説明

エレベータのブレーキ異常検出システムおよび方法

【課題】ブレーキの温度特性に対応した適切な基準でブレーキ動作を監視するエレベータのブレーキ異常検出システムまたは方法を提供する。
【解決手段】巻上機の回動を制動するブレーキと、少なくともブレーキを制御するエレベータ制御手段と、ブレーキの開閉状態を検出するブレーキ動作状態検出手段と、ブレーキ温度を検出する温度検出手段と、エレベータ制御手段からブレーキ動作指令が出力されてからブレーキが閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間の温度特性に基づいて定められる基準値データを温度に関連付けて記憶する記憶手段とを備える。また、ブレーキ温度情報と基準値データに基づいて、ブレーキ動作の異常を判定する基準値を決定する基準値決定手段を備える。さらに、ブレーキ動作時間を計測し、計測したブレーキ動作時間と基準値決定手段で決定された基準値を比較するブレーキ異常検出手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータのブレーキ異常検出システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブレーキの動作状態を検出するブレーキ動作状態検出装置を設置し、ブレーキ動作指令に対するブレーキ動作状態検出装置の整合性を監視することにより、ブレーキ動作異常を検出した場合にはエレベータを停止させることが安全基準で義務付けられている。
【0003】
一方、ブレーキの動作音を低減させるための対策として消音材を塗布する場合がある。しかし、消音材は温度の低下に伴い硬化していくため、ブレーキの周囲温度が低い場合にはブレーキの動作時間が長くなる。
【0004】
従来は、ブレーキ動作時間が温度に依存するような場合でも、ブレーキの動作異常を検出する基準値を一定の時間値で設定していた。ブレーキ異常検出装置に設定する異常検出基準値を、平均的な温度における動作時間にすると、冬季や寒冷地でブレーキの動作異常を誤検出する虞がある。ブレーキ異常検出装置に設定する異常検出基準値を低い温度における動作時間にすると、高い温度におけるブレーキの異常検出が遅れ、安全面から可能な限り早く検出する必要性を満たさない問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−338863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、ブレーキ温度を監視することにより、ブレーキの温度特性に対応した適切な基準でブレーキ動作を監視するエレベータのブレーキ異常検出システムまたは方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によるエレベータのブレーキ異常検出システムは、乗りかごを昇降させる巻上機の回動を制動するブレーキと、少なくとも巻上機とブレーキとを制御するエレベータ制御手段と、ブレーキの開閉状態を検出するブレーキ動作状態検出手段と、ブレーキの温度を検出し、ブレーキ温度情報を出力する温度検出手段とを備える。このシステムは、また、エレベータ制御手段からブレーキを閉じるブレーキ動作指令が出力されてからブレーキが閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間の温度特性に基づいて定められる基準値データを温度に関連付けて記憶する基準値データ記憶手段を備える。このシステムは、また、温度検出手段から出力されるブレーキ温度情報と、基準値データ記憶手段に記憶されている基準値データとに基づいて、ブレーキ動作の異常を判定するための基準値を決定する基準値決定手段を備える。このシステムは、さらに、エレベータ制御手段からブレーキ動作指令が出力された時点からブレーキ動作状態検出手段からブレーキが閉状態になったブレーキ動作状態情報が伝達される時点までのブレーキ動作時間を計測し、計測したブレーキ動作時間と基準値決定手段で決定された基準値とを比較するブレーキ異常検出手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態におけるエレベータのブレーキ異常検出システムの構成例の概要を表す図である。
【図2】ブレーキ動作時間と基準値データの温度依存性を表すグラフの一例である。
【図3】ブレーキ動作時間と基準値データの温度依存性を表すグラフの他の例である。
【図4】第1の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【図5】ブレーキ動作時間と基準値データと第2基準値データの温度依存性を表すグラフの一例である。
【図6】第2の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態におけるエレベータのブレーキ異常検出システムの構成例の概要を表す図である。
【図8】第3の実施形態における基準値の補正を説明するためのグラフの一例である。
