エラストマー結合剤と定着剤とを有するアノード組成物
エラストマーポリマー結合剤と、前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、電気導電性希釈剤と、前記粒子、前記希釈剤、および前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤と、を含有するアノード組成物。これらの組成物から製造されたアノードを特徴とするリチウムイオン電池もまた、特徴とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次リチウム電池に有用なアノード材料に関する。
【背景技術】
【0002】
二次リチウム電池用のアノードとして2つのクラスの材料が提案されている。1つのクラスには、リチウムを挿入することができる、黒鉛および炭素の他の形状の材料がある。挿入アノードは概して良好なサイクル寿命およびクーロン効率を示すが、それらの容量は比較的低い。
【0003】
第2のクラスには、リチウム金属を合金する金属がある。これらの合金タイプのアノードは概して挿入タイプのアノードに比べて、より高い容量を示すが、それらは比較的不十分なサイクル寿命およびクーロン効率となる。1つの理由は、合金タイプのアノードが充電および放電の間に非常に大きな容積変化があることである。これは、アノードを形成する活性な粒子、導電性希釈剤(例えば、炭素)粒子、および結合剤の間の電気的接触の低下をもたらす。そして次に、電気的接触の低下は、アノードのサイクル寿命にわたって容量および速度能力の減少をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サイクルを繰り返した後でも保持される高い初期容量をアノード組成物が有する、二次リチウム電池に使用するのに適したアノード組成物を提供する。前記アノード組成物、およびこれらの組成物を混入する電池はまた、容易に製造される。これらの目的を達成するために、本発明は、電気導電性希釈剤と共にエラストマーポリマー結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、前記活性な粒子、前記希釈剤、および前記結合剤との間の接着力を促進する定着剤(adhesion promoter)と、を含有するアノード組成物を特徴とする。「電気化学的活性な金属粒子」は、リチウム電池内の充電および放電の間に典型的に遭遇する条件下でリチウムと反応する金属粒子である。
【0005】
上述のアノード組成物を含有するリチウム電池を様々な用途において電源として用いてもよい。例としては、自動車、コンピュータ、動力工具、および電気通信デバイスのための電源などがある。
【0006】
本発明の他の特徴および利点は、それらの好ましい実施態様の以下の説明から、およびクレームから明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
アノード組成物が、エラストマーポリマー結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と電気導電性希釈剤と、前記活性な粒子、前記希釈剤、前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤とを含有する。定着剤とエラストマーポリマー結合剤との組み合わせが、サイクルの間にもたらされた容積変化を緩和し、それによって、ほかの場合ならアノードのサイクル寿命にわたって容量および速度能力の減少をもたらすことがある電気的接触の低下を最小にする。
【0008】
適した電気化学的活性な金属粒子の例には、ターナー(Turner)らの米国特許第6,203,944号明細書、ターナーの米国特許第6,255,017号明細書、2000年12月29日に出願された「非晶質電極組成物」(“Amorphous Electrode Compositions”)と題されたターナーらの米国特許出願第09/751,169号明細書、および2001年6月18日に出願された「サイクル挙動を改良した電極組成物」(“Electrode Compositions Having Improved Cycling Behavior”)と題されたクラウス(Krause)らの米国特許出願第09/883,865号明細書に記載されたタイプの金属合金粒子がある。これらの特許および特許出願の各々が、本出願と同一の譲受人に譲渡される。
【0009】
前述のクラウスらの米国特許出願第09/883,865号明細書に記載された複合粒子が特に重要である。これらの複合粒子は、電気化学的活性な金属粒子および前記金属粒子を部分的に覆う電気導電層を含有する。1つの態様において、前記層が、複合粒子の約75重量%以下の量において存在する。好ましくは、前記層が複合粒子の約50重量%以下の量において存在してもよく、複合粒子の約25重量%以下の量において存在してもよい。第2の態様において、前記層が複合粒子の約75容積%以下の量において存在し、複合粒子の約50容積%または25容積%以下の量において存在してもよい。前記層は、サイクルの間の電気化学的活性な金属粒子と電気導電性希釈剤粒子との間の電気的接触の低下を低減することによってアノードの効率を改良する。
【0010】
「電気化学的活性な金属」は、リチウム電池内の充電および放電の間に典型的に遭遇する条件下でリチウムと反応する金属である。対照的に、「電気化学的不活性な金属」は、それらの条件下でリチウムと反応しない金属である。両方の場合において、用語「金属」は、時々「メタロイド」とも称されるケイ素などの材料を含める。
【0011】
「電気導電層」は、少なくとも半導電性の範囲、例えば、おおよそ約10-6ohm-1cm-1以上の、バルク電気導電率を有する層である。
【0012】
「部分的に覆う」という表現は、複合粒子がリチウム電解質塩を含有する電解質と接触している時に、層が、電解質を下にある金属粒子に到達させることを意味する。いくつかの場合には、下にある金属粒子材料がX線光電子分光分析法(XPS)を用いて検出可能であるように、これは、層が粒子上の不連続なコーティングの形である配置を必要とする。他の場合では、層は、電解質が層に浸透して下にある金属粒子に達することができるように多孔性であってもよい。多孔度は、前述のクラウスらの米国特許出願第09/883,865号明細書に記載されているように定義および計算される。好ましくは、層が約90%のオーダーの多孔度を有する。
【0013】
電気化学的活性な金属粒子のために適した金属の例には、銀、アルミニウム、ケイ素(例えば、非晶質ケイ素)、スズ、アンチモン、鉛、ゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ビスマス、およびインジウムなどがある。前記粒子が、これらの金属の1種以上を含有してもよい。前記粒子はまた、1種以上の電気化学的不活性な金属を含有してもよい。適した電気化学的不活性な金属の例には、IB族〜VIIB族元素の金属、ならびにVIII族および希土類元素の金属がある。具体例を挙げると、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、La、Hf、Ta、W、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、およびSmなどがある。この群のうち、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、ニッケル、マンガン、および銅が好ましい。
【0014】
電気導電層のために適した材料の例には、銅、クロム、ニッケル、銀、およびそれらの組み合わせなどの金属がある。
【0015】
エラストマーポリマー結合剤は、フルオロエラストマー結合剤であるのが好ましい。適したフルオロエラストマー結合剤の例には、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、またはブチレン)、フルオロオレフィン(例えば、フッ化ビニリデン)、ペルフルオロオレフィン(例えば、ヘキサフルオロプロピレン)、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、およびそれらの組み合わせなどのモノマーから誘導された単位を有するフルオロエラストマーがある。具体例を挙げると、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとプロピレンとのターポリマー、およびフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーがある。市販のフルオロエラストマーには、商品名FC−2178、FC−2179、およびBRE−7131X(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLC((Dyneon,LLC,Oakdale,MN))として販売されているフルオロエラストマーがある。
【0016】
エラストマーポリマー結合剤が架橋されるのが好ましい。架橋はポリマーの機械的性質を改良するだけでなく、活性な粒子と電気導電性希釈剤との間の十分な接触をもたらすのを助ける。
【0017】
