説明

エレベータのかご

【課題】部品点数の低減化を図ることができるとともに、かごの位置の検出精度の低下を抑制することができるエレベータのかごを得る。
【解決手段】エレベータのかご2は、縦柱16を有するかご枠11と、かご枠11に支持されたかご室13とを有している。縦柱16は、縦柱本体23と、縦柱本体23と一体に形成され、昇降路1内の位置スイッチ9を操作するカム24とを有している。縦柱本体23の少なくとも一部とカム24とは、共通の原料部材を塑性変形させることにより一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦柱を有するかご枠と、かご枠に支持されたかご室とを備えたエレベータのかごに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、かごが終端階に達したことを検出するために、リミットスイッチを昇降路内に設け、リミットスイッチを作動させるカムをかごに設けたエレベータが知られている。かごは、レールに案内されるかご枠と、かご枠に支持されるかご室とを有している。カムは、かご室の側壁を形成するパネルに設けられている。従来、カム固定用のボルト等をなくして部品点数を少なくするために、カムをかご室のパネルと一体的に形成したエレベータのかごが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−81459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かご室の床の構造が防振構造である場合、かご室内の乗客の位置に偏りが生じると、かご室がかご枠に対して傾くことがある。また、かご室内の乗客がかご室のパネルに寄りかかると、かご室のパネルが撓むこともある。かご室がかご枠に対して傾いたり、かご室のパネルが撓んだりすると、カムがかご枠に対して傾いて、かご枠に対するカムの位置が本来の位置からずれてしまう。従って、終端階に達したときのかごの位置を精度良く検出することができなくなってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、部品点数の低減化を図ることができるとともに、かごの位置の検出精度の低下を抑制することができるエレベータのかごを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータのかごは、縦柱を有するかご枠、及びかご枠に支持されたかご室を備え、縦柱は、縦柱本体と、縦柱本体と一体に形成され、昇降路内の位置スイッチを操作するカムとを有し、縦柱本体の少なくとも一部とカムとは、共通の原料部材を塑性変形させることにより一体に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータのかごでは、縦柱本体の少なくとも一部とカムとが、共通の原料部材を塑性変形させることにより一体に形成されているので、カムをボルト等で縦柱本体に取り付ける必要がなくなり、部品点数の低減化を図ることができる。また、かご室よりも傾きにくい縦柱にカムを設けることができるので、かごの移動方向に対してカムを傾きにくくすることができる。これにより、カムと位置スイッチとの位置関係を維持することができ、かごの位置の検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。
【図2】図1のかごを示す側面図である。
【図3】図2の一方の縦柱を示す拡大図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】図2の上部終点スイッチの検出状態とカムの位置との関係を示す模式図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるエレベータのかごの縦柱を示す拡大図である。
【図7】図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるエレベータのかごの縦柱を示す拡大図である。
【図9】図8のIX-IX線に沿った断面図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるエレベータのかごの縦柱を示す拡大図である。
【図11】図10のXI-XI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。図において、昇降路1内には、かご2及び釣合おもり3が昇降可能に設けられている。また、昇降路1内には、かご2を案内する一対のかごガイドレールと、釣合おもり3を案内する一対の釣合おもりガイドレールとが設置されている(いずれも図示せず)。
【0010】
昇降路1の上部には、機械室4が設けられている。機械室4内には、駆動シーブ5を有する巻上機(駆動装置)6と、駆動シーブ5に対して離して配置されたそらせ車7とが設けられている。駆動シーブ5及びそらせ車7には、かご2及び釣合おもり3を吊り下げる複数本の懸吊体(例えばロープやベルト等)8が巻き掛けられている。かご2及び釣合おもり3は、駆動シーブ5の回転により昇降路1内を昇降される。