【図9】第3の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施形態の説明を行う。
【0010】
(第1の実施形態)
図1に第1の実施形態におけるエレベータのブレーキ異常検出システムの概略構成例を示す。乗りかご102は図示しない乗りかご枠に収容され、メイン・ロープ104の一端に取り付けられた乗りかご枠は、エレベータを走行させる動力源のモータとメイン・ロープを掛けるつな車を有する巻上機106によって昇降路(図示せず)内を走行する。メイン・ロープの他端にはつり合い重り108が吊り下げられる。巻上機106の回動および巻上機106の回動を制動するブレーキ110の開閉は、エレベータ制御装置112によって制御される。ここで、説明を簡潔にするために、図においては1つのブレーキ110のみを示しているが、ブレーキはエレベータ運行の安全性の観点から、通常、複数設けられる。エレベータ制御装置112は、巻上機106を制御することによって乗りかご102を走行させ、着床階で停止させる。
【0011】
ブレーキ動作状態検出装置114は、ブレーキ110の開閉状態を検出する。ここで、ブレーキ110の閉状態とは、ブレーキ110が巻上機106の回動を制動するためにブレーキがかかった状態を意味し、ブレーキ110の開状態とは、ブレーキ110がかかっていない状態を意味する。温度検出装置116は、ブレーキ110の温度を検出する。温度検出装置116は、例えば、ブレーキ110に取り付けられたサーミスタ、ダイオードまたは熱電対等の温度センサと、温度センサから出力されるブレーキ110の温度変化情報からブレーキ110の温度を特定する温度判定部から構成される。温度判定部は、予め実験、解析、またはシミュレーション等によって、温度センサによって検出された温度変化情報に基づいて、ブレーキ110の温度を特定する。
【0012】
温度検出装置116によって検出されたブレーキ110温度の情報は、ブレーキ110の動作時間の正常性を判定するための基準値(以下、単に基準値ということがある)を決定する基準値決定装置118に伝達される。基準値決定装置118には、エレベータ制御装置112からブレーキ110を閉じるブレーキ動作指令が出力されてからブレーキ110が閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間の温度特性に基づいて定められた基準値データを温度に関連付けて保存する、基準値データ記憶装置120が接続されている。基準値データ記憶装置120にはフラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリあるいは磁気記録媒体等が含まれる。
【0013】
図2に、ブレーキ動作時間の温度特性の一例を点線の曲線202で示す。一実施形態において、ブレーキごとの個体差、またはブレーキ動作状態検出装置114の状態検出サイクル時間、または双方の要因による誤差に基づくブレーキ異常動作の誤検出を避けるために、基準値データ記憶装置120に記憶される基準値データに対応する基準値は、余裕を持たせ、ブレーキ動作時間より少し大きな値に設定される。例えば、ブレーキ110の温度がToであるとき、ブレーキ動作時間はδであるが、基準値はδ’とする。この場合、基準値データ記憶装置120に記憶される基準値データに対応する基準値の温度依存性は、図2に実線で示した曲線204のようになる。
【0014】
他の実施形態においては、基準値データ記憶装置120に記憶される基準値データに対応する基準値の温度依存性をステップ特性で表す。この場合、ブレーキ動作時間の温度特性は、図3に点線で示したステップ関数302のようになる。この形態においては、ブレーキ110がとりうる温度範囲を複数の領域に分割し、分割されたそれぞれの温度領域におけるブレーキ動作時間を一定値とする。例えば、図3に示すように、温度領域a、bおよびcにおける近似的なブレーキ動作時間は、それぞれα、βおよびγであるとする。基準値データ記憶装置120に記憶される基準値データに対応する基準値は、余裕を持たせ、ブレーキ動作時間より少し大きな値に設定される。例えば、図3に示すように、温度領域a、bおよびcにおける基準値を、それぞれα’(α’>α)、β’(β’>β)およびγ’(γ’>γ)とする。この場合、基準値データ記憶装置120に記憶される基準値データに対応する基準値の温度依存性は、図3に実線で示したステップ関数304のようになる。実際のブレーキ特性は図3に点線で示したステップ関数302のようなステップ特性ではないが、ステップ特性にすることによって設定を簡易化することができる。分割されたそれぞれの温度範囲における近似的なブレーキ動作時間あるいは基準値は、それぞれの温度領域における平均値または最大値とすることができる。また、最小2乗法によって定めることもできる。尚、隣接する温度領域の境界の温度におけるブレーキ動作時間あるいは基準値は、いずれか一方の温度領域におけるブレーキ動作時間あるいは基準値とするか、2つの温度領域におけるブレーキ動作時間あるいは基準値の平均値等の中間値とすることができる。