アノード組成物中に含有された電気導電性希釈剤が、電子を電気化学的活性な金属粒子から集電装置に搬送するのを助ける。有用な希釈剤の例には、微細粉末炭素材料、金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化物、および金属ホウ化物などがある。適した炭素材料の例には、ベルギーのMMMカーボン(MMM Carbon)のスーパーPおよびスーパーSカーボンブラック、テキサス州、ヒューストンのシェブロン・ケミカル・カンパニー(Chevron Chemical Co.,Houston,TX)のシャワニガンブラック(Shawanigan Black)、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、黒鉛、およびカーボンファイバーなどがある。
【0018】
アノード組成物が、電気化学的活性な金属粒子、導電性希釈剤、および結合剤の間の接着力を促進する定着剤を含有する。定着剤が、(例えば、官能基の形で)結合剤の一部を形成してもよく、または電気化学的活性な金属粒子の表面に適用されたコーティングの形態であってもよい。後者の材料の例は周知であり、シラン、チタネート、およびホスホネートなどがある。
【0019】
有用なシランの例には、ビニルトリエトキシ−シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、γ−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシ−シラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびフェニルトリメトキシシランなどがある。
【0020】
有用なチタネートの例には、チタンN−(トリエタノールアミナト)−イソプロポキシドおよびデュポン(Dupont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))から商品名タイザー(TYZOR)として市販のチタネートなどがある。さらに別の例には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフィット)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフィット)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジトリデシル)ホスフィットチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、およびジイソステアロイルエチレンチタネートなどがある。
【0021】
有用なホスホネートの例には、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホン酸などがある。アノード組成物は好ましくは、電気化学的活性な金属粒子を少なくとも50重量%、好ましくはこれらの粒子を少なくとも75重量%含有する。定着剤が電気化学的活性な金属粒子のコーティングとして含有される場合、それは電気化学的活性な金属粒子100重量部当たり約0.1〜20部の範囲の量、好ましくは電気化学的活性な金属粒子100重量部当たり1〜10部で存在する。前記コーティングが、粒子の表面を完全にまたは部分的に覆ってもよい。
【0022】
前記アノード組成物は、リチウムイオン電池において特に有用である。電池を作製するために、溶剤ベースのスラリーの形のアノード組成物が、従来のコーティング技術を用いて裏材として塗布され、乾燥されてアノードを形成する。次いでアノードを電解質およびカソードと組合わせる。
【0023】
電解質が固体または液体電解質であってもよい。固体電解質の例には、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含有コポリマー、およびそれらの組み合わせなどのポリマーの電解質がある。液体電解質の例には、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、およびそれらの組み合わせなどがある。電解質はリチウム電解質塩を与えられる。適した塩の例には、LiPF6、LiBF4、およびLiClO4がある。
【0024】
液体電解質含有電池のために適したカソード組成物の例には、LiCoO2、LiCo0.2Ni0.8O2、およびLiMn2O4がある。固体電解質含有電池のために適したカソード組成物の例には、LiV3O8およびLiV2O5がある。
【0025】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0026】
A.スパッタリングの手順
Si/Sn電気化学的活性な金属粒子を以下のようにスパッタリングによって調製した。
【0027】
スパッタコータが、組成Si(63st.%)、Sn(33at.%)、およびCu(4at.%)の、長さ6インチの水冷スパッタリングターゲットを備えた。前記ターゲットは、直径4インチ(ID)の銅シリンダ内に同心円状に配置された。従来の荒引きポンプによって補強されたCTI−クライオジェニクス オン−ボード(CTI−CRYOGENICS ON−BORD)(登録商標)高真空クライオポンプおよびレイボウルド(Leybold)高真空ターボポンプモデル220を用いてコータを排気した。5.5kWにおいて動作するアドバンストエネルギー(ADVANCED ENERGY)MDXIIdc電源によってターゲットに電力供給した。約8.5ミリトルの分圧のアルゴン雰囲気中でスパッタリングする間、非晶質合金の層をシリンダの内壁に堆積した。スパッタリング運転の終了後に、シリンダをスパッタリング室から除去し、堆積物をシリンダから極低温放出してフレークを生じた。次いでフレークを粉砕して大きさの調整をし、アノードの作製に使用する粒子を形成した。
【0028】
B.メルトスピニングの手順
Al/Mn/Si電気化学的活性な金属粒子を、以下のようにメルトスピニングによって製造した。
【0029】
組成物Al(61at.%)、Mn(9at.%)、およびSi(30at.%)のインゴットを、ペンシルベニア州、バトラーのソフィスティケイテッド・アロイ社(Sophisticated Alloy Inc.,Butler,PA)から購入した。石英管を研削して直径0.030インチの大きさのオリフィスを形成した。約10gのインゴットチャンクを前記管内に置き、その後、真空室内の銅コイル中にその管を吊り下げた。管を加圧アルゴンの供給源に接続した。管のノズルを、ノズルチップ間0.048インチの高さ、直径8インチCu/Beホイールの表面に調節した。真空室を90ミリトルに排気し、100トルの過剰圧力をアルゴン貯蔵タンクと真空室の内側との間に維持した。Cu/Beホイールを4500rpmの速度で回転させ、十分な高周波動力を銅コイルに供給して誘導電磁界内のインゴット片を溶融した。インゴット片が溶けたとき、溶融金属をアルゴンタンク供給圧力によってホイール表面に射出した。そのプロセスにより、幅1〜2mmおよび厚さが約20ミルのリボンを製造した。
【0030】
C.無電解メッキの手順
以下の手順により、コアの上に20重量%の銀メッキを有する電極を製造する。使用されるメッキ試薬の量を変えることによって、異なった銀レベルを有するメッキを作製する。
【0031】
100mlの脱イオン水中に0.26グラムのKOHを溶かし、その後、1.32mlの水酸化アンモニウムおよび0.59グラムの硝酸銀(AgNO3)を添加することによって、メッキ試薬を調製した。硝酸銀と水酸化アンモニウムとを配合することにより、活性化合物Ag(NH3)2を形成し、還元糖を添加した後にそこから銀をメッキする。
【0032】
粒子の形状のコア材料0.5グラムの試料を硝酸銀溶液の26mlのアリコートと共にガラス瓶内に置き、粒状材料を沈降させない十分な速度で攪拌した。試薬の量は、20重量%の銀を有するメッキを製造するように選択された。還元糖をすみやかに分散させるために、攪拌された溶液の回転する渦動にデキストロースの25g/リットル溶液6.6mlsを急速に添加することによって、メッキプロセスを開始した。メッキ反応がすぐに始まり、急速に攪拌しながら少なくとも30分間、進行させ、その後に遠心分離機を用いて粒子状物質を分離した。残りの使用済みの溶液を傾瀉した。何度か遠心分離機内で水洗した後、メッキされた材料を一晩、約70℃の炉内で乾燥させた。得られた材料は容易に粉末になり、成功したメッキ作業を示す色変化を示した。走査型電子顕微鏡検査を用いてメッキ作業の成功を確認した。
【0033】
D.電池の作製とサイクルの手順
アノードとしてリチウム箔(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI))から入手可能な、厚さ約300マイクロメータ)を用いる複合コート箔から半電池2325サイズのコイン電池を製造した。特に別記されない限り、25マイクロメータの厚さのセルガード(CELLGARD)2400ポリエチレンセパレータを用いて前記電池を製造した。電解質はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの1:2w/w混合物に溶かした1モルのLiPF6であった。銅スペーサーを集電装置として用い、電池内のボイド領域を充填した。マコール・バッテリー・サイクラー(Maccor Battery Cycler)を用いて電池をサイクル経過させた。
【0034】
