説明

エレベータの安全帯フック装置

【課題】安全帯フックを三方枠に設置することにより、作業者が乗り場から乗りかごの上部へより安全に移動することができるエレベータの安全帯フック装置を提供する。
【解決手段】エレベータの乗り場の乗降口を構成する三方枠3の内側に配置されて、作業者の安全帯を装着するためのエレベータの安全帯フック装置20は、安全帯を装着するための安全帯フック23と、エレベータが通常走行される時には安全帯フック30を三方枠3に格納させ、エレベータの昇降路32内の点検を行う時には、安全帯フック30を昇降路32に突出させるヒンジ24を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの安全帯フック装置に関し、特にエレベータの点検時に作業者が安全帯を掛けるための安全帯フックを有するエレベータの安全帯フック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、エレベータ100の乗降口は、三方枠104により構成されている。作業者が、エレベータ100の昇降路内の用品等を点検するために、乗り場101から昇降路内へ移動する際に、乗り場101側からエレベータの乗場ドア102を開けて、昇降路内の乗りかごの上部に乗り込むことがある。この際に、作業者は身体に安全帯の一端部を装着して、この安全帯の他端部を乗りかごの上部に設置されている安全帯フックに取り付けるようになっている。
【0003】
また、エレベータの保守点検に関連する技術としては、作業者がエレベータを保守点検作業する時に、エレベータの乗降口を構成する三方枠に、シートの点検柵を取り付けることが開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002―187677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、建物の高層化や顧客のニーズの多様化に伴ってエレベータの大型化と運行の高速化が進むことにより、昇降路内には整風カプセルや乗りかごの上部に設けられる機器の追加されているため、乗りかご上に十分なスペースを確保することができなくなっている。このことから、作業者が乗り場から乗りかごの上部に移動する際に、作業者の近傍に安全帯を掛けるための安全帯フックを設けるスペースを確保することが難しい。
【0006】
従って、作業者は乗り場から乗りかごの上部に移動をする際には、不都合な位置に安全帯フックが設置されてしまう恐れがあり、安全帯フックを取り付ける位置が乗り場よりも遠くなることが多くなり、作業者は乗り場から乗りかごの上部に安全に移動できなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全帯フックを三方枠に設置することにより、作業者が乗り場から乗りかごの上部へより安全に移動することができるエレベータの安全帯フック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレベータの安全帯フック装置は、エレベータの乗り場の乗降口を構成する三方枠の内側に配置されて、作業者の安全帯を装着するためのエレベータの安全帯フック装置であって、前記安全帯を装着するための安全帯フックと、前記エレベータが通常走行される時には前記安全帯フックを前記三方枠に格納させ、前記エレベータの昇降路内の点検を行う時には、前記安全帯フックを前記昇降路に突出させるヒンジと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全帯フックを三方枠に設置することにより、作業者が乗り場から乗りかごの上部へより安全に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態1を備えるエレベータ1を示す正面図である。
【図2】図1に示すエレベータを矢印B方向から見た構造例を示す側面図である。
【図3】図2の安全帯フック装置の構造例を示す斜視図である。
【図4】図2の安全帯フック装置の使用例を示す図である。
【図5】本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態2を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2をD方向から見た側面図である。
【図7】本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態3を示す側面図である。
【図8】本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態4を示す図である。
【図9】従来のエレベータの三方枠を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態1を備えるエレベータ1を示す正面図である。
【0013】
図1に示すエレベータ1の乗降口2は、三方枠3により構成されており、乗降口2は、乗場ドア5,5をR1、R2方向に互いに離れる方向に移動することで開くことができる。三方枠3は、縦枠7,8と横枠9から構成されている。乗り場10の上部であって、乗り場10の壁面12には、ホールインジケータボックス(HIB)11が設けられている。
