説明

エリトロポエチン受容体に結合する化合物およびペプチド

【課題】エリトロポイエチン受容体に結合する新規化合物およびペプチドの提供。
【解決手段】エリトロポエチン受容体(EPO−R) に結合し、そして活性化し、または EPOアゴニストとして働く、アミノ酸配列X3X4X5GPX6TWX7X8 (SEQID NO:) を含み、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X6 は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである長さ10〜40アミノ酸残基のペプチド及びそれらの使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、1993年11月19日に出願された米国出願第08/155,940 号の一部継続出願である、1995年6月7日に出願された米国特許第08/484,635 号および同第08/484,631 号の一部継続出願であり、これらすべては出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0002】
発明の分野
本発明は、とりわけ、エリトロポエチン受容体(EPO−R)に結合し活性化させるまたはそうでなくとも EPOアゴニストとして作用するペプチドおよび化合物を提供する。本発明は生化学および医化学の分野における適用を有し、詳しくはヒトの疾病の治療に使用されるための EPOアゴニストを提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
エリトロポエチン(EPO)は、 165のアミノ酸を、アミノ酸位24,38, 83および 126に4つのグリコシル化部位を、および約34,000の分子量を有する糖タンパク質ホルモンである。それは最初に、23のアミノ酸からなるシグナルペプチドを有する前駆体タンパク質として生産される。EPO は、3つの型で存在する:α,βおよびアシアロである。αおよびβ型は炭水化物組成にわずかな違いがあるが、同様の効力、生物学的活性および分子量を有する。アシアロ型は末端炭水化物(シアル酸)を除いたαまたはβ型である。 EPOをコードする DNA配列は報告されている。出典明示して本明細書の一部と見なされる Lin (1987) 米国特許第 4,703,008号参照。
【0004】
EPOは有糸分裂および赤血球前細胞の分化を刺激し、かくして赤血球の生産を確保する。それは低酸素状態を克服する場合に腎臓で生産される。 EPOが誘導する赤血球前細胞の分化中、グロブリン合成が誘導され、ヘム複合体の合成およびフェリチン受容体の数が増加する。このことは細胞により多くの鉄を取り込ませ機能性ヘモグロビンを合成することを可能にする。成熟赤血球におけるヘモグロビンは酸素と結合する。かくして、赤血球およびそれらに含有されるヘモグロビンは、体に酸素を供給するにおいて鍵となる役割を演ずる。報告されてきた複雑な過程は、 EPOと赤血球前細胞の細胞表面の適切な受容体との相互作用によって着手された。例えば、Graber and Krantz (1978) Ann. Rev. Med. 29 : 51-66参照。
【0005】
EPOは、体が健康な状態にあり、そこで組織が存在する多くの赤血球から十分な酸素添加を受容している場合は、原形質に非常に低濃度で存在する。この正常な低濃度は加齢を通じ正常性を欠いている赤血球の置換を刺激するに十分である。
循環における血液細胞による酸素輸送が減少した場合、循環における EPOの量は、低酸素条件の下、増加する。低酸素は出血による大量の血液の喪失、過度の放射線照射による赤血球細胞の破壊、高い高度または長期間の意識不明による酸素取り込みの減少、または種々の形の低酸素によって引き起こされ得る。低酸素ストレスを受けている組織に応答して、 EPOは赤血球前細胞の増殖刺激による赤血球生産を増加させる。循環における赤血球の数が正常組織の酸素要求に必要とされる量より多くなれば、循環における EPOは減少する。
【0006】
EPOは赤血球形成過程に欠くことができないので、該ホルモンは低いあるいは不完全な赤血球生産によって特徴づけられる血液傷害の診断および治療の双方に有効な適用を有し得る。最近の研究は、ベータサラセミア (Vedovatoら (1984) Acta. Haematol. 71 : 211-213)参照;嚢胞性線維症(Vichinskyら (1984) J. Pediatric 105 : 15-21参照) ; 妊娠異常および月経異常(Cotesら (193) Brit.J. Ostet. Gyneacol. 90 : 304-311参照) ;未熟児の初期貧血症状 (Hagaら (1983) Acta. Pediatr. Scard. 72 : 827-831参照) ;脊髄外傷 (Claus-Walkerら (1984) Arch. Phys. Med. Rehabil. 65 : 370-374参照);宇宙飛行 (Dunnら (1984) Eur. J. Appl. physiol. 52 : 178-182 参照) ;急性血液喪失 (Millerら (1982) Brit. J. Haematol. 52 : 545-590 参照);加齢(Udupaら (1984) J. Lab.Clin. Med. 103 : 574-580および 581-588、および Lipachitzら (1983) Blood 63 : 502-509参照);腫瘍性病状異常な赤血球生成を伴う種々の腫瘍性病状(Dainiakら (1983) Cancer 5 : 1101-1106およびSchwartzら (1983) Otolaryngal. 109 : 269-277参照) ;および腎不全 (Eschbachら (1987) N. Eng. J. Med. 316 : 73-78)を含む種々の病状、障害および血液学的不規則性症状における効力ある EPO療法の計画の基礎を提供する。
【0007】
精製された均質な EPOが特徴づけられた。Hewick米国特許第 4,677,195号参照。 EPOをコードする DNA配列が精製され、クローン化され、同一の生化学的および免疫学的特性を有する合成ポリペプチドの生産を発現した。天然物質におけるそれと同様のオリゴ糖を有する組み換え EPO分子も作成された。Sasakiら (1987) J. Biol. Chemt. 262 : 12059-12076 参照。
【0008】
精製組換え EPOの有効性にもかかわらず、 EPO誘導赤血球増殖および分化の機構に関してはほとんど知られていない。未熟赤血球、血小板、巨核球の祖先との EPOの特異的相互作用はまだ特徴づけられないでいる。少なくとも部分的には、このことは正常赤血球および赤白血病細胞系統において少数の表面 EPO受容体分子によるものである。KrantzおよびGoldwasser (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 : 7574-7578 ; Branchら (1987) Blood 69 : 1782-1785;Mayeuxら (1987) FESB Letters 211 : 229-233;MufsonおよびGesner (1987) Blood 69 : 1485-1490 ; Sakaguchiら (1987) Biochem. Biophys. Res. Commun. 146 : 7-12 ; Sawyerら (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 : 3690-3694 ; Sawyerら (1987) J. Biol. Chem. 262 : 5554-5562;およびTodokoroら (1988) Proc. Natl.Acad. Sci. USA 84 : 4126-4130 参照。
【0009】
放射性ヨウ素で処理した EPOおよび細胞表面タンパク質との架橋複合体は、細胞表面タンパク質が各々およそ85,000ダルトンおよび 100,000ダルトンの分子量を有する2つのポリペプチドからなる事を示唆する。さらに最近、2つの架橋複合体がV8プロテアーゼ消化を受けており、同一のペプチド断片を有することが判明したことは、2つの EPO結合ポリペプチドが同一または非常に似た遺伝子の産物であり得ることを示唆する。Sawyerら (1988) 前掲参照。しかしながら、ほとんどの細胞表面結合実験は単一クラスの結合部位が、およそ800pM(ピコモル) のKdを有する、細胞表面当たり平均 300ないし 600であることを明らかにした。Sawyerら (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 : 3690-3694 参照。しかしながら、ブレンド白血病ウイルスの貧血性株(FVA) を注射したマウスから調製された EPO感応脾性赤血球は、各々 100pMおよび 800pMの解離定数を有する高および低親和性結合部位を証明する。Sawyerら (1987) J. Biol. Chem. 262 : 5554-5562およびLandschulz (1989) Blood 73 : 1476-1478参照。マウスおよびヒト EPO受容体タンパク質に対する DNA配列およびコードされるペプチド配列が報告された。D'Andreaら PCT国際公開WO90/08822(1990年公開) 参照。
【0010】
EPO−Rに対してクローン化された遺伝子の有効性は、この重要な受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの探索を助長する。組み換え受容体タンパク質の有効性は種々のランダムおよび半ランダムペプチド多様性発生系における受容体−リガンド相互作用の実験を可能とした。これらの系は1991年10月16日に出願された米国特許第 778,233号に記載された「プラスミドにおけるペプチド」系、1991年6月20日に出願された米国特許第 718,577号記載および1990年8月 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382 Cwirlaらにおける「ファージにおけるペプチド」系、1992年9月16日に出願された米国特許第 946,239号 (これは1991年9月18日に出願された第 762,522号の一部継続出願である) に記載された「コードされた合成ライブラリー」(ESL) 系、および1990年3月7日に出願された米国特許第 492,462号;1990年11月13日に公開された PCT国際公開90/15070 ; 1990年11月6日に出願された米国特許第 624,120号 ; Fodorら、1991年2月15日、 Science 257 : 767-773 ; DowerおよびFodor, 1991, Ann. Rep. Med. Chem. 26 : 271-180;および1991年12月6日に出願された米国特許第 805,727号;に記載された「非常に大きなスケールの固定化ポリマー合成」系を含む。各外国特許および公開は出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0011】
しかしながら、この受容体によって仲介される重要な生物学的活性の研究および疾病の治療の双方にとって化合物が EPO−Rに結合する、またはそうでなくとも EPO−Rとの相互作用する必要が残る。本発明はかかる組成物を提供する。
【発明の概要】
【0012】
発明の概要
1の具体例において、本発明は EPO−Rに結合し活性化する、またはそうでなくとも EPOアゴニストとして働くペプチドを提供する。これらのペプチドは長さ10ないし40またはそれより大きいアミノ酸残基、好ましくは長さ14ないし20のアミノ酸残基で、アミノ酸X3X4X5GPX4TWX7X8 (配列番号:) のコア配列を含み、ここに、各々のアミノ酸は標準的な1文字省略によって示され;X3 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり、 Hocはホモシステインであり;X4 はR,H,LまたはWであり、X5 はM,FまたはIであり;X6 は独立して20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸またはその立体異性体D−アミノ酸のいずれかのものから選択され;X7 はD,E,I,LまたはVであり;およびX8 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸すなわち Hocであり、ここに、 Hocはホモシステインであり、但しX3 またはX8 のいずれかがCまたは Hocである。好ましくは、該ペプチドはコア配列YX2X3X4X5GPX6TWX7X8(配列番号:) を含み、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され、X2 およびX6 は各々20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかのものから独立して選択され;X3 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり、ここに、 Hocはホモシステインであり;X4 はR,H,LまたはWであり;X5 はM,FまたはIであり;X7 はD,E,I,LまたはVであり;X8 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり、ここに、 Hocはホモシステインであり、但しX3 またはX8 のいずれかがCまたは Hocである。
【0013】
さらに好ましくは、該ペプチドはアミノ酸コア配列X1YX2X3X4X5GPX6TWX7X8X9X10X11(配列番号:) を含み、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され、各々X1 ,X2 ,X6 ,X9 ,X10およびX11は、20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかのものから独立して選択され;X3 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり、ここで Hocはホモシステインであり;X4 はR,H,LまたはWであり;X5 はM,FまたはIであり;X7 はD,E,I,LまたはVであり;X8 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり、ここに、 Hocはホモシステインであり、但しX3 またはX8 のいずれかがCまたは Hocである。
【0014】
より好ましい具体例において、X3 およびX5 が共にCであり、かくして、該ペプチドはアミノ酸コア配列X1YX2CX4X5GPX6TWX7CX9X10X11(配列番号:) を含むであろう。さらに好ましくは、該ペプチドはアミノ酸コア配列X1YXCX4X5GPX6TWX7CX9X10X11( 配列番号:)を含み、ここでX4 はRまたはHであり、X5 はFまたはMであり、X6 はI,L,T,MまたはVであり、X7 はDまたはVであり、X9 はG,K,L,Q,R,SまたはTであり、X10はA,G,P,RまたはYである。最も好ましい具体例においては、該ペプチドはアミノ酸コア配列X1YX2CX4X5GPX6TWX7CX9X10X11(配列番号:)を含み、ここに、X1 はD,E,L,N,S,TまたはVであり、X2 はA,H,K,L,M,SまたはTであり、X4 はRまたはHであり、X9 はK,R,SまたはTおよびX10はPである。特に好ましいペプチドは制限されるものではないが、下記のものを含む。
【0015】
【化1】

【0016】
もう1つの具体例においては、本発明の該ペプチドは環状化またはダイマー化されている。C−末端アミドとして環状化され得るペプチド例は限定されるものではないが、下記のものを含む。
【0017】
【化2】

