説明

エファプロキシラールナトリウムの結晶形態及びアモルファス形態

本発明に従ってエファプロキシラールナトリウムの結晶形態A、B、C、F、G、I、J、P、及びQを提供する。アモルファス形態のエファプロキシラールナトリウムも提供する。また、エファプロキシラールナトリウムの新規多形及びアモルファス形態の形成法、それらを利用した治療法、及びそれらを含有する医薬剤形も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年4月22日出願の米国仮特許出願第60/564,721号、発明の名称“アロステリックなヘモグロビン修飾因子組成物及びその製造法”並びに2004年4月22日出願の米国仮特許出願第60/564,308号、発明の名称“RSR13ナトリウム塩の結晶形態”に基づく優先権を主張し、これらの各出願特許は引用によってそれらの全体を本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、エファプロキシラールナトリウム(efaproxiral sodium)の結晶性多形及びエファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態、並びにエファプロキシラールナトリウムの特定の溶媒和物、特に格子構造の溶媒部分が、水、アルコール(例えばエタノール及び/又はメタノール)、又はアセトンでありうる溶媒和物の結晶形態の単離に関する。エファプロキシラールナトリウムは、2−[4−[2−[(3,5−ジメチルフェニル)アミノ]−2−オキソエチル]フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸のナトリウム塩としても;RSR13のナトリウム塩としても知られている。エファプロキシラールナトリウムは、がんの治療を含む疾患の治療に使用される。
【背景技術】
【0003】
薬物の多形の挙動は製薬学及び薬理学において非常に重要でありうる。多形は、定義によれば、同じ分子の異なる結晶パッキング配置である。このような結晶格子中の分子の異なるパッキング配置は異なる物理的性質をもたらすことが多い。溶媒分子が結晶格子内に含有されている場合、得られる結晶は溶媒和物と呼ばれる。溶媒和物は擬似多形としても知られている。結晶性溶媒和物もそれら独自の多形を生み出す特有の結晶パッキング配置を特徴とする。結晶構造内の溶媒分子が水分子の場合、該溶媒和物(擬似多形)は水和物と呼ばれる。多形又は溶媒和物によって示される物理的性質の相違は、貯蔵安定性、圧縮性及び密度(製剤及び製品の製造に重要)、並びに溶出速度(バイオアベイラビリティの判定に重要な因子)といった製薬学的パラメータに影響を及ぼす。(H.Brittain,Polymorphism in Pharmaceutical Solids,Marcel Dekker,ニューヨーク州ニューヨーク,1999,pp.1−2参照)。安定性の相違は、化学反応性の変化(例えば剤形が、ある多形を含む場合の方が別の多形を含む場合よりも急速に変色するといった酸化の差など)又は機械的変化(例えば錠剤が、動力学的に有利な多形から熱力学的により安定な多形に転換するために、貯蔵中に粉々に砕けることなど)又はその両方(例えばある多形の錠剤が高湿度でより分解されやすいことなど)に由来する。溶解性/溶出性に違いがあると、極端な場合、多形的転移の結果、薬効の喪失及び/又はバイオアベイラビリティの減退がもたらされたり、他の極端な場合、毒性がもたらされたりすることもある。さらに、結晶の物理的性質は加工においても重要でありうる。例えば、ある多形は溶媒和物を形成しやすいかもしれないし、不純物なしにろ過及び洗浄が困難かもしれない(すなわち、粒子の形状及びサイズ分布がある多形と他の多形との間で異なる)。
【0004】
単独で投与されるか又は薬製品(drug product)(最終又は完成剤形、又は医薬組成物としても知られている)として製剤化される、薬物質(drug substance)(“活性薬剤成分 (active pharmaceutical ingredient)”(API)としても知られている)の多形性形態及び擬似多形性形態は、周知であり、例えば、原薬の溶解度、安定性、流動性、フラクタビリティ(fractability)、薬物質の圧縮性、並びに薬製品の安全性及び効能に影響を及ぼす(例えば、Knapman,K Modern Drug Discoveries,2000年3月:53参照)。
【0005】
2−[4−[2−[(3,5−ジメチルフェニル)アミノ]−2−オキソエチル]フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸(エファプロキシラール及びRSR13としても知られている)及びその生理学的に許容しうる塩の製造及び使用は、これまでに米国特許第5,049,695号;5,122,539号;5,290,803号;5,432,191号;5,525,630号;5,648,375号;5,661,182号;5,677,330号;5,705,521号;5,872,888号;及び5,927,283号、並びに米国特許出願公開第20030017612 A1に記載されている。これらのそれぞれは引用によって本明細書に援用する。
【要旨】
【0006】
本開示は、エファプロキシラールナトリウムの新規な結晶形態(以後フォームA、B、C、F、G、I、J、P、及びQと呼ぶ)、並びにエファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態を提供する。
【0007】
一態様において、本開示は、フォームA及びBと名付けられたエファプロキシラールナトリウムの非溶媒和結晶形態を提供する。
別の態様において、本開示は、エファプロキシラールナトリウムと、水、エタノール、メタノール及びアセトンからなる群から選ばれる溶媒とを含むエファプロキシラールナトリウムの結晶性溶媒和物を提供する。
【0008】
一態様において、本開示は、フォームC、フォームJ及びフォームIと名付けられたエファプロキシラールナトリウムの結晶性水和物を提供する。
別の態様において、本開示は、フォームP及びフォームGと名付けられたエファプロキシラールナトリウムの結晶性エタノール付加物を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、フォームQと名付けられたエファプロキシラールナトリウムの結晶性アセトン溶媒和物を提供する。
別の態様において、本開示は、フォームFと名付けられたエファプロキシラールナトリウムの結晶性メタノール付加物を提供する。
【0010】
別の態様において、本開示は、アモルファスのエファプロキシラールナトリウムを提供する。
別の態様において、本開示は、前述のエファプロキシラールナトリウムの結晶形態又はエファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態のいずれかと、一つ以上の製薬学的担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬製剤を提供する。
【0011】
別の態様において、本開示はエファプロキシラールナトリウムの水溶液の調製法を提供する。該方法は、前述のエファプロキシラールナトリウムの結晶形態又はエファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態のいずれかを、水を含む溶液中に溶解することを含む。
【0012】
別の態様において、本開示は、前述のエファプロキシラールナトリウムの結晶形態又はエファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態のいずれかを、水を含む溶液中に溶解することによって製造されたエファプロキシラールナトリウムの水溶液を提供する。
【0013】
別の態様において、本開示は、前述のエファプロキシラールナトリウムの結晶形態及びエファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態のそれぞれを製造する方法を提供する。
【0014】
別の態様において、本開示は、全身又は組織低体温、低酸素又は低血圧、創傷、脳外傷、糖尿病性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、組織移植、脳卒中又は脳虚血、虚血又は酸素欠乏、急性呼吸窮迫症候群及び慢性閉塞性肺疾患を含む呼吸器疾患、外科的失血、敗血症、多臓器不全、定容量性血液希釈過程(normovolemic hemodilution procedures)、一酸化炭素中毒、バイパス手術、発がん性腫瘍、及び胎児の酸素欠乏からなる群から選ばれる状態の治療法を提供する。該方法は、前記状態を患っている又は経験している患者に、十分な量の前述のエファプロキシラールナトリウムの結晶形態のいずれか、エファプロキシラールナトリウムのアモルファス形態、前述の医薬製剤のいずれか、又は前述のエファプロキシラールナトリウムの水溶液のいずれかを投与するステップを含む。
【好適な態様の詳細な説明】
【0015】
エファプロキシラール(X=H):
【0016】
【化1】

