説明

エレクトロルミネセンス物質およびデバイス

ジルコニウム2-メチル-8-ヒドロキシキノラートを製造する改善された方法は、ジルコニウム塩と2-メチル-8-ヒドロキシキノリンを反応させるステップと、その後、混合塩をベータジケトンと反応させるステップを含む2段階プロセスである。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセンス物質(electroluminescent materials)の製造方法と、このような物質を含むエレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流を通したときに発光する物質は、よく知られており、ディスプレイ用途に広く用いられている。液晶デバイスおよび無機半導体系(inorganic semiconductor system)に基づいたデバイスが広く用いられている。しかしながら、これらはエネルギー消費が高いこと、生産コストが高いこと、量子効率が低いこと、および、フラットパネルディスプレイの生産等には役に立たないこと、という欠点を持っている。
【0003】
有機ポリマーは、エレクトロルミネセンスデバイスに有用であると提案されているが、純色を得ることができず、生産コストが高い上に効率が比較的低い。
【0004】
特許出願「WO98/58037」には、改善された特質を有し、より優れた実験結果を与えるエレクトロルミネセンスデバイスとして使用することが可能な、一連のランタニド錯体が記載されている。特許出願「PCT/GB98/01773」、「PCT/GB99/03619」、「PCT/GB99/04030」、「PCT/GB99/04024」、「PCT/GB99/04028」、「PCT/GB00/00268」には、希土類キレートを用いたエレクトロルミネセンス錯体、構造、およびデバイスが記載されている。
【0005】
エレクトロルミネセンスデバイスに使用するエレクトロルミネセンス物質として提案されている他の化合物は、アルミニウムキノラート(aluminium quinolate)である。
「US Patent 3,995,299 (Partridge)」には、アノード、有機正孔導入・輸送領域(an organic hole injecting and transporting zone)、ルミネセンス領域(a luminescent zone)、電子輸送領域(an electron transporting zone)、ならびにカソードを順に含む、エレクトロルミネセンスデバイスが開示されている。ルミネセンス領域は、ペリレンもしくはアクリジンなどの蛍光色素(fluorescent dye)をドープしたポリビニルカルバゾールのような有機ポリマーとすることができる。
【0006】
「US Patent 4769292 (Kodak)」では、アノード、有機正孔導入・輸送領域、ルミネセンス領域、ならびにカソードを順に含む、エレクトロルミネセンスデバイスが開示されている。このELデバイスは、ルミネセンス領域が有機ホスト物質および発光可能な蛍光物質を含む、厚さが1μm未満の薄膜を構成していることを特徴とする。明細書中に例示されたルミネセンス領域は、アルミニウムキノラートを含み、また、価数が1から3のその他の金属キノラート類についても言及され、請求項に記載されている。
特許出願「PCT/GB03/05573」では、ジルコニウムキノラートを含む金属キノラートの使用について開示しており、ジルコニウム2-メチルキノラート(zirconium 2-methyl quinolate)の使用を開示している。
【0007】
しかしながら、ジルコニウム2-メチルキノラートは収率良く合成することが難しく、ジルコニウム塩と2-メチル-8-ヒドロキシキノリン(2-methyl 8-hydroxy quinoline)との反応などから、簡便にジルコニウム2-メチルキノラートを合成しようとした試みも、以下に示す反応によって混合ジルコニウム化合物(mixed zirconium compound)が生成してしまうために成功していない。
ZrL4 + 4(q-2Me) → Zr(q-2Me)2L2
【発明の開示】
【0008】
我々は、現在、ジルコニウム2-メチルキノラートを製造する改善された方法を発見した。
【0009】
本発明によると、ジルコニウム2-メチルキノラートを製造する方法であって、ジルコニウム塩ZnL4(ここでLはアニオン)と2-メチル-8-ヒドロキシキノリンを反応させる、混合塩(mixed salt)Zr(q-2Me)2L2を生成させるためのステップと、その後、前記混合塩をベータジケトンと反応させる、ジルコニウム2-メチルキノラートを生成するためのステップを含むことを特徴とする方法が提供される。ジルコニウム2-メチルキノラートは非置換である可能性も、置換されたものである可能性もある。
【0010】
その反応は、以下の反応スキームに従って起こる。
(1) ZrL44(q-2Me) → Zr(q-2Me)2L2
(2) 2 Zr(q-2Me)2+ 4 acac → Zrq-2Me)4 + Zr(acac)4
ここで2-メチル-8-ヒドロキシキノリンは以下の構造で、
【0011】
【化2】

acacはベータジケトンで、好ましくは以下の構造である。
【0012】
【化3】

【0013】
ジルコニウム塩は、好ましくはジルコニウムブトキシドなどのようなアルコキシドであり、反応はジクロロメタン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中で起こる可能性がある。上記の反応(1)の塩が生成した後、ジルコニウムテトラオキシド錯体(zirconium tetroxide complex)を生成するためにアセチルアセテート(acetyl acetate)を反応混合物に加えることができる。
【0014】
好ましい8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン類は以下の構造のものである。
【0015】
【化4】

