説明

エレクトロガスアーク溶接方法

【課題】溶接単位長さ当りの入熱を従来よりも低減し、かつ従来以上の安定した溶接速度を可能にするエレクトロガスアーク溶接方法を提供する。
【解決手段】板厚が45mm以上、75mm以下の2枚の鋼板を対向し、これらを1本の溶接ワイヤで1パス立向突合せ溶接する1電極エレクトロガスアーク溶接方法において、溶接ワイヤ径を2mm未満、溶接ワイヤの突出し長さを70mm以上とし、また開先体積当りの入熱が16〜27kJ/cmを満足することを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚鋼板、特に板厚45mm以上の厚肉鋼板の立向エレクトロガスアーク溶接方法に係わり、健全な溶け込み形状を得ると同時に溶接入熱を低下させ、被溶接鋼板における過大な溶接熱影響による諸特性低下を防止し、良好な溶接継手性能を得、さらに高能率溶接を可能とするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロガスアーク溶接は図6に示すような鋼板の立向突合せ溶接方法の一つで、被溶接材1の開先片面に摺動銅板2を、片面にセラミックスや銅製の裏当材3を配置し、摺動銅板2と被溶接材1および裏当材3で囲まれる開先に上方から電極ワイヤ4を送給してガスシールドアーク溶接を行う溶接方法である。
【0003】
エレクトロガスアーク溶接方法は、他の溶接法に比べて高能率溶接が達成されることから、船舶、石油貯蔵タンク及び橋梁等の幅広い分野で採用されている。特に船舶分野では、コンテナ船のシャーストレーキ及びハッチコーミング部等のような、板厚が45mm以上の極厚板の溶接に対してもこの溶接方法が適用されている。
【0004】
また、被溶接材1が更に厚肉化し、単一の電極ワイヤ4では溶着量が不足する、もしくは溶接効率を更に高める必要がある、更には、融合不良等の溶接欠陥を防止する、等の必要性が生じた場合においては、特許文献1に板厚方向に複数本の電極ワイヤを配置し、これらの片方もしくは両方を板厚方向に摺動させる、多電極エレクトロガスアーク溶接方法が開示されている。
【0005】
近年の船舶の大型化傾向は著しく、それに伴い、特に前述したような部材に適用される鋼板の板厚は増加の一途を辿っている。
【0006】
一方、図6で概説したエレクトロガスアーク溶接法の溶接単位長さ当りの入熱(一般的に溶接入熱と呼ばれ、kJ/cmなどの単位で表される)は、電極ワイヤから投入される熱量(溶接電流×溶接電圧)を溶接速度で除することによって得られるため、投入熱量が一定である場合においては、被溶接部材の板厚が増加するとともに溶接速度が低下し、溶接単位長さ当りの入熱は増加することになる。
【0007】
溶接単位長さ当りの入熱が大きくなると溶接熱影響部が高温にさらされている時間が長くなり、また高温からの冷却速度が低下するため溶接熱影響部の靱性が低下しやすい。また、近年ではYP390以上等の高強度材が用いられるようになったが、一般的に溶接継手の靭性は高強度材ほど低下しやすい傾向にあるため、溶接熱影響部の靱性を確保するには、溶接単位長さ当りの入熱を低下させる必要がある。
【0008】
特許文献2には、溶接ワイヤの突出しを長くすることによってワイヤの溶融速度が大きくなり、溶接単位長さ当りの入熱が低下することが開示されている。しかし、突出しが長くなるとワイヤの蛇行を招くため、突出しの増加には限度があり、70mm以上などの極端に長い突出し長さは試みられていない。
【0009】
また、突出し長さを長くしてワイヤの溶融速度を大きくし、溶接単位長さ当りの入熱を低下させると、溶け込み不良など溶接欠陥が発生しやすくなる。突出し長さを長くして溶接単位長さ当りの入熱を低下させた場合に、どのような溶接条件とすれば安定した溶接が可能となるかは開示されていない。
【特許文献1】特許3741402号公報
【特許文献2】特公昭61−2480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、45mm以上の厚鋼板を1パスでエレクトロガスアーク溶接するにおいて、溶接単位長さ当りの入熱を低減し、かつ従来以上の溶接速度を可能にし、溶け込み不良などの溶接欠陥を発生させずに安定した溶接を可能にするエレクトロガスアーク溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、従来、試みられていなかった70mm以上と極端に長い突出し長さを採用し、突出しにおけるジュール発熱を利用してワイヤの溶融速度を増大させて溶接単位長さ当りの入熱を低減し、かかる状態でも溶け込み不良などの溶接欠陥を発生させることなく安定した溶接を可能とする溶接方法である。
