説明

エリセラス・ペラワックスからのポリコサノール

本発明は、昆虫エリセラス・ペラによって分泌されるワックスから24〜30個の炭素原子を有する特有の分布の第1脂肪族アルコールを製造する方法を提供する。本発明には、この本発明の方法によって製造される本明細書中で「ポリコサノール」と呼ばれる組成物が含まれる。ポリコサノール組成物は、4種類の第1脂肪族アルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで主に構成される。本発明にはまた、肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血および血栓症の予防および治療へのこの組成物の使用が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、新規な天然源(Coccidae科に属するチャイニーズワックスソフトスケール昆虫であるエリセラス・ペラ(Ericerus pela)によって分泌されるワックス)からの、特有の分布を有する24〜30個の炭素原子を有する第1脂肪族アルコールで構成される組成物の生成法に関する。本発明は、本発明の方法によって製造される本明細書中で「ポリコサノール」と呼ばれる組成物を含む。本発明の方法によって製造されるポリコサノール組成物は、主に4種類の第1脂肪族アルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで構成される。本発明はまた、肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血および血栓症の予防および治療へのこの組成物の使用を含む。
【0002】
発明の背景
ポリコサノールは、20〜40個の炭素原子(C20−C40)を有する第1脂肪族アルコールの種類である。それらは木の実の胚芽、さやおよび他の部分、種子、果実および穀類(Kawanishi等, (1991) J. Amer. Oil Chemist Soc. 68:869-872)中、ギリシアオリーブオイル(Dimitrios等, (1983) Grasas Aceites 34:402-404)中およびリンゴワックス(Belding等, (1933) Hertscience 28:90)に広く分布している。ポリコサノールはまた、非常に少量(0.1%未満)で、脂肪酸の長鎖アルキルエステルの形でも存在する。小麦穀粒中に存在する主な化合物には、パルミトイルヘキサコサノールおよびアラキドイル、パルミトイルおよびベヘノイルテトラコサノールが含まれる(Ohnishi等, (1986) Cereal
Chem. 63:193-196)。
【0003】
脂肪酸の遊離アルコールおよびエステルとしてのポリコサノールは、Achillea biebersteinii(OskayおよびYeslada(1984) J. Nat. Prod. 47:742)、Calamagrostis arundinacea(Solberg (1976) Acta Chem. Scand Ser. B. Org. Chem. Bioche. 30:786-787)、Emilia sonchifolia(SrinivasanおよびSubramanian, (1980) Fitoterapia 51:241-244)、Heliotropium digynum(Ismail等, (1984) Fitoterapia 55:110-112)、Hypericum perforatum(Brondze (1983) J. Nat,. Prod. 46:940-941)、Tragopogon orientalis(Krzaczek等, (1988) Acta Soc. Bot. Pol. 57:85-92)の種から、およびTriceae(Tulloch (1981) Can. J. Bot. 58:2602-2615)の属を含む、植物の多くの様々な属および種から単離された。ポリコサノールはまた、様々なアカシア種の樹皮(Banerji およびNigram (1980) J. Indian Chem. Soc. 57:1043-1044);Anisomeles indica(Dobhal等, (1988) Fitoterapia 59:155)の茎;Cordia rothii(Behari等, (1980) Acta Cienc. Indica Chem. 6:226-228)、Hibiscus cannabinus(Makhsudova (1979) Chem. Nat. Compd. 15:186)およびHoligarna arnottiana(Prakashおよび Banerji (1979) Fitoterapia 50: 265-266)の葉;Talinum paniculatum(Komatsu等, (1982) Yakugaku Zasshi 102:499-502)の根;Gymnosporia Montana(KumarおよびSrimannarayana (1981) J. Nat. Prid. 44:625-628)の葉および根;Cymbopogon citrates(Olaniyi等, (1975) Planta Medica 28:186-189)、E. merifolia(BaslasおよびAgarwal (1980) Indian J. Pharm. Soc. 42: 66-67)およびE. Peplus (Rizk等, (1980) Fitoterapia 51:223-228)、Portulaca suffruticosa L.(Joshi等, (1987) Herba Pol. 33: 71-74)およびYoungia denticulate(Arai等, (1982) J. Pharm. Soc. Jp. 102:1089-1091)の空気中の部分;およびMelia birmanica (BanerjiおよびNigam, (1981) Fitoterapia 52:3-4)の心材を含めた植物の多くの様々な属および種の様々な部分から単離された。ポリコサノールはまた、ヤシの木Copernicia cerifera (PintoおよびBento (1986) Rev Soc Bras Med Trop 19:243-5)の葉の浸出物からのカルナウバワックスから、Euphorbia helioscopia (Nazir等, (1993) Xeischrift fur Naturforschung. Section C Biosciences 48:5-9)の葉のワックスから、Gramineae 属(Tulloch (1981) Can. J. Bot. 59: 1213-1221)の上小皮ワックスから、およびEuphorbia pseusocactus (Awad等, (1993) Fitoterapia 64:553)およびEuphorbia thymifolia (AgarwalおよびMaslas (1981) Indian J. Pharma. Sci. 43: 182-183) のラテックスからも単離された。最後に、ポリコサノールは韓国固有の植物であるEchinosophora koreensis (KangおよびKim (1987) Arch Pharmacal Res. 10:67-68)から単離された。
【0004】
Bertholetは、米の籾殻ワックス、カルナウバワックスおよびジョジョバ油からの植物ワックスのケン化によってポリコサノール組成物を製造する方法を報告している(Bertholet, 米国特許第5,159,124号 (1991))。Bertholetによって報告された方法では、植物ワックスをまず有機の水不混和性溶媒、例えばブタノールまたはペンタノールに溶解し、次に、アルカリ土類金属水酸化物の水溶液を用いて加水分解した。ケン化反応の生成物による脂肪酸はアルカリ性水性層に可溶性であり、ポリコサノールアルコール生成物は有機層に残り、これは<10%の脂肪酸および>90%アルコールを含有する。反応の全体収率は約50%であった。ポリコサノール生成物の組成は植物ワックス源による。
【0005】
N−ヘキサコサノールは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ウールワックス加水分解生成物混合物から単離された(Steel等 (1999) 国際公報WO99/48853)。
米の籾殻ワックスから単離されたポリコサノール組成物は植物油からの植物ステロールと共に配合され、コレステロールレベルを下げるのに用いられている。この物質の脂肪族アルコール分布は約23〜33%全体ポリコサノールである。トリアコンタノールは主な化合物(8〜9%)であり、次いでオクタコサノール(5〜6%)およびテトラコンタノール、ヘキサコンサノール、ドトリアコンタノールおよびテトラトリアコサノール(それぞれ2〜5%)である。(Sorkin, Jr. (1999) 米国特許第6,197,832号およびSorkin, Jr. (1999) 米国特許第5,952,393号)。Sinachから単離されたオクタコサノールは、エネルギー増進用に栄養粉末のような他の成分と共に配合された。(Gaynor米国特許第5,744,187号)。
【0006】
サトウキビは商業的なポリコサノール生成物の主要な天然源である(Ali等 (1979) Egypt J. Pharm. Sci. 18: 93-99)。長鎖脂肪族アルコールはサトウキビのワックス層に主としてあり、オクタコサノールが主な化合物である(Nagata等 (1994) Breeding Sci. 44:427-429)(以下の表1参照)。サトウキビワックスからの脂肪族アルコールは超臨界液体、有機溶媒またはアルコールで直接抽出することができて、オクタコサノール(7〜10%)およびトリアコンタノール(0.4〜1%)を主成分とする混合物が得られる(Inada等 (1986) 米国特許第4,714,791号)。24〜34個の炭素原子を有する高級第1脂肪族アルコールの混合物は、サトウキビワックスのケン化によって得られた(Laguna等(1996) 米国特許第5,856,316号)。記載のケン化反応には、サトウキビワックスを溶融し、アルカリ土類水酸化物(5〜30%)で均質相を形成し、有機溶媒で抽出し、そして有機溶媒から再結晶することが含まれる。含まれる物質の分布は、主成分としてのオクタコサノール(60〜70%)、次いでトリアコンタノール(10〜15%)、ヘキサコサノール(5.5〜8.5%)、ドトリアコンタノール(4〜6%)、ヘプタコサノール(2〜3.5%)、テトラトリアコンタノール(0.4〜2.0%)、ノナコンタノール(0.4〜1.2%)およびテトラコサノール(0.5〜1.0%)である。この物質はアセチルサリチル酸と共に配合して、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、胃潰瘍の治療および男性性的活性の改善に用いられている。(Laguna等 (1996) 米国特許第5,856,316号)。
【0007】