【0016】
ここで、式中のR1およびR2は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、またはアルキル基(alky)、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、スルホン酸類、エステル類、カルボン酸類、アミノ基およびアミド基であるか、あるいは芳香族基、多環式の基もしくは複素環基である。
【0017】
好ましいジルコニウムキノラート類は以下の構造式を有する。
【0018】
【化5】

ここで、式中のR1およびR2は前述のとおりである。
【0019】
本発明は、(i) 第一電極、(ii) 先に開示した方法で製造した、置換もしくは非置換2-メチルジルコニウムキノラートを含むエレクトロルミネセンス物質の層、および(iii) 第二電極を含むことを特徴とする、エレクトロルミネセンスデバイスも提供する。
その2-メチルジルコニウムキノラート(2-methyl zirconium quinolate)にドーパントをドープすることもできる。
【0020】
好ましくは、エレクトロルミネセンス化合物に、少量の蛍光物質がドーパントとしてドープされ、重量にしてドープされた混合物の5から15%とするのが好ましい。
参照することによって本明細書に含まれている「US 4769292」で考察しているように、蛍光物質が存在すると、発光波長を広い範囲から選択することができる。
【0021】
「US 4769292」で述べているように、有機金属錯体と正孔-電子再結合(hole-electron recombination)に応じて発光することができる少量の蛍光物質とを混合することにより、ルミネセンス領域から発光する色調を調整することができる。理論的には、本出願において、もし、正孔-電子再結合への親和性が正確に同じである混合用のジルコニウム2-メチルキノラートと蛍光物質を発見することができれば、それぞれの物質がルミネセンス領域へと正孔注入および電子注入をすると、発光すると考えられる。認められる発光の色調は、両方の発光を視覚的に重ね合わせたものであろう。
【0022】
ジルコニウム2-メチルキノラートと蛍光物質とのバランスが非常に限定されているため、有利な発光サイト(the favoured sites for light emission)を提供する蛍光物質を選択するのが好ましい。有利な発光サイトを提供する蛍光物質が少ない割合だけ存在する場合でも、蛍光物質に起因する新たなピーク発光波長強度(peak intensity wavelength emissions)の方が優勢になり、ジルコニウム2-メチルキノラートの典型的なピーク発光波長強度を完全に排除することができる。この効果をもたらすのに十分な蛍光物質の最小限の割合は様々であるが、どのような場合であっても、ジルコニウム2-メチルキノラートのモル数に対して蛍光物質を約10モルパーセント以上用いる必要は無く、1モルパーセント以上の蛍光物質を用いる必要があることもほとんどない。一方、ジルコニウム2-メチルキノラートでは、蛍光物質の存在を非常に少量(典型的にはジルコニウム2-メチルキノラートに対して約10-3モルパーセント未満)に限定して、ジルコニウム2-メチルキノラートに特有の波長での発光を維持させることができる。従って、有利な発光サイトを提供する蛍光物質の割合を選択することによって、全体的な発光波長のシフトか部分的な発光波長のシフトを実現できる。このことから、用いようとする用途に適用する本発明に係るELデバイスの発光スペクトルを選択し、調整することができる。
【0023】
有利な発光サイトを提供する蛍光物質の選択をするには、蛍光物質の特性と、ジルコニウム2-メチルキノラートの特性とを関連付ける必要がある。ジルコニウム2-メチルキノラートは、発光用の分子サイトを提供する蛍光物質によって注入された正孔および電子を集めるものであるとみなすことができる。ジルコニウム2-メチルキノラート中に存在させて発光する色調を変更することができる蛍光物質を選択するために重要な関係の一つは、その二つの物質の還元電位を比較することである。発光波長のシフトを示す蛍光物質は、ジルコニウム2-メチルキノラートの還元電位に比べて負ではない還元電位を示す。エレクトロンボルト単位で計測した還元電位は、様々な測定方法とともに文献で広く報告されている。還元電位の絶対値よりもむしろ還元電位の比較が要求されるため、蛍光物質の還元電位とジルコニウム2-メチルキノラートの還元電位の両方を同様に測定できる、許容しうる任意の還元電位の測定法を用いることができることは明らかである。好ましい酸化還元電位の測定方法は「R. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 1973, Chapter 15」に報告されているものである。
【0024】
ジルコニウム2-メチルキノラート中に存在させて発光する色調を変更することができる蛍光物質を選択するために二番目に重要な関係は、その二つの物質のバンドギャップポテンシャル(bandgap potential)の比較である。発光波長のシフトを示す蛍光物質は、ジルコニウム2-メチルキノラートのバンドギャップポテンシャルに比べて、低いバンドギャップポテンシャルを示す。分子のバンドギャップポテンシャルは、分子の基底状態(ground state)と最初の一重項状態(first singlet state)とを隔てている電位差を、エレクトロンボルト(eV)で表したものである。バンドギャップポテンシャルとその測定方法は文献で広く報告されている。本明細書で報告しているバンドギャップポテンシャルは、吸収ピークに深色移動(bathochromic)した吸収波長においてエレクトロンボルト(eV)単位で計測したもので、吸収ピークの強度をエレクトロンボルト単位にしたものの10分の1の強度である。バンドギャップポテンシャルの絶対値よりもむしろバンドギャップポテンシャルの比較が要求されるため、蛍光物質のバンドギャップポテンシャルとジルコニウム2-メチルキノラートのバンドギャップポテンシャルの両方を同様に測定できる、許容しうる任意のバンドギャップポテンシャルの測定法を用いることができることは明らかである。バンドギャップポテンシャルの測定方法の実例は、「F. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 1967, Chapter 5」に開示されている。
【0025】
蛍光物質が存在しないでも、それ自体で発光可能な、ジルコニウム2-メチルキノラートでは、ジルコニウム2-メチルキノラートと蛍光物質とのスペクトルカップリング(spectral coupling)が起こると、ジルコニウム2-メチルキノラートのみに帰属する波長での発光が抑制されて、蛍光物質に帰属する波長の発光が増大した。「スペクトルカップリング」は、ジルコニウム2-メチルキノラートのみに帰属する発光波長と、ジルコニウム2-メチルキノラートが存在しないときの蛍光物質の光吸収波長(the wavelengths of light absorption)との間で、重なりがあることを意味している。ジルコニウム2-メチルキノラートの発光波長が、蛍光物質のみの最大吸収波長から±25nm以内であるときに、最適なスペクトルカップリングが起こる。実際には、発光波長のピークと吸収波長のピークの違いが100nm以上であっても、ピーク幅やピークの浅色曲線(hypsochromic slopes)および深色曲線(bathochromic slopes)に従って、有利なスペクトルカップリングが起こる可能性がある。ジルコニウム2-メチルキノラートと蛍光物質との間のスペクトルカップリングが最適ではないと予測される場合には、蛍光物質を深色置換(bathochromic displacement)すると、浅色置換(hypsochromic displacement)するのに比べて良い結果が得られる。
【0026】
有用な蛍光物質はジルコニウム2-メチルキノラートと混合でき、本発明に係るELデバイスのルミネセンス領域を構成する前述の厚みの範囲を満たす薄膜中に加工することができる物質である。結晶有機金属錯体(crystalline organo metallic complexes)が薄膜形成(thin film formation)に有用なものでなくても、ジルコニウム2-メチルキノラート中に制限された量の蛍光物質を存在させて、単独では薄膜形成できない蛍光物質を使用することができる。好ましい蛍光物質は、ジルコニウム2-メチルキノラートと共通相(common phase)を形成する化合物である。色素はジルコニウム2-メチルキノラート中での分子レベルでの分配(molecular level distribution)に役立つので、蛍光色素は好ましい種類の蛍光物質を構成する。ジルコニウム2-メチルキノラート中に蛍光色素を分散させる任意の便利な技術を用いることができるが、好ましい蛍光色素は、そのジルコニウム2-メチルキノラート物質とともに真空蒸着することができるものである。前述の想定したその他の判断基準が満たされ、蛍光レーザー色素(fluorescent laser dyes)は本発明に係る有機ELデバイスに用いるのに特に有用な蛍光物質であることが認識された。用いることができるドーパントには、ジフェニルアクリジン、クマリン類、ペリレンおよびそれらの誘導体が含まれる。
【0027】
有用な蛍光ドーパント(fluorescent dopants)は「US 4769292」に開示されている。
好ましいドーパントには以下のような構造のクマリン類である。
【0028】
【化6】