【0015】
基準値決定装置118は、温度検出装置116から出力されるブレーキ110の温度情報と、基準値データ記憶装置120に記憶されている基準値データに基づいて、ブレーキ110の動作の正常性を判定するための基準値を決定する。一実施形態において、基準値決定装置118は、エレベータ制御装置112から出されるブレーキ動作指令を検知した時点における温度情報に基づいて、基準値を決定する。例えば、基準値データ記憶装置120に基準値データが、図2に実線で示した曲線204のように記憶されており、温度検出装置116から出力されるブレーキ110の温度情報に対応するブレーキ温度がToであるときは、基準値決定装置118はδ’をブレーキ異常検出の基準値として決定する。また、基準値データ記憶装置120に基準値データが、図3に実線で示したステップ関数304のように記憶されており、温度検出装置116から出力されるブレーキ110の温度情報に対応するブレーキ温度が図3における温度領域a内にあるときは、基準値決定装置118はα’をブレーキ異常検出の基準値として決定する。
【0016】
ブレーキ異常検出の基準値を決定すると、基準値決定装置118は、決定した基準値をブレーキ異常検出装置122に伝達する。基準値決定装置118は、例えば、図1に示したように、エレベータ制御装置112と接続されており、エレベータ制御装置112から出されるブレーキ動作指令をモニタすることができる。一実施形態において、基準値決定装置118は、エレベータ制御装置112から出されるブレーキ動作指令を検知した時点において、温度検出装置116から伝達される温度情報に基づいて決定した基準値を、ブレーキ異常検出装置122に伝達する。この実施形態においては、次のブレーキ動作指令が検知されると、更新された基準値がブレーキ異常検出装置122に伝達される。
【0017】
ブレーキ異常検出装置122は、基準値決定装置118によって決定された基準値を受け取るとともに、ブレーキ動作状態検出装置114からブレーキ110の開閉状態情報を受け取る。ブレーキ異常検出装置122は、エレベータ制御装置112と接続されており、エレベータ制御装置112から出されるブレーキ動作指令をモニタすることができる。エレベータ制御装置112からブレーキ動作指令を検知すると、ブレーキ異常検出装置122は、ブレーキ動作指令が出力された時点から、ブレーキ動作状態検出装置114によって検知されたブレーキ110の状態が閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間を計測する。ブレーキ動作時間を計測する際には、リアルタイムクロック(RTC)等を用いることができる。ブレーキ異常検出装置122は、計測したブレーキ動作時間を、基準値決定装置118から受け取った基準値と比較し、ブレーキ110が正常であるか否かを判定する。計測したブレーキ動作時間の長さが、基準値決定装置118から受け取った基準値以下である場合は、ブレーキ110は正常であると判断し、処理を終える。
【0018】
一実施形態においては、ブレーキ異常検出装置122によって計測されたブレーキ動作時間が、基準値決定装置118から受け取った基準値を超えていると判定されたときには、ブレーキ110は異常であると判定され、その旨がエレベータ制御装置112に伝達される。ブレーキ動作異常情報を受け取ったエレベータ制御装置112は、乗りかご102を停止させる指令を出力する。
【0019】
以上、図1を参照しながら本発明の一例としてのエレベータのブレーキ異常検出システムの概略構成例説明を行った。図1に示したエレベータ制御装置112は、通常、マイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、エレベータ制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装される。また、ブレーキ動作状態検出装置114、温度検出装置116の一部、基準値決定装置118、およびブレーキ異常検出装置122も組み込みシステムによって実装することができる。尚、図1において、基準値決定装置118、基準値データ記憶装置120およびブレーキ異常検出装置122をエレベータ制御装置112と分離した形態として示したが、これらの装置は通常のエレベータ制御装置に内蔵させることも可能である。
【0020】
