・・・ハイブリッド型低温系
図16は、図6で既に説明したエネルギ貯蔵系統310に基づくエネルギ貯蔵系統310’を示す。エネルギ貯蔵系統310’は、第1圧縮手段321’、第2圧縮手段322’、第3圧縮手段323’、第4圧縮手段324’、膨張手段325’、動力入出力手段341’、342’、343’、344’、345’、熱貯蔵手段350’、第1熱交換手段300’、第2熱交換手段301’、第3熱交換手段302’、第4熱交換手段303’、高圧伝達手段378’、379’、中圧伝達手段372’、373’、374’、375’、376’、377’、及び低圧伝達手段371’、380’を含む。しかしながら、系統310とは対照的に、熱交換手段300’、301’、302’、303’は、雰囲気にさらされず、その代わり、対向流型熱交換器411を介して、蓄熱手段410に熱結合する。
【0146】
各圧縮手段322’、323’、324’、325’の膨張比が同一に保たれる場合、各ピーク温度が同じであることから、必要な蓄熱器は、(図示するように)一つだけである。この構成では、蓄熱手段410は、貯蔵器に温度勾配が存在するように構成され、最も高温の材料が貯蔵器の最上部にあると仮定する。蓄熱手段410は、温水貯蔵器であってよい。
【0147】
図18・・・図16のハイブリッド型低温系統からの放出
図9は、蓄積フェーズにおけるエネルギ貯蔵器310の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。図9は、更に、ハイブリッド型低温系への蓄積に関しても同じであるが、直線部分162は、流れが一連の熱交換手段300’、301’、302’、303’を通って蓄熱手段410に熱を伝達する際の等圧冷却を表す。気体の温度がどこまで下がるかは、蓄熱手段の温度及び熱交換手段300’、301’、302’、303’のサイズに依存する。圧縮比が高いほど、蓄熱手段410の温度は、高くなる。
【0148】
図18は、放出フェーズにおけるハイブリッド型系統310’の理想的P‐V図(体積対圧力のグラフ)を示す。直線部分182’’は、流れが熱貯蔵手段350’を通過する際の周囲温度からの等圧冷却を表す。図の左側の曲線172’’は、膨張ピストン手段325’における等エントロピ圧縮を表す。図の右側の曲線152’’は、圧縮手段321’、322’、323’、324’における気体流の一連の等エントロピ膨張を表す。また、直線部分162’’は、流れが、蓄熱手段410に接続した熱交換手段300’、301’、302’、303’を通過する際の等圧加熱を表す。実際のP‐V図は、実際のサイクル内で起こる不可逆過程により、理想的サイクルからの更に幾つかの相違点を呈する可能性がある。
【0149】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) エネルギを貯蔵するための装置であって、
気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段と、
前記圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段と、
前記圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための第1熱貯蔵手段と、
前記第1熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段と、
前記膨張チャンバ手段内に受け入れられた気体を膨張させるための膨張ピストン手段と、
前記膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための第2熱貯蔵手段と
を含む装置。
【0150】
(2) 技術的思想(1)記載の装置において、
前記気体は、大気、窒素、又は希ガスである装置。
(3) 技術的思想(1)又は(2)に記載の装置において、
前記装置は、系の基準圧力が大気圧より低い装置。
【0151】
(4) 技術的思想(1)又は(2)に記載の装置において、
前記装置は、系の基準圧力が大気圧より高い装置。
(5) 技術的思想(1)〜(4)のいずれか一項に記載の装置において、
前記第1及び第2熱貯蔵手段の内の少なくとも1つには、気体を受け入れるためのチャンバ及び前記チャンバに収納された粒状物質が含まれる装置。
【0152】
(6) 技術的思想(5)記載の装置において、
前記粒状物質には、通気性構造を形成するために詰め込まれた固体粒子及び/又は繊維が含まれる装置。
【0153】
(7) 技術的思想(6)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は熱慣性が小さい装置。
(8) 技術的思想(6)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は金属性である装置。
【0154】
(9) 技術的思想(6)記載の装置において、
前記固体粒子は鉱物又はセラミックを含む装置。
(10) 技術的思想(1)〜(9)のいずれか一項に記載の装置は、更に、
前記第1及び第2熱貯蔵手段に貯蔵したエネルギを回収するための生成手段を含む装置。
【0155】
(11) 技術的思想(10)記載の装置において、
前記生成手段は、前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の内の一方又は双方に結合されている装置。
【0156】
(12) 技術的思想(1)〜(11)のいずれか一項に記載の装置において、