【0017】
は、ヘモグロビンのアロステリックエフェクタであり、インビボで組織の酸素化を増進することが示されている。エファプロキシラール(X=Hの場合)は、2−[4−(((3,5−ジメチルアニリノ)カルボニル)メチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸)又は2−[4−[2−[(3,5−ジメチルフェニル)アミノ]−2−オキソエチル]フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸の名称で表される。一般的にエファプロキシラールの製剤は、生理学的に許容しうる塩、例えばモノナトリウム塩(すなわちXがNa)から製造される。エファプロキシラールは、ヘモグロビンのアロステリックな修飾を誘導する。すなわち、ヘモグロビンの酸素に対する結合親和性を低下させて赤血球による組織への酸素分布を増加させるような修飾を誘導する。エファプロキシラールのナトリウム塩は以後エファプロキシラールナトリウムと呼ぶ。精製エファプロキシラールナトリウム及びその前駆体の製造法は実施例1に提供する(2004年4月22日出願の米国仮特許出願第60/60/564,721号(引用によってその全体を本明細書に援用する)も参照)。
【0018】
ヘモグロビンをアロステリックに修飾する化合物の能力は、ヘモグロビンをアロステリックに修飾して酸素平衡を遊離酸素の方にシフトさせることを通じて、化合物を様々な疾患及び状態の治療に有用なものにしている。そのような疾患は、全身又は組織低体温、低酸素又は低血圧、創傷、脳外傷、糖尿病性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、組織移植、脳卒中又は脳虚血、虚血又は酸素欠乏、急性呼吸窮迫症候群及び慢性閉塞性肺疾患を含む呼吸器疾患、外科的失血、敗血症、多臓器不全、定容量性血液希釈過程、一酸化炭素中毒、バイパス手術、発がん性腫瘍、及び胎児の酸素欠乏などでありうるが、これらに限定されない。化合物は、前記状態を患っている又は経験している患者に十分な量のアロステリックエフェクタ化合物を投与するステップを含む方法に有用である。発がん性腫瘍の場合、該化合物は単独でも電離放射線と組み合わせた放射線増感剤としても有用である(Teicher,(1996)Drug Dev.Res.38:1−11;Rockwell及びKelley(1998)Rad.Oncol.Invest.6:199−208;並びにKhandelwalら(1996)Rad.Oncol.Invest.4:51−59参照)。アロステリック修飾特性は、化合物を、ある種の画像検査法、特に血中酸素濃度依存性(BOLD)MRI、及び腫瘍の酸素化の判定や腫瘍の酸素化に基づいて放射線治療を始める最適な時期の決定などの診断法にも有用なものとしている。エファプロキシラール及びその生理学的に許容しうる塩の製造及び使用は、これまでに米国特許第5,049,695号;5,122,539号;5,290,803号;5,432,191号;5,525,630号;5,648,375号;5,661,182号;5,677,330号;5,705,521号;5,872,888号;及び5,927,283号、並びに米国特許出願公開第20030017612 A1に記載されている。これらの特許には構造的に類似した化合物の製造及び使用も記載されている。密接に関連した化合物について記載しているその他の特許は、5,248,785号;5,731,454号などである。これらの特許、出願、並びに本明細書中に引用した全てのその他の特許、出願、及び出版物は、引用によって具体的に本明細書に援用する。
【0019】
エファプロキシラールナトリウムの多形及び溶媒和物のスクリーニングは、様々な結晶化技術を用いて実施した。得られた多形は、熱重量分析(TGA)、反射フーリエ変換赤外(FTIR)分光法(実施例2参照)、及びX線粉末回折(XRPD)(実施例3参照)を含む、異なる多形間を区別する能力に関して当該技術分野で周知のいくつかの分析技術を用いて分析した。TGAは、物質の異なる固体形間を区別するのに非常に有用であることが多い。なぜならば、物質の物理的変化が起こる温度は、通常、多形又は溶媒和物に特徴的だからである。X線粉末回折(XRPD)は、結晶性物質の長距離秩序及び短距離秩序を検出する技術である。IR分光法も、固体中の分子内及び分子間結合の両方を検出し、さらに結晶性物質の化学組成に関する情報も提供する。
【0020】
本開示は9種類の新規なエファプロキシラールナトリウムの多形を提供する。以後、フォームA、B、C、F、G、I、J、P、及びQと呼ぶ。フォームC、F、G、I、J、P、及びQはエファプロキシラールナトリウムの結晶性溶媒和物であり、フォームA及びBは非溶媒和物である。フォームA及びフォームFで得られる単結晶構造に基づくと、エファプロキシラールナトリウムの結晶格子は、エファプロキシラール分子がその周囲に充填されたナトリウムチャンネルによって特徴付けられると考えられる。理論で拘束するつもりはないが、様々な量の溶媒分子が、結晶形態を破壊することなくこれらのチャンネルに存在できると考えられる。観察された多形間の転換を図1に図式的に示した。この図は、使用できる道筋又は経路に対する制限を示しているのではなく、観察されている例を表したものである。
【0021】
フォームA、B、C、F、G、I、J、P、及びQのそれぞれのXRPDパターンは、高度に結晶性の物質を示すシャープなピークを特色としている。多形に観察される多くの強い反射は一般的に同じような回折角で見られるが、各フォームは異なる粉末パターンを示すため、各多形間を明確に区別することを可能にしている。結晶学の分野では、任意の所定の多形の場合、回折ピークの相対強度は、結晶の形態、サンプルの調製といった因子に由来する好適な配向によって、又はその他の影響によって変動しうることはよく知られている。好適な配向の影響が存在する場合、ピーク強度は変わるが、多形の特徴的なピーク位置は不変である。例えば、米国薬局方#23、国民医薬品集#18、1843−1844ページ、1995年参照。
【0022】
本開示はアモルファスのエファプロキシラールナトリウムも提供する。アモルファスのエファプロキシラールナトリウムのXRPDはシャープな反射ピークを欠くが、これはアモルファス固体に典型的である。
【0023】
前述の結晶形態及びアモルファス形態のエファプロキシラールナトリウムは、医薬組成物の調合に使用できる。得られた医薬組成物は、前述のようにヘモグロビンをアロステリックに修飾して酸素平衡を遊離酸素の方にシフトすることによって様々な疾患及び状態を治療するために患者に投与できる。発がん性腫瘍の場合、本明細書中に提供する化合物及び医薬組成物は単独でも電離放射線と組み合わせた放射線増感剤としても有用である。
【0024】
新規なエファプロキシラールナトリウムの多形形態及びアモルファス形態の発見は、エファプロキシラールナトリウムをAPI(有効薬剤成分)として含む製剤の特徴的な性能を改良する機会を提供する。それは、製剤学者が例えば標的化された放出特性又はその他の所望の特徴を備えたエファプロキシラールナトリウムの医薬剤形を設計するために利用できる材料のレパートリーを広げることになる。全ての結晶形態及びアモルファス形態の溶出速度を知ることは、薬物溶液の製造に有用である。このレパートリーが新規なエファプロキシラールナトリウムの溶媒和結晶形態の発見によって拡大された場合、明らかに有益である。
【0025】
本明細書中に開示されている新規なエファプロキシラールナトリウムの多形形態及びアモルファス形態は、例えば粉砕固体の流動性など、異なる物理的性質を有しうる。流動性は、エファプロキシラールナトリウムに加工する際の材料の取扱いやすさに影響を及ぼす。粉末化合物の粒子が互いに容易に流動しない場合、製剤専門家は、錠剤又はカプセル製剤を開発する際にその事実を考慮しなければならない。その場合、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン又は第三リン酸カルシウムのような流動促進剤の使用が必要となりうる。
【0026】
新規なエファプロキシラールナトリウムの結晶形態及びアモルファス形態の別の重要な物理的性質は、水性流体中におけるその溶出速度に関する。患者の胃液中における有効成分の溶出速度は、経口投与されたエファプロキシラールナトリウムが患者の血流に到達できる速度(割合)に上限を課すので、治療の結果に影響を与えうる。溶出速度は、溶液、シロップ、エリキシル及びその他の液体医薬品を製剤化する際の考慮事項でもある。エファプロキシラールナトリウムの固体状態の形態も、圧密性に関するその挙動及びその貯蔵安定性(バルクの場合及び製剤化後とも)に影響を及ぼしうる。
【0027】
以下の記載(“実施例”の項も含む)において、あらゆる具体的な量及びプロセス条件(時間、温度などを含む)は単なる例であって、等価の範囲を含むと理解されるべきである。全てのそのような数値例は、“約”という用語(この用語が明記されていてもいなくても)によって変更されると理解されるべきで、“約”という用語の範囲は、当業者が余分の実験をせずとも決定できるような値の範囲である。
【0028】
以下の記載において、XRPDの2θの角度におけるすべてのピーク位置は、銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られたものである。全てのIR吸収バンドは、反射フーリエ変換赤外(FTIR)分光法から得られたものである。
エファプロキシラールナトリウムの非溶媒和形
フォームAは、エファプロキシラールナトリウムをエタノール及びアセトンから再結晶化することによって得られるエファプロキシラールナトリウムの新規多形である。例えば、フォームA(無色、針状)は、エファプロキシラールナトリウムを水に溶解して水溶液を形成し;次に該水溶液を約50℃の温度に維持しながら濃縮して最大量の水を除去し;次に該濃縮水溶液にエタノールを加えて水分含有量15重量%未満の混合物を得;次に該エタノール/水混合物を、該エタノール/水混合物からエファプロキシラールナトリウムを析出させることなく冷却し;次に該エタノール/水混合物にアセトンを加えて結晶性エファプロキシラールナトリウムを析出させ;そして次に該混合物を撹拌しながら約25℃未満に冷却することによって得ることができる(実施例4参照)。
【0029】
フォームAのXRPDパターンを図2に示し、フォームAのFTIRスペクトルを図3に示す。延長乾燥実験に基づくと、フォームAは非溶媒和物のようである。
フォームBは、エファプロキシラールナトリウムをアセトンと水に溶解して溶液を形成し、次いで該溶液を冷却してエファプロキシラールナトリウムの結晶を析出させることによって形成できるエファプロキシラールナトリウムの新規多形である。実施例5参照。フォームBのXRPDパターンを図4に示し、フォームBのFTIRスペクトルを図5に示す。延長乾燥実験に基づくと、フォームBは非溶媒和物のようである。
【0030】
下記表1は、銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合のフォームA(図2)及びフォームB(図4)の特定の角度(2θ)におけるXRPDピーク位置を表にまとめたものである。
【0031】
【表1】