【0018】
本発明におけるダイマーの例は下記の通りである:
【0019】
【化3】

【0020】
本発明のいくつかの具体例によれば、20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸または立体異性体D−アミノ酸のいずれかから独立して選択された2またはそれ以上、および好ましくは2ないし6の間のアミノ酸残基が、前記した該コア配列の一方の末端または両端に結合するであろう。例えば、配列GGはしばしば該ペプチドの合成を容易にするためにコア配列の一方の末端または両端に付加される。また本発明はこれらのペプチドおよび誘導体の接合体および EPO−R結合特性を保有する該ペプチドのペプチドミメティックスも提供する。
【0021】
また本発明は、本発明の新規化合物を利用して EPO欠損を含む疾病を治療する方法も提供する。さらには本発明は、本発明の1種またはそれ以上の化合物および生理学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本明細書に記載した方法に用いた突然変異誘発オリゴマーの配列を提供する。
【図2−1】図2は、本発明の代表的なペプチドの配列を示す。
【図2−2】図2は、本発明の代表的なペプチドの配列を示す。
【図3】図3は、 pVIIIディスプレイ系を用いて構築された新規のファージミド突然変異誘発ライブラリーを図示する。このライブラリーにおいて、(下線を引いた)チロシン、グリシン−プロリンおよびトレオニン−トリプトファン残基、ならびに2つのシステインにても固定された。(オリジナルの AF11154ヒットペプチドに存在するアウトラインイタリック体で示された)システイン残基間の他の部位は各々のアミノ酸残基は50%の頻度で他のいずれにも変化し得るような、オリゴ構築体によって変異誘発された。「X」はランダムアミノ酸の部位を表す。
【図4A】図4A−Cは、現在構築およびスクリーニング下のpIIIおよび pVIIIファージミド突然変異誘発ライブラリーを図示する。肉太のアミノ酸残基は固定され、(NNKで示された) 残りがランダム化されている。4A (ON3007) および4C (ON3017) は、コア配列(チロシンから2番目のシステインまで)に対する各々外生フランキング領域N−末端およびC−末端の関与を調べるために設計された。4B (ON3016) はペプチドY-CHFGPLTWVCに基づき、ここでトリプトファン残基は最初のシステインのすぐ隣に置かれる。このライブラリーはコア配列の両端に付加的ランダム残基が加わる。
【図4B】図4A−Cは、現在構築およびスクリーニング下のpIIIおよび pVIIIファージミド突然変異誘発ライブラリーを図示する。肉太のアミノ酸残基は固定され、(NNKで示された) 残りがランダム化されている。4A (ON3007) および4C (ON3017) は、コア配列(チロシンから2番目のシステインまで)に対する各々外生フランキング領域N−末端およびC−末端の関与を調べるために設計された。4B (ON3016) はペプチドY-CHFGPLTWVCに基づき、ここでトリプトファン残基は最初のシステインのすぐ隣に置かれる。このライブラリーはコア配列の両端に付加的ランダム残基が加わる。
【図4C】図4A−Cは、現在構築およびスクリーニング下のpIIIおよび pVIIIファージミド突然変異誘発ライブラリーを図示する。肉太のアミノ酸残基は固定され、(NNKで示された) 残りがランダム化されている。4A (ON3007) および4C (ON3017) は、コア配列(チロシンから2番目のシステインまで)に対する各々外生フランキング領域N−末端およびC−末端の関与を調べるために設計された。4B (ON3016) はペプチドY-CHFGPLTWVCに基づき、ここでトリプトファン残基は最初のシステインのすぐ隣に置かれる。このライブラリーはコア配列の両端に付加的ランダム残基が加わる。
【図5】図5は、新規の Lac−Iディスプレイベクター(「ヘッドピースダイマー」)を用いて構築、およびスクリーニングされた GGTYSCHFGLTWVCKPQGGに基づく、突然変異誘発ライブラリーを図示する。Xと表されたアミノ酸残基はランダム(NNK) であり、下線のものは軽度に変異誘発され(91:3:3:3/91:3:3:3/K)、一方線囲みのものは重度に変異誘発される(70:10:10/70:10:10/K)。
【図6】図6は、新規の Lac−Iディスプレイベクター(「ヘッドピースダイマー」)を用いて構築、およびスクリーニングされたTIAQYICYMGPETWECRPSPKAに基づく、突然変異誘発ライブラリーを図示する。Xと表されたアミノ酸残基はランダム(NNK) であり、線囲みのものは固定され、2つのグルタミン酸残基は軽度に変異誘発される(91:3:3:3/91:3:3:3/K)。
【図7】図7は、 (黒丸)GGCRIGPITWVCGGの結果を表示; (白丸)GGLYLCRFGPVTWDCGYKGGに対する結果を表示; (黒四角)GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGに対する結果を表示; (黒上向三角)GGDYHCRMGPLTWVCKPLGGに対する結果を表示; (黒下向三角)VGNYMCHFGPITWVCRPGGGに対する結果を表示; |GGVYACRMGPITWVCSPLGGに対する結果を表示; +VGNYMAHMGPITWVCRPGG に対する結果を表示;および * EPO に対する結果を表示を用いた実験の選択ペプチドに対するFDCP−1/hEPO−Rバイオアッセイの結果のグラフ表示である。
【図8】図8は、EPO((黒上向三角)および(黒菱形)は EPOおよび各ウェル当たり10,000または20,000細胞を用いたアッセイの結果を示す)およびペプチドVGNYMCHFGPITWVCRPGGG (配列番号:)((黒四角)および(黒丸)にはペプチドおよび各々ウェル当たり10,000または20,000細胞を用いたアッセイの結果を示す)に対するTF−1バイオアッセイの結果のグラフ表示である。
【図9A−C】図9A(対照)、9B(500pMの EPOで処理) および9C (20mmGGDYHCRMGPLTWVCKPLGGで処理) はペニルヒドラジン処理したマウス脾臓細胞の代表的集団における MTT増殖アッセイの結果を倍率 200倍で示す写真である。
【図10】図10は、FDCP−1/hEPOR バイオアッセイの結果のグラフ表示であり、ストレプトアビジンによるオリゴマー形成によって、ビオチン付加ペプチド(すなわち、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン))の増強された効力を示す。ペプチドGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGおよびGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン) は、ほぼ同等の活性を発現するが、後者がストレプトアビジンで複合体を形成する前(すなわち、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン) −ストレプトアビジン複合体) である場合、遥かに効力がある。このアッセイにおいて、最低濃度でも(該複合体におけるペプチドに関して5nM) 、活性における低下はほとんど見られない。ストレプトアビジン単独は高濃度で限界活性を有する。
【図11】図11は、FDCP−1/hEPOR バイオアッセイの結果のグラフ表示であり、ポリクローナルヤギ抗−ビオチンが仲介する、ペプチド AF11505の効力における増加を示す。GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン) とヤギ抗−ビオチン抗体(GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK+G抗−B)との複合体形成前の遊離ペプチドを1log 越えてペプチドの効力を増強する。精製された抗体(G抗−B)は単独では刺激効果を持たない。
【図12】図12は、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのダイマーペプチドアナログの調製のための合成スキームを図示する。
【図13】図13は、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのダイマーペプチドアナログのIC50プロットを図示する。親和性はmAB179に固定化された PIG−テールド EPO−Rに対して放射性リガンド競合結合アッセイを用いて決定した。
【図14】図14は、FDCP−1/hEPOR 細胞増強アッセイを用いた、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGダイマーペプチドアナログのインビトロでの生物学的活性を図示する。該ダイマーペプチドはおよそ20nMのEC50を有し、親ペプチドの効力を20倍増強する。
【図15】図15は、 FDC−P1/ERの細胞サイクルの進行を図示する。
【図16A−B】図16は、〔 125I〕EPO とアガロースビーズに固定化された EBPとの特異的会合についての平衡結合分析を図示し、結合等温線の線状形質転換(スキャッチャード)に基づく5nM±2のKd値を示す。
【図17A−B】17A,17Bおよび17Cは、各ペプチドGGTYSCHFGPLTWVCKPQGG,GGTYSCHFGPLTWVCKPQおよびLGRKYSCHFGPLTWVCQPAKKDを用いた赤血球増加性低酸素症マウスバイオアッセイの結果を図示する。
【図17C】17A,17Bおよび17Cは、各ペプチドGGTYSCHFGPLTWVCKPQGG,GGTYSCHFGPLTWVCKPQおよびLGRKYSCHFGPLTWVCQPAKKDを用いた赤血球増加性低酸素症マウスバイオアッセイの結果を図示する。
【図18A】図18Aおよび18Bは、ペプチドTIAQYICYMGPETWECRPSPKAおよび2つの二硫化結合(AF12080) を含むGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのダイマーペプチドアナログを用いた赤血球増加性低酸素症マウスバイオアッセイの結果を図示する。
【図18B】図18Aおよび18Bは、ペプチドTIAQYICYMGPETWECRPSPKAおよび2つの二硫化結合(AF12080) を含むGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのダイマーペプチドアナログを用いた赤血球増加性低酸素症マウスバイオアッセイの結果を図示する。
【図19A−B】図19Aおよび19Bは、各々 EPOおよびGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGを用いた網状赤血球アッセイの結果を図示する。双方の用量群につき、n=10動物。 EPO:0.4, 4.0, 40.0単位/マウス、総用量賦形剤対照;GGTYSCHFGPLTWVCKPQGG:2.0, 20.0, 200.0μg/マウス、総用量賦形剤対照+DMSO(1−2%)200μg/マウス=10mg/kg。理論:インビトロ増殖アッセイデータ示唆:2μgのGGTYSCHFGPLTWVCKPQGG=EPO 0.4 単位。
【図20A−B】図20Aおよび20Bは、各々 EPOおよびGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGを用いた網状赤血球アッセイの結果を図示する。双方の用量群につき、n=10動物。 EPO:0.4, 4.0, 40.0単位/マウス、総用量;GGTYSCHFGPLTWVCKPQGG:1mg/マウスまで用量増加、総用量=50mg/kgおよび2mg/マウスまで、総用量=mg/kg。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明および好ましい具体例の詳細な説明
下記用語は下記一般的意味を有すると意図される。ペプチドにおけるアミノ酸残基は下記のごときに省略される:フェニルアラニンは PheまたはF;ロイシンは LeuまたはL;イソロイシンは IleまたはI;メチオニンは MetまたはM;バリンは ValまたはV;セリンは SerまたはS;プロリンは ProまたはP;トレオニンは ThrまたはT;アラニンは AlaまたはA;チロシンは TyrまたはY;ヒスチジンは HisまたはH;グルタミンは GlnまたはQ;アスパラギンは AsnまたはN;リシンは LysまたはK;アスパラギン酸は AspまたはD;グルタミン酸は GluまたはE;システインは CysまたはC;トリプトファンは TrpまたはW;アルギニンは ArgまたはR;グリシンは GlyまたはGである。
【0024】
また、20の通常アミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、a,a−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、ラクチン酸のごとき自然界にないアミノ酸、および他の通常でないアミノ酸もまた、本発明の化合物として適する組成物であり得る。通常でないアミノ酸の例は、4−ヒドロキシプロリン、O−ホスホセリン、N−アセチルコリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシンおよび他の同様のアミノ酸およびイミド酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)を含む。
【0025】
「アゴニスト」とは、相補的、生物学的にその活性受容体に結合して、後者を活性化して該受容体で生物学的応答を引き起こす、または先在している該受容体の生物学的活性を増強する、生物学的活性リガンドをいう。
【0026】
「供与細胞」とは、真核または原核細胞、または組み換え DNAベクターによって形質転換され得るまたは形質転換された細胞群をいう。本発明の目的に対しては、原核供与細胞が好ましい。
「ペプチド」または「ポリペプチド」とは、そのモノマーがアミド結合を介して結びついたαアミノ酸のポリマーをいう。ペプチドはアミノ酸モノマー2個またはしばしばそれ以上の長さである。
【0027】
「医薬上許容される塩」とは、医薬業界で一般に使われている非−毒性アルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩をいい、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウムおよびプロタミン亜鉛塩を含み、これらは当該分野で十分公知の方法により調製される。また、本用語は非−毒性酸付加塩も含み、これは適した有機または無機酸を用いて本発明の反応化合物によって一般に調製されている。代表的な塩としては、塩化水素、臭化水素、硫酸塩、二硫化塩、酢酸塩、オキサロ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩などを含む。
【0028】
「医薬的にまたは治療的に有効用量または量」とは、所望の生物学的結果を誘導するのに十分な用量レベルをいう。その結果とは、疾病の徴候、症状または原因を軽減、または生物学的システムの他のいかなる所望の変更でもあり得る。好ましくは、この用量または量は EPO−Rの刺激に十分であり得、かくして、インビボにおける EPO欠損、または不完全もしくは低赤血球集団に伴う症状を軽減する。
【0029】
「組み換え DNAクローニングまたは発現ベクター」とは、有用な機能をコードし、供与細胞の形質転換に使用し得る DNAまたは RNA分子をいう。本発明の目的に対しては、典型的にクローニングベクターは主として発現ベクターの構築において中間体として働く。後者のベクターは、供与細胞を形質転換またはトランスフェクトして、形質転換細胞が該ベクターによってコードされたタンパク質または他の産物を生産するようにするため使用される。かかるベクターは典型的には「プラスミド」であり、本発明の目的に対しては、それは供与細胞において染色体外で維持され得るベクターであるが、また供与細胞のゲノムに組み込まれるベクターでもあり得る。当業者は本明細書で定義したごとき「クローニングベクター」を「ベクター」といい、本明細書で定義したごとき「発現ベクター」を「プラスミド」という。
【0030】
本発明は、 EPO−Rに結合して活性化する、またはそうでなくとも EPOアゴニストとしてふるまう化合物を提供する。これらの化合物はランダムペプチド多様性発生系を用いて発見された「鉛」ペプチド化合物、および鉛化合物と同一のまたは類似した分子構造または形を有するが、加水分解またはタンパク質分解に対する感受性に関して、および/または受容体に対する親和性の増加、インビトロ活性またはインビボ活性の増加のごとき他の生物学的特性に関してのいずかの点が鉛化合物とは異なるように構築された「誘導体」化合物を含む。
【0031】
最初に用いられたランダムペプチド多様性発生系は、前記した「ファージにおけるペプチド」系を含む。ランダムペプチドは8アミノ酸残基の長さで、両末端を Cys残基によって境界とされるように設計された(かくして、全長10アミノ酸残基となる)。これら最初の系において、ランダムペプチドはファージfd誘導体(ファージにおけるペプチド)の pVIIIコートタンパク質からなる融合タンパク質の一部として提供された。該融合タンパク質は、融合タンパク質をコードする DNAとともに固定化された EPO−R上に「パン」された。パンニング工程は、固定化された受容体とともに融合タンパク質を複数回インキュベートすること、(随伴する DNAとともに)受容体に結合した融合タンパク質を収集すること、および収集された融合タンパク質をさらに生産することからなる。
【0032】
典型的には3回のパンニング後、融合タンパク質および随伴する DNAを単離し、培養して該融合タンパク質が受容体に特異的に結合したかどうかを決定する ELISAのための融合タンパク質調製物を作成した。このアッセイは、結合しなかった融合タンパク質の除去後を除いてパンニングと同様に行い、ウェルをウサギ抗−ファージ抗体で(またはプラスミド系のペプチドに対しては抗−lac 抗体で)、次いでアルカリホスファターゼ−共役ヤギ抗−ウサギ抗体で処理し、次いで各々のウェルにおけるアルカリホスファターゼ量を標準法にて測定した。試験ウェルと対照ウェル(受容体無し)の比較によって、融合タンパク質が特異的に受容体に結合したかどうかを決定することができる。
【0033】
パンニングおよび ELISA法で使用された固定化受容体は、 EPO−受容体の細胞外ドメインを含み、組み換え供与細胞中で生産された。この受容体分子は種々の異なる型および供与細胞中で生産され得る。ひとつの有用な型はタンパク質分泌のための、およびグリコホスホ脂質膜アンカー付着(この型のアンカー付着は「 PIG−テーリング」と呼ばれる。 Carasおよび Weddell, 1989年3月3日、Science 243 : 1196-1198 ;および Linら、1990年8月10日、Science249 : 677-679 参照、これら各々は出典明示して本明細書の一部とみなす)のためのシグナルペプチドにより構築される。この系は、受容体を発現する細胞表面からの受容体の切り離しおよび切り離された受容体の非常に容易な収集を考慮に入れている。好ましくは、トロンビン切断部位のごときプロテアーゼ切断部位は、 PIG−テールド受容体のHPAPエピトープと該受容体自身の間に挿入される。
【0034】
組み換え受容体タンパク質は下記方法を用いて固定化された。マイクロタイタープレートを抗−受容体抗体中で被覆し、固定化受容体が含まれるウェルをウシ血清アルブミン(BSA)で処理して非−特異的結合をブロックした。トロンビン切断部位を有する PIG−テールド受容体をマイクロタイタープレートの被覆されたウェルに加え、次いで洗浄して結合していない受容体を除去した。
【0035】
ランダムペプチド発生系の使用において多価リガンド−受容体相互作用を考慮に入れた場合、固定化受容体の濃度が固定化受容体へ結合するリガンドの親和性の決定において重要な因子であることが認識されるに違いない。より高い受容体濃度(すなわち、0.25ないし 0.5mgの受容体で処理された各々の抗−受容体抗体−被服ウェル)では、より低い受容体濃度(すなわち、 0.5ないし1ngの受容体で処理された各々の抗−受容体抗体−被服ウェル)より多価結合が発生しやすい(もしあるとすれば)。もし多価結合が生じれば、次いで相対的に低い親和性を持つリガンドがより単離しやすくなるであろう。典型的には、固定化受容体の高い濃度を用いて鉛化合物を同定し、次いでより低い受容体濃度で鉛化合物の誘導体を試験して、鉛化合物より受容体に対してより高い親和性を有する化合物を単離することができる。
【0036】
しばしば該受容体をマイクロタイタープレートの一つおきの列にのみ加え;受容体−特異的反応かどうか決定するのに有用な陰性対照として供される、「ブランク」列における BSA−ブロックウェルが観察結果を作り出していた。次いで融合タンパク質調製物を該ウェルに加え、インキュベートして生じるべき受容体に結合させ、次いでウェルを洗浄して結合していない融合タンパク質を除去した。
【0037】
上記の系を用いて、 EPO−Rに結合するペプチドを見出した。該受容体に結合した融合タンパク質をコードする DNAの配列を決定した。このペプチドは配列:GGCRIGPITWVCGG (配列番号:)を有した(N−末端GG残基はファージにおける切断を考慮したものである)。このペプチドは一貫して ELISAにより、 BSAおよび抗−受容体抗体に対する低い親和性と、 EPO−Rに対する高い親和性を示した。さらに、プラスミドクローンは遊離 EPOによっておよび同族体遊離ペプチドによって競合された。さらには、遊離ペプチドは EPO−ファージミド、LacI−EPO 融合、および放射性リガンドと競合することが判明した。最後に、遊離ペプチドはIL−2Rαβ結合アッセイにおいて競合しなかった。
【0038】
次いでこの好ましいペプチドにおける突然変異誘発研究を行った。ランダムペプチドをコードするオリゴヌクレオチドの収集を作成するために、図1に示される突然変異誘発オリゴマーを調製した。ここでコドンモチーフ(NNK)において、NはヌクレオチドA,C,GまたはTであり(等モル;用いられる方法により、他のヌクレオチドも使用可能)、およびKはGまたはT(等モル)であった。当業者は NNKモチーフがすべてのアミノ酸をコードし、一つの停止コドンだけをコードし、コドンバイアスを減じることを認識するであろう。 NNKモチーフから生じる可能性のある32のコドンがある:12のアミノ酸の各々につき1、5のアミノ酸の各々につき2、3のアミノ酸の各々につき3、および3の停止コドンの一つのみ。
【0039】
突然変異誘発融合タンパク質をそれらをコードする DNAとともに、再び固定化 EPO−R上で「パン」した。次いで、融合タンパク質および随伴する DNAを単離し、培養して融合タンパク質が該受容体に特異的に結合したかどうか決定する ELISAのための融合タンパク質調製物を作成した。この研究から得られた好ましいペプチドを図2に示している。これらのペプチドはモチーフ「X3X4X5GPX6TWX7X8」(配列番号:)によって特徴づけられ、ここで各々のアミノ酸は標準的な1文字省略で示され;X6 は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸または立体異性体D−アミノ酸のいずれかのものから独立して選択され;X3 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり得;ここで Hocはホモシステインであり;X4 はR,H,LまたはWであり得;X5 はM,FまたはIであり得;X7 はD,E,I,LまたはVであり得;X8 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり得、ここでX3 またはX8 のいずれかがCまたは Hocならば Hocはホモシステインである。
【0040】
該ペプチドの親和性の概略の表示を確認するために、ファージライブラリーも親和性選抜プロトコルを用いてスクリーニングした。ここに該ペプチドはEPO (100nM) と競合する。典型的には、この工程を2回のパンニングの間繰り返す。その後のパンニングでは、競合温度(外界温度に対して4℃)および時間(15ないし30分間)ならびに洗浄溶液の温度(外界温度に対して4℃)は高い親和性を持つペプチドについてのさらなる選抜のために変更し得る。この親和性選抜法を用いて、一般的モチーフ「X1YX2CX4X5GPX6TWX7CX9X10X11 」(配列番号:)を共有するペプチドが単離され、ここで各々のアミノ酸は標準的な1文字省略で示され;各々X1 ,X2 ,X6 ,X9 ,X10およびX11は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸または立体異性体D−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X4 はR,H,LおよびWであり得;X5 はM,FまたはIであり得;X7 はD,E,I,LまたはVであり得る。より好ましい具体例においては、該ペプチドはアミノ酸配列「X1YX2CX4X5GPX6TWX7CX9X10X11 」 (配列番号:) を含み、ここでX4 はRまたはHであり得;X5 はFまたはMであり得;X6 はI,L,T,MまたはVであり得;X7 はDまたはVであり得;X9 はG,K,L,Q,R,SまたはTであり得;X10はA,G,P,RまたはYであり得る。最も好ましい具体例においては、コアペプチドはアミノ酸配列「X1YX2CX4X5GPX6TWX7CX9X10X11 」 (配列番号:) を含み、ここでX1 はD,E,L,N,S,TまたはVであり得;X2 はA,H,K,L,M,SおよびTであり得;X4 はRまたはHであり得;X9 はK,R,SまたはTであり得;X10はPである。
【0041】
このモチーフ中に該当し、親和性選抜工程中で単離された代表的なペプチド例は、下記の表に示されている。
【0042】
【化4】