Coccidae科に属するエリセラス・ペラ(Ben-Dov and Hodgson (1997) Soft Scale insects; their biology, natural enemies and control. Vol.7A. Elsevier Science Publishers, アムステルダム)は、ホワイトワックススケールという一般名を有する、南中国固有の昆虫である。(Zhang (1987) Scientia Silvae Sinica 23: 383-385、CenおよびJi (1988) Insect Knowledge 25: 230-232)。この昆虫は、ワックスおよび高栄養価を生じる能力(Zhao等 (2001) Entomological Knowledge 38: 216-218)のため、中国では高い経済的価値(Chen (1999) World Forest Res. 12: 46-52)を有する。メスは平均7000個以上の卵を産み(Park等 (1998) Korea J. Applied Entomology 37: 137-142)、卵の孵化はワックス生産に直接関係する(Chen等 (1997) Forest Res. 10: 149-143)。エリセラス・ペラの繁殖能力は性比、寿命、生息環境および他の生態学的条件に影響される。(Zhang等 (1993) Entomological Knowledg 30: 297-299)。この昆虫からの卵は高率のたんぱく質(40−55%)およびアミノ酸(30−50%)を含み、人が消費するのに栄養価が高くかつ安全である。(Ye等 (2001) Forest Res. 14: 322-327)。この昆虫は、98属および36科に属する200種の宿主植物上で育てることができる。(ChenおよびLi (2001) Forest Res. Beijing 14: 100-105)。宿主植物はそれらの生息環境および繁殖場所を提供するだけでなく、それらの食物源として働く。(Chen等 (1997) Forest Res. 10: 415-419)。ワックス生産の平均量は宿主植物の種類(Chen等 Forest Res. 11: 285-288)、昆虫の地理的相違(Chen等 (1998) Forest Res. 11: 34-38)および気候条件、特に温度、乾燥度および強い日差し(Liu等 (1998) Forest Res. 11: 508-512)に影響される。エリセラス・ペラは商業的な森林プランテーションで生産されており、条件および収穫量が報告されている。(Liu等 (1996) Forest Res. 9: 296-299)。
【0008】
エリセラス・ペラからのワックスは昆虫のオスとメスの両者のワックス腺から分泌される。(TanおよびZhong (1992) Zoological Res. 13: 217-222)。昆虫ワックスの組成はGC/MSによって分析され、ヘキサコシルヘキサコサノエート(55.16%)、ヘキサコシルテトラコサノエート(22.36%)およびヘキサコシルオクタコサノール(16.65%)であると測定された。(TakahashiおよびNomura (1982) Entomol. Gen. 7: 313-316)。ワックスは伝統的に、出血、痛みの緩和、傷の治癒、咳きおよび下痢に用いられてきた。(Li (1985) World Animal Review. 55: 26-33)。飽和長鎖脂肪アルコールはDrosicha corpulentaを含めた他の昆虫にも見出されている(HashimotoおよびKitaoka (1983) Appl. Entomol. Zool. 17: 453-459)。
【0009】
蜜蝋も、遊離およびエステル化両方の形でかなりの量の長鎖第1アルコールを含む。蜜蝋から単離されるポリコサノール組成物は、テトラコサノール(9〜15%)、ヘキサコサノール(12〜18%)、オクタコサノール(13〜20%)、トリアコンタノール(20〜30%)およびドトリアコンタノール(13〜21%)で構成される24〜34個の炭素原子(C24−C34)を含む(Hernandez等, 米国特許第6,235,795号 (1994))。オリーブ油、β−シトステロールおよびCoptis chinensisからの抽出物と共に配合される蜜蝋は、おむつかぶれの治療(Niazi, 米国特許第6,419,963号 (2001))におよび医薬品および化粧品の担体(Xu, 米国特許第5,817,322号 (1996))として用いられてきた。蜜蝋から単離されるポリコサノールはまた、抗潰瘍および抗炎症活性も示す。(Mas (2001) Drugs of the Future, 26: 731-744; Carbajal等 (1996) J. Pharmacy and Pharmacol. 48: 858-860; Hernandez等,米国特許第6,235,795号 (1994))。
【0010】
ケン化の際に蜜蝋から単離されるポリコサノール組成物は主に、オクタコサノール(13.0〜20.0%)、トリアコンタノール(20〜30%)ドトリアコンタノール(13〜21%)、ヘキサコサノール(12〜18%)、テトラコサノール(9〜15%)およびテトラトリアコンタノール(1.5〜3.5%)を含む。(Hernandez等, 米国特許第6,465,526号 (2000))。Hernandez等によって報告された方法では、ケン化反応は4〜7:1のワックス:塩基比を用いて均質相で行われた。加水分解後、ポリコサノールを有機溶媒で抽出して、80〜98%全体ポリコサノールを含有する生成物を約30%の収率で蜜蝋から得た。(Hernandez等, (1994) 米国特許第6,235,795号)。上記のように、この物質は抗潰瘍および抗炎症活性を示した。蜜蝋のケン化から得られるポリコサノール組成物はまた、サリチル酸アセチルと共に配合して、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、胃潰瘍の治療および男性性的活性の改善にも用いられている。(Granja等, 米国特許第5,663,156号 (1994))。
【0011】
蜜蝋中のポリコサノールはまた、ケン化することなく有機溶媒で直接抽出された。(Perez, 米国特許第6,225,354号 (1999))。この物質は、オクタコサノール(30〜60%)、トリアコンサノール(16〜26%)、ドトリアコンタノール(13〜22%)およびヘキサコサノール(7〜12%)を主な成分として含有し、高コレステロール血症関連疾患の予防および治療に有効であることが示されている。(Perez, 米国特許第6,225,354号 (1999))。
【0012】
サトウキビから単離されるポリコサノール組成物は、動物および人のモデルでコレステロールを下げることが示された(Menedez等 (2000) Br. J. Clin. Pharmacol. 50:255-262; Arruzazabala等, Braz. J. Med. Biol. Res. 33: 835-840; Crespo等 (1999) Int. J. Clin. Pharmacol. 19: 117-127; Gouni-BertholdおよびBerthold (2002) Am. Heart J. 143: 356-365; Alcocer等 (1999) Int. J. Tissue React 21: 85-92)。3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼの変性はセリンモデルで観察されたが、純粋な酵素阻害分析では観察されなかった。(Mendendez等 (2001) Arch. Med. Res. 32: 8-12)。ほとんどのコレステロール低下薬のように3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼを阻害する代わりに、ポリコサノールは、遺伝子発現におけるおよび/またはたんぱく質レベルでのHMG−CoAレダクターゼ産生の下方調節のような異なる作用メカニズムをもちうる。(McCarty (2002) Med. Hypotheses 59: 268)。
【0013】
サトウキビから単離されたポリコサノール組成物を用いて20mg/日の投与量で12ヶ月治療した高血圧およびII型高コレステロール血症の高齢の患者は、TC、LDL、LDL/HDLおよびTC/HDLレベルが有意に減少し、HDLレベルが上昇した。(Castano等 (2002) Drug R D. 3: 159-172; Castano等 (2001) Int. J. Clin. Pharmacol. 21: 43-57 )。5〜10mgの投与量でも、サトウキビから単離されたポリコサノール組成物は高コレステロール血症の閉経後の婦人において(Mirkin等 (2001) Int. J. Clin. Pharmacol. 21: 31-41; Castano等 (2000) Gynecol. Endocrinol. 14: 187-195)および冠状動脈に高いリスクを有する高齢の患者において(Castano等 (2001) J. Geontol. A Biol. Sci. Med. Sci. 56: M186-192; Castano等 (1999) Int. J. Clin. Pharmacol. 19: 105-116)有意な効果を示した。要するに、サトウキビから単離されるポリコサノール組成物は、シンバスタチン、プラバスタイン、ロバスタチン、プロブコールおよびアシピモックスと比べて同等のまたはより良好な臨床力で、心臓血管疾患に対して新しい治療法を提供する可能性のあることが提案された。(Janikula (2002) Altern. Med. Rev. 7: 203-217)。
【0014】
ポリコサノール組成物はまた、抗血栓効果を有することも分かっており(Cabajal等 (1998) Pharmacol. Res. 38: 89-91)、血小板凝集を有意に阻害する(Arruzazabala等 (1993) Thormb Res. 69: 321)。さらに、アスピリンポリコサノールは血小板抗凝集酵素PGI2に影響を及ぼさないようだったが、血小板凝集酵素トロンボキサンB2(TXB2)をむしろ阻害した(Carbajal等 (1998) Prostaglangins Leukot. Essent Fatty Acids 58:61-64)。これによって、ポリコサノールとアスピリンとを組み合わせた治療は魅力的な選択となる(Arruzazabala等 (1997) Pharmacol. Res. 36: 293-297)。ポリコサノール組成物の抗血栓効果に関する他の報告については、Arruzazabala等 (2002) Clin. Exp. Pharmacol. 29: 891-7; Janikula (2002) Alternative Medicine Review 7: 203-217;および Stusser等 (1998) Int. J. Clin. Pharmacol.Ther. 36:(9) 469-73を参照するとよい。ポリコサノール組成物の他の心臓血管効果に関する報告については、Noa等 (1997) J. Pharm. Pharmacol. 49: 999-1002; Noa等 (2001) Pharmacol. Res. 43: 31-37; Molina等 Braz. J. Med. Biol. Res. 32: 1269-1276; Janikula (2002) Alternative Medicine Review 7: 203-217;およびMenendez等 (2002) Can J Physiol Pharmacol 80: 13-21を参照するとよい。