次に、フローチャートを参照しながら、実施形態の動作の一例を説明する。図4に、実施形態における動作の一例を説明するためのフローチャートを示す。エレベータ制御装置112からブレーキ110を閉じるブレーキ動作指令が出力されると、開状態にあるブレーキ110が閉状態への移行を開始するとともに、S402で、ブレーキ異常検出装置122および基準値決定装置118はエレベータ制御装置112からブレーキ動作指令が出されたことを検知する。ブレーキ動作指令が出されたことを検知したブレーキ異常検出装置122は、S404で、ブレーキ110の状態が閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間の計測を開始するとともに、ブレーキ動作状態検出装置114によって検知されるブレーキ110の開閉状態情報を監視する。ブレーキ動作状態検出装置114からのブレーキ110の開閉状態情報に基づいて、S406で、ブレーキ異常検出装置122は、ブレーキ110が閉状態になったか否かを判断する。S406で、ブレーキ110が閉状態になっていないと判断すると、ブレーキ異常検出装置122はブレーキ動作時間の計測を継続して行う。S406で、ブレーキ110が閉状態になったと判断されると、動作はS408に進み、ブレーキ異常検出装置122はブレーキ動作時間の計測を終了し、ブレーキ動作時間の計測結果が求まる。
【0021】
S402でエレベータ制御装置112からブレーキ動作指令が出されたことが検知されると、上記の動作に併行して、S410で、基準値決定装置118は、温度検出装置116によって検出されたブレーキ110の温度情報を読み出す。次にS412で、基準値決定装置118は、S410で取得したブレーキ110の温度情報と、基準値データ記憶装置120に保存されている基準値データに基づいて、ブレーキ110の動作の異常を判定するための基準値を決定する。基準値データ記憶装置120に、基準値データが、例えば、図2に示したように曲線204の形態で保存されており、ブレーキ110の温度がToであるときは、δ’’が基準値として決定される。基準値データ記憶装置120に、基準値データが、図3に示したようにステップ関数304の形態で保存されており、ブレーキ110の温度が温度領域a内にあるときは、α’が基準値として決定される。
【0022】
次いでブレーキ異常検出装置122は、S408で求めたブレーキ動作時間の計測結果と、S412で決定された基準値、例えばα’とをS414で比較する。
【0023】
計測されたブレーキ動作時間が、決定された基準値以下であるか否かがS416で判断される。計測されたブレーキ動作時間が、決定された基準値以下であると、S416で判断されると、ブレーキ動作は正常であると判定される。一方、計測されたブレーキ動作時間が、決定された基準値よりも大きいと、S416で判断されると、S418でブレーキ動作は異常であると判定される。ブレーキ動作が異常であると判定されると、S420で、エレベータ制御装置112は乗りかご102の走行を停止させる指令を出力する。
【0024】
以上説明を行った実施形態によれば、温度によって変化するブレーキ動作時間に対して誤検出することなく、ブレーキ動作の適切な監視を行うことができる。
【0025】
(第2の実施形態)
第2の実施形態におけるエレベータのブレーキ異常検出システムの概略構成は、図1に示した第1の実施形態の概略構成例と同様であるが、一部の構成要素および動作の点で第1の実施形態と異なる。したがって、第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0026】
第1の実施形態において基準値データ記憶装置120は基準値データを温度に関連付けて保存するが、第2の実施形態においては、基準値データのみならず、第2基準値データをも温度に関連付けて保存する。誤解を避けるため、本実施形態の説明においては基準値データを第1基準データと記す。第2基準値データの値は第1基準データの値よりも大きい。
【0027】
図5に、第2基準値データの温度依存性の一例を破線の曲線506で示す。図には、点線の曲線202によってブレーキ動作時間の温度特性の一例を、実線の曲線204によって第1基準値データの温度依存性の一例を、併せて示してある。温度Toにおけるブレーキ動作時間、第1基準値および第2基準値は、それぞれ、δ、δ1’およびδ2’である。図5に示したデータ表現法は、図2に示したデータ表現法と同様であるが、第2基準値データおよび第1基準値データを図3に示したようなステップ関数で表すこともできることは明らかであろう。
【0028】
基準値決定装置118は、温度検出装置116から出力されるブレーキ110の温度情報と、基準値データ記憶装置120に保存されている第1基準値データおよび第2基準値データに基づいて、第1基準値のみならず、第2基準値も決定する。一実施形態において、基準値決定装置118は、エレベータ制御装置112から出されるブレーキ動作指令を検知した時点における温度情報に基づいて、第1基準値および第2基準値を決定する。例えば、基準値データ記憶装置120に第1基準値データおよび第2基準値データが、それぞれ図5に実線で示した曲線204および破線で示した曲線506のように記憶されており、温度検出装置116から出力されるブレーキ110の温度情報に対応するブレーキ温度がToであるときは、基準値決定装置118はδ1’を第1基準値として、δ2’を第2基準値として決定する。
【0029】
また、ブレーキ異常検出装置122は、計測したブレーキ動作時間を、第1基準値のみならず、第2基準値とも比較する。
【0030】