【化5】

【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【化9】

【0046】
【化10】

【化11】

【0047】
2個のシステイン残基によって末端付加されたランダム8−量体に隣接した6個のランダムアミノ酸残基を有する別の突然変異誘発ライブラリーも、固定化 EPO−Rに対してスクリーニングされた。突然変異誘発融合タンパク質は、それらをコードする DNAとともに、再び固定化 EPO−R上で「パン」された。次いで、該融合タンパク質および随伴 DNAを単離し、培養して融合タンパク質が該受容体に特異的に結合したかどうかを決定する ELISAのための融合タンパク質調製物を生産した。この研究から得られた好ましいペプチドは、配列GGPHHVYACRMGPLTWIC(配列番号:)であり、かくして、コア配列「YX2X3X4X5GPX6TWX7X8 」(配列番号:)による範囲内であり、ここで各々のアミノ酸は標準的な一文字表示で示され;各々X2 およびX6 は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸または立体異性体D−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり得、ここで Hocはホモシステインであり;X4 はR,H,LまたはWであり得;X5 はM,FまたはIであり得;X7 はD,E,I,LまたはVであり得;X8 はC,A,α−アミノ−γ−ブロモ酪酸または Hocであり得、ここでX3 またはX9 のいずれかがCまたは Hocであれば、 Hocはホモシステインであり;ここにコア配列はそのアミノ末端で6個のアミノ酸単位に結合し、ここに各々のアミノ酸は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸または立体異性体D−アミノ酸のいずれかから独立して選択される。
【0048】
上記の作成モチーフに該当するいくつかのペプチドについて、IC50を計算した。これらの値は遊離ペプチドを用いて測定し、下記の表5に示している。(これらペプチドの各々は独立して合成され、C−末端でアミド化されるが、遊離カルボン酸として、またはエステルまたは他のカルボンアミドとして容易に調製できる。
【0049】
【表1】

【0050】
前記に加え、他の突然変異誘発研究が、より高い親和性ペプチドが豊富になるよう設計された条件のもとで、この親和性の高い EPOアゴニストペプチド族について行われた。前記したごとく、より高い親和性のペプチドが豊富になるよう、親和性選抜プロトコルを用いてライブラリーをスクリーニングし、ここに該ペプチドをEPO (100nM) と競合させた。典型的には、この工程を2回のパンニングの間繰り返した。その後のパンニングでは、競合温度(外界温度に対して4℃)および時間(15分ないし30分)ならびに洗浄溶液の温度(外界温度に対して4℃)はさらに高い親和性を有するペプチドを選抜するために変更し得る。これらの技術を用いて、また、フランキング配列YXCRIGPITWVCのいずれかの末端に3個のランダムアミノ酸残基を有する突然変異誘発ライブラリーも固定化 EPO−Rに対してスクリーニングした(図3参照)。該突然変異誘発融合タンパク質は、それらをコードする DNAとともに固定化 EPO−R上で再び「パン」された。次いで、該融合タンパク質および随伴する DNAを単離し、培養して該融合タンパク質が該受容体に特異的に結合したかどうか決定するため ELISAのための融合タンパク質調製物を作成した。この研究から得られた好ましいペプチドは下記の表6に記載されている。
【0051】
【表2】

【0052】
また、別の突然変異誘発研究では、強力に固定された保存残基(すなわち、Y,C,G,P,TおよびW)、ランダム化された他の残基、およびN−末端においてチロシンの前に10個の付加残基を有する突然変異ライブラリーも固定化 EPO−Rに対してスクリーニングした(図4A参照)。該突然変異誘発融合タンパク質は、それをコードする DNAとともに、再び固定化 EPO−R上で「パン」された。次いで、該融合タンパク質および随伴する DNAを単離し、培養して該融合タンパク質が該受容体に特異的に結合したかどうか決定するため ELISAのための融合タンパク質調製物を作成した。この研究から得られた好ましいペプチドは下記の表7に記載されている。
【0053】
【表3】

【0054】
また、さらに別の突然変異誘発研究では、強力に固定された保存残基(すなわち、Y,C,G,P,TおよびW)、ランダム化された他の残基、および2番目のシステインと (Gly)4−Ser リンカーの間に10個の付加残基を有する突然変異ライブラリーも固定化 EPO−Rに対してスクリーニングした(図4B参照)。このライブラリーでは、保存されたチロシン残基はグリシン残基によって先行され効果的なシグナルペプチド切断を可能とする。該突然変異誘発融合タンパク質は、それをコードする DNAとともに、再び固定化 EPO−R上で「パン」された。次いで、該融合タンパク質および随伴する DNAを単離し、培養して該融合タンパク質が該受容体に特異的に結合したかどうか決定するため ELISAのための融合タンパク質調製物を作成した。この研究から得られた好ましいペプチドは下記の表8に記載されている。
【0055】
【表4】

【0056】
また、まださらなる別の研究では、一番目のシステインのすぐ次ぎに置かれたチロシンをもつ強力に固定された保存残基(すなわち、Y,C,G,P,TおよびW)、および、N−末端からチロシンまでに4残基および2番目のシステインとリンカーの間に5残基を含むランダム化された他の残基を有する突然変異ライブラリーも固定化 EPO−Rに対してスクリーニングした(図4C参照)。N−末端ランダムアミノ酸は再び2個のグリシン残基によって先行され、効果的な処理を可能とする。該突然変異誘発融合タンパク質は、それをコードする DNAとともに、再び固定化 EPO−R上で「パン」された。次いで、該融合タンパク質および随伴する DNAを単離し、培養して該融合タンパク質が該受容体に特異的に結合したかどうか決定するため ELISAのための融合タンパク質調製物を生成した。この研究から得られた好ましいペプチドは下記の表9に記載されている。
【0057】
【表5】

【0058】
前記の突然変異誘発研究に加えて、ペプチドGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGの突然変異誘発を改変C−末端 Lac−Iディスプレイ系を用いて行った。ここではより高い親和性ヒット(「ヘッドピースダイマー」)を同定する目的で表示原子価は減じられる。 Lac−Iヘッドピースダイマー(HPD) ディスプレイ系はより詳細には米国特許第 5,338,665号に記載され、これはあらゆる目的のために出典明示して本明細書の一部とみなす。実質的には、前記の突然変異誘発研究において高度に保存された残基(すなわち、Y,C,G,P,TおよびW)は突然変異誘発は軽く、一方低い保存残基(すなわち、H,F,LおよびV)は高いレベルの突然変異を受けた。4個のランダム残基はチロシン残基に先行され、また後者は1個のランダム残基によって続けられた。突然変異スキームのC−末端はシステイン以下の6個のランダム残基で終了した。該ライブラリー構築の詳細は図5に記載されている。
【0059】
より高い親和性クローンを豊富にするために先の2回からの EPO溶出を用いて、mAb179上に固定化された PIG−テールド EPO−R上で4回を通してライブラリーをスクリーニングした。次いで得られた DNA挿入を、C−末端融合タンパク質として発現させるマルトース結合タンパク質(MBP) にプールしてクローン化した。次いで、ランダムに取った個々の MBP融合クローンからの粗細胞溶菌液を ELISA法で EPO−R結合についてアッセイを行った。この研究から得られた好ましいペプチドは下記の表10に記載されている。
【0060】
【表6】