特定のアノードの作製および特性決定について以下に記載する。
【0035】
比較例1
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子550mgと、350mgのメソカーボンマイクロビード黒鉛粒子(日本の大阪ガス化学(Osaka Gas Chemical Co.,Ltd.)から入手可能なMCMB10−28)と、50:50重量比のポリフッ化ビニリデン(デュポンから商品名KYNAR461として入手可能な「PVDF」)とNMP(N−メチルピロリジノン)中のスーパーP(SP)導電性炭素(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチから入手可能)を含有する固形分6%溶液1.66gと、1gのNMPとを混合することによって、スラリーを製造した。混合物を10分間、高剪断下で攪拌し、次に10ミルギャップのノッチバーコータを用いて0.5ミルのCu箔上に塗布した。コーティングを110℃において4時間真空中で乾燥させ、(重量%)55%のSi/Sn/Ag、35%のMCMB10−28、5%のPVDF、および5%のSP炭素を有する複合コーティングを製造した。このコーティングを45%の多孔度にカレンダー加工し、次に110℃において4時間、真空中で再乾燥させた。
【0036】
半電池を上述のようにコート箔から製造し、0.5mA/cm2の電流密度を用いて0.28V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。電池(Aと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0037】
比較例2
比較例1の手順に従ったが、ただし、MCMB、PVDF、およびSP炭素成分を添加する前に10分間、粒子を60mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチから入手可能)と共に1gのNMP中で攪拌した。0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.20V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいて半電池をサイクル経過させた。電池(Bと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0038】
比較例3
20gのフルオロエラストマーBRE−7131X(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLCから入手可能)を80gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解することによって、ポリマー原液を製造した。高剪断ミキサを用いて、10gのこの溶液を2gのSP炭素、120mgのMAGLITE Y(イリノイ州、ベッドフォードパークのC.P.ホール・カンパニー(C.P.Hall Company,Bedford Park,IL)から入手可能)、40mgの水酸化カルシウムHP(C.P.ホール・カンパニーから入手可能)、および38gのMEKと30分間、混合し、固形分約8%のポリマー/炭素懸濁液を製造した。
【0039】
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子550mgと、350mgのMCMB10−28と、固形分8%のポリマー/炭素懸濁液1.25gと、1gのMEKとを混合することによって、スラリーを製造した。スラリーを10分間、高剪断下で攪拌し、次いでCu箔上に塗布し、24時間、110℃において乾燥させ、60%の多孔度にカレンダー加工し、比較例1に記載したように再乾燥させて、コート箔アノードを製造した。
【0040】
半電池を上述のようにコート箔から製造し、および0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.25V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。電池(Cと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0041】
実施例1
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子550mgを60mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤と共に1gのMEK中で10分間、攪拌した。次に、350mgのMCMB10−28と、50:50重量比のフルオロエラストマーBRE−7131XとSP炭素とをMEK中に溶かした固形分8%の溶液(比較例3に記載されたように調製した)1.25gとを添加した。得られた混合物を用いて、比較例3に記載された手順に従ってコートCu箔アノード(箔の厚さ=12ミクロン)を製造した。半電池を上述のようにコート箔から製造し、0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.2V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。電池(Dと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0042】
図1に示された結果は、定着剤とエラストマーポリマー結合剤とを配合することにより、定着剤の無い(比較例3)、エラストマーポリマー結合剤の無い(比較例2)、または両方とも無いアノード(比較例1)と比べて電荷容量に対して改良された性能を示すアノードをもたらすことを示す。
【0043】
実施例2〜5
銀コート非晶質Si/Sn粒子に、実施例1に記載したように様々な定着剤(AP1〜AP4、表1を参照)を配合したが、ただし、粒子を定着剤と共に4日間、攪拌した。複合コーティングを調製し、実施例1に記載したように銅箔上に塗布した。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1に記載されたように電池を作製し、サイクル経過させた。サイクルの結果を図2に示す。図2に示された結果は、エラストマーポリマー結合剤と組合わせた各々の定着剤が、電荷容量対サイクル寿命の点から良好な性能を示すアノードをもたらしたことを示す。特に、各アノードが、定着剤を用いずにおよび非エラストマーポリマー結合剤を用いて調製されたアノード(比較例1)に比べてすぐれた性能をもたらした。
【0046】
実施例6
40gのフルオロエラストマーFC−2178(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLCから入手可能)を160gのMEK中に溶解することによってポリマー原液を製造した。高剪断ミキサを用いて、15gのこの溶液を7gのSP炭素、180mgのマグライト(MAGLITE) Y、90mgのDIAK#3アミン硬化剤(コネチカット州、ノーウォークのR.T.ヴァンダービルト社(R.T.Vanderbilt Company,Inc.,Norwalk,CT)から入手可能なN,N’−ジシンナミリデン−1,6−へキサンデジアミン)、および144gのMEKと60分間、混合し、固形分約6%の炭素/ポリマー(70/30w/w)懸濁液を製造した。
【0047】
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子800mgを80mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤と共に1gのMEK中で周囲温度において2日間、攪拌した。次に、上記の固形分6%の70/30SP/FC2178懸濁液3.34gを添加した。混合物を5分間、高剪断下で攪拌し、次いで実施例1の手順に従って12ミクロンのCu箔上に塗布し、コート箔アノードを形成した。半電池を上述のようにコート箔から製造し、最初の3サイクルについて、0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.25V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいて、次いで1サイクルについて0.50mA/cm2の電流密度を用いて0.22V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。図3は、この実施例において作製された電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。結果は、アミン硬化エラストマーポリマー結合剤を定着剤と組合わせて使用することにより、良好なサイクル性能をもたらすことを示す。
【0048】
実施例7
半電池を実施例6に記載されたように製造し、サイクル経過させたが、ただし、使用されたフルオロエラストマーはFC−2179(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLCから入手可能)であった。図4は、この実施例において作製された電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。実施例6の場合におけるように、良好なサイクル性能が観察された。