次に、フローチャートを参照しながら、第2の実施形態の動作の一例を説明する。図6に、第2の実施形態における動作の一例を説明するためのフローチャートを示す。図4に示したフローチャートにおける動作と同一の動作については、図4における参照符号と同一の参照符号を付している。S402、S404、S406、S408における動作は、図4に関して説明した内容と同一であり、S408における処理が終わるとS614に進む。
【0031】
また、S410においてブレーキ110の温度情報を取得した後、処理はS612に進み、基準値決定装置118は、S410で取得したブレーキ110の温度情報と、基準値データ記憶装置120に保存されている第1基準値データおよび第2基準値データに基づいて、ブレーキ110の温度(例えばTo)に対応する第1基準値(例えばδ1’)および第2基準値(例えばδ2’)を決定する。次いで処理はS614に進む。
【0032】
S614において、ブレーキ異常検出装置122は、S408で求めたブレーキ動作時間の計測結果と、S612で決定された第1基準値および第2基準値を比較する。次に、計測されたブレーキ動作時間が、決定された第1基準値以下であるか否かがS416で判断される。計測されたブレーキ動作時間が、決定された第1基準値以下であると、S416で判断されると、ブレーキ動作は正常であると判定される。
【0033】
一方、計測されたブレーキ動作時間が、決定された第1基準値よりも大きいと、S416で判断された場合には、S418でブレーキ動作は異常であると判定され、処理はS620に進む。S620においては、計測されたブレーキ動作時間が、決定された第2基準値以下であるか否かが判断される。計測されたブレーキ動作時間が決定された第2基準値以下であるとS620で判断されると、ブレーキ異常検出装置122は、その旨をエレベータ制御装置112に伝達する。次いでS622で、エレベータ制御装置112は、乗りかご102を最寄り階まで低速走行させる。乗りかご102が最寄り階に着床すると、S420で、エレベータ制御装置112は乗りかご102の走行を停止させる指令を出力する。
【0034】
計測されたブレーキ動作時間が決定された第2基準値を超えているとS620で判断されたときには、処理はS420に進み、エレベータ制御装置112は乗りかご102の走行を停止させる指令を出力する。
【0035】
以上説明を行った実施形態によれば、ブレーキのパッドと巻上機のディスクまたはドラム間のギャップ不良等の原因により、第1基準値は超えたが第2基準値以内の時間にブレーキ110が動作した場合、1回に限り最寄り階まで低速走行させることによって、乗りかごの搭乗者の閉じ込めを防ぐことができる。
【0036】
(第3の実施形態)
第3の実施形態におけるエレベータのブレーキ異常検出システムの概略構成は、図1に示した第1の実施形態の概略構成例と同様であるが、基準値補正装置が付加されている点で異なる他、一部の構成要素および動作が異なる。したがって、第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0037】
図7に第3の実施形態におけるエレベータのブレーキ異常検出システムの概略構成例を示す。図1に示した第1の実施形態のシステムに基準値補正装置724が付加されている。基準値データ記憶装置120には、例えば、図8に実線で示した曲線204で表される基準値の温度依存性を示す基準値データに加え、点線の曲線202で表されるブレーキ動作時間の温度特性のデータが保存されている。基準値補正装置724は、ブレーキ110の温度情報を、例えば基準値決定装置118を介して受け取る。基準値補正装置724は、受け取ったブレーキ110の温度情報と、基準値データ記憶装置120に保存されているブレーキ動作時間の温度特性データとに基づいて、ブレーキ110の温度に対応するブレーキ動作時間を特定する。基準値データ記憶装置120に保存されているブレーキ動作時間および基準値のブレーキ温度Toにおける値は、それぞれδおよびδ’である。以下の説明においては、単なる一例として、ブレーキ温度がToである場合を想定する。この場合、基準値補正装置724は、ブレーキ動作時間としてδを特定する。また、基準値補正装置724は、ブレーキ異常検出装置122から計測されたブレーキ動作時間を受け取る。ブレーキ異常検出装置122によって計測されたブレーキ動作時間をηとする。計測されたブレーキ動作時間を受け取ると、基準値補正装置724は、実際に計測されたブレーキ動作時間ηと基準値データ記憶装置120から読み出したブレーキ動作時間δとの乖離である補正値Δt=η−δを算出する。基準値補正装置724は、算出した補正値Δtを基準値決定装置118に伝達する。基準値決定装置118は、温度検出装置116から出力されるブレーキ110の温度情報と、基準値データ記憶装置120に記憶されている基準値データに基づいて定まる基準値δ’に、基準値補正装置724から伝達された補正値Δtを加算した値であるδ’+Δtを基準値として決定する。尚、図8に示したデータ表現法は、図2に示したデータ表現法と同様であるが、ブレーキ動作時間の温度特性および基準値データを図3に示したようなステップ関数で表すこともできることは明らかであろう。