【0015】
ポリコサノールおよびポリコサノール酸はまた、加齢および関連症状、例えば、アテローム硬化症、高血圧、糖尿病、腫瘍、肥満症、太りすぎ、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、並びに他の症状の予防および治療に、栄養および治療製剤として効果があることが報告されている。(Pistolesi, WO02/052955 (2001))。個々のポリコサノールおよびそれら混合物の使用に関する文献は他にも多数ある。このことは、様々な薬理学的効果および力を有することが期待される新たな源を含有する新規なポリコサノール組成物を開発する大きな動機を提供する。個々のアルコールおよびそれら混合物に対する多数の使用もまた、これらの化合物を単離するための改善された方法を開発する大きな動機を提供する。
【0016】
ポリコサノールは、500mg/kg/日の投与量で安全であることが判明しており、これは人の標準投与量20mg/日よりも1500倍多い。500mg/kg/日の投与量で12〜24ヶ月間治療されたラットは、ポリコサノールでの治療から生じる毒性または発がん性の徴候を示さなかった。(Aleman等 (1995) Food Chem. Toxicol. 33: 573-578)。1年間180mg/kg/日を与えられたイヌは組成物からの副作用を示さず(Mesa等 (1994) Toxicol. Lett. 73: 81-90)、54ヶ月間25mg/kg/日を与えられたサルは悪影響の徴候を示さなかった(Rodrigurz等 (1994) Food Chem. Toxicol. 32: 565-575)。生殖および繁殖に関する研究で、ポリコサノール組成物は、つがう前の2週間、妊娠中、および授乳21日間、500mg/kg/日まで与えたラットにおける、およびつがう前の60日間、500mg/kg/日与えたオスのラットにおける生殖、繁殖および発達への悪影響はなかった(RodriguezおよびGarcia (1998) Teratog. Carcinog. Mutagen. 18: 1-7)。妊娠中、1000mg/kg/日の投与量で治療したウサギは、催奇および胎毒性の証拠を示さなかった。動物モデルにおけるポリコサノールの組織分布は、KabirおよびKimuraによって報告されている。((1995) Ann. Nutr. Metab. 39: 279-284 および(1993) 37: 33-38)。ポリコサノールは9ヶ月間10mg錠剤中で安定であり(Cabrera等 (2002) Boll. Chim. Farm. 141: 223-229)、賦形剤との相互作用はない(Cabrera等 (2002) Boll. Chim. Farm. 141: 138-142)ことが示された。
【0017】
ファーマネックス社のCholestin(登録商標)は蜜蝋のワックスから単離されたオクタコサノールを含有する。この製品は、肝臓中のコレステロールの産生を抑制することによって健康なコレステロールレベルに促すことが示された。ガルーダ・インターナショナル社のLesstanol(登録商標)ブランドはサトウキビまたは植物ワックスから単離された天然オクタコサノール(95%)を含有する。トゥインラブ・オクタコサノール・プラスはホウレンソウから誘導され、すぐれたかつ全てが天然のオクタコサノール源である。ネイチャーズ・ウエイズ製品中のオクタコサノールは、サトウキビ、小麦胚芽油、ホウレンソウ、および他の天然源に見られる自然由来の物質である。バイアブル・ハーバル・ソルーションズ社のオクタコサノールは小麦胚芽油の活性成分であり、持久力、スタミナおよび活力を高めるのに用いられる。出願人はエリセラス・ペラワックスからのポリコサノール組成物の製造に関するどのような報告も承知していない。
【0018】
Sierra等は、膜被覆錠剤の脂肪アルコール含有量を測定するためのガスクロマトグラフィー(GC)法を開発した。(Sierra等 (2002) J. AOAC Int. 85: 563-566)。ラットの血漿中の1−オクタコサノールは、MarreroおよびGonzalez((2001) L. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 762: 43-49)によって開発された細管GC法を用いて、固相抽出および誘導体化後に定量された。ポリコサノールはN−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミドで誘導体化された。サトウキビポリコサノールの一般的な物理的特性はUribarri等((2002) Drug Dev. Ind. Pharm. 28: 89-93)によって報告されている。
【0019】
この発明の目的は、特有な化学組成分布を有する、本明細書中で「ポリコサノール」と呼ばれる、高級第1脂肪族アルコールの混合物を提供することである。
この発明の別の目的は、高級第1脂肪族アルコールの高度に純粋な混合物を得るための改良法を提供することである。
【0020】
発明の概要
本発明は、昆虫エリセラス・ペラによって分泌されるワックスから、24〜30個の炭素原子を有する、特有な分布の第1脂肪族アルコールを製造する新規な方法を含む。本発明には、この発明の方法によって製造される本明細書中で「ポリコサノール」と呼ばれる組成物が含まれる。この発明の方法によって製造されるポリコサノール組成物は、2つの主要成分、第1脂肪族アルコール、ヘキサコサノールおよびオクタコサノール、そして2つの少量成分、第1脂肪族アルコール、テトラコサノールおよびトリアコンタノールで主に構成される。この発明にはさらに、組成物を、肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血および血栓症の予防および治療に用いることが含まれる。
【0021】
本発明の方法は、(a)昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;(b)工程(a)から得られた塩基性加水分解生成物を中和して、ポリコサノールで構成されるより低い純度の組成物を得ること;および(c)加水分解生成物を中和することなく有機溶媒で任意に抽出して、より高い純度のポリコサノール組成物を得ることの工程で構成される。本発明の別の態様では、本方法はさらに、工程(c)で得られた加水分解生成物を再結晶によって精製する工程(d)を含む。この発明の方法は、どのようなワックス源(特にどのような昆虫ワックス源)からのポリコサノール組成物の単離および精製にも拡大することができる。
【0022】
本発明は、この発明の方法によって製造および単離される第1脂肪族アルコール(本明細書中で「ポリコサノール」と呼ばれる)の新規な混合物を含む。1つの態様では、組成物はワックスの加水分解および中和の後に単離され、さらに精製は行われない。この組成物は約35〜55%の関心のある長鎖第1脂肪族アルコールで構成される。この組成物の主要成分は1−ヘキサコサノール(〜20%−30%)および1−オクタコサノール(〜15%−25%)であり、少量成分は1−トリアコンタノール(〜2%−4%)および1−テトラコサノール(〜1%−3%)である。別の態様では、組成物は、ワックスの加水分解および有機溶媒での塩基性条件下のポリコサノールの抽出によるさらなる精製の後に単離される。この態様では、組成物は約75〜100%の長鎖第1脂肪族アルコールで構成される。この組成物の主要成分は1−ヘキサコサノール(〜30−50%)、1−オクタコサノール(〜25−45%)、1−トリアコンタノール(〜4−10%)および1−テトラコサノール(〜3−9%)である。さらに別の態様では、組成物は再結晶によってさらに精製することができる。上記のように、本発明によりエリセラス・ペラワックスから得られるアルコール性混合物は、あらゆる他の現在公知のポリコサノール源と区別することができる。以下の表1で、現在商業的に入手しうる主なポリコサノール源であるサトウキビおよび蜜蝋と、この発明の方法により単離された組成物との明らかな相違を示す。
【0023】
本発明にはまた、この発明の方法により単離されるポリコサノール組成物を、肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血および血栓症の予防および治療に用いることも含まれる。これらの新規な組成物は様々な薬理学的効果および力を有することが期待される。組成物は、医薬組成物、食品または食物サプリメントに配合することができ、人および他の動物に投与することができる。
【0024】
本発明は新規なポリコサノール源およびそれから得られる新規な組成物を提供するばかりでなく、これらの組成物をワックスから抽出するための改良法も提供する。単離アルコールの純度レベルのさらなる増強およびエリセラス・ペラワックスからのアルコールの回収率の増強をもたらす、抽出および精製プロセスにおける特定の操作パラメーターの好ましいレベルが見出された。これらの操作パラメーターには、加水分解プロセスにおける最適化された溶媒体積および塩基性溶液の量;および現在用いられている方法よりも低い極性の有機溶媒での粗製ポリコサノールの塩基性粉末の抽出(これは、より高い品質の昆虫ポリコサノールを得るのに重要である)が含まれる。
【0025】
上記の一般的な記載および次の詳細な記載は本発明を説明するためのものであり、限定するものでないことは無論のことである。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、昆虫エリセラス・ペラによって分泌されるワックスから、24〜30個の炭素原子を有する、特有な分布の第1脂肪族アルコールを製造する方法を含む。本発明には、この発明の方法によって製造される本明細書中で「ポリコサノール」と呼ばれる組成物が含まれる。この発明の方法によって製造されるポリコサノール組成物は、4種類のみの第1脂肪族アルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで主に構成される。この発明にはさらに、組成物を、肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血および血栓症の予防および治療に用いることが含まれる。
【0027】
各種用語は、本発明の側面を示すために本明細書で用いられる。本発明の構成要素の説明を明確にするために以下に定義を示す。
用語「a」または「an」の付いた物質は1つ以上の物質を指すことに留意すべきである。そのような用語「a」、「an」、「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書中では互いに取り替えて用いることができる。