【0011】
昇降路1内の上部には、かご2が最上階(上部終端階)の近傍における所定の位置(上部設定位置)に達したことを検出する上部終点スイッチ(位置スイッチ)9が設けられている。昇降路1内の下部には、かご2が最下階(下部終端階)の近傍における所定の位置(下部設定位置)に達したことを検出する図示しない下部終点スイッチ(位置スイッチ)が設けられている。上部終点スイッチ9及び下部終点スイッチは、例えばかごガイドレール等に取り付けられている。
【0012】
エレベータの制御装置は、上部終点スイッチ9及び下部終点スイッチのそれぞれからの情報に基づいて、かご2が最上階及び最下階を行き過ぎないようにエレベータの運転を制御する。即ち、エレベータの制御装置は、上部終点スイッチ9がかご2を検出すると、かご2を減速させて最上階に着床させる制御を行い、下部終点スイッチがかご2を検出すると、かご2を減速させて最下階に着床させる制御を行う。これにより、かご2が所定の範囲を超えて移動することが防止される。
【0013】
各階には、乗場と昇降路1内とを連通する乗場出入口10が設けられている。各乗場出入口10は、図示しない引き戸である一対の乗場ドアにより開閉可能になっている。
【0014】
図2は、図1のかご2を示す側面図である。かご2は、懸吊体8が接続されたかご枠11と、かご枠11に水平に設けられた床支持枠12と、床支持枠12上に配置されたゴム製の防振体(図示せず)と、防振体及び床支持枠12を介してかご枠11に支持されたかご室13とを有している。
【0015】
かご枠11は、かご室13の下方でかご室13を支持する下枠14と、かご室13の上方に配置された上枠15と、下枠14及び上枠15の端部間を連結し、かご室13の幅方向両側に配置された一対の縦柱16とを有している。かご室13は、下枠14、上枠15及び各縦柱16により囲まれている。
【0016】
床支持枠12は、下枠14の上面に水平に固定された矩形状の枠体である。床支持枠12には、かご室13の床13aが防振体を介して載せられている。
【0017】
かご室13の前面には、かご出入口17が設けられている。また、かご室13には、かご出入口17を開閉するドア装置18が設けられている。
【0018】
ドア装置18は、かご室13の前面の上部に設けられた桁19と、かご枠11に固定され、桁19を支持する桁取付部材20と、桁19に吊られ、かご出入口17を開閉する引き戸である一対のかごドア21と、かご室13の床13aに設けられ、各かごドア21の下端部を案内するかご敷居22とを有している。
【0019】
各かごドア21は、かご2に搭載されたドア駆動装置(図示せず)の駆動力によりかご出入口17の間口方向(幅方向)へ移動される。かご出入口17は、各かごドア21がかご出入口17の間口方向へ移動されることにより開閉される。乗場出入口10は、かご2が各階のいずれかに着床しているときに、乗場ドアがかごドア21に係合されながら乗場出入口10の間口方向(幅方向)へ移動されることにより開閉される。
【0020】
かご枠11の上部及び下部には、かごガイドレールに案内される図示しないガイド装置(例えばガイドシュー等)が設けられている。これにより、かご枠11がかごガイドレールに対して傾くことが抑制される。
【0021】
各縦柱16のうち、一方の縦柱16は、下枠14及び上枠15間を連結しかご室13の荷重を支持する縦柱本体23と、縦柱本体23に設けられ、上部終点スイッチ9及び下部終点スイッチを操作するカム24とを有している。
【0022】
図3は、図2の一方の縦柱16を示す拡大図である。また、図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。縦柱本体23は、背面部23a及び一対の側面部23bを持つ断面コ字状の柱部材である。また、縦柱本体23は、背面部23aをかご室13に向けて上下に配置されている。さらに、縦柱本体23は、その軸線をかごガイドレールの長さ方向(かご2の移動方向)に一致させて配置されている。
【0023】
カム24は、縦柱本体23の側面部23bの縁部から縦柱本体23の幅方向外側へ突出する板状の基部25と、基部25に設けられ、上下方向に所定の長さを持つカム板26とを有している。
【0024】
カム板26は、縦柱本体23の幅方向外側で縦柱本体23の側面部23bと対向している。また、カム板26は、かご2の移動方向に沿って配置された中間部26aと、中間部26aの上端部から縦柱本体23の側面部23bに近づく方向へ傾斜しながら上方へ延びる上端傾斜部26bと、中間部26aの下端部から縦柱本体23の側面部23bに近づく方向へ傾斜しながら下方へ延びる下端傾斜部26cとを有している。カム板26の中間部26aは、縦柱本体23の側面部23bと平行に配置されている。カム板26には、中間部26a、上端傾斜部26b及び下端傾斜部26cにより、連続する操作面27が形成されている。
【0025】
