説明

エレベータのドア係合装置

【課題】かごがドア開閉可能な高さ位置にあって、かごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させた際に、係合子と係合ローラとを確実に係合させることができるエレベータのドア係合装置の提供。
【解決手段】乗り場ドア21側の係合ローラ23と、この係合ローラ23と対向可能にかごドア1側に設けられる係合子32とが係合状態となったことを検出する近接センサ36と、この近接センサ36で係合状態となったことが検出されたとき、係合子32を移動させる係合子移動手段を駆動する係合子駆動モータ33を停止させる制御を行うコントローラ40とを備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り場ドアの係合ローラとかごドアの係合子とが係合した状態でかごドア及び乗り場ドアを開閉駆動するようにしたエレベータのドア係合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なエレベータのドア係合装置は、かご側の係合子がかごドアに固定され、係合子と係合する乗り場側の係合ローラが乗り場ドアに固定されている。また、係合子と係合ローラとが係合した係合状態から、かごが昇降路内を昇降するようになっていることから、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとの間に、一定以上のクリアランスを設けることが必要になる。また、かごの昇降に際して、かごドア側の係合子と周辺機器との干渉を避けるために、係合子と周辺機器との間に、一定のクリアランスを設けることが必要になる。このようなことから、かごがドア開閉可能な高さ位置に停止し、係合状態となったときのかごドア側の係合子と、乗り場ドア側の係合ローラとの噛み合わせが浅くなりがちであった。
【0003】
そのため、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとが噛み合わなくなってかごドアのみが開くことがあった。また、このような場合、いたずらによってかごドアのみが開方向に無理やり動かされたとき、かごが昇降すると、かごドア側の係合子が乗り場ドア側の係合ローラに衝突し、これらの係合子あるいは係合ローラが損傷してしまうことがあった。
【0004】
図5は前述した従来のエレベータのドア係合装置を示す要部正面図、図6は図5の要部平面図、図7は図5の要部側面図である。
【0005】
図5に示すドアモータ5の動力は、このドアモータ5とプーリ6に掛け回されるベルト7に伝達され、ベルト7に取り付けられたかご側ドアハンガー2がドア開閉方向に動いて、かご側ドアハンガー2に取り付けられたかごドア1が動くようになっている。
【0006】
かご側ドアハンガー2には、ハンガーローラ3が取り付けられており、このハンガーローラ3はドアレール4上を動く。このとき、かごドア1の下端に取り付けられたドアシュー10は、かごに取り付けられたシル11によって案内されるようになっている。
【0007】
かごがドア開閉可能な高さ位置で停止すると、図6,7に示すように、かご側ドアハンガー2にブラケット9を介して固定された係合子8は、乗り場ドア21に設けられた乗り場側ドアハンガー22に取り付けられた係合ローラ23と噛み合う係合状態となる。したがって、これらの係合子8と係合ローラ23を介して、かごドア1の開動作と連動して乗り場ドア21が開くようになっている。かごドア1が閉じるときも、同様にして行われる。なおこの間、乗り場ドア21の下端に取り付けられたドアシュー10は、乗り場に取り付けられたシル11によって案内されるようになっている。
【0008】
このような図5〜7に示す従来のエレベータのドア係合装置では、前述のようにクリアランスを設ける必要があることから係合子8と係合ローラ23との噛み合いが浅くなり、場合によっては係合が外れることがあった。また、係合が外れ、かごドア1のみが左右にずれた状態にあって、かごが昇降すると、係合子8と係合ローラ23とが衝突し、これらが前述したように損傷してしまうことがあった。
【0009】
このようなことから、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとの噛み合いを確実に行わせることを考慮して、かごがドア開閉可能な高さ位置に停止した際に、かごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させて、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとを深く係合させるようにしたエレベータのドア係合装置が、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平01−267289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述した特許文献1に示される従来技術では、かごがドア開閉可能な高さ位置に停止しているときのみに、かごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させて、係合子と係合ローラとを係合させる構成となっているが、現実には係合子と係合ローラとが確実に係合しているかどうかを確認することができない。そのために、係合子と係合ローラとの係合不良も起こり得る。すなわち、特許文献1に示される従来技術にあっも、係合不良による係合子あるいは係合ローラの損傷を生じる懸念がある。