【0029】
ここで、R1は、水素、カルボキシ基、アルカノイル基(alkanoyl)、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アリール基(aryl)、および複素環芳香族基(heterocylic aromatic group)、から成る群から選ばれ、R2は、水素、アルキル基、ハロアルキル基、カルボキシ基、アルカノイル基、およびアルコキシカルボニル基、から成る群から選ばれ、R3は、水素およびアルキル基から成る群から選ばれ、R4はアミノ基であり、かつ、R5は水素であるか、あるいは、R1もしくはR2は、ともに縮合炭素環(fused carbocyclic ring)を形成し、および/または、R4およびR6のうち少なくとも一方と縮合環を完成させるR4を形成するアミノ基である。
【0030】
アルキル部分は、それぞれの例において、1〜5原子の炭素原子から成り、好ましくは1〜3原子の炭素原子から成る。アリール部分は、好ましくはフェニル基である。縮合炭素環は、好ましくは五員、六員もしくは七員環である。複素環芳香族基は、炭素原子、ならびに、酸素、硫黄、および窒素から成る群から選ばれる1原子または2原子のヘテロ原子を含む、五員環もしくは六員環の複素環を含む。アミノ基は、一級、二級もしくは三級アミノ基である。そのアミノ基の窒素原子が、隣接する置換基とともに縮合環をつくるとき、その環は好ましくは五員環もしくは六員環である。例えば、窒素原子が、隣接する一つの置換基(R3もしくはR5)と単環を構成するとき、R4はピラン環(pyran ring)の形をとる可能性があり、あるいは、窒素原子が隣接する置換基R3およびR5の両方と複数の環を形成するときは、R4はジュロリジン(julolidine)環(クマリンの縮合ベンゾ環を含む)の形をとる可能性がある。
【0031】
以下は、レーザー色素として有用であることが知られている、蛍光クマリン色素類(fluorescent coumarin dyes)の例である。FD-1 7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、 FD-2 4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、 FD-3 4-メチルウンベリフェロン(4-Methylumbelliferone)、 FD-4 3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、 FD-5 3-(2'-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、 FD-6 7-アミノ-3-フェニルクマリン、 FD-7 3-(2'-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、 FD-8 7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、 FD-9 2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチルキノラジノ[9,9a,1-gh]クマリン(2,3,5,6-1H,4H-Tetrahydro-8-methylquinolazino[9,9a,1-gh]coumarin)、 FD-10 シクロペンタ[c]ジュロリジノ[9,10-3]-11H-ピラン-11-オン(Cyclopenta[c]julolindino[9,10-3]-11H-pyran-11-one)、 FD-11 7-アミノ-4-メチルクマリン、 FD-12 7-ジメチルアミノシクロペンタ[c]クマリン、 FD-13 7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、 FD-14 7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、 FD-15 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチル[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジン-10-オン(1,2,4,5,3H,6H,10H- Tetrahydro-8-trifluoromethyl[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizin-10-one)、 FD-16 4-メチル-7-(スルホメチルアミノ)クマリンナトリウム塩(4-Methyl-7-(sulfomethylamino)coumarin sodium salt)、 FD-17 7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、 FD-18 7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリン、 FD-19 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-カルボエトキシ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン(1,2,4,5,3H,6H,10H-Tetrahydro-carbethoxy[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one)、 FD-20 9-アセチル-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン(9-Acetyl-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahydro[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one)、 FD-21 9-シアノ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン(9-Cyano-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahydro[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one)、 FD22 9-(t-ブトキシカルボニル)-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン(9-(t-Butoxycarbonyl)-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahyro[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one)、 FD-23 4-メチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、 FD-24 4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン(4-Trifluoromethylpiperidino[3,2-g]coumarin)、 FD-25 9-カルボキシ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[l]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン(9-Carboxy-1,2,4,5,3H,6H,10H-tetrahydro[l]benzopyrano[9,9a,1-gh]quinolizino-10-one)、 FD-26 N-エチル-4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g](N-Ethyl-4-trifluoromethylpiperidino[3,2-g])。
【0032】
他のクマリン類の例は、図9に示した。
【0033】
他のドーパントは、以下の構造式のようなビスベンゼンスルホン酸塩および
【0034】
【化7】