【0049】
比較例4
半電池を実施例7に記載されたように製造し、サイクル経過させたが、ただし、定着剤を除いた。図5は、この実施例において作製された電池の電荷容量対サイクル数のプロットを示す。結果は、定着剤を用いない時に性能が減少することを示す。
【0050】
実施例8
<53ミクロンの平均粒度を有する銀コート非晶質Al/Si/Mn粒子800mgを80mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤と共に1gのMEK中で周囲温度において2日間、攪拌した。次に、固形分6%の70/30SP炭素/FC2179懸濁液(実施例7に記載されたように調製した)3.34gを添加した。混合物を5分間、高剪断下で攪拌し、次いで実施例1の手順に従って12ミクロンのCu箔上に塗布し、コート箔アノードを形成した。半電池を実施例6に記載された手順によって製造し、サイクル経過させた。図6は、この実施例において作製された電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。スパッタリングによって作製されたSi/Sn活性な粒子の場合と同様に、溶融紡糸活性粒子を定着剤およびエラストマーポリマー結合剤と組合わせて用いて作製されたアノードもまた、良好なサイクル性能を示す。
【0051】
比較例5
定着剤を用いない対照コーティングを作製および使用して、実施例8に記載されたようにアノードを製造した。このアノードを用いて半電池を作製し、同じ条件下でサイクル経過させた。図7は、対照電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。結果は、定着剤を用いなければ性能の低下をもたらすことを示す。
【0052】
本発明の多数の実施態様について記載した。にもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な改良を実施できることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1および比較例1、2、および3に記載された電池の電荷容量対サイクル数のプロットである。
【図2】実施例2〜5に記載された電池の電荷容量対サイクル数のプロットである。
【図3】実施例6に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図4】実施例7に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図5】比較例4に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図6】実施例8に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図7】比較例5に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次リチウム電池に有用なアノード材料に関する。
【背景技術】
【0002】
二次リチウム電池用のアノードとして2つのクラスの材料が提案されている。1つのクラスには、リチウムを挿入することができる、黒鉛および炭素の他の形状の材料がある。挿入アノードは概して良好なサイクル寿命およびクーロン効率を示すが、それらの容量は比較的低い。
【0003】
第2のクラスには、リチウム金属を合金する金属がある。これらの合金タイプのアノードは概して挿入タイプのアノードに比べて、より高い容量を示すが、それらは比較的不十分なサイクル寿命およびクーロン効率となる。1つの理由は、合金タイプのアノードが充電および放電の間に非常に大きな容積変化があることである。これは、アノードを形成する活性な粒子、導電性希釈剤(例えば、炭素)粒子、および結合剤の間の電気的接触の低下をもたらす。そして次に、電気的接触の低下は、アノードのサイクル寿命にわたって容量および速度能力の減少をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サイクルを繰り返した後でも保持される高い初期容量をアノード組成物が有する、二次リチウム電池に使用するのに適したアノード組成物を提供する。前記アノード組成物、およびこれらの組成物を混入する電池はまた、容易に製造される。これらの目的を達成するために、本発明は、電気導電性希釈剤と共にエラストマーポリマー結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、前記活性な粒子、前記希釈剤、および前記結合剤との間の接着力を促進する定着剤(adhesion promoter)と、を含有するアノード組成物を特徴とする。「電気化学的活性な金属粒子」は、リチウム電池内の充電および放電の間に典型的に遭遇する条件下でリチウムと反応する金属粒子である。
【0005】
上述のアノード組成物を含有するリチウム電池を様々な用途において電源として用いてもよい。例としては、自動車、コンピュータ、動力工具、および電気通信デバイスのための電源などがある。
【0006】
本発明の他の特徴および利点は、それらの好ましい実施態様の以下の説明から、およびクレームから明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
アノード組成物が、エラストマーポリマー結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と電気導電性希釈剤と、前記活性な粒子、前記希釈剤、前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤とを含有する。定着剤とエラストマーポリマー結合剤との組み合わせが、サイクルの間にもたらされた容積変化を緩和し、それによって、ほかの場合ならアノードのサイクル寿命にわたって容量および速度能力の減少をもたらすことがある電気的接触の低下を最小にする。
【0008】
適した電気化学的活性な金属粒子の例には、ターナー(Turner)らの米国特許第6,203,944号明細書、ターナーの米国特許第6,255,017号明細書、2000年12月29日に出願された「非晶質電極組成物」(“Amorphous Electrode Compositions”)と題されたターナーらの米国特許出願第09/751,169号明細書、および2001年6月18日に出願された「サイクル挙動を改良した電極組成物」(“Electrode Compositions Having Improved Cycling Behavior”)と題されたクラウス(Krause)らの米国特許出願第09/883,865号明細書に記載されたタイプの金属合金粒子がある。これらの特許および特許出願の各々が、本出願と同一の譲受人に譲渡される。
【0009】
前述のクラウスらの米国特許出願第09/883,865号明細書に記載された複合粒子が特に重要である。これらの複合粒子は、電気化学的活性な金属粒子および前記金属粒子を部分的に覆う電気導電層を含有する。1つの態様において、前記層が、複合粒子の約75重量%以下の量において存在する。好ましくは、前記層が複合粒子の約50重量%以下の量において存在してもよく、複合粒子の約25重量%以下の量において存在してもよい。第2の態様において、前記層が複合粒子の約75容積%以下の量において存在し、複合粒子の約50容積%または25容積%以下の量において存在してもよい。前記層は、サイクルの間の電気化学的活性な金属粒子と電気導電性希釈剤粒子との間の電気的接触の低下を低減することによってアノードの効率を改良する。
【0010】
「電気化学的活性な金属」は、リチウム電池内の充電および放電の間に典型的に遭遇する条件下でリチウムと反応する金属である。対照的に、「電気化学的不活性な金属」は、それらの条件下でリチウムと反応しない金属である。両方の場合において、用語「金属」は、時々「メタロイド」とも称されるケイ素などの材料を含める。
【0011】
「電気導電層」は、少なくとも半導電性の範囲、例えば、おおよそ約10-6ohm-1cm-1以上の、バルク電気導電率を有する層である。
【0012】
「部分的に覆う」という表現は、複合粒子がリチウム電解質塩を含有する電解質と接触している時に、層が、電解質を下にある金属粒子に到達させることを意味する。いくつかの場合には、下にある金属粒子材料がX線光電子分光分析法(XPS)を用いて検出可能であるように、これは、層が粒子上の不連続なコーティングの形である配置を必要とする。他の場合では、層は、電解質が層に浸透して下にある金属粒子に達することができるように多孔性であってもよい。多孔度は、前述のクラウスらの米国特許出願第09/883,865号明細書に記載されているように定義および計算される。好ましくは、層が約90%のオーダーの多孔度を有する。
【0013】