中間部26a、上端傾斜部26b及び下端傾斜部26cは、縦柱本体23の軸線を基準にして形成されている。即ち、中間部26aは、縦柱本体23の軸線と平行に配置されている。また、上端傾斜部26b及び下端傾斜部26cのそれぞれの傾斜角度は、縦柱本体23の軸線を基準に設定されている。
【0026】
縦柱本体23及びカム24は、所定の形状に加工された一枚の鋼板(共通の原料部材)を塑性変形させることにより一体に形成されている。この例では、一枚の鋼板を曲げ加工により塑性変形させて縦柱本体23及びカム24を一体に形成している。
【0027】
上部終点スイッチ9は、図2に示すように、スイッチ本体28と、スイッチ本体28に回動可能に設けられた操作レバー29と、操作レバー29に回転自在に設けられたローラ30とを有している。操作レバー29は、かご2の移動に伴ってローラ30がカム24の操作面27に押されることにより回動される。上部終点スイッチ9は、操作レバー29が所定のストロークだけ回動されることによりかご2を検出する。下部終点スイッチも、上部終点スイッチ9と同様の構成とされている。
【0028】
図5は、図2の上部終点スイッチ9の検出状態とカム24の位置との関係を示す模式図であり、図5(a)はかご2の上昇時にカム24がローラ30への接触を開始したときの状態を示す図、図5(b)はかご2の上昇時に上部終点スイッチ9がかご2の検出を開始したときの状態を示す図である。図に示すように、かご2の上昇時にカム24の操作面27がローラ30との接触を開始し、この後、かご2がLだけ上昇すると、ローラ30がカム24に押されて水平方向へSだけ変位される。ローラ30が水平方向へSだけ変位されると、操作レバー29がローラ30の水平方向への変位量Sに応じたストロークだけ回動される。操作レバー29の回動ストロークが所定のストロークに達すると、上部終点スイッチ9がかご2を検出する。
【0029】
従って、かご2の移動方向に対する上端傾斜部26bの傾斜角度が変化すると、かご2の移動量Lとローラ30の変位量Sとの関係が変化し、上部終点スイッチ9によるかご2の検出位置が変化する。また、下部終点スイッチによるかご2の検出位置も、下端傾斜部26cの傾斜角度が変化すると変化する。
【0030】
かご2を昇降路1内に据え付けるときには、縦柱本体23の軸線方向をかごガイドレールの長さ方向と一致させて縦柱16を配置する。このとき、かごガイドレールに対するカム24の角度が自動的に決まるので、カム24の角度調整をする必要がなくなる。
【0031】
次に、動作について説明する。かご2が上昇して最上階の手前の上部設定位置に近づくと、カム24の上端傾斜部26bが上部終点スイッチ9のローラ30に接触する。この後、かご2がさらに上昇すると、上部終点スイッチ9のローラ30が上端傾斜部26bに押されながら、操作レバー29が回動される。この後、かご2が上部設定位置に達すると、上部終点スイッチ9がかご2を検出する。上部終点スイッチ9がかご2を検出すると、制御装置の制御により、かご2が減速され、かご2が最上階に停止される。これにより、かご2が最上階を行き過ぎることが防止される。
【0032】
かご2が下降して最下階の手前の下部設定位置に近づくと、カム24の下端傾斜部26cが下部終点スイッチのローラに接触する。この後、かご2がさらに下降すると、下部終点スイッチのローラが下端傾斜部26cに押されながら、下部終点スイッチの操作レバーが回動される。この後、かご2が下部設定位置に達すると、下部終点スイッチがかご2を検出する。下部終点スイッチがかご2を検出すると、制御装置の制御により、かご2が減速され、かご2が最下階に停止される。これにより、かご2が最下階を行き過ぎることが防止される。
【0033】
このようなエレベータのかご2では、縦柱本体23とカム24とが一枚の鋼板を塑性変形させることにより一体に形成されているので、カム24をボルト等で縦柱本体23に取り付ける必要がなくなり、部品点数の低減化を図ることができる。また、かごガイドレールに対してかご室13よりも傾きにくい縦柱16にカム24を設けることができるので、かご2の移動方向に対してカム24を傾きにくくすることができる。これにより、カム24と上部終点スイッチ9との位置関係を維持することができ、かご2の位置の検出精度の低下を抑制することができる。
【0034】
また、カム24を縦柱本体23にボルト等で取り付ける場合、縦柱本体23を鉛直方向に合わせて据え付けた後に、カム24を鉛直方向に合わせながら縦柱本体23に取り付ける必要があり、カム24の据付作業に手間がかかってしまう。これに対して、本実施の形態によるかご2では、縦柱本体23を精度良く据え付けるだけで、カム24の位置が自動的に精度良く決まるので、縦柱本体23及びカム24について個別に位置合わせをする必要がなくなり、カム24の据付作業を容易にすることができる。
【0035】
また、縦柱本体23及びカム24が曲げ加工により一体に形成されているので、縦柱16の作製を容易にすることができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態1では、カム板26が縦柱本体23の幅方向外側で縦柱本体23の側面部23bと対向しているが、カム板を縦柱本体23の側面部23bに対して垂直にしてカム板をかご室13の側面に対向させてもよい。