【0028】
本明細書で用いられるように、「高級第1脂肪族アルコール」という用語は、24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する第1脂肪族アルコールを指す。さらに詳しくは、高級第1脂肪族アルコールという用語は4種類のアルコール − テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールを指す。
【0029】
本明細書で用いられるように、「ポリコサノール」という用語は、昆虫エリセラス・ペラのワックスの加水分解から誘導される高級第1脂肪族アルコールの混合物を指す。
本明細書で用いられるような「治療」は、治療および/または予防を含む。使用されるとき、治療は人並びに他の動物に対して引用する。
【0030】
「医薬または治療効果のある投与量または量」は、望ましい生物学的結果を誘導するのに十分な投与量レベルを指す。その結果は、薬剤の放出、徴候、症状もしくは病気の原因の軽減、または生物学的システムの他の望ましい変化でありうる。
【0031】
「患者」は、本明細書に記載の組成物を投与する、生きている対象、人または動物である。
この出願をとおして、様々な引例が提供されている。各引例はその全体を参照することによってここに詳細に記載されたものとする。
【0032】
特有な分布の第1脂肪族アルコールを製造する本発明の方法は、(a)昆虫エリセラス・ペラから得られた溶融ワックスを塩基溶液で加水分解すること;(b)工程(a)から得られた塩基性加水分解生成物を中和して、ポリコサノールで構成される組成物を得ること;および(c)加水分解生成物を中和することなく有機溶媒で任意に抽出して、より高い純度のポリコサノール組成物を得ることの工程で構成される。本発明の別の態様では、本発明の方法はさらに、工程(c)で得られた加水分解生成物を再結晶によって精製する工程(d)を含む。
【0033】
本発明の方法は、昆虫エリセラス・ペラから単離されたワックスの均質相加水分解/ケン化に基づく。ワックスを80〜100℃でまず溶融し、次に、水性またはアルコール性溶液中において塩基で処理する。ワックスの量対溶媒の体積比は、加水分解反応を確実に完了させるのに非常に重要である。1:1のワックス:溶媒比の代わりに、本発明では少なくとも1:1、そして1:12までのワックス:溶媒比を用いる。十分な溶媒が存在しないと、遊離ポリコサノールが反応の最中に固化し始め、固体中にかなりの量の非加水分解エステルを取り込むだろう。これら非加水分解エステルの有機溶媒への溶解度が高いため、これによって高度に不純な最終生成物が低収率で生じる。本技術分野における当業者が使用するどのような塩基も加水分解を行うのに用いることができる。好ましい態様では、塩基は、NaOH、KOHまたはCaOH(これらに限定されない)を含めたアルカリ土類水酸化物から選択される。
【0034】
上記のように、加水分解は水溶液またはアルコール性溶液中で行うことができる。好ましい態様では、ワックスが水よりアルコールにより可溶性であるので、加水分解はアルコール性溶液中で行われる。限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールを含めた、1〜10個の炭素原子を有するどのような第1、第2または第3アルコールも、溶媒として用いうる。
【0035】
水酸化物溶液の濃度は、相当する水酸化物対ワックスの重量比が5%を越えるように選択しなければならない。好ましい態様では、水酸化物対ワックスの重量比は約8〜40%、最も好ましくは約25%である。加水分解反応を行うのに水酸化物をより高い率で用いることは本出願にとって新しいことである。これは加水分解反応を完了に導くより高いpHを維持するばかりでなく、高純度のポリコサノール生成物を得るのに非常に重要な働きをする。ケン化反応は少なくとも30分〜40時間続ける。好ましくは、反応は約2〜6時間続ける。加水分解/ケン化反応は、加圧してまたはしないで、機械的攪拌および加熱することによって促進される。反応温度範囲は50〜200℃である。好ましい態様では、反応は100℃および周囲圧で約6時間行われる。
【0036】
加水分解が完了したら、加水分解生成物を中和し、残留溶媒を除去すると、低純度ポリコサノールの組成物で構成される個体残留物が得られる。加水分解生成物は、そのような中和を行うのに本技術分野における当業者に知られた有機または無機酸を用いて中和することができる。1つの態様では、酸は、限定されないが、酢酸、硫酸、リン酸、コレリン酸(choleric acid)、硝酸および塩酸よりなる群から選択される。本発明の1つの態様では、加水分解生成物反応混合物は約1〜6のpHに調整される。中和後、残留溶媒を、限定されないが、濾過、遠心分離、デカンティング、蒸発、濃縮、再結晶またはそれらの組み合わせを含む方法を用いて除去する。
【0037】
中和せずに得られた低純度ポリコサノールの組成物で構成される固体残留物は、有機溶媒での抽出によって任意にさらに精製してもよい。反応混合物の中和に続いてポリコサノールを抽出する報告された方法とは対照的に、本発明は、加水分解反応に用いられる塩基の量をかなり増加しそして中和せずに抽出することによって強塩基条件に意図的に維持する。加水分解完了後に残る過剰の塩基は、高級第1脂肪族脂肪酸、主にヘキサコ酸をナトリウム塩の形で保持する。ヘキサコ酸ナトリウム塩の水への溶解度は、その有機溶媒への溶解度よりもはるかに高いので、これはヘキサコ酸が有機溶媒へ抽出されるのを妨げる。これによって純度がずっと高いポリコサノール生成物が生じる。
【0038】
抽出は、本技術分野における当業者に公知のどのような方法を用いて行ってもよい。1つの態様では、抽出は、液−液分配または固−液抽出によって行われる。抽出溶媒は、有機溶媒、限定されないが、例えば、6〜9個の炭素原子を有する炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、または石油エーテルのような炭化水素の混合物;3〜8個の炭素原子を有するケトン、例えばアセトン、ペンタノン、2−メチルペンタノン、ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよび/またはヘプタノン;1〜5個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノールおよびt−ブタノール;ハロゲン化溶媒、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンまたは1,2,3−トリクロロプロパン、あるいは芳香族溶媒、例えばベンゼン、フェノール、トルエンおよびp−メチルトルエン、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される。ポリコサノールは有機溶媒で選択的に抽出されて、より高い純度のポリコサノール組成物となる。
【0039】
本発明の1つの態様では、抽出で得られたポリコサノール生成物は再結晶によってさらに精製される。
本発明には、この発明によって製造および単離されるポリコサノール組成物が含まれる。この発明によって製造されるポリコサノール組成物は、4種類の第1脂肪族アルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで主に構成される。1つの態様では、組成物は、ワックスの加水分解および中和の後に単離され、さらに精製されない。この組成物は、約33〜55%の関心のある長鎖高級第1脂肪族アルコールで構成される。この組成物の主要成分は1−ヘキサコサノール(〜20%−30%)および1−オクタコサノール(〜15%−25%)であり、少量成分は1−トリアコンタノール(〜2%−4%)および1−テトラコサノール(〜1%−3%)である。別の態様では、組成物はワックスを加水分解し、中和はせず、有機溶媒での抽出によりさらに精製を行った後に単離される。この態様では、組成物は約75〜100%の長鎖第1脂肪族アルコールで構成される。この組成物の主要成分は1−ヘキサコサノール(〜30−50%)、1−オクタコサノール(〜25−45%)であり、2種類の少量のポリコサノールは1−トリアコンタノール(〜4−10%)および1−テトラコサノール(〜3−9%)である。上記のように、本発明によりエリセラス・ペラワックスから得られるアルコール性混合物は、あらゆる他の現在公知のポリコサノール源と区別することができる。以下の表1で、現在商業的に入手しうる主なポリコサノール源であるサトウキビおよび蜜蝋と、この発明の方法により単離された組成物との明らかな相違を示す。表1を参照すると、ヘキサコサノール(C26)の割合はE.ペラワックスから単離される組成物(〜45%)の方が、サトウキビ(〜6−9%)および蜜蝋(〜7−12%)のいずれよりもずっと大きい。E.ペラから単離されるポリコサノールのトリアコンタノール(C30)の割合はいくらかより低い。
【0040】
本発明にはさらに、生成される組成物を、肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血および血栓症の予防および治療に用いることが含まれる。
【0041】
様々な放出系が本技術分野で知られており、本発明の治療用組成物の投与に用いることができ、その例は、水溶液、リポソームへの封入、微粒子、およびマイクロカプセルである。
【0042】
本発明の治療用組成物は注射によって非経口投与しうるが、他の効果的な投与形、例えば関節内注入、吸入ミスト、経口活性製剤、経皮イオン導入または座剤も考えられる。1つの好ましい担体は生理学的食塩溶液であるが、他の薬学的に許容される担体を用いることも考えられる。1つの好ましい態様では、担体およびポリコサノール組成物が生理学的に適合する徐放性製剤を構成することが考えられる。そのような担体中の主な溶媒は水性でも非水性でもよい。さらに、担体は、pH、浸透性、粘度、透明度、色、無菌状態、安定性、溶解速度、または配合順序を調節したりまたは維持するための他の薬理学的に許容される賦形剤を含有していてもよい。同様に、担体は、安定性、リガンドの溶解、放出または吸収の速度を調節したりまたは維持するための他の薬理学的に許容される賦形剤をさらに含有していてもよい。そのような賦形剤は、単位投与量または多数回分投与量形の非経口投与用の投与量を配合するのに通常および習慣的に用いられる物質である。
【0043】
治療用組成物が配合されたら、それは滅菌バイアル中に溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、または脱水もしくは凍結乾燥粉末として貯蔵しても;あるいは経口投与用の他の不活性担体と共に直接カプセル封入および/または錠剤化してもよい。そのような製剤はすぐ使用できる形または投与直前の再構成を必要とする形で貯蔵してもよい。全身放出のための組成物を含有する製剤の投与法は、腸、皮下、筋肉内、静脈内、鼻内または膣もしくは直腸座剤によりうる。
【0044】