電気化学的活性な金属粒子のために適した金属の例には、銀、アルミニウム、ケイ素(例えば、非晶質ケイ素)、スズ、アンチモン、鉛、ゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ビスマス、およびインジウムなどがある。前記粒子が、これらの金属の1種以上を含有してもよい。前記粒子はまた、1種以上の電気化学的不活性な金属を含有してもよい。適した電気化学的不活性な金属の例には、IB族〜VIIB族元素の金属、ならびにVIII族および希土類元素の金属がある。具体例を挙げると、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、La、Hf、Ta、W、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、およびSmなどがある。この群のうち、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、ニッケル、マンガン、および銅が好ましい。
【0014】
電気導電層のために適した材料の例には、銅、クロム、ニッケル、銀、およびそれらの組み合わせなどの金属がある。
【0015】
エラストマーポリマー結合剤は、フルオロエラストマー結合剤であるのが好ましい。適したフルオロエラストマー結合剤の例には、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、またはブチレン)、フルオロオレフィン(例えば、フッ化ビニリデン)、ペルフルオロオレフィン(例えば、ヘキサフルオロプロピレン)、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、およびそれらの組み合わせなどのモノマーから誘導された単位を有するフルオロエラストマーがある。具体例を挙げると、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとプロピレンとのターポリマー、およびフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーがある。市販のフルオロエラストマーには、商品名FC−2178、FC−2179、およびBRE−7131X(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLC((Dyneon,LLC,Oakdale,MN))として販売されているフルオロエラストマーがある。
【0016】
エラストマーポリマー結合剤が架橋されるのが好ましい。架橋はポリマーの機械的性質を改良するだけでなく、活性な粒子と電気導電性希釈剤との間の十分な接触をもたらすのを助ける。
【0017】
アノード組成物中に含有された電気導電性希釈剤が、電子を電気化学的活性な金属粒子から集電装置に搬送するのを助ける。有用な希釈剤の例には、微細粉末炭素材料、金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化物、および金属ホウ化物などがある。適した炭素材料の例には、ベルギーのMMMカーボン(MMM Carbon)のスーパーPおよびスーパーSカーボンブラック、テキサス州、ヒューストンのシェブロン・ケミカル・カンパニー(Chevron Chemical Co.,Houston,TX)のシャワニガンブラック(Shawanigan Black)、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、黒鉛、およびカーボンファイバーなどがある。
【0018】
アノード組成物が、電気化学的活性な金属粒子、導電性希釈剤、および結合剤の間の接着力を促進する定着剤を含有する。定着剤が、(例えば、官能基の形で)結合剤の一部を形成してもよく、または電気化学的活性な金属粒子の表面に適用されたコーティングの形態であってもよい。後者の材料の例は周知であり、シラン、チタネート、およびホスホネートなどがある。
【0019】
有用なシランの例には、ビニルトリエトキシ−シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、γ−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシ−シラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびフェニルトリメトキシシランなどがある。
【0020】
有用なチタネートの例には、チタンN−(トリエタノールアミナト)−イソプロポキシドおよびデュポン(Dupont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))から商品名タイザー(TYZOR)として市販のチタネートなどがある。さらに別の例には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフィット)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフィット)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジトリデシル)ホスフィットチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、およびジイソステアロイルエチレンチタネートなどがある。
【0021】
有用なホスホネートの例には、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホン酸などがある。アノード組成物は好ましくは、電気化学的活性な金属粒子を少なくとも50重量%、好ましくはこれらの粒子を少なくとも75重量%含有する。定着剤が電気化学的活性な金属粒子のコーティングとして含有される場合、それは電気化学的活性な金属粒子100重量部当たり約0.1〜20部の範囲の量、好ましくは電気化学的活性な金属粒子100重量部当たり1〜10部で存在する。前記コーティングが、粒子の表面を完全にまたは部分的に覆ってもよい。
【0022】
前記アノード組成物は、リチウムイオン電池において特に有用である。電池を作製するために、溶剤ベースのスラリーの形のアノード組成物が、従来のコーティング技術を用いて裏材として塗布され、乾燥されてアノードを形成する。次いでアノードを電解質およびカソードと組合わせる。
【0023】
電解質が固体または液体電解質であってもよい。固体電解質の例には、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含有コポリマー、およびそれらの組み合わせなどのポリマーの電解質がある。液体電解質の例には、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、およびそれらの組み合わせなどがある。電解質はリチウム電解質塩を与えられる。適した塩の例には、LiPF6、LiBF4、およびLiClO4がある。
【0024】
液体電解質含有電池のために適したカソード組成物の例には、LiCoO2、LiCo0.2Ni0.8O2、およびLiMn2O4がある。固体電解質含有電池のために適したカソード組成物の例には、LiV3O8およびLiV2O5がある。
【0025】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0026】
A.スパッタリングの手順
Si/Sn電気化学的活性な金属粒子を以下のようにスパッタリングによって調製した。
【0027】
スパッタコータが、組成Si(63st.%)、Sn(33at.%)、およびCu(4at.%)の、長さ6インチの水冷スパッタリングターゲットを備えた。前記ターゲットは、直径4インチ(ID)の銅シリンダ内に同心円状に配置された。従来の荒引きポンプによって補強されたCTI−クライオジェニクス オン−ボード(CTI−CRYOGENICS ON−BORD)(登録商標)高真空クライオポンプおよびレイボウルド(Leybold)高真空ターボポンプモデル220を用いてコータを排気した。5.5kWにおいて動作するアドバンストエネルギー(ADVANCED ENERGY)MDXIIdc電源によってターゲットに電力供給した。約8.5ミリトルの分圧のアルゴン雰囲気中でスパッタリングする間、非晶質合金の層をシリンダの内壁に堆積した。スパッタリング運転の終了後に、シリンダをスパッタリング室から除去し、堆積物をシリンダから極低温放出してフレークを生じた。次いでフレークを粉砕して大きさの調整をし、アノードの作製に使用する粒子を形成した。
【0028】
B.メルトスピニングの手順
Al/Mn/Si電気化学的活性な金属粒子を、以下のようにメルトスピニングによって製造した。
【0029】
組成物Al(61at.%)、Mn(9at.%)、およびSi(30at.%)のインゴットを、ペンシルベニア州、バトラーのソフィスティケイテッド・アロイ社(Sophisticated Alloy Inc.,Butler,PA)から購入した。石英管を研削して直径0.030インチの大きさのオリフィスを形成した。約10gのインゴットチャンクを前記管内に置き、その後、真空室内の銅コイル中にその管を吊り下げた。管を加圧アルゴンの供給源に接続した。管のノズルを、ノズルチップ間0.048インチの高さ、直径8インチCu/Beホイールの表面に調節した。真空室を90ミリトルに排気し、100トルの過剰圧力をアルゴン貯蔵タンクと真空室の内側との間に維持した。Cu/Beホイールを4500rpmの速度で回転させ、十分な高周波動力を銅コイルに供給して誘導電磁界内のインゴット片を溶融した。インゴット片が溶けたとき、溶融金属をアルゴンタンク供給圧力によってホイール表面に射出した。そのプロセスにより、幅1〜2mmおよび厚さが約20ミルのリボンを製造した。
【0030】
C.無電解メッキの手順