前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の内の一方又は双方は、放出時において逆に動作するように構成可能である装置。
【0157】
(13) 機械的動力を入力装置から出力装置に伝達するための装置において、
エネルギ貯蔵部であって、
気体を受け入れるための第1圧縮チャンバ手段と、
前記第1圧縮チャンバ手段に収容された気体を圧縮するための第1圧縮ピストン手段と、
前記第1圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための第1熱貯蔵手段と、
前記第1熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための第1膨張チャンバ手段と、
前記第1膨張チャンバ手段内に受け入れられた気体を膨張させるための第1膨張ピストン手段と、
前記第1膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための第2熱貯蔵手段と
を含む前記エネルギ貯蔵部と、
熱機関部であって、
前記第2熱貯蔵手段及び第1熱貯蔵手段と流体で連通する第2圧縮チャンバ手段と、
前記第2圧縮チャンバ手段内に受け入れられた気体を圧縮して前記第1熱貯蔵チャンバ手段へ移送するための第2圧縮ピストン手段と、
前記第1熱貯蔵手段及び前記第2熱貯蔵手段と流体で連通する第2膨張チャンバ手段と、
前記第2膨張チャンバ内に受け入れられた前記第1熱貯蔵手段からの気体を膨張させるための第2膨張ピストン手段と
を含む前記熱機関部と
を備える装置。
【0158】
(14) 技術的思想(13)記載の装置において、
エネルギは、前記系統から出力される前記動力が前記供給される動力より少ない場合、第1動作モードで貯蔵されると共に、前記系統から要求される前記動力が前記供給される動力を上回った場合、第2動作モードで自動的に回収される装置。
【0159】
(15) 技術的思想(14)記載の装置において、
前記第1と第2の動作モード間の変更は、自動的に行われるように構成されている装置。
【0160】
(16) 技術的思想(15)記載の装置において、
前記装置は、入出力動力の不均衡に対し自動的に反応するように構成されている装置。
(17) 技術的思想(15)又は(16)記載の装置において、
前記系統は、前記供給される動力と使われる動力とが平衡している場合、前記第1及び第2熱貯蔵手段を自動的に迂回するように構成されている装置。
【0161】
(18) 技術的思想(13)〜(17)のいずれか一項に記載の装置において、
前記気体は、大気、窒素、又は希ガスである装置。
(19) 技術的思想(13)〜(18)のいずれか一項に記載の装置において、
前記装置は、系の基準圧力が大気圧より低い装置。
【0162】
(20) 技術的思想(13)〜(19)のいずれか一項に記載の装置において、
前記装置は、系の基準圧力が大気圧より高い装置。
(21) 技術的思想(13)〜(20)のいずれか一項に記載の装置において、
前記第1及び第2熱貯蔵手段の内の少なくとも1つには、気体を受け入れるためのチャンバ及び前記チャンバ内に収納された粒状物質が含まれる装置。
【0163】
(22) 技術的思想(21)記載の装置において、
前記粒状物質には、通気性構造を形成するために詰め込まれた固体粒子及び/又は繊維が含まれる装置。
【0164】
(23) 技術的思想(22)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は熱慣性が小さい装置。
(24) 技術的思想(22)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は金属性である装置。
【0165】
(25) 技術的思想(22)記載の装置において、
前記固体粒子は鉱物又はセラミックを含む装置。
(26) エネルギを貯蔵するための装置であって、
気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段と、
前記圧縮チャンバ手段内に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段と、
前記圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するための熱貯蔵手段と、
前記熱貯蔵手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段と、
前記膨張チャンバ手段内に受け入れられた気体を膨張させるための膨張ピストン手段と、
前記膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための熱交換手段と
を含む装置。
【0166】
(27) 技術的思想(26)記載の装置において、
前記熱交換手段は、膨張時、前記膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するように構成されている装置。
【0167】
(28) 技術的思想(27)記載の装置において、
前記熱交換手段は、前記膨張ピストン手段によって実施される別々の膨張ステップ間の1つ又は複数の段階において、前記膨張ピストン手段によって膨張した気体に対し熱エネルギを伝達するように構成されている装置。
【0168】
(29) 技術的思想(28)記載の装置において、
前記膨張チャンバ手段は、直列に接続された複数の膨張チャンバを含み、各膨張チャンバは、それぞれの膨張ピストン手段及びそれに対応する熱交換手段を有している装置。