ペリレン、およびペリレン誘導体、ならびに、図10から13に示したドーパントであり、ここでR1、R2、R3およびR4が、同じ基か異なる基である可能性があるR、R1、R2、R3およびR4であり、水素、ヒドロカルビル基、置換または非置換の芳香族基、複素環構造基および多環構造基、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素原子のようなハロゲン基、あるいは、チオフェニル基から選択され、R、R1、R2、R3およびR4が、置換または非置換の縮合芳香族基、複素環基および多環の環状構造を形成し、かつスチレンのようなモノマーと共重合する可能性がある。R、R1、R2、R3およびR4は、ビニル基や以下の構造式のような不飽和アルキレン基である可能性もある。
【0035】
【化8】

【0036】
ここで、Rは前述のとおりである。
【0037】
その他のドーパントは、例えば蛍光性のジシアノメチレンピラン(dicyanomethylenepyran)およびチオピラン色素(thiopyran dyes)などの、蛍光性の4-ジシアノメチレン-4H-ピラン類および4-ジシアノメチレン-4H-チオピラン類などの色素である。
【0038】
有用な蛍光色素は、シアニン類、メロシアニン類、複雑なシアニン類およびメロシアニン類(すなわち、3核、4核、および多核の、シアニン類ならびにメロシアニン類)、オキソノール類、ヘミオキソノール類(hemioxonols)、スチリル類、メロスチリル類(merostyryls)、およびストレプトシアニン類(streptocyanines)を含む、既知のポリメチン色素(polymethine dyes)からも選択される可能性がある。
【0039】
シアニン色素には、例えば、ピリジニウム(pyridinium)、キノリニウム(quinolinium)、イソキノリニウム(isoquinolinium)、オキサゾリウム(oxazolium)、チアゾリウム(thiazolium)、セレナゾリウム(selenazolium)、インダゾリウム(indazolium)、ピラゾリウム(pyrazolium)、ピロリウム(pyrrolium)、インドリウム(indolium)、3H-インドリウム(3H-indolium)、イミダゾリウム(imidazolium)、オキサジアゾリウム(oxadiazolium)、チアジオキサゾリウム(thiadioxazolium)、ベンゾキサゾリウム(benzoxazolium)、ベンゾチアゾリウム(benzothiazolium)、ベンゾセレナゾリウム(benzoselenazolium)、ベンゾテルラゾリウム(benzotellurazolium)、ベンズイミダゾリウム(benzimidazolium)、3H-ベンゾインドリウムもしくは1H-ベンゾインドリウム(3H- or 1H-benzoindolium)、ナフトオキサゾリウム(naphthoxazolium)、ナフトチアゾリウム(naphthothiazolium)、ナフトセレナゾリウム(naphthoselenazolium)、ナフトテルラゾリウム(naphthotellurazolium)、カルバゾリウム(carbazolium)、ピロロピリジニウム(pyrrolopyridinium)、フェナントロチアゾリウム(phenanthrothiazolium)、およびアセナフトチアゾリウム(acenaphthothiazolium)の四級塩からの誘導体であるような、アゾリウム核(azolium nuclei)ならびにアジニウム核(azinium nuclei)のような、メチン結合(methine linkage)して加わる、塩基性複素環系二核(two basic heterocyclic nuclei)が含まれる。
【0040】
その他の有用な種類の蛍光色素は、4-オキソ-4H-ベンズ-[d,e]アントラセン類、および、ピリリウム(pyrylium)色素、チアピリリウム(thiapyrylium)色素、セレナピリリウム(selenapyrylium)色素、およびテルロピリリウム(telluropyrylium)色素である。
【0041】
第一電極はアノードとして機能する可能性があり、第二電極はカソードとして機能する可能性があり、好ましくは正孔輸送物質(hole transporting material)の層が、アノードとエレクトロルミネセンス化合物の層の間に存在する。
【0042】
正孔輸送物質は、エレクトロルミネセンスデバイスに用いられる任意の正孔輸送物質とすることができる。
【0043】
正孔輸送物質は、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、非置換もしくは置換のアミノ置換芳香族化合物のポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類などのような、アミン錯体(amine complex)とすることができる。ポリアニリン類の例としては以下のポリマーがあり、
【0044】
【化9】