個々の疾患または症状の治療に有効な組成物の量は、疾患または症状の性質によって決まり、これは標準的な臨床技術によって判断することができる。さらに、最適な投与量範囲の確認に役立つように試験管内または生体内検査を任意に用いてもよい。製剤に用いられる正確な投与量はまた、投与ルート、および病気もしくは症状の重症度または進行によっても決まり、医師および各患者の状況により決定されるべきである。有効な投与量は、試験管内または動物モデル試験方式から誘導される投与量−反応曲線から外挿してもよい。例えば、本発明の組成物の有効投与量は、本発明の組成物の勾配投与量を投与し、そして望ましい効果を観察することによって容易に決定される。
【0045】
この発明による治療法は、治療を必要とする患者に、治療に有効な量のこの発明により単離されたポリコサノール組成物を、体内または局所投与することを含む。投与されるポリコサノール組成物の純度は、限定されないが、化合物を得るのに用いた方法により、0.01〜100%である。好ましい態様では、ポリコサノールおよびこれを含有する医薬組成物の投与量は、0.01〜200mg/kg体重の範囲から一般に選択される有効な非毒性量である。日常的な臨床試験を行っている当業者であれば、治療する個々の疾患に最適な投与量を決定することは可能である。
【0046】
この発明は、新規な源である昆虫E.ペラのワックスからのポリコサノール組成物を単離および精製する改良法を含む。実施例1では、単離組成物中に存在する各種ポリコサノールの定量に用いたガスクロマトグラフィー(GC)法を説明する。実施例2〜6では、ワックスの加水分解/ケン化に用いた様々な方法および各方法を用いて得られた組成物の分布を説明する。実施例7〜12では、単離された初期加水分解抽出物をさらに精製するための様々な方法および各方法を用いて得られた組成物の分布を説明する。
表1: 各種天然源からのポリコサノールの組成
【0047】
【表1】

【0048】
次の実施例は説明のためにのみ示すものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0049】
実施例
実施例1 ガスクロマトグラフィーを用いるポリコサノールの定量
ポリコサノールの定量法は島津ガスクロマトグラフィー(GC−17A)を使用して展開した。分離は次のGCカラムの1つで行った:XTI−5(結合5%フェニル、30m、0.25mmIDおよび0.5μm厚さ)またはDB−5HT(溶融シリカゲル、30m、0.25mmIDおよび0.1μmフィルム)。キャリヤーガスは流量3.0mL/分のヘリウムであった。設定温度は次のとおりであった:インジェクター375℃、検出器375℃、カラムオーブンは190℃(1分)で出発し、35℃/分の速度で315℃に上昇。その後、カラムオーブン温度は315℃で10分間保持した。試料および標準をTHFに濃度50〜200ng/μLで溶解し、2μL/注入で分離することなくカラムの上部に直接注入した。溶出アルコールをFID検出器で検出した。化合物の確認は個々のアルコール標準から誘導された保持時間に基づいた。検量曲線は7つの異なる濃度(50、100、150、250、400、600および800ng)で各標準に対して測定した。ワックス試料の定量では、ヘキサコサノールを外部標準として利用し、応答係数は濃度および0.62/0.94/1.0/1.25/1.98(C24/C26/C27/C28/C30)のようなGCピーク領域に基づいて計算した。
【0050】
実施例2 エタノール中でのエリセラス・ペラ昆虫ワックスの加水分解
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(25g)を80〜100℃で溶融した。水酸化ナトリウム(水5mLに溶解した5g)を95mLの30%エタノールと共にワックスに加えた。混合物を攪拌し、4時間還流し、そして室温に冷却した。得られた白色固体を濾過し、水(500mL)で2回洗浄し、次いで、氷酢酸(5mL)で中和し、中性になるまで水(3×)で洗浄した。22.5gもの粗製ポリコサノールが90%の収率で得られ、主な脂肪アルコール(1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールおよび1−トリアコンサノール)を62.2%の純度で含有していた。生成物のアルコール分布は以下の表2に示す。
表2 ポリコサノール生成物(EtOH中で加水分解)の長鎖アルコール分布
【0051】
【表2】

【0052】
実施例3 メタノール中でのエリセラス・ペラ昆虫ワックスの加水分解
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(100g)を80〜100℃で溶融した。水酸化ナトリウム(水30mLに溶解した25g)を290mLの52.5%メタノールと共にワックスに加えた。ケン化反応は加熱および攪拌しながら5時間進めた。混合物を室温に冷却し、濾過して、白色固体を得た。固体を水(2×)で洗浄し、硫酸で(50mL、20%、w/w)で中和し、水(3×)で洗浄した。ポリコサノール生成物(91g)が91%の収率で得られ、主な脂肪アルコール(1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールおよび1−トリアコンサノール)に基づいて59.0%の純度を有していた。生成物のアルコール分布は以下の表3に示す。
表3 ポリコサノール生成物(MeOH中で加水分解)の長鎖アルコール分布
【0053】
【表3】

【0054】
実施例4 1−プロパノール中でのエリセラス・ペラ昆虫ワックスの加水分解
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(500g)を80〜100℃で溶融した。水酸化ナトリウム(水100mLに溶解した100g)を1900mLの50%1−プロパノールと共にワックスに加えた。ケン化反応は加熱および攪拌しながら6時間進めた。混合物を室温に冷却し、濾過して、白色固体を得た。固体を水(2×)で洗浄し、塩酸で(300mL、25%、w/w)で中和し、中性になるまで水(3×)で洗浄した。合計460gのポリコサノールが92%の収率で得られ、4種類の主な脂肪アルコール(1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールおよび1−トリアコンサノール)に基づいて55.0%の純度を有していた。生成物のアルコール分布は以下の表4に示す。
表4 ポリコサノール生成物(1−PrOH中で加水分解)の長鎖アルコール分布
【0055】
【表4】

【0056】
実施例5 水中でのエリセラス・ペラ昆虫ワックスの加水分解
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(100g)を80〜100℃で溶融した。水酸化ナトリウム(100mL、20%)を加え、混合物を攪拌しながら4時間加熱した。4時間後、反応混合物を室温に冷却し、溶媒としてクロロホルムを用いてソックスレット抽出器中で抽出した(6×)。合わせたクロロホルム溶液を蒸発させて、精製ポリコサノールを得た(35g、35%収率)。生成物は4種類の主な脂肪アルコール(1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールおよび1−トリアコンサノール)を93.2%の総濃度で含有していた。生成物のアルコール分布は以下の表5に示す。
表5 ポリコサノール生成物(HO中で加水分解)の長鎖アルコール分布
【0057】
【表5】

【0058】
実施例6 n−ブタノール中でのエリセラス・ペラ昆虫ワックスの加水分解
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(25g)を80〜100℃で溶融した。水酸化ナトリウム(水5mLに溶解した7.5gの水酸化ナトリウム)を95mLの52.5%n−ブタノールと共に加えた。ケン化反応は加熱および攪拌しながら4.5時間進めた。混合物を室温に冷却し、濾過して、白色固体を得た。固体を水(2×)で洗浄し、濃リン酸で(5mL)で中和し、中性になるまで水(3×)で洗浄した。合計22gのポリコサノール(88%収率)が得られ、表6に示すような4種類の主な脂肪アルコール(1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールおよび1−トリアコンサノール)に基づいて60.7%の純度を有していた。
表6 ポリコサノール生成物(n−BuOH中で加水分解)の長鎖アルコール分布
【0059】
【表6】

【0060】
実施例7 酢酸エチルでの抽出によるエリセラス・ペラ昆虫ワックスからのポリコサノールの単離
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(25g)を80〜100℃で溶融した。水中の25%エタノール300mLに溶解した水酸化カリウム(5g)を溶融ワックスに加えた。反応混合物は加熱および攪拌しながら80〜100℃で4.5時間維持した。次に、塩基性反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル(10×)で抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせ、蒸発させて、精製ポリコサノール(6g、24%収率)を得た。これは、4種類の主な脂肪アルコール(1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールおよび1−トリアコンサノール)を含有し、純度は95.0%であった。生成物のアルコール分布は以下の表7に示す。
表7 ポリコサノール生成物(EtOAc抽出)の長鎖アルコール分布
【0061】
【表7】

【0062】
実施例8 ヘキサンでの抽出によるエリセラス・ペラ昆虫ワックスからのポリコサノールの単離
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(500g)を100〜105℃で溶融した。1500mLの水に溶解した水酸化ナトリウム(150g)を溶融ワックスに加え、溶液を攪拌しながら5時間加熱した。5時間後、白色固体を濾過によって得た。固体を、溶媒としてクロロホルムを用いてソックスレット抽出器中で12時間抽出した。ヘキサン溶液を室温に冷却したところ、ポリコサノール生成物が結晶化した。次に、結晶化生成物を濾過し、メタノール中で再結晶させた。再結晶すると、ポリコサノール(165g、33%収率)が得られた。脂肪族アルコールの純度は92.3%であった。混合物の融点は85〜91℃であった。この生成物の脂肪酸分布は以下の表8に示す。
表8 ポリコサノール生成物(ヘキサン抽出)の長鎖アルコール分布
【0063】
【表8】

【0064】
実施例9 クロロホルムでの抽出によるエリセラス・ペラ昆虫ワックスからのポリコサノールの単離