【0038】
この実施形態によれば、予め保存されているブレーキ動作時間に対して実際のブレーキ動作時間が変化している場合に、基準値を補正することによって、ブレーキの経年変化、あるいはブレーキのパッドと巻上機のディスクまたはドラム間のギャップの変化等に適応してブレーキの適切な動作監視を行うことができる。
【0039】
一実施形態において、補正値Δtを用いて、点線の曲線202で表されるブレーキ動作時間の温度特性のデータを破線の曲線802のように、細い実線の曲線204で表される基準値の温度依存性を示す基準値データを太い実線の曲線804のように修正し、基準値データ記憶装置120に新たなデータとして保存してもよい。
【0040】
さらなる実施形態において、基準値補正装置724はブレーキ異常検出装置122に補正値Δtを伝達する。ブレーキ異常検出装置122は、伝達された補正値Δtが予め定めた正の値Δτを超えているか否かを判断する。補正値Δtが予め定めた正の値Δτを超えている場合には、ブレーキ異常検出装置122は、ブレーキ動作が異常であると判定し、乗りかご102の走行を停止させる指令を出力する。このような動作によって、予め基準値データ記憶装置120に保存されているブレーキ動作特性と実際のブレーキ動作時間に大きな乖離がある場合に発生する、ブレーキ動作遅れによる乗りかご102が着床レベルに対してずれる、いわゆる突き上げや突き下げを防ぐことができる。
【0041】
以上、図7を参照しながら本発明の一例としてのエレベータのブレーキ異常検出システムの概略構成例説明を行った。図7に示した基準値補正装置724もマイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、基準値補正に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装することができる。尚、図7において、基準値補正装置724をエレベータ制御装置112と分離した形態として示したが、エレベータ制御装置に内蔵させることも可能である。
【0042】
次に、フローチャートを参照しながら、第3の実施形態の動作の一例を説明する。図9に、第3の実施形態における動作の一例を説明するためのフローチャートを示す。図4に示したフローチャートにおける動作と同一の動作については、図4における参照符号と同一の参照符号を付している。S402、S404、S406、S408における動作は、図4に関して説明した内容と同一であり、S408においてブレーキ動作時間ηが計測されるとける処理が終わると、処理はS914に進む。
【0043】
また、S410においてブレーキ110の温度情報を取得した後、処理はS911に進む。S911においては、S410で取得したブレーキ110の温度情報と記憶装置120に保存されている基準値データに基づいて、基準値決定装置118によってブレーキ110の温度(例えばTo)に対応する基準値データの値δ’が特定されるとともに、ブレーキ110の温度情報と記憶装置120に保存されているブレーキ動作時間の温度特性データに基づいて、基準値補正装置724によってブレーキ110の温度Toに対応するブレーキ動作時間δが特定される。次いでS912で、基準値補正装置724は、S408において計測されたブレーキ動作時間ηと、S911において特定されたブレーキ動作時間δとの差Δt=η−δを、補正値として算出し、算出した補正値Δtを基準値決定装置118に伝達する。S913で、基準値決定装置118は、S911で特定した基準値データの値δ’と、伝達された補正値Δtとの和であるδ’+Δtを基準値として決定する。次いで処理はS914に進む。
【0044】
S914において、ブレーキ異常検出装置122は、S408で求めたブレーキ動作時間ηと、S913で決定された基準値δ’+Δtを比較する。次に、計測されたブレーキ動作時間ηが、決定された基準値δ’+Δt以下であるか否かがS416で判断される。計測されたブレーキ動作時間ηが、決定された基準値δ’+Δtよりも大きいと、S416で判断された場合には、S418でブレーキ動作は異常であると判定され、ブレーキ異常検出装置122は、その旨をエレベータ制御装置112に伝達する。次いでS420で、エレベータ制御装置112は乗りかご102の走行を停止させる指令を出力する。
【0045】
一方、計測されたブレーキ動作時間ηが、決定された基準値δ’+Δt以下であると、S416で判断された場合には、S922で補正値Δtが予め定められた正の値Δτ以下であるか否かが、ブレーキ異常検出装置122によって判断される。S922で補正値Δtが予め定められた正の値Δτ以下であると判断された場合は、ブレーキ動作は正常であると判定され、処理は終了する。S922で補正値Δtが予め定められた正の値Δτを超えていると判断された場合には、S418でブレーキ動作は異常であると判定され、S420で、エレベータ制御装置112は乗りかご102の走行を停止させる指令を出力する。