ここでRはオルト位、もしくはメタ位にあり、水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基もしくは以下に示す基である。
【0045】
【化10】

【0046】
ここでRはアルキル基もしくはアリール基で、R'は水素、少なくとも一つの上述の構造式(I)に示した他のモノマーを含むC1-6アルキル基もしくはC1-6アリール基である。
【0047】
またあるいは、正孔輸送物質は、ポリアニリンとすることができる。本発明で用いることができるポリアニリン類は、以下の一般的構造を有している。
【0048】
【化11】

【0049】
ここでpは1〜10、nは1〜20、Rは先に定義したとおりであり、かつXがアニオンであり、好ましくは、Cl、Br、SO4、BF4、PF6、H2PO3、H2PO4、アリールスルホン酸イオン(arylsulphonate)、アレーンジカルボン酸イオン(arenedicarboxylate)、ポリスチレンスルホン酸イオン(polystyrenesulphonate)、ポリアクリル酸イオン(polyacrylate)、アルキルスルホン酸イオン(alkylsulphonate)、ビニルスルホン酸イオン(vinylsulphonate)、ビニルベンゼンスルホン酸イオン(vinylbenzene sulphonate)、セルローススルホン酸イオン(cellulose sulphonate)、ショウノウスルホン酸イオン(camphor sulphonate)、セルロース硫酸イオン(cellulose sulphate)、もしくは、全フッ素置換ポリアニオン(perfluorinated polyanion)から選択される。
【0050】
アリールスルホン酸イオン類の例としては、p-トルエンスルホン酸イオン(p-toluenesulphonate)、ベンゼンスルホン酸イオン(benzenesulphonate)、9,10-アントラキノン-スルホン酸イオン(9,10-anthraquinone-sulphonate)およびアントラセンスルホン酸イオン(anthracenesulphonate)がある。アレーンジカルボン酸イオンの例としてフタル酸イオン(phthalate)があり、アレーンカルボン酸の例として、安息香酸イオン(benzoate)がある。
【0051】
我々は、ポリアニリンなどの、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの、プロトン化されたポリマーは、蒸発(evaporate)しにくいか、または蒸発しないが、驚くべきことに、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーが脱プロトン化されると、簡単に蒸発できるようになること、すなわちポリマーが蒸発可能(evaporable)であることを、我々は見出した。
【0052】
好ましくは、蒸発可能な、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの脱プロトン化されたポリマーが用いられる。そのアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換の脱プロトン化されたポリマーは、水酸化アンモニウムのようなアルカリ、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物で処理して、ポリマーの脱プロトン化をすることにより生成できる。
【0053】
プロトン化の程度は、プロトン化したポリアニリンの形成と脱プロトン化で調節することができる。ポリアニリン類の調製方法は、「A. G. MacDiarmid and A. F. Epstein, Faraday Discussions, Chem Soc.88 P319, 1989」の文献に記載されている。
【0054】
ポリアニリンの伝導率はプロトン化の程度に依存し、伝導率が最大となるのは、例えば約50%のように、プロトン化の程度が40%と60%の間であるときである。
【0055】
好ましくは、ポリマーは実質的に完全に脱プロトン化されている。
ポリアニリンは、例えば以下のようなオクタマー単位(octamer unit)、すなわちpが4であるようなもの、を形成する可能性がある。
【0056】
【化12】