【0012】
突出しにおけるジュール発熱においては単位体積当りの発熱は電流密度の2乗に比例するので、ワイヤ径を細くして電流密度を高くすることがワイヤを加熱する上で有利である。
【0013】
エレクトロガスアーク溶接においては板厚の1/2〜1/3程度の幅のかなり広い開先が採用される。開先は溶接ワイヤを溶融した金属で埋められる。開先を埋めた溶融金属は、その保有する熱で被溶接材をも溶融し、ワイヤおよび被溶接材が溶融した金属は一体となり、さらに凝固して溶接金属を形成する。溶接における発熱(アーク発熱およびワイヤでのジュール発熱)は主に溶接ワイヤの溶融および溶融池の加熱に費やされる。
【0014】
このため、溶接における発熱(溶接電流×溶接電圧)はまず開先を埋める溶融金属に伝えられ、この熱がさらに被溶接材を溶融する。発明者は、このことに着目し、開先を埋める溶融金属が単位体積当りにどれだけの熱を保有しているかが被溶接材をどれだけ溶かすことができるかに密接に関係していることを知見した。
【0015】
すなわち、開先体積当りの入熱が大きければ、被溶接材の溶融も大きくなり、溶け残りは生じ難く、開先体積当りの入熱が小さければ被溶接材の溶融が少なくなり、溶け残りが生じやすくなる。開先体積当りの入熱を適正な範囲に管理することにより、溶接単位長さ当りの入熱を低減した状態でも安定した溶接が可能となる。
【0016】
開先体積当りの入熱q(kJ/cm)は溶接電流I(A)、溶接電圧V(V)、溶接速度v(cm/s)、開先面積s(cm)から式(1)のように求められる。
【0017】
=IV/(1000vs)・・・・・(1)
開先体積当りの入熱の最適範囲は板厚および電極数によって異なり、それぞれに最適範囲を設定する。
【0018】
また、ワイヤ突出しを極めて長くするとワイヤの蛇行によってワイヤを開先中央に送給することが困難となることがある。ワイヤが開先のどちらかに寄ると、溶け込みが不均一となる。また極端な場合にはワイヤが開先、あるいは当金に接触し溶接が極めて不安定になる。このような問題を解決するにはコンタクトチップの先端にコンタクトチップとは電気的に絶縁されたワイヤガイドを取り付けることが有効である。
【0019】
本願発明は上記した知見に基づきなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
【0020】
1.第一の発明は、板厚が45mm以上、75mm以下の2枚の鋼板を対向し、これらを1本の溶接ワイヤで1パス立向突合せ溶接する1電極エレクトロガスアーク溶接方法において、溶接ワイヤ径を2mm未満、溶接ワイヤの突出し長さを70mm以上とし、また開先体積当りの入熱が16〜27kJ/cmを満足することを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法である。
【0021】
2.第二の発明は、板厚が65mm以上、95mm以下の2枚の鋼板を対向し、これらを2本の溶接ワイヤで1パス立向突合せ溶接する2電極エレクトロガスアーク溶接方法において、溶接ワイヤ径を2mm未満、少なくとも1本の溶接ワイヤの突出し長さを70mm以上とし、また開先体積当りの入熱が15〜24kJ/cmを満足することを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法である。
【0022】
3.第三の発明は、第一の発明または第二の発明に記載の溶接方法において、コンタクトチップの先に該コンタクトチップと電気的に絶縁されたワイヤガイドを設けたことを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法である。
【発明の効果】
【0023】