【0032】
ピーク位置を基にすると、そしてある程度ピーク強度も基にすると、フォームAは、フォームBのXRPDとは対照的に、3.2±0.2°及び9.7±0.2°の2θに特徴的なXRPDピークを有している。フォームBは、フォームAのXRPDパターンとは対照的に、11.5±0.2°、14.0±0.2°、及び19.4±0.2°の2θに特徴的なXRPDピークを有している。従って、少なくとも前述の特徴的なピークを用いて、又は前述の特徴的ピークと表1のその他のピークの組合せを用いて、エファプロキシラールナトリウムの非溶媒和形態間を区別することが可能である。
【0033】
あるいは、フォームAは、3274±2cm−1における特有の反射フーリエ変換赤外(FTIR)吸収バンドによって、又は955±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は736±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又はこれらの特有のFTIR吸収バンドの任意の組合せによって識別することもできる。フォームBも、3289±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又は1338±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は730±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又はこれらの特有のFTIR吸収バンドの任意の組合せによって識別することもできる。
【0034】
フォームAのエファプロキシラールナトリウムの結晶構造は、単結晶X線回折を用いて決定された。実施例6参照。三斜晶系格子パラメータ及び算出体積は、a=12.8951(14)、b=16.9972(11)、c=27.9468(13)Å、α=99.602(3)、β=93.899(4)、γ=104.059(3)°、V=5820.8(8)Åである。Z=12で式量が363.39の場合、算出密度は1.244gcm−3である。空間群は
【外1】
【0035】

【0036】
と判定された。結晶データと結晶学的データ収集パラメータを表2にまとめた。
【0037】
【表2】

【0038】
得られた構造の質は、0.0047(4.7%)というR値によって示されているように、高い。通常、最も信頼性高く決定された構造の場合、0.02〜0.06の範囲のR値が引用されている。
【0039】
フォームAを描いたORTEP図(Johnson,C.K.ORTEPIII,Report ORNL−6895,Oak Ridge National Laboratory(オークリッジ国立研究所),米国テネシー州、1996年。ウィンドウズV1.05用OPTEP−3,Farrugia,L.J.,J.Appl.Cryst.1997,30,565参照)を図6に示す(原子は、確率50%の異方性熱振動楕円体によって表されている)。単結晶構造は、図7に示された提案構造と同じである。図6に示された非対称単位は、6個のナトリウムカチオンに配位している6個のエファプロキシラール分子を含有している。これは非対称単位では非常に異例の分子数で、ナトリウム原子の6個の異なる配位環境の結果である。
【0040】
フォームAの構造は極めて複雑であるが、その構造は、エファプロキシラール分子のカルボン酸アニオンによって一緒に連結されたナトリウム原子のチャンネルとして最も良く表現することができる。
【0041】
フォームAの算出XRPDパターンを単結晶データから作成し、フォームAの実験パターンと比較した。実験パターンの全てのピークは算出XRPDパターンに表されており、バルク物質が単相らしいことを示している。ピーク位置のわずかなシフトは、実験の粉末パターンが周囲温度で収集され、単結晶データが150Kで収集されたという事実のためであろう。単結晶分析には構造の質を改良するために低温が使用される。
【0042】
要するに、フォームAの単結晶構造を決定して分子構造を確認した。空間群は
【外2】
【0043】

【0044】
と判定された。フォームAの構造は、6個のエファプロキシラール分子と6個のナトリウム原子からなり、結晶学的110方向に添って走る酸化ナトリウムチャンネルを形成している。実験パターンの全てのピークは算出XRPDパターンに表されており、バルク物質が単相らしいことを示している。
【0045】
フォームBの空間群はXRPD測定に基づいて三斜晶系P-1と判定された。
エファプロキシラールナトリウムの水和物
フォームAを高相対湿度でインキュベートすると、エファプロキシラールナトリウムの新規な結晶性水和物、フォームIが形成される(実施例7参照)。フォームIのXRPDパターンを図8に示し、フォームIのFTIRスペクトルを図9に示す。そのような条件下における約20%の重量増加に基づくと(これは約4モルの水/1モルのエファプロキシラールナトリウムに等しい)、フォームIは4水和物のようである(実施例8及び図10参照)。フォームIは、フォームJ(以下)の制限脱水によって得ることもできる(実施例8及び図10参照)。
【0046】
フォームAを水中でスラリー化すると(実施例9参照)、エファプロキシラールナトリウムの新規な結晶性水和物、フォームJが形成される。フォームJのXRPDパターンを図11に示し、フォームJのFTIRスペクトルを図12に示す。フォームAを約95%の湿度に暴露すると、物質は約34%の重量増加を経験し(約7モルの水/1モルのエファプロキシラールナトリウムに等しい)、フォームJが7水和物であることを示唆している(実施例8及び図10参照)。フォームJの制限脱水でフォームIが得られるようである(実施例8及び図10参照)。
【0047】
フォームI又はフォームJのいずれかを脱水すると(実施例10及び実施例11参照)、エファプロキシラールナトリウムの新規な結晶性水和物、フォームCが形成される。フォームCのXRPDパターンを図13に示し、フォームCのFTIRスペクトルを図14に示す。フォームCは、エファプロキシラールナトリウム1モルあたり水4モル未満の可変水和物である。
【0048】
下記表3は、銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合のフォームI(図8)、フォームJ(図11)及びフォームC(図13)の特定の角度(2θ)におけるXRPDピーク位置を表にまとめたものである。
【0049】
【表3】

【0050】
ピーク位置を基にすると、そしてある程度ピーク強度も基にすると、フォームIは、フォームJ及びフォームC両方のXRPDパターンとは対照的に、11.0±0.2°の2θに特徴的なXRPDピークを有している。フォームJは、フォームC及びフォームI両方のXRPDパターンとは対照的に、2θで19.2±0.2°に特徴的なXRPDピークを有している。フォームJは、フォームI及びフォームCのXRPDパターンとは対照的に、2θで12.1±0.2°及び12.8±0.2°に1対の特徴的なXRPDピークも有している。フォームCは、フォームI及びフォームJのXRPDパターンとは対照的に、7.7±0.2°の2θに特徴的なXRPDピークを有している。従って、少なくとも前述の特徴的なピークを用いて、又は前述の特徴的ピークと表2のその他のピークの組合せを用いて、エファプロキシラールナトリウムの3種類の水和物形間を区別することが可能である。
【0051】
あるいは、フォームJは、3618±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又は1921±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は1028±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又はこれらの特有のFTIR吸収バンドの任意の組合せによって識別することもできる。フォームCも、2225±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって識別することができる。
【0052】
エタノール溶媒和物
フォームPは、エファプロキシラールナトリウムをエタノールに溶解し、該溶液を冷却して結晶性エファプロキシラールナトリウムを析出させることによって形成できるエファプロキシラールナトリウムの新規な結晶形態である(実施例1の最終再結晶化ステップ参照)。フォームPのXRPDパターンを図15に示し、フォームPのFTIRスペクトルを図16に示す。
【0053】
フォームPのTGAは、温度を周囲温度から165℃に上げるとこのフォームが約10.6%の重量減少を受けたことを示している(図17)。これは1モルのエファプロキシラールナトリウムあたり約1モルのエタノールを失ったことに等しく、フォームPがモノエタノール付加物であることを示している。加熱中にフォームPから蒸発する揮発性物質をFTIR分光法によって分析し、それがエタノールであることを見出した。これもフォームPがエタノール付加物で、結晶格子中のエタノールが加熱によって除去されうることを示唆している(図18)。次に、フォームPを156℃に加熱した後に残る固体物質をXRPDで分析し、それがフォームAであることを見出した(図19)。従って、エタノールが加熱によってフォームPの結晶格子から除去された場合、結晶はフォームAの構造を取ると考えられる。
【0054】
フォームGは、アセトン/エタノール再結晶化中に一時的に形成されるエファプロキシラールナトリウムの新規な結晶形態であり(実施例12参照)、またフォームAをアセトニトリルとエタノール中のスラリー中で撹拌しても単離される(実施例13参照)。フォームGは、いずれもエタノールを含有する2種類の異なる溶媒系から単離されたので、フォームGはエファプロキシラールナトリウムのエタノール付加物と思われる。フォームGのXRPDパターンを図20に示す。
【0055】
下記表4は、銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合のフォームP(図15)及びフォームG(図20)の特定の角度(2θで表される)におけるXRPDピーク位置を表にまとめたものである。
【0056】
【表4】