【0061】
Lac−Iヘッドピースディスプレイ系を用いて得られたペプチドの最も顕著な特徴の一つは、保存されたシステインのフランキング領域、詳しくは、かかる5残基のC−末端延長を有するRGQLYACHFGPVTWVCKPRKRVに多価陽電荷が集積することである。軽度の変異誘発を受けたアミノ酸(すなわち、Y,C,G,P,TおよびW)は完全に保存され、一方より高度の変異を受けた部位で新規のモチーフを生じた。特定の挿入として、多くのペプチドで付加チロシン残基の存在(例えば、LLRGYECYMGPLTWVCRSSKPR参照) およびTIAQYICYMGPETWECRPSPKAにおけるシステイン間に2個のグルタミン酸残基の存在がある。
【0062】
前記の突然変異誘発研究に加え、前記した系と同様の改変C−末端 Lac−Iヘッドピースディスプレイ系を用いて、ペプチドのTIAQYICYMGPETWECRPSPKAの突然変異誘発を行った。実質的には、高度に保存された残基(すなわち、Y,C,G,P,TおよびW)は固定され、一方、低く保存された残基(すなわちH,F,LおよびV)はランダム化された。加えて、2個のグルタミン酸残基は軽い突然変異を受けた。4個のランダム残基はチロシン残基に先行され、また後者は1個のランダム残基によって続けられた。突然変異スキームのC−末端はシステイン以下の6個のランダム残基で終了した。該ライブラリー構築の詳細は図6に記載されている。
【0063】
より高い親和性クローンを豊富にするために先の2回からの EPO溶出を用いて、mAb179上に固定化された PIG−テールド EPO−R上で3回を通してライブラリーをスクリーニングした。ヒトFcγ−EBP 剤、次いでアルカリ性ホスファターゼにコンジュゲートされたヤギ抗−ヒトFcγ(後者は、Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri.から入手)を用いたプロービングによりコロニーの引き上げを行った。その後、 HPDプラスミドを同定し、配列決定した。この研究から得られたペプチドは下記の表11に記載されている。
【0064】
【表7】

【0065】
次いで、前記のペプチド配列のプールをC−末端融合タンパクとして発現させるマルトース結合タンパク質(MBP)ベクターにクローン化した。次いで、ランダムに取った個々の MBP融合クローンからの粗細胞溶菌液を ELISA法で EPO−R結合についてアッセイした。この研究から得られた好ましいペプチドは下記の表12に記載されている。
【0066】
【表8】