本願発明によれば、エレクトロガスアーク溶接の溶接入熱を大幅に低下させることが可能となるので溶接熱影響部の靱性の低下を防止できる。また、従来のエレクトロガスアーク溶接よりも入熱を低減したにもかかわらず、溶接速度は従来よりも大きく増加できるので、溶接能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本願発明を実施するための1形態について図1を用いて説明する。ここでは1電極のエレクトロガスアーク溶接の場合について説明する。コンタクトチップ7には溶接電源13より電流が供給される。また溶接電源13のもう一方の端子は被溶接材1と電気的に接続されている。ワイヤ4はワイヤ供給装置14により供給される。突出し部11は従来の方法と比べてかなり長く設定される。コンタクトチップ7より溶接ワイヤ4に給電され、突出し部11においてワイヤはジュール加熱される。その後ワイヤはワイヤ先端より発生するアーク5の熱により溶融し、溶滴8として被溶接材に移行して溶融池9を形成する。溶融池9は被溶接材の一部を溶融した後、凝固して溶接金属10となる。
【0025】
また本願発明を実施するための別の1形態について図2を用いて説明する。2電極のエレクトロガスアーク溶接の場合であり、もう一つのワイヤ18、ワイヤガイド17、コンタクトチップ16、ワイヤ供給装置21および溶接電源22が図2の構成に並列に追加される。図中の記号で図2と同じ符号のものは同じものをさす。なお19はアーク、20は溶滴、23は突出し部である。
【0026】
本発明において最も重要なことは突出し部11、23を従来よりも著しく長くし、ワイヤ4,18を予熱してワイヤの溶融速度を大きくし、かかる状態においても安定して溶接が行われるようにすることである。
【0027】
まず、本発明では溶接ワイヤ4、18の径を2mm未満としている。ワイヤ径が太いとワイヤ4,18を流れる電流密度が低下するため、溶接ワイヤの突出し部11、23における予熱効果が小さい。このため、ワイヤの溶融速度を増大する効果が少なく、また入熱の低減効果も小さい。このため、ワイヤ径は2mm未満に限定する。
【0028】
突出し部11、23を長くすると抵抗加熱によりワイヤが予熱されるため、ワイヤの溶融速度を増大でき、溶接入熱が低減できるが、突出し部11、23が70mm未満ではその効果が少ないため、少なくとも1本のワイヤの突出し長さは70mm以上とする。但し、突出し長さを長くし過ぎると、開先体積当りの入熱が小さくなるため、好ましくは110mm以下である。
【0029】
1電極エレクトロガスアーク溶接により、板厚が45mm以上、75mm以下の鋼板を溶接する場合には、開先体積当りの入熱は27kJ/cmを超えでは単位長さ当り入熱の低下効果が少ないため、27kJ/cm3以下とする。また16kJ/cm未満では溶け残りが生ずるため16kJ/cm以上とする。
【0030】
また2電極エレクトロガスアーク溶接により、板厚が65mm以上、95mm以下の鋼板を溶接する場合には、同様の理由により開先体積当りの入熱を15〜24kJ/cmとする。
【0031】
また、突出し部11、23が長くなるとワイヤの曲がりによってワイヤを狙いの位置に供給することが難しくなる。この問題を解決するためには、コンタクトチップ7、16の先にコンタクトチップ7、16とは電気的に絶縁されたワイヤガイド15、17を設けることが効果的である。ワイヤガイド15、17は耐熱性の樹脂、セラミックあるいはこれらと金属とを複合して製作する。
【0032】
以下、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【実施例1】
【0033】
1電極エレクトロガスアーク溶接の例である。被溶接材1として、板厚50、60、65、70mmのYP390N/mm2級鋼板を用い、開先表側に水冷銅板2、裏側にセラミックス製の固定式裏当材3を設置した。
【0034】
溶接ワイヤ4には直径1.6mmのフラックス入りワイヤ(JIS Z3319 YFEG-22C相当)を用い、シールドガスとしては炭酸ガスを30l/min流した。溶接電源13としては、直流定電圧電源を用い、溶接ワイヤ4側をプラス(DCEP)とした。
【0035】
図3は開先形状を示した図で開先幅は裏側でW1、表側でW2である。図4は溶接ワイヤ4の送給位置を示した図である。溶接ワイヤ4は開先中央を狙い位置とし、開先表側から6mmの位置から裏側10mmの位置までオシレートした。
【0036】
突出し長さが70mm以上の場合には、ワイヤ4の蛇行を防止するため、ワイヤガイド15をコンタクトチップ7の先端に取り付けた。ワイヤガイド15は管状のアルミナ製で、ワイヤの突出し長さが70〜90mmの場合は、50mm長さとし、突出し長さが90mmを超える場合は、75mm長さとした。また、何れもワイヤガイド先端の孔径は2.0mmとした。
【0037】
表1に示す溶接条件で約500mm長さ溶接を行った。溶接部断面サンプルおよびビード外観より溶接部の溶け残りの有無を調べた。