【0057】
ピーク位置を基にすると、そしてある程度ピーク強度も基にすると、フォームGは、多形A、B、C、F、I、J、及びQとは対照的に、3.0±0.2°及び3.8±0.2°の2θに1対の特徴的なXRPDピークを有している。フォームGは、フォームPとは対照的に、3.0±0.2°、3.8±0.2°、6.5±0.2°、9.2±0.2°、及び12.2±0.2°の2θに特徴的なXRPDピークを有している。フォームPは、フォームGとは対照的に、10.2±0.2°、16.7±0.2°、及び17.6±0.2°の2θに特徴的なXRPDピークを有している。従って、少なくとも前述の特徴的なピークを用いて、又は前述の特徴的ピークと表4のその他のピークの組合せを用いて、エファプロキシラールナトリウムのエタノール付加物形間、そしてまたフォームGとその他全ての多形間を区別することが可能である。
【0058】
あるいは、フォームPは、3086±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又は1088±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は903±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又はこれらの特有のFTIR吸収バンドの任意の組合せによって識別することもできる。
【0059】
アセトン溶媒和物
フォームQは、エファプロキシラールナトリウムを高めた温度で撹拌しながらエタノールに溶解し、撹拌を続けながら該溶液にアセトンを加え、次いで撹拌を続けながら該溶液を25℃未満に冷却することによって形成できるエファプロキシラールナトリウムの新規な結晶形態である(実施例12参照)。フォームQのXRPDパターンを図21に示し、フォームQのFTIRスペクトルを図22に示す。下記表5は、銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合のフォームQの特定の角度(2θで表される)におけるXRPDピーク位置(図21)を表にまとめたものである。
【0060】
【表5】

【0061】
あるいは、フォームQは、3380±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又は1701±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は1645±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって;又は二つ以上のこれらの特有のFTIR吸収バンドの任意の組合せによって識別することもできる。
【0062】
フォームQのTGAは、温度を周囲温度から約165℃に上げるとこのフォームが約5.7%の重量減少を受けたことを示している(図23)。これは1モルのエファプロキシラールナトリウムあたり約1/2〜約1/3モルのアセトンを失ったことに等しく、フォームQがアセトンの溶媒和物であるらしいことを示している。フォームQは、1モルのエファプロキシラールナトリウムあたり1モル〜1/2モルのアセトンを含むようである(アセトンはフォームQからTGAの準備中にも失われると考えられるので、TGA中に観察された、1モルのエファプロキシラールナトリウムあたり1/2〜約1/3モルのアセトンが失われたという測定値は、フォームQにおけるアセトンの量を十分に反映したものではない)。加熱中にフォームQから除去された揮発性物質をFTIR分光法によって分析し、それがアセトンであることを見出した。これもフォームQがアセトン溶媒和物で、結晶格子中のアセトンが加熱によって除去されうることを示唆している(図24)。次に、フォームQを約165℃に加熱した後に残る固体物質をXRPDで分析し、それがフォームAであることを見出した(図25)。従って、アセトンが加熱によってフォームQの結晶格子から除去された場合、結晶はフォームAの構造を取ると考えられる。従って、実施例4において、乾燥前に回収された結晶はフォームQであり、延長乾燥後の結晶はフォームAであると考えられる。さらに、フォームQを真空下70℃で乾燥させると、フォームAではなくフォームBを形成する。従って、実施例4の最終再結晶化及び乾燥ステップ中に3種類の多形が生じるようである。フォームQが再結晶化中にまず形成され、次いで最初の乾燥中にフォームBに転換し、延長乾燥すると最終的にフォームAになる。固体のエファプロキシラールナトリウムを単離するために実施される乾燥の程度に応じて、最終の固体形はゆえにフォームAのこともフォームBのこともある。いずれも非溶媒和物である。
【0063】
メタノール溶媒和物
フォームFは、エファプロキシラールナトリウムをメタノールに溶解し、次いでメタノールを例えば蒸気拡散によって除去すると形成されるエファプロキシラールナトリウムの新規な結晶形態である(実施例14参照)。フォームFは1モルのエファプロキシラールナトリウムあたり約1モルのメタノールを含む。フォームFのXRPDパターンを図26に示し、フォームFのFTIRスペクトルを図27に示す。下記表6は、銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合のフォームFの特定の角度(2θで表される)におけるXRPDピーク位置(図26)を表にまとめたものである。
【0064】
【表6】

【0065】
あるいは、フォームFは、747±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は1053±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は1338±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって、又は1562±2cm−1における特有のFTIR吸収バンドによって又はこれらの特有のFTIR吸収バンドの任意の組合せによって識別することもできる。
【0066】
フォームFのエファプロキシラールナトリウムの結晶構造は、単結晶X線回折を用いて決定された。実施例15参照。三斜晶系格子パラメータ及び算出体積は、a=11.408(4)Å、b=22.455(8)Å、c=27.318(7)Å、α=112.087(16)°、β=101.038(14)°、γ=92.02(2)°、V=6320(3)Åである。Z=12で式量が395.43の場合、算出密度は1.247g/cmである。空間群は
【外3】
【0067】

【0068】
と判定された。結晶データと結晶学的データ収集パラメータを表7にまとめた。
【0069】
【表7】

【0070】
通常、最も信頼性高く決定された構造の場合、0.02〜0.06の範囲のR値が引用されている(Glusker,Jenny Pickworth;Trublood,Kenneth N.Crystal Structure Analysis:A Primer,第2版;Oxford University press:ニューヨーク、1985年;p.87参照)。0.073(7.3%)というR値は、報告された範囲のわずかに外側であるが、得られた構造の質は高い。
【0071】
フォームFのエファプロキシラールナトリウムを描いたORTEP図(Johnson,C.K.ORTEPIII,Report ORNL−6895,Oak Ridge National Laboratory(オークリッジ国立研究所),米国テネシー州、1996年。ウィンドウズV1.05用OPTEP−3,Farrugia,L.J.,J.Appl.Cryst.1997,30,565参照)を図28に示す(原子は、確率50%の異方性熱振動楕円体によって表されている)。単結晶構造は、図7に示された提案構造と同じである。図28に示された非対称単位は、6個のナトリウムカチオンに配位した6個のエファプロキシラール及びメタノール分子を含有している。これは非対称単位では非常に異例の分子数である。
【0072】
フォームFはナトリウムイオンに対して複雑な配位スキームを示している。ここでもその構造は、エファプロキシラール分子のカルボン酸アニオンとメタノール分子によって一緒に連結されたナトリウム原子のチャンネルとして最も良く表現することができる。メタノール溶媒分子は、ナトリウムイオンに2種類の異なる配置で配位している。一つの種類のメタノールは1個のナトリウムイオンに配位しているが、他方は2個のナトリウムイオンを架橋している。各ナトリウムイオンは1個のメタノール分子によってキャップされ、2個の他の分子に架橋している。溶媒は酸化ナトリウムチャンネルに緊密に会合しているが、サンプルを80℃に約3時間加熱することによって除去できる。
【0073】
フォームFの算出XRPDパターンを単結晶データから作成し、フォームFの実験パターンと比較した。実験パターンの全てのピークは算出XRPDパターンに表されており、バルク物質が単相らしいことを示している。ピーク位置のわずかなシフトは、実験の粉末パターンが周囲温度で収集され、単結晶データが150Kで収集されたという事実のためであろう。単結晶分析には構造の質を改良するために低温が使用される。
【0074】
要するに、フォームFのエファプロキシラールナトリウムの単結晶構造を決定して分子構造を確認した。空間群は
【外4】
【0075】