【0057】
ポリアニリン類は1 x 10-1 Siemen cm-1 の桁以上の導電率を有する可能性がある。
芳香族環は非置換であるか、もしくは例えばエチル基のようなC1から20のアルキル基などで置換されている可能性がある。
【0058】
ポリアニリンはアニリンの共重合体である可能性があり、好ましい共重合体は、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとの共重合体、またはo-トルイジン(o-toluidine)とo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミン、もしくはアミノアントラセン類との共重合体である。
【0059】
使用することができるその他のアミノ置換芳香族化合物のポリマーには、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類など、さらには、任意の他の縮合ポリ芳香族化合物のポリマーが含まれる。ポリアミノアントラセン類、および、それらを作る方法は「US Patent 6,153,726」に開示されている。芳香族環は非置換であっても良いし、例えば先に定義したR基で置換されているものでも良い。
【0060】
その他の正孔輸送物質は共役高分子(conjugated polymer)で、用いることができる共役高分子は、「US 5807627」、「PCT/WO90/13148」、および「PCT/WO92/03490」に開示もしくは参照されている、任意の共役高分子とすることができる。
【0061】
好ましい共役高分子は、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)および、PPVを含む共重合体である。その他の好ましい高分子は、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) などのポリ(2,5-ジアルコシキフェニレンビニレン)、ならびに、長鎖可溶化性アルコキシ基(long chain solubilising alkoxy group)であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン類) である。
【0062】
PPVのフェニレン環は、任意に1箇所以上置換することができ、例えば個々に、アルキル基(好ましくはメチル基)、またはアルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択することができる。
【0063】
任意のポリ(アリーレンビニレン)(poly(arylenevinylene))には、用いることができるその置換誘導体も含まれ、ポリ(p-フェニレンビニレン) のフェニレン環は、アントラセン環もしくはナフタレン環のような縮合環系に置き換えることができ、それぞれのポリフェニレンビニレン部分のビニレン基の数は例えば7つ以上のように増やすこともできる。
【0064】
共役高分子は「US 5807627」、「PCT/WO90/13148」、および「PCT/WO92/03490」に開示された方法で作ることができる。
【0065】
正孔輸送層(hole transporting layer)の厚さは20nm〜200nmが好ましい。
前述のポリアニリン類などのアミノ置換芳香族化合物のポリマーは、他の正孔輸送物質とともに、もしくは組み合わせて、バッファー層としても用いることができる。
【0066】
その他のいくつかの正孔輸送物質の構造式を図4、5、6、7および8の図に示した。ここで、R1、R2、およびR3は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素原子などのハロゲン類あるいはチオフェニル基から選択されるものであり、R1、R2、およびR3は置換および非置換の縮合芳香族環、複素環、および多環の環構造を形成する可能性もあり、スチレンなどのモノマーと共重合体を作る可能性がある。XはSe、SもしくはOであり、Yは水素、置換および非置換の芳香族基、複素環基、ならびに多環の環状構造のような、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン類、チオフェニル基もしくはニトリル基である可能性がある。
【0067】
R1および/もしくはR2および/もしくはR3の例には、脂肪族基、芳香族アルコキシ基および複素環アルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換ならびに置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基(phenanthrene)、アントラセン基(anthracene)、ナフチル基、および、フルオレン基(fluorene group)、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾール基のような複素環基が含まれる。
【0068】
オプションとして、電子注入物質(electron injecting material)の層が、アノードとエレクトロルミネセンス物質の層との間に存在する。電子注入物質は、その中を電流が通ったときに電子を輸送する物質で、電子注入物質には例えばアルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラート、ハフニウムキノラート、などの金属キノラート(metal quinolate)のような金属錯体、9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、シアノ置換芳香族化合物、テトラシアノキニドジメタン(tetracyanoquinidodimethane)、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、または、フェニル環が前述の置換基Rで置換される可能性がある図2もしくは3の図に示した構造式の化合物が含まれる。電子注入物質層、および、その他の層の厚さは、カソードからの電子とアノードからの正孔がエレクトロルミネセンス層で接触することができるような厚さでなければならない。
【0069】
エレクトロルミネセンスデバイス中のエレクトロルミネセンス層が、ドープされたジルコニウム2-メチルキノラートを含むときには、好ましい電子注入物質は、ジルコニウムキノラート、ハフニウムキノラート、バナジウムキノラート、チタニウムキノラート、バナジウムキノラート、ニオビウムキノラート、もしくはタンタル(tantulum)キノラートのようなキノラート(quinolate)である。
【0070】
第一電極は、好ましくはアノードとして作用する導電ガラス(conductive glass)もしくは導電性のプラスチック物質などの透明基板(transparent substrate)である。好ましい基板は、インジウム-スズ酸化物被覆ガラス(indium tin oxide coated glass)などの導電ガラスであるが、任意の導電性を有するガラス、または、金属もしくは導電性ポリマーなどの導電層を有するガラスを用いることができる。導電性ポリマー類、ならびに、導電性ポリマーで被覆されたガラスもしくはプラスチック物質も、基板として用いることができる。
【0071】
カソードは好ましくは、例えばアルミニウム、カルシウム、リチウム、銀/マグネシウム合金、希土類金属合金などのような仕事関数の低い金属で、アルミニウムが好ましい金属である。アルカリ金属のフッ化物、希土類金属のフッ化物、もしくはそれらの合金などの、金属フッ化物(metal fluoride)を第二電極として用いることができ、例えば金属フッ化物の層をその表面に有する金属を用いることができる。
【0072】
2-メチルジルコニウムキノラートの性能は、アルミニウムキノラートと比較すると、耐用年限(lifetime)、安定性などの一連の性能が向上しているが、特にエレクトロルミネセンス化合物の効率が改善している。
本発明は実施例中で説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
〔実施例1〕
〈 テトラキス(8-ヒドロキシキナルジナト)ジルコニウム(IV)の合成 〉
【0074】
【化13】