【0012】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、かごがドア開閉可能な高さ位置にあって、かごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させた際に、係合子と係合ローラとを確実に係合させることができるエレベータのドア係合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係るエレベータのドア係合装置は、乗り場ドアに設けられた係合ローラと、この係合ローラと対向可能にかごドア側に設けられた係合子と、この係合子を前記係合ローラに近づく方向に、及び離れる方向に移動させる係合子移動手段と、この係合子移動手段を駆動して前記係合ローラと前記係合子とを係合状態にする係合子駆動モータとを備え、前記係合状態で前記かごドアと乗り場ドアを連動させて開閉するようにしたエレベータのドア係合装置において、前記係合状態となったことを検出する検出手段と、この検出手段で前記係合状態となったことが検出されたとき、前記係合子駆動モータを停止させる制御を行うコントローラとを備えたことを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、かごがドア開閉可能な高さ位置に至ったとき、係合子駆動モータを駆動して係合子移動手段を作動させてかごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させることが行われる。この際に、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとが係合状態となったときには、その係合状態にあることが検出手段によって検出される。この検出手段の信号に応じてコントローラは係合子駆動モータを停止させる。これにより、係合子移動手段が停止し、これに応じてかごドア側の係合子が停止し、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとが確実に係合する係合状態とすることができる。
【0015】
その後は、かごドアを開動作することにより、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラを介して、かごドアと乗り場ドアとを連動して開くことができる。ドアが閉じられるときには、かごドアを閉動作することにより、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラを介して、かごドアと乗り場ドアを連動して閉じることができる。
【0016】
かごドアと乗り場ドアが閉じられた後、係合子駆動モータを前述とは逆回転させて係合子移動手段を後退させ、かごドア係合子を乗り場ドア側の係合ローラから離れる方向に移動させることが行われる。これにより、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとの係合状態が解かれる。その後、必要に応じてかごの昇降が実施される。
【0017】
このように本発明は、かごがドア開閉可能な高さ位置にあって、かごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させた際に、検出手段によって係合子と係合ローラとが係合状態となったことを確認でき、検出手段からの信号に応じてコントローラはかごドア側の係合子を停止させる制御を行い、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとを確実に係合させることができる。
【0018】
また本発明は、前記発明において、前記コントローラは、前記係合子駆動モータのトルクが増加したかどうかを判断するトルク増加判断手段を備え、このトルク増加判断手段で前記係合子駆動モータのトルクが増加したと判断されたとき前記係合子駆動モータを停止させ、引き続いて前記係合子駆動モータを所定回転数だけ逆回転させて再度停止させる制御を行うことを特徴としている。
【0019】
このように構成した本発明は、コントローラのトルク増加判断手段によって係合子駆動モータのトルクが増加したと判断されたときには、検出手段に不具合を生じてこの検出手段によっては係合状態が検出されず、かごドア側の係合子が乗り場ドア側の係合ローラに押圧されている状態と見做すことができる。したがって、コントローラの制御により、係合子駆動モータを一旦停止させ、引き続いて逆回転させることにより、係合子移動手段が後退して係合子が係合ローラから離れる方向に移動する。係合子駆動モータを所定回転数逆回転させて停止させたときには、係合子を係合ローラから所定距離離した位置にあって、安定した係合状態とすることができる。