【0014】
図2は、図1に示すエレベータ1を矢印B方向から見た構造例を示し、図2(A)は、作業者が安全帯フック23を用いずにエレベータが通常使用される場合の安全帯フック装置20の状態を示し,図2(B)は、作業者が安全帯フック23を用いて点検作業を行う場合の安全帯フック装置20の状態を示している。
【0015】
図3は、安全帯フック装置20の構造例を示し、図3(A)は、エレベータが通常使用されている場合を示し、図3(B)は、エレベータが停止されている場合であって安全帯フック装置20が使用されている状態を示している。
【0016】
図4は、安全帯フック装置20の使用例を示しており、図4(A)は、エレベータが通常使用されている場合であって、乗場ドア5が戸閉時の状態を示し、図4(B)は、エレベータが通常使用されている場合であって、乗場ドア5がR1方向に戸開されている状態を示している。そして、図4(C)は、エレベータの動作が停止されている場合であって、図4(B)に示す乗場ドア5の戸開時の状態よりもさらに戸開されている状態を示している。
【0017】
図2(A)に示すように、三方枠3の縦枠8には、開口部13が形成されており、この開口部13には安全帯フック装置20が回転可能に支持されている。
【0018】
図3に示すように、安全帯フック装置20は、板状の三方枠部分21と、プレート部材22と、安全帯フック23と、ヒンジ24を有している。三方枠部分21とプレート部材22は直線状に配置され、安全帯フック23は三方枠部分21とプレート部材22に対して垂直に突出して設けられている。
【0019】
図3に示すように、安全フック23には、例えば円形状の開口部25が形成されている。ヒンジ24の回転軸Lは、水平方向Xに対して平行である。この水平方向Xは乗りかごが上下移動する垂直方向Zに対して直交している。ヒンジ24の回転軸Lは、三方枠の縦枠8に対して回転可能に支持されている。
【0020】
図3(A)に示すように安全帯フック23を使用しない状態では、安全帯フック装置20の安全帯フック23は、Y1方向に突出している。そして、図3(B)に示すようにこの安全フック装置20が、回転軸Lを中心としてM方向に180度回転させることで、安全帯フック装置20の安全帯フック23は、Y1方向とは反対方向であるY2方向に突出させることができる。図2(B)と図3(B)に示す安全帯フック23の使用状態では、安全帯フック23は昇降路側においてY2方向に水平に突出させることができる。従って、作業者は、安全帯30の装着部31を安全帯フック23の開口部25に対して着脱可能に取り付けることができる。
【0021】
なお、作業者が点検作業を終了して、図3(B)に示す安全帯30の装着部31を安全帯フック23の開口部25から外したら、安全帯フック23はヒンジ24の回転軸Lを中心として図3(B)から図3(A)に示すように、N方向に180度回転することで、図3(B)に示す安全帯フック23の使用状態から図3(A)に示す安全帯フック23の格納状態に戻すことができるようになっている。
【0022】
次に、上述した本発明の実施形態1の動作例を説明する。
【0023】
図1において、エレベータ1が通常の動作をして、エレベータ1の乗りかごがZ方向に移動する場合には、図2(A)に示すように、安全帯フック装置20の安全帯フック23は、三方枠3の縦枠8と横枠9が形成する空間内に格納されている。この安全帯フック23が三方枠3の縦枠8と横枠9が形成する空間内に格納されている様子は、図4(A)に示しており、乗場ドア5は閉じたままであり、安全帯フック23は、昇降路332側には突出しておらず、三方枠3内に格納されている。
【0024】
そこで、作業者が図4(A)に示す昇降路32内に用品等を点検するために、乗り場10より昇降路32内へ移動する際には、図4(A)から図4(B)、そして図4(C)に示すように、乗場ドア5がR1方向に開かれて、三方枠3の縦枠8からさらにR1方向側に退避される。これにより、図4(A)から図4(B)、そして図4(C)に示すように、安全帯フック装置20の安全フック23が、移動する乗場ドア5には当たることなく、乗場ドア5は安全にスムーズに退避することができる。このため、乗場ドア5の意匠に傷を付けることを防ぐことができる。
【0025】
このようにして乗場ドア5を開けた後に、作業者は、乗り場10より昇降路32内の乗りかごの上部に乗り込んで点検作業を行う場合には、作業者は図2(A)から図2(B)に示すように、安全帯フック装置20をM方向に180度回転する。これにより、安全帯フック23の向きは、三方枠3側から昇降路32側に変更できる。そして、図3(B)に示すように、作業者は、安全帯30の一方の装着部31を安全帯フック23の開口部25に対して着脱可能に取り付ける。安全帯30の他方の装着部(図示せず)は、作業者の安全ベルトに対して装着されている。
【0026】