以下の手順により、コアの上に20重量%の銀メッキを有する電極を製造する。使用されるメッキ試薬の量を変えることによって、異なった銀レベルを有するメッキを作製する。
【0031】
100mlの脱イオン水中に0.26グラムのKOHを溶かし、その後、1.32mlの水酸化アンモニウムおよび0.59グラムの硝酸銀(AgNO3)を添加することによって、メッキ試薬を調製した。硝酸銀と水酸化アンモニウムとを配合することにより、活性化合物Ag(NH3)2を形成し、還元糖を添加した後にそこから銀をメッキする。
【0032】
粒子の形状のコア材料0.5グラムの試料を硝酸銀溶液の26mlのアリコートと共にガラス瓶内に置き、粒状材料を沈降させない十分な速度で攪拌した。試薬の量は、20重量%の銀を有するメッキを製造するように選択された。還元糖をすみやかに分散させるために、攪拌された溶液の回転する渦動にデキストロースの25g/リットル溶液6.6mlsを急速に添加することによって、メッキプロセスを開始した。メッキ反応がすぐに始まり、急速に攪拌しながら少なくとも30分間、進行させ、その後に遠心分離機を用いて粒子状物質を分離した。残りの使用済みの溶液を傾瀉した。何度か遠心分離機内で水洗した後、メッキされた材料を一晩、約70℃の炉内で乾燥させた。得られた材料は容易に粉末になり、成功したメッキ作業を示す色変化を示した。走査型電子顕微鏡検査を用いてメッキ作業の成功を確認した。
【0033】
D.電池の作製とサイクルの手順
アノードとしてリチウム箔(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI))から入手可能な、厚さ約300マイクロメータ)を用いる複合コート箔から半電池2325サイズのコイン電池を製造した。特に別記されない限り、25マイクロメータの厚さのセルガード(CELLGARD)2400ポリエチレンセパレータを用いて前記電池を製造した。電解質はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの1:2w/w混合物に溶かした1モルのLiPF6であった。銅スペーサーを集電装置として用い、電池内のボイド領域を充填した。マコール・バッテリー・サイクラー(Maccor Battery Cycler)を用いて電池をサイクル経過させた。
【0034】
特定のアノードの作製および特性決定について以下に記載する。
【0035】
比較例1
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子550mgと、350mgのメソカーボンマイクロビード黒鉛粒子(日本の大阪ガス化学(Osaka Gas Chemical Co.,Ltd.)から入手可能なMCMB10−28)と、50:50重量比のポリフッ化ビニリデン(デュポンから商品名KYNAR461として入手可能な「PVDF」)とNMP(N−メチルピロリジノン)中のスーパーP(SP)導電性炭素(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチから入手可能)を含有する固形分6%溶液1.66gと、1gのNMPとを混合することによって、スラリーを製造した。混合物を10分間、高剪断下で攪拌し、次に10ミルギャップのノッチバーコータを用いて0.5ミルのCu箔上に塗布した。コーティングを110℃において4時間真空中で乾燥させ、(重量%)55%のSi/Sn/Ag、35%のMCMB10−28、5%のPVDF、および5%のSP炭素を有する複合コーティングを製造した。このコーティングを45%の多孔度にカレンダー加工し、次に110℃において4時間、真空中で再乾燥させた。
【0036】
半電池を上述のようにコート箔から製造し、0.5mA/cm2の電流密度を用いて0.28V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。電池(Aと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0037】
比較例2
比較例1の手順に従ったが、ただし、MCMB、PVDF、およびSP炭素成分を添加する前に10分間、粒子を60mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチから入手可能)と共に1gのNMP中で攪拌した。0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.20V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいて半電池をサイクル経過させた。電池(Bと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0038】
比較例3
20gのフルオロエラストマーBRE−7131X(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLCから入手可能)を80gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解することによって、ポリマー原液を製造した。高剪断ミキサを用いて、10gのこの溶液を2gのSP炭素、120mgのMAGLITE Y(イリノイ州、ベッドフォードパークのC.P.ホール・カンパニー(C.P.Hall Company,Bedford Park,IL)から入手可能)、40mgの水酸化カルシウムHP(C.P.ホール・カンパニーから入手可能)、および38gのMEKと30分間、混合し、固形分約8%のポリマー/炭素懸濁液を製造した。
【0039】
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子550mgと、350mgのMCMB10−28と、固形分8%のポリマー/炭素懸濁液1.25gと、1gのMEKとを混合することによって、スラリーを製造した。スラリーを10分間、高剪断下で攪拌し、次いでCu箔上に塗布し、24時間、110℃において乾燥させ、60%の多孔度にカレンダー加工し、比較例1に記載したように再乾燥させて、コート箔アノードを製造した。
【0040】
半電池を上述のようにコート箔から製造し、および0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.25V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。電池(Cと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0041】
実施例1
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子550mgを60mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤と共に1gのMEK中で10分間、攪拌した。次に、350mgのMCMB10−28と、50:50重量比のフルオロエラストマーBRE−7131XとSP炭素とをMEK中に溶かした固形分8%の溶液(比較例3に記載されたように調製した)1.25gとを添加した。得られた混合物を用いて、比較例3に記載された手順に従ってコートCu箔アノード(箔の厚さ=12ミクロン)を製造した。半電池を上述のようにコート箔から製造し、0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.2V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。電池(Dと記載される)の電荷容量対サイクル数の性能を図1に示す。
【0042】
図1に示された結果は、定着剤とエラストマーポリマー結合剤とを配合することにより、定着剤の無い(比較例3)、エラストマーポリマー結合剤の無い(比較例2)、または両方とも無いアノード(比較例1)と比べて電荷容量に対して改良された性能を示すアノードをもたらすことを示す。
【0043】
実施例2〜5
銀コート非晶質Si/Sn粒子に、実施例1に記載したように様々な定着剤(AP1〜AP4、表1を参照)を配合したが、ただし、粒子を定着剤と共に4日間、攪拌した。複合コーティングを調製し、実施例1に記載したように銅箔上に塗布した。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1に記載されたように電池を作製し、サイクル経過させた。サイクルの結果を図2に示す。図2に示された結果は、エラストマーポリマー結合剤と組合わせた各々の定着剤が、電荷容量対サイクル寿命の点から良好な性能を示すアノードをもたらしたことを示す。特に、各アノードが、定着剤を用いずにおよび非エラストマーポリマー結合剤を用いて調製されたアノード(比較例1)に比べてすぐれた性能をもたらした。
【0046】
実施例6
40gのフルオロエラストマーFC−2178(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLCから入手可能)を160gのMEK中に溶解することによってポリマー原液を製造した。高剪断ミキサを用いて、15gのこの溶液を7gのSP炭素、180mgのマグライト(MAGLITE) Y、90mgのDIAK#3アミン硬化剤(コネチカット州、ノーウォークのR.T.ヴァンダービルト社(R.T.Vanderbilt Company,Inc.,Norwalk,CT)から入手可能なN,N’−ジシンナミリデン−1,6−へキサンデジアミン)、および144gのMEKと60分間、混合し、固形分約6%の炭素/ポリマー(70/30w/w)懸濁液を製造した。