【0038】
【表1】

【0039】
表1中、A〜Dは厚み50mmの鋼板を溶接した例である。Aは突出し長さが40mmで、従来の溶接条件である。B、Cは突出し長さをそれぞれ73、95mmとし、開先体積当りの入熱を本願発明の範囲とした本願発明の例である。従来の溶接条件と比較し、溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下しているが、溶け残りは全く見られなかった。Dは突出し長さを120mmとした例であるが、突出し長さを長くしすぎているため開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回り、溶け残りが生じた。
【0040】
E〜Nは厚み60mmの鋼板を溶接した例である。Hは従来の溶接条件である。Mは突出し長さを120mmとした例であり、開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回るため、溶け残りが生じた。E、F、G、J、K、L、Nは本願発明例であるが、いずれも従来条件と比較し溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下し、かつ溶け残りは全く見られなかった。
【0041】
P〜Vは厚み65mmの鋼板を溶接した例である。P、Q、Rは従来の溶接条件である。Uは突出し長さを120mmとした例であり、開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回るため、溶け残りが生じた。S、T、Vは本願発明例であるが、いずれも従来条件と比較し溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下し、かつ溶け残りは全く見られなかった。
【0042】
W〜Zは厚み70mmの鋼板を溶接した例である。Wは従来の溶接条件である。Zは突出し長さを115mmとした例であり、開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回るため、溶け残りが生じた。X、Yは本願発明例であるが、いずれも、従来条件と比較し溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下し、溶け残りは全く見られなかった
【実施例2】
【0043】
2電極のエレクトロガスアーク溶接の例である。被溶接材1として、板厚80、70、90mmのYP390N/mm2級鋼板を用い、開先表側に水冷銅板2、裏側にセラミックス製の固定式裏当材3を設置した。
【0044】
表側の溶接ワイヤ4および裏側のワイヤ18にはいずれも直径1.6mmのフラックス入りワイヤ(JIS Z3319 YFEG-22C相当)を用い、シールドガスとしては炭酸ガスを30l/min流した。溶接電源としては、直流定電圧電源を用い、表側のワイヤ4(表2ワイヤX)はワイヤプラス(DCEP)とし裏側のワイヤ18(表2ワイヤY)はワイヤマイナス(DCEN)とした。
【0045】
開先形状は実施例1と同様の形状である。図5は溶接ワイヤ4,18の送給位置を示した図である。溶接ワイヤ4,18は開先中央を狙い位置とし、ワイヤXは開先表側から10mmの位置から、ワイヤYから10mmの位置までオシレートした。裏側のワイヤYは開先裏側から30mmの位置に固定した。
【0046】
突出し長さが70mm以上の場合には、ワイヤの蛇行を防止するため、ワイヤガイド15、17をコンタクトチップ7,16の先端に取り付けた。ワイヤガイドは管状のアルミナ製で、ワイヤの突出し長さが70〜90mmの場合は、50mm長さとし、突出し長さが90mmを超える場合は、75mm長さとした。また、何れもワイヤガイド先端の孔径は2.0mmとした。
【0047】
表2に示す溶接条件で約500mm長さ溶接を行った。溶接部断面サンプルおよびビード外観より溶接部の溶け残りの有無を調べた。
【0048】
【表2】

【0049】
表2中、a〜gは厚み80mmの鋼板を溶接した例である。a、b、cは従来の溶接条件である。d、e、fは本願発明例である。従来の溶接条件と比較し、溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下しているが、溶け残りは全く見られなかった。gは突出し長さを125mmとした例であるが、突出し長さを長くしすぎているため開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回り、溶け残りが生じた。