【0076】
と判定された。フォームFのエファプロキシラールナトリウムの構造は、6個のナトリウム原子に配位している6個のエファプロキシラールとメタノール分子からなり、結晶学的101方向に添って走る酸化ナトリウムチャンネルとなっている。実験パターンの全てのピークは算出XRPDパターンに表されており、バルク物質が単相らしいことを示している。
【0077】
アモルファスのエファプロキシラールナトリウム
アモルファスのエファプロキシラールナトリウムは、ジオキサン/水に溶解したエファプロキシラールナトリウムを凍結乾燥することによって得られた(実施例16参照)。アモルファス物質は、フォームJのエファプロキシラールナトリウムのサンプル周辺の相対湿度(RH)をほぼ100%から5%に低下させた場合にも得られた(実施例8参照)。アモルファスのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを図29に示す。アモルファス物質に典型的なとおり、結晶性物質で観察されるシャープな反射ピークが見られない。
【0078】
医薬製剤
本発明の原薬の最も効果的な投与のために、本発明の一つ以上のエファプロキシラールナトリウム多形及び/又は本発明のアモルファスのエファプロキシラールナトリウム、及び一つ以上の製薬学的に許容しうる担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬製剤(“薬製品(drug product)”としても知られる)を好ましくは単位剤形として製造するのが好ましい。エファプロキシラールナトリウムに関しては、適切な製剤が係属中の米国特許出願公開第20030232887 A1(引用によってその全体を本明細書に援用する)に記載されている。
【0079】
医薬製剤は、本明細書中に示した教示によって制限されるのではないが、少なくとも一つの製薬学的に許容しうる賦形剤とブレンドされた、賦形剤によって希釈された、又はカプセル、サシェ、錠剤、バッカル、ロゼンジ、ペーパー、又はその他のコンテナの形態にできるような担体内に封入された本発明の固体形を含みうる。賦形剤が希釈剤として働く場合、それはエファプロキシラールナトリウムのビヒクル、担体、又は媒体として作用する固体、半固体、又は液体材料でありうる。従って、製剤は、錠剤、ピル、散剤、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、カプセル(例えば軟質及び硬質ゼラチンカプセルのような)、坐剤、無菌注射用溶液、及び無菌包装粉末の形態を取ることができる。
【0080】
適切な賦形剤の例は、デンプン、アラビアゴム、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースなどであるが、これらに限定されない。製剤は、さらに、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油のような滑沢剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;メチル−及びプロピル−ヒドロキシベンゾエートのような保存剤;甘味剤;又は香味剤を含むこともできる。ポリオール、緩衝液、及び不活性充填剤も使用してよい。ポリオールの例は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース、マルトース、グルコース、ラクトース、デキストロースなどであるが、これらに限定されない。適切な緩衝液は、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩などを包含するが、これらに限定されない。使用できるその他の不活性充填剤は、当該技術分野で公知で様々な剤形の製造に有用なものなどである。所望であれば、固体の医薬組成物は、ブリング剤(bulling agent)及び/又は顆粒化剤などのようなその他の成分を含むこともできる。本発明の組成物は、当該技術物分野で周知の方法を用いることによって、患者への投与後、原薬を迅速、持続、制御、又は遅延放出できるように製剤化することもできる。
【0081】
上記製剤を非経口投与用に使用する場合、そのような製剤は、典型的には一つ以上のエファプロキシラールナトリウム形を含む無菌の水性及び非水性注射用溶液を含み、そのための製剤は意図するレシピエントの血液と好ましくは等張にする。これらの製剤は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び溶質を含有でき、それによって該製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする。水性及び非水性懸濁液は懸濁化剤及び増粘剤を含みうる。製剤は、単位用量又は複数用量用の容器、例えば密封アンプル及びバイアルに入れてよい。即席の注射用溶液及び懸濁液は、前述のような種類の無菌散剤、顆粒剤、及び錠剤から調製できる。
【0082】
ゆえに、本発明の医薬製剤は好ましくは単位剤形の形態で製造される。各投与単位は約5mg〜約200mg、より通常的には約100mgのエファプロキシラールナトリウム形(一つ又は複数)を含有する。液体形の場合、投与単位は約5〜約200mg、より通常的には約100mgのエファプロキシラールナトリウム形(一つ又は複数)を含有する。“単位剤形”という用語は、ヒト被験者/患者又はその他の動物への投与単位として適切な物理的に分離された単位のことを言い、各単位は、所望の治療効果を生ずるために算出された予め決められた量のエファプロキシラールナトリウム多形を好ましくは少なくとも一つの製薬学的に許容しうる担体、希釈剤、又は賦形剤とともに含有する。以下の実施例17にエファプロキシラールナトリウムの水性製剤の例を提供する。
【0083】
以下の実施例は、例示的目的のためだけに提供するのであって、決して特許請求の範囲を制限すると解釈してはならない。
【実施例】
【0084】
実施例1.エファプロキシラールナトリウムの製造
アミドフェノール(3)の合成
1,4−ヒドロキシフェニル酢酸(200kg)(2)を、Hastelloy 276(登録商標)、SS(316)又はガラス内張SS反応器のいずれか中のキシレン(760L)に撹拌しながら加えた。この混合物に3,5−キシリジン(3,5−ジメチルアニリン)(178L)(1)を加えた。該反応混合物を加熱還流し、水を反応の進行に従って共沸除去した。完了後、反応混合物を蒸留してアミドフェノール(3)を得た。これは冷却すると固化した。再結晶化のため、エタノール(1180L)とメチルイソブチルケトン(MIBK)(56L)を該固体に加え、溶解するまで混合物を還流した。溶解後水(70℃、490L)を加え、混合物を撹拌し、6時間かけて約0℃にゆっくり冷却した。次に混合物をこの温度で少なくとも1時間撹拌した。次に混合物をろ過し、固体を5℃の1:2 エタノール/水で洗浄し、次いでキシレン(452L、5℃)で洗浄した。
【0085】
エファプロキシラールエチルエステル(4)の合成
メチルイソブチルケトン(MIBK)(827L)を結晶化アミドフェノール(3)に加え、混合物を還流して水を共沸除去した。次に反応混合物を70℃未満に冷却し、無水エタノール(731L)を加え、次いで無水炭酸カリウム(668kg)及びエチル2−ブロモイソブチレート(366L)を加えた。反応混合物を少なくとも7時間還流し、次いで0℃未満に冷却した。混合物をろ過し、固体をMIBKで、洗液とろ液の合計容積が1208Lになるように洗浄した。次に混合物を蒸留してエタノールを除去し、体積をMIBKで約2163Lに調整した。MIBK混合物を希薄塩基水溶液(604Lの水に32kgの炭酸水素ナトリウム)で抽出し、次いで酸水溶液(572リットルの水に63L)、及び水(3×各700L)で抽出した。次いで混合物を蒸留してMIBKを除去し、約35℃に冷却した。ヘプタン(約572L)を加え、溶液を撹拌しながら追加のヘプタン(約1145L)を1時間かけてゆっくり加えた。次に混合物を約12℃に冷却し、少なくとも2時間撹拌した後ろ過した。固体のエファプロキシラールエチルエステル(4)をヘプタン(318L)で洗浄した。
【0086】
エファプロキシラールナトリウム(5)の合成
無水エタノール(880L)を最初に水(19L)と混合し、次いで水酸化ナトリウム(36kg)を加えた。この混合物をろ過し、エファプロキシラールエチルエステル(4)を加え、反応混合物を少なくとも3時間還流した。次に水酸化ナトリウム(10N、1モル当量)を加え、添加完了後、還流を少なくとも5時間維持した。次に混合物を蒸留により濃縮し、無水エタノール(1056L)を加えた。水分含有量は0.5%未満であった。次に反応混合物を約40℃、次いで35℃に冷却し、少なくとも2時間撹拌した。次に混合物を真空下で濃縮して約1408Lにし、約10℃に冷却し、少なくとも5時間撹拌した。次に混合物をろ過し、主としてエファプロキシラールナトリウム(5)からなる固体をエタノール(282L、10℃)で洗浄した。
【0087】
メチルイソブチルケトン(MIBK)を用いた抽出によるエファプロキシラールナトリウム(5)の精製
精製水(1658L)をエファプロキシラールナトリウム(5)(325kg)に加えた。該混合物を真空下、最大温度50℃で約423Lの溶媒が除去されるまで蒸留した。次に別の423Lの精製水を加え、水溶液をMIBK(390L、30℃未満)で抽出した。有機相は廃棄し、水性相をMIBK(228L、30℃未満)で再抽出し、有機相を廃棄した。
【0088】
実施例2.FTIRのプロトコル
FTIRスペクトルは、Ever−Glo 中/遠赤外線源、広領域型臭化カリウム(KBr)ビームスプリッタ、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたMagna−IR 860(登録商標)フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)上で取得した。ゲルマニウム(Ge)結晶を用いた全反射減衰(ATR)アクセサリ(the Thunderdome(登録商標)、Thermo Spectra−Tech)を使用してデータを取得した。スペクトルは、スペクトル分解能4cm−1で収集した256のを共付加(co-added)スキャンを表す。バックグラウンドのデータセットはクリーンなGe結晶を用いて取得した。波長の較正はポリスチレンを用いて実施した。
【0089】
実施例3.XRPDのプロトコル
XRPD分析は、CuKα放射線を用いてShimadzu XRD−6000 X線粉末回折計で実施した。装置はロングファインフォーカスX線管を備えている。管電圧及び電流はそれぞれ40kB及び40mAにセットされた。発散スリット及び散乱スリットは1°にセットし、受光スリットは0.15mmにセットした。回折放射線はNaIシンチレーション検出器で検出した。2.5〜40°の2θを3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)でのθ−2θ連続スキャンを用いた。シリコン標準を毎日分析して装置の位置合わせ(アラインメント)をチェックした。サンプルはアルミニウム/シリコンサンプルホルダで分析した。
【0090】
実施例4.アセトン/エタノールを用いた再結晶化によるエファプロキシラールナトリウムの精製
上記実施例1に従って製造された水溶液中エファプロキシラールナトリウムを真空下、最大温度50℃で濃縮して溶媒を最大限抽出し、その後無水エタノール(406L)を加えて、水分含有量5〜5.4%の混合物を得た。次に該混合物を約47℃に冷却し、アセトン(975L)を加え、この温度を維持しながら混合物を撹拌した。結晶化後、混合物を少なくとも1時間撹拌し、その後等量のアセトンを加えた。次に該混合物を約15℃の温度にゆっくり冷却し、少なくとも5時間撹拌した。結晶をフィルタ上に集め、アセトン(146L)で洗浄し、次いで真空下、NMT70℃でアセトンとエタノール濃度がそれぞれ1000ppm及び500ppm未満になるまで乾燥させた。
【0091】
実施例5.フォームBの形成
フォームAのエファプロキシラールナトリウム(5.572kg、15.33モル)をアセトン(20.3L)と水(2.0L)の溶液に加え、混合物を加熱して溶解し、次いで約25℃に冷却した。混合物をろ過し、ろ液を18℃に冷却したところ、沈殿が形成された。撹拌補助のためにアセトンを加えた。該混合物をろ過し、ろ過ケーキを冷アセトンとヘプタンで洗浄し、次いでろ過ケーキを真空オーブン(50℃)中で48時間乾燥させた。収量は4.075kg(73.1%)であった。
【0092】
実施例6.フォームAのエファプロキシラールナトリウムの単結晶構造決定
サンプル調製
フォームAのエファプロキシラールナトリウム結晶をエタノール/メチルt−ブチルエーテル(MTBE)蒸気拡散実験によって得た。
【0093】
データ収集
概寸0.44×0.25×0.15mmを有する無色針状のC2022NONaをランダム配列でグラスファイバ上にマウントした。予備試験及びデータ収集は、Mo Kα放射線(λ=0.71073Å)を用い、Nonius KappaCCD回折計で実施した。構造精密化は、SHELX97(Sheldrick,G.M.SHELX97、A Program for Crystal Structure Refinement(結晶構造精密化のためのプログラム)、ゲッティンゲン大学、ドイツ、1997年)を用い、LINUX PCで実施した。結晶学的作図は、ORTEP(Johnson,C.K.ORTEPIII,Report ORNL−6895,Oak Ridge National Laboratory(オークリッジ国立研究所),米国テネシー州、1996年。ウィンドウズV1.05用OPTEP−3,Farrugia,L.J.,J.Appl.Cryst.1997,30,565)、CAMERON(Watkin,D.J.;Prout,C.K.;Pearce,L.J.CAMERON、Chemical Crystallography Laboratory、オックスフォード大学、オックスフォード、1996年)、及びMercury(Bruno,I.J.Cole,J.C.Edgington,P.R.Kessler,M.K.Macrae,C.F.McCabe,P.Pearson,J.及びTaylor,R.Acta Crystallogr.,2002 B58,389)のプログラムを用いて得た。
【0094】
データ収集用の格子定数と配列マトリクスは、2°<θ<25°の範囲の39725の反射のセッティング角を用いて最小二乗精密化から得た。DENZO/SCALEPACK(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)から得られた精密化モザイク度(mosaicity)は0.37°で、良好な結晶の質を示していた。空間群は、ABSEN(McArdle,P.C.J.Appl.Cryst.1996,29,306)のプログラムによって決定した。系統的不在はなく、空間群は
【外5】
【0095】