【0067】
また、特異的に EPO受容体に結合することが判明した代表的なペプチドを細胞を基礎にした機能的アッセイで試験した。あるアッセイは、FDCP−1を親細胞系統として用いた。ここでFDCP−1は成長因子依存性マウスの多能性の原始的造血性先祖細胞である(例えば、Dexterら (1980) J. Exp. Med. 152 : 1036-1047参照) 。この細胞系統は、 WPHI3調製培地(IL−3、ATCC番号 TIB68を含む培地)を補った場合、増殖可能であるが分化はできない。この親細胞系統を以下に記載するごとくに、ヒトまたはマウスの EPO−Rまでトランスフェクトし、各々FDCP−1−hEPO−RまたはFDCP−1−mEPO−R細胞系統を作成する。これらトランスフェクト細胞系統は、ヒトまたはマウス EPOの存在下で増殖可能であるが分化はできない。
【0068】
要するに、該細胞は必要な成長因子の存在下で定常密度まで成長する。次いで、該細胞を PBS中で洗浄し、成長因子を含まない完全培地中で16−24時間飢餓状態にさせる。該細胞の活性を測定した後、貯蔵溶液(成長因子を含まない完全培地)を50マイクロリットル当たり約 105細胞となるよう作成した。試験すべき化合物の一連の希釈物(典型的にはファージに結合または他に結合または固定化されたペプチドとは反対の遊離した溶液相ペプチド)を、最終容量ウェル当たり50マイクロリットルに対して96ウェル組織培養プレートを作成した。細胞(50マイクロリットル)を各々のウェルに加え、該細胞を24−48時間インキュベートする。この時点で、陰性対照は死滅するか静止状態になると考えられる。次いで、細胞増殖の指標として 3H−チロシンの取り込みに関する MTTアッセイ (Mosmann(1983) J. Immunol. Methods 65 : 55参照) のごとき当該分野で公知の技術によって細胞増殖を測定する。図7は、 EPOに対するまたは上記表5に揚げたペプチドに対するこのアッセイの結果を図示する。 EPO受容体に結合し、FDCP−1/hEPO−R細胞を基礎にしたバイオアッセイにおいて活性を示すペプチドは本発明の好ましい化合物である。
【0069】
第二の細胞を基礎にしたアッセイではTF−1細胞系統を用いた。Kitamuraら (1989) Blood 73 : 375-380参照、これは出典明示して本明細書の一部とみなす。代表的な結果を図8に示す。図8は、細胞系統TF−1の細胞増殖における EPOおよび遊離ペプチドVGNYMCHFGPITWVCRPGGG(配列番号:)の効果を表す。
【0070】
もう一つの細胞を基礎にしたアッセイは、さらに本発明の化合物が EPOアゴニストとして作用する能力が、フェニルヒドラジンで処理したマウスの脾臓細胞への 3H−チミジンの取り込みに基づき示される。このアッセイの結果を図9A−9Cに示す。
【0071】
本発明の化合物の活性を証明するために用いられ得る他の生物学的アッセイは、 Greenbergerら (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80 : 2931-2933 (EPO−依存性造血先祖細胞系統);QuelleおよびWojchowski (1991) J. Biol. Chem. 266 : 609-614 (B6SUt.EP細胞におけるタンパク質チロシンリン酸化);Dusanter-Fourtら (1992) J. Biol. Chem. 287 : 10670-10678 (ヒト EPO−感受性細胞における EPO−受容体のチロシンリン酸化);Quelleら (1992) J. Biol. Chem. 267 : 17055-17060(FDC−ER細胞における細胞質ゾル(PP100) のチロシンリン酸化) ; Worthingtonら (1987) Exp. Hematpl. 15 : 58-92 (ヘモグロビンの比色アッセイ) ; KaitoおよびMiuno (1985) Anal. Biochem. 149 : 117-120(2,7−ジアミノフルオレンを有するヘモグロビンの検出); Pstelら (1992) J. Biol. Chem. 267 : 21300-21302 (c−myb の発現) ;Witthuhnら (1993) Cell 74 : 227-236(JAK2の会合及びチロシンリン酸化) ; Leonardら (1993) Blood 82 : 1071-1079 (GATA転写因子の発現) ;Andoら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 : 9571-9575 ( サクリングD2およびD3によるG1/3転移の調節);およびカルシウムフラックス中に開示されており、これらは各々出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0072】
マイクロフィジオメーターとして知られている、Molecular Device Corp.によって設計された機器は、種々の受容体におけるアゴニストおよびアンタゴニストの効果の測定に首尾良く用いられていると報告されている。この装置の基礎は、受容体の活性化に応答する細胞外培地の酸性化率の測定である。
【0073】
好ましい実施態様によると、本発明のペプチドはダイマー化またはオリゴマー化しており、これにより、本明細書に開示した鉛化合物の親和性および/または活性が増加する。ダイマー化した/オリゴマー化したペプチドが、細胞増殖アッセイにおいて EPOに対するミメティックス能力を有するという効果を調べるため、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのC−末端にビオチンを付加したアナログ (すなわち、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン))を合成した。
【0074】
このペプチドを室温で1時間、 PBS中ストレプトアビジンのモル比4:1でインキュベートした。これに次いで、この複合体を PIG−テールド EPO−Rに導入し、IC30決定のために結合アッセイした。また、ストレプトアビジンと複合体を形成していなかったペプチドについても同様の実験を行った。複合体となる前のペプチドは、ストレプトアビジンとインキュベートしなかったペプチドのIC30値 350nMに比して、IC30値20nMを有することが判明した。この見かけの親和性の10倍より大きな増加は、おそらくペプチド−ストレプトアビジン複合体の多価状態による。この比較は遊離ペプチド濃度および複合体に影響しない濃度を用いて行ったので(理論上は4倍より小さい)、この効果はいっそう大きいであろう。
【0075】
さらに、このペプチドを、上記のごとく、血清を含まない HEPESで緩衝化したRPMI中で、ストレプトアビジンとモル比率4:1でプレインキュベートした。この複合体をFDCP−1/hEPO−Rバイオアッセイにおいて、遊離GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン)およびビオチン付加されていない親ペプチド、すなわちGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGとともに、FDCP−1/hEPO−Rバイオアッセイにおいて細胞増殖の刺激について試験した。図10は、遊離ペプチドの EPO−ED50は類似しているが(およそ1μM)、ストレプトアビジン形成前のそれは10nM、すなわち、 EPO−ED50における2log 換算より小さいという結果を図示する。ストレプトアビジン単独では、最高濃度でも小さな刺激効果しかなかったが、おそらくこれはバクテリアの内毒素でのコンタミネーションによる。
【0076】
さらに、該ペプチドをヤギ抗−ビオチン IgGとダイマー形成した場合、生物学的効力が増加することが判明した。また図11は、 EPO−ED50における1log 換算も、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン) と精製ヤギ抗−ビオチン IgGをモル比率2:1でプレインキュベートすることによって達成され得ることを図示する。この生物学的効力の増加は、おらそく、抗体による該ペプチドのダイマー化による。この抗−ビオチン単独では細胞における効果はなかった。さらに、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン) −ストレプトアビジン複合体で、 EPO−ED50における 100倍換算が見られた。かくのごときに、本発明の鉛ペプチドをダイマー化またはオリゴマー化することによって、かかるペプチドの親和性および/または活性を増加させることができる。
【0077】
もう一つの具体例において、2つのジスルフィド結合を含有するGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのダイマーペプチドアナログは、図12中で先に示した一般的なスキームを用いて調製した。便宜には、第一ペプチド鎖はTentagel樹脂上に集まった。Fmoc−Lys (Alloc) は、 Knorrリンカーと結合し、 Alloc基は直交保護基として用いられた。第一ペプチド鎖のためには、Cys (Acm) が用いられた。第一ペプチドの完成後、 Alloc基は除去され、第二ペプチド鎖がリシン残基の側鎖アミン上に形成された。このペプチド鎖には、Cys (trt) が使われた。この合成が完成した後、該ペプチドを樹脂から切り離し、精製した。次いで、該ペプチドを環化し、ジスルフィド結合を一つ含有する化合物とした。その後、第二のジスルフィド結合をヨウ素酸化によって形成し、二環ダイマーを得た。図13および14は、該ダイマーのインビトロでのHPOR結合および生物学的活性を示す。該ダイマーの親和性はストリップウェル中でmAb179に固定化された PIG−テールドEPORに対して試験を行った。平衡競合アッセイの結果は、およそ2mMの親和性、親ペプチドGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGの値(200nM) の 200倍の増加、およびGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGSSK (Ahx−ビオチン) −ストレプトアビジン複合体の5倍を示した。FDCP−1/hEPOR 細胞増殖によって測定すると、インビトロでの生物活性は、ED50が400nM(親ペプチドに対して) 20nMへとおよそ20倍も増加した。かくのごときに、本発明の鉛化合物をダイマー化またはオリゴマー化することによって、かかるペプチドの親和性および/または活性を著しく増加させることができる。
【0078】
本発明のペプチドまたはその誘導体は、 EPO−Rに結合している化合物に共役し、その共役を構成している化合物のいずれかよりも大きな受容体に対する親和性を有する化合物を構築し得る。また、ライブラリーまたはパンニング手順を相補的「非−ブロッキング」モチーフを有するペプチドを除去へと傾けることができるので、 EPO−Rの同一部位に結合するペプチドの同定を容易にする。
【0079】
また、好ましいモチーフ配列は、本発明の EPOアゴニストの最小サイズを決定する手段を提供する。1991年9月18日に出願された第 762,522号の一部継続出願である、1992年9月16日に出願された米国特許第 946,239号に記載されている「コードされた合成ライブラリー」(ESL) 系、または1990年3月7日に出願された米国特許第 492,462号;1990年12月6日に出願された第 624,120号;および1991年12月6日に出願された第 805,727号に記載されている「非常に大きなスケールの固定化ポリマー合成」系を用いて、かかる活性を有するペプチドの最小サイズを決定することだけは誰にもできず、まただれもが、1,2またはそれ以上の残基中に、好ましいモチーフ(またはそのモチーフの最小サイズ)とは異なるペプチドの基を形成するあらゆるペプチドを作成することができる。
【0080】
次いで、ペプチドの集合を EPO受容体に結合する能力によってスクリーニングすることが可能である。また、この固定化ポリマー合成系または他のペプチド合成方法を用いて、本発明のあらゆるペプチド化合物の全切断アナログおよび全欠失アナログおよび切断および欠失アナログの全組み合わせを合成することができる。
【0081】
また、本発明のペプチドは、当該分野で公知の古典的な方法によって、例えば、標準的な固相技術を用いることによって調製し得る。この標準的な方法は、専用の固相合成、部分的固相合成方法、画分濃縮、古典的な溶液合成および組み換え DNA技術によるものさえ含む。例えば、Merrifield, 1963, J. Am. Chem. Soc. 85:2149参照、これは出典明示して本明細書の一部とみなす。固相においてこのペプチドの合成は、典型的にα−アミノ保護樹脂を用いてペプチドのC−末端から着手される。適当な出発物質は、例えば、必要とされるα−アミノ酸をクロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂またはベンズヒドリルアミン樹脂に結合させることによって調製され得る。かかるクロロメチル化樹脂の一つは、Bio Rad Laboratories, Richmond, CAにより商品名BIO-BEADS SX-1で市販され、ヒドロキシメチル樹脂の調製は、 Bodonszkyら、 1966, Chem. Ind. (London) 38 : 1579によって記載されている。ベンズヒドリルアミン(BHA) 樹脂はPiettaおよびMarshall, 1970, Chem. Commn. 650によって記載され、Beckman Instruments, Inc., Palo Alto, CAから塩化水素の型で市販されている。かくして、本発明の化合物は、 Gisin, 1973, Helv. Chim. Acta 56 : 1467によって記載された方法によれば、例えば、重炭酸セシウム触媒によってα−アミノ保護アミノ酸をクロロメチル化樹脂に結合させることによって調製され得る。最初の結合後、α−アミノ保護基は室温で有機溶媒中、トリフルオロ酢酸(TFA) または塩酸(HCl) 溶液を含有する試薬の選択によって除去される。
【0082】
該α−アミノ保護基は、ペプチドの段階的合成の分野において有用であると知られたものである。アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz) および置換されたCbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc) 、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル) およびアルキル型保護基 (例えば、ベンジル、トリフェニルメチル) が含まれる。 Fmoが好ましい保護基である。側鎖保護基(典型的にはエーテル、エステル、トリチル、 PMCなど) は結合の間は変化はなく、アミノ−末端保護基の脱保護の間分割されない。側鎖保護基は最後のペプチド合成の完了時に、標的ペプチドを変化させない反応条件下で除去可能でなければならない。 Tyrに対する側鎖保護基には、テトラヒドロピラニル、tert−ブチル、トリチル、ベンジル、 Cbz、Z−Br−Cbz および2,5−ジクロロベンジルが含まれる。 Aspに対する側鎖保護基には、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、メチル、エチルおよびシクロヘキシルが含まれる。 Thrおよび Serに対する側鎖保護基には、アセチル、ベンゾイル、トリチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、2,6−ジクロロベンジルおよび Cbzが含まれる。 Thrおよび Serに対する側鎖保護基はベンジルである。 Argに対する側鎖保護基には、ニトロ、トシル(Tos) 、 Cbz、アダマンチルカルボニルメシトイルスルホニル(Mts) または Bocが含まれる。 Lysに対する側鎖保護基には、 Cbz、2−クロロベンジルオキシカルボニル(2−Cl−Cbz)、2−ブロモベンジルオキシカルボニル(2Br−Cbz)、 Tosまたは Bocが含まれる。
【0083】
α−アミノ保護基の除去後、残存する保護アミノ酸を所望の順序で段階的に結合させた。各々の保護アミノ酸は、一般的に、例えば塩化メチレン (CH2Cl2) 、ジメチルホルムアミド(DMF) 混合物の溶液中、2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,2,3,3−テトラメチルウランヘキサフルオロホスフェート (HBTU) またはジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC) のごとき適当なカルボキシル基活性化剤を用いて、約3倍過剰で反応させる。
【0084】
所望のアミノ酸配列が完成した後、樹脂からペプチドを切り離すだけでなく、残存するすべての側鎖保護基を切り離す、トリフルオロ酢酸(TFA) またはフッ化水素 (HF) のごとき試薬での処理によって、所望のペプチドを樹脂支持体から脱結合させる。クロロメチル化樹脂を用いた場合、フッ化水素処理の結果、遊離ペプチド酸が生じる。ベンズヒドロキシアミン樹脂を用いた場合、フッ化水素処理の結果、直接ペプチドアミドが生じる。選択的に、クロロメチル化樹脂を用いた場合、側鎖保護されたペプチドは、アンモニアを用いたペプチド樹脂の処理により脱結合され、所望の側鎖保護アミドが得られるか、または、アルキルアミンを用いると側鎖保護アルキルアミドまたはジアルキルアミドが得られる。次いで、側鎖保護をフッ化水素を用いた処理による通常の様式で除去して、遊離アミド、アルキルアミド、またはジアルキルアミドを得た。
【0085】
本発明のエステルを調製するにおいては、ペプチド酸を調製するために用いる樹脂が使用され、側鎖保護されたペプチドは塩基および適当なアルコール、すなわちメタノールで切り離される。次いで、側鎖保護基をフッ化水素を用いた処理による通常の様式で除去し、所望のエステルを得た。これらの固相ペプチド合成手順は当該分野で十分公知であり、さらにStewart, Solid Phase Peptide syntheses (Freeman and Co., San Francisco, 1969) に記載されている。
【0086】