【0075】
250mLの丸底の二口フラスコを窒素吸気口(nitrogen-inlet)に接続し、8-ヒドロキシキナルジン(8-hydroxyquinaldine)(10.0g、62.8mmol)およびジクロロメタン(150mL)を入れた。その溶液に撹拌しながら、ジルコニウム(IV)ブトキシド(80%wtの1-ブタノール溶液中、14.2mL、31mmol)を迅速に(一部分ずつ)加えた。室温で2分間撹拌した後、2,4-ペンタンジオン(Hacac)(6.47mL、63mmol)を、シリンジを通して迅速に加えた。一定の窒素ガス気流下で、室温で撹拌をさらに10分以上続けた。その後生じた少量の沈殿を重力濾過し、濾液の体積を60mL程度に減少させた。ペトロリウム・スピリット(Petroleum spirit)(沸点範囲40~60℃、120mL)を注意深くジクロロメタンの上に層にした。この混合物を5℃で6時間保存し、黄色い沈殿が得られた。この沈殿を分離し、さらにペトロリウム・スピリット(3 x 100mL)で洗浄し、その後エタノール(50mL)で洗浄し、80℃で12時間、減圧乾燥した。さらにエントレインメント昇華(entrainment sublimation)によって精製を行った。収量は3.2g(29%、2回昇華した)で、融点は395℃であった。
元素分析結果:理論値は、C, 66.36, H, 4.46, N, 7.74であり、実測値は、C, 66.17, H 4.33, N, 7.76であった。
【0076】
〔実施例2〕
〈 エレクトロルミネセンスデバイス 〉
あらかじめエッチングしたITO被覆ガラス片(pre-etched ITO coated glass piece)(10 x 10cm2)を用いた。デバイスはSolciet Machine(株式会社アルバック、茅ヶ崎、日本)を用いた真空蒸発により、逐次的にITO上に構成して加工された。個々のピクセルの活性領域(active area)は3mm x 3mmで、以下の層を含む。
【0077】
(1) ITO/ (2) D(20 nm)/ (3) α-NPB (50 nm)/ (4) Zrq4-2Me : DPQA (40 : 0.1 nm)/ (4) Hfq4(20 nm)/ (5) LiF (0.3 nm)/ (6) Al。
ここで、ITOはインジウム-スズ酸化物被覆ガラス、Dは以下に示したもの、α-NPBは図8に示したもので、Zrq4-2Me は実施例1に従って調製したテトラキス(8-ヒドロキシキナルジナト)ジルコニウム(IV)、DPQAはジフェニルキンアクリジン(diphenylquinacridine)、そしてHfq4はハフニウムキノラートである。
【0078】
【化14】

【0079】
デバイスは図1の構造を有する。
Zrq4-2Me : DPQA層は、DPQAをドープした2-Meジルコニウムキノラートを生成するために同時に真空蒸着することにより形成した。Zrq4-2MeとDPQAとの重量比は相対的な厚みの計測で簡単に示される。
【0080】
被覆電極は、真空塗工機(vacuum coater)(Edwards社, 10-6 torr)に入れられてアルミニウムトップコンタクト(aluminium top contacts)が形成されるまでの間、減圧デシケーター(vacuum desiccator)中で、モレキュラーシーブと五酸化二リンの上で保管された。デバイスはその後、エレクトロルミネセンスの研究に用いられるまでは減圧デシケーターの中に保管した。
【0081】
ITO電極は常に正極(positive terminal)に接続された。電流と電圧の関係についての研究はKeithly 2400 source meterで制御されたコンピュータ上で行われた。
【0082】
電流は、デバイスの全域に加えられ、性能は図14および15に示したとおりであった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
本文中に図面の簡単な説明に該当する記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換もしくは非置換ジルコニウム2-メチルキノラートを製造する方法であって、
ジルコニウム塩ZnL4(ここでLはアニオン)と置換もしくは非置換2-メチル-8-ヒドロキシキノリンを反応させる、混合塩Zr(q-2Me)2L2を生成させるためのステップ、ならびに、
その後、前記混合塩をベータジケトンと反応させる、ジルコニウム2-メチルキノラートを生成するためのステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
Lがアルコキシドであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ベータジケトンが2,4-ペンタンジオンであることを特徴とする、請求項1もしくは2記載の方法。
【請求項4】
前記反応が有機溶媒中で起こることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記2-メチル-8-ヒドロキシキノリンが以下の構造を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【化1】