【0037】
即ち、図6は、この発明の実施の形態2によるエレベータのかごの縦柱を示す拡大図である。また、図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。カム24は、縦柱本体23の側面部23bの縁部から縦柱本体23の幅方向外側へ突出する板状の基部25と、基部25に設けられ、上下方向に所定の長さを持つカム板41とを有している。
【0038】
カム板41は、縦柱本体23の幅方向外側で縦柱本体23の側面部23bに対して垂直に配置されている。また、カム板41は、縦柱本体23の軸線と平行で縦柱本体23の厚さ方向に対して垂直な中間部41aと、中間部41aの上端部からかご室13に近づく方向へ傾斜しながら上方へ延びる上端傾斜部41bと、中間部41aの下端部からかご室13に近づく方向へ傾斜しながら下方へ延びる下端傾斜部41cとを有している。カム板41の中間部41aは、基部25と同一平面上に配置されている。カム板41には、中間部41a、上端傾斜部41b及び下端傾斜部41cにより、連続する操作面27が形成されている。
【0039】
中間部41a、上端傾斜部41b及び下端傾斜部41cは、縦柱本体23の軸線を基準にして形成されている。即ち、中間部41aは、縦柱本体23の軸線と平行に配置されている。また、上端傾斜部41b及び下端傾斜部41cのそれぞれの傾斜角度は、縦柱本体23の軸線を基準に設定されている。他の構成及び動作は実施の形態1と同様である。
【0040】
このように、カム24のカム板を、縦柱本体23の側面部23bに対して垂直なカム板41としても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3によるエレベータのかごの縦柱を示す拡大図である。また、図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。図において、カム24は、縦柱本体23の背面部23aと同一平面上に配置され背面部23aと一体に形成された基部51と、基部51に設けられ、縦柱本体23の幅方向外側へ張り出したカム板52とを有している。
【0042】
縦柱本体23の側面部23bは、カム24の上下のそれぞれに配置されている。カム板52は、縦柱本体23の幅方向について他方の側面部23bと対向している。カム板52の上端部は上側の側面部23bの下端部に繋がっており、カム板52の下端部は下側の側面部23bの上端部に繋がっている。縦柱16の一方の側面は、上側の側面部23b、カム板52及び下側の側面部23bが連続することにより形成されている。カム板52と他方の側面部23bとの間の距離は、一方及び他方の側面部23b間の距離よりも大きくなっている。
【0043】
カム板52は、縦柱本体23の軸線と平行な中間部52aと、中間部52aの上端部から縦柱本体23の幅方向内側へ近づきながら傾斜して上側の側面部23bの下端部に繋がる上端傾斜部52bと、中間部52aの下端部から縦柱本体23の幅方向内側へ近づきながら傾斜して下側の側面部23bの上端部に繋がる下端傾斜部52cとを有している。カム板52には、中間部52a、上端傾斜部52b及び下端傾斜部52cにより、連続する操作面27が形成されている。
【0044】
上端傾斜部52b及び下端傾斜部52cは、縦柱本体23の軸線を基準にして形成されている。即ち、上端傾斜部52b及び下端傾斜部52cのそれぞれの傾斜角度は、縦柱本体23の軸線を基準に設定されている。
【0045】
縦柱本体23及びカム24は、所定の形状に加工された一枚の鋼板(共通の原料部材)を塑性変形させることにより一体に形成されている。この例では、一枚の鋼板を絞り加工により塑性変形させて縦柱本体23及びカム24を一体に形成している。他の構成及び動作は実施の形態1と同様である。
【0046】
このように、一枚の鋼板を絞り加工により塑性変形させることにより縦柱本体23及びカム24を一体に形成するようにしているので、縦柱16をさらに容易に作製することができる。
【0047】
また、縦柱本体23の側面部23bがカム板52の上下にそれぞれ配置され、カム板52の上端部及び下端部が各側面部23bに個別に繋がっているので、縦柱16の側面の一部としてカム板52を形成することができる。これにより、縦柱本体23の側面部23bの一部をカム板52で兼用することができ、材料コストの低減化及び縦柱16の軽量化を図ることができる。
【0048】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4によるエレベータのかごの縦柱を示す拡大図である。また、図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。図において、縦柱本体23は、縦柱16の幅方向について互いに対向した状態で上下方向に沿って配置された断面L字状の一対の縦部材61,62と、各縦部材61,62間に溶接により固定された複数の繋ぎ部材63とを有している。