【0047】
10〜20ミクロンの銀コート非晶質Si/Sn粒子800mgを80mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤と共に1gのMEK中で周囲温度において2日間、攪拌した。次に、上記の固形分6%の70/30SP/FC2178懸濁液3.34gを添加した。混合物を5分間、高剪断下で攪拌し、次いで実施例1の手順に従って12ミクロンのCu箔上に塗布し、コート箔アノードを形成した。半電池を上述のようにコート箔から製造し、最初の3サイクルについて、0.25mA/cm2の電流密度を用いて0.25V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいて、次いで1サイクルについて0.50mA/cm2の電流密度を用いて0.22V〜0.9Vの電圧ウインドウにおいてサイクル経過させた。図3は、この実施例において作製された電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。結果は、アミン硬化エラストマーポリマー結合剤を定着剤と組合わせて使用することにより、良好なサイクル性能をもたらすことを示す。
【0048】
実施例7
半電池を実施例6に記載されたように製造し、サイクル経過させたが、ただし、使用されたフルオロエラストマーはFC−2179(ミネソタ州、オークデールのダイネオン,LLCから入手可能)であった。図4は、この実施例において作製された電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。実施例6の場合におけるように、良好なサイクル性能が観察された。
【0049】
比較例4
半電池を実施例7に記載されたように製造し、サイクル経過させたが、ただし、定着剤を除いた。図5は、この実施例において作製された電池の電荷容量対サイクル数のプロットを示す。結果は、定着剤を用いない時に性能が減少することを示す。
【0050】
実施例8
<53ミクロンの平均粒度を有する銀コート非晶質Al/Si/Mn粒子800mgを80mgの3−アミノプロピルトリメトキシシラン定着剤と共に1gのMEK中で周囲温度において2日間、攪拌した。次に、固形分6%の70/30SP炭素/FC2179懸濁液(実施例7に記載されたように調製した)3.34gを添加した。混合物を5分間、高剪断下で攪拌し、次いで実施例1の手順に従って12ミクロンのCu箔上に塗布し、コート箔アノードを形成した。半電池を実施例6に記載された手順によって製造し、サイクル経過させた。図6は、この実施例において作製された電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。スパッタリングによって作製されたSi/Sn活性な粒子の場合と同様に、溶融紡糸活性粒子を定着剤およびエラストマーポリマー結合剤と組合わせて用いて作製されたアノードもまた、良好なサイクル性能を示す。
【0051】
比較例5
定着剤を用いない対照コーティングを作製および使用して、実施例8に記載されたようにアノードを製造した。このアノードを用いて半電池を作製し、同じ条件下でサイクル経過させた。図7は、対照電池の電荷容量およびクーロン効率の性能対サイクル数を示す。結果は、定着剤を用いなければ性能の低下をもたらすことを示す。
【0052】
本発明の多数の実施態様について記載した。にもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な改良を実施できることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1および比較例1、2、および3に記載された電池の電荷容量対サイクル数のプロットである。
【図2】実施例2〜5に記載された電池の電荷容量対サイクル数のプロットである。
【図3】実施例6に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図4】実施例7に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図5】比較例4に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図6】実施例8に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【図7】比較例5に記載された電池の電荷容量およびクーロン効率対サイクル数のプロットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エラストマーポリマー結合剤と、
(b)前記結合剤中に分散された電気導電性希釈剤と、
(c)前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、
(d)前記粒子、前記電気導電性希釈剤、および前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤(adhesion promoter)と、
を含むアノード組成物。
【請求項2】
前記エラストマー結合剤がフルオロエラストマー結合剤を含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項3】
前記フルオロエラストマー結合剤が、オレフィン、フルオロオレフィン、ペルフルオロオレフィン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたモノマーから誘導された単位を含む、請求項2に記載のアノード組成物。
【請求項4】
前記フルオロエラストマー結合剤が、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレン、プロピレン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたモノマーから誘導された単位を含む、請求項2に記載のアノード組成物。
【請求項5】
前記結合剤が、架橋剤を含有する重合性反応体の反応生成物を含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項6】
前記定着剤(adhesion promoter)が前記電気化学的活性な金属粒子の表面を塗布する、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項7】
前記定着剤(adhesion promoter)が、シラン、チタネート、ホスホネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項8】
前記電気化学的活性な金属粒子が、銀、アルミニウム、ケイ素、スズ、アンチモン、鉛、ゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ビスマス、およびインジウムからなる群から選択された電気化学的活性な金属を含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項9】
前記電気化学的活性な金属粒子がケイ素を含む、請求項8に記載のアノード組成物。
【請求項10】
前記電気化学的活性な粒子が非晶質ケイ素を含む、請求項9に記載のアノード組成物。
【請求項11】
前記電気化学的活性な金属粒子が電気化学的不活性な金属をさらに含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項12】
前記電気化学的不活性な金属がモリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、ニッケル、マンガン、および銅からなる群から選択される、請求項11に記載のアノード組成物。
【請求項13】
前記電気化学的活性な金属粒子が周囲温度において非晶質混合物の形態の少なくとも1つの電気化学的不活性な金属および少なくとも1つの電気化学的活性な金属から本質的に成り、前記非晶質混合物は前記アノード組成物がリチウム電池に混入されて周囲温度において少なくとも1回の全充電−放電サイクルにかけられる時に非晶質のままである、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項14】
前記電気化学的活性な金属粒子の各々が前記粒子を部分的に覆う電気導電層を含有する、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項15】
前記層が前記粒子の約75容積%以下の量において存在する、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項16】
前記層が前記粒子の約75重量%以下の量において存在する、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項17】
前記層が多孔性である、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項18】