ここで、式中のR1およびR2は同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、またはアルキル基(alky)、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、スルホン酸類、エステル類、カルボン酸類、アミノ基およびアミド基であるか、あるいは芳香族基、多環式の基もしくは複素環基である。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の方法によって作られたことを特徴とする、置換もしくは非置換ジルコニウム2-メチルキノラート。
【請求項7】
(i) 第一電極、(ii) 請求項6記載の、置換もしくは非置換2-メチルジルコニウムキノラートを含むエレクトロルミネセンス物質の層、および(iii) 第二電極を含むことを特徴とする、エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項8】
(i) 第一電極、(ii) 請求項6記載の、置換もしくは非置換2-メチルジルコニウムキノラート、および、ドーパントを含むエレクトロルミネセンス物質の層、(iii) 第二電極を含むことを特徴とする、エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項9】
前記ドーパントが、ジフェニルアクリジン、クマリン類、ペリレン、キノラート類、ポルホリン(porphoryin)、ポルフィン類、ピラザロン類(pyrazalones)およびそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項8記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項10】
ジルコニウム2-メチルキノラートのモル数に基づいて、蛍光物質が最大で10モルパーセントまで存在することを特徴とする、請求項8もしくは9記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項11】
ジルコニウム2-メチルキノラートのモル数に基づいて、蛍光物質が最大で1モルパーセントまで存在することを特徴とする、請求項8もしくは9記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項12】
ジルコニウム2-メチルキノラートのモル数に基づいて、蛍光物質が10-3モルパーセント未満存在することを特徴とする、請求項8もしくは9記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項13】
前記ドーパントのバンドギャップがジルコニウム2-メチルキノラートのバンドギャップよりも大きくなく、かつ、還元電位がジルコニウム2-メチルキノラートの還元電位よりも負ではないことを特徴とする、請求項8から12のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項14】
前記ドーパントが存在しないときのジルコニウム2-メチルキノラートによる発光が最大である波長が、前記置換アントラセン化合物の最大吸収波長から25nm以内に存在することを特徴とする、請求項8から13のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項15】
前記ドーパントが構造式(A)、(B)および(C)の化合物、ならびに、図9から13の図の化合物から選択されることを特徴とする、請求項8から14のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス組成物。
【請求項16】
前記第一電極と前記エレクトロルミネセンス層の間に正孔輸送物質の層があることを特徴とする、請求項7から15のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項17】
前記正孔輸送物質が芳香族アミン錯体(aromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項14記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項18】
前記正孔輸送物質がポリ芳香族アミン錯体(polyaromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項14記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項19】
前記正孔輸送物質が、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類および置換ポリシラン類から選択された、ポリマーの膜であることを特徴とする、請求項14記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項20】
前記正孔輸送物質が、本明細書の構造式(I)もしくは(II)の化合物、または図4から8の図のような化合物の膜であることを特徴とする、請求項14記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項21】
前記正孔輸送物質が、アニリンの共重合体、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸、もしくはo-アミノフェノールとの共重合体、またはo-トルイジンとo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミンもしくはアミノアントラセンとの共重合体であることを特徴とする、請求項14記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項22】
前記正孔輸送物質が、共役高分子であることを特徴とする、請求項14記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項23】
前記共役高分子がポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)、ならびに、PPV、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) および、長鎖可溶化性アルコキシ基であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類(ploythiophenes)およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン類) を含む共重合体から選択された共役高分子であることを特徴とする、請求項22記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項24】
前記エレクトロルミネセンス化合物が前記正孔輸送物質に混合されていることを特徴とする、請求項14から23のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項25】
前記カソードと前記エレクトロルミネセンス化合物の層との間に、電子輸送物質の層があることを特徴とする、請求項7から24のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項26】
前記電子輸送物質が、金属キノラートであることを特徴とする、請求項25記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項27】
前記金属キノラートが、アルミニウムキノラート、ジルコニウムキノラート、ハフニウムキノラート、バナジウムキノラート、チタニウムキノラート、バナジウムキノラート、ニオビウムキノラート、もしくはタンタル(tantulum)キノラートまたはリチウムキノラートであることを特徴とする、請求項26記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項28】
前記電子輸送物質がMx(DBM)nの構造であることを特徴とし、
ここでMxは金属で、DBMはジベンゾイルメタンであり、nはMxの価数である、
請求項25記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項29】
前記電子輸送物質が9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、もしくは図2もしくは3の図で示された構造式の化合物であることを特徴とする、請求項25記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項30】
前記電子輸送物質が前記エレクトロルミネセンス化合物と混合されていることを特徴とする、請求項25から29のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項31】
前記第一電極が透明電気伝導ガラス電極であることを特徴とする、請求項7から30のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項32】
前記第二電極が、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、および、それらの合金、ならびに銀/マグネシウム合金から選択されたものであることを特徴とする、請求項7から31のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。

【公表番号】特表2008−511598(P2008−511598A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528980(P2007−528980)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003327
【国際公開番号】WO2006/024831
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(505347488)オーエルイーディー−ティー リミテッド (12)
【Fターム(参考)】