また、20の自然に生じる遺伝的にコードされたアミノ酸以外のアミノ酸が、本発明の化合物のいずれかの1,2またはそれ以上の位置で置換されたペプチドを合成するために、これらの手順を用いた。例えば、ナフチルアラニンはトリプトファンに対して置換可能で、合成は容易である。本発明のペプチドに置換可能な他の合成アミノ酸は、L−ヒドロキシプロピル、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、D−δ−メチルアラニル、L−α−メチルアラニルのごときδアミノ酸、βアミノ酸、およびイソキノリルを含む。また、D−アミノ酸および自然には生じない合成アミノ酸も本発明のペプチドに組み込み得る。自然に生じる20の遺伝的にコードされたアミノ酸(またはDアミノ酸)の側鎖を、例えば、アルキル、低級アルキル、環状4−,5−,6−から7−員アルキルアミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびそれらの低級エステル誘導体のごとき他の側鎖で、および4−,5−,6−から7員複素環で置換することができる。特に、プロリン残基の環のサイズが5員から4,6または7員まで変化するプロリンアナログが使用できる。環状基は飽和または不飽和であり得、もし不飽和ならば芳香族または非−芳香族であり得る。
【0087】
環状基は飽和または不飽和であり得、もし不飽和ならば芳香族または非−芳香族であり得る。複素環基は好ましくは1個以上の窒素、酸素および/または硫黄ヘテロ原子を含む。かかる基の例には、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1−ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1−ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾイル、ピリザジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例えば、1−ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、およびトリアゾリルが含まれる。これらの複素環基は置換されていても置換されていなくともよい。基が置換されている場合、置換基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素または置換されたまたは置換されていないフェニルであり得る。
【0088】
また、リン酸化または Hrubyら42に記載されている本発明の化合物のペプチド誘導体を作成する他の方法によって、本発明のペプチドを容易に改変することもできる。かくして、本発明のペプチド化合物はまた、生物学的活性を有するペプチドのミメティックスを調製する基礎としても作用する。
【0089】
ペプチドミメティックスを含む本発明のペプチド化合物は、共有結合で1種以上の種々の非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルケンに、米国特許第 4,640,835号;米国特許第 4,496,659号;米国特許第 4,301,144号;米国特許第 4,670,417号;米国特許第 4,791,192号;または米国特許第 4,179,337号で示した様式で改変され得、これらすべては出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0090】
当業者は、対応するペプチド化合物と同一または類似の所望の生物学的活性を有するが、溶解度、安定性、加水分解およびタンパク質分解の受けやすさに関してペプチドよりも都合のよい、活性を有するペプチドミメティックスを作成するために種々の技術が利用できることを認識している。例えば、MerganおよびGainor Ann. Rep. Ned. Chem. 24 : 243-252 (1989) 参照。次ぎに述べるN−末端アミノ基で改変されたペプチドミメティックスの調製方法は、C−末端カルボキシル基および/またはペプチド中の1個以上のアミド結合を、アミドではない結合に改変することである。2以上のかかる改変は、1つのペプチドミメティックス構造の中で結合され得ると理解されていた。(例えば、C−末端カルボキシル基での改変およびペプチド中の2個のアミノ酸間の−CH2 −カーバメート結合の包接)
【0091】
典型的に該ペプチドは遊離の酸として合成されるが、前記したごときに、アミドまたはエステルとして容易に調製され得る。本発明のペプチド化合物のアミノおよび/またはカルボキシ末端を改変して、本発明の他の化合物を合成することも可能である。アミノ末端改変には、メチル化(すなわち−NHCH3 または−NH(CH3)2) 、アセチル化、カルボベンゾイル基の付加またはRCOO−で定義されるカルボキシレート機能を含有するいずれかの保護基でアミノ末端をブロックすることが含まれ、ここでRはナフチル、アクチジニル、ステロイジルおよび類似の基から選択される。カルボキシ末端の改変には、遊離の酸をカルボキサミド基で置換すること、または、カルボキシ末端で環状ラクタムを形成して構造的強制を導入することが含まれる。
【0092】
アミノ末端改変は前記のごときに、アルキル化、アセチル化、カルボベンゾイル基の付加、スクシンイミド基の形成などが含まれる。特に、N−末端アミノ基は、次いで、下記のごときに反応する:
(a)式 RC(O)NH−のアミド基を形成し、ここでRは酸ハロゲン化物〔例えば、 RC(O)Cl〕または酸無水物との反応によって上のように定義されるものである。典型的にこの反応は、ほぼ等モルまたは過剰量(例えば、約5当量)の酸ハロゲン化物を、好ましくは過剰(例えば、約10当量)のジイソプロピルエチルアミンのような第三級アミンを含有する不活性希釈剤(例えば、ジクロロメタン)中でペプチドを接触させて、反応中に生成した酸を捕捉することによって行われ得る。末端アミノをアルキル化して低級アルキルN−置換を提供し、続く酸ハロゲン化物との反応によって前記のごとく式 RC(O)NR−のN−アルキルアミド基を提供する;
【0093】
(b)コハク酸無水物との反応によってスクシンイミド基を形成する。前記のごときに、ほぼ当量または過剰のコハク酸無水物(例えば、約5当量)が使用でき、適当な不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中でジイソプロピルエチルアミンのごとき第三級アミンを過剰(例えば、10当量)使用することを含む、当該分野で公知の方法によってスクシンイミドに置換される。例えば、Wollenbergら、米国特許第 4,612,132号参照、これはすべて出典明示して本明細書の一部とみなす。コハク酸基は従来の様式で調製される。例えば、C2 −C6 アルキルまたは−SR置換基で置換でき、ペプチドのN−末端で置換されたスクシンイミドを提供する。かかるアルキル置換基は先のWollenbergらniyoriより記載された様式でマレイン酸無水物と低級オレフィン(C2 −C4)を反応させることによって調製され、−SR置換基はマレイン酸無水物を、RSH(Rは先に定義された通り)と反応させることによって調製される;
【0094】
(c)好ましくは、第三級アミンを含有する適当な不活性希釈剤(例えばジクロロメタン)中で、ほぼ当量または過剰の CBZ−Cl (すなわち、塩化ベンジルオキシカルボニルとの反応により、ベンジルオキシカルボニル−NH−又は置換されたベンジルオキシカルボニル−NH−基を形成し、反応中に生成した酸を捕捉する;
【0095】
(d)適当な不活性希釈剤(ジクロロエタン)中、当量または過剰(例えば5当量)のR−S(O)2Cl と反応させることによってスルホンアミド基を形成し、末端アミンをRが先に定義したごときスルホンアミドに変換する。好ましくは、不活性希釈剤はジイソプロピルエチルアミンのごとき第三級アミンを過剰に(例えば10当量)含有し、反応中に生成した酸を捕捉する。反応条件はその他の点では従来通りである(例えば、室温で30分間);
【0096】
(e)適当な不活性希釈剤(ジクロロエタン)中、ほぼ当量または過剰(例えば5当量)のR−OC(O)Cl またはR−OC(O)CC6H4−P−NO2 と反応させることによってカーバメート基を形成し、末端アミンをRが先に定義したごときカルバメートに変換する。好ましくは、不活性希釈剤はジイソプロピルエチルアミンのごとき第三級アミンを過剰に(例えば10当量)含有し、反応中に生成した酸を捕捉する。反応条件はその他の点では従来通りである(例えば、室温で30分間);および
【0097】
(f)適当な不活性希釈剤(ジクロロエタン)中、ほぼ当量または過剰(例えば5当量)のR−N=C−Oと反応させることによって尿素基を形成し、末端アミンをRが先に定義したごとき尿素(すなわち RNHC(O)NH−基に変換する。好ましくは、不活性希釈剤はジイソプロピルエチルアミンのごとき第三級アミンを過剰に(例えば10当量)含有する。反応条件はその他の点では従来通りである(例えば、室温で30分間);
【0098】
さらに、または代わりに、C末端が改変できる。C末端カルボキシル基をエステルで置換した(すなわちRが先に定義したごとき−C(O)ORパプチドミメティックスを調製する際にパプチド酸の調製に用いられる樹脂が使われ、側鎖が保護されたペプチドは塩基および適当なアルコール、例えばメタノールで切り離される。次いで、側鎖保護基はフッ化水素を用いた処理による通常の様式で除去され、所望のエステルが得られる。
【0099】
C−末端カルボキシル基がアミド−C(O)NR3R4 で置換されているペプチドミメティックスを調製する際に、ベンズヒドリルアミン樹脂がペプチド合成用に固体支持体として用いられる。合成の完了の際に、支持体からペプチドを脱離させるフッ化水素処理により、直接遊離のペプチドアミド(すなわちC末端が−C(O)NH2)が得られる結果となる。あるいは、アンモニアとの反応で結合させるペプチド合成の間にクロロメチル化樹脂を使用し、支持体から側鎖が保護されたペプチドを切り離すと遊離ペプチドが得られ、アルキルアミンまたはジアルキルアミンとの反応では側鎖が保護されたアルキルアミドまたはジアルキルアミド(すなわちC−末端がRおよびR1 が先に定義されたごとくの−C(O)NRR1である)が得られる。次いで、側鎖保護はフッ化水素を用いた処理による通常の様式で除去され、アミド、アルキルアミドまたはジアルキルアミドが得られる。
【0100】
また別の具体例において、C−末端カルボキシ基またはC末端エステルは、カルボキシ基またはエステルのそれぞれ−OHまたはエステル (−OR) のN−末端アミノ基との内部置換によって誘導されて環化し、環状ペプチドを形成し得る。例えば、合成および切り離してペプチド酸が得られた後に、遊離の酸が溶液中例えば、塩化メチレン (CH2Cl2) 、ジメチルホルムアミド(DMF)混合物中でジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC) のごとき適当なカルボキシル基活性化剤によって、活性エステルに変換される。次いで該活性化エステルのN−末端アミンとの内部置換によって環状ペプチドが形成される。重合に対するものとしての内部環化は、非常に希釈された溶液の使用により増大し得る。かかる方法は当該分野において公知である。
【0101】
また、本発明のペプチドを環化し、またはペプチドの末端に欠損アミノまたは欠損カルボキシ残基を取り込んで、その結果、末端のアミノまたはカルボキシル基をなくし、プロテアーゼに対する感受性またはペプチドの立体配置の制限を減じることができる。本発明の化合物のC−末端官能基にはアミド、低級アルキルアミド、ジ(低級アルキル)アミド、低級アルコキシ、ヒドロキシ、およびカルボキシ、およびそれらの低級エステル誘導体、および医薬的に許容されるそれらの塩が含まれる。
【0102】
本発明の化合物のペプチド誘導体を作成する別法は、 Hrubyら、Biochem J. 268 (2) : 249-262 (1990) に記載されており、これは出典明示して本明細書の一部とみなす。かくのごときに、本発明のペプチド化合物はまた、類似の生物学的活性を有する非ペプチド化合物の構造モデルとして有用である。当業者は鉛ペプチド化合物と同一又は類似の所望の生物学的活性を有するが、溶解度、安定性ならびに加水分解およびタンパク質分解の受けやすさに関して鉛よりもさらに都合のよい活性を有する化合物を作るのに種々の技術が有用であることを認識している。MorganおよびGainer, Ann. Rep. Med. Chem. 24 : 243-252 (1989)参照、これは出典明示して本明細書の一部とみなす。これらの技術にはペプチドのバックボーンをホスホネート、アミデート、カルバメート、スルホンアミド、第二級アミンおよびN−メチルアミノ酸からなるバックボーンで置換することが含まれる。
【0103】
1以上のペプチジル結合〔−C(O)NH−〕が、−CH2 −カーバメート結合、ホスホネート結合、−CH2 −スルホンアミド結合、尿素結合、第二級アミン(−CH2NH −) 結合、およびアルキル化ヘプチジル結合〔−C(O)NR6 −、ここでR6 は低級アルキルである〕のごとき結合によって置換されているペプチドミメティックスは、合成中の適当な時点で単にアミノ酸試薬に対し適切に保護されたアミノ酸アナログを置換することによって、従来のペプチド合成中に調製される。
【0104】
適当な試薬には例えば、アミノ酸のカルボキシル基が上記の結合の1つを形成するのに適する部分で置換されているアミノ酸アナログが含まれる。例えば、ペプチド中の−C(O)NR−結合を−CH2 −カルバメート結合 (−CH2OC(O)NR−) で置換することを所望するならば、次いで、適切に保護されたアミノ酸のカルボキシル(−COOH)基をまず−CH2OH 基に還元し、次いで従来法により−OC(O)Cl 官能性またはパラ−ニトロカーボメート−OC(O)O−C6H4−p−NO2 官能性に変換する。かかる官能基のいずれかの固体支持体上に部分的に作り上げられたペプチドのN−末端で遊離アミンまたはアルキル化アミンとの反応により、−CH2OC(O)NR−結合に至る。かかる−CH2 −カーバメート結合の形成のさらに詳細な記載については、 Choら、Science, 261 : 1303-1305 (1993) を参照。
【0105】
同様にペプチド中のアミノ結合のホスホネート結合での置換は、米国特許出願第07/943,805 号、同第08/081,577 号および同第08/199,700 号中に示した方法で達成され得、これらの開示はすべて出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0106】
ペプチド中のアミド結合の−CH2 −スルホンアミド結合での置換は、適切に保護されたアミノ酸のカルボキシル (−COOH) 基を還元して−CH2OH 基とし、ヒドロキシル基を従来法でトシル基のごとき適当な脱離基に変換することにより達成される。トシル化誘導体を例えばチオ酢酸と反応させ、次いで加水分解および酸化塩素処理によって、他の点は適切に保護されたアミノ酸のカルボキシル基を置換した−CH2 −S(O)2Cl 官能基を提供するであろう。ペプチド合成におけるこの適切に保護されたアミノ酸アナログの使用はペプチド中のアミド結合を置換する−CH2S(O)2NR−結合の介在を提供し、かくしてペプチドミメティックスを提供する。アミノ酸のカルボキシル基の−CH2S(O)2Cl基への変換に関するさらに完全な記載としては、例えば、Weinstein, Boris. Chemistry & Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins. 7巻、PP.267-357, Marcel Dekker Inc., New York (1983) を参照、これは出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0107】
ペプチド中のアミド結合の尿素結合での置換は、米国特許第08/147,805 号中に示した方法で達成され得、この出願すべては出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0108】
ペプチド中で−CH2NH −結合をアミド結合に置換する第二級アミン結合は、例えば従来の方法により、アミド結合のカルボニル結合が CH2基に還元されている、適切に保護されたジペプチドアナログを使用することにより調製され得る。例えば、ジグリシンの場合には、アミドをアミンに還元することにより脱保護後にH2NCH2CH2NHCH2COOHが得られ、次いで、これを次の結合反応にNを保護した型で用いる。ジペプチド中のアミド結合のカルボニル基の還元によるかかるアナログの調製は当該分野において公知である。
【0109】
該適切に保護されたアミノ酸アナログは対応するアミノ酸と同じ方法で従来のペプチド合成中に用いられる。例えば、典型的に約3当量の保護されたアミノ酸アナログが、この反応中に用いられる。塩化メチレンまたは DMFのごとき不活性有機希釈剤が用いられ、酸が反応副生成物として生じる場合、反応溶媒は典型的に反応の間に生成した酸を捕捉するための過剰量の第三級アミンを含んでいる。一つの特に好ましい第三級アミンはジイソプロピルエチルアミンであり、これは典型的に約10倍過剰量で用いられる。この反応の結果、非−ペプチジル結合を有するアミノ酸アナログのペプチドミメティックスへの取り込みが起こる。かかる置換は所望によりくり返し、その結果ペプチド中にゼロからすべてのアミド結合までが非アミド結合によって置換され得る。
【0110】
また、本発明のペプチドを環化し、またはペプチドの末端に欠損アミノまたは欠損カルボキシ残基を取り込んで、その結果、末端のアミノまたはカルボキシル基をなくし、プロテアーゼ感受性を減じ、またはペプチドの立体配置を制することができる。本発明の化合物のC−末端官能基には、アミド、低級アルキルアミド、ジ(低級アルキル)アミド、低級アルコキシ、ヒドロキシ、およびカルボキシおよびそれらの低級エステル誘導体、および医薬上許容されるそれらの塩が含まれる。
【0111】
もう一つの好ましい具体例によると、残基X3 およびX8 は独立してCおよび Hocの群から選択される。かくのごときに本発明の化合物は分子間ジスルフィド結合を有する環化した型で存在するかもしれない。もしくは、分子間ジスルフィド結合が生じて、ダイマー化合物を得ることができる。これらの分子間または分子間ジスルフィド誘導体は以下に示すごときに図式的に表現され得る:
【化12】