【0050】
h〜mは厚み70mmの鋼板を溶接した例である。hは従来の溶接条件である。mは突出し長さを120mmとした例であり、開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回るため、溶け残りが生じた。j、kは本願発明例であるが、いずれも従来条件と比較し溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下し、溶け残りは全く見られなかった。
【0051】
n〜sは厚み90mmの鋼板を溶接した例である。nは従来の溶接条件である。sは突出しを120mmとした例であり、開先体積当りの入熱が本願発明の範囲を下回るため、溶け残りが生じた。p、q、rは本願発明例であるが、いずれも従来条件と比較し溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下し、溶け残りは全く見られなかった。
【0052】
tは厚み70mmの鋼板を溶接した例で、ワイヤXの突出し長さを60mm、ワイヤYの突出し長さを140mmとした例である。開先体積当りの入熱が本願発明の範囲に入る本願発明例である。従来条件と比較し溶接単位長さ当りの入熱が大幅に低下し、溶け残りは全く見られなかった
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願発明によれば、以下の効果が得られ、産業上極めて有用である。
1.エレクトロガスアーク溶接の溶接入熱を大幅に低下させることが可能となることで、溶接熱影響部の靱性の低下を防止でき、構造物の安全性が向上する。
2.従来のエレクトロガスアーク溶接よりも入熱を低減したにもかかわらず、溶接速度は従来よりも大きく増加でき、溶接能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願発明の1実施態様を示す図である。
【図2】本願発明の別の1実施態様を示す図である。
【図3】開先の形状を示す図である。
【図4】1電極溶接における開先内のワイヤの供給位置を示す図である。
【図5】2電極溶接における開先内のワイヤの供給位置を示す図である。
【図6】エレクトロガスアーク溶接法を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 被溶接材
2 摺動銅板
3 裏当材
4、18 ワイヤ
5、19 アーク
7、16 コンタクトチップ
8、20 溶滴
9 溶融池
10 溶接金属
11、23 突出し部
13、22 溶接電源
14、21 ワイヤ供給装置
15、17 ワイヤガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚が45mm以上、75mm以下の2枚の鋼板を対向し、これらを1本の溶接ワイヤで1パス立向突合せ溶接する1電極エレクトロガスアーク溶接方法において、溶接ワイヤ径を2mm未満、溶接ワイヤの突出し長さを70mm以上とし、また開先体積当りの入熱が16〜27kJ/cmを満足することを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法。
【請求項2】
板厚が65mm以上、95mm以下の2枚の鋼板を対向し、これらを2本の溶接ワイヤで1パス立向突合せ溶接する2電極エレクトロガスアーク溶接方法において、溶接ワイヤ径を2mm未満、少なくとも1本の溶接ワイヤの突出し長さを70mm以上とし、また開先体積当りの入熱が15〜24kJ/cmを満足することを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の溶接方法において、コンタクトチップの先に該コンタクトチップと電気的に絶縁されたワイヤガイドを設けたことを特徴とするエレクトロガスアーク溶接方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−30044(P2008−30044A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202688(P2006−202688)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】