【0046】
尚、例えばS922で補正値Δtが予め定められた正の値Δτ以下であると判断された後に、図8に示した点線の曲線202で表されるブレーキ動作時間の温度特性のデータを破線の曲線802のように、細い実線の曲線204で表される基準値の温度依存性を示す基準値データを太い実線の曲線804のように、補正値Δtを用いて修正し、基準値データ記憶装置120に新たなデータとして保存してもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
102・・・乗りかご、 104・・・メイン・ロープ、 106・・・巻上機、
108・・・つり合い重り、 110・・・ブレーキ、
112・・・エレベータ制御装置、 114・・・ブレーキ動作状態検出装置、
116・・・温度検出装置、 118・・・基準値決定装置、
120・・・基準値データ記憶装置、 122・・・ブレーキ異常検出装置、
202、302・・・ブレーキ動作時間の温度特性データ
204、304・・・基準値データ、第1基準値データ、
506・・・第2基準値データ、 724・・・基準値補正装置、
802・・・ブレーキ動作時間の補正後の温度特性データ、
804・・・補正後の基準値データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごを昇降させる巻上機の回動を制動するブレーキと、
少なくとも前記巻上機と前記ブレーキとを制御するエレベータ制御手段と、
前記ブレーキの開閉状態を検出するブレーキ動作状態検出手段と、
前記ブレーキの温度を検出し、ブレーキ温度情報を出力する温度検出手段と、
前記エレベータ制御手段から前記ブレーキを閉じるブレーキ動作指令が出力されてから前記ブレーキが閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間の温度特性に基づいて定められる基準値データを温度に関連付けて記憶する基準値データ記憶手段と、
前記温度検出手段から出力される前記ブレーキ温度情報と、前記基準値データ記憶手段に記憶されている前記基準値データとに基づいて、前記ブレーキ動作の異常を判定するための基準値を決定する基準値決定手段と、
前記エレベータ制御手段から前記ブレーキ動作指令が出力された時点から前記ブレーキ動作状態検出手段から前記ブレーキが閉状態になったブレーキ動作状態情報が伝達される時点までのブレーキ動作時間を計測し、計測したブレーキ動作時間と前記基準値決定手段で決定された基準値とを比較するブレーキ異常検出手段と
を備えることを特徴とするエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項2】
前記基準値データは、所定の温度範囲を複数の温度領域に分割し、前記それぞれの温度領域内においては一定であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項3】
前記基準値決定手段は、前記エレベータ制御手段から出力される前記ブレーキ動作指令を検知した時点において前記温度検出手段から伝達される温度情報に基づいて決定した基準値を前記ブレーキ異常検出手段に伝達することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項4】
前記エレベータ制御手段は、前記ブレーキ異常検出手段によって計測されたブレーキ動作時間が前記基準値決定手段で決定された基準値を超えていると判定されたときには、前記乗りかごを停止させる指令を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項5】
前記基準値データ記憶手段は、前記ブレーキの各温度において前記基準値データの値より大きな値の第2基準値のデータを、さらに、記憶し、
前記基準値決定手段は、前記温度検出手段から出力される前記ブレーキ温度情報と、前記基準値データ記憶手段に記憶されている前記第2の基準値データとに基づいて、第2基準値を、さらに、決定し、
前記ブレーキ異常検出手段は、前記計測されたブレーキ動作時間が前記基準値決定手段によって決定された基準値を超えていると判定したときには、ブレーキ異常検出信号を生成し、
前記ブレーキ異常検出手段は、前記計測されたブレーキ動作時間が前記決定された基準値を超えているが前記決定された第2基準値以下であると判定したときには、その旨を前記エレベータ制御手段に伝達し、前記エレベータ制御手段は、前記乗りかごを最寄り階まで低速走行させた後、前記乗りかごを停止させる指令を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項6】
前記システムは、基準値補正手段を、さらに、備え、
前記基準値データ記憶手段は、前記ブレーキの動作時間の温度特性データを、さらに、記憶し、
前記基準値補正手段は、前記温度検出手段から出力される前記ブレーキ温度情報と、前記基準値データ記憶手段に記憶されている前記ブレーキ動作時間の温度特性データとに基づいて、前記ブレーキ温度情報に対応するブレーキ動作時間を特定し、特定したブレーキ動作時間と前記ブレーキ異常検出手段によって計測されたブレーキ動作時間との差を補正値として算出し、算出した前記補正値を前記基準値決定手段に伝達し、