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(200g)を80〜100℃で溶融した。500mLの水に溶解した水酸化ナトリウム(60g)を溶融ワックスに加え、攪拌および加熱しながら4時間反応を進めた。反応完了後に得られた固体を濾過し、溶媒としてクロロホルムを用いて固−液抽出システム中で10時間抽出した。溶媒を室温に冷却したところ、ポリコサノール生成物が結晶化した。次に、結晶化生成物を濾過し、メタノール/クロロホルム(3/1)混合物中で再結晶させた。純度93.2%のポリコサノール(75g、37.5%収率)が得られた。混合物の融点は86〜90℃であった。表9にポリコサノール生成物の組成を示す。
表9 ポリコサノール生成物(CHCl抽出)の長鎖アルコール分布
【0065】
【表9】

【0066】
実施例10 テトラヒドロフラン(THF)での抽出によるエリセラス・ペラ昆虫ワックスからのポリコサノールの単離
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(1000g)を90〜110℃で溶融し、1500mLの水に溶解した水酸化カリウム(300g)を加えた。ケン化反応を攪拌および加熱しながら120分間進めた。白色固体が得られ、これを反応混合物から濾過し、次に、固−液抽出システム中でTHFで抽出した。THF抽出物を蒸発させ、残留固体を石油エーテル中で結晶化して、純度89.4%の355gのポリコサノール(35.5%収率)を得た。混合物の融点は81〜85℃であった。表10に生成物のアルコール組成を示す。
表10 ポリコサノール生成物(THF抽出)の長鎖アルコール分布
【0067】
【表10】

【0068】
実施例11 塩化メチレンでの抽出によるエリセラス・ペラ昆虫ワックスからのポリコサノールの単離
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(500g)を90〜100℃で溶融し、1000mLの水に溶解した水酸化ナトリウム(120g)を加えた。反応混合物を6時間攪拌および加熱した。生成された白色固体を濾過し、塩化メチレンで12時間、一般的な固−液抽出システム中で抽出した。抽出溶液を室温に冷却し、得られた固体をエタノール中で再結晶して、143gのポリコサノール(28.6%収率)を得た。結晶化生成物は合計91.8%の脂肪アルコールを含有し、融点は83〜86℃であった。表11はポリコサノール生成物の分布を示す。
表11 ポリコサノール生成物(CHCl抽出)の長鎖アルコール分布
【0069】
【表11】

【0070】
実施例12 石油エーテルでの抽出によるエリセラス・ペラ昆虫ワックスからのポリコサノールの単離
エリセラス・ペラ昆虫ワックス(500g)を100〜110℃で溶融し、700mLの水に溶解した水酸化ナトリウム(150g)を加えた。反応混合物を3時間攪拌および加熱した。得られた固体を石油エーテルで16時間、一般的な固−液抽出器中で抽出し、抽出溶液を室温に冷却し、濾過した。固体を結晶化して、純度95.0%のポリコサノール(150g、30%収率)を得た。融点は83〜87℃であった。表12は結晶化生成物の長鎖脂肪族アルコール分布を示す。
表12 ポリコサノール生成物(石油エーテル抽出)の長鎖アルコール分布
【0071】
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】代表的な長鎖(C22)脂肪族アルコールの化学構造およびエステル化脂肪酸の代表的な構造を示す。
【図2】8種のポリコサノール標準のガスクロマトグラフィー(GC)分布を示す。
【図3】ポリコサノール不在状態の加水分解前の昆虫エリセラス・ペラからのワクスのガスクロマトグラフィー(GC)分布を示す。
【図4】加水分解後の昆虫エリセラス・ペラからのワックスのガスクロマトグラフィー(GC)分布を示す。加水分解生成物は、テトラコサノール(7.7分)、ヘキサコサノール(8.7分)、オクタコサノール(10分)およびトリアコンタノール(11.6分)を含有する。
【図5】GC分析におけるテトラコサノールの直線範囲を示す。
【図6】GC分析におけるヘキサコサノールの直線範囲を示す。
【図7】GC分析におけるトリアコンタノールの直線範囲を示す。
【図8】GC分析におけるオクタコサノールの直線範囲を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
35〜55%の長鎖脂肪族アルコールで構成されるポリコサノール組成物であって、該アルコールが、1−ヘキサコサノール(〜20%−30%)、1−オクタコサノール(〜15%−25%)、1−トリアコンタノール(〜2%−4%)および1−テトラコサノール(〜1%−3%)よりなる群から選択されるポリコサノール組成物。
【請求項2】
組成物が昆虫エリセラス・ペラのワックスから誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
75〜100%の長鎖脂肪族アルコールで構成されるポリコサノール組成物であって、該アルコールが、1−ヘキサコサノール(〜30%−50%)、1−オクタコサノール(〜25%−45%)、1−トリアコンタノール(〜4%−10%)および1−テトラコサノール(〜3%−9%)よりなる群から選択されるポリコサノール組成物。
【請求項4】
組成物が昆虫エリセラス・ペラのワックスから誘導される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;そして
b.工程a)から得られた塩基性加水分解生成物を中和して、高級第1脂肪族アルコールで構成される組成物を得ること
の工程を含む方法により製造される、昆虫エリセラス・ペラのワックスからの24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物。
【請求項6】
加水分解が水性またはアルコール性溶液中でアルカリ土類水酸化物から選択される塩基で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アルコール性溶液が、1〜10個の炭素原子を有する第1、第2または第3アルコールよりなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アルコール性溶液が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールよりなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水性またはアルコール性溶液の体積が、昆虫ワックスの重量の1〜12倍である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
アルカリ土類水酸化物が、NaOH、KOHおよびCaOHよりなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
水酸化物が、ワックスの重量に基づいて5重量%を超える量で加えられる、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
水酸化物の添加量が、ワックスの重量に基づいて8〜40重量%の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
中和工程が、酢酸、硫酸、リン酸、コレリン酸、硝酸および塩酸よりなる群から選択される有機または無機酸を用いて行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;
b.工程a)から得られた塩基性加水分解生成物を維持して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより低い純度の組成物を得ること;そして
c.加水分解生成物を有機溶媒で抽出して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより高い純度の組成物を得ること
の工程を含む方法により製造される、昆虫エリセラス・ペラのワックスからの24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物。
【請求項15】
加水分解が水性またはアルコール性溶液中でアルカリ土類水酸化物から選択される塩基で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アルコール性溶液が、1〜10個の炭素原子を有する第1、第2または第3アルコールよりなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アルコール性溶液が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールよりなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
水性またはアルコール性溶液の体積が、昆虫ワックスの重量の1〜12倍である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
アルカリ土類水酸化物が、NaOH、KOHおよびCaOHよりなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
水酸化物が、ワックスの重量に基づいて5重量%を超える量で加えられる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
水酸化物の添加量が、ワックスの重量に基づいて8〜40重量%の範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
高級第1脂肪族アルコールで構成されるより低い純度の組成物が、強塩基条件に維持される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
有機溶媒が、6〜9個の炭素原子を有する炭化水素、3〜8個の炭素原子を有するケトン、1〜5個の炭素原子を有するアルコール、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
有機溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたは石油エーテルよりなる群から選択される炭化水素である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
有機溶媒が、アセトン、ペンタノン、2−メチルペンタノン、ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびヘプタノンよりなる群から選択されるケトンである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノールおよびt−ブタノールよりなる群から選択されるアルコールである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンおよび1,2,3−トリクロロプロパンよりなる群から選択されるハロゲン化炭化水素である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