【0020】
したがって、検出手段の設置誤差等によって、この検出手段でかごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとの係合状態が検出されない場合であっても、かごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとを確実に係合させることができる。
【0021】
また本発明は、前記発明において、前記検出手段は、前記係合子に設けられ、前記係合ローラと前記係合子とが所定距離に至ったとき前記係合状態に相当する検出信号を前記コントローラに出力する近接センサから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、近接センサの性能、あるいは近接センサの取り付け位置に応じて、係合状態を形成するかごドア側の係合子と乗り場ドア側の係合ローラとの距離を、いずれの階床にあっても一定の距離に保つことができる。
【0022】
また本発明は、前記発明において、前記係合子移動手段は、前記係合子に固定したラックと、前記かごドアに固定された前記係合子駆動モータの出力軸に取り付けられ、前記ラックに係合するピニオンギヤと、前記係合子を前記係合ローラに近づく方向に、及び離れる方向に案内するガイド機構とを含むことを特徴としている。このように構成した本発明は、係合子移動手段の構成が簡単であり、実用性に富む。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、乗り場ドアの係合ローラとかごドアの係合子とが係合状態となったことを検出する検出手段と、この検出手段で係合状態となったことが検出されたとき、係合子駆動モータを停止させる制御を行うコントローラとを備えたことから、かごがドア開閉可能な高さ位置にあって、かごドア側の係合子を乗り場ドア側の係合ローラに近づく方向に移動させた際に、検出手段によって係合子と係合ローラとの係合状態を確認でき、その確認に応じてコントローラの制御によって係合ローラを停止させ、係合子と係合ローラとを確実に係合させることができる。これにより、従来に比べて高い係合制御精度を確保でき、従来生じる懸念のあった係合不良に伴う係合子や係合ローラの損傷を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るエレベータのドア係合装置の第1実施形態を示す図で、かごがドア開閉可能な高さ位置に停止した状態にあって、係合子の移動開始前の状態を示す要部側面図である。
【図2】図1に示す状態から係合子を移動させ、係合子と係合ローラとが所定距離で対向した係合状態を示す図である。
【図3】図1に示す状態から係合子を移動させた際に、係合子と係合ローラとが当接してしまった状態を示す要部側面図である。
【図4】本実施形態に備えられるコントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図5】従来のエレベータのドア係合装置を示す要部正面図である。
【図6】図5の要部平面図である。
【図7】図5の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るエレベータのドア係合装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明に係るエレベータのドア係合装置の第1実施形態を示す図で、かごがドア開閉可能な高さ位置に停止した状態にあって、係合子の移動開始前の状態を示す要部側面図、図2は図1に示す状態から係合子を移動させ、係合子と係合ローラとが所定距離で対向した係合状態を示す図、図3は図1に示す状態から係合子を移動させた際に、係合子と係合ローラとが当接してしまった状態を示す要部側面図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータのドア係合装置は、乗り場ドア21に設けられた乗り場側ドアハンガー22に固定された係合ローラ23と、この係合ローラ23と対向可能にかごドア1側に設けられた係合子32とを備えている。また、係合子32を係合ローラ23に近づく方向に、及び離れる方向に移動させる係合子移動手段と、この係合子移動手段を駆動して係合ローラ23と係合子32とを係合状態にする係合子駆動モータ33とを備えている。
【0028】
前述した係合子移動手段は、係合子32に固定したラック34と、かごドア1に固定された係合子駆動モータ33の出力軸に取り付けられ、ラック34に係合するピニオンギヤと、かごドア1に設けられたかご側ドアハンガー31に固定され、係合子32を係合ローラ23に近づく方向に、及び離れる方向に案内するガイド機構35とを含んでいる。
【0029】
かごドア1及び乗り場ドア21の下端のそれぞれに設けたドアシュー10は、かご及び乗り場のそれぞれに設けたシル11の溝に移動自在に収容されている。
【0030】