ところで、図4(C)に示すように、作業者が昇降路32内で点検作業を行っている場合には、安全帯フック23は、乗場ドア5の端面5Tが当たる位置まで昇降路32側に突出しているので、乗場ドア5がR2方向に戻ってしまう動作を確実に阻止することができる。これにより、作業者は安全に点検作業を行えるとともに、作業者が乗場10と昇降路32の間を行き来する際に誤って乗場ドア5がR2方向に戻ってしまうことを確実に防ぐことができる。安全帯フック23は、乗場ドア5を移動しようとしてもこの乗場ドア5の移動を止めるためのストッパの役目を果たすので、乗場ドア5が不用意に戸閉することがないことから、誤ってこの状態で乗りかごが通常走行することがない。
【0027】
そして、作業者が昇降路32内において用品等の点検作業を終了すると、作業者は安全帯フック装置20の安全帯フック23を、ヒンジ24の回転軸Lを中心としてN方向に180度回転して戻すことにより、安全帯フック23は、図3(B)に示す安全フック23の使用状態から図3(A)に示す安全フック23の格納状態に戻すことができる。これにより、安全帯フック23は乗場ドア5の端面から三方枠3の縦枠8側に戻すことができるので、乗場ドア5は、安全帯フック23により邪魔されることなく、図4(C)から図4(A)に示すように、乗場ドア5を点検戸開き状態から、通常戸開状態、そして通常戸閉状態に戻すことができる。
【0028】
以上説明したように、本発明の実施形態1では、安全帯フックを三方枠に設置することにより、作業者が乗り場から乗りかごの上部に、より安全に移動することができる。従って、作業者は、安全帯フック装置20を用いて、点検作業が容易にしかも安全に行える。
【0029】
次に、本発明の別の実施形態を説明するが、本発明の別の実施形態の要素が、上述した本発明の実施形態1の要素と実質的に同じである場合には、同じ符号を付けてその説明を用いる。
【0030】
(実施形態2)
図5は、本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態2を示す図である。図6は、本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態2をD方向から見た側面図であり、図6(A)は、作業者が安全帯フック55を用いずエレベータが通常使用される状態を示し,図6(B)は、作業者が安全帯フック55を用いて点検作業を行う場合の安全帯フック装置50の状態を示している。
【0031】
図5と図6(A)は、作業者が安全帯フックを用いずエレベータが通常使用されている状態を示しており、三方枠3の縦枠8には長方形の開口部40を有している。この縦枠8の外面には、L字型の固定部材41を用いてマグネットキャッチ42が固定され、このマグネットキャッチ42は開口部40の上部に位置されている。このマグネットキャッチ42は、プレート54を磁気的に吸着して固定するための保持手段の一例である。
【0032】
図6(A)に示すように、安全帯フック装置50は、固定部材51と、ヒンジ52と、折り曲げ部材53と、プレート54と、安全帯フック55を有している。固定部材51は縦枠8に固定されており、折り曲げ部材53の一端部53Bは固定部材51に対してヒンジ52を介して、回転軸L1を中心としてM方向に回転可能に連結されている。プレート54は開口部40を閉鎖可能な長方形状の部材であり、磁気的に吸引可能な材質である例えば鉄板である。折り曲げ部材53の他端部53Cは、プレート54に固定されている。安全帯フック55はプレート54の一方の面に対して垂直に固定され、安全フック55には、例えば円形状の開口部56が形成されている。
【0033】
さらに、ストッパ検知スイッチ60が配置されている。図6(A)に示すようにプレート54が開口部40を閉鎖した状態では、このストッパ検知スイッチ60の検知部材61は折り曲げ部材53の他端部53Cに突き当たるようになっている。ストッパ検知スイッチ60の検知部材61が折り曲げ部材53の他端部53Cに突き当たることにより、ストッパ検知スイッチ60は、安全帯フック55が昇降路32側にはなく、プレート54が開口部40を閉鎖している状態であることを、エレベータ制御部57に対して通知するようになっている。
【0034】
次に、上述した本発明の実施形態2の動作例を説明する。
【0035】
図6(A)に示すように、乗場ドアが戸閉状態であり作業者が安全帯フックを用いずエレベータが通常使用されている状態では、マグネットキャッチ42はプレート54を磁気的に吸着しており、プレート54は開口部40を閉じている。マグネットキャッチ42はプレート54を磁気的に吸着することで、安全帯フック装置50のプレート54がM方向に不用意に回転するのを阻止している。この状態では、安全帯フック55は昇降路32側には突出していない。
【0036】
一方、作業者が安全帯フックを用いて点検作業を行う場合には、作業者が乗場ドアを三方枠外へ押し出し、作業者がプレート54をマグネットキャッチ42の磁気的吸引力に抗して昇降路32側に押すことにより、図6(A)から図6(B)に示すように、プレート54は回転軸L1を中心として昇降路32側へM方向に90度回転して引き出すことができる。これにより、プレート54は昇降路32内で水平に静止した状態で保持されるので、安全帯フック55はZ2方向の上向きに突出した状態になる。しかも、ストッパ検知スイッチ60の検知部材61は、折り曲げ部材53の他端部53Cから離れる。作業者は、図示しない安全帯を安全帯フック55に掛けることができる。