溶媒が、ベンゼン、フェノール、トルエンおよびp−メチルトルエンよりなる群から選択される芳香族化合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
長鎖脂肪族アルコールの組成物が、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;
b.工程a)から得られた加水分解生成物を有機溶媒で抽出して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより高い純度の組成物を得ること;そして
c.工程b)で得られた加水分解生成物を再結晶によって精製すること
の工程を含む方法により製造される、昆虫エリセラス・ペラのワックスからの24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物。
【請求項31】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;
b.工程a)から得られた塩基性加水分解生成物を中和して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより低い純度の組成物を得ること;そして
c.加水分解生成物を中和することなく有機溶媒で任意に抽出して、より高い純度のポリコサノールを得ること
の工程を含む、昆虫エリセラス・ペラのワックスから24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物を製造する方法。
【請求項32】
d)工程c)で得られた加水分解生成物を再結晶によって精製すること
の工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
加水分解が水性またはアルコール性溶液中でアルカリ土類水酸化物から選択される塩基で行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
アルコール性溶液が、1〜10個の炭素原子を有する第1、第2または第3アルコールよりなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アルコール性溶液が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールよりなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
水性またはアルコール性溶液の体積が、昆虫ワックスの重量の1〜12倍である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
アルカリ土類水酸化物が、NaOH、KOHおよびCaOHよりなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
水酸化物が、ワックスの重量に基づいて5重量%を超える量で加えられる、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
水酸化物の添加量が、ワックスの重量に基づいて8〜40重量%の範囲である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
中和工程が、酢酸、硫酸、リン酸、コレリン酸、硝酸および塩酸よりなる群から選択される有機または無機酸を用いて行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
有機溶媒が、6〜9個の炭素原子を有する炭化水素、3〜8個の炭素原子を有するケトン、1〜5個の炭素原子を有するアルコール、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
有機溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたは石油エーテルよりなる群から選択される炭化水素である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
有機溶媒が、アセトン、ペンタノン、2−メチルペンタノン、ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびヘプタノンよりなる群から選択されるケトンである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノールおよびt−ブタノールよりなる群から選択されるアルコールである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンおよび1,2,3−トリクロロプロパンよりなる群から選択されるハロゲン化炭化水素である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
溶媒が、ベンゼン、フェノール、トルエンおよびp−メチルトルエンよりなる群から選択される芳香族化合物である、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
長鎖脂肪族アルコールの組成物が、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで構成される、請求項31に記載の方法。
【請求項48】
肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血、血栓症、および心臓血管病を予防および治療するための方法であって、それを必要とする患者に、請求項1から選択されるポリコサノール組成物を投与することを含む方法。
【請求項49】
肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血、血栓症、および心臓血管病を予防および治療するための方法であって、それを必要とする患者に、請求項3から選択されるポリコサノール組成物を投与することを含む方法。
【請求項50】
ポリコサノール組成物が、0.01〜200mg/kg体重から選択される投与量で投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
投与ルートが、適切な医薬製剤の形での、経口、局所、座剤、静脈内、および皮内、胃内、筋肉内、腹腔内および静脈内投与よりなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
適切な医薬製剤中のポリコサノール濃度が0.01〜100%から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
ポリコサノール組成物が、0.01〜200mg/kg体重から選択される投与量で投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
投与ルートが、適切な医薬製剤の形での、経口、局所、座剤、静脈内、および皮内、胃内、筋肉内、腹腔内および静脈内投与よりなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
適切な医薬製剤中のポリコサノール濃度が0.01〜100%から選択される、請求項49に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長鎖脂肪族アルコールで構成されるポリコサノール組成物であって、該長鎖アルコールが、1−ヘキサコサノール(20%〜50%)、1−オクタコサノール(15%〜45%)、1−トリアコンタノール(2%〜10%)および1−テトラコサノール(1%〜9%)を含むポリコサノール組成物。
【請求項2】
組成物が昆虫エリセラス・ペラのワックスから誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の35%〜100%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の35%〜55%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の55%〜75%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の75%〜100%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
肥満、シンドロームX、糖尿病、高コレステロール血症、アテローム硬化合併症、虚血、血栓症、および心臓血管病を予防および治療するための方法であって、該方法は、それを必要とする患者に、長鎖脂肪族アルコールで構成されるポリコサノール組成物を投与することを含み、該長鎖アルコールが、1−ヘキサコサノール(20%〜50%)、1−オクタコサノール(15%〜45%)、1−トリアコンタノール(2%〜10%)および1−テトラコサノール(1%〜9%)を含む、上記の方法。
【請求項8】
組成物が昆虫エリセラス・ペラのワックスから誘導される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の35%〜100%を構成する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の35%〜55%を構成する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の55%〜75%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
長鎖脂肪族アルコールが、組成物の75%〜100%を構成する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
ポリコサノール組成物が、0.01〜200mg/kg体重から選択される投与量で投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
投与ルートが、適切な医薬製剤の形での、経口、局所、座剤、静脈内、および皮内、胃内、筋肉内、腹腔内および静脈内投与よりなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
適切な医薬製剤中のポリコサノール濃度が、0.01%〜100%から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;そして
b.工程a)から得られた塩基性加水分解生成物を中和して、高級第1脂肪族アルコールで構成される組成物を得ること;
の工程を含む方法により製造される、昆虫エリセラス・ペラのワックスからの24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物。
【請求項17】
加水分解が水性またはアルコール性溶液中でアルカリ土類水酸化物から選択される塩基で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルコール性溶液が、1〜10個の炭素原子を有する第1、第2または第3アルコールよりなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アルコール性溶液が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールよりなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