【0169】
(30) 技術的思想(26)〜(29)のいずれか一項に記載の装置は、更に、
前記膨張ピストン手段によって膨張した気体に対し熱エネルギを伝達するため、前記熱交換手段に熱結合された蓄冷手段を含む装置。
【0170】
(31) 技術的思想(26)〜(30)のいずれか一項に記載の装置において、
前記気体は、大気、窒素、又は希ガスである装置。
(32) 技術的思想(26)〜(31)のいずれか一項に記載の装置において、
前記装置は、系の基準圧力が大気圧より低い装置。
【0171】
(33) 技術的思想(26)〜(32)のいずれか一項に記載の装置において、
前記装置は、系の基準圧力が大気圧より高い装置。
(34) 技術的思想(26)〜(33)のいずれか一項に記載の装置において、
前記熱貯蔵手段には、気体を受け入れるためのチャンバ及び前記チャンバ内に収納された粒状物質が含まれる装置。
【0172】
(35) 技術的思想(34)記載の装置において、
前記粒状物質には、通気性構造を形成するために詰め込まれた固体粒子及び/又は繊維が含まれる装置。
【0173】
(36) 技術的思想(35)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は熱慣性が小さい装置。
(37) 技術的思想(35)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は金属性である装置。
【0174】
(38) 技術的思想(35)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は鉱物又はセラミックを含む装置。
(39) 技術的思想(26)〜(38)のいずれか一項に記載の装置は、更に、
前記熱貯蔵手段内に貯蔵したエネルギを回収するための生成手段を含む装置。
【0175】
(40) 技術的思想(39)記載の装置において、
前記生成手段は、前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の内の一方又は双方に結合されている装置。
【0176】
(41) 技術的思想(26)〜(40)のいずれか一項に記載の装置において、
前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の内の一方又は双方は、放出時において逆に動作するように構成されている装置。
【0177】
(42) エネルギを貯蔵するための装置であって、
気体を受け入れるための圧縮チャンバ手段と、
前記圧縮チャンバ手段内に収容された気体を圧縮するための圧縮ピストン手段と、
前記圧縮ピストン手段によって圧縮された気体を冷却するための熱交換手段と、
前記熱交換手段の作用を受けた後の気体を受け入れるための膨張チャンバ手段と、
前記膨張チャンバ手段内に受け入れられた気体を膨張させるための膨張ピストン手段と、
前記膨張ピストン手段によって膨張した気体に熱エネルギを伝達するための熱貯蔵手段と
を含む装置。
【0178】
(43) 技術的思想(42)記載の装置において、
前記熱交換手段は、圧縮時、前記圧縮ピストン手段によって圧縮された気体を冷却するように構成されている装置。
【0179】
(44) 技術的思想(43)記載の装置において、
前記熱交換手段は、前記圧縮ピストン手段によって実施される別々の圧縮ステップ間の1つ又は複数の段階において、前記圧縮ピストン手段によって圧縮された気体を冷却するように構成されている装置。
【0180】
(45) 技術的思想(44)記載の装置において、
前記圧縮チャンバ手段は、直列に接続された複数の圧縮チャンバを含み、各圧縮チャンバは、それぞれの圧縮ピストン手段及びそれに対応する熱交換手段を有している装置。
【0181】
(46) 技術的思想(42)〜(45)のいずれか一項に記載の装置は、更に、
前記圧縮ピストン手段によって圧縮された気体から熱エネルギを受け入れて貯蔵するため、前記熱交換手段に対し熱結合された蓄熱手段を含む装置。
【0182】
(47) 技術的思想(42)〜(46)のいずれか一項に記載の装置において、
前記気体は大気、窒素、又は希ガスである装置。
(48) 技術的思想(42)〜(47)のいずれか一項に記載の装置において、
前記装置は系の基準圧力が大気圧より低い装置。
【0183】
(49) 技術的思想(42)〜(48)のいずれか一項に記載の装置において、
前記装置は系の基準圧力が大気圧より高い装置。
(50) 技術的思想(42)〜(49)のいずれか一項に記載の装置において、
前記熱貯蔵手段には、気体を受け入れるためのチャンバ、及び前記チャンバ内に収納された粒状物質が含まれる装置。
【0184】
(51) 技術的思想(50)記載の装置において、
前記粒状物質には、通気性構造を形成するために詰め込まれた固体粒子及び/又は繊維が含まれる装置。
【0185】
(52) 技術的思想(51)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は熱慣性が小さい装置。
(53) 技術的思想(51)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は金属性である装置。
【0186】
(54) 技術的思想(51)記載の装置において、
前記固体粒子及び/又は繊維は鉱物又はセラミックを含む装置。
(55) 技術的思想(42)〜(54)のいずれか一項に記載の装置は、更に、
前記熱貯蔵手段内に貯蔵されたエネルギを回収するための生成手段を含む装置。
【0187】
(56) 技術的思想(55)記載の装置において、