【0037】
次に、昇降路内の点検作業が終了したら、作業者は、プレート54をN方向に90度回転して戻して、プレート54をマグネットキャッチ42により磁気的吸着させて固定する。このようにプレート54が固定されたことを作業者が確認後に、乗場ドアを退避位置から元の位置に戻す。この場合には、ストッパ検知スイッチ60の検知部材61は折り曲げ部材53の他端部53Cに突き当たることにより、安全帯フック55が昇降路32内ではなく、昇降路32の外側に位置されていることを、エレベータ制御部57に対して通知することができる。これにより、エレベータ制御部58は、安全帯フック55が図6(A)の状態に復帰したことを確認することができるので、エレベータの乗りかごの運転は安全を確認した後に行うことができる。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施形態2では、安全帯フックを三方枠に設置することにより、作業者が乗り場から乗りかごの上部に、より安全に移動することができる。従って、点検作業が容易にしかも安全に行える。また、図6(B)に示すようにプレート54が昇降路32内に水平に突出して保持できるので、このプレート54が、図6(B)の紙面垂直方向に乗場ドアを移動しようとしてもこの乗場ドアの移動を止めるためのストッパの役目を果たすので、乗場ドアが不用意に戸閉することがないことから、誤ってこの状態で乗りかごが通常走行することがない。
【0039】
さらに、好ましくはストッパ検知スイッチ60が、安全帯フック55の収納される場所に設けられていることにより、ストッパ検知スイッチ60の検知部材61がプレート54により押されている時のみ、乗りかごが走行可能とすることができる。言いかえれば、ストッパ検知スイッチ60の検知部材61がプレート54により押されていなければ、乗場ドアは戸開しているとエレベータ制御部57が判断するので、昇降路32内で乗りかごを走行させないようにすることができ、安全対策がとれる。
【0040】
本発明の実施形態2では、安全帯フック55を固定するプレート54を有し、プレート54はヒンジ52を介して三方枠3に対して回転可能に支持され、保持手段であるマグネットキャッチ42は、安全帯フック55を三方枠3に格納した状態で安全帯フック55とプレート54の動きを制限して磁気的に吸着して保持することができる。これにより、簡単な構成でありながら、安全帯フック55とプレート54は三方枠3に格納でき、不用意に昇降路32側に突出することが無い。従って、安全帯フック55とプレート54が確実にマグネットキャッチ42により保持できるので、通常使用時に乗場ドアを開閉しても、安全帯フック55とプレート54が乗場ドアの外観の意匠を傷つけないようにすることができる。
【0041】
プレート54はヒンジ52を介して三方枠3に対して回転可能に支持され、検知部としてのストッパ検知スイッチ60は、安全帯フック55を三方枠3内に格納した状態であることを検知する。そして、制御部としてのエレベータ制御部57は、安全帯フック55を三方枠3内に格納した状態であることを検知部としてのストッパ検知スイッチ60が検知しない場合には、エレベータの乗りかごの走行をさせない。これにより、エレベータの乗りかごが、点検作業中に動作しないようにすることができ、点検作業の安全性を確保できる。
【0042】
(実施形態3)
図7は、本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態3を示し、図7(A)は、作業者が安全帯フック55を用いずエレベータが通常使用される状態を示し,図7(B)は、作業者が安全帯フック55を用いて点検作業を行う場合の安全帯フック装置50の状態を示している。
【0043】
図7に示す本発明のエレベータの実施形態3は、図6に示す本発明のエレベータの実施形態2とほぼ同じ構造を有しているが、図7に示す本発明のエレベータの実施形態3が、図6に示す本発明のエレベータの実施形態2と異なるのは、次の点である。
【0044】
図6ではマグネットキャッチ42とストッパ検知スイッチ60が用いられているが、図7では、マグネットキャッチ42とストッパ検知スイッチ60に代えて、電気接点付きのマグネットキャッチ82を用いている。このため、本発明の実施形態3は、本発明の実施形態2に比べて部品点数を減らすことができる。
【0045】
このマグネットキャッチ82は、プレート54を磁気的に吸引して保持するための保持手段の一例であるが、プレート54を磁気的吸着することで電気接点83が押されてオンになり、マグネットキャッチ82は、安全帯フック55が昇降路32側ではなく昇降路32の外側に位置されていることをエレベータ制御部57に対して通知する。
【0046】
電気接点83は、保持手段であるマグネットキャッチ42に設けられている。この電気接点83は、安全帯フック55を三方枠内に格納した状態であることをプレート54が接触することで電気的に検出する。そして、制御部としてのエレベータ制御部57は、安全帯フック55を三方枠3内に格納した状態であることを電気接点83が検知しない場合には、エレベータの乗りかごの走行をさせない。