【0049】
一方の縦部材61は、カム24の上下のそれぞれに配置されている。繋ぎ部材63は、一方及び他方の縦部材61,62間だけでなく、カム24及び他方の縦部材62間にも溶接により固定されている。また、各繋ぎ部材63は、縦柱16の長さ方向について互いに間隔を置いて配置されている。
【0050】
カム24は、一方の縦部材61のそれぞれと一体に形成されている。また、カム24は、縦柱16の背面を形成する基部64と、基部64に設けられ、一方の縦部材62よりも縦柱本体23の幅方向外側へ張り出したカム板65とを有している。
【0051】
カム板65の上端部は上側の縦部材61の下端部に繋がっており、カム板65の下端部は下側の縦部材61の上端部に繋がっている。カム板65と他方の縦部材62との間の距離は、一方及び他方の縦部材61,62間の距離よりも大きくなっている。
【0052】
カム板65は、縦柱本体23の軸線と平行な中間部65aと、中間部65aの上端部から縦柱本体23の幅方向内側へ近づきながら傾斜して上側の縦部材61の下端部に繋がる上端傾斜部65bと、中間部65aの下端部から縦柱本体23の幅方向内側へ近づきながら傾斜して下側の縦部材61の上端部に繋がる下端傾斜部65cとを有している。カム板65には、中間部65a、上端傾斜部65b及び下端傾斜部65cにより、連続する操作面27が形成されている。
【0053】
上端傾斜部65b及び下端傾斜部65cは、縦柱本体23の軸線を基準にして形成されている。即ち、上端傾斜部65b及び下端傾斜部65cのそれぞれの傾斜角度は、縦柱本体23の軸線を基準に設定されている。
【0054】
縦柱本体23の一部である一方の縦部材61とカム24とは、所定の箇所に切り込みを入れた断面L字状の一本のアングル材(共通の原料部材)を曲げ加工により塑性変形させることにより一体に形成されている。
【0055】
縦柱16は、カム24が一体に形成された一方の縦部材61と、アングル材である他方の縦部材62とを互いに対向させた状態で、一方及び他方の縦部材61,62間、及びカム24及び他方の縦部材62間のそれぞれに複数の繋ぎ部材63を溶接で固定することにより作製される。他の構成及び動作は実施の形態1と同様である。
【0056】
このように、縦柱本体23が、互いに対向する一対の縦部材61,62と、各縦部材61,62間に固定された繋ぎ部材63とを有しているので、縦柱16を構成する材料を減らすことができ、材料コストの低減化及び縦柱16の軽量化をさらに図ることができる。
【0057】
なお、上記の例では、一方の縦部材61とカム24とがアングル材を曲げ加工により塑性変形させて一体に形成されているが、アングル材を絞り加工により塑性変形させて一報の縦部材61とカム24とを一体に形成してもよい。
【0058】
また、各上記実施の形態では、カム24により操作される位置スイッチが上部終点スイッチ9及び下部終点スイッチとされているが、これに限定されず、かご2の移動に伴ってカム24に操作される位置スイッチであれば何でもよい。
【符号の説明】
【0059】
2 かご、9 上部終点スイッチ(位置スイッチ)、11 かご枠、13 かご室、16 縦柱、23 縦柱本体、24 カム、61,62 縦部材、63 繋ぎ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦柱を有するかご枠、及び
上記かご枠に支持されたかご室
を備え、
上記縦柱は、縦柱本体と、上記縦柱本体と一体に形成され、昇降路内の位置スイッチを操作するカムとを有し、
上記縦柱本体の少なくとも一部と上記カムとは、共通の原料部材を塑性変形させることにより一体に形成されていることを特徴とするエレベータのかご。
【請求項2】
上記カムは、上記原料部材の曲げ加工により上記縦柱本体の少なくとも一部と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項3】
上記カムは、上記原料部材の絞り加工により上記縦柱本体の少なくとも一部と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項4】
上記縦柱本体は、上記縦柱の幅方向について互いに対向した状態で上下方向に沿って配置された一対の縦部材と、各上記縦部材間に固定された繋ぎ部材とを有し、
上記カムは、一方の上記縦部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエレベータのかご。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−197148(P2012−197148A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62690(P2011−62690)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】