図示しないが、図5に示した従来技術と同様に、本実施形態も、かごドア1を案内するドアレールと、かご側ドアハンガー31に設けられ、ドアレール上を移動するハンガーローラとを備えている。また、かご側ドアハンガー31が固定されるベルトと、このベルトを駆動するドアモータとを備えている。
【0031】
本実施形態は、係合ローラ23と係合子32とが係合状態となったことを検出する検出手段と、この検出手段で前述した係合状態となったことが検出されたときに、係合子駆動モータ33を停止させる制御を行うコントローラ40とを備えている。
【0032】
前述した検出手段は、係合子32に形成した穴から検知面が露出するように配置され、係合ローラ23と係合子32とが所定距離、例えば5mmに至ったときに、係合ローラ23を検出し、前述した係合状態に相当する検出信号をコントローラ40に出力する近接センサ36から成っている。
【0033】
また、前述したコントローラ40は、係合子駆動モータ33のトルクが増加したかどうか判断するトルク増加判断手段を備え、このトルク増加判断手段でトルクが増加したと判断されたとき係合子駆動モータ33を停止させ、引き続いて係合子駆動モータ33を所定回転数だけ逆回転させて、例えば係合ローラ23と係合子32との距離が安定した係合状態を形成し得る5mmに至ったとき、この係合子駆動モータ33を再度停止させる制御を行うものから成っている。
【0034】
図4は本実施形態に備えられるコントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
はじめに、かごが停止したかどうか所定の信号に基づく判断がコントローラ40でなされる(手順S1)。かごが走行中であれば、かごが停止するまでこの判断が継続される。かごが停止したと判断されたときには、かごがドア開閉可能な高さ位置にあるかどうか、所定の信号に基づく判断がコントローラ40でなされる(手順S2)。かごがドア開閉可能な高さ位置にないと判断されたときには、手順S1に戻る。かごがドア開閉可能な高さ位置にあると判断されたときには、係合子32を係合ローラ23方向へ移動させる動作が行われる(手順S3)。
【0036】
すなわち、コントローラ40から出力される制御信号により係合子駆動モータ33が駆動し、これにより係合子駆動モータ33の出力軸に取り付けられたピニオンギヤが回転し、このピニオンギヤの回転によってラック34が係合ローラ23に近づくように前進し、これに伴って係合子32がガイド機構35に案内されながら、係合ローラ23に近づく方向に移動する。
【0037】
手順S3の次には、近接センサ36が物体、すなわち係合ローラ23を検出したかどうか、近接センサ36から出力される検出信号に基づく判断がコントローラ40でなされる(手順S4)。近接センサ36が係合ローラ23を検出したと判断されたとき、係合子32を停止させる制御がなされる(手順S5)。すなわち、コントローラ40から出力される制御信号により、係合子駆動モータ33が停止し、これによりピニオンギヤ及びラック34が停止して係合子32が停止する。図2は、このようにして係合ローラ23と係合子32とが係合した状態を示している。
【0038】
この状態において、図示しないドアモータを駆動すると、図示しないベルトの移動を介して図示しないハンガーローラがかごのドアレール上を移動し、かごドア1が開動作する。このとき、係合子32と係合ローラ23を介して、かごドア1の開動作と連動して乗り場ドア21が開動作する。
【0039】
ドアが閉じられる際には、前述とは逆に図示しないドアモータが回転駆動され、図示しないベルトが前述とは逆方向に移動し、図示しないハンガーローラがかごのドアレール上を逆方向に移動し、かごドア1が閉動作する。このとき、係合子32と係合ローラ23を介して、かごドア1の閉動作と連動して乗り場ドア21が閉動作する。続いて、コントローラ40から出力される制御信号により係合子駆動モータ33を逆回転させる。これにより、ピニオンギヤが逆回転し、このピニオンギヤの回転によってラック34が係合ローラ23から離れるように後退する。これに伴って係合子32がガイド機構35に案内されながら係合ローラ23から離れる方向に移動する。これにより係合ローラ23と係合子32との係合状態が解かれる。その後、必要に応じてかごの昇降が行われる。
【0040】
また、図4に示す手順S4で、近接センサ36によって物体、すなわち係合ローラ23が検出されていないと判断されたときには、コントローラ40に含まれるトルク増加判断手段で係合子駆動モータ33のトルクが増加したかどうかの判断がなされる(手順S6)。係合子駆動モータ33のトルクが増加していないと判断されたときには手順S4に戻る。係合子駆動モータ33のトルクが増加したと判断されたときには、係合子32の停止制御がなされる(手順S7)。
【0041】
図3は、このときの状態を示しており、例えば近接センサ36の設置誤差等により近接センサ36が作動せず、係合ローラ23と係合子32とが当接し、係合子駆動モータ33のトルクが増加した状態を示している。
【0042】