前記層が約90%の多孔度を有する、請求項17に記載のアノード組成物。
【請求項19】
前記層が金属を含む、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項20】
前記金属が銅、クロム、ニッケル、銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載のアノード組成物。
【請求項21】
前記電気導電性希釈剤がカーボンブラックを含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項22】
(a)フルオロエラストマー結合剤と、
(b)前記結合剤中に分散された電気導電性希釈剤と、
(c)前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、
を含むアノード組成物であって、
前記粒子が、(i)アノード組成物がリチウム電池に混入されて周囲温度において少なくとも1回の全充電−放電サイクルにかけられる時に非晶質のままである、周囲温度において非晶質混合物の形態の少なくとも1つの電気化学的不活性な金属および少なくとも1つの電気化学的活性な金属と、(ii)前記粒子の各々を部分的に覆う電気導電層と、から本質的に成り、
前記粒子が、前記粒子、前記電気導電性希釈剤、および前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤(adhesion promoter)で処理された表面を有する、アノード組成物。
【請求項23】
(A)
(a)エラストマーポリマー結合剤と、
(b)前記結合剤中に分散された電気導電性希釈剤と、
(c)前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、
(d)前記粒子と、前記電気導電性希釈剤と、前記結合剤との間の接着力を促進する定着剤と、
を含むアノードと、
(B)カソードと、
(C)前記アノード(electrode)と前記カソードとを隔てる電解質と、
を含むリチウムイオン電池。
【請求項1】
(a)エラストマーポリマー結合剤と、
(b)前記結合剤中に分散された電気導電性希釈剤と、
(c)前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、
(d)前記粒子、前記電気導電性希釈剤、および前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤(adhesion promoter)と、
を含むアノード組成物。
【請求項2】
前記エラストマー結合剤がフルオロエラストマー結合剤を含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項3】
前記フルオロエラストマー結合剤が、オレフィン、フルオロオレフィン、ペルフルオロオレフィン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたモノマーから誘導された単位を含む、請求項2に記載のアノード組成物。
【請求項4】
前記フルオロエラストマー結合剤が、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレン、プロピレン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたモノマーから誘導された単位を含む、請求項2に記載のアノード組成物。
【請求項5】
前記結合剤が、架橋剤を含有する重合性反応体の反応生成物を含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項6】
前記定着剤(adhesion promoter)が前記電気化学的活性な金属粒子の表面を塗布する、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項7】
前記定着剤(adhesion promoter)が、シラン、チタネート、ホスホネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項8】
前記電気化学的活性な金属粒子が、銀、アルミニウム、ケイ素、スズ、アンチモン、鉛、ゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ビスマス、およびインジウムからなる群から選択された電気化学的活性な金属を含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項9】
前記電気化学的活性な金属粒子がケイ素を含む、請求項8に記載のアノード組成物。
【請求項10】
前記電気化学的活性な粒子が非晶質ケイ素を含む、請求項9に記載のアノード組成物。
【請求項11】
前記電気化学的活性な金属粒子が電気化学的不活性な金属をさらに含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項12】
前記電気化学的不活性な金属がモリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、ニッケル、マンガン、および銅からなる群から選択される、請求項11に記載のアノード組成物。
【請求項13】
前記電気化学的活性な金属粒子が周囲温度において非晶質混合物の形態の少なくとも1つの電気化学的不活性な金属および少なくとも1つの電気化学的活性な金属から本質的に成り、前記非晶質混合物は前記アノード組成物がリチウム電池に混入されて周囲温度において少なくとも1回の全充電−放電サイクルにかけられる時に非晶質のままである、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項14】
前記電気化学的活性な金属粒子の各々が前記粒子を部分的に覆う電気導電層を含有する、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項15】
前記層が前記粒子の約75容積%以下の量において存在する、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項16】
前記層が前記粒子の約75重量%以下の量において存在する、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項17】
前記層が多孔性である、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項18】
前記層が約90%の多孔度を有する、請求項17に記載のアノード組成物。
【請求項19】
前記層が金属を含む、請求項14に記載のアノード組成物。
【請求項20】
前記金属が銅、クロム、ニッケル、銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載のアノード組成物。
【請求項21】
前記電気導電性希釈剤がカーボンブラックを含む、請求項1に記載のアノード組成物。
【請求項22】
(a)フルオロエラストマー結合剤と、
(b)前記結合剤中に分散された電気導電性希釈剤と、
(c)前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、
を含むアノード組成物であって、
前記粒子が、(i)アノード組成物がリチウム電池に混入されて周囲温度において少なくとも1回の全充電−放電サイクルにかけられる時に非晶質のままである、周囲温度において非晶質混合物の形態の少なくとも1つの電気化学的不活性な金属および少なくとも1つの電気化学的活性な金属と、(ii)前記粒子の各々を部分的に覆う電気導電層と、から本質的に成り、
前記粒子が、前記粒子、前記電気導電性希釈剤、および前記結合剤の間の接着力を促進する定着剤(adhesion promoter)で処理された表面を有する、アノード組成物。
【請求項23】
(A)
(a)エラストマーポリマー結合剤と、
(b)前記結合剤中に分散された電気導電性希釈剤と、
(c)前記結合剤中に分散された複数の電気化学的活性な金属粒子と、
(d)前記粒子と、前記電気導電性希釈剤と、前記結合剤との間の接着力を促進する定着剤と、
を含むアノードと、
(B)カソードと、
(C)前記アノード(electrode)と前記カソードとを隔てる電解質と、
を含むリチウムイオン電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2006−500738(P2006−500738A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537679(P2004−537679)
【出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/026138
【国際公開番号】WO2004/027898
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/026138
【国際公開番号】WO2004/027898
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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