【0047】
これにより、エレベータ制御部58は、安全帯フック55が図7(A)の状態に復帰したことを確認することができるので、エレベータの運転は安全を確認した後に行うことができる。
【0048】
(実施形態4)
図8は、本発明のエレベータの安全帯フック装置の実施形態4を示している。
【0049】
図8に示す本発明の実施形態4では、安全帯フック装置50の折り曲げ部材53は、駆動手段としての例えば電磁アクチュエータ90のロッド90Rに連結されている。乗り場のインジケータボックス11内には、安全帯フック装置50を自動的に昇降路32に回転移動させるためのスイッチ91が配置されている。
【0050】
これにより、作業者がインジケータボックス11の蓋92を開けてスイッチ91を押すことにより、エレベータ制御部57が電磁アクチュエータ90を駆動して、安全帯フック装置50の安全帯フック55をM方向に沿って昇降路32内に90度回転して移動できる。そして、作業者が再びスイッチ91を押すことにより、逆に安全帯フック55をN方向に沿って格納場所に戻して開口部40を閉じることができる。このように、作業者は、乗り場10において安全帯フック55の移動と格納動作を、インジケータボックス11のスイッチ91のオンオフ動作だけで自動的に行うことができ、安全帯フック55を用いた点検作業がより安全に行える。
【0051】
図8に示す本発明の実施形態4は、上述した本発明の実施形態1〜3に適用することができる。
【0052】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、安全帯フックの形状はほぼ四角形状の板部材であり、円形状の開口部を有しているが、これに限らず安全帯フックの形状と開口部の形状は任意に選択できる。
【0053】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・エレベータ、2・・・乗降口、3・・・三方枠、5・・・乗場ドア、10・・・乗り場、20・・・安全帯フック装置、23・・・安全帯フック、24・・・ヒンジ、30・・・安全帯、32・・・昇降路、42・・・マグネットキャッチ(保持手段の一例)50・・・安全帯フック装置、54・・・プレート、55・・・安全帯フック、60・・・ストッパ検知スイッチ(検知部の一例)、83・・・電気接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗り場の乗降口を構成する三方枠の内側に配置されて、作業者の安全帯を装着するためのエレベータの安全帯フック装置であって、
前記安全帯を装着するための安全帯フックと、
前記エレベータが通常走行される時には前記安全帯フックを前記三方枠に格納させ、前記エレベータの昇降路内の点検を行う時には、前記安全帯フックを前記昇降路に突出させるヒンジと、
を備えることを特徴とするエレベータの安全帯フック装置。
【請求項2】
前記安全帯フックを固定するプレートを有し、前記プレートは前記ヒンジを介して前記三方枠に対して回転可能に支持され、
前記安全帯フックを前記三方枠に格納した状態で前記安全帯フックと前記プレートの動きを制限して磁気的に吸着して保持する保持手段を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの安全帯フック装置。
【請求項3】
前記安全帯フックを固定するプレートを有し、前記プレートは前記ヒンジを介して前記三方枠に対して回転可能に支持され、
前記安全帯フックを前記三方枠内に格納した状態であることを検知する検知部と、
前記安全帯フックを前記三方枠内に格納した状態であることを前記検知部が検知しない場合には前記エレベータの乗りかごの走行をさせない制御部と、
を有していることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの安全帯フック装置。
【請求項4】
前記保持手段に設けられて前記安全帯フックを前記三方枠内に格納した状態であることを前記プレートが接触することで電気的に検出する電気接点と、
前記安全帯フックを前記三方枠内に収納した状態であることを前記電気接点が検知しない場合には前記エレベータの乗りかごの走行をさせない制御部と、
を有していることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの安全帯フック装置。
【請求項5】
前記安全帯フックを前記昇降路から前記三方枠内に格納するアクチュエータと、
前記アクチュエータを動作させるために前記乗り場に設けられたスイッチと、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載のエレベータの安全帯フック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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