【0096】
と判定された。
データは、150±1Kの温度で、最大2θ値50.04°まで収集した。
データ整理
全部で39725の反射を収集し、そのうちの20104が固有であった。フレームはDENZO−SMN(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)を用いて積分した。ローレンツ補正及び偏光補正をデータに適用した。Mo Kα放射線の場合、線吸収係数は0.99cm−1である。SCALEPACK(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)を用いる実験的吸収補正を適用した。透過係数は0.949〜0.985の範囲であった。等価な反射の強度は平均化した。平均化の一致因子は強度を基にして7.7%であった。
【0097】
構造の解析と精密化
構造は、SIR2002(Burla,M.C.;Camalli M.;Carrozzini B.;Cascarano G.L.;Giacovazzo C.;Polidori G.;Spagna,R.J.Appl.Cryst.,2003,36,1103)を用いて直接法によって解析した。残っている原子は、続く差フーリエ合成で配置された。水素原子も精密化に含められたが、それらが結合している原子上に乗ることは抑制された。構造は、関数:
【0098】
【数1】

【0099】
を最小化することによって完全マトリクス最小二乗法で精密化された。
重みwは、1/[σ(F)+(0.0337P)+(0.0000P)]と定義される。ここでP=(F+2F)/3である。
【0100】
散乱因子は“International Tables for Crystallography”(International Tables for Crystallography,Vol.C,Kluwer Academic Publishers:ドルドレヒト、オランダ、1992,Tables 4.2.6.8及び6.1.1.4.)から取った。精密化に使用した17939の反射のうち、Rの計算にはF>2σ(F)の反射だけを使用した。全部で10814の反射を計算に使用した。精密化の最終サイクルは1453個の可変パラメータを含み、重みなし及び重み付き一致因子:
【0101】
【数2】

【0102】
をもって収束した(最大パラメータシフトはその推定標準偏差の0.002倍であった)。
単位重みの観察の標準偏差は0.919であった。最終の差フーリエにおける最高ピークは0.20e/Åの高さを有していた。最小の負のピークは−0.22e/Åの高さを有していた。
【0103】
算出X線粉末回折(XRPD)パターン
Cu放射線についての算出XRPDパターンを、PowderCell 2.3と単結晶データから得られた原子座標、空間群、及び単位格子パラメータを用いて作成した。
【0104】
パッキングダイヤグラム
パッキングダイヤグラムは、CAMERON(Watkin,D.J.;Prout,C.K.;Pearce,L.J.CAMERON、Chemical Crystallography Laboratory、オックスフォード大学、オックスフォード、1996年)モデリングソフトウェアを用いて作成した。追加の図はMercury 1.2モデリングソフトウェアを用いて作成した。
【0105】
実施例7.フォームAからフォームIへの転換
約100mgのエファプロキシラールナトリウム・フォームAを20mLのガラス製バイアルに入れた。このバイアルを蓋をせずに、75%の相対湿度で約24時間、周囲温度相対湿度ジャーに入れて置いた。
【0106】
実施例8.エファプロキシラールナトリウム・フォームAの水分バランス実験
ある量のフォームAを相対湿度(RH)約0%で秤量パンに乗せた。RHを次第に上げて約95%にし(吸着)、次いで下げて約5%のRHに戻した(脱着)。この間、固体材料の重量を測定した。結果を図10に示す。結果から、フォームAは、RHを約85%RHに上げると4水和物のフォームI(約4モルの水/1モルのエファプロキシラールナトリウムを得る)に転換し、次いで湿度をさらに約95%RHに上げると7水和物のフォームJ(さらに約3モルの水/1モルのエファプロキシラールナトリウムを得る)に転換することが示唆される。次に湿度を下げると、該固体材料は、湿度が約20%RHに低下すると約3モルの水/1モルのエファプロキシラールナトリウムを失うようであり、フォームJは結晶格子から水が除去されてフォームIに転換することが示唆される。得られたフォームIは、湿度をさらに約5%RHに下げると4モルよりわずかに少ない水を失う。得られた固体材料はアモルファスのエファプロキシラールナトリウムである(実施例16も参照)。
【0107】
実施例9.フォームAからフォームJへの転換
約100mgのエファプロキシラールナトリウム・フォームAを乳鉢・乳棒に入れた。水を加え(40μL)、材料を約30秒間すりつぶした。
【0108】
実施例10.フォームIからフォームCへの転換
約75mgのフォームJのエファプロキシラールナトリウムを20mLのガラス製バイアルに入れた。該バイアルを蓋をせずに80℃のオーブンに約3時間入れて置いた。オーブンは周囲圧であった(真空不使用)。
【0109】
実施例11.フォームJからフォームCへの転換
約75mgのエファプロキシラールナトリウム・フォームJを20mLのガラス製バイアルに入れた。該バイアルを蓋をせずに80℃のオーブンに周囲圧で約3時間入れて置いた。
【0110】
実施例12.エタノールとアセトン中のフォームAからの再結晶化中のフォームG及びフォームQの形成
エファプロキシラールナトリウム・フォームA(1125.7mg)を48℃のエタノール3250μL中に完全に溶解した。アセトン(7600μL)を1分間かけてゆっくり加えた。フォームGとフォームQはこのとき反応器中に形成された。1分50秒後、さらに6250μLのアセトンを加え、反応器を約25℃に、次いで約15℃に放冷した。この間の反応器中の固体材料はフォームQであった。最初のアセトン添加から約10分経過後、得られた粉末状白色固体を減圧ろ過によって回収し、6000μLのアセトンで洗浄し、52℃の真空オーブン中で乾燥させた。14時間の乾燥後、及び32時間の乾燥後も、乾燥固体はフォームQであることが分かった。
【0111】
実施例13.フォームAからフォームGへの転換
9:1のアセトニトリル/エタノール中にフォームAのエファプロキシラールナトリウムのスラリーを調製した。該スラリー材料はフォームGを含むことが分かった。
【0112】
実施例14.メタノールからの再結晶化によるフォームFの製造
エファプロキシラールナトリウムの濃縮溶液をメタノール中に調製した(飽和していない、正確な濃度は不明)。溶液の一部(0.5mL)を1ドラムのガラス製バイアルに入れた。次にこの1ドラムバイアルを蓋をせずに、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)4mL入りの大きい20mLガラス製バイアル内部に置いた(蒸気拡散)。この大きい方のバイアルに蓋をしてサンプルを周囲条件で放置し、結晶化させた。典型的なサンプルの形態は針状又は繊維状と観察された(フォームF)。
【0113】
実施例15.フォームFのエファプロキシラールナトリウムの単結晶構造決定
サンプル調製
フォームFのエファプロキシラールナトリウム結晶をエファプロキシラールナトリウムのメタノール/アセトニトリルスラリーから得た。
【0114】
データ収集
概寸0.38×0.35×0.11mmを有する無色板状のC2126NNaOをランダム配列でグラスファイバ上にマウントした。予備試験及びデータ収集は、Mo Kα放射線(λ=0.71073Å)を用い、Nonius KappaCCD回折計で実施した。構造精密化は、SHELX97(Sheldrick,G.M.SHELX97、A Program for Crystal Structure Refinement(結晶構造精密化のためのプログラム)、ゲッティンゲン大学、ドイツ、1997年)を用い、LINUX PCで実施した。結晶学的作図は、ORTEP(Johnson,C.K.ORTEPIII,Report ORNL−6895,Oak Ridge National Laboratory(オークリッジ国立研究所),米国テネシー州、1996年。ウィンドウズV1.05用OPTEP−3,Farrugia,L.J.,J.Appl.Cryst.1997,30,565)、CAMERON(Watkin,D.J.;Prout,C.K.;Pearce,L.J.CAMERON、Chemical Crystallography Laboratory、オックスフォード大学、オックスフォード、1996年)、及びMercury(Bruno,I.J.Cole,J.C.Edgington,P.R.Kessler,M.K.Macrae,C.F.McCabe,P.Pearson,J.及びTaylor,R.Acta Crystallogr.,2002 B58,389)のプログラムを用いて得た。
【0115】
データ収集用の格子定数と配列マトリクスは、2°<θ<23°の範囲の50155の反射のセッティング角を用いて最小二乗精密化から得た。DENZO/SCALEPACK(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)から得られた精密化モザイク度は2.95°で、結晶の質が非常に不良であることを示していた。空間群は、ABSEN(McArdle,P.C.J.Appl.Cryst.1996,29,306)のプログラムによって決定された。系統的不在はなく、空間群は
【外6】
【0116】