式中、mおよびnは独立して1または2である。
【0112】
本発明の他の具体例は硫黄の1つが CH2基または硫黄の他の硫黄に対する当量式により置換されている、これらのジスルフィド誘導体のアナログを提供する。これらのアナログは以下に示すごときに当該分野において公知の方法を用いて、分子間または分子内置換を経てX3 またはX8 の一方がCまたは Hocであり、他方はα−アミノ−γ−ブチル酸である本発明の化合物から調製され得る:
【化13】

式中、pは1または2である。当業者は、この置換はまた他のα−アミノ−γブチル酸の同族体およびホモシステインを用いても起こり得ることが容易に理解できるであろう。
【0113】
先の環化手順に加えて、他の非ジスルフィドペプチド環化手順も用いられ得る。かかる別の環化手順には、例えば、アミド環化手順ならびにチオエーテル結合の形成を含む環化手順が含まれる。かくのごときに、本発明の化合物は分子間アミド結合または分子間チオエーテル結合のいずれかを有する環化型で存在し得る。アミド環化手順の可能性を図示するために、ggTYSCHFGPLTWVCKPQggに基づくペプチドを合成した。ここで第一システインはリシンで置換され、第二システインはグルタミン酸で置換され、および環状モノマーはこれらの2つの残基の側鎖間のアミド結合を介して形成された。さらに、チオエーテル環化手順の可能性を図示するために、ggTYSCHFGPLTWVCKPQggに基づくペプチドを合成した。ここで第一システインはリシンで置換され、および環状モノマーはリシン残基およびC末端システインの側鎖間のチオエーテル結合を介して形成された。かかるごときにジスルフィド環化手順に加えてアミド環化手順およびチオエーテル環化手順が両者とも日本発明の化合物を環化するのに容易に用いられ得る。
【0114】
代わりに、ペプチドのアミノ末端はアルファ置換された酢酸でキャップされ得、ここでアルファ置換基は、α−ハロ酢酸、例えばα−クロロ酢酸、α−ブロモ酢酸、またはα−ヨード酢酸のごとき脱離基である。X3 がCまたは Hocである本発明の化合物はX3 残基の硫黄による脱離基の置換を経て環化され得る。例えばBarkerら (1992) J. Med. Chem. 35 : 2040-2048およびOrら (1991) J. Org.Chem. 56 : 3146-3149参照、これはそれぞれ出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0115】
本発明の化合物は、影響を及ぼす、および影響を及ぼされると考えられる多くの因子の評価を含めた EPOの生物学的役割、 EPOの製造、および EPOの EPO−Rに対する結合(例えば、 EPOシグナル変換/受容体活性化の機構)を理解するための独特の手段としてインビトロで有用である。また本発明の化合物は、 EPO−Rに結合する他の化合物の開発にも有用である。なぜなら、本発明の化合物はその開発を容易にする重要な構造活性関係(SAR)情報を提供するからである。
【0116】
さらに、それらの EPO受容体に結合する能力に基づいて本発明のペプチドは、生細胞、固定細胞、生物学的流動物、組織ホモジネート、精製した天然の生物学的物質などにおいて EPO受容体を検出する試薬として用いることができる。例えば、かかるペプチドを標識することによって、それらの表面に EPO−Rを有する細胞を同定することが可能である。さらに、 EPO受容体に結合するそれらの能力に基づき、本発明のペプチドはその部位の染色、FACS(蛍光活性化細胞選別)、ウエスタンブロティング、ELISA(酵素に結合した免疫吸着性アッセイ)などに用いられることができる。さらに EPO受容体に結合するそれらの能力に基づき、本発明のペプチドは受容体増殖の際にまたは細胞表面(または通過性をもたせた細胞内)での EPO受容体を発現する細胞を精製する際に用いることができる。
【0117】
また本発明の化合物は、種々の医薬研究および診断用途用の市販の研究試薬としても利用され得る。かかる用途は限定されるものではないが、(1)種々の機能的アッセイにおいて EPOアゴニスト候補の活性を定量するための検定標準としての用途;(2)ランダムペプチドのスクリーニングにおけるブロッキング試薬としての用途、すなわち新しい系列の EPO受容体ペプチドリガンドを探索する際、該ペプチドは現に主張されている EPOペプチドの回収をブロックするのに用いられ得る;(3) EPO受容体との共結晶化における用途すなわち、本発明のペプチドは EPO受容体に結合した結晶の形成を可能にし、受容体/ペプチド構造X線結晶学の決定を可能にする;(4)赤血球前駆体細胞の分化能を測定し、かくしてグロビン合成の誘導を刺激し、ヘモ複合体の合成およびフェリチン受容体の数を増加させる用途;(5)FDCP−1−mEPO−RおよびTF−1細胞系統のごとき EPO依存性細胞系統の増殖および成長を維持する用途;および(6) EPO受容体が好ましくは活性化されているかまたはかかる活性化が既知量の EPOアゴニストに対して従来法で検定されている他の研究および診断の適用などである。
【0118】
また本発明の化合物は、ヒトを含めた温血動物に投与してイン・ビボでの EPOの EPO−Rへの結合を刺激することができる。かくして本発明は EPO−Rを刺激するために十分な量で本発明の化合物を投与することよりなる EPO欠損に関連する病気の治療上の処理方法の範囲にあり、かくしてイン・ビボでの EPO欠損に関連する症状を軽減する。例えば、本発明の化合物は、末期の腎不全/透析;AIDSに関連する貧血、慢性炎症性の疾病に関連する貧血(例えば、リュウマチ関節炎および慢性の腸炎症)、自己免疫疾患および悪性疾患において;および手術の前に患者の赤血球総数を上げるための用途を見いだす。
【0119】
本発明の他の具体例は低または不完全赤血球によっては特徴づけられていない疾病の治療、例えば輸血前の前処理のごときへの本発明の化合物の投与を提供する。さらに、本発明の化合物の投与により出血時間を減じる結果となり、かくして手術前の患者への投与または出血が起こると予想される徴候に対して用途を見いだす。さらに本発明の化合物は巨核球の活性化に用途を見いだす。
【0120】
EPOは血管内皮細胞上での分裂促進および走化性効果ならびに中枢のコリン作動性ニューロン上での効果を有することが示されているので(例えばAmagnostouら (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87 : 5978-5982および Konishiら (1993) Brain Res. 609 : 29-35) 、本発明の化合物はまた、創傷治療の増進、(心筋梗塞後におき得るごとき)副行冠状血管の成長、外傷、および血管移植治療後ならびに、一般にアセチルコリンの絶対レベルが低いまたは他の神経活性化物質、例えば神経伝達物質と比較するとアセチルコリンの相対レベルが低いことにより特徴付けられる、種々の神経学的疾患のごとき種々の血管の疾患の治療にも用途を見いだす。
【0121】
かくのごとくに本発明は活性成分として少なくとも一つのペプチドまたは医薬担体もしくは希釈剤と会合している他の本発明の化合物からなる医薬組成物を含有する。本発明の化合物は経口、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈 (IV) または皮下注射)、経皮(受動的もしくはイオン導入またはエレクトロポーレーションの使用のいずれか)、粘膜通過(鼻腔、膣、直腸、または舌下)投与経路によりまたはバイオ侵食性挿入 (bioerodible insert) を用いて投与され得、各投与経路に適した調剤形態で処方され得る。
【0122】
経口投与用の固体の調剤形態には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が含まれる。かかる固体の剤形において、活性化合物が、ショ糖、乳糖またはでんぷんのまたはデンプンのごとき少なくとも一つの不活性な医薬上許容される担体と混合される。かかる剤形はまた、通常の慣例であるが、不活性希釈剤以外の添加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのごとき潤滑剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、剤形はまた緩衝剤を含有し得る。錠剤および丸剤はさらに腸溶コーティングによって調製され得る。
【0123】
経口投与用の液体調剤形態には、医薬上許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップが水のごとき当該分野において一般に用いられる不活性希釈剤を含有するエリキシル剤とともに含まれる。かかる不活性希釈剤の他に、組成物はまた潤滑剤、乳化および懸濁剤、および甘味料、香味料および香料剤のごときアジュバントも含み得る。
【0124】
非経口投与用の本発明による製剤には、滅菌した水溶液または非水溶液、懸濁液またはエマルジョンが含まれる。非水溶性溶媒または賦形剤の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油およびコーン油のごとき植物油、ゼラチンならびにオレイン酸エチルのごとき注入可能な有機エステルがある。かかる調剤形態はまた、防腐剤、浸潤剤、乳化剤および分散剤のごときアジュバントを含有し得る。それらは例えばバクテリア保持フィルターでの濾過によって、滅菌剤を組成物に混合することによって、組成物を照射することによって、または組成物を加熱することによって滅菌され得る。それらはまた使用する直前に滅菌水、または数種の他の滅菌した注入可能な培地を用いて作出できる。
【0125】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは座薬であり、これは活性物質に加えて、ココアバターまたは座薬用ワックスのような賦形剤を含有し得る。鼻または舌下投与用の組成物もまた当該分野において公知の標準的な賦形剤を用いて調製され得る。
【0126】
しかしながら、本発明の組成物中の活性成分の1回分の用量は変わり得るが、適切な剤形が得られるような量の有効成分が必要である。選択された1回分の投薬量は、所望の治療効果、投与経路、および所望する治療期間に依存する。一般的に哺乳動物に対し、1日体重当たり 0.001ないし10mg/Kgの間の用量レベルで投与される。
【0127】
先の開示により、理解されるごとく本発明は種々の用途を有している。従って以下の実施例により本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0128】
実施例1
固相ペプチド合成
本発明の種々のペプチドは、Milligen/Biosearch 9600自動装置でのMerrifield固相合成法 (Stewart, J. M.および Young, J. D., Solid Phase Peptide Synthesis, 第二版(Pierce Chemical, Rockfold, IL, 1984) 参照) を用いて合成された。使用された樹脂は、PAL(Milligen/Biosearch)であった。これは、リンカーとしての5−(4′−Fmoc−アミノメチル−3,5′−ジメトキシフェノキシ)吉草酸と架橋したポリスチレンである。 PAL樹脂の使用でカルボキシル末端アミドが樹脂からのペプチドの切断に作用する結果となる。アミノ酸における一次アミン保護はF−moc によって達成され、側鎖保護基はセリンおよびチロシン、カルボキシル基に対してはt−ブチル、グルタミンアミドに対してはトリチル、およびアルギニングアニジド基に対してはPmc(硫化2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン)であった。BOP(ベンゾトリアゾリルN−オキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)およびHOBt (1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)とともに1または2時間のいずれかで各々の結合を行った。
【0129】
アミド化カルボキシ末端を持つペプチドの合成において、完全に構築されたペプチドは90%トリフルオロ酢酸、5%エタンジチオールおよび5%水の混合物を用いて、初期4℃で 1.5時間にわたって徐々に室温まで上昇させて切断された。保護されなかった生成物は樹脂で濾過し、ジメチルエーテルで沈殿させた。生成物を十分に乾燥させた後、 0.1%トリフルオロ酢酸でアセトニトリル/水のグラジエントを用いたC18逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製した。
【0130】
実施例2
バイオアッセイ
A.FDCP−1/mEPO−R
FDCP−1/mEPO−R細胞(105) を成長因子(2.5nm EPO) の存在下で定常密度の半分まで増殖させた。該細胞を PBSで2回洗浄し、次いで成長因子を含まない完全培地で24時間飢餓状態にさせた。
細胞活性はトリパンブルー染色によって決定した。成長因子を含まない完全培地のストックは50μl当たり所望の細胞数となるよう作成した。試験する化合物を96ウェル組織培養プレート中で2倍に希釈した(ウェル当たり最終50μl)。
細胞(ウェル当たり50μl)を各々のウェルに加え、(陰性対照が死滅するはずである)24−48時間インキュベートした。細胞増殖は MTTアッセイにより測定した。
【0131】
B.TF−1
また、Kitamuraら (Blood 73 : 375-380 (1989) 、これは出典明示して本明細書の一部とみなす) において示された、 EPOに依存した成長を有する細胞系統TF−1に関する方法も、 EPOアゴニストとしての本発明の化合物の活性を証明することを導き出した。代表的な結果を図8に示した。図8は、細胞系統TF−1の細胞増殖における EPOおよびペプチドVGNYMCHFGPITWVCRPGGGの効果を表す。
【0132】
C.脾臓細胞の増殖
また、Krystal (Exp. Hematol. 11 : 649-660 (1983)、これは出典明示して本明細書の一部とみなす) に示された、 3H−チミジンの脾臓細胞への取り込みに基づくマイクロアッセイのための方法も、本発明の化合物が EPOアゴニストとして働き得ることを確認するために用いた。便宜には、B6C3F1マウスに2日間毎日フェニルヒドラジン(60mg/kg)を注射した。第3日に脾臓細胞を除去し、 MTTアッセイを用いてそれらの増殖能を24時間にわたって確認した。代表的な脾臓細胞集団の増殖を示す写真を図9A(対照)、9B(500pMの EPOで処理)および9C(25μm GGDYHCRMGPLTWVCKPLGG で処理) に倍率 200倍で示す。
【0133】
D.細胞増殖: EPO−感受性細胞系統、 FDC−P1/ERのペプチド依存性成長
1.材料および方法
a.試料調製:ペプチドを1×10-2Mの貯蔵溶液としてのDMSOに再懸濁し、下記の 100倍溶液:
1×10-3 1×10-4 1×10-5 1×10-6 1×10-7 1×10-8とするために10倍増加分で連続的に希釈した。
総容量 200μl中に下記のごとき最終濃度:
1×10-5 1×10-6 1×10-7 1×10-8 1×10-9 1×10-10
になるよう、各々の貯蔵液希釈2μlを上記したごとくに細胞ウェルに加えた。
【0134】
b.細胞増殖アッセイ
i.細胞ソース: FDC−P1/ER (Dexterら、J. Exp. Med. (1980) 152 : 1036-1047 、これは出典明示して本発明の一部とみなす)は、十分特徴づけられた非形質転換マウス骨髄誘導細胞系統であり、そこではエリトロポエチン受容体が安定してトランスフェクトされた。細胞は EPO依存性増殖を示した。
【0135】
c.実験のプロトコル:RPMI1640/10%ウシ胎児血清/抗生物質および10U/mlエリトロポエチン中で維持された細胞を定常期まで成長させる。細胞を収穫し、成長因子(エリトロポエチン)を含まない新鮮培地に24時間再懸濁させる。細胞を計数し、 800,000細胞/mlの濃度で再懸濁させる。およそ40,000細胞(50μ)を96ウェルマイクロタイタープレートの各々のウェルに加える。ペプチドを各々のウェルに3回反復して加える。各々のペプチド種で標準用量反応測定を行う。インキュベーション42時間(=2倍)後、各々のウェルに1μCi/ウェルのチミジンを注ぎ込む。細胞をさらに6時間インキュベーションし、その時点で細胞を収穫し、計数して、細胞増殖を指標としてチミジンの取り込みを評価する。
【0136】
d.結果:エリトロポエチン受容体細胞系統および非受容体担持親細胞系統の双方についてペプチドを評価する。ほとんどの場合で、切断されたヒト・エリトロポエチン受容体細胞系統についてペプチドが評価された。結果は組み換えエリトロポエチンを用いて得られた最大活性の2分の1を得るのに必要なペプチド量として表す。代表的な結果は相対結合データを用いて表の形で報告する(表17−22参照)。
【0137】
E.チロシンリン酸化:エリトロポエチン受容体および細胞内タンパク質のペプチド誘導チロシンリン酸化
1.材料および方法
a.試料調製:ペプチドを1×10-2Mの濃度で得るためにDMSO中に再懸濁する。
b.実験のプロトコル:RPMI1640/10%ウシ胎児血清/抗生物質および10U/mlエリトロポエチン中で維持された FDC−P1/muER細胞は定常期まで成長させる。細胞を収穫し、成長因子(エリトロポエチン)を含まない新鮮培地で24時間再懸濁させる。細胞を計数し、 500,000細胞/mlの濃度で再懸濁させる。細胞1ml(500,000) 細胞をエッペンドルフチューブに入れる。1×10-3ペプチド溶液1mlを細胞に加え(最終濃度1×10-5M)、37℃で10分間インキュベートさせる。エリトロポエチン対照(最終濃度10U/ml)を各々のアッセイとともに行った。14,000rpm 4℃の遠心分離により細胞を集める。細胞を 100μlの SDS溶菌緩衝液中に再懸濁し、 SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に付す。該ゲルをニトロセルロースに移し、1:1000希釈の抗−ホスホチロシン抗体 (Upstate Biotechnology Incorporated) で1時間プローブする。該膜をトリス緩衝食塩水で洗浄し、抗体で標識された抗−マウスペルオキシダーゼで再プローブする。反応タンパク質を ELCウエスタンブロッティング試薬 (Amersham) 用いて可視化する。
【0138】
c.結果:エリトロポエチン−感受性細胞系統において、その受容体に結合するエリトロポエチンは、該受容体およびSch, vavおよびJAK2キナーゼを含む多数の細胞内タンパク質の双方のチロシンリン酸化を引き起こす。GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGを含む多くのペプチドを分析し、エリトロポエチンで見られる反応を模擬する能力を評価した。結合および増殖基準によって判断すると、活性ペプチドは、エリトロポエチン−感受性細胞におけるエリトロポエチンのそれと同一のリン酸化パターンを引き出す。これらの結果は活性ペプチドがエリトロポエチン誘導シグナルの形質導入経路を通じて、それらの感受性の引き出しに関係することを示す。結果は結合および増殖データを用いて表の形で報告する(下記の表17−22参照)。
【0139】
F.細胞反応速度論: DNA含量によって測定された細胞サイクルのペプチド誘導性開始。
1.実験のプロトコル:FDCP−1/muEP細胞を 3.0×106 細胞/mlで定常期まで成長させた。細胞を集め、成長因子を含まない新鮮培地に再懸濁させ、さらに18時間成長させ、その時点で細胞を同じ細胞密度で3つのフラスコに分取した:−因子、+ EPO および+ペプチド。次いで10U/ml EPOまたは10μMペプチドのいずれかで細胞を刺激した。下記の時点で 300万の細胞を集めた:0,6,8,10および12時間(図15参照)。細胞を冷 PBS中で2回洗浄し、冷 PBS 100μl、次いで冷70%エタノール 900μl中に細胞ペレットを再懸濁することによって固定した。細胞をプロピジウムイオジン50μg/mlで染色し、蛍光をFACSスキャンフローサイトメーターで測定した。各々の相における細胞%をBecton DickinsonによるSOBR model of CellFIT softwareを用いて測定した。
【0140】
エリトロポエチン(10U/ml)およびGGTYSCHFGPLTWVCKPQGG(1×10-5M)は細胞サイクルを通じて進行する細胞で同等の効果がある。エリトロポエチンまたはペプチドのいずれかによる誘導後10時間までに、対照培地の15%と比較して、およそ45%の細胞がS相にある。この結果は、該ペプチドが組み換えエリトロポエチンと同じ速度論でその反応を引き出し得ることを示唆する。
【0141】
G.コロニーアッセイ:マウス骨髄およびヒト末梢血液コロニーアッセイ
1.材料および方法
標準的な滅菌ヘパリンバキュテーナーチューブで、健康な個体から末梢血液試料10mlを得た。マウス骨髄は実験当たりおよそ10匹のマウスの大腿骨から得た。すべての試薬はStem Cell Technologies Inc. (Vancouver, Canada) から得た。
a. 実験のプロトコル:便宜には、有核細胞の計数を行い、オリジナル試料の有核細胞の数および密度を確立した。末梢血液の場合、試料を 400g30分間室温でフィコール−ハイパーク(1.077g/ml) グラジエントを用いた遠心分離にかける。フィコール−ハイパーク溶液の界面にある1核細胞を注意深く取り出し、全量約10mlに希釈する。マウス骨髄またはヒト末梢血液から得た細胞は遠心分離により集め、上清をデカントした。ペレット状の細胞を新鮮培地に再懸濁し、上記のごとく収集を行った。洗浄された細胞を Isocoveの培地/2%ウシ胎児血清でプレーティングのため下記の密度まで希釈した。
正常骨髄: 1×105 低密度細胞
正常血液: 4×105 低密度細胞
【0142】
製造業者の指示につきメチルセルロースに細胞を加えた。ペプチドは下記の最終濃度で分析された:「マイナス EPO」メチルセルロース培地中に1×10-6および1×10-5M。同等の細胞数を「完全」メチルセルロース培地にプレーティングし、最大コロニー形成を評価した。マイナス EPOおよびペプチドの各々の分析とともに対照プレート試験を行い、バックグラウンドのコロニー形成を決定した。インキュベーション10日および18日後の両日にコロニーを計数した。
【0143】
b.結果:表13−15に示したごとくに、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGは、マウス骨髄およびヒト末梢血液の双方において、「完全」メチルセルロース培地(エリトロポエチン3U/ml)で得られたそれと比較して顕著に低いレベルであるにもかかわらずコロニー形成を誘導することができた。
【0144】
【表9】

【0145】
CFU-E :コロニー−形成単位−エリトロイド(1−2クラスター)
MBFU-E:成熟バースト−形成単位−エリトロイド(3−8クラスター)
PBRU-E:一次バースト−形成単位−エリトロイド(9またはそれ以上)
CFU-GM:コロニー−形成単位 顆粒球/単核細胞/マクロファージ
【0146】
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
H.ペプチド−誘導増殖:エリトロポエチン非感受性細胞系統におけるペプチド−依存性成長
a.実験のプロトコル:先のセクションDに記載したごとくペプチドを分析した。各々の細胞系統について適当な分裂促進因子/成長因子を用いて、各々の細胞系統について成長曲線をなし、成長力を評価した。
b.結果:表16に示したごとく、造血および非−造血細胞系統の双方を含む、非−エリトロポエチン感受性細胞系統において、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGGは増殖反応を刺激できなかった。
【0149】
【表12】