前記生成手段は、前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の内の一方又は双方に結合されている装置。
【0188】
(57) 技術的思想(42)〜(56)のいずれか一項に記載の装置において、
前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の内の一方又は双方は、放出時において逆に動作するように構成されている装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ貯蔵装置によりエネルギを貯蔵するための方法であって、
前記エネルギ貯蔵装置の圧縮チャンバ内に気体を受け入れる工程と、
圧縮ピストン手段を用いて、前記圧縮チャンバ内に受け入れられた空気を圧縮する工程と、
前記エネルギ貯蔵装置の第1熱貯蔵手段内に、圧縮された空気から熱エネルギを伝達し、貯蔵する工程と、
前記第1熱貯蔵手段の作用を受けた後、前記エネルギ貯蔵装置の膨張チャンバに気体を受け入れる工程と、
膨張ピストン手段を用いて、前記膨張チャンバ内に受け入れられた気体を膨張させる工程と、
前記エネルギ貯蔵手段の第2熱貯蔵手段内において、膨張した気体に熱エネルギを伝達する工程とを含み、
前記気体からの熱エネルギの伝達又は前記気体への熱エネルギの伝達を目的として、前記第1及び第2熱貯蔵手段のそれぞれを前記気体が通過することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記第1及び第2熱貯蔵手段の少なくとも一つには、気体を受け入れるためのチャンバ、及び前記チャンバ内に収納された粒状物質が含まれる方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
前記粒状物質には、通気性構造を形成するために詰め込まれた固体粒子及び/又は繊維が含まれる方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
前記固体粒子及び/又は繊維は、金属性である方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、
前記固体粒子及び/又は繊維は、鉱物又はセラミックを含む方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の方法において、
前記第2熱貯蔵手段を通過後の空気は、前記圧縮チャンバ内の再び流入する方法。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の方法において、
前記気体から前記第1熱貯蔵手段への熱伝達は等圧であり、前記第2熱貯蔵手段から前記気体への熱伝達は等圧である方法。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の方法において、
前記圧縮及び又は膨張は、断熱曲線又は等エントロピである方法。
【請求項9】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の方法において、
前記熱エネルギ装置は、等エントロピ圧縮工程、等圧冷却工程、等エントロピ膨張工程、及び等圧加熱工程からなるエネルギを貯蔵するための蓄積モードで運転される方法。
【請求項10】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の方法において、
前記熱エネルギ装置は、エネルギを貯蔵する蓄積モードであって前記第1及び第2熱貯蔵手段の蓄積が行われる蓄積モードと、エネルギを放出する放出モードであって前記第1及び第2熱貯蔵手段の放出が行われる放出モードとで運転可能である方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記第1及び第2熱貯蔵手段は、蓄積時に熱貯蔵及び冷却貯蔵を行うため、熱ヒートポンプサイクル内に配置されている方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
エネルギは、
気体を、冷却された第2熱貯蔵手段を通過させる工程と、
前記第2熱貯蔵手段により冷却された空気を圧縮する工程と、
前記気体を加熱された第1熱貯蔵手段に作用させることで、前記冷却された空気を加熱する工程と、
前記加熱された空気を膨張させて仕事を行う工程とにより、
放出モードで放出される方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、
放出モード時に、前記圧縮ピストン手段及び前記膨張ピストン手段の一方又は両方が、蓄積モード時とは逆に運転される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−32847(P2013−32847A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234625(P2012−234625)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2010−527522(P2010−527522)の分割
【原出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(510093314)アイゼントロピック リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ISENTROPIC LIMITED
【Fターム(参考)】