【0117】
と判定された。
データは、150±1Kの温度で、最大2θ値47.6°まで収集した。
データ整理
全部で50155の反射を収集し、そのうちの18687が固有であった。フレームはDENZO−SMN(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)を用いて積分した。ローレンツ補正及び偏光補正をデータに適用した。Mo Kα放射線の場合、線吸収係数は0.99cm−1である。SCALEPACK(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)を用いる実験的吸収補正を適用した。透過係数は不明の最小値〜0.99の範囲であった。等反射の強度は平均化した。平均化の一致因子は強度を基にして13.6%であった。
【0118】
構造の解析と精密化
構造は、SIR2002(Burla,M.C.;Camalli M.;Carrozzini B.;Cascarano G.L.;Giacovazzo C.;Polidori G.;Spagna,R.J.Appl.Cryst.,2003,36,1103)を用いて直接法によって解析した。残っている原子は、続く差フーリエ合成で配置された。水素原子も精密化に含められるが、それらが結合している原子上に乗ることは抑制された。構造は、関数:
【0119】
【数3】

【0120】
を最小化することによって完全行列最小二乗法で精密化された。
重みwは、1/[σ(F)+(0.0651P)+(2.9980P)]と定義される。ここでP=(F+2F)/3である。
【0121】
散乱因子は“International Tables for Crystallography”(International Tables for Crystallography,Vol.C,Kluwer Academic Publishers:ドルドレヒト、オランダ、1992,Tables 4.2.6.8及び6.1.1.4.)から取った。精密化に使用した13421の反射のうち、Rの計算にはF>2σ(F)の反射だけを使用した。全部で7593の反射を計算に使用した。精密化の最終サイクルは1592個の可変パラメータを含み、重みなし及び重み付き一致因子:
【0122】
【数4】