【0150】
I.〔 125I〕EPO 競合結合アッセイに基づく固定化 EBP。
ヒト・エリトロポエチン受容体(EPO結合タンパク質、EBP)の細胞外ドメインは E. coliで発現し、過剰生産されてきた。 E. coliで用いられた他の多くの組み換え真核タンパク質については、タンパク質は実験室規模の発酵では不溶性産物であることが判明し、活性タンパク質を得るために再生、精製された。この方法によって生産されるごとき EBPは、リガンドの液相結合を生じさせることなく改変し得る、1つの遊離スルフヒドリル基を含む。平衡結合分析用に、また競合結合アッセイのための基礎として、 EBPを固定化するために、この観察をアガロースビーズへの EBPの共有結合に向け拡張した。 Sulfolinkビーズ (Pierce Chemical Co, Rockford, IL) のヨードアセチル活性化化学は、遊離チオールに対して特異的であり、その結合は容易には可逆とならないと確信される。 EBP−Sulfolink ビーズは下記のごとくに作成される: Sulfolinkゲル懸濁液(10ml)とカップリング緩衝液(40ml:50mMトリス、pH 8.3、5mM EDTA)とを混合し、ゲルを静置させた。上清を取り出し、結合すべきEBP(カップリング緩衝液中 0.3−1mg/ml)を洗浄されたビーズに直接加えた。混合物を室温で30分間穏やかに揺らし、ビーズを室温で1時間静置させた。上清を取り除いて保持し、ビーズをカップリング緩衝液20mlで2回洗浄した。洗液も回収した。次いでビーズを室温で30分間、20mlの0.05Mシステインで処理し、非結合部位をブロックした。最後に、ビーズを50mlの1M NaCl 、次いで30mlの PBSで洗浄し、20mlの PBSに再懸濁させ、使用まで4℃で保存した。ビーズに対し共有結合した EBPの量は、反応上清および2回分の20ml洗液中に回収された全 OD280に対してオリジナル EBP溶液の OD280と比較することにより決定した。典型的には、適用した EBPの40−60%がビーズに依然として随伴していた。
【0151】
個々の反応チューブへの EBPビーズ(50μl)の添加によって結合アッセイを開始した。全結合は 0.3−30nM 125I−EPO (NEM Research Products, Boston MA, 100μCi/μg) を含むチューブ中で測定された。非−特異的結合の測定については、非標識 EPOを過剰のそれに対応する〔 125I〕EPO 濃度で1000倍のレベルで加えた。各々の反応容量を結合緩衝液(PBS/ 0.2%BSA)で 500μlにした。チューブを5時間(平衡の確立のために十分であると実験的に決定された時間)室温で穏やかに揺らしながらインキュベートした。5時間後、各々の反応混合物をガラスウールで栓をした1mlピペットチップに通した。チューブを1ml洗浄緩衝液(PBS/5%BSA)で洗浄し、2回加えた1ml洗液と同じ容量をピペットチップに通し、遊離 EPO濃度の測定のために集めた。〔 125I〕EPO とこれらガラスビーズ上に固定化された EBPの特異的会合の平衡結合分析は、結合等温の線状形質転換(スキャッチャード)に基づく5nM±2のKdを示す(図16参照)。
【0152】
候補的ペプチドの競合結合分析アッセイを前記に概略を示したごときに行った。1ml貯蔵溶液を調製するため、個々のペプチドをDMSO中に溶解させた。(2反復で)すべての反応チューブは、全量 500μL結合緩衝液中に50μLの EBPビーズ、 0.5nM〔 125I〕EPOおよび0−500 μMペプチドを含んだ。すべのアッセイチューブにおいて、DMSOの最終濃度を 2.5%に調製し、この値は、DMSOに対するこのアッセイの感受性実験が、25%DMSO (V/V)までの濃度は結合に有害な影響を持たないことを示したので、検出できる影響がないものである。各々のアッセイにおいて大量に過剰な非標識EPO(1000nM)を含むチューブの含有物によって非−特異的結合を測定した。各々のアッセイにおいて、全結合を測定するためにペプチドを加えない一次アッセイポイントも含めた。結合混合物を一晩室温で穏やかに揺らしながらインキュベートした。次いでビーズをマイクロ−カラム(Isolab, Inc., Akron, Ohio) を用いて集め、3mlの洗浄緩衝液で洗浄した。洗浄されたビーズを含むカラムを12×75mmガラスチューブに置き、結合した放射活性レベルをガンマカウンターを用いて測定した。結合した〔 125I〕EPO の量は対照(全= 100%)結合の%で表し、非−特異的結合についての調製後、ペプチド濃度に対してプロットした。IC50を EBPへの〔 125I〕EPO の結合を50%減じるペプチド濃度と定義した。すべてのデータを5μMのIC50が証明された(下記の表17−22参照)GGTYSCHFGPLTWVCKPQGG (RWJ61233) に対する相対として報告する。
【0153】
【表13】

【0154】
【表14】

【0155】
【表15】

【0156】
【表16】

【0157】
【表17】

【0158】
【表18】

【0159】
J.多血球性低酸素症マウスバイオアッセイ
メスBDFIマウス (18−20gm) を(低圧チャンバーで)18時間、0.40±0.02気圧および14日間外界圧力の設定サイクルにかけた。
マウスをr−Hu EPOまたは試験試料の投与に先立って、72時間、外界圧力で維持する。試験試料またはr−Hu EPO標準を調製したマウスへの注射用に希釈する。伝達体は 0.1%BSA(W/V)を含有する PBSからなる。各々の希釈について、 0.5mlを各々10マウスに皮下注射で投与する。48時間後59Feを投与する。59Fe投与48時間後、血液試料を採取する。ヘマトクリットおよび放射活性測定値を各々の試料について決定した。用量範囲および結果(2つの異なるアッセイ)を下記の表23および17A−17Cに記載する。
【0160】
【表19】

【0161】
さらに前述の多血球性低酸素症マウスバイオアッセイを用いてTIAQYICYMGPETWECRPSPKAおよび2つのジスルフィド結合(AF12080) を含有するGGTYSCHFGPLTWVCKPQGGのダイマーペプチドアナログを試験した。多血球性低酸素症マウスバイオアッセイの結果を図18A−18Bに示す。さらに下記の表24は EPOおよび種々のミメティックスペプチドはほぼ同等であることを示す。
【0162】
【表20】

【0163】
K.網状赤血球アッセイ
正常の未処理のメスBDFIマウスに連続3日間 EPOまたは実験化合物のいずれかを投薬した(0.5ml. S. Q.)。賦形剤: PHS、10% PEG8000、0.25% BSAをDMSOに加えた。第3日にマウスに鉄デキストラン(100mg/ml) も投薬した(0.1ml、I. P.)。第5日にマウスに CO2で麻酔をかけ、心臓を穿刺して出血させた。%網状赤血球をチアゾールオレンジ染色、およびフローサイトメーター分析(retic-countプログラム) によって測定した。ヘマトクリットを手動で測定した。補正網状赤血球のパーセントは以下の式を用いて決定した:
%RETIC(補正) =%RETIC(測定値) ×Hct(個々) /Hct(正常)前記の網状赤血球アッセイを用いた得た結果を図18A−18Bおよび図19A−19Bに示す。
【0164】
1:物質および方法:
正常な供与体から得たヒトの有核骨髄細胞を半固形メチルセルロース(0.9%メチルセルロース、30%ウシ胎児血清、1%ウシ血清アルブミン、10-4 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミン)中にプレートした。便宜には、細胞を採取して赤血球を緩衝塩化アンモニウムを添加することによって溶菌させた。細胞を2%子ウシ胎児血清を含有する培地に再懸濁させ、プレート当たり2×105 細胞の密度で二反復でプレートした。12日間培養後形成された赤血球および顆粒球−マクロファージ(G−M)コロニーを色および形態により点数を付けた。実験において対照プレートには組み換えヒト生長因子IL−3、GM−CSF およびSCF(3/GM/S)が含まれ、試料のGMコロニー形成に到達した。
【0165】
【表21】

【0166】
2.結果:
上で示されたデータから、GGTYSCHFGPLTWVCKPQGG (RWJ61233/AFFY11157)はサイトカイン添加なしで赤血球のコロニー形成を誘導できることが明白である。さらに、それがGMリネージのコロニー形成を誘導できないことによって、該ペプチドは赤血球リネージに対して厳密な特異性を示す。
【0167】
上記記載は本発明を説明するが本発明を限定するものではないと理解されるべきである。上記記載を調べる際に多くの実施態様は当業者にとって自明である。それゆえ、本発明の範囲は上記記載に関して決められるべきではないが、その代わりにかかる請求の範囲が権利を与えられるに等しい全範囲に沿って、付加した請求の範囲に関して決められるべきである。特許公開を含む、記事および参照のすべての開示は出典明示して本明細書の一部とみなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリトロポエチン受容体に結合し、アミノ酸配列X3X4X5GPX6TWX7X8を含み、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され、X6 は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである長さ10〜40アミノ酸残基のペプチド。
【請求項2】
各々のアミノ酸が標準的な一文字省略によって示されるアミノ酸配列 YX2X3X4X5GPX6TWX7X8からなり、X2 およびX6 の各々は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
アミノ酸配列 X1YX2X3X4X5GPX6TWX7X8X9X10X11よりなり、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略によって示され、X1 ,X2 ,X6 ,X9 ,X10およびX11の各々は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである請求項2記載のペプチド。
【請求項4】
4 がRまたはH;X5 がFまたはM;X6 がI,L,T,M,EまたはV;X7 がDまたはV;X9 がG,K,L,Q,R,SまたはT;およびX10がA,G,P,RまたはYである請求項3記載のペプチド。
【請求項5】
1 がD,E,L,N,S,TまたはV;X2 がA,H,K,L,M,SまたはT;X4 がRまたはH;X9 がK,R,SまたはT;およびX10がPである請求項4記載のペプチド。
【請求項6】
【化1】

よりなる群から選択される請求項1記載のペプチド。
【請求項7】
【化2】

よりなる群から選択される請求項1記載のペプチド。
【請求項8】
該アミノ酸配列が環化される請求項1のペプチド。
【請求項9】
該ペプチドが
【化3】

よりなる群から選択される請求項8記載のペプチド。
【請求項10】
該アミノ酸配列がダイマー化された請求項1記載のペプチド。
【請求項11】
該ペプチドが下記のアミノ酸配列からなる請求項10記載のペプチド。
【化4】

【請求項12】
医薬上許容される担体と組み合わせた請求項1記載の化合物よりなる医薬組成物。
【請求項13】
請求項1記載のペプチドの治療的有効量を患者に投与することを特徴とするエリトロポエチンの欠損または低あるいは不完全赤血球集団によって特徴づけられる疾患を有する患者を治療する方法。
【請求項14】
該症状が末期腎不全または透析;AIDSに関連する貧血、自己免疫疾患および悪性腫瘍;ベータサラセミア;嚢胞性線維症;未熟児の初期貧血;慢性炎症疾病に関連する貧血;脊髄外傷;急性血液喪失;加齢;および異常な赤血球形成に伴う腫瘍形成疾病である請求項13記載の方法。
【請求項15】
該ペプチドが、アミノ酸配列 YX2X3X4X5GPX6TWX7X8よりなり、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され;X2 およびX6 の各々は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである請求項13記載の方法。
【請求項16】
該ペプチドが、アミノ酸配列 X1YX2X3X4X5GPX6TWX7X8X9X10X11よりなり、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略によって示され、X1 ,X2 ,X6 ,X9 ,X10およびX11の各々は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである請求項15記載の方法。
【請求項17】
4 がRまたはH;X5 がFまたはM;X6 がI,L,T,MまたはV;X7 がDまたはV;X9 がG,K,L,Q,R,SまたはT;およびX10がA,G,P,RまたはYである請求項16記載の方法。
【請求項18】
1 がD,E,L,N,S,TまたはV;X2 がA,H,K,L,M,SまたはT;X4 がRまたはH;X9 がK,R,SまたはT;およびX10がPである請求項17記載の方法。
【請求項19】
該ペプチドが
【化5】

よりなる群から選択される請求項13記載の方法。
【請求項20】
該ペプチドが環化された請求項13記載の方法。
【請求項21】
該ペプチドがダイマー化された請求項13記載の方法。
【請求項22】
各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され、X6 は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCであるエリトロポエチン受容体に結合し、アミノ酸配列X3X4X5GPX6TWX7X8(配列番号)よりなり、長さ4ないし10アミノ酸残基のペプチドの治療的有効量を患者に投与することを特徴とするエリトロポエチンの欠損または低あるいは不完全赤血球集団によって特徴づけられた疾患を有する患者を治療する方法。
【請求項23】
該症状が末期腎不全または透析;AIDSに関連する貧血、自己免疫疾患または悪性腫瘍;ベータサラセミア;嚢胞性線維症;未熟児の初期貧血;慢性炎症疾病に関連する貧血;脊髄外傷;急性血液喪失;加齢;および異常な赤血球形成に伴う腫瘍形成疾病である請求項22記載の方法。
【請求項24】
該ペプチドが、アミノ酸配列 YX2X3X4X5GPX6TWX7X8よりなり、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略で示され;X2 およびX6 の各々は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである請求項22記載の方法。
【請求項25】
該ペプチドが、アミノ酸配列 X1YX2X3X4X5GPX6TWX7X8X9X10X11よりなり、ここに、各々のアミノ酸は標準的な一文字省略によって示され、X1 ,X2 ,X6 ,X9 ,X10およびX11の各々は20の遺伝的にコードされたL−アミノ酸のいずれかから独立して選択され;X3 はC;X4 はR,H,LまたはW;X5 はM,FまたはI;X7 はD,E,I,LまたはV;およびX8 はCである請求項24記載の方法。
【請求項26】
4 がRまたはH;X5 がFまたはM;X6 がI,L,T,M、またはV;X7 がDまたはV;X9 がG,K,L,Q,R,SまたはT;およびX10がA,G,P,RまたはYである請求項25記載の方法。
【請求項27】
1 がD,E,L,N,S,TまたはV;X2 がA,H,K,L,M,SまたはT;X4 がRまたはH;X9 がK,R,SまたはT;およびX10がPである請求項26記載の方法。
【請求項28】
該ペプチドが
【化6】

よりなる群から選択される請求項22記載の方法。
【請求項29】
該ペプチドが環化された請求項22記載の方法。
【請求項30】
該ペプチドがダイマー化された請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A−C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A−B】
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【図17A−B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A−B】
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【図20A−B】
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【公開番号】特開2009−280616(P2009−280616A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200615(P2009−200615)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【分割の表示】特願2007−186814(P2007−186814)の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(507202792)オーソ ファーマシューティカル コーポレイション (2)
【出願人】(507202806)アフィマックス テクノロジーズ,ナームロゼ フェンノートシャップ (2)
【Fターム(参考)】