水性またはアルコール性溶液の体積が、昆虫ワックスの重量の1〜12倍である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
アルカリ土類水酸化物が、NaOH、KOHおよびCaOHよりなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
水酸化物が、ワックスの重量に基づいて5重量%を超える量で加えられる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
水酸化物の添加量が、ワックスの重量に基づいて8〜40重量%の範囲である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
中和工程が、酢酸、硫酸、リン酸、コレリン酸、硝酸および塩酸よりなる群から選択される有機または無機酸を用いて行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;
b.工程a)から得られた塩基性加水分解生成物を維持して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより低い純度の組成物を得ること;そして
c.加水分解生成物を有機溶媒で抽出して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより高い純度の組成物を得ること
の工程を含む方法により製造される、昆虫エリセラス・ペラのワックスからの24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物。
【請求項26】
加水分解が水性またはアルコール性溶液中でアルカリ土類水酸化物から選択される塩基で行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
アルコール性溶液が、1〜10個の炭素原子を有する第1、第2または第3アルコールよりなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アルコール性溶液が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールよりなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
水性またはアルコール性溶液の体積が、昆虫ワックスの重量の1〜12倍である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
アルカリ土類水酸化物が、NaOH、KOHおよびCaOHよりなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
水酸化物が、ワックスの重量に基づいて5重量%を超える量で加えられる、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
水酸化物の添加量が、ワックスの重量に基づいて8〜40重量%の範囲である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
高級第1脂肪族アルコールで構成されるより低い純度の組成物が、強塩基条件に維持される、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
有機溶媒が、6〜9個の炭素原子を有する炭化水素、3〜8個の炭素原子を有するケトン、1〜5個の炭素原子を有するアルコール、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
有機溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたは石油エーテルよりなる群から選択される炭化水素である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
有機溶媒が、アセトン、ペンタノン、2−メチルペンタノン、ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびヘプタノンよりなる群から選択されるケトンである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノールおよびt−ブタノールよりなる群から選択されるアルコールである、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンおよび1,2,3−トリクロロプロパンよりなる群から選択されるハロゲン化炭化水素である、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
溶媒が、ベンゼン、フェノール、トルエンおよびp−メチルトルエンよりなる群から選択される芳香族化合物である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
長鎖脂肪族アルコールの組成物が、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで構成される、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;
b.工程a)から得られた加水分解生成物を有機溶媒で抽出して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより高い純度の組成物を得ること;そして
c.工程b)で得られた加水分解生成物を再結晶によって精製すること
の工程を含む方法により製造される、昆虫エリセラス・ペラのワックスからの24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物。
【請求項42】
a.昆虫から得られた溶融ワックスを塩基で加水分解すること;
b.工程a)から得られた塩基性加水分解生成物を中和して、高級第1脂肪族アルコールで構成されるより低い純度の組成物を得ること;そして
c.加水分解生成物を中和することなく有機溶媒で任意に抽出して、より高い純度のポリコサノールを得ること
の工程を含む、昆虫エリセラス・ペラのワックスから24〜30個の炭素原子(C24−C30)を有する高級第1脂肪族アルコールの組成物を製造する方法。
【請求項43】
d)工程c)で得られた加水分解生成物を再結晶によって精製すること
の工程をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
加水分解が水性またはアルコール性溶液中でアルカリ土類水酸化物から選択される塩基で行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
アルコール性溶液が、1〜10個の炭素原子を有する第1、第2または第3アルコールよりなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
アルコール性溶液が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびn−ブタノールよりなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
水性またはアルコール性溶液の体積が、昆虫ワックスの重量の1〜12倍である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
アルカリ土類水酸化物が、NaOH、KOHおよびCaOHよりなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
水酸化物が、ワックスの重量に基づいて5重量%を超える量で加えられる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
水酸化物の添加量が、ワックスの重量に基づいて8〜40重量%の範囲である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
中和工程が、酢酸、硫酸、リン酸、コレリン酸、硝酸および塩酸よりなる群から選択される有機または無機酸を用いて行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
有機溶媒が、6〜9個の炭素原子を有する炭化水素、3〜8個の炭素原子を有するケトン、1〜5個の炭素原子を有するアルコール、ハロゲン化炭化水素または芳香族化合物およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
有機溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたは石油エーテルよりなる群から選択される炭化水素である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
有機溶媒が、アセトン、ペンタノン、2−メチルペンタノン、ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびヘプタノンよりなる群から選択されるケトンである、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノールおよびt−ブタノールよりなる群から選択されるアルコールである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンおよび1,2,3−トリクロロプロパンよりなる群から選択されるハロゲン化炭化水素である、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
溶媒が、ベンゼン、フェノール、トルエンおよびp−メチルトルエンよりなる群から選択される芳香族化合物である、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
長鎖脂肪族アルコールの組成物が、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールおよびトリアコンタノールで構成される、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−517583(P2006−517583A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503078(P2006−503078)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/002273
【国際公開番号】WO2004/069161
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】