【0123】
をもって収束した(最大パラメータシフトはその推定標準偏差の0.004倍であった)。
単位重みの観察の標準偏差は1.03であった。最終の差フーリエにおける最高ピークは0.20e/Åの高さを有していた。最小の負のピークは−0.24e/Åの高さを有していた。
【0124】
算出X線粉末回折(XRPD)パターン
Cu放射線についての算出XRPDパターンを、PowderCell 2.3と単結晶データから得られた原子座標、空間群、及び単位格子パラメータを用いて作成した。
【0125】
パッキングダイヤグラム
パッキングダイヤグラムは、CAMERON(Watkin,D.J.;Prout,C.K.;Pearce,L.J.CAMERON、Chemical Crystallography Laboratory、オックスフォード大学、オックスフォード、1996年)モデリングソフトウェアを用いて作成した。追加の図はMercury 1.2モデリングソフトウェアを用いて作成した。
【0126】
実施例16.アモルファスのエファプロキシラールナトリウム
アモルファスのエファプロキシラールナトリウムは、5:1のジオキサン/水に溶解したエファプロキシラールナトリウムの凍結乾燥によって得られた。
【0127】
実施例17.エファプロキシラールナトリウムの製剤化
実施例1及び4に記載のようにして製造されたエファプロキシラールナトリウムのサンプルを製剤として使用するために以下のように調合した。1L体積のフラスコに塩化ナトリウム(2.25g)、無水リン酸一ナトリウム(135mg)及びリン酸二ナトリウム7水和物(7mg)を加え、次いで約800mLの脱イオン水を加えた。該混合物を全ての固体が溶解するまで混合した。この溶液にエファプロキシラールナトリウム(21.3g)を加えた。該混合物を全ての固体が溶解するまで再度混合した。次に得られた溶液のpHを0.1NのHClを用いておよそ7.9に調整した。最後に該溶液を脱イオン水を用いて希釈した。得られた溶液は製剤化されたエファプロキシラールナトリウム製剤である。製造されたエファプロキシラールナトリウム製剤のサンプル(50mL)を50mLのガラスシリンジに入れた。このシリンジに3個の0.22μm、25mmの使い捨てシリンジフィルタ(フィルタ面積3.9cm)の一つを取りつけた。次に該溶液を約8mL/分の速度で選択されたフィルタに注入した。全50mLのろ液をきれいなガラス容器に回収した。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】エファプロキシラールナトリウムの結晶形態〜アモルファス形態の観察された相互転換を示す図である。
【図2】フォームAのエファプロキシラールナトリウムのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図である。
【図3】フォームAのエファプロキシラールナトリウムのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す図である。
【図4】フォームBのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図5】フォームBのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図6】フォームAのエファプロキシラールナトリウムを描いたORTEPを示す図である(原子は、確率50%の異方性熱振動楕円体によって表されている)。示された非対称単位は、6個のナトリウムカチオンに配位している6個のエファプロキシラール分子を含有している。
【図7】エファプロキシラールナトリウムの提案される構造を示す図である。
【図8】フォームIのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図9】フォームIのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図10】エファプロキシラールナトリウムのサンプル(フォームAとして出発)の重量変化%(及び等価のHOモル数)対相対湿度をプロットした図である。まずエファプロキシラールナトリウムのサンプルを取り巻く環境の湿度を5%未満から約95%に上げ(白丸は吸着のトレースを示す)、次いで湿度を約5%に下げ戻した(黒丸は脱着のトレースを示す)。
【図11】フォームJのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図12】フォームJのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図13】フォームCのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図14】フォームCのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図15】フォームPのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図16】フォームPのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図17】温度を周囲温度から165℃に上げた際のフォームPのエファプロキシラールナトリウムのサンプルによる重量減のパーセント割合を示す図である。
【図18】温度を周囲温度から165℃に上げた際にフォームPのエファプロキシラールナトリウムから失われた揮発性物質のFTIRスペクトル(上図)がエタノールのFTIRスペクトル(下図)と同じであることを示す図である。
【図19】加熱前のフォームPのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターン(上図)とフォームPのエファプロキシラールナトリウムを165℃に加熱した後に残る固体物質のXRPDパターンを示す図である。
【図20】フォームGのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図21】フォームQのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図22】フォームQのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図23】温度を周囲温度から165℃に上げた際のフォームQのエファプロキシラールナトリウムのサンプルによる重量減のパーセント割合を示す図である。
【図24】温度を周囲温度から165℃に上げた際にフォームQのエファプロキシラールナトリウムから失われた揮発性物質のFTIRスペクトル(上図)がアセトンのFTIRスペクトル(下図)と同じであることを示す図である。
【図25】加熱前のフォームQのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターン(上図)とフォームQのエファプロキシラールナトリウムを165℃に加熱した後に残る固体物質のXRPDパターンを示す図である。
【図26】フォームFのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。
【図27】フォームFのエファプロキシラールナトリウムのFTIRスペクトルを示す図である。
【図28】フォームFのエファプロキシラールナトリウムを描いたORTEPを示す図である(原子は、確率50%の異方性熱振動楕円体によって表されている)。示された非対称単位は、6個のナトリウムカチオンに配位した6個のエファプロキシラールとメタノール分子を含有している。
【図29】アモルファスのエファプロキシラールナトリウムのXRPDパターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に3.2±0.2°及び9.7±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンを有する非溶媒和結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項2】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に7.6±0.2°、8.2±0.2°、12.9±0.2°、15.3±0.2°、16.4±0.2°、17.4±0.2°、及び18.5±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つの更なるピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項1に記載の非溶媒和結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項3】
3274±2cm−1、955±2cm−1及び736±2cm−1からなる群から選ばれる少なくとも一つの吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の非溶媒和結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項4】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に11.5±0.2°、14.0±0.2°、及び19.4±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンを有する非溶媒和結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項5】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に8.6±0.2°、15.1±0.2°、16.5±0.2°、18.0±0.2°、及び20.6±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つの更なるピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項4に記載の非溶媒和結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項6】
3289±2cm−1、1338±2cm−1及び730±2cm−1からなる群から選ばれる少なくとも一つの吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の非溶媒和結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項7】
エファプロキシラールナトリウムと、水、エタノール、メタノール及びアセトンからなる群から選ばれる溶媒とを含む結晶性溶媒和物。
【請求項8】
溶媒が水である、請求項7に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項9】
エファプロキシラールナトリウム1モルあたり4モル未満の水を含む、請求項8に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項10】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に7.7±0.2°の2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項11】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に3.1±0.2°、9.4±0.2°、12.5±0.2°及び15.6±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つの更なるピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項10に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項12】
2225±2cm−1に吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項8、9、10、又は11のいずれか1項に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項13】
エファプロキシラールナトリウム1モルあたり約4モルの水を含む、請求項8に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項14】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に11.0±0.2°の2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項8又は請求項13に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項15】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に2.7±0.2°、8.2±0.2°、14.7±0.2°、15.7±0.2°、及び16.1±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つの更なるピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項14に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項16】
エファプロキシラールナトリウム1モルあたり約7モルの水を含む、請求項8に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項17】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合に2θが19.2±0.2°のピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項8又は請求項16に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項18】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、12.1±0.2°及び12.8±0.2°の2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項8又は請求項16に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項19】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、3.2±0.2°、14.7±0.2°、15.7±0.2°、及び16.1±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つの更なるピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項17又は請求項18に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項20】
3618±2cm−1、1921±2cm−1、及び1028±2cm−1からなる群から選ばれる少なくとも一つの吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項8、16、17、18又は19のいずれか1項に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム水和物。
【請求項21】
溶媒がエタノールである、請求項7に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項22】
エファプロキシラールナトリウム1モルあたり約1モルのエタノールを含む、請求項21に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項23】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、3.0±0.2°及び3.8±0.2°の2θにピークを欠くX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項21又は請求項22に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項24】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、10.2±0.2°、16.7±0.2°、及び17.6±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項21又は請求項22に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項25】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、8.3±0.2°、8.5±0.2°、11.6±0.2°、13.0±0.2°、14.6±0.2°、18.1±0.2°、及び20.5±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項23又は請求項24に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項26】
3086±2cm−1、1088±2cm−1、及び903±2cm−1からなる群から選ばれる少なくとも一つの吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項22又は23〜25のいずれか1項に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項27】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、3.0±0.2°、3.8±0.2°、6.5±0.2°、9.2±0.2°、及び12.2±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンを有する、請求項21に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項28】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、3.0±0.2°及び3.8±0.2°の2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項29】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、7.7±0.2°、8.4±0.2°、13.4±0.2°、15.4±0.2°、15.8±0.2°、16.2±0.2°、18.3±0.2°、19.3±0.2°、19.8±0.2°、及び20.1±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つの更なるピークを有するX線粉末回折パターンをさらに特徴とする、請求項27又は請求項28に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項30】
溶媒がアセトンである、請求項7に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項31】
エファプロキシラールナトリウム1モルあたり約1モル〜約1/2モルのアセトンを含む、請求項30に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項32】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、3.7±0.2°、6.5±0.2°、8.4±0.2°、16.2±0.2°、18.3±0.2°、19.4±2°、19.8±0.2°、及び20.1±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項30又は請求項31に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項33】
3380±2cm−1、1701±2cm−1、及び1645±2cm−1からなる群から選ばれる少なくとも一つの吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項30、31、又は32のいずれか1項に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項34】
溶媒がメタノールである、請求項7に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項35】
エファプロキシラールナトリウム1モルあたり約1モルのメタノールを含む、請求項34に記載の結晶性溶媒和物。
【請求項36】
銅放射線源(CuKα λ=1.54Å)から得られた場合、4.3±0.2°、8.9±0.2°、9.2±0.2°、11.5±0.2°、13.8±0.2°、14.3±0.2°、15.8±0.2°、16.2±0.2°、17.8±0.2°、及び18.7±0.2°からなる群から選ばれる2θに少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項34又は請求項35に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項37】
747±2cm−1、1053±2cm−1、1338±2cm−1、及び1562±2cm−1からなる群から選ばれる少なくとも一つの吸収バンドを示す反射フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルをさらに特徴とする、請求項34、35、又は36のいずれか1項に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム溶媒和物。
【請求項38】
アモルファスのエファプロキシラールナトリウム。
【請求項39】
請求項1〜37のいずれか1項に記載の結晶性エファプロキシラールナトリウム形態又は請求項38に記載のアモルファスエファプロキシラールナトリウム形態、及び一つ以上の製薬学的担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬製剤。
【請求項40】
エファプロキシラールナトリウムの水溶液の調製法であって、請求項1〜38のいずれか1項に記載の固体のエファプロキシラールナトリウムを、水を含む溶液中に溶解することを含む方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法に従って製造されたエファプロキシラールナトリウムの水溶液。
【請求項42】
フォームAの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法であって、該方法は、
(a)エファプロキシラールナトリウムを水に溶解して水溶液を形成し;
(b)前記水溶液を約50℃の温度に維持しながら濃縮して最大量の水を除去し;
(c)該濃縮水溶液にエタノールを加えて水分含有量約15重量%未満の混合物を得;
(d)(c)のエタノール/水混合物を、該エタノール/水混合物からエファプロキシラールナトリウムを析出させることなく冷却し;
(e)該エタノール/水混合物にアセトンを加えて結晶性エファプロキシラールナトリウムを析出させ;そして
(f)ステップ(d)の混合物を撹拌しながら約25℃未満に冷却する
ことを含む方法。
【請求項43】
フォームBの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法であって、該方法は、
(a)エファプロキシラールナトリウムを加熱しながらアセトンと水に溶解して溶液を形成し;そして
(b)前記溶液を冷却してエファプロキシラールナトリウム結晶を析出させる
ことを含む方法。
【請求項44】
フォームAの結晶性エファプロキシラールナトリウムを高相対湿度でインキュベートすることを含むフォームIの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項45】
フォームAの結晶性エファプロキシラールナトリウムを水中でスラリー化することを含むフォームJの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項46】
フォームIの結晶性エファプロキシラールナトリウム又はフォームJの結晶性エファプロキシラールナトリウムを脱水することを含むフォームCの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項47】
フォームQの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法であって、
(a)エファプロキシラールナトリウムを高めた温度で撹拌しながらエタノールに溶解し;
(b)撹拌を続けながら(a)の溶液にアセトンを加え;
(c)撹拌を続けながら(b)の溶液を25℃未満に冷却し、結晶性エファプロキシラールナトリウムを形成させる
ことを含む方法。
【請求項48】
フォームAの結晶性エファプロキシラールナトリウムをアセトニトリルとエタノールの混合物中でスラリー化することを含むフォームGの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項49】
エファプロキシラールナトリウムをメタノールに溶解し、前記メタノールを蒸気拡散を用いて除去することを含むフォームFの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項50】
エファプロキシラールナトリウムをエタノールに溶解し、前記溶液を冷却して結晶性エファプロキシラールナトリウムを析出させることを含むフォームPの結晶性エファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項51】
請求項42〜50のいずれか1項に記載の方法によって製造される結晶性エファプロキシラールナトリウム。
【請求項52】
ジオキサンと水に溶解したエファプロキシラールナトリウムを凍結乾燥することを含むアモルファスのエファプロキシラールナトリウムの製造法。
【請求項53】
全身又は組織低体温、低酸素又は低血圧、創傷、脳外傷、糖尿病性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、組織移植、脳卒中又は脳虚血、虚血又は酸素欠乏、急性呼吸窮迫症候群及び慢性閉塞性肺疾患を含む呼吸器疾患、外科的失血、敗血症、多臓器不全、定容量性血液希釈過程、一酸化炭素中毒、バイパス手術、発がん性腫瘍、及び胎児の酸素欠乏からなる群から選ばれる状態の治療法であって、前記状態を患っている又は経験している患者に、十分な量の請求項1〜39、41及び51のいずれか1項に記載の組成物を投与するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2007−534684(P2007−534684A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509653(P2007−509653)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/013709
【国際公開番号】WO2005/102308
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(504380286)アロス・セラピューティクス・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】