コントローラ40は、係合子駆動モータ33を停止させて係合子32を停止させた後、係合子駆動モータ33を逆回転させ、係合ローラ23と係合子32との距離が5mmとなるまで移動させ、5mmに至ったときに、係合子駆動モータ33を再び停止させる制御を行う(手順S8)。これにより、前述した手順S5におけるのと同様に、係合ローラ23と係合子32とが所定の距離(5mm)で係合した係合状態となる。
【0043】
この状態からのかごドア1及び乗り場ドア21の開閉動作については前述したとおりである。
【0044】
このように構成した本実施形態によれば、かごがドア開閉可能な高さ位置にあって、かごドア側の係合子32を乗り場ドア21側の係合ローラ23に近づく方向に移動させた際に、近接センサ36によって係合子32と係合ローラ23とが係合状態となったことを確認でき、近接センサ36からの信号に応じてコントローラ40はかごドア1側の係合子32を停止させる制御を行い、かごドア1側の係合子32と乗り場ドア21側の係合ローラ23とを確実に係合させることができる。これにより、高い係合制御精度を確保でき、係合不良に伴う係合子32や係合ローラ23の損傷を確実に防止することができる。
【0045】
また本実施形態によれば、コントローラ40のトルク増加判断手段によって係合子駆動モータ33のトルクが増加したと判断されたときには、近接センサ36に不具合を生じた状態にあって、この近接センサ36によって係合状態が検出されず、かごドア1側の係合子32が乗り場ドア21側の係合ローラ23に押圧されている状態と看做すことができる。このような場合には、前述したように係合子駆動モータ33を所定回転数だけ逆回転させて停止させ、係合子32を係合ローラ23から所定距離、すなわち5mm離した位置に保って安定した係合状態とすることができる。したがって、近接センサ36の設置誤差等によって、この近接センサ36で、かごドア1側の係合子32と乗り場ドア21側の係合ローラ23との係合状態が検出されない場合であっても、かごドア1側の係合子32と乗り場ドア1側の係合ローラ23とを確実に係合させることができる。
【0046】
また本実施形態によれば、近接センサ36の性能、あるいは近接センサ36の取り付け位置に応じて、係合状態を形成するかごドア1側の係合子32と乗り場ドア21側の係合ローラ23との距離を、いずれの階床にあっても一定の距離、例えば5mmに保つことができる。
【0047】
また本実施形態によれば、係合子移動手段が、係合子駆動モータ33に取り付けられるピニオンギヤと、ラック34と、ガイド機構35とを含む簡単な構成であり、実用性に富む。
【符号の説明】
【0048】
1 かごドア
2 かご側ドアハンガー
21 乗り場ドア
22 乗り場側ドアハンガー
23 係合ローラ
31 かご側ドアハンガー
32 係合子
33 係合子駆動モータ
34 ラック
35 ガイド機構
36 近接センサ(検出手段)
40 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り場ドアに設けられた係合ローラと、この係合ローラと対向可能にかごドア側に設けられた係合子と、この係合子を前記係合ローラに近づく方向に、及び離れる方向に移動させる係合子移動手段と、この係合子移動手段を駆動して前記係合ローラと前記係合子とを係合状態にする係合子駆動モータとを備え、前記係合状態で前記かごドアと乗り場ドアを連動させて開閉するようにしたエレベータのドア係合装置において、
前記係合状態となったことを検出する検出手段と、この検出手段で前記係合状態となったことが検出されたとき、前記係合子駆動モータを停止させる制御を行うコントローラとを備えたことを特徴とするエレベータのドア係合装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータのドア係合装置において、
前記コントローラは、前記係合子駆動モータのトルクが増加したかどうかを判断するトルク増加判断手段を備え、このトルク増加判断手段で前記係合子駆動モータのトルクが増加したと判断されたとき前記係合子駆動モータを停止させ、引き続いて前記係合子駆動モータを所定回転数だけ逆回転させて再度停止させる制御を行うことを特徴とするエレベータのドア係合装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエレベータのドア係合装置において、
前記検出手段は、前記係合子に設けられ、前記係合ローラと前記係合子とが所定距離に至ったとき前記係合状態に相当する検出信号を前記コントローラに出力する近接センサから成ることを特徴とするエレベータのドア係合装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベータのドア係合装置において、
前記係合子移動手段は、前記係合子に固定したラックと、前記かごドアに固定された前記係合子駆動モータの出力軸に取り付けられ、前記ラックに係合するピニオンギヤと、前記係合子を前記係合ローラに近づく方向に、及び離れる方向に案内するガイド機構とを含むことを特徴とするエレベータのドア係合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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