前記基準値決定手段は、前記ブレーキ温度情報と前記基準値データ記憶手段に記憶されている前記基準値データとに基づいて定まる基準値データの値に、前記補正値を加算した値を基準値として決定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項7】
前記ブレーキ異常検出手段は、前記基準値補正手段から伝達される前記補正値が予め定めた正の値を超えている場合に、前記ブレーキの動作が異常であると判定することを特徴とする請求項6に記載のエレベータのブレーキ異常検出システム。
【請求項8】
乗りかごを昇降させる巻上機の回動を制動するブレーキの開閉状態を検出するブレーキ動作状態検出ステップと、
前記ブレーキの温度を検出し、ブレーキ温度情報を出力する温度検出ステップと、
この温度検出ステップにおいて出力される前記ブレーキ温度情報と、温度と関連付けて基準値データ記憶装置に記憶され、エレベータ制御装置から前記ブレーキを閉じるブレーキ動作指令が出力されてから前記ブレーキが閉状態になるまでの時間であるブレーキ動作時間の温度特性に基づいて定められる基準値データとに基づいて、前記ブレーキ動作の異常を判定するための基準値を決定する基準値決定ステップと、
前記ブレーキ動作指令が出力された時点から前記ブレーキ動作状態検出ステップにおいて前記ブレーキが閉状態になったブレーキ動作状態情報が伝達される時点までのブレーキ動作時間を計測するブレーキ動作時間計測ステップと、
計測したブレーキ動作時間が前記基準値決定ステップにおいて決定された基準値以下であるか否かを判定するブレーキ異常検出ステップと
を含むことを特徴とするエレベータのブレーキ異常検出方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記ブレーキ異常検出ステップにおいて、前記ブレーキ動作時間計測ステップで計測されたブレーキ動作時間が前記基準値決定ステップで決定された基準値を超えていると判定されたときには、前記乗りかごを停止させる指令を出力するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項8に記載のエレベータのブレーキ異常検出方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記温度検出ステップで出力される前記ブレーキ温度情報と、前記基準値データ記憶装置に、さらに、記憶されており前記基準値データの値より大きな値の第2の基準値データとに基づいて、第2基準値を決定するステップと、
前記ブレーキ異常検出ステップにおいて前記計測されたブレーキ動作時間が前記基準値決定ステップで決定された基準値を超えていると判定されたときに、ブレーキ異常検出信号を生成するステップと、
前記ブレーキ異常検出ステップにおいて前記計測されたブレーキ動作時間が前記決定された基準値を超えているが前記決定された第2基準値以下であると判定されたときに、前記乗りかごを最寄り階まで低速走行させた後、前記乗りかごを停止させる指令を出力するステップと
を、さらに、含むことを特徴とする請求項8に記載のエレベータのブレーキ異常検出方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記温度検出ステップにおいて出力される前記ブレーキ温度情報と、前記基準値データ記憶装置に、さらに、記憶されている前記ブレーキの動作時間の温度特性データとに基づいて、前記ブレーキ温度情報に対応するブレーキ動作時間を特定するステップと、
前記特定したブレーキ動作時間と前記ブレーキ動作時間計測ステップにおいて計測されたブレーキ動作時間との差を補正値として算出する補正値算出ステップとを、さらに、含み、
前記基準値決定ステップにおいては、前記ブレーキ温度情報と前記基準値データ記憶装置に記憶されている前記基準値データとに基づいて定まる基準値データの値に、前記補正値を加算した値を基準値として決定することを特徴とする請求項8に記載のエレベータのブレーキ異常検出方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記補正値算出ステップにおいて算出された前記補正値が予め定めた正の値を超えている場合に、前記ブレーキの動作が異常であると判定するステップを、さらに、含むことを特徴とする請求項11に記載のエレベータのブレーキ異常検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−25526(P2012−25526A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164794(P2010−164794)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】